関心地点表示システム、装置及び方法
【課題】ユーザが現在位置を移動することなくバーチャル空間上の関心地点のみを自己の位置から見た方角と、距離に基づいて表示することにより、関心地点を容易に把握することができるシステムを提供する。
【解決手段】実空間における現在の携帯端末位置と携帯端末姿勢を特定し(S200)、特定された現在位置周辺に存在するPOIをPOIデータベースから取得し(S202)、該携帯端末の現在位置からの各POIまでの距離を算出し、該算出された距離と、ヨー角、ピッチ角からなる特定された携帯端末の現在の携帯端末姿勢に基づいて画面空間上での各POIの座標を算出する。算出された各POIの画面空間上での座標に基づいて、実空間における地表面に垂直の方向から認識される、各POIの存在する方向、距離に基づいて各POIを画面に表示する(S210)。
【解決手段】実空間における現在の携帯端末位置と携帯端末姿勢を特定し(S200)、特定された現在位置周辺に存在するPOIをPOIデータベースから取得し(S202)、該携帯端末の現在位置からの各POIまでの距離を算出し、該算出された距離と、ヨー角、ピッチ角からなる特定された携帯端末の現在の携帯端末姿勢に基づいて画面空間上での各POIの座標を算出する。算出された各POIの画面空間上での座標に基づいて、実空間における地表面に垂直の方向から認識される、各POIの存在する方向、距離に基づいて各POIを画面に表示する(S210)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はユビキタス環境下において、実空間に存在する関心地点を端末の姿勢に連動して画面表示するための端末システム及び方法に関する。
【従来の技術】
【0002】
実空間における画像データを記録データとしてデータベースに蓄積しておき、後に表示するシステムは様々な分野で利用されている。例えば、2次元の地図データを予めデータベースへ記録しておき、現在の位置情報と方位情報に応じて、後にある地点までの道のりを画面上で表示する携帯ナビゲーション装置に利用されている。また、車両に搭載されているカーナビゲーションにより車両の周辺に存在する関心地点を検出し、検出された関心地点を表示する場合に利用されている。例えば特開2006−292616号公報に開示されている携帯端末装置によると、ユーザに対して、現在位置から目的地までの道のりを地図データに基づいて複数画面表示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の表示システムは、ユーザの位置から目的地までのルートを2次元の地図上に表示するものである。したがって、従来の表示システムにおいては、ユーザは2次元の地図画像に基づいて、地図表示と眼前の景色とを見比べて関心地点の存在する方向を判断する。ユーザは関心地点を探すとき、地図表示から一旦目を離して周囲の景色を見渡すことになる。このとき、実空間のいずれの方向に関心地点が存在するかは、画面に表示された2次元の地図と、眼前の実空間における景色に基づいて判断される。従って、画面に表示された2次元の地図と、眼前の実空間における景色とを見比べることのみによって、現在の携帯端末の位置から、関心地点の存在する方向、および関心地点までの距離を把握することはユーザにとって困難である。
【0004】
また、画面に表示される地図は、例えば画面上側を北方向、画面下側を南方向として固定表示されている。従って、ユーザは携帯端末に表示される表示画面の方向と実空間において自分が向いている方向が異なる場合に、回転された表示画面をイメージして、関心地点の存在する方向を把握する必要がある。しかしながら、回転された表示画面をイメージし、関心地点の存在する方向を判断することはユーザにとって困難である。
【0005】
また、画面に関心地点が表示されていない場合は、ユーザは表示画面の縮尺を変更するための処理を行い、関心地点が存在する方角を判断することになる。画面の縮尺が大きくなると、地図表示は細かくなることから、ユーザの周辺の情報に基づいて関心地点の存在する方角を判断することは困難になる。
【0006】
また、ユーザが地図画像とユーザ周辺の景色とを見比べて関心地点の存在する方向を判断できる程度の縮尺で画面表示される状況は限られている。現在の位置から遠い位置に存在する関心地点を画面表示したい場合、ユーザは表示画面の縮尺を変更するための処理を行う必要がある。このとき、携帯端末の表示画面の縮尺はあらかじめ規定されているため、ユーザは複数の規定された縮尺からのみ表示縮尺を選択しなければならず、ユーザが関心地点を視認しやすい縮尺で個別に表示することはできない。
【0007】
また、携帯端末に搭載されたセンサから取得されたヨー角は、定期的に取得されている。携帯端末のヨー角が変化していない場合に、センサから取得されたヨー角を用いて随時画面描画すると、センサから取得されたヨー角はそれぞれ微細に異なるため、取得されたヨー角を用いて、その都度描画しようとすると表示画面にも微細なぶれが生じ、画面が見にくくなる。そのためカーナビゲーションや携帯端末向けナビゲーションにおいては、粗く離散的な8方向等の方位角で取得されたデータに基づいて、連動させて表示を行うことが一般的である。このブレを解消するためには、長い時間に渡ってヨー角を取得し、平均値などで置き換えることができるが、逆に、携帯端末のヨー角が大きく変化した場合にはセンサから取得されたヨー角の変化に基づいて、画面表示を素早く応答させられないため、表示画面が実際の携帯端末の動作に遅れて表示されてしまう。
【0008】
また、携帯端末からの距離が遠方に存在する関心地点の場合、ヨー角に基づいて関心地点を表示すると、ユーザが携帯端末を少し動かしただけで、表示画面が大きく変化してしまい、描画された関心地点が簡単に表示画面から外れてしまう。このため、携帯端末をかざす向きによってある関心地点を画面内に表示し続けることや、ある特定の関心地点を探して表示することが困難となる。
【0009】
本発明は、これらの課題を解決するために提供され、実空間に存在する関心地点を端末の姿勢に連動して画面表示するための端末システム及び方法を提供することを目的とする。本願発明においては、ユーザが現在位置を移動することなくバーチャル空間上の関心地点のみを自己の位置から見た方角と、自己の位置からの距離に基づいて表示することが可能となる。これにより、ユーザが現在の位置に基づいて関心地点の存在する方向、及び距離を把握することを容易にする。
【特許文献1】特開2006−292616号
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本願発明に係るシステムは、実空間に存在する対象物を端末の姿勢に連動して関心地点(POI:point of interest)を画面表示する。詳細には、本願発明は、実空間におけるPOIを、画面空間上に表示するシステムであって、該POIのそれぞれの緯度、経度情報はPOIデータベースに格納されており、実空間における現在の携帯端末位置を特定する、位置特定手段と、実空間におけるヨー角、ピッチ角からなる現在の携帯端末姿勢を特定する、姿勢特定手段と、前記特定された現在位置から、所定の区間内に存在するPOIに対応する緯度、経度をPOIデータベースから読み出す、読出手段と、前記読出しされた各POIの情報に基づいて、前記特定された携帯端末の現在位置からの各POIまでの距離を算出し、該算出された距離と、ヨー角、ピッチ角からなる前記特定された携帯端末の現在の携帯端末姿勢に基づいて画面空間上での各POIの座標を算出する、座標算出手段と、前記算出された各POIの画面空間上での座標に基づいて、実空間における地表面に垂直の方向から認識される、各POIの存在する方向、距離に基づいて各POIを画面に表示する、画面表示手段と、を備えることを特徴とするシステムに関する。
【0011】
本発明に係る関心地点を画面表示するためのシステムは、携帯端末の存在する位置からみた関心地点の存在する方向を示す。従って、ユーザは関心地点を探すとき地図表示から目を離さなくても、携帯端末をかざすだけで、関心地点の存在する方向、および関心地点までの距離を把握することができる。
【0012】
また、本発明に係るシステムは、さらに前記所定の区間は、前記POIデータベースに格納された各POIの緯度、経度情報を用いて、前記現在位置から距離の近いPOIを順に所定数特定する、POI特定手段と、前記現在位置と、前記特定されたPOIのうち最後に特定されたPOIとの距離を算出する、距離算出手段と、を含み、前記所定区間は、前記現在位置を原点とし、前記算出された距離を半径とする円区間で規定されることを特徴とする。従って、本システムによるとユーザは自動的に変更される縮尺に基づいて、関心地点の存在する方向、距離を把握することができる。
【0013】
また、本発明に係るシステムは、さらに姿勢特定手段において、前記実空間におけるヨー角、ピッチ角を姿勢センサから定期的に取得しメモリへ格納する手段と、前記メモリへ格納された過去一定期間内に取得されたヨー角、ピッチ角の標準偏差をそれぞれ算出する、第1の算出手段と、前記算出された標準偏差に基づいて、画面描画のための携帯端末のヨー角、ピッチ角を算出する、第2の算出手段と、含み、前記第2の算出手段により算出された画面描画のための携帯端末のヨー角、ピッチ角に基づいて現在の携帯端末姿勢を特定する、ことを特徴とする。従って、本システムによると、ユーザは端末姿勢の変化の程度に応じて適切に表示される画面を視認することができる。
【0014】
また、本発明に係るシステムは、実空間におけるPOIを、画面空間上に表示するシステムであって、該各POIに関する情報は、該POI生成時に取得された携帯端末姿勢を構成するヨー角を含み、POIデータベースに格納されており、前記POIが至近距離に存在するPOIである場合に、POI生成時に取得された前記POIのヨー角を前記POIデータベースから読み出す、読出手段と、実空間における地表面に垂直の方向から認識される、前記読出されたヨー角方向に基づいて、前記至近距離に存在するPOIを画面表示する、画面表示手段と、を含むことを特徴とする。従って、本システムによると、至近距離に存在するPOIをヨー角のみを用いて描画するため、端末の現在位置に測位誤差が生じている場合でも、正しいヨー角方向にPOIを表示することができる。
【0015】
また、本発明に係るシステムは、前記距離算出手段により算出された距離に基づいて算出された距離を半径とする最内円以内に存在するPOIは、該最内円の円周上の対応する位置に描画されることを特徴とする。従って、本システムによると、近距離に存在するPOIは端末の現在位置から一定の距離まで遠ざけて描画されるため、近距離に存在するPOIが他のPOIのアイコン等で隠れてしまうこと等を抑制することができる。
【0016】
また、本発明に係るシステムは、さらに前記画面表示手段により画面に表示された各POIのうち、基準点からの距離が最も近い距離に存在する第1のPOIを選択する、第1の選択手段と、ユーザからのズーム処理の入力を検出する、検出手段と、前記ズーム処理の入力が検出された場合に、前記選択された第1のPOIの次に基準点からの距離が近い第2のPOIを選択する、選択手段と、前記第2のPOIの画面y軸方向の距離に基づいて、表示画面をy軸方向に移動して画面に描画する、描画手段と、を含むことを特徴とする。従って、本システムによると、ユーザは表示画面の縮尺を変更するための処理を行うことなく、表示画面のズーム処理を行うことができる。
【0017】
また、本発明に係るシステムは、前記ユーザからのズーム処理の入力は、携帯端末の入力キーから検出された入力、又は携帯端末の姿勢センサから検出された姿勢変化量に基づくことを特徴とする。従って、本システムによると、ユーザはキーによる入力、又は携帯端末を傾ける操作によって簡易にズーム処理を行うことができる。
【0018】
また、本発明に係るシステムは、前記画面表示手段は、前記POIのうち、現在位置から第1の距離以上、第2の距離以内に存在する遠方POIにおいて、実空間におけるヨー角変化量に対して小さく変化するよう規定された、画面区間上に描画する際のヨー角変化量に基づいて該遠方POIを画面に表示する、画面表示手段とをさらに備えることを特徴とする。従って、本システムによると、ユーザが携帯端末をヨー角方向に少しだけ回転しても、遠方に存在するPOIを表示する表示画面が大きく変化することなく、ユーザは関心地点を確認しやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
)
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態による携帯端末のハードウェア構成を示す。携帯端末装置は制御部10と、入力部20と、出力部30から構成される。制御部10は、中央演算装置(CPU)100、メモリ102、入出力(I/O)インタフェース104とを備えている。制御部10はバスを介して入力部20、出力部30に接続されている。入力部20は、位置センサ106、姿勢センサ108、入力キー110と、位置検出部112、姿勢検出部114、入力検出部116とを備えている。出力部30は、画像処理部118と、画面120とを備えている。また、メモリ102はヒープメモリとフラッシュメモリとを備えている。
【0020】
制御部10はフラッシュメモリにあらかじめ蓄積され、ヒープメモリに展開された制御プログラムをCPU100により実行することにより、携帯端末の全体を制御してPOIの描画処理を実行する。
【0021】
制御部10のメモリ102はヒープメモリとフラッシュメモリとを備えており、フラッシュメモリに、携帯端末の各種機能を実現するための制御プログラム等が記憶されており、ヒープメモリには検出された携帯端末の姿勢情報、位置情報等が記憶される。また、メモリ102はあらかじめPOI毎に生成されたPOI情報をPOIデータベースとして記憶する。ここで、あらかじめ生成されたPOI情報は、メモリに記憶する代わりに、外部記憶部(図示せず)にあらかじめPOI情報を記憶することもできる。外部記録部は、ネットワークを介したサーバ上のハードディスク、光磁気ディスクなどで構成される。
【0022】
ここで、POI情報は、関心地点における情報であり、関心地点の位置情報、端末姿勢情報で構成される。さらにPOI情報は、関心地点に関する画像、写真、コメント、音声、動画像や、関心地点に関する詳細な説明情報、及び関心地点を撮影した時の加速度情報、撮影日時、撮影者情報等で構成することもできる。POIを撮影したときの位置情報、端末姿勢情報は、POIを携帯端末の画面に表示するために利用される。また、加速度情報は、POIを撮影したときに端末の回転情報を記憶するために利用される。
【0023】
POIの位置情報は、POIを撮影したときの緯度、経度で構成される。また、POIの端末姿勢情報は、世界座標を考慮して、北方向を0度として、POIを撮影した時の北方向からの回転角(ヨー角)、及び、POIを撮影した時の地面からの仰角(ピッチ角)で構成される。
【0024】
入力部20の位置センサ106は、携帯端末の位置情報を取得する。位置センサとしては、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機、PHS受信機、複数の基地局から得られる情報を用いて測位する装置を用いることができる。位置検出部112は、位置センサ106で取得した現在の携帯端末の緯度及び経度を表すディジタル情報を生成し、制御部10へ出力する。
【0025】
入力部20の姿勢センサ108は、携帯端末の姿勢情報を取得する。姿勢センサとしては、各種のセンサを用いることができ、例えばヨー角、ピッチ角の取得には、3軸地磁気センサや3軸加速度センサを用いることができる。姿勢検出部は、姿勢センサ108で取得した現在の携帯端末のヨー角、ピッチ角を表すディジタル情報を生成し、制御部10へ出力する。
【0026】
入力検出部50は、入力キー110から入力される各種の指示を検出して制御部10へ送出する。
【0027】
画像処理部30はメモリ102に記憶されているPOI情報、端末の姿勢情報、位置情報等に基づき、POIを画面120へ描画する。画像処理部30は例えば図3に示すように、ユーザの現在位置を画面の下側中心に設定し、POIを示すアイコン31や、POIに関する詳細の情報を示す文字情報等を、仮想空間上の画像に重ねて画面300に表示させる。画面300は、概ね矩形である。
【0028】
図2は、実空間におけるPOIの位置情報、姿勢情報に基づいて、仮想空間上にPOIを描画するときの本発明の1実施形態によるフローチャートを示したものである。以下、ユーザが携帯端末を所持したまま、ある位置に停止している状態にいることを前提として図2の流れに沿って説明する。このとき、ユーザは携帯端末を所持し、携帯端末画面をユーザ側に向けたまま、携帯端末を上下左右に動かしたり、ユーザの現在位置を中心軸としてヨー角方向へ回転したり、傾けたりすることがあるが、ユーザの緯度、経度は変化していない。ここで、実空間におけるPOIの位置情報、姿勢情報等は、事前に生成されメモリ102に格納されている。
【0029】
まず、入力検出部116は、ユーザによりなされたアプリケーションの起動処理を検出し、制御部10へ送信する。制御部10は、ユーザによる起動処理を受け付けた後、フラッシュメモリ内に格納されているアプリケーションを読込し、該アプリケーションをヒープメモリに展開する。アプリケーションの起動処理は、ユーザによる入力キー110、例えばテンキー等を押下させる等してなされる。入力キーとしては、プッシュキーや十字キーを使用しても良いし、画面一体型のタッチパネルを使用してもよい。
【0030】
次に制御部10は、現在の携帯端末の位置を特定する処理を実行する。現在の端末位置の特定処理は、まず、位置検出部114が、位置センサ106により測位された現在の携帯端末の位置情報(緯度、経度)を取得し、該測位結果をヒープメモリへ格納する(S200)。位置センサとして、例えば、GPSを用いることができる。GPSによる位置情報の取得は屋内や地下街では困難であるため、屋外ではGPSにより位置情報を取得し、屋内や地下街ではPHS通信により位置情報を取得するようにしてもよい。
【0031】
次に、制御部10は、メモリ102に蓄積されているPOI情報の取得処理を実行する(S202)。具体的には、POIに関するPOI情報、ここではPOIの緯度、経度を順に読み込みしていく。そして携帯端末の現在位置を中心として、中心と距離の近いPOI情報から順に、k個のPOIに関する情報をヒープメモリに蓄積する。このとき、読み込みするPOIの数(k個)はあらかじめ規定されており、携帯端末画面に表示したいPOIの数に応じて規定されている。kが大きいと、画面に表示されるPOI数が多くなり画面が見づらくなるため、kは画面にPOIを表示したときに視認性が保たれる程度の数に規定される。携帯端末の現在位置を中心として、各POIの緯度、経度座標に基づいて、中心と距離の近いPOIから順にk個のPOIが選択される。
【0032】
ここで、POI情報は、携帯端末のメモリ102に蓄積されているものを用いても良いし、通信部(図示せず)を通じてサーバから取得されたものを用いてもよい。適時サーバからその都度必要な分だけダウンロードしてヒープメモリ、フラッシュメモリに記憶することでメモリの小容量化を実現することができる。サーバから取得する場合、CPUは通信部を通じてサーバにPOI情報検索リクエストを発行し、サーバから出力されるレスポンスデータをヒープメモリ、フラッシュメモリに蓄積する。
【0033】
次に、制御部10によって、画面に表示する縮尺を設定し、最内円の半径A1を算出する処理を実行する(S204)。画面上で表示する縮尺の設定は、あらかじめ規定されたPOIの数(k個)に応じて行われる。本処理についての詳細は後述する。
【0034】
次に、制御部10は姿勢検出部114により、姿勢センサ108を用いて一定期間、携帯端末の姿勢情報を取得し、メモリ102へ順に格納する(S206)。姿勢情報は、ヨー角、ピッチ角である。姿勢情報の取得処理は、姿勢センサ108を用いて一定期間行われ、姿勢検出部114により測位された携帯端末の姿勢情報(ヨー角、ピッチ角)を検出する。該測位結果は制御部10によりヒープメモリへ順に格納される。
【0035】
次に、制御部10は、S206により取得された姿勢情報から現在の端末の姿勢を特定する処理を実行する(S208)。制御部10は、ヒープメモリに蓄積された過去一定期間の携帯端末のヨー角、ピッチ角の情報を用いて、過去一定期間の値のばらつき具合を算出し、そのばらつき具合に基づいて現在の端末の姿勢を特定する。本処理についての詳細は後述する。
【0036】
次に、制御部10は、画像処理部118を用いて、現在の端末の位置情報、現在の端末の姿勢情報、及び実空間上のPOIの位置に基づいて、POIを画面120に描画する処理を実行する(S210)。本処理についての詳細は後述する。
【0037】
図3は一実施形態における、複数のPOIを描画した携帯端末の画面300である。実空間上では世界座標である東西南北の4方向を基準座標系とし、携帯端末のある位置を原点としている。携帯端末の仮想空間上では、画面300において、携帯端末のある位置を画面の下側中央を原点とし、携帯端末の画面の横幅をx座標、縦幅をy座標とする座標系としている。なお、画面内の仮想空間では、携帯端末の現在の位置を座標の中心を自由に設定することができ、例えば、画面の中央、あるいは画面の下左隅に配置すること等も可能である。
【0038】
図3に示されるように、ユーザの現在の位置は、携帯端末の画面300の画面下側中心に存在するとして設定されている。携帯端末の画面300の上側、又は左右側に行くに従って、ユーザから遠い位置を表示するよう描画される。
【0039】
図3においては、地画像として、携帯端末の向けられた方角に対応する地表面の画像が表示されている。地画像には、現在の携帯端末の位置を中心として、半径の異なる楕円(又は円)の一部が描かれている。これらの楕円(又は円)の一部は、画像処理部118によって、それぞれ等間隔に描画されている。画面上に表示されている曲線(曲線310,320等)の間隔は、それぞれ実空間上の間隔(例えば500m)に対応している。ここで、原点から最も近い距離に描画されている楕円の一部(曲線310)は最内円の半径B1の円周を示したものであり、原点から最も遠い距離に描画されている楕円の一部(曲線320)は最外円の半径B2の円周を示したものである。最内円、最外円の詳細については後述する。そして、地画像の上に各POIの存在する位置が仮想的に重ねて表示されている。従って、ユーザは画面の原点から数えていくつ目の曲線にPOIが描画されているかを画面上で視認することにより、現在の携帯端末からのPOIの距離を把握することができる。また、図3に示されるように、画面上に、各曲線が描画されている原点からの距離が、実空間における携帯端末の現在位置からのどのくらいの距離に相当するのか示すこともできる。
【0040】
また、図3においてはPOIを示すアイコンが複数描かれている(330,340等)。これらのアイコンの形状は円形、楕円形、正方形、長方形等、自由に規定することが可能である。ここで、POI340は、他のPOI(例えばPOI330)と比較して強調して描画されている。これは、当該POIがフォーカスされた状態にあることを示している。フォーカス表示等の詳細については後述する。
【0041】
一般に、携帯端末において2次元の地図を画面表示する場合、関心地点の存在する2次元平面を上から見た、すなわち2次元平面に水平の方向から見たときの地図を表示している。本発明においては、図3に示されるように、関心地点の存在する2次元平面を横から見た、すなわち2次元平面に垂直の方向から見たときの地図・景色を表示している。従って、ユーザは上から見たときの表示画面から、横から見たときの景色をイメージする必要は無く、携帯端末に示されたPOIの存在する方向のみによりPOIの存在する方向を把握することができる。
【0042】
また、本発明においては、実空間において自分が向いている方向に見ることのできる景色と、携帯端末に表示される表示画面に示される画像とが一致する。従って、ユーザは回転された表示画面をイメージする必要なく、関心地点の存在する方向を判断することができる。
画面の縮尺の設定
図4は、上記S204における処理を示すフローチャートである。以下、画面の縮尺を設定するための流れを図4に基づいて説明する。実空間におけるPOI情報に基づいて、仮想空間上にPOIを描画するときの本発明の一実施形態によるフローチャートである。端末の周辺に存在するPOI群の存在密度に応じて仮想的に表示する画面の表示縮尺を変更することにより、表示画面の視認性を高めることができる。
【0043】
具体的には、まず、フラッシュメモリに蓄積されているk番目のPOIであるPOIkの緯度、経度情報を読込する(S400)。各POIの緯度、経度情報はPOIデータベースに格納されている。制御部10はPOIデータベースに格納されているPOIの緯度、経度情報を用いて、現在位置から距離の近いPOIを順に特定していく。k番目のPOIが特定されると、制御部10はフラッシュメモリに蓄積されているk番目のPOIであるPOIkの緯度、経度情報を読込する。ここで、kはあらかじめ規定されており、携帯端末をヨー角方向に一周(360度)回転させたときに、画面上に表示される最大のPOIの数である。
【0044】
次に、制御部10は、POIkの緯度、経度情報から現在の端末位置との距離を算出する。そして、該算出された距離を、最外円の半径A2として規定し、該算出された距離を、縮尺情報としてヒープメモリに格納する(S402)。そして最外円の半径A2を同心円数で割った値を、最内円の半径A1と規定する(S404)。同心円数は予め規定されている。さらに、最内円の半径A1が1km未満の場合、100m単位で量子化し、1km以上であれば1km単位で量子化する。
【0045】
本実施形態においては、画面上に表示する最大のPOI数を定め、中心から最も遠いPOIの実空間上の距離を、仮想空間における最外円の半径A2として規定している。また、さらなる実施形態においては、現在位置から距離の近いPOIを順に特定していき、k番目のPOIが特定されると、これまで特定されたPOI1からPOIkまでのすべてのPOIに関して、現在の位置と、各POIとの距離の平均値を算出する。そして、算出された平均値の定数倍を最外円の半径A2として規定することもできる。
【0046】
以上より、実空間における一定の距離を仮想空間上に対応させる際に、その対応関係を動的に変更することにより、仮想空間における表示縮尺は動的に変更可能となり、表示画面の視認性が高まる。図3の画面300に示すように、画面上には仮想的に一定の幅毎に曲線310〜350が描画されている。該曲線は画面300の原点を中心として同心に描画されており、曲線の間隔はそれぞれ一定である。画面300に表示されている曲線の間隔は、実空間における一定の距離にそれぞれ対応している。従って、ユーザは表示されている曲線に基づいて、現在の位置からPOIの存在する距離までを容易に把握することができる。
【0047】
以上より、本発明においては、画面上に表示する最大のPOI数が規定され、該最大のPOI数を表示するよう最外円の半径が規定されている。そして、自動的に画面に表示する縮尺が決定される。従って、ユーザは画面の縮尺を変更することなく、POIを画面に表示することが可能である。また、携帯端末をかざした方向に、関心地点が画面表示されていない場合においても、携帯端末をヨー角方向に回転すると、必ずPOIが表示される。そして360°回転すると、最大のPOI数に対応する全てのPOIが表示される。従って、ユーザは容易に関心地点の存在する方向、距離を把握することができる。また、ユーザは容易に関心地点の密集・散在する方向、距離を把握することが可能である。
【0048】
一方、従来の地図描画システムにおいては、画面に関心地点が表示されていない場合は、ユーザは関心地点が表示されるまで表示画面の縮尺を変更するための処理を行う必要があり、さらに描画された地図に基づいて関心地点が存在する方角を判断することになる。また、縮尺の変更によって、画面の縮尺が大きくなると、地図表示は細かくなることから、ユーザの周辺の情報に基づいて関心地点の存在する方角を判断することは困難である。
端末の現在の姿勢を特定
図5は、上記S208における処理を示すフローチャートである。以下、姿勢センサから取得される姿勢情報に基づいて、端末の現在の姿勢を特定するための流れを図5に基づいて説明する。姿勢センサから定期的に測定される姿勢情報にはばらつきが存在する。測定された姿勢情報において、ばらつきの程度が大きい場合には測定精度が低下してしまい、端末の正しい姿勢で描画することができなくなる。また、ばらつきのある測定結果に基づいてその都度POI情報等の描画を行うと、画面上の表示もぶれているため、特に端末が停止している場合に画面が見づらくなる。本実施形態においては測定結果のばらつきを抑制するため一定期間に取得された姿勢情報を平均化して表示する。
【0049】
具体的には、まず、姿勢センサ108はヨー角、又はヨー角及びピッチ角の両方を一定期間に亘り定期的に取得する(S500)。ピッチ角についてもヨー角と同様の処理が行われるため、以下の説明では省略する。取得されたヨー角は時系列に制御部10により順次ヒープメモリに格納される。
【0050】
次に、制御部10は、ヒープメモリから、過去一定期間に取得されたヨー角データを読み込みし、ヨー角データの標準偏差sを算出する(S502)。次に、制御部10は、ヨー角データの移動平均を算出するための窓長wを算出する(S504)。窓長wは、sに反比例するよう設定されており、ヨー角の移動平均を算出するために必要な測定結果の数である。すなわち、一定期間に取得されたヨー角のばらつきが大きい場合、すなわち標準偏差sが大きい場合には、窓長wは小さくなる。ここで、移動平均は線形加重移動平均、加重移動平均等であってもよい。
【0051】
次に、制御部10は、窓長wに対応する数のヨー角データ群を用いて、該データ群の平均値Yを算出する。そして算出された平均値Yを端末の現在の姿勢yaw_tとして、ヒープメモリへ格納する(S506)。S600からS606の処理は、ユーザからアプリケーションの終了指示を受けるまで繰り返される。以上により端末の現在のヨー角が求められる。ヨー角の算出方法と同様に、端末の現在のピッチ角pitch_tが求められる。
【0052】
本発明においては、ヨー角の平均を算出するために用いる窓長wを標準偏差の変化に応じて可変にすることにより、実際の姿勢変化に応答した適切な描画処理がなされる。例えば、端末の姿勢が一定期間に大きく変化した場合には窓長wが小さくなる。この場合、より少ないヨー角、またはピッチ角データを用いて移動平均値を取得するため、実際の姿勢変化に敏感に応答して描画がなされる。一方、端末の姿勢が一定期間に殆ど変化しない場合には窓長wは大きくなる。この場合、より多いヨー角、またはピッチ角データを用いて移動平均値を取得するため、描画処理はぶれを生じることなくなされる。
【0053】
以上により、ユーザが携帯端末をヨー角方向に短期間で大きく変化させる場合は、表示画面が実空間における携帯端末のヨー角方向における変化に素早く応答することができ、ユーザは表示画面を視認しやすくなる。また、ユーザが携帯端末をヨー角方向に殆ど変化させない場合は、より長い期間に取得されたヨー角を用いて平均値をとることから、表示画面の微細なぶれが軽減される。このため、ユーザは表示画面を視認しやすくなる。
画面上のPOI描画
図6は、上記S210における処理を示すフローチャートである。以下、POI群に含まれる各POIの位置を端末の姿勢に応じて画面に描画する流れを図6に基づいて説明する。まず、制御部10は現在の端末の位置を中心として、中心との距離がA2より小さいPOIの群をフラッシュメモリから読み出しする(S600)。次に、POI群に含まれる各POIを、それらの緯度、経度情報に基づいて半径B2の円内に対応付ける(S602)。B2は、実空間における最外円の半径A2に対応する仮想空間上の最外円の半径である。B2はあらかじめ視認性が保たれる同心円数と最内円の半径B1によって定められる。
【0054】
次に、制御部10は、S200により求められた端末の位置情報、S202により求められた端末周辺のPOI群に含まれる各POIの緯度、経度情報、S204により求められた縮尺情報、及びS206により算出された端末の現在の姿勢情報をヒープメモリから読み出しし、読み出しされた各情報に基づいて、画面上の描画座標(xd、yd)を算出し、算出された描画座標をヒープメモリへ蓄積する(S604)。各POIの画面上の描画座標(xd、yd)は、端末のヨー角、及びピッチ角に応じて算出される。
【0055】
ここで、(xa、ya)は世界座標系、すなわち東西南北を基準として、現在の端末の位置を原点に設定したときのある1つのPOImの座標である。まず、POImの世界座標における座標(xa、ya)を、現在の端末の向いている方角、すなわちyaw_t時計回りに回転させた座標に対する座標系へ座標変換する。絶対座標におけるPOIの座標(xa、ya)は、yaw_t時計回りに回転させると、
【0056】
【数1】
【0057】
と算出される。次に、yaw_t回転した座標系におけるPOImの座標(xb、yb)を、現在の端末のピッチ角、すなわちpitch_t回転させた座標系へ座標変換する。yaw_t回転した座標系におけるPOImの座標(xb、yb)は、yaw_t回転させると、
【0058】
【数2】
【0059】
と算出される。以上により、実空間における座標(xa、ya)が、画面空間における座標(xd、yd)に変換され、端末の現在の姿勢情報に応じて各POIの画面描画座標が算出される(S604)。
次に、算出された画面描画座標(xd、yd)に基づいて画面処理部118は各POIを画面に描画する(S606)。
【0060】
以上のように、本実施形態においては、携帯端末をかざしている方向に従って、表示画面も回転して表示される。従って、常に、携帯端末に表示される表示画面の方向と実空間において自分が向いている方向は一致している。ユーザは、2次元の地図を見るときのように回転された表示画面をイメージして、関心地点の存在する方向を把握する必要はない。以上より、本発明により、ユーザは回転された表示画面をイメージしなくとも、関心地点の存在する方向、距離を判断することが可能となり、視認性が向上する。
POIの生成処理
図7はPOI情報を生成するために用いられる携帯端末のハードウェア構成を示す。POI情報はあらかじめ生成されており、生成された携帯端末装置のメモリ102に格納されている。POI情報は、携帯端末の通信部を介して接続されるネットワーク上のサーバ(図示せず)に格納されていてもよい。
【0061】
POI情報を生成する場合は、図1に示されるハードウェア構成に加えて、入力部20には、新たにカメラ122、画像検出部124、加速度センサ126、加速度検出部128を備えている。図1に示される出力部30は備えていない。なお、図7における各構成要素の参照番号は図1における各構成要素の参照番号に対応している。
【0062】
ここで、カメラ122は、ユーザがある関心地点の画像を撮影するために用いられる。画像検出部124は、バスを介して制御部10に接続されており、カメラから取得された関心地点の撮影画像を表すディジタル情報を生成し制御部10へ出力する。加速度センサ126は、撮影時の加速度情報を取得するために用いられる。加速度検出部128は、バスを介して制御部10に接続されており、加速度センサから取得された撮影時の加速度情報を表すディジタル情報を生成し制御部10へ出力する。
【0063】
図8はPOI情報を生成する処理を示すフローチャートである。以下、携帯端末により1つのPOIに対するPOI情報を生成する流れを図8に基づいて説明する。POIが複数存在する場合は、以下のS800からS806の処理をPOI毎に行う。まず、入力キー110からのカメラの起動入力を入力検出部116にて検出する(S800)。次に、制御部10は検出されたカメラの起動入力に従って、画像検出部124を用いて、カメラ122から入力された撮影画像を取得する(S802)。また、同時に制御部10は、検出されたカメラの起動入力に従って、位置検出部112を用いて位置情報を、姿勢検出部114を用いて姿勢情報を、加速度検出部128を用いて加速度情報を取得する(S802)。すなわち、位置検出部112を用いて、位置センサ106により測位された現在の携帯端末の位置情報(緯度、経度)を取得し、姿勢検出部114を用いて、姿勢センサ108により測位された現在の携帯端末の姿勢情報(ヨー角、ピッチ角)を取得し、加速度検出部128を用いて、加速度センサ126により測位された現在の携帯端末の加速度情報(重力加速度)を取得しメモリ102へ格納する。次に、制御部10は、取得された加速度情報から、撮影時の携帯端末の傾き角度を算出する(S804)。撮影時の携帯端末の傾き角度とは、携帯端末を横向きにして撮影したか、又は縦向きにして撮影したか等による姿勢である。まず撮影は、端末画面120に垂直方向の軸に90度単位に回転した状態で行われる。すなわち、画面を縦向きにしたり、横向きにしたりして撮影される。そして、撮影したタイミングにおける3軸の加速度データ(x,y,z)を加速度センサ126から取得し、加速度検出部128は3軸(x,y,z)のうちいずれかの軸方向の値が重力加速度±9.8m/sec2の値を示すかを検出する。次に、制御部10は、検出された軸方向の値に基づいて、撮影時の端末の回転角を取得する。以上により撮影時の携帯端末の傾き角度が算出される。撮影された携帯端末の画像と、実空間において認識される景色との見え方に違いが生じていると、例えば実空間で認識される景色に対し、表示画面が90度時計方向に回転していると、ユーザが表示された画像を見る際に、実空間で認識される景色と比較しにくく、関心地点を表す画像としては適切ではない。従って、ステップS210においては、該画像は、POI描画時に算出された撮影時の携帯端末の傾き角度に基づいて回転されて表示される。なお、POI描画の前に、あらかじめ画像を回転してメモリへ格納しておいてもよい。また、取得された携帯端末の姿勢情報は、後述するステップS916において、至近距離のPOIを画面に描画する際に用いられる。
【0064】
次に、制御部10は、取得された撮影画像、位置情報、姿勢情報、撮影時の携帯端末の傾き角度をメモリ102へ格納する(S806)。また、撮影画像に付されるタイトル、コメントや、撮影日時、撮影者情報を付随して格納することもできる。POIについて情報が取得されると、取得された情報に基づいてPOIデータベースが生成される。
【0065】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図9は、第2の実施形態に対応するPOIの描画処理を示すフローチャートであり、上記、第1の実施形態である図2のフローチャートとほぼ同じ処理で構成されている。第1の実施形態と異なっている点は、図2は、POI群に含まれる全てのPOIが、仮想空間上に全て同じ方法で描画されるのに対し、本実施形態においては、各POIの実空間上の位置に応じて、それぞれのPOIは異なった方法で描画されることである。すなわち、本実施形態においては、実空間上のPOIの位置が半径A1の最内円より外側に存在するか否か、又は至近距離に存在するか否か等によってPOIの描画処理が異なる。第2の実施形態における処理によって、さらに描画画面の視認性を高めることが可能となる。
【0066】
以下、POI群に含まれる各POIの位置を実空間上の位置に応じて画面に描画する流れを図9に基づいて説明する。
【0067】
まず、図2に示される処理S200からS208に対応する処理S900からS908がなされる。次に、実空間上のPOIの位置が、半径A1の最内円より外側に存在するか否か判定する(S910)。詳細には、S902により最外円の半径A2内に存在する全てのPOIの緯度、経度情報がヒープメモリに格納されている。制御部10は、ヒープメモリからPOI群に含まれる各POIの実空間上の位置情報を取得する。そして、制御部10は、取得された各POIの実空間上の位置情報に基づいて、それぞれPOIの位置が半径A1の最内円より外側か否か判定する。
【0068】
判定の結果、POIの位置が半径A1の最内円より外側に存在する場合、そのPOIは、POI生成時の姿勢情報(ヨー角、ピッチ角)に基づいて描画、すなわち図2におけるS210に対応する処理により描画する(S914)。
【0069】
判定の結果、各POIの位置が半径A1の最内円上、又は最内円より内側に存在する場合は、CPU100は、該POIが、至近距離に存在するか否か判定する(S912)。至近距離とは、GPSの測位誤差よりも小さな距離であり、制御部10がPOIの位置とほぼ同じ場所に端末が存在すると判断する可能性のある距離である。例えば10m程度の距離である。至近距離の値は、閾値Cとしてあらかじめ規定されている。すなわち、ステップS912においては、実空間上における携帯端末とPOIの距離が閾値C未満であるか否か判定する。
【0070】
ステップS912による判定の結果、POIが至近距離に存在する場合には、POI生成時に取得されたヨー角に基づいて、画像処理部118は画面120へ描画する(S916)。POI生成時に取得されたヨー角とは、POI生成処理において取得された携帯端末のヨー角である。至近距離内に存在するPOI群に含まれるPOIは、それぞれPOI生成時に取得されたヨー角のみを用いて描画される。すなわち、至近距離内のPOIは、POI生成時に取得されたヨー角と同じ方向に仮想的に描画され、携帯端末の画面がPOI生成時に取得されたヨー角と同程度の方向に向けられると、POIが画面に表示される。本実施形態においては、実空間における携帯端末の位置は、画面の下側中心になるよう設定されている。ここで、実空間における携帯端末の位置を、携帯端末の画面のどの位置に対応付けるかによってPOIの画面への表示は異なる。例えば、実空間における携帯端末の位置を、画面の中心に表示するよう設定しているときは、画面の中心を中心として、POI生成時に取得されたヨー角の方向に、POIが表示される。
【0071】
至近距離に存在するPOIを、POI生成時の姿勢情報、位置情報に基づいて画面に描画しようとすると、位置センサにより測位される位置情報に誤差がある場合に、画面上に正確にPOIを表示することが困難となる。例えば、位置センサにより測位される端末の位置に数mの誤差があると、POIが実際に存在する方角とは全く逆の方角に表示される可能性がある。特に、実空間上の携帯端末の位置とPOIの存在する位置との距離が、実空間上の携帯端末の測位誤差よりも小さい場合に正しく表示することが困難になる。
【0072】
従って、至近距離に存在するPOIは、POI生成時に取得されたヨー角のみを用いて描画される。これによりユーザは至近距離に存在するPOIの方角を正確に認識できる。ユーザがPOIを生成した場所の近辺に来たときにも、携帯端末の描画画面上でそのPOIが同じ方向に見えるようになる。従って、位置センサにより測位される携帯端末の位置に誤差が存在する場合でも、ユーザはPOIの存在する方向を把握することが可能である。
【0073】
一方、ステップS912による判定の結果、POIが至近距離に存在しない場合、画像処理部118は、該POIを最内円の円周上に描画する(S918)。すなわち、実空間上における携帯端末とPOIとの距離が閾値C以上であって、半径A1の最内円以内に存在しているPOIの群が描画される。これらのPOI群を近距離POI群と呼び、本近距離POI群の描画処理についての詳細は図10を用いて詳述する。
近距離POI群の描画
図10は、上記ステップS918に対応する処理を示すフローチャートである。以下、近距離POI群を描画するための流れを図10に基づいて説明する。ここでは、半径A1の最内円より内側又は最内円上に存在しており(S910)、かつ現在の携帯端末の至近距離には存在していない(S912)の近距離POI群の描画処理を示す。まず、制御部10は、メモリに格納されている現在の携帯端末の緯度、経度(xlat,xlon)、及び近距離POI群に含まれる各POIの緯度、経度(xe,ye)を読み出しし、現在の端末の緯度、経度と、近距離POI群に含まれる各POIの緯度、経度により生成されるベクトルの傾きmを算出する(S1000)。ここで、傾きmは、
【0074】
【数3】
【0075】
により算出される。傾きmは近距離POI群に含まれる全てのPOIについて算出される。次に、近距離POI群に含まれる各POIを半径A1とする最内円の円周上の座標に射影する(S1002)。最内円の半径A1は、表示したいPOI数に応じて動的に設定されている(S204)。ここで、最内円上に射影したときの近距離POIの座標を(xe’,ye’)とすると、A12=xe’2+ye’2=(1+m2)xe’2となる。従って、最内円上に射影したときの近距離POIの座標は、
【0076】
【数4】
【0077】
となる。以上より、最内円の円周上の座標に射影した場合の近距離POIの座標が求められる。次に、制御部10は、端末の姿勢情報に応じて各近距離POIの画面描画座標(xd,yd)を算出し、メモリへ算出結果を格納する(S1004)。本処理は、S604に示したものと同様に実行される。
【0078】
次に、画像処理部は、メモリに記憶されている画面描画座標に基づき、画面120に近距離POIを描画する(S1006)。
【0079】
近距離に存在するPOI群を、各POIの緯度、経度に基づいて画面に描画しようとすると、近距離に存在するPOI数が多い場合に多くのPOIを表すアイコンが最内円の内側に描画されてしまい、画面が見づらくなる。例えば、近距離に存在する多くのPOIを示すアイコンが密集して表示され、あるいは重なって表示されていると、ユーザはある一つのPOIを示すアイコンを選択することが困難となる。
【0080】
本発明においては、近距離に存在するPOI群を、最内円の円周上の座標に射影して描画するため、近距離に存在するPOI数が多い場合でも、POIを示すアイコンは少し離れて表示されるため、ユーザはある一つのPOIを示すアイコンを選択しやすくなる。また、距離が近い場所に複数のPOIを描画すると、そのPOIアイコンのサイズによっては、他のPOIがそのPOIアイコンに隠れて表示されなくなる場合がある。本発明においては、近距離に存在するPOI群を画面座標系の原点から一定の距離まで遠ざけて描画することによって、近距離に存在するPOI同士で一方のPOIが隠れてしまうことを抑制することができる。
【0081】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態が図11に示される。第3の実施形態により、画面120に表示するPOIの選択を容易にし、簡単なキー操作でPOIが選択される。例えば、ユーザがある1つのPOIについてより詳細の情報を入手したい場合、画面120に表示される他のPOIが所望のPOIと近接していると、携帯端末の画面を向ける方向を少しだけ変化させて所望のPOIを選択するために高度なスキルが必要であった。本実施形態においては、高度なスキルを必要としなくても、所望のPOIを選択し、フォーカスをあてることを可能とするものである。
【0082】
図11は、描画画面をズーム処理するための流れを示すフローチャートである。図12a、b、cは、第3の実施例による携帯端末装置の画面表示について説明するための図である。以下、画面にはあらかじめ描画処理により、POI群に含まれるPOIが描画されていることを前提として図11の流れに沿って説明する。すなわち図12a、b、cにおいて、現在の携帯端末から一定の範囲に存在する複数のPOIが、あらかじめ画面に描画されている。
【0083】
なお、一般に、ズームとは被写体の像を拡大したり(ズームイン)縮小したり(ズームアウト)して映すことをいう。本発明においては、ズームとはある地点に存在する像を、画面座標系おける原点により近く表示したり(ズームイン)より原点から遠く表示したり(ズームアウト)することをいう。すなわち、ユーザは現在の位置に留まったまま、携帯端末による操作のみで、ある地点に存在するPOIを画面空間上でより近くに表示したり、より遠くに表示したりすることが可能となる。また、本発明においては、フォーカスとは、現在操作可能なアイコンを指定しているもののことである。フォーカス表示とは、指定された現在操作可能なアイコンを強調して表示することをいう。
【0084】
まず、制御部10は、あらかじめ規定されている画面内の基準点Cからy座標の距離が最短の距離に描画されているPOIを選択し、該POIをフォーカス対象POIとして選択し、該POIをフォーカス表示する(S1100)。基準点Cは、例えば、画面上の半径B1の最内円の円周と、画面のy軸とが重なった点上に設定される。制御部10は、選択されたPOIを、画像処理部118により画面300内で、現在選択され、操作可能であることを示すアイコンを強調して表示、すなわちフォーカス表示する。フォーカス表示されているPOIは、現在選択されているPOIであることを示している。
【0085】
例えば、図12aに示されるように、画面内に表示されているPOI1、POI2のうち、基準点Cからのy座標の距離が最短のPOI1(x1,y1)が選択されている。ここで、座標x1,y1はいずれも画面上の座標である。基準点Cからのxとy軸の両方の距離に基づいて最短のものを選択すると、検索窓が移動したときに、あるPOIにおいて、基準点Cからのy座標の距離は最も短いが、x,y座標の両方の距離に基づく距離は他のPOIよりも長い場合、該POIは選択されないままになってしまう。従って、本実施形態においてはy座標の距離が最短のPOIを選択する。そして、選択されたPOI1は画面内においてフォーカスがあてられ、フォーカス表示されていない他のPOI2よりも強調したアイコンを用いて表示される。例えば、画像処理部118はフォーカス表示されたPOIを、他のPOIに比して拡大してアイコン表示したり、POIを示すアイコンを違う色の枠で囲んだり、他のPOIよりも目立つ枠で囲んだりして表示する。
【0086】
次に、制御部10は、入力検出部116により入力キーからのズームイン指示の入力が検出されたかを判断する(S1102)。本実施形態において、入力キー110は、携帯端末に備えられている上下左右のキー、スクロールキー等である。入力キーからの入力処理は、入力検出部116により検出される。ズームイン指示の入力とは、例えば入力キー110の上キーの押下入力である。
【0087】
次に、制御部10は、入力検出部116によりズームイン指示の入力が検出された後、あらかじめ規定されている画面内の基準点Cのy座標に、底辺が接するよう検索窓を仮想的に生成する(S1104)。検索窓は基準点Cのy座標に底辺が接するように生成されるところ、POIの検索窓の生成される位置は基準点Cのy座標の位置に基づいて定められる。なお、本検索窓は、図12a,bにおいて示されるように、長方形であっても、また、図12cにおいて示されるように三角形でもよい。また、台形等でもよい。検索窓の横幅は画面の横幅と同程度であるが、検索窓の縦幅は、画面の縦幅よりも大きいことが望ましい。例えば、ユーザからの上キーの押下が検出された場合、これはユーザがより遠くに存在する、すなわち画面の上側方向に存在するPOIを閲覧したいという要求であることがわかる。従って、方位の大きく異なるPOI(例えば、画面の左右方向や手前方向)へのフォーカス移動はユーザの要求に沿ったものではないため検索窓の横幅は画面の横幅と同程度に設定される。ユーザは、入力キー110による簡単な操作のみで、検索窓内に仮想的に存在するPOIを順次選択することが可能となる。
【0088】
次に、入力検出部116によりズームイン指示の入力が検出されたと判定した場合、制御部10はPOI2(次のフォーカス対象POI)が最内円の接線上に移動するまで、(図12b)画像処理部118を用いて、画面に表示されている表示画像をy軸の負の方向にスライド表示させる(S1106)。
【0089】
図12bは、図12aに示される画面表示がズームイン処理されたときの描画画面を示す。図12bを参照すると、先に選択されたPOI1は表示画像がスライドされたことにより、検索窓の外に移動しており、画面に表示されていない。また、表示画像がスライドされたことによりPOI2が基準点Cから最も近いPOIとして最内円の接線上に表示されている。さらに、POI3が新たに画面に表示されている。さらに、POI4が新たに検索窓内に存在している。なお、入力検出部116によりズームアウト指示の入力を検出した場合には、検索窓は画面内の基準点Cのy座標に上底が接するよう仮想的に生成され、画面に表示されている画像はy軸の正の方向に移動される。
【0090】
次に、ステップS1100に戻り、制御部10は、あらかじめ規定されている画面内の基準点Cからy座標の距離が最短の距離に描画されているPOIを選択し、該POIをフォーカス対象POIとして選択し、該POIにフォーカスをあてる(S1100)。従って、基準点の周りにフォーカス表示されているPOIが常に存在する。図12bにおいて、画面内に存在するPOIのうち、POI2がy軸方向に基準点Cから最も近いPOIであるため、POI2が選択されている。
【0091】
S1102においてズームインの指示が検出されなかった場合、処理は終了する。S1102においてズームインの指示が検出された場合、上記S1104、S1106、S1100までの処理が繰り返される。なお、2回目以降のフォーカス表示処理においては、画面内に描画されているPOIがスライドされる距離は、現在のフォーカス表示されているPOIと、次にフォーカスされる対象のPOIとの間の距離となる。
【0092】
従来、画面に表示された地図をズームイン(拡大表示)するとき、マウスを用いてズームインしたい地図上の位置にマウスを合わせ、地図をクリックしたり、地図をグリップしたままマウスを動かしたりしていた。そして、フォーカス選択したい地点を、さらにマウスで選択する必要があった。すなわち、ユーザはある地点を表示するとき、地図のズーム処理と、フォーカス選択処理とは別に行う必要があった。
【0093】
本実施形態においては、地図のズーム処理と、POIのフォーカス選択処理とは同時に行われる。ユーザは入力キー110による簡単な操作のみでユーザに近い位置に存在するPOIを順に選択することが可能となる。さらに、入力キーによる簡単な操作のみで、POIの選択処理と同時に画面をズームインしたり、ズームアウトしたりすることが可能となる。
【0094】
また、従来、携帯端末を用いてユーザがある地点を画面表示したい場合、画面に関心地点が表示されていない場合は、ユーザは表示画面の縮尺を変更するための処理を行う必要がある。このとき、携帯端末においてはマウスを利用できないため、ユーザはあらかじめ規定されている複数の縮尺から表示縮尺を選択しなければならない。従って、ユーザが関心地点を視認しやすい縮尺で個別に表示することはできない。
【0095】
一方、本願発明においては、画面に関心地点が表示されていない場合は、まずユーザはヨー角方向に携帯端末を回転することにより、縮尺選択の処理を必要としないで、関心地点を視認することができる。さらに、より遠くに存在する関心地点を確認する場合、ユーザは入力キーを押下するだけで、描画画面をズームインし、同時に次の関心地点を選択することが可能である。このとき、ユーザは表示画面の縮尺を意識しないで、関心地点を確認することができる。また、より遠くに存在する関心地点を表示する場合、表示画面自体がスライドして表示されるため、従来のように縮尺を変更することによって地図表示が細かくなることはない。これは、携帯端末のように画面が比較的小さい場合に非常に有用である。
(第4の実施形態)
現在の端末の姿勢情報に基づいて、POIが画面に描画されていることを前提として説明する。本発明の第4の実施形態においては、入力検出部116がユーザからの入力キー110によるズームイン・ズームアウトの指示をその都度検出することなく、制御部が、姿勢検出部114により検出された角度が閾値以上変化したか否かに基づいて、画像処理部118により描画画面のズームイン、ズームアウト表示を行う。
【0096】
例えば、ユーザが入力キー110を押下したまま、携帯端末の画面をユーザ側に向けたまま画面下側を軸にして、画面上側を向こう側に倒した動作(ズームイン動作)を行う。すると、姿勢検出部114は、携帯端末の姿勢センサ108からのピッチ角の変化を検出する。制御部は、姿勢検出部114により検出されたピッチ角の変化が閾値以上(例えば、30度以上)の場合に、画像処理部118により描画画面のズームイン表示を行う。
【0097】
そして、制御部10は、入力キー110からの入力が検出されなくなると、すなわち、ユーザが入力キー110をリリースすると、フォーカス対象POIを検索し、選択する。すなわち、制御部10は、あらかじめ規定されている画面内の基準点Cからy座標の距離が最短の距離に描画されているPOIを検索し、該POIをフォーカス対象POIとして選択する(S1100)。
【0098】
従って、ユーザは画面表示をズームインする都度、入力キー110を押下することなく、入力キー110を押下したまま携帯端末の画面をユーザ側に向けたまま画面下側を軸にユーザと反対側に回転させることにより画面のズームインを行うことができる。また同様に、ユーザは入力キー110を押下したまま携帯端末の画面をユーザ側に向けたまま画面下側を軸にユーザ側に回転させることによりズームアウトを行うことができる。
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態においては、携帯端末の現在の位置から遠方に存在するPOIを画面に描画する際に、画像処理部118は一定の処理に基づいて描画を行う。遠方に存在するPOIを描画する際、本実施形態による処理を行うことなく実際の端末のヨー角変化に対応させて画面描画を行うと、例えば1度ヨー角が変化しただけでも描画画面が大きく変化してしまう。したがってユーザは、遠方に存在する特定のPOIを確認するためには、携帯端末を微小に移動させていく必要がある。しかしながら、このような操作はユーザにとって非常に難しく、好ましくない。
【0099】
従って、本実施形態においては、遠方のPOIを描画する際に、実際に携帯端末が回転した角度に対して、描画画面を回転させる角度を小さくする、すなわち鈍感化する。このようにすることにより、ユーザは端末を操作しやすくなり、かつ描画される画面も見やすくなる。
【0100】
図13は、遠方に存在するPOIを描画するための描画処理を示したフローチャートである。ここで、図13のフローチャートに記載される処理に入る前に、あらかじめ遠方円の半径の閾値Zと、遠方円の半径の限界閾値Z‘と、描画用回転角とが定められている。
【0101】
ここで、描画画面が遠方円の半径の閾値Zの距離(例えば、最内円の半径B1の12倍の距離)までズームインされた場合に、図13における処理を開始する。遠方円の半径の閾値Zは、制御部10により図13における処理を開始するか否か判定するために用いられる。
【0102】
また、遠方円の半径の限界閾値Z’とは、描画画面がズームインされた場合に、それ以上はズームインできない限界の距離(例えば、最内円の半径B1の24倍の距離)を示したものである。従って、ズームイン処理は現在位置から限界閾値Z‘の距離までズームイン可能である。
【0103】
また、描画用回転角とは、遠方円の半径の閾値Zより大きく、遠方円の半径の限界閾値Z’以下の距離まで描画画面がズームインされた場合に画面病がする際に用いられる角度である。例えば、遠方円の半径の閾値Zの距離(例えば、最内円の半径B1の12倍)までズームインされた場合には、実際の携帯端末のヨー角が90度変化すると描画用の回転角は90度変化するよう規定される。また、例えば、最内円の半径B1の15倍の距離までズームインされた場合には、実際の携帯端末のヨー角が90度変化すると描画用の回転角は75度変化するように規定される。例えば、遠方円の半径の限界閾値Z‘の距離(例えば、最内円の半径B1の24倍)の距離までズームインされた場合には、実際の携帯端末のヨー角が90度変化すると描画用の回転角は30度だけ変化するように規定される。描画用回転角は、このようにズームインされた倍率が大きくなるほど、実際の携帯端末の変化に対する描画用の回転角は小さくなるように規定されている(図14)。これは、POIの存在する位置が遠方であるほど、実際の携帯端末の変化による影響を大きく受けるからである。以下、図13の流れに沿って説明する。なお、実際の携帯端末のヨー角の変化に対する描画用の回転角の角度の変化は、それぞれ実施例に限定されず、他の値で規定可能であることはいうまでもない。
【0104】
まず、制御部10は、遠方円の半径の閾値Zを超えた距離までズームインされたかを判定する(S1300)。制御部10は、仮想空間における最内円の半径B1と、ズームイン処理により得られる半径とを随時比較している。なお、S1106によりフォーカス対象のPOIが変更される度に、制御部10は新たに選択されたPOIと、端末中心との距離をズームイン処理により得られる半径として算出する。そして、制御部10は、ズームイン処理により得られる半径が、本遠方円の半径の閾値Zを超えたか否か判定する。
【0105】
次に、制御部10は、ズームイン処理により得られる半径が、本遠方円の半径の閾値Zを超えたときの携帯端末のヨー角yawzを姿勢検出部114により検出し、メモリ102へ格納する(S1302)。
【0106】
次に、制御部10は、姿勢検出部114から定期的に端末の現在の姿勢情報yaw_tを取得する(S1304)。そして、制御部10は端末の姿勢変化量、すなわちヨー角の変化量Δyaw=yawz-yaw_tを算出し、メモリ102へ格納する(S1306)。
【0107】
次に制御部10は、端末の姿勢変化量Δyawとズームインにより得られる半径の距離から描画用回転角の変化量Δyawdrawを算出する(S1308)。Δyawdrawは、
Δyawdraw=1-( ((z-Z)/(Z'-Z)) * (1- ΔyawdrawZ'/ΔyawZ') )
により算出される。ここで、Δyawdrawは描画用回転角の変化量であり、yawzからの差分値である。zはズーム比率、Zは遠方円描画を行うズーム比率の閾値、Z'はズーム比率の限界値である。また、zのズーム比率は、現在フォーカスがあたっているPOIの中心からの距離と、最内円の半径B1との比率により算出される。さらに、ΔyawZ'はZ‘のズーム比率におけるΔyawであり、端末姿勢変化量の限界値を示す。また、ΔyawdrawZ'は、Z‘のズーム比率においてΔyawZ'だった場合のΔyawdrawを示す。
そして、描画用の回転角yawdrawは、yawdraw= yawz+Δyawdrawにより算出される。
【0108】
次に制御部10は、ステップS1308において算出された描画用回転角yawdrawを用いて、描画POIの回転処理を行い描画する(S1310)。本描画は上述したS210における処理に基づいて行われる。
【0109】
遠方に存在するPOIの場合、ヨー角に基づいて関心地点を表示すると、ユーザが携帯端末を少しヨー角方向に回転しただけで、表示画面が大きく変化してしまい、描画された関心地点が簡単に表示画面から外れてしまう。このため、携帯端末をかざす向きによってある関心地点を画面内に表示し続けることや、ある特定の関心地点を探して表示することが困難となる。
【0110】
一方、本発明は、遠方に存在するPOIを描画する場合に、現在の端末位置からのPOIの存在する位置に応じて、異なる回転角を用いて描画を行う。端末位置からの距離が遠い程、実空間における携帯端末のヨー角方向の変化に対する描画用の回転角は小さくなり、鈍感化される。これにより、ユーザが携帯端末をヨー角方向に少しだけ回転しても、表示画面が大きく変化することなく描画された関心地点は画面表示されたままになるため、ユーザは関心地点を確認しやすくなる。以上、本発明により、遠方POIを描画する際の携帯端末の操作性、視認性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の第1の実施形態による携帯端末装置のハードウェア構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による携帯端末装置で実行される処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施形態による携帯端末装置の画面表示について説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施形態による画面の縮尺を設定するための流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態による携帯端末装置の姿勢を特定するための流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態による各POIの位置を端末の姿勢に応じて画面に描画するための流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態によるPOI情報を生成するために用いられる携帯端末装置のハードウェア構成を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態によるPOI情報を生成するための流れを示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施形態による携帯端末装置で実行される処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態による近距離に存在するPOIを描画するための流れを示すフローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施形態による描画画像をズームするための流れを示すフローチャートである。
【図12】本発明の第3の実施形態による携帯端末装置の画面表示について説明するための図である。
【図13】本発明の第5の実施形態による、遠方に存在するPOIを描画するための描画処理を示したフローチャートである。
【図14】本発明の第5の実施形態による、実際の携帯端末のヨー角における変化と、それに対する描画用の回転角の変化を示した表である。
【技術分野】
【0001】
本発明はユビキタス環境下において、実空間に存在する関心地点を端末の姿勢に連動して画面表示するための端末システム及び方法に関する。
【従来の技術】
【0002】
実空間における画像データを記録データとしてデータベースに蓄積しておき、後に表示するシステムは様々な分野で利用されている。例えば、2次元の地図データを予めデータベースへ記録しておき、現在の位置情報と方位情報に応じて、後にある地点までの道のりを画面上で表示する携帯ナビゲーション装置に利用されている。また、車両に搭載されているカーナビゲーションにより車両の周辺に存在する関心地点を検出し、検出された関心地点を表示する場合に利用されている。例えば特開2006−292616号公報に開示されている携帯端末装置によると、ユーザに対して、現在位置から目的地までの道のりを地図データに基づいて複数画面表示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の表示システムは、ユーザの位置から目的地までのルートを2次元の地図上に表示するものである。したがって、従来の表示システムにおいては、ユーザは2次元の地図画像に基づいて、地図表示と眼前の景色とを見比べて関心地点の存在する方向を判断する。ユーザは関心地点を探すとき、地図表示から一旦目を離して周囲の景色を見渡すことになる。このとき、実空間のいずれの方向に関心地点が存在するかは、画面に表示された2次元の地図と、眼前の実空間における景色に基づいて判断される。従って、画面に表示された2次元の地図と、眼前の実空間における景色とを見比べることのみによって、現在の携帯端末の位置から、関心地点の存在する方向、および関心地点までの距離を把握することはユーザにとって困難である。
【0004】
また、画面に表示される地図は、例えば画面上側を北方向、画面下側を南方向として固定表示されている。従って、ユーザは携帯端末に表示される表示画面の方向と実空間において自分が向いている方向が異なる場合に、回転された表示画面をイメージして、関心地点の存在する方向を把握する必要がある。しかしながら、回転された表示画面をイメージし、関心地点の存在する方向を判断することはユーザにとって困難である。
【0005】
また、画面に関心地点が表示されていない場合は、ユーザは表示画面の縮尺を変更するための処理を行い、関心地点が存在する方角を判断することになる。画面の縮尺が大きくなると、地図表示は細かくなることから、ユーザの周辺の情報に基づいて関心地点の存在する方角を判断することは困難になる。
【0006】
また、ユーザが地図画像とユーザ周辺の景色とを見比べて関心地点の存在する方向を判断できる程度の縮尺で画面表示される状況は限られている。現在の位置から遠い位置に存在する関心地点を画面表示したい場合、ユーザは表示画面の縮尺を変更するための処理を行う必要がある。このとき、携帯端末の表示画面の縮尺はあらかじめ規定されているため、ユーザは複数の規定された縮尺からのみ表示縮尺を選択しなければならず、ユーザが関心地点を視認しやすい縮尺で個別に表示することはできない。
【0007】
また、携帯端末に搭載されたセンサから取得されたヨー角は、定期的に取得されている。携帯端末のヨー角が変化していない場合に、センサから取得されたヨー角を用いて随時画面描画すると、センサから取得されたヨー角はそれぞれ微細に異なるため、取得されたヨー角を用いて、その都度描画しようとすると表示画面にも微細なぶれが生じ、画面が見にくくなる。そのためカーナビゲーションや携帯端末向けナビゲーションにおいては、粗く離散的な8方向等の方位角で取得されたデータに基づいて、連動させて表示を行うことが一般的である。このブレを解消するためには、長い時間に渡ってヨー角を取得し、平均値などで置き換えることができるが、逆に、携帯端末のヨー角が大きく変化した場合にはセンサから取得されたヨー角の変化に基づいて、画面表示を素早く応答させられないため、表示画面が実際の携帯端末の動作に遅れて表示されてしまう。
【0008】
また、携帯端末からの距離が遠方に存在する関心地点の場合、ヨー角に基づいて関心地点を表示すると、ユーザが携帯端末を少し動かしただけで、表示画面が大きく変化してしまい、描画された関心地点が簡単に表示画面から外れてしまう。このため、携帯端末をかざす向きによってある関心地点を画面内に表示し続けることや、ある特定の関心地点を探して表示することが困難となる。
【0009】
本発明は、これらの課題を解決するために提供され、実空間に存在する関心地点を端末の姿勢に連動して画面表示するための端末システム及び方法を提供することを目的とする。本願発明においては、ユーザが現在位置を移動することなくバーチャル空間上の関心地点のみを自己の位置から見た方角と、自己の位置からの距離に基づいて表示することが可能となる。これにより、ユーザが現在の位置に基づいて関心地点の存在する方向、及び距離を把握することを容易にする。
【特許文献1】特開2006−292616号
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本願発明に係るシステムは、実空間に存在する対象物を端末の姿勢に連動して関心地点(POI:point of interest)を画面表示する。詳細には、本願発明は、実空間におけるPOIを、画面空間上に表示するシステムであって、該POIのそれぞれの緯度、経度情報はPOIデータベースに格納されており、実空間における現在の携帯端末位置を特定する、位置特定手段と、実空間におけるヨー角、ピッチ角からなる現在の携帯端末姿勢を特定する、姿勢特定手段と、前記特定された現在位置から、所定の区間内に存在するPOIに対応する緯度、経度をPOIデータベースから読み出す、読出手段と、前記読出しされた各POIの情報に基づいて、前記特定された携帯端末の現在位置からの各POIまでの距離を算出し、該算出された距離と、ヨー角、ピッチ角からなる前記特定された携帯端末の現在の携帯端末姿勢に基づいて画面空間上での各POIの座標を算出する、座標算出手段と、前記算出された各POIの画面空間上での座標に基づいて、実空間における地表面に垂直の方向から認識される、各POIの存在する方向、距離に基づいて各POIを画面に表示する、画面表示手段と、を備えることを特徴とするシステムに関する。
【0011】
本発明に係る関心地点を画面表示するためのシステムは、携帯端末の存在する位置からみた関心地点の存在する方向を示す。従って、ユーザは関心地点を探すとき地図表示から目を離さなくても、携帯端末をかざすだけで、関心地点の存在する方向、および関心地点までの距離を把握することができる。
【0012】
また、本発明に係るシステムは、さらに前記所定の区間は、前記POIデータベースに格納された各POIの緯度、経度情報を用いて、前記現在位置から距離の近いPOIを順に所定数特定する、POI特定手段と、前記現在位置と、前記特定されたPOIのうち最後に特定されたPOIとの距離を算出する、距離算出手段と、を含み、前記所定区間は、前記現在位置を原点とし、前記算出された距離を半径とする円区間で規定されることを特徴とする。従って、本システムによるとユーザは自動的に変更される縮尺に基づいて、関心地点の存在する方向、距離を把握することができる。
【0013】
また、本発明に係るシステムは、さらに姿勢特定手段において、前記実空間におけるヨー角、ピッチ角を姿勢センサから定期的に取得しメモリへ格納する手段と、前記メモリへ格納された過去一定期間内に取得されたヨー角、ピッチ角の標準偏差をそれぞれ算出する、第1の算出手段と、前記算出された標準偏差に基づいて、画面描画のための携帯端末のヨー角、ピッチ角を算出する、第2の算出手段と、含み、前記第2の算出手段により算出された画面描画のための携帯端末のヨー角、ピッチ角に基づいて現在の携帯端末姿勢を特定する、ことを特徴とする。従って、本システムによると、ユーザは端末姿勢の変化の程度に応じて適切に表示される画面を視認することができる。
【0014】
また、本発明に係るシステムは、実空間におけるPOIを、画面空間上に表示するシステムであって、該各POIに関する情報は、該POI生成時に取得された携帯端末姿勢を構成するヨー角を含み、POIデータベースに格納されており、前記POIが至近距離に存在するPOIである場合に、POI生成時に取得された前記POIのヨー角を前記POIデータベースから読み出す、読出手段と、実空間における地表面に垂直の方向から認識される、前記読出されたヨー角方向に基づいて、前記至近距離に存在するPOIを画面表示する、画面表示手段と、を含むことを特徴とする。従って、本システムによると、至近距離に存在するPOIをヨー角のみを用いて描画するため、端末の現在位置に測位誤差が生じている場合でも、正しいヨー角方向にPOIを表示することができる。
【0015】
また、本発明に係るシステムは、前記距離算出手段により算出された距離に基づいて算出された距離を半径とする最内円以内に存在するPOIは、該最内円の円周上の対応する位置に描画されることを特徴とする。従って、本システムによると、近距離に存在するPOIは端末の現在位置から一定の距離まで遠ざけて描画されるため、近距離に存在するPOIが他のPOIのアイコン等で隠れてしまうこと等を抑制することができる。
【0016】
また、本発明に係るシステムは、さらに前記画面表示手段により画面に表示された各POIのうち、基準点からの距離が最も近い距離に存在する第1のPOIを選択する、第1の選択手段と、ユーザからのズーム処理の入力を検出する、検出手段と、前記ズーム処理の入力が検出された場合に、前記選択された第1のPOIの次に基準点からの距離が近い第2のPOIを選択する、選択手段と、前記第2のPOIの画面y軸方向の距離に基づいて、表示画面をy軸方向に移動して画面に描画する、描画手段と、を含むことを特徴とする。従って、本システムによると、ユーザは表示画面の縮尺を変更するための処理を行うことなく、表示画面のズーム処理を行うことができる。
【0017】
また、本発明に係るシステムは、前記ユーザからのズーム処理の入力は、携帯端末の入力キーから検出された入力、又は携帯端末の姿勢センサから検出された姿勢変化量に基づくことを特徴とする。従って、本システムによると、ユーザはキーによる入力、又は携帯端末を傾ける操作によって簡易にズーム処理を行うことができる。
【0018】
また、本発明に係るシステムは、前記画面表示手段は、前記POIのうち、現在位置から第1の距離以上、第2の距離以内に存在する遠方POIにおいて、実空間におけるヨー角変化量に対して小さく変化するよう規定された、画面区間上に描画する際のヨー角変化量に基づいて該遠方POIを画面に表示する、画面表示手段とをさらに備えることを特徴とする。従って、本システムによると、ユーザが携帯端末をヨー角方向に少しだけ回転しても、遠方に存在するPOIを表示する表示画面が大きく変化することなく、ユーザは関心地点を確認しやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
)
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態による携帯端末のハードウェア構成を示す。携帯端末装置は制御部10と、入力部20と、出力部30から構成される。制御部10は、中央演算装置(CPU)100、メモリ102、入出力(I/O)インタフェース104とを備えている。制御部10はバスを介して入力部20、出力部30に接続されている。入力部20は、位置センサ106、姿勢センサ108、入力キー110と、位置検出部112、姿勢検出部114、入力検出部116とを備えている。出力部30は、画像処理部118と、画面120とを備えている。また、メモリ102はヒープメモリとフラッシュメモリとを備えている。
【0020】
制御部10はフラッシュメモリにあらかじめ蓄積され、ヒープメモリに展開された制御プログラムをCPU100により実行することにより、携帯端末の全体を制御してPOIの描画処理を実行する。
【0021】
制御部10のメモリ102はヒープメモリとフラッシュメモリとを備えており、フラッシュメモリに、携帯端末の各種機能を実現するための制御プログラム等が記憶されており、ヒープメモリには検出された携帯端末の姿勢情報、位置情報等が記憶される。また、メモリ102はあらかじめPOI毎に生成されたPOI情報をPOIデータベースとして記憶する。ここで、あらかじめ生成されたPOI情報は、メモリに記憶する代わりに、外部記憶部(図示せず)にあらかじめPOI情報を記憶することもできる。外部記録部は、ネットワークを介したサーバ上のハードディスク、光磁気ディスクなどで構成される。
【0022】
ここで、POI情報は、関心地点における情報であり、関心地点の位置情報、端末姿勢情報で構成される。さらにPOI情報は、関心地点に関する画像、写真、コメント、音声、動画像や、関心地点に関する詳細な説明情報、及び関心地点を撮影した時の加速度情報、撮影日時、撮影者情報等で構成することもできる。POIを撮影したときの位置情報、端末姿勢情報は、POIを携帯端末の画面に表示するために利用される。また、加速度情報は、POIを撮影したときに端末の回転情報を記憶するために利用される。
【0023】
POIの位置情報は、POIを撮影したときの緯度、経度で構成される。また、POIの端末姿勢情報は、世界座標を考慮して、北方向を0度として、POIを撮影した時の北方向からの回転角(ヨー角)、及び、POIを撮影した時の地面からの仰角(ピッチ角)で構成される。
【0024】
入力部20の位置センサ106は、携帯端末の位置情報を取得する。位置センサとしては、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機、PHS受信機、複数の基地局から得られる情報を用いて測位する装置を用いることができる。位置検出部112は、位置センサ106で取得した現在の携帯端末の緯度及び経度を表すディジタル情報を生成し、制御部10へ出力する。
【0025】
入力部20の姿勢センサ108は、携帯端末の姿勢情報を取得する。姿勢センサとしては、各種のセンサを用いることができ、例えばヨー角、ピッチ角の取得には、3軸地磁気センサや3軸加速度センサを用いることができる。姿勢検出部は、姿勢センサ108で取得した現在の携帯端末のヨー角、ピッチ角を表すディジタル情報を生成し、制御部10へ出力する。
【0026】
入力検出部50は、入力キー110から入力される各種の指示を検出して制御部10へ送出する。
【0027】
画像処理部30はメモリ102に記憶されているPOI情報、端末の姿勢情報、位置情報等に基づき、POIを画面120へ描画する。画像処理部30は例えば図3に示すように、ユーザの現在位置を画面の下側中心に設定し、POIを示すアイコン31や、POIに関する詳細の情報を示す文字情報等を、仮想空間上の画像に重ねて画面300に表示させる。画面300は、概ね矩形である。
【0028】
図2は、実空間におけるPOIの位置情報、姿勢情報に基づいて、仮想空間上にPOIを描画するときの本発明の1実施形態によるフローチャートを示したものである。以下、ユーザが携帯端末を所持したまま、ある位置に停止している状態にいることを前提として図2の流れに沿って説明する。このとき、ユーザは携帯端末を所持し、携帯端末画面をユーザ側に向けたまま、携帯端末を上下左右に動かしたり、ユーザの現在位置を中心軸としてヨー角方向へ回転したり、傾けたりすることがあるが、ユーザの緯度、経度は変化していない。ここで、実空間におけるPOIの位置情報、姿勢情報等は、事前に生成されメモリ102に格納されている。
【0029】
まず、入力検出部116は、ユーザによりなされたアプリケーションの起動処理を検出し、制御部10へ送信する。制御部10は、ユーザによる起動処理を受け付けた後、フラッシュメモリ内に格納されているアプリケーションを読込し、該アプリケーションをヒープメモリに展開する。アプリケーションの起動処理は、ユーザによる入力キー110、例えばテンキー等を押下させる等してなされる。入力キーとしては、プッシュキーや十字キーを使用しても良いし、画面一体型のタッチパネルを使用してもよい。
【0030】
次に制御部10は、現在の携帯端末の位置を特定する処理を実行する。現在の端末位置の特定処理は、まず、位置検出部114が、位置センサ106により測位された現在の携帯端末の位置情報(緯度、経度)を取得し、該測位結果をヒープメモリへ格納する(S200)。位置センサとして、例えば、GPSを用いることができる。GPSによる位置情報の取得は屋内や地下街では困難であるため、屋外ではGPSにより位置情報を取得し、屋内や地下街ではPHS通信により位置情報を取得するようにしてもよい。
【0031】
次に、制御部10は、メモリ102に蓄積されているPOI情報の取得処理を実行する(S202)。具体的には、POIに関するPOI情報、ここではPOIの緯度、経度を順に読み込みしていく。そして携帯端末の現在位置を中心として、中心と距離の近いPOI情報から順に、k個のPOIに関する情報をヒープメモリに蓄積する。このとき、読み込みするPOIの数(k個)はあらかじめ規定されており、携帯端末画面に表示したいPOIの数に応じて規定されている。kが大きいと、画面に表示されるPOI数が多くなり画面が見づらくなるため、kは画面にPOIを表示したときに視認性が保たれる程度の数に規定される。携帯端末の現在位置を中心として、各POIの緯度、経度座標に基づいて、中心と距離の近いPOIから順にk個のPOIが選択される。
【0032】
ここで、POI情報は、携帯端末のメモリ102に蓄積されているものを用いても良いし、通信部(図示せず)を通じてサーバから取得されたものを用いてもよい。適時サーバからその都度必要な分だけダウンロードしてヒープメモリ、フラッシュメモリに記憶することでメモリの小容量化を実現することができる。サーバから取得する場合、CPUは通信部を通じてサーバにPOI情報検索リクエストを発行し、サーバから出力されるレスポンスデータをヒープメモリ、フラッシュメモリに蓄積する。
【0033】
次に、制御部10によって、画面に表示する縮尺を設定し、最内円の半径A1を算出する処理を実行する(S204)。画面上で表示する縮尺の設定は、あらかじめ規定されたPOIの数(k個)に応じて行われる。本処理についての詳細は後述する。
【0034】
次に、制御部10は姿勢検出部114により、姿勢センサ108を用いて一定期間、携帯端末の姿勢情報を取得し、メモリ102へ順に格納する(S206)。姿勢情報は、ヨー角、ピッチ角である。姿勢情報の取得処理は、姿勢センサ108を用いて一定期間行われ、姿勢検出部114により測位された携帯端末の姿勢情報(ヨー角、ピッチ角)を検出する。該測位結果は制御部10によりヒープメモリへ順に格納される。
【0035】
次に、制御部10は、S206により取得された姿勢情報から現在の端末の姿勢を特定する処理を実行する(S208)。制御部10は、ヒープメモリに蓄積された過去一定期間の携帯端末のヨー角、ピッチ角の情報を用いて、過去一定期間の値のばらつき具合を算出し、そのばらつき具合に基づいて現在の端末の姿勢を特定する。本処理についての詳細は後述する。
【0036】
次に、制御部10は、画像処理部118を用いて、現在の端末の位置情報、現在の端末の姿勢情報、及び実空間上のPOIの位置に基づいて、POIを画面120に描画する処理を実行する(S210)。本処理についての詳細は後述する。
【0037】
図3は一実施形態における、複数のPOIを描画した携帯端末の画面300である。実空間上では世界座標である東西南北の4方向を基準座標系とし、携帯端末のある位置を原点としている。携帯端末の仮想空間上では、画面300において、携帯端末のある位置を画面の下側中央を原点とし、携帯端末の画面の横幅をx座標、縦幅をy座標とする座標系としている。なお、画面内の仮想空間では、携帯端末の現在の位置を座標の中心を自由に設定することができ、例えば、画面の中央、あるいは画面の下左隅に配置すること等も可能である。
【0038】
図3に示されるように、ユーザの現在の位置は、携帯端末の画面300の画面下側中心に存在するとして設定されている。携帯端末の画面300の上側、又は左右側に行くに従って、ユーザから遠い位置を表示するよう描画される。
【0039】
図3においては、地画像として、携帯端末の向けられた方角に対応する地表面の画像が表示されている。地画像には、現在の携帯端末の位置を中心として、半径の異なる楕円(又は円)の一部が描かれている。これらの楕円(又は円)の一部は、画像処理部118によって、それぞれ等間隔に描画されている。画面上に表示されている曲線(曲線310,320等)の間隔は、それぞれ実空間上の間隔(例えば500m)に対応している。ここで、原点から最も近い距離に描画されている楕円の一部(曲線310)は最内円の半径B1の円周を示したものであり、原点から最も遠い距離に描画されている楕円の一部(曲線320)は最外円の半径B2の円周を示したものである。最内円、最外円の詳細については後述する。そして、地画像の上に各POIの存在する位置が仮想的に重ねて表示されている。従って、ユーザは画面の原点から数えていくつ目の曲線にPOIが描画されているかを画面上で視認することにより、現在の携帯端末からのPOIの距離を把握することができる。また、図3に示されるように、画面上に、各曲線が描画されている原点からの距離が、実空間における携帯端末の現在位置からのどのくらいの距離に相当するのか示すこともできる。
【0040】
また、図3においてはPOIを示すアイコンが複数描かれている(330,340等)。これらのアイコンの形状は円形、楕円形、正方形、長方形等、自由に規定することが可能である。ここで、POI340は、他のPOI(例えばPOI330)と比較して強調して描画されている。これは、当該POIがフォーカスされた状態にあることを示している。フォーカス表示等の詳細については後述する。
【0041】
一般に、携帯端末において2次元の地図を画面表示する場合、関心地点の存在する2次元平面を上から見た、すなわち2次元平面に水平の方向から見たときの地図を表示している。本発明においては、図3に示されるように、関心地点の存在する2次元平面を横から見た、すなわち2次元平面に垂直の方向から見たときの地図・景色を表示している。従って、ユーザは上から見たときの表示画面から、横から見たときの景色をイメージする必要は無く、携帯端末に示されたPOIの存在する方向のみによりPOIの存在する方向を把握することができる。
【0042】
また、本発明においては、実空間において自分が向いている方向に見ることのできる景色と、携帯端末に表示される表示画面に示される画像とが一致する。従って、ユーザは回転された表示画面をイメージする必要なく、関心地点の存在する方向を判断することができる。
画面の縮尺の設定
図4は、上記S204における処理を示すフローチャートである。以下、画面の縮尺を設定するための流れを図4に基づいて説明する。実空間におけるPOI情報に基づいて、仮想空間上にPOIを描画するときの本発明の一実施形態によるフローチャートである。端末の周辺に存在するPOI群の存在密度に応じて仮想的に表示する画面の表示縮尺を変更することにより、表示画面の視認性を高めることができる。
【0043】
具体的には、まず、フラッシュメモリに蓄積されているk番目のPOIであるPOIkの緯度、経度情報を読込する(S400)。各POIの緯度、経度情報はPOIデータベースに格納されている。制御部10はPOIデータベースに格納されているPOIの緯度、経度情報を用いて、現在位置から距離の近いPOIを順に特定していく。k番目のPOIが特定されると、制御部10はフラッシュメモリに蓄積されているk番目のPOIであるPOIkの緯度、経度情報を読込する。ここで、kはあらかじめ規定されており、携帯端末をヨー角方向に一周(360度)回転させたときに、画面上に表示される最大のPOIの数である。
【0044】
次に、制御部10は、POIkの緯度、経度情報から現在の端末位置との距離を算出する。そして、該算出された距離を、最外円の半径A2として規定し、該算出された距離を、縮尺情報としてヒープメモリに格納する(S402)。そして最外円の半径A2を同心円数で割った値を、最内円の半径A1と規定する(S404)。同心円数は予め規定されている。さらに、最内円の半径A1が1km未満の場合、100m単位で量子化し、1km以上であれば1km単位で量子化する。
【0045】
本実施形態においては、画面上に表示する最大のPOI数を定め、中心から最も遠いPOIの実空間上の距離を、仮想空間における最外円の半径A2として規定している。また、さらなる実施形態においては、現在位置から距離の近いPOIを順に特定していき、k番目のPOIが特定されると、これまで特定されたPOI1からPOIkまでのすべてのPOIに関して、現在の位置と、各POIとの距離の平均値を算出する。そして、算出された平均値の定数倍を最外円の半径A2として規定することもできる。
【0046】
以上より、実空間における一定の距離を仮想空間上に対応させる際に、その対応関係を動的に変更することにより、仮想空間における表示縮尺は動的に変更可能となり、表示画面の視認性が高まる。図3の画面300に示すように、画面上には仮想的に一定の幅毎に曲線310〜350が描画されている。該曲線は画面300の原点を中心として同心に描画されており、曲線の間隔はそれぞれ一定である。画面300に表示されている曲線の間隔は、実空間における一定の距離にそれぞれ対応している。従って、ユーザは表示されている曲線に基づいて、現在の位置からPOIの存在する距離までを容易に把握することができる。
【0047】
以上より、本発明においては、画面上に表示する最大のPOI数が規定され、該最大のPOI数を表示するよう最外円の半径が規定されている。そして、自動的に画面に表示する縮尺が決定される。従って、ユーザは画面の縮尺を変更することなく、POIを画面に表示することが可能である。また、携帯端末をかざした方向に、関心地点が画面表示されていない場合においても、携帯端末をヨー角方向に回転すると、必ずPOIが表示される。そして360°回転すると、最大のPOI数に対応する全てのPOIが表示される。従って、ユーザは容易に関心地点の存在する方向、距離を把握することができる。また、ユーザは容易に関心地点の密集・散在する方向、距離を把握することが可能である。
【0048】
一方、従来の地図描画システムにおいては、画面に関心地点が表示されていない場合は、ユーザは関心地点が表示されるまで表示画面の縮尺を変更するための処理を行う必要があり、さらに描画された地図に基づいて関心地点が存在する方角を判断することになる。また、縮尺の変更によって、画面の縮尺が大きくなると、地図表示は細かくなることから、ユーザの周辺の情報に基づいて関心地点の存在する方角を判断することは困難である。
端末の現在の姿勢を特定
図5は、上記S208における処理を示すフローチャートである。以下、姿勢センサから取得される姿勢情報に基づいて、端末の現在の姿勢を特定するための流れを図5に基づいて説明する。姿勢センサから定期的に測定される姿勢情報にはばらつきが存在する。測定された姿勢情報において、ばらつきの程度が大きい場合には測定精度が低下してしまい、端末の正しい姿勢で描画することができなくなる。また、ばらつきのある測定結果に基づいてその都度POI情報等の描画を行うと、画面上の表示もぶれているため、特に端末が停止している場合に画面が見づらくなる。本実施形態においては測定結果のばらつきを抑制するため一定期間に取得された姿勢情報を平均化して表示する。
【0049】
具体的には、まず、姿勢センサ108はヨー角、又はヨー角及びピッチ角の両方を一定期間に亘り定期的に取得する(S500)。ピッチ角についてもヨー角と同様の処理が行われるため、以下の説明では省略する。取得されたヨー角は時系列に制御部10により順次ヒープメモリに格納される。
【0050】
次に、制御部10は、ヒープメモリから、過去一定期間に取得されたヨー角データを読み込みし、ヨー角データの標準偏差sを算出する(S502)。次に、制御部10は、ヨー角データの移動平均を算出するための窓長wを算出する(S504)。窓長wは、sに反比例するよう設定されており、ヨー角の移動平均を算出するために必要な測定結果の数である。すなわち、一定期間に取得されたヨー角のばらつきが大きい場合、すなわち標準偏差sが大きい場合には、窓長wは小さくなる。ここで、移動平均は線形加重移動平均、加重移動平均等であってもよい。
【0051】
次に、制御部10は、窓長wに対応する数のヨー角データ群を用いて、該データ群の平均値Yを算出する。そして算出された平均値Yを端末の現在の姿勢yaw_tとして、ヒープメモリへ格納する(S506)。S600からS606の処理は、ユーザからアプリケーションの終了指示を受けるまで繰り返される。以上により端末の現在のヨー角が求められる。ヨー角の算出方法と同様に、端末の現在のピッチ角pitch_tが求められる。
【0052】
本発明においては、ヨー角の平均を算出するために用いる窓長wを標準偏差の変化に応じて可変にすることにより、実際の姿勢変化に応答した適切な描画処理がなされる。例えば、端末の姿勢が一定期間に大きく変化した場合には窓長wが小さくなる。この場合、より少ないヨー角、またはピッチ角データを用いて移動平均値を取得するため、実際の姿勢変化に敏感に応答して描画がなされる。一方、端末の姿勢が一定期間に殆ど変化しない場合には窓長wは大きくなる。この場合、より多いヨー角、またはピッチ角データを用いて移動平均値を取得するため、描画処理はぶれを生じることなくなされる。
【0053】
以上により、ユーザが携帯端末をヨー角方向に短期間で大きく変化させる場合は、表示画面が実空間における携帯端末のヨー角方向における変化に素早く応答することができ、ユーザは表示画面を視認しやすくなる。また、ユーザが携帯端末をヨー角方向に殆ど変化させない場合は、より長い期間に取得されたヨー角を用いて平均値をとることから、表示画面の微細なぶれが軽減される。このため、ユーザは表示画面を視認しやすくなる。
画面上のPOI描画
図6は、上記S210における処理を示すフローチャートである。以下、POI群に含まれる各POIの位置を端末の姿勢に応じて画面に描画する流れを図6に基づいて説明する。まず、制御部10は現在の端末の位置を中心として、中心との距離がA2より小さいPOIの群をフラッシュメモリから読み出しする(S600)。次に、POI群に含まれる各POIを、それらの緯度、経度情報に基づいて半径B2の円内に対応付ける(S602)。B2は、実空間における最外円の半径A2に対応する仮想空間上の最外円の半径である。B2はあらかじめ視認性が保たれる同心円数と最内円の半径B1によって定められる。
【0054】
次に、制御部10は、S200により求められた端末の位置情報、S202により求められた端末周辺のPOI群に含まれる各POIの緯度、経度情報、S204により求められた縮尺情報、及びS206により算出された端末の現在の姿勢情報をヒープメモリから読み出しし、読み出しされた各情報に基づいて、画面上の描画座標(xd、yd)を算出し、算出された描画座標をヒープメモリへ蓄積する(S604)。各POIの画面上の描画座標(xd、yd)は、端末のヨー角、及びピッチ角に応じて算出される。
【0055】
ここで、(xa、ya)は世界座標系、すなわち東西南北を基準として、現在の端末の位置を原点に設定したときのある1つのPOImの座標である。まず、POImの世界座標における座標(xa、ya)を、現在の端末の向いている方角、すなわちyaw_t時計回りに回転させた座標に対する座標系へ座標変換する。絶対座標におけるPOIの座標(xa、ya)は、yaw_t時計回りに回転させると、
【0056】
【数1】
【0057】
と算出される。次に、yaw_t回転した座標系におけるPOImの座標(xb、yb)を、現在の端末のピッチ角、すなわちpitch_t回転させた座標系へ座標変換する。yaw_t回転した座標系におけるPOImの座標(xb、yb)は、yaw_t回転させると、
【0058】
【数2】
【0059】
と算出される。以上により、実空間における座標(xa、ya)が、画面空間における座標(xd、yd)に変換され、端末の現在の姿勢情報に応じて各POIの画面描画座標が算出される(S604)。
次に、算出された画面描画座標(xd、yd)に基づいて画面処理部118は各POIを画面に描画する(S606)。
【0060】
以上のように、本実施形態においては、携帯端末をかざしている方向に従って、表示画面も回転して表示される。従って、常に、携帯端末に表示される表示画面の方向と実空間において自分が向いている方向は一致している。ユーザは、2次元の地図を見るときのように回転された表示画面をイメージして、関心地点の存在する方向を把握する必要はない。以上より、本発明により、ユーザは回転された表示画面をイメージしなくとも、関心地点の存在する方向、距離を判断することが可能となり、視認性が向上する。
POIの生成処理
図7はPOI情報を生成するために用いられる携帯端末のハードウェア構成を示す。POI情報はあらかじめ生成されており、生成された携帯端末装置のメモリ102に格納されている。POI情報は、携帯端末の通信部を介して接続されるネットワーク上のサーバ(図示せず)に格納されていてもよい。
【0061】
POI情報を生成する場合は、図1に示されるハードウェア構成に加えて、入力部20には、新たにカメラ122、画像検出部124、加速度センサ126、加速度検出部128を備えている。図1に示される出力部30は備えていない。なお、図7における各構成要素の参照番号は図1における各構成要素の参照番号に対応している。
【0062】
ここで、カメラ122は、ユーザがある関心地点の画像を撮影するために用いられる。画像検出部124は、バスを介して制御部10に接続されており、カメラから取得された関心地点の撮影画像を表すディジタル情報を生成し制御部10へ出力する。加速度センサ126は、撮影時の加速度情報を取得するために用いられる。加速度検出部128は、バスを介して制御部10に接続されており、加速度センサから取得された撮影時の加速度情報を表すディジタル情報を生成し制御部10へ出力する。
【0063】
図8はPOI情報を生成する処理を示すフローチャートである。以下、携帯端末により1つのPOIに対するPOI情報を生成する流れを図8に基づいて説明する。POIが複数存在する場合は、以下のS800からS806の処理をPOI毎に行う。まず、入力キー110からのカメラの起動入力を入力検出部116にて検出する(S800)。次に、制御部10は検出されたカメラの起動入力に従って、画像検出部124を用いて、カメラ122から入力された撮影画像を取得する(S802)。また、同時に制御部10は、検出されたカメラの起動入力に従って、位置検出部112を用いて位置情報を、姿勢検出部114を用いて姿勢情報を、加速度検出部128を用いて加速度情報を取得する(S802)。すなわち、位置検出部112を用いて、位置センサ106により測位された現在の携帯端末の位置情報(緯度、経度)を取得し、姿勢検出部114を用いて、姿勢センサ108により測位された現在の携帯端末の姿勢情報(ヨー角、ピッチ角)を取得し、加速度検出部128を用いて、加速度センサ126により測位された現在の携帯端末の加速度情報(重力加速度)を取得しメモリ102へ格納する。次に、制御部10は、取得された加速度情報から、撮影時の携帯端末の傾き角度を算出する(S804)。撮影時の携帯端末の傾き角度とは、携帯端末を横向きにして撮影したか、又は縦向きにして撮影したか等による姿勢である。まず撮影は、端末画面120に垂直方向の軸に90度単位に回転した状態で行われる。すなわち、画面を縦向きにしたり、横向きにしたりして撮影される。そして、撮影したタイミングにおける3軸の加速度データ(x,y,z)を加速度センサ126から取得し、加速度検出部128は3軸(x,y,z)のうちいずれかの軸方向の値が重力加速度±9.8m/sec2の値を示すかを検出する。次に、制御部10は、検出された軸方向の値に基づいて、撮影時の端末の回転角を取得する。以上により撮影時の携帯端末の傾き角度が算出される。撮影された携帯端末の画像と、実空間において認識される景色との見え方に違いが生じていると、例えば実空間で認識される景色に対し、表示画面が90度時計方向に回転していると、ユーザが表示された画像を見る際に、実空間で認識される景色と比較しにくく、関心地点を表す画像としては適切ではない。従って、ステップS210においては、該画像は、POI描画時に算出された撮影時の携帯端末の傾き角度に基づいて回転されて表示される。なお、POI描画の前に、あらかじめ画像を回転してメモリへ格納しておいてもよい。また、取得された携帯端末の姿勢情報は、後述するステップS916において、至近距離のPOIを画面に描画する際に用いられる。
【0064】
次に、制御部10は、取得された撮影画像、位置情報、姿勢情報、撮影時の携帯端末の傾き角度をメモリ102へ格納する(S806)。また、撮影画像に付されるタイトル、コメントや、撮影日時、撮影者情報を付随して格納することもできる。POIについて情報が取得されると、取得された情報に基づいてPOIデータベースが生成される。
【0065】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図9は、第2の実施形態に対応するPOIの描画処理を示すフローチャートであり、上記、第1の実施形態である図2のフローチャートとほぼ同じ処理で構成されている。第1の実施形態と異なっている点は、図2は、POI群に含まれる全てのPOIが、仮想空間上に全て同じ方法で描画されるのに対し、本実施形態においては、各POIの実空間上の位置に応じて、それぞれのPOIは異なった方法で描画されることである。すなわち、本実施形態においては、実空間上のPOIの位置が半径A1の最内円より外側に存在するか否か、又は至近距離に存在するか否か等によってPOIの描画処理が異なる。第2の実施形態における処理によって、さらに描画画面の視認性を高めることが可能となる。
【0066】
以下、POI群に含まれる各POIの位置を実空間上の位置に応じて画面に描画する流れを図9に基づいて説明する。
【0067】
まず、図2に示される処理S200からS208に対応する処理S900からS908がなされる。次に、実空間上のPOIの位置が、半径A1の最内円より外側に存在するか否か判定する(S910)。詳細には、S902により最外円の半径A2内に存在する全てのPOIの緯度、経度情報がヒープメモリに格納されている。制御部10は、ヒープメモリからPOI群に含まれる各POIの実空間上の位置情報を取得する。そして、制御部10は、取得された各POIの実空間上の位置情報に基づいて、それぞれPOIの位置が半径A1の最内円より外側か否か判定する。
【0068】
判定の結果、POIの位置が半径A1の最内円より外側に存在する場合、そのPOIは、POI生成時の姿勢情報(ヨー角、ピッチ角)に基づいて描画、すなわち図2におけるS210に対応する処理により描画する(S914)。
【0069】
判定の結果、各POIの位置が半径A1の最内円上、又は最内円より内側に存在する場合は、CPU100は、該POIが、至近距離に存在するか否か判定する(S912)。至近距離とは、GPSの測位誤差よりも小さな距離であり、制御部10がPOIの位置とほぼ同じ場所に端末が存在すると判断する可能性のある距離である。例えば10m程度の距離である。至近距離の値は、閾値Cとしてあらかじめ規定されている。すなわち、ステップS912においては、実空間上における携帯端末とPOIの距離が閾値C未満であるか否か判定する。
【0070】
ステップS912による判定の結果、POIが至近距離に存在する場合には、POI生成時に取得されたヨー角に基づいて、画像処理部118は画面120へ描画する(S916)。POI生成時に取得されたヨー角とは、POI生成処理において取得された携帯端末のヨー角である。至近距離内に存在するPOI群に含まれるPOIは、それぞれPOI生成時に取得されたヨー角のみを用いて描画される。すなわち、至近距離内のPOIは、POI生成時に取得されたヨー角と同じ方向に仮想的に描画され、携帯端末の画面がPOI生成時に取得されたヨー角と同程度の方向に向けられると、POIが画面に表示される。本実施形態においては、実空間における携帯端末の位置は、画面の下側中心になるよう設定されている。ここで、実空間における携帯端末の位置を、携帯端末の画面のどの位置に対応付けるかによってPOIの画面への表示は異なる。例えば、実空間における携帯端末の位置を、画面の中心に表示するよう設定しているときは、画面の中心を中心として、POI生成時に取得されたヨー角の方向に、POIが表示される。
【0071】
至近距離に存在するPOIを、POI生成時の姿勢情報、位置情報に基づいて画面に描画しようとすると、位置センサにより測位される位置情報に誤差がある場合に、画面上に正確にPOIを表示することが困難となる。例えば、位置センサにより測位される端末の位置に数mの誤差があると、POIが実際に存在する方角とは全く逆の方角に表示される可能性がある。特に、実空間上の携帯端末の位置とPOIの存在する位置との距離が、実空間上の携帯端末の測位誤差よりも小さい場合に正しく表示することが困難になる。
【0072】
従って、至近距離に存在するPOIは、POI生成時に取得されたヨー角のみを用いて描画される。これによりユーザは至近距離に存在するPOIの方角を正確に認識できる。ユーザがPOIを生成した場所の近辺に来たときにも、携帯端末の描画画面上でそのPOIが同じ方向に見えるようになる。従って、位置センサにより測位される携帯端末の位置に誤差が存在する場合でも、ユーザはPOIの存在する方向を把握することが可能である。
【0073】
一方、ステップS912による判定の結果、POIが至近距離に存在しない場合、画像処理部118は、該POIを最内円の円周上に描画する(S918)。すなわち、実空間上における携帯端末とPOIとの距離が閾値C以上であって、半径A1の最内円以内に存在しているPOIの群が描画される。これらのPOI群を近距離POI群と呼び、本近距離POI群の描画処理についての詳細は図10を用いて詳述する。
近距離POI群の描画
図10は、上記ステップS918に対応する処理を示すフローチャートである。以下、近距離POI群を描画するための流れを図10に基づいて説明する。ここでは、半径A1の最内円より内側又は最内円上に存在しており(S910)、かつ現在の携帯端末の至近距離には存在していない(S912)の近距離POI群の描画処理を示す。まず、制御部10は、メモリに格納されている現在の携帯端末の緯度、経度(xlat,xlon)、及び近距離POI群に含まれる各POIの緯度、経度(xe,ye)を読み出しし、現在の端末の緯度、経度と、近距離POI群に含まれる各POIの緯度、経度により生成されるベクトルの傾きmを算出する(S1000)。ここで、傾きmは、
【0074】
【数3】
【0075】
により算出される。傾きmは近距離POI群に含まれる全てのPOIについて算出される。次に、近距離POI群に含まれる各POIを半径A1とする最内円の円周上の座標に射影する(S1002)。最内円の半径A1は、表示したいPOI数に応じて動的に設定されている(S204)。ここで、最内円上に射影したときの近距離POIの座標を(xe’,ye’)とすると、A12=xe’2+ye’2=(1+m2)xe’2となる。従って、最内円上に射影したときの近距離POIの座標は、
【0076】
【数4】
【0077】
となる。以上より、最内円の円周上の座標に射影した場合の近距離POIの座標が求められる。次に、制御部10は、端末の姿勢情報に応じて各近距離POIの画面描画座標(xd,yd)を算出し、メモリへ算出結果を格納する(S1004)。本処理は、S604に示したものと同様に実行される。
【0078】
次に、画像処理部は、メモリに記憶されている画面描画座標に基づき、画面120に近距離POIを描画する(S1006)。
【0079】
近距離に存在するPOI群を、各POIの緯度、経度に基づいて画面に描画しようとすると、近距離に存在するPOI数が多い場合に多くのPOIを表すアイコンが最内円の内側に描画されてしまい、画面が見づらくなる。例えば、近距離に存在する多くのPOIを示すアイコンが密集して表示され、あるいは重なって表示されていると、ユーザはある一つのPOIを示すアイコンを選択することが困難となる。
【0080】
本発明においては、近距離に存在するPOI群を、最内円の円周上の座標に射影して描画するため、近距離に存在するPOI数が多い場合でも、POIを示すアイコンは少し離れて表示されるため、ユーザはある一つのPOIを示すアイコンを選択しやすくなる。また、距離が近い場所に複数のPOIを描画すると、そのPOIアイコンのサイズによっては、他のPOIがそのPOIアイコンに隠れて表示されなくなる場合がある。本発明においては、近距離に存在するPOI群を画面座標系の原点から一定の距離まで遠ざけて描画することによって、近距離に存在するPOI同士で一方のPOIが隠れてしまうことを抑制することができる。
【0081】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態が図11に示される。第3の実施形態により、画面120に表示するPOIの選択を容易にし、簡単なキー操作でPOIが選択される。例えば、ユーザがある1つのPOIについてより詳細の情報を入手したい場合、画面120に表示される他のPOIが所望のPOIと近接していると、携帯端末の画面を向ける方向を少しだけ変化させて所望のPOIを選択するために高度なスキルが必要であった。本実施形態においては、高度なスキルを必要としなくても、所望のPOIを選択し、フォーカスをあてることを可能とするものである。
【0082】
図11は、描画画面をズーム処理するための流れを示すフローチャートである。図12a、b、cは、第3の実施例による携帯端末装置の画面表示について説明するための図である。以下、画面にはあらかじめ描画処理により、POI群に含まれるPOIが描画されていることを前提として図11の流れに沿って説明する。すなわち図12a、b、cにおいて、現在の携帯端末から一定の範囲に存在する複数のPOIが、あらかじめ画面に描画されている。
【0083】
なお、一般に、ズームとは被写体の像を拡大したり(ズームイン)縮小したり(ズームアウト)して映すことをいう。本発明においては、ズームとはある地点に存在する像を、画面座標系おける原点により近く表示したり(ズームイン)より原点から遠く表示したり(ズームアウト)することをいう。すなわち、ユーザは現在の位置に留まったまま、携帯端末による操作のみで、ある地点に存在するPOIを画面空間上でより近くに表示したり、より遠くに表示したりすることが可能となる。また、本発明においては、フォーカスとは、現在操作可能なアイコンを指定しているもののことである。フォーカス表示とは、指定された現在操作可能なアイコンを強調して表示することをいう。
【0084】
まず、制御部10は、あらかじめ規定されている画面内の基準点Cからy座標の距離が最短の距離に描画されているPOIを選択し、該POIをフォーカス対象POIとして選択し、該POIをフォーカス表示する(S1100)。基準点Cは、例えば、画面上の半径B1の最内円の円周と、画面のy軸とが重なった点上に設定される。制御部10は、選択されたPOIを、画像処理部118により画面300内で、現在選択され、操作可能であることを示すアイコンを強調して表示、すなわちフォーカス表示する。フォーカス表示されているPOIは、現在選択されているPOIであることを示している。
【0085】
例えば、図12aに示されるように、画面内に表示されているPOI1、POI2のうち、基準点Cからのy座標の距離が最短のPOI1(x1,y1)が選択されている。ここで、座標x1,y1はいずれも画面上の座標である。基準点Cからのxとy軸の両方の距離に基づいて最短のものを選択すると、検索窓が移動したときに、あるPOIにおいて、基準点Cからのy座標の距離は最も短いが、x,y座標の両方の距離に基づく距離は他のPOIよりも長い場合、該POIは選択されないままになってしまう。従って、本実施形態においてはy座標の距離が最短のPOIを選択する。そして、選択されたPOI1は画面内においてフォーカスがあてられ、フォーカス表示されていない他のPOI2よりも強調したアイコンを用いて表示される。例えば、画像処理部118はフォーカス表示されたPOIを、他のPOIに比して拡大してアイコン表示したり、POIを示すアイコンを違う色の枠で囲んだり、他のPOIよりも目立つ枠で囲んだりして表示する。
【0086】
次に、制御部10は、入力検出部116により入力キーからのズームイン指示の入力が検出されたかを判断する(S1102)。本実施形態において、入力キー110は、携帯端末に備えられている上下左右のキー、スクロールキー等である。入力キーからの入力処理は、入力検出部116により検出される。ズームイン指示の入力とは、例えば入力キー110の上キーの押下入力である。
【0087】
次に、制御部10は、入力検出部116によりズームイン指示の入力が検出された後、あらかじめ規定されている画面内の基準点Cのy座標に、底辺が接するよう検索窓を仮想的に生成する(S1104)。検索窓は基準点Cのy座標に底辺が接するように生成されるところ、POIの検索窓の生成される位置は基準点Cのy座標の位置に基づいて定められる。なお、本検索窓は、図12a,bにおいて示されるように、長方形であっても、また、図12cにおいて示されるように三角形でもよい。また、台形等でもよい。検索窓の横幅は画面の横幅と同程度であるが、検索窓の縦幅は、画面の縦幅よりも大きいことが望ましい。例えば、ユーザからの上キーの押下が検出された場合、これはユーザがより遠くに存在する、すなわち画面の上側方向に存在するPOIを閲覧したいという要求であることがわかる。従って、方位の大きく異なるPOI(例えば、画面の左右方向や手前方向)へのフォーカス移動はユーザの要求に沿ったものではないため検索窓の横幅は画面の横幅と同程度に設定される。ユーザは、入力キー110による簡単な操作のみで、検索窓内に仮想的に存在するPOIを順次選択することが可能となる。
【0088】
次に、入力検出部116によりズームイン指示の入力が検出されたと判定した場合、制御部10はPOI2(次のフォーカス対象POI)が最内円の接線上に移動するまで、(図12b)画像処理部118を用いて、画面に表示されている表示画像をy軸の負の方向にスライド表示させる(S1106)。
【0089】
図12bは、図12aに示される画面表示がズームイン処理されたときの描画画面を示す。図12bを参照すると、先に選択されたPOI1は表示画像がスライドされたことにより、検索窓の外に移動しており、画面に表示されていない。また、表示画像がスライドされたことによりPOI2が基準点Cから最も近いPOIとして最内円の接線上に表示されている。さらに、POI3が新たに画面に表示されている。さらに、POI4が新たに検索窓内に存在している。なお、入力検出部116によりズームアウト指示の入力を検出した場合には、検索窓は画面内の基準点Cのy座標に上底が接するよう仮想的に生成され、画面に表示されている画像はy軸の正の方向に移動される。
【0090】
次に、ステップS1100に戻り、制御部10は、あらかじめ規定されている画面内の基準点Cからy座標の距離が最短の距離に描画されているPOIを選択し、該POIをフォーカス対象POIとして選択し、該POIにフォーカスをあてる(S1100)。従って、基準点の周りにフォーカス表示されているPOIが常に存在する。図12bにおいて、画面内に存在するPOIのうち、POI2がy軸方向に基準点Cから最も近いPOIであるため、POI2が選択されている。
【0091】
S1102においてズームインの指示が検出されなかった場合、処理は終了する。S1102においてズームインの指示が検出された場合、上記S1104、S1106、S1100までの処理が繰り返される。なお、2回目以降のフォーカス表示処理においては、画面内に描画されているPOIがスライドされる距離は、現在のフォーカス表示されているPOIと、次にフォーカスされる対象のPOIとの間の距離となる。
【0092】
従来、画面に表示された地図をズームイン(拡大表示)するとき、マウスを用いてズームインしたい地図上の位置にマウスを合わせ、地図をクリックしたり、地図をグリップしたままマウスを動かしたりしていた。そして、フォーカス選択したい地点を、さらにマウスで選択する必要があった。すなわち、ユーザはある地点を表示するとき、地図のズーム処理と、フォーカス選択処理とは別に行う必要があった。
【0093】
本実施形態においては、地図のズーム処理と、POIのフォーカス選択処理とは同時に行われる。ユーザは入力キー110による簡単な操作のみでユーザに近い位置に存在するPOIを順に選択することが可能となる。さらに、入力キーによる簡単な操作のみで、POIの選択処理と同時に画面をズームインしたり、ズームアウトしたりすることが可能となる。
【0094】
また、従来、携帯端末を用いてユーザがある地点を画面表示したい場合、画面に関心地点が表示されていない場合は、ユーザは表示画面の縮尺を変更するための処理を行う必要がある。このとき、携帯端末においてはマウスを利用できないため、ユーザはあらかじめ規定されている複数の縮尺から表示縮尺を選択しなければならない。従って、ユーザが関心地点を視認しやすい縮尺で個別に表示することはできない。
【0095】
一方、本願発明においては、画面に関心地点が表示されていない場合は、まずユーザはヨー角方向に携帯端末を回転することにより、縮尺選択の処理を必要としないで、関心地点を視認することができる。さらに、より遠くに存在する関心地点を確認する場合、ユーザは入力キーを押下するだけで、描画画面をズームインし、同時に次の関心地点を選択することが可能である。このとき、ユーザは表示画面の縮尺を意識しないで、関心地点を確認することができる。また、より遠くに存在する関心地点を表示する場合、表示画面自体がスライドして表示されるため、従来のように縮尺を変更することによって地図表示が細かくなることはない。これは、携帯端末のように画面が比較的小さい場合に非常に有用である。
(第4の実施形態)
現在の端末の姿勢情報に基づいて、POIが画面に描画されていることを前提として説明する。本発明の第4の実施形態においては、入力検出部116がユーザからの入力キー110によるズームイン・ズームアウトの指示をその都度検出することなく、制御部が、姿勢検出部114により検出された角度が閾値以上変化したか否かに基づいて、画像処理部118により描画画面のズームイン、ズームアウト表示を行う。
【0096】
例えば、ユーザが入力キー110を押下したまま、携帯端末の画面をユーザ側に向けたまま画面下側を軸にして、画面上側を向こう側に倒した動作(ズームイン動作)を行う。すると、姿勢検出部114は、携帯端末の姿勢センサ108からのピッチ角の変化を検出する。制御部は、姿勢検出部114により検出されたピッチ角の変化が閾値以上(例えば、30度以上)の場合に、画像処理部118により描画画面のズームイン表示を行う。
【0097】
そして、制御部10は、入力キー110からの入力が検出されなくなると、すなわち、ユーザが入力キー110をリリースすると、フォーカス対象POIを検索し、選択する。すなわち、制御部10は、あらかじめ規定されている画面内の基準点Cからy座標の距離が最短の距離に描画されているPOIを検索し、該POIをフォーカス対象POIとして選択する(S1100)。
【0098】
従って、ユーザは画面表示をズームインする都度、入力キー110を押下することなく、入力キー110を押下したまま携帯端末の画面をユーザ側に向けたまま画面下側を軸にユーザと反対側に回転させることにより画面のズームインを行うことができる。また同様に、ユーザは入力キー110を押下したまま携帯端末の画面をユーザ側に向けたまま画面下側を軸にユーザ側に回転させることによりズームアウトを行うことができる。
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態においては、携帯端末の現在の位置から遠方に存在するPOIを画面に描画する際に、画像処理部118は一定の処理に基づいて描画を行う。遠方に存在するPOIを描画する際、本実施形態による処理を行うことなく実際の端末のヨー角変化に対応させて画面描画を行うと、例えば1度ヨー角が変化しただけでも描画画面が大きく変化してしまう。したがってユーザは、遠方に存在する特定のPOIを確認するためには、携帯端末を微小に移動させていく必要がある。しかしながら、このような操作はユーザにとって非常に難しく、好ましくない。
【0099】
従って、本実施形態においては、遠方のPOIを描画する際に、実際に携帯端末が回転した角度に対して、描画画面を回転させる角度を小さくする、すなわち鈍感化する。このようにすることにより、ユーザは端末を操作しやすくなり、かつ描画される画面も見やすくなる。
【0100】
図13は、遠方に存在するPOIを描画するための描画処理を示したフローチャートである。ここで、図13のフローチャートに記載される処理に入る前に、あらかじめ遠方円の半径の閾値Zと、遠方円の半径の限界閾値Z‘と、描画用回転角とが定められている。
【0101】
ここで、描画画面が遠方円の半径の閾値Zの距離(例えば、最内円の半径B1の12倍の距離)までズームインされた場合に、図13における処理を開始する。遠方円の半径の閾値Zは、制御部10により図13における処理を開始するか否か判定するために用いられる。
【0102】
また、遠方円の半径の限界閾値Z’とは、描画画面がズームインされた場合に、それ以上はズームインできない限界の距離(例えば、最内円の半径B1の24倍の距離)を示したものである。従って、ズームイン処理は現在位置から限界閾値Z‘の距離までズームイン可能である。
【0103】
また、描画用回転角とは、遠方円の半径の閾値Zより大きく、遠方円の半径の限界閾値Z’以下の距離まで描画画面がズームインされた場合に画面病がする際に用いられる角度である。例えば、遠方円の半径の閾値Zの距離(例えば、最内円の半径B1の12倍)までズームインされた場合には、実際の携帯端末のヨー角が90度変化すると描画用の回転角は90度変化するよう規定される。また、例えば、最内円の半径B1の15倍の距離までズームインされた場合には、実際の携帯端末のヨー角が90度変化すると描画用の回転角は75度変化するように規定される。例えば、遠方円の半径の限界閾値Z‘の距離(例えば、最内円の半径B1の24倍)の距離までズームインされた場合には、実際の携帯端末のヨー角が90度変化すると描画用の回転角は30度だけ変化するように規定される。描画用回転角は、このようにズームインされた倍率が大きくなるほど、実際の携帯端末の変化に対する描画用の回転角は小さくなるように規定されている(図14)。これは、POIの存在する位置が遠方であるほど、実際の携帯端末の変化による影響を大きく受けるからである。以下、図13の流れに沿って説明する。なお、実際の携帯端末のヨー角の変化に対する描画用の回転角の角度の変化は、それぞれ実施例に限定されず、他の値で規定可能であることはいうまでもない。
【0104】
まず、制御部10は、遠方円の半径の閾値Zを超えた距離までズームインされたかを判定する(S1300)。制御部10は、仮想空間における最内円の半径B1と、ズームイン処理により得られる半径とを随時比較している。なお、S1106によりフォーカス対象のPOIが変更される度に、制御部10は新たに選択されたPOIと、端末中心との距離をズームイン処理により得られる半径として算出する。そして、制御部10は、ズームイン処理により得られる半径が、本遠方円の半径の閾値Zを超えたか否か判定する。
【0105】
次に、制御部10は、ズームイン処理により得られる半径が、本遠方円の半径の閾値Zを超えたときの携帯端末のヨー角yawzを姿勢検出部114により検出し、メモリ102へ格納する(S1302)。
【0106】
次に、制御部10は、姿勢検出部114から定期的に端末の現在の姿勢情報yaw_tを取得する(S1304)。そして、制御部10は端末の姿勢変化量、すなわちヨー角の変化量Δyaw=yawz-yaw_tを算出し、メモリ102へ格納する(S1306)。
【0107】
次に制御部10は、端末の姿勢変化量Δyawとズームインにより得られる半径の距離から描画用回転角の変化量Δyawdrawを算出する(S1308)。Δyawdrawは、
Δyawdraw=1-( ((z-Z)/(Z'-Z)) * (1- ΔyawdrawZ'/ΔyawZ') )
により算出される。ここで、Δyawdrawは描画用回転角の変化量であり、yawzからの差分値である。zはズーム比率、Zは遠方円描画を行うズーム比率の閾値、Z'はズーム比率の限界値である。また、zのズーム比率は、現在フォーカスがあたっているPOIの中心からの距離と、最内円の半径B1との比率により算出される。さらに、ΔyawZ'はZ‘のズーム比率におけるΔyawであり、端末姿勢変化量の限界値を示す。また、ΔyawdrawZ'は、Z‘のズーム比率においてΔyawZ'だった場合のΔyawdrawを示す。
そして、描画用の回転角yawdrawは、yawdraw= yawz+Δyawdrawにより算出される。
【0108】
次に制御部10は、ステップS1308において算出された描画用回転角yawdrawを用いて、描画POIの回転処理を行い描画する(S1310)。本描画は上述したS210における処理に基づいて行われる。
【0109】
遠方に存在するPOIの場合、ヨー角に基づいて関心地点を表示すると、ユーザが携帯端末を少しヨー角方向に回転しただけで、表示画面が大きく変化してしまい、描画された関心地点が簡単に表示画面から外れてしまう。このため、携帯端末をかざす向きによってある関心地点を画面内に表示し続けることや、ある特定の関心地点を探して表示することが困難となる。
【0110】
一方、本発明は、遠方に存在するPOIを描画する場合に、現在の端末位置からのPOIの存在する位置に応じて、異なる回転角を用いて描画を行う。端末位置からの距離が遠い程、実空間における携帯端末のヨー角方向の変化に対する描画用の回転角は小さくなり、鈍感化される。これにより、ユーザが携帯端末をヨー角方向に少しだけ回転しても、表示画面が大きく変化することなく描画された関心地点は画面表示されたままになるため、ユーザは関心地点を確認しやすくなる。以上、本発明により、遠方POIを描画する際の携帯端末の操作性、視認性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の第1の実施形態による携帯端末装置のハードウェア構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による携帯端末装置で実行される処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施形態による携帯端末装置の画面表示について説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施形態による画面の縮尺を設定するための流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態による携帯端末装置の姿勢を特定するための流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態による各POIの位置を端末の姿勢に応じて画面に描画するための流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態によるPOI情報を生成するために用いられる携帯端末装置のハードウェア構成を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態によるPOI情報を生成するための流れを示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施形態による携帯端末装置で実行される処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態による近距離に存在するPOIを描画するための流れを示すフローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施形態による描画画像をズームするための流れを示すフローチャートである。
【図12】本発明の第3の実施形態による携帯端末装置の画面表示について説明するための図である。
【図13】本発明の第5の実施形態による、遠方に存在するPOIを描画するための描画処理を示したフローチャートである。
【図14】本発明の第5の実施形態による、実際の携帯端末のヨー角における変化と、それに対する描画用の回転角の変化を示した表である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実空間におけるPOI(point of interest)を、画面空間上に表示するシステムであって、該POIのそれぞれの緯度、経度情報はPOIデータベースに格納されており、
実空間における現在の携帯端末位置を特定する、位置特定手段と、
実空間におけるヨー角、ピッチ角からなる現在の携帯端末姿勢を特定する、姿勢特定手段と、
前記特定された現在位置から、所定の区間内に存在するPOIに対応する緯度、経度をPOIデータベースから読み出す、読出手段と、
前記読出しされた各POIの情報に基づいて、前記特定された携帯端末の現在位置からの各POIまでの距離を算出し、該算出された距離と、ヨー角、ピッチ角からなる前記特定された携帯端末の現在の携帯端末姿勢に基づいて画面空間上での各POIの座標を算出する、座標算出手段と、
前記算出された各POIの画面空間上での座標に基づいて、実空間における地表面に垂直の方向から認識される、各POIの存在する方向、距離に基づいて各POIを画面に表示する、画面表示手段と、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムであって、
前記所定の区間は、
前記POIデータベースに格納された各POIの緯度、経度情報を用いて、前記現在位置から距離の近いPOIを順に所定数特定する、POI特定手段と、
前記現在位置と、前記特定されたPOIのうち最後に特定されたPOIとの距離を算出する、距離算出手段と、
を含み、前記所定区間は、前記現在位置を原点とし、前記算出された距離を半径とする円区間で規定される、システム。
【請求項3】
請求項1記載のシステムであって、
前記所定の区間は、
前記POIデータベースに格納された各POIの緯度、経度情報を用いて、前記現在位置から距離の近いPOIを順に所定数特定する、POI特定手段と、
前記現在位置と、前記特定された所定数のPOIとの平均距離を算出する、距離算出手段と、
を含み、前記所定区間は、前記現在位置を原点とし、前記算出された平均距離の定数倍を半径とする円区間で規定される、システム。
【請求項4】
請求項1記載のシステムであって、前記姿勢特定手段は、
前記実空間におけるヨー角、ピッチ角を姿勢センサから定期的に取得しメモリへ格納する手段と、
前記メモリへ格納された過去一定期間内に取得されたヨー角、ピッチ角の標準偏差をそれぞれ算出する、第1の算出手段と、
前記算出された標準偏差に基づいて、画面描画のための携帯端末のヨー角、ピッチ角を算出する、第2の算出手段と、含み、
前記第2の算出手段により算出された画面描画のための携帯端末のヨー角、ピッチ角に基づいて現在の携帯端末姿勢を特定する、システム。
【請求項5】
実空間におけるPOIを、画面空間上に表示するシステムであって、該各POIに関する情報は、該POI生成時に取得された携帯端末姿勢を構成するヨー角を含み、POIデータベースに格納されており、
前記POIが至近距離に存在するPOIである場合に、POI生成時に取得された前記POIのヨー角を前記POIデータベースから読み出す、読出手段と、
実空間における地表面に垂直の方向から認識される、前記読出されたヨー角方向に基づいて、前記至近距離に存在するPOIを画面表示する、画面表示手段と、
を含む、システム。
【請求項6】
請求項2記載のシステムであって、
前記距離算出手段により算出された距離に基づいて算出された距離を半径とする最内円以内に存在するPOIは、該最内円の円周上の対応する位置に描画される、システム
【請求項7】
請求項1記載のシステムは、さらに
前記画面表示手段により画面に表示された各POIのうち、基準点からの距離が最も近い距離に存在する第1のPOIを選択する、第1の選択手段と、
ユーザからのズーム処理の入力を検出する、検出手段と、
前記ズーム処理の入力が検出された場合に、前記選択された第1のPOIの次に基準点からの距離が近い第2のPOIを選択する、選択手段と、
前記第2のPOIの画面y軸方向の距離に基づいて、表示画面をy軸方向に移動して画面に描画する、描画手段と、
を含む、システム。
【請求項8】
請求項7記載のシステムであって、
前記ユーザからのズーム処理の入力は、携帯端末の入力キーから検出された入力、又は携帯端末の姿勢センサから検出された姿勢変化量に基づく、システム
【請求項9】
請求項1記載のシステムであって、前記画面表示手段は、
前記POIのうち、現在位置から第1の距離以上、第2の距離以内に存在する遠方POIにおいて、実空間におけるヨー角変化量に対して小さく変化するよう規定された、画面区間上に描画する際のヨー角変化量に基づいて該遠方POIを画面に表示する、画面表示手段と
をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項10】
実空間におけるPOIを、画面空間上に表示するシステムであって、該POIのそれぞれの緯度、経度情報はPOIデータベースに格納されており、
実空間における現在の携帯端末位置を特定する、位置特定ステップと、
実空間におけるヨー角、ピッチ角からなる現在の携帯端末姿勢を特定する、姿勢特定ステップと、
前記特定された現在位置から、所定の区間内に存在するPOIに対応する緯度、経度をPOIデータベースから読み出す、読出ステップと、
前記読出しされた各POIの情報に基づいて、前記特定された携帯端末の現在位置からの各POIまでの距離を算出し、該算出された距離と、ヨー角、ピッチ角からなる前記特定された携帯端末の現在の携帯端末姿勢に基づいて画面空間上での各POIの座標を算出する、座標算出ステップと、
前記算出された各POIの画面空間上での座標に基づいて、実空間における地表面に垂直の方向から認識される、各POIの存在する方向、距離に基づいて各POIを画面に表示する、画面表示ステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法であって、
前記所定の区間は、
前記POIデータベースに格納された各POIの緯度、経度情報を用いて、前記現在位置から距離の近いPOIを順に所定数特定する、POI特定ステップと、
前記現在位置と、前記特定されたPOIのうち最後に特定されたPOIとの距離を算出する、距離算出ステップと、
を含み、前記所定区間は、前記現在位置を原点とし、前記算出された距離を半径とする円区間で規定される、方法。
【請求項12】
請求項10記載の方法であって、
前記所定の区間は、
前記POIデータベースに格納された各POIの緯度、経度情報を用いて、前記現在位置から距離の近いPOIを順に所定数特定する、POI特定ステップと、
前記現在位置と、前記特定された所定数のPOIとの平均距離を算出する、距離算出ステップと、
を含み、前記所定区間は、前記現在位置を原点とし、前記算出された平均距離の定数倍を半径とする円区間で規定される、方法。
【請求項13】
請求項10記載の方法であって、前記姿勢特定ステップは、
前記実空間におけるヨー角、ピッチ角を姿勢センサから定期的に取得しメモリへ格納するステップと、
前記メモリへ格納された過去一定期間内に取得されたヨー角、ピッチ角の標準偏差をそれぞれ算出する、第1の算出ステップと、
前記算出された標準偏差に基づいて、画面描画のための携帯端末のヨー角、ピッチ角を算出する、第2の算出ステップと、含み、
前記第2の算出ステップにより算出された画面描画のための携帯端末のヨー角、ピッチ角に基づいて現在の携帯端末姿勢を特定する、方法。
【請求項14】
実空間におけるPOIを、画面空間上に表示する方法であって、該各POIに関する情報は、該POI生成時に取得された携帯端末姿勢を構成するヨー角を含み、POIデータベースに格納されており、
前記POIが至近距離に存在するPOIである場合に、POI生成時に取得された前記POIのヨー角を前記POIデータベースから読み出す、読出ステップと、
実空間における地表面に垂直の方向から認識される、前記読出されたヨー角方向に基づいて、前記至近距離に存在するPOIを画面表示する、画面表示ステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
請求項11記載の方法であって、
前記距離算出ステップにより算出された距離に基づいて算出された距離を半径とする最内円以内に存在するPOIは、該最内円の円周上の対応する位置に描画される、方法。
【請求項16】
請求項10記載の方法は、さらに、
前記画面表示ステップにより画面に表示された各POIのうち、基準点からの距離が最も近い距離に存在する第1のPOIを選択する、第1の選択ステップと、
ユーザからのズーム処理の入力を検出する、検出ステップと、
前記ズーム処理の入力が検出された場合に、前記選択された第1のPOIの次に基準点からの距離が近い第2のPOIを選択する、選択ステップと、
前記第2のPOIの画面y軸方向の距離に基づいて、表示画面をy軸方向に移動して画面に描画する、描画ステップと、
を含む、方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法であって、
前記ユーザからのズーム処理の入力は、携帯端末の入力キーから検出された入力、又は携帯端末の姿勢センサから検出された姿勢変化量に基づく、方法。
【請求項18】
請求項10記載の方法であって、前記画面表示ステップは、さらに
前記POIのうち、現在位置から第1の距離以上、第2の距離以内に存在する遠方POIにおいて、実空間におけるヨー角変化量に対して小さく変化するよう規定された、画面区間上に描画する際のヨー角変化量に基づいて該遠方POIを画面に表示する、画面表示ステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項1】
実空間におけるPOI(point of interest)を、画面空間上に表示するシステムであって、該POIのそれぞれの緯度、経度情報はPOIデータベースに格納されており、
実空間における現在の携帯端末位置を特定する、位置特定手段と、
実空間におけるヨー角、ピッチ角からなる現在の携帯端末姿勢を特定する、姿勢特定手段と、
前記特定された現在位置から、所定の区間内に存在するPOIに対応する緯度、経度をPOIデータベースから読み出す、読出手段と、
前記読出しされた各POIの情報に基づいて、前記特定された携帯端末の現在位置からの各POIまでの距離を算出し、該算出された距離と、ヨー角、ピッチ角からなる前記特定された携帯端末の現在の携帯端末姿勢に基づいて画面空間上での各POIの座標を算出する、座標算出手段と、
前記算出された各POIの画面空間上での座標に基づいて、実空間における地表面に垂直の方向から認識される、各POIの存在する方向、距離に基づいて各POIを画面に表示する、画面表示手段と、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムであって、
前記所定の区間は、
前記POIデータベースに格納された各POIの緯度、経度情報を用いて、前記現在位置から距離の近いPOIを順に所定数特定する、POI特定手段と、
前記現在位置と、前記特定されたPOIのうち最後に特定されたPOIとの距離を算出する、距離算出手段と、
を含み、前記所定区間は、前記現在位置を原点とし、前記算出された距離を半径とする円区間で規定される、システム。
【請求項3】
請求項1記載のシステムであって、
前記所定の区間は、
前記POIデータベースに格納された各POIの緯度、経度情報を用いて、前記現在位置から距離の近いPOIを順に所定数特定する、POI特定手段と、
前記現在位置と、前記特定された所定数のPOIとの平均距離を算出する、距離算出手段と、
を含み、前記所定区間は、前記現在位置を原点とし、前記算出された平均距離の定数倍を半径とする円区間で規定される、システム。
【請求項4】
請求項1記載のシステムであって、前記姿勢特定手段は、
前記実空間におけるヨー角、ピッチ角を姿勢センサから定期的に取得しメモリへ格納する手段と、
前記メモリへ格納された過去一定期間内に取得されたヨー角、ピッチ角の標準偏差をそれぞれ算出する、第1の算出手段と、
前記算出された標準偏差に基づいて、画面描画のための携帯端末のヨー角、ピッチ角を算出する、第2の算出手段と、含み、
前記第2の算出手段により算出された画面描画のための携帯端末のヨー角、ピッチ角に基づいて現在の携帯端末姿勢を特定する、システム。
【請求項5】
実空間におけるPOIを、画面空間上に表示するシステムであって、該各POIに関する情報は、該POI生成時に取得された携帯端末姿勢を構成するヨー角を含み、POIデータベースに格納されており、
前記POIが至近距離に存在するPOIである場合に、POI生成時に取得された前記POIのヨー角を前記POIデータベースから読み出す、読出手段と、
実空間における地表面に垂直の方向から認識される、前記読出されたヨー角方向に基づいて、前記至近距離に存在するPOIを画面表示する、画面表示手段と、
を含む、システム。
【請求項6】
請求項2記載のシステムであって、
前記距離算出手段により算出された距離に基づいて算出された距離を半径とする最内円以内に存在するPOIは、該最内円の円周上の対応する位置に描画される、システム
【請求項7】
請求項1記載のシステムは、さらに
前記画面表示手段により画面に表示された各POIのうち、基準点からの距離が最も近い距離に存在する第1のPOIを選択する、第1の選択手段と、
ユーザからのズーム処理の入力を検出する、検出手段と、
前記ズーム処理の入力が検出された場合に、前記選択された第1のPOIの次に基準点からの距離が近い第2のPOIを選択する、選択手段と、
前記第2のPOIの画面y軸方向の距離に基づいて、表示画面をy軸方向に移動して画面に描画する、描画手段と、
を含む、システム。
【請求項8】
請求項7記載のシステムであって、
前記ユーザからのズーム処理の入力は、携帯端末の入力キーから検出された入力、又は携帯端末の姿勢センサから検出された姿勢変化量に基づく、システム
【請求項9】
請求項1記載のシステムであって、前記画面表示手段は、
前記POIのうち、現在位置から第1の距離以上、第2の距離以内に存在する遠方POIにおいて、実空間におけるヨー角変化量に対して小さく変化するよう規定された、画面区間上に描画する際のヨー角変化量に基づいて該遠方POIを画面に表示する、画面表示手段と
をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項10】
実空間におけるPOIを、画面空間上に表示するシステムであって、該POIのそれぞれの緯度、経度情報はPOIデータベースに格納されており、
実空間における現在の携帯端末位置を特定する、位置特定ステップと、
実空間におけるヨー角、ピッチ角からなる現在の携帯端末姿勢を特定する、姿勢特定ステップと、
前記特定された現在位置から、所定の区間内に存在するPOIに対応する緯度、経度をPOIデータベースから読み出す、読出ステップと、
前記読出しされた各POIの情報に基づいて、前記特定された携帯端末の現在位置からの各POIまでの距離を算出し、該算出された距離と、ヨー角、ピッチ角からなる前記特定された携帯端末の現在の携帯端末姿勢に基づいて画面空間上での各POIの座標を算出する、座標算出ステップと、
前記算出された各POIの画面空間上での座標に基づいて、実空間における地表面に垂直の方向から認識される、各POIの存在する方向、距離に基づいて各POIを画面に表示する、画面表示ステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法であって、
前記所定の区間は、
前記POIデータベースに格納された各POIの緯度、経度情報を用いて、前記現在位置から距離の近いPOIを順に所定数特定する、POI特定ステップと、
前記現在位置と、前記特定されたPOIのうち最後に特定されたPOIとの距離を算出する、距離算出ステップと、
を含み、前記所定区間は、前記現在位置を原点とし、前記算出された距離を半径とする円区間で規定される、方法。
【請求項12】
請求項10記載の方法であって、
前記所定の区間は、
前記POIデータベースに格納された各POIの緯度、経度情報を用いて、前記現在位置から距離の近いPOIを順に所定数特定する、POI特定ステップと、
前記現在位置と、前記特定された所定数のPOIとの平均距離を算出する、距離算出ステップと、
を含み、前記所定区間は、前記現在位置を原点とし、前記算出された平均距離の定数倍を半径とする円区間で規定される、方法。
【請求項13】
請求項10記載の方法であって、前記姿勢特定ステップは、
前記実空間におけるヨー角、ピッチ角を姿勢センサから定期的に取得しメモリへ格納するステップと、
前記メモリへ格納された過去一定期間内に取得されたヨー角、ピッチ角の標準偏差をそれぞれ算出する、第1の算出ステップと、
前記算出された標準偏差に基づいて、画面描画のための携帯端末のヨー角、ピッチ角を算出する、第2の算出ステップと、含み、
前記第2の算出ステップにより算出された画面描画のための携帯端末のヨー角、ピッチ角に基づいて現在の携帯端末姿勢を特定する、方法。
【請求項14】
実空間におけるPOIを、画面空間上に表示する方法であって、該各POIに関する情報は、該POI生成時に取得された携帯端末姿勢を構成するヨー角を含み、POIデータベースに格納されており、
前記POIが至近距離に存在するPOIである場合に、POI生成時に取得された前記POIのヨー角を前記POIデータベースから読み出す、読出ステップと、
実空間における地表面に垂直の方向から認識される、前記読出されたヨー角方向に基づいて、前記至近距離に存在するPOIを画面表示する、画面表示ステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
請求項11記載の方法であって、
前記距離算出ステップにより算出された距離に基づいて算出された距離を半径とする最内円以内に存在するPOIは、該最内円の円周上の対応する位置に描画される、方法。
【請求項16】
請求項10記載の方法は、さらに、
前記画面表示ステップにより画面に表示された各POIのうち、基準点からの距離が最も近い距離に存在する第1のPOIを選択する、第1の選択ステップと、
ユーザからのズーム処理の入力を検出する、検出ステップと、
前記ズーム処理の入力が検出された場合に、前記選択された第1のPOIの次に基準点からの距離が近い第2のPOIを選択する、選択ステップと、
前記第2のPOIの画面y軸方向の距離に基づいて、表示画面をy軸方向に移動して画面に描画する、描画ステップと、
を含む、方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法であって、
前記ユーザからのズーム処理の入力は、携帯端末の入力キーから検出された入力、又は携帯端末の姿勢センサから検出された姿勢変化量に基づく、方法。
【請求項18】
請求項10記載の方法であって、前記画面表示ステップは、さらに
前記POIのうち、現在位置から第1の距離以上、第2の距離以内に存在する遠方POIにおいて、実空間におけるヨー角変化量に対して小さく変化するよう規定された、画面区間上に描画する際のヨー角変化量に基づいて該遠方POIを画面に表示する、画面表示ステップと
を備えることを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−22112(P2011−22112A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169895(P2009−169895)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】
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