防食管継手の洗浄方法および洗浄装置
【課題】 充分な脱脂洗浄を行うことができ、かつ持続的に安全で安価に使用できる脱脂洗浄を行う工程を含む防食管継手の洗浄方法を提供する。
【解決手段】ねじ12の加工を行なった防食管継手用粗材11に脱脂洗浄を行い、この脱脂洗浄後に防食管継手用粗材11の内外両面若しくは内外のいずれか片面に樹脂被覆層13を形成する為に前工程処理として行う防食管継手の洗浄方法において、前記脱脂洗浄を行う洗浄液として、炭酸カリウム0.05質量%〜1質量%の水溶液を電気分解してマイナス極側に生成したpH10〜12のアルカリ電解水を用い、このアルカリ電解水の洗浄液に防食管継手用粗材11を浸漬して温度40〜80℃で脱脂洗浄を行う。
【解決手段】ねじ12の加工を行なった防食管継手用粗材11に脱脂洗浄を行い、この脱脂洗浄後に防食管継手用粗材11の内外両面若しくは内外のいずれか片面に樹脂被覆層13を形成する為に前工程処理として行う防食管継手の洗浄方法において、前記脱脂洗浄を行う洗浄液として、炭酸カリウム0.05質量%〜1質量%の水溶液を電気分解してマイナス極側に生成したpH10〜12のアルカリ電解水を用い、このアルカリ電解水の洗浄液に防食管継手用粗材11を浸漬して温度40〜80℃で脱脂洗浄を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防食管継手の洗浄方法および洗浄装置に係り、ねじ切り加工した防食管継手用粗材に脱脂洗浄を行う工程を含む防食管継手の洗浄方法および洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、給水給湯配管やガス配管等に使用される防食管継手は、主に、防食管継手用粗材にねじ切り加工を行い、次いで塩素系有機化合物、アルカリ性水溶液、界面活性剤または炭化水素系洗浄剤により脱脂洗浄を行い、脱脂洗浄後、防食管継手用粗材の表面に樹脂コーティング(塗装)や射出成形により樹脂被覆層を形成してなる。防食管継手用粗材にねじ切り加工を行なう際に水溶性の切削油を使用する。この切削油は、充分に脱脂洗浄する必要がある。防食管継手用粗材の脱脂洗浄が不十分であると、樹脂コーティングや射出成形により樹脂被覆層を形成する際に、防食管継手用粗材の表面との密着性が悪い等の問題が生ずる。
【0003】
このため、従来、防食管継手用粗材の脱脂方法として、トリクロロエチレン、ジクロロメタン等の塩素系有機化合物を使用する方法(例えば、特許文献1,2参照)、水酸化ナトリウム等のアルカリ性水溶液によるアルカリ洗浄(例えば、特許文献3,4参照)、合成界面活性剤による方法(例えば、特許文献5参照)、あるいは炭化水素系の洗浄剤による方法(例えば、特許文献6参照)などが実施されている。
【0004】
【特許文献1】特表2006−521460号公報
【特許文献2】特開平6−166894号公報
【特許文献3】特開2007−130679号公報
【特許文献4】特開2006−272059号公報
【特許文献5】特開平5−125571号公報
【特許文献6】特開2006−231272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、トリクロロエチレン、ジクロロメタン等の塩素系有機化合物は、環境問題から使用が制限されている。またアルカリ洗浄に用いる水酸化ナトリウムは劇物であり、取扱いには注意を要するものである。また合成界面活性剤には人体に対して慢性毒性を持った物質が含まれており取扱いには注意を要するものである。また炭化水素系の洗浄剤は可燃物であり、防火対策が必要となり、そのための設備コストが増大する等の問題があった。
そこで、本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、防食管継手を洗浄するに際し、防食管継手用粗材の充分な脱脂洗浄を行い、樹脂コーティングや射出成形により樹脂被覆層を形成するに適した表面性状を付与することができ、かつ環境への影響、取扱いの観点から将来にわたって持続的に安全で安価に使用できるものを用いて脱脂洗浄を行う工程を含む防食管継手の洗浄方法および洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の防食管継手の洗浄方法は、請求項1に記載のように、ねじ切り加工した防食管継手用粗材に脱脂洗浄を行い、この脱脂洗浄後に前記防食管継手用粗材の内外両面若しくは内外のいずれか片面に樹脂被覆層を形成する為に前処理工程として行なう防食管継手の洗浄方法において、前記脱脂洗浄を行う洗浄液として、炭酸カリウム0.05質量%〜1質量%の水溶液を電気分解してマイナス極側に生成したpH10〜12のアルカリ電解水を用い、このアルカリ電解水の洗浄液に前記防食管継手用粗材を浸漬して温度40〜80℃で脱脂洗浄を行うことに特徴を有するものである。
【0007】
このように脱脂洗浄を行う洗浄液としてpH10〜12のアルカリ電解水を用い、温度40〜80℃で脱脂洗浄を行うことにより、充分な脱脂洗浄を行うことができ、樹脂被覆層の樹脂コーティングや射出成形に適した表面性状を付与することができる。洗浄液のアルカリ電解水のpHが10未満では脱脂が不十分であり、かつ錆が発生しやすくなり、pHが12を越えると電解水生成時の消費電力、水使用量等のユーティリティーコストがかかるので、pH10〜12のアルカリ電解水を用いる。
炭酸カリウム0.05質量%〜1質量%の水溶液を電気分解してマイナス極側に生成したpH10〜12のアルカリ電解水には、充分な洗浄力があり、またその洗浄力には持続性がある。0.05質量%未満の水溶液を電気分解した場合には一週間未満でpHが10未満まで低下してしまうため、洗浄力が落ちやすく、連続操業に適した洗浄力の持続性が得られない。また炭酸カリウム1質量%以上の水溶液を電気分解することはコスト高になる。
また脱脂洗浄を行う温度は40℃未満の場合には脱脂が不十分であり、80℃を越えるとユーティリティーコストがかかるので、温度40℃〜80℃で脱脂洗浄を行う。
【0008】
請求項1記載の防食管継手の洗浄方法は、請求項2に記載のように、前記浸漬による脱脂洗浄は、洗浄時間を5分以上として上下揺動又は液中ジェットの少なくとも一方を付与することに特徴を有するものである。pH10〜12のアルカリ電解水による洗浄時間が5分未満では、切削油の残りが防食管継手の内部に残留し、樹脂コーティングや射出成形による樹脂被覆層の形成に適した表面性状を得るための充分な脱脂洗浄を行うことができないため、浸漬による洗浄時間は5分以上で行う。上下揺動又は液中ジェットを付与することにより洗浄力を高めることができる。
【0009】
請求項1又は2に記載の防食管継手の洗浄方法は、請求項3に記載のように、脱脂洗浄の前に予備洗浄を行い、この予備洗浄はpH7〜12のアルカリ電解水の洗浄液でシャワーにて行うことに特徴を有するものである。予備洗浄を行うことにより防食管継手用粗材11の脱脂が十分に行える。予備洗浄において、アルカリ電解水のpH7〜12とするのは、pH7未満では予備洗浄としては不十分なものであり、またpHが12を越えると予備洗浄であってもユーティリティーコストがかかるので、予備洗浄ではpH7〜12のアルカリ電解水を用いることが好ましい。
【0010】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の防食管継手の洗浄方法は、請求項4に記載のように、前記脱脂洗浄後に水切りを行い、この水切り工程では前記防食管継手用粗材をバスケットに入れたまま反転もしくは所定の角度まで傾斜させることに特徴を有するものである。防食管継手用粗材がねじ切り加工部を有し、またエルボ形状等に湾曲されていると、洗浄液がねじ切り加工部や湾曲部に滞留しやすいが、脱脂洗浄後の水切り工程で防食管継手用粗材をバスケットに入れたまま反転もしくは所定の角度まで傾斜させることにより防食管継手用粗材のねじ切り加工部や湾曲部に滞留しやすい洗浄液も容易に流し出すことができる。また、かかる反転や傾斜動作を繰り返して行うことにより、多数の防食管継手用粗材が幾重にも重なり合っていて或る防食管継手用粗材から流出した洗浄液が他の防食管継手用粗材に再度流入してもこれを排出させることができ、水切りがより効果的に行われる。
【0011】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の防食管継手の洗浄方法は、請求項5に記載のように、防食管継手が給水給湯配管あるいはガス配管に適用されることに特徴を有するものである。
【0012】
本発明の防食管継手の洗浄装置は、請求項6に記載のように、ねじ切り加工した防食管継手用粗材に脱脂洗浄を行い、この脱脂洗浄後に前記防食管継手用粗材の内外両面若しくは内外のいずれか片面に樹脂被覆層を形成する防食管継手の洗浄装置において、前記脱脂洗浄を行う工程では少なくとも予備洗浄槽、粗洗浄槽、本洗浄槽を備え、炭酸カリウム0.05質量%〜1質量%の水溶液を電気分解してマイナス極側に生成したpH10〜12のアルカリ電解水の洗浄液を最初に前記本洗浄槽に供給し、前記本洗浄槽にオーバーフロー用水路を施し、このオーバーフロー用水路を介して本洗浄槽のオーバーフロー液を前記粗洗浄槽に導き、同様に前記粗洗浄槽にオーバーフロー用水路を施し、このオーバーフロー用水路を介して粗洗浄槽のオーバーフロー液を前記予備洗浄槽に導くようにしてあることに特徴を有するものである。
このような構成によると、新規に生成したアルカリ電解水を先ず最終洗浄槽である本洗浄槽で使用するので、常時きれいな洗浄液で洗浄仕上げすることができる。本洗浄を行った後の洗浄液は僅かではあるがpH値が低下しているので、前工程の粗洗浄槽で使用する。粗洗浄槽で使用した後の洗浄液は予備洗浄槽での洗浄で使用する。したがって、最終洗浄槽である本洗浄槽内では常にきれいな洗浄液を使用できる。また、pH値の低下した洗浄液を前工程で使用するので、アルカリ電解水を有効利用できて経済的である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ねじ切り加工した防食管継手用粗材の脱脂洗浄を行う洗浄液として、炭酸カリウム0.05質量%〜1質量%の水溶液を電気分解してマイナス極側に生成したpH10〜12のアルカリ電解水を用い、このアルカリ電解水の洗浄液に防食管継手用粗材を浸漬して温度40〜80℃で脱脂洗浄を行うことにより、防食管継手用粗材の脱脂洗浄を充分に行うことができ、樹脂被覆層の樹脂コーティングや射出成形に適した表面性状を付与することができる。また、アルカリ電解水は毒性、引火性がなく、環境問題がなく、取扱い易く、安全で安価に脱脂洗浄を行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の防食管継手の洗浄方法は、図1に洗浄工程を示すように、予めねじ切り加工した可鍛鋳鉄や鋼材等金属製の防食管継手用粗材に、pH10〜12のアルカリ電解水を用い、温度40〜80℃、洗浄時間5分以上で脱脂洗浄を行い、この脱脂洗浄後、防食管継手用粗材の内外両面若しくは内外のいずれか片面に樹脂コーティング(塗装)や射出成形等によりポリエチレンやエポキシ樹脂等の樹脂被覆層を形成する。
【0015】
詳しく説明すると、先ず、図4に例示するようにエルボ型等の防食管継手用粗材11にねじ12の加工を行なう。その際、切削油として、鉱油、アニオン系界面活性剤、水からなる水溶性切削油剤を使用する。
次いで、ねじ切り加工した上記防食管継手用粗材11を脱脂洗浄工程へと持っていく。脱脂洗浄工程は、詳しく小工程に分けて示すと、図2に脱脂洗浄フローチャートを示すように、粗洗浄、本洗浄、反転水切り、浸漬防錆、再度反転水切り、そして熱風乾燥の順である。粗洗浄、本洗浄は、pH10〜12のアルカリ電解水を用い、温度40〜80℃で、洗浄槽(図示せず)に浸漬する浸漬法により行われる。洗浄の時間は5分以上で行うことが好ましい。pH10〜12のアルカリ電解水による洗浄時間が5分未満では、樹脂コーティングや射出成形による樹脂被覆層の形成に適した表面性状を得るための充分な脱脂洗浄を行うことができないため、浸漬による洗浄時間は5分以上で行う。また、粗洗浄、本洗浄では上下揺動又は液中ジェットを付与することによりねじ切り加工等による複雑な表面形状をした防食管継手の洗浄力を高めることができる。
【0016】
次いで、洗浄槽に浸漬した状態から一定速度で防食管継手用粗材11の入ったバスケット(図示せず)を引上げ、反転して水切りを行う。その後防錆工程及び水切り、最後に、熱風乾燥は約100℃の熱風を送ることにより、残っている水分を完全に蒸発させる。このようにして充分に脱脂洗浄された防食管継手用粗材11の内外両面若しくは内外のいずれか片面に、図4のように樹脂コーティングや射出成形等により樹脂被膜層13を形成する。
【0017】
次に、防食管継手用粗材11をpH10〜12のアルカリ電解水の洗浄液に浸漬して脱脂洗浄する工程について具体的に例示すると、洗浄はpH10〜12のアルカリ電解水の温度40〜80℃の洗浄槽で行なう。洗浄槽の材料はステンレス鋼を使用し、シールの材質はフッ素ゴムを使用する。pH10〜12のアルカリ電解水の洗浄液の洗浄槽に防食管継手用粗材11を搬送する方法としては、バスケット等の治具を用いて複数個の防食管継手用粗材11を同時に搬送して洗浄槽に出し入れする方法により行う。
洗浄工程は、後述するように、2つの脱脂洗浄槽(粗洗浄槽と本洗浄槽)、反転水切り機、防錆槽、乾燥槽に順に入れて洗浄、水切り、防錆、熱風乾燥を行う。また、それぞれの時間は、脱脂洗浄10分(5分×2槽)、洗浄液の反転水切り2分、防錆2分、防錆油の反転水切り2分、熱風乾燥30分である。また、洗浄を充分に行うためには、上下揺動又は液中ジェットの付与が効果的である。
【0018】
上記脱脂洗浄のみでは、脱脂が不十分な防食管継手用粗材11は予備洗浄を行うことが望ましい。予備洗浄は、好ましくはpH7〜12のアルカリ電解水によるシャワー法である。予備洗浄において、アルカリ電解水のpH7〜12とするのは、pH7未満では予備洗浄としては不十分なものであり、またpHが12を越えると予備洗浄であってもユーティリティーコストがかかるので、予備洗浄ではpH7〜12のアルカリ電解水を用いることが好ましい。なお、脱脂洗浄ではpH10〜12のアルカリ電解水を用いて洗浄するものであるが、予備洗浄ではpHが7まで低下したアルカリ電解水でも洗浄できる。
【0019】
図3は本発明の防食管継手用粗材の脱脂洗浄・乾燥を行う工程を含む防食管継手の洗浄装置を例示した概略図である。脱脂洗浄を行う工程では、少なくとも予備洗浄槽8、粗洗浄槽14、本洗浄槽15を備え、後述([0025])するようにアルカリ電解水生成装置3によりマイナス極側に生成したpH10〜12のアルカリ電解水の洗浄液4を最初に本洗浄槽15に供給し、本洗浄槽15にオーバーフロー用水路16を施し、このオーバーフロー用水路16を介して本洗浄槽15のオーバーフロー液を粗洗浄槽14に導き、同様に粗洗浄槽14にオーバーフロー用水路17を施し、このオーバーフロー用水路17を介して粗洗浄槽14のオーバーフロー液を予備洗浄槽8に導くようにしてある。したがって、新規に生成したアルカリ電解水を先ず最終洗浄槽である本洗浄槽15で使用するので、常時きれいな洗浄液で洗浄仕上げすることができる。また、本洗浄を行った後のpH値の低下した洗浄液は前工程の粗洗浄槽14および予備洗浄槽8で使用するので、アルカリ電解水を有効利用できて経済的である。
【0020】
脱脂洗浄・乾燥を行う工程では、図3に示すように、先ず、ねじ切り加工した防食管継手用粗材11をバスケット6に入れ、フリーローラー7により搬送するものである。防食管継手用粗材11を入れたバスケット6を矢印X方向に送りながら、上下のシャワーノズル9よりpH7〜12のアルカリ電解水を噴出して予備洗浄を行う。
次いで、バスケット6に入れた防食管継手用粗材11は、pH10〜12のアルカリ電解水の温度40〜80℃の粗洗浄槽14および本洗浄槽15で脱脂洗浄を行う。洗浄の時間は洗浄槽14、15の合計で10分である。粗洗浄槽14および本洗浄槽15には、それぞれストローク700mmの揺動又は液中ジェットが付与される。その際、例えば、バスケット6に入れた防食管継手用粗材11を洗浄槽14、15に入れると水位が高くなり、それを検知して自動的にジェット洗浄装置の動作が開始し、タイマーで所定時間後に停止するようにすることができる。
pH10〜12のアルカリ電解水で洗浄された後、水切り18を行い、防錆槽19にて防錆を行なう。次いで、必要に応じて、再度水切りを行い、水平搬送20を経て、最後に乾燥槽21で熱風乾燥を行う。
【0021】
上記水切り工程では防食管継手用粗材11をバスケット6に入れたまま反転させる。このように防食管継手用粗材11をバスケット6に入れたまま反転させることにより、防食管継手用粗材11が図4のようにねじ12を有し、またエルボ形状等に湾曲されていても、洗浄液が防食管継手用粗材11のねじ12や湾曲部に滞留することなく効果的に水切りを行うことができる。なお、反転水切りに代えて、防食管継手用粗材11をバスケット6に入れたまま洗浄液が流れ出る所定の角度まで傾斜させても同様のことが言える。また、かかる反転水切りもしくは傾斜水切り動作を繰り返して行うことにより、多数の防食管継手用粗材11が幾重にも重なり合っていて或る防食管継手用粗材11から流出した洗浄液が他の防食管継手用粗材11に再度流入してもこれを排出させることができ、水切りがより効果的に行われる。
【0022】
また、洗浄槽14,15のpH10〜12のアルカリ電解水の洗浄液は、循環ポンプ(図示せず)によって、フィルター(図示せず)等を用いて、汚れを取り除いた後に再利用する。循環流量は、20〜120L/minが適当である。フィルターは、1〜50μmのものを適宜使用する。また、洗浄槽14,15のアルカリ電解水の洗浄力を維持するために以下のようにする。洗浄の有無に関わらず、空気中の対イオンとの結合により、pHの劣化が起こるので、洗浄液の温度50℃の場合には、一日につき、洗浄液の総量の10%を新液と入れ替える。洗浄液の劣化は、液温が高いほど促進されるので、その入替え量は、液温に応じて変える必要がある。
【0023】
また、洗浄を行うことにより、新液の補充が必要となる。防食管継手用粗材を洗浄することによる持ち出し量は、単位表面積当たり、約40g/m2であるが、洗浄により劣化する洗浄力を補うために必要な補充量は、除去すべき油分1g当たり、約1リットルである。それらを合計して、防食管継手用粗材11の寸法及び付着油分によって、補充量を算出する。アルカリ電解水の洗浄力が維持されていることを確認するために、pHセンサーによって、循環流路中の洗浄液のpHを常時、または間欠的に測定し、pHが10〜12の管理範囲に入っていることを確認する。もし、上述の入替え及び補充を行っているにもかかわらず、pHが10〜12の管理範囲を逸脱する場合には、洗浄液の状態が異常であるので、もはや、その洗浄液を使用することはできない。
【0024】
本発明の防食管継手の洗浄方法における脱脂洗浄を行う洗浄液としてpH10〜12のアルカリ電解水は、水と炭酸カリウムを電気分解してマイナス極側に生成するpH10〜12のアルカリ電解水である。炭酸カリウム0.05質量%〜1質量%の水溶液を電気分解してマイナス極側に生成したpH10〜12のアルカリ電解水には、充分な洗浄力があり、またその洗浄力には持続性がある。例えば各濃度の炭酸カリウム水溶液を電気分解してアルカリ電解水を生成し、開放容器にて保管した場合、1週間以上保管してもpHは洗浄に好適な範囲内(pH10以上)に保持される。一方、0.05質量%未満の水溶液を電気分解した場合には一週間未満でpHが10未満まで低下してしまうため、洗浄力が落ちやすく、連続操業に適した洗浄力の持続性が得られない。また炭酸カリウム1質量%以上の水溶液を電気分解することはコスト高になるので、電気分解を行う水溶液の炭酸カリウム濃度は0.05質量%〜1質量%が好ましく、0.1質量%〜0.5質量%がより好ましい。
【0025】
本発明の防食管継手の洗浄方法における脱脂洗浄を行う洗浄液4としてのpH10〜12のアルカリ電解水は、例えば、図3のように、水道水を原水とし、軟水器5を用いてカルシウムイオンとマグネシウムイオンをあらかじめ除去しておき、炭酸カリウムを添加した濃度0.05質量%〜1質量%の水溶液を電解槽の電極としてはチタン−白金電極を使用してマイナス極側に生成したものである。
【0026】
また、pH10〜12のアルカリ電解水の生成と、同時にpH6〜8程度の陽極水が生成される。このアルカリ電解水生成時の副生成物である陽極水は、pH10〜12のアルカリ電解水の洗浄廃液の処理に用いる。アルカリ電解水生成装置でマイナス極側に生成したpH10〜12のアルカリ電解水は洗浄装置で防食管継手用粗材の洗浄に用いられる。副生成物である陽極水は、洗浄廃液を処理する処理装置の原水槽に加えられ、アルカリ電解水の洗浄廃液を希釈させる。さらに油水分離、凝集沈殿等を行い、排出基準を満足させた後に排出する。
【実施例】
【0027】
本発明の実施例について図5〜図10に示す各図表を参照して説明する。ねじ切り加工した防食管継手用粗材の予備洗浄はpH8〜9のアルカリ電解水のシャワーにより5分間行った。脱脂洗浄の洗浄槽のアルカリ電解水は、水道水を原水とし、軟水機を用いてカルシウムイオンとマグネシウムイオンをあらかじめ除去し、炭酸カリウムを添加して約0.1質量%の濃度の水溶液を、電極としてはチタン−白金電極を使用して電解を行い、マイナス極側に生成させるものである。また、脱脂洗浄の洗浄槽の温度は60℃とした。
【0028】
脱脂洗浄を行う場合に、アルカリ電解水のpHを変え、また洗浄時間(分)を1分〜15分で変え、洗浄した防食管継手用粗材の樹脂被覆層の塗装時の密着性を調べた結果を図5〜図8の各図表に示した。残存油分の測定は、溶媒抽出赤外吸収法を用いた。樹脂被覆層の塗装時の密着性はハンマーによる打撃試験によって確認した。
【0029】
図5は、pH12.0のアルカリ電解水で脱脂洗浄を行った場合を示した図表で、油分の残存状態と錆の有無を目視により判定を行ったものであり洗浄時間5分〜15分では、残存油分(mg/m2)は「300以下」、表面状態も「○」、樹脂被覆層の密着性も良好であった。これに対して、洗浄時間1分〜4分では、表面状態は「×」、「△」、樹脂被覆層の密着性も問題があった。
【0030】
図6は、pH11.0のアルカリ電解水で脱脂洗浄を行った場合を示した図表で、洗浄時間5分〜15分では、残存油分(mg/m2)は「300以下」、表面状態は「○」、樹脂被覆層の密着性は良好であった。これに対して、洗浄時間1分〜4分では表面状態は「×」、「△」であり、樹脂被覆層の密着性に問題があった。
【0031】
図7は、pH10.0のアルカリ電解水で脱脂洗浄を行った場合を示した図表で、洗浄時間5分〜15分では、残存油分(mg/m2)は「400以下」、表面状態は「○」で、樹脂被覆層の密着性は良好であった。また、洗浄時間1分〜4分では表面状態は「×」、「△」であり、樹脂被覆層の密着性に問題があった。
【0032】
図8は、比較例として、pH9.0のアルカリ電解水で脱脂洗浄を行った場合を示した図表で、残存油分(mg/m2)は「400以上」と多く、また、表面状態が悪く、樹脂被覆層の密着性に問題があった。図5〜図7から明らかなように、アルカリ電解水はpH10〜12が適しており、また洗浄時間は5分以上が好ましいものであった。
【0033】
図9は、本発明による脱脂洗浄と、トリクロロエチレンを使用した脱脂洗浄、合成界面活性剤による脱脂洗浄について示した図表である。残存油分mg/m2(溶媒抽出赤外吸収法)、表面状態、樹脂被覆層の密着性について比較したところ、図9の図表のデータが示すように、本発明のpH10〜12のアルカリ電解水で温度40〜80℃で脱脂洗浄を行ったものは、トリクロロエチレン、合成界面活性剤による洗浄と遜色なく、充分な脱脂洗浄が行われていて、樹脂被覆層の樹脂塗装または射出成形に適した表面性状が付与されているものであった。
【0034】
図10は本発明による脱脂洗浄と、トリクロロエチレンを使用した脱脂洗浄、合成界面活性剤による脱脂洗浄について2週間程度放置し、ねじ部の錆の発生比較を行なった場合を示した図表である。トリクロロエチレン、界面活性剤による脱脂洗浄では錆の発生が認められたが、本発明では錆の発生は認められなかった。本発明のアルカリ電解水は強アルカリ性を示すため、金属表面に不動態皮膜を形成し、腐食を抑制する効果がある。
【0035】
図11は、アルカリ電解水を生成させる炭酸カリウム水溶液の濃度と洗浄持続性についてアルカリ電解水のpH10未満に低下するまでの日数で示した図表である。
この図表から明らかなように、炭酸カリウムの濃度が0.01%では、電気分解により生成したアルカリ電解水のpHは10.8で、pH10未満に低下するまでの日数は2日であった。炭酸カリウムの濃度を0.03、0.05、0.1、0.3、0.4、0.5、1.0(質量%)と変えて調べたところ、pH10未満に低下するまでの日数はそれぞれ4、6、8、18、24、30、30であった。したがって、一週間連続の操業を考えると、炭酸カリウム濃度を0.05質量%〜1質量%とするのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の防食管継手の洗浄工程図である。
【図2】本発明の防食管継手用粗材の脱脂洗浄フローチャート図である。
【図3】本発明の防食管継手用粗材の脱脂洗浄・乾燥を行う工程を含む防食管継手の洗浄装置を例示した概略図である。
【図4】本発明の対象の防食管継手用粗材の一例を示す断面図である。
【図5】本発明の防食管継手用粗材をpH12.0のアルカリ電解水で脱脂洗浄を行った場合を示した図表である。
【図6】本発明の防食管継手用粗材をpH11.0のアルカリ電解水で脱脂洗浄を行った場合を示した図表である。
【図7】本発明の防食管継手用粗材をpH10.0のアルカリ電解水で脱脂洗浄を行った場合を示した図表である。
【図8】比較例として、pH9.0のアルカリ電解水で脱脂洗浄を行った場合を示した図表である。
【図9】本発明による脱脂洗浄と、トリクロロエチレンを使用した脱脂洗浄、合成界面活性剤による脱脂洗浄について示した図表である。
【図10】本発明による脱脂洗浄と、トリクロロエチレンを使用した脱脂洗浄、合成界面活性剤による脱脂洗浄について2週間程度放置し、ねじ部の錆の発生比較を行なった場合を示した図表である。
【図11】アルカリ電解水を生成させる炭酸カリウム水溶液の濃度と洗浄持続性についてアルカリ電解水のpH10未満に低下するまでの日数で示した図表である。
【符号の説明】
【0037】
6 バスケット
8 予備洗浄槽
11 防食管継手用粗材
12 ねじ
13 樹脂被膜層
14 粗洗浄槽
15 本洗浄槽
16 本洗浄槽のオーバーフロー用水路
17 粗洗浄槽のオーバーフロー用水路
【技術分野】
【0001】
本発明は、防食管継手の洗浄方法および洗浄装置に係り、ねじ切り加工した防食管継手用粗材に脱脂洗浄を行う工程を含む防食管継手の洗浄方法および洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、給水給湯配管やガス配管等に使用される防食管継手は、主に、防食管継手用粗材にねじ切り加工を行い、次いで塩素系有機化合物、アルカリ性水溶液、界面活性剤または炭化水素系洗浄剤により脱脂洗浄を行い、脱脂洗浄後、防食管継手用粗材の表面に樹脂コーティング(塗装)や射出成形により樹脂被覆層を形成してなる。防食管継手用粗材にねじ切り加工を行なう際に水溶性の切削油を使用する。この切削油は、充分に脱脂洗浄する必要がある。防食管継手用粗材の脱脂洗浄が不十分であると、樹脂コーティングや射出成形により樹脂被覆層を形成する際に、防食管継手用粗材の表面との密着性が悪い等の問題が生ずる。
【0003】
このため、従来、防食管継手用粗材の脱脂方法として、トリクロロエチレン、ジクロロメタン等の塩素系有機化合物を使用する方法(例えば、特許文献1,2参照)、水酸化ナトリウム等のアルカリ性水溶液によるアルカリ洗浄(例えば、特許文献3,4参照)、合成界面活性剤による方法(例えば、特許文献5参照)、あるいは炭化水素系の洗浄剤による方法(例えば、特許文献6参照)などが実施されている。
【0004】
【特許文献1】特表2006−521460号公報
【特許文献2】特開平6−166894号公報
【特許文献3】特開2007−130679号公報
【特許文献4】特開2006−272059号公報
【特許文献5】特開平5−125571号公報
【特許文献6】特開2006−231272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、トリクロロエチレン、ジクロロメタン等の塩素系有機化合物は、環境問題から使用が制限されている。またアルカリ洗浄に用いる水酸化ナトリウムは劇物であり、取扱いには注意を要するものである。また合成界面活性剤には人体に対して慢性毒性を持った物質が含まれており取扱いには注意を要するものである。また炭化水素系の洗浄剤は可燃物であり、防火対策が必要となり、そのための設備コストが増大する等の問題があった。
そこで、本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、防食管継手を洗浄するに際し、防食管継手用粗材の充分な脱脂洗浄を行い、樹脂コーティングや射出成形により樹脂被覆層を形成するに適した表面性状を付与することができ、かつ環境への影響、取扱いの観点から将来にわたって持続的に安全で安価に使用できるものを用いて脱脂洗浄を行う工程を含む防食管継手の洗浄方法および洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の防食管継手の洗浄方法は、請求項1に記載のように、ねじ切り加工した防食管継手用粗材に脱脂洗浄を行い、この脱脂洗浄後に前記防食管継手用粗材の内外両面若しくは内外のいずれか片面に樹脂被覆層を形成する為に前処理工程として行なう防食管継手の洗浄方法において、前記脱脂洗浄を行う洗浄液として、炭酸カリウム0.05質量%〜1質量%の水溶液を電気分解してマイナス極側に生成したpH10〜12のアルカリ電解水を用い、このアルカリ電解水の洗浄液に前記防食管継手用粗材を浸漬して温度40〜80℃で脱脂洗浄を行うことに特徴を有するものである。
【0007】
このように脱脂洗浄を行う洗浄液としてpH10〜12のアルカリ電解水を用い、温度40〜80℃で脱脂洗浄を行うことにより、充分な脱脂洗浄を行うことができ、樹脂被覆層の樹脂コーティングや射出成形に適した表面性状を付与することができる。洗浄液のアルカリ電解水のpHが10未満では脱脂が不十分であり、かつ錆が発生しやすくなり、pHが12を越えると電解水生成時の消費電力、水使用量等のユーティリティーコストがかかるので、pH10〜12のアルカリ電解水を用いる。
炭酸カリウム0.05質量%〜1質量%の水溶液を電気分解してマイナス極側に生成したpH10〜12のアルカリ電解水には、充分な洗浄力があり、またその洗浄力には持続性がある。0.05質量%未満の水溶液を電気分解した場合には一週間未満でpHが10未満まで低下してしまうため、洗浄力が落ちやすく、連続操業に適した洗浄力の持続性が得られない。また炭酸カリウム1質量%以上の水溶液を電気分解することはコスト高になる。
また脱脂洗浄を行う温度は40℃未満の場合には脱脂が不十分であり、80℃を越えるとユーティリティーコストがかかるので、温度40℃〜80℃で脱脂洗浄を行う。
【0008】
請求項1記載の防食管継手の洗浄方法は、請求項2に記載のように、前記浸漬による脱脂洗浄は、洗浄時間を5分以上として上下揺動又は液中ジェットの少なくとも一方を付与することに特徴を有するものである。pH10〜12のアルカリ電解水による洗浄時間が5分未満では、切削油の残りが防食管継手の内部に残留し、樹脂コーティングや射出成形による樹脂被覆層の形成に適した表面性状を得るための充分な脱脂洗浄を行うことができないため、浸漬による洗浄時間は5分以上で行う。上下揺動又は液中ジェットを付与することにより洗浄力を高めることができる。
【0009】
請求項1又は2に記載の防食管継手の洗浄方法は、請求項3に記載のように、脱脂洗浄の前に予備洗浄を行い、この予備洗浄はpH7〜12のアルカリ電解水の洗浄液でシャワーにて行うことに特徴を有するものである。予備洗浄を行うことにより防食管継手用粗材11の脱脂が十分に行える。予備洗浄において、アルカリ電解水のpH7〜12とするのは、pH7未満では予備洗浄としては不十分なものであり、またpHが12を越えると予備洗浄であってもユーティリティーコストがかかるので、予備洗浄ではpH7〜12のアルカリ電解水を用いることが好ましい。
【0010】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の防食管継手の洗浄方法は、請求項4に記載のように、前記脱脂洗浄後に水切りを行い、この水切り工程では前記防食管継手用粗材をバスケットに入れたまま反転もしくは所定の角度まで傾斜させることに特徴を有するものである。防食管継手用粗材がねじ切り加工部を有し、またエルボ形状等に湾曲されていると、洗浄液がねじ切り加工部や湾曲部に滞留しやすいが、脱脂洗浄後の水切り工程で防食管継手用粗材をバスケットに入れたまま反転もしくは所定の角度まで傾斜させることにより防食管継手用粗材のねじ切り加工部や湾曲部に滞留しやすい洗浄液も容易に流し出すことができる。また、かかる反転や傾斜動作を繰り返して行うことにより、多数の防食管継手用粗材が幾重にも重なり合っていて或る防食管継手用粗材から流出した洗浄液が他の防食管継手用粗材に再度流入してもこれを排出させることができ、水切りがより効果的に行われる。
【0011】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の防食管継手の洗浄方法は、請求項5に記載のように、防食管継手が給水給湯配管あるいはガス配管に適用されることに特徴を有するものである。
【0012】
本発明の防食管継手の洗浄装置は、請求項6に記載のように、ねじ切り加工した防食管継手用粗材に脱脂洗浄を行い、この脱脂洗浄後に前記防食管継手用粗材の内外両面若しくは内外のいずれか片面に樹脂被覆層を形成する防食管継手の洗浄装置において、前記脱脂洗浄を行う工程では少なくとも予備洗浄槽、粗洗浄槽、本洗浄槽を備え、炭酸カリウム0.05質量%〜1質量%の水溶液を電気分解してマイナス極側に生成したpH10〜12のアルカリ電解水の洗浄液を最初に前記本洗浄槽に供給し、前記本洗浄槽にオーバーフロー用水路を施し、このオーバーフロー用水路を介して本洗浄槽のオーバーフロー液を前記粗洗浄槽に導き、同様に前記粗洗浄槽にオーバーフロー用水路を施し、このオーバーフロー用水路を介して粗洗浄槽のオーバーフロー液を前記予備洗浄槽に導くようにしてあることに特徴を有するものである。
このような構成によると、新規に生成したアルカリ電解水を先ず最終洗浄槽である本洗浄槽で使用するので、常時きれいな洗浄液で洗浄仕上げすることができる。本洗浄を行った後の洗浄液は僅かではあるがpH値が低下しているので、前工程の粗洗浄槽で使用する。粗洗浄槽で使用した後の洗浄液は予備洗浄槽での洗浄で使用する。したがって、最終洗浄槽である本洗浄槽内では常にきれいな洗浄液を使用できる。また、pH値の低下した洗浄液を前工程で使用するので、アルカリ電解水を有効利用できて経済的である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ねじ切り加工した防食管継手用粗材の脱脂洗浄を行う洗浄液として、炭酸カリウム0.05質量%〜1質量%の水溶液を電気分解してマイナス極側に生成したpH10〜12のアルカリ電解水を用い、このアルカリ電解水の洗浄液に防食管継手用粗材を浸漬して温度40〜80℃で脱脂洗浄を行うことにより、防食管継手用粗材の脱脂洗浄を充分に行うことができ、樹脂被覆層の樹脂コーティングや射出成形に適した表面性状を付与することができる。また、アルカリ電解水は毒性、引火性がなく、環境問題がなく、取扱い易く、安全で安価に脱脂洗浄を行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の防食管継手の洗浄方法は、図1に洗浄工程を示すように、予めねじ切り加工した可鍛鋳鉄や鋼材等金属製の防食管継手用粗材に、pH10〜12のアルカリ電解水を用い、温度40〜80℃、洗浄時間5分以上で脱脂洗浄を行い、この脱脂洗浄後、防食管継手用粗材の内外両面若しくは内外のいずれか片面に樹脂コーティング(塗装)や射出成形等によりポリエチレンやエポキシ樹脂等の樹脂被覆層を形成する。
【0015】
詳しく説明すると、先ず、図4に例示するようにエルボ型等の防食管継手用粗材11にねじ12の加工を行なう。その際、切削油として、鉱油、アニオン系界面活性剤、水からなる水溶性切削油剤を使用する。
次いで、ねじ切り加工した上記防食管継手用粗材11を脱脂洗浄工程へと持っていく。脱脂洗浄工程は、詳しく小工程に分けて示すと、図2に脱脂洗浄フローチャートを示すように、粗洗浄、本洗浄、反転水切り、浸漬防錆、再度反転水切り、そして熱風乾燥の順である。粗洗浄、本洗浄は、pH10〜12のアルカリ電解水を用い、温度40〜80℃で、洗浄槽(図示せず)に浸漬する浸漬法により行われる。洗浄の時間は5分以上で行うことが好ましい。pH10〜12のアルカリ電解水による洗浄時間が5分未満では、樹脂コーティングや射出成形による樹脂被覆層の形成に適した表面性状を得るための充分な脱脂洗浄を行うことができないため、浸漬による洗浄時間は5分以上で行う。また、粗洗浄、本洗浄では上下揺動又は液中ジェットを付与することによりねじ切り加工等による複雑な表面形状をした防食管継手の洗浄力を高めることができる。
【0016】
次いで、洗浄槽に浸漬した状態から一定速度で防食管継手用粗材11の入ったバスケット(図示せず)を引上げ、反転して水切りを行う。その後防錆工程及び水切り、最後に、熱風乾燥は約100℃の熱風を送ることにより、残っている水分を完全に蒸発させる。このようにして充分に脱脂洗浄された防食管継手用粗材11の内外両面若しくは内外のいずれか片面に、図4のように樹脂コーティングや射出成形等により樹脂被膜層13を形成する。
【0017】
次に、防食管継手用粗材11をpH10〜12のアルカリ電解水の洗浄液に浸漬して脱脂洗浄する工程について具体的に例示すると、洗浄はpH10〜12のアルカリ電解水の温度40〜80℃の洗浄槽で行なう。洗浄槽の材料はステンレス鋼を使用し、シールの材質はフッ素ゴムを使用する。pH10〜12のアルカリ電解水の洗浄液の洗浄槽に防食管継手用粗材11を搬送する方法としては、バスケット等の治具を用いて複数個の防食管継手用粗材11を同時に搬送して洗浄槽に出し入れする方法により行う。
洗浄工程は、後述するように、2つの脱脂洗浄槽(粗洗浄槽と本洗浄槽)、反転水切り機、防錆槽、乾燥槽に順に入れて洗浄、水切り、防錆、熱風乾燥を行う。また、それぞれの時間は、脱脂洗浄10分(5分×2槽)、洗浄液の反転水切り2分、防錆2分、防錆油の反転水切り2分、熱風乾燥30分である。また、洗浄を充分に行うためには、上下揺動又は液中ジェットの付与が効果的である。
【0018】
上記脱脂洗浄のみでは、脱脂が不十分な防食管継手用粗材11は予備洗浄を行うことが望ましい。予備洗浄は、好ましくはpH7〜12のアルカリ電解水によるシャワー法である。予備洗浄において、アルカリ電解水のpH7〜12とするのは、pH7未満では予備洗浄としては不十分なものであり、またpHが12を越えると予備洗浄であってもユーティリティーコストがかかるので、予備洗浄ではpH7〜12のアルカリ電解水を用いることが好ましい。なお、脱脂洗浄ではpH10〜12のアルカリ電解水を用いて洗浄するものであるが、予備洗浄ではpHが7まで低下したアルカリ電解水でも洗浄できる。
【0019】
図3は本発明の防食管継手用粗材の脱脂洗浄・乾燥を行う工程を含む防食管継手の洗浄装置を例示した概略図である。脱脂洗浄を行う工程では、少なくとも予備洗浄槽8、粗洗浄槽14、本洗浄槽15を備え、後述([0025])するようにアルカリ電解水生成装置3によりマイナス極側に生成したpH10〜12のアルカリ電解水の洗浄液4を最初に本洗浄槽15に供給し、本洗浄槽15にオーバーフロー用水路16を施し、このオーバーフロー用水路16を介して本洗浄槽15のオーバーフロー液を粗洗浄槽14に導き、同様に粗洗浄槽14にオーバーフロー用水路17を施し、このオーバーフロー用水路17を介して粗洗浄槽14のオーバーフロー液を予備洗浄槽8に導くようにしてある。したがって、新規に生成したアルカリ電解水を先ず最終洗浄槽である本洗浄槽15で使用するので、常時きれいな洗浄液で洗浄仕上げすることができる。また、本洗浄を行った後のpH値の低下した洗浄液は前工程の粗洗浄槽14および予備洗浄槽8で使用するので、アルカリ電解水を有効利用できて経済的である。
【0020】
脱脂洗浄・乾燥を行う工程では、図3に示すように、先ず、ねじ切り加工した防食管継手用粗材11をバスケット6に入れ、フリーローラー7により搬送するものである。防食管継手用粗材11を入れたバスケット6を矢印X方向に送りながら、上下のシャワーノズル9よりpH7〜12のアルカリ電解水を噴出して予備洗浄を行う。
次いで、バスケット6に入れた防食管継手用粗材11は、pH10〜12のアルカリ電解水の温度40〜80℃の粗洗浄槽14および本洗浄槽15で脱脂洗浄を行う。洗浄の時間は洗浄槽14、15の合計で10分である。粗洗浄槽14および本洗浄槽15には、それぞれストローク700mmの揺動又は液中ジェットが付与される。その際、例えば、バスケット6に入れた防食管継手用粗材11を洗浄槽14、15に入れると水位が高くなり、それを検知して自動的にジェット洗浄装置の動作が開始し、タイマーで所定時間後に停止するようにすることができる。
pH10〜12のアルカリ電解水で洗浄された後、水切り18を行い、防錆槽19にて防錆を行なう。次いで、必要に応じて、再度水切りを行い、水平搬送20を経て、最後に乾燥槽21で熱風乾燥を行う。
【0021】
上記水切り工程では防食管継手用粗材11をバスケット6に入れたまま反転させる。このように防食管継手用粗材11をバスケット6に入れたまま反転させることにより、防食管継手用粗材11が図4のようにねじ12を有し、またエルボ形状等に湾曲されていても、洗浄液が防食管継手用粗材11のねじ12や湾曲部に滞留することなく効果的に水切りを行うことができる。なお、反転水切りに代えて、防食管継手用粗材11をバスケット6に入れたまま洗浄液が流れ出る所定の角度まで傾斜させても同様のことが言える。また、かかる反転水切りもしくは傾斜水切り動作を繰り返して行うことにより、多数の防食管継手用粗材11が幾重にも重なり合っていて或る防食管継手用粗材11から流出した洗浄液が他の防食管継手用粗材11に再度流入してもこれを排出させることができ、水切りがより効果的に行われる。
【0022】
また、洗浄槽14,15のpH10〜12のアルカリ電解水の洗浄液は、循環ポンプ(図示せず)によって、フィルター(図示せず)等を用いて、汚れを取り除いた後に再利用する。循環流量は、20〜120L/minが適当である。フィルターは、1〜50μmのものを適宜使用する。また、洗浄槽14,15のアルカリ電解水の洗浄力を維持するために以下のようにする。洗浄の有無に関わらず、空気中の対イオンとの結合により、pHの劣化が起こるので、洗浄液の温度50℃の場合には、一日につき、洗浄液の総量の10%を新液と入れ替える。洗浄液の劣化は、液温が高いほど促進されるので、その入替え量は、液温に応じて変える必要がある。
【0023】
また、洗浄を行うことにより、新液の補充が必要となる。防食管継手用粗材を洗浄することによる持ち出し量は、単位表面積当たり、約40g/m2であるが、洗浄により劣化する洗浄力を補うために必要な補充量は、除去すべき油分1g当たり、約1リットルである。それらを合計して、防食管継手用粗材11の寸法及び付着油分によって、補充量を算出する。アルカリ電解水の洗浄力が維持されていることを確認するために、pHセンサーによって、循環流路中の洗浄液のpHを常時、または間欠的に測定し、pHが10〜12の管理範囲に入っていることを確認する。もし、上述の入替え及び補充を行っているにもかかわらず、pHが10〜12の管理範囲を逸脱する場合には、洗浄液の状態が異常であるので、もはや、その洗浄液を使用することはできない。
【0024】
本発明の防食管継手の洗浄方法における脱脂洗浄を行う洗浄液としてpH10〜12のアルカリ電解水は、水と炭酸カリウムを電気分解してマイナス極側に生成するpH10〜12のアルカリ電解水である。炭酸カリウム0.05質量%〜1質量%の水溶液を電気分解してマイナス極側に生成したpH10〜12のアルカリ電解水には、充分な洗浄力があり、またその洗浄力には持続性がある。例えば各濃度の炭酸カリウム水溶液を電気分解してアルカリ電解水を生成し、開放容器にて保管した場合、1週間以上保管してもpHは洗浄に好適な範囲内(pH10以上)に保持される。一方、0.05質量%未満の水溶液を電気分解した場合には一週間未満でpHが10未満まで低下してしまうため、洗浄力が落ちやすく、連続操業に適した洗浄力の持続性が得られない。また炭酸カリウム1質量%以上の水溶液を電気分解することはコスト高になるので、電気分解を行う水溶液の炭酸カリウム濃度は0.05質量%〜1質量%が好ましく、0.1質量%〜0.5質量%がより好ましい。
【0025】
本発明の防食管継手の洗浄方法における脱脂洗浄を行う洗浄液4としてのpH10〜12のアルカリ電解水は、例えば、図3のように、水道水を原水とし、軟水器5を用いてカルシウムイオンとマグネシウムイオンをあらかじめ除去しておき、炭酸カリウムを添加した濃度0.05質量%〜1質量%の水溶液を電解槽の電極としてはチタン−白金電極を使用してマイナス極側に生成したものである。
【0026】
また、pH10〜12のアルカリ電解水の生成と、同時にpH6〜8程度の陽極水が生成される。このアルカリ電解水生成時の副生成物である陽極水は、pH10〜12のアルカリ電解水の洗浄廃液の処理に用いる。アルカリ電解水生成装置でマイナス極側に生成したpH10〜12のアルカリ電解水は洗浄装置で防食管継手用粗材の洗浄に用いられる。副生成物である陽極水は、洗浄廃液を処理する処理装置の原水槽に加えられ、アルカリ電解水の洗浄廃液を希釈させる。さらに油水分離、凝集沈殿等を行い、排出基準を満足させた後に排出する。
【実施例】
【0027】
本発明の実施例について図5〜図10に示す各図表を参照して説明する。ねじ切り加工した防食管継手用粗材の予備洗浄はpH8〜9のアルカリ電解水のシャワーにより5分間行った。脱脂洗浄の洗浄槽のアルカリ電解水は、水道水を原水とし、軟水機を用いてカルシウムイオンとマグネシウムイオンをあらかじめ除去し、炭酸カリウムを添加して約0.1質量%の濃度の水溶液を、電極としてはチタン−白金電極を使用して電解を行い、マイナス極側に生成させるものである。また、脱脂洗浄の洗浄槽の温度は60℃とした。
【0028】
脱脂洗浄を行う場合に、アルカリ電解水のpHを変え、また洗浄時間(分)を1分〜15分で変え、洗浄した防食管継手用粗材の樹脂被覆層の塗装時の密着性を調べた結果を図5〜図8の各図表に示した。残存油分の測定は、溶媒抽出赤外吸収法を用いた。樹脂被覆層の塗装時の密着性はハンマーによる打撃試験によって確認した。
【0029】
図5は、pH12.0のアルカリ電解水で脱脂洗浄を行った場合を示した図表で、油分の残存状態と錆の有無を目視により判定を行ったものであり洗浄時間5分〜15分では、残存油分(mg/m2)は「300以下」、表面状態も「○」、樹脂被覆層の密着性も良好であった。これに対して、洗浄時間1分〜4分では、表面状態は「×」、「△」、樹脂被覆層の密着性も問題があった。
【0030】
図6は、pH11.0のアルカリ電解水で脱脂洗浄を行った場合を示した図表で、洗浄時間5分〜15分では、残存油分(mg/m2)は「300以下」、表面状態は「○」、樹脂被覆層の密着性は良好であった。これに対して、洗浄時間1分〜4分では表面状態は「×」、「△」であり、樹脂被覆層の密着性に問題があった。
【0031】
図7は、pH10.0のアルカリ電解水で脱脂洗浄を行った場合を示した図表で、洗浄時間5分〜15分では、残存油分(mg/m2)は「400以下」、表面状態は「○」で、樹脂被覆層の密着性は良好であった。また、洗浄時間1分〜4分では表面状態は「×」、「△」であり、樹脂被覆層の密着性に問題があった。
【0032】
図8は、比較例として、pH9.0のアルカリ電解水で脱脂洗浄を行った場合を示した図表で、残存油分(mg/m2)は「400以上」と多く、また、表面状態が悪く、樹脂被覆層の密着性に問題があった。図5〜図7から明らかなように、アルカリ電解水はpH10〜12が適しており、また洗浄時間は5分以上が好ましいものであった。
【0033】
図9は、本発明による脱脂洗浄と、トリクロロエチレンを使用した脱脂洗浄、合成界面活性剤による脱脂洗浄について示した図表である。残存油分mg/m2(溶媒抽出赤外吸収法)、表面状態、樹脂被覆層の密着性について比較したところ、図9の図表のデータが示すように、本発明のpH10〜12のアルカリ電解水で温度40〜80℃で脱脂洗浄を行ったものは、トリクロロエチレン、合成界面活性剤による洗浄と遜色なく、充分な脱脂洗浄が行われていて、樹脂被覆層の樹脂塗装または射出成形に適した表面性状が付与されているものであった。
【0034】
図10は本発明による脱脂洗浄と、トリクロロエチレンを使用した脱脂洗浄、合成界面活性剤による脱脂洗浄について2週間程度放置し、ねじ部の錆の発生比較を行なった場合を示した図表である。トリクロロエチレン、界面活性剤による脱脂洗浄では錆の発生が認められたが、本発明では錆の発生は認められなかった。本発明のアルカリ電解水は強アルカリ性を示すため、金属表面に不動態皮膜を形成し、腐食を抑制する効果がある。
【0035】
図11は、アルカリ電解水を生成させる炭酸カリウム水溶液の濃度と洗浄持続性についてアルカリ電解水のpH10未満に低下するまでの日数で示した図表である。
この図表から明らかなように、炭酸カリウムの濃度が0.01%では、電気分解により生成したアルカリ電解水のpHは10.8で、pH10未満に低下するまでの日数は2日であった。炭酸カリウムの濃度を0.03、0.05、0.1、0.3、0.4、0.5、1.0(質量%)と変えて調べたところ、pH10未満に低下するまでの日数はそれぞれ4、6、8、18、24、30、30であった。したがって、一週間連続の操業を考えると、炭酸カリウム濃度を0.05質量%〜1質量%とするのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の防食管継手の洗浄工程図である。
【図2】本発明の防食管継手用粗材の脱脂洗浄フローチャート図である。
【図3】本発明の防食管継手用粗材の脱脂洗浄・乾燥を行う工程を含む防食管継手の洗浄装置を例示した概略図である。
【図4】本発明の対象の防食管継手用粗材の一例を示す断面図である。
【図5】本発明の防食管継手用粗材をpH12.0のアルカリ電解水で脱脂洗浄を行った場合を示した図表である。
【図6】本発明の防食管継手用粗材をpH11.0のアルカリ電解水で脱脂洗浄を行った場合を示した図表である。
【図7】本発明の防食管継手用粗材をpH10.0のアルカリ電解水で脱脂洗浄を行った場合を示した図表である。
【図8】比較例として、pH9.0のアルカリ電解水で脱脂洗浄を行った場合を示した図表である。
【図9】本発明による脱脂洗浄と、トリクロロエチレンを使用した脱脂洗浄、合成界面活性剤による脱脂洗浄について示した図表である。
【図10】本発明による脱脂洗浄と、トリクロロエチレンを使用した脱脂洗浄、合成界面活性剤による脱脂洗浄について2週間程度放置し、ねじ部の錆の発生比較を行なった場合を示した図表である。
【図11】アルカリ電解水を生成させる炭酸カリウム水溶液の濃度と洗浄持続性についてアルカリ電解水のpH10未満に低下するまでの日数で示した図表である。
【符号の説明】
【0037】
6 バスケット
8 予備洗浄槽
11 防食管継手用粗材
12 ねじ
13 樹脂被膜層
14 粗洗浄槽
15 本洗浄槽
16 本洗浄槽のオーバーフロー用水路
17 粗洗浄槽のオーバーフロー用水路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ切り加工した防食管継手用粗材に脱脂洗浄を行い、この脱脂洗浄後に前記防食管継手用粗材の内外両面若しくは内外のいずれか片面に樹脂被覆層を形成する防食管継手の洗浄方法において、前記脱脂洗浄を行う洗浄液として、炭酸カリウム0.05質量%〜1質量%の水溶液を電気分解してマイナス極側に生成したpH10〜12のアルカリ電解水を用い、このアルカリ電解水の洗浄液に前記防食管継手用粗材を浸漬して温度40〜80℃で脱脂洗浄を行うことを特徴とする防食管継手の洗浄方法。
【請求項2】
前記浸漬による脱脂洗浄は、洗浄時間を5分以上として上下揺動又は液中ジェットの少なくとも一方を付与することを特徴とする、請求項1に記載の防食管継手の洗浄方法。
【請求項3】
前記脱脂洗浄の前に予備洗浄を行い、この予備洗浄はpH7〜12のアルカリ電解水の洗浄液でシャワーにて行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載の防食管継手の洗浄方法。
【請求項4】
前記脱脂洗浄後に水切りを行い、この水切り工程では前記防食管継手用粗材をバスケットに入れたまま反転もしくは所定の角度まで傾斜させることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の防食管継手の洗浄方法。
【請求項5】
防食管継手が給水給湯配管あるいはガス配管に適用されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の防食管継手の洗浄方法。
【請求項6】
ねじ切り加工した防食管継手用粗材に脱脂洗浄を行い、この脱脂洗浄後に前記防食管継手用粗材の内外両面若しくは内外のいずれか片面に樹脂被覆層を形成する防食管継手の洗浄装置において、前記脱脂洗浄を行う工程では少なくとも予備洗浄槽、粗洗浄槽、本洗浄槽を備え、炭酸カリウム0.05質量%〜1質量%の水溶液を電気分解してマイナス極側に生成したpH10〜12のアルカリ電解水の洗浄液を最初に前記本洗浄槽に供給し、前記本洗浄槽にオーバーフロー用水路を施し、このオーバーフロー用水路を介して本洗浄槽のオーバーフロー液を前記粗洗浄槽に導き、同様に前記粗洗浄槽にオーバーフロー用水路を施し、このオーバーフロー用水路を介して粗洗浄槽のオーバーフロー液を前記予備洗浄槽に導くようにしてあることを特徴とする防食管継手の洗浄装置。
【請求項1】
ねじ切り加工した防食管継手用粗材に脱脂洗浄を行い、この脱脂洗浄後に前記防食管継手用粗材の内外両面若しくは内外のいずれか片面に樹脂被覆層を形成する防食管継手の洗浄方法において、前記脱脂洗浄を行う洗浄液として、炭酸カリウム0.05質量%〜1質量%の水溶液を電気分解してマイナス極側に生成したpH10〜12のアルカリ電解水を用い、このアルカリ電解水の洗浄液に前記防食管継手用粗材を浸漬して温度40〜80℃で脱脂洗浄を行うことを特徴とする防食管継手の洗浄方法。
【請求項2】
前記浸漬による脱脂洗浄は、洗浄時間を5分以上として上下揺動又は液中ジェットの少なくとも一方を付与することを特徴とする、請求項1に記載の防食管継手の洗浄方法。
【請求項3】
前記脱脂洗浄の前に予備洗浄を行い、この予備洗浄はpH7〜12のアルカリ電解水の洗浄液でシャワーにて行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載の防食管継手の洗浄方法。
【請求項4】
前記脱脂洗浄後に水切りを行い、この水切り工程では前記防食管継手用粗材をバスケットに入れたまま反転もしくは所定の角度まで傾斜させることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の防食管継手の洗浄方法。
【請求項5】
防食管継手が給水給湯配管あるいはガス配管に適用されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の防食管継手の洗浄方法。
【請求項6】
ねじ切り加工した防食管継手用粗材に脱脂洗浄を行い、この脱脂洗浄後に前記防食管継手用粗材の内外両面若しくは内外のいずれか片面に樹脂被覆層を形成する防食管継手の洗浄装置において、前記脱脂洗浄を行う工程では少なくとも予備洗浄槽、粗洗浄槽、本洗浄槽を備え、炭酸カリウム0.05質量%〜1質量%の水溶液を電気分解してマイナス極側に生成したpH10〜12のアルカリ電解水の洗浄液を最初に前記本洗浄槽に供給し、前記本洗浄槽にオーバーフロー用水路を施し、このオーバーフロー用水路を介して本洗浄槽のオーバーフロー液を前記粗洗浄槽に導き、同様に前記粗洗浄槽にオーバーフロー用水路を施し、このオーバーフロー用水路を介して粗洗浄槽のオーバーフロー液を前記予備洗浄槽に導くようにしてあることを特徴とする防食管継手の洗浄装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−79279(P2009−79279A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251092(P2007−251092)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000231121)JFE継手株式会社 (140)
【出願人】(000101617)アマノ株式会社 (174)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000231121)JFE継手株式会社 (140)
【出願人】(000101617)アマノ株式会社 (174)
【Fターム(参考)】
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