金属反射層を有する積層体、及びこの積層体を使用したステッカー、転写箔、紙、偽造防止媒体、並びにこの積層体の金属反射層をパターニングする方法
【課題】光干渉層と、金属反射層と、光吸収層とを有する積層体を前提として、この積層体に対して近赤外線レーザーを照射して金属反射層の一部を破壊することにより、その破壊部位と金属反射層の残存部位との間で異なる光学効果を生じさせるに際し、光吸収層が前記近赤外線レーザーによる損傷を受けることのない積層体を提供する。
【解決手段】光吸収層として、黄色(Y)の顔料と、マゼンタ(M)の顔料及びシアン(C)の顔料を主成分とするスミインキ被膜を使用する。このインキ被膜は、可視領域の光を吸収し、近赤外領域の光を吸収しないから、近赤外線レーザーの照射による損傷を受けない。
【解決手段】光吸収層として、黄色(Y)の顔料と、マゼンタ(M)の顔料及びシアン(C)の顔料を主成分とするスミインキ被膜を使用する。このインキ被膜は、可視領域の光を吸収し、近赤外領域の光を吸収しないから、近赤外線レーザーの照射による損傷を受けない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光干渉層と、光吸収層と、金属反射層とを有する積層体に関するものである。
【0002】
この積層体は、例えば、この積層体に更に粘着剤層を設けてステッカーとし、このステッカーを物品に貼着することにより、この物品の真正を保障することができる。この際、積層体の状態、ステッカーに加工した状態、あるいは物品に貼着した状態のどの状態においても、金属反射層を特定のパターンに加工して、その信頼性を高めることができる。また、この積層体をステッカーに加工することに代えて、この積層体を転写箔としたり、細長いスレッド状に加工して紙に漉き込むことにより、同様に、物品の真正を保障することができる。
【背景技術】
【0003】
光干渉層と、光吸収層と、金属反射層とを有する積層体は、例えば、特許文献1に知られている。特許文献1の積層体は図10や図11に示す層構成を有するもので、すなわち、基材シートの片面に液晶層を有する。また、基材シートの反対面には、エンボスホログラム層と、パターン状に設けられた金属反射層と、光吸収性の黒色粘着層とが設けられている。
【0004】
この液晶層は配向されたコレステリック液晶から構成されており、コレステリック液晶は螺旋状の分子構造を有することから、その螺旋ピッチに応じた干渉光を反射し、その他の光を透過する。そして、金属反射層が除去された部位では、液晶層を透過した光は黒色粘着層に吸収されるから、この積層体を液晶層側から観察した場合、液晶層で反射された干渉光が観察できる。この干渉光は特定の色彩に着色した円偏光で、俗に「コレステリック・カラー」と呼ばれている。他方、前記金属反射層が存在する部位では、液晶層を透過した光は金属反射層で反射されるから、この積層体を液晶層側から観察した場合、液晶層で反射された干渉光と金属反射層で反射された光との混合した光が観察される。前述のように、この両者は互いに補色を構成するから、観察される光は入射光とほぼ同一の色彩を有する。
【0005】
また、エンボスホログラム層は、透明材料の表面に微細な凹凸を形成したもので、この凹凸面からの反射光が互いに干渉し、この干渉光がホログラム画像を構成する。金属反射層はこの凹凸面に設けられているから、金属反射層の存在する部位ではその反射率が増大し、明るいホログラム画像を観察することができる。他方、金属反射層が除去された部位では、凹凸面に入射した光の大部分が黒色粘着層に吸収されるから、ホログラム画像を実質的に観察することができない。
【0006】
そして、このため、特許文献1に記載の積層体では、金属反射層の存在する部位では明るいホログラム画像を観察することができ、他方、金属反射層が除去された部位では、明るいコレステリック・カラーが観察できる。なお、前述のように、このコレステリック・カラーは円偏光であるから、適切な円偏光フィルター重ねることによって遮断できる。このような特異な光学効果を有するため、例えば、クレジットカード等に貼着してその複製や贋造を防ぎ、これらカード等の真正を保障する機能を発揮するのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−90538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、金属反射層をパターン状に形成するため、特許文献1においては、マスキング処理又はデメタライズ処理という方法が採用されていた。すなわち、真空蒸着等の気相堆積法によって前記金属反射層を製膜する際に、この金属反射層を不要とする部位にマスクを配置し、製膜の後、このマスクと共にその上の金属反射層を除去する方法である。マスクとして板状の物品を利用する方法もあるが、現像液溶解性の塗液を使用する方法がデメタライズ処理の名前で知られている。すなわち、金属反射層を不要とする部位にこの塗液をパターン状に塗布して塗膜を形成し、次に金属反射層を製膜した後、現像液を適用して前記塗膜とその上の金属反射層を除去することにより、パターン状の金属層を形成する方法である。
【0009】
しかしながら、この方法によれば、黒色粘着層を形成する前に金属反射層をパターニングする必要があり、黒色粘着層を形成した後に金属反射層をパターニングすることはできなかった。
【0010】
ところで、このような積層体をクレジットカード等に適用するに際し、それぞれのクレジットカード等に、個別の情報を記録したいという要請がある。このような要請に応えるためには、前記デメタライズ処理に代えて、前記積層体に近赤外線レーザーを照射して前記金属反射層の一部を破壊する方法を採用すればよいと考えられる。すなわち、黒色粘着層を含めて積層体を形成した後、液晶層側から近赤外線レーザーを照射して、前記個別の情報を構成するパターン状に金属反射層を破壊するのである。
【0011】
しかしながら、この場合には、前記黒色粘着層は近赤外線レーザーを吸収するため、金属反射層の破壊と同時にこの黒色粘着層も損傷を受けるという問題があった。
【0012】
本発明はこのような問題意識の下になされたものであって、光干渉層と、金属反射層と、光吸収層とを有する積層体を前提として、この積層体に対して近赤外線レーザーを照射して金属反射層の一部を破壊することにより、その破壊部位と金属反射層の残存部位との間で異なる光学効果を生じさせるに際し、光吸収層が前記近赤外線レーザーによる損傷を受けることのない積層体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、請求項1に記載の発明は、光干渉層、金属反射層、光吸収層をこの順に積層して構成される積層体において、
前記光吸収層が可視領域の光を吸収し、近赤外領域の光を吸収しないものであることを特徴とする積層体である。
【0014】
この発明によれば、光干渉層側から近赤外線レーザーを照射して金属反射層の一部を破壊することができ、しかも、光吸収層がこのレーザー光を吸収しないから、損傷を受けることもない。そして、この金属反射層の破壊部位と残存部位とで前記光干渉層の光学効果が異なるから、金属反射層の破壊部位をパターン状に認知できるのである。
【0015】
次に、請求項2に記載の発明は、その積層順序を変えたものである。
【0016】
すなわち、請求項2に記載の発明は、金属反射層、光干渉層、光吸収層をこの順に積層して構成される積層体において、
前記光吸収層が可視領域の光を吸収し、近赤外領域の光を吸収しないものであることを
特徴とする積層体である。
【0017】
そして、この発明によれば、金属反射層側から近赤外線レーザーを照射して金属反射層の一部を破壊することができ、しかも、光吸収層がこのレーザー光を吸収しないから、損傷を受けることもない。そして、この金属反射層の破壊部位と残存部位とで、前記光干渉層の光学効果が異なるから、金属反射層の破壊部位をパターン状に認知できるのである。
【0018】
次に、請求項3に記載の発明は、光干渉層を特定したもので、すなわち、前記光干渉層がコレステリック液晶又は多層干渉構造体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体である。
【0019】
また、請求項4に記載の発明は、光吸収層を特定したもので、すなわち、前記光吸収層が染料又は顔料の混合物で構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体である。
【0020】
また、請求項5に記載の発明は、これら積層体を加工してステッカーとしたもので、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体と、その前記光吸収層側に設けられた粘着剤層とで構成されることを特徴とするステッカーである。
【0021】
他方、請求項6に記載の発明は、前記積層体を加工して転写箔としたもので、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体と、剥離層と、基材シートとで構成され、積層体、剥離層、基材シートの順に積層されていることを特徴とする転写箔である。
【0022】
また、請求項7に記載の発明は、前記積層体を紙幣等に適用する場合、その用紙と一体化させたもので、すなわち、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体を漉き込んで形成された紙である。
【0023】
また、請求項8に記載の発明は、前記積層体を適用したクレジットカード等に関するもので、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体を貼着して構成される偽造防止媒体である。この偽造防止媒体としては、クレジットカードのほか、IDカード、紙幣、債券、高額商品あるいはそのパッケージ等が例示できる。
【0024】
次に、請求項9に記載の発明は、前記積層体の金属反射層の一部を破壊してパターニングする方法に関するもので、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体に、Nd;YAGレーザーを照射して、前記金属反射層をパターニングすることを特徴とするパターニング方法である。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、光干渉層と、金属反射層と、光吸収層を有する積層体に近赤外線レーザーを照射することにより、光吸収層に損傷を与えることなく金属反射層の一部を破壊してパターニングすることが可能となる。そして、この金属反射層の破壊部位と残存部位とで前記光干渉層の光学効果が異なるから、金属反射層の破壊部位をパターン状に認知できる。そして、このため、個別の物品に特有の情報を記録できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1(a)は本発明の第1の実施形態に係る積層体の断面説明図。図1(b)は金属反射層をパターニングしたときの断面説明図
【図2】図2(a)は本発明の第2の実施形態に係る積層体の断面説明図。図2(b)は金属反射層をパターニングしたときの断面説明図
【図3】本発明の実施形態に係るステッカーの断面説明図。
【図4】図3のステッカーをカードに貼着して構成される偽造防止媒体の断面説明図。
【図5】図4の偽造防止媒体の金属反射層をパターニングしたときの断面説明図
【図6】本発明の実施形態に係る転写箔の断面説明図。
【図7】図6の転写箔を転写して構成される偽造防止媒体の断面説明図。
【図8】図8(a)は本発明の第3の実施形態に係る積層体の断面説明図。図8(b)は金属反射層をパターニングしたときの断面説明図
【図9】本発明の実施例に係る転写箔の断面説明図
【図10】従来例の断面説明図
【図11】従来例の断面説明図
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る積層体は、光干渉層、金属反射層及び光吸収層の3種類の層を必須の構成要素とする積層体である。その順序は、光干渉層、金属反射層、光吸収層の順であっても良いし、金属反射層、光干渉層、光吸収層の順であっても良い。また、このほかの層を有するものであっても良い。金属反射層は近赤外レーザーの照射によって破壊されるものであり、他方、光吸収層は可視領域の光を吸収し、近赤外レーザーの照射によって破壊されないものである。そして、金属反射層の一部を破壊することによって、光干渉層の光学効果を変化させる。すなわち、金属反射層が残存する部位の光学効果と破壊された部位の光学効果が異なるのである。
【0028】
1.第1の実施形態に係る積層体
図1は、第1の実施形態に係る積層体の断面説明図で、基材の上に、光干渉層、金属反射層、光吸収層の順に積層して得られたものである。基材としては、可視領域の光と近赤外領域の光とを共に透過するものが使用できる。例えば、透明なプラスチックフィルムである。
【0029】
透明プラスチックフィルムとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメタクリル酸メチルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム等が使用できる。機械的強度、耐熱性、寸法安定性、コストから2軸延伸したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましく用いることができる。その厚みは、操作性、加工性を考慮し16〜50μm程度のものが好ましい。
【0030】
また、これら透明プラスチックフィルムを積層した積層フィルムを基材として利用することもできるし、これら透明プラスチックフィルムに他の層を形成して使用することもできる。例えば、後述するように、基材の上に剥離層を設けて利用することも可能である。
【0031】
また、後述するように、光干渉層がそれ自体で保形性を有する場合には、この光干渉層が基材を兼ねることも可能である。例えば、後述するように、光干渉層がプラスチックを積層して構成される多層干渉構造体である場合である。
【0032】
(光干渉層)
光干渉層は、この光干渉層側から入射した光を反射させると共に、その反射光同士を干渉させて着色するものである。このような光干渉層としては、例えば、配向させたコレステリック液晶層、低屈折率の透明薄膜と高屈折率の透明薄膜とを交互に多数積層して構成される多層干渉構造体、レリーフホログラムや回折格子等が例示できる。
【0033】
これら光干渉層は、その種類に応じて光学効果が異なるため、(1)配向させたコレステリック液晶層から構成される場合、(2)多層干渉構造体から構成される場合、(3)レリーフホログラムや回折格子から構成される場合、(4)これらのうち2層以上を有す
る場合、に分けて説明する。
【0034】
(1)光干渉層が配向させたコレステリック液晶層から構成される場合
前述のように、螺旋状の分子構造を有するコレステリック液晶は、その螺旋軸に沿って光の屈折率が周期的に変動するため、そのねじれ構造のピッチに応じた波長の光を選択的に反射する。従って、ねじれ構造のピッチを制御することで所望の反射色を作り出すことが可能である。そして、これらコレステリック液晶を配向させることにより、その各分子が層を成して均一に配列され、反射光同士が強め合って全体として前記色光を反射する。なお、配向したコレステリック液晶分子は螺旋構造を有することから、その反射光は右円偏光又は左円偏光である。このため、コレステリック液晶層の上に適切な円偏光フィルターを重ねることにより、その反射光を遮断することができる。また、コレステリック液晶は、配向膜上に層形成することで配向させることができる。すなわち、基材上に配向膜を形成し、この配向膜上にコレステリック液晶層を形成することで配向させることが可能である。配向膜としてはポリビニルアルコールやポリイミドの塗布膜をラビング処理したものが使用できる。ラビングは、例えば、コットンやベルベットを使用して可能である。また、せんだん力を加えながら塗布することにより、そのせんだん力の方向に配向させることもできる。あるいは、コレステリック液晶層を形成した後、せんだん力を加えて配向させることもできる。また、形成したコレステリック液晶の層に偏光したレーザー光を照射したり、電解または磁界を加えて配向することもできる。
【0035】
そして、光干渉層がコレステリック液晶層である場合には、金属反射層が破壊された部位では、コレステリック液晶層を透過した光は光吸収層に吸収されるから、コレステリック液晶層によって反射された反射光が強調されて観察できる。その反射光はいわゆるコレステリック・カラーであり、観察する角度に応じて色彩が変化する。また、その反射光は、コレステリック液晶分子の螺旋の方向に応じた円偏光であり、適切な円偏光フィルターを重ねることによって遮断され、このコレステリック・カラーは観察することができなくなる。
【0036】
他方、金属反射層が残存する部位では、コレステリック液晶層を透過した光が金属反射層によって反射される結果、コレステリック液晶層による反射光と金属反射層による反射光とが混合する。この両反射光は互いに補色の関係にあるから、その混合した光は入射光とほぼ同じであって、前記コレステリック・カラーは観察することができない。
【0037】
なお、このコレステリック液晶層は、ネマチック構造やスメクチック構造を有する液晶物質、キラル物質、光重合性多官能化合物及び重合開始剤を混合した液晶溶液を塗布し、その塗布膜に紫外線を照射することで形成することができる。このとき、キラル物質が液晶物質同士を結合して前記螺旋構造を形成する。また、光重合性多官能化合物は互いに重合硬化してコレステリック液晶を固定する。なお、前記液晶物質とキラル物質の代わりに分子中に不整炭素原子を持つ光学異性体液晶物質を使用して、この光学異性体液晶物質、光重合性多官能化合物及び重合開始剤を混合して塗布し、紫外線を照射することでコレステリック液晶層を形成することも可能である。
【0038】
なお、前記液晶溶液を、直接、基材上に塗布してコレステリック液晶層を形成することもできるし、別の支持体上にコレステリック液晶層を形成した後、接着剤を使用して基材に接着したり、転写することで基材上にコレステリック液晶層を形成してもよい。
【0039】
次に、前記光重合性多官能化合物としては、重合性官能基、重縮合性官能基または重付加に有効な官能基を分子中に2個ないしそれ以上有する単量体又はオリゴマーが使用できる。また、この光重合性多官能化合物に加えて、単官能の単量体又はオリゴマーを併用することも可能である。
【0040】
ラジカル系光重合性多官能単量体としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が例示できる。また、ラジカル系光重合性多官能オリゴマーとしては、例えば、ポリウレタンポリアクリレート、エポキシ樹脂系ポリアクリレート、アクリルポリオールポリアクリレート等が例示できる。また、ラジカル系光重合性単官能単量体としては、アルキル(C1〜C18)(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、アルキレン(C2〜C4)グリコール(メタ)アクリレート、アルコキシ(C1〜C10)アルキル(C2〜C4)(メタ)アクリレート、ポリアルキレン(C2〜C4)グリコール(メタ)アクリレート、アルコキシ(C2〜C10)ポリアルキレン(C2〜C4)グリコール(メタ)アクリレート等で挙げられる。また、芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、グリシジルエステル系化合物が使用できる。また、3次元架橋性液晶ポリオルガノシロキサンを使用することもできる。
【0041】
次に、重合開始剤としては、ラジカル系光重合開始剤やカチオン系光重合開始剤が使用できる。また、これら光重合開始剤に加えて、増感剤や過酸化物を併用することもできる。
【0042】
ラジカル系光重合開始剤としては、α−ヒドロキシアセトフェノン系、α−アミノアセトフェノン系等のアセトフェノン系、ベンゾインエーテル系、ベンジルケタール系、α−ジカルボニル系、α−アシルオキシムエステル系等公知のものが使用され、具体的にはα−アミノアセトフェノン、アセトフェノンジエチルケタール、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、イソプロピルチオキサントン、ベンゾフェノンとN−メチルジエタノールアミンとの併用等が挙げられる。カチオン系光重合開始剤としては従来公知のものを特に制限なく使用することができ、さらに好ましくは、公知の増感剤や過酸化物と適宜併用することができる。例えば、アリルヨードニウム塩−α−ヒドロキシアセトフェノン系、トリアリルスルホニウム塩系、メタロセン化合物−パーオキサイド併用系、メタロセン化合物−チオキサントン併用系、メタロセン化合物−アントラセン併用系等である。
【0043】
そして、これら液晶物質、キラル物質、光重合性多官能化合物及び重合開始剤を混合した液晶溶液を塗布するにあたって利用する塗工装置としては、コンマコーター、マイクログラビアコーターオフセット等が使用できる。また、厚みは0.5〜20μmでよい。好ましくは2〜10μmである。
【0044】
また、その塗布膜に紫外線を照射して重合させる際に、酸素による重合阻害を防ぐため、窒素などの不活性ガスの存在下で酸素ガス濃度を下げて紫外線を照射することもできる。あるいは酸素バリアー性の被膜で被覆して紫外線を照射することも可能である。酸素バリアー性の被膜としては、ポリビニルアルコールが例示できる。
【0045】
(2)光干渉層が多層干渉構造体から構成される場合
前述のように、多層干渉構造体は、低屈折率の透明薄膜と高屈折率の透明薄膜とを交互に多数積層して構成されるものである。なお、高屈折率の透明薄膜の代わりに金属の薄膜を用いることもある。
【0046】
透明薄膜の材質としては、無機誘電体が使用できる。例えば、AlF3(屈折率;1.3)、CaF2(屈折率;1.3〜1.4)、MgF2(屈折率;1.4)、SiO2(屈折率;1.5)、CeF2(屈折率;1.6)、Al2O3(屈折率;1.6)、MgO(屈折率;1.7)、In2O3(屈折率;2.0)、ZrO(屈折率;2.0)、ZnO(屈折率;2.1)、Ta2O5(屈折率;2.1)、CeO2(屈折率;2.3)、ZnS(屈折率;2.3)、TiO2(屈折率;2.5)、CdS(屈折率;2.6)、Fe2O3(屈折率;2.7)、Sb2S3(屈折率;3.0)等である。また、その膜厚は、可視領域の光の波長程度のオーダーである。これら各薄膜は、真空蒸着法などの気相堆積法によって製膜できる。
【0047】
また、透明薄膜の材質として、プラスチックを使用することもできる。例えば、ナイロン(屈折率;1.53)、ポリメチルメタアクリレート(略号;PMMA,屈折率;1.49)、ポリメチルペンテン(屈折率;1.46)、フッ素系PMMA(屈折率;1.4)、ポリエチレンナフタレート(屈折率;1.63)、ポリカーボネート(屈折率;1.59)、ポリスチレン(屈折率;1.59)、ポリエチレンテレフタレート(屈折率;1.58)、等が例示できる。なお、透明薄膜の材質としてプラスチックを使用した多層干渉構造体は、それ自体、保形性を有するから、この多層干渉構造体が前記基材を兼ねることもできる。
【0048】
そして、この多層干渉構造体は、薄膜と薄膜の各境界面を反射面として光反射を繰り返し、この多重反射光同士が干渉して反射光を着色する。また、残余の光はこの多層干渉構造体を透過する。反射光と透過光は互いに補色の関係にある。いずれも、特定の偏光面を持たないランダム偏光である。
【0049】
そして、このため、光干渉層が多層干渉構造体から構成される場合には、金属反射層が破壊された部位では、金属反射層が破壊された部位では、多層干渉構造体を透過した光は光吸収層に吸収されるから、この多層干渉構造体による反射光が強調されて観察できる。その反射光は着色光であり、観察する角度に応じて色彩が変化する。また、コレステリック液晶による反射光と異なり、円偏光フィルターを重ねても遮断することはできない。
【0050】
他方、金属反射層が残存する部位では、多層干渉構造体を透過した光が金属反射層によって反射される結果、多層干渉構造体による反射光と金属反射層による反射光とが混合する。この両反射光は互いに補色の関係にあるから、その混合した光は入射光とほぼ同じである。
【0051】
なお、これら多層干渉構造体を粉砕して粉末状のパール顔料とし、溶剤及びバインダーと混合して基材上に印刷または塗布することにより、光干渉層を形成することも可能である。
【0052】
(3)光干渉層がレリーフホログラムや回折格子から構成される場合
レリーフホログラムあるいは回折格子は、透明材料の表面に、可視領域の光の波長程度の凹凸を形成したものである。なお、光学的に凹凸を形成したものをホログラムといい、その他の方法で凹凸を形成したものを回折格子という。
【0053】
これらレリーフホログラムあるいは回折格子においては、凹凸面からの反射光が互いに干渉して、ホログラム画像を構成する。すなわち、凹凸面の凸部からの回折反射光と凹部からの回折反射光とが互いに干渉して全体として反射光を構成し、その反射光がホログラム画像の情報を有するのである。この場合においても、観察する角度に応じて、その色彩が変化する。
【0054】
以上のように、レリーフホログラムあるいは回折格子は、凹凸面からの反射光を利用するものである。このため、光干渉層がレリーフホログラムや回折格子から構成される場合には、前記コレステリック液晶層の場合や多層干渉構造体の場合と異なり、金属反射層が
残存する部位では、前記反射光が強調される。他方、金属反射層が破壊された部位では、凹凸面に入射した光が光吸収層に吸収されるため、反射光が弱められる。
【0055】
なお、前記透明材料としては熱可塑性樹脂が好ましく利用できる。例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂等である。そして、これら熱可塑性樹脂の層に、前記凹凸を設けた金型を押圧して、その表面に凹凸を転写すればよい。
【0056】
また、前記透明材料として、光重合性多官能化合物に重合開始剤を加えて塗布し、重合して得られる光硬化樹脂を使用することもできる。使用できる光重合性多官能化合物及び重合開始剤としては、コレステリック液晶層形成の際に使用する光重合性多官能化合物及び重合開始剤と同様である。そして、これら光重合性多官能化合物及び重合開始剤を塗布し、前記金型を押圧してその表面に凹凸を転写した後、紫外線を照射して硬化させればよい。また、光硬化樹脂に代えて電子線硬化樹脂を使用することも可能である。
【0057】
また、前記透明材料として、2液硬化型樹脂を使用することも可能である。この場合には、2液硬化型樹脂を塗布し、前記金型を押圧してその表面に凹凸を転写した後、エージングして硬化させればよい。
【0058】
(4)光干渉層がこれらのうち2層以上を有する場合
光干渉層がコレステリック液晶層と多層干渉構造体の積層構造を有する場合、金属反射層が破壊された部位では、両者の混合色が観察できる。他方、金属反射層が残存する部位では、いずれの光も観察することができない。そして、適切な円偏光フィルターを重ねることによりコレステリック液晶層による反射光を遮断するから、金属反射層が破壊された部位では、多層干渉構造体からの反射光が観察できる。すなわち、金属反射層が破壊された部位では、適切な円偏光フィルターを重ねることにより、観察される色彩が変化する。
【0059】
次に、光干渉層が、コレステリック液晶層と、レリーフホログラムや回折格子の積層構造を有する場合、金属反射層が破壊された部位では、コレステリック液晶層による反射光、すなわち、コレステリック・カラーが観察できる。また、金属反射層が残存する部位では、レリーフホログラムや回折格子による反射光が観察できる。なお、適切な円偏光フィルターを重ねることによりコレステリック液晶層による反射光を遮断するから、金属反射層が破壊された部位では、コレステリック液晶層による反射光も、レリーフホログラムや回折格子による反射光も観察することができない。
【0060】
また、光干渉層が、多層干渉構造体と、レリーフホログラムや回折格子の積層構造を有する場合、金属反射層が破壊された部位では、多層干渉構造体による反射光が観察できる。また、金属反射層が残存する部位では、レリーフホログラムや回折格子による反射光が観察できる。なお、円偏光フィルターを重ねも、これらの色彩が変化することはない。
【0061】
(金属反射層)
次に、前記金属反射層は観察する光を反射するものである。この金属反射層は、近赤外線レーザーの照射により破壊されるものであることを必要とする。このような理由から、その厚みは10nm〜1000nmであることが望ましい。金属反射層は、例えば、Al、Cu、Fe等の材質から構成することができる。また、真空蒸着法等の気相堆積法によって製膜することができる。
【0062】
(光吸収層)
光吸収層は、前述のように、可視領域の光を吸収し、近赤外領域の光を吸収しないものである必要がある。近赤外領域の光吸収率としては、波長1064nmの近赤外領域光の吸収率が50%以下であることが望ましい。一層望ましくは、30%以下である。
【0063】
このような光吸収層としては、染料又は顔料の混合物を主成分とする印刷インキや塗料を例示することができる。すなわち、黄色(Y)の染料又は顔料と、マゼンタ(M)の染料又は顔料及びシアン(C)の染料又は顔料の三種類の染料又は顔料を主成分とするインキや塗料は、可視領域の全波長の光を吸収するにも拘らず、近赤外領域の光を吸収しない。このような印刷インキとしては、例えば、東洋インキ製造(株)製「FLコンクスミ」が挙げられる。
【0064】
なお、この光吸収層が、粘着剤に前記染料又は顔料を混合したものから構成されている場合には、粘着剤層の機能を兼ねることができる。
【0065】
(パターニング)
次に、この積層体は、基材側から、近赤外線レーザーを照射することによって金属反射層をパターニングすることができる。近赤外線レーザーとしては、波長1064nmのNd;YAGレーザーを好ましく使用できる。パターンとしては、この積層体を適用する偽造防止媒体に固有のナンバーなどが例示できる。そして、この場合、このナンバリングによって、個々の偽造防止媒体を区別することが可能となる。
【0066】
なお、後述するように、この積層体を加工してステッカーとした後、このステッカーに近赤外線レーザーを照射することによって金属反射層をパターニングすることもできる。また、この積層体を加工して転写箔とした後、この転写箔に近赤外線レーザーを照射することによって金属反射層をパターニングすることもできる。また、この積層体を貼着して偽造防止媒体を製造した後、この偽造防止媒体に近赤外線レーザーを照射することによって金属反射層をパターニングすることも可能である。
【0067】
2.第2の実施形態に係る積層体
次に、図2(a)は、本発明の第2の実施形態に係る積層体の断面説明図である。この実施形態では、金属反射層が一部に設けられている。その他の点では、第1の実施形態と同様である。
【0068】
すなわち、この実施形態においては、基材の上に、光干渉層と金属反射層を積層し、更に部分的にマスクを積層した後、このマスクをエッチングマスクとして金属反射層をエッチングして除去し、続いて光吸収層を積層して得られたものである。この実施形態においても、近赤外線レーザーを照射することによって金属反射層をパターニングすることができる(図2(b)参照)。
【0069】
なお、マスクとしては透明ニス又は透明インキが使用できる。
【0070】
3.ステッカー
これら積層体の光吸収層側に粘着剤層を設けることにより、ステッカーを製造することができる。
【0071】
図3は、第1の実施形態に係る積層体(図1参照)の光吸収層側に粘着剤層を設けて製造したステッカーである。粘着剤としては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系ポリアミド、アクリル系、ブチルゴム系、天然ゴム系、シリコン系、ポリイソブチル系の粘着剤を単独、もしくはアルキルメタクリレート、ビニルエステル、アクリルニトリル、スチレン、ビニルモノマー等の凝集成分、不飽和カルボン酸、ヒドロキシ基含有モノマー、アクリルニトリル等に代表される改質成分や重合開始剤、可塑剤、硬化剤、硬化促進剤、酸化防止剤等の添加剤を必要に応じて添加したものを用いることができる。この粘着剤層の形成には公知のグラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法などの
印刷方法やバーコート法、グラビア法、ロールコート法などの塗布方法等を用いることができる。
【0072】
また、両面粘着シートから転写することによって粘着剤層を形成することもできる。この、両面粘着シートは、粘着層の両面にフィルムセパレーターを貼り合わせて構成されるもので、まず一方のフィルムセパレーターを剥離して粘着剤層を露出させ、この露出した粘着剤層を貼り合わせた後、他方のフィルムセパレーターを剥離して転写する。貼り合わせには公知のロールラミネート等の方法を用いることができる。
【0073】
そして、このステッカーは、粘着剤層によってカード等に貼着することができる(図4参照)。前述したように、カード等に貼着した後、近赤外線レーザーを照射することによって金属反射層をパターニングすることも可能である(図5参照)。なお、貼着前にパターニングすることもできるのは、前述のとおりである。
【0074】
4.転写箔
また、前記積層体を加工して転写箔とすることも可能である。
【0075】
図6は、第1の実施形態に係る積層体(図1参照)を加工して転写箔としたもので、すなわち、まず、基材に剥離層を形成する。そして、この剥離層上に、光干渉層、金属反射層、光吸収層をこの順に積層して構成される積層体を形成する。そして、最後に接着層を形成して転写箔を製造したものである。
【0076】
そして、この転写箔は、接着層によってカード等に接着し、基材を剥離除去することによって転写することができる(図7参照)。前述したように、転写の前あるいは転写後に、近赤外線レーザーを照射することによって金属反射層をパターニングすることが可能である。
【0077】
5.第3の実施形態に係る積層体
次に、図8(a)は、本発明の第3の実施形態に係る積層体の断面説明図である。この積層体では、その層の順序が図1の積層体と異なっている。
【0078】
すなわち、この実施形態においては、基材の上に、金属反射層、光干渉層、光吸収層の順に積層されている。この積層体においては、基材側から近赤外線レーザーを照射することによって金属反射層をパターニングすることができる(図8(b)参照)。
【0079】
図8(b)から分かるように、この積層体を基材側から観察した場合、金属反射層が残存する部位では、光干渉層を観察することができない。他方、金属反射層が破壊された部位では、光吸収層を背景として、光干渉層による反射光が強調して観察できる。
【0080】
6.偽造防止媒体
本発明に係る偽造防止媒体は、前記積層体を商品等に貼着して構成されるもので、前記積層体がその商品等の真正を保障するものである。このような理由から、積層体を貼着する商品等としては、例えば、紙幣、クレジットカード、IDカード、パスポート、商品券等の債券、高額商品あるいはそのパッケージが例示できる。
【0081】
なお、前記積層体をステッカーに加工して貼着してもよいし、転写箔に加工して転写することにより貼着してもよい。また、そのほかの手段で貼着することもできる。そして、この積層体は、その特有の光学効果から、カラーコピー機による複製が不可能である。また、その贋造も困難である。このため、この積層体が貼着された商品等は真正なものであると推認できるのである。
【0082】
7.紙
次に、前記積層体を細長いスレッド状に切断し、紙の抄紙工程でこのスレッドを漉き込むことにより、この積層体を内蔵した紙を製造することもできる。こうして得られた紙は、それ自体、偽造防止機能を有するもので、例えば、紙幣の用紙、債券の用紙、あるいはパスポート等の用紙として好適に使用できる。
【実施例】
【0083】
次に、実施例によって本発明を説明する。図9は、この実施例に係る転写箔の断面説明図である。
【0084】
すなわち、まず、基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用した。そして、この基材の片面に、アクリル系の剥離層を塗布形成した。塗布方法としては、グラビアコーティング法を使用した。
【0085】
次に、この剥離層の上に、ウレタン系2液硬化樹脂を塗布し、凹凸を有する金型を押圧して前記2液硬化樹脂の表面に凹凸を転写した後、この樹脂を硬化させて、回折格子層(光干渉層)を形成した。塗布方法としては、グラビアコーティング法を使用した。また、金型は、その表面に回折格子の凹凸を有するものであり、押圧の際に200℃に加熱した。
【0086】
次に、この凹凸面の全面に、アルミニウムを蒸着して金属反射層を形成した。アルミニウム膜の厚みは50nmである。
【0087】
次に、このアルミニウム膜の一部に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂から構成される透明ニスを印刷した。印刷方法としては、グラビア印刷法を使用した。そして、この透明ニスをエッチングマスクとして、露出した前記アルミニウム膜をエッチングしてパターン状のアルミニウム膜を形成した。
【0088】
次に、残存する前記透明ニスを被覆して、全面に、東洋インキ製造(株)製「FLコンクスミ」を塗布した。このインキは、黄色(Y)の顔料と、マゼンタ(M)の顔料及びシアン(C)の顔料を主成分とし、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂をバインダーとするもので、印刷厚みは1μmである。そして、このインキ被膜は、可視領域に含まれる波長の光をいずれも吸収する黒色のインキ被膜であるにも拘わらず、波長1064nmの近赤外領域光の吸収率は50%以下である。
【0089】
次に、このインキ被膜の上に接着剤を塗布して接着層を形成した。接着剤は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂を主成分として、その中にシリカフィラーを分散したものである。塗布方法としては、グラビアコーティング法を使用した。また、接着層の厚みは2μmである。
【0090】
こうして得られた転写箔をカードに重ね、転写箔側から加熱ロールを押圧して接着し、基材フィルムを剥離除去して転写した。加熱ロールとしては、表面温度200℃のゴムロールを使用した。
【0091】
次に、回折格子層側から、波長1064nmのNd;YAGレーザーを照射して、前記アルミニウム膜の一部を破壊して、シリアルナンバーを印字した。この印字部分において、前記黒色のインキ被膜は何の損傷も受けていなかった。そして、回折格子層による反射干渉光の中に、反射光のない黒色のシリアルナンバーを鮮明に観察することができた。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光干渉層と、光吸収層と、金属反射層とを有する積層体に関するものである。
【0002】
この積層体は、例えば、この積層体に更に粘着剤層を設けてステッカーとし、このステッカーを物品に貼着することにより、この物品の真正を保障することができる。この際、積層体の状態、ステッカーに加工した状態、あるいは物品に貼着した状態のどの状態においても、金属反射層を特定のパターンに加工して、その信頼性を高めることができる。また、この積層体をステッカーに加工することに代えて、この積層体を転写箔としたり、細長いスレッド状に加工して紙に漉き込むことにより、同様に、物品の真正を保障することができる。
【背景技術】
【0003】
光干渉層と、光吸収層と、金属反射層とを有する積層体は、例えば、特許文献1に知られている。特許文献1の積層体は図10や図11に示す層構成を有するもので、すなわち、基材シートの片面に液晶層を有する。また、基材シートの反対面には、エンボスホログラム層と、パターン状に設けられた金属反射層と、光吸収性の黒色粘着層とが設けられている。
【0004】
この液晶層は配向されたコレステリック液晶から構成されており、コレステリック液晶は螺旋状の分子構造を有することから、その螺旋ピッチに応じた干渉光を反射し、その他の光を透過する。そして、金属反射層が除去された部位では、液晶層を透過した光は黒色粘着層に吸収されるから、この積層体を液晶層側から観察した場合、液晶層で反射された干渉光が観察できる。この干渉光は特定の色彩に着色した円偏光で、俗に「コレステリック・カラー」と呼ばれている。他方、前記金属反射層が存在する部位では、液晶層を透過した光は金属反射層で反射されるから、この積層体を液晶層側から観察した場合、液晶層で反射された干渉光と金属反射層で反射された光との混合した光が観察される。前述のように、この両者は互いに補色を構成するから、観察される光は入射光とほぼ同一の色彩を有する。
【0005】
また、エンボスホログラム層は、透明材料の表面に微細な凹凸を形成したもので、この凹凸面からの反射光が互いに干渉し、この干渉光がホログラム画像を構成する。金属反射層はこの凹凸面に設けられているから、金属反射層の存在する部位ではその反射率が増大し、明るいホログラム画像を観察することができる。他方、金属反射層が除去された部位では、凹凸面に入射した光の大部分が黒色粘着層に吸収されるから、ホログラム画像を実質的に観察することができない。
【0006】
そして、このため、特許文献1に記載の積層体では、金属反射層の存在する部位では明るいホログラム画像を観察することができ、他方、金属反射層が除去された部位では、明るいコレステリック・カラーが観察できる。なお、前述のように、このコレステリック・カラーは円偏光であるから、適切な円偏光フィルター重ねることによって遮断できる。このような特異な光学効果を有するため、例えば、クレジットカード等に貼着してその複製や贋造を防ぎ、これらカード等の真正を保障する機能を発揮するのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−90538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、金属反射層をパターン状に形成するため、特許文献1においては、マスキング処理又はデメタライズ処理という方法が採用されていた。すなわち、真空蒸着等の気相堆積法によって前記金属反射層を製膜する際に、この金属反射層を不要とする部位にマスクを配置し、製膜の後、このマスクと共にその上の金属反射層を除去する方法である。マスクとして板状の物品を利用する方法もあるが、現像液溶解性の塗液を使用する方法がデメタライズ処理の名前で知られている。すなわち、金属反射層を不要とする部位にこの塗液をパターン状に塗布して塗膜を形成し、次に金属反射層を製膜した後、現像液を適用して前記塗膜とその上の金属反射層を除去することにより、パターン状の金属層を形成する方法である。
【0009】
しかしながら、この方法によれば、黒色粘着層を形成する前に金属反射層をパターニングする必要があり、黒色粘着層を形成した後に金属反射層をパターニングすることはできなかった。
【0010】
ところで、このような積層体をクレジットカード等に適用するに際し、それぞれのクレジットカード等に、個別の情報を記録したいという要請がある。このような要請に応えるためには、前記デメタライズ処理に代えて、前記積層体に近赤外線レーザーを照射して前記金属反射層の一部を破壊する方法を採用すればよいと考えられる。すなわち、黒色粘着層を含めて積層体を形成した後、液晶層側から近赤外線レーザーを照射して、前記個別の情報を構成するパターン状に金属反射層を破壊するのである。
【0011】
しかしながら、この場合には、前記黒色粘着層は近赤外線レーザーを吸収するため、金属反射層の破壊と同時にこの黒色粘着層も損傷を受けるという問題があった。
【0012】
本発明はこのような問題意識の下になされたものであって、光干渉層と、金属反射層と、光吸収層とを有する積層体を前提として、この積層体に対して近赤外線レーザーを照射して金属反射層の一部を破壊することにより、その破壊部位と金属反射層の残存部位との間で異なる光学効果を生じさせるに際し、光吸収層が前記近赤外線レーザーによる損傷を受けることのない積層体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、請求項1に記載の発明は、光干渉層、金属反射層、光吸収層をこの順に積層して構成される積層体において、
前記光吸収層が可視領域の光を吸収し、近赤外領域の光を吸収しないものであることを特徴とする積層体である。
【0014】
この発明によれば、光干渉層側から近赤外線レーザーを照射して金属反射層の一部を破壊することができ、しかも、光吸収層がこのレーザー光を吸収しないから、損傷を受けることもない。そして、この金属反射層の破壊部位と残存部位とで前記光干渉層の光学効果が異なるから、金属反射層の破壊部位をパターン状に認知できるのである。
【0015】
次に、請求項2に記載の発明は、その積層順序を変えたものである。
【0016】
すなわち、請求項2に記載の発明は、金属反射層、光干渉層、光吸収層をこの順に積層して構成される積層体において、
前記光吸収層が可視領域の光を吸収し、近赤外領域の光を吸収しないものであることを
特徴とする積層体である。
【0017】
そして、この発明によれば、金属反射層側から近赤外線レーザーを照射して金属反射層の一部を破壊することができ、しかも、光吸収層がこのレーザー光を吸収しないから、損傷を受けることもない。そして、この金属反射層の破壊部位と残存部位とで、前記光干渉層の光学効果が異なるから、金属反射層の破壊部位をパターン状に認知できるのである。
【0018】
次に、請求項3に記載の発明は、光干渉層を特定したもので、すなわち、前記光干渉層がコレステリック液晶又は多層干渉構造体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体である。
【0019】
また、請求項4に記載の発明は、光吸収層を特定したもので、すなわち、前記光吸収層が染料又は顔料の混合物で構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体である。
【0020】
また、請求項5に記載の発明は、これら積層体を加工してステッカーとしたもので、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体と、その前記光吸収層側に設けられた粘着剤層とで構成されることを特徴とするステッカーである。
【0021】
他方、請求項6に記載の発明は、前記積層体を加工して転写箔としたもので、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体と、剥離層と、基材シートとで構成され、積層体、剥離層、基材シートの順に積層されていることを特徴とする転写箔である。
【0022】
また、請求項7に記載の発明は、前記積層体を紙幣等に適用する場合、その用紙と一体化させたもので、すなわち、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体を漉き込んで形成された紙である。
【0023】
また、請求項8に記載の発明は、前記積層体を適用したクレジットカード等に関するもので、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体を貼着して構成される偽造防止媒体である。この偽造防止媒体としては、クレジットカードのほか、IDカード、紙幣、債券、高額商品あるいはそのパッケージ等が例示できる。
【0024】
次に、請求項9に記載の発明は、前記積層体の金属反射層の一部を破壊してパターニングする方法に関するもので、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体に、Nd;YAGレーザーを照射して、前記金属反射層をパターニングすることを特徴とするパターニング方法である。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、光干渉層と、金属反射層と、光吸収層を有する積層体に近赤外線レーザーを照射することにより、光吸収層に損傷を与えることなく金属反射層の一部を破壊してパターニングすることが可能となる。そして、この金属反射層の破壊部位と残存部位とで前記光干渉層の光学効果が異なるから、金属反射層の破壊部位をパターン状に認知できる。そして、このため、個別の物品に特有の情報を記録できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1(a)は本発明の第1の実施形態に係る積層体の断面説明図。図1(b)は金属反射層をパターニングしたときの断面説明図
【図2】図2(a)は本発明の第2の実施形態に係る積層体の断面説明図。図2(b)は金属反射層をパターニングしたときの断面説明図
【図3】本発明の実施形態に係るステッカーの断面説明図。
【図4】図3のステッカーをカードに貼着して構成される偽造防止媒体の断面説明図。
【図5】図4の偽造防止媒体の金属反射層をパターニングしたときの断面説明図
【図6】本発明の実施形態に係る転写箔の断面説明図。
【図7】図6の転写箔を転写して構成される偽造防止媒体の断面説明図。
【図8】図8(a)は本発明の第3の実施形態に係る積層体の断面説明図。図8(b)は金属反射層をパターニングしたときの断面説明図
【図9】本発明の実施例に係る転写箔の断面説明図
【図10】従来例の断面説明図
【図11】従来例の断面説明図
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る積層体は、光干渉層、金属反射層及び光吸収層の3種類の層を必須の構成要素とする積層体である。その順序は、光干渉層、金属反射層、光吸収層の順であっても良いし、金属反射層、光干渉層、光吸収層の順であっても良い。また、このほかの層を有するものであっても良い。金属反射層は近赤外レーザーの照射によって破壊されるものであり、他方、光吸収層は可視領域の光を吸収し、近赤外レーザーの照射によって破壊されないものである。そして、金属反射層の一部を破壊することによって、光干渉層の光学効果を変化させる。すなわち、金属反射層が残存する部位の光学効果と破壊された部位の光学効果が異なるのである。
【0028】
1.第1の実施形態に係る積層体
図1は、第1の実施形態に係る積層体の断面説明図で、基材の上に、光干渉層、金属反射層、光吸収層の順に積層して得られたものである。基材としては、可視領域の光と近赤外領域の光とを共に透過するものが使用できる。例えば、透明なプラスチックフィルムである。
【0029】
透明プラスチックフィルムとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメタクリル酸メチルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム等が使用できる。機械的強度、耐熱性、寸法安定性、コストから2軸延伸したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましく用いることができる。その厚みは、操作性、加工性を考慮し16〜50μm程度のものが好ましい。
【0030】
また、これら透明プラスチックフィルムを積層した積層フィルムを基材として利用することもできるし、これら透明プラスチックフィルムに他の層を形成して使用することもできる。例えば、後述するように、基材の上に剥離層を設けて利用することも可能である。
【0031】
また、後述するように、光干渉層がそれ自体で保形性を有する場合には、この光干渉層が基材を兼ねることも可能である。例えば、後述するように、光干渉層がプラスチックを積層して構成される多層干渉構造体である場合である。
【0032】
(光干渉層)
光干渉層は、この光干渉層側から入射した光を反射させると共に、その反射光同士を干渉させて着色するものである。このような光干渉層としては、例えば、配向させたコレステリック液晶層、低屈折率の透明薄膜と高屈折率の透明薄膜とを交互に多数積層して構成される多層干渉構造体、レリーフホログラムや回折格子等が例示できる。
【0033】
これら光干渉層は、その種類に応じて光学効果が異なるため、(1)配向させたコレステリック液晶層から構成される場合、(2)多層干渉構造体から構成される場合、(3)レリーフホログラムや回折格子から構成される場合、(4)これらのうち2層以上を有す
る場合、に分けて説明する。
【0034】
(1)光干渉層が配向させたコレステリック液晶層から構成される場合
前述のように、螺旋状の分子構造を有するコレステリック液晶は、その螺旋軸に沿って光の屈折率が周期的に変動するため、そのねじれ構造のピッチに応じた波長の光を選択的に反射する。従って、ねじれ構造のピッチを制御することで所望の反射色を作り出すことが可能である。そして、これらコレステリック液晶を配向させることにより、その各分子が層を成して均一に配列され、反射光同士が強め合って全体として前記色光を反射する。なお、配向したコレステリック液晶分子は螺旋構造を有することから、その反射光は右円偏光又は左円偏光である。このため、コレステリック液晶層の上に適切な円偏光フィルターを重ねることにより、その反射光を遮断することができる。また、コレステリック液晶は、配向膜上に層形成することで配向させることができる。すなわち、基材上に配向膜を形成し、この配向膜上にコレステリック液晶層を形成することで配向させることが可能である。配向膜としてはポリビニルアルコールやポリイミドの塗布膜をラビング処理したものが使用できる。ラビングは、例えば、コットンやベルベットを使用して可能である。また、せんだん力を加えながら塗布することにより、そのせんだん力の方向に配向させることもできる。あるいは、コレステリック液晶層を形成した後、せんだん力を加えて配向させることもできる。また、形成したコレステリック液晶の層に偏光したレーザー光を照射したり、電解または磁界を加えて配向することもできる。
【0035】
そして、光干渉層がコレステリック液晶層である場合には、金属反射層が破壊された部位では、コレステリック液晶層を透過した光は光吸収層に吸収されるから、コレステリック液晶層によって反射された反射光が強調されて観察できる。その反射光はいわゆるコレステリック・カラーであり、観察する角度に応じて色彩が変化する。また、その反射光は、コレステリック液晶分子の螺旋の方向に応じた円偏光であり、適切な円偏光フィルターを重ねることによって遮断され、このコレステリック・カラーは観察することができなくなる。
【0036】
他方、金属反射層が残存する部位では、コレステリック液晶層を透過した光が金属反射層によって反射される結果、コレステリック液晶層による反射光と金属反射層による反射光とが混合する。この両反射光は互いに補色の関係にあるから、その混合した光は入射光とほぼ同じであって、前記コレステリック・カラーは観察することができない。
【0037】
なお、このコレステリック液晶層は、ネマチック構造やスメクチック構造を有する液晶物質、キラル物質、光重合性多官能化合物及び重合開始剤を混合した液晶溶液を塗布し、その塗布膜に紫外線を照射することで形成することができる。このとき、キラル物質が液晶物質同士を結合して前記螺旋構造を形成する。また、光重合性多官能化合物は互いに重合硬化してコレステリック液晶を固定する。なお、前記液晶物質とキラル物質の代わりに分子中に不整炭素原子を持つ光学異性体液晶物質を使用して、この光学異性体液晶物質、光重合性多官能化合物及び重合開始剤を混合して塗布し、紫外線を照射することでコレステリック液晶層を形成することも可能である。
【0038】
なお、前記液晶溶液を、直接、基材上に塗布してコレステリック液晶層を形成することもできるし、別の支持体上にコレステリック液晶層を形成した後、接着剤を使用して基材に接着したり、転写することで基材上にコレステリック液晶層を形成してもよい。
【0039】
次に、前記光重合性多官能化合物としては、重合性官能基、重縮合性官能基または重付加に有効な官能基を分子中に2個ないしそれ以上有する単量体又はオリゴマーが使用できる。また、この光重合性多官能化合物に加えて、単官能の単量体又はオリゴマーを併用することも可能である。
【0040】
ラジカル系光重合性多官能単量体としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が例示できる。また、ラジカル系光重合性多官能オリゴマーとしては、例えば、ポリウレタンポリアクリレート、エポキシ樹脂系ポリアクリレート、アクリルポリオールポリアクリレート等が例示できる。また、ラジカル系光重合性単官能単量体としては、アルキル(C1〜C18)(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、アルキレン(C2〜C4)グリコール(メタ)アクリレート、アルコキシ(C1〜C10)アルキル(C2〜C4)(メタ)アクリレート、ポリアルキレン(C2〜C4)グリコール(メタ)アクリレート、アルコキシ(C2〜C10)ポリアルキレン(C2〜C4)グリコール(メタ)アクリレート等で挙げられる。また、芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、グリシジルエステル系化合物が使用できる。また、3次元架橋性液晶ポリオルガノシロキサンを使用することもできる。
【0041】
次に、重合開始剤としては、ラジカル系光重合開始剤やカチオン系光重合開始剤が使用できる。また、これら光重合開始剤に加えて、増感剤や過酸化物を併用することもできる。
【0042】
ラジカル系光重合開始剤としては、α−ヒドロキシアセトフェノン系、α−アミノアセトフェノン系等のアセトフェノン系、ベンゾインエーテル系、ベンジルケタール系、α−ジカルボニル系、α−アシルオキシムエステル系等公知のものが使用され、具体的にはα−アミノアセトフェノン、アセトフェノンジエチルケタール、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、イソプロピルチオキサントン、ベンゾフェノンとN−メチルジエタノールアミンとの併用等が挙げられる。カチオン系光重合開始剤としては従来公知のものを特に制限なく使用することができ、さらに好ましくは、公知の増感剤や過酸化物と適宜併用することができる。例えば、アリルヨードニウム塩−α−ヒドロキシアセトフェノン系、トリアリルスルホニウム塩系、メタロセン化合物−パーオキサイド併用系、メタロセン化合物−チオキサントン併用系、メタロセン化合物−アントラセン併用系等である。
【0043】
そして、これら液晶物質、キラル物質、光重合性多官能化合物及び重合開始剤を混合した液晶溶液を塗布するにあたって利用する塗工装置としては、コンマコーター、マイクログラビアコーターオフセット等が使用できる。また、厚みは0.5〜20μmでよい。好ましくは2〜10μmである。
【0044】
また、その塗布膜に紫外線を照射して重合させる際に、酸素による重合阻害を防ぐため、窒素などの不活性ガスの存在下で酸素ガス濃度を下げて紫外線を照射することもできる。あるいは酸素バリアー性の被膜で被覆して紫外線を照射することも可能である。酸素バリアー性の被膜としては、ポリビニルアルコールが例示できる。
【0045】
(2)光干渉層が多層干渉構造体から構成される場合
前述のように、多層干渉構造体は、低屈折率の透明薄膜と高屈折率の透明薄膜とを交互に多数積層して構成されるものである。なお、高屈折率の透明薄膜の代わりに金属の薄膜を用いることもある。
【0046】
透明薄膜の材質としては、無機誘電体が使用できる。例えば、AlF3(屈折率;1.3)、CaF2(屈折率;1.3〜1.4)、MgF2(屈折率;1.4)、SiO2(屈折率;1.5)、CeF2(屈折率;1.6)、Al2O3(屈折率;1.6)、MgO(屈折率;1.7)、In2O3(屈折率;2.0)、ZrO(屈折率;2.0)、ZnO(屈折率;2.1)、Ta2O5(屈折率;2.1)、CeO2(屈折率;2.3)、ZnS(屈折率;2.3)、TiO2(屈折率;2.5)、CdS(屈折率;2.6)、Fe2O3(屈折率;2.7)、Sb2S3(屈折率;3.0)等である。また、その膜厚は、可視領域の光の波長程度のオーダーである。これら各薄膜は、真空蒸着法などの気相堆積法によって製膜できる。
【0047】
また、透明薄膜の材質として、プラスチックを使用することもできる。例えば、ナイロン(屈折率;1.53)、ポリメチルメタアクリレート(略号;PMMA,屈折率;1.49)、ポリメチルペンテン(屈折率;1.46)、フッ素系PMMA(屈折率;1.4)、ポリエチレンナフタレート(屈折率;1.63)、ポリカーボネート(屈折率;1.59)、ポリスチレン(屈折率;1.59)、ポリエチレンテレフタレート(屈折率;1.58)、等が例示できる。なお、透明薄膜の材質としてプラスチックを使用した多層干渉構造体は、それ自体、保形性を有するから、この多層干渉構造体が前記基材を兼ねることもできる。
【0048】
そして、この多層干渉構造体は、薄膜と薄膜の各境界面を反射面として光反射を繰り返し、この多重反射光同士が干渉して反射光を着色する。また、残余の光はこの多層干渉構造体を透過する。反射光と透過光は互いに補色の関係にある。いずれも、特定の偏光面を持たないランダム偏光である。
【0049】
そして、このため、光干渉層が多層干渉構造体から構成される場合には、金属反射層が破壊された部位では、金属反射層が破壊された部位では、多層干渉構造体を透過した光は光吸収層に吸収されるから、この多層干渉構造体による反射光が強調されて観察できる。その反射光は着色光であり、観察する角度に応じて色彩が変化する。また、コレステリック液晶による反射光と異なり、円偏光フィルターを重ねても遮断することはできない。
【0050】
他方、金属反射層が残存する部位では、多層干渉構造体を透過した光が金属反射層によって反射される結果、多層干渉構造体による反射光と金属反射層による反射光とが混合する。この両反射光は互いに補色の関係にあるから、その混合した光は入射光とほぼ同じである。
【0051】
なお、これら多層干渉構造体を粉砕して粉末状のパール顔料とし、溶剤及びバインダーと混合して基材上に印刷または塗布することにより、光干渉層を形成することも可能である。
【0052】
(3)光干渉層がレリーフホログラムや回折格子から構成される場合
レリーフホログラムあるいは回折格子は、透明材料の表面に、可視領域の光の波長程度の凹凸を形成したものである。なお、光学的に凹凸を形成したものをホログラムといい、その他の方法で凹凸を形成したものを回折格子という。
【0053】
これらレリーフホログラムあるいは回折格子においては、凹凸面からの反射光が互いに干渉して、ホログラム画像を構成する。すなわち、凹凸面の凸部からの回折反射光と凹部からの回折反射光とが互いに干渉して全体として反射光を構成し、その反射光がホログラム画像の情報を有するのである。この場合においても、観察する角度に応じて、その色彩が変化する。
【0054】
以上のように、レリーフホログラムあるいは回折格子は、凹凸面からの反射光を利用するものである。このため、光干渉層がレリーフホログラムや回折格子から構成される場合には、前記コレステリック液晶層の場合や多層干渉構造体の場合と異なり、金属反射層が
残存する部位では、前記反射光が強調される。他方、金属反射層が破壊された部位では、凹凸面に入射した光が光吸収層に吸収されるため、反射光が弱められる。
【0055】
なお、前記透明材料としては熱可塑性樹脂が好ましく利用できる。例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂等である。そして、これら熱可塑性樹脂の層に、前記凹凸を設けた金型を押圧して、その表面に凹凸を転写すればよい。
【0056】
また、前記透明材料として、光重合性多官能化合物に重合開始剤を加えて塗布し、重合して得られる光硬化樹脂を使用することもできる。使用できる光重合性多官能化合物及び重合開始剤としては、コレステリック液晶層形成の際に使用する光重合性多官能化合物及び重合開始剤と同様である。そして、これら光重合性多官能化合物及び重合開始剤を塗布し、前記金型を押圧してその表面に凹凸を転写した後、紫外線を照射して硬化させればよい。また、光硬化樹脂に代えて電子線硬化樹脂を使用することも可能である。
【0057】
また、前記透明材料として、2液硬化型樹脂を使用することも可能である。この場合には、2液硬化型樹脂を塗布し、前記金型を押圧してその表面に凹凸を転写した後、エージングして硬化させればよい。
【0058】
(4)光干渉層がこれらのうち2層以上を有する場合
光干渉層がコレステリック液晶層と多層干渉構造体の積層構造を有する場合、金属反射層が破壊された部位では、両者の混合色が観察できる。他方、金属反射層が残存する部位では、いずれの光も観察することができない。そして、適切な円偏光フィルターを重ねることによりコレステリック液晶層による反射光を遮断するから、金属反射層が破壊された部位では、多層干渉構造体からの反射光が観察できる。すなわち、金属反射層が破壊された部位では、適切な円偏光フィルターを重ねることにより、観察される色彩が変化する。
【0059】
次に、光干渉層が、コレステリック液晶層と、レリーフホログラムや回折格子の積層構造を有する場合、金属反射層が破壊された部位では、コレステリック液晶層による反射光、すなわち、コレステリック・カラーが観察できる。また、金属反射層が残存する部位では、レリーフホログラムや回折格子による反射光が観察できる。なお、適切な円偏光フィルターを重ねることによりコレステリック液晶層による反射光を遮断するから、金属反射層が破壊された部位では、コレステリック液晶層による反射光も、レリーフホログラムや回折格子による反射光も観察することができない。
【0060】
また、光干渉層が、多層干渉構造体と、レリーフホログラムや回折格子の積層構造を有する場合、金属反射層が破壊された部位では、多層干渉構造体による反射光が観察できる。また、金属反射層が残存する部位では、レリーフホログラムや回折格子による反射光が観察できる。なお、円偏光フィルターを重ねも、これらの色彩が変化することはない。
【0061】
(金属反射層)
次に、前記金属反射層は観察する光を反射するものである。この金属反射層は、近赤外線レーザーの照射により破壊されるものであることを必要とする。このような理由から、その厚みは10nm〜1000nmであることが望ましい。金属反射層は、例えば、Al、Cu、Fe等の材質から構成することができる。また、真空蒸着法等の気相堆積法によって製膜することができる。
【0062】
(光吸収層)
光吸収層は、前述のように、可視領域の光を吸収し、近赤外領域の光を吸収しないものである必要がある。近赤外領域の光吸収率としては、波長1064nmの近赤外領域光の吸収率が50%以下であることが望ましい。一層望ましくは、30%以下である。
【0063】
このような光吸収層としては、染料又は顔料の混合物を主成分とする印刷インキや塗料を例示することができる。すなわち、黄色(Y)の染料又は顔料と、マゼンタ(M)の染料又は顔料及びシアン(C)の染料又は顔料の三種類の染料又は顔料を主成分とするインキや塗料は、可視領域の全波長の光を吸収するにも拘らず、近赤外領域の光を吸収しない。このような印刷インキとしては、例えば、東洋インキ製造(株)製「FLコンクスミ」が挙げられる。
【0064】
なお、この光吸収層が、粘着剤に前記染料又は顔料を混合したものから構成されている場合には、粘着剤層の機能を兼ねることができる。
【0065】
(パターニング)
次に、この積層体は、基材側から、近赤外線レーザーを照射することによって金属反射層をパターニングすることができる。近赤外線レーザーとしては、波長1064nmのNd;YAGレーザーを好ましく使用できる。パターンとしては、この積層体を適用する偽造防止媒体に固有のナンバーなどが例示できる。そして、この場合、このナンバリングによって、個々の偽造防止媒体を区別することが可能となる。
【0066】
なお、後述するように、この積層体を加工してステッカーとした後、このステッカーに近赤外線レーザーを照射することによって金属反射層をパターニングすることもできる。また、この積層体を加工して転写箔とした後、この転写箔に近赤外線レーザーを照射することによって金属反射層をパターニングすることもできる。また、この積層体を貼着して偽造防止媒体を製造した後、この偽造防止媒体に近赤外線レーザーを照射することによって金属反射層をパターニングすることも可能である。
【0067】
2.第2の実施形態に係る積層体
次に、図2(a)は、本発明の第2の実施形態に係る積層体の断面説明図である。この実施形態では、金属反射層が一部に設けられている。その他の点では、第1の実施形態と同様である。
【0068】
すなわち、この実施形態においては、基材の上に、光干渉層と金属反射層を積層し、更に部分的にマスクを積層した後、このマスクをエッチングマスクとして金属反射層をエッチングして除去し、続いて光吸収層を積層して得られたものである。この実施形態においても、近赤外線レーザーを照射することによって金属反射層をパターニングすることができる(図2(b)参照)。
【0069】
なお、マスクとしては透明ニス又は透明インキが使用できる。
【0070】
3.ステッカー
これら積層体の光吸収層側に粘着剤層を設けることにより、ステッカーを製造することができる。
【0071】
図3は、第1の実施形態に係る積層体(図1参照)の光吸収層側に粘着剤層を設けて製造したステッカーである。粘着剤としては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系ポリアミド、アクリル系、ブチルゴム系、天然ゴム系、シリコン系、ポリイソブチル系の粘着剤を単独、もしくはアルキルメタクリレート、ビニルエステル、アクリルニトリル、スチレン、ビニルモノマー等の凝集成分、不飽和カルボン酸、ヒドロキシ基含有モノマー、アクリルニトリル等に代表される改質成分や重合開始剤、可塑剤、硬化剤、硬化促進剤、酸化防止剤等の添加剤を必要に応じて添加したものを用いることができる。この粘着剤層の形成には公知のグラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法などの
印刷方法やバーコート法、グラビア法、ロールコート法などの塗布方法等を用いることができる。
【0072】
また、両面粘着シートから転写することによって粘着剤層を形成することもできる。この、両面粘着シートは、粘着層の両面にフィルムセパレーターを貼り合わせて構成されるもので、まず一方のフィルムセパレーターを剥離して粘着剤層を露出させ、この露出した粘着剤層を貼り合わせた後、他方のフィルムセパレーターを剥離して転写する。貼り合わせには公知のロールラミネート等の方法を用いることができる。
【0073】
そして、このステッカーは、粘着剤層によってカード等に貼着することができる(図4参照)。前述したように、カード等に貼着した後、近赤外線レーザーを照射することによって金属反射層をパターニングすることも可能である(図5参照)。なお、貼着前にパターニングすることもできるのは、前述のとおりである。
【0074】
4.転写箔
また、前記積層体を加工して転写箔とすることも可能である。
【0075】
図6は、第1の実施形態に係る積層体(図1参照)を加工して転写箔としたもので、すなわち、まず、基材に剥離層を形成する。そして、この剥離層上に、光干渉層、金属反射層、光吸収層をこの順に積層して構成される積層体を形成する。そして、最後に接着層を形成して転写箔を製造したものである。
【0076】
そして、この転写箔は、接着層によってカード等に接着し、基材を剥離除去することによって転写することができる(図7参照)。前述したように、転写の前あるいは転写後に、近赤外線レーザーを照射することによって金属反射層をパターニングすることが可能である。
【0077】
5.第3の実施形態に係る積層体
次に、図8(a)は、本発明の第3の実施形態に係る積層体の断面説明図である。この積層体では、その層の順序が図1の積層体と異なっている。
【0078】
すなわち、この実施形態においては、基材の上に、金属反射層、光干渉層、光吸収層の順に積層されている。この積層体においては、基材側から近赤外線レーザーを照射することによって金属反射層をパターニングすることができる(図8(b)参照)。
【0079】
図8(b)から分かるように、この積層体を基材側から観察した場合、金属反射層が残存する部位では、光干渉層を観察することができない。他方、金属反射層が破壊された部位では、光吸収層を背景として、光干渉層による反射光が強調して観察できる。
【0080】
6.偽造防止媒体
本発明に係る偽造防止媒体は、前記積層体を商品等に貼着して構成されるもので、前記積層体がその商品等の真正を保障するものである。このような理由から、積層体を貼着する商品等としては、例えば、紙幣、クレジットカード、IDカード、パスポート、商品券等の債券、高額商品あるいはそのパッケージが例示できる。
【0081】
なお、前記積層体をステッカーに加工して貼着してもよいし、転写箔に加工して転写することにより貼着してもよい。また、そのほかの手段で貼着することもできる。そして、この積層体は、その特有の光学効果から、カラーコピー機による複製が不可能である。また、その贋造も困難である。このため、この積層体が貼着された商品等は真正なものであると推認できるのである。
【0082】
7.紙
次に、前記積層体を細長いスレッド状に切断し、紙の抄紙工程でこのスレッドを漉き込むことにより、この積層体を内蔵した紙を製造することもできる。こうして得られた紙は、それ自体、偽造防止機能を有するもので、例えば、紙幣の用紙、債券の用紙、あるいはパスポート等の用紙として好適に使用できる。
【実施例】
【0083】
次に、実施例によって本発明を説明する。図9は、この実施例に係る転写箔の断面説明図である。
【0084】
すなわち、まず、基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用した。そして、この基材の片面に、アクリル系の剥離層を塗布形成した。塗布方法としては、グラビアコーティング法を使用した。
【0085】
次に、この剥離層の上に、ウレタン系2液硬化樹脂を塗布し、凹凸を有する金型を押圧して前記2液硬化樹脂の表面に凹凸を転写した後、この樹脂を硬化させて、回折格子層(光干渉層)を形成した。塗布方法としては、グラビアコーティング法を使用した。また、金型は、その表面に回折格子の凹凸を有するものであり、押圧の際に200℃に加熱した。
【0086】
次に、この凹凸面の全面に、アルミニウムを蒸着して金属反射層を形成した。アルミニウム膜の厚みは50nmである。
【0087】
次に、このアルミニウム膜の一部に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂から構成される透明ニスを印刷した。印刷方法としては、グラビア印刷法を使用した。そして、この透明ニスをエッチングマスクとして、露出した前記アルミニウム膜をエッチングしてパターン状のアルミニウム膜を形成した。
【0088】
次に、残存する前記透明ニスを被覆して、全面に、東洋インキ製造(株)製「FLコンクスミ」を塗布した。このインキは、黄色(Y)の顔料と、マゼンタ(M)の顔料及びシアン(C)の顔料を主成分とし、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂をバインダーとするもので、印刷厚みは1μmである。そして、このインキ被膜は、可視領域に含まれる波長の光をいずれも吸収する黒色のインキ被膜であるにも拘わらず、波長1064nmの近赤外領域光の吸収率は50%以下である。
【0089】
次に、このインキ被膜の上に接着剤を塗布して接着層を形成した。接着剤は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂を主成分として、その中にシリカフィラーを分散したものである。塗布方法としては、グラビアコーティング法を使用した。また、接着層の厚みは2μmである。
【0090】
こうして得られた転写箔をカードに重ね、転写箔側から加熱ロールを押圧して接着し、基材フィルムを剥離除去して転写した。加熱ロールとしては、表面温度200℃のゴムロールを使用した。
【0091】
次に、回折格子層側から、波長1064nmのNd;YAGレーザーを照射して、前記アルミニウム膜の一部を破壊して、シリアルナンバーを印字した。この印字部分において、前記黒色のインキ被膜は何の損傷も受けていなかった。そして、回折格子層による反射干渉光の中に、反射光のない黒色のシリアルナンバーを鮮明に観察することができた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光干渉層、金属反射層、光吸収層をこの順に積層して構成される積層体において、
前記光吸収層が可視領域の光を吸収し、近赤外領域の光を吸収しないものであることを特徴とする積層体。
【請求項2】
金属反射層、光干渉層、光吸収層をこの順に積層して構成される積層体において、
前記光吸収層が可視領域の光を吸収し、近赤外領域の光を吸収しないものであることを特徴とする積層体。
【請求項3】
前記光干渉層がコレステリック液晶又は多層干渉構造体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
前記光吸収層が染料又は顔料の混合物で構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の積層体と、その前記光吸収層側に設けられた粘着剤層とで構成されることを特徴とするステッカー。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の積層体と、剥離層と、基材シートとで構成され、積層体、剥離層、基材シートの順に積層されていることを特徴とする転写箔。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の積層体を漉き込んで形成された紙。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載の積層体を貼着して構成される偽造防止媒体。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれかに記載の積層体に、Nd;YAGレーザーを照射して、前記金属反射層をパターニングすることを特徴とするパターニング方法。
【請求項1】
光干渉層、金属反射層、光吸収層をこの順に積層して構成される積層体において、
前記光吸収層が可視領域の光を吸収し、近赤外領域の光を吸収しないものであることを特徴とする積層体。
【請求項2】
金属反射層、光干渉層、光吸収層をこの順に積層して構成される積層体において、
前記光吸収層が可視領域の光を吸収し、近赤外領域の光を吸収しないものであることを特徴とする積層体。
【請求項3】
前記光干渉層がコレステリック液晶又は多層干渉構造体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
前記光吸収層が染料又は顔料の混合物で構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の積層体と、その前記光吸収層側に設けられた粘着剤層とで構成されることを特徴とするステッカー。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の積層体と、剥離層と、基材シートとで構成され、積層体、剥離層、基材シートの順に積層されていることを特徴とする転写箔。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の積層体を漉き込んで形成された紙。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載の積層体を貼着して構成される偽造防止媒体。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれかに記載の積層体に、Nd;YAGレーザーを照射して、前記金属反射層をパターニングすることを特徴とするパターニング方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−16291(P2011−16291A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162590(P2009−162590)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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