説明

除湿装置

【課題】吸着体の加熱再生時における省エネルギー化を図り得る除湿装置を提供する。
【解決手段】除湿装置1は、乾燥ホッパー40から排気されたガスを通過させる除湿処理ゾーン26と、加熱器29を配した加熱再生ライン13を介して導入される再生用加熱ガスを通過させる加熱再生ゾーン27と、加熱再生された後に再生用冷却ガスを通過させる冷却再生ゾーン28とを有した吸着体20を備え、前記加熱再生ラインにおける前記加熱器の上流側に、前記冷却再生ゾーンを通過した冷却再生排気ガス、及び前記加熱再生ゾーンを通過した加熱再生排気ガスと、前記加熱器に導入される再生用加熱ガスとを互いに区分して通過させ、これら冷却再生排気ガス及び加熱再生排気ガスの熱エネルギーを利用して、前記再生用加熱ガスを昇温させる熱交換器30を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体材料を貯留し、乾燥させる乾燥ホッパーに接続されるガスの除湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、粉粒体材料を貯留し、乾燥させる乾燥ホッパーに、ガス循環ラインを介して接続される吸着体を備えた除湿装置が知られている。
このような除湿装置では、上記吸着体に上記乾燥ホッパー内を通過して排気される水分を含んだガスを通過させることで、該吸着体内の吸着剤によって水分を吸着してガスを除湿処理する除湿処理工程を実行し、その除湿処理した処理ガスを、上記乾燥ホッパーへ向けて供給する構成とされている。
また、上記除湿装置では、上記除湿処理工程実行後の吸着体に、高温に加熱した再生用加熱ガスを通過させることで、該吸着体内の吸着剤の水分を脱離(分離)させる加熱再生工程が実行される。さらに、この加熱再生工程実行後の吸着体に、該吸着体内における吸着剤の水分の吸着能力を高めるために、再生用冷却ガスを通過させることで、該吸着体内の吸着剤を冷却する冷却再生工程が実行される。
【0003】
上記のように、除湿装置の吸着体は、高温に加熱した再生用加熱ガスを通過させて加熱再生する必要があり、省エネルギー化の観点から改善が望まれていた。
例えば、下記特許文献1では、吸着体を加熱再生するための再生用加熱ガスの加熱に、加熱再生工程実行中の吸着体を通過したガスの排熱を利用して省エネルギー化を図る構成とした湿りガスの乾燥装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−238414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、加熱再生工程では、ガスを除湿処理した後の水分を吸着した吸着体にガスが導入されるため、そのガスの熱エネルギーは、大半が吸着体において奪われる。その結果、該吸着体を通過したガスは、比較的、温度が低くなり、加熱再生のために吸着体に導入されるガスに与える熱エネルギーが小さくなり、省エネルギー化の観点から更なる改善が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、吸着体の加熱再生時における省エネルギー化を図り得る除湿装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係る除湿装置は、粉粒体材料を貯留し、乾燥させる乾燥ホッパーに、ガス循環ラインを介して接続される吸着体を備え、該乾燥ホッパー内を通過して排気されるガスを除湿処理し、除湿処理した処理ガスを、該乾燥ホッパーに向けて供給する除湿装置であって、前記吸着体は、前記乾燥ホッパーから排気されたガスを通過させる除湿処理ゾーンと、加熱器を配した加熱再生ラインを介して導入される再生用加熱ガスを通過させる加熱再生ゾーンと、加熱再生された後に再生用冷却ガスを通過させる冷却再生ゾーンとを備え、前記加熱再生ラインにおける前記加熱器の上流側には、前記冷却再生ゾーンを通過した冷却再生排気ガス、及び前記加熱再生ゾーンを通過した加熱再生排気ガスと、前記加熱器に導入される再生用加熱ガスとを互いに区分して通過させ、これら冷却再生排気ガス及び加熱再生排気ガスの熱エネルギーを利用して、前記再生用加熱ガスを昇温させる熱交換器が設けられていることを特徴とする。
【0008】
このような構成とすることで、加熱再生ラインの加熱器の上流側において、冷却再生排気ガス、及び加熱再生排気ガスによって、加熱再生ゾーンに導入する再生用加熱ガスを昇温させることができる。従って、加熱再生ゾーンに導入する再生用加熱ガスを加熱する加熱器の消費電力を小さくでき、省エネルギー化を図ることができる。
特に、冷却再生ゾーンでは、加熱再生ゾーンにおいて高温に昇温され、水分が脱離された吸着体に再生用冷却ガスが導入されるため、この冷却再生ゾーンを通過した冷却再生排気ガスは、比較的、高温となる。本発明によれば、この比較的、高温の冷却再生排気ガスと、加熱再生ゾーンを通過した加熱再生排気ガスとによって、加熱再生ゾーンに導入する再生用加熱ガスを効果的に予備昇温させることができる。
【0009】
本発明においては、前記熱交換器を、前記冷却再生排気ガスと、前記加熱再生排気ガスとを互いに区分して通過させる構造としてもよい。この場合、前記ガス循環ラインには、前記乾燥ホッパーから排気されたガスと、前記熱交換器を通過した前記冷却再生排気ガスとを合流させる合流部と、この合流部を経て送風されるガスを、前記吸着体の除湿処理ゾーン及び冷却再生ゾーンに分配させる分配部とを設けるようにしてもよい。
このような構成とすれば、3系統のガス(冷却再生排気ガス、加熱再生排気ガス、及び再生用加熱ガス)を熱交換器において互いに区分して通過させ、熱交換を行うことができる。このように3系統のガスを互いに区分して通過させることで、比較的、露点の低い冷却再生排気ガスと、比較的、露点の高い加熱再生排気ガスとが混合されることがない。
この結果、この露点の低い冷却再生排気ガスを、ガス循環ラインの合流部及び分配部を介して、吸着体の冷却再生ゾーンに導入し、再生用冷却ガスとして吸着体の冷却再生に利用することができる。従って、例えば、外気を再生用冷却ガスとして冷却再生ゾーンに導入するものと比べて、吸着体の冷却再生を効果的に実行することができる。
【0010】
上記3系統のガスを互いに区分して通過させる構造とされた熱交換器を備えた除湿装置においては、前記熱交換器を、前記再生用加熱ガスを通過させる外管と、この外管内に螺旋状に撚り合わせられて配されるとともに、前記冷却再生排気ガス及び前記加熱再生排気ガスをそれぞれ通過させる複数の内管とを備えたものとしてもよい。
このような構成とすれば、上記3系統のガスを並列的に通過させる構造となり、熱交換器をコンパクトにできる。
また、複数の内管を螺旋状に撚り合わせて外管内に配置することで、外管内を送風される再生用加熱ガスと、内管外周面との伝熱面積を効率的に増大させることができるとともに、これら複数の内管内、及びその外周を送風される各ガスが螺旋状に送風されるので、これらのガスの乱流作用によって熱伝達率を向上させることができ、熱交換効率を効果的に向上させることができる。
さらに、このような構成によれば、例えば、複数の内管を外管内にジグザグに折り曲げて配したようなものと比べて、各管内を送風される各ガスの圧力損失を小さくすることができる。
【0011】
上記複数の内管を外管内に配した熱交換器を備えた除湿装置においては、前記複数の内管を、波形管としてもよい。
このような構成とすれば、内管を、熱伝導率の良好なステンレスやアルミニウム、銅管等の金属製のものとした場合にも撚り合わせ易く、かつ、波形管の各山が伝熱面積を拡大させるフィンとして機能し、熱交換効率をより効率的に向上させることができる。
【0012】
また、本発明においては、前記吸着体を、多数のガス流通路を軸方向に有したハニカム状円筒体と、この円筒体の両端部に設けられ、該円筒体の回転軸を中心にして、この円筒体を、前記除湿処理ゾーン、前記加熱再生ゾーン、及び前記冷却再生ゾーンに区分けする区画形成手段とを備えたものとしてもよい。
このような構成とすれば、乾燥ホッパーに向けて供給するガスの除湿処理と、吸着体の一部の加熱再生と、吸着体の一部の冷却再生とを、並列的かつ連続的に実行することができ、安定した露点の処理ガスを乾燥ホッパーに向けて供給することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る除湿装置は、上述のような構成としたことで、吸着体の加熱再生時における省エネルギー化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る除湿装置の一実施形態を備えた粉粒体材料の除湿乾燥システムの一例を模式的に示す概略構成図である。
【図2】同除湿装置が備える熱交換器の一例を模式的に示す概略正面図である。
【図3】(a)は、図2における概略左側面図、(b)は、図2における概略右側面図、(c)は、図2におけるX1−X1線矢視に対応させた概略拡大縦断面図、(d)は、同熱交換器の組み付け例の一例を説明するための概略説明図である。
【図4】(a)は、図3(a)におけるX2−X2線矢視に対応させた概略拡大縦断面図、(b)は、(a)におけるY1線矢視に対応させた分解概略側面図、(c)は、(a)におけるY2線矢視に対応させた分解概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1〜図4は、本実施形態に係る除湿装置を説明するための説明図である。
尚、図1においては、ガス(輸送空気を含む)や粉粒体材料を流通させる各ライン(ガス管路、粉粒体材料輸送管路など)を、実線及び破線にて模式的に示している。
【0016】
本実施形態に係る除湿装置1は、図1に示すように、ガス循環ライン10を介して乾燥ホッパー40に接続されており、これら除湿装置1と、乾燥ホッパー40とによって、粉粒体材料の除湿乾燥システムAを構成している。
ここに、上記粉粒体材料は、粉体・粒体状の材料を指すが、微小薄片状や短繊維片状、スライバー状の材料等を含む。
また、上記材料としては、樹脂ペレットや樹脂繊維片等の合成樹脂材料、或いは金属材料や半導体材料、木質材料、薬品材料、食品材料等どのようなものでもよい。
【0017】
ガス循環ライン10は、乾燥ホッパー40と除湿装置1とを連通接続するように設けられており、乾燥ホッパー40から排気されたガスを、除湿装置1に向けて送気するガス帰還ライン12と、除湿装置1で除湿処理した処理ガスを乾燥ホッパー40に向けて送気するガス供給ライン11とを備えている。
【0018】
乾燥ホッパー40は、下部が逆円錐状、上部が円筒状とされ、上方から順次投入された粉粒体材料を貯留するホッパー本体41と、ホッパー本体41の上端部に材料投入バルブ42を介して接続された捕集器48と、ホッパー本体41の下端部に設けられた材料排出部43とを備えている。
ホッパー本体41の上部には、ホッパー本体41内に貯留される粉粒体材料の材料レベルを検出するための材料センサー(レベル計)47と、ホッパー本体41内に貯留された粉粒体材料層中を通過したガスを排出する排気口45とが設けられている。
【0019】
また、ホッパー本体41内の下方部には、ガス供給ライン11を介して供給される処理ガスを、ホッパー本体41内に吐出するための吐出口44が設けられている。この吐出口44は、平面視円状に形成されたホッパー本体41の平面視略中心に配置され、ガス供給ライン11を経て送気されてくる処理ガスを、均一に分散してホッパー本体41内に給気する構成とされている。
【0020】
ガス供給ライン11には、除湿装置1において除湿処理された処理ガスの露点を検出する露点検出手段としての露点センサー11aと、除湿装置1を経て送気される処理ガスを所定の温度に加熱する加熱ヒータ(加熱器)46と、この加熱ヒータ46を通過した処理ガスの温度を検出する温度検出手段としての温度センサー11bとが、ホッパー本体41に向けて、この順に設けられている。この温度センサー11bの検出温度に基づいて、CPU等の制御手段によって加熱ヒータ46のON/OFF制御或いはPID制御等の通電の制御がなされる。
尚、この加熱ヒータ46で加熱されてホッパー本体41内に導入される加熱された処理ガスの温度は、粉粒体材料の種類や初期水分率、ホッパー本体41の容量や排出量等に応じて、適宜、設定可能であるが、80℃〜160℃程度としてもよい。
【0021】
ホッパー本体41の上端部に設けられた捕集器48には、材料タンク(不図示)などからの材料を輸送する材料輸送ライン2と、捕集器48内の空気を吸引する吸引ライン4とが接続されている。
この捕集器48において、空気輸送される粉粒体材料を捕集し、一時的に貯留して、捕集器48の下方に設けられた材料投入バルブ42を開放させることにより、粉粒体材料がホッパー本体41内に順次投入される。
このようなホッパー本体41への粉粒体材料の投入は、例えば、ホッパー本体41の下端部の材料排出部43からの粉粒体材料の排出に伴い、ホッパー本体41における粉粒体材料の貯留レベルが低下し、材料センサー47の材料無し信号が出力された際に、材料投入バルブ42を開放させることで行うようにしてもよく、また、ホッパー本体41内の粉粒体材料の貯留量が概ね一定量となるように、粉粒体材料の投入タイミング及び投入量等を制御するようにしてもよい。つまり、ホッパー本体41内に積層状態で貯留されている粉粒体材料を、所定の温度及び水分率となるまで加熱乾燥処理し、最下層にあるものから順次排出して、新たな粉粒体材料を排出した量に応じて上方の捕集器48から投入するものとしてもよい。
【0022】
ホッパー本体41の下端部に設けられた材料排出部43には、ホッパー本体41において加熱乾燥処理がなされた粉粒体材料を、次の処理工程(樹脂成形機や一時貯留ホッパー、加工機等(不図示))へ向けて空気輸送する材料輸送ライン3が接続されている。
この材料輸送ライン3の輸送空気源としては、上記した捕集器48に材料を空気輸送するために吸引ライン4に接続される輸送空気源に、切り替え弁等を介して接続することで、その輸送空気源を共用するようにしてもよく、別途、専用の輸送空気源を設けるようにしてもよい。また、輸送態様としては、吸引による負圧作用によって輸送する態様としてもよく、或いは、圧縮空気を供給して粉粒体材料を圧送する態様としてもよい。
さらに、ガス循環ライン10のガス帰還ライン12またはガス供給ライン11を送気されるガスを分岐させて、その比較的、露点の低いガスを、材料排出部43から排出された粉粒体材料の輸送用空気として利用するようにしてもよい。これによれば、ホッパー本体41において加熱乾燥処理された粉粒体材料を、外気等で輸送する場合と比べて、輸送時における粉粒体材料の吸湿等を防止することができる。
【0023】
さらにまた、材料排出部43から排出された粉粒体材料を、次の処理工程に向けて空気輸送する態様に限られず、当該乾燥ホッパー40の材料排出部43を、樹脂成形機等の加工機の材料投入口上に設置するような態様としてもよい。
また、上記のような粉粒体材料の投入及び排出は、ホッパー本体41内の貯留量がある程度の貯留量となるように、連続的或いは間歇的になされるものとしてもよい。
または、上記のような態様に代えて、ホッパー本体41内に貯留された粉粒体材料の全量を十分に加熱乾燥した後、全量を次工程に向けて排出して供給し、再び、ホッパー本体41に満状態となるまで粉粒体材料を貯留して、加熱乾燥を行うような態様としてもよい。
【0024】
乾燥ホッパー40において粉粒体材料の加熱乾燥処理に利用されたガスは、ホッパー本体41の排気口45から排出され、この排気口45に接続されたガス帰還ライン12を介して除湿装置1に向けて送気される。
ガス帰還ライン12には、乾燥ホッパー40から排気されたガスの温度を検出する温度検出手段としての温度センサー12cと、該ガスに含まれる粉塵や塵埃、揮発物質、オイル等を捕捉するフィルタ12dと、水冷式や空冷式等の冷却器12eと、三方継手等からなる合流部16とが、吸着塔20に向けてこの順に配設されている。
温度センサー12cの検出温度は、ホッパー本体41において加熱乾燥処理される粉粒体材料の加熱乾燥の処理度合いを示し、この検出温度が所定の第1温度を超えたときに、加熱ヒータ46及びホッパー本体41への処理ガスの供給を停止させ、次いで、所定の第2温度を下回ったとき、乃至は所定時間経過すれば、加熱ヒータ46を起動させ、処理ガスの供給を開始させるような制御を実行するようにしてもよい。
【0025】
フィルタ12dとしては、サイクロン式の粉塵等を捕捉するフィルタと、揮発物質等を捕捉するガスフィルタとを多段に配したものとしてもよい。
冷却器12eは、乾燥ホッパー40から排気されるガスの温度が、比較的、高温である場合に、後記するメインブロワー18の保護のためや、後記する吸着体を構成する吸着塔20の水分の吸着能力を向上させるため(或いは、低下させないため)に設けられており、例えば、ガス帰還ライン12を通過するガスの温度が、40℃〜70℃以下程度となるように、該ガスを冷却する。このような冷却器12eは、乾燥ホッパー40から排気されるガスの温度が、上記程度の温度よりも低い場合には、配設しないようにしてもよい。或いは、ガス帰還ライン12の温度センサー12cの検出温度に基づいて、当該冷却器12eをCPU等の制御手段によって、ON/OFF制御するようにしてもよい。
また、冷却器12eの配設箇所としては、図例のように、ホッパー本体41の排気口45と、合流部16との間に限られず、合流部16の下流側(吸着塔20側)で、メインブロワー18の上流側に配設する態様としてもよい。
【0026】
合流部16には、後記する除湿装置1の吸着塔20の冷却再生ゾーン28を通過した冷却再生排気ガスを送気する冷却再生ガス帰還ライン14が接続されている。この合流部16において、乾燥ホッパー40から排気されたガスに、冷却再生排気ガスを合流させ、これら合流したガスは、吸着塔20に向けてガス帰還ライン12を介して送気される。
この合流部16の下流側のガス帰還ライン12には、ガス循環ライン10を送気されるガスを循環させて送風するメインブロワー(送風器)18と、三方継手等からなる分配部17とが吸着塔20に向けて、この順に配設されている。
ガス帰還ライン12は、分配部17において除湿側分岐ライン12aと、再生側分岐ライン12bとに分岐され、これら各分岐ライン12a,12bは、除湿装置1の吸着塔20に接続されている。
【0027】
除湿装置1は、ガス帰還ライン12を経て送気される乾燥ホッパー40からのガスを除湿処理する吸着塔20と、この吸着塔20に接続された加熱再生ライン13と、この加熱再生ライン13に配設された熱交換器30とを備えている。
吸着塔20は、吸着剤を有したハニカムロータ(除湿ロータ)21と、その上下両端に配設された蓋体24,24と、ハニカムロータ21の回転軸22を蓋体24,24に対して回転させる駆動モータ23とを備えたハニカム式の除湿ユニットとされている。
【0028】
ハニカムロータ21は、例えば、セラミックファイバー等の繊維状材料によって、多数のガス流通路を回転軸22方向(ガス通過方向)に沿って形成するように、ハニカム状円筒体を形成し、そのハニカム状円筒体のガス流通路を形成する隔壁に、水分を吸着する吸着剤を含浸乃至は捕捉させたものとしてもよい。
ここに、ハニカム状とは、多数のガス流通路を構成する中空筒状セルの形状が、蜂の巣状に六角形状とされたものに限られず、例えば、該中空筒状セルの形状が、菱形状や、円筒形状、リブを平行に連続させたリブ形状、または、これら以外の形状、若しくは、三角形や四角形などの他の多角形状等、どのようなものでもよい。
【0029】
このハニカムロータ21は、回転軸22を中心として図示時計方向(白抜矢印方向)に回転自在とされており、例えば、1時間当りに数回転〜十数回転程度の回転数で低速かつ連続的に回転駆動される。
また、ハニカムロータ21に使用される吸着剤としては、シリカゲル、チタニウムシリカゲル、リチウムクロライド、合成ゼオライト(商品名モレキュラシーブ)などが挙げられるが、固体のもので、水分の吸着が可能で、かつ後記する再生用加熱ガスの通過による再生(水分の脱離)が可能なものであれば、どのようなものでもよい。
【0030】
ハニカムロータ21の上下両端に配設された蓋体24,24には、吸着塔20に接続される各ラインからのガスが導入される導入口及び各ラインへガスを導出する導出口が設けられている。
また、蓋体24,24には、ハニカムロータ21を、除湿処理ゾーン26、加熱再生ゾーン27、及び冷却再生ゾーン28に、区分けする区画形成手段を構成する仕切壁25が設けられている。仕切壁25は、ハニカムロータ21の回転軸22を中心にして、遠心方向に向けて3つ設けられており、本実施形態では、除湿処理ゾーン26、加熱再生ゾーン27、及び冷却再生ゾーン28の容積割合が、それぞれ5:2:1となるように形成されている。
【0031】
蓋体24は、装置本体に対して固定状態とされ、ハニカムロータ21が蓋体24に対して回転することで、蓋体24に形成された3つの仕切壁25によって、ハニカムロータ21を、互いに気密状態とされた上記3つの区画(ゾーン)に区分けする構成としている。
尚、蓋体24は、上下一対として図示の下側の蓋体24にも上側の蓋体24に形成された3つの仕切壁25に対応させて、同様の3つの仕切壁25が設けられている。
また、上記のようなハニカム式の除湿ユニットの更なる具体的構成についての詳述は省略するが、例えば、実開昭60−115526号公報、実開平1−167318号公報、実開平2−13994号公報に開示があるハニカム式の除湿ユニットを本実施形態に適用してもよい。
【0032】
除湿処理ゾーン26の上流側(図示下側の蓋体24)には、上記したガス帰還ライン12の除湿側分岐ライン12aが接続され、この除湿処理ゾーン26の下流側(図示上側の蓋体24)には、上記したガス供給ライン11が接続されている。
加熱再生ゾーン27の上流側(図示上側の蓋体24)には、加熱再生ライン13が接続され、この加熱再生ゾーン27の下流側(図示下側の蓋体24)には、加熱再生排気ライン15が接続されている。
冷却再生ゾーン28の上流側(図示下側の蓋体24)には、ガス帰還ライン12の再生側分岐ライン12bが接続され、この冷却再生ゾーン28の下流側(図示上側の蓋体24)には、冷却再生ガス帰還ライン14が接続されている。
【0033】
加熱再生ライン13には、装置外の空気を、フィルタ19aを介して取り込む再生ブロワー19と、後記する熱交換器30と、この加熱再生ライン13を送風されるガスを所定の温度に加熱する再生加熱ヒータ(加熱器)29と、この再生加熱ヒータ29を通過したガスの温度を検出する温度検出手段としての温度センサー13aとが、上流側端のフィルタ19aから吸着塔20に向けて、この順に配設されている。
【0034】
この加熱再生ライン13では、再生ブロワー19の駆動により、フィルタ19aを介して外気を取り込み、後記するように熱交換器30において昇温させ、さらに、再生加熱ヒータ29で加熱して、再生用加熱ガスを生成し、その生成された再生用加熱ガスを、ハニカムロータ21の加熱再生ゾーン27に導入する構成としている。
また、温度センサー13aにおいて、再生加熱ヒータ29を通過したガスの温度を検出し、この検出温度に基づいて、CPU等の制御手段によって再生加熱ヒータ29のON/OFF制御或いはPID制御等の通電の制御がなされる。
尚、再生加熱ヒータ29で加熱されて加熱再生ゾーン27に導入される再生用加熱ガスの温度は、水分を吸着した吸着剤から水分を脱離可能な温度とすればよく、例えば、180℃〜240℃程度としてもよい。
【0035】
冷却再生ガス帰還ライン14は、冷却再生ゾーン28を通過した冷却再生排気ガスを、熱交換器30に導入し、熱交換器30から排気された冷却再生排気ガスを、上記した合流部16に向けて送気する構成とされている。
加熱再生排気ライン15は、加熱再生ゾーン27を通過した加熱再生排気ガスを、熱交換器30に導入し、熱交換器30から排気された加熱再生排気ガスを、装置外に排出する構成とされている。
【0036】
上記構成とされた吸着塔20においては、乾燥ホッパー40に向けて供給する処理ガスの除湿処理と、ハニカムロータ21の再生処理とが以下のようになされる。
除湿処理ゾーン26には、ホッパー本体41内に貯留された粉粒体材料を通過することで水分を含んだガスが、ガス帰還ライン12に配設されたメインブロワー18の駆動により、フィルタ12d、冷却器12e、合流部16、及び分配部17を通過し、除湿側分岐ライン12aを介して導入される。
除湿処理ゾーン26に導入されたガスは、そこに位置するハニカムロータ21内の吸着剤が配されたガス流通路を通過して、吸着剤により水分が吸着され、除湿済みの処理ガスとして、ガス供給ライン11に向けて送気される(除湿処理工程)。
【0037】
除湿処理ゾーン26で水分を吸着したハニカムロータ21内の吸着剤は、ハニカムロータ21の回転に伴い、加熱再生ゾーン27に至る。
加熱再生ゾーン27では、加熱再生ライン13を経て加熱された再生用加熱ガスが導入され、水分を吸着した吸着剤が加熱乾燥されて、吸着剤の再生(水分の脱離)がなされる(加熱再生工程)。
加熱再生ゾーン27で加熱再生されたハニカムロータ21内の吸着剤は、ハニカムロータ21の回転に伴い、冷却再生ゾーン28に至る。
冷却再生ゾーン28では、再生用冷却ガスが導入され、加熱再生された吸着剤の冷却再生がなされる(冷却再生工程)。
【0038】
この冷却再生ゾーン28に導入される再生用冷却ガスは、本実施形態では、乾燥ホッパー40から排気され、ガス帰還ライン12を経て送気されるガスに、冷却再生ガス帰還ライン14を経て送気されるガス(冷却再生排気ガス)を合流部16で合流させ、この合流ガスの一部が、ガス帰還ライン12の下流側の分配部17で分配されて、再生側分岐ライン12bを経て導入されるものとしている。つまり、本実施形態では、外気等を導入して冷却するのではなく、外気に比べて露点の低い、ガス循環ライン10を循環送風されるガスの一部を利用して、ハニカムロータ21の一部(冷却再生ゾーン28)の冷却再生を行うようにしている。これにより、ハニカムロータ21内における吸着剤の冷却再生を効果的に実行することができる。
【0039】
上記冷却再生工程を経て、冷却再生がなされたハニカムロータ21内の吸着剤は、ハニカムロータ21の回転に伴い、除湿処理ゾーン26に至り、以下、上記同様に、除湿処理工程、加熱再生工程及び冷却再生工程がなされる。
上記のように、乾燥ホッパー40から排気されたガス、及びハニカムロータ21の除湿処理ゾーン26及び冷却再生ゾーン28を通過したガスは、乾燥ホッパー40と除湿装置1の吸着塔20との間を循環する構成とされている。
このように、本実施形態に係る粉粒体材料の除湿乾燥システムAでは、吸着塔20のハニカムロータ21で除湿処理した処理ガスを、ホッパー本体41へ供給し、粉粒体材料の加熱乾燥処理が行えるので、例えば、ホッパー本体内に、加熱ヒータで加熱した外気を直接導入して粉粒体材料を乾燥する乾燥装置と比べて、加熱ヒータの小型化(低電力化)が図れたり、乾燥時間を短縮化したりできる。すなわち、本実施形態によれば、ハニカムロータ21で除湿処理されて露点が低くなった処理ガスを、ホッパー本体41に向けて供給するようにしているので、ホッパー本体41において、効率的に粉粒体材料の加熱乾燥を行うことができる。
【0040】
また、ハニカムロータ21を連続回転させることで、処理ガスの除湿処理、ハニカムロータ21の一部の加熱再生処理、ハニカムロータ21の一部の冷却再生処理が並列的になされるようにしているので、安定した露点の処理ガスをホッパー本体41に向けて供給できる。
尚、本実施形態では、除湿乾燥させるガスとして空気を適用しているが、これに限らず、水分を含んだ気体、例えば、窒素、水素、アルゴンなどのガスを除湿乾燥させて、乾燥ホッパーへ導入し、粉粒体材料の加熱乾燥を行うようにしてもよい。
また、ガス供給ライン11を介してホッパー本体41へ向けて送気される処理ガスの温度や露点は、加熱乾燥処理する粉粒体材料の種類や初期水分、ホッパー本体41の容量、加熱ヒータ46及びメインブロワー18の出力(すなわち、風量)、ハニカムロータ21の形状等に応じて、適宜、設定される。
特に、一定の低水分率とする要望が高い合成樹脂ペレット等を加熱乾燥処理する場合には、除湿された処理ガスの露点が、例えば、−10℃〜−60℃程度、好ましくは、−40℃〜−50℃となるようにしてもよい。
【0041】
上記加熱再生工程では、ハニカムロータ21の加熱再生のために、上記したように比較的、高温(例えば、180℃〜240℃程度)の再生用加熱ガスを導入する必要があり、本実施形態では、加熱再生ゾーン27に導入される再生用加熱ガスを、再生加熱ヒータ29の上流側において予備昇温する熱交換器30を加熱再生ライン13に設けている。
この熱交換器30には、再生ブロワー19の駆動により取り込まれた外気を送風する加熱再生ライン13と、加熱再生ゾーン27を通過した加熱再生排気ガスを送風する加熱再生排気ライン15と、冷却再生ゾーン28を通過した冷却再生排気ガスを送風する冷却再生ガス帰還ライン14とが互いに独立的に接続されており、この熱交換器30は、これら各ライン13,14,15の一部を構成するように、これらの途中部位に配設されている。
【0042】
つまり、本実施形態では、熱交換器30において、冷却再生ゾーン28を通過した冷却再生排気ガスと、加熱再生ゾーン27を通過した加熱再生排気ガスと、再生加熱ヒータ29に導入される再生用加熱ガス(外気)とを互いに区分して通過させ、これら冷却再生排気ガス及び加熱再生排気ガスの熱エネルギーを利用して、再生用加熱ガス(外気)を昇温させる構成としている。
尚、加熱再生ライン13に導入する再生用加熱ガスとしては、外気に限られず、湿度等の調整されたコンプレッサーエアーや、その他、上記同様のガスとしてもよい。
【0043】
次に、この熱交換器30の具体的構成について、図2〜図4に基づいて説明する。
熱交換器30は、図2に示すように、再生ブロワー19を介して取り込んだ外気を再生用加熱ガスとして通過させる外管31と、この外管31内に配された複数本(図例では三本)の内管32,33,33と、これら外管31及び内管32,33,33の両端31a,32a,33a(図3(d)も参照)に配設され、これら各管31,32,33と各ライン(管路)13,14,15とを接続する接続部35,35とを備えている。
尚、図2では、三本の内管32,33,33のそれぞれの一部を、破線、一点鎖線、及び二点鎖線でそれぞれ示している。
【0044】
外管31の外周には、この外管31を被覆するように断熱材34が設けられている。この断熱材34としては、ウレタンフォームなどの各種フォーム系(発泡系)断熱材やグラスウールなどの繊維系断熱材、合成樹脂やゴムなどの樹脂系断熱材としてもよい。或いは、例えば、多孔質のウレタンフォーム、シリカなどの粉末またはグラスファイバーなどの繊維で芯材を形成し、その芯材をガスバリア性の金属フィルムなどの包装材で外装して真空吸引することにより形成された真空断熱材等としてもよい。
外管31は、図3(c)に示すように、中空円筒形状とされており、この外管31としては、耐熱性を有した合成樹脂系材料から製された耐圧性のある樹脂ホースや、金属製パイプ等としてもよい。或いは、ガラスクロス等の強化繊維シートに、シリコンゴムを含浸、コーティングし、さらに補強ワイヤーで補強した耐熱補強ホースとしてもよい。
尚、図3(a)、(b)では、外管31及び断熱材34の図示を省略し、図3(c)では、接続部35の図示を省略している。
また、外管31としては、後記する内管と同様、波形管を採用するようにしてもよい。
【0045】
各内管32,33は、外管31と同様、それぞれ中空円筒形状とされており、上記同様、耐熱性を有した合成樹脂系材料から製された耐圧性のある樹脂ホースや、金属製パイプ等としてもよい。本実施形態では、熱伝導性の良いステンレスやアルミニウム、銅などの金属材料で波形状に製されたフレキシブルチューブ(コルゲートチューブ)としている。
このような波形状内管32,33としては、図例のような波形状の各山を一山づつ成形した、いわゆるアニュラーチューブに限られず、螺旋状に連続成形された、いわゆるスパイラルチューブとしてもよく、その他、可撓性を有し、複数本を螺旋状に容易に撚り合わせられるものであれば、どのようなものを適用するようにしてもよい。
これら波形状内管32,33は、図2及び図3(c)に示すように、外管31内で螺旋状に互いに撚り合わせられるとともに、その撚り合わせられた複数の波形状内管32,33の外郭周面が、外管31の内周面に、近接乃至は当接して配されており、図例では、それぞれの波形状内管32,33を右巻きに二回巻いた構成としている(図3(d)も参照)。
尚、図3(d)では、波形状内管32,33の両端部を実線で示し、中間部位における山部及び谷部を結んだ各外郭線を、二点鎖線で示している。
また、内管としては、本実施形態のような波形管に限られず、ストレート管(チューブまたはホース)としてもよい。
【0046】
これら複数の波形状内管32,33,33のうち、一本の波形状内管32(図2及び図3(c)における図示上側の内管)は、図2及び図3(c)に示すように、冷却再生ゾーン28を通過した冷却再生排気ガスを送風する冷却再生ガス帰還ライン14の一部を構成するように、冷却再生ガス帰還ライン14に接続されている。また、残り二本の波形状内管33,33は、図2及び図3(c)に示すように、加熱再生ゾーン27を通過した加熱再生排気ガスを送風する加熱再生排気ライン15の一部を構成するように、加熱再生排気ライン15に接続されている。
これら外管31及び波形状内管32,33の各内径は、これら各管31,32,33内を送風される各ガス(再生用加熱ガス、冷却再生排気ガス、及び加熱再生排気ガス)の風量に応じて適宜、設定可能である。
【0047】
本実施形態では、上述のように、吸着塔20の除湿処理ゾーン26、加熱再生ゾーン27、及び冷却再生ゾーン28の容積割合を、それぞれ5:2:1程度としているので、加熱再生ゾーン27と冷却再生ゾーン28とをそれぞれ通過する風量の割合は、2:1程度である。従って、各波形状内管32,33,33を略同径のものとし、上述のように、一本を冷却再生排気ガス通過用、二本を加熱再生排気ガス通過用としている。
また、外管31の内径は、これら三本の波形状内管32,33,33を外管31内に配した状態で、これら波形状内管32,33,33の外周と当該外管31の内周とで形成される、加熱再生ライン13の一部を構成する再生用加熱ガス通過空間(図3(c)参照)と、上記二本の波形状内管33,33の内周に形成される加熱再生排気ガス通過空間とが略同程度となるように形成している。
【0048】
接続部35,35は、図2及び図3(a)、(b)に示すように、それぞれ同形状とされた一対の円筒状ブロック体35,35とされており、この円筒状ブロック体35の外周面には、冷却再生ガス帰還ライン14が接続される接続管36と、加熱再生排気ライン15が接続される接続管37とが設けられている。
また、この円筒状ブロック体35の一方の開口(外方側開口)は、加熱再生ライン13に接続される接続管39を有した蓋体38によって気密的に封止される一方、他方の開口(内方側開口)が互いに対向し、この他方の開口側に、上記した各管31,32,33が接続されている。
【0049】
これら一対の接続部35,35としては、図2に示すように、再生用加熱ガスとしての外気が送気される当該熱交換器30の上流側及び下流側の加熱再生ライン13と、外管31の内周と各波形状内管32,33,33の外周とにより形成される空間(上記再生用加熱ガス通過空間)とを気密的に連通させ、冷却再生排気ガスが送気される当該熱交換器30の上流側及び下流側の冷却再生ガス帰還ライン14と、一本の波形状内管32とを気密的に連通させ、加熱再生排気ガスが送気される当該熱交換器30の上流側及び下流側の加熱再生排気ライン15と、二本の波形状内管33,33とを気密的に連通させ得るものであればどのようなものでもよい。
【0050】
次に、一対の接続部35,35の具体的構造の一例について図4に基づいて説明する。
尚、図4では、図2における図示左側の接続部35を示しているが、他方の接続部も同様の構成である。
また、図4(b)、(c)では、上記した蓋体38の図示を省略している。
【0051】
接続部としての円筒状ブロック体35は、上述のように両端部(内方側端部及び外方側端部)が開口した略中空円筒形状とされており、この円筒状ブロック体35の軸方向略中間部位には、内方側開口側と外方側開口側とを仕切る仕切底壁50が設けられている。
この仕切底壁50の略中央には、加熱再生ライン13に連通する再生用加熱ガス通過部51が開設されている。
また、この仕切底壁50の内方側面には、図4(a)、(b)に示すように、上記した三本の波形状内管32,33,33がそれぞれ接続される三本の接続筒52,53,53が内方側に向けて立設されている。これら各接続筒52,53,53の外周と、仕切底壁50の内方側に形成された内周壁58とによって、当該円筒状ブロック体35の内方側開口側に、上記再生用加熱ガス通過空間の一部を形成し、再生用加熱ガス通過部51を介して、当該熱交換器30の外管31内周と、接続管39とが連通される。
これら接続筒52,53,53のうち、図示上側の一本の接続筒52に、冷却再生排気ガス通過用の波形状内管32が接続され、図示下側の二本の接続筒53,53のそれぞれに、加熱再生排気ガス通過用の各波形状内管33,33が接続される。
【0052】
また、仕切底壁50の外方側面には、図4(a)、(c)に示すように、再生用加熱ガス通過部51と、一本の接続筒52の外方側開口と、二本の接続筒53,53の外方側開口とを、互いに区画するように仕切る区画壁59が外方側に向けて立設されている。
この区画壁59により、当該円筒状ブロック体35の外方側開口側には、再生用加熱ガス通過部51と、一本の接続筒52に連通する冷却再生排気ガス通過空間54と、二本の接続筒53,53に連通する加熱再生排気ガス通過空間55とが区画形成されている。
円筒状ブロック体35における外方側部の外周には、冷却再生排気ガス通過空間54に連通する接続孔56と、加熱再生排気ガス通過空間55に連通する接続孔57とが開設されている。
これら接続孔56,57に、上記した接続管36,37のそれぞれが連通接続される。
【0053】
この熱交換器30を組み付ける際には、各接続部35に接続管36,37を接続固定し、外方側開口を蓋体38で封止するように、外方側開口に接続管39を有した蓋体38を固定するようにしてもよい。
この際、蓋体38と接続部35の外方側端部との間に、シリコン系体耐熱接着剤を介して発泡シリコン等からなるシール材(ガスケット)を設けるようにしてもよい。
また、波形状内管32,33を螺旋状に巻く態様としては、図3(d)に示すように、棒状の巻き用芯材5に対して、波形状内管32,33を、一本づつ、螺旋状に巻回することで行うようにしてもよい。そして、三本の波形状内管32,33を巻き用芯材5に対して螺旋巻きした後、この巻き用芯材5とともに、外管31内に挿入し、これら各管31,32,33の両端31a,32a,33aを一対の接続部35,35に接続するようにしてもよい。この接続前或いは一方を接続した後、巻き用芯材5を除去するようにすればよい。
【0054】
各管31,32,33を一対の接続部35,35に接続する際には、まず、波形状内管32,33,33の各端部32a,33a,33aを、一方の接続部35の各接続筒52,53,53に外嵌させるようにして接続し、次いで、この一方の接続部35の内方側端部外周に、外管31の端部31aを外嵌させるようにして接続するようにしてもよい。さらに、他方側も同様に接続するようにしてもよい。
また、これら各管31,32,33の各端部31a,32a,33aの内周面と、接続部35の内方側端部外周面及び各接続筒52,53の外周面との間に、シリコン系耐熱接着剤を介在させ、気密的に接着固定するようにしてもよい。また、このように接続された各管31,32,33の外周を、ジュビリーバンド等の締付具6で締め付けて固定するようにしてもよい。
【0055】
上記のように各ライン13,14,15と接続された熱交換器30においては、以下のように各ライン13,14,15を送気される各ガスが熱交換器30内を通過し、各ガスの熱交換がなされる。
すなわち、再生ブロワー19によって取り込まれた再生用加熱ガスとしての外気は、熱交換器30上流側の加熱再生ライン13を経て、一方(図2における左側)の接続部35から熱交換器30内に導入され、上記した外管31の内周等により形成される上記再生用加熱ガス通過空間を送気されて、他方(図2における右側)の接続部35から熱交換器30下流側の加熱再生ライン13に導出される。
【0056】
また、吸着塔20の冷却再生ゾーン28を通過した冷却再生排気ガスは、熱交換器30上流側の冷却再生ガス帰還ライン14を経て、上記他方の接続部35から熱交換器30内に導入され、上記した冷却再生排気ガス通過空間54及び冷却再生排気ガス通過用の波形状内管32等を送気されて、上記一方の接続部35から熱交換器30下流側の冷却再生ガス帰還ライン14に導出される。
また、吸着塔20の加熱再生ゾーン27を通過した加熱再生排気ガスは、熱交換器30上流側の加熱再生排気ライン15を経て、上記他方の接続部35から熱交換器30内に導入され、上記した加熱再生排気ガス通過空間55及び加熱再生排気ガス通過用の波形状内管33,33等を送気されて、上記一方の接続部35から熱交換器30下流側の加熱再生排気ライン15に導出される。
つまり、本実施形態では、熱交換器30内をそれぞれ通過する、冷却再生排気ガス及び加熱再生排気ガスの通過方向と、再生用加熱ガスの通過方向とが互い逆向きとなるように、各ライン13,14,15を接続した向流型としている。
【0057】
このように、熱交換器30に導入された各ガスは、熱交換器30において、互いに熱エネルギーが授受されて、熱交換器30から導出される。
これら各ガスの熱交換器30の入口側及び出口側の各温度は、当該熱交換器30の容量や、乾燥ホッパー40から排気されて冷却再生ゾーン28に導入されるガス(再生用冷却ガス)の温度、加熱再生ライン13に取り込むガス(外気)の温度、加熱再生ゾーン27に導入される再生用加熱ガスの設定温度、ハニカムロータ21の容量等、種々の要因に依存するが、上述のような構成とすることで、再生用加熱ガスを効率的に予備昇温させることができる。
【0058】
例えば、再生用冷却ガスの温度が40℃〜60℃程度、外気温度が20℃程度、再生用加熱ガスの設定温度が180℃〜220℃程度であった場合、加熱再生ゾーン27を通過した加熱再生排気ガスの温度は、水分を吸着した吸着剤に熱エネルギーを奪われ、100℃〜140℃程度となる。
一方、冷却再生ゾーン28を通過した冷却再生排気ガスの温度は、加熱再生ゾーン27において高温に昇温されるとともに、水分が脱離されたハニカムロータ21内を通過するので、また、図例に示すように、吸着塔20における再生用加熱ガス通過方向と再生用冷却ガス通過方向とが互いに逆方向であることも相俟って、比較的、高温となり、160℃〜200℃程度となる。
これら加熱再生排気ガス及び冷却再生排気ガスが熱交換器30内に導入され、上記外気と熱交換がなされる。熱交換器30を通過した加熱再生排気ガスは、60℃〜100℃程度となり、装置外に排出され、熱交換器30を通過した冷却再生排気ガスは、110℃〜150℃程度となる。一方、熱交換器30を通過した再生用加熱ガスとしての外気は、これら加熱再生排気ガス及び冷却再生排気ガスによって昇温され、80℃〜110℃程度となる。
【0059】
以上のように、本実施形態に係る除湿装置1によれば、加熱再生ライン13に上記のように熱交換器30を設けることで、加熱再生ゾーン27に導入する再生用加熱ガスを予備昇温させることができ、その下流側において再生用加熱ガスを加熱する再生加熱ヒータ29の消費電力を小さくでき、省エネルギー化を図ることができる。
また、本実施形態では、熱交換器30を、上記した3系統のガスを互いに区分して通過させる構造とし、外管31と、この外管31内に螺旋状に撚り合わせられて配された複数の内管32,33,33とを備えたものとしているので、3系統のガスを並列的に通過させる構造となり、コンパクトにできる。
【0060】
特に、複数の内管32,33を螺旋状に撚り合わせて外管31内に配置することで、外管31内を送風される再生用加熱ガスと、内管32,33の外周面との伝熱面積を効率的に増大させることができるとともに、これら複数の内管32,33内、及びその外周を送風される各ガスが螺旋状に送風されるので、これらのガスの乱流作用によって熱伝達率を向上させることができ、熱交換効率を効果的に向上させることができる。
また、このような構成によれば、例えば、複数の内管を外管内にジグザグに折り曲げて配したようなものと比べて、各管内を送風される各ガスの圧力損失を小さくすることができる。
【0061】
さらに、これら複数の内管32,33を、波形状されたものとしているので、本実施形態のように、熱伝導率の良好なステンレスやアルミニウム、銅管等の金属製からなるものとした場合にも、上述のように撚り合わせ易く、かつ、波形状内管32,33の各山が伝熱面積を拡大させるフィンとして機能し、熱交換効率をより効率的に向上させることができる。
さらにまた、熱交換器30内をそれぞれ通過する、冷却再生排気ガス及び加熱再生排気ガスの通過方向と、再生用加熱ガスの通過方向とが互いに逆向きとなるように、各ライン13,14,15を接続して、向流形式で熱交換するようにしているので、熱交換効率をより効率的に向上させることができる。
【0062】
尚、本実施形態では、熱交換器を、通過する冷却再生排気ガス及び加熱再生排気ガスの風量に応じて、風量を略均等に分配させるような同一径の複数の内管を有したものを例示しているが、風量に応じて異径のもの(例えば、細径の冷却再生排気ガス通過用の内管一本と、太径の加熱再生排気ガス通過用の内管一本など)を外管内に配する構造としてもよい。
また、外管内に配する内管の本数は、冷却再生排気ガスと加熱再生排気ガスとが混合しないよう、互いに区分して通過させ得るように二本以上とすればよい。
さらに、上記した接続部の区画壁によって互いに区画される空間容積を変更可能なように、区画壁を移動可能乃至は複数位置に取付可能な構成としてもよい。これによれば、接続される内管の本数、及び各管を送気される各ガスの風量等に応じて、区画壁を移動させたり、取付位置を変更したりすることができる。
さらにまた、熱交換器の外管及び各内管は、図例のようにそれぞれ円筒形状とされたものに限られず、両方または一方が角筒形状とされたものとしてもよい。
【0063】
また、上記したような向流形式で熱交換するものに限られず、熱交換器内を送風される各ガスの送風方向が同一方向の並流型のものとしてもよい。
さらに、本実施形態では、複数本の内管を、螺旋状に撚り合わせて外管内に配した熱交換器を例示しているが、このような態様に限られない。例えば、外管内に複数本の内管を、外管の軸方向に沿って略直線状に配したり、各内管をジグザグ形状に折り曲げて配するような態様としてもよい。
さらには、外管と内管とを略平行(螺旋状乃至は直線状)に配する態様に代えて、複数の内管を外管に対して直交させる直交型のものとしてもよい。
【0064】
また、上記した3系統のガスを互いに区分して通過させる熱交換器としては、図例のような3系統のガスを並列的に通過させるものに限られず、例えば、二重管構造として、冷却再生排気ガスを通過させる内管と、加熱再生排気ガスを通過させる内管とを、再生用加熱ガスを通過させる外管内において、直列的に配するようなものとしてもよい。
或いは、複数枚のプレートで仕切られた各空間に、各ガスを導入して熱交換を行うようなプレート型の熱交換器や、シェルアンドチューブ型の熱交換器、クロスフィン型熱交換器等、種々の熱交換方式の熱交換器の採用が可能である。
【0065】
また、本実施形態では、冷却再生排気ガスを、乾燥ホッパーの排気ガスと合流させ、その合流ガスの一部を、再生用冷却ガスとして利用し、ガス循環ラインを循環させる態様とした例を示しているが、再生用加熱ガスと同様、装置外から再生用冷却ガスを取り込み、冷却再生排気ガスを装置外に排出させる態様としてもよい。この場合は、比較的、露点の高い加熱再生排気ガスと、比較的、露点の低い冷却再生排気ガスとを熱交換器乃至はその上流側において混合し、これら冷却再生排気ガス及び加熱再生排気ガスの熱エネルギーを利用して、再生用加熱ガスを昇温させる熱交換器としてもよい。このような場合には、熱交換器を単純な二重管構造のものや、上記したような各種の熱交換器の採用が可能である。
【0066】
また、熱交換器を通過して昇温された再生用加熱ガス(外気)の放熱、及び再生加熱ヒータを通過して加熱された再生用加熱ガスの放熱を防止するために、熱交換器の下流側、及び再生加熱ヒータの下流側の加熱再生ラインの管路外周に、上記同様の断熱材を被覆するようにしてもよい。
さらに、熱交換器に導入する冷却再生排気ガス及び加熱再生排気ガスの放熱を防止するために、熱交換器の上流側の冷却再生ガス帰還ライン及び加熱再生排気ラインのそれぞれ管路外周にも上記同様の断熱材を被覆するようにしてもよい。
【0067】
尚、本実施形態では、ハニカム式の除湿ユニットを備えたものとし、1つのハニカムロータを有した吸着塔を例示しているが、これに限られず、例えば、複数の吸着塔を有した多塔式のものとしてもよい。この場合、各吸着塔は、上記同様の吸着剤を含浸乃至は捕捉させたハニカム状構造体を配したものとしてもよく、或いは、シリカゲル等の粒状吸着剤を充填したものとしてもよい。
このような多塔式のものでは、上記した各ラインと各吸着塔との切り替えを、切り替え弁により行うものや、各ラインに対して各吸着塔を回転させて、各ラインと各吸着塔とを順次、循環させて連通させるものがあるが、上記除湿処理工程と、上記加熱再生工程と、上記冷却再生工程とが、並列的に実行可能なもの、すなわち、3塔以上の吸着塔を備えたものとしてもよい。
このような多塔式の除湿ユニットとしては、例えば、特開昭60−132622号公報に開示がある。
【0068】
すなわち、本実施形態では、除湿処理ゾーン、加熱再生ゾーン及び冷却再生ゾーンのそれぞれに対応して配される吸着塔を、1つのハニカムロータを有したものとし、ハニカムロータの回転に伴い、仕切壁がハニカムロータに対して相対的に移動することで、各ゾーンが順次移動し、処理ガスを除湿処理する除湿処理工程、ハニカムロータの一部を加熱再生する加熱再生工程、ハニカムロータの一部を冷却再生する冷却再生工程が並列的に実行される構成としている。一方、前記した多塔式のものでは、前記各ラインと各吸着塔との切り替えを、切り替え弁によって行ったり、各ラインに対して各吸着塔を回転させたりすることにより、各吸着塔のそれぞれが、各ゾーンのそれぞれを順次、構成することとなり、このような多塔式のものでも、処理ガスを除湿処理する除湿処理工程と、吸着塔を加熱再生する加熱再生工程と、吸着塔を冷却再生する冷却再生工程とが並列的に実行可能である。
【0069】
このような構成により多塔式の除湿装置では、本実施形態で適用したハニカム式の吸着塔を備えた除湿装置と比べて、露点の一定性という点では、劣るが、本発明を適用することで、略同様の効果が得られる。
または、複数のハニカムロータ式吸着塔を備えた構成としてもよい。例えば、複数のハニカムロータ式吸着塔を前記各ラインに対して並列的に配する構成としてもよい。この場合は、複数のハニカムロータのそれぞれのゾーンに対して、各ラインを分岐させることで本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 除湿装置
10 ガス循環ライン
11 ガス供給ライン(ガス循環ライン)
12 ガス帰還ライン(ガス循環ライン)
12a 除湿側分岐ライン(ガス循環ライン)
12b 再生側分岐ライン(ガス循環ライン)
13 加熱再生ライン
14 冷却再生ガス帰還ライン(ガス循環ライン)
16 合流部
17 分配部
20 吸着塔(吸着体)
21 ハニカムロータ(ハニカム状円筒体)
22 回転軸
24 蓋体(区画形成手段)
25 仕切壁(区画形成手段)
26 除湿処理ゾーン
27 加熱再生ゾーン
28 冷却再生ゾーン
29 再生加熱ヒータ(加熱器)
30 熱交換器
31 外管
32,33 波形状内管(波形管、内管)
40 乾燥ホッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体材料を貯留し、乾燥させる乾燥ホッパーに、ガス循環ラインを介して接続される吸着体を備え、該乾燥ホッパー内を通過して排気されるガスを除湿処理し、除湿処理した処理ガスを、該乾燥ホッパーに向けて供給する除湿装置であって、
前記吸着体は、前記乾燥ホッパーから排気されたガスを通過させる除湿処理ゾーンと、加熱器を配した加熱再生ラインを介して導入される再生用加熱ガスを通過させる加熱再生ゾーンと、加熱再生された後に再生用冷却ガスを通過させる冷却再生ゾーンとを備え、
前記加熱再生ラインにおける前記加熱器の上流側には、前記冷却再生ゾーンを通過した冷却再生排気ガス、及び前記加熱再生ゾーンを通過した加熱再生排気ガスと、前記加熱器に導入される再生用加熱ガスとを互いに区分して通過させ、これら冷却再生排気ガス及び加熱再生排気ガスの熱エネルギーを利用して、前記再生用加熱ガスを昇温させる熱交換器が設けられていることを特徴とする除湿装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記熱交換器は、前記冷却再生排気ガスと、前記加熱再生排気ガスとを互いに区分して通過させる構造とされており、
前記ガス循環ラインには、前記乾燥ホッパーから排気されたガスと、前記熱交換器を通過した前記冷却再生排気ガスとを合流させる合流部と、この合流部を経て送風されるガスを、前記吸着体の除湿処理ゾーン及び冷却再生ゾーンに分配させる分配部とが設けられていることを特徴とする除湿装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記熱交換器は、前記再生用加熱ガスを通過させる外管と、この外管内に螺旋状に撚り合わせられて配されるとともに、前記冷却再生排気ガス及び前記加熱再生排気ガスをそれぞれ通過させる複数の内管とを備えていることを特徴とする除湿装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記複数の内管は、波形管であることを特徴とする除湿装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記吸着体は、多数のガス流通路を軸方向に有したハニカム状円筒体と、この円筒体の両端部に設けられ、該円筒体の回転軸を中心にして、この円筒体を、前記除湿処理ゾーン、前記加熱再生ゾーン、及び前記冷却再生ゾーンに区分けする区画形成手段とを備えていることを特徴とする除湿装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−99641(P2011−99641A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255698(P2009−255698)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(000146054)株式会社松井製作所 (70)
【Fターム(参考)】