金属箔の平坦化方法、配線基板、半導体デバイス
【課題】表面を十分に平坦化することが可能な金属箔の平坦化方法を提供する。
【解決手段】金属箔11の表面側の一部を硬化させて硬化層14を形成する工程と、切削作用を有する研磨器具を使用して研磨することにより、硬化層14の上部を除去する工程と、残存する硬化層14を研磨により除去して、表面を平坦化する工程とを含んで、金属箔11の平坦化を行う。
【解決手段】金属箔11の表面側の一部を硬化させて硬化層14を形成する工程と、切削作用を有する研磨器具を使用して研磨することにより、硬化層14の上部を除去する工程と、残存する硬化層14を研磨により除去して、表面を平坦化する工程とを含んで、金属箔11の平坦化を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、金属箔の平坦化方法、金属箔を用いた配線基板、並びに、配線基板に半導体チップを搭載した半導体デバイスに係わる。
【背景技術】
【0002】
電解銅箔は、プリント配線板の基礎材料として広く使用されている。
プリント配線板が多用される電子及び電気機器には、小型化、軽量化等が求められている。そのため、配線のピッチを微細化する必要があり、より薄い銅箔をプリント配線板に採用することによって、形成する配線のエッチングファクターを向上させている。
また、特に、ICチップ等を直接搭載するインタポーザ基板である、テープ オートメーティド ボンディング(TAB)基板やチップ オン フィルム(COF)基板においては、さらに、高機能化が要求されている。
従って、基板中に可能な限り大きな部品実装面積を確保するために、通常のプリント配線板用途以上の平滑面を持つ電解銅箔が求められている。
【0003】
そこで、電解銅のめっき液に添加剤を加えることにより、表面粗さRzが1.0μm±0.5μm程度の平坦性を有する電解銅箔を得る製造方法が提案されている(特許文献1〜特許文献3を参照)。
【0004】
さらに、電子又は電気機器は、その用途によっては、高速動作が要求されるようになっており、薄厚化された銅箔の表面が平坦ではないと、その表皮効果によって実効的な配線断面積が減少して、高速動作に支障を来す。
【0005】
また、インダクタやキャパシタの機能を、プリント配線基板中に搭載することが提案されている。
そして、例えば、プリント配線基板の銅箔上に、誘電材及び上部電極を形成して、キャパシタを構成することが提案されている(例えば、特許文献3、特許文献4を参照)。
この構成のキャパシタを形成する際には、キャパシタの下部電極に相当する銅箔の表面の平坦性が重要である。
【0006】
そこで、キャパシタの下部電極として使用するためには、特許文献1や特許文献2等に記載されているような、平坦性を有する銅箔をさらに研磨することによって、より平滑な表面とすることが望まれる。
銅箔等の金属箔を研磨する方法としては、物理研磨、化学研磨、電解研磨、及びこれらの複合研磨がある。1つの研磨方法単独、もしくは、複数の研磨方法を段階的に組み合わせて、所望の平滑面となるまで研磨を行う。
【0007】
化学研磨では、基本的には等方性エッチングのメカニズムに従って平滑化が進むため、十分な平坦性を得るためには、大きな研磨量が必要になる欠点がある。また、電解研磨では、突部による電解集中によって選択的にエッチングが進行するため、研磨初期の研磨効果は大きいが、エッジ部が丸くなってくると研磨効果が大きく低下する。
即ち、化学研磨及び電解研磨は、大きなラフネスを有る程度まで低減するためには効果的であるが、表面粗さRzでサブミクロン以下まで平滑化するには適していない。
物理研磨は、効果的に研磨を進めることができる。しかし、固定砥粒を使用した場合には、研磨粒子の突出ばらつきによって研磨痕が発生することから、一つの砥石番手で研磨を完了することができない。このため、多段階的に徐々に砥石番手を大きく(研磨粒子は小さく)していく段階研磨が必要となり、平坦面を仕上げるまでに時間がかかる。一方、遊離砥粒を使用した場合には、研磨痕の発生は抑えられるが、研磨粒子が動くため、固定砥粒よりも研磨速度が低下し、この場合も平坦面を仕上げるまでに時間がかかる。
遊離砥粒を形成する研磨液に化学的研磨作用を持たせて、化学的機械的研磨(CMP)を行う方法もあり、この方法によれば、最も優れた平滑面が得られるが、遊離砥粒による物理研磨と同様に研磨速度は遅い。
【0008】
なお、電解金属箔や圧延金属箔では、内部応力や結晶性を回復するために、焼鈍処理を施すことがある。焼鈍処理した金属箔は硬度が低く柔らかい。
このような軟性の金属箔を研磨した場合、研磨痕が発生しやすいため、より高番手(低粒径)の砥石やスラリーを用い、更に時間をかけて研磨する必要を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−143785号公報
【特許文献2】特開2004−35918号公報
【特許文献3】特開2007−281466公報
【特許文献4】特開2010−45208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、金属箔においては、表面を十分に平坦化することが望まれている。
また、金属箔を下部電極として用いて形成した内蔵キャパシタを含む配線基板では、金属箔の表面を十分に平坦化して、内蔵キャパシタの信頼性や特性を良好にすることが望まれている。
【0011】
本技術の目的は、表面を十分に平坦化することが可能な金属箔の平坦化方法を提供するものである。また、表面が平坦化された金属箔を用いた配線基板を提供するものである。さらにまた、配線基板を用いた半導体デバイスを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本技術の金属箔の平坦化方法は、金属箔の表面側の一部を硬化させて硬化層を形成する工程と、切削作用を有する研磨器具を使用して研磨することにより、硬化層の上部を除去する工程と、残存する硬化層を研磨により除去して、表面を平坦化する工程とを含む。
【0013】
上述の本技術の金属箔の平坦化方法によれば、金属箔の表面側の一部に硬化層を形成して、この硬化層の部分で研磨を行うことにより、金属箔を直接研磨した場合と比較して、研磨痕を付きにくくすることができる。
そして、切削作用を有する研磨器具を使用して研磨することにより、硬化層の上部を除去するので、この硬化層の上部を除去する工程を比較的短い時間で行うことができる。
さらに、残存する硬化層を研磨により除去して、表面を平坦化することにより、研磨痕を付けずに少ない工程数で金属箔の表面を平坦化することが可能になる。
【0014】
本技術の配線基板は、コア材と配線層とを含むものである。そして、コア材と、このコア材上に形成され表面が平坦化された金属箔と、この金属箔の表面上に接して形成された誘電材と、この誘電材上に接して形成された電極とを含む。そして、金属箔から成る下部電極と、誘電材と、電極から成る上部電極とから構成されるキャパシタを含む。
【0015】
上述の本技術の配線基板の構成によれば、金属箔の平坦化された表面上に接して誘電材が形成され、その誘電材の上に接して上部電極が形成されて、キャパシタが構成されている。これにより、誘電材を薄くしても、誘電材の厚さの均一性が得られ、上部電極と接する誘電材の表面を十分に平坦にすることができるので、キャパシタの下部電極と上部電極との間隔をほぼ一定に保つことができる。
【0016】
本技術の半導体デバイスは、上述した本技術の配線基板と、この配線基板に搭載された半導体チップとを含むものである。
【発明の効果】
【0017】
上述の本技術の金属箔の平坦化方法によれば、研磨痕を付けずに少ない工程数で金属箔の表面を平坦化することが可能になるので、比較的短い時間で、金属箔の表面を十分に平坦化することが可能になる。
【0018】
また、本技術の配線基板によれば、キャパシタの下部電極と上部電極との間隔をほぼ一定に保つことができる。
従って、誘電材を薄くしてキャパシタの容量を大きくすると共に、キャパシタの耐電圧を大きくすることが可能になる。
即ち、内蔵されたキャパシタの特性及び信頼性が十分に得られる、キャパシタ内蔵配線基板を実現することができる。
【0019】
また、本技術の半導体デバイスによれば、本技術の配線基板と、この配線基板に搭載された半導体チップとを含むので、配線基板に内蔵されたキャパシタの特性が良好であり、信頼性が十分に得られる半導体デバイスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】A〜C 第1の実施の形態の金属箔の平坦化方法を示す工程図である。
【図2】D〜F 第1の実施の形態の金属箔の平坦化方法を示す工程図である。
【図3】図1Bの硬化層の拡大断面図である。
【図4】フッ素樹脂ボンドダイアモンド砥石を使用した場合の工程図である。
【図5】第2の実施の形態の金属箔の平坦化方法を示す工程図である。
【図6】図5の工程を行うための具体的な製造装置の構成を示す図である。
【図7】第3の実施の形態の多層配線基板の概略構成図(断面図)である。
【図8】A〜C 第3の実施の形態の多層配線基板の製造方法を示す製造工程図である。
【図9】D、E 第3の実施の形態の多層配線基板の製造方法を示す製造工程図である。
【図10】第3の実施の形態で使用する薄膜キャパシタ材の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本技術を実施するための最良の形態(以下、実施の形態とする)について説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(金属箔の平坦化方法)
2.第2の実施の形態(金属箔の平坦化方法)
3.変形例
4.第3の実施の形態(多層配線基板及びその製造方法)
【0022】
以下の説明において、表面粗度RzJISは、JIS B 0601−2001に準拠して、TD(Transverse Direction)方向に測定した値で規定される値である。また、「平滑」とは、金属箔の表面粗度RzJISが小さいことを意味する。
【0023】
<1.第1の実施の形態(金属箔の平坦化方法)>
第1の実施の形態の金属箔の平坦化方法を説明する。
図1Aに示すように、上面の凹凸12及び下面の凹凸13を有する金属箔11を使用する。
金属箔11としては、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム、モリブデン、タングステンや、その他の金属の箔を使用することができる。そして、これらの金属を用いた、圧延箔や電解箔を使用することができる。
銅を金属箔11に使用する場合には、例えば、電解銅箔を使用することができる。
また、例えば、表面粗度RzJISが1μm程度の金属箔11を使用することができる。
図1Aに示すような金属箔11は、従来公知の方法によって、切り出すことができる。
なお、金属箔11は、必要に応じて、前処理工程や洗浄工程を行っておく。
【0024】
そして、金属箔11の上面及び下面の一部を、薬品により酸化処理して、図1Bに示すように、酸化されて硬化した硬化層14を形成する。このとき、理想的な硬化層14の拡大断面図を図3に示す。図3に示すように、硬化層14では、薬品によって針状にエッチングされて表面が粗化されており、かつ、表面付近の層が一様に酸化されている。
【0025】
金属箔11として電解銅箔を使用する場合には、酸化処理用の薬品として、例えば、次亜塩素酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶液を使用して、この混合水溶液中で電解銅箔を酸化させる。このときの次亜塩素酸ナトリウムと水酸化ナトリウムのモル比(NaClO2/NaOH)は、概ね15〜20として、水酸化ナトリウム濃度は7〜14g/L程度として、残りは水とする。また、酸化の処理温度は80〜90℃、処理時間は概ね2〜10分である。そして、図3に示したような、理想的な形状及び一様な硬化層14を形成するために、次亜塩素酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの組成比や濃度、温度、処理時間等を、電解銅箔の表面状態に合わせて、最適条件を選択することが好ましい。
【0026】
上述した酸化処理は、一般的なRoll To Roll式薬品処理装置で行うと、非常に効率的である。
なお、酸化処理は、金属箔11を裁断加工した後に行っても構わない。
酸化処理用の薬品は、金属箔11の金属の種類に対応して、その金属の酸化に適した薬品を選定する。
【0027】
次に、図1Cに示すように、切削作用を有する研磨器具を使用して研磨を行い、金属箔11の上面側の硬化層14のうち、硬化層14の上部の凹凸12を含む部分を切削除去する。
例えば、金属箔11の上面の粗度がRzJISで0.1μm程度以下となるまで、研磨を行う。
ここでは、図1Cに示すように、硬化層14内で切削研磨を終了させる。これは、硬化層14と軟性層とが混在する箇所や軟性層に対して、切削作用の強い研磨器具で研磨を行うと、箔のえぐれやスクラッチ等が発生して、良好な平坦面の形成が困難になるためである。
また、硬化層14を多く残すと、後の研磨工程に時間を要するため、軟性層が現れないぎりぎりの深さまで研削しておくことが好ましい。
研磨の際には、金属箔11を定盤や研削板等にワックス等を用いて固定して、高精度な研磨が可能なようにすることが好ましい。
【0028】
切削作用を有する研磨器具としては、例えば、図1Cに矢印で示す回転運動をする回転機構22に取り付けられた切削歯21を有する切削バイト23を使用することができる。
また、図4に示すように、フッ素樹脂24中にダイアモンド砥石25が埋め込まれた、フッ素樹脂ボンドダイアモンド砥石26も使用することができる。
同様に、切削作用を有する他の研磨器具を使用することもできる。
【0029】
切削バイト23を使用する場合には、金属箔11からの歯高を高精度に調整かつ維持できる機構が必要であり、金属箔11の表面に対して研磨しろを設定した後に研磨を開始する。
フッ素樹脂ボンドダイアモンド砥石26等の研磨器具を使用する場合には、金属箔11への押圧が常に一定になるような機構が必要となる。
これらの研磨器具やその他の研磨器具のいずれの研磨器具を使用する場合でも、必要に応じて、らせん回転、往復運動、揺動、等の運動をさせる機構を設けたり、研削液や潤滑液等の、吹きつけ、塗布、滴下等を行ったりしても良い。
【0030】
このようにして、図2Dに示すように、金属箔11の上面側の硬化層14の表面を平坦化する(一次平坦化)。
【0031】
次に、スラリーを用いた遊離砥粒研磨、もしくは化学的機械的研磨(CMP)によって、金属箔11の上面を研磨(最終研磨)する。具体的には、例えば、図2Eに示すように、円盤状の研磨器具27を矢印で示すように回転させて、金属箔11の上面を研磨する。
これにより、金属箔11の上面に残っていた硬化層14を全て除去すると共に、硬化層14の下の軟性層を0.1μm以下の所望の表面粗度を有する平滑な表面が得られるまで研磨する。
このようにして、図2Fに示すように、金属箔11の上面において、鏡面のように十分な平滑度を有する表面15が得られる。
その後は、必要に応じて、洗浄工程や定盤からの剥離工程等を行う。
【0032】
なお、前処理工程、洗浄工程、定盤からの剥離工程については、詳細な説明は省略したが、より平滑な表面の実現や研磨効率向上のためには、これらの工程を適宜導入する必要がある。
【0033】
本技術において、金属箔11の処理前の表面粗度は、前述したRzJIS:1μm程度に限らない。
ただし、効率的な薬品による硬化、及び効果的な研磨を考慮すると、RzJIS:1.5μm以下の金属箔を使用することが好ましい。さらには、RzJIS:1μm程度の金属箔を使用することがより好ましい。
【0034】
また、図1Cに示した工程の後の硬化層14での研磨レベルは、前述したRzJIS:0.1μm程度以下に限らない。
なお、仕上げ研磨を1工程で終了するためには、この時点で0.2μm程度以下まで平滑化しておくことが好ましく、0.1μm程度以下まで平滑化しておくことがより好ましい。
【0035】
また、最終的に得られる金属箔11の表面の粗度RzJISは、少なくとも0.1μm以下とすることが好ましい。より好ましくは、粗度RzJISが0.01〜0.06μmとなるまで平坦化する。
【0036】
RzJISで0.02μmの表面状態を得るためには、従来の研磨方法では3時間程度の処理時間を必要としていた。
これに対して、上述した実施の形態の方法によると、約1時間程度で処理を完了することが可能となり、大幅に時間短縮が可能となる。
【0037】
上述の本実施の形態の金属箔の平坦化方法によれば、金属箔11の表面側の一部に硬化層14を形成して、この硬化層14の部分で研磨を行うことにより、金属箔11を直接研磨した場合と比較して、研磨痕を付きにくくすることができる。
そして、切削作用を有する研磨器具(切削バイト23やフッ素樹脂ボンドダイアモンド砥石26等)を使用して研磨する際に、硬化層14内で切削研磨を終了させるので、硬化層14の上部を除去することができる。切削作用を有する研磨器具を使用するので、この工程を比較的短い時間で行うことができる。また、この工程では、硬化層14以外の軟らかい部分(軟性層)は研磨されないので、箔のえぐれやスクラッチ等が発生しない。
さらに、残存する硬化層14を研磨により除去して、表面を平坦化することにより、軟性層に研磨痕を付けずに、少ない工程数で金属箔11の表面を平坦化することが可能になる。
【0038】
従って、本実施の形態の金属箔の平坦化方法によれば、焼鈍済み金属箔や軟性の金属箔のように、研磨が難しい金属箔であっても、仕上げ研磨までの研磨工程の工程数及び所要時間を大幅に短縮することが可能である。
【0039】
これらのことから、本実施の形態の金属箔の平坦化方法によれば、安価に且つ短い時間で、表面粗度RzJISがサブミクロンレベルの平坦性を有する金属箔11を得ることが可能となる。
【0040】
なお、図2Fに示したように、金属箔11の裏面側は、凹凸13を有する硬化層14のままで残しているので、金属箔11とその下層との密着性を付与することができる。
【0041】
添加剤の添加による平滑化電解銅箔では、前記特許文献2において、Rz≧0.15μmと平滑な面が報告されている。
しかし、高速動作用の配線用、もしくは、キャパシタの下部電極用の材料としては、さらに粗度Rzが一桁程低い平滑面が要求される。
本実施の形態の平坦化方法によれば、RzJISで0.02μm程度の表面状態を得ることが可能であり、この要求を満たすことができる。
【0042】
一方、ニッケル箔等の銅箔以外の金属箔については、RzJISで約0.5〜3μm程度の箔を、種々の研磨方法を用いて平滑化しているのが現状である。
本実施の形態の平坦化方法によれば、ニッケル箔等の銅箔以外の金属箔においても、RzJISで0.02μm程度の表面状態を得ることが可能であり、銅箔と同様に十分に平坦化された表面状態を得ることができる。
【0043】
さらに、本実施の形態で平坦化した金属箔11を、プリント配線基板内にラミネートする場合には、平坦化した表面(上面)とは反対側の裏面(下面)は既に硬化層14が形成されていて、図3に示したように粗化されている。そのため、新たに処理を行うことなく、プリント配線基板の基材の樹脂との密着性を得ることが可能である。
【0044】
<2.第2の実施の形態(金属箔の平坦化方法)>
第2の実施の形態の金属箔の平坦化方法を説明する。
本実施の形態の方法は、薬品では十分な厚さの硬化層が得にくい金属箔の場合、もしくは、より深い硬化層を得たい場合に好適である。
【0045】
まず、図1A〜図1Bに示した各工程を、第1の実施の形態と同様に行う。即ち、薬品による酸化処理までを行う。
続いて、図5に示すように、レーザ光源31から発生したレーザ光線32を、金属箔11の上面側に照射して、焼き入れ効果によって酸化を進行させて、硬化層14をより深くまで形成する。このとき、金属箔11を冷却しつつ、レーザ光線32を照射することが好ましい。
【0046】
レーザ光線32は、エキシマレーザのような短波長のレーザ光が効率的で好ましいが、既に薬品処理により金属箔11の表面が酸化されて黒体化しているため、長波長のレーザ光でも効果を得ることができる。例えば、波長532nmのグリーンレーザやYAGレーザ、それらのレーザの高調波等も使用することが可能である。
【0047】
ここで、本実施の形態の図5に示した工程を行うための具体的な製造装置の構成を、図6に示す。
図6に示す製造装置では、レーザ光線32をスキャンさせるガルバノメータ33と、帯状の金属箔11を冷却させながら送る冷却ドラム34とを備えている。
そして、10℃程度に冷却された冷却ドラム34を回転させて、冷却ドラム34に沿って金属箔11を送りながら、ガルバノメータ33を用いて、金属箔11の送り方向に対して垂直な方向(金属箔11の幅方向)に、レーザ光線32を高速でスキャンさせる。
この動作により、冷却ドラム34上の金属箔11にレーザ光線32が照射され、レーザ光線32が照射された部分の金属箔11の表面のみが温度上昇して、照射直後には急冷却される。これにより、酸化によって形成した硬化層14よりも、さらに深い硬化層14を形成することが可能となる。
【0048】
上述の本実施の形態の金属箔の平坦化方法によれば、金属箔11の表面側の一部に硬化層14を形成して、この硬化層14の部分で研磨を行うので、第1の実施の形態と同様に、研磨痕を付きにくくすることができる。
また、切削作用を有する研磨器具を使用して研磨する工程や、残存する硬化層14を研磨により除去して、表面を平坦化する工程は、第1の実施の形態と同様に行うので、箔のえぐれやスクラッチ等が発生せず、軟性層に研磨痕を付けずに、少ない工程数で金属箔11の表面を平坦化することが可能になる。
【0049】
さらに、本実施の形態では、レーザ光線32を照射して硬化層14をより深くまで形成しているので、硬化層14を金属箔11の深さ方向に広げて、十分な厚さの硬化層14を形成することが可能になる。これにより、例えば、切削作用を有する研磨器具を使用して研磨する工程において、硬化層14内で確実に研磨が停止するように制御することが容易になる、研磨速度を上げられる、等の作用効果が得られる。
【0050】
<3.変形例>
前述した実施の形態では、次亜塩素酸ナトリウムという、強アルカリ性酸化剤を使用して、酸化処理(所謂黒化処理)を行っていた。
本技術において、硬化層を形成するための薬品(物質)や処理条件は、前述した実施の形態で使用した薬品や処理条件に限定されない。次亜塩素酸ナトリウム以外の他の強アルカリ性酸化剤や、強アルカリ性酸化剤以外の薬品(物質)を使用することも可能である。平坦化を行う金属箔の金属元素の種類に対応して、適切な薬品や処理条件を選定するとよい。
また、前述した実施の形態では、薬品による酸化処理によって、硬化層を形成していた。本技術においては、未処理の金属箔よりも硬い硬化層を形成することができるのであれば、薬品による金属箔への処理が酸化処理以外の処理であっても構わない。
【0051】
本技術において、切削作用を有する研磨機器は、前述した実施の形態で使用した、図1Cや図4に示した機器に限定されない。他の構成の研磨機器を使用しても構わない。
【0052】
本技術において、金属箔に照射するレーザ光線の波長や照射条件、レーザ光線の照射装置の構成は、前述した実施の形態の構成に限ったものではない。
【0053】
本技術に記載の金属箔の表面部分に硬化層を形成する処理は、プリント配線基板製造プロセスに於ける、所謂「黒化処理」で代用することもできる。
黒化処理で硬化層を形成することにより、新たな設備投資が不要となり、タクトタイムが短くなる。しかも、プリント配線基板製造プロセスとの親和性が非常に高い。
【0054】
<4.第3の実施の形態(多層配線基板)>
続いて、第3の実施の形態の多層配線基板を説明する。
第3の実施の形態の多層配線基板の概略構成図(断面図)を、図7に示す。
図7に示すように、コア材51の上に2層の配線層L1,L2が形成され、コア材51の下に2層の配線層L3,L4が形成されており、合計4層の配線層を有する多層配線基板が構成されている。
【0055】
コア材51と、上層の配線層L2及び下層の配線層L3との間には、層間絶縁層として、プリプレグ52が形成されている。
また、配線層L2と配線層L1との間や、配線層L3と配線層L4との間には、層間絶縁層として、プリプレグ58が形成されている。
これらのプリプレグ52,58は、例えば、炭素繊維にエポキシ樹脂等の樹脂を含浸させた構成とする。
【0056】
配線層L1は、金属層から成る、第1の配線層59により構成されている。
配線層L3は、金属箔、例えば、銅箔やニッケル箔等から成る第3の配線層57により構成されている。
配線層L4は、金属層から成る、第4の配線層60により構成されている。
【0057】
配線層L2の部分には、下層から順に、下部電極53、誘電材54、上部電極55が積層されて成る、エンベデットキャパシタ61が構成されている。このエンベデットキャパシタ61のうち、下部電極53が配線層L2を構成する第2の配線層を兼ねている。
【0058】
そして、本実施の形態では、このキャパシタの下部電極53に、前述した実施の形態で表面を平坦化した金属箔11のように、本技術の金属箔の平坦化方法を適用して表面を平滑化した金属箔を用いる。
これにより、平坦化されて平滑な表面上に接して誘電材54が形成され、その誘電材54の上に接して上部電極55が形成されているので、誘電材54を薄くしても、誘電材54の厚さの均一性が得られ、誘電材54の表面を十分に平坦にすることができる。
従って、誘電材54を薄くして容量を大きくすると共に、誘電材54の厚さの均一性を確保して耐電圧を大きくすることが可能になる。即ち、キャパシタの特性及び信頼性が十分に得られる。
【0059】
下部電極53に使用する金属箔の誘電材54側の面は、粗度RzJISが0.1μm以下であることが好ましい。より好ましくは、粗度RzJISが0.01〜0.06μm程度にまで表面が平坦化された金属箔を用いる。
【0060】
なお、第3の配線層57の金属箔には、キャパシタを形成しないので、本技術の平坦化方法を適用して表面を平滑化した金属箔を使用しなくても構わない。
そして、上下の表面を黒化処理した金属箔を、第3の配線層57に使用すると、第3の配線層57の上下に接するプリプレグ52,58との密着性が向上するので、好ましい。
【0061】
キャパシタの下部電極53に用いる金属箔としては、例えば、ニッケル箔や電解銅箔を用いることができる。その他、前述した、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム、モリブデン、タングステンや、その他の金属の箔を使用することができる。
キャパシタの誘電材54の材料としては、例えば、STO(チタン酸ストロンチウム)、BTO(チタン酸バリウム)、BST(チタン酸ストロンチウムバリウム)、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、BZN(Bi−Zn−Nb−O)が挙げられる。
キャパシタの上部電極55の材料としては、例えば、Cu,Ni,Pt,Alが挙げられる。
【0062】
例えば、前記特許文献4には、ニッケル箔上にBST(チタン酸バリウムストロンチウム)膜を形成する記載があり、その中で最適なBST膜厚範囲を、0.3〜0.7μmとしている。
このような絶縁膜において、所望の特性及びその信頼性を得るためには、下地の金属箔の表面粗度が少なくとも絶縁膜の膜厚の1/10程度となるように、金属箔が平坦化されている必要がある。
本実施の形態の構成では、キャパシタの下部電極53に、本技術の平坦化方法を適用して表面を平滑化した金属箔11を使用しているので、下部電極53の表面において、誘電材54の絶縁膜の膜厚の1/10程度以下の表面粗度を実現することができる。
【0063】
本実施の形態の多層配線基板を、インタポーザとして用いて、インタポーザ上に半導体チップをマウントして、ICパッケージや半導体デバイスを構成することも可能である。
また、このインタポーザ自身を基板として用いて、PCB(プリント回路板)の基板を構成することも可能である。
【0064】
本実施の形態の多層配線基板は、例えば、以下に説明するようにして、製造することができる。
【0065】
まず、図8Aに示すように、コア材51の上下両面に、プリプレグ52をラミネートする。
次に、図8Bに示すように、上面に、予め形成しておいた薄膜キャパシタ材をラミネートする。
また、下面に、銅箔をラミネートして、銅箔から成る第3の配線層57を形成する。
ここでは、図10に拡大断面図を示す、薄膜キャパシタ材56を使用する。図10に示す薄膜キャパシタ材56は、硬化層14が下面側に形成された金属箔11を用いた下部電極53と、その上の誘電材54と、その上の上部電極55とから成る。薄膜キャパシタ材56をラミネートする際に、平坦化時に形成した硬化層14が下地のプリプレグ52との密着性向上に寄与する。
続いて、上部電極55及び第3の配線層57をパターニングする。
【0066】
次に、図8Cに示すように、上部電極55及び第3の配線層57をそれぞれ覆うように、上下両面にプリプレグ58をラミネートする。
【0067】
次に、上下両面のプリプレグ58に、それぞれレーザ等でビアホールを形成した後に、無電解銅メッキ、電解銅メッキを連続して行い、図9Dに示すように、第1の配線層59及び第4の配線層60を形成する。
続いて、図9Eに示すように、第1の配線層59及び第4の配線層60をパターニングする。
このようにして、図7に示した、多層配線基板を製造することができる。
【0068】
また、図10に示した薄膜キャパシタ材56は、例えば、以下に説明するようにして、製造することができる。
まず、表面が平滑化され、裏面に硬化層14が形成された金属箔11を用意する。
この金属箔11の表面上に、例えば、スパッタ法、蒸着法、ゾルゲル法、塗布法、電気泳動法、エアロゾルデポジション法、等の方法を用いて、誘電材54を形成する。必要に応じて、さらに熱処理を行う。
その後、誘電材54の上に、上部電極55を形成する。
このようにして、図10に示した、薄膜キャパシタ材56を製造することができる。
【0069】
上述の本実施の形態の多層配線基板の構成によれば、下部電極53である金属箔11の平坦化された表面上に接して誘電材54が形成され、誘電材54の上に接して上部電極55が形成されて、エンベデットキャパシタ61が構成されている。
これにより、誘電材54を薄くしても、誘電材54の厚さの均一性が得られ、上部電極55と接する誘電材54の表面を十分に平坦にすることができるので、エンベデットキャパシタ61の下部電極53と上部電極55との間隔をほぼ一定に保つことができる。
従って、誘電材54を薄くしてエンベデットキャパシタ61の容量を大きくすると共に、エンベデットキャパシタ61の耐電圧を大きくすることが可能になる。
即ち、内蔵されたキャパシタの特性及び信頼性が十分に得られる、キャパシタ内蔵配線基板を実現することができる。
【0070】
上述の実施の形態では、コア材51に4層の配線層L1,L2,L3,L4を形成した多層配線基板の構成としていた。
本技術の配線基板において、配線層の数は4層に限らない。配線層の数が1層以上であり、全配線層のうちの少なくとも1層に、表面が平坦化された金属箔を用いて、その金属箔にキャパシタを形成すればよい。
また、本技術の配線基板は、上述の実施の形態のような、コア材を有する構成に限定されるものではなく、コア材がない配線基板にも本技術を適用することができる。
【0071】
本技術の配線基板を用いて、配線基板に半導体チップを搭載して、半導体デバイスを構成することができる。
また、本技術の配線基板を用いて、例えば、配線基板にキャパシタや、インダクタ等の機能素子を内蔵させて、さらにこれらの機能素子によってシステムを構成して、さらにパッケージ化することも可能である。これにより、所謂SiP(システムインパッケージ)基板を構成することが可能である。
【0072】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1) 金属箔の表面側の一部を硬化させて硬化層を形成する工程と、切削作用を有する研磨器具を使用して研磨することにより、前記硬化層の上部を除去する工程と、残存する前記硬化層を研磨により除去して、表面を平坦化する工程とを含む金属箔の平坦化方法。
(2) 前記金属箔を酸化することにより、前記硬化層を形成する前記(1)に記載の金属箔の平坦化方法。
(3) 前記金属箔の裏面側の一部にも、前記表面側と同時に前記硬化層を形成する前記(1)又は(2)に記載の金属箔の平坦化方法。
(4) 前記表面を平坦化する工程を、遊離砥粒研磨もしくは化学的機械的研磨により行う前記(1)から(3)のいずれかに記載の金属箔の平坦化方法。
(5) 強アルカリ性酸化剤によって前記金属箔を酸化させることにより、前記硬化層を形成する前記(1)から(4)のいずれかに記載の金属箔の平坦化方法。
(6) 前記硬化層を形成した後に、前記金属箔にレーザ光線を照射して、前記硬化層を深さ方向に広げる前記(1)から(5)のいずれかに記載の金属箔の平坦化方法。
(7) 前記切削作用を有する研磨器具に、フッ素樹脂ボンドダイアモンド砥石を使用する前記(1)から(6)のいずれかに記載の金属箔の平坦化方法。
(8) 前記金属箔が、銅、ニッケル、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム、モリブデン、タングステンから選ばれた少なくとも1種の金属からなる前記(1)から(7)のいずれかに記載の金属箔の平坦化方法。
(9) コア材と配線層とを含む配線基板であって、コア材と、前記コア材上に形成され、表面が平坦化された金属箔と、前記金属箔の前記表面上に接して形成された誘電材と、前記誘電材上に接して形成された電極と、前記金属箔から成る下部電極と、前記誘電材と、前記電極から成る上部電極とから構成されるキャパシタとを含む配線基板。
(10) 前記金属箔の前記表面の粗度が0.1μm以下である前記(9)に記載の配線基板。
(11) 前記金属箔の前記表面の粗度が0.01〜0.06μmである前記(9)に記載の配線基板。
(12) 前記金属箔が前記配線層の1層を兼ねている前記(9)から(11)のいずれかに記載の配線基板。
(13) コア材と、配線層と、前記コア材上に形成され、表面が平坦化された金属箔と、前記金属箔の前記表面上に接して形成された誘電材と、前記誘電材上に接して形成された電極と、前記金属箔から成る下部電極と、前記誘電材と、前記電極から成る上部電極とから構成されるキャパシタとを含む配線基板と、前記配線基板に搭載された半導体チップとを含む半導体デバイス。
【0073】
本技術は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【符号の説明】
【0074】
11 金属箔、12,13 凹凸、14 硬化層、21 切削歯、22 回転機構、23 切削バイト、24 フッ素樹脂、25 ダイアモンド砥石、26 フッ素樹脂ボンドダイアモンド砥石、31 レーザ光源、32 レーザ光線、33 ガルバノメータ、34 冷却ドラム、51 コア材、52,58 プリプレグ、53 下部電極、54 誘電材、55 上部電極、56 薄膜キャパシタ材、57 第3の配線層、59 第1の配線層、60 第4の配線層、61 エンベデットキャパシタ
【技術分野】
【0001】
本技術は、金属箔の平坦化方法、金属箔を用いた配線基板、並びに、配線基板に半導体チップを搭載した半導体デバイスに係わる。
【背景技術】
【0002】
電解銅箔は、プリント配線板の基礎材料として広く使用されている。
プリント配線板が多用される電子及び電気機器には、小型化、軽量化等が求められている。そのため、配線のピッチを微細化する必要があり、より薄い銅箔をプリント配線板に採用することによって、形成する配線のエッチングファクターを向上させている。
また、特に、ICチップ等を直接搭載するインタポーザ基板である、テープ オートメーティド ボンディング(TAB)基板やチップ オン フィルム(COF)基板においては、さらに、高機能化が要求されている。
従って、基板中に可能な限り大きな部品実装面積を確保するために、通常のプリント配線板用途以上の平滑面を持つ電解銅箔が求められている。
【0003】
そこで、電解銅のめっき液に添加剤を加えることにより、表面粗さRzが1.0μm±0.5μm程度の平坦性を有する電解銅箔を得る製造方法が提案されている(特許文献1〜特許文献3を参照)。
【0004】
さらに、電子又は電気機器は、その用途によっては、高速動作が要求されるようになっており、薄厚化された銅箔の表面が平坦ではないと、その表皮効果によって実効的な配線断面積が減少して、高速動作に支障を来す。
【0005】
また、インダクタやキャパシタの機能を、プリント配線基板中に搭載することが提案されている。
そして、例えば、プリント配線基板の銅箔上に、誘電材及び上部電極を形成して、キャパシタを構成することが提案されている(例えば、特許文献3、特許文献4を参照)。
この構成のキャパシタを形成する際には、キャパシタの下部電極に相当する銅箔の表面の平坦性が重要である。
【0006】
そこで、キャパシタの下部電極として使用するためには、特許文献1や特許文献2等に記載されているような、平坦性を有する銅箔をさらに研磨することによって、より平滑な表面とすることが望まれる。
銅箔等の金属箔を研磨する方法としては、物理研磨、化学研磨、電解研磨、及びこれらの複合研磨がある。1つの研磨方法単独、もしくは、複数の研磨方法を段階的に組み合わせて、所望の平滑面となるまで研磨を行う。
【0007】
化学研磨では、基本的には等方性エッチングのメカニズムに従って平滑化が進むため、十分な平坦性を得るためには、大きな研磨量が必要になる欠点がある。また、電解研磨では、突部による電解集中によって選択的にエッチングが進行するため、研磨初期の研磨効果は大きいが、エッジ部が丸くなってくると研磨効果が大きく低下する。
即ち、化学研磨及び電解研磨は、大きなラフネスを有る程度まで低減するためには効果的であるが、表面粗さRzでサブミクロン以下まで平滑化するには適していない。
物理研磨は、効果的に研磨を進めることができる。しかし、固定砥粒を使用した場合には、研磨粒子の突出ばらつきによって研磨痕が発生することから、一つの砥石番手で研磨を完了することができない。このため、多段階的に徐々に砥石番手を大きく(研磨粒子は小さく)していく段階研磨が必要となり、平坦面を仕上げるまでに時間がかかる。一方、遊離砥粒を使用した場合には、研磨痕の発生は抑えられるが、研磨粒子が動くため、固定砥粒よりも研磨速度が低下し、この場合も平坦面を仕上げるまでに時間がかかる。
遊離砥粒を形成する研磨液に化学的研磨作用を持たせて、化学的機械的研磨(CMP)を行う方法もあり、この方法によれば、最も優れた平滑面が得られるが、遊離砥粒による物理研磨と同様に研磨速度は遅い。
【0008】
なお、電解金属箔や圧延金属箔では、内部応力や結晶性を回復するために、焼鈍処理を施すことがある。焼鈍処理した金属箔は硬度が低く柔らかい。
このような軟性の金属箔を研磨した場合、研磨痕が発生しやすいため、より高番手(低粒径)の砥石やスラリーを用い、更に時間をかけて研磨する必要を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−143785号公報
【特許文献2】特開2004−35918号公報
【特許文献3】特開2007−281466公報
【特許文献4】特開2010−45208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、金属箔においては、表面を十分に平坦化することが望まれている。
また、金属箔を下部電極として用いて形成した内蔵キャパシタを含む配線基板では、金属箔の表面を十分に平坦化して、内蔵キャパシタの信頼性や特性を良好にすることが望まれている。
【0011】
本技術の目的は、表面を十分に平坦化することが可能な金属箔の平坦化方法を提供するものである。また、表面が平坦化された金属箔を用いた配線基板を提供するものである。さらにまた、配線基板を用いた半導体デバイスを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本技術の金属箔の平坦化方法は、金属箔の表面側の一部を硬化させて硬化層を形成する工程と、切削作用を有する研磨器具を使用して研磨することにより、硬化層の上部を除去する工程と、残存する硬化層を研磨により除去して、表面を平坦化する工程とを含む。
【0013】
上述の本技術の金属箔の平坦化方法によれば、金属箔の表面側の一部に硬化層を形成して、この硬化層の部分で研磨を行うことにより、金属箔を直接研磨した場合と比較して、研磨痕を付きにくくすることができる。
そして、切削作用を有する研磨器具を使用して研磨することにより、硬化層の上部を除去するので、この硬化層の上部を除去する工程を比較的短い時間で行うことができる。
さらに、残存する硬化層を研磨により除去して、表面を平坦化することにより、研磨痕を付けずに少ない工程数で金属箔の表面を平坦化することが可能になる。
【0014】
本技術の配線基板は、コア材と配線層とを含むものである。そして、コア材と、このコア材上に形成され表面が平坦化された金属箔と、この金属箔の表面上に接して形成された誘電材と、この誘電材上に接して形成された電極とを含む。そして、金属箔から成る下部電極と、誘電材と、電極から成る上部電極とから構成されるキャパシタを含む。
【0015】
上述の本技術の配線基板の構成によれば、金属箔の平坦化された表面上に接して誘電材が形成され、その誘電材の上に接して上部電極が形成されて、キャパシタが構成されている。これにより、誘電材を薄くしても、誘電材の厚さの均一性が得られ、上部電極と接する誘電材の表面を十分に平坦にすることができるので、キャパシタの下部電極と上部電極との間隔をほぼ一定に保つことができる。
【0016】
本技術の半導体デバイスは、上述した本技術の配線基板と、この配線基板に搭載された半導体チップとを含むものである。
【発明の効果】
【0017】
上述の本技術の金属箔の平坦化方法によれば、研磨痕を付けずに少ない工程数で金属箔の表面を平坦化することが可能になるので、比較的短い時間で、金属箔の表面を十分に平坦化することが可能になる。
【0018】
また、本技術の配線基板によれば、キャパシタの下部電極と上部電極との間隔をほぼ一定に保つことができる。
従って、誘電材を薄くしてキャパシタの容量を大きくすると共に、キャパシタの耐電圧を大きくすることが可能になる。
即ち、内蔵されたキャパシタの特性及び信頼性が十分に得られる、キャパシタ内蔵配線基板を実現することができる。
【0019】
また、本技術の半導体デバイスによれば、本技術の配線基板と、この配線基板に搭載された半導体チップとを含むので、配線基板に内蔵されたキャパシタの特性が良好であり、信頼性が十分に得られる半導体デバイスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】A〜C 第1の実施の形態の金属箔の平坦化方法を示す工程図である。
【図2】D〜F 第1の実施の形態の金属箔の平坦化方法を示す工程図である。
【図3】図1Bの硬化層の拡大断面図である。
【図4】フッ素樹脂ボンドダイアモンド砥石を使用した場合の工程図である。
【図5】第2の実施の形態の金属箔の平坦化方法を示す工程図である。
【図6】図5の工程を行うための具体的な製造装置の構成を示す図である。
【図7】第3の実施の形態の多層配線基板の概略構成図(断面図)である。
【図8】A〜C 第3の実施の形態の多層配線基板の製造方法を示す製造工程図である。
【図9】D、E 第3の実施の形態の多層配線基板の製造方法を示す製造工程図である。
【図10】第3の実施の形態で使用する薄膜キャパシタ材の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本技術を実施するための最良の形態(以下、実施の形態とする)について説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(金属箔の平坦化方法)
2.第2の実施の形態(金属箔の平坦化方法)
3.変形例
4.第3の実施の形態(多層配線基板及びその製造方法)
【0022】
以下の説明において、表面粗度RzJISは、JIS B 0601−2001に準拠して、TD(Transverse Direction)方向に測定した値で規定される値である。また、「平滑」とは、金属箔の表面粗度RzJISが小さいことを意味する。
【0023】
<1.第1の実施の形態(金属箔の平坦化方法)>
第1の実施の形態の金属箔の平坦化方法を説明する。
図1Aに示すように、上面の凹凸12及び下面の凹凸13を有する金属箔11を使用する。
金属箔11としては、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム、モリブデン、タングステンや、その他の金属の箔を使用することができる。そして、これらの金属を用いた、圧延箔や電解箔を使用することができる。
銅を金属箔11に使用する場合には、例えば、電解銅箔を使用することができる。
また、例えば、表面粗度RzJISが1μm程度の金属箔11を使用することができる。
図1Aに示すような金属箔11は、従来公知の方法によって、切り出すことができる。
なお、金属箔11は、必要に応じて、前処理工程や洗浄工程を行っておく。
【0024】
そして、金属箔11の上面及び下面の一部を、薬品により酸化処理して、図1Bに示すように、酸化されて硬化した硬化層14を形成する。このとき、理想的な硬化層14の拡大断面図を図3に示す。図3に示すように、硬化層14では、薬品によって針状にエッチングされて表面が粗化されており、かつ、表面付近の層が一様に酸化されている。
【0025】
金属箔11として電解銅箔を使用する場合には、酸化処理用の薬品として、例えば、次亜塩素酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶液を使用して、この混合水溶液中で電解銅箔を酸化させる。このときの次亜塩素酸ナトリウムと水酸化ナトリウムのモル比(NaClO2/NaOH)は、概ね15〜20として、水酸化ナトリウム濃度は7〜14g/L程度として、残りは水とする。また、酸化の処理温度は80〜90℃、処理時間は概ね2〜10分である。そして、図3に示したような、理想的な形状及び一様な硬化層14を形成するために、次亜塩素酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの組成比や濃度、温度、処理時間等を、電解銅箔の表面状態に合わせて、最適条件を選択することが好ましい。
【0026】
上述した酸化処理は、一般的なRoll To Roll式薬品処理装置で行うと、非常に効率的である。
なお、酸化処理は、金属箔11を裁断加工した後に行っても構わない。
酸化処理用の薬品は、金属箔11の金属の種類に対応して、その金属の酸化に適した薬品を選定する。
【0027】
次に、図1Cに示すように、切削作用を有する研磨器具を使用して研磨を行い、金属箔11の上面側の硬化層14のうち、硬化層14の上部の凹凸12を含む部分を切削除去する。
例えば、金属箔11の上面の粗度がRzJISで0.1μm程度以下となるまで、研磨を行う。
ここでは、図1Cに示すように、硬化層14内で切削研磨を終了させる。これは、硬化層14と軟性層とが混在する箇所や軟性層に対して、切削作用の強い研磨器具で研磨を行うと、箔のえぐれやスクラッチ等が発生して、良好な平坦面の形成が困難になるためである。
また、硬化層14を多く残すと、後の研磨工程に時間を要するため、軟性層が現れないぎりぎりの深さまで研削しておくことが好ましい。
研磨の際には、金属箔11を定盤や研削板等にワックス等を用いて固定して、高精度な研磨が可能なようにすることが好ましい。
【0028】
切削作用を有する研磨器具としては、例えば、図1Cに矢印で示す回転運動をする回転機構22に取り付けられた切削歯21を有する切削バイト23を使用することができる。
また、図4に示すように、フッ素樹脂24中にダイアモンド砥石25が埋め込まれた、フッ素樹脂ボンドダイアモンド砥石26も使用することができる。
同様に、切削作用を有する他の研磨器具を使用することもできる。
【0029】
切削バイト23を使用する場合には、金属箔11からの歯高を高精度に調整かつ維持できる機構が必要であり、金属箔11の表面に対して研磨しろを設定した後に研磨を開始する。
フッ素樹脂ボンドダイアモンド砥石26等の研磨器具を使用する場合には、金属箔11への押圧が常に一定になるような機構が必要となる。
これらの研磨器具やその他の研磨器具のいずれの研磨器具を使用する場合でも、必要に応じて、らせん回転、往復運動、揺動、等の運動をさせる機構を設けたり、研削液や潤滑液等の、吹きつけ、塗布、滴下等を行ったりしても良い。
【0030】
このようにして、図2Dに示すように、金属箔11の上面側の硬化層14の表面を平坦化する(一次平坦化)。
【0031】
次に、スラリーを用いた遊離砥粒研磨、もしくは化学的機械的研磨(CMP)によって、金属箔11の上面を研磨(最終研磨)する。具体的には、例えば、図2Eに示すように、円盤状の研磨器具27を矢印で示すように回転させて、金属箔11の上面を研磨する。
これにより、金属箔11の上面に残っていた硬化層14を全て除去すると共に、硬化層14の下の軟性層を0.1μm以下の所望の表面粗度を有する平滑な表面が得られるまで研磨する。
このようにして、図2Fに示すように、金属箔11の上面において、鏡面のように十分な平滑度を有する表面15が得られる。
その後は、必要に応じて、洗浄工程や定盤からの剥離工程等を行う。
【0032】
なお、前処理工程、洗浄工程、定盤からの剥離工程については、詳細な説明は省略したが、より平滑な表面の実現や研磨効率向上のためには、これらの工程を適宜導入する必要がある。
【0033】
本技術において、金属箔11の処理前の表面粗度は、前述したRzJIS:1μm程度に限らない。
ただし、効率的な薬品による硬化、及び効果的な研磨を考慮すると、RzJIS:1.5μm以下の金属箔を使用することが好ましい。さらには、RzJIS:1μm程度の金属箔を使用することがより好ましい。
【0034】
また、図1Cに示した工程の後の硬化層14での研磨レベルは、前述したRzJIS:0.1μm程度以下に限らない。
なお、仕上げ研磨を1工程で終了するためには、この時点で0.2μm程度以下まで平滑化しておくことが好ましく、0.1μm程度以下まで平滑化しておくことがより好ましい。
【0035】
また、最終的に得られる金属箔11の表面の粗度RzJISは、少なくとも0.1μm以下とすることが好ましい。より好ましくは、粗度RzJISが0.01〜0.06μmとなるまで平坦化する。
【0036】
RzJISで0.02μmの表面状態を得るためには、従来の研磨方法では3時間程度の処理時間を必要としていた。
これに対して、上述した実施の形態の方法によると、約1時間程度で処理を完了することが可能となり、大幅に時間短縮が可能となる。
【0037】
上述の本実施の形態の金属箔の平坦化方法によれば、金属箔11の表面側の一部に硬化層14を形成して、この硬化層14の部分で研磨を行うことにより、金属箔11を直接研磨した場合と比較して、研磨痕を付きにくくすることができる。
そして、切削作用を有する研磨器具(切削バイト23やフッ素樹脂ボンドダイアモンド砥石26等)を使用して研磨する際に、硬化層14内で切削研磨を終了させるので、硬化層14の上部を除去することができる。切削作用を有する研磨器具を使用するので、この工程を比較的短い時間で行うことができる。また、この工程では、硬化層14以外の軟らかい部分(軟性層)は研磨されないので、箔のえぐれやスクラッチ等が発生しない。
さらに、残存する硬化層14を研磨により除去して、表面を平坦化することにより、軟性層に研磨痕を付けずに、少ない工程数で金属箔11の表面を平坦化することが可能になる。
【0038】
従って、本実施の形態の金属箔の平坦化方法によれば、焼鈍済み金属箔や軟性の金属箔のように、研磨が難しい金属箔であっても、仕上げ研磨までの研磨工程の工程数及び所要時間を大幅に短縮することが可能である。
【0039】
これらのことから、本実施の形態の金属箔の平坦化方法によれば、安価に且つ短い時間で、表面粗度RzJISがサブミクロンレベルの平坦性を有する金属箔11を得ることが可能となる。
【0040】
なお、図2Fに示したように、金属箔11の裏面側は、凹凸13を有する硬化層14のままで残しているので、金属箔11とその下層との密着性を付与することができる。
【0041】
添加剤の添加による平滑化電解銅箔では、前記特許文献2において、Rz≧0.15μmと平滑な面が報告されている。
しかし、高速動作用の配線用、もしくは、キャパシタの下部電極用の材料としては、さらに粗度Rzが一桁程低い平滑面が要求される。
本実施の形態の平坦化方法によれば、RzJISで0.02μm程度の表面状態を得ることが可能であり、この要求を満たすことができる。
【0042】
一方、ニッケル箔等の銅箔以外の金属箔については、RzJISで約0.5〜3μm程度の箔を、種々の研磨方法を用いて平滑化しているのが現状である。
本実施の形態の平坦化方法によれば、ニッケル箔等の銅箔以外の金属箔においても、RzJISで0.02μm程度の表面状態を得ることが可能であり、銅箔と同様に十分に平坦化された表面状態を得ることができる。
【0043】
さらに、本実施の形態で平坦化した金属箔11を、プリント配線基板内にラミネートする場合には、平坦化した表面(上面)とは反対側の裏面(下面)は既に硬化層14が形成されていて、図3に示したように粗化されている。そのため、新たに処理を行うことなく、プリント配線基板の基材の樹脂との密着性を得ることが可能である。
【0044】
<2.第2の実施の形態(金属箔の平坦化方法)>
第2の実施の形態の金属箔の平坦化方法を説明する。
本実施の形態の方法は、薬品では十分な厚さの硬化層が得にくい金属箔の場合、もしくは、より深い硬化層を得たい場合に好適である。
【0045】
まず、図1A〜図1Bに示した各工程を、第1の実施の形態と同様に行う。即ち、薬品による酸化処理までを行う。
続いて、図5に示すように、レーザ光源31から発生したレーザ光線32を、金属箔11の上面側に照射して、焼き入れ効果によって酸化を進行させて、硬化層14をより深くまで形成する。このとき、金属箔11を冷却しつつ、レーザ光線32を照射することが好ましい。
【0046】
レーザ光線32は、エキシマレーザのような短波長のレーザ光が効率的で好ましいが、既に薬品処理により金属箔11の表面が酸化されて黒体化しているため、長波長のレーザ光でも効果を得ることができる。例えば、波長532nmのグリーンレーザやYAGレーザ、それらのレーザの高調波等も使用することが可能である。
【0047】
ここで、本実施の形態の図5に示した工程を行うための具体的な製造装置の構成を、図6に示す。
図6に示す製造装置では、レーザ光線32をスキャンさせるガルバノメータ33と、帯状の金属箔11を冷却させながら送る冷却ドラム34とを備えている。
そして、10℃程度に冷却された冷却ドラム34を回転させて、冷却ドラム34に沿って金属箔11を送りながら、ガルバノメータ33を用いて、金属箔11の送り方向に対して垂直な方向(金属箔11の幅方向)に、レーザ光線32を高速でスキャンさせる。
この動作により、冷却ドラム34上の金属箔11にレーザ光線32が照射され、レーザ光線32が照射された部分の金属箔11の表面のみが温度上昇して、照射直後には急冷却される。これにより、酸化によって形成した硬化層14よりも、さらに深い硬化層14を形成することが可能となる。
【0048】
上述の本実施の形態の金属箔の平坦化方法によれば、金属箔11の表面側の一部に硬化層14を形成して、この硬化層14の部分で研磨を行うので、第1の実施の形態と同様に、研磨痕を付きにくくすることができる。
また、切削作用を有する研磨器具を使用して研磨する工程や、残存する硬化層14を研磨により除去して、表面を平坦化する工程は、第1の実施の形態と同様に行うので、箔のえぐれやスクラッチ等が発生せず、軟性層に研磨痕を付けずに、少ない工程数で金属箔11の表面を平坦化することが可能になる。
【0049】
さらに、本実施の形態では、レーザ光線32を照射して硬化層14をより深くまで形成しているので、硬化層14を金属箔11の深さ方向に広げて、十分な厚さの硬化層14を形成することが可能になる。これにより、例えば、切削作用を有する研磨器具を使用して研磨する工程において、硬化層14内で確実に研磨が停止するように制御することが容易になる、研磨速度を上げられる、等の作用効果が得られる。
【0050】
<3.変形例>
前述した実施の形態では、次亜塩素酸ナトリウムという、強アルカリ性酸化剤を使用して、酸化処理(所謂黒化処理)を行っていた。
本技術において、硬化層を形成するための薬品(物質)や処理条件は、前述した実施の形態で使用した薬品や処理条件に限定されない。次亜塩素酸ナトリウム以外の他の強アルカリ性酸化剤や、強アルカリ性酸化剤以外の薬品(物質)を使用することも可能である。平坦化を行う金属箔の金属元素の種類に対応して、適切な薬品や処理条件を選定するとよい。
また、前述した実施の形態では、薬品による酸化処理によって、硬化層を形成していた。本技術においては、未処理の金属箔よりも硬い硬化層を形成することができるのであれば、薬品による金属箔への処理が酸化処理以外の処理であっても構わない。
【0051】
本技術において、切削作用を有する研磨機器は、前述した実施の形態で使用した、図1Cや図4に示した機器に限定されない。他の構成の研磨機器を使用しても構わない。
【0052】
本技術において、金属箔に照射するレーザ光線の波長や照射条件、レーザ光線の照射装置の構成は、前述した実施の形態の構成に限ったものではない。
【0053】
本技術に記載の金属箔の表面部分に硬化層を形成する処理は、プリント配線基板製造プロセスに於ける、所謂「黒化処理」で代用することもできる。
黒化処理で硬化層を形成することにより、新たな設備投資が不要となり、タクトタイムが短くなる。しかも、プリント配線基板製造プロセスとの親和性が非常に高い。
【0054】
<4.第3の実施の形態(多層配線基板)>
続いて、第3の実施の形態の多層配線基板を説明する。
第3の実施の形態の多層配線基板の概略構成図(断面図)を、図7に示す。
図7に示すように、コア材51の上に2層の配線層L1,L2が形成され、コア材51の下に2層の配線層L3,L4が形成されており、合計4層の配線層を有する多層配線基板が構成されている。
【0055】
コア材51と、上層の配線層L2及び下層の配線層L3との間には、層間絶縁層として、プリプレグ52が形成されている。
また、配線層L2と配線層L1との間や、配線層L3と配線層L4との間には、層間絶縁層として、プリプレグ58が形成されている。
これらのプリプレグ52,58は、例えば、炭素繊維にエポキシ樹脂等の樹脂を含浸させた構成とする。
【0056】
配線層L1は、金属層から成る、第1の配線層59により構成されている。
配線層L3は、金属箔、例えば、銅箔やニッケル箔等から成る第3の配線層57により構成されている。
配線層L4は、金属層から成る、第4の配線層60により構成されている。
【0057】
配線層L2の部分には、下層から順に、下部電極53、誘電材54、上部電極55が積層されて成る、エンベデットキャパシタ61が構成されている。このエンベデットキャパシタ61のうち、下部電極53が配線層L2を構成する第2の配線層を兼ねている。
【0058】
そして、本実施の形態では、このキャパシタの下部電極53に、前述した実施の形態で表面を平坦化した金属箔11のように、本技術の金属箔の平坦化方法を適用して表面を平滑化した金属箔を用いる。
これにより、平坦化されて平滑な表面上に接して誘電材54が形成され、その誘電材54の上に接して上部電極55が形成されているので、誘電材54を薄くしても、誘電材54の厚さの均一性が得られ、誘電材54の表面を十分に平坦にすることができる。
従って、誘電材54を薄くして容量を大きくすると共に、誘電材54の厚さの均一性を確保して耐電圧を大きくすることが可能になる。即ち、キャパシタの特性及び信頼性が十分に得られる。
【0059】
下部電極53に使用する金属箔の誘電材54側の面は、粗度RzJISが0.1μm以下であることが好ましい。より好ましくは、粗度RzJISが0.01〜0.06μm程度にまで表面が平坦化された金属箔を用いる。
【0060】
なお、第3の配線層57の金属箔には、キャパシタを形成しないので、本技術の平坦化方法を適用して表面を平滑化した金属箔を使用しなくても構わない。
そして、上下の表面を黒化処理した金属箔を、第3の配線層57に使用すると、第3の配線層57の上下に接するプリプレグ52,58との密着性が向上するので、好ましい。
【0061】
キャパシタの下部電極53に用いる金属箔としては、例えば、ニッケル箔や電解銅箔を用いることができる。その他、前述した、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム、モリブデン、タングステンや、その他の金属の箔を使用することができる。
キャパシタの誘電材54の材料としては、例えば、STO(チタン酸ストロンチウム)、BTO(チタン酸バリウム)、BST(チタン酸ストロンチウムバリウム)、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、BZN(Bi−Zn−Nb−O)が挙げられる。
キャパシタの上部電極55の材料としては、例えば、Cu,Ni,Pt,Alが挙げられる。
【0062】
例えば、前記特許文献4には、ニッケル箔上にBST(チタン酸バリウムストロンチウム)膜を形成する記載があり、その中で最適なBST膜厚範囲を、0.3〜0.7μmとしている。
このような絶縁膜において、所望の特性及びその信頼性を得るためには、下地の金属箔の表面粗度が少なくとも絶縁膜の膜厚の1/10程度となるように、金属箔が平坦化されている必要がある。
本実施の形態の構成では、キャパシタの下部電極53に、本技術の平坦化方法を適用して表面を平滑化した金属箔11を使用しているので、下部電極53の表面において、誘電材54の絶縁膜の膜厚の1/10程度以下の表面粗度を実現することができる。
【0063】
本実施の形態の多層配線基板を、インタポーザとして用いて、インタポーザ上に半導体チップをマウントして、ICパッケージや半導体デバイスを構成することも可能である。
また、このインタポーザ自身を基板として用いて、PCB(プリント回路板)の基板を構成することも可能である。
【0064】
本実施の形態の多層配線基板は、例えば、以下に説明するようにして、製造することができる。
【0065】
まず、図8Aに示すように、コア材51の上下両面に、プリプレグ52をラミネートする。
次に、図8Bに示すように、上面に、予め形成しておいた薄膜キャパシタ材をラミネートする。
また、下面に、銅箔をラミネートして、銅箔から成る第3の配線層57を形成する。
ここでは、図10に拡大断面図を示す、薄膜キャパシタ材56を使用する。図10に示す薄膜キャパシタ材56は、硬化層14が下面側に形成された金属箔11を用いた下部電極53と、その上の誘電材54と、その上の上部電極55とから成る。薄膜キャパシタ材56をラミネートする際に、平坦化時に形成した硬化層14が下地のプリプレグ52との密着性向上に寄与する。
続いて、上部電極55及び第3の配線層57をパターニングする。
【0066】
次に、図8Cに示すように、上部電極55及び第3の配線層57をそれぞれ覆うように、上下両面にプリプレグ58をラミネートする。
【0067】
次に、上下両面のプリプレグ58に、それぞれレーザ等でビアホールを形成した後に、無電解銅メッキ、電解銅メッキを連続して行い、図9Dに示すように、第1の配線層59及び第4の配線層60を形成する。
続いて、図9Eに示すように、第1の配線層59及び第4の配線層60をパターニングする。
このようにして、図7に示した、多層配線基板を製造することができる。
【0068】
また、図10に示した薄膜キャパシタ材56は、例えば、以下に説明するようにして、製造することができる。
まず、表面が平滑化され、裏面に硬化層14が形成された金属箔11を用意する。
この金属箔11の表面上に、例えば、スパッタ法、蒸着法、ゾルゲル法、塗布法、電気泳動法、エアロゾルデポジション法、等の方法を用いて、誘電材54を形成する。必要に応じて、さらに熱処理を行う。
その後、誘電材54の上に、上部電極55を形成する。
このようにして、図10に示した、薄膜キャパシタ材56を製造することができる。
【0069】
上述の本実施の形態の多層配線基板の構成によれば、下部電極53である金属箔11の平坦化された表面上に接して誘電材54が形成され、誘電材54の上に接して上部電極55が形成されて、エンベデットキャパシタ61が構成されている。
これにより、誘電材54を薄くしても、誘電材54の厚さの均一性が得られ、上部電極55と接する誘電材54の表面を十分に平坦にすることができるので、エンベデットキャパシタ61の下部電極53と上部電極55との間隔をほぼ一定に保つことができる。
従って、誘電材54を薄くしてエンベデットキャパシタ61の容量を大きくすると共に、エンベデットキャパシタ61の耐電圧を大きくすることが可能になる。
即ち、内蔵されたキャパシタの特性及び信頼性が十分に得られる、キャパシタ内蔵配線基板を実現することができる。
【0070】
上述の実施の形態では、コア材51に4層の配線層L1,L2,L3,L4を形成した多層配線基板の構成としていた。
本技術の配線基板において、配線層の数は4層に限らない。配線層の数が1層以上であり、全配線層のうちの少なくとも1層に、表面が平坦化された金属箔を用いて、その金属箔にキャパシタを形成すればよい。
また、本技術の配線基板は、上述の実施の形態のような、コア材を有する構成に限定されるものではなく、コア材がない配線基板にも本技術を適用することができる。
【0071】
本技術の配線基板を用いて、配線基板に半導体チップを搭載して、半導体デバイスを構成することができる。
また、本技術の配線基板を用いて、例えば、配線基板にキャパシタや、インダクタ等の機能素子を内蔵させて、さらにこれらの機能素子によってシステムを構成して、さらにパッケージ化することも可能である。これにより、所謂SiP(システムインパッケージ)基板を構成することが可能である。
【0072】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1) 金属箔の表面側の一部を硬化させて硬化層を形成する工程と、切削作用を有する研磨器具を使用して研磨することにより、前記硬化層の上部を除去する工程と、残存する前記硬化層を研磨により除去して、表面を平坦化する工程とを含む金属箔の平坦化方法。
(2) 前記金属箔を酸化することにより、前記硬化層を形成する前記(1)に記載の金属箔の平坦化方法。
(3) 前記金属箔の裏面側の一部にも、前記表面側と同時に前記硬化層を形成する前記(1)又は(2)に記載の金属箔の平坦化方法。
(4) 前記表面を平坦化する工程を、遊離砥粒研磨もしくは化学的機械的研磨により行う前記(1)から(3)のいずれかに記載の金属箔の平坦化方法。
(5) 強アルカリ性酸化剤によって前記金属箔を酸化させることにより、前記硬化層を形成する前記(1)から(4)のいずれかに記載の金属箔の平坦化方法。
(6) 前記硬化層を形成した後に、前記金属箔にレーザ光線を照射して、前記硬化層を深さ方向に広げる前記(1)から(5)のいずれかに記載の金属箔の平坦化方法。
(7) 前記切削作用を有する研磨器具に、フッ素樹脂ボンドダイアモンド砥石を使用する前記(1)から(6)のいずれかに記載の金属箔の平坦化方法。
(8) 前記金属箔が、銅、ニッケル、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム、モリブデン、タングステンから選ばれた少なくとも1種の金属からなる前記(1)から(7)のいずれかに記載の金属箔の平坦化方法。
(9) コア材と配線層とを含む配線基板であって、コア材と、前記コア材上に形成され、表面が平坦化された金属箔と、前記金属箔の前記表面上に接して形成された誘電材と、前記誘電材上に接して形成された電極と、前記金属箔から成る下部電極と、前記誘電材と、前記電極から成る上部電極とから構成されるキャパシタとを含む配線基板。
(10) 前記金属箔の前記表面の粗度が0.1μm以下である前記(9)に記載の配線基板。
(11) 前記金属箔の前記表面の粗度が0.01〜0.06μmである前記(9)に記載の配線基板。
(12) 前記金属箔が前記配線層の1層を兼ねている前記(9)から(11)のいずれかに記載の配線基板。
(13) コア材と、配線層と、前記コア材上に形成され、表面が平坦化された金属箔と、前記金属箔の前記表面上に接して形成された誘電材と、前記誘電材上に接して形成された電極と、前記金属箔から成る下部電極と、前記誘電材と、前記電極から成る上部電極とから構成されるキャパシタとを含む配線基板と、前記配線基板に搭載された半導体チップとを含む半導体デバイス。
【0073】
本技術は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【符号の説明】
【0074】
11 金属箔、12,13 凹凸、14 硬化層、21 切削歯、22 回転機構、23 切削バイト、24 フッ素樹脂、25 ダイアモンド砥石、26 フッ素樹脂ボンドダイアモンド砥石、31 レーザ光源、32 レーザ光線、33 ガルバノメータ、34 冷却ドラム、51 コア材、52,58 プリプレグ、53 下部電極、54 誘電材、55 上部電極、56 薄膜キャパシタ材、57 第3の配線層、59 第1の配線層、60 第4の配線層、61 エンベデットキャパシタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属箔の表面側の一部を硬化させて硬化層を形成する工程と、
切削作用を有する研磨器具を使用して研磨することにより、前記硬化層の上部を除去する工程と、
残存する前記硬化層を研磨により除去して、表面を平坦化する工程とを含む
金属箔の平坦化方法。
【請求項2】
前記金属箔を酸化することにより、前記硬化層を形成する請求項1に記載の金属箔の平坦化方法。
【請求項3】
前記金属箔の裏面側の一部にも、前記表面側と同時に前記硬化層を形成する請求項1に記載の金属箔の平坦化方法。
【請求項4】
前記表面を平坦化する工程を、遊離砥粒研磨もしくは化学的機械的研磨により行う請求項1に記載の金属箔の平坦化方法。
【請求項5】
強アルカリ性酸化剤によって前記金属箔を酸化させることにより、前記硬化層を形成する請求項1に記載の金属箔の平坦化方法。
【請求項6】
前記硬化層を形成した後に、前記金属箔にレーザ光線を照射して、前記硬化層を深さ方向に広げる請求項1に記載の金属箔の平坦化方法。
【請求項7】
前記切削作用を有する研磨器具に、フッ素樹脂ボンドダイアモンド砥石を使用する請求項1に記載の金属箔の平坦化方法。
【請求項8】
前記金属箔が、銅、ニッケル、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム、モリブデン、タングステンから選ばれた少なくとも1種の金属からなる請求項1に記載の金属箔の平坦化方法。
【請求項9】
コア材と配線層とを含む配線基板であって、
コア材と、
前記コア材上に形成され、表面が平坦化された金属箔と、
前記金属箔の前記表面上に接して形成された誘電材と、
前記誘電材上に接して形成された電極と、
前記金属箔から成る下部電極と、前記誘電材と、前記電極から成る上部電極とから構成されるキャパシタとを含む
配線基板。
【請求項10】
前記金属箔の前記表面の粗度が0.1μm以下である請求項9に記載の配線基板。
【請求項11】
前記金属箔の前記表面の粗度が0.01〜0.06μmである請求項9に記載の配線基板。
【請求項12】
前記金属箔が前記配線層の1層を兼ねている請求項9に記載の配線基板。
【請求項13】
コア材と、配線層と、前記コア材上に形成され、表面が平坦化された金属箔と、前記金属箔の前記表面上に接して形成された誘電材と、前記誘電材上に接して形成された電極と、前記金属箔から成る下部電極と、前記誘電材と、前記電極から成る上部電極とから構成されるキャパシタとを含む配線基板と、
前記配線基板に搭載された半導体チップとを含む
半導体デバイス。
【請求項1】
金属箔の表面側の一部を硬化させて硬化層を形成する工程と、
切削作用を有する研磨器具を使用して研磨することにより、前記硬化層の上部を除去する工程と、
残存する前記硬化層を研磨により除去して、表面を平坦化する工程とを含む
金属箔の平坦化方法。
【請求項2】
前記金属箔を酸化することにより、前記硬化層を形成する請求項1に記載の金属箔の平坦化方法。
【請求項3】
前記金属箔の裏面側の一部にも、前記表面側と同時に前記硬化層を形成する請求項1に記載の金属箔の平坦化方法。
【請求項4】
前記表面を平坦化する工程を、遊離砥粒研磨もしくは化学的機械的研磨により行う請求項1に記載の金属箔の平坦化方法。
【請求項5】
強アルカリ性酸化剤によって前記金属箔を酸化させることにより、前記硬化層を形成する請求項1に記載の金属箔の平坦化方法。
【請求項6】
前記硬化層を形成した後に、前記金属箔にレーザ光線を照射して、前記硬化層を深さ方向に広げる請求項1に記載の金属箔の平坦化方法。
【請求項7】
前記切削作用を有する研磨器具に、フッ素樹脂ボンドダイアモンド砥石を使用する請求項1に記載の金属箔の平坦化方法。
【請求項8】
前記金属箔が、銅、ニッケル、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム、モリブデン、タングステンから選ばれた少なくとも1種の金属からなる請求項1に記載の金属箔の平坦化方法。
【請求項9】
コア材と配線層とを含む配線基板であって、
コア材と、
前記コア材上に形成され、表面が平坦化された金属箔と、
前記金属箔の前記表面上に接して形成された誘電材と、
前記誘電材上に接して形成された電極と、
前記金属箔から成る下部電極と、前記誘電材と、前記電極から成る上部電極とから構成されるキャパシタとを含む
配線基板。
【請求項10】
前記金属箔の前記表面の粗度が0.1μm以下である請求項9に記載の配線基板。
【請求項11】
前記金属箔の前記表面の粗度が0.01〜0.06μmである請求項9に記載の配線基板。
【請求項12】
前記金属箔が前記配線層の1層を兼ねている請求項9に記載の配線基板。
【請求項13】
コア材と、配線層と、前記コア材上に形成され、表面が平坦化された金属箔と、前記金属箔の前記表面上に接して形成された誘電材と、前記誘電材上に接して形成された電極と、前記金属箔から成る下部電極と、前記誘電材と、前記電極から成る上部電極とから構成されるキャパシタとを含む配線基板と、
前記配線基板に搭載された半導体チップとを含む
半導体デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−176452(P2012−176452A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39810(P2011−39810)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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