説明

防水材、舗装材及び床材

【課題】 環境ホルモン作用の疑いのある物質を一切使用せず、従来の硬化物と同性能
を有する防水材、舗装材及び床材を提供することにある。
【解決手段】 ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られる末端イソシアネ
ート基含有ウレタンプレポリマー、活性水素を有する化合物、無機充填材及びアルキルモ
ノカルボン酸変性高級脂肪酸エステルを含有する2液硬化型ウレタン組成物からなり、2
5℃での粘度が1,000〜12,000mPa・sである防水材、舗装材及び床材を提供
するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水材、舗装材及び床材に関し、さらに詳しくは、安全性が高く、危険性の
低いアルキルモノカルボン酸変性水酸基含有高級脂肪酸エステルを配合してなる2液硬化
型ウレタン組成物からなる防水材、舗装材及び床材に関する。
【背景技術】
【0002】
ウレタン系硬化性組成物は、防水材、舗装材、床材、シーリング材として、幅広く使用
されている。
2液硬化型ウレタン組成物は、主剤である末端にイソシアネート基を有するウレタンプ
レポリマー(TDI系など)と活性水素化合物を含む硬化剤とを基本成分とし、これに一
般的には可塑剤、触媒、充填材、顔料等が配合される。この場合、硬化剤の粘度を下げ、
固形アミンを溶解するために可塑剤が用いられている。
一般的に減粘効果及び固形アミンを溶解するため、ジオクチルフタレート(DOP)、
ジブチルフタレート(DBP)の如くフタル酸エステル系化合物が多く使われてきた。し
かしこれらは、近年環境ホルモン作用の疑いが持たれている。
そこで、近年、フタル酸エステル系化合物の替わりに、トリメリット酸系化合物(例え
ば特許文献1参照)に置き換えたり、炭素数が10〜24の不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸と
の混合物からなるモノカルボン酸と炭素数1〜10のモノオールとのエステルを含む可塑
剤(例えば特許文献2参照)が提案されている。
トリメリット酸系化合物は、フタル酸エステルと類似の構造をとっているため、将来環
境ホルモン作用が認められる可能性がある。またモノカルボン酸と炭素数1〜10のモノ
オールとのエステルである糠油脂肪酸メチルエステル、大豆油脂肪酸メチルエステル、オ
レイン酸メチルエステル等は、分解しやすく、収縮や臭気等の問題がある。
【特許文献1】特開2003−96153号公報
【特許文献2】特開2002−348463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年あらゆる産業分野で、環境や安全性の高い材料を使用する要望が高まっていて、使
用材料の選択や製造方法において、人体への安全性維持・地球環境保護等から検討するこ
とが重要になっている。
そこで、ポリウレタン防水材、舗装材、床材の使用材料を人体や地球環境に優しい物質
を使用することが望まれている。
本発明は、環境ホルモン作用の疑いのある物質を一切使用せず、従来の硬化物と同性能
を有する防水材、舗装材及び床材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、前記課題について鋭意検討した結果、アルキルモノカルボン酸変性高級脂
肪酸エステルを用いると、環境ホルモン作用の疑いのある物質を用いなくとも、従来の硬
化物と同性能を有する組成物が得られることを発見するに及んで、本発明を完成させるに
至った。
すなわち、本発明は、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られる末端イ
ソシアネート基含有ウレタンプレポリマー、活性水素を有する化合物、無機充填材及びア
ルキルモノカルボン酸変性高級脂肪酸エステルを含有する2液硬化型ウレタン組成物から
なり、25℃での粘度が1,000〜12,000mPa・sである防水材、舗装材及び床
材を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の2液硬化型ウレタン組成物からなる防水材、舗装材及び床材は、環境ホルモン
作用の疑いのある物質を用いずに、硬度、引張強度、引裂強度等に優れる硬化物を得るこ
とができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下本発明を詳細に説明する。
【0007】
本発明の防水材、舗装材及び床材は、1)安全性が高い(環境ホルモンの疑いのある物
質を含んでいない)、2)安全性が高い(消防法第四類第四石油類)、3)極性が高いた
め、ウレタン系及び固形アミンとの溶解性が高い、また、ブリードが少ない、4)臭気が
少ない、5)粘度が低いために、作業しやすくできる等の特徴がある。
【0008】
本発明に使用する末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、ポリオールとポ
リイソシアネートとを反応させることにより得ることができる。
上記したウレタンプレポリマーに用いられるポリオールとしては、例えばポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリアミドポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリカプロラクトンポリエステルポリオール類、ポリブタジエンポリオール類、ポリペンタジエンポリオール類、ひまし油系ポリオール、低分子量ジオール類、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール等から選ばれるものである。好ましくは、ポリエーテルポリオール類で、好ましくは数平均分子量200〜10,000程度のものである。
かかるポリエーテルポリオール類としては、低分子量ジオール、グリセリン、トリメチ
ロールプロパン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、
エチレンジアミン、トリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、テトラメチロールシ
クロヘキサン、メチルグルコシド、2,2,6,6−テトラキス(ヒドロキシルメチル)
シクロヘキサノール、ジエチレントリアミン、ソルビトール、マンニトール、シュクロー
ス等を出発物質としてアルキレンオキサイド、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオ
キサイド等を付加重合せしめたものが挙げられ、例えばポリオキシプロピレンジオール等
が挙げられる。
【0009】
かかる低分子量ジオールとしては、分子量200より小さいもので、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA等が挙げられる。
【0010】
上記した、ウレタンプレポリマーに使用するポリイソシアネートとしては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート(TDIと略す)、65/35−TDI、80/20−TDI、4,4’−MDI及び2,2’−MDIの単独または混合物及びカルボジイミド変性MDI、ジアニシジンイソシアネート、トリデンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリイソシアネート、水添化MDI、水添化TDIなどの如き芳香族ジイソシアネート類、脂環族ジイソシアネート類が挙げられる。
前記ウレタンプレポリマーは、ポリイソシアネート中のイソシアネート基とポリオール
中の水酸基との当量比が、NCO/OH=0.5〜1.5となるように反応させることに
より得ることができる。
【0011】
上記したポリイソシアネート化合物とポリオールから得られた末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに関しては、その25℃における粘度が、好ましくは1,000〜8,000mPa・s、より好ましくは1500〜6,000mPa・sである。さらにイソシアネート含有率に関しては2〜20%であり、好ましくは5〜15%のものが用いられる。
【0012】
本発明に使用する活性水素を有する化合物としては、例えばエチレングリコール、プロ
ピレングリコールのような単鎖グリコール類或いは、分子量200〜5,000の長鎖ポリオール類やポリアミン類等が挙げられる。活性水素を有する化合物は、主剤としての末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに対し、硬化剤として用いられるものである。
活性水素を有する化合物の25℃における粘度は、1,500〜40,000mPa・s
である。このうち、床材に用いる場合、1,500〜6,000mPa・sであることが好
ましく、防水材、舗装材に用いる場合、3,000〜20,000mPa・sであることが
好ましい。
【0013】
前記ウレタンプレポリマーと活性水素を有する化合物との割合は、防水材、舗装材又は
床材によって相違するが、重量比で1:1〜3であるのが好ましい。
【0014】
本発明に使用する無機充填材としては、例えば炭酸カルシウム、クレー、タルク、チタ
ン白、カーボンブラック、ゼオライト、二酸化チタン、ベンガラ等が挙げられる。
かかる無機充填材は、前記活性水素を有する化合物100重量部に対し20〜60重量
部用いるのが好ましい。
【0015】
本発明に使用するアルキルモノカルボン酸変性高級脂肪酸エステルは、カルボキシル基と反応する官能基を有する高級脂肪酸エステルと、アルキルモノカルボン酸とを反応させることにより得られるものである。
【0016】
カルボキシル基と反応する官能基を有する高級脂肪酸としては、炭素原子数が10〜25のアルキル基を有するものが好ましい。かかる炭素原子数が10〜25のアルキル基を有し、カルボキシル基と反応する官能基を有する高級脂肪酸としては、ディモーフェコリック酸(Dimorphecolic酸)、コリリック酸(Corilic酸)、カムロレニック酸(Kamlolenic酸)、リカン酸、ユニペリック(Juniperic酸)、リシノール酸、デンシポリック酸(Densipolic酸)、α−オキシリノレン酸等の水酸基を有する高級脂肪酸、ベルノリック酸(Vernolic酸)、コロナリック酸(Coronaric酸)等のエポキシ基を有する高級脂肪酸等が挙げられるが、水酸基を含有するリシノール酸が好ましい。
本発明に使用する高級脂肪酸エステルは、かかる高級脂肪酸にアルコールを反応させて得られるものである。
アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、デカノール等が挙げられる。これらのうち、粘度の点でメタノールが好ましい。
またアルキルモノカルボン酸としては、炭素原子数が1〜10のアルキル基を有するカルボン酸であることが好ましく、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、カプリン酸等が挙げられる。これらのうち、粘度、安定性の点で、酢酸が好ましい。
前記から、アルキルモノカルボン酸変性高級脂肪酸エステルとしては、リシノール酸アセチルメチルエステルが特に好ましいものである。
【0017】
アルキルモノカルボン酸変性高級脂肪酸エステルの使用量は、ウレタン系硬化性組成物
100重量部に対して、1〜60重量部であることが好ましく、3〜50重量部が特に好
ましい。アルキルモノカルボン酸変性高級脂肪酸エステルの使用量が1〜60重量部であ
れば、減粘効果及び固形アミンへの溶解性が良好である。
ウレタン系硬化性組成物への添加方法としては、例えば予めウレタン系硬化性組成物の
原料として加えてもよく、或いは硬化させようとする直前に硬化性組成物に加えてもよい。
【0018】
本発明の2液硬化型ウレタン組成物からなる防水材、舗装材及び床材は、用途により、
必要に応じて、ジオクチルフタレート(DOP)、ジオクチルアジペート(DOA)等の
一次可塑剤、顔料、トルエン、キシレン、ターペン等の溶剤、脂肪族炭化水素、高沸点系
エステル類、その他触媒等を加えても良い。
【0019】
本発明の2液硬化型ウレタン組成物は、例えばポリイソシアネートとポリオールとを反
応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーからなる主剤と
活性水素化合物からなる硬化剤、アルキルモノカルボン酸変性高級脂肪酸エステル及び無
機充填材とを常温で混合することにより得ることができる。
かかる混合方法としては、例えば攪拌機を備えた高速攪拌機で混合する方法が挙げられる。
【0020】
本発明の2液硬化型ウレタン組成物からなる防水材、舗装材及び床材の25℃における
粘度は、1,000〜12,000mPa・sであり、好ましくは2,000〜8,000m
Pa・sである。粘度がこの範囲にあれば、塗装性及びレべリング性に優れる防水材、舗
装材及び床材を得ることができる。
この際、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基と活性水素化合物の活性水素との当量比を調整し、適度な硬度にすることにより、それぞれの用途に使用することができる。
【0021】
防水材は、コンクリートやモルタルなどからなる防水下地に塗布し、所定の厚さをもった防水層を常温で形成する屋根防水材等が挙げられ、硬度は、JISA硬度45〜55に調整して用いられる。
舗装材は、JISA硬度55〜70に調整して用いられる。また床材は、JISA硬度80〜100に調整して用いられる。
これらの材料は、通常基材に1〜7mmの厚さに塗布されて用いられる。
【実施例】
【0022】
本発明を実施例にて詳細に説明する。本発明は、これら実施例のみに限定されるもので
はない。また、文中「部」、「%」は、断りのない限り重量基準である。
参考例
まず本発明に使用するアルキルモノカルボン酸変性高級脂肪酸エステルとこれ以外の化
合物について、固形アミンの溶解性、引火点及び臭気について、比較実験を行った。
1)固形アミンの溶解性
4,4‘−ジアミノー3,3’―ジクロロジフェニルメタン(MBOCA;固形アミン)を高級脂肪酸エステルに直接約120℃で溶解させ、MBOCAの溶解液を5℃の冷蔵庫で3ヶ月間に保存し、MBOCAが析出するかを確認した。MBOCAの量は、表−1の10、15、20、25及び30%になるように配合した。
また高級脂肪酸エステルとして、リシノール酸アセチルメチルエステル、大豆油脂肪酸
メチルエステル、糠油脂肪酸メチルエステル、リシノール酸メチルエステルを用いた。ま
た可塑剤は、ジオクチルフタレート(DOP)を用いた。
【0023】
【表1】

注) ○:MBOCAの析出無し
×:MBOCAの析出有り
2)引火点
リシノール酸アセチルメチルエステル、大豆油脂肪酸メチルエステル、糠油脂肪酸メチ
ルエステル、リシノール酸メチルエステル及びジオクチルフタレートについて、引火点を
クリーブランド開放式測定法で測定した。
【0024】
【表2】

注) ○:引火点200℃以上
△:引火点70℃〜200℃未満
×:引火点70℃未満
3)臭気
表中の材料50gを、100ccのガラス瓶に取り、ガラス瓶の口に鼻をあてて臭いを
かいだ臭気を評価した。評価結果は5人による評価の平均である。
【0025】
【表3】

注) ◎:臭気まったく無し
○:臭気ややあり
△:臭気強い
×:異臭な臭気
【0026】
実施例1
2LフラスコにハイプロックスDP−2000(数平均分子量2,000のポリオキシプロピレングリコール、大日本インキ化学工業株式会社製)500部、ハイプロックスTG−3000(数平均分子量3,000のポリオキシプロピレングリコール、大日本インキ化学工業株式会社製)500部に、2,4−/2,6−=80/20の異性体比のトリレンジイソシアネート174部を加え、80℃にて6時間反応を続けた。
得られたウレタンプレポリマーの粘度は25℃において7,700mPa・sで遊離のイソシアネート量は3.5%であった。このウレタンプレポリマーをウレタンプレポリマ−(I−1)という。
パンデックスOD−X―825(数平均分子量3,200のポリオキシプロピレングリコール、大日本インキ化学工業株式会社製)40部とリックサイザーC−101(リシノール酸アセチルメチルエステル、伊藤精油株式会社製)35部の混合物にMBOCA6部を加熱溶解させた。さらに、炭酸カルシウム(日東粉化株式会社製、NS−200)108部、顔料のクロムオキサイドグリーン5部、24%オクチル酸鉛溶液4部、安定剤1部、消泡剤1部の合計200部をプラネタリーミキサーで混練し、グリーン色で粘度10,000mPa・sの硬化剤を得た。この硬化剤を以後硬化剤(II−1)という。
ウレタンプレポリマー(I−1)50部と硬化剤(II−1)100部をビーカーにとり、均一に撹拌混合した。得られた混合物の25℃における粘度は、8,000mPa・sであった。
この混合物を離型剤処理した水平な板の上に厚さ2mmになるよう平滑に塗布し、常温で7日間硬化養生した。
実施例2
2LフラスコにハイプロックスDP−2000 810部、ハイプロックスRT−400(数平均分子量400のポリオキシプロピレングリコール、大日本インキ化学工業株式会社製)7部に、2,4−/2,6−=80/20の異性体比のトリレンジイソシアネート180部、を加え80℃にて6時間反応を続けた。そして、リックサイザーC−101を3%混合し、得られたウレタンプレポリマーの粘度は25℃において4,800mPa・sで遊離のイソシアネート量は5.0%であった。
パンデックスOD−X―825 31部と、リックサイザーC−101 28部の混合
物にMBOCA12部を加熱溶解させた。さらに、炭酸カルシウム(日東粉化株式会社製、NS−200)119部、顔料のクロムオキサイドグリーン5部、24%オクチル酸鉛溶液3部、安定剤1部、消泡剤1部の合計200部をプラネタリーミキサーで混練し、グリーン色で粘度8,000mPa・sの硬化剤を得た。この硬化剤を以後硬化剤(II−2)という。
ウレタンプレポリマー(I−2)50部と硬化剤(II−2)100部をビーカーにとり、均一に撹拌混合した。得られた混合物の25℃における粘度は、6,000mPa・sであった。この混合物を離型剤処理した水平な板の上に厚さ2mmになるよう平滑に塗布し、常温で7日間硬化養生した。
実施例3
2LフラスコにハイプロックスTG−3000 1000部に、2,4−/2,6−=80/20の異性体比のトリレンジイソシアネート286部を加え、80℃にて6時間反応を続けた。得られたウレタンプレポリマーの粘度は25℃におい3,800mPa・sで遊離のイソシアネート量は7.5%であった。
ハイプロックスTG−3000 400部と、リックサイザーC−101 80部の混合物にMBOCA150部を加熱溶解させた。さらに、炭酸カルシウム(日東粉化株式会社製、NS−200)327部、顔料のクロムオキサイドグリーン30部、24%オクチル酸鉛溶液3部、安定剤9部、消泡剤1部の合計1000部をプラネタリーミキサーで混練し、グリーン色で粘度5,400mPa・sの硬化剤を得た。この硬化剤を以後硬化剤(II−3)という。
ウレタンプレポリマー(I−2)50部と硬化剤(II−3)100部をビーカーにとり、均一に撹拌混合した。得られた混合物の25℃における粘度は、4,500mPa・sであった。この混合物を離型剤処理した水平な板の上に厚さ2mmになるよう平滑に塗布し、常温で7日間硬化養生した。
比較例1
パンデックスOD−X―825 40部と、ジオクチルフタレート35部の混合物にMBOCA6部を加熱溶解させた。さらに、炭酸カルシウム(日東粉化株式会社製、NS−200)108部、顔料のクロムオキサイドグリーン5部、24%オクチル酸鉛溶液4部、安定剤1部、消泡剤1部の合計200部をプラネタリーミキサーで混練し、グリーン色で粘度14,000mPa・sの硬化剤を得た。この硬化剤を硬化剤(II−4)という。
17)(硬化塗膜の製造)ウレタンプレポリマー(I−1)50部と硬化剤(II−4)100部をビーカーにとり、均一に撹拌混合した。
この混合物を離型剤処理した水平な板の上に厚さ2mmになるよう平滑に塗布し、常温で7日間硬化養生した。
比較例2
パンデックスOD−X―825 40部と、TOENOL#3120(大豆油脂肪酸メチルエステル、当栄ケミカル株式会社製)35部の混合物にMBOCA6部を加熱溶解させた。さらに、炭酸カルシウム(日東粉化株式会社製、NS−200)108部、顔料のクロムオキサイドグリーン5部、24%オクチル酸鉛溶液4部、安定剤1部、消泡剤1部の合計200部をプラネタリーミキサーで混練し、グリーン色で粘度9,500mPa・sの硬化剤を得た。この硬化剤を以後硬化剤(II−5)という。
ウレタンプレポリマー(I−1)50部と硬化剤(II−5)100部をビーカーにとり、均一に撹拌混合した。得られた混合物の25℃における粘度は、11,000mPa・sであった。
この混合物を離型剤処理した水平な板の上に厚さ2mmになるよう平滑に塗布し、常温で7日間硬化養生した。
比較例3
パンデックスOD−X―825 40部と、TOENOL#3110(米糠油脂肪酸メチルエステル、当栄ケミカル株式会社製)35部の混合物にMBOCA6部を加熱溶解させた。さらに、炭酸カルシウム(日東粉化株式会社製、NS−200)108部、顔料のクロムオキサイドグリーン5部、24%オクチル酸鉛溶液4部、安定剤1部、消泡剤1部の合計200部をプラネタリーミキサーで混練し、グリーン色で粘度9,000mPa・sの硬化剤を得た。この硬化剤を以後硬化剤(II−6)という。
ウレタンプレポリマー(I−1)50部と硬化剤(II−6)100部をビーカーにとり、均一に撹拌混合した。得られた混合物の25℃における粘度は、10,000mPa・sであった。
この混合物を離型剤処理した水平な板の上に厚さ2mmになるよう平滑に塗布し、常温で7日間硬化養生した。
比較例4
パンデックスOD−X―825 40部と、CO−FAメチルエステル(リシノール油脂肪酸メチルエステル、伊藤精油株式会社製)35部の混合物にMBOCA6部を加熱溶解させた。さらに、炭酸カルシウム(日東粉化株式会社製、NS−200)108部、顔料のクロムオキサイドグリーン5部、24%オクチル酸鉛溶液4部、安定剤1部、消泡剤1部の合計200部をプラネタリーミキサーで混練し、グリーン色で粘度11,000mPa・sの硬化剤を得た。この硬化剤を以後硬化剤(II−7)という。
ウレタンプレポリマー(I−1)50部と硬化剤(II−7)100部をビーカーにとり、均一に撹拌混合した。
この混合物を離型剤処理した水平な板の上に厚さ2mmになるよう平滑に塗布し、常温で7日間硬化養生した。
<測定方法>
上記の実施例1、2、3及び比較例1、2、3、4で得られた硬化物について、以下の方法により性能を評価した。
硬度;JIS K−6254法に準拠して測定した。
引張強度及び破断伸び;JIS K−6251に準拠して測定した。
引裂強度;JIS K−6252に準拠して測定した。
【0027】
【表4】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られる末端イソシアネ
ート基含有ウレタンプレポリマー、活性水素を有する化合物、無機充填材及びアルキルモ
ノカルボン酸変性高級脂肪酸エステルを含有する2液硬化型ウレタン組成物からなり、2
5℃での粘度が1,000〜12,000mPa・sである防水材、舗装材及び床材。
【請求項2】
前記アルキルモノカルボン酸が、炭素原子数1〜10のアルキル基を有す
るカルボン酸である請求項1記載の防水材、舗装材及び床材。
【請求項3】
前記高級脂肪酸が、炭素原子数が10〜25のアルキル基を有する高級脂
肪酸である請求項1又は2記載の防水材、舗装材及び床材。
【請求項4】
前記炭素原子数が10〜25のアルキル基を有する高級脂肪酸がリシノー
ル酸である請求項3記載の防水材、舗装材及び床材。


【公開番号】特開2006−273915(P2006−273915A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−91377(P2005−91377)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】