説明

鋼管用ねじ継手

【課題】ねじ部とねじ無し金属接触部とを有する接触表面30を備えたピンとボックスとから構成される鋼管用ねじ継手において、優れた耐漏れ性と耐焼付き性に加え、めっき層の上に潤滑被膜を形成した場合に隙間腐食に改善された耐食性を付与する。
【解決手段】ピンとボックスの少なくとも一方の接触表面にCu−Zn合金又はCu−Zn−M1合金(M1は、Sn、Bi及びInから選ばれた1種又は2種以上)からなる第1のめっき層34を形成する。第1めっき層34の下層にはNiめっき層32a及び/又はCuめっき層32bの一方又は両方を形成し、上層にはSn−M2合金(M2はBi、In、Ni、Zn、及びCuから選ばれた1種又は2種以上の元素)めっき層36を形成してもよい。めっき層の上には、耐焼付き性を高めるため、固体潤滑被膜38aと粘稠液体又は半固体潤滑被膜38bを形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐焼付き性及び耐食性が改善された鋼管用ねじ継手に関する。本発明の鋼管用ねじ継手は、特に油井管の締結に適している。
【背景技術】
【0002】
油田や天然ガス田で採掘のために打ち込まれる油井管(OCTG)は、長いものでは全長が数千メートルに達する。この長い油井管は、典型的には、十数メートルの単位長の鋼管を、短い筒状のカップリングを介して連結して順次継ぎ足すことにより構成される。鋼管及びカップリングの材質は、使用環境に応じて、炭素鋼、ステンレス鋼又は高合金鋼である。
【0003】
これらの鋼管の連結は、外周面に雄ねじ部を備えたピンと内周面に雌ねじ部を備えたボックスとのねじ螺合により行われる。典型的には、ピンは鋼管の両端に形成され、ボックスは短いカップリングの内部に形成される。このようなピンとボックスとから構成される連結部が鋼管用ねじ継手である。
【0004】
高い気密性が要求される鋼管用ねじ継手では、ピンの雄ねじの先端と、ボックスの雌ねじの基部に、それぞれねじ無し金属接触部が形成されている。鋼管の一端をカップリングに挿入し、ピンの雄ねじとボックスの雌ねじとを締付けることにより、ピンとボックスのねじ無し金属接触部同士が当接して、メタルシール(metal-to-metal seal)が形成されることにより、気密性が高められる。
【0005】
油井管は定期的な検査等のために引き上げられ、ねじ継手のねじを緩めて個々の鋼管をカップリングから切り離す油井管のブレークアウトを行い、検査等が終了した後、再びねじ部を締めつけて油井管のメイクアップを行い、再使用される。ピンとボックスのねじ部の摺接面ならびにねじ無し金属接触部は、油井管のメイクアップとブレークアウト時に強い摩擦を繰り返し受けることになる。従って、ねじ継手は、摩擦に対して十分な耐久性がないと、メイクアップとブレークアウトを繰り返した時に、ねじ部や特にねじ無し金属接触部でシール不良(耐漏れ性不良)やゴーリング(修復不能な焼付き)が発生する。
【0006】
そのため、油井管用ねじ継手の機能としては、a)接続された管の自重による軸方向の引張り力に耐えることは勿論のこと、b)内外の流体の圧力に耐えることと共に、c)ケーシング(大径サイズ)では4回以上、チュービング(小径サイズ)では10回以上の繰返し使用によってもシール不良やゴーリングが発生しない、良好な耐漏れ性及び耐焼付き性を維持することが要求される。特に、近年では油井の深さが益々深くなる傾向にあり、また極地等の過酷な環境での使用頻度が増し、鋼管用ねじ継手に要求される品質は益々厳しくなってきている。
【0007】
従来は、下記特許文献1等に提案されているように、ピンやボックスのねじ部等の接触表面に銅めっき又は燐酸塩処理等の表面処理を施すと共に、さらに耐焼付き性を向上させるためにメイクアップ時にピン又はボックスの継手界面にドープと呼ばれるPbなどの重金属入りのコンパウンドグリスを塗布することが行われてきた。
【0008】
しかし、世界的な環境汚染防止が緊急の課題となりつつある昨今では、Pb入りのドープは使用が制限されつつある。Pb、Zn、Cu等の重金属を含有させないドープ(グリーンドープと呼称)も開発され、使用されているが、性能不足のため、継手の材質によっては焼付きの発生を防止できない。
【0009】
鋼管用ねじ継手の耐漏れ性と耐焼付き性を向上させる別の方法として、1)フッ素樹脂の粉末をめっき層に分散混合する方法、2)スパッタリングにより潤滑性保護皮膜を形成する方法、3)コンパウンドグリスの代わりに固体潤滑皮膜を用いる方法等が提案されているが、どれも十分な耐漏れ性及び耐焼付き性能を得るには至っていない。
【0010】
下記特許文献2には、ねじ部とねじ無し金属接触部(メタルシール部)にCu−Sn合金めっき層を形成した油井管用ねじ継手が提案されている。しかし、本発明者らがこのねじ継手について検討した結果、ピンとボックスの界面で腐食が起こりやすいという問題があることが判明した。この腐食は、いわゆる隙間腐食であり、特に締結時に潤滑剤としてグリーンドープを塗布したり、あるいは固体潤滑被膜や他の潤滑被膜をめっき層の上に形成した場合に腐食が顕著となる。この腐食が起こると、発生した錆により、耐漏れ性や耐焼付き性が低下する。
【特許文献1】特公平1−12995号公報
【特許文献2】特開2003−74763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、グリーンドープを塗布する場合、さらには無ドープの場合でも、十分な耐漏れ性と耐焼付き性を示し、さらに耐食性にも優れていて、めっき層の上にグリーンドープや潤滑被膜が存在していても隙間腐食の発生が防止される鋼管用ねじ継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋼管用ねじ継手のメイクアップとブレークアウト時の焼付き現象のメカニズムについて考察した。焼付き現象は、金属と金属が接した状態で摺動した場合に、変形抵抗により発熱が起こり、局所的に融点以上に温度が上昇して金属が融着することにより起こると考えられる。従って、変形抵抗が小さい、つまり高硬度で融点の高い材料特性により良好な耐焼き付き性が得られるという結論に至った。
【0013】
前述の特許文献2に提案されているCu−Sn合金めっき層では、強度の低い(せん断破壊応力の小さい)Snの潤滑性とCuの高強度との相互作用により耐焼付き性の改善効果が発揮されると延べられている。これに対し、本発明者らは、めっき層の材料に対して、高硬度の金属間化合物を生ずるような適切な合金組成を選択し、かつその合金が高融点の構成元素を含んでいると、上記の融着が起こりにくく、良好な耐焼き付き性が得られることを見出した。その観点から、Cuベースの合金めっきが適している。
【0014】
一方、前述したように、特許文献2に提案されているCu−Sn合金めっき層では、隙間腐食が発生するという問題がある。この隙間腐食の原因は、基本的には貴なCuと接する卑な鋼材との間のミクロガルバニックセル形成にあると考えられる。そこで、この問題を解決するには、Cuより卑な金属、中でも卑の程度(イオン化傾向)の高いZn、又はZnと他の卑な金属であるSn、Bi、Inから選ばれた1種以上をCuと合金化したCu−Zn系合金めっき層が最適であることがわかった。
【0015】
Cu−Sn合金の場合でも、SnはCuより卑な金属ではあるが、SnだけをCuと合金化した場合には、原因は不明であるがSnが不働態化し、ミクロガルバニックセル形成を抑制できないため、隙間腐食が発生して、耐食性が低下すると考えられる。
【0016】
ここに、本発明は、ねじ部とねじ無し金属接触部とを有する接触表面をそれぞれ備えたピンとボックスとから構成される鋼管用ねじ継手であって、ピンとボックスの少なくとも一方の接触表面が、Cu−Zn合金又はCu−Zn−M1合金(M1は、Sn、Bi及びInから選ばれた1種又は2種以上の元素)からなる第1のめっき層を有することを特徴とする鋼管用ねじ継手である。
【0017】
この第1のめっき層の上下には、下層の第2のめっき層と上層の第3のめっき層の一方又は両方を存在させることができる。下層の第2のめっき層は、Cuめっき及びNiめっきから選ばれた少なくとも1つのめっき層である。一方、上層の第3のめっき層は、Sn−M2合金(M2はBi、In、Ni、Zn、及びCuから選ばれた1種又は2種以上の元素)からなるめっき層である。
【0018】
下層の第2のめっき層は、被めっき基材であるねじ継手の接触表面への第1のめっき層の密着性を高める役割を果たすことができる。ねじ継手の材質が炭素鋼であれば、第1のめっき層の密着性には問題がないのが普通であるが、材質がステンレス鋼又は高合金鋼であると、第1のめっき層の密着性が不足することがある。密着性が低下すると、第1のめっき層は目的とする効果を十分に発揮できない。その場合には、予め接触表面に下地として上記のように第2のめっき層を形成することにより、第1のめっき層の密着性を確保することができる。そのためのめっき層にはCuめっき又はNiめっきが適しており、Cuめっき層とNiめっき層の両方とすることもできる。この下層の第1のめっき層は、ストライクめっきによるごく薄いものでよい。
【0019】
第1のめっき層の上層に第3のめっき層を形成すると、鋼管用ねじ継手の耐焼き付き性をさらに向上させることができる。この目的には、自己潤滑性を有する軟質なめっき層が適している。自己潤滑性とは、自身が摩耗することにより示される潤滑性である。自己潤滑性を示すめっき層は、自身の摩耗によるすべりに加えて、発生した粉がドープに含まれるPb粉などと同様の効果を発揮することもあいまって、高い潤滑性を発揮する。その種の代表的な金属めっきはSnめっきであるが、Snめっきは極低温でβ相からα相に変態して脆くなる、スズペストと呼ばれる問題があるため、鋼管用ねじ継手のような厳しい使用環境では自己潤滑効果を十分に発揮できない恐れが強い。
【0020】
本発明者らは、SnにBi、In、Ni、Zn及びCuから選ばれた1種以上の元素を含有するSn合金めっき層を形成すると、スズペストの問題を回避しながら自己潤滑性を発揮できるめっき層となることを見出した。この上層の第3のめっき層を形成することにより、鋼管用ねじ継手の耐焼き付き性をさらに改善することができる。
【0021】
本発明で利用するめっき層は、いずれも通常は電気めっきにより形成される。原理的には気相めっき、無電解めっきなどの他のめっき方法も適用可能である(特に、薄い第2のめっき層に対して)が、被めっき物が鋼管端部に形成されたねじ継手であることから、電気めっき以外のめっき方法は適用が困難である。
【0022】
最上層のめっき層(上層の第3のめっき層を形成した場合にはこの第3のめっき層、形成しない場合には第1のめっき層)の表面には、少なくとも1層の潤滑被膜を形成して、鋼管用ねじ継手の耐焼付き性を一層向上させることができる。
【0023】
本発明の鋼管用ねじ継手において、このような潤滑被膜は必ずしも必要はない。特にグリーンドープを塗布して使用する場合はそうである。しかし、ねじ継手の材質が焼付きの発生し易いステンレス鋼又は高合金鋼である場合には、上層に潤滑被膜を形成することによって、耐焼付き性をさらに改善することが可能となり、グリーンドープを使用せずにメイクアップを行うことが可能となって、油井管の組立て作業の効率が改善される。
【0024】
この潤滑被膜は、粘稠液体潤滑被膜、半固体潤滑被膜及び固体潤滑被膜から選ばれた1層の潤滑被膜とすることができる。粘稠液体潤滑被膜及び半固体潤滑被膜は、流動性があるため、焼付きが発生するような高面圧条件下での滲み出しにより隙間に効率的に潤滑成分を供給でき、特に高い焼付き防止効果を発揮できる。使用する潤滑被膜は有害な重金属粉を実質的に含んでいないものが好ましい。一方、固体潤滑被膜は好ましくは潤滑性粉末を適当な有機もしくは無機バインダー中に含有する被膜である。メイクアップやブレークアウト時の高い面圧下で被膜の一部が磨耗することで、潤滑性粉末が放出され、潤滑作用を発揮する。
【0025】
潤滑被膜は2層形成することもできる。その場合には、下層を固体潤滑被膜とし、上層を粘稠液体潤滑被膜又は半固体潤滑被膜とすることが、耐焼付き性の改善効果の面から好ましい。
【0026】
前記特許文献2に提案されたCu−Sn合金めっき層の場合、そのグリーンドープを塗布したり、固体潤滑被膜などの潤滑被膜で被覆されると、隙間腐食によりピンとボックスとの界面で腐食が顕著に起こりやすいという問題があるが、本発明によれば、めっき層をCu−Sn系合金めっきとすることにより、この腐食を完全に防止することができ、腐食による耐漏れ性や耐焼付き性の低下を避けることができる。従って、めっきの上に1層又は2層以上の潤滑被膜を形成することにより、隙間腐食を引き起こさずに、鋼管用ねじ継手の耐焼付き性をさらに改善することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る鋼管用ねじ継手は、無ドープでも優れた耐漏れ性と耐焼付き性を示し、厳しい環境で使用される油井管の締結に有用である。また、耐焼付き性をさらに改善するために、めっき層の上に潤滑被膜を形成したり、或いはグリーンドープを塗布して使用しても、隙間腐食による耐食性の低下が起こらない。そのため、必要に応じて、潤滑被膜やグリーンドープを利用して耐焼付き性のさらなる向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、より詳しく説明する。なお、以下の説明において、特に指定しない限り、%は質量%を意味する。
図1は、出荷時の油井管用鋼管とカップリングの状態を示す典型的なねじ継手の組み立て構成を模式的に示す。鋼管Aの両端には外面に雄ねじ部3aを有するピン1が形成され、カップリングBの両側には、内面に雌ねじ部3bを有するボックス2が形成されている。ピンとは雄ねじを有する方のねじ継手部分を、ボックスとは雌ねじを有する方のねじ継手部分をそれぞれ意味する。鋼管Aの一端には予めカップリングBが締付けられている。図示していないが、締付けられていない鋼管AのピンとカップリングBのボックスには、それぞれのねじ部の保護のためのプロテクターが出荷前に装着され、これらはねじ継手の使用前に取り外される。
【0029】
典型的には、図示のように、ピンは鋼管の両端の外面に、ボックスは別部品であるカップリングの内面に形成される。しかし、逆に、鋼管の両端の内面をボックスとし、カップリングの外面をピンとすることも原理的には可能である。また、カップリングを利用せず、鋼管の一端をピン、他端をボックスとしたインテグラル方式のねじ継手もある。
【0030】
図2は、代表的な鋼管用ねじ継手(以下、単に「ねじ継手」ともいう)の構成を模式的に示す。ねじ継手は、鋼管Aの端部の外面に形成されたピン1と、カップリングBの内面に形成されたボックス2とから構成される。ピン1は雄ねじ部3aと鋼管先端に位置するねじ無し金属接触部4aとショルダー部5を備える。これに対応して、ボックス2は、雌ねじ部3bと、その内側のねじ無し金属接触部4bとを備える。
【0031】
ピン1及びボックス2のそれぞれのねじ部3a、3bとねじ無し金属接触部4a、4bとがねじ継手の接触表面であり、この接触表面には、耐焼付き性、気密性(耐漏れ性)、耐食性が要求される。従来は、そのために、重金属粉を含有するコンパウンドグリスと呼ばれるドープを塗布するのが普通であったが、現在では、そのようなドープの使用は規制されつつある。
【0032】
本発明の鋼管用ねじ継手では、図3にねじ無し金属接触部について示すように、ピンとボックスの少なくとも一方の部材の接触表面には、鋼30の表面上に、下から順に、Niめっき層32aとCuめっき層32bとからなる第2のめっき層32、Cu−Zn合金又はCu−Zn−M1合金(M1は、Sn、Bi及びInから選ばれた1種又は2種以上の元素)からなる第1のめっき層34、Sn−M2合金(M2はBi、In、Ni、Zn、及びCuから選ばれた1種又は2種以上の元素)からなる第3のめっき層36、下層の固体潤滑被膜38aと上層の粘稠液体又は半固体の潤滑被膜38bとからなる潤滑被膜38が形成されている。
【0033】
本発明においては、Cu−Zn合金又はCu−Zn−M1合金(以下、これらをCu−Zn系合金と総称する)からなる第1のめっき層34だけが必須であり、この第1のめっき層だけでも、ねじ継手の材質や使用環境によっては十分に耐漏れ性と耐焼付き性の向上効果を発揮することができる。残りの第2及び第3のめっき層や潤滑被膜は、状況に応じて必要により適用すればよい。以下、これらの任意のめっき層や潤滑被膜も含めて、順に説明する。
【0034】
〔母材〕
本発明のねじ継手で締結する鋼管は油井管が好ましい。本発明の鋼管用ねじ継手は耐焼付き性に非常に優れているので、焼付きが起こり易い高合金鋼製の油井管用ねじ継手として使用した場合においても、メイクアップとブレークアウトを繰り返した時の焼付きを防止することができる。
【0035】
従って、母材(鋼管用ねじ継手を構成する鋼)の鋼種について焼付きを防止する観点からの制限がなくなるので、鋼種は炭素鋼、ステンレス鋼、及び高合金鋼のいずれも可能である。耐食性の観点からは、Crを3%以上含有する高合金鋼であることが好ましい。そのような鋼を例示すると、Cr含有量が5%、13%、及び25%の鋼を挙げることができる。
【0036】
ねじ継手の接触表面であるねじ部やねじ無し金属接触部は通常は切削加工により形成される。この接触表面は、研削加工されたままでもよく、あるいは、本発明に従ってめっき層を形成する前に、ブラスト処理により粗面化してもよい。粗面化すると、特にめっき後に潤滑被膜を形成する場合に、潤滑被膜の保持性が高まるという利点が得られる。しかし、粗面化しなくても、電気めっきの付き周り性により、表面は若干粗面化するので、潤滑被膜の保持は十分に可能である。
【0037】
ピンとボックスの一方(例、ボックス)の接触表面だけに本発明に従ってめっき層やさらには潤滑被膜を形成する場合、他方の部材(例、ピン)の接触表面は、研削加工のままでもよく、あるいは本発明以外の他の適当な潤滑性付与及び/又は防食用の被覆処理を施してもよい。鋼管の端部外面に形成されたピンとカップリング内面に形成されたボックスとから構成される典型的な鋼管用ねじ継手においては、長さが短いカップリング、即ち、ボックスに対して本発明の処理を行う方が操作は容易である。
【0038】
〔第2のめっき層〕
Cu−Zn系合金からなる第1のめっき層の密着性を高めるために、必要に応じ、Niめっき層とCuめっき層の一方又は両方からなる第2のめっき層を、第1のめっき層の下層に下地めっきとして形成することができる。
【0039】
下地の第2のめっき層は、通電時間の短いストライクめっきによる薄いめっき層とすることが好ましい。Cu及びNiのストライクめっきはめっき分野では周知であり、本発明においても従来のストライクめっきと同様に実施することができる。一般に、Niストライクめっきは塩化浴(例、ウッド浴)または硫酸塩浴(例、ワット浴)が、Cuストライクめっきはシアン浴(シアン化銅めっき浴)を用いて行われることが多い。しかし、他のめっき浴を使用することも可能である。
【0040】
なお、最初のめっきを行う前に、被めっき表面に対して、脱脂や酸洗など通常の前処理を常法に従って行う。
下地の第1のめっき層の厚みは0.2〜2μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜1μmである。CuとNiの両方のめっき層を形成する場合には、2層の合計厚みが2μmを超えないことが好ましい。
【0041】
Niめっき層はめっき密着性の改善効果が特に高いので、第2めっき層が1層だけである場合にはNiめっきとすることが好ましい。Cuめっきは第1めっき層とのなじみがよいので、下地の第2めっき層を2層とする場合には、下層32aをNiめっき、上層32bをCuめっきとすることが好ましい。
【0042】
〔第1のめっき層〕
Cu−Zn系合金からなる第1のめっき層は、鋼管用ねじ継手に耐漏れ性と耐焼付き性を付与すると同時に、耐焼付き性を高めるために接触表面をグリーンドープや潤滑被膜で被覆した場合にも、隙間腐食の発生を防いで、それによる耐漏れ性や耐焼付き性の低下を回避するために本発明において必須のめっき層である。下地として上記の第2のめっき層を形成しない場合には、この第1のめっき層が最下層のめっきとなる。
【0043】
第1のめっき層の厚みは、通常は1〜40μmが好ましく、より好ましくは3〜20μmである。
第1のめっき層がCu−Zn合金である場合、合金中のZn含有量は20〜90%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは30〜70%である。Zn含有量が低すぎると、めっき層の耐食性が低下し、隙間腐食を防止することができなくなる。Zn含有量が高すぎると、耐漏れ性や耐焼付き性が低下する。
【0044】
第1のめっき層がCu−Zn−M1合金(M1は、Sn、Bi及びInから選ばれた1種又は2種以上の元素)である場合には、好ましい合金組成は、Cu:30〜60%、Zn:3〜30%、M1(2種以上の場合は合計量):20〜60%である。M1として特に好ましいのは、Sn:35%〜55%である。
【0045】
〔第3のめっき層〕
第1のめっき層は、Snを含有しないか、含有していてもその量が比較的少ないことから、その上層に自己潤滑性の高いめっき層を形成することにより、本発明の鋼管用ねじ継手の耐焼付き性をさらに高めることができる。そのために、第3のめっき層は、Sn−M2合金(M2はBi、In、Ni、Zn、及びCuから選ばれた1種又は2種以上の元素)めっきとする。この第3のめっき層は、必要に応じて第1のめっき層の上に形成すればよい。
【0046】
M2として特に好ましいのはBiである。第3のめっき層の厚みは、通常は3〜40μmが好ましく、より好ましくは5〜25μmである。第3のめっき層を形成する場合、第2のめっき層と第3のめっき層の合計厚みは40μm以下とすることが好ましい。Sn−M2合金中の合金元素M2の含有量(2種以上の場合はその合計量)は好ましくは0.1〜50%、より好ましくは0.1〜10%の範囲内である。合金元素M2の含有量が高すぎると、耐漏れ性や耐焼付き性が低下し、低すぎるとスズペストの発生を防止することができなくなる。
【0047】
Cu−Zn系合金からなる上記第1のめっき層と、Sn−M2合金からなる上記第3のめっき層は、いずれも公知の硫酸浴、シアン浴、メタンスルホン酸浴、グルコン酸浴、ピロリン酸浴、クエン酸浴、酒石酸浴、スルホこはく酸浴又はホウフッ化浴などを用いた電気めっきにより形成することができる。浴温、pH、電流密度などめっき条件は、適正な合金組成が得られる限り、浴管理あるいは生産性などを考慮して決定すればよい。当業者には周知のように、めっき浴は、析出金属の供給源となる化合物の他に、光沢剤、pH調整剤などを始めとする各種の添加成分を含有しうる。
【0048】
より具体的に説明すると、第1のめっき層におけるCu−Zn合金めっきは、真鍮めっきとも呼ばれて、古くから装飾用やゴムとの接着性改善などの目的で利用されてきた。めっき液としてはアルカリ性のシアン化浴が多く使用されてきたが、酸性のピロりん酸浴、グルコヘプトン酸浴なども使用できる。本発明において好ましいのはシアン浴である
第1のめっき層がCu−Zn−M1合金である場合も、Cu−Zn合金用のめっき液にM1金属化合物を溶解させためっき浴を使用して、同様にめっきを行うことができる。特に、Cu−Zn−Snめっきは、金色のめっき被膜となることから、古くから金めっきの代用として利用されており、Sn含有量によりめっき被膜の色調が変化する(Sn含有量が多くなると銀白色になる)ことから、組成の異なるシアン化浴めっき液が多数市販されている。それをそのまま使用してめっきを行うこともできる。
【0049】
第3のめっき層を形成するためのSn−M2合金めっきは、電気Snめっきに準じて、めっき浴に、Sn化合物に加えて、M2元素の供給源となる化合物を添加することにより実施することができる。本発明において特に好ましいめっき浴はメタンスルホン酸浴である。
【0050】
〔潤滑被膜〕
本発明の鋼管用ねじ継手は、上記のSn−Zn系合金からなる第1のめっき層と、場合により下層の第2のめっき層及び/又は上層の第3のめっき層を接触表面に有するだけで、ねじ継手の材質によっては、メイクアップ前にグリーンドープを塗布するか、あるいは無ドープでも、十分な耐焼付き性や耐漏れ性を発揮する。しかし、ねじ継手の材質が焼付きの起こり易い高合金鋼である場合などは、必要に応じて、少なくとも1層の潤滑被膜をめっき層の上に形成して、耐焼付き性をさらに高めることができる。
【0051】
潤滑被膜は、粘稠液体潤滑被膜、半固体潤滑被膜及び固体潤滑被膜から選ばれた1層又は2層以上とすることができる。そのような潤滑被膜は公知であり、例えば、特開2001−65751号公報、特開2002−221288号公報、特開2002−327875号公報、特開2002−348587号公報には、バインダー中に潤滑性粉末を分散させてなる焼付け被膜からなる固体潤滑被膜が、特開2002−173692号公報、特開2004−53013号公報には、基油中に各種潤滑成分を含有させた被膜である粘稠液体又は半固体潤滑被膜がそれぞれ記載されている。本発明においても、そのような公知の潤滑被膜を使用することができる。
【0052】
潤滑被膜は通常は1層又は2層で十分である。2層とする場合には、下層を固体潤滑被膜とし、上層を粘稠液体潤滑被膜又は半固体潤滑被膜とすることが、耐焼付き性の改善効果が大きいことから好ましい。潤滑被膜が2層の場合、上層の潤滑被膜は、半固体潤滑被膜より、流動性がより大きい粘稠液体潤滑被膜である方が好ましい。
【0053】
固体潤滑被膜は、好ましくは潤滑性粉末を含有する被膜、即ち、潤滑性粉末を適当な無期又は有機バインダーで結合した潤滑被膜である。
固体潤滑被膜に使用する好ましい潤滑性粉末の例としては、それらに制限されないが、黒鉛、MoS2(二硫化モリブデン)、WS2(二硫化タングステン)、BN(窒化ホウ素)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、CFx(フッ化黒鉛)、CaCO3(炭酸カルシウム)などが挙げられる。中でも、黒鉛、フッ化黒鉛、MoS2及びWS2がより好ましい。これらは、層状結晶構造とり、結晶の面内結合強度が高く、面間結合強度が弱いので、すべり効果を与える面間剥離を生じやすく、耐焼付き性の向上に好都合である。
【0054】
固体潤滑被膜のバインダーとしては、有機及び/又は無機の皮膜を形成できる成分を使用することができる。有機皮膜形成成分の例は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などの耐熱性の良好な有機樹脂である。無機皮膜形成成分としては、シリカゾル、アルコキシシラン、チタンアルコキシドなどの金属酸化物皮膜を形成できる有機又は無機化合物が挙げられる。
【0055】
潤滑性粉末を皮膜形成可能なバインダーと混合し、得られた塗布液を鋼管用ねじ継手の接触表面に塗布し、好ましくは加熱して被膜を焼付けると、固体潤滑被膜が形成される。加熱温度はバインダーの種類によるが、エポキシ樹脂の場合で約150℃〜250℃の温度が好ましい。
【0056】
好ましい固体潤滑被膜は、膜厚が5〜30μmで、被膜中の潤滑性粉末の含有量が10〜50質量%のものである。
粘稠液状又は半固体の潤滑被膜は、環境や人体に有害なPb,Zn,Cuなどの重金属の粉末を実質的に含有しないことが好ましい。このような潤滑皮膜は、基油(例、鉱物油、高級脂肪酸エステル、グリース)にかなり多量の各種潤滑性付与成分(例、極圧剤として機能する高塩基性Caスルホネート、フェネート、サリシレート、カルボキシレート等の高塩基性金属塩、ワックス、金属石けん)を1種又は2種以上含有させたものであり、基油の粘度や固体成分の含有量に応じて、性状が粘稠液体又は半固体となる。市販のグリーンドープを利用してこの潤滑被膜を形成することもできる。粘稠液体また半固体潤滑皮膜の好ましい厚みは10〜200μmである。
【0057】
本発明の鋼管用ねじ継手は、特にめっき層の上に少なくとも1層の潤滑被膜を形成した場合、締付け(メイクアップ)作業前のグリーンドープの塗布を省略して使用することができ、油井管の組立て作業の効率が向上する。しかし、必要に応じて、メイクアップ前にグリーンドープを塗布してもよい。
【0058】
また、本発明の鋼管用ねじ継手では、めっき層の上に潤滑被膜が形成された場合でも隙間腐食が防止されるので、使用前に保管期間が長くなっても、ねじ継手の接触表面の腐食と、その腐食により起こり易くなる焼付きを防止することができる。
【実施例】
【0059】
以下、本発明の実施例を比較例と共に挙げて、本発明の効果を例証する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
高合金鋼の1種であるCr13%鋼(NiとMo添加)からなる外径244.5mm、肉厚13.84mm、長さ1200mmの継目無鋼管の両端に切削加工により形成された雄ねじ部及びねじ無し金属接触部(メタルシール部)を有するピンと、このピンを挿入して接続するための、同じ鋼種からなるカップリングの内面の両側に切削加工により形成された雌ねじ部及びねじ無し金属接触部を有するボックスをそれぞれ多数個ずつ製造した。
【0060】
カップリングの内周面全体、即ち、ねじ部とねじ無し金属接触部とを含むボックスの接触表面を含む面に、表1に示した被覆構造(最上層から下層側に向かう順で表示)となるようにめっき及び潤滑被膜を形成した。めっきは、カップリングの外面と端面を適当なシール材でシールした後、脱脂及び酸洗してから電気めっきにより実施した。一方、ピンは、スケールを除去するために試験前にガラスビーズでブラストした以外は処理を行わなかった。
【0061】
ボックスに施した各処理の概要は次の通りであった。
(下地第2めっき層)
Niめっき:ウッド浴を使用、
Cuめっき:シアン浴を使用。
【0062】
(Cu−Zn系第1めっき層)
いずれもシアン浴を使用。
Cu−Zn合金めっき:Zn(含有量)約32%、
Cu−Zn−Sn合金めっき:Zn約7%、Sn約40%、
Cu−Zn−Bi合金めっき:Zn約30%、Bi約10%、
Cu−Zn−In合金めっき:Zn約25%、In約15%。
【0063】
(上層Sn合金第3めっき層)
いずれもメタンスルホン酸浴を使用。
Sn−In合金めっき:In約5%、
Sn−Cu−Bi合金めっき:Cu約10%;Bi約1%、
Sn−Ni合金めっき:Ni約8%、
Sn−Bi合金めっき:Bi約1%、
Sn−Zn合金めっき:Zn約3%。
【0064】
(比較例)
比較例で使用しためっき層のうち、下記のめっき層を除いて、上記と同様であった。
Cu−Sn合金めっき:中性浴を使用;Cu約36%、Sn約64%。
【0065】
(潤滑被膜)
黒鉛含有固体潤滑被膜:エポキシ樹脂中に潤滑性粉末として黒鉛を30%の量で分散させた組成物の塗布と焼付け(加熱温度約200℃)により形成された潤滑被膜。
【0066】
フッ化黒鉛含有固体潤滑被膜:ポリエチレン樹脂中に潤滑性粉末としてCFx(フッ化黒鉛)を4%、さらにワックスを10%の量で分散させた組成物を150℃に昇温して塗布することにより形成された潤滑被膜。
【0067】
粘稠液体潤滑被膜:鉱物油を基油とし、潤滑性成分としてワックス及び高塩基性カルシウムスルホネートを含有するグリス様組成物の塗布により形成。厚みは約100μm。
(グリーンドープ)
グリーンドープは、Bestolife Corporation社製のBestolife "3010"(r)NM SPECIALを使用した。塗布厚みは約100μm。グリーンドープは、本来は現場でのメイクアップ前に塗布して使用されるものであるが、本例では試験のために、鋼管用ねじ継手の被覆処理に含めて、場合により最後に塗布した。
【0068】
表1に示すように被覆処理したボックスを用いて、ピンとの締付け(メイクアップ)と締め戻し(ブレークアウト)を繰り返すことにより、耐焼付き性を調べた。この耐焼付き性試験は、常温で49351.8N・m(36400ft・lbs)のトルクで締付けた後、締め戻してピンを取り外し、ピンに付着した潤滑被膜溶剤洗浄により除去して、ピンの外周面を目視観察し、焼付きの発生状況を調べることによって行った。この作業を10回まで繰り返し、焼付き(ゴーリング)が発生するまでの回数(焼付きが起こらない締付け・締め戻し回数)を試験結果とした。この回数が10回とは、10回の試験中の最後まで焼付きが発生しなかったことを意味する。
【0069】
隙間腐食を調査するための腐食試験では、ボックスと同じ鋼種の鋼板(幅12mm、長さ30mm、厚み3mm)に、表1に示したのと同じボックス用の被覆処理を施し、ガラスビーズでブラストした前記ピンと同じ鋼種の鋼板(幅20mm、長さ30mm、厚み3mm)と重ね合わせて中央部をボルトで留めたものを試験片とした。この試験片を20%の食塩を含む沸騰水に1ヶ月浸漬し、合わせ部の最大腐食深さを測定した。その最大腐食深さから下記のように耐食性を判定した。
【0070】
△:5μm以上〜10μm未満、
×:10μm以上、
以上の試験の結果も表1に併せて示す。
【0071】
【表1−1】

【0072】
【表1−2】

【0073】
表1に示すように、本発明に従った実施例では、鋼種が焼付きの起こり易い高合金鋼であり、ボックス側だけに処理を行ったにもかかわらず、全例において、良好な耐焼き付き性と耐食性を示した。具体的には、下層めっきを行わず、母材表面に直接Cu−Zn系第1めっき層を形成した場合には、少なくとも8回目までは焼付きが発生しなかった。一方、下層のNi又はNi/Cuめっきを行った場合には、すべての例において10回まで焼付きが全く発生せず、きわめて高い耐焼付き性が得られた。耐食性については、全例において◎、即ち、試験条件での最大腐食深さが1μm未満というきわめて高い耐食性が得られた。
【0074】
一方、比較例に示すように、Cuめっき、Snめっき、及びSn−Bi合金めっきでは、下層めっきを施しても耐焼付き性が低くなる。Cu−Snめっきは、耐焼付き性は良好であるが、耐食性がきわめて低くなる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】鋼管出荷時の鋼管とカップリングの組み立て構成を模式的に示す。
【図2】ねじ継手の締付け部を模式的に示す。
【図3】本発明にしたがった鋼管用ねじ継手の接触表面に形成された被膜構成を示す説明図。
【符号の説明】
【0076】
A:鋼管;B:カップリング;1:ピン;2:ボックス;3a:雄ねじ部;3b:雌ねじ部;4a、4b:ねじ無し金属接触部;5:ショルダー部;30:鋼表面;32:下層の第2めっき層;32a:Niめっき層;32b:Cuめっき層;34:Cu−Zn系合金めっき層(第1めっき層);36:上層Sn合金めっき層(第3めっき層);38潤滑被膜;38a:固体潤滑被膜;38b:半固体又は粘稠液体潤滑被膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ部とねじ無し金属接触部とを有する接触表面をそれぞれ備えたピンとボックスとから構成される鋼管用ねじ継手であって、ピンとボックスの少なくとも一方の接触表面が、Cu−Zn合金からなる第1のめっき層を有することを特徴とする鋼管用ねじ継手。
【請求項2】
ねじ部とねじ無し金属接触部とを有する接触表面をそれぞれ備えたピンとボックスとから構成される鋼管用ねじ継手であって、ピンとボックスの少なくとも一方の接触表面が、Cu−Zn−M1合金(M1は、Sn、Bi及びInから選ばれた1種又は2種以上の元素)からなる第1のめっき層を有することを特徴とする鋼管用ねじ継手。
【請求項3】
前記少なくとも一方の接触表面が、前記第1のめっき層の下層として、Cuめっき及びNiめっきから選ばれた少なくとも1つの第2のめっき層を有する、請求項1又は2に記載の鋼管用ねじ継手。
【請求項4】
前記少なくとも一方の接触表面が、前記第1のめっき層の上層として、Sn−M2合金(M2はBi、In、Ni、Zn、及びCuから選ばれた1種又は2種以上の元素)からなる第3のめっき層を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
【請求項5】
最上層のめっき層の表面に少なくとも1層の潤滑被膜を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
【請求項6】
潤滑被膜が、粘稠液体潤滑被膜、半固体潤滑被膜及び固体潤滑被膜から選ばれた1層の潤滑被膜である請求項5に記載の鋼管用ねじ継手。
【請求項7】
潤滑被膜が、下層の固体潤滑被膜と上層の粘稠液体潤滑被膜又は半固体潤滑被膜とからなる2層の潤滑被膜である請求項5に記載の鋼管用ねじ継手。
【請求項8】
固体潤滑被膜が潤滑性粉末を含有する請求項6又は7に記載の鋼管用ねじ継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−215473(P2008−215473A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52905(P2007−52905)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【出願人】(505333207)関西機化工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】