説明

防振装置

【課題】内筒体と、該内筒体の周囲に設けられた外筒体と、該両筒体の間に設けられたゴム弾性体と、上記内筒体の少なくとも軸方向一方側の端部に外嵌合された、上記内筒体及び外筒体の軸方向の相対移動を規制するためのストッパとを備えている防振装置において、接着剤を用いることなく、ストッパが内筒体から外れるのを抑制する。
【解決手段】ゴム弾性体12の軸方向一方側の端面におけるストッパ13に対応する部分に、軸方向外側に突出する嵌合突出部12hを1つ形成する。ストッパ13における嵌合突出部12hに対応する部分に、嵌合突出部12hが嵌合された嵌合孔13dを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内筒体と、該内筒体の周囲に設けられた外筒体と、該両筒体の間に設けられたゴム弾性体と、上記内筒体の少なくとも軸方向一方側の端部に外嵌合された、上記内筒体及び外筒体の軸方向の相対移動を規制するためのストッパとを備えている防振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内筒体と、この内筒体の周囲に設けられた外筒体と、これら両筒体の間に設けられたゴム弾性体と、内筒体の少なくとも軸方向一方側の端部に外嵌合された、内筒体及び外筒体の軸方向の相対移動を規制するためのストッパとを備えている従来の防振装置について特許文献1により以下、説明する。
【0003】
特許文献1の防振装置は、例えば自動車用のエンジンマウント等として採用されており、内筒金具(内筒体)の外周側に離隔して外筒金具(外筒体)を配設すると共にそれら内筒金具と外筒金具を本体ゴム弾性体で連結した筒型の防振装置本体に対して、その軸方向両側に一対のストッパゴムプレートを配設し、ストッパゴムプレートに設けた装着孔に内筒金具の端部を嵌め入れて組み付けている。そして、各ストッパゴムプレートにおける装着孔の内周面と、そこに嵌め入れられる内筒金具の両端部の外周面とに対して、周上で互いに対応する3つ以上の位置に係合用凹部または係合用凸部を形成すると共に、それら係合用凹部または係合用凸部における周方向での離隔距離を少なくとも3以上に異ならせることによって、軸方向両側に装着されるかかる一対の同一のストッパゴムプレートを、その表裏を特定し且つ内筒金具回りの周方向位置を特定して組み付けることができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4300482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、内筒金具にストッパゴムプレートを外嵌合した防振装置を自動車に組み付ける際、その作業者がストッパゴムプレートを持ってその組み付けを行うと、ストッパゴムプレートが内筒体から外れる虞がある。
【0006】
この問題を解決するため、ストッパゴムプレートを内筒金具に接着剤で固着することが考えられるが、そうすると、作業工数が増加するとともに、コスト高になる。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内筒体と、該内筒体の周囲に設けられた外筒体と、該両筒体の間に設けられたゴム弾性体と、上記内筒体の少なくとも軸方向一方側の端部に外嵌合された、上記内筒体及び外筒体の軸方向の相対移動を規制するためのストッパとを備えている防振装置において、接着剤を用いることなく、ストッパが内筒体から外れるのを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、内筒体と、該内筒体の周囲に設けられた外筒体と、該両筒体の間に設けられたゴム弾性体と、上記内筒体の少なくとも軸方向一方側の端部に外嵌合された、上記内筒体及び外筒体の軸方向の相対移動を規制するためのストッパとを備えている防振装置であって、上記ゴム弾性体の軸方向一方側の端面における上記ストッパに対応する部分には、軸方向外側に突出する嵌合突出部が少なくとも1つ形成されており、上記ストッパにおける上記嵌合突出部に対応する部分には、該嵌合突出部が嵌合された嵌合孔が形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
これによれば、ゴム弾性体の軸方向一方側の端面におけるストッパに対応する部分に、軸方向外側に突出する嵌合突出部を少なくとも1つ形成するとともに、ストッパにおける嵌合突出部に対応する部分に、嵌合突出部が嵌合された嵌合孔を形成しているので、接着剤を用いることなく、ストッパが内筒体から外れるのを抑制することができる。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記嵌合突出部は、上記嵌合孔に嵌合される前の状態において大きさが該嵌合孔よりも大きくなるように、中空形状に形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
これによれば、嵌合突出部を、嵌合孔に嵌合される前の状態において大きさが嵌合孔よりも大きくなるように、中空形状に形成しているので、嵌合突出部を嵌合孔に嵌合すると、嵌合突出部の、嵌合孔に対応する部分が嵌合孔の周縁部によって潰され、その潰れた部分の、軸方向外側の部分が、ストッパが嵌合突出部から抜けるのを抑制する部分になる。よって、ストッパが内筒体から外れるのをさらに抑制することができる。
【0012】
第3の発明は、上記第1又は2の発明において、上記嵌合突出部及び嵌合孔は、軸方向から見て中央部が径方向内側に突出するように形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
これによれば、嵌合突出部及び嵌合孔を、軸方向から見て中央部が径方向内側に突出するように形成しているので、ストッパがその径方向外側から内側にめくれて嵌合突出部から抜けるのを抑制することができ、ストッパが内筒体から外れるのをさらに抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ゴム弾性体の軸方向一方側の端面におけるストッパに対応する部分に、軸方向外側に突出する嵌合突出部を少なくとも1つ形成するとともに、ストッパにおける嵌合突出部に対応する部分に、嵌合突出部が嵌合された嵌合孔を形成しているので、接着剤を用いることなく、ストッパが内筒体から外れるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態1に係るエンジンマウントをその軸方向一方側から見た斜視図である。
【図2】実施形態1に係るエンジンマウントをその軸方向他方側から見た斜視図である。
【図3】実施形態1に係るエンジンマウントの正面図である。
【図4】図3のIV−IV線の矢視断面図である。
【図5】実施形態2に係るエンジンマウントをその軸方向一方側から見た斜視図である。
【図6】実施形態2に係るエンジンマウントの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
(実施形態1)
本実施形態では、本発明に係るソリッド式防振装置を自動車のエンジンマウントAに適用し、このエンジンマウントAは、図示しない自動車のパワープラントと車体との間に介在されて、そのパワープラントの荷重を支持するとともに、当該パワープラントからの振動を吸収し或いは減衰させて、車体への振動伝達を抑制するためのものである。
【0018】
つまり、図1〜図4に示すように、エンジンマウントAの本体(防振装置本体。以下、マウント本体という。)1は、中空略円筒状の金属製内筒体10と、この内筒体10の外周囲に内筒体10と同軸に設けられた中空円筒状の金属製外筒体11と、これら両筒体10,11の間に設けられて両筒体10,11を互いに連結するゴム弾性体12とを備えるものである。そして、内部にマウント本体1が圧入固定された筒状金具2が、その外周に径方向外側に延びるように一体的に取り付けられた金属製ブラケット3によって振動受け側の車体フレーム(図示せず)に連結される一方、内筒体10は、その軸方向両端部がそれぞれボルト等により結合されるブラケット(図示せず)によって、振動源側のパワープラントに連結されるようになっている。
【0019】
尚、図1〜図4は、パワープラントの静荷重が作用していない状態を示しており、この状態では内筒体10の中心軸が外筒体11の中心軸から上方にオフセットしているが、上述の如く車体に取り付けられてパワープラントの静荷重が加わる1G状態では、図示しないが、ゴム弾性体12が撓んで内筒体10が下方に変位し、その中心軸が外筒体11の中心軸と概ね合致するようになる。
【0020】
エンジンマウントAは、例えばエンジンルームに横置きに搭載されるパワープラントのトランスミッション側の端部を吊り下げるものであり、内筒体10の軸線が概ね自動車の車体の前後方向を向くように配置されている。
【0021】
上記内筒体10は、軸方向長さが外筒体11よりも長くなるように形成されていて、軸方向両端が外筒体11の軸方向両端よりも軸方向外側にそれぞれ突出するように配置されている。内筒体10の軸方向一方側(図1では手前側)の端部には、その外周囲にあるゴム弾性体12を介して板状のゴム製ストッパ13が外嵌合されている。つまり、このストッパ13の、内筒体10側の部分には、両筒体10,11の軸方向から見て円形状の取付孔13aが貫通形成されており、この取付孔13aには内筒体10が嵌入されている。また、取付孔13aの内周面には、径方向外側に窪む凹部13bが形成されている。ストッパ13は、内筒体10から筒状金具2の径方向外側まで斜め下側に延びていて、径方向外側に行くに従って拡がり、内筒体10とは反対側の部分に厚肉の厚肉部13cが形成されている。そして、この厚肉部13cがパワープラント側のブラケットや筒状金具2に当接することによって、両筒体10,11の軸方向の相対移動が規制されるようになっている。
【0022】
上記ゴム弾性体12は、両筒体10,11に一体的に加硫成形されていて、内筒体10から水平方向の両側に延びて、内筒体10を外筒体11に対して弾性支持する主ばね部12aと、外筒体11の上側内周面から下側に突出する上側ストッパ部12bと、外筒体11の下側内周面から上側に突出する下側ストッパ部12cと、ストッパ13の凹部13bに対応するように、内筒体10の軸方向一方側の端部から径方向外側に突出する凸部12dとを有している。主ばね部12aと上側ストッパ部12bとの間には、水平方向に延びる上側すぐり部12eが軸方向に貫通形成される一方、主ばね部12aと下側ストッパ部12cとの間には、水平方向に延びる下側すぐり部12fが軸方向に貫通形成されている。そして、上側及び下側ストッパ部12b,12cが内筒体10に当接することによって、両筒体10,11の上下方向の相対移動が規制されるようになっている。また、凹部13bには凸部12dが嵌合され、これにより、ストッパ13が内筒体10に対して位置決めされるようになっている。さらに、ゴム弾性体12の軸方向他方側の端面には、その下側周縁部からストッパ13と同じ方向に延びる、軸方向外側に突出する外側ストッパ部12gが一体に形成されている。そして、この外側ストッパ部12gがパワープラント側のブラケットや筒状金具2に当接することによって、両筒体10,11の軸方向の相対移動が規制されるようになっている。
【0023】
ここで、内筒体10にストッパ13を外嵌合した状態のエンジンマウントAを自動車に組み付ける際、その作業者がストッパ13を持ってその組み付けを行うと、何ら手段を講じなければ、ストッパ13が内筒体10から外れる虞がある。そこで、この実施形態では、ストッパ13が内筒体10から外れるのを抑制する手段を設けている。これについて以下、説明する。
【0024】
下側ストッパ部12cの軸方向一方側の端面の、ストッパ13に対応する部分(この実施形態では中央部)には、軸方向外側に突出する、軸方向から見て円形状のゴム製の嵌合突出部12hが1つ、一体に形成されている。この嵌合突出部12hは有蓋中空円筒形状になっている。また、嵌合突出部12hの蓋部12iの、軸方向外側の端面の中央部には、軸方向外側に突出するつまみ部12jが一体に形成されている。このつまみ部12jは、嵌合突出部12hよりも外径が小さく、これにより、嵌合突出部12hの外周面よりも径方向外側に突出しないようになっている。さらに、嵌合突出部12hの中空部12kに連続するように、下側ストッパ部12cの中央部には貫通孔12lが軸方向に貫通形成されている。ストッパ13の、嵌合突出部12hに対応する部分には、嵌合突出部12hが嵌入される、両筒体10,11の軸方向から見て円形状の嵌合孔13dが1つ、貫通形成されている。この嵌合孔13dは、嵌合突出部12hが嵌合される前の状態において孔径の大きさが嵌合突出部12hの外径よりも若干小さくなるように形成されている。
【0025】
そして、ストッパ13を内筒体10に取り付ける際には、内筒体10をストッパ13の取付孔13aに嵌合するとともに、ゴム弾性体12の嵌合突出部12hを、そのつまみ部12jをつまみ持ってストッパ13の嵌合孔13dの軸方向内側から外側に引っ張って通り抜けさせることにより嵌合孔13dに強固に嵌合する。このように、嵌合突出部12hが嵌合孔13dに嵌合されることにより、接着剤を用いることなく、ストッパ13が内筒体10から外れるのが抑制されるようになっている。
【0026】
また、嵌合突出部12hは、上述の如く、嵌合孔13dに嵌合される前の状態において外径の大きさが嵌合孔13dの孔径よりも若干大きくなるように、中空形状に形成されているため、嵌合突出部12hが嵌合孔13dに嵌合されると、嵌合突出部12hの、嵌合孔13dに対応する部分が、嵌合孔13dの周縁部によって潰され、その潰れた部分の、軸方向外側の部分(図4では嵌合突出部12hの先端部)が、ストッパ13が嵌合突出部12hから抜けるのを抑制する部分になり、これにより、ストッパ13が内筒体10から外れるのがさらに抑制されるようになっている。
【0027】
尚、本実施形態では、ゴム弾性体12の軸方向他方側の端面に外側ストッパ部12gを形成しているが、この外側ストッパ部12gの代わりに、内筒体10の軸方向他方側の端部にストッパ13を外嵌合してもよい。この場合、ゴム弾性体12の軸方向他方側の端面に上述の如く嵌合突出部12hを、内筒体10の軸方向他方側端部のストッパ13に上述の如く嵌合孔13dを形成するのが望ましい。
【0028】
また、本実施形態では、嵌合突出部12hを中空形状に形成しているが、中実形状に形成してもよい。この場合、嵌合孔13dを、軸方向から見て嵌合突出部12hとほぼ同じ大きさにするのが望ましい。
【0029】
(実施形態2)
本実施形態は、嵌合突出部12hや嵌合孔13dなどの構成が実施形態1と異なるものである。その相違点について以下、説明する。
【0030】
本実施形態では、本発明に係る液体封入式防振装置を自動車のエンジンマウントAに適用したものである。図5、図6に示すように、マウント本体1は、中空略円筒状の金属製内筒体10と、この内筒体10の外周囲に内筒体10と同軸に設けられた中空円筒状の金属製外筒体11と、これら両筒体10,11の間に設けられて両筒体10,11を互いに連結するゴム弾性体12と、このゴム弾性体12に埋設された金属製の中間筒体(図示せず)と、ゴム弾性体12の内部の、内筒体10の下側部分及び上側部分にそれぞれ形成された主流体室及び副流体室(図示せず)と、これら両流体室を連通するオリフィス通路(図示せず)とを備えるものである。そして、内部にマウント本体1が圧入固定された筒状金具2が、その外周に径方向外側に延びるように一体的に取り付けられた金属製ブラケット3によって振動受け側の車体フレーム(図示せず)に連結される一方、内筒体10は、その軸方向両端部がそれぞれボルト等により結合されるブラケット(図示せず)によって、振動源側のパワープラントに連結されるようになっている。また、主流体室及び副流体室の液体がオリフィス通路を介して相互に流通することによって、内筒体10からゴム弾性体12に作用する低周波・大振幅の振動が減衰されるようになっている。
【0031】
上記内筒体10の軸方向両側の端部には、その外周囲にあるゴム弾性体12を介して板状のゴム製ストッパ13がそれぞれ外嵌合されている。このストッパ13は、内筒体10から筒状金具2の径方向外側まで下側に延びている。
【0032】
上記ゴム弾性体12は、内筒体10、外筒体11及び中間筒体に一体的に加硫成形されていて、内筒体10から水平方向の両側に延びて、内筒体10を外筒体11に対して弾性支持する主ばね部12aと、ストッパ13の凹部13bに対応するように、内筒体10の軸方向両側の端部からそれぞれ径方向外側に突出する凸部12dとを有している。また、ゴム弾性体12には、無負荷状態では、内筒体10の上側近傍にこれに沿うように切れ目(図示せず)が、内筒体10の左右両側部分にすぐり部12mが、それぞれ軸方向に貫通形成されているが、1G状態では、上述の如く内筒体10が下方に変位することによって、両すぐり部12m,12mが連続してなるすぐり部(図示せず)が形成されるようになっている。
【0033】
ゴム弾性体12の軸方向両側の端面の、ストッパ13に対応する部分(この実施形態では、副流体室を覆う部分(即ち、内筒体10の下側部分))には、軸方向外側に突出するゴム製の嵌合突出部12hがそれぞれ1つずつ、一体に形成されている。この嵌合突出部12hは、両筒体10,11の軸方向から見て中央部が両筒体10,11の周方向に対して径方向内側に突出するように湾曲形状に形成されている。また、嵌合突出部12hは、型割り上、実施形態1の如く中空形状にすることが困難であり、中実形状になっている。各ストッパ13の、嵌合突出部12hに対応する部分には、嵌合突出部12hが嵌入される、両筒体10,11の軸方向から見て嵌合突出部12gと同形状の嵌合孔13dがそれぞれ1つずつ、貫通形成されている。この嵌合孔13dは、両筒体10,11の軸方向から見て嵌合突出部12gとほぼ同じ大きさになっている。
【0034】
そして、ストッパ13を内筒体10に取り付ける際には、内筒体10をストッパ13の取付孔13aに嵌合するとともに、ゴム弾性体12の嵌合突出部12gを、ストッパ13の嵌合孔13dの軸方向内側から外側に通り抜けさせることにより嵌合孔13dに強固に嵌合する。このように嵌合突出部12gが嵌合孔13dに嵌合されることにより、接着剤を用いることなく、ストッパ13が内筒体10から外れるのが抑制されるようになっている。
【0035】
また、嵌合突出部12g及び嵌合孔13dは、上述の如く、軸方向から見て中央部が径方向内側に突出するように形成されているため、ストッパ13がその径方向外側から内側に(即ち、内筒体10とは反対側から内筒体10側に)めくれて嵌合突出部12gから抜けるのが抑制されて、ストッパ13が内筒体10から外れるのがさらに抑制されるようになっている。尚、嵌合突出部12g及び嵌合孔13dの大きさが大きいほど、ストッパ13がその径方向外側から内側にめくれにくくなる。
【0036】
さらに、嵌合孔13dの中を通って向こう側へ出た嵌合突出部12gは、ストッパ13とともに、両筒体10,11の軸方向の相対移動を規制するストッパになり、ストッパ特性をコントロールしやすくなる(例えば2段階特性)。
【0037】
その他の点に関しては、実施形態1とほぼ同様の構成である。
【0038】
尚、本実施形態では、嵌合突出部12g及び嵌合孔13dを湾曲形状に形成しているが、軸方向から見て中央部が径方向内側に突出する限り、これに限定されず、例えばV字形状に形成されてもよい。
【0039】
(その他の実施形態)
上記各実施形態では、ゴム弾性体12の軸方向一方側の端面に嵌合突出部12hを、これに対応するストッパ13に嵌合孔13dを1つずつ形成しているが、2つ以上ずつ形成してもよい。その数が多いほど、ストッパ13が内筒体10から外れるのが抑制される一方、ストッパ13を内筒体10に取り付ける作業が煩雑になる。
【0040】
また、上記各実施形態では、嵌合突出部12g及び嵌合孔13dの位置は、ゴム弾性体12及びストッパ13が対向する部分である限り、上記各実施形態のものに限定されない。
【0041】
さらに、本発明の趣旨を逸脱しない限り、上記各実施形態の構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0042】
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0043】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上説明したように、本発明にかかる防振装置は、接着剤を用いることなく、ストッパが内筒体から外れるのを抑制することが必要な用途に適用できる。
【符号の説明】
【0045】
A エンジンマウント(防振装置)
1 マウント本体
10 内筒体
11 外筒体
12 ゴム弾性体
12g 嵌合突出部
13 ストッパ
13d 嵌合孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内筒体と、該内筒体の周囲に設けられた外筒体と、該両筒体の間に設けられたゴム弾性体と、上記内筒体の少なくとも軸方向一方側の端部に外嵌合された、上記内筒体及び外筒体の軸方向の相対移動を規制するためのストッパとを備えている防振装置であって、
上記ゴム弾性体の軸方向一方側の端面における上記ストッパに対応する部分には、軸方向外側に突出する嵌合突出部が少なくとも1つ形成されており、
上記ストッパにおける上記嵌合突出部に対応する部分には、該嵌合突出部が嵌合された嵌合孔が形成されていることを特徴とする防振装置。
【請求項2】
請求項1記載の防振装置において、
上記嵌合突出部は、上記嵌合孔に嵌合される前の状態において大きさが該嵌合孔よりも大きくなるように、中空形状に形成されていることを特徴とする防振装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の防振装置において、
上記嵌合突出部及び嵌合孔は、軸方向から見て中央部が径方向内側に突出するように形成されていることを特徴とする防振装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−106512(P2011−106512A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260181(P2009−260181)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(000201869)倉敷化工株式会社 (282)
【Fターム(参考)】