説明

鋼線長さの評価方法、鋼線の巻取方法および巻取製品

【課題】複数本にて引き揃えられた鋼線の束を構成する各鋼線の長さを、簡易にかつ正確に評価することができる鋼線長さの評価方法を提供する。また、この評価方法を用いることで、複数本の鋼線を誤差の少ないほぼ同一の長さで巻き取ることができる鋼線の巻取方法、および、これにより得られる巻取製品を提供する。
【解決手段】複数本にて引き揃えられた鋼線の束10を構成する各鋼線1の長さを評価する方法である。鋼線束10を、水平方向距離Sの間隔を有しかつ同じ高さに位置する2つの支持点X−Y間に掛け渡した状態で、鋼線束の一端を固定して他端に一定の張力を掛けたときの各鋼線のなす曲線の最低高さと支持点の高さとの差dを計測して、得られた計測値dに基づき、2つの支持点間における各鋼線の長さLを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鋼線長さの評価方法、鋼線の巻取方法および巻取製品(以下、単に「評価方法」および「巻取方法」とも称する)に関し、詳しくは、複数本にて引き揃えられた鋼線の束を構成する各鋼線の長さを評価する方法、これを用いた鋼線の巻取方法および巻取製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、タイヤ等のゴム物品の補強材としては、鋼線を複数本にて撚り合わせた撚りコードが用いられており、また、鋼線を撚り合わせずに用いたモノフィラメントコードの適用についても、種々検討されてきている。このうち、鋼線を複数本にて撚り合わせずに引き揃えてなるモノフィラメントコードを用いて補強材を作製する際には、各鋼線を別個のスプールから引き出し引き揃えてゴム被覆する手法の他、複数本の鋼線をあらかじめ引き揃えて単一のスプールに巻き取っておき、この単一のスプールから鋼線束として引き出す手法が考えられる。
【0003】
後者の鋼線束を引き出す手法を用いる場合、鋼線束を構成する複数本の鋼線が、スプールに均等な長さで巻き取られていることが重要となる。すなわち、複数本の鋼線をカレンダー設備にてゴムシート中に埋設して補強材を製造する工程において、スプールに巻き付けられた鋼線束を巻出しスタンドから引き出す場合、鋼線束を構成する個々の鋼線の長さが均等でないと、引き出された鋼線の一部にたるみが生じて健全な生産を阻害するためである。
【0004】
このように束としてスプールに巻き取られた複数本の鋼線の個々の長さの均等性を評価する方法としては、例えば、特許文献1に、鋼材の巻き長さばらつき評価に用いる室内しごき試験法として、カレンダー巻き出し同様の軸に3本束鋼線のスプールをセットし、約4m離れたところで手動しごきを施した状態で約100m引き出して、その時の約4m間でのたるみ巾とスプール端部の3本束残糸間の長さばらつきを測定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−309492号公報(段落[0016],[0017])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法は、手動しごきを用いるものであるために、試験者がワイヤー束を把持する指先に苦痛を感じたり、把持力を一瞬でも弱めると集約させた鋼線の長さばらつきが開放されてしまうなどの難点を有するものであった。よって、このような問題を生ずることなく、簡易にかつ正確に、複数本の鋼線の個々の長さを評価することができる技術の確立が求められていた。
【0007】
そこで本発明の目的は、複数本にて引き揃えられた鋼線の束を構成する各鋼線の長さを、簡易にかつ正確に評価することができる鋼線長さの評価方法を提供することにあり、また、この評価方法を用いることで、複数本の鋼線を誤差の少ないほぼ同一の長さで巻き取ることができる鋼線の巻取方法、および、これにより得られる巻取製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は鋭意検討した結果、鋼線束を2つの支持点間に掛け渡した状態で、鋼線束の一端を固定して他端に一定の張力を掛けたときの、各鋼線のなす曲線の最低高さと支持点の高さとの差を計測する手法を用いることで、上記課題が解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の鋼線長さの評価方法は、複数本にて引き揃えられた鋼線の束を構成する各鋼線の長さを評価する方法であって、
前記鋼線束を、水平方向距離Sの間隔を有しかつ同じ高さに位置する2つの支持点間に掛け渡した状態で、該鋼線束の一端を固定して他端に一定の張力を掛けたときの各鋼線のなす曲線の最低高さと前記支持点の高さとの差dを計測して、得られた計測値dに基づき、前記2つの支持点間における前記各鋼線の長さLを算出することを特徴とするものである。
【0010】
本発明の評価方法においては、前記張力を、前記鋼線の単位重量に前記鋼線束の構成本数を乗じ、さらに前記水平方向距離Sを乗じた値の10〜15倍の範囲とすることが好ましい。また、前記各鋼線の長さL(m)の算出には、下記式(1)、

(式中、Sは前記2つの支持点間の水平方向距離(m)であり、dは前記各鋼線のなす曲線の最低高さと前記支持点の高さとの差(m)である)を用いることができる。
【0011】
また、本発明の鋼線の巻取方法は、複数本にて引き揃えられた鋼線の束をスプールに巻き取る鋼線の巻取方法であって、上記本発明の鋼線長さの評価方法による前記各鋼線の長さLの算出結果に基づき、前記鋼線束を構成する複数本の鋼線の長さを±0.01%以内の誤差範囲で揃えることを特徴とするものである。
【0012】
さらに、本発明の巻取製品は、上記本発明の鋼線の巻取方法により得られたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、上記構成としたことにより、複数本にて引き揃えられた鋼線の束を構成する各鋼線の長さを、簡易にかつ正確に評価することができる鋼線長さの評価方法を実現することが可能となった。よって、この評価方法を用いることで、複数本の鋼線を誤差の少ないほぼ同一の長さで巻き取ることができる鋼線の巻取方法、および、これにより得られる巻取製品についても提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の鋼線長さの評価方法を示す概略説明図である。
【図2】本発明における鋼線長さの算出手法を示す概略説明図である。
【図3】本発明の鋼線長さの評価方法の他の実施形態を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の鋼線長さの評価方法は、複数本、例えば、3〜12本にて引き揃えられた鋼線の束、特には、撚り合わされずに引き揃えられた鋼線束を構成する各鋼線の長さを評価する方法の改良に係るものである。図1に、本発明の鋼線長さの評価方法に係る概略説明図を示す。
【0016】
図示するように、本発明においては、鋼線束10を、水平方向距離Sの間隔を有し、かつ、同じ高さに位置する2つの支持点X−Y間に掛け渡した状態で、鋼線束10の一端(X側)を固定して、他端(Y側)に一定の張力Tを掛ける。このとき、図2に示すように、各鋼線1のなす曲線の最低高さと支持点の高さとの差(たるみ高さ)dを計測して、得られた計測値dに基づき、2つの支持点X−Y間における各鋼線1の長さLを算出するものである。
【0017】
本発明によれば、鋼線束10を構成する各鋼線につき上記たるみ高さを計測するのみで、算出式に基づき、個々の鋼線の長さを正確に、かつ、簡易に測定することができる。よって、この測定結果を用いることで、複数本の鋼線を誤差の少ないほぼ同一の長さで巻き取ることが可能となる。
【0018】
ここで、各鋼線の長さL(m)の具体的な算出には、例えば、下記式(1)、

(式中、Sは前記2つの支持点間の水平方向距離(m)であり、dは前記各鋼線のなす曲線の最低高さと前記支持点の高さとの差(m)である)を用いることができる。上記式は、電線の架線において、2つの支持点に高低差がない場合に一般に用いられる式である。なお、1本の電線を支持点間に張る場合には、自重によるたるみを考慮して、使用する電線としては実際の支持点間よりも長い電線を用意する必要があるが、本発明においては、同じ線径、すなわち、同じ単位重量の複数本の鋼線の長さの差のみを計測することを目的とするので、各鋼線の自重によるたるみは無視することができる。厳密には、支持点間で長さ差があれば自重によるたるみ量は異なるが、本発明においては、その影響は極めて小さいと考えられる。
【0019】
本発明の評価方法において、2つの支持点X−Y間の距離Sは、特に制限されず、適宜設定することが可能であるが、測定の便宜の観点からは5〜20m程度が好ましく、算出のし易さを踏まえると、10mが最適である。
【0020】
また、本発明の評価方法においては、鋼線束10の他端に掛ける張力Tの大きさについても特に制限されないが、好適には、鋼線の単位重量に鋼線束の構成本数を乗じ、さらに水平方向距離Sを乗じた値の10〜15倍の範囲とする。その理由は、鋼線の長さに違いがあった場合、張力が高過ぎると、相対的に短い鋼線に負荷が集中して、この鋼線が引き伸ばされ、相対的に長い鋼線のたるみ量が減少することになり、逆に張力が低過ぎると、全鋼線が大きくたるんでしまい、いずれの場合も精確な計測が困難となるためである。ここで、鋼線束10に張力を負荷するための手法については特に制限はなく、例えば、鋼線束10の他端に錘を吊り下げる手法などが挙げられる。
【0021】
本発明の評価方法は、より具体的には、1つのスプールに同時に巻き取られた複数本の鋼線の個々の長さを評価する際に有用である。すなわち、この場合、まず、複数本の鋼線束が巻き付けられたスプール11を、鋼線束の出線位置が支持点Xと一致するように、巻出しスタンド12にセットする。次いで、このスプール11から鋼線束10を引き出して、鋼線束の支持位置が支持点Yと一致するように引出しスタンド13にセットされたプーリ14に掛け回し、引出した端末側に、錘15を吊り下げるなどにより一定の水平張力Tを負荷する。ここで、スプール11側の巻出しスタンド12は、張力Tの負荷により鋼線束10が引き出されない程度の回転抵抗を備えるものとする。次いで、このときに生ずる各鋼線1のなす曲線の最低点と支持点X,Yとの高さの差(たるみd)を計測することで、この計測値(d)に基づき、各鋼線の実長さ(L)を算出することができる。
【0022】
なお、本発明の評価方法においては、鋼線束を引出す際に測定対象となる各鋼線の長さの差が開放されることを防止するために、鋼線束を引き出す前に、鋼線束の端部に近い一点で、鋼線同士をハンダで固着させておくことが好ましい。この際に用いるハンダとしては、作業環境面から鉛フリーが好ましいが、特に限定されるものではない。また、スプールへの鋼線の巻付け径が変化すると、鋼線束の出線位置の高さも変動する。この場合、ある程度の巻付け径の差は影響が小さいので無視することができるが、連続して計測を行う際には、スプールの取付け高さの調整を、適宜行うことが好ましい。具体的には例えば、出線位置の高さが3cm、すなわち、鋼線の巻付け半径が3cmずれる場合に、取付け高さの調整を行うものとすることができる。
【0023】
また、本発明の評価方法において、鋼線長さを長手方向に繰り返し測定する場合などには、各鋼線の識別性を高めるために、各鋼線に異なる色彩や形状等を有する識別性の高い標識を付与することも好ましい。具体的には例えば、図3に示すように、各鋼線1に、引出し端末側より、鋼線ごとに色や形状等を変えたプラスチックビーズ16などの軽量で鋼線のたるみを助長しない円筒状物を通す手法や、マーカーで適宜目印を付ける手法などを用いることができる。これにより、計測を長手方向に繰り返す際において各鋼線の識別が容易となるので、各鋼線の長さを長手方向に連続して評価した結果を蓄積することで、より長尺の鋼線長さを求めることが可能となる。ここで、例えば、円筒状物を用いる場合には、評価の準備段階において、あらかじめ各鋼線の端部から各鋼線に円筒状物を挿入しておき、この円筒状物を、たるみ高さの計測時には2つの支持点間の中間点付近に位置させ、計測後にはスプール11側に移動させて、次の計測に備えるものとすればよい。
【0024】
さらに、本発明の評価方法においては、鋼線長さの測定後に測定済みの鋼線長さ部分を切断してもよく、これにより、長尺の鋼線の長さを長手方向に繰り返し測定することが容易となる。
【0025】
本発明において、評価対象となる鋼線とは、タイヤ等のゴム物品の補強材として用いられるスチールワイヤ(スチールフィラメント)の他、ピアノ線やステンレス線、合金線等のいかなる線材をも含むものである。
【0026】
次に、本発明の鋼線の巻取方法は、複数本にて引き揃えられた鋼線の束をスプールに巻き取るにあたり、上記本発明の評価方法による各鋼線長さLの算出結果に基づき、鋼線束を構成する複数本の鋼線の長さを±0.01%以内、好適には±0.006%以内の誤差範囲で揃える点に特徴を有する。上述したように、本発明の評価方法によれば、1つのスプールに巻き付けられた複数本の鋼線の個々の長さを、ほぼ正確に評価することが可能となるので、この評価結果に基づくことで、複数本の鋼線を極めて誤差の少ないほぼ同一の長さでスプールに巻き取った巻取製品を得ることが可能となる。また、個々の鋼線の識別が可能であることから、測定毎の変動、すなわち、鋼線束の長手方向における各鋼線長さの変動が明確となるので、長さばらつきのメカニズムや、発生原因の特定が容易になるというメリットがある。
【0027】
ここで、1つのスプールに巻き付けられた複数本の鋼線の個々の長さのバラツキを低減するための方法としては、例えば、鋼線束を駆動プーリおよび従動プーリの対に通して、鋼線束に送り出しのための駆動力を付与する際に、従動プーリないし駆動プーリにおける鋼線束の走行経路を、従動プーリないし駆動プーリの回転軸と直交する同一直線上に置く方法や、従動プーリおよび駆動プーリの、それぞれ一周未満の領域に鋼線束を巻き付けて鋼線束に駆動力を付与する際に、従動プーリおよび駆動プーリにおけるワイヤ束の走行経路を、従動プーリおよび駆動プーリの回転軸と直交する同一直線上に置く方法が挙げられる。これにより、複数本の鋼線のそれぞれに均等に駆動力を掛けることができるので、鋼線間における送り出し長さの差を発生させずに、鋼線束をスプールに巻き取ることが可能となるものである。
【実施例】
【0028】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
<実施例1>
線径φ0.225mm、単位重量0.312g/mのスチールワイヤを6本にて撚り合わせずに引き揃えたスチールワイヤ束を巻き取ったスプールについて、各スチールワイヤ長さの評価を行った。まず、このスプールを巻出しスタンドにセットして、評価の準備段階として、各スチールワイヤに、色分けした玩具用プラスチックビーズを挿入した。
【0029】
評価手順としては、まず、1)スチールワイヤの引出し端部に近い一点で、スチールワイヤ同士をハンダで固定した。次いで、2)スチールワイヤの引出し端末を、引出しスタンドにセットされたプーリに掛け回した。ここで、スプール側の鋼線束の出線位置(支持点X)とプーリ側の鋼線束の支持位置(支持点Y)とが同じ高さに位置するようにした。2つの支持点X−Y間の距離Sは10mとした。この際、プラスチックビーズは2つの支持点間の中間点付近に位置させた。
【0030】
次いで、3)スチールワイヤの引出し端末側に250gの錘を掛けた。これは、下記式により得られる値A(g)に基づき、Aの10〜15倍の範囲で選択した張力(約13.4倍)である。なお、スプール側の巻出しスタンドは、上記張力の負荷によりスチールワイヤ束が引き出されない程度の回転抵抗を備えるものとした。
A=0.312(g/m)(鋼線の単位重量)×6(本)(鋼線束の構成本数)×10 (m)(水平方向距離)=18.72g
【0031】
次いで、4)各スチールワイヤのたるみ量d(各スチールワイヤのなす曲線の最低高さと支持点の高さとの差)を計測して、得られた計測値dに基づき、前記式(1)より、各スチールワイヤの実長さLを算出した。その後、5)各スチールワイヤに挿入したプラスチックビーズをスプールの出線位置まで戻し、再度、スチールワイヤの引出し端部に近い一点で、スチールワイヤ同士をハンダで固定して、測定済みの鋼線長さ部分を切断した。
【0032】
上記2)〜5)の手順を繰り返すことにより、たるみdの測定を10回行った。各計測値より、前記式(1)を用いて、各測定ごとの各スチールワイヤの実長さLを求め、総長さ100mあたりの各スチールワイヤの実長さLを算出した。その結果を、下記の表中に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
上記表中に示すように、6本のスチールワイヤのうち、最も長く巻かれていたものと最も短く巻かれていたものとの差は5.294mmであることが確かめられた。
【0035】
<実施例2>
上記実施例1で用いたのと同様の、線径φ0.225mm、単位重量0.312g/mのスチールワイヤを6本にて撚り合わせずに引き揃えたスチールワイヤ束を巻き取ったスプールについて、各スチールワイヤ長さの評価を行った。具体的には、スチールワイヤの引出し端末側に掛ける錘として、500gのものおよび200gのものを用いて、スチールワイヤ束の任意の箇所につき、それぞれたるみdの測定を10回行った。500gの重りを用いた場合の張力は、前記式により得られた値A(g)の約26.7倍である。得られた各計測値より、前記式(1)を用いて、各測定ごとの各スチールワイヤの実長さLを求め、総長さ100mあたりの各スチールワイヤの実長さLを算出した。錘の重量が500gの場合の結果を下記表2中に、錘の重量が250gの場合の結果を下記表3中に、それぞれ示す。
【0036】
【表2】

【0037】
【表3】

【0038】
上記表2,3中に示すように、6本のスチールワイヤのうち、最も長く巻かれていたものと最も短く巻かれていたものとの差は、錘の重量が500gの場合は5.867mmであり、錘の重量が250gの場合は22.189mmであった。このことから、計測時の荷重が大きすぎると、支持点間でスチールワイヤが張りすぎて、たるみ量の差が検出されにくくなり、測定精度が低下することが確認された。
【符号の説明】
【0039】
1 鋼線
10 鋼線束
11 スプール
12 巻出しスタンド
13 引出しスタンド
14 プーリ
15 錘
16 プラスチックビーズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本にて引き揃えられた鋼線の束を構成する各鋼線の長さを評価する方法であって、
前記鋼線束を、水平方向距離Sの間隔を有しかつ同じ高さに位置する2つの支持点間に掛け渡した状態で、該鋼線束の一端を固定して他端に一定の張力を掛けたときの各鋼線のなす曲線の最低高さと前記支持点の高さとの差dを計測して、得られた計測値dに基づき、前記2つの支持点間における前記各鋼線の長さLを算出することを特徴とする鋼線長さの評価方法。
【請求項2】
前記張力を、前記鋼線の単位重量に前記鋼線束の構成本数を乗じ、さらに前記水平方向距離Sを乗じた値の10〜15倍の範囲とする請求項1記載の鋼線長さの評価方法。
【請求項3】
前記各鋼線の長さL(m)の算出に、下記式(1)、

(式中、Sは前記2つの支持点間の水平方向距離(m)であり、dは前記各鋼線のなす曲線の最低高さと前記支持点の高さとの差(m)である)を用いる請求項1または2記載の鋼線長さの評価方法。
【請求項4】
複数本にて引き揃えられた鋼線の束をスプールに巻き取る鋼線の巻取方法であって、請求項1〜3のうちいずれか一項記載の鋼線長さの評価方法による前記各鋼線の長さLの算出結果に基づき、前記鋼線束を構成する複数本の鋼線の長さを±0.01%以内の誤差範囲で揃えることを特徴とする鋼線の巻取方法。
【請求項5】
請求項4記載の鋼線の巻取方法により得られたことを特徴とする巻取製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−87378(P2013−87378A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227895(P2011−227895)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】