説明

除電装置、転写装置、及び画像形成装置

【課題】画像不良の発生を抑制することができる除電装置、帯電装置、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置10は、除電装置320を有し、除電装置320は、トナーが転写された用紙を除電する除電部材322と、除電部材322を支持する第1の部材330と、前記第1の部材330に固定され、用紙に転写されるトナー対する帯電系列が第1の部材330よりも近い材料から形成され、除電部材322により除電される用紙を案内するリブ353が形成された第2の部材350とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除電装置、転写装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、像担持体と転写部材との間に形成された転写ニップを通過する記録材と該像担持体との間に転写電界を形成して該像担持体上のトナー像を該記録材の表面に転写した直後の記録材裏面部分を除電する除電装置において、長手方向にわたって複数の突起部を有し、その長手方向が記録材搬送方向に対して直交する方向と一致するように上記記録材裏面部分に近接配置される長尺な導電性の除電部材と、該複数の突起部よりも上記記録材裏面部分側に突出したリブとを備えており、該リブを、搬送中の記録材の裏面が接触し得る箇所における該除電部材の長手方向から見たときの外形形状が湾曲形状となるように形成した除電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−3575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、画像不良の発生を抑制することができる除電装置、帯電装置、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る本発明は、現像剤が転写された記録媒体を除電する除電部材と、前記除電部材を支持する第1の部材と、前記第1の部材に固定され、記録媒体に転写される現像剤に対する帯電系列が前記第1の部材よりも近い材料から形成され、前記除電部材により除電される記録媒体を案内する案内部が形成された第2の部材と、を有する除電装置である。
【0006】
請求項2に係る本発明は、前記第1の部材に噛合部が形成され、前記第2の部材に前記噛合部と噛み合う被噛合部が形成され、前記第2の部材は、前記噛合部と前記被噛合部とが噛み合うことで前記第2の部材に固定されている請求項1記載の除電装置である。
【0007】
請求項3に係る本発明は、前記除電部材は、前記第1の部材と前記第2の部材との間に挟まれて配置されている請求項1又は2記載の除電装置である。
【0008】
請求項4に係る本発明は、現像剤が転写された記録媒体を除電する除電部材と、前記除電部材により除電される記録媒体を案内する第1の案内部が形成された第1の部材と、前記第1の部材に固定され、記録媒体に転写される現像剤に対する帯電系列が前記第1の部材よりも近い材料から形成され、前記除電部材により除電される記録媒体を案内する第2の案内部が形成された第2の部材と、を有する除電装置である。
【0009】
請求項5に係る本発明は、前記第1の案内部は、記録媒体の搬送方向上流側においては、前記第2の案内部より記録媒体側に突出している請求項4記載の除電装置である。
【0010】
請求項6に係る本発明は、前記第2の案内部は、記録媒体の搬送方向下流側においては、前記第1の案内部より記録媒体側に突出している請求項4又は5記載の除電装置である。
【0011】
請求項7に係る本発明は、前記除電部材は、記録媒体の搬送方向と交わる方向において前記第1の案内部と前記第2の案内部との間に位置し、露出した状態で記録媒体に対向するように形成された突起を有する請求項4乃至6いずれか記載の除電装置である。
【0012】
請求項8に係る本発明は、記録媒体に現像剤を転写する転写部材と、前記転写部材により現像剤が転写された記録媒体を除電する除電部材と、前記転写部材及び前記除電部材を支持する第1の部材と、前記第1の部材に固定され、前記転写部材により記録媒体に転写される現像剤に対する帯電系列が前記第1の部材よりも近い材料から形成され、前記除電部材により除電される記録媒体を案内する案内部が形成された第2の部材と、を有する転写装置である。
【0013】
請求項9に係る本発明は、現像剤を記録媒体に転写する転写部材と、前記転写部材により現像剤が転写された記録媒体を除電する除電部材と、前記転写部材及び前記除電部材を支持し、前記除電部材により除電される記録媒体を案内する第1の案内部が形成された第1の部材と、前記第1の部材に固定され、前記転写部材により記録媒体に転写される現像剤に対する帯電系列が前記第1の部材よりも近い材料から形成され、前記除電部材により除電される記録媒体を案内する第2の案内部が形成された第2の部材と、を有する転写装置である。
【0014】
請求項10に係る本発明は、像保持体と、前記像保持体が保持する現像剤を記録媒体に転写する転写部材と、前記転写部材により現像剤が転写された記録媒体を除電する除電部材と、前記転写部材及び前記除電部材を支持する第1の部材と、前記第1の部材に固定され、前記転写部材により記録媒体に転写される現像剤に対する帯電系列が前記第1の部材よりも近い材料から形成され、前記除電部材により除電される記録媒体を案内する案内部が形成された第2の部材と、を有する画像形成装置である。
【0015】
請求項11に係る本発明は、像保持体と、前記像保持体が保持する現像剤を記録媒体に転写する転写部材と、前記転写部材により現像剤が転写された記録媒体を除電する除電部材と、前記転写部材及び前記除電部材を支持し、前記除電部材により除電される記録媒体を案内する第1の案内部が形成された第1の部材と、前記第1の部材に固定され、前記転写部材により記録媒体に転写される現像剤に対する帯電系列が前記第1の部材よりも近い材料から形成され、前記除電部材により除電される記録媒体を案内する第2の案内部が形成された第2の部材と、を有する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る本発明によれば、画像不良を抑制することができる除電装置を提供することができる。
【0017】
請求項2に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明が奏する効果を奏することに加えて、本構成を有しない場合と比較して、第2の部材の撓みの発生を抑制することができる除電装置を提供することができる。
【0018】
請求項3に係る本発明によれば、請求項1又は2に係る本発明が奏する効果を奏することに加えて、本構成を有しない場合と比較して除電部材を簡単な構成で位置決めすることができる除電装置を提供することができる。
【0019】
請求項4に係る本発明によれば、画像不良を抑制することができる除電装置を提供することができる。
【0020】
請求項5に係る本発明によれば、請求項4に係る本発明が奏する効果を奏することに加えて、本構成を有しない場合と比較して記録媒体の搬送不良を生じにくくすることができる除電装置を提供することができる。
【0021】
請求項6に係る本発明によれば、請求項4又は5に係る本発明が奏する効果を奏することに加えて、記録媒体との摩擦帯電を抑制することができる除電装置を提供することができる。
【0022】
請求項7に係る本発明によれば、請求項4乃至6いずれかに係る本発明が奏する効果を奏することに加えて、本構成を有しない場合と比較して除電効率を向上させることができる除電装置を提供することができる。
【0023】
請求項8に係る本発明によれば、画像不良を抑制することができる転写装置を提供することができる。
【0024】
請求項9に係る本発明によれば、画像不良を抑制することができる転写装置を提供することができる。
【0025】
請求項10に係る本発明によれば、画像不良を抑制することができる画像形成装置を提供することができる。
【0026】
請求項11に係る本発明によれば、画像不良を抑制することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示す右側面図である。
【図2】図1に示す画像形成装置が有する転写装置及び除電装置を示す右側面図である。
【図3】図2に示す除電装置が有する除電部材を示す平面図である。
【図4】図2に示す除電装置が有する第1の部材を示す平面図である。
【図5】図4に示す第1の部材を示し、図4におけるA−A線断面を示す断面図である。
【図6】図2に示す除電装置が有する第2の部材を示す平面図である。
【図7】図6に示す第2の部材を示し、図6(a)は図6におけるB−B線断面を示す断面図であり、図6(b)は図6におけるC−C線断面を示す断面図である。
【図8】図2に示す除電装置を示す平面図である。
【図9】図2に示す除電装置を示し、図9(a)は第1の部材に第2の部材を装着する様子を説明する断面図であり、図9(b)は、第1の部材に第2の部材が装着された状態を示し、図8におけるD−D線断面を示す断面図である。
【図10】図2に示す除電装置が有する第1のリブと第2のリブとの配置を模式的に示す斜視図である。
【図11】図2に示す除電装置の付近を用紙が通過する状態を示し、図11(a)は、用紙の先端部が第1の案内部に到達した状態を説明する図であり、図11(b)は、用紙の先端部が除電部材を通過した状態を説明する図である。
【図12】第1の比較例に係る除電装置を示す断面図である。
【図13】第2の比較例に係る除電装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
図1には、本発明の実施形態に係る画像形成装置10が示されている。図1に示されるように、画像形成装置10は、画像形成装置本体20を有し、画像形成装置本体20の上部が、画像が形成された用紙が排出される排出部22として用いられている。
【0029】
画像形成装置本体20内には、像形成部100と、像形成部100に用紙を供給する給紙装置200とが装着されている。また、画像形成装置本体20内には、記録媒体として用いられる用紙が搬送される搬送路250が形成されている。
【0030】
像形成部100は、感光体ドラム102Y、102M、102C、102Kと、感光体ドラム102Y、102M、102C、102Kをそれぞれ帯電する帯電装置104Y、104M、104C、104Kと、帯電装置104Y、104M、104C、104Kによって帯電された感光体ドラム102Y、102M、102C、102Kに光を照射して静電潜像を形成する潜像形成装置106と、潜像形成装置106によって感光体ドラム102Y、102M、102C、102Kの表面に形成された静電潜像を、トナーとキャリアとからなる現像を用いて現像して、イエローのトナー像、マゼンタのトナー像、シアンのトナー像、黒のトナー像をそれぞれが形成する現像装置110Y、110M、110C、110Kとを有する。
【0031】
イエローのトナー、マゼンダのトナー、シアンのトナー、及び黒のトナーは現像剤として用いられていて、例えばポリスチレン(polystyrene)を主成分とするものが用いられている。
【0032】
また、像形成部100は、現像装置110Y、110M、110C、110Kによってそれぞれ形成されたイエローのトナー像、マゼンタのトナー像、シアンのトナー像、黒のトナー像を後述する中間転写体142に転写する1次転写装置140と、感光体ドラム102Y、102M、102C、102Kの表面をクリーニングするクリーニング装置114Y、114M、114C、114Kとを有する。
【0033】
1次転写装置140は、感光体ドラム102Y、102M、102C、102Kに形成されたイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、黒トナー像が重ねられるように転写され、像保持体として用いられているベルト状の中間転写体142を有する。中間転写体142は、支持ロール146、148、150、152によって、回転することができるように支持されている。
【0034】
また、1次転写装置140は、感光体ドラム102Y、102M、102C、102Kにそれぞれが形成されたイエローのトナー像、マゼンタのトナー像、シアンのトナー像、黒のトナー像を、中間転写体に転写するための転写バイアスが印加される次転写ロール156Y、156M、156C、156Kを有する。
【0035】
また、像形成部100は、中間転写体142に転写されたイエローのトナー像、マゼンタのトナー像、シアンのトナー像、黒のトナー像を用紙に転写し、転写装置として用いられている2次転写装置300を有する。2次転写装置300は、用紙に現像剤を転写する転写部材として用いられている2次転写ロール310を有する。2次転写装置300の詳細は後述する。
【0036】
また、像形成部100は、2次転写装置300によって転写されたトナー像を用紙に定着する定着装置116を有する。
【0037】
給紙装置200は、用紙収納部202と、用紙収納部202に収納された最上位に位置する用紙を抽出する抽出ロール204と、抽出ロール204で抽出された用紙を像形成部100に向けて搬送する搬送ロール206と、搬送ロール206に接触し、搬送ロール206との間で用紙を分離する分離ロール208とを有する。
【0038】
搬送路250は、主搬送路252と、反転搬送路254と、補助搬送路256とを有する。主搬送路252は、給紙装置200から供給された用紙を排出部22に向けて搬送する搬送路であって、主搬送路252に沿って用紙の搬送方向上流側から順に、レジストロール260と、先述の2次転写装置300と、先述の定着装置116と、排出ロール262とが装着されている。レジストロール260は、停止した状態から所定のタイミングで回転を開始し、中間転写体142にトナー像が転写されるタイミングに合致するように、中間転写体142と2次転写ロール310との接触部Nに用紙を供給する。
【0039】
排出ロール126は、定着装置116によって、トナー像が定着された用紙を排出部22に排出する。また、排出ロール126は、用紙の両面に画像を形成する場合に、排出部22に用紙を排出する場合と反対方向に回転して、一方の面に用紙に画像が形成された用紙を、後端側から反転搬送路254へと供給する。
【0040】
反転搬送路254は、一方の面に画像が形成された用紙を、反転させつつ、レジストロール260の上流側に再び供給する場合に用いられる。反転搬送路254に沿って、例えば2つの反転搬送ロール264、264が装着されている。
【0041】
補助搬送路256は、画像形成装置本体20の前側から用紙を供給する場合に用いられる搬送路である。補助搬送路256に沿って、レジストロール260に向けて用紙を搬送する補助搬送ロール266と、補助搬送ロール266に接触し、用紙を分離するために用いられる分離ロール268とが装着されている。
【0042】
図2には、2次転写装置300が示されている。
図2に示されるように、2次転写装置300は、先述の2次転写ロール310と、除電装置320とを有する。2次転写ロール310は、中間転写ベルト142を介して支持ロール150に接触し、先述のように中間転写ベルト142との間に接触部Nを形成する。2次転写ロール310、又は支持ロール150には、図示を省略するバイアス印加装置により転写バイアスが印加されている。また、2次転写ロール310は、図2に示す矢印方向に回転し、主搬送路252に沿って下方から搬送されて接触部Nに到達した用紙に、中間転写ベルト142が保持し、帯電した状態にある現像剤を引き寄せるようにして移動させる。尚、この実施形態においては、2次転写装置300と除電装置320が一体化されているが、2次転写装置300と除電装置320とを個別に構成しても良い。
【0043】
除電装置320は、トナーが転写された用紙を除電する除電部材322と、除電部材322を支持する第1の部材330と、第1の部材に固定された第2の部材350とを有する。第2の部材350は、除電部材322を保護する機能を有する。
【0044】
図3には、除電部材322が示されている。除電部材322は、例えばSUS301等の金属等、導電性の部材であり、板状の部材の長辺の1つに、鋸の歯のような形状の複数の突起324が形成されるように加工されている。互いに隣り合う突起324間の先端部の間の距離は一定であり、例えば4mmとなっている。突起324は、用紙に対向する対向部として用いられている。除電部材322は、直接接地されているか、抵抗を介して接地、あるいはバイアスを印加しても良い。
【0045】
図4及び図5には、第1の部材330が示されている。図4及び図5に示されるように、第1の部材330は、上側の面332で重力方向下側から除電部材322を支持している。また、第1の部材330は、左側(図4における上側)の側壁部334と右側の側壁部(不図示)とで、2次転写ロール310を回転することができるように支持している。
【0046】
また、第1の部材330には、上側の面332から突出するように複数のリブ336が形成されている。リブ336は、除電部材322により除電される用紙を案内する第1の案内部として用いられていて、所定の間隔で配置されている。リブ336の間隔は、互いに隣り合うリブ336の間に除電部材322の突起324が2つ配置された状態となるように定められている。それぞれのリブ336には、凹部338が形成されている。凹部338は噛合部として用いられている。また、第1の部材330の、2次転写ロール310が配置された側と逆側の端部340も、凹部338と同様に噛合部として用いられている。
【0047】
第1の部材330はABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、Acrylonitrile butadiene styrene)樹脂から形成されている。ABS樹脂の引張強度は、39(N/mm)である。
【0048】
図6及び図7には、第2の部材350が示されている。第2の部材350には、上側に突出するように複数のリブ352が形成されている。リブ352は、所定の間隔で配置されていて、除電部材322により除電される用紙を案内する案内部として用いられているとともに、除電部材322により除電される用紙を案内する第2の案内部として用いられている。また、第2の部材350の主搬送路252側の長辺部である端部356は被噛合部として用いられていて、第1の部材330のリブ336に形成された凹部338(図5参照)に咬み合うようになっている。
【0049】
また、第2の部材350の端部356と逆側の長辺部は、下側に屈曲し、さらに後側(図7における右側)に屈曲する形状を有し、屈曲により凹部354が形成されている。凹部354は、被噛合部として用いられていて、第1の部材330の端部340に咬み合うようになっている。
【0050】
また、第2の部材350は、ポリプロピレン(polypropylene)から形成されている。ポリプロピレンの引張強度は、30(N/mm)である。
【0051】
ここで、イエローのトナー、マゼンダのトナー、シアンのトナー、及び黒のトナーの主成分であるポリスチレンと、第1の部材330の材料であるABS樹脂と、第2の部材350の材料であるポリプロピレンとの帯電系列の関係は、ポリプロピレンが、ABS樹脂よりも帯電系列がポリスチレンに対して近くなっている。すなわち、第2の部材350は、用紙に転写されるトナーに対して帯電系列が第1の部材330よりも近い材料から形成されている。
【0052】
帯電系列とは、2種類の材質を摩擦したときに、+側に帯電しやすい材質を上位に、−側に帯電しやすいものを下位に並べた序列の表であり、互いに摩擦する材質が帯電系列においてより離れていればより多くの電荷が移動する。すなわち、2つの物質が接触や摩擦によって帯電するとき、一方が+に帯電し、他方が−に帯電するものの、特定の物質が+側に帯電するか−側に帯電するかは必ずしも一定ではなく、+側に帯電するか−側に帯電するかは、接触する物質との組み合わせにより決まるものであり、+側に帯電するか−側に帯電するかの傾向を+側に帯電しやすい材質を上位に−側に帯電しやすいものを下位に並べたものが帯電系列である。
【0053】
また、先述のように第1の部材330の材料であるABS樹脂の引張強度は、39(N/mm)であり、第2の部材350の材料であるポリプロピレン引張強度は12(N/mm)であり、第1の部材330は、第2の部材350よりも引張強度が強い材料から形成されている。また、一般的には、第1の部材330の材料であるABS樹脂は、第2の部材350の材料であるポリプロピレンよりも安価である。
【0054】
図8及び図9には、除電装置320が示されている。図9(a)に示されるように、第2の部材350は、端部356が第1の部材330のリブ336に形成された凹部338に噛み合い、凹部354が第1の部材330の端部340に噛み合うようにして第1の部材330に固定される。第2の部材350は、端部356が第1の部材330に噛み合うことで、長手方向において複数の位置で第1の部材330に固定され、凹部354が第1の部材330に噛み合うことで、長手方向に連続して第1の部材330に固定される。このため、例えば、引張強度が低い等、軟らかい材料から第2の部材350を形成した場合であっても、第2の部材350は撓みにくい。また、第2の部材350が撓み、撓んだ第2の部材350に用紙の先端部が引っ掛かることを原因とする用紙の搬送不良の発生が生じにくい。
【0055】
第2の部材350が第1の部材330に固定されると、図9(b)に示されるように、除電部材322は、第1の部材330と第2の部材350との間に配置された状態となり、第1の部材330と第2の部材350とに、上下方向において、又用紙が搬送される方向において挟まれた状態となる。
【0056】
また、第2の部材350が第1の部材330に固定されると、図8に示されるように、2次転写ロール310、第1の部材330、及び第2の部材350の長手方向であって、用紙の搬送される方向と交わる方向において、リブ336とリブ352とが相互に配置された状態となる。また、互いに隣接するリブ336とリブ352との間に形成される空間に、除電部材322の突起324が配置された状態となる。すなわち、突起324は、第1の部材330と第2の部材350との間に位置し、露出した状態で用紙に対向する状態となる。
【0057】
図10には、リブ336とリブ352との配置が模式的に示されている。図10に示すように、第1の案内部として用いられているリブ336は、前記第2の案内部として用いられているリブ352よりも、用紙の搬送方向上流側においては、用紙を搬送する主搬送路252側に突出している。また、前記第2の案内部として用いられるリブ352は、用紙の搬送方向下流側においては、用紙を搬送する主搬送路252側に突出している。すなわち、リブ352は、図10に矢印で示す用紙の搬送方向と交わる方向における高さが、第1の案内部として用いられるリブ336よりも高くなっている。より具体的には、リブ352の高さh1はリブ336の高さh2よりも高くなっている。
【0058】
図11には、除電装置320の付近を用紙が通過する状態が示されている。用紙Sは、通常はリブ336に接触することはなく、図11(b)に示すようにリブ352に接触し、リブ352に案内される。
【0059】
用紙Sの挙動によっては、図11(a)に示すように、用紙Sの先端部S1が第1の部材330の後側(図11における右側)の端部に到達することある。この場合、用紙Sはリブ336に接触し、リブ336に案内される。図11(a)に示す状態から用紙が下流側に搬送されると、用紙の搬送方向下流側においては、リブ352がリブ336よりも用紙側に突出しているため、図11(b)に示すように、直ぐに用紙はリブ336に接触し、リブ336から離れた状態となる。このため、用紙Sの先端部S1側の僅かな部分であって、用紙Sの通常はトナーが転写されない部分だけがリブ336に接触し、用紙Sの他の部分はリブ352に接触する。すなわち、用紙Sの先端部は、トナーに対し帯電系列がリブ352よりも遠いリブ336に接触するものの、用紙Sの他の大部分は、トナーに対して帯電系列がリブ336により近いリブ352に接触する。
【0060】
図11(b)に示される用紙Sがリブ352に案内されている状態においては、リブ352と搬送中の移動する用紙Sと接触しているため、用紙Sとリブ352とは摩擦により帯電する。この際、リブ352を含む第2の部材350は、用紙に転写されるトナーに対する帯電系列が第1の部材330よりも近い材料から形成されるため、リブ352及び用紙Sが帯電することを原因とする用紙に転写されたトナーが飛散しにくく、リブ352及び用紙Sが帯電することを原因として用紙の転写されたトナーが用紙に強く引き寄せられにくい。
【0061】
より具体的には、第2の部材350の材料であるポリプロピレンは、トナーの主成分であるポリスチレンの帯電系列と同極性であり、且つ摩擦帯電した際の電荷量がトナーと近い値を示し、用紙と第2の部材350の摩擦帯電によって、第2の部材350はマイナスに帯電し、用紙はプラスに帯電する。この際、用紙のプラス電荷はトナーのマイナス電荷と同等以下になる。このため、用紙に転写されたトナーが用紙側に強く引き寄せられたり、とトナーが飛散したりしにくい。
【0062】
上述のように本発明の実施形態においては、トナーとしてポリスチレンを主成分とするものが用いられ、第1の部材330の材料としてABS樹脂が用いられ、第2の部材350の材料としてポリプロピレンが用いられているが、第2の部材350が、用紙に転写されるトナーに対する帯電系列が第1の部材330よりも近い材料から形成されるのであれば、ポリスチレンを主成分とするトナーに替え他の材料を主成分とするトナーを用い、第1の部材330の材料としてABS樹脂以外の材料を用い、第2の部材350の材料としてポリプロピレン以外の材料を用いても良い。例えば、ポリスチレンを主成分とするトナーに替えて、スチレン類、モノオレフィン類、ビニルエステル類、α−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類等の単独重合体又は共重合体を主成分とするトナーを用いることができ、より具体的には、スチレンーアクリル酸アルキル共重合体、スチレンーメタクリル酸アルキル共重合体、スチレンーアクリロニトリル共重合体、スチレンーブタジエン共重合体、スチレンー無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリエステル樹脂、又はポリプロピレン等を主成分とするトナーを用いても良いし、第1の部材330の材料として、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、塩化ビニル系樹脂、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等を用いても良いし、第2の部材350の材料として、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、塩化ビニル系樹脂、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等を用いても良い。
【0063】
図12には、第1の比較例に係る2次転写装置300及び除電装置320が示されている。本発明の実施形態においては、第1の部材330がABS樹脂で形成され、第2の部材350がポリプロピレンで形成されていた。これに対して、この第1の変形例では、第1の部材330と第2の部材350とが一体となっていて、一体となった第1の部材330と第2の部材350との全体がポリプロピレンで形成されている。このため、本発明の実施形態に係る2次転写装置300及び除電装置320と比較して、強度が弱く、軟らかいため変形しやすい。
【0064】
図13には、本発明の第2の比較例に係る2次転写装置300及び除電装置320が示されている。本発明の実施形態においては、用紙搬送方向の上流側においては、リブ336は、リブ352よりも主搬送路252(図2参照)側に突出していた。これに対してこの変形例では、用紙搬送方向の上流側において、リブ336は、リブ352よりも主搬送路252側に突出していない。このため、この第2の変形例では、本発明の実施形態に係る2次転写装置300及び除電装置320と比較して、リブ352と面332との間の位置に用紙の先端部が引っ掛かりやすく、用紙の搬送不良が生じやすい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上で説明をしたように、本発明は、除電装置、転写装置、及び画像形成装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
10・・・画像形成装置
142・・・中間転写ベルト
300・・・2次転写装置
310・・・2次転写ロール
320・・・除電装置
322・・・除電部材
324・・・突起
330・・・第1の部材
336・・・リブ
338・・・凹部
340・・・端部
350・・・第2の部材
352・・・リブ
354・・・凹部
356・・・端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤が転写された記録媒体を除電する除電部材と、
前記除電部材を支持する第1の部材と、
前記第1の部材に固定され、記録媒体に転写される現像剤に対する帯電系列が前記第1の部材よりも近い材料から形成され、前記除電部材により除電される記録媒体を案内する案内部が形成された第2の部材と、
を有する除電装置。
【請求項2】
前記第1の部材に噛合部が形成され、前記第2の部材に前記噛合部と噛み合う被噛合部が形成され、
前記第2の部材は、前記噛合部と前記被噛合部とが噛み合うことで前記第2の部材に固定されている請求項1記載の除電装置。
【請求項3】
前記除電部材は、前記第1の部材と前記第2の部材との間に挟まれて配置されている請求項1又は2記載の除電装置。
【請求項4】
現像剤が転写された記録媒体を除電する除電部材と、
前記除電部材により除電される記録媒体を案内する第1の案内部が形成された第1の部材と、
前記第1の部材に固定され、記録媒体に転写される現像剤に対する帯電系列が前記第1の部材よりも近い材料から形成され、前記除電部材により除電される記録媒体を案内する第2の案内部が形成された第2の部材と、
を有する除電装置。
【請求項5】
前記第1の案内部は、記録媒体の搬送方向上流側においては、前記第2の案内部より記録媒体側に突出している請求項4記載の除電装置。
【請求項6】
前記第2の案内部は、記録媒体の搬送方向下流側においては、前記第1の案内部より記録媒体側に突出している請求項4又は5記載の除電装置。
【請求項7】
前記除電部材は、記録媒体の搬送方向と交わる方向において前記第1の案内部と前記第2の案内部との間に位置し、露出した状態で記録媒体に対向するように形成された突起を有する請求項4乃至6いずれか記載の除電装置。
【請求項8】
記録媒体に現像剤を転写する転写部材と、
前記転写部材により現像剤が転写された記録媒体を除電する除電部材と、
前記転写部材及び前記除電部材を支持する第1の部材と、
前記第1の部材に固定され、前記転写部材により記録媒体に転写される現像剤に対する帯電系列が前記第1の部材よりも近い材料から形成され、前記除電部材により除電される記録媒体を案内する案内部が形成された第2の部材と、
を有する転写装置。
【請求項9】
現像剤を記録媒体に転写する転写部材と、
前記転写部材により現像剤が転写された記録媒体を除電する除電部材と、
前記転写部材及び前記除電部材を支持し、前記除電部材により除電される記録媒体を案内する第1の案内部が形成された第1の部材と、
前記第1の部材に固定され、前記転写部材により記録媒体に転写される現像剤に対する帯電系列が前記第1の部材よりも近い材料から形成され、前記除電部材により除電される記録媒体を案内する第2の案内部が形成された第2の部材と、
を有する転写装置。
【請求項10】
像保持体と、
前記像保持体が保持する現像剤を記録媒体に転写する転写部材と、
前記転写部材により現像剤が転写された記録媒体を除電する除電部材と、
前記転写部材及び前記除電部材を支持する第1の部材と、
前記第1の部材に固定され、前記転写部材により記録媒体に転写される現像剤に対する帯電系列が前記第1の部材よりも近い材料から形成され、前記除電部材により除電される記録媒体を案内する案内部が形成された第2の部材と、
を有する画像形成装置。
【請求項11】
像保持体と、
前記像保持体が保持する現像剤を記録媒体に転写する転写部材と、
前記転写部材により現像剤が転写された記録媒体を除電する除電部材と、
前記転写部材及び前記除電部材を支持し、前記除電部材により除電される記録媒体を案内する第1の案内部が形成された第1の部材と、
前記第1の部材に固定され、前記転写部材により記録媒体に転写される現像剤に対する帯電系列が前記第1の部材よりも近い材料から形成され、前記除電部材により除電される記録媒体を案内する第2の案内部が形成された第2の部材と、
を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−253041(P2011−253041A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126704(P2010−126704)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】