説明

鋼組成物、その形成方法、及びそれから形成した物品

重量で、15.0〜20.0%のNi、2.0〜6.0%のMo、3.0〜8.0%のTi、最高0.5%までのAlを含み、残りはFe及び残留不純物である、マルエージ鋼組成物、その形成方法、及び、それから形成した物品。組成物は、複合体板の第1の層としてよく、第1の層の表面に堆積した第2の層を有してよく、第2の層は、重量で、15.0〜20.0%のNi、2.0〜6.0%のMo、1.0〜3.0のTi、最高0.5%までのAlを含み、残りはFe及び残留不純物である組成物を有する。第1の層は58〜64RCの範囲にわたる硬さ値を有してよく、第2の層は48〜54RCの範囲にわたる硬さ値を有してよい。第1の層を、粉末状冶金技術を用いて形成してよい。組成物から形成される物品は、装甲された板を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼組成物の形成方法、それから製造した鋼組成物、及び組成物から形成した物品に関する。
【背景技術】
【0002】
マルエージ鋼は、比較的に高い量のニッケルを含む高強度低炭素マルテンサイト鋼のタイプであり、ここで、硬化析出物は時効によって形成される。部分的には、並外れた機械的性質、例えば高い引張強さが理由となって、マルエージ鋼は様々な工業的及び軍事的用途において用いられてきた。工業的用途は、例えば、航空機用鍛造品(aircraft forgings)を含む。特定のマルエージ鋼はまた、軍事的用途のための、例えば装甲板において使用するための特に良好な特性を有することが見い出され、発射体による貫通に対する良好な耐性を示すことを示した。
【0003】
歴史的に、装甲板は、セラミックス、金属、例えば鋼及びアルミニウム、並びに金属の複合体を含む様々な材料から製造されてきた。最近、提供された装甲板の改良は、より大きな弾道保護(ballistic protection)を有するより軽量の装甲板を有する。この点に関しては、マルエージ鋼は、様々な従来の形態の装甲板材料にまさる特定の利点を提供することを示した。
【0004】
改良された特性及び発射体による貫通に対する耐性を提供すると言われている、装甲板において使用するための様々な組成物及びマルエージ鋼の形成方法が用いられてきた。装甲板の硬質の前部は、発射体を分解するかまたは平らにするように設計され、一方、より軟質の後部は、発射体を捕捉する。例えば、アレガニー・ルディウム、ワシントン、PA(Allegheny Ludlum, Washington, PA)からK12(登録商標)として市販されている二重硬さ装甲板(dual hardness armor plate)は、比較的に高い硬さの前部及びより軟質の後部からなるNi−Mo−Cr合金鋼に基づく。組立体を、特定の温度に加熱し、2つの面が強い冶金学的結合を形成するまで熱間圧延することを含む多工程プロセスによってロール圧延する。ロール圧延した板を次に焼なましし、剪断加工し、平坦化する。
【0005】
別の装甲板組立体及び形成プロセスにおいては、マルエージ鋼の複合体板は、硬質の外部層及びしっかり付着する内部層を含む。内部層の鋼は、重量%で以下を含む化学組成を用いるプロセスにおいて製造される:C≦0.01、Si≦0.1、Mn≦0.1、P≦0.005、S≦0.005、Cu≦0.1、Moは4.80〜5.20、Niは17.5〜18.5、Cr≦0.1、Tiは0.55〜0.70、Coは8.0〜9.0。外部層の鋼は、重量%で以下を含む化学組成を用いるプロセスにおいて精製を用いて製造される:C≦0.01、Si≦0.1、Mnは0.02〜0.20、P≦0.005、S≦0.005、Cuは0.01〜0.20、Moは4.80〜5.20、Niは17.5〜18.5、Crは0.01〜0.20、Tiは1.80〜1.95、Coは14.0〜15.5、Alは0.05〜0.15、残りはFe及び製造プロセスから生じる汚染物。
【0006】
厳しい消費者仕様下で必要な合金特性を得ることは、合金化組成物及び形成プロセスの注意深い及び厳密な制御を必要とする。合金組成物の処理におけるわずかな調節でさえも、マルエージ鋼の特性及び性能にかなり影響し得る。部分的にはこうした要件が理由となって、広範囲にわたる努力が、様々な用途のためのマルエージ合金の機械的性質を改良するためにがなされた。例えば、マルエージ合金における降伏強さ及び発射体の貫通に対する耐性を増大させる試みは、炉内の時間及び温度、焼なまし及び時効硬化温度、圧延操作、及びその他同様なものを含む広範囲のプロセスパラメータにわたる合金形成方法に焦点を合わせてきた。報告された方法は、改良された合金特性をマルエージ材料に提供する試みにおいて様々な処理条件を使用する。
【0007】
さらなる改良は、従来技術のプロセスへの歓迎される付加であると思われ、ここで、合金元素及び処理条件の制御及び監視は、マルエージ鋼の特性を改良することを意図されている。より詳細には、マルエージ鋼の降伏強さを改良し、それから形成した物品におけるより大きな健全性(integrity)、物理的性質、及び/または発射体の貫通に対する耐性を提供するアプローチに対する継続した必要が存在する。
【発明の開示】
【0008】
1具体例においては、本発明は、重量で、15.0〜20.0%のNi、2.0〜6.0%のMo、3.0〜8.0%のTi、最高0.5%までのAlを含み、残りはFe及び残留不純物であるマルエージ鋼組成物を提供する。
【0009】
別の具体例においては、本発明は、重量で、15.0〜20.0%のNi、2.0〜6.0%のMo、3.0〜8.0%のTi、最高0.5%までのAlを含み、残りはFe及び残留不純物である組成物で形成された第1の層を含むマルエージ鋼の板を提供する。板は、第1の層の表面に堆積した第2の層を有する複合体としてよく、第2の層は、重量で、15.0〜20.0%のNi、2.0〜6.0%のMo、1.0〜3.0のTi、最高0.5%までのAlを含み、残りはFe及び残留不純物である組成物を有する。
【0010】
さらに別の具体例においては、本発明は、第1の層及び第2の層を含むマルエージ鋼の複合体板を提供し、第1の層は58〜64RCの範囲にわたる硬さ値を有し、第2の層は48〜54RCの範囲にわたる硬さ値を有する。
【0011】
本発明はまた、マルエージ鋼の形成方法を提供する。方法は、重量で、15.0〜20.0%のNi、2.0〜6.0%のMo、3.0〜8.0%のTi、最高0.5%までのAlを含み、残りはFe及び残留不純物である組成物を有する鋼を製造することを含む。
【0012】
別の具体例においては、本発明は、マルエージ鋼の板の形成方法を提供する。方法は、重量で、15.0〜20.0%のNi、2.0〜6.0%のMo、3.0〜8.0%のTi、最高0.5%までのAlを含み、残りはFe及び残留不純物である組成物で形成された第1の層の鋼を製造することと、第1の層をマルエージ鋼の板に形成することとを含む。板が複合体板である具体例においては、方法は、重量で、15.0〜20.0%のNi、2.0〜6.0%のMo、1.0〜3.0のTi、最高0.5%までのAlを含み、残りはFe及び残留不純物である組成物で形成された第2の層の鋼を製造することと、第1の層及び第2の層を複合体板に形成することとをさらに含んでよい。
【0013】
さらに別の具体例においては、本発明は、マルエージ鋼の板の形成方法を提供する。方法は、58〜64RCの範囲にわたる硬さ値を有する組成物で形成された第1の層の鋼を製造することと、48〜54RCの範囲にわたる硬さ値を有する組成物で形成された第2の層の鋼を製造することとを含む。
【0014】
本発明はまた、マルエージ鋼の複合体板の形成方法を提供する。方法は:第1の層の鋼を製造し、第1の層は粉末状冶金(powdered metallurgy)を使用して製造されることと;ある組成物で形成された第2の層の鋼を製造することと;第1の層及び第2の層を複合体板に形成することとを含む。
【0015】
本発明はまた、上記に述べた鋼組成物、板、及び方法によって形成した製造物品を提供する。
本発明は、本要約において開示する具体例に限定されるのではなく、請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲内にある修正を包含することを意図されていることは理解されるはずである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の特定の説明は、本発明の明確な理解に関連した要素及び限定のみを示すために簡略化され、一方、理解しやすくするため、他の要素を除いていることは理解できるはずである。当業者は、本発明の本説明を考慮することによって、他の要素及び/または限定は、本発明を実現するために望ましいかもしれないことを認識しよう。しかしながら、このような他の要素及び/または限定は、当業者によって本発明の本説明を考慮することによって容易に確定することができ、本発明の完全な理解のために必要ではないので、このような要素及び限定の検討を本明細書において提供しない。例えば、本明細書において検討するように、本発明の鋼の特定の具体例を、例えば、装甲された乗り物に適用される高性能装甲板用途において使用してよい。例えば、装甲された乗り物に適用される装甲板を製造する仕方は、一般に当業者によって理解されており、従って、本明細書において詳細に説明しない。従って、本明細書において述べる説明は単に本発明に対する模範例であり、請求の範囲を限定することを意図されていないことは理解できるはずである。
【0017】
その上、本発明の範囲内の特定の組成物を一般に、特定の高性能構成要素及び物品、例えば装甲板用途のための部品または構成要素を製造するために使用してよい合金の形態で説明する。しかしながら、本発明を、本明細書において具体的に及び明白に説明しない形態で具体化し、最終用途に適用してよいことは理解されよう。例えば、当業者は、本発明の具体例を他の高性能物品中に取り入れてよいことを了解しよう。このような他の高性能物品の非網羅的な例は、ミサイルケース、遠心分離ローター、航空機用鍛造品、例えば航空機及び機体部品、カップリング、パンチ及びダイ、ロケット構成要素及びロケットモータ、ガスタービンエンジン、工業用陸上タービン(land-based turbine)、内燃機関、自動車及びオートバイ構成要素、自動車レース部品(例えば、弁、ばね、ボルト、及びブレーキ)、熱交換器、化学及び石油化学産業において用いられる設備、例えば、タンク、パイプ、弁、ポンプ、及びその他同様なもの、医用生体インプラント構成要素、外科用器械、レクリエーション用設備、スポーツ用設備、建築上の構成要素、並びに建築物材料を含む。
【0018】
本明細書における実施例以外に、または特に断らない限り、数値の範囲、量、値及びパーセント、例えば材料の量のためのもの、元素含量、反応の時間及び温度、量の比等の全てを、本明細書の以下の部分及び添付の請求の範囲において、たとえ“約”という用語が値、量、または範囲と共に明白に現れないようでも、“約”という語で始まるかのように読んでよい。従って、特に断らない限り、以下の明細書及び添付の請求の範囲において述べる数値パラメータは、本発明によって得ようと試みた所望の特性に依存して変化することがある近似である。少なくとも、また、請求の範囲に対する均等論の適用を限定しようとしてではなく、各数値パラメータは少なくとも、報告された有効数字の数を考慮し、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。
【0019】
本発明の広い範囲を述べる数値の範囲及びパラメータは近似であるにもかかわらず、具体的な例において述べる数値をできる限り正確に報告する。しかしながら、いかなる数値も、本質的に、その基礎にあるそれぞれの試験測定において見い出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を含む。その上、数値の範囲を本明細書において述べる場合に、こうした範囲は、記載された範囲の終点を含む(すなわち、終点を使用してよい)。重量%を本明細書において使用する場合、報告される数値は、総合金重量を基準とする。また、特に断らない限り、本発明の鋼の成分に関して重量%が本明細書において提供される場合、提供されるパーセントは、各成分の元素状形態に基づく。
【0020】
本明細書において参考のために引用すると述べられている任意の特許、刊行物、または他の開示材料は、全部または部分的に、引用した材料が本開示において述べる既存の定義、陳述、または他の開示材料と矛盾しない程度に本明細書において引用するのみである。従って、及び必要な程度に、本明細書において明白に述べる本開示は、本明細書において参考のために引用する任意の矛盾する材料にとって代わる。本明細書において参考のために引用すると述べられているが本明細書において述べる既存の定義、陳述、または他の開示材料と矛盾する任意の材料、またはこの一部分は、引用した材料と既存の開示材料との間に矛盾が生じない程度に引用するのみである。
【0021】
本発明の教示は、二重硬さ複合体鋼装甲板並びに均一な鋼板の両方において有用となることができる。本明細書において使用する“均一な板”という用語は、“複合体板”(すなわち、別個に形成し、一緒に接合して板を形成する2つ以上の板または層)と比較して、単一の溶解物または粉末組成物から製造される単一の板のためのものである。従って、下記に述べる第1及び第2の層を単独で様々な使用のために用いてよく、または1つ以上の層状配置において複合体鋼装甲板として使用してよい。“源”という用語は、溶解物または粉末状ブレンドに特定の元素成分を提供するための、溶解物または粉末ブレンドのための成分として使用するのに適した任意の材料を意味する。本明細書において使用する“残留不純物”という用語は、溶解物または粉末組成物において周知の機能上の目的も利益も提供しない、溶解物または粉末状組成物に対する偶発的な汚染物として働く1つ以上の成分含量を意味する。本明細書において使用する、板または層“の表面に堆積した”または“に適用した”という句は、板または層の表面よりも上にまたはこれじゅうに、しかし必ずしもこれに隣接せずに堆積したかまたは提供したことを意味する。例えば、第1の層を第2の層の表面に直接に堆積でき、または1つ以上の他の層をその間に適用できる。また、“ある(a)”、“ある(an)”、または“その(the)”という用語を本明細書において物品を指すために用いる場合、少なくとも1つの、及び、多分、1を超える物品を予測しており、用いるかまたは使用してよい。
【0022】
本発明は一般に、高力鋼、特にマルエージ鋼並びにそれを製造し、用いる方法に関する。本発明の範囲内のマルエージ鋼のうちの幾つかは、例えば、本明細書において述べる高性能構成要素において用途を有すると思われる。本明細書において述べるように、マルエージ鋼を形成するために有効な量のニッケル、チタン、及びモリブデンを、他の任意の添加剤と共に加えることは、高性能特性、例えば、硬さを、処理済みインゴット及び結果として起きるそれから形成した物品、例えば装甲板に提供することが見い出された。例えば、本願発明者らは、第1の硬さの範囲内の第1の硬さを提供する特定の化学を有する第1の層、及び第2の硬さの範囲内の第1の硬さを超える第2の硬さを提供する特定の化学を有する第2の層を有し、特定の硬化及び処理操作によって形成してよい二重硬さ装甲板は、従来技術のマルエージ鋼と比較した場合にかなりの高性能特性、例えば優れた耐弾道性能を生じることができることを決定した。1具体例においては、第1の層は装甲板の前部としてよく、第2の層は後部としてよい。
【0023】
本明細書において述べる実施例によって支持されるように、請求された範囲及び形成方法の範囲に含まれ、かなりの範囲の硬さ値にわたって機能するように設計された広範囲のマルエージ鋼は、高性能物品における特定の利点を提供する。硬さ値は、本明細書において述べるように、特定の処理条件での成分の組合せとしてよいNi−Ti−Mo材料としてのマルエージ鋼から得てよいことが見い出された。
【0024】
第1の層を形成する材料は、鉄、ニッケル、モリブデン、及びチタンの成分を主成分として含んでよく、炭素、マンガン、リン、硫黄、ケイ素、クロム、アルミニウム、銅、ニオブ(すなわちコロンビウム)、窒素、及びコバルトのうちの1つ以上の成分を微量成分としてまたは残留不純物として含んでよいが、その必要は無い。
【0025】
ニッケル成分は、第1の層の最終組成物の15.0〜20.0重量%の範囲にわたる量で存在してよく、18.0〜19.0重量%の量の範囲にわたってよいように、第1の層の主成分を混合してよい。ニッケルの様々な形態または源を用いてよく、例えば、インターナショナル・ニッケル・カンパニー、カナダ(International Nickel Company, Canada)から市販されている電解ニッケルである。精製された形態のニッケル及びニッケルペレットも用いてよい。チタン成分は、第1の層の最終組成物の1.0〜3.0重量%の範囲にわたる量で存在してよく、1.35〜1.45重量%の量の範囲にわたってよい。チタン成分の源は、例えば、チタンスクラップ、例えば合金化チタンとしてのTi−6Al−4V、または工業的に純粋なチタン添加物を含んでよい。モリブデン成分は、第1の層の最終組成物の2.0〜6.0重量%の範囲にわたる量で存在してよく、2.90〜3.10重量%の量の範囲にわたってよい。モリブデン成分の源は、例えば、モリブデンスクラップ、ワイヤまたはMoOを含んでよい。
【0026】
アルミニウム成分を、第1の層の最終組成物の最高0.5重量%までの範囲にわたる量で第1の層における主成分に加えてよく、最高0.1重量%までの量の範囲にわたってよい。アルミニウム成分を、当分野において周知の様々な源によって、例えば、アルミニウム金属添加物によって加えてよい。他の成分は、第1の層のマルエージ鋼の組成物中に存在してよいが、その必要は無く、炭素、マンガン、リン、硫黄、ケイ素、クロム、銅、ニオブ、窒素、及び/またはコバルトを含んでよい。こうした成分の各々は、残留不純物または汚染物として合金組成物中に存在してよい。例えば、炭素成分は、第1の層の最終組成物の最高0.05重量%までの範囲にわたる量で存在してよく、最高0.02重量%までの量の範囲にわたってよい。マンガン成分は、第1の層の最終組成物の最高0.3重量%までの範囲にわたる量で存在してよく、最高0.1重量%までの量の範囲にわたってよい。リン成分は、第1の層の最終組成物の最高0.1重量%までの範囲にわたる量で存在してよく、最高0.04重量%までの量の範囲にわたってよい。硫黄成分は、第1の層の最終組成物の最高0.03重量%までの範囲にわたる量で存在してよく、最高0.005重量%までの量の範囲にわたってよい。ケイ素成分は、第1の層の最終組成物の最高0.5重量%までの範囲にわたる量で存在してよく、最高0.1重量%までの量の範囲にわたってよい。クロム成分は、第1の層の最終組成物の最高1.0重量%までの範囲にわたる量で存在してよく、最高0.5重量%までの量の範囲にわたってよい。銅成分は、第1の層の最終組成物の最高1.0重量%までの範囲にわたる量で存在してよく、最高0.2重量%までの量の範囲にわたってよい。ニオブ成分は、第1の層の最終組成物の最高0.3重量%までの範囲にわたる量で存在してよく、最高0.15重量%までの量の範囲にわたってよい。窒素成分は、第1の層の最終組成物の最高0.01重量%までの範囲にわたる量で存在してよく、最高0.005重量%までの量の範囲にわたってよい。コバルト成分は、第1の層の最終組成物の最高0.5重量%までの範囲にわたる量で存在してよく、0.001〜0.5重量%の量の範囲にわたってよい。
【0027】
鉄成分及び製造操作から生じる他の微量不純物は、第1の層の最終組成物の残りを構成してよい。鉄成分の幾つかの源は、例えば、鉄ポンチ屑、スクラップ、及び軟鋼からのバリ取り材料を含む。
【0028】
本発明の1具体例においては、第1の層は、バスコマックス(登録商標)T−250(VascoMax(登録商標) T-250)という商標でアレガニー・テクノロジーズInc.、ピッツバーグ、PA(Allegheny Technologies Inc., Pittsburgh, PA)から販売されている市販のマルエージ鋼としてよい。
【0029】
第2の層を形成する材料は、鉄、ニッケル、モリブデン、及びチタンの成分を主成分として含んでよく、炭素、マンガン、リン、硫黄、ケイ素、クロム、アルミニウム、銅、ニオブ、窒素、及びコバルトのうちの1つ以上の成分を微量成分としてまたは残留不純物として含んでよいが、その必要は無い。第2の層の主成分の源は、第1の層に関して上記に述べた形態及び源と同一かまたは異なってよく、当業者の知識の範囲内にある。
【0030】
ニッケル成分は、第2の層の最終組成物の15.0〜20.0重量%の範囲にわたる量で存在してよく、18.0〜19.0重量%の量の範囲にわたってよいように、第2の層の主成分を混合してよい。チタン成分は、第2の層の最終組成物の3.0〜8.0重量%の範囲にわたる量で存在してよく、5.9〜6.3重量%の量の範囲にわたってよい。モリブデン成分は、第2の層の最終組成物の2.0〜6.0重量%の範囲にわたる量で存在してよく、3.9〜4.1重量%の量の範囲にわたってよい。
【0031】
アルミニウム成分を、最終組成物の最高0.5重量%までの範囲にわたる量で第2の層における主成分に加えてよく、0.05〜0.10重量%の量の範囲にわたってよい。他の成分は、第2の層のマルエージ鋼の組成物中に存在してよいが、その必要は無く、炭素、マンガン、リン、硫黄、ケイ素、クロム、銅、ニオブ、窒素、及び/またはコバルトを含んでよい。こうした成分の各々は、残留不純物または汚染物として合金組成物中に存在してよい。例えば、炭素成分は、第2の層の最終組成物の最高0.05重量%までの範囲にわたる量で存在してよく、最高0.02重量%までの量の範囲にわたってよい。マンガン成分は、第2の層の最終組成物の最高0.3重量%までの範囲にわたる量で存在してよく、最高0.1重量%までの量の範囲にわたってよい。リン成分は、第2の層の最終組成物の最高0.04重量%までの範囲にわたる量で存在してよく、最高0.01重量%までの量の範囲にわたってよい。硫黄成分は、第2の層の最終組成物の最高0.03重量%までの範囲にわたる量で存在してよく、最高0.01重量%までの量の範囲にわたってよい。ケイ素成分は、第2の層の最終組成物の最高0.5重量%までの範囲にわたる量で存在してよく、最高0.1重量%までの量の範囲にわたってよい。クロム成分は、第2の層の最終組成物の最高1.0重量%までの範囲にわたる量で存在してよく、最高0.5重量%までの量の範囲にわたってよい。銅成分は、第2の層の最終組成物の最高1.0重量%までの範囲にわたる量で存在してよく、最高0.2重量%までの量の範囲にわたってよい。ニオブ成分は、第2の層の最終組成物の最高0.3重量%までの範囲にわたる量で存在してよく、最高0.15重量%までの量の範囲にわたってよい。窒素成分は、第2の層の最終組成物の最高0.01重量%までの範囲にわたる量で存在してよく、最高0.007重量%までの量の範囲にわたってよい。コバルト成分は、第2の層の最終組成物の最高0.5重量%までの範囲にわたる量で存在してよく、0.001〜0.5重量%の量の範囲にわたってよい。
【0032】
鉄成分及び製造操作から生じる他の微量不純物は、第1の層の最終組成物の残りを構成してよい。
各金属成分につき特定の酸化物を本明細書において検討できるが、他の適切な化合物、例えば酸化物または炭酸塩を、適用可能な場合、本発明の合金材料を形成するために使用できることは当業者であれば了解できよう。従って、特定の金属酸化物を本明細書において開示できるが、当業者であれば、本発明を、特定する特定の酸化状態の使用に限定する必要は無く、他の酸化状態の他の金属酸化物またはその炭酸塩を、特定の金属酸化物の部分的なまたは完全な代用物として用いてよいことは理解すると思われる。例えば、酸化モリブデンに関して、本発明は、MoO、MoO、Mo、並びにMoO、MoO、及びMoに転換できる化合物を用いてよい。従って、特定の金属酸化物を本発明において用いてよいが、当業者は、本発明の範囲をこうした特定の成分のみに限定する必要は無いことを理解しよう。
【0033】
溶解物または粉末状形態を作製することに関して、第1及び/または第2の層の鉄、ニッケル、チタン、モリブデン、及び、所望により、アルミニウム成分を、必要ならば、当業者には周知の任意の仕方で粉砕及び混合してよい。粗鉱石を、例えば破砕または剪断加工、及び混合によって粉砕してよく、その結果、全ての合金化剤は所望の量及び比で存在する。また、成分の適切な選択によって、他の元素の例えば炭素、マンガン、リン、硫黄、ケイ素、クロム、銅、ニオブ、窒素、及びコバルトを、所望の機械的性質を得るためにまたは最終合金の機械的性質に及ぼす任意の悪影響を制限するために、許容可能なレベルに保持してよい。原料を、粉末状形態でまたは溶解のための製品で一緒にブレンドしてよい。溶解した場合、粗成分を、一連の製造及び溶解プロセスによって、一般に均一な円柱形のまたは矩形の形態に緻密化してよい。上記に検討したように、溶解物を形成するための粗成分の各々の選択及び添加を、こうした添加が完成形態の合金の特性に及ぼす影響が理由となって、注意深く制御しなければならない。
【0034】
例えば、第2の層の組成物の金属粉末をまた、溶融金属小滴を生じさせるスピニングブレードの形態のアトマイザーの上に溶融金属流れを注ぐ真空誘導溶解(VIM)によって製造してよい。小滴は、真空または不活性ガス雰囲気中で急速に凝固することができ、金属粉末粒子が形成されることをもたらす。
【0035】
本発明の装甲板の1つ以上の板または層、例えば第1の層の組成物を有するものを、従来の溶解実施、例えば消耗溶解(consumable melting)、(例えば、真空アーク再溶解(VAR)、VIM、またはエレクトロスラグ再溶解(ESR))、非消耗溶解{例えば、非消耗電弧、プラズマ低温炉床溶解(plasma cold hearth melting)、または電子ビーム低温炉床溶解)、またはこうした実施のいずれでもの組合せによって製造してよい。第1の層の組成物に適用した場合、例えば、方法は、第1の層の適切な鋼組成物を溶解することと、第1の層の組成物をインゴットまたはスラブに鋳造することと、第1の層を中間スラブ厚さに熱間圧延することとを含んでよい。その後、第1の層を、スラブの合う表面を研磨し、清浄化することによって製造すると思われる。本発明の複合体板を製造する場合、第2の層を第1の層の合う表面に直接にまたは間接に堆積し、ロール圧延してよく、その結果、層は強い冶金学的結合をその間に形成する。第2の層は粉末状形態としてよく、下記により詳細に説明するように第1の層に適用してよいか、または、第1の層と同様の仕方で従来の溶解実施を用いて形成してよい。この後者の形態で、第1及び第2のスラブを、当業者には周知の仕方、例えば、本明細書において参考のために全体を引用する米国特許第5,749,140号及び同第6,360,936号において述べるもので複合体に形成してよく、本明細書において述べる可能なプロセス変形例を用いる。例えば、第1及び第2のスラブに、前及び後ろスラブの表面にパックを形成するために周辺溶接または爆発圧着を行ってよく、その後、例えばロール圧延プロセスによって2つ以上の鋼を圧延して、所望の板厚さにする。溶接したスラブ生成物を、それに続く所望の板厚さへのロール圧延のために真空排気し、高真空を用いて気密封止してよいが、必ずしもこうではない。その後、必要に応じて、オーステナイト化、焼入れ、及び焼戻しによってスラブに熱処理を行ってよい。
【0036】
第2の層を粉末状形態で第1の板層の合う表面に堆積する具体例においては、複合体スラブを、様々な粉末状冶金技術によって形成してよい。1具体例においては、例えば、第2の層を、任意の所望の量、例えば本明細書において述べるもので、熱間静水圧成形によって任意の所望の厚さに第1の層の合う表面に適用してよい。その後、複合体スラブをロール圧延して所望の板厚さにしてよく、それに続いて、必要に応じて、オーステナイト化、焼入れ、及び焼戻しによって熱処理してよい。例えば、粉末冶金技術を用いる1具体例においては、本発明の製品を、第1の層(後部)の組成物のインゴットを熱間圧延してスラブを形成することと、スラブの表面を滑らかに研磨することと(smooth grinding)、第2の層(前部)の組成物の金属粉末を後部スラブに対して熱間静水圧成形することとによって製造してよい。複合体スラブを次に1900〜2300°F(1038〜1260℃)の範囲内に、例えば2150°F(1177℃)に加熱して、仕上げ厚さの2〜20倍の範囲にわたる、例えば10倍の中間スラブサイズにしてよい。スラブを次に冷却し、ブラスティングし、その後、1600〜2100°F(871〜1149℃)の範囲にわたる温度、例えば1850°F(1010℃)に加熱してよい。スラブを次に圧延して仕上げサイズにし、1650〜1750°F(899〜954℃)の範囲にわたる温度で、例えば1700°F(927℃)で焼なましし、100°F(38℃)未満に冷却し、1450〜1550°F(788〜843℃)の範囲にわたる温度で、例えば1500°F(816℃)で焼なましし、ブラスティングし、次に切断して所要のサイズにする。
【0037】
本発明の具体例においては、第1の(軟質の面)層は総複合体の40〜50重量%の範囲内としてよく、総複合体の45重量%としてよく、一方、第2の(硬質の面)層は総複合体の50〜60重量%の範囲内としてよく、総複合体の55重量%としてよい。この形態で、複合体を熱処理した場合、複合体のゆがみは最小である。
【0038】
第1の(軟質の面)層を、任意の希望する厚さ、例えば2.0〜8.0インチ(5.1〜20.3cm)の範囲にわたる厚さに形成してよく、厚さ5.0インチ(12.7cm)に形成してよい。第2の(硬質の面)層を、本明細書において述べるように粉末状冶金技術を使用して形成してよく、第1の層に直接にまたは間接に隣接させて任意の所望の厚さ、例えば1.5〜6.0インチ(3.8〜15.2cm)の範囲にわたる厚さに形成してよく、厚さ4.1インチ(10.4cm)に形成してよい。複合体スラブが第1及び第2の層のみを含む具体例においては、複合体スラブを任意の所望の厚さ、例えば3.5〜14インチ(8.9〜35.6cm)の範囲にわたる厚さに形成してよく、厚さ9.0インチ(22.9cm)に形成してよい。
【0039】
1具体例においては、第1の(軟質の面)層は、ロックウェル硬さスケールC(“RC”)で測定して、48〜54RCの範囲にわたる硬さ値を有してよく、49〜51RCの範囲にわたる硬さ値を有してよい。第1の層の硬さ値に、850°F〜1000°F(454℃〜538℃)の範囲にわたる温度で第1の層を時効硬化した後に達してよく、温度925°F(496℃)で第1の層を時効硬化した後に達してよい。第2の(硬質の面)層は、58〜64RCの範囲にわたる硬さ値を有してよく、59〜61RCの範囲にわたる硬さ値を有してよい。第2の層のハーネス値に、850°F〜1000°F(454℃〜538℃)の範囲にわたる温度で第2の層を時効硬化した後に達してよく、温度925°F(496℃)で第2の層を時効硬化した後に達してよい。本発明の幾つかの具体例においては、第2の層の引張強さは、こうした比較的に高い硬さ値を実現するために少なくとも350ksi(2413N/mm)であるべきである。
【0040】
二次製造のために再溶解し、鋳造して完成形状にすることは、その後、当業者には周知のように及び下記の実施例において説明するように完了する。最終インゴットを、所望の最終生成物を製造するために使用できるものよりも、熱間加工、例えば、高温で鍛造または圧延し、焼なましし、時効硬化して所要のサイズにすることによって、転換してよい。例えば、インゴットを1500°F(816℃)で焼なましし、925°F(496℃)で6時間時効硬化して、組成物の特性を決定してよい。熱間加工操作は、合金の物理的形状及び内部構造を変えて、所望の物理的性質を材料に与える。
【0041】
本明細書において提供される実施例に示すように、本発明のマルエージ鋼組成物及び形成方法は、硬化プロセスの最中、例えば低合金鋼の場合に行われる硬化操作の油焼入れ工程の最中に、析出硬化可能であり、低減したゆがみ特性かまたはゆがみ特性が実質的に無いことを示す二重硬さ装甲板を提供できることが見い出された。本発明の二重硬さ装甲板の具体例においては、装甲板は、熱間圧延の後に冷却する最中に、既存の装甲板未満ゆがむかもしれない。本発明の二重装甲板において、圧延した後、第1と第2の層との間の変態温度の差が理由となって若干のゆがみが生じるかもしれないが、一旦平坦化すると、二重装甲板は、例えば、外部熱処理装置を使用した析出硬化の最中に実質的に平坦なままであろう。
【0042】
本発明の具体例の耐弾道性能は、Ni−Cr−Mo合金鋼で形成された既存の装甲板より優れていると思われ、優れた靱性特性を示すであろうということは予想される。加えて、二重ハーネス装甲板として形成された場合、本発明の具体例は、優れた及びより一定した耐弾道性能が理由となって、幾つかの均一な装甲板に取って代わることができる。本発明の具体例は、物品、例えば装甲された乗り物に適用された場合に、既存の装甲板、例えば均一な装甲板と比較した場合、優れた耐弾道性能、より低い重量、より容易な組立て、より大きな信頼性、及び多数の命中容量(multiple hit capacity)のうちの1つ以上も示すことができる。
【0043】
本発明の合金の改良された特性は、特定の高性能製品において使用するためのより大きなパネルの製造を生じることができるビレットに製造した場合、優れたゆがみ特性及び靱性特性を提供することが予想されると思われることは当業者であれば了解できよう。本発明の具体例は、物品、例えば装甲された乗り物に適用された場合に、既存の装甲板、例えば均一な装甲板と比較した場合、優れた耐弾道性能、より低い重量、より容易な組立て、より大きな信頼性、及び多数の命中容量のうちの1つ以上も示すことができる。また、本発明の広い概念から逸脱することなく、本明細書において説明する具体例に変更を行う可能性があることは当業者であれば了解できよう。従って、本発明は、開示する特定の具体例に限定されるのではなく、請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲内にある修正を包含することを意図されていることは理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量で、15.0〜20.0%のNi、2.0〜6.0%のMo、3.0〜8.0%のTi、最高0.5%までのAlを含み、残りはFe及び残留不純物である、マルエージ鋼組成物。
【請求項2】
重量で、18.0〜19.0%のNiを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
重量で、3.9〜4.1%のMoを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
重量で、5.9〜6.3%のTiを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
重量で、0.05〜0.1%のAlを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
重量%で:C≦0.05、Mn≦0.3、P≦0.04、S≦0.03、Si≦0.5、Cr≦1.0、Cu≦1.0、Nb≦0.3、N≦0.01、Co≦0.5を残留不純物として含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
重量%で:C≦0.02、Mn≦0.1、P≦0.01、S≦0.01、Si≦0.1、Cr≦0.5、Cu≦0.2、Nb≦0.15、N≦0.007、Co≦0.5を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
重量で、15.0〜20.0%のNi、2.0〜6.0%のMo、3.0〜8.0%のTi、最高0.5%までのAlを含み、残りはFe及び残留不純物である組成物で形成された第1の層を含むマルエージ鋼の板。
【請求項9】
前記板は、前記第1の層の表面に堆積した第2の層を有する複合体であり、該第2の層は、重量で、15.0〜20.0%のNi、2.0〜6.0%のMo、1.0〜3.0のTi、最高0.5%までのAlを含み、残りはFe及び残留不純物である組成物を有する、請求項8に記載のマルエージ鋼の板。
【請求項10】
前記第1の層は、重量で、18.0〜19.0%のNiを含む、請求項8に記載の板。
【請求項11】
前記第1の層は、重量で、3.9〜4.1%のMoを含む、請求項8に記載の板。
【請求項12】
前記第1の層は、重量で、5.9〜6.3%のTiを含む、請求項8に記載の板。
【請求項13】
前記第1の層は、重量で、0.05〜0.1%のAlを含む、請求項8に記載の板。
【請求項14】
前記第1の層は前記複合体の前部であり、前記第2の層は後部である、請求項9に記載の板。
【請求項15】
前記第2の層は、重量で、18.0〜19.0%のNiを含む、請求項9に記載の板。
【請求項16】
前記第2の層は、重量で、2.9〜3.1%のMoを含む、請求項9に記載の板。
【請求項17】
前記第2の層は、重量で、1.35〜1.45%のTiを含む、請求項9に記載の板。
【請求項18】
前記第1の層は、重量で、最高0.1%までのAlを含む、請求項9に記載の板。
【請求項19】
前記第1の層は、重量%で:C≦0.05、Mn≦0.3、P≦0.04、S≦0.03、Si≦0.5、Cr≦1.0、Cu≦1.0、Nb≦0.3、N≦0.01、Co≦0.5を残留不純物として含む、請求項9に記載の板。
【請求項20】
前記第1の層は、重量%で:C≦0.02、Mn≦0.1、P≦0.01、S≦0.01、Si≦0.1、Cr≦0.5、Cu≦0.2、Nb≦0.15、N≦0.007、Co≦0.5を含む、請求項19に記載の板。
【請求項21】
前記第2の層は、重量%で:C≦0.05、Mn≦0.3、P≦0.1、S≦0.03、Si≦0.5、Cr≦1.0、Cu≦1.0、Nb≦0.3、N≦0.01、Co≦0.5を残留不純物として含む、請求項9に記載の板。
【請求項22】
前記第2の層は、重量%で:C≦0.02、Mn≦0.1、P≦0.04、S≦0.005、Si≦0.1、Cr≦0.5、Cu≦0.2、Nb≦0.15、N≦0.005、Co≦0.5を含む、請求項21に記載の板。
【請求項23】
前記第1の層は58〜64RCの範囲にわたる硬さ値を有し、前記第2の層は48〜54RCの範囲にわたる硬さ値を有する、請求項9に記載の板。
【請求項24】
前記第1の層の前記硬さ値は59〜61RCの範囲にわたり、前記第2の層の前記硬さ値は49〜51RCの範囲にわたる、請求項23に記載の板。
【請求項25】
前記第1の層は前記板の40〜50重量%を占める、請求項9に記載の板。
【請求項26】
前記第2の層は前記板の50〜60重量%を占める、請求項25に記載の板。
【請求項27】
請求項8に記載の板を含む物品。
【請求項28】
請求項9に記載の複合体板を含む物品。
【請求項29】
第1の層及び第2の層を含み、前記第1の層は58〜64RCの範囲にわたる硬さ値を有し、前記第2の層は48〜54RCの範囲にわたる硬さ値を有する、マルエージ鋼の複合体板。
【請求項30】
前記第1の層は59〜61RCの範囲にわたる硬さ値を有し、前記第2の層は49〜51RCの範囲にわたる硬さ値を有する、請求項29に記載の板。
【請求項31】
前記第1の層は前部であり、前記第2の層は後部である、請求項29に記載の複合体板。
【請求項32】
前記第1の層及び前記第2の層の前記硬さ値は、925°F(496℃)で時効硬化した後に達せられる、請求項29に記載の複合体板。
【請求項33】
請求項29に記載の複合体板を含む物品。
【請求項34】
マルエージ鋼の形成方法であって:
重量で、15.0〜20.0%のNi、2.0〜6.0%のMo、3.0〜8.0%のTi、最高0.5%までのAlを含み、残りはFe及び残留不純物である組成物を有する鋼を製造することを含む方法。
【請求項35】
合金は、重量で、18.0〜19.0%のNiを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記合金は、重量で、3.9〜4.1%のMoを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記合金は、重量で、5.9〜6.3%のTiを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記合金は、重量で、0.05〜0.1%のAlを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記合金は、重量で、最高0.05%までのC、最高0.3%までのMn、最高0.04%までのP、最高0.03%までのS、最高0.5%までのSi、最高1.0%までのCr、最高1.0%までのCu、最高0.3%までのNb、最高0.01%までのN、及び最高0.5%までのCoを残留不純物として含む、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記合金は、重量で、最高0.02%までのC、最高0.1%までのMn、最高0.01%までのP、最高0.01%までのS、最高0.1%までのSi、最高0.5%までのCr、最高0.2%までのCu、最高0.15%までのNb、最高0.007%までのN、及び最高0.5%までのCoを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
請求項34に記載の方法によって形成される物品。
【請求項42】
マルエージ鋼の板の形成方法であって:
重量で、15.0〜20.0%のNi、2.0〜6.0%のMo、3.0〜8.0%のTi、最高0.5%までのAlを含み、残りはFe及び残留不純物である組成物で形成された第1の層の鋼を製造することと;
前記第1の層をマルエージ鋼の前記板に形成することと;を含む方法。
【請求項43】
前記板は複合体板であり、前記方法は:
重量で、15.0〜20.0%のNi、2.0〜6.0%のMo、1.0〜3.0のTi、最高0.5%までのAlを含み、残りはFe及び残留不純物である組成物で形成された第2の層の鋼を製造することと;
前記第1の層及び前記第2の層を前記複合体板に形成することと;をさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記第1の層は複合体の前部であり、前記第2の層は後部である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第1の層は、重量で、18.0〜19.0%のNi、3.9〜4.1%のMo、5.9〜6.3%のTi、及び0.05〜0.1%のAlを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記第2の層は、重量で、18.0〜19.0%のNi、2.9〜3.1%のMo、1.35〜1.45%のTi、最高0.1%までのAlを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記第1の層は、重量%で:C≦0.05、Mn≦0.3、P≦0.04、S≦0.03、Si≦0.5、Cr≦1.0、Cu≦1.0、Nb≦0.3、N≦0.01、Co≦0.5を残留不純物として含む、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記第1の層は、重量%で:C≦0.02、Mn≦0.1、P≦0.01、S≦0.01、Si≦0.1、Cr≦0.5、Cu≦0.2、Nb≦0.15、N≦0.007、Co≦0.5を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記第2の層は、重量%で:C≦0.05、Mn≦0.3、P≦0.1、S≦0.03、Si≦0.5、Cr≦1.0、Cu≦1.0、Nb≦0.3、N≦0.01、Co≦0.5を残留不純物として含む、請求項43に記載の方法。
【請求項50】
前記第2の層は、重量%で:C≦0.02、Mn≦0.1、P≦0.04、S≦0.005、Si≦0.1、Cr≦0.5、Cu≦0.2、Nb≦0.15、Ni≦0.005、Co≦0.5を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記第1の層は、58〜64RCの範囲にわたる硬さ値を有して製造され、前記第2の層は、48〜54RCの範囲にわたる硬さ値を有して製造される、請求項43に記載の方法。
【請求項52】
前記第1の層は、59〜61RCの範囲にわたる硬さ値を有して製造され、前記第2の層は、49〜51RCの範囲にわたる硬さ値を有して製造される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記第1の層は、前記第2の層にロール圧延する粉末状冶金を使用して製造される、請求項43に記載の方法。
【請求項54】
請求項42に記載の方法によって形成される物品。
【請求項55】
請求項43に記載の方法によって形成される物品。
【請求項56】
前記第1の層は前記板の40〜50重量%を占める、請求項43に記載の方法。
【請求項57】
前記第2の層は前記板の50〜60重量%を占める、請求項43に記載の板。
【請求項58】
マルエージ鋼の板の形成方法であって:
58〜64RCの範囲にわたる硬さ値を有する組成物で形成された第1の層の鋼を製造することと;
48〜54RCの範囲にわたる硬さ値を有する組成物で形成された第2の層の鋼を製造することと;を含む方法。
【請求項59】
前記第1の層は59〜61RCの範囲にわたる硬さ値を有し、前記第2の層は49〜51RCの範囲にわたる硬さ値を有する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記第1の層は前部であり、前記第2の層は後部である、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記第1の層及び前記第2の層の前記硬さ値は、850°F〜1000°F(454℃〜538℃)で時効硬化した後に達せられる、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記第1の層は、前記第2の層にロール圧延する粉末状冶金を使用して製造される、請求項58に記載の方法。
【請求項63】
マルエージ鋼の複合体板の形成方法であって:
第1の層の鋼を製造し、該第1の層は粉末状冶金を使用して製造されることと;
ある組成物で形成された第2の層の鋼を製造することと;
前記第1の層及び前記第2の層を前記複合体板に形成することと;を含む方法。
【請求項64】
前記第1の層は、熱間静水圧成形によって前記第2の層に適用される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記第1の層は、58〜64RCの範囲にわたる硬さ値を有して製造され、前記第2の層は、48〜54RCの範囲にわたる硬さ値を有して製造される、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記第1の層は、59〜61RCの範囲にわたる硬さ値を有して製造され、前記第2の層は、49〜51RCの範囲にわたる硬さ値を有して製造される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記第2の層は、厚さ2〜8インチ(5.1〜20.3cm)に製造される、請求項63に記載の方法。
【請求項68】
前記第1の層は、前記第2の層に厚さ1.5〜6インチ(3.8〜15.2cm)に熱間静水圧成形される、請求項63に記載の方法。
【請求項69】
前記第2の層を製造することに続いて前記複合体板を析出硬化することをさらに含む、請求項63に記載の方法。
【請求項70】
前記第1の層は、重量で、15.0〜20.0%のNi、2.0〜6.0%のMo、3.0〜8.0%のTi、最高0.5%までのAlを含み、残りはFe及び残留不純物である、請求項63に記載の方法。
【請求項71】
前記第2の層は、重量で、15.0〜20.0%のNi、2.0〜6.0%のMo、1.0〜3.0のTi、最高0.5%までのAlを含み、残りはFe及び残留不純物である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記第1の層は、重量で、18.0〜19.0%のNi、3.9〜4.1%のMo、5.9〜6.3%のTi、及び0.05〜0.1%のAlを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項73】
前記第2の層は、重量で、18.0〜19.0%のNi、2.9〜3.1%のMo、1.35〜1.45%のTi、最高0.1%までのAlを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記第1の層は、重量%で:C≦0.05、Mn≦0.3、P≦0.04、S≦0.03、Si≦0.5、Cr≦1.0、Cu≦1.0、Nb≦0.3、N≦0.01、Co≦0.5を残留不純物として含む、請求項63に記載の方法。
【請求項75】
前記第1の層は、重量%で:C≦0.02、Mn≦0.1、P≦0.01、S≦0.01、Si≦0.1、Cr≦0.5、Cu≦0.2、Nb≦0.15、N≦0.007、Co≦0.5を含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記第2の層は、重量%で:C≦0.05、Mn≦0.3、P≦0.1、S≦0.03、Si≦0.5、Cr≦1.0、Cu≦1.0、Nb≦0.3、N≦0.01、Co≦0.5を残留不純物として含む、請求項63に記載の方法。
【請求項77】
前記第2の層は、重量%で:C≦0.02、Mn≦0.1、P≦0.04、S≦0.005、Si≦0.1、Cr≦0.5、Cu≦0.2、Nb≦0.15、N≦0.005、Co≦0.5を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記第1の層は前記板の40〜50重量%を占める、請求項63に記載の方法。
【請求項79】
前記第2の層は前記板の50〜60重量%を占める、請求項63に記載の板。
【請求項80】
請求項63に記載の方法によって形成される物品。
【請求項81】
前記物品は装甲された板である、請求項80に記載の物品。

【公表番号】特表2009−506220(P2009−506220A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529210(P2008−529210)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/033785
【国際公開番号】WO2007/027724
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(501187033)エイティーアイ・プロパティーズ・インコーポレーテッド (39)
【Fターム(参考)】