説明

鎮痛剤としてのパーヒドロキノキサリン誘導体

本発明は、パーヒドロキノキサリン誘導体に、この調製のための方法に、薬剤の製造のためのこれの使用に、およびパーヒドロキノキサリン誘導体を含む薬剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーヒドロキノキサリン誘導体およびパーヒドロキノキサリン誘導体を含有する薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
疼痛は、極めて重要な保護および警告機能を有する不快な知覚上のまたは感覚上の体験であり、現実のまたは切迫した組織の損傷によって伴われることがある。疼痛の知覚は、その発生に応じて、例えば、末梢性疼痛または中枢性疼痛に分けられる。
【0003】
疼痛は神経系中の受容体を介して体に送信され、患者の痛みの感覚は主観的である。
【0004】
疼痛の処置は、医学においては大変重要である。鎮痛剤は通常、オピオイド受容体を封鎖することによって作用する。したがって、モルヒネなどの従来のオピオイドは、それらの強力な鎮痛作用の故に臨床的疼痛処置において頻繁に使用されるオピオイド鎮痛剤である。これらはμ受容体を選択的に活性化する。しかし、かかる疼痛処置の望ましくない副作用は、時には呼吸抑制、嘔吐および徐脈などの重要な中枢を介した副作用である。起こり得る精神的依存はさらに不都合である。
【0005】
疼痛および疼痛を伴う疾患の数多くの種類を考慮すると、有効な鎮痛剤に対する大いなる必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上に述べられた先行技術の不都合の少なくとも1つを克服する薬剤を提供するという目的に基づいていた。詳しくは、この目的は特に疼痛と闘うための薬剤の有効化合物として使用され得る新規な化合物を提供することであった。
【0007】
この目的は、下に示されている一般式(I)による化合物および/またはこれらのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、水和物、ならびにこれらの薬学的に許容される塩および/またはエステルによって達成される:
【0008】
【化1】

[式中、
は、H;C−C10アルキル;C−C10シクロアルキル;COO(C−C10アルキル);C−Cアルコキシカルボニル;C−Cオキソカルボニル;C−Cアルキルを有するフェニルアルキル、ここでフェニル基はハロゲン、C−C−アルキルオキシ、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、OH、SO(C−C−アルキル)、SO(C−C−アルキル)、CF、CN、NO、SON(C−C−アルキル)、SONH、SONH(C−C−アルキル)、SONH(アリール)、SONH(フェニル)および/またはSONH(ヘテロアリール)を含む群から選択される1つまたは複数の同一でありまたは異なる基によって置換されていてもよく;
−C10アシル;C−C10シクロアシル;フェニルアシル、ここでアシル基はC−Cアシル基であり、フェニル基はハロゲン、C−C−アルキルオキシ、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、OH、SO(C−C−アルキル)、SO(C−C−アルキル)、CF、CN、NO、SON(C−C−アルキル)、SONH、SONH(C−C−アルキル)、SONH(アリール)、SONH(フェニル)および/またはSONH(ヘテロアリール)を含む群から選択される1つまたは複数の同一でありまたは異なる基によって置換されていてもよく;
N、Oおよび/またはSを含む群から選択される1つ、2つ、3つもしくは4つのヘテロ原子を含有する単環、二環もしくは三環式ヘテロアリール;
N、Oおよび/またはSを含む群から選択される1つ、2つ、3つもしくは4つのヘテロ原子を含有する単環、二環もしくは三環式ヘテロアリールアルキル、ここでアルキル基はC−Cアルキル基であり;
N、Oおよび/またはSを含む群から選択される1つ、2つ、3つもしくは4つのヘテロ原子を含有する単環、二環もしくは三環式ヘテロアリールアシル、ここでアシル基はC−Cアシル基であり;C(O)(C−C10アルキル);C(O)N(C−C10アルキル);C(O)(C−C10シクロアルキル);COO(C−C10アルキル);COO(アリール);COO(C−C10シクロアルキル);
C(O)COO(C−C10アルキル);C(O)−(CH−COOH、ここでqは0、1、2、3もしくは4であり;C(O)−(CH−COO(C−C10アルキル)、ここでrは0、1、2、3もしくは4であり;C(O)−CH(NH)−(CH−COOH、ここでsは0、1、2、3もしくは4であり;C(O)−CH(NH)−(CH−COO(C−C10アルキル)、ここでtは0、1、2、3もしくは4であり;C(O)−(CH−CH(NH)−COOH、ここでuは0、1、2、3もしくは4でありおよび/またはC(O)−(CH)v−CH(NH)−COO(C−C10アルキル)、ここでvは0、1、2、3もしくは4である;を含む群から選択され;
、Rは、それぞれの場合において同一でありまたは互いに独立であり、H;C−C10アルキル;C−C10シクロアルキル;C−Cアルキルを有するフェニルアルキル、ここでフェニル基はハロゲン、C−C−アルキル、C−Cアルキルオキシ、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、OH、COOH、COO(C−C10アルキル)、CONH、CONH(C−C10アルキル)、CON(C−C10アルキル)、SO(C−C−アルキル)、SOHN(C−C−アルキル)、CF、CNおよび/またはNOを含む群から選択される1つまたは複数の同一でありまたは異なる基によって置換されていてもよい;を含む群から選択され、
または
およびRは、これらが結合されている窒素と一緒になって、飽和の3員から8員のN−複素環を形成し、ここでこれはOH,C−Cアルキルオキシ、カルボニル酸素、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、COOH、COO(C−C10アルキル)、CONH、CONH(C−C10アルキル)、CON(C−C10アルキル)、OPO、OSOH、SO(C−C−アルキル)、SOHN(C−C−アルキル)、CN、O−アリールアセチル、O−フェニルアセチル、アリールアセトキシおよび/またはアセチルベンジル(これらは2つのCl基によって置換されていてもよい)を含む群から選択される1つまたは複数の同一でありまたは異なる基によって置換されていてもよく;
Aは、(CH、ここでnは0、1、2、3、4、5または6であり;少なくとも1つのC−Cアルキル基によって置換されていてもよいC−Cアルキレン;O;S;NHおよび/またはアリールを含む群から選択され;
Zは、H;NH;COOH;COO(C−C−アルキル);CH(NH)COOH;C−Cアシル;C−Cアルコキシカルボニル;C−Cオキソカルボニル;
フェニル、これはハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルキルオキシ、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、OH、SO(C−C−アルキル)、SO(C−C−アルキル)、CF、CN、NO、SON(C−C−アルキル)、SONH、SONH(C−C−アルキル)、SONH(アリール)、SONH(フェニル)および/またはSONH(ヘテロアリール)を含む群から選択される1つまたは複数の同一でありまたは異なる基によって置換されていてもよく;
N、Oおよび/またはSを含む群から選択される1つ、2つ、3つもしくは4つのヘテロ原子を含有する単環、二環もしくは三環式アリールまたはヘテロアリール、ここでアリールまたはヘテロアリール基はハロゲン、C−Cアルキルオキシ、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、OH、SO(C−C−アルキル)、SO(C−C−アルキル)、CF、CN、NO、SON(C−C−アルキル)、SONH、SONH(C−C−アルキル)、SONH(アリール)、SONH(フェニル)および/またはSONH(ヘテロアリール)を含む群から選択される1つまたは複数の同一でありまたは異なる基によって置換されていてもよい。]
意外にも、本発明による化合物が鎮痛作用を有し得ることが見出された。本発明による化合物の特定の利点は、これらの化合物が主として末梢系において鎮痛作用を有し得るという事実である。
【0009】
特定の理論に拘束されてはいないが、本発明による化合物のパーヒドロキノキサリン環構造が本化合物の好都合な性質にかなりの影響力を有していると想定されている。
【0010】
本発明の場合は、別途に記載のない限り、「ヘテロアリール」という用語は、N、Oおよび/またはSを含む群から選択される1つ、2つ、3つまたは4つのヘテロ原子を含有している単環式、二環式または三環式ヘテロアリールを意味すると解釈されるものとする。
【0011】
好ましいヘテロアリール基は、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアゾリル、ピリダジニル、1,3,5−トリアジニル、キノリル、イソキノリル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリジニル、ピロリル、カルバゾリル、インドリル、イソインドリル、フリル、ベンゾフリル、ベンゾフラニル、1,3−ベンゾジオキソリル、チエニルおよび/またはベンゾチエニルを含む群から選択される。
【0012】
特に好ましいヘテロアリール基は、ピリジニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフラニル、1,3−ベンゾジオキソリル、ベンゾチエニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、フリルおよび/またはチエニルを含む群から選択される。
【0013】
好ましいヘテロアリール基は、単核ヘテロアリール基である。特に好ましいヘテロアリール基は、4個、5個または6個の炭素原子を有する単核ヘテロアリール基である。
【0014】
さらに好ましいヘテロアリール基は、単核ヘテロアリール基であり、特に2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、フリル、チエニル、イミダゾリル、ピリミジニルおよび/またはオキサゾリルを含む群から選択される。
【0015】
本発明の場合は、置換基ピリジンに対して「ピリジニル」という呼称およびより一般的な省略形「ピリジル」が同義語として使用される。
【0016】
構造要素Rの好ましい実施形態において、ヘテロアリールアルキル基は−(CH−ヘテロアリールであり、ここでmは0、1、2、3または4である。
【0017】
構造要素Rのさらに好ましい実施形態において、ヘテロアリールアシル基は−CO−(CH−ヘテロアリールであり、ここでpは0、1、2、3または4である。
【0018】
さらに好ましい構造要素Rの実施形態において、qが0、1、2、3または4であるC(O)−(CH−COOHは、C(O)COOH、C(O)−CH−COOHおよび/またはC(O)−(CH−COOHを含む群から選択される。
【0019】
構造要素Rのさらに好ましい実施形態において、rが0、1、2、3または4であるC(O)−(CH−COO(C−C10−アルキル)は、C(O)−CH−COO−CH、C(O)−CH−COO−C、C(O)−(CH−COO−CHおよび/またはC(O)−(CH−COO−Cを含む群から選択される。
【0020】
構造要素Rのさらに好ましい実施形態において、sが0、1、2、3または4であるC(O)−CH(NH)−(CH−COOHは、C(O)−CH(NH)−CH−COOHである。
【0021】
構造要素Rのさらに好ましい実施形態において、tが0、1、2、3または4であるC(O)−CH(NH)−(CH−COO(C−C10−アルキル)は、C(O)−CH(NH)−CH−COO−CHおよび/またはC(O)−(CH−COO−Cを含む群から選択される。
【0022】
構造要素Rの同様にさらに好ましい実施形態において、uが0、1、2、3または4であるC(O)−(CH−CH(NH)−COOHは、C(O)−CH−CH(NH)−COOHである。
【0023】
構造要素Rの同様にさらに好ましい実施形態において、vが0、1、2、3または4であるC(O)−(CH−CH(NH)−COO(C−C10−アルキル)は、C(O)−CH−CH(NH)−COO−CHおよび/またはC(O)−(CH−COO−Cを含む群から選択される。
【0024】
「C−C10−アルキル」という用語は、別途に記載のない限り、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ウンデシル、ドデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルおよび/またはシクロヘキシルを含む群から選択される直鎖、分岐または環状アルキル基を含む。「C−C10−アルキル」という用語は、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルおよび/またはデシルを含む群から選択される好ましくは直鎖、分岐または環状アルキル基を含む。
【0025】
−C−アルキル基が好ましい。C−C−アルキル基は、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチルおよび/またはn−ペンチルを含む群から選択される。C−C−アルキル基は、特に好ましくはメチル、エチル、n−プロピルおよび/またはイソプロピルを含む群から選択される。
【0026】
モノアルキルアミノおよびジアルキルアミノ置換基NH(C−C−アルキル)および/またはN(C−C−アルキル)に関しては、C−C−アルキル基は好ましくはメチルおよび/またはエチルを含む群から選択される。
【0027】
−C−アルキルオキシ基は、好ましくはメトキシ、エトキシ、直鎖または分岐のプロポキシおよび/またはブトキシを含む群から選択される。
【0028】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を含み、フッ素または塩素が好ましく、特に塩素が好ましい。
【0029】
「アリール」という用語は、好ましくは6個から20個の炭素原子を有する芳香族基を意味すると解釈されるものとし、好ましくはフェニル、ナフチル、インデニル、ビフェニルおよびO、NまたはSから選択された1個から3個のヘテロ原子を含有しており、インドリルなどのベンゼン環と場合によって縮合している5員または6員の複素環を意味していると解釈されるものとする。フェニルおよびインドリルが好ましく、特にフェニルが好ましい。「アリール」という用語は、好ましくは炭素環を含む。さらなる好ましいアリール基は、フェニル、ナフチルおよび/またはインデニルを含む群から選択される。
【0030】
本発明の場合は、「フェニルアルキル」という用語は−アルキルフェニル基を含み、フェニルアルキルは例えばフェニルエチルおよびベンジルを含む。
【0031】
本発明による化合物の1つの利点は、これらがκ受容体に対する高い親和性を持ち得ることである。好ましい実施形態において、本発明による化合物がμ、δ、σおよびσ受容体に対する結合に関しておよびNMDA受容体(NMDA:N−メチルD−アスパルテート)のフェンシクリジン(PCP)結合サイトと比較して高いκ受容体に対する結合の選択性を有することはさらに特別に有利である。
【0032】
κ受容体への結合の高い選択性の1つの利点は、中枢によって仲介される副作用が全く起こらないかまたは穏やかにしか起こらないという点において提供され得る。κ受容体への結合の高い選択性の1つの特別な利点は、精神的依存のリスクを軽減することが可能であるという点において提供され得る。
【0033】
構造要素RおよびRの好ましい実施形態において、これらは、これらが結合されている窒素と一緒になって、飽和の3員から8員のN−複素環を形成する。この飽和の3員から8員のN−複素環は、好ましくはピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニルおよび/またはアゼパニルを含む群から選択される。好ましい飽和のN−複素環は、ピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニルおよび/またはモルホリニルを含む群から選択される5員または6員の複素環である。
【0034】
好ましい実施形態において、構造要素RおよびRは、これらが結合されている窒素と一緒になって、ピロリジニル基を形成しており、このピロリジニル基はC−C−アルキル、C−C−アルキルオキシおよび/またはOHを含む群から選択される1つまたは複数の同一でありまたは異なる基によって置換されていてもよい。好ましくは、このピロリジニル基は1つまたは2つのOH基によって置換されている。特に好ましくは構造要素RおよびRは、これらが結合されている窒素と一緒になって、ピロリジンまたは3−ヒドロキシピロリジン環を形成している。
【0035】
構造要素Aは、好ましくは(CH基であり、このnは好ましくは0または1である。好ましくはnは1である。
【0036】
構造要素Zは好ましくはフェニル基であり、このフェニル基はC−C−アルキル、C−C−アルキルオキシ、OH、好ましくはF、Cl、Brおよび/またはIから選択されたハロゲン、CF、CN、SO(C−C−アルキル)、NO、NH、NH(C−C−アルキル)、および/またはN(C−C−アルキル)を含む群から選択される1つまたは複数の同一でありまたは異なる基によって置換されていてもよい。好ましくは、このフェニル基は好ましくはF、Cl、Brおよび/またはIから選択された1つまたは2つのハロゲン原子、好ましくはClによって置換されている。
【0037】
フェニル基の、1つの、好ましくは2つの塩素原子による置換は、本化合物の活性のかなりの増大をもたらし得る。
【0038】
好ましい実施形態において、構造要素C(O)AZはフェニルアセチル基またはジクロロフェニルアセチル基を形成する。
【0039】
好ましい化合物および/またはこれらのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、水和物ならびにこれらの薬学的に許容される塩および/またはエステルは次の一般式(2)を有する:
【0040】
【化2】

[式中、
は、H;C−C10アルキル;C−C10シクロアルキル;COO(C−C10アルキル);C−Cアルコキシカルボニル;C−Cオキソカルボニル;
−Cアルキルを有するフェニルアルキル、ここでフェニル基はハロゲン、C−C−アルキルオキシ、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、OH、SO(C−C−アルキル)、SO(C−C−アルキル)、CF、CN、NO、SON(C−C−アルキル)、SONH、SONH(C−C−アルキル)、SONH(アリール)、SONH(フェニル)および/またはSONH(ヘテロアリール)を含む群から選択される1つまたは複数の同一でありまたは異なる基によって置換されていてもよく;
−C10アシル;C−C10シクロアシル;フェニルアシル、ここでアシル基はC−Cアシル基であり、フェニル基はハロゲン、C−C−アルキルオキシ、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、OH、SO(C−C−アルキル)、SO(C−C−アルキル)、CF、CN、NO、SON(C−C−アルキル)、SONH、SONH(C−C−アルキル)、SONH(アリール)、SONH(フェニル)および/またはSONH(ヘテロアリール)を含む群から選択される1つまたは複数の同一でありまたは異なる基によって置換されていてもよく;
N、Oおよび/またはSを含む群から選択される1つ、2つ、3つもしくは4つのヘテロ原子を含有する単環、二環もしくは三環式ヘテロアリール;
N、Oおよび/またはSを含む群から選択される1つ、2つ、3つもしくは4つのヘテロ原子を含有する単環、二環もしくは三環式ヘテロアリールアルキル、およびアルキル基はC−Cアルキル基であり;
N、Oおよび/またはSを含む群から選択される1つ、2つ、3つもしくは4つのヘテロ原子を含有する単環、二環もしくは三環式ヘテロアリールアシル、およびアシル基はC−Cアシル基であり;
C(O)(C−C10アルキル);C(O)N(C−C10アルキル);C(O)(C−C10シクロアルキル);COO(C−C10アルキル);COO(アリール);COO(C−C10シクロアルキル);
C(O)COO(C−C10アルキル)、C(O)−(CH−COOH、ここでqは0、1、2、3もしくは4であり、C(O)−(CH−COO(C−C10アルキル)、ここでrは0、1、2、3もしくは4であり、C(O)−CH(NH)−(CH−COOH、ここでsは0、1、2、3もしくは4であり、C(O)−CH(NH)−(CH−COO(C−C10アルキル)、ここでtは0、1、2、3もしくは4であり、C(O)−(CH−CH(NH)−COOH、ここでuは0、1、2、3もしくは4であり、および/またはC(O)−(CH−CH(NH)−COO(C−C10アルキル)、ここでvは0、1、2、3もしくは4である;を含む群から選択され;
、Xは、それぞれの場合において同一でありまたは互いに独立であり、H、OH、カルボニル酸素、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、COOH、COO(C−C10−アルキル)、CONH、CONH(C−C10アルキル)、CON(C−C10アルキル)、OPO、OSOH、SO(C−C−アルキル)、SOHN(C−C−アルキル)、C−Cアルキルオキシ、O−アリールアセチル、O−フェニルアセチル、アリールアセトキシおよび/またはアセチルベンジル(これらは2つのCl基によって置換されていてもよい)を含む群から選択され;
、Yは、それぞれの場合において同一でありまたは互いに独立であり、H、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルキルオキシ、NH、NH(C−C−アルキル)、NH(アリール)、NH(フェニル)、NH(ヘテロアリール)、N(C−C−アルキル)、OH、SO(C−C−アルキル)、SO(C−C−アルキル)、CF、CN、NO、SON(C−C−アルキル)、SONH、SONH(C−C−アルキル)を含む群から選択される。]
構造要素Rは、好ましくはH、C−C−アルキル、C−C−アルキルを有するフェニルアルキルを含む群から選択され、ここでのフェニル基はCl、OH、および/またはC−C−アルキルオキシおよび/またはN−ヘテロアリールアルキルを含む群から選択される1つまたは複数の同一でありまたは異なる基によって置換されていてもよく、ここでのN−ヘテロアリール基はピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよび/またはピロリルから選択され、このアルキル基はC−C−アルキル基である。
【0041】
構造要素Rは、さらに好ましくはC−C−アシル、ベンゾイル、COO(C−C−アルキル)、C(O)COOH、C(O)−CH−COOH、C(O)−CH−COO−CHおよび/またはC(O)−CH−COO−Cを含む群から選択される。
【0042】
構造要素XおよびXは、好ましくはH、OHおよび/または2つのCl基によって置換されているO−アセチルフェニルを含む群から選択される。
【0043】
好ましくは、少なくとも1つの構造要素XまたはXはHである。さらに好ましくは、1つの構造要素XまたはXはOHである。式(2)の化合物の好ましい実施形態において、構造要素XはHであり、構造要素XはOHである。
【0044】
構造要素YおよびYは、好ましくはOH、Fおよび/またはClを含む群から選択される。式(2)の化合物の好ましい実施形態において、構造要素YおよびYはClである。2つのCl基による置換は、本化合物の活性のかなりの増大をもたらし得る。構造要素YおよびYが塩素であることによって提供され得る大きな利点は、本化合物がκ受容体に対する特に良好な親和性を有し得ることである。
【0045】
特に好ましい化合物および/またはこれらのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物ならびにこれらの薬学的に許容される塩および/またはエステルは次の一般式(3)を有する:
【0046】
【化3】

[式中、
は、H;C−C−アルキル;
−Cアルキルを有するフェニルアルキル、ここでフェニル基はCl、OHおよび/またはC−Cアルキルオキシを含む群から選択される1つまたは複数の同一でありまたは異なる基によって置換されていてもよく;
N−ヘテロアリールアルキル、ここでN−ヘテロアリール基はピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラジニルおよび/またはピロリルから選択され、アルキル基はC−Cアルキル基であり;
−Cアシル;ベンゾイル;COO(C−C−アルキル);COO(アリール);C(O)−(CH−COOH、ここでqは0、1、2、3または4でありおよび/またはC(O)−(CH−COO(C−C−アルキル)、ここでrは0、1、2、3または4であり;
は、H、OH、2つのCl基によって置換されていてもよいベンジルおよび/またはO−アリールアセチルを含む群から選択される。]
構造要素Xは、特に好ましくはHおよび/またはOHを含む群から選択される。
【0047】
構造要素Rは、特に好ましくはH、メチル、ブチル、ペンチル、ベンジル、p−メトキシベンジル、ピリジニルメチル、特に2−ピリジニルメチル、3−ピリジニルメチルおよび/またはイミダゾリルメチルを含む群から選択される。構造要素Rは、極めて特別に好ましくはHである。
【0048】
構造要素Rは、さらに好ましくはベンゾイル、アセチル、プロピオニル、COOCH、COOC、C(O)COOH、C(O)−CH−COOH、C(O)−(CH−COOH、C(O)−CH−COO−CH、C(O)−CH−COO−C、C(O)−(CH−COO−CHおよび/またはC(O)−(CH−COO−Cを含む群から選択される。
【0049】
好ましい実施形態において、構造要素Rはベンゾイル、アセチル、プロピオニル、COOCH、COOC、C(O)COOH、C(O)−CH−COOHおよび/またはC(O)−CH−COO−CHを含む群から選択されたアシル基であり、構造要素XはHおよび/またはOHを含む群から選択される。
【0050】
特定の理論に拘束されてはいないが、本発明による化合物の作用は、特にパーヒドロキノキサリン基の、特に構造要素Rとの組合せにおける、立体的作用に基づいていることが想定されている。特に、パーヒドロキノキサリン基とアシル基またはアルキル基である構造要素Rとの組合せは好都合な鎮痛作用を提供し得る。
【0051】
構造要素Rがベンゾイル、アセチル、プロピオニル、COOCH、COOC、C(O)COOH、C(O)−CH−COOHおよび/またはC(O)−CH−COO−CHを含む群から選択されるアシル基であり、構造要素XがHおよび/またはOHを含む群から選択される実施形態の1つの利点は、これらがκ受容体に対する良好な親和性を有し得ることである。例えば、κ受容体に対する親和性の尺度としてのK値は、≧1nMから≦800nMまでの範囲内、好ましくは≧5nMから≦600nMまでの範囲内、好ましくは≧9nMから≦500nMまでの範囲内であり得る。
【0052】
値は、Hunterら、Br.J.Pharmacol.1990年、1001巻、183−189頁およびSmithら、J.Neuoch.1989年、53巻、27−36頁による方法によって決定され、その際モルモットの全脳からの調製物が使用され、実施例30において記載されている通り[H]−U−69,593(Amersham)が放射性リガンドとして使用された。
【0053】
構造要素Rはベンゾイル、アセチル、プロピオニル、COOCH、COOC、C(O)COOH、C(O)−CH−COOHおよび/またはC(O)−CH−COO−CHを含む群から選択されるアシル基であり、構造要素XはHおよび/またはOHを含む群から選択される実施形態の1つの特別な利点は、これらがμ受容体への結合に関して良好なκ受容体への結合の良好な選択性を有し得ることである。
【0054】
さらに好ましい実施形態において、構造要素RはH、メチル、ブチル、ペンチル、ベンジル、p−メトキシベンジル、2−ピリジニルメチル、3−ピリジニルメチルおよび/またはイミダゾリルメチルを含む群から選択されるフェニルアルキル、アルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル基であり、構造要素XはHである。
【0055】
これらの実施形態の1つの利点は、これらがκ受容体に対する特に良好な親和性を有し得ることである。例えば、κ受容体に対する親和性の尺度としてのK値は、≧0.01nMから≦50nMまでの範囲内、好ましくは≧0.5nMから≦20nMまでの範囲内、好ましくは≧1nMから≦10nMまでの範囲内であり得る。
【0056】
さらに好ましい実施形態において、構造要素RはHである。
【0057】
好ましい化合物および/またはこれらのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、水和物ならびにこれらの薬学的に許容される塩および/またはエステルは、特に次の一般式(4)を有する:
【0058】
【化4】

式(4)の化合物は、特に良好な鎮痛作用、特に末梢鎮痛作用の利点を提供し得る。
【0059】
本発明による式(1)の化合物、特に式(4)の化合物は、ラセミ体、ジアステレオマーまたはエナンチオマー対の形態であり得る。ラセミ体、ジアステレオマーまたはエナンチオマー各対も、従来の方法、好ましくは高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分離され得る。
【0060】
好ましい実施形態において、化合物(1)は次の式(1a)および/または(1b)によるエナンチオマーを含む混合物を包含する:
【0061】
【化5】

好ましくは、化合物(1)のエナンチオマー(1a)および(1b)は、ラセミ体の形態にある。
【0062】
本発明による化合物は式(1a)および/または(1b)から選択されたエナンチオマーの形態にあることが好ましいことがあり得る。
【0063】
好ましい実施形態において、化合物(4)は次式(4a)および/または(4b)による次のジアステレオマーを含有し得る。
【0064】
【化6】

【0065】
別途に明確に記載のない限り、本発明の文脈中に一方の立体異性体、特にエナンチオマー、だけの構造しか示されていなくても、いずれの場合も、もう一方の立体異性体が、特にエナンチオマーが、含まれることは言うまでもない。
【0066】
さらに好ましい化合物および/またはこれらのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、水和物およびこれらの薬学的に許容される塩および/またはエステルは次式(6)を有する:
【0067】
【化7】

式(6)の化合物は、特に良好な鎮痛作用、特に末梢鎮痛作用を提供し得ることが見出されている。
【0068】
本発明による化合物は、これらのラセミ体、これらの純粋な立体異性体、特にエナンチオマーもしくはジアステレオマーの形態で、または立体異性体、特にエナンチオマーもしくはジアステレオマーの混合物の形態で使用され得る。
【0069】
好ましい化合物は、2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オン、および/またはそのジアステレオマー2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよびこれらのジアステレオマー混合物を含む群から選択される。
【0070】
さらに好ましい化合物は、1−[(4aRS,8SR,8aRS)−4−ベンゾイル−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロフェニル)エタン−1−オン、1−[(4aRS,8SR,8aRS)−4−アセチル−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロフェニル)エタン−1−オン、1−{(4aRS,8SR,8aRS)−1−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−4−イル}プロパン−1−オン、メチル{(4aRS,8SR,8aRS)−1−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−4−イル}カルボキシレート、エチル{(4aRS,8SR,8aRS)−1−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−4−イル}カルボキシレート、3−{(4aRS,8SR,8aRS)−1−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−4−イル}−3−オキソプロピオン酸、4−{(4aRS,8SR,8aRS)−1−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−8−(ピロリジン−1−イル)パーヒドロキノキサリン−4−イル}−4−オキソ酪酸、メチル3−{(4aRS,8SR,8aRS)−1−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−4−イル}−3−オキソプロピオネート、1−{(4aRS,8SR,8aRS)−4−ベンゾイル−8−[(3SR)−および(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]−パーヒドロキノキサリン−1−イル}−2−(3,4−ジクロロフェニル)エタン−1−オン、メチル{(4aRS,8SR,8aRS)−1−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−8−[(3SR)−および(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]−パーヒドロキノキサリン−4−イル}カルボキシレート、3−{(4aRS,8SR,8aRS)−1−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−8−[(3SR)−および(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]−パーヒドロキノキサリン−4−イル}−3−オキソプロピオン酸、メチル3−{(4aRS,8SR,8aRS)−1−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−8−[(3SR)−および(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]−パーヒドロキノキサリン−4−イル}−3−オキソプロピオネート、2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−4−メチル−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]エタン−1−オン、1−[(4aRS,8SR,8aRS)−4−ブチル−8−(ピロリジン−1−イル)パーヒドロキノキサリン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロフェニル)−エタン−1−オン、1−[(4aRS,8SR,8aRS)−4−ベンジル−8−(ピロリジン−1−イル)パーヒドロキノキサリン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロフェニル)エタン−1−オン、2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−4−(4−メトキシベンジル)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]エタン−1−オン、2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aRS)−4−[(ピリジン−2−イル)メチル]−8−(ピロリジン−1−イル)パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オン、2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aRS)−4−[(ピリジン−3−イル)メチル]−8−(ピロリジン−1−イル)パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オン、2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aRS)−4−[(1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−8−(ピロリジン−1−イル)パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オン、2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aRS)−4−メチル−8−[(3SR)−および(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]−パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オン、1−{(4aRS,8SR,8aSR)−4−ベンジル−8−[(3SR)−および(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}−2−(3,4−ジクロロフェニル)エタン−1−オンおよび/または2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−4−[(ピリジン−3−イル)メチル]−8−[(3SR)−および(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンを含む群から選択される。
【0071】
本発明による化合物はさらに、これらの酸もしくはこれらの塩基の形態で、またはこれらの塩もしくはエステル、特に生理的に許容される塩もしくはエステルの形態で、またはこれらの溶媒和物、特に水和物の形態で使用され得る。
【0072】
特に、本発明による化合物の薬学的に許容される付加塩は好都合に使用され得る。
【0073】
薬学的に許容される塩は塩基付加塩であり得る。これらは本発明による化合物とアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物などの無機塩基との塩、またはモノ−、ジ−もしくはトリエタノールアミンなどの有機塩基との塩を含む。
【0074】
酸付加塩、特に塩酸、硫酸もしくはリン酸などの無機酸との付加塩、または適当な有機カルボン酸もしくはスルホン酸もしくはアミノ酸との付加塩は、さらに好都合に使用され得る。
【0075】
好ましい実施形態において、薬学的に許容される塩は、例えば遊離塩基の形態の本発明による化合物の有機酸または無機酸との無毒性の付加塩を含む。無機酸の例は、HCl、HBr、硫酸およびリン酸を含む。有機酸は、好ましくは酢酸、プロピオン酸、ピルビン酸、酪酸、α−、β−またはγ−ヒドロキシ酪酸、吉草酸、ヒドロキシ吉草酸、カプロン酸、ヒドロキシカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、グリコール酸、乳酸、D−グルクロン酸、L−グルクロン酸、D−ガラクツロン酸、グリシン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、没食子酸、サリチル酸、バニリン酸、クマル酸、カフェー酸、馬尿酸、オロチン酸、L−酒石酸、D−酒石酸、D,L−酒石酸、メソ酒石酸、フマル酸、L−リンゴ酸、D−リンゴ酸、D,L−リンゴ酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、オキサロ酢酸、グルタル酸、ヒドロキシグルタル酸、ケトグルタル酸、アジピン酸、ケトアジピン酸、ピメリン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、フタル酸、プロパントリカルボン酸、クエン酸、イソクエン酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸、エンボン酸、および/またはトリフルオロメタンスルホン酸を含む群から選択される。
【0076】
本発明による化合物の薬学的に許容される塩は、例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物、塩酸塩、臭化水素塩、スルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、硝酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プリオイオネート(prioionate)、乳酸塩、クエン酸塩、グルタル酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、安息香酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、および/またはアミノ酸(好ましくはタンパク質起源のアミノ酸)の塩を含む群から選択される。
【0077】
使用され得る化合物の薬学的に許容されるエステルは、特に、生理的に加水分解され易いエステルであり、例えばアルキルエステル、ピバロイルオキシメチルエステル、アセトキシメチルエステル、フタリジルエステル、インダニルエステル、および/またはメトキシメチレンエステルを含む群から選択される。
【0078】
さらに好ましい実施形態において、本発明による化合物は誘導体化される、例えばリン酸化される、グリコシル化される、アセチル化される、ユビキチン化される、ファルネシル化される、パルミトイル化される、ゲラニルゲラニル化されるおよび/またはビオチン化されることができる。
【0079】
構造要素Rは、特に好ましくは誘導体化される。特に好ましい実施形態において、構造要素Rはビオチン化される。
【0080】
特定の理論に拘束されてはいないが、本発明による化合物は鎮痛、解熱、消炎、鎮痒および/または鎮痙作用を有する能力があると想定されている。
【0081】
好ましい実施形態において、本化合物の1つの利点は、これらの化合物が血液−脳バリアをほんの少ない限度までしか通過しないことである。これは本発明による化合物を特に末梢作用性鎮痛剤として使用可能になし得る。
【0082】
これらの好都合な性質に基づいて、本発明による化合物は薬剤としての使用に適当である。
【0083】
本発明による化合物は好ましくは毒性学的に許容され、したがって薬学的に活性な化合物および/または薬剤として適当である。
【0084】
本発明は、本発明による化合物の、特に式(4)および(6)の化合物の、薬剤の調製のための使用も提供する。
【0085】
有利な実施形態において、本発明による化合物は特に、疼痛関連疾患、炎症性疾患および/または消化器疾患を含む群から選択される疾患の治療的および/または予防的処置、診断および/または治療のために使用され得る。
【0086】
本発明による化合物は、特に末梢の疼痛に対して好ましい影響を有し得る。特に、本発明による化合物の好ましい実施形態は鎮痛活性を有することが、意外にも見出されている。
【0087】
例えば、式(4)および(6)の化合物は鎮痛活性を有することが、インビボモデルにおいて実験的に見出されている。この実験において、式(6)の化合物は、式(4)の化合物よりも良好な鎮痛作用さえも示した。
【0088】
本発明は、本発明による化合物の、特に式(4)および(6)の化合物の、疼痛関連疾患、炎症性疾患および/または消化器疾患を含む群から選択される疾患の治療的および/または予防的処置のための薬剤の調製のための使用も提供する。
【0089】
本発明による化合物は、単独で、または疼痛関連疾患、炎症性疾患および/または消化器疾患を含む群から選択される疾患の処置のための知られている物質との組合せで使用され得る。
【0090】
疼痛関連疾患は、急性および慢性の疼痛を含む。
【0091】
疼痛関連疾患は、腰痛、顔面痛、頭痛、関節疼痛、筋痛症候群、炎症性疼痛関連疾患、神経障害性疼痛、末梢性疼痛、末梢神経損傷、内臓痛、腹痛、月経症候、腎臓結石痛および胆石痛、掻痒、癌疼痛および腫瘍疼痛、交感神経痛、術後疼痛、外傷後疼痛、痛覚過敏症および/または炎症性疼痛を含む群から選択され得る。
【0092】
顔面痛は、好ましくは三叉神経痛、歯痛、耳痛、頭蓋下顎機能不全、および/または慢性特発性顔面痛から選択される。
【0093】
頭痛は、頭蓋、髄膜、脳内血管、脳神経および脊髄神経最上部などの頭部器官における疼痛から好ましくは選択される。頭痛の適切な形態は、片頭痛、ストレス頭痛、群発頭痛(ホートン症候群)および物質誘起頭痛、例えば薬剤の摂取による頭痛から選択される。
【0094】
腰痛は、好ましくは首、胸部または腰脊柱の脊柱症候群、尾骨および/または坐骨の疼痛を含む群から選択される。
【0095】
炎症性疼痛関連疾患は、適切には多発性関節炎および/またはリュウマチ性関節炎を含む群から選択される。
【0096】
末梢神経の損傷は、適切には断端痛および幻想痛、神経障害痛、多発性神経障害、帯状疱疹後神経痛および/または肋間神経痛を含む群から選択される。
【0097】
腹痛は、適切には過敏性腸症候群(IBS)を含む。
【0098】
月経症候は疼痛および生理痛を含む。
【0099】
痛覚過敏は、疼痛刺激の増大された感覚を意味すると解釈される。
【0100】
特にヒトにおける慢性末梢性疼痛の処置において、疾患の経過に対する1つの好都合な効果が本発明による化合物を使用することによって達成され得る。本発明による化合物の1つのさらなる利点が、呼吸抑制、嘔吐、徐脈または便秘などの中枢に仲介される副作用が起こり得ないまたは軽度にしか起こり得ないという事実からもたらされ得る。
【0101】
特に、好ましい実施形態において、本発明による化合物は末梢鎮痛剤として適当である。
【0102】
本発明による化合物が特に陶酔作用を示さないことは特に好都合である。これは本発明による化合物の投与が比較的軽度の精神的依存しかもたらさないかまたは精神的依存を全くもたらさないという利点を提供し得る。これは本発明による化合物を比較的長期間にわたって投与することが可能であることを可能にする。例えば、長期間の投与、特に毎日の投与が可能になる。これは、例えばある種の状況下において処置が何カ月間または何年間と続けられなければならない疼痛関連疾患の処置のための投与を可能にする。
【0103】
本発明による化合物は、特に慢性疼痛の処置に適している。
【0104】
複数の研究は、例えばマウスに対する「ライジング試験」において、本発明による化合物が、実施例28に記載されている通り、鎮痛活性を有し得ることを示してきた。この研究(本明細書により全面的に言及されている)は、L.C.Hendershot、J.Forsaith、J.Pharmacol.Exp.Ther.125巻、237−240頁(1959年)によって記載されている通り、マウスについて行われた。
【0105】
本発明による化合物は、さらに局所麻酔剤として適当であり得る。例えば、本発明による化合物は、蚊の咬傷などの昆虫咬傷または火傷の疼痛を軽減するために適当であり得る。特に、本発明による化合物は、狩蜂または花蜂の刺傷などの痛みを伴う昆虫の咬傷または刺傷の疼痛を軽減するのに適当であり得る。
【0106】
本発明による化合物は、さらに掻痒などの疼痛刺激の処置のために使用され得る。
【0107】
本発明による化合物、特に式(4)および(6)の化合物は、特に掻痒の処置に適当であるという利点を提供し得る。
【0108】
掻痒(pruritus)とも呼ばれる掻痒(itching)は、皮膚処置において頻繁に現れる症候であり、他の専門医学分野における主要な問題をも表す。掻痒は従来疼痛刺激の一種として体験されている。掻痒感覚は影響された領域を掻きたいという欲望を起こさせる。しかし、掻くことは掻痒を強める。掻くことによって損傷された皮膚が、さらに感染性の病原体に良好な栄養媒体を提供し、皮膚の掻き開かれた領域の炎症をもたらすことは珍しいことではない。したがって、例えば、透析患者はしばしば掻痒およびその二次的損傷に苦しむ。特に慢性の掻痒は処置することがしばしば困難であり、重い身体的および精神的負担である。
【0109】
したがって、本発明は特に好ましくは掻痒の治療的および/または予防的処置のための薬剤の調製のための本発明による化合物の使用を提供する。
【0110】
特に、本発明による化合物の予防的投与は、掻痒が予想される場合、例えば透析後に好都合であり得る。
【0111】
本発明による化合物またはこれらを含有している組成物は、全身的にまたは局所的に投与され得る。好ましくは、本発明による化合物または組成物は、局所的に、特にクリーム、軟膏、貼付剤またはチンキ剤の形態で投与される。
【0112】
炎症性疾患は、特に消化管の炎症性疾患、クローン病および/または潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患、胆嚢の炎症を伴う急性または慢性の炎症性変化、炎症性擬似ポリープ、深在性嚢胞性大腸炎、腸壁嚢状気腫症(pneumatosis cystoides intestinales)、膵炎、虫垂炎、リュウマチ性関節炎などの関節の炎症性疾患、および/または皮膚および眼の炎症性疾患を含む群から選択され得る。
【0113】
本発明による化合物の使用は、特にクローン病または潰瘍性大腸炎などの慢性炎症性腸疾患の事例において適当である。
【0114】
本発明による化合物の1つの特別の利点は、これらが特に炎症性消化器疾患の処置および/または予防のために使用可能であることによって提供され得る。
【0115】
消化器疾患は、特に過敏性腸症候群、胃病変、胃腸潰瘍、胃腸粘膜に対する外因性および内因性の損傷、消化管の機能不良、特に腸における腺腫、および/または若年性ポリープを含む群から選択され得る。
【0116】
本発明の場合は、消化管の機能不良は、通過機能障害および胆道疝痛などの疝痛も含む。
【0117】
本発明による化合物は、さらに炎症性消化器疾患の処置のための使用に特に適当である。例えば、本発明による化合物は、鎮痛作用および抗炎症作用に加えて、腸の運動機能における障害および/またはこの疾患によって起こされる消化管の機能不良を正常化するために適当であり得る。
【0118】
例えば、過敏性腸症候群は腹痛症候群の最も多い原因である。本発明による化合物の1つの利点は、本発明による化合物が過敏性腸症候群に伴う疼痛を軽減するおよび/またはこの疾患を治す能力があることにおいて提供され得る。本発明による化合物が好ましくも通常の腸の蠕動運動に対して全く悪影響を示さないことは特に好都合である。
【0119】
好ましい適応症は、疼痛状態、炎症、痛覚過敏、神経障害性疼痛、内臓痛、末梢性疼痛、炎症性疼痛、リュウマチ性関節炎、疼痛および/または痙攣を含む月経症候、腎臓結石および胆石の疼痛、術後疼痛、掻痒、過敏性腸症候群などの胃腸症候、および/またはクローン病および潰瘍性大腸炎などの炎症性胃腸疾患を含む群から選択される。
【0120】
本発明は、少なくとも1つの本発明による化合物および/またはこれらのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、水和物ならびにこれらの薬学的に許容される塩および/またはエステルを含む薬剤も提供する。式(4)または(6)の化合物および/またはこれらのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、水和物ならびにこれらの薬学的に許容される塩および/またはエステルを含む薬剤が好ましい。本発明による薬剤は、さらに本発明による化合物の2つまたは3つ以上の混合物も含有し得る。
【0121】
好ましい薬剤は鎮痛剤である。慢性疼痛の処置のための薬剤が特に好ましい。
【0122】
特に好ましい薬剤は、さらに掻痒、特に慢性掻痒の処置のための薬剤である。
【0123】
本発明による化合物を含む薬剤の1つの好ましい使用は、疼痛関連疾患、炎症性疾患および/または胃腸疾患を含む群から選択される疾患の治療的および/または予防的処置を含む。本発明による薬剤は、好ましくは疼痛の処置のために適当である。本発明による薬剤は、さらに好ましくは掻痒の処置のために適当である。
【0124】
本発明の場合は、「予防的処置」という用語は、本発明による化合物が、疾患の症候が起こるまたは疾患のリスクが存在する前に予防的に投与され得ることを特に意味すると解釈される。特に、「予防的処置」は、薬剤による予防を意味すると解釈される。
【0125】
さらに好ましい薬剤は、少なくとも1つの本発明による化合物および/またはこれらのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、水和物ならびにこれらの薬学的に許容される塩および/またはエステル、ならびに好ましくはナロキソン、ナルトレキソン、シプロダイム、ナルトリンドール、ノルビナルトルフィミン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナルブフィン、ナロキソナジン、メチルナルトレキソンおよび/またはケチルシクラゾシンを含む群から、好ましくはナロキソン、ナルトレキソン、シプロダイム、ナルトリンドールおよび/またはノルビナルトフィミンを含む群から選択される少なくとも1つのオピオイド受容体拮抗薬を含む。少なくとも1つの本発明による化合物および/またはこれらのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、水和物ならびにこれらの薬学的に許容される塩および/またはエステル、ならびに好ましくはナロキソン、ナルトレキソン、シプロダイム、ナルトリンドール、ノルビナルトルフィミン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナルブフィン、ナロキソナジン、メチルナルトレキソンおよび/またはケチルシクラゾシンを含む群から選択される少なくとも1つのオピオイド受容体拮抗薬を含む薬剤の使用がさらに好ましい。少なくとも1つの本発明による化合物および/またはこれらのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、水和物ならびにこれらの薬学的に許容される塩および/またはエステル、ならびに好ましくはナロキソン、ナルトレキソン、シプロダイム、ナルトリンドール、ノルビナルトルフィミン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナルブフィン、ナロキソナジン、メチルナルトレキソンおよび/またはケチルシクラゾシンを含む群から選択される少なくとも1つのオピオイド受容体拮抗薬を含む薬剤の、疼痛関連疾患、炎症性疾患および/または胃腸疾患、特に掻痒を含む群から選択される疾患の治療的および/または予防的処置のための使用が特に好ましい。
【0126】
本発明による化合物は、従来の方法によって、例えは経口で、皮膚に、鼻腔内に、経粘膜で、肺に、経腸で、口腔内に、直腸内に、吸入によって、注入によって、例えば静脈内に、非経口で、腹腔内に、皮内に、皮下におよび/または筋肉内におよび/または局所に、例えば身体の疼痛領域上に、投与され得る。経口投与が特に好ましい。
【0127】
本発明による化合物および/またはこれらのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、水和物ならびにこれらの薬学的に許容される塩および/またはエステルは、特に少なくとも1つの担体物質または補助物質と一緒に適当な剤形にされることによって薬剤の調製のために使用され得る。
【0128】
薬剤は、液体、半固体または固体の薬剤形態において、例えば注射溶液剤、ドロップ剤、ジュース剤、シロップ剤、スプレー剤、懸濁液剤、錠剤、パッチ剤、カプセル剤、貼付剤、坐剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、乳剤、エアゾール剤または多粒子形態、例えばペレット剤または顆粒剤の形態であり得るおよび/または投与され得る。
【0129】
錠剤、被覆された錠剤、カプセル剤、顆粒剤、ペレット剤、ドロップ剤、ジュース剤およびシロップ剤の形態での製剤が経口投与のために好ましく適当である。
【0130】
溶液、好ましくは油性または水性の溶液剤、懸濁液剤、乳剤、インプラントおよびスプレー剤は、非経口の、局所的または吸入による投与のために好ましく適当である。本発明による化合物は、容易に再構成可能な乾燥製剤としても使用可能であり、例えば凍結乾燥され、得られた凍結乾燥物は、例えば、注入製剤の調製のために使用可能である。
【0131】
経皮投与に適当な製剤は、例えば溶解された形態でデポー製剤中にまたは貼付剤中に、皮膚を通過する浸透を促進させる薬剤を場合によって添加して、含まれ得る。経口によってまたは経皮によって使用され得る製剤形態は、対応する化合物を遅延された態様においても放出し得る。
【0132】
遅延された放出を伴う医薬剤形(徐放性製剤)は、さらに本発明による化合物の経口投与のためにも好ましい。胃液に耐える製剤が好ましいこともある。遅延された放出を伴う製剤の例は、徐放性マトリックス錠剤、多層錠剤であり、これらの被覆は、例えば、セラックに基づく被覆、徐放性カプセル剤または生分解性ポリマー、例えばポリ(乳酸)ポリマーを使用した製剤のように胃液に耐えるように構成され得る。
【0133】
本発明による化合物は、静脈内投与用に製剤化され得る。非経口投与用、特に静脈内注入用の無菌の懸濁液が好ましい。特に注入溶液用に適当な補助物質および/または溶剤は、好ましくはジメチルスルホキシド(DMSO)、アルコール、好ましくは多官能性アルコールを含む群から選択され、好ましくはグリセリンおよび/またはプロピレングリコール、および/または植物油を含む群から選択される。
【0134】
局所的は使用のための組成物は、例えば、薬学的に許容される散剤、ローション剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤の形態または治療上有効な量の本発明による化合物を含む治療システムの形態であり得る。本発明による化合物は、個別の治療用活性化合物としてまたは他の治療用活性化合物との混合物として投与され得る。これらは単独で投与され得るが、これらは好ましくは薬剤の形態で、特に適当な医学媒体との混合物として投与される。
【0135】
好ましくは媒体材料、充填剤、溶剤、賦形剤、湿潤剤、乳化剤、着色料、保存料、崩壊剤、滑沢剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝物質、香料および/または結合剤を含む群から選択される、従来の生理的に許容される医薬補助物質が、薬剤の調製のために使用され得る。
【0136】
使用され得る媒体材料は、腸内、例えば経口もしくは直腸内、または非経口の投与に適当であって本化合物とは反応しない有機または無機の物質、例えば水、植物油、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、グリセリン三酢酸および他の脂肪酸グリセリド、ゼラチン、大豆レシチン、乳糖またはデンプンなどの炭水化物、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはセルロースである。
【0137】
前述の薬剤は殺菌され得る。
【0138】
本化合物は従来の合成方法によって調製され得る。
【0139】
本発明による化合物は、特に好ましくは以下のステップを含む本発明の化合物の調製のための方法によって調製され得る:
a)2−ニトロシクロヘキサン−1,3−ジオールをもたらすためのニトロメタンおよびグルタルアルデヒドの環化;
b)ステップa)において得られたニトロジオールの、第一級アミンまたは第二級アミンを用いるアミノ化;
c)第一級アミンをもたらすためのニトロジアミンのニトロ基の還元;
d)ステップc)において得られたシクロヘキサントリアミンのシュウ酸ジアルキルとの反応;
e)ステップd)において得られた化合物のアミン基の分離;
f)ステップe)において得られた化合物の、RおよびR基の導入を用いるアルキル化;
g)パーヒドロキノキサリンをもたらすための、ステップf)において得られた化合物のパーヒドロキノキサリンジオン環の還元;
h)ステップg)において得られた第二級アミンの、C(O)−A−Z基の導入を用いるアシル化;
i)好ましくはアルキル化、アシル化または水素化分解によるHの導入によるR基の導入。
【0140】
A、Z、R、RおよびR基に関しては、上記の記載において全面的に言及されている。
【0141】
本発明による方法のステップa)によるニトロメタンおよびグルタルアルデヒドの2−ニトロシクロヘキサン−1,3−ジオールをもたらすための環化は、好ましくは塩基触媒の下で、好ましくは塩基として水酸化ナトリウム溶液を使用して行われる。好ましくは、この反応はプロトン性溶媒中で、好ましくはメタノール中で行われる。
【0142】
ステップa)において得られたニトロジオールのアミノ化のために、好ましくはピロリジン、ベンジルアミン、p−メトキシベンジルアミン、p−クロロベンジルアミンおよび/または3,4−ジクロロベンジルアミンを含む群から選択される第一級アミンが好ましく使用され得る。ベンジルアミンが好ましく使用され得る。好ましくは、この反応はプロトン性溶媒中で、好ましくは水中で行われる。
【0143】
好ましい実施形態において、本発明による方法のステップc)におけるニトロジアミンのニトロ基の第一級アミンへの還元は、メタノールを用いてラネーニッケル上でまたは水素を用いてラネーニッケル触媒の存在下において行われる。新たに活性化されたラネーニッケルが好ましく使用され得る。水素ガスが好ましく反応に供給される。好ましい水素の圧力は0.2barから100barまでの範囲内、好ましくは0.5barから8barまでの範囲内、特に好ましくは1barである。
【0144】
この還元は、非プロトン性溶媒中で行われ得る。好ましくは、この還元はプロトン性溶媒中で行われる。好ましくはこの還元は、メタノール、酢酸エチル、水および/またはテトラヒドロフランを含む群から選択される溶媒中で、好ましくはメタノール中で行われる。好ましい反応温度は20℃から40℃までの範囲内である。
【0145】
ステップc)において得られたシクロヘキサントリアミンのシュウ酸ジアルキルとの反応は、好ましくはメタノールおよび/または酢酸エチルを含む群から選択される溶媒中で行われる。シュウ酸ジメチルおよびシュウ酸ジエチルが好ましく使用され得るが、シュウ酸ジメチルが特に好ましく使用され得る。パーヒドロキノキサリンジオン誘導体をもたらすための閉環は、シクロヘキサントリアミンのシュウ酸ジアルキルとのこの反応によって行われ得る。
【0146】
ステップa)において得られたニトロジオールの第一級アミンまたは第二級アミンを用いるアミノ化の故に存在するアミン基は、ステップe)において分離される。アミノ化のために好ましく使用される化合物はベンジルアミンであり、それ故にベンジルアミン置換基の脱ベンジル化が好ましく起こる。脱ベンジル化は、好ましくは水素下で1barパラジウム/活性炭を触媒として使用して行われる。水素はギ酸アンモニウム、ヒドラジンまたはギ酸などの化学的水素源から現場で得ることもできる。ベンジル基の分離は、好ましくはギ酸アンモニウムおよびパラジウム/活性炭を用いる移動床式接触水素化分解によって行われる。この反応は、好ましくは還流下において行われる。1つの好ましい溶媒はメタノールである。第一級アミンの生成は好ましく行われる。
【0147】
さらなるステップf)において、ステップe)において得られた化合物の、RおよびR基の導入を用いるアルキル化が行われる。第一級アミンの還元アルキル化が好ましい。例えば、プロトン性溶媒中における、好ましくはメタノール中におけるホルマリンおよびシアノホウ化水素ナトリウム(NaBHCN)との反応が行われ得る。
【0148】
ハロアルカンを用いるアミンのアルキル化は、好ましく行われる。還流下のアセトニトリル中のヨードアルカンまたはブロモアルカンおよびNaHCOとの反応が好ましく行われる。
【0149】
好ましくはヨードメタン、ヨードエタン、1,4−ジヨードブタン、1,5−ジヨードペンタンを含む群から選択されるヨードアルカンが好ましい。ブロモアルカン、特に1,4−ジブロモブタン−2−オールも好ましい。ヨードメタンまたはヨードエタンが好んで使用され得る。
【0150】
末端がハロゲン化されたジハロアルカンは、窒素含有環の形成のために好ましく使用され得る。2から6個のC原子を含有しているジハロアルカンが特に好ましい。これらはOH基および/またはカルボニル基によってモノ−またはジ置換されていてもよい。4個のC原子を有するジハロアルカンが、極めて特に好ましい。ジハロアルカンは、好ましくは1,4−ジヨードブタン、1,4−ジブロモブタン−2−オールおよび/または1,5−ジヨードペンタンを含む群から選択される。
【0151】
このアルキル化は補助塩基を使用して行われ得る。好ましい補助塩基は炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムおよび/または重炭酸ナトリウムを含む群から選択される。このアルキル化は非プロトン性溶媒中で行われ得る。好ましくは、このアルキル化はプロトン性溶媒中で行われる。使用され得る溶媒は、好ましくはアセトン、アセトニトリルおよび/またはメタノールを含む群から選択され、とりわけアセトニトリルである。
【0152】
パーヒドロキノキサリンをもたらすための、ステップf)において得られた化合物のパーヒドロキノキサリンジオン環の還元は、好ましくは還元剤リチウムアルミニウムヒドリド(LiAlH)を使用して行われる。ルイス酸、例えば塩化アルミニウムとの組合せはさらに好ましい。リチウムアルミニウムヒドリド(LiAlH)および塩化アルミニウムの3:1混合物が好ましい。好ましくは、この還元は非プロトン性溶媒中で行われ得る。好ましくは、この還元はプロトン性溶媒中で行われる。好ましい溶媒はテトラヒドロフラン(THF)である。この還元は好ましくは窒素不活性ガス雰囲気下において行われる。
【0153】
さらなるステップにおいて、ステップg)において得られた第二級アミンのアシル化が、C(O)−A−Z基の導入を用いて行われる。
【0154】
このアシル化は、酸塩化物または類似の遊離カルボン酸などの、アシル化剤を用いて行われ得る。このアシル化は、好ましくは酸塩化物を用いて行われる。フェニルアセチルクロリド誘導体が特に好ましく使用され得る。2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチルクロリドおよび2−フェニルアセチルクロリドが特に好ましい。カルボン酸を用いるアシル化は、好ましくは触媒を用いて行われる。これらは特に好ましくはジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)およびN’−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド(EDC)を含む群から選択される。
【0155】
アシル化剤を用いるヒドロキシピロリジン誘導体のアシル化は、好ましくは1:1の比で行われる。
【0156】
さらなる方法ステップにおいて、好ましくはアルキル化、アシル化または水素化分解によるHの導入によるR基の導入が行われる。
【0157】
好ましい実施形態において、存在する基は水素化分解的に分離され得て、この結果としてR基としてのHの水素化分解による導入が起こる。次いでさらなる複数の基Rが1つのステップで導入され得る。
【0158】
水素化分解による開裂のためには、好ましくは元素水素が触媒としてのパラジウム/炭素と一緒に使用される。好ましくは塩酸が混合物に加えられる。水素化分解による開裂は、非プロトン性溶媒中で行われ得る。好ましくは、水素化分解による開裂はプロトン性溶媒中で行われる。好ましい溶媒は水および/またはテトラヒドロフラン(THF)を含む群から選択される。水およびテトラヒドロフランの1:1混合物が好ましい。好ましい水素の圧力は0.5barから8barまでの範囲内、好ましくは1barである。
【0159】
基は、特に好ましくは第二級アミンのアルキル化またはアシル化によって導入され得る。
【0160】
アルデヒドを用いるアルキル化は、好ましくは還元アルキル化として行われる。水素化シアノホウ素ナトリウムまたは水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムが触媒として好ましく使用される。アルデヒドは、特に好ましくはホルムアルデヒド、ブチルアルデヒド、アニスアルデヒド、ピリジン−2−カルボアルデヒド、ニコチンアルデヒドおよび/または1H−イミダゾール−5−カルボアルデヒドを含む群から選択される。
【0161】
アシル化は、好ましくは酸塩化物または類似の遊離カルボン酸などのアシル化剤を用いて行われる。酸塩化物を用いるアシル化が特に好ましい。塩化ベンゾイル、塩化アセチル、塩化プロピオニル、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、マロン酸モノメチルエステル塩化物および/または無水コハク酸を含む群から選択される酸塩化物が極めて特別に好ましい。
【0162】
エステル化された基はエステル開裂によって遊離酸に転化され得る。
【0163】
還流下において行われ得る反応は、合成用マイクロウエーブオーブン中においても行われ得る。
【0164】
本発明による方法のステップd)におけるキノキサリン誘導体をもたらすためのシクロヘキサントリアミンのシュウ酸ジメチルとの反応によって、2つのエナンチオマーを含むラセミ体が形成される。
【0165】
したがって、本方法の好ましい実施形態においては、ラセミ体の分離が想定されている。本方法のさらに好ましい実施形態においては、ジアステレオマー混合物の分離が想定され得る。
【0166】
ラセミ体、ジアステレオマーまたはエナンチオマーの分離は、知られている方法、特にクロマトグラフィー法、好ましくは高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)またはカラムクロマトグラフィーまたはフラッシュクロマトグラフィー(FC)によって行われ得る。
【0167】
ラセミ体、ジアステレオマーまたはエナンチオマーの1つの分離は、好ましくはキラルクロマトグラフィー法、特にキラル高性能液体クロマトグラフィーによって行われる。キラルカラム材料は市販されている。
【0168】
ラセミ体の分割は、1つの有機酸のラセミ混合物と1つの酸の1つの純粋なエナンチオマーとの反応によって行われ得る。形成されたジアステレオマー塩は、分別結晶化によって分離され得る。ラセミ体の分割は、好ましくはラセミ体を1つのエナンチオマーとして純粋な酸と反応させることによって行われる。次いで分離は分別再結晶化またはクロマトグラフィー法によって行われ、これらの方法は組み合わせられるおよび数回行われることが可能である。
【0169】
本発明の場合、記載された一連の方法ステップa)からi)は、固定された順序の意味に解釈されてはならない。選択される方法に応じて、方法ステップの順序は変化し得る。方法ステップは記載されている順序で行われることが好ましい。
【0170】
好ましい実施形態において、得られた化合物は、例えばクロマトグラフィー法によって、好ましくは例えば高性能液体クロマトグラフィーまたはカラムクロマトグラフィーによって、精製され得る。
【0171】
本発明を例示するために役立つ実施例が以下に示される。
【0172】
化学反応のために丸底フラスコが使用された。加水分解および/または酸化に敏感な物質が使用された場合または水素化が元素水素を用いて行われた場合は、乾燥シュレンクフラスコが使用された。不活性ガスとしては、Air Liquide、Dusseldorfからの窒素が使用された。不活性ガスを用いて作業する場合は、物質は向流でまたはセプタムを通じてのどちらかで加えた。
【0173】
0℃における反応は氷/水混合物によって冷却された。反応の経過および付随する反応の完結度は、薄層クロマトグラフィーによってモニターした。
【0174】
単離された物質は+5℃において貯蔵した。
【0175】
使用された溶媒はp.A品質で得て(p.Aは、分析用)、それ以上の精製をすることなく使用した。無水、純溶媒は、乾燥剤上不活性ガス雰囲気中の蒸留によって調製した。水は脱塩された形態で使用した。
【0176】
本化合物の精製は、カラムクロマトグラフィーの変形、フラッシュクロマトグラフィーによって行った。Merckからのシリカゲル60(40−63μm)が、固定相として使用された。移動相、カラム直径(φ)、シリカゲル充填高さおよび画分容積は、実験の条件に適合させ、個々の調製指示中に記載されている。
【実施例1】
【0177】
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンの調製
1.1 (2r)−2−ニトロシクロヘキサン−1,3−ジオールの調製
1lの丸底フラスコ中に25%濃度のグルタルアルデヒド水溶液(182ml、460mmol)、ニトロメタン(38ml、0.71mol)およびCHOH(600ml)を導入した。2M NaOH(12ml)を0から5℃において滴加した。アイスバスを取り外し、混合物を室温(20−23℃)において4時間撹拌した。形成された黄色の溶液を酸性カチオン交換体(Merck)(16.8g)の添加によって中和し、混合物を20分間撹拌した。交換樹脂をろ別し、少量のCHOHで洗浄した。ろ液を半固体状態まで真空下で蒸発させた。残留物をEtOH(100ml)およびトルエン(250ml)中に取り出した。形成された2相混合物を真空下において再び蒸発させた。形成された固体を熱(65℃から70℃)EtOH(100ml)中に溶解し、トルエン(250ml)を加えた。形成された無色の結晶をろ別し、高真空下において乾燥させた。
【0178】
1.2 (2r)−N,N−ジベンジル−2−ニトロシクロヘキサン−1,3−ジアミンの調製
250mlの丸底フラスコ中においてベンジルアミン(26.4ml、0.24mol)をHO(60ml)中に溶解させ、(2r)−2−ニトロシクロヘキサン−1,3−ジオール(19.3g、0.12mol)を加えた。この黄色の溶液を室温において16時間撹拌した。形成された黄色の沈殿をろ別し、次いでCHOHを用いて再結晶化させた。無色の固体を得た。
【0179】
1.3 (2r)−N,N−ジベンジルシクロヘキサン−1,2,3−トリアミンの調製
(2r)−N,N−ジベンジル−2−ニトロシクロヘキサン−1,3−ジアミン(0.34g、1.0mmol)をCHOH(2.5ml)中に溶解させ、ラネーニッケル(Acros Organics、Geel、Belgium)を加えた(0.96g;沈降した懸濁液1mlはラネーニッケル約0.6gを含有していた。Gattermann,L;Wieland,H.;Wieland,T.;Sucrow,W.Die Praxis des organischen Chemikers、43版;Walter de Gryter:Berlin 1982年;555頁参照)。懸濁液を1barのH下の室温において3時間撹拌した。次いで触媒をろ別し、溶液を真空下において蒸発させた。淡黄色のオイルを得た。
【0180】
1.4 (4aRS,5SR,8aRS)−1−ベンジル−5−(ベンジルアミノ)パーヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの調製
(2r)−N,N−ジベンジルシクロヘキサン−1,2,3−トリアミン(100mg、0.32mmol)をCHOH(2.0ml)中に溶解させ、シュウ酸ジメチル(38mg、0.32mmol)を加えた。混合物を還流下において24時間加熱した。次いで混合物を真空下において蒸発させた。残留物を酢酸エチルから再結晶化させた。生成物を無色の固体として得た。
【0181】
1.5 (4aRS,5SR,8aRS)−5−アミノ−1−ベンジルパーヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの調製
(4aRS,5SR,8aRS)−1−ベンジル−5−(ベンジルアミノ)パーヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(1.19g、3.28mmol)をメタノール(40ml)中に溶解させ、NHHCO(2.07g、32.8mmol)を加えた。炭素上のパラジウム(Merck)120mgをさらに加えた。この混合物を還流下において2時間加熱した。次いで触媒をろ別し、混合物を真空下で蒸発させた。残留物をCHCl中に取り出し、この混合物を0.1NのNaOHを用いて3回洗浄した。有機相をNaSO上で乾燥し、真空下において蒸発させた。無色の固体を得た。
【0182】
1.6 (4aRS,5SR,8aRS)−1−ベンジル−5−(ピロリジン−1−イル)パーヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの調製
(4aRS,5SR,8aRS)−5−アミノ−1−ベンジルパーヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(3.06g、11.2mmol)をCHCN(300ml)中に溶解させた。NaHCO(6.4g、76.2mmol)および1,4−ジヨードブタン(13.9g、44.8mmol、5.9ml)を加え、この混合物を還流下において18時間加熱した。NaHCOをブルーバンドフィルター(Schleicher&Schuell)を用いてろ別し、この黄色の溶液を真空下において濃縮した。固体をCHCl中に取り出し、この混合物をHCl(1N)と一緒に3回振とうすることによって抽出した。次いで水相を、NaOH(2N)を用いてpH8とし、CHClと一緒に3回振とうすることによって抽出した。これらの有機相をNaSO上で乾燥し、真空下において蒸発させた。淡黄色の固体を得た。
【0183】
1.7 (4aRS,5SR,8aRS)−1−ベンジル−5−(ピロリジン−1−イル)パーヒドロキノキサリンの調製
Al(AlHの調製:
0℃のシュレンクフラスコ中に窒素雰囲気下において乾燥させたAlCl(45mg、0.33mmol)を導入し、純THF(2.5ml)を加えた。形成された透明で無色の溶液を、0℃において5分間撹拌した。次いで1.0MのLiAlH溶液(1.0ml、1.0mmol)を滴加した。この懸濁液を室温まで温め、20分間撹拌した。Al(AlHを1.33mmol有する懸濁液が形成された。
【0184】
還元:
(4aRS,5SR,8aRS)−1−ベンジル−5−(ピロリジン−1−イル)パーヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(59mg、0.18mmol)を純THF(3ml)中に溶解させ、この溶液を0℃まで冷却されたAl(AlH懸濁液に加えた。この懸濁液を0℃において45分間撹拌し、室温まで温めてさらに20分間撹拌した。その後、氷で冷却しながら2NのNaOH(2ml)を注意深く滴加した。この懸濁液をCHCl(15ml)と一緒に5回振とうすることによって抽出した。合わせた有機相をNaSO上で乾燥し、真空下において蒸発させた。生成物を淡黄色の固体として得た。
【0185】
1.8 1−[(4aRS,8SR,8aRS)−4−ベンジル−8−(ピロリジン−1−イル)パーヒドロキノキサリン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロフェニル)エタン−1−オンの調製
(4aRS,5SR,8aRS)−1−ベンジル−5−(ピロリジン−1−イル)パーヒドロキノキサリン(325mg、1.09mmol)を純CHCl(35ml)中に溶解させた。2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチルクロリド(291mg、1.3mmol)を滴加し、この混合物を室温において撹拌した。30分後、2NのNaOH(35ml)を加え、この混合物を2時間活発に撹拌した。次いで水相を分離排出した。有機相をHCl(1N)と一緒に3回振とうすることによって抽出した。次いで水相を、NaOH(2N)を用いてpH8とし、CHClと一緒に3回振とうすることによって抽出した。有機相をNaSO上で乾燥し、真空下において蒸発させた。淡黄色の固体を得た。
【0186】
1.9 2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンの調製
1−[(4aRS,8SR,8aRS)−4−ベンジル−8−(ピロリジン−1−イル)パーヒドロキノキサリン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロフェニル)エタン−1−オン(244mg、0.50mmol)をTHF/HO(1:1、50ml)中に溶解させ、濃HCl(5ml)および炭素上のパラジウム(Pd/C)(Merck)(98.4mg)を加えた。この混合物を1barのH下において室温で30分間撹拌した。触媒をろ別し、THFを真空下において蒸発除去した。NaOH(2N)を用いて水相をpH8として、CHClと一緒に5回振とうすることによって抽出した。合わせた有機相をNaSO上で乾燥し、蒸発させた。黄色がかった残留物をシリカゲル60(40−63μm、(Merck))上のカラムクロマトグラフィーによって精製し(カラムφ3cm、CHCl/MeOH/NH 9:1:0.1、l=17cm、V=10ml)黄色の樹脂を得た。
【実施例2】
【0187】
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物の調製
この調製は実施例1.1から1.5に記載されている通りに調製した(4aRS,5SR,8aRS)−5−アミノ−1−ベンジルパーヒドロキノキサリン−2,3−ジオンから出発して行った。
【0188】
2.1 (4aRS,5SR,8aRS)−1−ベンジル−5−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)パーヒドロキノキサリン−2,3−ジオンの調製
(4aRS,5SR,8aRS)−5−アミノ−1−ベンジルパーヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(144mg、0.53mmol)をアセトニトリル(16ml)中に溶解させ、NaHCO(300mg、3.57mmol)およびラセミ体の1,4−ジブロモブタン−2−オール(純度85%、1.15g、4.20mmol、0.57ml)を加えた。24時間後、NaHCOを分離除去し、混合物を真空下において蒸発させた。固体をCHCl中に取り出して、この混合物をHCl(1N)と一緒に3回振とうすることによって抽出した。次いでNaOH(2N)を用いて水相をpH8とし、CHClと一緒に3回振とうすることによって抽出した。有機相をNaSO上で乾燥し、真空下において蒸発させた。粗製の生成物をシリカゲル60(40−63μm、(Merck))上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した(φ2cm、アセトン/MeOH/EtNH 9.5:0.5:0.1、l=17cm、V=5ml)。淡黄色の固体を単離した。
【0189】
2.2 (4aRS,5SR,8aRS]−1−ベンジル−5−(3SR)−および(3RS)−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリンの調製
Al(AlHの調製:
0℃のシュレンクフラスコ中に窒素雰囲気下において乾燥させたAlCl(940mg、6.8mmol)を導入し、純THF(52ml)を加えた。形成された透明、無色の溶液を0℃において5分間撹拌した。次いで1.0MのLiAlH溶液(21ml、21mmol)を滴加した。この懸濁液を室温まで温め、20分間撹拌した。Al(AlH27.8mmolを有する懸濁液が形成された。
【0190】
還元:
(4aRS,5SR,8aRS)−1−ベンジル−5−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)パーヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(1.29g、3.8mmol)を純THF(65ml)中に溶解させ、この溶液を0℃に冷却されたAl(AlH懸濁液に加えた。この懸濁液を0℃において45分間撹拌し、室温まで温めてさらに20分間撹拌した。その後、氷で冷却しながら2NのNaOH(13ml)を注意深く滴加した。懸濁液をCHCl(50ml)と一緒に5分間振とうすることによって抽出した。合わせた有機相はNaSO上で乾燥し、真空下において蒸発させた。生成物を淡黄色の固体として得た。
【0191】
2.3 1−{(4aRS,8SR,8aSR)−4−ベンジル−8−[(3SR)−および(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}−2−(3,4−ジクロロフェニル)エタン−1−オンの調製
(4aRS,5SR,8aRS)−1−ベンジル−5−((3SR)−および(3RS)−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン(2.6g、8.1mmol)を純CHCl(200ml)中に溶解させ、2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチルクロリド(1.8g、8.1mmol)を滴加し、この混合物を室温において撹拌した。30分後、NaOH(2N、200ml)を加え、この反応混合物を一晩活発に撹拌した。水相を分離排出した。有機相をHCl(1N)と一緒に3回振とうすることによって抽出した。次いで水相を、NaOH(2N)を用いてpH8として、CHClと一緒に3回振とうすることによって抽出した。有機相をNaSO上で乾燥し、真空下において蒸発させた。淡黄色の固体が単離された。
【0192】
2.4 2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−および(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンの調製
1−{(4aRS,8SR,8aSR)−4−ベンジル−8−[(3SR)−および(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}−2−(3,4−ジクロロフェニル)エタン−1−オン(373mg、0.74mmol)をTHF/HO(1:1、74ml)中に溶解させ、濃HCl(7.4ml)および炭素上のパラジウム(Merck)158mgを加えた。この混合物を1barのH下において室温で30分間撹拌した。触媒をろ別し、THFを真空下において蒸発させた。水相を、NaOH(2N)を用いてpH8とし、CHClと一緒に5回振とうすることによって抽出した。合わせた有機相をNaSO上で乾燥し、蒸発させた。黄色がかった残留物をシリカゲル60(40−63μm、(Merck))上のカラムクロマトグラフィーによって精製し(φ3cm、CHCl/MeOH/NH 9:1:0.1、l=18cm、V=10ml)、ごく薄い黄色の樹脂を得た。
【実施例3】
【0193】
1−[(4aRS,8SR,8aRR)−4−ベンジル−8−(ピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}−2−(3,4−ジクロロフェニル)エタン−1−オンの調製
この調製は、実施例1.1から1.6において記載された通りに調製された(4aRS,5SR,8aRS)−1−ベンジル−5−(ピロリジン−1−イル)パーヒドロキノキサリン−2,3−ジオンから出発して行った。
【0194】
3.1 (4aRS,5SR,8aRS)−1−ベンジル−5−(ピロリジン−1−イル)パーヒドロキノキサリンの調製
Al(AlHの調製:
0℃のシュレンクフラスコ中に窒素雰囲気下において乾燥させたAlCl(45mg、0.33mmol)を導入し、純THF(2.5ml)を加えた。形成された透明、無色の溶液を0℃において5分間撹拌した。次いで1.0MのLiAlH溶液(1.0ml、1.00mmol)を滴加した。この懸濁液を室温まで温め、20分間撹拌した。Al(AlH 1.33mmolを有する懸濁液が形成された。
【0195】
還元:
(4aRS,5SR,8aRS)−1−ベンジル−5−(ピロリジン−1−イル)パーヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(59mg、0.18mmol)を純THF(3ml)中に溶解させ、この溶液を0℃まで冷却されたAl(AlH懸濁液に加えた。この懸濁液を0℃において45分間撹拌し、室温まで温めてさらに20分間撹拌した。その後、氷で冷却しながら2NのNaOH(2ml)を注意深く滴加した。この懸濁液をCHCl(15ml)と一緒に5回振とうすることによって抽出した。合わせた有機相をNaSO上で乾燥し、真空下において蒸発させた。生成物を淡黄色の固体として得た。
【0196】
3.2 1−[(4aRS,8SR,8aRS)−4−ベンジル−8−(ピロリジン−1−イル)パーヒドロキノキサリン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロフェニル)エタン−1−オンの調製
(4aRS,5SR,8aRS)−1−ベンジル−5−(ピロリジン−1−イル)パーヒドロキノキサリン(325mg、1.09mmol)を純CHCl(35ml)中に溶解させた。2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチルクロリド(291mg、1.3mmol)を滴加し、この混合物を室温で撹拌した。30分後、2NのNaOH(35ml)を加え、この混合物を2時間活発に撹拌した。水相を分離排出した。有機相をHCl(1N)と一緒に3回振とうすることによって抽出した。次いでこの水相を、NaOH(2N)を用いてpH8とし、CHClと一緒に3回振とうすることによって抽出した。有機相をNaSO上で乾燥し、真空下において蒸発させた。生成物を淡黄色の固体として得た。
【実施例4】
【0197】
<(3SR)−および(3RS)−1−{(4aRS,5RS,8aSR)−4−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−パーヒドロキノキサリン−5−イル}ピロリジン−3−イル>−2−(3,4−ジクロロフェニル)アセテート
この調製は、実施例2.1から2.2において記載された通りに調製された(4aRS,5SR,8aRS)−1−ベンジル−5−((3SR)−および(3RS)−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリンから出発して行った。
【0198】
4.1 <(3SR)−および(3RS)−1−{(4aRS,5RS,8aSR)−1−ベンジル−4−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−パーヒドロキノキサリン−5−イル}ピロリジン−3−イル)−2−(3,4−ジクロロフェニル)アセテートの調製
(4aRS,5SR,8aRS)−1−ベンジル−5−((3SR)−および(3RS)−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン(0.70g、2.2mmol)を純CHCl(100ml)中に溶解させた。2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチルクロリド(1.1g、4.9mmol)を滴加し、この混合物を室温で撹拌した。4時間後、2NのNaOH(4.5ml)を加え、混合物を一晩活発に撹拌した。有機相を分離排出し、残留物を2NのNaOHを用いて2回洗浄した。次いで有機相をNaSO上で乾燥し、真空下において蒸発させた。残留物をシリカゲル60(40−63μm、(Merck))上のフラッシュクロマトグラフィー(カラムφ2cm、EA/EtNH 10:0.1;l=15cm、V=5ml)によって2回精製した。淡黄色の樹脂が単離された。
【0199】
4.2 <(3SR)−および(3RS)−1−{(4aRS,5RS,8aSR)−4−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−パーヒドロキノキサリン−5−イル}ピロリジン−3−イル>−2−(3,4−ジクロロフェニル)アセテートの調製
<(3SR)−および(3RS)−1−{(4aRS,5RS,8aSR)−1−ベンジル−4−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−パーヒドロキノキサリン−5−イル}ピロリジン−3−イル>−2−(3,4−ジクロロフェニル)アセテート(299mg、0.43mmol)をTHF/HO(1:1、59ml)中に溶解させ、濃HCl(5.9ml)およびPd/C(81mg)を加えた。この混合物を1barのH下において室温で35分間撹拌した。触媒をろ別し、ろ液のメタノールを真空下において蒸発させた。水相はNaOH(2N)を用いてpH8として、CHClで5回振とうすることによって抽出した。有機相はNaSO上で乾燥し、蒸発させた。黄色がかかった残留物をカラムクロマトグラフィー(φ2cm、CHCl/MeOH/NH 9.5:0.5:0.05、l=16cm、V=5ml)によって精製した。生成物画分を蒸発させ、残留物をCHCl中に取り出し、この溶液をHCl(1N)と一緒に3回振とうすることによって抽出した。次いで水相を、NaOH(2N)を用いてpH8とし、CHClと一緒に3回振とうすることによって抽出した。有機相はNaSO上で乾燥し真空下で蒸発させた。黄色がかった残留物をカラムクロマトグラフィー(φ2cm、CHCl/MeOH/NH 9:1:0.05、l=15cm、V=5ml)によって精製し、黄色がかった固体を得た。
【実施例5】
【0200】
1−{(4aRS,8SR,8aSR)−4−ベンジル−8−[(3SR)−および(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}−2−(3,4−ジクロロフェニル)エタン−1−オンの調製
この調製は、実施例2.1から2.2に記載されている通りに調製された(4aRS,5SR,8aRS)−1−ベンジル−5−((3SR)−および(3RS)−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリンから出発して行った。
【0201】
(4aRS,5SR,8aRS)−1−ベンジル−5−((3SR)−および(3RS)−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン(2.6g、8.1mmol)を純CHCl(200ml)中に溶解させ、2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチルクロリド(1.8g、8.1mmol)を滴加し、この混合物を室温において撹拌した。30分後、NaOH(2N、200ml)を加え、反応混合物を一晩活発に撹拌した。水相を分離除去した。有機相をHCl(1N)と一緒に3回振とうすることによって抽出した。次いで水相を、NaOH(2N)を用いてpH8としてCHClと一緒に3回振とうすることによって抽出した。有機相をNaSO上で乾燥し、真空下において蒸発させた。淡黄色の固体が単離された。
【実施例6】
【0202】
1−[(4aRS,8SR,8aRS)−4−ベンゾイル−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロフェニル)エタン−1−オンの調製
この調製は、実施例1.1から1.9において記載されている通りに調製された2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンから出発して行った。
【0203】
下において、2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オン(111mg、0.28mmol)を純CHCl(14ml)中に溶解させ、塩化ベンゾイル(47mg、0.35mmol)を滴加した。この混合物を室温において一晩撹拌し、次いで真空下において蒸発させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(φ2cm、CHCl/MeOH/NH 9.5:0.5:0.05、l=15cm、V=5ml)によって精製し、黄色がかった樹脂として得た。
【実施例7】
【0204】
1−[(4aRS,8SR,8aRS)−4−アセチル−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロフェニル)エタン−1−オンの調製
この調製は、実施例1.1から1.9に記載されている通りに調製された2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンから出発して行った。
【0205】
下において、2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オン(113mg、0.29mmol)を純CHCl(14ml)中に溶解させ、塩化アセチル(27mg、0.34mmol)を滴加した。この混合物を室温において一晩撹拌し、次いで真空下において蒸発させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(φ2cm、CHCl/MeOH/NH 9.5:0.5:0.05、l=15cm、V=5ml)によって精製した。黄色がかった樹脂を得た。
【実施例8】
【0206】
1−{(4aRS,8SR,8aRS)−1−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−4−イル}プロパン−1−オンの調製
この調製は、実施例1.1から1.9に記載されている通りに調製された2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンから出発して行った。
【0207】
下において、2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オン(40.7mg、0.10mmol)を純CHCl(5ml)中に溶解させ、塩化プロピオニル(11.4mg、0.12mmol)を滴加した。この混合物を室温において2.5時間撹拌し、次いで真空下において蒸発させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(φ2cm、CHCl/MeOH/NH 9:1:0.1、l=16cm、V=3ml)によって精製した。黄色の樹脂を得た。
【実施例9】
【0208】
{(4aRS,8SR,8aRS)−1−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−4−イル}カルボン酸メチルの調製
より明確にするために、この化合物および次の化合物においては2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンのキノキサリン環の番号の付け方を採用する。
【0209】
この調製は、実施例1.1から1.9に記載されている通りに調製された2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンから出発して行った。
【0210】
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オン(100.9mg、0.25mmol)を窒素雰囲気下において純CHCl(13ml)中に溶解させ、クロロギ酸メチル(28.9mg、0.31mmol)を滴加した。この溶液を室温において2時間撹拌した。その後、この混合物を真空下において蒸発させ、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(φ2cm、CHCl/MeOH/NH 9.5:0.5:0.05、l=16cm、V=5ml)によって精製し、黄色の樹脂を得た。
【実施例10】
【0211】
{(4aRS,8SR,8aRS)−1−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−4−イル}カルボン酸エチルの調製
この調製は、実施例1.1から1.9に記載されている通りに調製された2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンから出発して行った。
【0212】
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オン(104.9mg、0.26mmol)をN下において純CHCl(13ml)中に溶解させ、クロロギ酸エチル(34.5mg、0.32mmol)を滴加した。この溶液を室温において一晩撹拌し、次いで真空下において蒸発させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(φ2cm、CHCl/MeOH/NH 9.5:0.5:0.05、l=18cm、V=5ml)によって精製した。黄色の樹脂を得た。
【実施例11】
【0213】
3−{(4aRS,8SR,8aRS)−1−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−4−イル}−3−オキソプロピオン酸の調製
この調製は、実施例1.1から1.9に記載されている通りに調製された2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンから出発して行った。
【0214】
下において、2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オン(103mg、0.26mmol)を純CHCl(13ml)中に溶解させ、マロン酸モノメチルエステルクロリド(42mg、0.31mmol)を滴加した。この混合物を室温において一晩撹拌し、次いで真空下において蒸発させた。残留物を20ml中に取り出し、2NのNaOH(2ml)を加えた。この溶液を室温において一晩撹拌した。その後、この混合物を真空下において蒸発させ、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(φ2cm、CHCl/MeOH/NH 8:2:0.1、l=15cm、V=5ml)によって精製した。粗製の生成物を再度CHCl中に取り出し、この混合物をガラスフィルターるつぼG4およびセライト(登録商標)(CELITE Corp.、Lompoc、USAからの珪藻土)を用いてろ過し、ろ液を真空下において蒸発させた。無色の固体を得た。
【実施例12】
【0215】
4−{(4aRS,8SR,8aRS)−1−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−4−イル}−4−オキソ酪酸の調製
この調製は、実施例1.1から1.9に記載されている通りに調製された2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンから出発して行った。
【0216】
50mlのシュレンクフラスコ中のN下において、2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オン(108.6mg、0.27mmol)を純CHCl(14ml)中に溶解させた。無水コハク酸(33mg、0.33mmol)およびスパチュラ先端量の4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)をこの溶液に加えた。この混合物を室温において一晩撹拌した。次いで混合物をほとんど乾燥するまで真空下において蒸発させ、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(φ2cm、CHCl/MeOH/NH 8:2:0.1、l=17cm、V=5ml)によって精製した。生成物を有する画分を真空下において蒸発させ、残留物を再度CHCl中に取り出した。この混合物をガラスフィルターるつぼG4およびセライトを用いてろ過し、ろ液を真空下において蒸発させた。生成物は黄色がかった固体であった。
【実施例13】
【0217】
3−{(4aRS,8SR,8aRS)−1−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−4−イル}−3−オキソプロピオン酸メチルの調製
この調製は、実施例1.1から1.9に記載されている通りに調製された2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンから出発して行った。
【0218】
下において、2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オン(101mg、0.26mmol)を純CHCl(13ml)中に溶解させ、マロン酸モノメチルエステルクロリド(42mg、0.31mmol)を滴加した。この混合物を室温において一晩撹拌し、次いで真空下において蒸発させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(φ2cm、CHCl/MeOH/NH 9.5:0.5:0.05、l=15cm、V=5ml)によって精製した。黄色がかった樹脂を得た。
【実施例14】
【0219】
1−{(4aRS,8SR,8aSR)−4−ベンゾイル−8−[(3SR)−および(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]−パーヒドロキノキサリン−1−イル}−2−(3,4−ジクロロフェニル)エタン−1−オンの調製
この調製は、実施例2.1から2.4に記載されている通りに調製された2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物から出発して行った。
【0220】
下において、2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物(120mg、0.29mmol)を純CHCl(18ml)中に溶解させ、塩化ベンゾイル(23mg、0.29mmol)を滴加した。この混合物を室温において3時間撹拌し、次いで真空下において蒸発させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(φ2cm、CHCl/MeOH/NH 9:1:0.05、l=15cm、V=5ml)によって精製した。生成物画分を蒸発させ、残留物をCHCl中に取り出した。有機相をHCl(1N)と一緒に3回振とうすることによって抽出した。水相はNaOH(2N)を用いてpH8とし、CHClと一緒に3回振とうすることによって抽出した。これらの有機相をNaSO上で乾燥し、真空下において蒸発させた。残留物はフラッシュクロマトグラフィー(φ2cm、CHCl/MeOH/NH 9.5:0.5:0.05、l=15cm、V=5ml)によって精製した。生成物画分を蒸発させた。残留物は分取HPLC(MeOH/HO/EtNH 70:30:0.1)によって次に記載されている通り精製した。
【0221】
これには、ポンプL−7150、オートサンプラーL−7200、UV検出器L−7400、インターフェイスD−7000およびソフトウエアHSM(すべてMerck Hitachi製)を使用した。溶液は個々に調製したまたは0.1%のジエチルアミンを含むメタノール/水混合物を使用した。流量は9.000ml/分であった。Phenomenex Gemini 5μm C18 110A カラムを使用した。手順は室温で行われた。注入容積は400μlであった。検出は225nmにおいて行った。残留物はMeOH(500μl)中に溶解させた。400μl(物質の全量の80%)を注入し、残りの100μlはMeOHで500μlまで満たした。2回目にはこの溶液から400μlを再度注入し、したがって2回の注入において合計でサンプルの96%がクロマトグラフィーによって精製された。
【0222】
生成物画分からMeOHを蒸発させ、水相はCHClと一緒に3回振とうすることによって抽出して、合わせた有機相をNaSO上で乾燥し、蒸発させた。無色の固体が単離された。
【実施例15】
【0223】
{(4aRS,8SR,8aRS)−1−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−8−[(3SR)−および(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]−パーヒドロキノキサリン−4−イル}カルボン酸メチルの調製
この調製は、実施例2.1から2.4に記載されている通りに調製された2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物から出発して行った。
【0224】
下において、2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物(132mg、0.32mmol)を純CHCl(20ml)中に溶解させ、クロロギ酸メチル(30mg、0.32mmol)を滴加した。この混合物を室温において3時間撹拌し、次いで真空下において蒸発させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(φ2cm、CHCl/MeOH/NH 9:1:0.05、l=15cm、V=5ml)によって精製した。生成物画分を蒸発させ、残留物は分取HPLC(実施例14に記載されている通りMeOH/HO/EtNH 70:30:0.1中において)によって精製した。生成物画分から真空下においてMeOHを蒸発除去し、水相はCHClと一緒に3回振とうすることによって抽出し、合わせた有機相をNaSO上で乾燥し、蒸発させた。淡黄色の樹脂が単離された。
【実施例16】
【0225】
3−{(4aRS,8SR,8aRS)−1−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−8−[(3SR)−および(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]−パーヒドロキノキサリン−4−イル}−3−オキソプロピオン酸の調製
この調製は、実施例2.1から2.4に記載されている通りに調製された2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物から出発して行った。
【0226】
下において、2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物(104mg、0.25mmol)を純CHCl(15ml)中に溶解させ、マロン酸モノメチルエステルクロリド(34mg、0.25mmol)を滴加した。この混合物を室温において3.5時間撹拌し、次いで真空下において蒸発させた。残留物をMeOH(20ml)中に取り出し、2NのNaOH(2ml)を加えた。この溶液を一晩撹拌し、次いで真空下において蒸発させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィーによって2回精製した(1.φ2cm、CHCl/MeOH/NH 8:2:0.1、l=15cm、V=5ml;2.φ1cm、CHCl/MeOH/NH 8:2:0.2、l=14cm、V=3ml)。残留物は分取HPLC(実施例14に記載されているようにMeOH/HO/EtNH 40:60:0.1中において)によって精製した。生成物画分からMeOHを蒸発除去し、水相はCHCl/と一緒に3回振とうすることによって抽出し、合わせた有機相をNaSO上で乾燥し、蒸発させた。無色のオイルが単離された。
【実施例17】
【0227】
3−{(4aRS,8SR,8aRS)−1−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−8−[(3SR)−および(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]−パーヒドロキノキサリン−4−イル}−3−オキソプロピオン酸メチルの調製
この調製は、実施例2.1から2.4に記載されている通りに調製された2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物から出発して行った。
【0228】
下において、2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物(204mg、0.49mmol)を純CHCl(30ml)中に溶解させ、マロン酸モノメチルエステルクロリド(67mg、0.49mmol)を滴加した。この混合物を室温において3時間撹拌し、次いで真空下において蒸発させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(φ2cm、CHCl/MeOH/NH 9:1:0.05、l=15cm、V=5ml)によって精製した。黄色がかった樹脂を得た。
【実施例18】
【0229】
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−4−メチル−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]エタン−1−オンの調製
この調製は、実施例1.1から1.9に記載されている通りに調製された2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンから出発して行った。
【0230】
ホルマリン(37%、223mg、2.7mmol)をMeOH(5ml)中に溶解させ、NaBHCN(17.2mg、0.27mmol)を加えた。濃酢酸を用いてpHを5に調節した。次いでこの混合物にMeOH(15ml)中に溶解させた2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オン(109mg、0.27mmol)を加え、この混合物を1.5時間撹拌した。飽和のNaCO溶液(12ml)を加えた後で、混合物を室温で15分間撹拌した。形成された沈殿をろ別し、100mbarの下でろ液からMeOHを蒸発除去した。水相をCHClと一緒に5回振とうすることによって抽出し、合わせた有機相をNaSO上で乾燥し、真空下において蒸発させた。この残留物をフラッシュクロマトグラフィー(φ2cm、CHCl/MeOH/NH 9.5:0.5:0.05、l=16cm、V=5ml)によって精製した。黄色がかった樹脂が単離された。
【実施例19】
【0231】
1−[(4aRS,8SR,8aRS)−4−ブチル−8−(ピロリジン−1−イル)パーヒドロキノキサリン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロフェニル)−エタン−1−オンの調製
この調製は、実施例1.1から1.9に記載されている通りに調製された2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンから出発して行った。
【0232】
ブチルアルデヒド(93mg、1.3mmol)をMeOH(5ml)中に溶解させ、NaBHCN(82mg、1.3mmol)を加えた。濃酢酸を用いてpHを5に調節した。次いでこの混合物にMeOH(15ml)中に溶解させた2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オン(101mg、0.25mmol)を加え、この混合物を室温において一晩撹拌した。飽和のNaCO溶液(15ml)を加えた後で、混合物を室温で15分間撹拌した。形成された沈殿をろ別した。ろ液の水相をCHClを用いて3回抽出し、合わせた有機相をNaSO上で乾燥し、真空下において蒸発させた。この残留物をフラッシュクロマトグラフィー(φ2cm、CHCl/MeOH/NH 9.5:0.5:0.1、l=15cm、V=5ml)によって精製した。無色の樹脂が単離された。
【実施例20】
【0233】
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−4−(4−メトキシベンジル)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンの調製
この調製は、実施例1.1から1.9に記載されている通りに調製された2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンから出発して行った。
【0234】
アニスアルデヒド(361mg、2.6mmol)をMeOH(5ml)中に溶解させ、NaBHCN(170mg、2.6mmol)を加えた。濃酢酸を用いてpHを5に調節した。次いでこの混合物にMeOH(15ml)中に溶解させた2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オン(105mg、0.26mmol)を加え、この混合物を一晩撹拌した。飽和のNaCO溶液(15ml)を加えた後で、混合物を室温で15分間撹拌した。形成された沈殿をろ別した。水相を、CHClを用いて3回洗浄し、合わせた有機相をNaSO上で乾燥し、真空下において蒸発させた。この残留物をフラッシュクロマトグラフィー(φ2cm、CHCl/MeOH/NH 9.5:0.5:0.1、l=15cm、V=5ml)によって精製した。生成物を含有している画分を蒸発させ、残留物をCHCl中に取り出して、この溶液をHCl(1N)と一緒に3回振とうすることによって抽出した。次いでこの水相を、NaOH(2N)を用いてpH8とし、CHClと一緒に3回振とうすることによって抽出した。これらの有機相はNaSO上で乾燥し、真空下において蒸発させた。黄色がかった樹脂が単離された。
【実施例21】
【0235】
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aRS)−4−[(ピリジン−2−イル)メチル]−8−(ピロリジン−1−イル)パーヒドロキノキサリン−1−イル}−エタン−1−オンの調製
この調製は、実施例1.1から1.9に記載されている通りに調製された2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンから出発して行った。
【0236】
ピリジン−2−カルボアルデヒド(268mg、2.5mmol)をMeOH(5ml)中に溶解させ、NaBHCN(157mg、2.5mmol)を加えた。濃酢酸を用いてpHを5に調節した。次いでこの混合物にMeOH(15ml)中に溶解させた2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オン(98mg、0.25mmol)を加え、この混合物を室温において一晩撹拌した。飽和のNaCO溶液(15ml)を加えた後で、混合物を室温において15分間撹拌した。形成された沈殿をろ別した。ろ液の水相を、CHClを用いて5回抽出し、合わせた有機相をNaSO上で乾燥し、真空下において蒸発させた。この残留物をフラッシュクロマトグラフィーによって4回精製した(それぞれの場合においてφ2cm、l=15cm、V=5ml、1.CHCl/MeOH/NH 9.5:0.5:0.1、2.CHCl/MeOH/NH 9.5:0.5:0.1、3.CHCl/MeOH/NH 9.75:0.25:0.15、4.CHCl/MeOH/NH 9.5:0.5:0.15)。次いで粗製の生成物を分取HPLCによって精製した(実施例14において記載された通りMeOH/HO/EtNH 80:20:0.1)。生成物画分からMeOHを蒸発させ、水相をCHClと一緒に3回振とうすることによって抽出し、合わせた有機相をNaSO上で乾燥し、真空下において蒸発させた。黄色がかった樹脂が単離された。
【実施例22】
【0237】
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aRS)−4−[(ピリジン−3−イル)メチル]−8−(ピロリジン−1−イル)パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンの調製
この調製は、実施例1.1から1.9に記載されている通りに調製された2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンから出発して行った。
【0238】
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オン(120mg、0.30mmol)を純CHCl(10ml)中に溶解させ、ニコチンアルデヒド(65mg、0.61mmol)、NaBH(OAc)(128mg、0.61mmol)および氷酢酸(36mg、0.61mmol)を加えた。この混合物を室温において撹拌した。21時間後、同じ量のニコチンアルデヒド、NaBH(OAc)および氷酢酸を再度加え、この混合物を3.5時間撹拌した。次いでこの混合物をろ過し、有機相をHCl(1N)と一緒に3回振とうすることによって抽出した。水相はNaOH(2N)を用いてpH8とし、CHClと一緒に3回振とうすることによって抽出した。有機相はNaSO上で乾燥し、真空下において蒸発させた。残留物は分取HPLCによって精製した(実施例14に記載されているようにMeOH/HO/EtNH 80:20:0.1中において)。生成物画分からMeOHを蒸発除去し、水相はCHClと一緒に3回振とうすることによって抽出し、合わせた有機相をNaSO上で乾燥し、蒸発させた。黄色がかった樹脂が単離された。
【実施例23】
【0239】
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aRS)−4−[(1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−8−(ピロリジン−1−イル)パーヒドロキノキサリン−1−イル}−エタン−1−オンの調製
この調製は、実施例1.1から1.9に記載されている通りに調製された2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンから出発して行った。
【0240】
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オン(134mg、0.34mmol)を純CHCl(10ml)に溶解させ、1H−イミダゾール−5−カルボアルデヒド(65mg、0.67mmol)、NaBH(OAc)(143mg、0.67mmol)および氷酢酸(41mg、0.67mmol)を加えた。この混合物を室温において2.5時間撹拌した。次いでこの混合物をろ過し、有機相をHCl(1N)と一緒に3回振とうすることによって抽出した。水相はNaOH(2N)を用いてpH8とし、CHClと一緒に3回振とうすることによって抽出した。有機相はNaSO上で乾燥し、真空下において蒸発させた。残留物は分取HPLCによって精製した(実施例14に記載されているようにMeOH/HO/EtNH 80:20:0.1中において)。生成物画分からMeOHを蒸発除去し、水相はCHClと一緒に3回振とうすることによって抽出し、合わせた有機相をNaSO上で乾燥し、蒸発させた。無色の固体が単離された。
【実施例24】
【0241】
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aRS)−4−メチル−8−[(3SR)−および(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]−パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンの調製
この調製は、実施例2.1から2.4に記載されている通りに調製された2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物から出発して行った。
【0242】
ホルマリン(37%、170mg、2.1mmol)をMeOH(5ml)中に溶解させ、NaBHCN(132mg、2.1mmol)を加えた。濃酢酸を用いてpHを5に調節した。MeOH(15ml)中に溶解させた2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物(86mg、0.21mmol)を次いで加え、この混合物を2時間撹拌した。飽和のNaCO溶液(15ml)を加えた後で、混合物を室温で15分間撹拌した。形成された沈殿をろ別した。100mbarの下でろ液からMeOHを蒸発除去した。水相をCHClと一緒に5回振とうすることによって抽出し、合わせた有機相をNaSO上で乾燥し、真空下において蒸発させた。この残留物をフラッシュクロマトグラフィー(φ2cm、CHCl/MeOH/NH 9:1:0.1、l=16cm、V=5ml)によって精製した。黄色がかった樹脂が単離された。
【実施例25】
【0243】
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−4−[(ピリジン−3−イル)メチル]−8−[(3SR)−および(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンの調製
この調製は、実施例2.1から2.4に記載されている通りに調製された2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物から出発して行った。
【0244】
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物(103mg、0.25mmol)のMeOH(15ml)中溶液をニコチンアルデヒド(53mg、0.49mmol)およびNaBHCN(157mg、2.5mmol)のMeOH(5ml)中溶液に滴加した。pHを濃酢酸を用いてpH5に調節した。この混合物を2時間撹拌した。飽和NaCO溶液(15ml)を加えた後、混合物を室温において15分間撹拌した。形成された沈殿をろ別し、ろ液を真空下において蒸発させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(φ2cm、CHCl/MeOH/NH 9.5:0.5:1、l=16cm、V=3ml)によって精製した。生成物を含有している画分を蒸発させた。残留物を分取HPLCによって精製した(実施例14に記載されているようにMeOH/HO/EtNH 70:30:0.1中において)。生成物画分からMeOHを蒸発除去し、水相はCHClと一緒に3回振とうすることによって抽出し、合わせた有機相をNaSO上で乾燥し、蒸発させた。黄色がかった樹脂が単離された。
【実施例26】
【0245】
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−4−[(1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−8−[(3SR)−および(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンの調製
この調製は、実施例2.1から2.4に記載されている通りに調製された2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物から出発して行った。
【0246】
1H−イミダゾール−5−カルボアルデヒド(262mg、2.7mmol)をMeOH(5ml)中に溶解させ、NaBHCN(172mg、2.7mmol)を加えた。濃酢酸を用いてpHを5に調節した。次いで、MeOH(15ml)中に溶解させた2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物(113mg、0.27mmol)をこの混合物に加え、混合物を5時間撹拌した。飽和NaCO溶液(15ml)を加えた後で、混合物を室温において15分間撹拌した。形成された沈殿をろ別した。ろ液を、CHClを用いて3回洗浄し、合わせた有機相をNaSO上で乾燥し、真空下において蒸発させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィーによって2回精製した(φ2cm、CHCl/MeOH/NH 9:1:0.1、l=15cm、V=5ml)。生成物を含有している画分を蒸発させた。残留物を、CHCl中に取り出し、この混合物をHCl(1N)と一緒に3回振とうすることによって抽出した。水相はNaOH(2N)を用いてpH8とし、CHClと一緒に3回振とうすることによって抽出した。有機相はNaSO上で乾燥し、真空下において蒸発させた。黄色がかった樹脂が単離された。
【実施例27】
【0247】
<(3SR)−および(3RS)−1−{(4aRS,5RS,8aSR)−1−ベンジル−4−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−パーヒドロキノキサリン−5−イル}ピロリジン−3−イル>−2−(3,4−ジクロロフェニル)アセテートの調製
この調製は実施例2.1から2.2において記載されている通りに調製された(4aRS,5SR,8aRS)−1−ベンジル−5−((3SR)−および(3RS)−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリンから出発して行った。
【0248】
(4aRS,5SR,8aRS)−1−ベンジル−5−((3SR)−および(3RS)−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン(0.70g、2.2mmol)を純CHCl(100ml)中に溶解させた。2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチルクロリド(1.1g、4.9mmol)を滴加し、この混合物を室温において撹拌した。4時間後に、2NのNaOH(4.5ml)を加え、この混合物を一晩活発に撹拌した。有機相を分離排出し、残留物を2NのNaOHを用いて2回洗浄した。次いで有機相をNaSO上で乾燥し、真空下において蒸発させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(φ2cm、EA/EtNH 10:0.1、l=15cm、V=5ml)によって2回精製した。淡黄色の樹脂が単離された。
【実施例28】
【0249】
マウスにおけるインビボ疼痛の抑制に関する研究
抗侵害受容作用は、Hendershot,L.C、Forsaith,J.、J.Pharmacol.Exp.Ther.1959年、125巻、237−240頁に記載されているマウスに対するフェニルキノン誘導ライジング試験において調べた。
【0250】
体重が25gから30gの雄のNMRIマウス(Charles River、Germany)をこのために使用した。PEG200(ポリエチレングリコール、Merck Schuhardt OHG)中に溶解させた3.16mg/kg、10mg/kgもしくは21.5mg/kgの濃度の2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}−エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}−エタン−1−オンのジアステレオマー混合物またはPEG200中に溶解させた10mg/kgの濃度の2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンを、いずれの場合においても10匹の動物から成る群に静脈内投与した。10分後に、フェニルキノン(フェニル−p−ベンゾキノン、Sigma,Deisenhofen)の濃度0.02%水溶液0.3mlを腹腔内投与した。このフェニルキノン溶液は、5%のエタノールを添加して調製し、45℃のウオーターバス中に保管した。
【0251】
疼痛によって誘起される伸展動作、いわゆるライジング反応の回数(回数n)を10分間にわたって数えた。後ろ肢の伸展を伴って身体を真直ぐにすることは、いわゆるライジング反応と呼ばれる。ある物質が鎮痛作用を有する場合は、試験物質を与えられなかった対照群と比較して、伸展動作の回数が低減する。
【0252】
このために、動物は個別に観察ケージに入れた。フェニルキノンの投与後5−20分の疼痛によって誘起される伸展動作の回数を押しボタンカウンターによって15分間数えた。PEG200媒体溶液(静脈内、i.v.)およびフェニルキノン(腹腔内、i.p.)を与えた動物も対照として試験した。
【0253】
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}−エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}−エタン−1−オンのジアステレオマー混合物または2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンによるライジング反応の抑制パーセンテージは、次式(d)によって計算した:
【0254】
【数1】

【0255】
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンの10mg/kgの投与量において約9%の抑制が達成されたことが分かった。目だった副作用は見られなかった。
【0256】
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物は、ライジング動作を3.16mg/kgの濃度において5%、10mg/kgの濃度において40%、21.5mg/kgの濃度において97%抑制したことがさらに分かった。
【0257】
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物の鎮痛作用ならびに2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンの鎮痛作用がこうして見出された。
【実施例29】
【0258】
内臓の炎症性疼痛モデルにおける疼痛の抑制に関する研究
この動物試験において、マスタードオイルによって誘起される非神経性大腸炎(炎症)をマウスに起こさせた。この実験の範囲内の様々な試験群が、調べた化合物2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンならびに2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物の末梢および中枢に仲介される鎮痛作用の概要をもたらす。別途に記載のない限り、この研究は、Christoph,T.、Kogel,B.、Schiene,K.、Meen,M.、De Vry,J.、Friedrichs,E.、Eur.J.Pharmacol.2005年、507巻、87−98頁に記載されている通りに行った。
【0259】
マスタードオイルの直腸投与後2から12分の動物の挙動に関して、本研究では内臓の自発性疼痛を、例えば跳躍、痙攣または発声によって、疼痛スコアの形態で記録した。20から40分後、動物の腹壁を機械的に刺激した。中枢によって仲介される異痛および痛覚過敏が(それぞれ1Nmおよび16Nm)フォンフレイフィラメントによって確認された。
【0260】
試験群のサイズはマウス7匹(n=7)であった。ポリエチレングリコール、PEG200(Merck Schuhardt OHG)は、対照群の動物に直腸投与され、第2群においては直腸投与されたマスタードオイルによって大腸炎を誘起させた。その他の群には、マスタードオイル(経直腸)およびPEG200中に溶解させた2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物または2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンを静脈内投与した。1つの試験群には、2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンを、本研究において21.5mg/kgの濃度で与えた。その他の試験群には、2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物を、1.0mg/kg、3.16mg/kgおよび10mg/kgの濃度において投与した。投与容積としては10ml/kgを採用した。
【0261】
マスタードオイルおよびジアステレオマー混合物または2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンを与えられた群における低減された作用は、本化合物の鎮痛作用を表すものである。
【0262】
研究の詳細な手順:
体重が20gから35gの雄のNMRIマウス(Charles River、Germany)をプレキシガラスケージ(底面積14.5×14.5cm、高さ10cm)中のグレーチング上において約30分間慣らした。
【0263】
フォンフレイフィラメント(Grunenthal GmbH)によって1mN、4mN、8mN、16mNおよび32mNの力を加える腹壁への10回の機械的刺激に対するマウスの挙動を事前値として記録した。挙動は侵害防御反応の数の和を介してまたはこれらの侵害防御反応の性質およびその重み付けを介してのどちらかで、反応の数に、関連する係数を掛け、次いで合計を得ることによって解析した。この場合の係数は次の通りである:係数1:腹部をわずかに持ち上げる、刺激部位を舐める、後ずさる;係数2:後足を遠くへ伸ばす、少し飛び下がる、後足が痙攣する、発作的な動きをする、刺激部位を著しく舐める;係数3:飛びのく、声を出す。
【0264】
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物、化合物2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンまたは10ml/kgの溶媒、PEG200、を次いで試験群に静脈内投与した。
【0265】
5分後に、PEG200中濃度3.5%のマスタードオイル溶液50μlを1回直腸投与した。
【0266】
対照群の動物にはPEG200 50μlを直腸投与した。
【0267】
マスタードオイル投与の2から12分後に、動物は自発性内臓痛の挙動を示したことが認められた。反応の数に、関連する係数−係数1:腹部をわずかに持ち上げる、刺激部位を舐める、後ずさる;係数2:後足を遠くへ伸ばす、少し飛び下がる、後足が痙攣する、発作的な動きをする、刺激部位を著しく舐める;係数3:飛びのく−を掛け、次いで自発性内臓痛スコアを表す合計を得た。
【0268】
マスタードオイルの投与の20から40分後に、フォンフレイフィラメントによって1mN、4mN、8mN、16mNおよび32mNの力を加える腹壁への10回の機械的刺激に対する動物の挙動を再度観察し、上記の通り定量化した。
【0269】
伝達された機械的異痛はここでは、強度1mNのフォンフレイフィラメントを用いる刺激に対する反応の合計から決定した。伝達された機械的痛覚過敏は、強度16mNのフォンフレイフィラメントによる刺激に対する重みを付けた反応の合計から決定した。
【0270】
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物ならびに化合物2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンの作用は、対照群との比較において1.自発性内臓痛挙動の抑制、2.伝達された機械的異痛の抑制、3.伝達された機械的痛覚過敏の抑制によって記載した。統計的評価は、ウインドウズ用のプログラムSYSTAT、バージョン11を用いて行った。
【0271】
化合物2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンは、自発性疼痛試験において極めて良好な作用を示すことが見出された。これの疼痛スコアは対照群のスコアと合致した。これは良好な末梢性疼痛抑制を示す。
【0272】
疼痛、異痛および痛覚過敏の中枢に仲介される種類のモデルにおいては、化合物2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンの作用は見出されなかった。
【0273】
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物は、投与量が増加していく剤形を用いる自発性疼痛試験において鎮痛効果を示した。10mg/kgでは疼痛の不在がほぼ達成された。
【0274】
中枢に仲介される種類の疼痛のモデルにおいては、疼痛の顕著な低減は見出されなかった。
【0275】
これは2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物ならびに化合物2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンが、良好な末梢性鎮痛作用を有することを示している。
【実施例30】
【0276】
κ受容体親和性の決定
受容体に対する親和性は、受容体結合試験によってインビトロで決定することができる。ここでは膜調製物、受容体に対する高い親和性および選択性を有する放射能で標識された放射性リガンドおよび親和性を決定しようとする試験物質を使用する。
【0277】
リガンドLとの受容体調製物のインキュベーションは、一方の未占有の受容体Rおよび遊離リガンドLおよびもう一方の受容体−リガンド複合体RLの間の平衡をもたらす。
【0278】
これから、次の等式(a)による解離定数Kが得られる:
【0279】
【数2】

【0280】
試験物質の親和性を決定するために、競争実験を行った。この場合は、放射性リガンドおよび調べられる試験物質を受容体材料に加えた。これら2つのリガンドはすぐに受容体上の結合サイトをめぐって互いに競争を始めた。平衡が成立したら、非結合放射性リガンドを分離除去し、受容体−リガンド複合体の放射能を測定した。結合された放射性リガンドと結合された試験物質の比に関する結論は、これから引き出すことができ、それ故に試験物質の受容体に対する親和性に関する結論を引き出すことができる。放射能はシンチレーションカウンターを用い、トリチウムで標識されたリガンドを通過して光子を放出するシンチレーションカクテルの助けを借りて、間接的に測定した。
【0281】
測定は、一定の受容体および放射性リガンドの濃度において、求められる試験物質の濃度を変えて行った。加えて、非特異的結合値および最大結合値を求めた。放射性リガンドの非特異的結合は、放射性リガンドおよび放射性標識されていない大過剰の選択的リガンドを有する受容体調製物のインキュベーションによって決定し、この結果として受容体の特異的結合部位は非標識リガンドで満たされた。次いで測定された放射能は、放射性リガンドの膜、フィルターなどへの非特異的結合からもたらされた。最大結合は、受容体材料を放射性リガンドと一緒に、試験物質なしで、インキュベートすることによって決定した。放射性リガンドの残留結合パーセントは等式(b)によって計算することができる:
【0282】
【数3】

【0283】
残留結合を物質濃度の10を底とする対数に対してグラフ上にプロットすると、S字形の曲線が得られる。放射性リガンドの受容体に対する結合が50%低減される試験物質の濃度をこの曲線から決定した。これはIC50値と呼ばれる。
【0284】
決定されたIC50値から、放射性リガンドの既知の解離定数Kを用いて平衡定数Kをチェン−プルソフ式(Cheng,Y.C.、Prusoff,W.H.Biochem.Pharmacol.1973年、22巻、3099−3108頁)に従って計算することができる:
【0285】
【数4】

式中、
試験物質の抑制定数
IC50 放射性リガンドの50%が置き換えられる試験物質濃度
[L] 放射性リガンドの濃度
放射性リガンドの解離定数
値は、Hunterら、Br.J.Pharmacol.1990年、1001巻、183−189頁およびSmithら、J.Neuoch.1989年、53巻、27−36頁による方法によって決定し、モルモットの全脳からの調製物を使用し、[H]−U−69,593(Amersham)を放射性リガンドとして使用した。
【0286】
値は、6つの異なる濃度を有する競合曲線から決定されたIC50値から計算した。高い親和性を有する化合物の場合は、K値は2回または3回決定し、平均値および標準偏差(SEM、平均の標準誤差)を計算した。
【0287】
試験溶液
化合物2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンならびに2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物は、いずれの場合においても水を加えることなくジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解させて10mM溶液を得た。次いでこの貯蔵溶液を−80℃において凍結させた。サンプルは必要に応じて解凍し、インキュベーション緩衝液を用いて必要とされる濃度に希釈した。
【0288】
一般的手順
スクリーニングはまず6つの異なる濃度(濃度c=10−5mol/l、10−6mol/l、10−7mol/l、10−8mol/l、10−9mol/l、10−10mol/l)について行った。溶液はその都度2回測定した。試験操作は6つの異なる濃度において同様に行った。これらは推定されるIC50値が濃度範囲の中央領域に入るように選択した。
【0289】
置換実験はGraphPad Prism 3.0(GraphPad software)を用いて非線形回帰によって評価した。得られたIC50値は、チェン−プルソフ式(Cheng,Y.C、Prusoff,W.H.Biochem.Pharmacol.1973年、22巻、3099−3108頁)によってK値に換算した。
【0290】
試験操作は3回行い、平均の標準偏差(SEM、「平均の標準誤差」)を伴う平均を三連値から得た。放射性リガンドの平衡解離定数の詳細な値は文献から得た。
【0291】
アッセイの標準化
測定方法を標準化するために、受容体調製物を特定の緩衝液を用いて様々な濃度に希釈し、非特異的結合および全結合を測定した。このとき受容体調製物の希釈は、非特異的結合が全結合(300cpmのうち約30)の約10%であるように選択した。この手段によって、タンパク質懸濁液中の所望の受容体の最小濃度を確実にした。それからブラッドフォード(Bradford)によるタンパク質濃度の決定(約1.5mg/mlから4.0mg/ml)を次に行った。
【0292】
κ受容体調製物の調製
調製したすべての溶液は氷上で冷却した。約5−6倍量の蔗糖溶液(0.32M)を5匹のモルモットの脳に加え、この混合物を氷冷しながらPotter (Elvehjem−Potter、Braun)中でホモジナイズした(約800から1,000rpm)。ホモジネートを遠心分離機の容器(40ml)中に導入し、高能力冷却式遠心分離機(Sorvall RC−5、Thermo Fisher Scientific)中で遠心分離した(2,900rpm、4℃、10分間)。上澄み液を超遠心分離機の容器(40ml)中に導入し、再度遠心分離した(23,500g、4℃、20分間、Sorvall RC−5、Thermo Fisher Scientific)。
【0293】
超遠心分離の上澄み液を投棄し、ペレットを少量の氷冷TRIS緩衝液と(50mM,pH8.0、トリス−塩基1.66g、トリス−HCl 5.72g、水1lに対して)。ペレットを活発な振とう(vortexer)によって再懸濁させ、この懸濁液を室温(22℃)において連続的な振とうを行ないながら30分間インキュベートした。次いで懸濁液を再度遠心分離した(23,500g、4℃、20分間)。上澄み液を投棄し、ペレットを少量の冷TRIS緩衝液中に取り出した。Potter中でホモジナイズした後、非特異性結合および全結合を決定した。次いでタンパク質懸濁液を非特異性結合が全結合の約10%となるようにTRIS緩衝液で希釈し、Bradfordによるタンパク質決定を行った(タンパク質標準:ウシ血清アルブミン、Sigma−Aldrich)。この調製物のタンパク質含有量は通例、約1.5mg/mlであった。ホモジネートは2mlのエッペンドルフ容器に移し、−81℃において凍結させた。
【0294】
κ受容体に対する親和性の決定
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8aSR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物の、および化合物2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンの10mMの貯蔵溶液から出発して、ジアステレオマー混合物および化合物2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンの様々な濃度における溶液を、緩衝溶液を用いる希釈によって調製した。TRIS緩衝液(50mM、pH7.4)中の[H]−U69.593(Amersham)を放射性リガンドとして使用した。結合研究を行う前に、非特異性結合を低減するためにフィルターマット(Filtermat A、Perkin−Elmer)をポリエチレンイミン溶液(0.2%)中に2.5時間敷いた。全結合および非特異性結合はそれぞれの試験操作ごとに決定した。非特異性結合の決定のために、アッセイは標識されていないU69.593(10μM)の大過剰の存在下において行った。全結合の測定のためには、アッセイは試験物質なしで行い、不足する容積は緩衝液によって置き換えた。200μlの全容積中には、トリス−MgCl緩衝液50μl、試験物質溶液50μl、放射性リガンド溶液50μl(4nM、アッセイにおいては1nMに相当する)および最後にタンパク質溶液(約1.5mg/ml)50μlを微量滴定プレート(標準的96ウエル微量滴定プレート、Diagonal)の1つのウエルにピペットで入れた。すべてのウエルを満たした後、プレートをカバーで閉じて振とう機(独自の構造)を用いて37℃、約500rpmにおいて2.5時間振とうした。インキュベーション後に、カバーを外してUnifilter 96 Harvester 細胞収集装置(Perkin−Elmer)の援けを借りてプレートをフィルターマットを通して吸引した。すべてのウエルを減圧下において水で5回洗浄した。洗浄後、開いたUnifilter 96 Harvester 細胞収集装置中の減圧下において、フィルターマットをまず予備乾燥し、次いで予熱された乾燥キャビネット中の95℃において5分間で完全に乾燥した。次いでMeltilex メルトオンシンチレーター(Meltilex A、Perkin−Elmer)をフィルターマット上に置き、フィルターマットを乾燥キャビネット中95℃において約2−3分間、メルトオンシンチレーターが完全にマットに浸透するまで加熱した。室温においては、シンチレーターは1分間以内に完全に再固化し、フィルターマットはシンチレーションカウンター(Microbeta TRILUX、Perkin−Elmer)中で測定することができるようになった([H]測定手順書;1ウエルあたりの測定時間5分間)。放射性リガンド[H]−U69.593のK値(K=0.67nM)は文献から得た。
【0295】
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物および化合物2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンは、それぞれκ受容体に対する8.7±1.1nMおよび2.1±0.4nmの高い親和性を有することが見出された。
【実施例31】
【0296】
κ受容体親和性の決定
表1および2に挙げられている化合物に関するκ受容体親和性の決定は、これらの化合物を使用して実施例30において記載された通りに行った。これらの化合物のκ受容体に対する親和性について以下表1および2に示されている値を得た。
【0297】
【表1】


【0298】
【表2】

【0299】
これらの化合物がいずれもκ受容体に対する高い親和性を有していることが見出された。
【実施例32】
【0300】
κ受容体への結合の選択性の決定
選択性の調査という観点での受容体親和性の決定はヒト受容体材料において行った。これには、[H]−CI−977(TRK945、Amersham、比放射能約48Ci/mmol)をκ受容体に対する放射性リガンドとして使用し、[H]−ナロキソン(N−アリル−2,3)(NET719、NEN、比放射能約60Ci/mmol)をμ受容体に対する放射性リガンドとして使用した。
【0301】
一般的手順(ヒトκおよびμアヘン剤受容体膜の結合)
モルモット脳ホモジネートに結合するκアヘン剤受容体に関する実施例30において記載されている試験手順からは外れて、ヒトκおよびμアヘン剤受容体膜への結合の決定のためにはいずれの場合も受容体のスクリーニングを、5つの異なる濃度(濃度c=10−5、10−6、10−7、10−8、10−9mol/lいずれの場合も二重値)を用いて互いに独立な2つの試験で行った。
【0302】
それぞれのIC50値の評価および決定は同様に評価ソフトウエアActivityBase バージョン5.3.4.26に組み込まれているXLFitソフトウエア バージョン4による非線形回帰計算によって行ない、K値はそれぞれのIC50値から実施例30において言及したチェン−プルソフ式を用いて計算した。使用した受容体膜調製物に関して、チェン−プルソフ式によるK値の計算のための解離定数のそれぞれの値は、前もって同じ受容体結合条件下におけるリガンド受容体飽和実験によって決定した。
【0303】
κ受容体に対する親和性の決定
HEK−293細胞からのヒトκアヘン剤受容体の受容体膜(PerkinElmer Life Sciences(注文番号6110558 #370−960−A)を使用の短時間(2分)前に温水(約37℃)中で解凍し、0.02%のウシ血清アルブミン(Serva)で補完されたアッセイバッファー(トリス−HCl 50mmol/l、pH7.4)を用いて1:34の比で希釈し、Potter中ホモジナイズした。アッセイバッファー(トリス−HCl 50mmol/l、pH7.4)を小麦胚芽アグルチニンSPA(「シンチレーション近接アッセイ」)ビーズ(Amersham(注文番号RPNQ0001))(70ml/500mgビーズ)に加え、マグネチックスターラー上で1時間ビーズを懸濁させた。いずれの場合も2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物または化合物2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンの溶液5μl、[これらのいずれもがそれぞれの試験濃度よりも50倍高い濃度(水性の濃度25%ジメチルスルホキシド(DMSO)中に)において反応混合物中に溶解されて存在していた。]放射性リガンド[H]−CI−977(TRK945、Amersham、比放射能約48Ci/mmol)(12.5nmol/lアッセイバッファー)20μlおよび希釈された受容体膜88μlおよびビーズ懸濁液137μlから成る予備インキュベートされた混合物225μlを、蛍光プレート(SPAプレート、Costar)のウエル中にピペットで入れた。非特異性結合の決定のために、2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物または化合物2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンの溶液の代わりにナロキソンHCl(500μmol/lの濃度25%DMSO水溶液)5μl、および全結合の決定のために25%DMSO水溶液5μlを加えた。ジアステレオマー混合物のまたは化合物2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンの様々な濃度を有するすべての反応混合物ならびに非特異性の結合のおよび最大結合の決定のための混合物は、かくして最終混合物中に0.5%濃度のDMSO溶媒含有量を含有していた。これらの混合物はミニシェーカーを用いて完全に混合し、室温において90分間インキュベートした。次いで、これらのサンプルを500−1(60g)において20分間遠心分離し(Omnifuge 2.0 RS、Heraeus)、SPAビーズに結合された放射能をシンチレーションカウンターを用いて測定した(1450 Microbeta Trilux、Wallac/PerkinElmer Life Sciences)。
【0304】
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物ならびに化合物2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンはいずれの場合もκ受容体に対する19nMおよび28nMの高い親和性を有することが見出された。
【0305】
μ受容体に対する親和性の決定
CHO−K1細胞(RBHOMN)(PerkinElmer Life Sciences)からのヒトμオピオイド受容体の受容体膜を使用の短時間(2分)前に温水(37℃)中で解凍し、0.06%のウシ血清アルブミン(Serva)で補完されたアッセイバッファー(50mmol/lのトリス−HCl、pH7.4)を用いて希釈し、Potter中でホモジナイズした。アッセイバッファー(50mmol/lのトリス−HCl、pH7.4)を小麦胚芽アグルチニンSPA(「シンチレーション近接アッセイ」)ビーズ(Amersham(注文番号RPNQ0001))(100ml/500mgビーズ)に加え、マグネチックスターラー上で1時間ビーズを懸濁させた。いずれの場合も2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物または化合物2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンの溶液5μl、[これらのいずれもがそれぞれの試験濃度よりも50倍高い濃度(水性の濃度25%ジメチルスルホキシド(DMSO)中に)において反応混合物中に溶解されて存在していた。]放射性リガンド[H]−ナロキソン(N−allyl−2,3)(NET719、NEN、比放射能約60Ci/mmol)(10nmol/lアッセイバッファー)25μlおよび予備インキュベートされた受容体膜20μlおよびビーズ懸濁液200μlの予備インキュベートされた混合物220μlを、蛍光プレート(SPAプレート、Costar)のウエル中にピペットで入れた。非特異性結合の決定のためには、2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物または化合物2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンの溶液の代わりに、ナロキソンHCl(500μmol/lの濃度25%DMSO水溶液)5μl、および全結合の決定のためには25%DMSO水溶液5μlを加えた。ジアステレオマー混合物のまたは化合物2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンの様々な濃度を有するすべての反応混合物ならびに非特異性の結合のおよび最大結合の決定のための混合物は、かくして最終混合物中に0.5%濃度のDMSO溶媒含有量を含有していた。これらの混合物はミニシェーカーを用いて完全に混合し、室温において90分間インキュベートした。次いで、これらのサンプルを500−1(60g)において20分間遠心分離し(Omnifuge 2.0 RS、Heraeus)、SPAビーズに結合された放射能をシンチレーションカウンターを用いて測定した(1450 Microbeta Trilux、Wallac/PerkinElmer Life Sciences)。
【0306】
2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物ならびに化合物2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンはいずれの場合もμ受容体に対する4,900nMおよび2,800nMの親和性を有することが見出された。
【0307】
したがって、比較すると、κ受容体に対する結合親和性の選択性をμ受容体と比較すると2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物については258:1であり、化合物2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンについては99:1である。これは2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3SR)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンおよび2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{(4aRS,8SR,8aSR)−8−[(3RS)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]パーヒドロキノキサリン−1−イル}エタン−1−オンのジアステレオマー混合物と化合物2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−[(4aRS,8SR,8aRS)−8−(ピロリジン−1−イル)−パーヒドロキノキサリン−1−イル]−エタン−1−オンは、μ受容体への結合と比較したκ受容体への結合の選択性に際立った相違があることを示している。
【実施例33】
【0308】
κ受容体への結合の選択性の決定
表3および4に挙げられている化合物に関するκ受容体への結合の選択性の決定は、実施例32において記載されている3つの化合物を使用して行った。化合物のμ受容体への結合と比較したκ受容体への結合の選択性について次の表3および4に示されている値を得た。
【0309】
【表3】

【0310】
【表4】


【0311】
これらの化合物はそれぞれの場合においてμ受容体への結合と比較してκ受容体への結合の高い選択性を有することが見出された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下に示されている一般式(I)
【化1】

[式中、
は、H;C−C10アルキル;C−C10シクロアルキル;COO(C−C10アルキル);C−Cアルコキシカルボニル;C−Cオキソカルボニル;C−Cアルキルを有するフェニルアルキル、ここでフェニル基はハロゲン、C−C−アルキルオキシ、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、OH、SO(C−C−アルキル)、SO(C−C−アルキル)、CF、CN、NO、SON(C−C−アルキル)、SONH、SONH(C−C−アルキル)、SONH(アリール)、SONH(フェニル)および/またはSONH(ヘテロアリール)を含む群から選択される1つまたは複数の同一でありまたは異なる基によって置換されていてもよく;
−C10アシル;C−C10シクロアシル;フェニルアシル、ここでアシル基はC−Cアシル基であり、フェニル基はハロゲン、C−C−アルキルオキシ、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、OH、SO(C−C−アルキル)、SO(C−C−アルキル)、CF、CN、NO、SON(C−C−アルキル)、SONH、SONH(C−C−アルキル)、SONH(アリール)、SONH(フェニル)および/またはSONH(ヘテロアリール)を含む群から選択される1つまたは複数の同一でありまたは異なる基によって置換されていてもよく;
N、Oおよび/またはSを含む群から選択される1つ、2つ、3つもしくは4つのヘテロ原子を含有する単環、二環もしくは三環式ヘテロアリール;
N、Oおよび/またはSを含む群から選択される1つ、2つ、3つもしくは4つのヘテロ原子を含有する単環、二環もしくは三環式ヘテロアリールアルキル、ここでアルキル基はC−Cアルキル基であり;
N、Oおよび/またはSを含む群から選択される1つ、2つ、3つもしくは4つのヘテロ原子を含有する単環、二環もしくは三環式ヘテロアリールアシル、ここでアシル基はC−Cアシル基であり;C(O)(C−C10アルキル);C(O)N(C−C10アルキル);C(O)(C−C10シクロアルキル);COO(C−C10アルキル);COO(アリール);COO(C−C10シクロアルキル);
C(O)COO(C−C10アルキル);C(O)−(CH−COOH、ここでqは0、1、2、3もしくは4であり;C(O)−(CH−COO(C−C10アルキル)、ここでrは0、1、2、3もしくは4であり;C(O)−CH(NH)−(CH−COOH、ここでsは0、1、2、3もしくは4であり;C(O)−CH(NH)−(CH−COO(C−C10アルキル)、ここでtは0、1、2、3もしくは4であり;C(O)−(CH−CH(NH)−COOH、ここでuは0、1、2、3もしくは4でありおよび/またはC(O)−(CH)v−CH(NH)−COO(C−C10アルキル)、ここでvは0、1、2、3もしくは4である;を含む群から選択され;
、Rは、それぞれの場合において同一でありまたは互いに独立であり、H;C−C10アルキル;C−C10シクロアルキル;C−Cアルキルを有するフェニルアルキル、ここでフェニル基はハロゲン、C−C−アルキル、C−Cアルキルオキシ、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、OH、COOH、COO(C−C10アルキル)、CONH、CONH(C−C10アルキル)、CON(C−C10アルキル)、SO(C−C−アルキル)、SOHN(C−C−アルキル)、CF、CNおよび/またはNOを含む群から選択される1つまたは複数の同一でありまたは異なる基によって置換されていてもよい;を含む群から選択され、
または
およびRは、これらが結合されている窒素と一緒になって、飽和の3員から8員のN−複素環を形成し、ここでこれはOH,C−Cアルキルオキシ、カルボニル酸素、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、COOH、COO(C−C10アルキル)、CONH、CONH(C−C10アルキル)、CON(C−C10アルキル)、OPO、OSOH、SO(C−C−アルキル)、SOHN(C−C−アルキル)、CN、O−アリールアセチル、O−フェニルアセチル、アリールアセトキシおよび/またはアセチルベンジル(これらは2つのCl基によって置換されていてもよい)を含む群から選択される1つまたは複数の同一でありまたは異なる基によって置換されていてもよく;
Aは、(CH、ここでnは0、1、2、3、4、5または6であり;少なくとも1つのC−Cアルキル基によって置換されていてもよいC−Cアルキレン;O;S;NHおよび/またはアリールを含む群から選択され;
Zは、H;NH;COOH;COO(C−C−アルキル);CH(NH)COOH;C−Cアシル;C−Cアルコキシカルボニル;C−Cオキソカルボニル;
フェニル、これはハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルキルオキシ、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、OH、SO(C−C−アルキル)、SO(C−C−アルキル)、CF、CN、NO、SON(C−C−アルキル)、SONH、SONH(C−C−アルキル)、SONH(アリール)、SONH(フェニル)および/またはSONH(ヘテロアリール)を含む群から選択される1つまたは複数の同一でありまたは異なる基によって置換されていてもよく;
N、Oおよび/またはSを含む群から選択される1つ、2つ、3つもしくは4つのヘテロ原子を含有する単環、二環もしくは三環式アリールまたはヘテロアリール、ここでアリールまたはヘテロアリール基はハロゲン、C−Cアルキルオキシ、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、OH、SO(C−C−アルキル)、SO(C−C−アルキル)、CF、CN、NO、SON(C−C−アルキル)、SONH、SONH(C−C−アルキル)、SONH(アリール)、SONH(フェニル)および/またはSONH(ヘテロアリール)を含む群から選択される1つまたは複数の同一でありまたは異なる基によって置換されていてもよい。]
による化合物および/またはこれのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、水和物またはこれらの薬学的に許容される塩および/またはエステル。
【請求項2】
化合物が、次の一般式(2)
【化2】

[式中、
は、H;C−C10アルキル;C−C10シクロアルキル;COO(C−C10アルキル);C−Cアルコキシカルボニル;C−Cオキソカルボニル;
−Cアルキルを有するフェニルアルキル、ここでフェニル基はハロゲン、C−C−アルキルオキシ、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、OH、SO(C−C−アルキル)、SO(C−C−アルキル)、CF、CN、NO、SON(C−C−アルキル)、SONH、SONH(C−C−アルキル)、SONH(アリール)、SONH(フェニル)および/またはSONH(ヘテロアリール)を含む群から選択される1つまたは複数の同一でありまたは異なる基によって置換されていてもよく;
−C10アシル;C−C10シクロアシル;フェニルアシル、ここでアシル基はC−Cアシル基であり、フェニル基はハロゲン、C−C−アルキルオキシ、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、OH、SO(C−C−アルキル)、SO(C−C−アルキル)、CF、CN、NO、SON(C−C−アルキル)、SONH、SONH(C−C−アルキル)、SONH(アリール)、SONH(フェニル)および/またはSONH(ヘテロアリール)を含む群から選択される1つまたは複数の同一でありまたは異なる基によって置換されていてもよく;
N、Oおよび/またはSを含む群から選択される1つ、2つ、3つもしくは4つのヘテロ原子を含有する単環、二環もしくは三環式ヘテロアリール;
N、Oおよび/またはSを含む群から選択される1つ、2つ、3つもしくは4つのヘテロ原子を含有する単環、二環もしくは三環式ヘテロアリールアルキル、およびアルキル基はC−Cアルキル基であり;
N、Oおよび/またはSを含む群から選択される1つ、2つ、3つもしくは4つのヘテロ原子を含有する単環、二環もしくは三環式ヘテロアリールアシル、およびアシル基はC−Cアシル基であり;
C(O)(C−C10アルキル);C(O)N(C−C10アルキル);C(O)(C−C10シクロアルキル);COO(C−C10アルキル);COO(アリール);COO(C−C10シクロアルキル);
C(O)COO(C−C10アルキル)、C(O)−(CH−COOH、ここでqは0、1、2、3もしくは4であり、C(O)−(CH−COO(C−C10アルキル)、ここでrは0、1、2、3もしくは4であり、C(O)−CH(NH)−(CH−COOH、ここでsは0、1、2、3もしくは4であり、C(O)−CH(NH)−(CH−COO(C−C10アルキル)、ここでtは0、1、2、3もしくは4であり、C(O)−(CH−CH(NH)−COOH、ここでuは0、1、2、3もしくは4であり、および/またはC(O)−(CH−CH(NH)−COO(C−C10アルキル)、ここでvは0、1、2、3もしくは4である;を含む群から選択され;
、Xは、それぞれの場合において同一でありまたは互いに独立であり、H、OH、カルボニル酸素、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、COOH、COO(C−C10−アルキル)、CONH、CONH(C−C10アルキル)、CON(C−C10アルキル)、OPO、OSOH、SO(C−C−アルキル)、SOHN(C−C−アルキル)、C−Cアルキルオキシ、O−アリールアセチル、O−フェニルアセチル、アリールアセトキシおよび/またはアセチルベンジル(これらは2つのCl基によって置換されていてもよい)を含む群から選択され;
、Yは、それぞれの場合において同一でありまたは互いに独立であり、H、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルキルオキシ、NH、NH(C−C−アルキル)、NH(アリール)、NH(フェニル)、NH(ヘテロアリール)、N(C−C−アルキル)、OH、SO(C−C−アルキル)、SO(C−C−アルキル)、CF、CN、NO、SON(C−C−アルキル)、SONH、SONH(C−C−アルキル)を含む群から選択される。]
を有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
化合物が、次の一般式(3)
【化3】

[式中、
は、H;C−C−アルキル;
−Cアルキルを有するフェニルアルキル、ここでフェニル基はCl、OHおよび/またはC−Cアルキルオキシを含む群から選択される1つまたは複数の同一でありまたは異なる基によって置換されていてもよく;
N−ヘテロアリールアルキル、ここでN−ヘテロアリール基はピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラジニルおよび/またはピロリルから選択され、アルキル基はC−Cアルキル基であり;
−Cアシル;ベンゾイル;COO(C−C−アルキル);COO(アリール);C(O)−(CH−COOH、ここでqは0、1、2、3または4でありおよび/またはC(O)−(CH−COO(C−C−アルキル)、ここでrは0、1、2、3または4であり;
は、H、OH、2つのCl基によって置換されていてもよいベンジルおよび/またはO−アリールアセチルを含む群から選択される。]
を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
化合物が、次の式(1a)および/または(1b)によるエナンチオマーを含む混合物を含むとを特徴とする、請求項1から3の一項に記載の化合物。
【化4】

【請求項5】
化合物が、次の式(4)を有することを特徴とする、請求項1から4の一項に記載の化合物。
【化5】

【請求項6】
化合物が、次の式(6)を有することを特徴とする、請求項1から5の一項に記載の化合物。
【化6】

【請求項7】
薬剤の調製のための請求項1から6の一項に記載の化合物の使用。
【請求項8】
疼痛関連疾患、炎症性疾患および/または消化器疾患を含む群から選択される疾患の治療的および/または予防的処置のための薬剤の調製のための請求項1から7の一項に記載の化合物の使用。
【請求項9】
疼痛関連疾患が、腰痛、顔面痛、頭痛、関節疼痛、筋痛症候群、炎症性疼痛関連疾患、神経障害性疼痛、末梢性疼痛、末梢神経損傷、内臓痛、腹痛、月経症候、腎臓結石痛および胆石痛、掻痒、癌疼痛および腫瘍疼痛、交感神経痛、術後疼痛、外傷後疼痛、痛覚過敏症および/または炎症性疼痛を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1から8の一項に記載の化合物の使用。
【請求項10】
炎症性疾患が、消化管の炎症性疾患、クローン病および/または潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患、胆嚢の炎症を伴う急性または慢性の炎症性変化、炎症性擬似ポリープ、深在性嚢胞性大腸炎、腸壁嚢状気腫症(pneumatosis cystoides intestinales)、膵炎、虫垂炎、リュウマチ性関節炎などの関節の炎症性疾患、および/または皮膚および眼の炎症性疾患を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1から9の一項に記載の化合物の使用。
【請求項11】
消化器疾患が、過敏性腸症候群、胃病変、胃腸潰瘍、胃腸粘膜に対する外因性および内因性の損傷、消化管の機能不良、特に腸における腺腫、および/または若年性ポリープを含む群から選択されることを特徴とする、請求項1から10の一項に記載の化合物の使用。
【請求項12】
掻痒の治療的および/または予防的処置のための薬剤の調製のための、請求項1から11の一項に記載の化合物の使用。
【請求項13】
請求項1から12の一項に記載の少なくとも1つの化合物および/またはこのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、水和物またはこれらの薬学的に許容される塩および/またはエステルを含む薬剤。
【請求項14】
請求項1から13の一項に記載の少なくとも1つの化合物および/またはこのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、水和物またはこれらの薬学的に許容される塩またはエステルならびに好ましくはナロキソン、ナルトレキソン、シプロダイム、ナルトリンドール、ノルビナルトルフィミン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナルブフィン、ナロキソナジン、メチルナルトレキソンおよび/またはケチルシクラゾシンを含む群から選択される少なくとも1つのオピオイド受容体拮抗薬を含む薬剤の使用。
【請求項15】
以下のステップ
a)ニトロシクロヘキサン−1,3−ジオールをもたらすためのニトロメタンおよびグルタルアルデヒドの環化;
b)ステップa)において得られたニトロジオールの、第一級アミンまたは第二級アミンを用いるアミノ化;
c)第一級アミンをもたらすためのニトロジアミンのニトロ基の還元;
d)ステップc)において得られたシクロヘキサントリアミンのシュウ酸ジアルキルとの反応;
e)ステップd)において得られた化合物のアミン基の分離;
f)ステップe)において得られた化合物の、RおよびR基の導入を用いるアルキル化;
g)パーヒドロキノキサリンをもたらすための、ステップf)において得られた化合物のパーヒドロキノキサリンジオン環の還元;
h)ステップg)において得られた第二級アミンの、C(O)−A−Z基の導入を用いるアシル化;
i)好ましくはアルキル化、アシル化または水素化分解によるHの導入によるR基の導入;
を含むことを特徴とする、請求項1から14の一項に記載の一般式(1)による化合物の調製のための方法。

【公表番号】特表2011−506574(P2011−506574A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538752(P2010−538752)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【国際出願番号】PCT/EP2008/068000
【国際公開番号】WO2009/080745
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ウィンドウズ
【出願人】(510171416)ドクトア・アウグスト・ボルフ・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・カー・ゲー−アルツナイミツテル (1)
【Fターム(参考)】