説明

鉄道用車上電気機器を搭載した鉄道車両及び鉄道車両の編成列車

【課題】従来の鉄道車両では、編成荷重の分散によるトラックダメージの低減を達成できず、固定編成においては輸送需要に応じて列車長を変更することができない。また、電化区間のみ、あるいは、非電化区間のみを走行する場合においても、効率的な列車構成とならない。
【解決手段】発電装置を搭載した車両1、架線から電力を得て電力を供給する車両2、駆動装置を搭載した車両3、車上機器に電源を供給する補助電源装置を搭載した車両4、電力蓄積手段を搭載した車両6、過剰電力消費手段を搭載した車両7、架線から電力を得て電力を供給し、かつ補助発電装置を床下艤装として搭載した車両205等の鉄道車両から編成され、運行区間、乗客需要に応じて、これらの車両のすべてまたは一部を組合せてなる列車において、編成内の車両間で電力を融通できる直流電力バス1000を少なくとも一系統を設けて、複数の編成と分割、併合ができる機能を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両用車上電気機器と、それを搭載した車両により構成される列車に係り、特に異なる電力源に対応する技術と、それを適用した鉄道車両および鉄道車両の編成列車に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道には、トロリーワイヤーやサードレールを介して地上から列車に電力を供給する設備が具備されている区間(以下、「電化区間」と言う。)と、地上からの電力供給設備がなく列車自身が有している発電手段により電力を得る(または動力源により動力を得る)区間(以下、「非電化区間」という。)の二種類の区間があり、列車量の多い区間が優先的に電化される傾向にある。また、昨今では、エネルギー単価の高騰を背景に、非電化区間の電化計画が進んでいる。
【0003】
列車の運用を効率的に行うためには、これらの区間を走行する列車を共通化することが必要である。列車の共通化の手段としては、電力源/動力源を持たない車両によって構成される列車を、電化区間では電気機関車(またはディーゼル機関車)で牽引し、非電化区間では内燃機関を動力源とする、例えば、ディーゼル機関車で牽引する方式が一般的に広く用いられている。
【0004】
電気、ディーゼルに関らず機関車は、多くの機器を搭載しており、通常、列車を構成する客車の数倍の重量がある。例えば、新幹線列車のように、駆動装置をはじめとする列車に必要な機能を分散配置した動力分散型の列車と比較して、機関車は、軸重のある車軸により、軌道へのダメージが大きくなる、あるいは、重量が集中した車両のブレーキ力の増強が必要であるなどの理由により、列車の高速化に限界があると言う課題があった。
【0005】
一方で、機能分散型の列車においては、電化区間用、非電化区間用のそれぞれに最適化する必要があり、共通化できないという課題がある。
【0006】
また、機関車が唯一無二の動力供給源である構成の列車では、機関車が故障した場合に列車が立ち往生してしまう課題がある。さらに、最近の車両は窓ガラスが固定式になっており、車内の換気、温度管理には電気が必要であり、唯一の電力供給源でもある機関車が故障した場合、車内環境が極端に悪化してしまうと言う課題がある。特に、電気機関車においてはそれ自身に問題が無くとも架線への送電が停止してしまった場合にも、全ての乗客へのサービスが停止しまうと言う課題がある。
【0007】
このような課題に対して、非特許文献1では、架線電圧またはディーゼルエンジンによる発電手段を有し、走行区間に合せて、これらを切替えることにより、上記の課題を解消できる鉄道用車両を実現する手段が掲載されている。上記非特許文献1の方式では、複数の電力源を有することができるので、いずれかの電力源に問題があった場合にも運行の継続や、乗客サービスの継続的な提供が可能となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Bombardier Transportation‘EcoActive Technologies〔MITRAC Hybrid〕The Dual Power Propulsion Chain’[retrievedon 16 April 2010]Retrieved fromInternet<URL:http//www.bombardier.com/files/en/supporting_docs/BT-ECO4-MITRAC_Hybrid.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記非特許文献1の技術は、機関車への適用や、固定編成への適用が前提とされており、機関車では編成荷重の分散によるトラックダメージの低減を達成できないと言う課題がある。また、固定編成においては輸送需要に応じて列車長を変更することができないという新たな課題がある。
【0010】
さらに、電化区間のみを走行する列車への運用の場合にも、非電化区間用の大きな発電手段(ディーゼルエンジン)を搭載する必要があり、かつ、非電化区間のみを走行する列車においても、架線下でのみ必要な機器の搭載が必要であり、効率的な列車構成とはいえないと言う課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の鉄道車上電気機器を搭載した鉄道用車両を連結した列車は、発電装置を搭載した車両、架線から電力を得て列車に電力を供給する車両、駆動装置を搭載した車両、車上機器に電源を供給する補助電源装置を搭載した車両、非常時に列車に電力を供給するための発電装置を搭載した車両、電力蓄積手段を搭載した車両、過剰電力消費手段を搭載した車両を設け、運行区間、乗客需要に応じて、これらの車両のすべてまたは一部を組合せてなる列車において、編成内の車両間で電力を融通できる手段(コモンバスライン)を少なくとも一系統を設けるとともに、編成を構成する車両の種別にかかわらず複数(二編成以上)の編成と分割、併合できる機能を設ける。
【0012】
また、各車に搭載した端末装置とそれらを結ぶ伝送路からなる列車制御システムを搭載し、車上の各装置の起動停止や、発電電力量、架線からの取り込み電力(回生時は、架線への電力回生量)、駆動装置が消費する電力などを統括制御する。
【0013】
さらに、列車制御システムにおいては、編成構成および列車内の装置の種別、員数を自動認識する機能および手動設定のための手段を設け、いずれか一方の機能にて編成構成を認識する機能を設ける。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、駆動装置、電源装置、補助電源装置を異なる車両に搭載し、機能を編成内に分散することで重量分散を図るとともに、駆動装置を有する車両と運用に合せた電源車を組合せることで非電化のみを走行する列車、電化区間のみを走行する列車、電化、非電化区間を通して運行される列車をそれぞれ最適化することができる。
【0015】
特に、架線電圧を唯一の電力源とする編成においては、補助発電装置を有する車両を連結することで、架線停電時にも乗客のサービスを継続的に提供することができる。
【0016】
また、編成構成にかかわらず複数の編成を分割・併合できる機能を活用することで、運用開始前後および運用の途中で、適宜編成長を変更可能となり、さらなる運用範囲の拡大が期待できる。
【0017】
さらに、これらの制御、状態表示を行う列車制御システムを搭載することで、電源の切替機能の自動化、最適化を図ることがで、運転手、乗務員の負担軽減を図ることができる。
【0018】
また、列車制御システムに編成構成を自動認識する機能(または、集中して設定できる機能を持たせる)を持たせることにより、編成組替えに伴う車両の設定および編成の分割・併合時の構成認識を容易に実現することができ、異なる列車の需要および運用中に分割・併合があっても短時間で対応することができる。もちろん、運転手、乗務員、保守員などにより手動設定することも可能である。
【0019】
また、列車制御システムに地上との通信機能を持たせ、地上にて編成の設定および確認を可能とすることで、列車の設定をさらに簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は本発明の一実施形態を示す編成図である。
【図2】図2は本発明の一実施形態を示す編成図である。
【図3】図3は本発明の一実施形態を示す編成図である。
【図4】図4は本発明の一実施形態を示す編成図である。
【図5】図5は本発明の一実施形態を示す編成図である。
【図6】図6は本発明の一実施形態を示す編成図である。
【図7】図7は本発明の一実施形態を示す編成図である。
【図8】図8は本発明の一実施形態を示す編成図である。
【図9】図9は本発明の一実施形態を示す編成図である。
【図10】図10は本発明の一実施形態を示す編成図である。
【図11】図11は本発明の一実施形態における列車を構成する鉄道車両(列車を通常運行するための主発電装置、例えばディーゼルエンジンなどの内燃機関を搭載した車両)を示す図である。
【図12】図12は本発明の一実施形態における列車を構成する鉄道車両(主発電装置、架線電力取り込みにかかわる機器が十分な電力を得られない場合において、車上の乗客サービス機器に電力を供給できる発電容量を有する補助発電装置、例えばディーゼルエンジンなどの内燃機関を搭載した車両)を示す図である。
【図13】図13は本発明の一実施形態における列車を構成する鉄道車両(列車を通常運行するための主発電装置、例えば燃料電池などの発電手段を搭載した車両)を示す図である。
【図14】図14は本発明の一実施形態における列車を構成する鉄道車両(主発電装置、架線電力取り込みにかかわる機器が十分な電力を得られない場合において、車上の乗客サービス機器に電力を供給できる発電容量を有する補助発電装置、例えば燃料電池などの発電手段を搭載した車両)を示す図である。
【図15】図15は本発明の一実施形態における列車を構成する鉄道車両(屋根上に搭載したパンタまたは他の車両に艤装されたパンタを介して交流架線から電力を得て、列車に電力を供給する車両)を示す図である。
【図16】図16は本発明の一実施形態における列車を構成する鉄道車両(他の車両に艤装されたパンタを介して交流架線から電力を得て、列車に電力を供給する車両)を示す図である。
【図17】図17は本発明の一実施形態における列車を構成する鉄道車両(屋根上に搭載したパンタまたは台車に搭載されたシューギアを介して直流架線またはサードレールから電力を得て、列車に電力を供給する車両)を示す図である。
【図18】図18は本発明の一実施形態における列車を構成する鉄道車両(電力変換器を持たないが、屋根上にパンタを搭載し架線電力を取り込み他の車両に送電するとともに、隣接する車両間の電力を送電するコモンバスラインを有する車両)を示す図である。
【図19】図19は本発明の一実施形態における列車を構成する鉄道車両(屋根上に搭載したパンタまたは他の車両に艤装されたパンタを介して交流架線から電力を得て、列車に電力を供給する変圧器と電力変換装置が床下に艤装された車両)を示す図である。
【図20】図20は本発明の一実施形態における列車を構成する鉄道車両(屋根上に搭載したパンタまたは他の車両に艤装されたパンタを介して交流架線から電力を得て、列車に電力を供給すると共に床下に補助発電装置が艤装された車両)を示す図である。
【図21】図21は本発明の一実施形態における列車を構成する鉄道車両(駆動装置を搭載した車両)を示す図である。
【図22】図22は本発明の一実施形態における列車を構成する鉄道車両(車上機器に電源を供給する補助電源装置と駆動装置を搭載した車両)を示す図である。
【図23】図23は本発明の一実施形態における列車を構成する鉄道車両(車上機器に電源を供給する補助電源装置を搭載した車両)を示す図である。
【図24】図24は本発明の一実施形態における列車を構成する鉄道車両(隣接する車両間の電力を送電するためのコモンバスラインを搭載した車両)を示す図である。
【図25】図25は本発明の一実施形態における列車を構成する鉄道車両(電力蓄積手段を搭載した車両)を示す図である。
【図26】図26は本発明の一実施形態における列車を構成する鉄道車両(過剰電力を消費する手段を搭載した車両)を示す図である。
【図27】図27は本発明の一実施形態における列車を構成する鉄道車両(変圧器と電力変換器(単相交流/直流変換)を床下艤装として搭載した車両)を示す図である。
【図28】図28は本発明の一実施形態における列車を構成する鉄道車両(補助電源装置を床下艤装として搭載した車両)を示す図である。
【図29】図29は本発明の一実施形態における列車制御システムの構成例を示す図である。
【図30】図30は本発明の一実施形態におけるコモンバスラインのアレンジを示す図である。
【図31】図31は本発明の一実施形態におけるコモンバスラインのアレンジを示す図である。
【図32】図32は本発明の一実施形態にける車上機器の関連を示す図である。
【図33】図33は本発明の一実施形態にける車上機器の関連を示す図である。
【図34】図34は本発明の一実施形態にける車上機器の関連を示す図である。
【図35】図35は本発明の一実施形態にける車上機器の関連を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【実施例】
【0022】
本発明を構成する鉄道車両機能の例を図11〜図26を用いて説明する。図11は、列車を通常運行するための電力を発電する車両1の構成図であり、車両1には、内燃機関(例えばディーゼルエンジンなどの内燃機関)10と、内燃機関10の駆動力を電気に変換する主発電機11と、主発電機11の出力電圧を安定した直流電圧に変換しコモンバスライン1000に電力を供給する電力変換器12が搭載されている。複数の車両からなる列車の電力源・駆動源となるため、10、11、12の機器は車内に艤装された電源専用車両となるため、乗客や荷物を載せることはないか、あっても非常に限られたスペースのみとなる。
【0023】
図12は、内燃機関10A、補助発電機11A、電力変換器12Aからなり、前記車両1や、後述する車両2、車両202、車両203などの架線からの電力を変換してコモンバスライン1000に電力を供給する手段が機能不全、架線システムの不具合などにより十分な電力を供給できない場合に起動され、乗客サービス機器に電力を供給するための発電容量を有する補助発電装置を有する車両1Aの構成図である。この車両に搭載されている補助発電装置は、図11に示した数MW程度の容量の主発電装置の数分の一から十数分の一の数百kW程度の容量の装置であり、小型軽量で、床下に艤装することが可能であり、乗客向けのスペースを十分に確保できる。
【0024】
図13は、列車を通常運行するための電力を発電する車両101の構成図であり、車両101には、燃料発電機などのリユース可能な発電装置111と、直流電圧に変換しコモンバスライン1000に電力を供給する電力変換器112が搭載されている。複数の車両からなる列車の電力源・駆動源となるため、111、112の機器は車内に艤装された電源専用車両となるため、乗客や荷物を載せることはないかあっても非常に限られたスペースのみとなる。
【0025】
図14は、前記車両1や、後述する車両2、車両202、車両203などの架線からの電力を変換してコモンバスライン1000に電力を供給する手段が機能不全、架線システムの不具合などにより十分な電力を供給できない場合に起動され、燃料発電機などのリユース可能な発電手段111Aと、直流電圧に変換しコモンバスライン1000に電力を供給する電力変換器112Aが搭載され、乗客サービス機器に電力を供給するための発電容量を有する補助発電装置を有する車両101Aの構成図である。
【0026】
図15は、パンタ20を介して、図示していない(交流)架線から電力を取り込みコモンバスライン1000に電力を供給(または回生)する車両2を示す図である。パンタ20にて得た架線電力を変圧器21にて、降圧し電力変換装置22にて、安定した直流電圧・電力に変換しコモンバスライン1000に供給する。図15の例では、パンタ20は言うまでもなく屋根上に艤装される。変圧器21と電力変換装置22は、車両内に搭載されている。
【0027】
図16は、パンタが無いことを除き車両2と同じ機能を有する車両201の構成図である。この車両を、中間を編成に連結することで、架線からの入力電力容量を増加することができる。この車両を編成内接続する場合は、特高ケーブル200が必要である。
【0028】
図17は、直流を前提としており、重要度低。パンタ20により取り込んだ電力を電力変換器23にて、安定した電圧に変換し、コモンバスライン1000に供給する。サードレール方式の場合においては、パンタ20ではなく台車に装荷したシューギアを備える。
【0029】
図18において、車両203は、パンタ20を有し、ケーブル200にて車両2または車両201に架線電力を電送する機能を有する。
【0030】
図19において、車両204は、パンタ20を介して、図示していない(交流)架線から電力を取り込みコモンバスライン1000に電力を供給(または回生)する。パンタ20にて得た架線電力を床下に艤装された変圧器21Aにて降圧し、床下に艤装された電力変換装置22Aにて、安定した直流電圧・電力に変換しコモンバスライン1000に供給する。図19では、パンタ20は屋根上に艤装されるが、変圧器21Aと電力変換装置22Aは、床下に艤装され、乗客向けのスペースを十分に確保することができる。
【0031】
図20において、車両204は、パンタ20を介して、図示していない(交流)架線から電力を取り込みコモンバスライン1000に電力を供給(または回生)する。パンタ20にて得た架線電力を変圧器21にて、降圧し電力変換装置22にて、安定した直流電圧・電力に変換しコモンバスライン1000に供給する。また、図20の車両204には補助発電装置が搭載されており、補助発電装置121Aと電力変換器122Aが車両204の床下に艤装されている。
搭載されている補助発電装置121Aは、図13に示した発電装置111の数分の一から十数分の一の容量の装置であり、小型軽量で、床下に艤装することが可能であり、乗客向けのスペースを十分に確保できる。
【0032】
図21は、コモンバスライン1000から電力を得て、車輪を駆動する電動機32を駆動する電力変換装置31からなる車両3を示す図である。この例では、一台の電力変換装置で4台の電動機を駆動しているが、電力変換装置で駆動する電動機の数は、1台や2台であっても良い。その際、車両3に搭載される電力変換装置の数は、一車両に具備される電動機の数と、電力変換装置一台が駆動する電動機の数により、1台、2台、(3台)4台のいずれでもよい。
【0033】
図22は、図21に示した構成の車両に加えて車上の負荷装置に電力を供給する補助電源装置41を追加して搭載した車両304を示している。この車両を連結することで、列車を駆動するとともに車上の負荷装置に電力を供給することが可能となる。
【0034】
図23は、補助電源装置41を搭載し、コモンバスライン1000に接続した車両4を示している。
【0035】
図24は、隣接する車両間の電力を融通するためのコモンバスライン1000を搭載した車両5を示している。この車両は、電源、駆動装置、補助電源装置、後述する蓄電手段、電力消費手段などはない車両である。(空調、照明などの自車内の負荷を除き、編成内の電力融通にかかわる機器は、コモンバスライン1000のみである。)
【0036】
図25は、電力蓄積手段61と、電力蓄積手段61とコモンバスライン1000間の電力を制御する電力変換装置62を搭載した車両6を示した図である。この車両6は、車両3や車両304に搭載されている電動機32が制動時に発電するエネルギー(回生エネルギー)や編成内の余剰電力(電源装置の発生する電力と、駆動装置、補助電源装置によって消費される電力の差分)をコモンバスライン1000、電力変換装置62を介して蓄積し、加速時にそのエネルギーをコモンバスライン1000に供給することで列車内のエネルギー効率を向上する。また、電力変換装置62にて電力蓄積手段61の蓄積電力量、放出電力量を調整することでコモンバスラインの電圧安定化を図る。
【0037】
図26は、電力消費手段71(例えば抵抗器)と、電力消費手段71とコモンバスライン1000間の電力を制御する電力変換装置72を搭載した車両7を示した図である。この車両は、車両3や車両304に搭載されている電動機32が制動時に発電するエネルギー(回生エネルギー)や、編成内の余剰電力(電源装置の発生する電力と、駆動装置、補助電源装置によって消費される電力の差分)を電力変換装置72にて電力消費手段71の消費電力量を調整することでコモンバスライン1000の安定化を図る。
【0038】
図27は本発明の一実施形態における列車を構成する鉄道車両(変圧器と電力変換器(単相交流/直流変換)を床下艤装として搭載した車両)を示す図である。車両8の床下に、変圧器21Aと電力変換装置22Aが艤装され、コモンバスライン1000と接続されている。
【0039】
図28は本発明の一実施形態における列車を構成する鉄道車両(補助電源装置を床下艤装として搭載した車両)を示す図である。車両8の床下に、補助電源装置41Aが艤装され、コモンバスライン1000と接続されている。
【0040】
図1は、上述した車両のうち、車両1、車両3、車両4を組合せた編成の例であり、非電化区間および電化区間を編成内の発電手段を電力源として走行する列車を示している。
【0041】
図1の編成では、両端の車両1からコモンバスライン1000を介して、車両3と車両4に電力を供給する構成である。車両3に搭載された機器により、電動機32を駆動して列車を走行させる。また、車両4に搭載されている補助電源装置にて、編成内の負荷に電力を供給する。これにより列車として必要な機能を実現する。
【0042】
また、両端の車両に搭載された異なる電力源からコモンバスライン1000に電力を供給する方式としては、次の(1)から(4)のいずれか、または、これらの組合せ((3)と(4)の組合せは除く)によって実現する。
(1)コモンバスライン1000の制御目標電圧を共通にする
(2)前記列車制御システム2000により、発電量を決定して制御する
(3)コモンバスライン1000を二重化し、それぞれ異なる車両1に搭載される電力源を接続するとともに、負荷となる車両3、車両4の機器をいずれか一方のコモンバスラインに接続する。電力源と負荷は、二重化されたコモンバスラインのどちらにも接続できる選択手段を持ち合わせることで、コモンバスラインの一方に故障があっても、電力源から負荷への電力の伝送を可能とする。
(4)コモンバスライン1000の給電区分を二区間に分割し、それぞれに異なる電力源を接続し、負荷となる車両3、車両4の機器をいずれか一方のコモンバスラインに接続する。
【0043】
この場合、二つの給電区分に接触器を設けることで、一方の電源が故障した場合にも、編成全体に電力を供給することが可能となる。
【0044】
必要に応じて、車両1の発電量は、編成内の車両3、車両4が消費する電力を基づいて制御する。また、コモンバスライン1000を介した列車内の安定した電力の送電、受電のため、列車の総消費電力が、車両1の最大発電可能電力となるように車両3、車両4の消費電力に制限を設ける。すなわち、列車内の駆動にかかわる電力量と、補助電源装置を介して列車上の負荷が消費する電力の総和が、列車内発電手段の最大発電量の和となるように、駆動力または車上負荷のいずれか一方または両方を制限する。
【0045】
以上により、編成内の発電電力、消費電力のバランスを取ることができ、コモンバスライン1000の過電圧や、低電圧による機器の停止を防ぐことができ、安定且つ継続的な列車の運行を確保することができる。
【0046】
上記の機能は、図29に示す列車制御システム2000の搭載によって、更なる安定化が可能である。列車制御システム2000は、各車両に車上機器の動作状態をモニタリング、制御する端末2001と、これらの間を伝送路2002で接続してなり、より高精度、高速に、発電電力量、駆動力、車両負荷のモニタリングと制御、制限することができ、これにより安定した列車の運行が可能となる。
【0047】
図1では、編成の中間に車両3、車両4を連結した例を示しているが、車両3、車両4の代わりに、これらの車両の有する機能を併せ持つ車両304を列車に連結しても同様の効果が得られる。もちろん、車両3、車両4をそのままに車両304を連結しても良い。 また、単に車両を増結する場合、車両5を追加して連結することで、容易に編成長の変更が可能である。
【0048】
車両6を連結することで、制動時のエネルギーを蓄積し、加速時に蓄積したエネルギーを活用することができ、高効率化、燃料消費率の改善、機械ブレーキの負担を低減することができ、列車運用にかかわる費用を低減することができる。
【0049】
車両7を連結することにより、制動時のエネルギーを消費することで、機械ブレーキの負担を低減することができ、列車運用にかかわる費用(ブレーキの保守費用)を低減することができる。
【0050】
ここでは、61、62からなる電力蓄積手段、71、72からなる電力消費手段を有する専用車両、車両6、車両7を連結することを例にとって説明したが、これらの手段は、編成内の他の車両、例えば車両1、車両3、車両4や、そのほか車両304などに、分散配置しても良い。
【0051】
図1では、発電手段を有する車両1を列車の両端に連結し、双方を動作させているが、編成長が短い場合には、いずれか一方のみを動作させ、他方を停止することで、発電手段の稼動時間を短縮することができ、保守コストを低減することができる。さらなる、列車運行の高効率化のため一端のみに車両1を連結しても良い。
【0052】
また、この場合、電力源となる車両1が一両のみとなるため、故障した場合の乗客サービスの提供が困難となる。このような事態を避けるため、小容量の発電手段を有する車両1Aを連結しても良い。
【0053】
車両1Aは、発電手段を床下に搭載しているため、乗客が乗車できる車両であり、編成における連結位置に制約は無く、列車の乗車定員を増加させることができる。もちろん、他の車両と車両1Aを入れ替えることで、定員を減少させることなく、編成長の短縮、編成重量の低減を図ってもよい。これにより、編成重量の増加を伴うことなく、乗客サービスの提供と、列車の移動が可能となる。
【0054】
車両1Aの電源を編成内の唯一の電源とする場合において、列車の移動が優先される場合は乗客へのサービス提供に必要な電力を、恒久的または一時的に制限し、列車の移動に必要な電力を確保しても良い。
【0055】
編成内に連結できる車両1Aの車両数に制限はなく、複数連結し電力を確保してもよい。(これらの発電手段の運転方法は、上述の(1)から(4)の方法を適用する。)上述の機能については、手動または、前述の列車制御システムによる自動切換えによって実現しても良い。
【0056】
また、車両1、車両1Aについては内燃機関を電力源として説明しているが、車両101、車両101Aのように、燃料電池のような発電手段を電力源としても良い。
【0057】
一般に、列車が必要とする電力は、燃料電池の発電量の変化と比較して、高速に変化するため、列車が必要とする瞬間必要電力に過不足が生じる。
【0058】
該当の編成に電力蓄積手段を有する車両6を合せて連結することで、燃料電池の出力を平均化することができ、より効率的な運転を実現できる。もちろん、車両6の機能を編成内のほかの車両、例えば、車両101、車両3、車両4などに分散して配置しても同様の機能が得られる。
【0059】
上述のように、編成長の変更、連結される車両の種別の識別、車上機器の制御は、図29に示した列車制御システム2000によって、自動、運転手、乗務員、保守員などによる手動または半手動によって行う事で、列車を構成する機器のセッティングを確実且つ短時間に実施できることは言うまでも無い。
【0060】
図2は、既に説明した車両のうち、車両1、車両3、車両4と車両2を組合せた編成の別の例である。図1と異なる点は、列車への電力供給を車両1と、車両2の異なる電力源によって行う点であり、図1の列車と同様に非電化区間および電化区間を編成内の発電手段を電力源として走行するとともに、電化区間においては車両2に搭載されたパンタ20、変圧器21、電力変換器22を介して、架線から列車の電力源を得て走行する列車の例を示している。
【0061】
図2の編成では、両端の車両1および車両2からコモンバスライン1000を介して、車両3と車両4に電力を供給する構成である。車両3に搭載された機器により、電動機32を駆動して列車を走行させる。また、車両5に搭載されている補助電源装置にて、編成内の負荷に電力を供給する。これにより列車として必要な機能を実現する。
【0062】
両端の車両に搭載された異なる種別の電力源(車両1の発電手段および車両2の電力変換手段)からコモンバスライン1000に電力を供給する方式としては、次の(1)から(4)のいずれか、または、これらの組合せ((3)と(4)の組合せは除く)によって実現する。
(1)コモンバスライン1000の制御目標電圧を共通にする
(2)前記列車制御システム2000により、発電量を決定して制御する
(3)コモンバスライン1000を二重化し、それぞれ異なる車両1に搭載される電力源を接続するとともに、負荷となる車両3、車両4の機器をいずれか一方のコモンバスラインに接続する。
【0063】
電力源と負荷は、二重化されたコモンバスラインのどちらにも接続できる選択手段を持ち合わせることで、コモンバスラインの一方に故障があっても、電力源から負荷への電力の伝送を可能とする。
(4)コモンバスライン1000の給電区分を二区間に分割し、それぞれに異なる電力源を接続し、負荷となる車両3、車両4の機器をいずれか一方のコモンバスラインに接続する。
【0064】
この場合、二つの給電区分に接触器を設けることで、一方の電源が故障した場合にも、編成全体に電力を供給することが可能となる。
【0065】
必要に応じて、車両1の発電量、車両2の電力変換量は、編成内の車両3、車両4が消費する電力を基づいて制御する。また、コモンバスライン1000を介した列車内の安定した電力の送電、受電のため、列車の総消費電力が、車両1の最大発電可能電力と車両2の最大電力変換量の和以下となるように車両3、車両4の消費電力に制限を設ける。
【0066】
すなわち、列車内の駆動にかかわる電力量と、補助電源装置を介して列車上の負荷が消費する電力の総和が、列車内電力源(車両1の発電量+車両2の電力変換量)の和となるように、駆動力または車上負荷のいずれか一方または両方を制限する。
【0067】
上記は、車両1と車両2の両方が稼動可能であることを前提としているが、非電化区間においては車両2の電力変換量は零となり、車両1の発電量のみとなるため、列車内の駆動にかかわる電力量と、補助電源装置を介して列車上の負荷が消費する電力の総和が、車両1の最大発電量以下となるように、駆動力または車上負荷のいずれか一方または両方を制限する。
【0068】
また、電化区間においては、電力変換効率の良い車両2のみを運転し、車両1の発電を停止すること事があり、この場合においては、車両1の発電量は零となるため、列車内の駆動にかかわる電力量と、補助電源装置を介して列車上の負荷が消費する電力の総和が、車両2の電力変換量以下となるように、駆動力または車上負荷のいずれか一方または両方を制限する。
【0069】
以上により、編成内の発電電力、消費電力のバランスを取ることができ、コモンバスライン1000の過電圧や、低電圧による機器の停止を防ぐことができ、安定且つ継続的な列車の運行を確保することができる。
【0070】
上記の機能は、図29に示す列車制御システム2000の搭載によって、更なる安定化が可能である。列車制御システム2000は、各車両に車上機器の動作状態をモニタリング、制御する端末2001と、これらの間を伝送路2002で接続してなり、より高精度、高速に、発電電力量、駆動力、車両負荷のモニタリングと制御、制限することができる。これにより安定した列車の運行が可能となる。
【0071】
図2の構成においては、電化区間にて電力系統に不具合があっても、車両1の発電手段を起動して、列車に電力を供給することで、運転の継続が可能となる。
【0072】
非電化区間での車両1の発電手段の不全に、対応するためには、編成内に車両1Aを追加することで、既に図1の例で述べたように乗客へのサービス提供の確保と、列車の移動が可能となる。この場合、電化区間でも車両1Aの電力を活用することで、車両1の発電手段を起動した場合よりもより、少ないエネルギーで、列車の移動が可能となる。
【0073】
図2では、編成の中間に車両3、車両4を連結した例を示しているが、車両3、車両4の代わりに、これらの車両の有する機能を併せ持つ車両304を列車に連結しても同様の効果が得られる。もちろん、車両3、車両4をそのままに車両304を連結しても良い。
【0074】
また、単に車両を増結する場合、車両5を追加して連結することで、容易に編成長の変更が可能である。
【0075】
図2においては、架線から電力を取り込む機能は車両2にのみ搭載されているが、電化区間にて更なる出力を得る場合においては、車両3、車両4または、それらと同等の車両(例えば304)を増結するとともに、図32に示すように架線から電源を得る車両2を(図2の右端の車両2に加え)少なくとも一両増結し、コモンバスライン1000に電力を供給する構成としても良い。これによって、編成内の電力容量を増大することができ、長大編成や、列車の高速化に容易に対応することが可能となる。
【0076】
この構成の編成においては、図33に示すように編成内の車両2のパンタ20をケーブル200を介して接続することで、編成で2台のパンタを共通して利用することが可能となり、いずれか一方のパンタが故障しても、これを開放して、他方のパンタで運転を継続することがかのうとなり、列車の信頼性を向上することができる。
【0077】
図34は、パンタ20を有さない車両201を編成の中間に増結し、屋根上に車両2に搭載されているパンタ20から、車両201までのケーブル200を追加して、架線と車両201に搭載された変圧器21を接続し、車両201に搭載された電力変換装置22を介して、コモンバスライン1000に電力を供給する編成構成した例である。
【0078】
ただし、パンタ20、ケーブル200、変圧器21の関係を示しており、コモンバスライン1000は図示していない。
【0079】
図34の構成によっても車両2を複数編成に連結した場合と、同様に、編成内の電力容量を増大することができ、長大編成や、列車の高速化に容易に対応することが可能となる。
【0080】
同様の効果が得られる他の例としては、図35に示すようにパンタ20とケーブル200を有する車両203を増結して、ケーブル200を介して、車両201に搭載された変圧器21を接続してもよい。ケーブル200にて、車両2と車両203に搭載された電力変換装置22にて架線電圧を変換して、コモンバスライン1000に電力を供給する方法がある。
【0081】
この例においては、それぞれのパンタ20を接続することで、編成で2台のパンタを共通して利用することが可能となり、いずれか一方のパンタが故障しても、これを開放して、他方のパンタで運転を継続することが可能となり、列車の信頼性を向上することができる。
【0082】
車両1Aの追加による効果は、上記のいずれの編成構成(図2とそれから波及した構成)においても、既に述べた効果が得られる。
【0083】
故障した場合の乗客サービスの提供が困難となる。このような事態を避けるため、小容量の発電手段すなわち補助発電装置を有する車両1Aを連結しても良い。車両1Aは、発電手段を床下に搭載しているため、乗客が乗車できる車両であり、編成における連結位置に制約は無く、列車の乗車定員を増加させることができる。もちろん,既に編成を構成している車両に補助発電装置を追加艤装しても良い。
【0084】
もちろん、他の車両と車両1Aを入れ替えることで、定員を減少させることなく、編成長の短縮、編成重量の低減を図ってもよい。これにより、編成重量の増加を伴うことなく、乗客サービスの提供と、列車の移動が可能となる。車両1Aの電源を編成内の唯一の電源とする場合において、列車の移動が優先される場合は乗客へのサービス提供に必要な電力を、恒久的または一時的に制限し、列車の移動に必要な電力を確保しても良い。
【0085】
編成内に連結できる車両1Aの車両数に制限はなく、複数連結し電力を確保してもよい。(これらの発電手段の運転方法は、上述の(1)から(4)の方法を適用する。)
【0086】
ところで、電化区間においては、制動時のエネルギーを架線へ戻す回生ブレーキを利用することができる。しかしながら、架線電圧が規定範囲外であったり、インフラ自身が回生電力を受け付けない場合、ニュートラルセクション(き電区分の切り替えのための無電源区間)通過時には、回生ブレーキを活用することができず、エネルギーの効率的な活用、保守の低減が期待できないことがある。
【0087】
このような状態においては、車両6、車両7のいずれかまはた両方を編成に連結する。車両6を連結することで、制動時のエネルギーを蓄電手段61蓄積し、加速時に蓄積したエネルギーを活用することで、高効率化、燃料消費率の改善、機械ブレーキの負担を低減することができ、列車運用にかかわる費用を低減することができる。
【0088】
一方、車両7を連結することで、制動時のエネルギーを消費することで、機械ブレーキの負担を低減することができ、列車運用にかかわる費用(ブレーキの保守費用)を低減することができる。
【0089】
ここでは、61、62からなる電力蓄積手段、71、72からなる電力消費手段を有する専用車両、車両6、車両7を連結することを例にとって説明したが、これらの手段は、編成内の他の車両、例えば車両1、車両3、車両4や、そのほか車両304などに、分散配置しても良い。
【0090】
車両1については内燃機関を電力源として説明しているが、車両101Aのように、燃料電池のような発電手段を電力源としても良い。
【0091】
一般に、列車が必要とする電力は、燃料電池の発電量の変化と比較して、高速に変化するため、列車が必要とする瞬間必要電力に過不足が生じる。
【0092】
該当の編成に電力蓄積手段を有する車両6を合せて連結することで、燃料電池の出力を平均化することができ、より効率的な運転を実現できる。もちろん、車両6の機能を編成内のほかの車両、例えば、車両101、車両3、車両4などに分散して配置しても同様の機能が得られる。
【0093】
上述のように、編成長の変更、連結される車両の種別の識別、車上機器の制御は、図29に示した列車制御システム2000によって、自動、運転手、乗務員、保守員などによる手動または半手動によって行う事で、列車を構成する機器のセッティングを確実且つ短時間に実施できることは言うまでも無い。
【0094】
図3は、車両2を両端に接続した電化専用の編成を示す図である。図1、図2の例と同じ中間車の組合せに、対して両端の車両を、前述の車両2とした、電化区間専用の列車である。
【0095】
前記、両端に連結された二台の車両2に搭載されたパンタ20、変圧器21、電力変換器22を介して、架線から列車の電力源を得て、コモンバスライン1000を介して、車両3と車両4に電力を供給する構成である。車両3に搭載された機器により、電動機32を駆動して列車を走行させる。また、車両5に搭載されている補助電源装置にて、編成内の負荷に電力を供給する。これにより列車として必要な機能を実現する。
【0096】
両端の車両に搭載された二つの電力源からコモンバスライン1000に電力を供給する方式としては、次の(1)から(4)のいずれか、または、これらの組合せ((3)と(4)の組合せは除く)によって実現する。
(1)コモンバスライン1000の制御目標電圧を共通にする。
(2)前記列車制御システム2000により、発電量を決定して制御する。
(3)コモンバスライン1000を二重化し、それぞれ異なる車両1に搭載される電力源を接続するとともに、負荷となる車両3、車両4の機器をいずれか一方のコモンバスラインに接続する。電力源と負荷は、二重化されたコモンバスラインのどちらにも接続できる選択手段を持ち合わせることで、コモンバスラインの一方に故障があっても、電力源から負荷への電力の伝送を可能とする。
(4)コモンバスライン1000の給電区分を二区間に分割し、それぞれに異なる電力源を接続し、負荷となる車両3、車両4の機器をいずれか一方のコモンバスラインに接続する。
【0097】
この場合、二つの給電区分に接触器を設けることで、一方の電源が故障した場合にも、編成全体に電力を供給することが可能となる。
【0098】
必要に応じて、二台の車両2の電力変換量は、編成内の車両3、車両4が消費する電力を基づいて制御する。また、コモンバスライン1000を介した列車内の安定した電力の送電、受電のため、列車の総消費電力が、車両1の最大発電可能電力と車両2の最大電力変換量の和以下となるように車両3、車両4の消費電力に制限を設ける。
【0099】
すなわち、列車内の駆動にかかわる電力量と、補助電源装置を介して列車上の負荷が消費する電力の総和が、列車内電力源(図3の例では、二台の車両2の電力変換量)の和となるように、駆動力または車上負荷のいずれか一方または両方を制限する。
【0100】
上記は、二台の車両2が有する電力変換機能が、稼動可能であることを前提としているが、一台のみが稼動可能または、一台のみを稼動させた場合、列車内の駆動にかかわる電力量と、補助電源装置を介して列車上の負荷が消費する電力の総和が、車両2の最大発電量以下となるように、駆動力または車上負荷のいずれか一方または両方を制限する。
【0101】
以上により、編成内の発電電力、消費電力のバランスを取ることができ、コモンバスライン1000の過電圧や、低電圧による機器の停止を防ぐことができ、安定且つ継続的な列車の運行を確保することができる。
【0102】
上記の機能は、図29に示す列車制御システム2000の搭載によって、更なる安定化が可能である。列車制御システム2000は、各車両に車上機器の動作状態をモニタリング、制御する端末2001と、これらの間を伝送路2002で接続してなり、より高精度、高速に、発電電力量、駆動力、車両負荷のモニタリングと制御、制限することができる。これによ、より安定した列車の運行が可能となる。
【0103】
図3の構成においては、電化区間にて地上の電力系統に不具合があって、列車内に搭載されている電力変換装置が故障した場合、電力源を失い、乗客へサービスが提供できない、列車を移動できない状態に陥る。
【0104】
そこで、このような事態に対応するする手段として、編成内に車両1Aを追加し、コモンモードバスライン1000を介して、列車に電力を供給することで、既に図1、図2の例で述べたように乗客へのサービス提供の確保と、列車の移動が可能とする。
【0105】
もちろん、車両1Aの出力は、ここで述べた電力源を失った場合以外にも、電力供給が不十分な場合、列車遅延時の回復運転時に、追加電力源として活用しても良い。(この部分は、図1、図2には記述していない。)
【0106】
また、編成に連結する車両1Aの台数には制限がなく、必要に応じて2台、3台連結しても良い。この場合、車両1Aの発電する電力は、コモンバスライン1000を介して、編成内の車上機器に分配する。
【0107】
そのほかにも、それぞれの車両1Aが供給する車両を特定して、電力を供給しても良い。(配電区分を、設定して区間内の負荷のみに電力を供給する。)
【0108】
図3では、編成の中間に車両3、車両4を連結した例を示しているが、車両3、車両4の代わりに、これらの車両の有する機能を併せ持つ車両304を列車に連結しても同様の効果が得られる。もちろん、車両3、車両4をそのままに車両304を連結しても良い。
【0109】
また、単に車両を増結する場合、車両5を追加して連結することで、容易に編成長の変更が可能である。
【0110】
図3において、車両3、車両4または、それらと同等の車両(例えば304)を増結することで、より十分な駆動力と列車運用に必要な車上電源を確保しながら長大編成を構成することができる。
【0111】
図3において、編成の両端に連結されている二台の車両2に搭載されているパンタ20をケーブル200にて接続することで、それぞれのパンタ20を接続することで、編成で2台のパンタを共通して利用することが可能となり、いずれか一方のパンタが故障しても、これを開放して、他方のパンタで運転を継続することが可能となり、列車の信頼性を向上することができる。
【0112】
図3においては、架線から電力を取り込む機能有する車両2を編成の両端に連結しているが、いずれか一方または両方を編成の中間に連結しても良い。(→図32と同じ)もちろん、パンタ20をケーブル200にて接続することで上記と同じ効果が得られる。一方を中間に連結した場合は図33に示されている。
【0113】
車両2に代わり、パンタ20を有さない車両201を編成の中間に増結し、屋根上に車両2に搭載されているパンタ20から、車両201までのケーブル200を追加して、架線と車両201に搭載された変圧器21を接続し、車両201に搭載された電力変換装置22を介して、コモンバスライン1000に電力を供給する編成構成した例である。
【0114】
ただし、パンタ20、ケーブル200、変圧器21の関係を示しており、コモンバスライン1000は示していない。
【0115】
この構成によっても、図3と同じ効果が得られるとともに、敷設に費用が掛かるケーブル200を短くできるという利点がある。もちろん車両201を車両21に近接することでさらに短縮化できる。
【0116】
しかし、この場合には車両201と車両2の間に電力を消費する車両が存在しない、または消費する車両があっても全電力と比較して小さいため、コモンバスライン1000が負担する電力が極端に大きくなってしまうことがあるので、ケーブル200の長さと、コモンバスライン1000の電力集中の排除の観点からは、車両201を編成できるだけ中心に配するのが理想である。
【0117】
同様の効果が得られる他の例としては、図35に示すように、パンタ20とケーブル200を有する車両203を増結して、ケーブル200を介して、車両201に搭載された変圧器21を接続してもよい。ケーブル200にて、車両2と車両203に搭載された電力変換装置22にて架線電圧を変換して、コモンバスライン1000に電力を供給する方法がある。
【0118】
この例においては、それぞれのパンタ20を接続することで、編成で2台のパンタを共通して利用することが可能となり、いずれか一方のパンタが故障しても、これを開放して、他方のパンタで運転を継続することが可能となり、列車の信頼性を向上することができる。
【0119】
また、パンタを有する車両203と、パンタと電力変換機能を有する車両2間の距離をできるだけ長く取る位置に前記車両203を連結することによって、パンタ間の距離が離れ、架線を構成するワイヤーの‘張’が弱い区間においても、ワイヤーの機械的共振を発生することなく、列車の速度を向上できるメリットがある。最も距離を確保できる車両203の連結位置は、車両2と反対側の編成端である。(図35の左端の車両9の位置)
【0120】
車両1Aの追加による効果は、上記のいずれの編成構成(図3とそれから波及した構成)においても、既に述べた効果が得られる。
【0121】
ところで、電化区間においては、制動時のエネルギーを架線へ戻す回生ブレーキを利用することができる。しかしながら、架線電圧が規定範囲外であったり、インフラ自身が回生電力を受け付けない場合、ニュートラルセクション(き電区分切替のための無電源区間)通過時には、回生ブレーキを活用することができず、エネルギーの効率的な活用、保守の低減が期待できないことがある。
【0122】
このような状態においては、車両6、車両7のいずれかまはた両方を編成に連結する。車両6を連結することで、制動時のエネルギーを蓄電手段61蓄積し、加速時に蓄積したエネルギーを活用することで、高効率化、燃料消費率の改善、機械ブレーキの負担を低減することができ、列車運用にかかわる費用を低減することができる。
【0123】
一方、車両7を連結するこで、制動時のエネルギーを消費することで、機械ブレーキの負担を低減することができ、列車運用にかかわる費用(ブレーキの保守費用)を低減することができる。
【0124】
ここでは、61、62からなる電力蓄積手段、71、72からなる電力消費手段を有する専用車両、車両6、車両7を連結することを例にとって説明したが、これらの手段は、編成内の他の車両、例えば車両1、車両3、車両4や、そのほか車両304などに、分散配置しても良い。
【0125】
車両1については内燃機関を電力源として説明しているが、車両101Aのように、燃料電池のような発電手段を電力源としても良い。
【0126】
一般に、列車が必要とする電力は、燃料電池の発電量の変化と比較して、高速に変化するため、列車が必要とする瞬間必要電力に過不足が生じる。
【0127】
該当の編成に電力蓄積手段を有する車両6を合せて連結することで、燃料電池の出力を平均化することができ、より効率的な運転を実現できる。もちろん、車両6の機能を編成内のほかの車両、例えば、車両101、車両3、車両4などに分散して配置しても同様の機能が得られる。
【0128】
上述のように、編成長の変更、連結される車両の種別の識別、車上機器の制御は、図29に示した列車制御システム2000によって、自動、運転手、乗務員、保守員などによる手動または半手動によって行う事で、列車を構成する機器のセッティングを確実且つ短時間に実施できることは言うまでも無い。
【0129】
以下は、図1から図3までの編成構成に対する共通する事項について説明する。列車制御システム2000においては、端末2001の一部に全端末を統括管理する機能を持たせる。
【0130】
先頭車を車両1、車両2に置き換えることで容易に、走行区間を変更可能である。また、中間車の増結、取外しにより編成長を自由に変更することが可能である。
【0131】
増結する車両によって、非常電源確保(車両1A、車両101A)、回生電力の有効利用および機械ブレーキの負担軽減(車両6)、機械ブレーキの負担軽減(車両7)を、実現可能である。
【0132】
これまでの説明は、交流架線を前提に説明しているが、直流架線(またはサードレール)からパンタ20(サードレールの場合にはシューギア)、電力変換器23を介してコモンバスライン1000に電力を供給する機器を搭載した車両202を、車両2、車両201、車両203の変わりに連結することで、直流架線下を走行する列車を提供することができる。
【0133】
上述のように、駆動装置、電源装置、補助電源装置を異なる車両に搭載し、機能を編成内に分散することで重量分散を図るとともに、駆動装置を有する車両と運用に合せた電源車を組合せることで非電化のみを走行する列車、電化区間のみを走行する列車、電化、非電化区間を通して運行される列車をそれぞれ最適化することができる。
【0134】
特に、架線電圧を唯一の電力源とする編成においては、補助発電装置を有する車両を連結することで、架線停電時にも乗客のサービスを継続的に提供することができ、列車運用の高効率化を実現することが可能となる。
【0135】
さらに、これらの制御、状態表示を行う列車制御システムを搭載することで、電源の切替機能の自動化、最適化を図ることがで、運転手、乗務員の負担軽減を図ることができる。
【0136】
また、列車制御システムに編成構成を自動認識する機能(または、集中して設定できる機能を持たせる)を持たせることにより、編成組替えに伴う車両の設定および編成の分割・併合時の構成認識を容易に実現することができ、異なる列車の需要および運用中に分割・併合があっても短時間で対応することができる。もちろん、運転手、乗務員、保守員などにより手動設定することも可能である。
【0137】
列車制御システムに地上との通信機能を持たせ、地上にて編成の設定および確認を可能とすることで、列車の設定をさらに簡素化することができ、運用コストの低減が期待できる。
【0138】
本発明により、軌道へのダメージが軽微で、非常時に対応でき、運行の自由度があり、車両の有効利用が可能である、列車を提供することができる。
【0139】
図4は、本発明の鉄道車両の編成列車の一実施形態を示す編成図である。図4において、鉄道車両の編成列車は、発電装置(例えば内燃機関)を搭載した車両1,パンタ20を搭載し、架線から電力を得て他の車両に電力を供給する車両で、変圧器と電力変換器(単相交流/直流変換)を床下艤装として搭載した車両204,駆動装置31を搭載した車両3,隣接する車両間の電力のやり取りを行うためのコモンバスライン1000を有する車両5,変圧器21Aと電力変換器(単相交流/直流変換)22Aを床下艤装として搭載した車両8等から編成される。
【0140】
図5は、本発明の鉄道車両の編成列車の一実施形態を示す編成図である。図5において、鉄道車両の編成列車は、パンタを搭載し、架線から電力を得て他の車両に電力を供給する車両で、変圧器と電力変換器(単相交流/直流変換)を床下艤装として搭載した車両204,パンタを搭載し、架線から電力を得て他の車両に電力を供給する車両で、補助発電装置121Aを床下艤装として搭載した車両205、複数の駆動装置31を搭載した車両3から編成される。
【0141】
図6は、本発明の鉄道車両の編成列車の一実施形態を示す編成図である。図6において、鉄道車両の編成列車は、発電装置(例えば内燃機関)を搭載した車両1,パンタを搭載し、架線から電力を得て他の車両に電力を供給する車両で、変圧器21Aと電力変換器(単相交流/直流変換)22Aを床下艤装として搭載した車両204、複数の駆動装置31を搭載した車両3から編成される。
【0142】
図7は、本発明の鉄道車両の編成列車の一実施形態を示す編成図である。図7において、鉄道車両の編成列車は、パンタを搭載し、架線から電力を得て他の車両に電力を供給する車両で、変圧器21Aと電力変換器(単相交流/直流変換)22Aを床下艤装として搭載した車両204,パンタ20を搭載し、架線から電力を得て他の車両に電力を供給する車両で、補助発電装置121Aを床下艤装として搭載した車両205,駆動装置31を搭載した車両3,隣接する車両間の電力のやり取りを行うためのコモンバスライン1000を有する車両5,変圧器21Aと電力変換器(単相交流/直流変換)22Aを床下艤装として搭載した車両8,補助電源装置41Aを床下艤装として搭載した車両9から構成される。
【0143】
図8は、本発明の鉄道車両の編成列車の一実施形態を示す編成図である。図8において、鉄道車両の編成列車は、発電装置(例えば内燃機関)を搭載した車両1,パンタ20を搭載し、架線から電力を得て他の車両に電力を供給する車両で、変圧器21Aと電力変換器(単相交流/直流変換)22Aを床下艤装として搭載した車両204,駆動装置31を搭載した複数の車両3,隣接する車両間の電力のやり取りを行うためのコモンバスライン1000を有する車両5,変圧器21Aと電力変換器(単相交流/直流変換)22Aを床下艤装として搭載した車両8から編成される。
【0144】
図9は、本発明の鉄道車両の編成列車の一実施形態を示す編成図である。図9において、鉄道車両の編成列車は、パンタ20を搭載し、架線から電力を得て他の車両に電力を供給する車両で、変圧器21Aと電力変換器(単相交流/直流変換)22Aを床下艤装として搭載した車両204,パンタ20を搭載し、架線から電力を得て他の車両に電力を供給する車両で、補助発電装置121Aを床下艤装として搭載した車両205,駆動装置31を搭載した車両3,変圧器21Aと電力変換器(単相交流/直流変換)22Aを床下艤装として搭載した車両8,補助電源装置41Aを床下艤装として搭載した車両9から編成される。
【0145】
図10は、本発明の鉄道車両の編成列車の一実施形態を示す編成図である。図10において、鉄道車両の編成列車は、発電装置(例えば内燃機関)を搭載した車両1,パンタ20を搭載し、架線から電力を得て他の車両に電力を供給する車両で、変圧器21Aと電力変換器(単相交流/直流変換)22Aを床下艤装として搭載した車両204,駆動装置31を搭載した車両3,変圧器21Aと電力変換器(単相交流/直流変換)22Aを床下艤装として搭載した車両8から編成される。
【0146】
図1〜図10に示した鉄道車両の編成列車の構成図は、例示に過ぎず、既に示した種々の鉄道用車上電気機器を搭載した鉄道用車両を組み合わせて連結することにより、駆動装置、電源装置、補助電源装置、補助発電装置等を異なる車両に搭載し、機能を編成内に分散することで重量分散を図るとともに、駆動装置を有する車両と運用に合せた電源車を組合せることで非電化のみを走行する列車、電化区間のみを走行する列車、電化、非電化区間を通して運行される列車をそれぞれ最適化することができる。
【0147】
特に、架線電圧を唯一の電力源とする編成においては、補助発電装置を有する車両を連結することで、架線停電時にも乗客のサービスを継続的に提供することができる。
【0148】
また、編成構成にかかわらず複数の編成を分割・併合できる機能を活用することで、運用開始前後および運用の途中で、適宜編成長を変更可能となり、さらなる運用範囲の拡大が期待できる。
【0149】
さらに、これらの制御、状態表示を行う列車制御システムを搭載することで、電源の切替機能の自動化、最適化を図ることがで、運転手、乗務員の負担軽減を図ることができる。
【0150】
また、列車制御システムに編成構成を自動認識する機能(または、集中して設定できる機能を持たせる)を持たせることにより、編成組替えに伴う車両の設定および編成の分割・併合時の構成認識を容易に実現することができ、異なる列車の需要および運用中に分割・併合があっても短時間で対応することができる。もちろん、運転手、乗務員、保守員などにより手動設定することも可能である。
【0151】
また、列車制御システムに地上との通信機能を持たせ、地上にて編成の設定および確認を可能とすることで、列車の設定をさらに簡素化することができる。
【符号の説明】
【0152】
1 発電装置(例えば内燃機関)を搭載した車両
1A 非常時に列車に電力を供給するための発電装置を搭載した車両(※1にある内燃機関の数分の一程度)
2 交流架線から電力を得て列車に電力を供給する車両(パンタ付)
3 駆動装置31を搭載した車両
4 車上機器に電源を供給する補助電源装置を搭載した車両
5 隣接する車両間の電力のやり取りを行うためのコモンバスラインを有する車両
6 電力蓄積手段を搭載した車両
7 過剰電力消費手段を搭載した車両
8 変圧器と電力変換器(単相交流/直流変換)を床下艤装として搭載した車両
9 補助電源装置を床下艤装として搭載した車両
10 内燃機関
10A 内燃機関
11 主発電機
11A 補助発電機
12 電力変換器(三相交流/直流変換)
12A 電力変換器
20 集電装置(パンタ/サードレール方式の場合はシューギア)
21 変圧器
21A 床下に艤装された変圧器
22 電力変換装置(単相交流/直流変換)
22A 床下に艤装された電力変換装置
23 電力変換器(DC/DC変換)
31 電力変換装置(直流/三相交流)
32 モータ
41 補助電源装置
41A 床下に艤装された補助電源装置
61 電力蓄積手段
62 電力蓄積手段の電力の入出力を調整する電力変換装置(DC/DC変換)
71 過剰電力消費手段(例えば抵抗器)
72 過剰電力消費手段によって消費する電力を調整する電力変換装置(DC/DC変換)
90 車両
91 負荷を有する車両
101 発電装置(発電手段/燃料電池など)を搭載した車両車
101A 非常時に列車に電力を供給するための発電装置を搭載した車両(※1、101の装置は車上、1A、101Aの装置は床下艤装とし客車として機能する)
111 リユース可能な発電装置/燃料電池など
111A 補助発電装置
112 電力変換器
112A 電力変換器
121A 床下に艤装された補助発電装置
122A 床下に艤装された電力変換器
190 電力源
191 車上負荷
200 25kVケーブル
201 他の車両に搭載されたパンタから得た交流架線から電力を得て、列車に電力を供給する車両(パンタなし)
202 直流架線(または3rdレール)から電力を得て、列車に電力を供給する車両(パンタまたはシューギア付)
203 パンタを搭載し、架線から電力を得て他の車両に電力を供給する車両
204 パンタを搭載し、架線から電力を得て他の車両に電力を供給する車両で、変圧器と電力変換器(単相交流/直流変換)を床下艤装として搭載した車両
205 パンタを搭載し、架線から電力を得て他の車両に電力を供給する車両で、補助発電装置を床下艤装として搭載した車両
304 車上機器に電源を供給する補助電源装置と駆動装置を搭載した車両
1000 車上の電源から負荷に対して電力送電を行うコモンバスライン
1001 車上の電源から負荷に対して電力送電を行うコモンバスライン
1002 車上の電源から負荷に対して電力送電を行うコモンバスライン
1003 車上の電源から負荷に対して電力送電を行うコモンバスライン
1004 車上の電源から負荷に対して電力送電を行うコモンバスライン
1005 コモンバスライン1003と1004を接続する接触器
2000 列車制御システム
2001 列車制御システムの端末
2002 列車制御システムの伝送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鉄道車両により構成される鉄道車両の編成列車において、
前記複数の鉄道車両の各鉄道車両は直流電力供給用の直力電力バスを備え、当該直流電力バスは複数の鉄道車両を編成することにより相互に接続されて編成列車内を引き通され、
前記編成列車は、
電力を発電して前記直流電力バスに直流電力を供給する電源装置を搭載した鉄道車両と、
前記直流電力バスから供給された直流電力を電圧/周波数可変交流電力に変換する電力変換手段と当該交流電力で駆動され車両の牽引力を発生する交流電動機とを備えた鉄道車両と、
を備えたことを特徴とする鉄道車両の編成列車。
【請求項2】
複数の鉄道車両により構成される鉄道車両の編成列車において、
前記複数の鉄道車両の各鉄道車両は直流電力供給用の直力電力バスを備え、当該直流電力バスは複数の鉄道車両を編成することにより相互に接続されて編成列車内を引き通され、
前記編成列車は、
架線から受電し、前記直流電力バスに直流電力を供給する電源装置を搭載した鉄道車両と、
前記直流電力バスから供給された直流電力を電圧/周波数可変交流電力に変換する電力変換手段と当該交流電力で駆動され車両の牽引力を発生する交流電動機とを備えた鉄道車両と、
を備えたことを特徴とする鉄道車両の編成列車。
【請求項3】
複数の鉄道車両により構成される鉄道車両の編成列車において、
前記複数の鉄道車両の各鉄道車両は直流電力供給用の直力電力バスを備え、当該直流電力バスは複数の鉄道車両を編成することにより相互に接続されて編成列車内を引き通され、
前記編成列車は、
電力を発電して前記直流電力バスに直流電力を供給する電源装置を搭載した鉄道車両と、架線から受電し、前記直流電力バスに直流電力を供給する電源装置を搭載した鉄道車両と、
前記直流電力バスから供給された直流電力を電圧/周波数可変交流電力に変換する電力変換手段と当該交流電力で駆動され車両の牽引力を発生する交流電動機とを備えた鉄道車両と、
を備えたことを特徴とする鉄道車両の編成列車。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の鉄道車両の編成列車において、
内燃機関からの発電装置を搭載した鉄道車両と、パンタを搭載し、架線から電力を得て他の車両に電力を供給する鉄道車両で、変圧器と単相交流/直流変換の電力変換器を床下艤装として搭載した鉄道車両と、駆動装置を搭載した鉄道車両と、隣接する車両間の電力のやり取りを行うためのコモンバスラインを有する鉄道車両と、変圧器と単相交流/直流変換の電力変換器を床下艤装として搭載した鉄道車両から編成されることを特徴とする鉄道車両の編成列車。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の鉄道車両の編成列車において、
パンタを搭載し、架線から電力を得て他の車両に電力を供給する鉄道車両で、変圧器と単相交流/直流変換の電力変換器を床下艤装として搭載した鉄道車両と、パンタを搭載し、架線から電力を得て他の車両に電力を供給する鉄道車両で、補助発電装置を床下艤装として搭載した鉄道車両と、駆動装置を搭載した複数の鉄道車両と、から編成されることを特徴とする鉄道車両の編成列車。
【請求項6】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の鉄道車両の編成列車において、
内燃機関からの発電装置を搭載した鉄道車両と、パンタを搭載し、架線から電力を得て他の車両に電力を供給する鉄道車両で、変圧器と単相交流/直流変換の電力変換器を床下艤装として搭載した鉄道車両と、駆動装置を搭載した複数の車両と、から編成されることを特徴とする鉄道車両の編成列車。
【請求項7】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の鉄道車両の編成列車において、
パンタを搭載し、架線から電力を得て他の車両に電力を供給する鉄道車両で、変圧器と単相交流/直流変換の電力変換器を床下艤装として搭載した鉄道車両と、パンタを搭載し、架線から電力を得て他の車両に電力を供給する鉄道車両で、補助発電装置を床下艤装として搭載した鉄道車両と、駆動装置を搭載した鉄道車両と、隣接する車両間の電力のやり取りを行うためのコモンバスラインを有する鉄道車両と、変圧器と単相交流/直流変換の電力変換を床下艤装として搭載した鉄道車両と、補助電源装置を床下艤装として搭載した鉄道車両と、から構成されることを特徴とする鉄道車両の編成列車。
【請求項8】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の鉄道車両の編成列車において、
内燃機関からの発電装置を搭載した鉄道車両と、パンタを搭載し、架線から電力を得て他の車両に電力を供給する鉄道車両で、変圧器と単相交流/直流変換の電力変換器を床下艤装として搭載した鉄道車両と、駆動装置を搭載した複数の鉄道車両と、隣接する車両間の電力のやり取りを行うためのコモンバスラインを有する鉄道車両と、変圧器と単相交流/直流変換の電力変換器を床下艤装として搭載した鉄道車両と、から編成されることを特徴とする鉄道車両の編成列車。
【請求項9】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の鉄道車両の編成列車において、
パンタを搭載し、架線から電力を得て他の車両に電力を供給する鉄道車両で、変圧器と単相交流/直流変換の電力変換器を床下艤装として搭載した鉄道車両と、パンタを搭載し、架線から電力を得て他の車両に電力を供給する鉄道車両で、補助発電装置を床下艤装として搭載した鉄道車両と、駆動装置を搭載した鉄道車両と、変圧器と単相交流/直流変換の電力変換器を床下艤装として搭載した鉄道車両と、補助電源装置を床下艤装として搭載した鉄道車両と、から編成されることを特徴とする鉄道車両の編成列車。
【請求項10】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の鉄道車両の編成列車において、
内燃機関からの発電装置を搭載した鉄道車両と、パンタを搭載し、架線から電力を得て他の車両に電力を供給する鉄道車両で、変圧器と単相交流/直流変換の電力変換器を床下艤装として搭載した鉄道車両と、駆動装置を搭載した鉄道車両と、変圧器と単相交流/直流変換の電力変換器を床下艤装として搭載した鉄道車両と、から編成されることを特徴とする鉄道車両の編成列車。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の鉄道車両の編成列車において、
各鉄道車両に搭載した端末装置とそれらを結ぶ伝送路からなる列車制御システムを搭載し、車上の各装置の起動停止や、発電電力量、架線からの取り込み電力、回生時の架線への電力回生量、駆動装置が消費する電力を統括制御することを特徴とする鉄道車両の編成列車。
【請求項12】
請求項11に記載の鉄道車両の編成列車において、
前記列車制御システムにおいては、編成構成および列車内の装置の種別、員数を自動認識する機能および手動設定のための手段を設け、いずれか一方の機能にて編成構成を認識する機能を設けることを特徴とする鉄道車両の編成列車。
【請求項13】
鉄道車両の編成列車を構成する複数の鉄道車両の各鉄道車両が直流電力供給用の直力電力バスを備え、当該直流電力バスは複数の鉄道車両を編成することにより相互に接続されて複数の鉄道車両により構成される編成列車内を引き通されるように構成されている鉄道車両において、
電力を発電して前記直流電力バスに直流電力を供給する電源装置を搭載しており、前記直流電力バスと前記電源装置とが接続されていることを特徴とする鉄道車両。
【請求項14】
鉄道車両の編成列車を構成する複数の鉄道車両の各鉄道車両が直流電力供給用の直力電力バスを備え、当該直流電力バスは複数の鉄道車両を編成することにより相互に接続されて複数の鉄道車両により構成される編成列車内を引き通されるように構成されている鉄道車両において、
前記直流電力バスから供給された直流電力を電圧/周波数可変交流電力に変換する電力変換手段と、当該交流電力で駆動され車両の牽引力を発生する交流電動機とを搭載しており、前記直流電力バスと前記電力変換手段とが接続されていることを特徴とする鉄道車両。
【請求項15】
鉄道車両の編成列車を構成する複数の鉄道車両の各鉄道車両が直流電力供給用の直力電力バスを備え、当該直流電力バスは複数の鉄道車両を編成することにより相互に接続されて複数の鉄道車両により構成される編成列車内を引き通されるように構成されている鉄道車両において、
架線から受電し、前記直流電力バスに直流電力を供給する電源装置を搭載しており、前記直流電力バスと前記電源装置とが接続されていることを特徴とする鉄道車両。
【請求項16】
鉄道車両の編成列車を構成する複数の鉄道車両の各鉄道車両が直流電力供給用の直力電力バスを備え、当該直流電力バスは複数の鉄道車両を編成することにより相互に接続されて複数の鉄道車両により構成される編成列車内を引き通されるように構成されている鉄道車両において、
前記直流電力バスがコモンバスラインとして構成され、鉄道車両の編成列車の他の鉄道車両の直流電力バスと接続可能であることを特徴とする鉄道車両。
【請求項17】
請求項13ないし請求項16のいずれかに記載の鉄道車両において、
変圧器と単相交流/直流変換の電力変換器を床下艤装として搭載していることを特徴とする鉄道車両。
【請求項18】
請求項13ないし請求項16のいずれかに記載の鉄道車両において、
架線から受電するパンタを搭載し、架線から電力を得て他の車両に電力を供給する鉄道車両であって、変圧器と単相交流/直流変換の電力変換器を床下艤装として搭載したことを特徴とする鉄道車両。
【請求項19】
請求項13ないし請求項16のいずれかに記載の鉄道車両において、
補助発電装置を床下艤装として搭載していることを特徴とする鉄道車両。
【請求項20】
請求項13ないし請求項15のいずれかに記載の鉄道車両において、
前記直流電力バスがコモンバスラインとして構成され、鉄道車両の編成列車の他の鉄道車両の直流電力バスと接続可能であることを特徴とする鉄道車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2012−50162(P2012−50162A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186962(P2010−186962)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】