開口形成可能な医療装置
本発明は、移植可能医療装置の壁、又は他の隔壁、に恒久的な開口を形成することを可能にする装置に関する。本発明は、変形可能なフレーム構造によって画定される開口を完全に覆う破壊可能バリア材を設けることによって移植可能医療装置の連続性と流体保持特性を維持する。本発明は、バリア材を壊して移動させる従来の介入的外科器具によってアクセスされる。バリア材の破壊の後、開口は外科器具で広げられて、移植可能医療装置の壁に恒久的なフレーム付き開口が形成される。恒久的なフレーム付き開口は移植可能医療装置の壁を横切る流体連絡を可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移植可能医療装置に関する。詳しくは、本発明は、医療装置の壁部を横切って流体の連絡を可能にし維持するために、移植可能医療装置の壁部、又は他の隔壁にフレーム付き開口を形成する手段に関する。本発明はまた、本発明による医療装置を作る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
腹部大動脈瘤(AAAs)及び胸部大動脈瘤(TAAs)は、毎年、それぞれ約250,000人及び20,000人の患者に診断されている。治療しないで放置すると、これらの動脈瘤は、普通、破裂まで進行して死に至る。介入的なカテーテルに基づく治療法が出現する前は、従来の外科的治療がこれらの病気の治療法であった。これらの病気の患者は突発的に発病することが多く、かなりの失血の可能性があるために、このタイプの手術には高い罹病率と死亡率が結びついていた。
【0003】
カテーテルに基づく介入的な治療法が導入されると、新しい非外科的な治療が多くの患者に提供された。Schatz et. al. によって行われた初期の動物研究以来、小さな金属管(すなわち、ステント)が、冠状動脈及び周囲動脈疾患の患者に有益であることが見出された。Schatz, R.A., Palmaz, J.C., Tio, F.O., Garcia, F., Garcia, O., Reuter, S.R. “成犬におけるバルーン延伸可能な冠状動脈内ステント” Circulation 76:450-7 (1987).腹部大動脈瘤を治療する試みの中で、Parodi et. al. は人工血管移植片のバリア特性をステント技術と組み合わせ(すなわち、ステント移植片)、カテーテル送出システムによって動脈瘤嚢(sac)への血液流入を効果的に阻止した実験を報告した。Parodi, J.C., Palmaz, J.C., Barone, H.D. “腹部大動脈瘤に対する大腿経由管腔内グラフト移植”Ann. Vasc. Surg. 5:491-9 (1991)。
【0004】
この技術は進歩し続けており、装置の開発の成功により大幅に改善され、患者の予後も改善されている。そのような改善にもかかわらず、特異な解剖学的状況または病状のためにこの技術を適用できない多くの患者がいる。具体的には、AAA病の場合、ステント移植片は、普通、ある程度の量の健康な血管が、ステント移植片を入れる動脈瘤嚢の近位と遠位の両方で必要である。多くの患者で、近位の血管は十分な固定を達成できるほど長くない。これらの患者で、十分な固定を達成するためにステント移植片をより近い位置に配置すると、腎臓に血液を供給する腎動脈を部分的に又は完全に閉塞する可能性がある。腎動脈に対して近位の大動脈血管に装置を固定(すなわち、腎上方固定)できるようにするいくつかの異なる装置設計が提案されている。腎上方固定装置の広範囲の適用可能性は、これらの設計の柔軟性、患者による動脈瘤首部の幾何形状の形態的な変化、そして金属ステントが腎臓の口(renal ostia)を覆って腎臓の血液循環の血栓性塞栓症の栓として作用するかつ/又はこの脈管構造へのその後の介入的アクセスを妨げる可能性、によって制限されている。
【0005】
TAA疾患に関しても同様の状況がある。この動脈瘤病変はしばしば鎖骨下動脈と頚動脈分枝のすぐ近くに位置している。人工骨頭固定に不適切な近位血管組織が利用できる場合、介入的な手順に先立って外科的な置換(transposition)を行って適切な近位固定ゾーンを形成することができる。この外科的アプローチはすべての血管への継続的な流れを確保することを意図している。したがって、ステント移植片の壁を通る側分枝灌流を達成する別の手段が望まれる。
【0006】
人工器管の壁を介して流体により連絡することが有利益がある他の臨床状況は心臓外科に関する状況である。心臓から出てゆく動脈血は体に酸素を運ぶ役目をする。対照的に、静脈血は、酸素を体に放出し、二酸化炭素やその他の廃物を吸収した後に上及び下大静脈によって心臓に戻される。毎年約40,000人の子供たちが先天性心臓欠陥をもって生まれてくる。これらの異常は、多くの場合、機能的単心室及び心臓の右(静脈)側と左(動脈)側を隔てる組織(すなわち、隔膜)の欠陥を含む。これらの患者では動脈血と静脈血が混ざりあうために酸素を運ぶ能力が低下し、しばしば平均寿命が短くなる。
【0007】
最も複雑な先天的心臓異常に対して行われる心臓外科的介入は、しばしば患者を最終的に治療するために何回もの外科手術を必要とする。Fontan手順は、このような重い構造的心臓異常を解決し、かつ全身及び肺の血液循環系を隔離してするように設計された段階的外科治療の一例である。Fontan, F., Mounicot, F.B., Baudet, E., Simonneau, J., Gordo, J., Gouffrant, J.M.“三尖弁の“矯正”。新しい外科手法によって“矯正”された二例” Ann-Chir-Thorac-Cardiovasc 10:39-47 (1971). Annecchino, F.P., Fonta, F., Chauve, A., Quaegebeur, J. “三尖弁における右心室流出管路の無痛再建”Ann-Thorac-Surg. 29:317-21 (1980). Ottenkamp, J., Rohmer, J., Quaegebeur, J.M. Brom, A.G., Fontan, F. “三尖弁の生理学的矯正についての9年間の経験:長期的な結果及び現在の外科的アプローチ” Thorax 37 718-26 (1982).外科的手順を段階化して、残っている機能的単心室に加わる圧力及び体積負荷を最小にしなければならない。第一段階の手順では、上大静脈(SVC)と肺動脈(PA)の間に結合が形成される。これはHemi-Fontan又はGlenn Shunt手順と呼ばれる。Mathur, M., Glenn, W.W. “三尖弁の外科的管理への合理的アプローチ” Circulation 37:1162-7 (1968)。この短絡によって、静脈血と動脈血の混合の度合が減少し、血液への酸素添加が改善される。
【0008】
肺の血液循環、及び機能的心室が十分に展開されたら、その次の手順が行われ、右心室へ行く血液が下大静脈(IVC)から直接PAへ行くように、IVCからPAに結合するバッフル又は管によるバイパスが設けられる。この手順のとき、普通、右心室へのある程度の血液の流れを可能にするように結合管の側面に小さな孔が作られる。この小さな孔は、肺血管の抵抗が高まったときに残っている心室の仕事を減らす一時的な結合と考えられる。Bridges, N.D., Mayer, J.E., Lock, J.E., Jones, R.A., Hanley, F.L., Keane, J.F., Perry, S.B., Castaneda, A.R. “バッフルの開口形成が変型Fontan手術に及ぼす影響” Circulation 86:1762-9 (1992)。
【0009】
最後の外科手順は、IVCからPAへの結合管における一時的な孔の外科的閉止又はカテーテルによる閉塞である。複雑な先天的心臓病の患者に対するこの多段階的な従来の外科的アプローチは、その後の外科的介入の各々が患者に病気と死亡の新たなリスクを負わせるので最適ではない。最初の外科的介入で、追加の開胸手術の必要がない将来の最小限に侵襲的な手順のための段階が設定できれば、このリスクは小さくなる。
【0010】
装置を取り巻く解剖学的構造又は装置の内部構造へのアクセスを提供する試みとしていろいろな装置及び設計変更が提案されてきた。
【0011】
Wisselinkに付与された米国特許第6,428,565号とCastanedaに付与された米国特許第6,395,018号は、それぞれ、側分枝へのアクセスを可能にする予め形成された開口を有するステント移植片システムに関する。これらの装置は、どちらも最初の移植の時点で閉鎖した開口を有するものではない。
【0012】
Layne et. al.に付与された米国特許第6,398,803号は、装置の長手に沿っていろいろなパタンの開放開口を有する部分的に覆われたステントに関する。WisselinkとCastanedaの装置と同様に、装置を配備する前に開口は完全に形成されている。
【0013】
Kim et. al.に付与された米国特許第6,432,127号は切断ツールの使用による血管の導管の壁における開口の形成を開示している。導管開口形成部位を包含する変形可能なフレーム構造を提供しない。その結果、従来の画像技術を用いて開口を形成すべき正確な場所を標的として描くことが困難である。さらに、開口は、形成された後に周辺領域に沿って強化されない。開口形成部位を画定するフレーム構造が存在しないので、形成時開口のサイズを正確に決めることができない。
【0014】
移植可能医療装置の壁部の連続性と流体保持性を初期には維持しながらその医療装置に恒久的な開口を形成するための手段を提供する装置に対するニーズが依然として存在する。このような装置は、手術時にその場で移植部位にカスタムサイズの開口形成を可能にするであろう。
【0015】
【特許文献1】Wisselinkに付与された米国特許第6,428,565号
【特許文献2】Castanedaに付与された米国特許第6,395,018号
【特許文献3】Layne et. al.に付与された米国特許第6,398,803号
【特許文献4】Kim et. al.に付与された米国特許第6,432,127号
【非特許文献1】Schatz, R.A., Palmaz, J.C., Tio, F.O., Garcia, F., Garcia, O., Reuter, S.R. “成犬におけるバルーン延伸可能な冠状動脈内ステント” Circulation 76:450-7 (1987).
【非特許文献2】Parodi, J.C., Palmaz, J.C., Barone, H.D. “腹部大動脈瘤に対する大腿経由管腔内グラフト移植”Ann. Vasc. Surg. 5:491-9 (1991)
【非特許文献3】Fontan, F., Mounicot, F.B., Baudet, E., Simonneau, J., Gordo, J., Gouffrant, J.M.“三尖弁の“矯正”。新しい外科手法によって“矯正”された二例” Ann-Chir-Thorac-Cardiovasc 10:39-47 (1971). Annecchino, F.P., Fonta, F., Chauve, A., Quaegebeur, J. “三尖弁における右心室流出管路の無痛再建”Ann-Thorac-Surg. 29:317-21 (1980). Ottenkamp, J., Rohmer, J., Quaegebeur, J.M. Brom, A.G., Fontan, F. “三尖弁の生理学的矯正についての9年間の経験:長期的な結果及び現在の外科的アプローチ” Thorax 37 718-26 (1982).
【非特許文献4】Mathur, M., Glenn, W.W. “三尖弁の外科的管理への合理的アプローチ” Circulation 37:1162-7 (1968)
【非特許文献5】Bridges, N.D., Mayer, J.E., Lock, J.E., Jones, R.A., Hanley, F.L., Keane, J.F., Perry, S.B., Castaneda, A.R. “バッフルの開口形成が変型Fontan手術に及ぼす影響” Circulation 86:1762-9 (1992).
【発明の開示】
【0016】
[発明の概要]
本発明は、経壁の開口形成が可能な装置を提供することを課題とする。特に、本発明は、移植可能医療装置の壁、又は同様な隔壁に、移植後にその医療装置の壁を横切る流体の連絡を可能にし維持する手段として恒久的なフレーム付きの開口を形成することを可能にする。本発明は、初期にその医療装置の壁の連続性と流体保持特性を維持する破壊可能バリア材を提供する。このバリア材は、フレーム構造(framework)によって画定される開口を完全に覆っている。使用時に、このバリア材は外科器具によって破壊され、フレーム構造の形状が開口領域を拡大または変更するように変化する。このプロセスで開口は覆われなくなり、開口を通る流体の流れへの人によるアクセス、即ち接近が可能になる。変化したフレーム構造は、拡大した開口の周囲領域(例えば、周辺)に対して構造的補強を提供し、医療装置の壁における恒久的な開口を形成する。変化したフレーム構造はまた、付属医療装置のための確実な固定場所を提供するものとして利用できる。このような恒久的な開口は、手術又はカテーテルによる介入のとき又は後の時点で、介入又は外科的な方法を用いて、移植可能医療装置の壁に形成できる。
【0017】
本発明は、人工血管、及び流体の収容又は流体の隔離を提供する他の移植可能医療装置への使用に特に適し、かかる装置における移植部位での1つまたはそれ以上の恒久的開口の形成に有益である、例えば、動脈瘤に架けられるステント移植片に関し、本発明は、側分枝又は排出部位のためにステント移植片の壁にフレーム付きの開口を設けることができる。血管移植片は本発明によってその場でバイパスまたは分岐することができる。本発明は、また、心臓及び血管系への灌流やその他のアクセスを設けるために外科移植された心臓血管パッチに使用できる。
【0018】
本発明は、移植可能医療装置に、その製造後に付け加えることもできるし、装置の製造時に一体的構成要素として含めることもできる。本発明の破壊可能バリア材は、外科器具によって容易に破壊され、孔をあけられ、又はその他の仕方で構造的に壊される移植可能なポリマー材から作られる。破壊可能バリア材は、また、移植の受け手の体による劣化と吸収によって構造的に壊されるポリマー材から作ることができる。破壊可能バリア材のポリマーは、バリア材を壊すのを助ける又は移植の受け手における開口領域を見やすくする充填材を組み込むことができる。
【0019】
フレーム構造は形状を変えることができる移植可能金属又はポリマー材から作られる。このフレーム構造材は、外科器具によって変形又は変化することができるか、又は器具を使用しなくてもフレーム構造を異なる形状に変化させる形状記憶特性を有するものであってよい。フレーム構造材はいろいろな方法で成形されて、破壊可能バリア材と開口を構造的に補強する役割と共に、形状を再構成することができ、かつ恒久的なフレーム付きの開口提供に役立つ。
【0020】
一外科的方法では、本発明を利用する移植可能医療装置は、通常の又は介入的な外科手法によって外科部位に配置される。医療装置の位置が正しいことが確認されたら、カテーテル・ガイドワイヤ、又はその他の外科器具、を用いて破壊可能バリア材を破壊して、覆われた開口の覆いを除去し始める。次に、膨張可能バルーン・カテーテルを収縮状態で部分的に覆いが除去された開口に挿入し、膨張させる。バルーン・カテーテルが膨張するにつれて、その直径が拡大し、フレーム構造の形を変え、残っているバリア材を開口領域から除去する。フレーム構造の形状が所望するように再構成されたら、バルーン・カテーテルを収縮させて開口から取り出す。これによって医療装置の壁に恒久的なフレーム付きの開口が残される。恒久的な開口は、迅速な治療及び外科的処置例えば分枝血管の灌流、を可能にし、または他の医療装置と共働する。
【0021】
一実施形態では、本発明は、第一領域を有する開口を画定するフレーム構造、及び前記開口を完全に覆う破壊可能バリア材を含む移植可能医療装置であって、前記破壊可能バリア材の破壊後に第二領域を有する恒久的な開口が形成され、かつ前記フレーム構造は形状変化可能に適合する(adaptable)。
【0022】
別の実施形態では、本発明は、連続的な壁、前記壁に第一領域を有する開口を画定する少なくとも1つのフレーム構造、及び前記開口を完全に覆う破壊可能バリア材を含む移植可能医療装置であって、前記破壊可能バリア材の破壊後に第二領域を有する恒久的な開口が形成され、前記フレーム構造は形状変化可能に適合しかつ前記連続的な壁に強化された周辺領域を有する。
【0023】
本発明のその他の特徴及び利点は、好ましい実施形態についての以下の詳細な記述を読み、添付図面を参照して理解することによって当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
上述の概要、並びに本発明の実施形態についての以下の詳細な説明は、添付図面を参照することにより良く理解されるであろう。本発明を例示するために、図面には現在好ましいとされる実施形態が示されている。しかし、本発明は、図示された配置や装置の細部によって限定されないことは言うまでもない。
【0025】
添付ダイアグラムはいろいろな解剖学的構造と関連する臨床病理を含み、それらは次のように同定される。
AA=腹大動脈
RA=腎動脈
IA=回腸動脈
AAA=腹部大動脈瘤
【0026】
本発明は、種々の流体含有移植可能医療装置と組み合わせて使用でき、その医療装置の壁又は他の隔壁を横切る流体連絡を確立することができる。多くの状況で、本発明は医療装置が移植されるときに使用される。別の場合には、本発明は医療装置がある期間移植された後に接近して利用される。本発明は、また、移植処置を開始する前に利用することができる。
【0027】
図1Aは、移植可能なパッチ材12に組み込まれた本発明の実施形態10の上面図である。図1Bは、構成要素の関係を一般的に示すこの実施形態の側面図である。この実施形態では、フレーム構造14は、破壊可能なポリマー材層18で囲まれている。フレーム構造14は破壊可能バリア材17で完全に覆われた開口16を画定している。本発明のフレーム構造14、開口16、及び破壊可能バリア材17を表すために、ポリマー層18は、移植可能なパッチ材の2つの層12,13の間にサンドイッチされている。本発明の同様の実施形態では、移植可能なパッチ材またはその他の壁構成要素は本発明の一部と考えられている。平面的形態の移植可能医療装置のほかに、管状形態の移植可能医療装置も本発明との使用に適している。管状医療装置は一般に円筒形であり、平行な壁を有するものに限定されない。さらに、管状医療装置は、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口を有する幾何形状を有する。
【0028】
フレーム構造14の形状は、破壊可能バリア材17に対して構造的支持を提供しかつ開口18を完全に覆うために選択される。フレーム構造の形状及び構成は、また、フレーム構造が容易に変形し、開口の周辺領域に移動して恒久的なフレーム付き開口を形成することを可能にする。図1A他に示されているフレーム構造の特定の形は、好ましいものであるが、それに限定されない。例えば、図8Bと8Cは異なる数のピーク76と谷78を有する円形形態70を有するフレーム構造を示している。また、本発明ではピーク76と谷78の間の距離(すなわち、振幅)は大きく異なってよいと考えられ、それによって広範な幾何形状のフレーム構造の形成を可能にする。これらのフレーム構造設計によって破壊可能バリア材に対する支持を強化するほかに、広範な開口サイズがこれらの設計によって達成できる。フレーム構造設計に支持する脚支柱74を組み込んで周囲壁材への取付を向上させることもできる。フレーム構造14の他の非円形形態79が同様に意図されている。さらに、図9と10は、フレーム構造がアレイの形態の開口を取りうることを示している。これらの実施形態は、フレーム付き開口の場所およびフレーム付き開口の数の選択を可能にする。
【0029】
図2A-2Eは、使用時の図1Aと1Bの構造を示す。図2Aは移植部位で見られる構造の斜視図である。図2Bはカテーテル又はその他の装置からのガイドワイヤ20を示し、破壊可能バリア材17を貫通して破壊している。図2Cはガイドワイヤ20によって破壊されたバリア材から開口16へ導入された収縮した状態の膨張自在バルーン・カテーテル22を示す。図2Dは膨張自在のバルーン・カテーテル22の膨張およびフレーム構造14の変形を示す。フレームワーク14が変形するにつれて開口16が拡大し、面積を拡張する。図2Eは、バルーン・カテーテルが収縮および除去後に、移植可能パッチ材12において変形したフレーム構造14により枠どりされた恒久的な開口24を示す。
【0030】
図3Aは、管状血管移植片30の構成要素としての本発明16を示す。この実施形態では、開口16を画定するフレーム構造14は破壊可能バリア材17によって完全に覆われて血管移植片30の壁部32に組み込まれている。本発明を操作するときに、壁部32を横切る管腔スペース34への流体連絡が確立される。
【0031】
図3Bは、移植可能パッチ材11構成要素を有する本発明実施形態19を示す。この移植可能パッチ材は移植可能人工血管30に縫合により取付けられる。移植可能医療装置の壁に本発明を取付ける他の適当手段として、接着、超音波又は無線周波溶接、積層、ステープル止め、及び膜で医療装置を覆う又はフィルムに本発明を含める等などがあげられるが、それに限定されない。
【0032】
図4は、移植可能な血管内装置40に組み込まれた本発明の実施形態44を示す。この実施形態では、血管内装置40は動脈瘤を治療するために普通に用いられる二分岐設計であり、かつ本体又は幹部50と2つの脚部52,54を含む。血管内装置はステントフレーム42と壁手段48を有する。本発明のいくつかの完全に覆われたフレーム構造要素がステント移植片40の壁手段48に組み込まれている。図4に見られるように、本発明とステント移植片の支持要素(すなわち、足場)との間には長手方向の変位がある。本発明のこの実施形態は、ステント移植片および他の血管内装置に、移植部位の選択的灌流及び/又は排出の手段として側分枝を形成するための多数の部位を提供する。
【0033】
ステント移植片、及び支持要素(すなわち、足場)を用いるその他の移植可能医療装置、と組み合わせて使用される本発明の実施形態では、本発明のフレーム構造構成要素は支持要素とは別にその装置に組み込まれることが好ましい。図4Aに示されているように、本発明のフレーム構造は移植可能医療装置の支持要素から分離して下にある。本発明の場所は、移植可能医療装置の支持要素又は壁構成要素に接触又はすぐ近くに限定されない。実際、本発明は、移植可能医療装置のいずれの所望場所にも位置決めできる。
【0034】
図4に示された実施形態の臨床的用途が図5と6に示されている。図5には、典型的な大動脈瘤(AAA)が示されており、近位大動脈(AA)が腎動脈(RA)分枝と遠位回腸動脈(IAs)につながっている。病状又は大動脈解剖学的構造が、移植時に装置を固定に足りる十分な健康血管を提供しない場合には、しばしばRAsに近いAA部分を利用することが必要になる。この腎上方の移植位置で、ステント移植片40の適切な固定と効果的なAAA排除が図6に示されているように達成できる。しかし、この形態ではステント移植片の壁48のバリア特性が両側の分枝RAへの血流を塞ぐ。RAへの灌流を実現するために、本発明44の1つ以上のユニットが選択されて使用される。
【0035】
本発明に接近して操作するために必要な介入手順が図7A-7Dに示されている。ステント移植片40を配置した後、ガイド・カテーテル36がX線透視装置によるガイダンスの下で定位され、RAと適切に整列した複数の利用可能な本発明44の1つの中心方向へガイドワイヤ20を導く。破壊可能バリア材16をガイドワイヤ20で破壊した後、フレーム構造14をバルーン・カテーテル22を用いて所望の開口サイズまで変形させる。バルーン22をさらに膨張させて、フレーム構造14所望変形と、RAに適切なサイズの恒久的なフレーム付き開口64の形成を達成する。いったん形成されると、恒久的なフレーム付き開口64は、正常なAAの血流60に従ってRA血液灌流62を可能にする。
【0036】
本発明は種々の移植可能な材料から構成できる。破壊可能バリア材は、血液および他の生理的流体を含む液体がこのバリア材を通過することを少なくとも部分的に妨げるに十分な構成構造かつ/または厚みを有し、しかも外科器具等で容易に壊され、孔をあけられ、又はその他の仕方で構造的に破壊されるに十分な構造的弱さを有する。破壊可能バリア材は、非生物分解性ポリマー、生物分解性ポリマー、及びエラストマーから、単独で又は組み合わせて作ることができる。破壊可能バリア材のエラストマーは、バリア材が壊された後に、完全に覆われた開口から覆いを除きやすくする。バリア材の破壊を増長したり、または移植部位における本発明の位置決めを助ける充填材を破壊可能バリア材に含ませてよい。
【0037】
移植部位でバリア材を壊すのに用いられる適当な外科器具又はツールとして、ガイドワイヤ、Colapinto(登録商標)ニードル、Rotablators(登録商標)、及び無線周波エネルギー、超音波、マイクロ波エネルギー、又はレーザー光を利用する他の切除器具が挙げられるが、それに限定されない。
【0038】
適当な非生物分解性ポリマーとして、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、及びポリウレタンが含まれるが、それに限定されない。破壊可能バリア材として好ましい材料は、孔質延伸、又は伸張、ポリテトラフルオロエチレン材である。適当な生物分解性ポリマーとして、以下のモノマー成分、すなわち、グリコリド(グリコール酸)、ラクチド(d−ラクチド、l−ラクチド、d,l−ラクチド)、トリメチレンカルボネート、p−ジオキサノン、カプロラクトン、及びヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート;の1つ以上を有するポリマー又はコポリマーから作られる材料を含むが、それに限定されない。本発明に使用するのに適当なエラストマー材は、フルオロエラストマー、ポリウレタンを含むが、それに限定されない。破壊可能バリア材に組み込むのに適当な充填材は、グラファイト、二酸化チタン(TiO)、バリウム、ビタミンE、ガドリニウム、損失材料、及び他の放射線不透組成物を含むが、それに限定されない。
【0039】
破壊可能バリア材はフレーム構造に単層または多層で貼付することができる。多層の破壊可能バリア材を用いる場合、個々の層を異なる方向に配向することが好ましい(例えば、図11を参照)。
【0040】
フレーム構造は、破壊可能バリア材がフレーム構造によって画定される開口を完全に覆っている間、破壊可能バリア材を支持することができる材料から作られる。フレーム構造の材料は、本発明が移植部位にある間、フレーム構造が容易に形成され、再形成され、又は他の形態を変えることを可能にする。フレーム構造は、展性材料、塑性変形可能物質、及び/又は自己延伸性(すなわち、超弾性)金属又はポリマー、から作ることができる。X線透視、X線画像形成、磁気共鳴画像法等によって視認できない材料を用いる場合、放射線不透物質または他の画像形成配合物をフレーム構造材料に導入することができる。
【0041】
フレーム構造の材料は、また、生理的条件下で開口の周辺領域を恒久的に強化するのに十分な弾力性を備えている必要がある。フレーム構造構成要素は、本発明の開口部の周辺領域を構造的に支持する他に、フレーム構造に取付けられる他の医療装置90に対する固定手段として役立つ。
【0042】
フレーム構造として適当な材料として、移植可能な金属、例えば金、銀、タンタル、タングステン、及びクロム、移植可能合金、例えばステンレス鋼、ニチノール・メタル、及び移植可能ポリマー。例えばポリウレタン、フッ素化エチレン・プロピレン、およびポリテトラフルオロエチレン等が含まれるが、それに限定されない。フレーム構造は、成型(molding)、鋳造、レーザー切削及び/又はレーザー加工、打ち抜き、フォトエッチング、ワイヤ成型、放電加工(EDM)、ベントワイヤ(bent-wire)法、その他の適当な製造方法によって作ることができる。
【0043】
パッチ、管、又は他の壁つき構成要素を含む本発明の実施形態では、本質的に任意の移植可能な材料をその構成要素に使用できる。適宜材料としては、移植可能な金属、移植可能な金属合金、移植可能なポリマー、例えばポリエステル(Dacron(登録商標))、ポリアミド(Nylon(登録商標))、ポリテトラフルオロエチレン、及びポリウレタン等があげられるが、それに限定されない。
【0044】
本発明は種々の方法で構成できる。本発明は、破壊可能バリア材を接着剤、熱、圧力、及び/又は超音波溶接によってフレーム構造に取付けることによって形成できる。次に、破壊可能バリア材は、同様方法により移植可能医療装置へ取付けられる。本発明はまた、成型、縫合、フィルム又は膜によるラッピング、及び/又は機械的固定によって移植可能医療装置に組み込むことができる。
【0045】
管又はシートの形の延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)で作られる移植可能医療装置は、本発明の実施形態と共に供給することができ、そのためには最初に、フレーム構造構成要素の最大直径よりも少し小さな穴をePTFEにカットする。次にフッ素化エチレン・プロピレン(FEP)のパウダー・コーティングがフレーム構造材の両側に塗布され、フレーム構造材がePTFE材の穴の上に置かれる。適当なサイズの破壊可能バリア材がフレーム構造構成要素の上に置かれる。この組み合わせに熱と圧力を加えてそれらの材料を一緒に取付ける。
【0046】
移植可能医療装置に本発明を取付ける別の方法では、室温硬化(RTV)シリコーンなどの接着剤をフレーム構造材の両側に塗布し、フレーム構造の片側を、適当なサイズの穴が形成された医療装置の壁に圧しつける。次に、適当な破壊可能バリア材を、フレーム構造構成要素の接着剤が塗布された他の側に圧しつける。過剰なバリア材料をフレーム構造から削ぎ落として取付けが完了する。
【0047】
移植可能医療装置に本発明を取付けるさらに別の方法では、医療装置の壁の適当なサイズの穴の上にフレーム構造構成要素を置き、フレーム構造構成要素の上から生体適合性フィルムの1つ以上の層をラップする。この実施形態では、ラップされたフィルム層は、また、破壊可能バリア材としても役立つ。フィルム・ラッピング材は、その構造を加熱することによってさらにしっかりと固定される。
【0048】
網目形態の壁要素を有する移植可能医療装置の場合、本発明は網目の穴を通して開口に接近できるような方法で医療装置に取付けることができる。この実施形態では、接着剤を塗布したフレーム構造材が破壊可能バリア材の上に置かれる。バリア材の周辺領域にさらに接着剤が塗布される。網目の1つ以上の穴を通して本発明の開口に接近できるように、網目装置がこの組み合わせの上に置かれる。その構造物に圧力を加えて構成要素を接着させる。好ましい移植可能医療装置は、Davol, Inc.から商品名Bard(登録商標) MaelexTM Mesh-Monofilament Knitted Polypropylene (カタログNo. 011265)の下で市販されている織製メッシュ材である。
【0049】
以上の構成方法は例示的なものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0050】
本発明の範囲を制限するものではないが、本発明の装置と製造方法は以下の実施例を参照することによってさらに良く理解されるであろう。
【実施例1】
【0051】
本発明の平面シート実施形態、約8.3 cm (3.25”) × 13.3 cm (5.25”)、が次のように構成された。厚さ約0.4 mmの延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)シート材によるの第一層がW.L. Gore & Associates, Inc.のMedical Product Division, Flagstaff, AZ,からGORE-TEX(登録商標) Cardiovascular Patchという商品名でパーツ・ナンバー1800610004で入手された〔図12、パーツA1〕。
【0052】
テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロ(メチル・ビニル・エーテル)(PMVE)の熱可塑性コポリマーで構成されるフルオロ・エラストマー・シート材によるの第二層が、約250℃の温度で脆い形のコポリマーを圧縮成形し、約0.2 mm(0.008”)のシートの形に構成された(図12、パーツA3)。得られた材料は、下の表1に記載された属性を有していた。
【0053】
シート材による第三層〔図12、パーツA4〕は、Goreに対して発行された米国特許第4,482,516号にしたがって作られたePTFEで構成される。このシート材は、厚さが約0.17 mmで、平均繊維長は約10ミクロンを超えた。
【0054】
フレーム構造を構成するために、医療グレード316ステンレス鋼のシートが、Laserage Technologies, Inc., Waukegan, Ill. から入手された。フレーム構造は、連続な、略円形のリング形態を有する波形パタンにレーザー加工された〔図12、パーツA2〕。フレーム構造の厚さは約0.4 mm(0.016”)であった。フレーム構造によって画定される開口で相互に対向して位置する個々のフレーム構造要素間の最小距離は約0.2 mmであった(0.008”)。
【0055】
これら4つの構成要素は図12に示されるように整列された。構成要素100,102,103、及び104が高温パッディング(padding)材の層とアルミニウム板(図12、パーツ105,106)との間に置かれた。アルミニウム板は、約15.2 cm(6”)平方で、厚さは0.062”であった。高温パッディング材105は、W.L. Gore & Associates, Inc.のMedical Product Division, Flagstaff, AZ,からパーツ・ナンバー1310015020で入手された厚さが約2 mm(0.079”)のGORE-TEX(登録商標) Soft Tissue Patchから作られた。この絶交体を加熱されたカーバ(Carver press)プレスに入れて、12に示されているような配置で約5分間、約200℃で、約0.5 Mpa (80 lb/in2)の圧力で積層した。このプレスでの圧縮サイクル後に、パッディング材が除かれた。
【0056】
次に、4mmの尖ったくりぬきパンチを用いて4mmの穴が強化要素の中心点で三つの層にあけられた。Bacinoに対して発行された米国特許第5,476,589号にしたがって作られた四層の高強度ePTFEフィルムが入手され、かつ相互に対して90度に配向された(図C)。ePTFE材による各層の間に一層の不連続なフッ素化エチレン・プロピレン(FEP)コーティングが入れられた。これらの組み合わされた材料がくりぬかれた穴の上に置かれ、加熱したはんだごてをくりぬかれた穴の外周のまわりに当てて固定された。過剰フィルム材料が最終アセンブリから除かれ、かつ加熱したはんだごてで縁が全体的に下へ留められた。得られた製品を図13に示す。
【0057】
【表1】
【実施例2】
【0058】
この実施例は、実施例1の製品を管状移植片の壁に組み込んだ管状血管移植片を記載する。実施例1の製品を切りそろえてePTFE血管移植片の壁にあけられた対応する穴に縫い付けた。ePTFE血管移植片は、W.L. Gore & Associates, Inc.のMedical Product Division, Flagstaff, AZ、からパーツ・ナンバーSA1604で入手されたGORE-TEX(登録商標) Vascular Graftであった。実施例1からの製品が、W.L. Gore & Associates, Inc.のMedical Product Division, Flagstaff, AZ、から商品名GORE-TEX(登録商標) Suture、パーツ・ナンバーCV-5で得られたePTFE縫合糸によって管状構成物の対応する穴に縫い付けられた。得られた製品が図3Bに示されている。
【0059】
本発明の正確で例示的な実施例が詳しく記述されたが、本発明の本質と精神、又は範囲から逸脱することなくこれらの実施例に多くの変更を加えることができることは容易に予見される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1A】本発明の上面図を示す。
【図1B−1D】本発明の側面図を示す。
【図2A−2E】本発明の動作を示す。
【図3A】管状医療装置の壁に組み込まれた本発明の実施形態を示す。
【図3B】管状医療装置の壁に取付けられた平面状物質に組み込まれた本発明の実施形態を示す。
【図4】医療装置に組み込まれた本発明の実施形態を示す。
【図4A】移植可能医療装置の足場と壁要素に対して離れた場所に設置された本発明の実施形態を示す。
【図5】腹部大動脈瘤を示す。
【図6】腹部大動脈瘤の領域に設置された本発明の実施形態を組み込んだステント移植片を示す。
【図7A−7D】血管の側分枝に灌流を供給するのに用いられ本発明を示す。
【図7E】別の医療装置の取付け手段として作用する本発明の実施形態を示す。
【図8A−8C】いろいろな非限定的な形状の本発明のフレーム構造構成要素を示す。
【図9】アレイ形態の本発明のフレーム構造構成要素を示す。
【図10】アレイ形態の形の本発明のフレーム構造構成要素を示す。
【図11】本発明の実施形態における破壊可能材を形成する方法を示す。
【図12】製造中の本発明の実施形態の分解図である。
【図13】本発明の実施形態の斜視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、移植可能医療装置に関する。詳しくは、本発明は、医療装置の壁部を横切って流体の連絡を可能にし維持するために、移植可能医療装置の壁部、又は他の隔壁にフレーム付き開口を形成する手段に関する。本発明はまた、本発明による医療装置を作る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
腹部大動脈瘤(AAAs)及び胸部大動脈瘤(TAAs)は、毎年、それぞれ約250,000人及び20,000人の患者に診断されている。治療しないで放置すると、これらの動脈瘤は、普通、破裂まで進行して死に至る。介入的なカテーテルに基づく治療法が出現する前は、従来の外科的治療がこれらの病気の治療法であった。これらの病気の患者は突発的に発病することが多く、かなりの失血の可能性があるために、このタイプの手術には高い罹病率と死亡率が結びついていた。
【0003】
カテーテルに基づく介入的な治療法が導入されると、新しい非外科的な治療が多くの患者に提供された。Schatz et. al. によって行われた初期の動物研究以来、小さな金属管(すなわち、ステント)が、冠状動脈及び周囲動脈疾患の患者に有益であることが見出された。Schatz, R.A., Palmaz, J.C., Tio, F.O., Garcia, F., Garcia, O., Reuter, S.R. “成犬におけるバルーン延伸可能な冠状動脈内ステント” Circulation 76:450-7 (1987).腹部大動脈瘤を治療する試みの中で、Parodi et. al. は人工血管移植片のバリア特性をステント技術と組み合わせ(すなわち、ステント移植片)、カテーテル送出システムによって動脈瘤嚢(sac)への血液流入を効果的に阻止した実験を報告した。Parodi, J.C., Palmaz, J.C., Barone, H.D. “腹部大動脈瘤に対する大腿経由管腔内グラフト移植”Ann. Vasc. Surg. 5:491-9 (1991)。
【0004】
この技術は進歩し続けており、装置の開発の成功により大幅に改善され、患者の予後も改善されている。そのような改善にもかかわらず、特異な解剖学的状況または病状のためにこの技術を適用できない多くの患者がいる。具体的には、AAA病の場合、ステント移植片は、普通、ある程度の量の健康な血管が、ステント移植片を入れる動脈瘤嚢の近位と遠位の両方で必要である。多くの患者で、近位の血管は十分な固定を達成できるほど長くない。これらの患者で、十分な固定を達成するためにステント移植片をより近い位置に配置すると、腎臓に血液を供給する腎動脈を部分的に又は完全に閉塞する可能性がある。腎動脈に対して近位の大動脈血管に装置を固定(すなわち、腎上方固定)できるようにするいくつかの異なる装置設計が提案されている。腎上方固定装置の広範囲の適用可能性は、これらの設計の柔軟性、患者による動脈瘤首部の幾何形状の形態的な変化、そして金属ステントが腎臓の口(renal ostia)を覆って腎臓の血液循環の血栓性塞栓症の栓として作用するかつ/又はこの脈管構造へのその後の介入的アクセスを妨げる可能性、によって制限されている。
【0005】
TAA疾患に関しても同様の状況がある。この動脈瘤病変はしばしば鎖骨下動脈と頚動脈分枝のすぐ近くに位置している。人工骨頭固定に不適切な近位血管組織が利用できる場合、介入的な手順に先立って外科的な置換(transposition)を行って適切な近位固定ゾーンを形成することができる。この外科的アプローチはすべての血管への継続的な流れを確保することを意図している。したがって、ステント移植片の壁を通る側分枝灌流を達成する別の手段が望まれる。
【0006】
人工器管の壁を介して流体により連絡することが有利益がある他の臨床状況は心臓外科に関する状況である。心臓から出てゆく動脈血は体に酸素を運ぶ役目をする。対照的に、静脈血は、酸素を体に放出し、二酸化炭素やその他の廃物を吸収した後に上及び下大静脈によって心臓に戻される。毎年約40,000人の子供たちが先天性心臓欠陥をもって生まれてくる。これらの異常は、多くの場合、機能的単心室及び心臓の右(静脈)側と左(動脈)側を隔てる組織(すなわち、隔膜)の欠陥を含む。これらの患者では動脈血と静脈血が混ざりあうために酸素を運ぶ能力が低下し、しばしば平均寿命が短くなる。
【0007】
最も複雑な先天的心臓異常に対して行われる心臓外科的介入は、しばしば患者を最終的に治療するために何回もの外科手術を必要とする。Fontan手順は、このような重い構造的心臓異常を解決し、かつ全身及び肺の血液循環系を隔離してするように設計された段階的外科治療の一例である。Fontan, F., Mounicot, F.B., Baudet, E., Simonneau, J., Gordo, J., Gouffrant, J.M.“三尖弁の“矯正”。新しい外科手法によって“矯正”された二例” Ann-Chir-Thorac-Cardiovasc 10:39-47 (1971). Annecchino, F.P., Fonta, F., Chauve, A., Quaegebeur, J. “三尖弁における右心室流出管路の無痛再建”Ann-Thorac-Surg. 29:317-21 (1980). Ottenkamp, J., Rohmer, J., Quaegebeur, J.M. Brom, A.G., Fontan, F. “三尖弁の生理学的矯正についての9年間の経験:長期的な結果及び現在の外科的アプローチ” Thorax 37 718-26 (1982).外科的手順を段階化して、残っている機能的単心室に加わる圧力及び体積負荷を最小にしなければならない。第一段階の手順では、上大静脈(SVC)と肺動脈(PA)の間に結合が形成される。これはHemi-Fontan又はGlenn Shunt手順と呼ばれる。Mathur, M., Glenn, W.W. “三尖弁の外科的管理への合理的アプローチ” Circulation 37:1162-7 (1968)。この短絡によって、静脈血と動脈血の混合の度合が減少し、血液への酸素添加が改善される。
【0008】
肺の血液循環、及び機能的心室が十分に展開されたら、その次の手順が行われ、右心室へ行く血液が下大静脈(IVC)から直接PAへ行くように、IVCからPAに結合するバッフル又は管によるバイパスが設けられる。この手順のとき、普通、右心室へのある程度の血液の流れを可能にするように結合管の側面に小さな孔が作られる。この小さな孔は、肺血管の抵抗が高まったときに残っている心室の仕事を減らす一時的な結合と考えられる。Bridges, N.D., Mayer, J.E., Lock, J.E., Jones, R.A., Hanley, F.L., Keane, J.F., Perry, S.B., Castaneda, A.R. “バッフルの開口形成が変型Fontan手術に及ぼす影響” Circulation 86:1762-9 (1992)。
【0009】
最後の外科手順は、IVCからPAへの結合管における一時的な孔の外科的閉止又はカテーテルによる閉塞である。複雑な先天的心臓病の患者に対するこの多段階的な従来の外科的アプローチは、その後の外科的介入の各々が患者に病気と死亡の新たなリスクを負わせるので最適ではない。最初の外科的介入で、追加の開胸手術の必要がない将来の最小限に侵襲的な手順のための段階が設定できれば、このリスクは小さくなる。
【0010】
装置を取り巻く解剖学的構造又は装置の内部構造へのアクセスを提供する試みとしていろいろな装置及び設計変更が提案されてきた。
【0011】
Wisselinkに付与された米国特許第6,428,565号とCastanedaに付与された米国特許第6,395,018号は、それぞれ、側分枝へのアクセスを可能にする予め形成された開口を有するステント移植片システムに関する。これらの装置は、どちらも最初の移植の時点で閉鎖した開口を有するものではない。
【0012】
Layne et. al.に付与された米国特許第6,398,803号は、装置の長手に沿っていろいろなパタンの開放開口を有する部分的に覆われたステントに関する。WisselinkとCastanedaの装置と同様に、装置を配備する前に開口は完全に形成されている。
【0013】
Kim et. al.に付与された米国特許第6,432,127号は切断ツールの使用による血管の導管の壁における開口の形成を開示している。導管開口形成部位を包含する変形可能なフレーム構造を提供しない。その結果、従来の画像技術を用いて開口を形成すべき正確な場所を標的として描くことが困難である。さらに、開口は、形成された後に周辺領域に沿って強化されない。開口形成部位を画定するフレーム構造が存在しないので、形成時開口のサイズを正確に決めることができない。
【0014】
移植可能医療装置の壁部の連続性と流体保持性を初期には維持しながらその医療装置に恒久的な開口を形成するための手段を提供する装置に対するニーズが依然として存在する。このような装置は、手術時にその場で移植部位にカスタムサイズの開口形成を可能にするであろう。
【0015】
【特許文献1】Wisselinkに付与された米国特許第6,428,565号
【特許文献2】Castanedaに付与された米国特許第6,395,018号
【特許文献3】Layne et. al.に付与された米国特許第6,398,803号
【特許文献4】Kim et. al.に付与された米国特許第6,432,127号
【非特許文献1】Schatz, R.A., Palmaz, J.C., Tio, F.O., Garcia, F., Garcia, O., Reuter, S.R. “成犬におけるバルーン延伸可能な冠状動脈内ステント” Circulation 76:450-7 (1987).
【非特許文献2】Parodi, J.C., Palmaz, J.C., Barone, H.D. “腹部大動脈瘤に対する大腿経由管腔内グラフト移植”Ann. Vasc. Surg. 5:491-9 (1991)
【非特許文献3】Fontan, F., Mounicot, F.B., Baudet, E., Simonneau, J., Gordo, J., Gouffrant, J.M.“三尖弁の“矯正”。新しい外科手法によって“矯正”された二例” Ann-Chir-Thorac-Cardiovasc 10:39-47 (1971). Annecchino, F.P., Fonta, F., Chauve, A., Quaegebeur, J. “三尖弁における右心室流出管路の無痛再建”Ann-Thorac-Surg. 29:317-21 (1980). Ottenkamp, J., Rohmer, J., Quaegebeur, J.M. Brom, A.G., Fontan, F. “三尖弁の生理学的矯正についての9年間の経験:長期的な結果及び現在の外科的アプローチ” Thorax 37 718-26 (1982).
【非特許文献4】Mathur, M., Glenn, W.W. “三尖弁の外科的管理への合理的アプローチ” Circulation 37:1162-7 (1968)
【非特許文献5】Bridges, N.D., Mayer, J.E., Lock, J.E., Jones, R.A., Hanley, F.L., Keane, J.F., Perry, S.B., Castaneda, A.R. “バッフルの開口形成が変型Fontan手術に及ぼす影響” Circulation 86:1762-9 (1992).
【発明の開示】
【0016】
[発明の概要]
本発明は、経壁の開口形成が可能な装置を提供することを課題とする。特に、本発明は、移植可能医療装置の壁、又は同様な隔壁に、移植後にその医療装置の壁を横切る流体の連絡を可能にし維持する手段として恒久的なフレーム付きの開口を形成することを可能にする。本発明は、初期にその医療装置の壁の連続性と流体保持特性を維持する破壊可能バリア材を提供する。このバリア材は、フレーム構造(framework)によって画定される開口を完全に覆っている。使用時に、このバリア材は外科器具によって破壊され、フレーム構造の形状が開口領域を拡大または変更するように変化する。このプロセスで開口は覆われなくなり、開口を通る流体の流れへの人によるアクセス、即ち接近が可能になる。変化したフレーム構造は、拡大した開口の周囲領域(例えば、周辺)に対して構造的補強を提供し、医療装置の壁における恒久的な開口を形成する。変化したフレーム構造はまた、付属医療装置のための確実な固定場所を提供するものとして利用できる。このような恒久的な開口は、手術又はカテーテルによる介入のとき又は後の時点で、介入又は外科的な方法を用いて、移植可能医療装置の壁に形成できる。
【0017】
本発明は、人工血管、及び流体の収容又は流体の隔離を提供する他の移植可能医療装置への使用に特に適し、かかる装置における移植部位での1つまたはそれ以上の恒久的開口の形成に有益である、例えば、動脈瘤に架けられるステント移植片に関し、本発明は、側分枝又は排出部位のためにステント移植片の壁にフレーム付きの開口を設けることができる。血管移植片は本発明によってその場でバイパスまたは分岐することができる。本発明は、また、心臓及び血管系への灌流やその他のアクセスを設けるために外科移植された心臓血管パッチに使用できる。
【0018】
本発明は、移植可能医療装置に、その製造後に付け加えることもできるし、装置の製造時に一体的構成要素として含めることもできる。本発明の破壊可能バリア材は、外科器具によって容易に破壊され、孔をあけられ、又はその他の仕方で構造的に壊される移植可能なポリマー材から作られる。破壊可能バリア材は、また、移植の受け手の体による劣化と吸収によって構造的に壊されるポリマー材から作ることができる。破壊可能バリア材のポリマーは、バリア材を壊すのを助ける又は移植の受け手における開口領域を見やすくする充填材を組み込むことができる。
【0019】
フレーム構造は形状を変えることができる移植可能金属又はポリマー材から作られる。このフレーム構造材は、外科器具によって変形又は変化することができるか、又は器具を使用しなくてもフレーム構造を異なる形状に変化させる形状記憶特性を有するものであってよい。フレーム構造材はいろいろな方法で成形されて、破壊可能バリア材と開口を構造的に補強する役割と共に、形状を再構成することができ、かつ恒久的なフレーム付きの開口提供に役立つ。
【0020】
一外科的方法では、本発明を利用する移植可能医療装置は、通常の又は介入的な外科手法によって外科部位に配置される。医療装置の位置が正しいことが確認されたら、カテーテル・ガイドワイヤ、又はその他の外科器具、を用いて破壊可能バリア材を破壊して、覆われた開口の覆いを除去し始める。次に、膨張可能バルーン・カテーテルを収縮状態で部分的に覆いが除去された開口に挿入し、膨張させる。バルーン・カテーテルが膨張するにつれて、その直径が拡大し、フレーム構造の形を変え、残っているバリア材を開口領域から除去する。フレーム構造の形状が所望するように再構成されたら、バルーン・カテーテルを収縮させて開口から取り出す。これによって医療装置の壁に恒久的なフレーム付きの開口が残される。恒久的な開口は、迅速な治療及び外科的処置例えば分枝血管の灌流、を可能にし、または他の医療装置と共働する。
【0021】
一実施形態では、本発明は、第一領域を有する開口を画定するフレーム構造、及び前記開口を完全に覆う破壊可能バリア材を含む移植可能医療装置であって、前記破壊可能バリア材の破壊後に第二領域を有する恒久的な開口が形成され、かつ前記フレーム構造は形状変化可能に適合する(adaptable)。
【0022】
別の実施形態では、本発明は、連続的な壁、前記壁に第一領域を有する開口を画定する少なくとも1つのフレーム構造、及び前記開口を完全に覆う破壊可能バリア材を含む移植可能医療装置であって、前記破壊可能バリア材の破壊後に第二領域を有する恒久的な開口が形成され、前記フレーム構造は形状変化可能に適合しかつ前記連続的な壁に強化された周辺領域を有する。
【0023】
本発明のその他の特徴及び利点は、好ましい実施形態についての以下の詳細な記述を読み、添付図面を参照して理解することによって当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
上述の概要、並びに本発明の実施形態についての以下の詳細な説明は、添付図面を参照することにより良く理解されるであろう。本発明を例示するために、図面には現在好ましいとされる実施形態が示されている。しかし、本発明は、図示された配置や装置の細部によって限定されないことは言うまでもない。
【0025】
添付ダイアグラムはいろいろな解剖学的構造と関連する臨床病理を含み、それらは次のように同定される。
AA=腹大動脈
RA=腎動脈
IA=回腸動脈
AAA=腹部大動脈瘤
【0026】
本発明は、種々の流体含有移植可能医療装置と組み合わせて使用でき、その医療装置の壁又は他の隔壁を横切る流体連絡を確立することができる。多くの状況で、本発明は医療装置が移植されるときに使用される。別の場合には、本発明は医療装置がある期間移植された後に接近して利用される。本発明は、また、移植処置を開始する前に利用することができる。
【0027】
図1Aは、移植可能なパッチ材12に組み込まれた本発明の実施形態10の上面図である。図1Bは、構成要素の関係を一般的に示すこの実施形態の側面図である。この実施形態では、フレーム構造14は、破壊可能なポリマー材層18で囲まれている。フレーム構造14は破壊可能バリア材17で完全に覆われた開口16を画定している。本発明のフレーム構造14、開口16、及び破壊可能バリア材17を表すために、ポリマー層18は、移植可能なパッチ材の2つの層12,13の間にサンドイッチされている。本発明の同様の実施形態では、移植可能なパッチ材またはその他の壁構成要素は本発明の一部と考えられている。平面的形態の移植可能医療装置のほかに、管状形態の移植可能医療装置も本発明との使用に適している。管状医療装置は一般に円筒形であり、平行な壁を有するものに限定されない。さらに、管状医療装置は、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口を有する幾何形状を有する。
【0028】
フレーム構造14の形状は、破壊可能バリア材17に対して構造的支持を提供しかつ開口18を完全に覆うために選択される。フレーム構造の形状及び構成は、また、フレーム構造が容易に変形し、開口の周辺領域に移動して恒久的なフレーム付き開口を形成することを可能にする。図1A他に示されているフレーム構造の特定の形は、好ましいものであるが、それに限定されない。例えば、図8Bと8Cは異なる数のピーク76と谷78を有する円形形態70を有するフレーム構造を示している。また、本発明ではピーク76と谷78の間の距離(すなわち、振幅)は大きく異なってよいと考えられ、それによって広範な幾何形状のフレーム構造の形成を可能にする。これらのフレーム構造設計によって破壊可能バリア材に対する支持を強化するほかに、広範な開口サイズがこれらの設計によって達成できる。フレーム構造設計に支持する脚支柱74を組み込んで周囲壁材への取付を向上させることもできる。フレーム構造14の他の非円形形態79が同様に意図されている。さらに、図9と10は、フレーム構造がアレイの形態の開口を取りうることを示している。これらの実施形態は、フレーム付き開口の場所およびフレーム付き開口の数の選択を可能にする。
【0029】
図2A-2Eは、使用時の図1Aと1Bの構造を示す。図2Aは移植部位で見られる構造の斜視図である。図2Bはカテーテル又はその他の装置からのガイドワイヤ20を示し、破壊可能バリア材17を貫通して破壊している。図2Cはガイドワイヤ20によって破壊されたバリア材から開口16へ導入された収縮した状態の膨張自在バルーン・カテーテル22を示す。図2Dは膨張自在のバルーン・カテーテル22の膨張およびフレーム構造14の変形を示す。フレームワーク14が変形するにつれて開口16が拡大し、面積を拡張する。図2Eは、バルーン・カテーテルが収縮および除去後に、移植可能パッチ材12において変形したフレーム構造14により枠どりされた恒久的な開口24を示す。
【0030】
図3Aは、管状血管移植片30の構成要素としての本発明16を示す。この実施形態では、開口16を画定するフレーム構造14は破壊可能バリア材17によって完全に覆われて血管移植片30の壁部32に組み込まれている。本発明を操作するときに、壁部32を横切る管腔スペース34への流体連絡が確立される。
【0031】
図3Bは、移植可能パッチ材11構成要素を有する本発明実施形態19を示す。この移植可能パッチ材は移植可能人工血管30に縫合により取付けられる。移植可能医療装置の壁に本発明を取付ける他の適当手段として、接着、超音波又は無線周波溶接、積層、ステープル止め、及び膜で医療装置を覆う又はフィルムに本発明を含める等などがあげられるが、それに限定されない。
【0032】
図4は、移植可能な血管内装置40に組み込まれた本発明の実施形態44を示す。この実施形態では、血管内装置40は動脈瘤を治療するために普通に用いられる二分岐設計であり、かつ本体又は幹部50と2つの脚部52,54を含む。血管内装置はステントフレーム42と壁手段48を有する。本発明のいくつかの完全に覆われたフレーム構造要素がステント移植片40の壁手段48に組み込まれている。図4に見られるように、本発明とステント移植片の支持要素(すなわち、足場)との間には長手方向の変位がある。本発明のこの実施形態は、ステント移植片および他の血管内装置に、移植部位の選択的灌流及び/又は排出の手段として側分枝を形成するための多数の部位を提供する。
【0033】
ステント移植片、及び支持要素(すなわち、足場)を用いるその他の移植可能医療装置、と組み合わせて使用される本発明の実施形態では、本発明のフレーム構造構成要素は支持要素とは別にその装置に組み込まれることが好ましい。図4Aに示されているように、本発明のフレーム構造は移植可能医療装置の支持要素から分離して下にある。本発明の場所は、移植可能医療装置の支持要素又は壁構成要素に接触又はすぐ近くに限定されない。実際、本発明は、移植可能医療装置のいずれの所望場所にも位置決めできる。
【0034】
図4に示された実施形態の臨床的用途が図5と6に示されている。図5には、典型的な大動脈瘤(AAA)が示されており、近位大動脈(AA)が腎動脈(RA)分枝と遠位回腸動脈(IAs)につながっている。病状又は大動脈解剖学的構造が、移植時に装置を固定に足りる十分な健康血管を提供しない場合には、しばしばRAsに近いAA部分を利用することが必要になる。この腎上方の移植位置で、ステント移植片40の適切な固定と効果的なAAA排除が図6に示されているように達成できる。しかし、この形態ではステント移植片の壁48のバリア特性が両側の分枝RAへの血流を塞ぐ。RAへの灌流を実現するために、本発明44の1つ以上のユニットが選択されて使用される。
【0035】
本発明に接近して操作するために必要な介入手順が図7A-7Dに示されている。ステント移植片40を配置した後、ガイド・カテーテル36がX線透視装置によるガイダンスの下で定位され、RAと適切に整列した複数の利用可能な本発明44の1つの中心方向へガイドワイヤ20を導く。破壊可能バリア材16をガイドワイヤ20で破壊した後、フレーム構造14をバルーン・カテーテル22を用いて所望の開口サイズまで変形させる。バルーン22をさらに膨張させて、フレーム構造14所望変形と、RAに適切なサイズの恒久的なフレーム付き開口64の形成を達成する。いったん形成されると、恒久的なフレーム付き開口64は、正常なAAの血流60に従ってRA血液灌流62を可能にする。
【0036】
本発明は種々の移植可能な材料から構成できる。破壊可能バリア材は、血液および他の生理的流体を含む液体がこのバリア材を通過することを少なくとも部分的に妨げるに十分な構成構造かつ/または厚みを有し、しかも外科器具等で容易に壊され、孔をあけられ、又はその他の仕方で構造的に破壊されるに十分な構造的弱さを有する。破壊可能バリア材は、非生物分解性ポリマー、生物分解性ポリマー、及びエラストマーから、単独で又は組み合わせて作ることができる。破壊可能バリア材のエラストマーは、バリア材が壊された後に、完全に覆われた開口から覆いを除きやすくする。バリア材の破壊を増長したり、または移植部位における本発明の位置決めを助ける充填材を破壊可能バリア材に含ませてよい。
【0037】
移植部位でバリア材を壊すのに用いられる適当な外科器具又はツールとして、ガイドワイヤ、Colapinto(登録商標)ニードル、Rotablators(登録商標)、及び無線周波エネルギー、超音波、マイクロ波エネルギー、又はレーザー光を利用する他の切除器具が挙げられるが、それに限定されない。
【0038】
適当な非生物分解性ポリマーとして、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、及びポリウレタンが含まれるが、それに限定されない。破壊可能バリア材として好ましい材料は、孔質延伸、又は伸張、ポリテトラフルオロエチレン材である。適当な生物分解性ポリマーとして、以下のモノマー成分、すなわち、グリコリド(グリコール酸)、ラクチド(d−ラクチド、l−ラクチド、d,l−ラクチド)、トリメチレンカルボネート、p−ジオキサノン、カプロラクトン、及びヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート;の1つ以上を有するポリマー又はコポリマーから作られる材料を含むが、それに限定されない。本発明に使用するのに適当なエラストマー材は、フルオロエラストマー、ポリウレタンを含むが、それに限定されない。破壊可能バリア材に組み込むのに適当な充填材は、グラファイト、二酸化チタン(TiO)、バリウム、ビタミンE、ガドリニウム、損失材料、及び他の放射線不透組成物を含むが、それに限定されない。
【0039】
破壊可能バリア材はフレーム構造に単層または多層で貼付することができる。多層の破壊可能バリア材を用いる場合、個々の層を異なる方向に配向することが好ましい(例えば、図11を参照)。
【0040】
フレーム構造は、破壊可能バリア材がフレーム構造によって画定される開口を完全に覆っている間、破壊可能バリア材を支持することができる材料から作られる。フレーム構造の材料は、本発明が移植部位にある間、フレーム構造が容易に形成され、再形成され、又は他の形態を変えることを可能にする。フレーム構造は、展性材料、塑性変形可能物質、及び/又は自己延伸性(すなわち、超弾性)金属又はポリマー、から作ることができる。X線透視、X線画像形成、磁気共鳴画像法等によって視認できない材料を用いる場合、放射線不透物質または他の画像形成配合物をフレーム構造材料に導入することができる。
【0041】
フレーム構造の材料は、また、生理的条件下で開口の周辺領域を恒久的に強化するのに十分な弾力性を備えている必要がある。フレーム構造構成要素は、本発明の開口部の周辺領域を構造的に支持する他に、フレーム構造に取付けられる他の医療装置90に対する固定手段として役立つ。
【0042】
フレーム構造として適当な材料として、移植可能な金属、例えば金、銀、タンタル、タングステン、及びクロム、移植可能合金、例えばステンレス鋼、ニチノール・メタル、及び移植可能ポリマー。例えばポリウレタン、フッ素化エチレン・プロピレン、およびポリテトラフルオロエチレン等が含まれるが、それに限定されない。フレーム構造は、成型(molding)、鋳造、レーザー切削及び/又はレーザー加工、打ち抜き、フォトエッチング、ワイヤ成型、放電加工(EDM)、ベントワイヤ(bent-wire)法、その他の適当な製造方法によって作ることができる。
【0043】
パッチ、管、又は他の壁つき構成要素を含む本発明の実施形態では、本質的に任意の移植可能な材料をその構成要素に使用できる。適宜材料としては、移植可能な金属、移植可能な金属合金、移植可能なポリマー、例えばポリエステル(Dacron(登録商標))、ポリアミド(Nylon(登録商標))、ポリテトラフルオロエチレン、及びポリウレタン等があげられるが、それに限定されない。
【0044】
本発明は種々の方法で構成できる。本発明は、破壊可能バリア材を接着剤、熱、圧力、及び/又は超音波溶接によってフレーム構造に取付けることによって形成できる。次に、破壊可能バリア材は、同様方法により移植可能医療装置へ取付けられる。本発明はまた、成型、縫合、フィルム又は膜によるラッピング、及び/又は機械的固定によって移植可能医療装置に組み込むことができる。
【0045】
管又はシートの形の延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)で作られる移植可能医療装置は、本発明の実施形態と共に供給することができ、そのためには最初に、フレーム構造構成要素の最大直径よりも少し小さな穴をePTFEにカットする。次にフッ素化エチレン・プロピレン(FEP)のパウダー・コーティングがフレーム構造材の両側に塗布され、フレーム構造材がePTFE材の穴の上に置かれる。適当なサイズの破壊可能バリア材がフレーム構造構成要素の上に置かれる。この組み合わせに熱と圧力を加えてそれらの材料を一緒に取付ける。
【0046】
移植可能医療装置に本発明を取付ける別の方法では、室温硬化(RTV)シリコーンなどの接着剤をフレーム構造材の両側に塗布し、フレーム構造の片側を、適当なサイズの穴が形成された医療装置の壁に圧しつける。次に、適当な破壊可能バリア材を、フレーム構造構成要素の接着剤が塗布された他の側に圧しつける。過剰なバリア材料をフレーム構造から削ぎ落として取付けが完了する。
【0047】
移植可能医療装置に本発明を取付けるさらに別の方法では、医療装置の壁の適当なサイズの穴の上にフレーム構造構成要素を置き、フレーム構造構成要素の上から生体適合性フィルムの1つ以上の層をラップする。この実施形態では、ラップされたフィルム層は、また、破壊可能バリア材としても役立つ。フィルム・ラッピング材は、その構造を加熱することによってさらにしっかりと固定される。
【0048】
網目形態の壁要素を有する移植可能医療装置の場合、本発明は網目の穴を通して開口に接近できるような方法で医療装置に取付けることができる。この実施形態では、接着剤を塗布したフレーム構造材が破壊可能バリア材の上に置かれる。バリア材の周辺領域にさらに接着剤が塗布される。網目の1つ以上の穴を通して本発明の開口に接近できるように、網目装置がこの組み合わせの上に置かれる。その構造物に圧力を加えて構成要素を接着させる。好ましい移植可能医療装置は、Davol, Inc.から商品名Bard(登録商標) MaelexTM Mesh-Monofilament Knitted Polypropylene (カタログNo. 011265)の下で市販されている織製メッシュ材である。
【0049】
以上の構成方法は例示的なものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0050】
本発明の範囲を制限するものではないが、本発明の装置と製造方法は以下の実施例を参照することによってさらに良く理解されるであろう。
【実施例1】
【0051】
本発明の平面シート実施形態、約8.3 cm (3.25”) × 13.3 cm (5.25”)、が次のように構成された。厚さ約0.4 mmの延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)シート材によるの第一層がW.L. Gore & Associates, Inc.のMedical Product Division, Flagstaff, AZ,からGORE-TEX(登録商標) Cardiovascular Patchという商品名でパーツ・ナンバー1800610004で入手された〔図12、パーツA1〕。
【0052】
テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロ(メチル・ビニル・エーテル)(PMVE)の熱可塑性コポリマーで構成されるフルオロ・エラストマー・シート材によるの第二層が、約250℃の温度で脆い形のコポリマーを圧縮成形し、約0.2 mm(0.008”)のシートの形に構成された(図12、パーツA3)。得られた材料は、下の表1に記載された属性を有していた。
【0053】
シート材による第三層〔図12、パーツA4〕は、Goreに対して発行された米国特許第4,482,516号にしたがって作られたePTFEで構成される。このシート材は、厚さが約0.17 mmで、平均繊維長は約10ミクロンを超えた。
【0054】
フレーム構造を構成するために、医療グレード316ステンレス鋼のシートが、Laserage Technologies, Inc., Waukegan, Ill. から入手された。フレーム構造は、連続な、略円形のリング形態を有する波形パタンにレーザー加工された〔図12、パーツA2〕。フレーム構造の厚さは約0.4 mm(0.016”)であった。フレーム構造によって画定される開口で相互に対向して位置する個々のフレーム構造要素間の最小距離は約0.2 mmであった(0.008”)。
【0055】
これら4つの構成要素は図12に示されるように整列された。構成要素100,102,103、及び104が高温パッディング(padding)材の層とアルミニウム板(図12、パーツ105,106)との間に置かれた。アルミニウム板は、約15.2 cm(6”)平方で、厚さは0.062”であった。高温パッディング材105は、W.L. Gore & Associates, Inc.のMedical Product Division, Flagstaff, AZ,からパーツ・ナンバー1310015020で入手された厚さが約2 mm(0.079”)のGORE-TEX(登録商標) Soft Tissue Patchから作られた。この絶交体を加熱されたカーバ(Carver press)プレスに入れて、12に示されているような配置で約5分間、約200℃で、約0.5 Mpa (80 lb/in2)の圧力で積層した。このプレスでの圧縮サイクル後に、パッディング材が除かれた。
【0056】
次に、4mmの尖ったくりぬきパンチを用いて4mmの穴が強化要素の中心点で三つの層にあけられた。Bacinoに対して発行された米国特許第5,476,589号にしたがって作られた四層の高強度ePTFEフィルムが入手され、かつ相互に対して90度に配向された(図C)。ePTFE材による各層の間に一層の不連続なフッ素化エチレン・プロピレン(FEP)コーティングが入れられた。これらの組み合わされた材料がくりぬかれた穴の上に置かれ、加熱したはんだごてをくりぬかれた穴の外周のまわりに当てて固定された。過剰フィルム材料が最終アセンブリから除かれ、かつ加熱したはんだごてで縁が全体的に下へ留められた。得られた製品を図13に示す。
【0057】
【表1】
【実施例2】
【0058】
この実施例は、実施例1の製品を管状移植片の壁に組み込んだ管状血管移植片を記載する。実施例1の製品を切りそろえてePTFE血管移植片の壁にあけられた対応する穴に縫い付けた。ePTFE血管移植片は、W.L. Gore & Associates, Inc.のMedical Product Division, Flagstaff, AZ、からパーツ・ナンバーSA1604で入手されたGORE-TEX(登録商標) Vascular Graftであった。実施例1からの製品が、W.L. Gore & Associates, Inc.のMedical Product Division, Flagstaff, AZ、から商品名GORE-TEX(登録商標) Suture、パーツ・ナンバーCV-5で得られたePTFE縫合糸によって管状構成物の対応する穴に縫い付けられた。得られた製品が図3Bに示されている。
【0059】
本発明の正確で例示的な実施例が詳しく記述されたが、本発明の本質と精神、又は範囲から逸脱することなくこれらの実施例に多くの変更を加えることができることは容易に予見される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1A】本発明の上面図を示す。
【図1B−1D】本発明の側面図を示す。
【図2A−2E】本発明の動作を示す。
【図3A】管状医療装置の壁に組み込まれた本発明の実施形態を示す。
【図3B】管状医療装置の壁に取付けられた平面状物質に組み込まれた本発明の実施形態を示す。
【図4】医療装置に組み込まれた本発明の実施形態を示す。
【図4A】移植可能医療装置の足場と壁要素に対して離れた場所に設置された本発明の実施形態を示す。
【図5】腹部大動脈瘤を示す。
【図6】腹部大動脈瘤の領域に設置された本発明の実施形態を組み込んだステント移植片を示す。
【図7A−7D】血管の側分枝に灌流を供給するのに用いられ本発明を示す。
【図7E】別の医療装置の取付け手段として作用する本発明の実施形態を示す。
【図8A−8C】いろいろな非限定的な形状の本発明のフレーム構造構成要素を示す。
【図9】アレイ形態の本発明のフレーム構造構成要素を示す。
【図10】アレイ形態の形の本発明のフレーム構造構成要素を示す。
【図11】本発明の実施形態における破壊可能材を形成する方法を示す。
【図12】製造中の本発明の実施形態の分解図である。
【図13】本発明の実施形態の斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一領域を有する開口を画定するフレーム構造、及び前記開口を完全に覆う破壊可能バリア材を含み、前記破壊可能バリア材の破壊後に第二領域を有する恒久的な開口が形成され、かつ前記フレーム構造が形状変化可能に適合する、移植可能医療装置。
【請求項2】
前記フレーム構造は医療装置に組み込まれている、請求項1の移植可能医療装置。
【請求項3】
前記医療装置は人工血管である、請求項2の移植可能医療装置。
【請求項4】
前記人工血管は血管移植片である、請求項3の移植可能医療装置。
【請求項5】
前記人工血管はステント移植片である、請求項4の移植可能医療装置。
【請求項6】
前記移植可能医療装置は前記ステント移植片の支持要素から分離している、請求項5移植可能医療装置。
【請求項7】
前記人工血管は外科用パッチである、請求項4の移植可能医療装置。
【請求項8】
前記破壊可能バリア材はフルオロポリマーを含む、請求項1の移植可能医療装置。
【請求項9】
前記フルオロポリマーはポリテトラフルオロエチレン材である、請求項8に記載の移植可能医療装置。
【請求項10】
前記破壊可能バリア材は生物分解性物質を含む、請求項1の移植可能医療装置。
【請求項11】
前記破壊可能バリア材は充填材を含む、請求項1の移植可能医療装置。
【請求項12】
前記破壊可能バリア材はエラストマーを含む、請求項1の移植可能医療装置。
【請求項13】
前記フレーム構造は移植可能な金属から作られている、請求項1の移植可能医療装置。
【請求項14】
前記フレーム構造は移植可能なポリマーから作られている、請求項1の移植可能医療装置。
【請求項15】
連続的な壁、前記壁において第一領域を有する開口を画定する少なくとも1つのフレーム構造、及び前記開口を完全に覆う破壊可能バリア材を含み、前記破壊可能バリア材の破壊後に第二領域を有する恒久的な開口が形成され、前記フレーム構造は形状変化可能であって前記連続的な壁に強化周辺領域を有する、移植可能医療装置。
【請求項16】
前記連続的な壁は平面的幾何形状を有する、請求項15の移植可能医療装置。
【請求項17】
前記連続的な壁は管状幾何形状を有する、請求項15の移植可能医療装置。
【請求項18】
前記連続的な壁は人工血管である、請求項15の移植可能医療装置。
【請求項19】
前記人工血管は血管移植片である、請求項18の移植可能医療装置。
【請求項20】
前記人工血管は外科用パッチである、請求項18の移植可能医療装置。
【請求項21】
前記人工血管はステント移植片である、請求項18の移植可能医療装置。
【請求項22】
前記移植可能医療装置は前記ステント移植片の支持要素から分離している、請求項21の移植可能医療装置。
【請求項23】
前記医療装置は人工血管の構成要素である、請求項15の移植可能医療装置。
【請求項24】
前記人工血管はステント移植片である、請求項23の移植可能医療装置。
【請求項25】
前記移植可能医療装置は前記ステント移植片の支持要素から分離している、請求項24の移植可能医療装置。
【請求項26】
前記連続的な壁はフルオロポリマーを含む、請求項15の移植可能医療装置。
【請求項27】
前記フルオロポリマーはポリテトラフルオロエチレン物質である、請求項26の移植可能医療装置。
【請求項28】
前記フレーム構造は移植可能な金属から作られている、請求項15の移植可能医療装置。
【請求項29】
前記破壊可能バリア材はフルオロポリマーを含む、請求項15の移植可能医療装置。
【請求項30】
前記フルオロポリマーはポリテトラフルオロエチレン物質である、請求項29の移植可能医療装置。
【請求項31】
前記破壊可能バリア材は生物分解性物質を含む、請求項15の移植可能医療装置。
【請求項32】
前記破壊可能バリア材は充填材を含む、請求項15の移植可能医療装置。
【請求項33】
前記破壊可能バリア材はエラストマーを含む、請求項15の移植可能医療装置。
【請求項1】
第一領域を有する開口を画定するフレーム構造、及び前記開口を完全に覆う破壊可能バリア材を含み、前記破壊可能バリア材の破壊後に第二領域を有する恒久的な開口が形成され、かつ前記フレーム構造が形状変化可能に適合する、移植可能医療装置。
【請求項2】
前記フレーム構造は医療装置に組み込まれている、請求項1の移植可能医療装置。
【請求項3】
前記医療装置は人工血管である、請求項2の移植可能医療装置。
【請求項4】
前記人工血管は血管移植片である、請求項3の移植可能医療装置。
【請求項5】
前記人工血管はステント移植片である、請求項4の移植可能医療装置。
【請求項6】
前記移植可能医療装置は前記ステント移植片の支持要素から分離している、請求項5移植可能医療装置。
【請求項7】
前記人工血管は外科用パッチである、請求項4の移植可能医療装置。
【請求項8】
前記破壊可能バリア材はフルオロポリマーを含む、請求項1の移植可能医療装置。
【請求項9】
前記フルオロポリマーはポリテトラフルオロエチレン材である、請求項8に記載の移植可能医療装置。
【請求項10】
前記破壊可能バリア材は生物分解性物質を含む、請求項1の移植可能医療装置。
【請求項11】
前記破壊可能バリア材は充填材を含む、請求項1の移植可能医療装置。
【請求項12】
前記破壊可能バリア材はエラストマーを含む、請求項1の移植可能医療装置。
【請求項13】
前記フレーム構造は移植可能な金属から作られている、請求項1の移植可能医療装置。
【請求項14】
前記フレーム構造は移植可能なポリマーから作られている、請求項1の移植可能医療装置。
【請求項15】
連続的な壁、前記壁において第一領域を有する開口を画定する少なくとも1つのフレーム構造、及び前記開口を完全に覆う破壊可能バリア材を含み、前記破壊可能バリア材の破壊後に第二領域を有する恒久的な開口が形成され、前記フレーム構造は形状変化可能であって前記連続的な壁に強化周辺領域を有する、移植可能医療装置。
【請求項16】
前記連続的な壁は平面的幾何形状を有する、請求項15の移植可能医療装置。
【請求項17】
前記連続的な壁は管状幾何形状を有する、請求項15の移植可能医療装置。
【請求項18】
前記連続的な壁は人工血管である、請求項15の移植可能医療装置。
【請求項19】
前記人工血管は血管移植片である、請求項18の移植可能医療装置。
【請求項20】
前記人工血管は外科用パッチである、請求項18の移植可能医療装置。
【請求項21】
前記人工血管はステント移植片である、請求項18の移植可能医療装置。
【請求項22】
前記移植可能医療装置は前記ステント移植片の支持要素から分離している、請求項21の移植可能医療装置。
【請求項23】
前記医療装置は人工血管の構成要素である、請求項15の移植可能医療装置。
【請求項24】
前記人工血管はステント移植片である、請求項23の移植可能医療装置。
【請求項25】
前記移植可能医療装置は前記ステント移植片の支持要素から分離している、請求項24の移植可能医療装置。
【請求項26】
前記連続的な壁はフルオロポリマーを含む、請求項15の移植可能医療装置。
【請求項27】
前記フルオロポリマーはポリテトラフルオロエチレン物質である、請求項26の移植可能医療装置。
【請求項28】
前記フレーム構造は移植可能な金属から作られている、請求項15の移植可能医療装置。
【請求項29】
前記破壊可能バリア材はフルオロポリマーを含む、請求項15の移植可能医療装置。
【請求項30】
前記フルオロポリマーはポリテトラフルオロエチレン物質である、請求項29の移植可能医療装置。
【請求項31】
前記破壊可能バリア材は生物分解性物質を含む、請求項15の移植可能医療装置。
【請求項32】
前記破壊可能バリア材は充填材を含む、請求項15の移植可能医療装置。
【請求項33】
前記破壊可能バリア材はエラストマーを含む、請求項15の移植可能医療装置。
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2006−500107(P2006−500107A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−537900(P2004−537900)
【出願日】平成15年9月16日(2003.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2003/029200
【国際公開番号】WO2004/026181
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年9月16日(2003.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2003/029200
【国際公開番号】WO2004/026181
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】
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