説明

鉄系材料とアルミ系部材との接合方法、電磁弁におけるスリーブとソレノイド機構との接合方法及び電磁弁

【課題】スリーブ等のアルミ系部材と、ソレノイドケースなどの鉄系溶融金属性の部材の接続に際し、より安価に製造できるようにする。
【解決手段】鉄系材料で形成され筒状部分を有する鉄系部材(第1ヨーク15)と、鉄系部材の筒状部分の内側に重合可能に形成された筒状もしくは柱状部分を有するアルミ系部材(スリーブ11)との間の接合方法において、アルミ系部材は筒状もしくは柱状部分に溝11dを設け、アルミ系部材の筒状もしくは柱状部分を鉄系部材の円筒状部分の内側に差し込んで重合させ、溝が鉄系部材の重合部分の下に位置する状況において、鉄系部材の重合部分を溶融させる。溶融した鉄系部材の重合部分はアルミ系部材の溝の中に流れ込み、固まる。固まった状態では、溝との干渉するので、アルミ系部材が鉄系部材から外れなくなる。よって、アルミ系部材と鉄系部材の接続がなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄系材料とアルミ系部材との接合方法に関し、また、バルブ機構を収容するスリーブと、鉄系材料で形成され前記バルブ機構を駆動させるソレノイド機構とを備える電磁弁に関し、特に、スリーブとソレノイド部品との接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に電磁弁は、スプールバルブ等のバルブ機構と、このバルブ機構を駆動させるソレノイド機構とによって構成されている。このような電磁弁は、様々な部品に収容されたり、又は連結されたりするが、収容又は連結先の相手材がアルミニウム等の鉄以外の金属で形成されている場合、相手材との熱膨張差によるクリアランスの発生を防止するため、バルブ機構の外周の材質もアルミニウム等とする必要がある。一方、ソレノイド機構が収容されている部分は磁気回路を構成する部分でもあるので、この部分をアルミニウムとすることはできない。従って、バルブ機構を収容するスリーブをアルミニウム系材料で構成し、ソレノイドケースなどのソレノイド機構の一部に接続することが考えられる。
【0003】
特許文献1、2には、スリーブとソレノイドケースとをかしめにより結合している例が挙げられている。
【0004】
また、かしめの場合に必要なOリングを廃止するために、特許文献3では、スリーブとソレノイドケースとを溶接して両者を接続している。
【0005】
この技術では、スリーブのフランジ部とソレノイドケースとは、ソレノイドケースが外周に、スリーブのフランジ部が内周に配置した重ね溶接継手構造とされている。そして、この両者を溶接する際に、YAGレーザー溶接装置などの溶接装置からの溶接熱源(例えばYAGレーザー)を鉄系材料であるソレノイドケース側に照射し、ソレノイドケース側から入熱して溶接接合する。これにより、鉄系材料で構成されたソレノイドケース側が先に溶融し、溶融した鉄系溶融金属の熱伝導により、アルミニウム系材料のスリーブが溶融する。そして、溶融した金属が混合し、その後に冷却する。このような溶接部位をソレノイドケースの全周にかけて施すことにより、スリーブとソレノイドケースとが接合される。
【特許文献1】特開平11−2354号公報
【特許文献2】特開2000−39083号公報([0005]、図1参照)
【特許文献3】特開2002−122261号公報([0024]〜[0031]、図2参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
塑性変形による機械的なかしめにおいては、スリーブに、スリーブを固定するため外側に突出する鍔を設ける必要がある。このため、スリーブを段付加工しなければならない等、スリーブのコストが高くなる問題があった。また、かしめによる加圧により軸ずれを起こさないように工夫も必要となる。
【0007】
一方、鉄とアルミニウムを溶融させると、図5の2元状態図(出展:ASM International社発行の『BINARY ALLOY PHASE DIAGRAMS(AECOND EDITION)』第1巻,第148頁)に示すように、400°C以上でFeAlやFeAl5などの脆弱な化合物や延性のある化合物ができてしまう。スリーブのアルミニウムとソレノイドケースの鉄系溶融金属との溶融により接続する場合は、溶融金属の強度が脆弱となるため、多くの箇所で溶融させる必要があり、スリーブとソレノイドケースの接続に多くの時間とエネルギーが必要になるという問題があった。
【0008】
本発明は、スリーブ等のアルミ系部材と、ソレノイドケースなどの鉄系溶融金属性の部材の接続に際し、より安価に製造できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記技術的課題を解決するために、本発明は以下のように構成するものである。
【0010】
すなわち、請求項1に記載した発明では、鉄系材料で形成され筒状部分を有する鉄系部材と、鉄系部材の筒状部分の内側に重合可能に形成された筒状もしくは柱状部分を有するアルミ系部材との間の接合方法において、アルミ系部材は筒状もしくは柱状部分に溝を設け、アルミ系部材の筒状もしくは柱状部分を鉄系部材の円筒状部分の内側に差し込んで重合させ、溝が鉄系部材の重合部分の下に位置する状況において、鉄系部材の重合部分を溶融させたことである。これによれば、溶融した鉄系部材の重合部分はアルミ系部材の溝の中に流れ込み、固まる。固まった状態では、溝との干渉するので、アルミ系部材が鉄系部材から外れなくなる。よって、アルミ系部材と鉄系部材の接続がなされる。
【0011】
また、請求項2に記載した発明では、更に、鉄系部材の重合部分を、レーザー照射により溶融させた。これによれば、短時間に鉄系部材の重合部分のみを溶融させることができる。
【0012】
また、請求項3に記載した発明では、更に、鉄系部材の重合部分を溶融する際に、溶融する箇所にフィラーワイヤーを使用した。これによれば、鉄系部材の溶融部分とフィラーワイヤーの溶融とが合わさり、アルミ系部材の溝の中に流れ込む溶融金属の量が増える。
【0013】
請求項4に記載した発明では、バルブ機構を収容するスリーブと、バルブ機構を駆動させるソレノイド機構とを備える電磁弁において、ソレノイド機構の一部を構成する鉄系材料で形成されたソレノイド部品に円筒状部分を設け、スリーブの一部を円筒状部分の内側に差し込んで重合可能な構造とし、スリーブのソレノイド部品と重合する箇所に溝を設け、溝がソレノイド部品の重合部分の下に位置する状況において、ソレノイド部品の重合部分を溶融するようにしたことである。これによれば、溶融したソレノイド部品の重合部分はスリーブの溝の中に流れ込み、固まる。固まった状態では、溝との干渉するので、スリーブがソレノイド部品から外れなくなる。よって、スリーブとソレノイド部品の接続がなされる。
【0014】
また、請求項5に記載した発明では、更に、ソレノイド部品の重合部分を、レーザー照射により溶融させた。これによれば、短時間にソレノイド部品の重合部分のみを溶融させることができる。
【0015】
また、請求項6に記載した発明では、更に、ソレノイド部品の重合部分を溶融する際に、溶融する箇所にフィラーワイヤーを使用した。これによれば、ソレノイド部品の溶融部分とフィラーワイヤーの溶融とが合わさり、スリーブの溝の中に流れ込む溶融金属の量が増える。
【0016】
請求項7に記載した発明では、バルブ機構と、バルブ機構を駆動させるソレノイド機構と、バルブ機構を収容するスリーブと、ソレノイド機構の一部を構成し鉄系材料で形成されたソレノイド部品とを備えた電磁弁であって、ソレノイド部品は円筒状部分を備え、スリーブは、その一部を円筒状部分の内側に重合して配置されており、スリーブは、ソレノイドケースと重合する箇所に、溝を有し、ソレノイドケースの重合部分が溶融によりスリーブの溝に入りこんだ構造である。これによれば、溶融したソレノイド部品の重合部分はスリーブの溝の中に流れ込み、固まる。固まった状態では、溝との干渉するので、スリーブがソレノイド部品から外れなくなる。よって、スリーブとソレノイド部品の接続がなされる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載した発明によれば、鉄系部材の重合部分のみを溶融すればいいので、鉄系部材とアルミ系部材の両方を溶融混合させる方法よりも短時間でアルミ系部材と鉄系部材の接合を行うことができる。
【0018】
また、請求項2に記載した発明によれば、更に、鉄系部材の重合部分を、レーザー照射により溶融させることにより、より短時間でアルミ系部材と鉄系部材の接合が可能になる。
【0019】
また、請求項3に記載した発明によれば、更に、鉄系部材の重合部分を溶融する際に、溶融する箇所にフィラーワイヤーを使用することにより、溝内に流れ込む溶融金属の量が増え、確実にアルミ系部材と鉄系部材の接合が可能になる。
【0020】
請求項4に記載した発明によれば、スリーブに鍔をつける必要がないので安価にスリーブを製造できる。また、ソレノイド部品の重合部分のみを溶融すればいいので、ソレノイド部品とスリーブの両方を溶融混合させる方法よりも短時間でスリーブとソレノイド部品の接合を行うことができる。
【0021】
また、請求項5に記載した発明によれば、更に、ソレノイド部品の重合部分を、レーザー照射により溶融させることにより、より短時間でスリーブとソレノイド部品の接合が可能になる。また、ソレノイド機構にコネクタ等の不規則な突出部分があっても対応が可能である。
【0022】
また、請求項6に記載した発明によれば、更に、ソレノイド部品の重合部分を溶融する際に、溶融する箇所にフィラーワイヤーを使用することにより、溝内に流れ込む溶融金属の量が増え、確実にスリーブとソレノイド部品の接合が可能になる。
【0023】
請求項7に記載した発明によれば、スリーブに鍔をつける必要がないので安価にスリーブを製造できる。また、ソレノイド部品の重合部分のみを溶融すればいいので、ソレノイド部品とスリーブの両方を溶融混合させる方法よりも短時間でスリーブとソレノイド部品の接合を行うことができる。したがって、安価な電磁弁となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明に従った実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1および図2は、本例における電磁弁の断面図である。図1はスリーブとソレノイド部品の接合前、図2はスリーブとソレノイド部品の接合後を示している。電磁弁10は、スリーブ11及びスプールバルブ12からなるバルブ機構と、ケース13、ハウジング14、第1ヨーク15、第2ヨーク16、コイル17、プラグ18、プランジャ19、及びボビン21からなるソレノイド機構を備えている。
【0026】
バルブ機構において、スリーブ11は円筒状をしており、複数のポート11a、11b、11cが設けられている。スリーブ11は図示しないバルブブロックに電磁弁が完成した後に取り付けられる。この相手方部材との接触性を高めるため、相手方部材と略同一の材料でスリーブ11を形成する。通常はアルミニウム系材料(アルミニウムを主体とする金属材料)を用いている。スプールバルブ12は長尺状で、スリーブ11の内面に沿って移動可能に設けられている。スプールバルブ12には、溝12aが設けられており、この溝12aとスリーブ11のポート11a、11b、11cが、スプールバルブ12の移動に応じて選択的に切り替えられることにより、ポートに接続される流路の流れを切り替えることができるようになっている。
【0027】
ソレノイド機構において、円筒状の樹脂製のボビン21にコイル17が巻かれており、その外周にコネクタ部を含むハウジング14が樹脂一体成型されている。コイル17の端部はコネクタの端子と電気的に接続される。ボビン21の内側には円筒状のプラグ18が配置され、更に両側からそれぞれ第1ヨーク15、及び第2ヨーク16が差し込まれる。第1ヨーク15及び第2ヨーク16は円筒状をしており、また、その端部にはそれぞれ径方向外側に突出するフランジ部15a、16aを有している。第1ヨーク15のフランジ部15aの外周部と第2ヨーク16のフランジ部16aの外周部を渡るように、円筒状のケース13が、コイル17を内部に収納しながら差し込まれている。プランジャ19は筒状をしており、第1ヨーク15、プラグ18、及び第2ヨーク16の内側に形成される円筒状空間内を摺動可能に配設されている。プラグは樹脂製であり、第1ヨーク15、第2ヨーク、ケース13、及びプランジャ19は透磁率の高い磁性材の鉄系溶融金属性の材料(鉄を主体とする材料で加熱により溶融可能な材料)でできている。
【0028】
スプールバルブ12の端部12bは、第1ヨーク15に内部を貫通する形でソレノイド機構の内部まで延びており、その端点でプランジャ19と接触可能になっている。スプールバルブ12には、端部12bがプランジャ19に接触する方向に、図示しないスプリングなどの付勢力が加えられている。プランジャ19はコイル17に通電されない状態においては、第2ヨーク16に固定されたストッパ22によって規制される位置まで付勢されている。
【0029】
第1ヨーク15は円筒状部分15bを有している。図1に示すように、スリーブ11の端部は、この円筒状部分15bの内側に重合する形で納められる。この重合部分において、スリーブの端部にはV字状の溝11dが彫られている。
【0030】
また、スリーブ11と第1ヨーク15とを組み合わせる際に、弾性を有するダイヤフラム20を挟み込む。ダイヤフラム20の外周部はスリーブ11と第1ヨーク15の間に挟みこまれ、ダイヤフラム20の内周部はスプールバルブ12に設けられた溝に挟み込まれる。
【0031】
図1の状態まで組み付けが行われた後、図2に示すように、第1ヨーク15の円筒状部分15bの外側から、第1ヨーク15とスリーブ11との重合部分であって溝11dの上側の部分にレーザー(例えばYAGレーザー)を照射する。第1ヨーク15は鉄系材料であるので、レーザー照射により照射箇所が溶け、下側にある溝11dの中に流れ込む。レーザー照射を止めると溶けた材料が、溝11dに入り込む形で、冷えて固まる。これにより、スリーブ11が第1ヨーク15に固定される。
【0032】
コネクタの端子に通電しない状態では、スプールバルブ12が図示しないスプリングなどの付勢力に押され、プランジャ19が第2ヨーク16に固定されたストッパ22によって規制される位置まで付勢されている。この状態でコネクタの端子に通電を行うと、コイル17に電流が流れ、磁界が発生する。磁力線は、第2ヨーク16、プランジャ19、第1ヨーク15及びケース13(又はその逆順)を通って1周する。このとき、第1ヨーク15とプランジャ19の間に吸引力が働くため、プランジャ19が第1ヨーク15に引かれて移動する。この移動につれてスプールバルブ12が移動するため、ポートに接続される流路の流れが切り替えられるので、電磁弁として機能する。
【0033】
レーザー照射の種類としては、YAGレーザーやCOレーザーを用いるとよい。また、レーザー照射の代わりにプラズマを照射しても鉄系材料を溶融させることができる。更に、他の方法で鉄系材料を加熱することも考えられる。しかし、図1,2のようにコネクタ部が突出しているような形状の電磁弁であると、レーザー照射にて局所のみ加熱溶融されうる方法の方が好ましい。
【0034】
レーザー照射する際の電磁弁10の配置角度については、電磁弁10の中心軸方向が水平になるように置かれることが望ましい。しかし、中心軸が水平に対して±45度程度傾いていても、溶融金属が溝11dに流れ込みうるため、製造工程の制約などがある場合は電磁弁10を傾けた状態でレーザー照射してもよい。
【0035】
図1,2の実施態様ではダイヤフラム20を設けているのでスリーブ11と第1ヨーク15間のシール効果はダイヤフラム20により得られる。したがって、スリーブ11の溝11dはスリーブの外周のうち少なくとも1箇所だけあればよい。しかし、より好ましくは、スリーブ11の端部の溝11dを外周面全域に渡って形成し、上部からレーザー照射を行いながら、電磁弁10をその軸を中心に1回転させる。これにより、溝11dに入り込む溶融材料がスリーブ11の全周に渡って行われることから、スリーブ11と第1ヨーク15との間の確実な接続がなされる。
【0036】
レーザーを照射した箇所はそのエネルギーによって蒸発し、蒸発した部分の周りの金属が溶融し、溝11d内に溜まる金属の盛り上がりが不足する場合がある。このように溶融金属が溝11d内に溜まる量が不足する場合には、図3に示すように、フィラーワイヤー23を用いる。レーザーがあたる箇所にフィラーワイヤー23を近づけ、第1ヨーク15を溶かすと同時にフィラーワイヤー23を溶かし、溶融金属の量を増加させる。図4に示すように、第1ヨーク15がレーザー照射により蒸発した部分のキーホールにフィラーワイヤー23からの溶けた溶融金属が流れ込み、溶融金属の盛り上がり量を増加させる。更に、盛り上がり量を増加させるためには、レーザー照射している状態で、電磁弁10を軸方向にずらしていくようにする。前述のように、スリーブ11の端部の溝11dを外周面全域に渡って形成し、上部からレーザー照射を行いながら、電磁弁10をその軸を中心に1回転させる場合には、電磁弁10をジグザグに往復動させながら回転させるようにしてもよい。
【0037】
尚、上記実施態様では、ソレノイド部品である第1ヨーク15とスリーブ11を固定した。この方法によれば、第1ヨーク15の円筒状部分15bのうち、溶融していない部分においては、スリーブ11の外周がはめ込まれた状態となるので、スリーブ11と第1ヨーク15との間の軸ずれが起きにくくなっている。
【0038】
しかし、ソレノイド機構の他の部品とスリーブを固定するようにしてもよい。例えば、ケース13の端部を延長し、スリーブ11と嵌合し、ケース13の外部からレーザー照射するようにしてもよい。スリーブ11の径とケース13の径が近い場合には、スリーブ11の外径とケース13の内径を一致させるよう設計変更すると、コストアップせずに対応可能である。図1〜3の実施態様のように、第1ヨーク15とスリーブ11を固定するようにすると、ケース13は単純な円筒状でよく、低コストで作成できるというメリットがある。
【0039】
上記実施態様では、バルブ機構としてスプールバルブを用いたが、他の形式のバルブ機構としても構わない。また、ソレノイド機構の構造もこれに限定されるものではない。
【0040】
上記実施態様においては、電磁弁おける実施態様を示したが、電磁弁以外に本発明を用いる場合、鉄系材料で形成され筒状部分を有する鉄系部材と、鉄系部材の筒状部分の内側に重合可能に形成された筒状もしくは柱状部分を有するアルミ系部材との間の接合方法に適用できる。上記実施態様では、鉄系部材はスリーブ11であり、円筒状部分15bを有していたが、円筒状ではなく、単に筒状でよい。また、アルミ系部材はスリーブ11であり、円筒状をしていたが、鉄系部材の筒の内側に収まる形状の筒または柱状でよい。アルミ系部材の筒状もしくは柱状部分を鉄系部材の円筒状部分の内側に差し込んで重合させ、溝が鉄系部材の重合部分の下に位置する状況において、鉄系部材の重合部分を溶融させる。溶融方法については、上記実施態様と同様に、鉄系部材の重合部分を、レーザー照射により溶融させるとよい。これによれば、短時間に鉄系部材の重合部分のみを溶融させることができる。また、鉄系部材の重合部分を溶融する際に、溶融する箇所にフィラーワイヤーを使用するとよい。これによれば、鉄系部材の溶融部分とフィラーワイヤーの溶融とが合わさり、アルミ系部材の溝の中に流れ込む溶融金属の量が増える。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施態様である電磁弁の製造途中を示す断面図である。
【図2】図1の電磁弁の製造後を示す正面図である。
【図3】本発明の別の実施態様の電磁弁を示す断面図である。
【図4】図3の電磁弁の要部拡大図である。
【図5】鉄とアルミニウムとの2元状態図である。
【符号の説明】
【0042】
10 電磁弁
11 スリーブ
11a、11b、11c ポート
11d 溝
12 スプールバルブ
12a 溝
12b 端部
13 ケース
14 ハウジング
15 第1ヨーク
15a、16a フランジ部
15b 円筒状部分
16 第2ヨーク
17 コイル
18 プラグ
19 プランジャ
20 ダイヤフラム
21 ボビン
22 ストッパ
23 フィラーワイヤー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄系材料で形成され筒状部分を有する鉄系部材と、鉄系部材の筒状部分の内側に重合可能に形成された筒状もしくは柱状部分を有するアルミ系部材との間の接合方法において、
前記アルミ系部材は筒状もしくは柱状部分に溝を設け、
前記アルミ系部材の筒状もしくは柱状部分を前記鉄系部材の円筒状部分の内側に差し込んで重合させ、
前記溝が前記鉄系部材の重合部分の下に位置する状況において、前記鉄系部材の重合部分を溶融することを特徴とする、
鉄系材料とアルミ系部材との接合方法。
【請求項2】
請求項1において、前記鉄系部材の重合部分は、レーザー照射により溶融することを特徴とする鉄系材料とアルミ系部材との接合方法。
【請求項3】
請求項1において、前記鉄系部材の重合部分を溶融する際に、溶融する箇所にフィラーワイヤーを使用することを特徴とする鉄系材料とアルミ系部材との接合方法。
【請求項4】
バルブ機構を収容するスリーブと、前記バルブ機構を駆動させるソレノイド機構とを備える電磁弁において、
ソレノイド機構の一部を構成する鉄系材料で形成されたソレノイド部品に円筒状部分を設け、前記スリーブの一部を該円筒状部分の内側に差し込んで重合可能な構造とし、
前記スリーブの前記ソレノイド部品と重合する箇所に溝を設け、
前記溝が前記ソレノイド部品の重合部分の下に位置する状況において、前記ソレノイド部品の重合部分を溶融することを特徴とする、
電磁弁におけるスリーブとソレノイド機構との接合方法。
【請求項5】
請求項4において、前記ソレノイド部品の重合部分は、レーザー照射により溶融することを特徴とする電磁弁におけるスリーブとソレノイド機構との接合方法。
【請求項6】
請求項4において、前記ソレノイド部品の重合部分を溶融する際に、溶融する箇所にフィラーワイヤーを使用することを特徴とする電磁弁におけるスリーブとソレノイド機構との接合方法。
【請求項7】
バルブ機構と、該バルブ機構を駆動させるソレノイド機構と、前記バルブ機構を収容するスリーブと、前記ソレノイド機構の一部を構成し鉄系材料で形成されたソレノイド部品とを備えた電磁弁であって、
前記ソレノイド部品は円筒状部分を備え、
前記スリーブは、その一部を前記円筒状部分の内側に重合して配置されており、
前記スリーブは、前記ソレノイドケースと重合する箇所に、溝を有し、
前記ソレノイドケースの重合部分が溶融により前記スリーブの溝に入りこんだ構造であることを特徴とする電磁弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−142311(P2006−142311A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332061(P2004−332061)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】