階調電圧発生回路、駆動回路及び電気光学装置
【課題】 低コスト且つ低消費電力で、種々のガンマ特性に応じた階調電圧を安定して供給できる階調電圧発生回路、駆動回路及び電気光学装置を提供する。
【解決手段】 階調電圧発生回路140は、第1及び第2の電源線間に直列に接続された固定抵抗の(J+1)(Jは正の整数)個の抵抗素子により両電源線間の電圧を分圧した第1〜第Jの入力分圧ノードを有する入力側抵抗回路142と、各入力分圧ノードの電圧が入力される第1〜第Jのボルテージフォロワ回路OPAMP1〜OPAMPJと、両電源線間に接続され両端の間の電圧を分圧した各出力分圧ノードが各ボルテージフォロワ回路によって駆動される第1〜第Jの出力分圧ノードを有する出力側抵抗回路144と、出力側抵抗回路144の両端の電圧を分圧するK(J<K、Kは整数)個の抵抗分割ノードの中からL(J<L<K、Lは整数)種類の抵抗分割ノードの電圧を階調電圧として出力する階調電圧選択回路146とを含む。第i(1≦i≦J、iは整数)の出力分圧ノードの電圧は、第iの入力分圧ノードの電圧と等しい。
【解決手段】 階調電圧発生回路140は、第1及び第2の電源線間に直列に接続された固定抵抗の(J+1)(Jは正の整数)個の抵抗素子により両電源線間の電圧を分圧した第1〜第Jの入力分圧ノードを有する入力側抵抗回路142と、各入力分圧ノードの電圧が入力される第1〜第Jのボルテージフォロワ回路OPAMP1〜OPAMPJと、両電源線間に接続され両端の間の電圧を分圧した各出力分圧ノードが各ボルテージフォロワ回路によって駆動される第1〜第Jの出力分圧ノードを有する出力側抵抗回路144と、出力側抵抗回路144の両端の電圧を分圧するK(J<K、Kは整数)個の抵抗分割ノードの中からL(J<L<K、Lは整数)種類の抵抗分割ノードの電圧を階調電圧として出力する階調電圧選択回路146とを含む。第i(1≦i≦J、iは整数)の出力分圧ノードの電圧は、第iの入力分圧ノードの電圧と等しい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階調電圧発生回路、駆動回路及び電気光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置等の電気光学装置の普及に伴い、より一層の表示品位の向上、高精細化等の要求がある。
【0003】
一般に、電気光学装置に代表される表示装置は、それぞれ固有のガンマ特性を有している。そして、表示装置の入力(入力電圧、入力信号等)と出力(階調、光透過率、明るさ等)とは、直線的な正比例関係になく、指数関数的な関係にある。そこで表示装置の入力と出力とを直線的に正比例関係にするために、表示装置の入力に対してガンマ特性を考慮した出力の補正を行い、表示装置が画像データに基づいて正しい階調を表現できるようにしている。
【0004】
このような表示装置の中で、液晶表示装置は多くの電子機器に搭載される。液晶表示装置は、パッシブマトリクス型液晶表示装置、アクティブマトリクス型液晶表示に大別でき、それぞれ異なる階調制御により階調表示を実現する。
【0005】
パッシブマトリクス型液晶表示装置は、液晶を介して対向配置される2つの電極の交点部分を画素としてマトリクス制御により表示を実現する。このため、構造が単純である。ところが、画素毎に階調制御を行うことが困難であるため、アクティブマトリクス型液晶表示装置と比較して画像の高精細化や多階調化の実現は難しいと言われている。
【0006】
これに対し、アクティブマトリクス型液晶表示装置は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)等のスイッチング素子により各画素を個別的に制御できるため、多階調の実現が容易である。
【0007】
このアクティブマトリクス型液晶表示装置を駆動する液晶駆動回路(広義には駆動回路)が、例えば特許文献1、2に開示されている。この液晶駆動回路は、画像データに基づいて、ガンマ補正が施された階調電圧を液晶表示装置のデータ線に供給する。
【特許文献1】特開2003−22062号公報
【特許文献2】特開2003−22063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、使用される液晶材等に応じて液晶表示装置のガンマ特性が異なるばかりでなく、同一製品であっても製造ばらつき等に起因してガンマ特性が異なる場合がある。従って、異なるガンマ特性を有する液晶駆動回路を提供するためには、階調電圧をガンマ特性に応じて調整できることが望ましい。
【0009】
また、画質を劣化させないために、1走査期間中の所定の書き込み時間内に、データ線の電圧が、目的とする階調電圧に到達していることが必要とされる。液晶表示装置の表示領域が拡大したり、画素の高精細化を実現したりしようとすると、データ線の本数が増加する。そのため、1垂直走査期間という限られた期間内で1走査期間が短くなる傾向にある。従って、ガンマ補正後の階調電圧もまた、できるだけ早く、目的とする電圧に到達させる必要がある。そして、液晶表示装置が携帯型の電子機器に搭載されるためには、低コスト化且つ低消費電力化も実現させる必要がある。
【0010】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低コスト且つ低消費電力で、種々のガンマ特性に応じた階調電圧を安定して供給できる階調電圧発生回路、駆動回路及び電気光学装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明は、複数の階調電圧を発生するための階調電圧発生回路であって、第1及び第2の電源線の間に直列に接続されその抵抗値が固定の第1〜第(J+1)(Jは正の整数)の抵抗素子を有し、前記第1〜第(J+1)の抵抗素子により前記第1及び第2の電源線の間の電圧を分圧した第1〜第Jの入力分圧ノードを有する第1の抵抗回路と、前記第1〜第Jの入力分圧ノードの各入力分圧ノードの電圧が各インピーダンス変換回路の入力に供給される第1〜第Jのインピーダンス変換回路と、前記第1及び第2の電源線の間に接続され、前記第1及び第2の電源線の間の電圧を分圧した各出力分圧ノードが各インピーダンス変換回路によって駆動される第1〜第Jの出力分圧ノードを有する第2の抵抗回路と、前記第2の抵抗回路の両端の電圧を分圧する第1〜第K(J<K、Kは整数)の抵抗分割ノードの電圧の中からL(J<L<K、Lは整数)種類の抵抗分割ノードの電圧を階調電圧として出力する階調電圧選択回路とを含み、第i(1≦i≦J、iは整数)の出力分圧ノードの電圧が、第iの入力分圧ノードの電圧と等しい階調電圧発生回路に関係する。
【0012】
階調電圧を信号線に供給する場合、信号線の電圧が変化して目的とする階調電圧のレベルに到達するまでに時間を要する。この時間は、信号線の容量成分と第2の抵抗回路の各抵抗素子の抵抗成分とで定まる時定数に対応する。従って、この時間を考慮して、所定の書き込み時間内に信号線の電圧を目的の電圧に到達させる必要がある。
【0013】
本発明によれば、第1〜第Jのインピーダンス変換回路が第2の抵抗回路の第1〜第Jの出力分圧ノードを駆動するため、第2の抵抗回路の両端の電圧を分圧する場合に比べて、高い駆動能力でいち早く目的とする電圧に到達させることができる。
【0014】
また第1の抵抗回路の各抵抗素子を可変抵抗にして、各インピーダンス変換回路の入力電圧を可変にして階調電圧を調整する場合と対比すると、本発明においては、インピーダンス変換回路の入力側の電圧と出力側の電圧とが同一となる。このため、第1の抵抗回路の各抵抗素子を可変抵抗にする場合と異なり、インピーダンス変換回路の入力側の電圧と出力側の電圧の電位差に起因してインピーダンス変換回路に流れ込む、若しくは流れ出す電流を削減できる。従って、本発明によれば、その分だけ消費電流を削減できる。更に、この電流の発生に起因して、インピーダンス変換回路の位相余裕が小さくなり、発振し易くなる場合があり、本発明によれば発振状態に陥りやすい状態を回避できるようになる。
【0015】
そして、上述のように消費電流を削減できるばかりでなく、インピーダンス変換回路の設計時の条件と異なる条件で動作することがなくなるため、設計が容易となり、安定した階調電圧を供給することができるようになる。
【0016】
また本発明に係る階調電圧発生回路では、前記階調電圧選択回路が、前記第1〜第Kの抵抗分割ノードのうち複数の抵抗分割ノードの電圧の中から、前記複数の階調電圧のうち前記第1の電源線の電圧に最も近い第1の階調電圧を出力する第1の選択回路と、前記第1〜第Kの抵抗分割ノードのうち複数の抵抗分割ノードの電圧の中から、前記複数の階調電圧のうち前記第2の電源線の電圧に最も近い第2の階調電圧を出力する第2の選択回路とを含むことができる。
【0017】
一般的に、ガンマ特性は、高電位側及び低電位側において階調と階調電圧とが非線形関係となる。これに対し、階調電圧の中間付近(中間階調付近)では、階調に対する階調電圧の関係が線形関係となり、階調電圧を調整する必要がない。従って本発明によれば、付加回路の増加を最低限に抑え、種々のガンマ特性に対応した階調電圧を発生できる階調電圧発生回路を提供できる。
【0018】
また本発明に係る階調電圧発生回路では、前記第1〜第Kの抵抗分割ノードのうち複数の抵抗分割ノードの電圧の中から、前記複数の階調電圧のうち前記第1及び第2の階調電圧の間の第3の階調電圧を出力する第3の選択回路を含み、前記第1の選択回路が選択する抵抗分割ノード数が、前記第3の選択回路が選択する抵抗分割ノード数より多く、前記第2の選択回路が選択する抵抗分割ノード数が、前記第3の選択回路が選択する抵抗分割ノード数より多くてもよい。
【0019】
ガンマ特性が、表示装置の種類に応じてその特性が大きく異なるのは高電位側と低電位側に近い階調電圧群に限られる。従って、高電位側及び低電位側のうち少なくとも一方に近い程、1つの階調電圧を選択するための選択回路の選択可能なノード数を多くすることにより、簡素な構成で、種々のガンマ特性に応じた階調電圧を発生させることが可能となる。
【0020】
また本発明に係る階調電圧発生回路では、前記複数の階調電圧のうち前記第1の電源線の電圧に近い階調電圧ほど、階調電圧間の電圧差が大きくてもよい。
【0021】
一般に、ガンマ特性は、高電位側又は低電位側に近い階調電圧ほど、1階調当たりの液晶印加電圧の変化が大きくなる。従って本発明によれば、付加回路の増加を最低限に抑え、種々のガンマ特性に対応した階調電圧を発生できる階調電圧発生回路を提供できる。
【0022】
また本発明に係る階調電圧発生回路では、前記階調電圧選択回路が、各第1のスイッチ素子の一端が前記第2の抵抗回路の複数の抵抗分割ノードのいずれかに接続された複数の第1のスイッチ素子と、一端が前記第2の抵抗回路の複数の抵抗分割ノードのいずれかに接続され前記複数の第1のスイッチ素子の各第1のスイッチ素子よりオン抵抗値が小さい第2のスイッチ素子とを含み、前記複数の階調電圧のいずれか1つの第4の階調電圧を出力する場合に、前記第2のスイッチ素子がオン、前記複数の第1のスイッチ素子がオフとなり前記第2のスイッチ素子を介して前記第4の階調電圧を出力した後に、前記第2のスイッチ素子がオフ、前記複数の第1のスイッチ素子のいずれか1つがオンとなり、オンとなった該第1のスイッチ素子を介して前記第4の階調電圧を出力することができる。
【0023】
本発明によれば、第2のスイッチ素子で、大まかな電圧を出力するため、第2のスイッチ素子よりオン抵抗値が大きい第1のスイッチ素子を介して階調電圧を出力する場合に比べて、目的とする電圧に到達する速度が速く、消費電力も小さくできる。
【0024】
また、その後、第2のスイッチ素子をオフ、複数の第1のスイッチ素子のいずれか1つをオンして、オンとなった該第1のスイッチ素子を介して階調電圧を出力するようにしたため、階調電圧の電圧レベルを精度良く設定できる。こうすることで、選択回路を構成するすべてのスイッチ素子のオン抵抗値を低くするためにすべてのスイッチ素子の面積を大きくする必要がなくなる。従って、精度良く階調電圧のレベルを設定できる選択回路を、より少ない面積で構成できるようになる。
【0025】
また本発明に係る階調電圧発生回路では、前記第1〜第Jのインピーダンス変換回路が、前記複数の階調電圧のいずれかが電気光学装置のデータ線に供給される1走査期間中の第1の期間において前記第1〜第Jの出力分圧ノードを駆動し、前記1走査期間中の前記第1の期間後の第2の期間において前記第1〜第Jの出力分圧ノードの駆動を停止することができる。
【0026】
本発明においては、インピーダンス変換回路の入力側の電圧と出力側の電圧とが等しく設定される。従って、第1の抵抗回路の各抵抗素子を可変抵抗にして、各インピーダンス変換回路の入力電圧を可変にして階調電圧を調整する場合と比較すると、本発明では、目的とする電圧レベルに到達した後は、インピーダンス変換回路の動作を停止させることができる。このため、インピーダンス変換回路で常に第2の抵抗回路の出力分圧ノードを駆動させる必要がなくなり、不要なときに動作を停止させることでインピーダンス変換回路の駆動時の消費電流を大幅に削減できるようになる。
【0027】
また本発明に係る階調電圧発生回路では、前記第1の抵抗回路の一端にその一端が接続される第1のオフセット用抵抗回路と、前記第2の抵抗回路の一端にその一端が接続される第2のオフセット用抵抗回路とを含み、前記第1の電源線が、前記第1及び第2のオフセット用抵抗回路の前記一端又は該第1及び第2のオフセット抵抗用回路の他端に電気的に接続されてもよい。
【0028】
本発明によれば、線形関係にある中間階調領域の各階調電圧を含めて、ガンマ特性に応じて全体の階調電圧をより細かく調整できるようになる。
【0029】
また本発明は、上記のいずれか記載の階調電圧発生回路と、前記階調電圧発生回路が発生した複数の階調電圧のいずれかを用いて電気光学装置を駆動する出力回路とを含む駆動回路に関係する。
【0030】
本発明によれば、低コスト且つ低消費電力で、種々のガンマ特性に応じた階調電圧を安定して供給できる階調電圧発生回路を含む駆動回路を提供できる。
【0031】
また本発明は、上記のいずれか記載の階調電圧発生回路を含む電気光学装置に関係する。
【0032】
本発明によれば、低コスト且つ低消費電力で、種々のガンマ特性に応じた階調電圧を安定して供給することで画質の劣化を防止できる電気光学装置を提供できる。
【0033】
また本発明は、上記記載の電気光学装置を含む電子機器に関係する。
【0034】
本発明によれば、低コスト且つ低消費電力で、種々のガンマ特性に応じた階調電圧を安定して供給することで画質の劣化を防止できる電子機器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0036】
本実施形態における階調電圧発生回路は、例えば表示装置を駆動する駆動回路に含まれる。駆動回路は、印加電圧によって光学特性を変化させる電気光学装置、例えば液晶表示装置の駆動に用いることができる。
【0037】
以下では、液晶表示装置に本実施形態における階調電圧発生回路を適用する場合について説明するが、これに限定されるものではなく、他の電気光学装置、表示装置にも適用することができる。
【0038】
1. 液晶表示装置
図1に、本実施形態における液晶表示装置の構成の概要を示す。
【0039】
液晶表示装置(広義には表示装置又は電気光学装置)10は、液晶表示パネル(広義には表示パネル)20を含むことができる。
【0040】
液晶表示パネル20は、例えばガラス基板上に形成される。このガラス基板上には、Y方向に複数配列されそれぞれX方向に伸びる走査線(ゲート電極、ゲートライン)GL1〜GLN(Nは2以上の整数)と、X方向に複数配列されそれぞれY方向に伸びるデータ線(ソース電極、ソースライン)DL1〜DLM(Mは2以上の整数)とが配置されている。また、走査線GLn(1≦n≦N、nは整数、以下同様。)とデータ線DLm(1≦m≦M、mは整数、以下同様。)との交差位置に対応して、画素領域(画素)が設けられ、該画素領域に薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、TFTと略す。)22mnが配置されている。
【0041】
TFT22mnのゲート電極は、走査線GLnに接続されている。TFT22mnのソース電極は、データ線DLmに接続されている。TFT22mnのドレイン電極は、画素電極26mnに接続されている。画素電極26mnとこれに対向する対向電極28mnとの間に液晶が封入され、液晶容量(広義には液晶素子)24mnが形成される。画素電極26mnと対向電極28mnとの間の印加電圧に応じて画素の透過率が変化するようになっている。対向電極28mnには、対向電極電圧Vcomが供給される。
【0042】
以上のような液晶表示パネル20は、例えば画素電極及びTFTが形成された第1の基板と、対向電極が形成された第2の基板とを貼り合わせ、両基板の間に電気光学材料としての液晶を封入させることで形成される。
【0043】
液晶表示装置10は、データドライバ(広義には駆動回路、表示ドライバ)30を含むことができる。データドライバ30は、画像データに基づいて、液晶表示パネル20のデータ線DL1〜DLMを駆動する。
【0044】
液晶表示装置10は、走査ドライバ(広義には駆動回路、表示ドライバ)32を含むことができる。走査ドライバ32は、一垂直走査期間内に、液晶表示パネル20の走査線GL1〜GLNを走査する。
【0045】
液晶表示装置10は、電源回路34を含むことができる。電源回路34は、データ線の駆動に必要な電圧を生成し、これらをデータドライバ30に対して供給する。本実施形態では、電源回路34は、データドライバ30のデータ線の駆動に必要な電源電圧VDDR、VSSや、データドライバ30のロジック部の電圧を生成する。
【0046】
また電源回路34は、走査線の走査に必要な電圧を生成し、これを走査ドライバ32に対して供給する。本実施形態では、電源回路34は、走査線を走査するための駆動電圧を生成する。
【0047】
更に電源回路34は、対向電極電圧Vcomを生成することができる。電源回路34は、データドライバ30によって生成された極性反転信号POLのタイミングに合わせて、高電位側の電圧VcomHと低電位側の電圧VcomLとが周期的に変化する対向電極電圧Vcomを、液晶表示パネル20の対向電極に出力する。
【0048】
液晶表示装置10は、表示コントローラ38を含むことができる。表示コントローラ38は、図示しない中央演算処理装置(Central Processing Unit:以下、CPUと略す。)等のホストにより設定された内容に従って、データドライバ30、走査ドライバ32、電源回路34を制御する。例えば、表示コントローラ38は、データドライバ30及び走査ドライバ32に対し、動作モードの設定、内部で生成した垂直同期信号や水平同期信号の供給を行う。
【0049】
なお図1では、液晶表示装置10に電源回路34又は表示コントローラ38を含めて構成するようにしているが、これらのうち少なくとも1つを液晶表示装置10の外部に設けて構成するようにしてもよい。或いは、液晶表示装置10に、ホストを含めるように構成することも可能である。
【0050】
また、データドライバ30は、走査ドライバ32及び電源回路34のうち少なくとも1つを内蔵してもよい。
【0051】
更にまた、データドライバ30、走査ドライバ32、表示コントローラ38及び電源回路34の一部又は全部を液晶表示パネル20上に形成してもよい。例えば図2では、液晶表示パネル20上に、データドライバ30及び走査ドライバ32が形成されている。このように液晶表示パネル20は、複数のデータ線と、複数の走査線と、複数の走査線の各走査線及び複数のデータ線の各データ線とに接続された複数のスイッチ素子と、複数のデータ線を駆動するデータドライバとを含むように構成することができる。液晶表示パネル20の画素形成領域80に、複数の画素が形成されている。
【0052】
2. 電源回路
図3に、図1の電源回路34の構成の概要を示す。
【0053】
電源回路34は、液晶表示装置10のシステム電源電圧VDD、システム接地電源電圧VSSの電圧差を昇圧した後レギュレートを行って、データドライバ30及び走査ドライバ32等に電圧を供給する。
【0054】
この電源回路34は、昇圧回路90、電圧レギュレータ回路92を含むことができる。昇圧回路90は、システム接地電源電圧VSSを基準にシステム電源電圧VDDを昇圧して昇圧電圧VOUTを出力する。電圧レギュレータ回路92は、システム接地電源電圧VSSを基準に昇圧電圧VOUTのレギュレートを行い、階調電圧発生回路を含むデータドライバ30に電圧VDDR、VSSを供給し、走査ドライバ32に電圧VDDHG、VEEを供給する。
【0055】
走査ドライバ32は、走査線の選択期間に電圧VDDHGを該走査線に供給し、走査線の非選択期間に電圧VEEを該走査線に供給する。
【0056】
3. データドライバ
図4に、図1のデータドライバ30の構成の概要を示す。
【0057】
データドライバ30は、入力ラッチ回路100、シフトレジスタ110、ラインラッチ回路120、ラッチ回路130、階調電圧発生回路140、DAC(Digital/Analog Converter)150、出力回路160を含む。
【0058】
入力ラッチ回路100は、画素単位でシリアルに入力される画像データを、クロック信号CLKに基づいてラッチする。クロック信号CLKは、図1に示す表示コントローラ38から供給される。1画素が、それぞれ6ビットのR信号、G信号及びB信号により構成される場合、1画素は18ビットで構成される。
【0059】
シフトレジスタ110は、入力ラッチ回路100でラッチされた画像データを、クロック信号CLKに同期してシフトする。そしてシフトレジスタ110でシフトされて順次取り込まれた階調データは、ラインラッチ回路120に取り込まれる。ラインラッチ回路120に取り込まれた画像データは、ラッチパルス信号LPのタイミングでラッチ回路130にラッチされる。ラッチパルス信号LPは、表示コントローラ38から水平走査周期で入力される。
【0060】
このようにシフトレジスタ110が、画素単位でシリアルに入力される画像データを順次シフトして、ラッチ回路130が1走査ライン分の画像データを取り込むことができる。
【0061】
階調電圧発生回路140は、電源回路34からの高電位側電源電圧(第1の電源電圧)VDDR及び低電位側電源電圧(第2の電源電圧)VSSの間の複数の階調電圧V0〜VY(Yは、自然数)を発生する。例えばR信号、G信号及びB信号がそれぞれ6ビットの場合、各色成分の信号について階調電圧V0〜V63を発生する。
【0062】
また階調電圧発生回路140は、ガンマ補正制御信号GAMに基づいて、ガンマ補正が施された階調電圧を出力する。更に階調電圧発生回路140は、パワーセーブ信号PSに基づく制御により、低消費電力動作を実現させる。ガンマ補正制御信号GAMは、表示コントローラ38から供給される。パワーセーブ信号PSは、データドライバ30の図示しない制御回路、又は表示コントローラ38から供給される。
【0063】
DAC150は、ラッチ回路130から出力される画像データに対応した駆動電圧を、データドライバ30の出力線毎に生成する。より具体的には、DAC150は、階調電圧発生回路140によって生成された複数の階調電圧V0〜V63の中から、ラッチ回路130からの1出力線分の画像データ毎に、該画像データに対応した階調電圧を選択し、選択した階調電圧を駆動電圧として出力する。
【0064】
出力回路160は、各出力線が液晶表示パネル20の各データ線に接続される複数の出力線を駆動する。より具体的には、出力回路160は、DAC150によって出力線毎に生成された駆動電圧に基づいて、各出力線を駆動する。例えば出力回路160は、出力線毎に設けられたボルテージフォロワ接続された演算増幅器により、各出力線を駆動する。即ち、出力回路160は、階調電圧発生回路140が発生した階調電圧V0〜V63のいずれかを用いて電気光学装置としての液晶表示装置を駆動する。
【0065】
4. 階調電圧発生回路
図5に、図4の階調電圧発生回路140の構成例の回路図を示す。ここでは、階調電圧発生回路140が、階調電圧V0〜V63を発生する。そして、階調電圧V0を高電位側電源電圧VDDR、階調電圧V63を低電位側電源電圧VSSとして出力している。
【0066】
階調電圧発生回路140は、入力側抵抗回路(第1の抵抗回路)142、出力側抵抗回路(第2の抵抗回路)144を含む。入力側抵抗回路142及び出力側抵抗回路144は、高電位側電源線(第1の電源線)及び低電位側電源線(第2の電源線)の間に接続される。高電位側電源線には、高電位側電源電圧(第1の電源電圧)VDDRが供給される。低電位側電源線には、低電位側電源電圧(第2の電源電圧)VSSが供給される。従って、入力側抵抗回路142及び出力側抵抗回路144は、高電位側電源電圧VDDR及び低電位側電源電圧VSSの間に接続されるということができる。
【0067】
入力側抵抗回路142は、その両端の電圧を(J+1)(Jは正の整数)分割して分圧した第1〜第Jの入力分圧ノードNDI1〜NDIJを有する。より具体的には、入力側抵抗回路142は、高電位側電源線及び低電位側電源線(或いは高電位側電源電圧VDDR及び低電位側電源電圧VSS)の間に直列に接続された第1〜第(J+1)の入力側抵抗素子IR1〜IRJ+1を有する。第1〜第(J+1)の入力側抵抗素子IR1〜IRJ+1は、それぞれ抵抗値が固定の固定抵抗である。そして、第1〜第(J+1)の入力側抵抗素子IR1〜IRJ+1により、高電位側電源電圧VDDR及び低電位側電源電圧VSSの間の電圧を分圧する。第iの入力分圧ノードNDIi(1≦i≦J、iは整数)は、第iの入力側抵抗素子IRiと第(i+1)の入力側抵抗素子IRi+1とが接続されるノードである。
【0068】
出力側抵抗回路144もまた、その両端の電圧を(J+1)分割して分圧した第1〜第Jの出力分圧ノードNDO1〜NDOJを有する。より具体的には、出力側抵抗回路144もまた、例えば高電位側電源線及び低電位側電源線(或いは高電位側電源電圧VDDR及び低電位側電源電圧VSS)の間に直列に接続された第1〜第(J+1)の出力側抵抗素子OR1〜ORJ+1を有する。第1〜第(J+1)の出力側抵抗素子OR1〜ORJ+1は、それぞれ抵抗値が固定の固定抵抗である。そして、第1〜第(J+1)の出力側抵抗素子OR1〜ORJ+1により、高電位側電源電圧VDDR及び低電位側電源電圧VSSの間の電圧を分圧する。第iの出力分圧ノードNDOiは、第iの出力側抵抗素子ORiと第(i+1)の出力側抵抗素子ORi+1とが接続されるノードである。
【0069】
そして、第iの入力分圧ノードNDIiの電圧は、第iの出力分圧ノードNDOiの電圧と等しくなるように各入力側抵抗素子、各出力側抵抗素子により分圧されている。
【0070】
また第iの入力分圧ノードNDIiとこれに対応する第iの出力分圧ノードNDOiとの間に、第iのボルテージフォロワ回路(第iのインピーダンス変換回路)OPAMPiが設けられている。第iのボルテージフォロワ回路OPAMPiは、ボルテージフォロワ接続された差動増幅器を有し、インピーダンス変換回路として機能する。第iのボルテージフォロワ回路OPAMPiの入力には、第iの入力分圧ノードNDIiの電圧が供給される。第iのボルテージフォロワ回路OPAMPiの出力は、第iの出力分圧ノードNDOiに接続される。従って、第iのボルテージフォロワ回路OPAMPiは、第iの入力分圧ノードNDIiの電圧に基づいて第iの出力分圧ノードNDOiを駆動する。
【0071】
第1〜第Jのボルテージフォロワ回路OPAMP1〜OPAMPJは、パワーセーブ信号PSに基づいて駆動制御が行われる。より具体的には、第1〜第Jのボルテージフォロワ回路OPAMP1〜OPAMPJは、パワーセーブ信号PSにより指定された駆動期間においては駆動を行い、パワーセーブ信号PSにより指定された非駆動期間においてはその出力の駆動を停止する。
【0072】
階調電圧発生回路140は、階調電圧選択回路146を含む。階調電圧選択回路146は、出力側抵抗回路144の両端の電圧を(K+1)(J<K、Kは整数)分割して分圧した第1〜第Kの抵抗分割ノードtp1〜tpKの電圧のうち、L(J<L<K、Lは整数)種類の電圧を階調電圧として選択する。例えば階調電圧発生回路140が、階調電圧V0〜V63を発生する場合、階調電圧V0、V63を除く62種類の電圧を階調電圧V1〜V62として出力する。階調電圧選択回路146は、ガンマ補正制御信号GAMに基づいて第1〜第Kの抵抗分割ノードtp1〜tpKのうちL個の抵抗分割ノードを選択し、選択したL個の抵抗分割ノードの電圧を階調電圧として出力する。
【0073】
図6に、第iのボルテージフォロワ回路OPAMPiの構成例の回路図を示す。ここでは、第iのボルテージフォロワ回路OPAMPiの構成例を示しているが、第1〜第(i−1)のボルテージフォロワ回路OPAMP1〜OPAMPi−1、第(i+1)〜第Jのボルテージフォロワ回路OPAMPi+1〜OPAMPJの構成も同様である。
【0074】
第iのボルテージフォロワ回路OPAMPiは、p型差動増幅部pDIFi、n型差動増幅部nDIFi、駆動部DRViを含む。p型差動増幅部pDIFiは、電流源を構成するトランジスタを含み、該トランジスタのゲート電極にパワーセーブ信号PSを供給することで、p型差動増幅部pDIFiの動作、又は動作の停止を制御できる。n型差動増幅部nDIFiは、電流源を構成するトランジスタを含み、該トランジスタのゲート電極にパワーセーブ信号PSを供給することで、n型差動増幅部nDIFiの動作、又は動作の停止を制御できる。
【0075】
このような第iのボルテージフォロワ回路OPAMPiの構成は公知であるため、詳細な動作の説明を省略する。本実施形態では、パワーセーブ信号PSがHレベルのとき、p型差動増幅部pDIFiは、第iの入力分圧ノードNDIi及び第iの出力分圧ノードNDOiの電圧が等しくなるように、駆動部DRViのn型駆動トランジスタのゲート電圧を供給する。パワーセーブ信号PSがLレベルのとき、p型差動増幅部pDIFiの電流源の動作が停止され、p型差動増幅部pDIFiの動作が停止する。
【0076】
またパワーセーブ信号PSがHレベルのとき、n型差動増幅部nDIFiは、第iの入力分圧ノードNDIi及び第iの出力分圧ノードNDOiの電圧が等しくなるように、駆動部DRViのp型駆動トランジスタのゲート電圧を供給する。パワーセーブ信号PSがLレベルのとき、n型差動増幅部nDIFiの電流源の動作が停止され、n型差動増幅部nDIFiの動作が停止する。
【0077】
従って、パワーセーブ信号PSがHレベルのとき、第iのボルテージフォロワ回路OPAMPiは、第iの入力分圧ノードNDIiの電圧に基づいて第iの出力分圧ノードNDOiを駆動する。またパワーセーブ信号PSがLレベルのとき、第iのボルテージフォロワ回路OPAMPiは、第iの出力分圧ノードNDOiの駆動を停止する。そしてパワーセーブ信号PSがLレベルのとき、p型差動増幅部pDIFi及びn型差動増幅部nDIFiの電流源の動作を停止できるため、消費電流を削減できる。
【0078】
なお、インピーダンス変換回路としてのボルテージフォロワ回路の構成は、図6に示したものに本発明が限定されるものではない。
【0079】
図7に、本実施形態の階調電圧発生回路140の他の構成例の図を示す。但し、図5に示す階調電圧発生回路140と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0080】
図7において、階調電圧選択回路146は、高電位側電源電圧VDDR(第1の電源線の電圧)に最も近い階調電圧を選択するための第1の選択回路SEL1と、低電位側電源電圧VSS(第2の電源線の電圧)に最も近い階調電圧を選択するための第2の選択回路SEL2とを少なくとも含むことが望ましい。より具体的には、第1の選択回路SEL1は、第1〜第Kの抵抗分割ノードtp1〜tpKのうち複数の抵抗分割ノードの電圧の中から、複数の階調電圧V0〜V63のうち高電位側電源電圧VDDRに最も近い階調電圧V1(第1の階調電圧)を出力する。また第2の選択回路SEL2は、第1〜第Kの抵抗分割ノードtp1〜tpKのうち複数の抵抗分割ノードの電圧の中から、複数の階調電圧V0〜V63のうち低電位側電源電圧VSSに最も近い階調電圧V62(第2の階調電圧)を出力する。
【0081】
図8に、第1の選択回路SEL1の構成例を示す。図8では、第1の選択回路SEL1の構成例を示すが、第2の選択回路SEL2も同様の構成を有する。
【0082】
図8では、第1の選択回路SEL1が、第1〜第4の抵抗分割ノードtp1〜tp4の電圧のいずれかから1つの電圧を、ガンマ補正制御信号GAMに基づいて選択する。図8では、4つの抵抗分割ノードの電圧のいずれかから1つの電圧を選択しているが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0083】
このような選択回路は、各出力側抵抗素子に対して、0、1又は複数個を設けられる。
【0084】
次に、図5又は図7の階調電圧発生回路140の動作について説明する。
【0085】
図9に、液晶表示装置のガンマ特性(液晶の光透過率特性)を示す。
【0086】
図9において、横軸に表示の明るさを示す階調(x)を示し、縦軸に液晶印加電圧(Vx)を示す。階調(x)は、例えば6ビットの画像データで表現でき、画像データが「000000」のとき階調は「0」、画像データが「111101」のとき階調が「61」となる。
【0087】
図9において、ガンマ補正曲線200は、ノーマリホワイトのアクティブマトリクス型液晶表示装置のガンマ特性を表す。ガンマ補正曲線200が示すように、階調(x)と液晶印加電圧(Vx)との関係は非線形関係である。従って、画像データに基づいて画像を忠実に表現するために、ガンマ補正を施した印加電圧を液晶に供給する必要がある。
【0088】
例えば、図9に示すガンマ補正曲線200を有するアクティブマトリクス型液晶表示装置を駆動する場合、階調電圧発生回路140は、ガンマ補正曲線200に従って階調「0」〜「63」に対して対応付けられた階調電圧を発生する。そして、液晶駆動回路が階調「2」の表示を行う場合、階調電圧発生回路140が発生した階調電圧「V0」〜「V63」のうち階調電圧「V2」を選択してデータ線に供給する。また液晶駆動回路が階調「61」の表示を行う場合、階調電圧発生回路140が発生した階調電圧「V0」〜「V63」のうち階調電圧「V61」を選択してデータ線に供給する。
【0089】
このとき、各信号線の電圧が変化して目的とする電圧に到達するまでに、各信号線の容量成分と出力側抵抗回路144の各抵抗素子の抵抗成分とで定まる時定数に対応した遅延時間を要する。例えばデータドライバ30が極性反転駆動を行う場合や電源供給を開始する場合等、高電位側電源電圧VDDR及び低電位側電源電圧VSSの供給が開始されたとしても各階調電圧が目的の電圧に到達するまでに、ある程度の時間を要することを意味する。従って、この遅延時間を考慮して、所定の書き込み時間内に信号線の電圧を目的の電圧に到達させる必要がある。
【0090】
本実施形態では、第1〜第Jのボルテージフォロワ回路OPAMP1〜OPAMPJが第1〜第Jの出力分圧ノードNDO1〜NDOJを駆動する。このため、出力側抵抗回路144の両端の電圧を分圧する場合に比べて、高い駆動能力でいち早く目的とする電圧に到達させることができる。これにより、液晶表示装置の表示領域の拡大や画素の高精細化のためにデータ線の本数が増加して1水平走査期間が短くなったとしても、目的とする階調電圧にいち早く到達させ、安定した階調電圧を供給できるようになる。
【0091】
更に、第1〜第Jのボルテージフォロワ回路OPAMP1〜OPAMPJは、パワーセーブ信号PSにより一斉にその駆動を停止することが望ましい。より具体的には、第1〜第Jのボルテージフォロワ回路OPAMP1〜OPAMPJが、複数の階調電圧V0〜V63のいずれかがデータ線DL1〜DLMに供給される1走査期間中のボルテージフォロワ回路駆動期間(第1の期間)において第1〜第Jの出力分圧ノードNDO1〜NDOJを駆動する。そして、該1走査期間中のボルテージフォロワ回路駆動期間後のボルテージフォロワ回路非駆動期間(第2の期間)において、第1〜第Jのボルテージフォロワ回路OPAMP1〜OPAMPJが、第1〜第Jの出力分圧ノードNDO1〜NDOJの駆動を停止する。
【0092】
図10に、パワーセーブ信号PSのタイミングの一例を示す。図10では、パワーセーブ信号PSと階調電圧V1の変化のみを示しているが、他の階調電圧V2〜V62についても同様である。
【0093】
パワーセーブ信号PSは、1ラインの走査期間である1H期間中の前半をボルテージフォロワ回路駆動期間として、Hレベルとなる。これにより、第1〜第Jのボルテージフォロワ回路OPAMP1〜OPAMPJの電流源が動作し、第1〜第Jの出力分圧ノードNDO1〜NDOJを駆動する。従って、階調電圧V1は、抵抗素子により分圧して出力する場合に比べて、より早く目的とする電圧レベルに到達する。
【0094】
その後、1H期間中の後半をボルテージフォロワ回路非駆動期間として、パワーセーブ信号PSがLレベルとなる。これにより、第1〜第Jのボルテージフォロワ回路OPAMP1〜OPAMPJの電流源の動作が停止する。従って、ボルテージフォロワ回路非駆動期間では、出力側抵抗回路144の抵抗素子により分圧された電圧レベルが保持される。既に、ボルテージフォロワ回路駆動期間において目的とする電圧レベルに到達しているため、ボルテージフォロワ回路非駆動期間において第1〜第Jのボルテージフォロワ回路OPAMP1〜OPAMPJの電流源の動作を停止させても階調電圧のレベルを維持できる。このため、各階調電圧のレベルを変動させることなく、低消費電力化を図ることができる。
【0095】
ここで、液晶表示装置A、Bに最適な階調電圧を発生する場合がを考える。
【0096】
図11に、液晶表示装置A、Bのガンマ特性を示す。
【0097】
この場合、例えば階調「61」に対して、液晶表示装置Aを駆動する場合は階調電圧「V61A」を発生し、液晶表示装置Bを駆動する場合は階調電圧「V61B」を発生させる必要がある。
【0098】
しかしながら本実施形態によれば、ガンマ補正制御信号GAMに基づいて、抵抗分割ノードの中から最適な抵抗分割ノードを選択すればよいため、種々のガンマ特性に応じた階調電圧を安定して供給できる。
【0099】
図11に示すように、液晶表示装置のガンマ特性は、製品や製造ばらつき等によって異なる。しかしながら、大きく異なるのは高電位側電源電圧VDDRに近い階調電圧群と低電位側電源電圧VSSに近い階調電圧群に限られる。階調電圧の中間付近(中間階調付近)では、階調に対する階調電圧の関係が線形関係となり、階調電圧を調整する必要がないからである。そこで、図11に示すように、高電位側電源電圧VDDR及び低電位側電源電圧VSSに近い例えば階調電圧V1〜V8、V59〜V62を調整できればよい。従って、高電位側電源電圧VDDR及び低電位側電源電圧VSSに最も近い階調電圧V1、V62を少なくとも調整できることが望ましい。こうすることで、付加回路の増加を最低限に抑え、種々のガンマ特性に対応した階調電圧を発生できる階調電圧発生回路を提供できる。
【0100】
また本実施形態では、複数の階調電圧V0〜V63のうち階調電圧V1、V62(第1及び第2の階調電圧)の間の例えば階調電圧V3(第3の階調電圧)を出力する第3の選択回路SEL3を含むことが望ましい。この第3の選択回路SEL3は、第1〜第Kの抵抗分割ノードtp1〜tpKのうち複数の抵抗分割ノードの電圧の中から、階調電圧V1、V62(第1及び第2の階調電圧)の間の階調電圧V3(第3の階調電圧)を出力する。このとき、第1の選択回路SEL1が選択する抵抗分割ノード数が、第3の選択回路SEL3が選択する抵抗分割ノード数より多い。そして、第2の選択回路SEL2が選択する抵抗分割ノード数が、第3の選択回路SEL3が選択する抵抗分割ノード数より多い。
【0101】
ガンマ特性は、上述のように、その特性が大きく異なるのは高電位側電源電圧VDDRに近い階調電圧群と低電位側電源電圧VSSに近い階調電圧群に限られる。従って、高電位側電源電圧VDDR及び低電位側電源電圧VSSに近い程、1つの階調電圧を選択するための選択回路の選択可能なノード数を多くすることにより、簡素な構成で、種々のガンマ特性に応じた階調電圧を発生させることが可能となる。
【0102】
更に、複数の階調電圧のうち高電位側電源電圧VDDR(第1の電源電圧)又は低電位側電源電圧VSS(第2の電源電圧)に近い階調電圧ほど、階調電圧間の電圧差が大きいことが望ましい。これは、図9又は図11に示すように、高電位側電源電圧VDDR(第1の電源電圧)又は低電位側電源電圧VSS(第2の電源電圧)に近い階調電圧ほど、1階調当たりの液晶印加電圧の変化が大きくなるからである。こうすることによっても、簡素な構成で、種々のガンマ特性に応じた階調電圧を発生させることが可能となる。
【0103】
4.1 比較例
次に本実施形態の比較例との対比において、本実施形態における階調電圧発生回路140を説明する。
【0104】
図12に、本実施形態の第1の比較例における階調電圧発生回路300の構成例を示す。但し、図5又は図7に示す本実施形態の階調電圧発生回路140と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0105】
第1の比較例における階調電圧発生回路300は、入力電圧差(|VDDR−VSS|)から、基準階調電圧VREF1〜VREF9を生成する。そして、基準階調電圧差(|VREF1−VREF2|等)から、階調電圧V0〜V63を生成する。
【0106】
階調電圧発生回路300は、高電位側電源線と低電位側電源線との間にガンマ補正抵抗rP1〜rP8が直列に接続される。また、高電位側電源線と低電位側電源線との間に、ガンマ補正抵抗rQ1〜rQ63が直列に接続される。高電位側電源線には、高電位側電源電圧VDDRが供給される。低電位側電源線には、低電位側電源電圧VSSが供給される。
【0107】
ガンマ補正抵抗rP1〜rP8は可変抵抗であり、ガンマ補正抵抗rQ1〜rQ63は固定抵抗である。ガンマ補正抵抗rP1〜rP8は、補正信号P1〜P8によりその抵抗値が調整される。
【0108】
ガンマ補正抵抗rP1〜rP8の各ガンマ補正抵抗の接続ノードと、この接続ノードと対応する階調電圧発生ノードとの間には、ボルテージフォロワ回路VC1〜VC7が接続される。
【0109】
ガンマ補正抵抗rP1〜rP8のデフォルト時の抵抗値、ガンマ補正抵抗rQ1〜rQ63のデフォルト時の抵抗値は、液晶表示装置のガンマ特性に応じて決定される。そして、ガンマ補正抵抗の入力側と出力側において各基準階調電圧間の抵抗値は同一となるように決定される。例えば基準階調電圧VREF1〜VREF2間に関して、(rP1のデフォルト時の抵抗値)=(qQ1の抵抗値)+(rQ2の抵抗値)となる。
【0110】
ここで、図11の液晶表示装置Aに対してデフォルト時の抵抗値を決定しているものとする。液晶表示装置Bのガンマ特性に応じた階調電圧を発生させる場合、補正信号によりガンマ補正抵抗rP1〜rP8の抵抗値を変更し、例えば階調電圧「V61A」から「V61B」に変更する。
【0111】
ところが、各ボルテージフォロワ回路の入力側と出力側との間に電位差が生じ、出力側のガンマ補正抵抗とボルテージフォロワ回路との間に電流が流れる。即ち、例えばガンマ補正抵抗rP1を変更して入力側のガンマ補正抵抗比を変更するため、(rP1の変更後の抵抗値)<(rQ1の抵抗値)+(rQ2の抵抗値)、或いは(rP1の変更後の抵抗値)>(rQ1の抵抗値)+(rQ2の抵抗値)となり、ボルテージフォロワ回路VC1の入力側と出力側との間に電位差が生じ、電流Iが発生する。
【0112】
また、この電流Iの発生に起因して、ボルテージフォロワ回路の位相余裕が小さくなる場合がある。この場合、ボルテージフォロワ回路が発振し易くなる。これにより、安定した階調電圧を供給することができなくなる。更に、電流Iの発生によって、消費電力が増大してしまう。更にまた、ボルテージフォロワ回路の設計時の条件と異なる条件で動作することになるため、より一層、発振状態に陥りやすい状態を招くことになる。
【0113】
これに対して本実施形態における階調電圧発生回路140では、入力側の抵抗素子の抵抗値がすべて固定であるため、ガンマ特性の調整は出力側の抵抗素子の抵抗値を変更することで実現される。このため、各ボルテージフォロワ回路の入力側と出力側の電位とは常に同一となる。従って、第1の比較例における階調電圧発生回路300における電流Iの発生を回避できる。これにより、電流Iの削減によって消費電流を低減でき、ボルテージフォロワ回路の発振を回避できる。
【0114】
また、各ボルテージフォロワ回路の入力側と出力側の電位とは常に同一となるため、図10に示すように、目的とする電圧レベルに到達した後はボルテージフォロワ回路の動作を停止させることができる。ところが、第1の比較例では、ボルテージフォロワ回路が、常に出力を駆動する必要があり、該ボルテージフォロワ回路の動作を停止させることができない。このように本実施形態によれば、第1の比較例と比べて大幅に消費電力を削減できる。
【0115】
図13に、本実施形態の第2の比較例における階調電圧発生回路400の構成例を示す。但し、図12に示す第1の比較例における階調電圧発生回路300と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0116】
第2の比較例における階調電圧発生回路400が、第1の比較例における階調電圧発生回路300と本質的に異なる点は、階調電圧V0、V1、V62、V63を電源回路で直接生成する点である。この電源回路では、電子ボリューム等で、階調電圧V0、V1、V62、V63の電圧が調整される。
【0117】
しかしながら、電源回路がより多くの電源電圧を生成する必要があるため、付加回路の増加、レイアウト面積の増大等によりコスト高を招く。しかも、第2の比較例においても、ボルテージフォロワ回路の入力側でガンマ補正抵抗を調整しているため、第1の比較例と同様の問題が生ずる。
【0118】
従って、第2の比較例との対比において、本実施形態における階調電圧発生回路140は、階調電圧発生回路140に電源電圧を供給する電源回路を簡素化できるため、低コスト化を実現できる。しかも、本実施形態によれば、上述のように、低消費電力で、種々のガンマ特性に応じた階調電圧を安定して供給できる。
【0119】
なお本発明は、上述した構成に限定されるものではない。
【0120】
4.2 変形例
図14に、本実施形態の第1の変形例における階調電圧発生回路500の構成例の回路図を示す。但し、図5に示す本実施形態における階調電圧発生回路140と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0121】
第1の変形例における階調電圧発生回路500は、更に、入力側オフセット用抵抗回路(第1のオフセット用抵抗回路)IR0、IRJ+2、出力側オフセット用抵抗回路(第2のオフセット用抵抗回路)OSR1、OSR2を含む。入力側オフセット用抵抗回路IR0は、入力側抵抗回路(第1の抵抗回路)の一端に接続される。出力側オフセット用抵抗回路OSR1は、出力側抵抗回路(第2の抵抗回路)の一端に接続される。入力側オフセット用抵抗回路IRJ+2は、入力側抵抗回路(第1の抵抗回路))の一端に接続される。出力側オフセット用抵抗回路OSR2は、出力側抵抗回路(第2の抵抗回路)の他端に接続される。ここで、第iのボルテージフォロワ回路(第iのインピーダンス変換回路)OPAMPiの入力電圧と出力電圧とが等しくなるように、入力側オフセット用抵抗回路を含む入力側抵抗回路の抵抗比と、出力側オフセット用抵抗回路を含む出力側抵抗回路の抵抗比とが設定される。
【0122】
そして、高電位側電源線が、入力側オフセット用抵抗回路IR0及び出力側オフセット用抵抗回路OSR1の一端又は他端のいずれかに電気的に接続される。即ち、高電位側電源電圧VDDR(第1の電源電圧)が、入力側オフセット用抵抗回路IR0及び出力側オフセット用抵抗回路OSR1の一端又は他端のいずれかに供給される。従って、入力側抵抗回路142及び出力側抵抗回路144の一端には、高電位側電源電圧VDDRが直接供給され、又は高電位側電源電圧VDDRが入力側オフセット用抵抗回路IR0、出力側オフセット用抵抗回路OSR1を介して供給される。このとき、スイッチ回路SW1、SW2を同一の制御信号で切り替えて、高電位側電源電圧VDDRが階調電圧V0として供給され続けることが望ましい。
【0123】
同様に、低電位側電源線が、入力側オフセット用抵抗回路IRJ+2、出力側オフセット用抵抗回路OSR2の一端又は他端のいずれかに電気的に接続される。即ち、低電位側電源電圧VSS(第2の電源電圧)が、入力側オフセット用抵抗回路IRJ+2及び出力側オフセット用抵抗回路OSR2の一端又は他端のいずれかに供給される。従って、入力側抵抗回路142及び出力側抵抗回路144の他端には、低電位側電源電圧VSSが直接供給され、又は低電位側電源電圧VSSが入力側オフセット用抵抗回路IRJ+2、出力側オフセット用抵抗回路OSR2を介して供給される。このとき、スイッチ回路SW3、SW4を同一の制御信号で切り替えて、低電位側電源電圧VSSが階調電圧V63として供給され続けることが望ましい。
【0124】
第1の変形例によれば、線形関係にある中間階調領域の各階調電圧を含めて、ガンマ特性に応じて全体の階調電圧をより細かく調整できるようになる。
【0125】
なお図14では、高電位側にスイッチ回路SW1、SW2を設けるだけでなく、低電位側にスイッチ回路SW3、SW4を設けているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、高電位側及び低電位側のうち少なくとも一方に設けるだけでもよい。
【0126】
図15に、本実施形態の第2の変形例における第1の選択回路SEL1の構成例の回路図を示す。但し、図8に示す本実施形態における第1の選択回路SEL1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0127】
第2の変形例における第1の選択回路SEL1は、本実施形態又は第1の変形例における階調電圧選択回路を構成する各選択回路に適用できる。
【0128】
第2の変形例における第1の選択回路SEL1(広義には階調電圧選択回路)は、複数の第1のスイッチ素子SWE1と、1つの第2のスイッチ素子SWE2とを含む。複数の第1のスイッチ素子SWE1の各第1のスイッチ素子の一端は、出力側抵抗回路144(第2の抵抗回路)の複数の抵抗分割ノードのいずれかに接続される。各第1のスイッチ素子SWE1の構成は同一である。
【0129】
第2のスイッチ素子SWE2の一端は、出力側抵抗回路144(第2の抵抗回路)の複数の抵抗分割ノードのいずれかに接続される。そして、第2のスイッチ素子SWE2のオン抵抗値は、複数の第1のスイッチ素子の各第1のスイッチ素子のオン抵抗値より小さい。ここでオン抵抗値とは、スイッチ素子がオン状態(導通状態)になったときの抵抗値いう。
【0130】
図16に、第1のスイッチ素子SWE1及び第2のスイッチ素子SWE2のスイッチ制御のタイミング図を示す。
【0131】
まず、複数の階調電圧V0〜V63のいずれか1つの階調電圧(図15では階調電圧V1(第4の階調電圧))を出力する場合に、第2のスイッチ素子SWE2をオン、複数の第1のスイッチ素子SWE1のすべてをオフとして第2のスイッチ素子SWE2を介して階調電圧V1(第4の階調電圧)を出力する。これにより、より低いオン抵抗値のスイッチ素子を介して階調電圧V1を大まかな電圧レベルに設定できる。このとき、第1のスイッチ素子SWE1を介して階調電圧を出力する場合に比べて、目的とする電圧に到達する速度が速く、消費電力も小さい。
【0132】
その後、第2のスイッチ素子SWE2をオフ、複数の第1のスイッチ素子SWE1のいずれか1つをオンして、オンとなった該第1のスイッチ素子を介して階調電圧V1(第4の階調電圧)を出力する。これにより、階調電圧V1の電圧レベルを精度良く設定できる。
【0133】
このような構成を採用することで、第1の選択回路SEL1を構成するすべてのスイッチ素子のオン抵抗値を低くするためにすべてのスイッチ素子の面積を大きくする必要がなくなる。従って、精度良く階調電圧のレベルを設定できる第1の選択回路SEL1を、より少ない面積で構成できる。
【0134】
また本実施形態、第1又は第2の変形例のように、高電位側から順に1又は複数の抵抗分割ノードの電圧から1つの階調電圧を発生させなくてもよい。例えば図17に示すように、階調電圧V1を選択するための第4の抵抗分割ノードtp4の電圧が、階調電圧V2を選択するための第3の抵抗分割ノードtp3の電圧より低い場合であってもよい。この場合、ガンマ補正制御信号GAMにより、階調電圧V1の電位が階調電圧V2の電位より高くなるように、それぞれ複数の抵抗分割ノードの電圧の中から選択する必要がある。
【0135】
また液晶の印加電圧を交流化するために極性反転駆動を行う場合、図18に示すように正極性用及び負極性用の階調電圧発生回路を設けることも可能である。
【0136】
図18に、正極性用及び負極性用の階調電圧発生回路を設けた場合の構成例を示す。
【0137】
正極性用階調電圧発生回路600は、液晶の印加電圧が正極性の期間で用いられる階調電圧V0p〜V63pを生成する。負極性用階調電圧発生回路610は、液晶の印加電圧が負極性の期間で用いられる階調電圧V0n〜V63nを生成する。DACでは、正極性の期間で階調電圧V0p〜V63pのうちいずれか1つの階調電圧を選択し、負極性の期間で階調電圧V0n〜V63nのうちいずれか1つの階調電圧を選択する。
【0138】
正極性用階調電圧発生回路600及び負極性用階調電圧発生回路610は、それぞれ高電位側電源線及び低電位側電源線の間に設けられる。正極性用階調電圧発生回路600及び負極性用階調電圧発生回路610として、本実施形態、第1又は第2の変形例における階調電圧発生回路が適用される。
【0139】
5. 電子機器
図19に、上述の階調電圧発生回路を含む駆動回路が適用された電子機器の構成例のブロック図を示す。ここでは、電子機器として、携帯電話機の構成例のブロック図を示す。
【0140】
携帯電話機800は、カメラモジュール810を含む。カメラモジュール810は、CCDカメラを含み、CCDカメラで撮像した画像のデータを表示コントローラ802に供給する。表示コントローラ802として、図1の表示コントローラ38を採用できる。
【0141】
携帯電話機800は、表示パネル820を含む。表示パネル820として、図1の液晶表示パネル20を採用できる。この場合、表示パネル820は、表示ドライバ830によって駆動される。表示パネル820は、複数の走査線、複数のデータ線、複数の画素を含む。表示ドライバ830は、複数の走査線の1又は複数本単位で走査線を選択する走査ドライバの機能を有すると共に、画像データに対応した電圧を複数のデータ線に供給するデータドライバの機能を有する。このような表示ドライバ830の機能は、本実施形態、第1又は第2の変形例における階調電圧発生回路を含むデータドライバと、図1の走査ドライバ32とで実現できる。
【0142】
表示コントローラ802は、表示ドライバ830に接続され、表示ドライバ830に対して画像データを供給する。
【0143】
ホスト840は、表示コントローラ802に接続される。ホスト840は、表示コントローラ802を制御する。またホスト840は、アンテナ860を介して受信された画像データを、変復調部850で復調した後、表示コントローラ802に供給できる。表示コントローラ802は、この画像データに基づき、表示ドライバ830により表示パネル820に表示させる。
【0144】
ホスト840は、カメラモジュール810で生成された画像データを変復調部850で変調した後、アンテナ860を介して他の通信装置への送信を指示できる。
【0145】
ホスト840は、操作入力部870からの操作情報に基づいて画像データの送受信処理、カメラモジュール810の撮像、表示パネルの表示処理を行う。
【0146】
なお電気光学装置としての液晶表示装置880は、表示コントローラ802、表示ドライバ830及び表示パネル820を含むことができる。この場合、ホスト840が、液晶表示装置880に対して画像データを供給する。
【0147】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、本発明は上述の液晶表示装置の駆動に適用されるものに限らず、エレクトロクミネッセンス、プラズマディスプレイ装置の駆動に適用可能である。
【0148】
また、本発明のうち従属請求項に係る発明においては、従属先の請求項の構成要件の一部を省略する構成とすることもできる。また、本発明の1の独立請求項に係る発明の要部を、他の独立請求項に従属させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本実施形態における液晶表示装置の構成の概要の構成図。
【図2】本実施形態における液晶表示装置の他の構成の概要の構成図。
【図3】図1の電源回路の構成の概要を示すブロック図。
【図4】図1のデータドライバの構成の概要を示すブロック図。
【図5】図4の階調電圧発生回路の構成例の回路図。
【図6】第iのボルテージフォロワ回路の構成例の回路図。
【図7】本実施形態の階調電圧発生回路の他の構成例の図。
【図8】第1の選択回路の構成例を示す図。
【図9】液晶表示装置のガンマ特性の説明図。
【図10】パワーセーブ信号のタイミングの一例を示すタイミング図。
【図11】種々の液晶表示装置のガンマ特性の説明図。
【図12】本実施形態の第1の比較例における階調電圧発生回路の構成例を示す図。
【図13】本実施形態の第2の比較例における階調電圧発生回路の構成例を示す図。
【図14】本実施形態の第1の変形例における階調電圧発生回路の構成例の回路図。
【図15】本実施形態の第2の変形例における第1の選択回路の構成例の回路図。
【図16】図15の第1のスイッチ素子及び第2のスイッチ素子のスイッチ制御のタイミング図。
【図17】第1の選択回路の他の構成例の回路図。
【図18】正極性用及び負極性用の階調電圧発生回路を設けた場合の構成例を示す図。
【図19】本実施形態、第1又は第2の変形例における階調電圧発生回路が適用された表示ドライバを含む電子機器の構成例のブロック図。
【符号の説明】
【0150】
10 液晶表示装置、 20 液晶表示パネル、 30 データドライバ、
32 走査ドライバ、 34 電源回路、 38 表示コントローラ、
100 入力ラッチ回路、 110 シフトレジスタ、 120 ラインラッチ回路、
130 ラッチ回路、 140 階調電圧発生回路、 142 入力側抵抗回路、
144 出力側抵抗回路、 146 階調電圧選択回路、 150 DAC、
160 出力回路、 GAM ガンマ補正制御信号、
IR1〜IRJ+1 第1〜第(J+1)の入力側抵抗素子、
NDI1〜NDIJ 第1〜第Jの入力分圧ノード、
NDO1〜NDOJ 第1〜第Jの出力分圧ノード、
OPAMP1〜OPAMPJ 第1〜第Jのボルテージフォロワ回路、
OR1〜ORJ+1 第1〜第(J+1)の出力側抵抗素子、 PS パワーセーブ信号、
SEL1〜SEL3 第1〜第3の選択回路、
tp1〜tpK 第1〜第Kの抵抗分割ノード、 VDDR 高電位側電源電圧、
VSS 低電位側電源電圧、 V0〜V63 階調電圧
【技術分野】
【0001】
本発明は、階調電圧発生回路、駆動回路及び電気光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置等の電気光学装置の普及に伴い、より一層の表示品位の向上、高精細化等の要求がある。
【0003】
一般に、電気光学装置に代表される表示装置は、それぞれ固有のガンマ特性を有している。そして、表示装置の入力(入力電圧、入力信号等)と出力(階調、光透過率、明るさ等)とは、直線的な正比例関係になく、指数関数的な関係にある。そこで表示装置の入力と出力とを直線的に正比例関係にするために、表示装置の入力に対してガンマ特性を考慮した出力の補正を行い、表示装置が画像データに基づいて正しい階調を表現できるようにしている。
【0004】
このような表示装置の中で、液晶表示装置は多くの電子機器に搭載される。液晶表示装置は、パッシブマトリクス型液晶表示装置、アクティブマトリクス型液晶表示に大別でき、それぞれ異なる階調制御により階調表示を実現する。
【0005】
パッシブマトリクス型液晶表示装置は、液晶を介して対向配置される2つの電極の交点部分を画素としてマトリクス制御により表示を実現する。このため、構造が単純である。ところが、画素毎に階調制御を行うことが困難であるため、アクティブマトリクス型液晶表示装置と比較して画像の高精細化や多階調化の実現は難しいと言われている。
【0006】
これに対し、アクティブマトリクス型液晶表示装置は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)等のスイッチング素子により各画素を個別的に制御できるため、多階調の実現が容易である。
【0007】
このアクティブマトリクス型液晶表示装置を駆動する液晶駆動回路(広義には駆動回路)が、例えば特許文献1、2に開示されている。この液晶駆動回路は、画像データに基づいて、ガンマ補正が施された階調電圧を液晶表示装置のデータ線に供給する。
【特許文献1】特開2003−22062号公報
【特許文献2】特開2003−22063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、使用される液晶材等に応じて液晶表示装置のガンマ特性が異なるばかりでなく、同一製品であっても製造ばらつき等に起因してガンマ特性が異なる場合がある。従って、異なるガンマ特性を有する液晶駆動回路を提供するためには、階調電圧をガンマ特性に応じて調整できることが望ましい。
【0009】
また、画質を劣化させないために、1走査期間中の所定の書き込み時間内に、データ線の電圧が、目的とする階調電圧に到達していることが必要とされる。液晶表示装置の表示領域が拡大したり、画素の高精細化を実現したりしようとすると、データ線の本数が増加する。そのため、1垂直走査期間という限られた期間内で1走査期間が短くなる傾向にある。従って、ガンマ補正後の階調電圧もまた、できるだけ早く、目的とする電圧に到達させる必要がある。そして、液晶表示装置が携帯型の電子機器に搭載されるためには、低コスト化且つ低消費電力化も実現させる必要がある。
【0010】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低コスト且つ低消費電力で、種々のガンマ特性に応じた階調電圧を安定して供給できる階調電圧発生回路、駆動回路及び電気光学装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明は、複数の階調電圧を発生するための階調電圧発生回路であって、第1及び第2の電源線の間に直列に接続されその抵抗値が固定の第1〜第(J+1)(Jは正の整数)の抵抗素子を有し、前記第1〜第(J+1)の抵抗素子により前記第1及び第2の電源線の間の電圧を分圧した第1〜第Jの入力分圧ノードを有する第1の抵抗回路と、前記第1〜第Jの入力分圧ノードの各入力分圧ノードの電圧が各インピーダンス変換回路の入力に供給される第1〜第Jのインピーダンス変換回路と、前記第1及び第2の電源線の間に接続され、前記第1及び第2の電源線の間の電圧を分圧した各出力分圧ノードが各インピーダンス変換回路によって駆動される第1〜第Jの出力分圧ノードを有する第2の抵抗回路と、前記第2の抵抗回路の両端の電圧を分圧する第1〜第K(J<K、Kは整数)の抵抗分割ノードの電圧の中からL(J<L<K、Lは整数)種類の抵抗分割ノードの電圧を階調電圧として出力する階調電圧選択回路とを含み、第i(1≦i≦J、iは整数)の出力分圧ノードの電圧が、第iの入力分圧ノードの電圧と等しい階調電圧発生回路に関係する。
【0012】
階調電圧を信号線に供給する場合、信号線の電圧が変化して目的とする階調電圧のレベルに到達するまでに時間を要する。この時間は、信号線の容量成分と第2の抵抗回路の各抵抗素子の抵抗成分とで定まる時定数に対応する。従って、この時間を考慮して、所定の書き込み時間内に信号線の電圧を目的の電圧に到達させる必要がある。
【0013】
本発明によれば、第1〜第Jのインピーダンス変換回路が第2の抵抗回路の第1〜第Jの出力分圧ノードを駆動するため、第2の抵抗回路の両端の電圧を分圧する場合に比べて、高い駆動能力でいち早く目的とする電圧に到達させることができる。
【0014】
また第1の抵抗回路の各抵抗素子を可変抵抗にして、各インピーダンス変換回路の入力電圧を可変にして階調電圧を調整する場合と対比すると、本発明においては、インピーダンス変換回路の入力側の電圧と出力側の電圧とが同一となる。このため、第1の抵抗回路の各抵抗素子を可変抵抗にする場合と異なり、インピーダンス変換回路の入力側の電圧と出力側の電圧の電位差に起因してインピーダンス変換回路に流れ込む、若しくは流れ出す電流を削減できる。従って、本発明によれば、その分だけ消費電流を削減できる。更に、この電流の発生に起因して、インピーダンス変換回路の位相余裕が小さくなり、発振し易くなる場合があり、本発明によれば発振状態に陥りやすい状態を回避できるようになる。
【0015】
そして、上述のように消費電流を削減できるばかりでなく、インピーダンス変換回路の設計時の条件と異なる条件で動作することがなくなるため、設計が容易となり、安定した階調電圧を供給することができるようになる。
【0016】
また本発明に係る階調電圧発生回路では、前記階調電圧選択回路が、前記第1〜第Kの抵抗分割ノードのうち複数の抵抗分割ノードの電圧の中から、前記複数の階調電圧のうち前記第1の電源線の電圧に最も近い第1の階調電圧を出力する第1の選択回路と、前記第1〜第Kの抵抗分割ノードのうち複数の抵抗分割ノードの電圧の中から、前記複数の階調電圧のうち前記第2の電源線の電圧に最も近い第2の階調電圧を出力する第2の選択回路とを含むことができる。
【0017】
一般的に、ガンマ特性は、高電位側及び低電位側において階調と階調電圧とが非線形関係となる。これに対し、階調電圧の中間付近(中間階調付近)では、階調に対する階調電圧の関係が線形関係となり、階調電圧を調整する必要がない。従って本発明によれば、付加回路の増加を最低限に抑え、種々のガンマ特性に対応した階調電圧を発生できる階調電圧発生回路を提供できる。
【0018】
また本発明に係る階調電圧発生回路では、前記第1〜第Kの抵抗分割ノードのうち複数の抵抗分割ノードの電圧の中から、前記複数の階調電圧のうち前記第1及び第2の階調電圧の間の第3の階調電圧を出力する第3の選択回路を含み、前記第1の選択回路が選択する抵抗分割ノード数が、前記第3の選択回路が選択する抵抗分割ノード数より多く、前記第2の選択回路が選択する抵抗分割ノード数が、前記第3の選択回路が選択する抵抗分割ノード数より多くてもよい。
【0019】
ガンマ特性が、表示装置の種類に応じてその特性が大きく異なるのは高電位側と低電位側に近い階調電圧群に限られる。従って、高電位側及び低電位側のうち少なくとも一方に近い程、1つの階調電圧を選択するための選択回路の選択可能なノード数を多くすることにより、簡素な構成で、種々のガンマ特性に応じた階調電圧を発生させることが可能となる。
【0020】
また本発明に係る階調電圧発生回路では、前記複数の階調電圧のうち前記第1の電源線の電圧に近い階調電圧ほど、階調電圧間の電圧差が大きくてもよい。
【0021】
一般に、ガンマ特性は、高電位側又は低電位側に近い階調電圧ほど、1階調当たりの液晶印加電圧の変化が大きくなる。従って本発明によれば、付加回路の増加を最低限に抑え、種々のガンマ特性に対応した階調電圧を発生できる階調電圧発生回路を提供できる。
【0022】
また本発明に係る階調電圧発生回路では、前記階調電圧選択回路が、各第1のスイッチ素子の一端が前記第2の抵抗回路の複数の抵抗分割ノードのいずれかに接続された複数の第1のスイッチ素子と、一端が前記第2の抵抗回路の複数の抵抗分割ノードのいずれかに接続され前記複数の第1のスイッチ素子の各第1のスイッチ素子よりオン抵抗値が小さい第2のスイッチ素子とを含み、前記複数の階調電圧のいずれか1つの第4の階調電圧を出力する場合に、前記第2のスイッチ素子がオン、前記複数の第1のスイッチ素子がオフとなり前記第2のスイッチ素子を介して前記第4の階調電圧を出力した後に、前記第2のスイッチ素子がオフ、前記複数の第1のスイッチ素子のいずれか1つがオンとなり、オンとなった該第1のスイッチ素子を介して前記第4の階調電圧を出力することができる。
【0023】
本発明によれば、第2のスイッチ素子で、大まかな電圧を出力するため、第2のスイッチ素子よりオン抵抗値が大きい第1のスイッチ素子を介して階調電圧を出力する場合に比べて、目的とする電圧に到達する速度が速く、消費電力も小さくできる。
【0024】
また、その後、第2のスイッチ素子をオフ、複数の第1のスイッチ素子のいずれか1つをオンして、オンとなった該第1のスイッチ素子を介して階調電圧を出力するようにしたため、階調電圧の電圧レベルを精度良く設定できる。こうすることで、選択回路を構成するすべてのスイッチ素子のオン抵抗値を低くするためにすべてのスイッチ素子の面積を大きくする必要がなくなる。従って、精度良く階調電圧のレベルを設定できる選択回路を、より少ない面積で構成できるようになる。
【0025】
また本発明に係る階調電圧発生回路では、前記第1〜第Jのインピーダンス変換回路が、前記複数の階調電圧のいずれかが電気光学装置のデータ線に供給される1走査期間中の第1の期間において前記第1〜第Jの出力分圧ノードを駆動し、前記1走査期間中の前記第1の期間後の第2の期間において前記第1〜第Jの出力分圧ノードの駆動を停止することができる。
【0026】
本発明においては、インピーダンス変換回路の入力側の電圧と出力側の電圧とが等しく設定される。従って、第1の抵抗回路の各抵抗素子を可変抵抗にして、各インピーダンス変換回路の入力電圧を可変にして階調電圧を調整する場合と比較すると、本発明では、目的とする電圧レベルに到達した後は、インピーダンス変換回路の動作を停止させることができる。このため、インピーダンス変換回路で常に第2の抵抗回路の出力分圧ノードを駆動させる必要がなくなり、不要なときに動作を停止させることでインピーダンス変換回路の駆動時の消費電流を大幅に削減できるようになる。
【0027】
また本発明に係る階調電圧発生回路では、前記第1の抵抗回路の一端にその一端が接続される第1のオフセット用抵抗回路と、前記第2の抵抗回路の一端にその一端が接続される第2のオフセット用抵抗回路とを含み、前記第1の電源線が、前記第1及び第2のオフセット用抵抗回路の前記一端又は該第1及び第2のオフセット抵抗用回路の他端に電気的に接続されてもよい。
【0028】
本発明によれば、線形関係にある中間階調領域の各階調電圧を含めて、ガンマ特性に応じて全体の階調電圧をより細かく調整できるようになる。
【0029】
また本発明は、上記のいずれか記載の階調電圧発生回路と、前記階調電圧発生回路が発生した複数の階調電圧のいずれかを用いて電気光学装置を駆動する出力回路とを含む駆動回路に関係する。
【0030】
本発明によれば、低コスト且つ低消費電力で、種々のガンマ特性に応じた階調電圧を安定して供給できる階調電圧発生回路を含む駆動回路を提供できる。
【0031】
また本発明は、上記のいずれか記載の階調電圧発生回路を含む電気光学装置に関係する。
【0032】
本発明によれば、低コスト且つ低消費電力で、種々のガンマ特性に応じた階調電圧を安定して供給することで画質の劣化を防止できる電気光学装置を提供できる。
【0033】
また本発明は、上記記載の電気光学装置を含む電子機器に関係する。
【0034】
本発明によれば、低コスト且つ低消費電力で、種々のガンマ特性に応じた階調電圧を安定して供給することで画質の劣化を防止できる電子機器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0036】
本実施形態における階調電圧発生回路は、例えば表示装置を駆動する駆動回路に含まれる。駆動回路は、印加電圧によって光学特性を変化させる電気光学装置、例えば液晶表示装置の駆動に用いることができる。
【0037】
以下では、液晶表示装置に本実施形態における階調電圧発生回路を適用する場合について説明するが、これに限定されるものではなく、他の電気光学装置、表示装置にも適用することができる。
【0038】
1. 液晶表示装置
図1に、本実施形態における液晶表示装置の構成の概要を示す。
【0039】
液晶表示装置(広義には表示装置又は電気光学装置)10は、液晶表示パネル(広義には表示パネル)20を含むことができる。
【0040】
液晶表示パネル20は、例えばガラス基板上に形成される。このガラス基板上には、Y方向に複数配列されそれぞれX方向に伸びる走査線(ゲート電極、ゲートライン)GL1〜GLN(Nは2以上の整数)と、X方向に複数配列されそれぞれY方向に伸びるデータ線(ソース電極、ソースライン)DL1〜DLM(Mは2以上の整数)とが配置されている。また、走査線GLn(1≦n≦N、nは整数、以下同様。)とデータ線DLm(1≦m≦M、mは整数、以下同様。)との交差位置に対応して、画素領域(画素)が設けられ、該画素領域に薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、TFTと略す。)22mnが配置されている。
【0041】
TFT22mnのゲート電極は、走査線GLnに接続されている。TFT22mnのソース電極は、データ線DLmに接続されている。TFT22mnのドレイン電極は、画素電極26mnに接続されている。画素電極26mnとこれに対向する対向電極28mnとの間に液晶が封入され、液晶容量(広義には液晶素子)24mnが形成される。画素電極26mnと対向電極28mnとの間の印加電圧に応じて画素の透過率が変化するようになっている。対向電極28mnには、対向電極電圧Vcomが供給される。
【0042】
以上のような液晶表示パネル20は、例えば画素電極及びTFTが形成された第1の基板と、対向電極が形成された第2の基板とを貼り合わせ、両基板の間に電気光学材料としての液晶を封入させることで形成される。
【0043】
液晶表示装置10は、データドライバ(広義には駆動回路、表示ドライバ)30を含むことができる。データドライバ30は、画像データに基づいて、液晶表示パネル20のデータ線DL1〜DLMを駆動する。
【0044】
液晶表示装置10は、走査ドライバ(広義には駆動回路、表示ドライバ)32を含むことができる。走査ドライバ32は、一垂直走査期間内に、液晶表示パネル20の走査線GL1〜GLNを走査する。
【0045】
液晶表示装置10は、電源回路34を含むことができる。電源回路34は、データ線の駆動に必要な電圧を生成し、これらをデータドライバ30に対して供給する。本実施形態では、電源回路34は、データドライバ30のデータ線の駆動に必要な電源電圧VDDR、VSSや、データドライバ30のロジック部の電圧を生成する。
【0046】
また電源回路34は、走査線の走査に必要な電圧を生成し、これを走査ドライバ32に対して供給する。本実施形態では、電源回路34は、走査線を走査するための駆動電圧を生成する。
【0047】
更に電源回路34は、対向電極電圧Vcomを生成することができる。電源回路34は、データドライバ30によって生成された極性反転信号POLのタイミングに合わせて、高電位側の電圧VcomHと低電位側の電圧VcomLとが周期的に変化する対向電極電圧Vcomを、液晶表示パネル20の対向電極に出力する。
【0048】
液晶表示装置10は、表示コントローラ38を含むことができる。表示コントローラ38は、図示しない中央演算処理装置(Central Processing Unit:以下、CPUと略す。)等のホストにより設定された内容に従って、データドライバ30、走査ドライバ32、電源回路34を制御する。例えば、表示コントローラ38は、データドライバ30及び走査ドライバ32に対し、動作モードの設定、内部で生成した垂直同期信号や水平同期信号の供給を行う。
【0049】
なお図1では、液晶表示装置10に電源回路34又は表示コントローラ38を含めて構成するようにしているが、これらのうち少なくとも1つを液晶表示装置10の外部に設けて構成するようにしてもよい。或いは、液晶表示装置10に、ホストを含めるように構成することも可能である。
【0050】
また、データドライバ30は、走査ドライバ32及び電源回路34のうち少なくとも1つを内蔵してもよい。
【0051】
更にまた、データドライバ30、走査ドライバ32、表示コントローラ38及び電源回路34の一部又は全部を液晶表示パネル20上に形成してもよい。例えば図2では、液晶表示パネル20上に、データドライバ30及び走査ドライバ32が形成されている。このように液晶表示パネル20は、複数のデータ線と、複数の走査線と、複数の走査線の各走査線及び複数のデータ線の各データ線とに接続された複数のスイッチ素子と、複数のデータ線を駆動するデータドライバとを含むように構成することができる。液晶表示パネル20の画素形成領域80に、複数の画素が形成されている。
【0052】
2. 電源回路
図3に、図1の電源回路34の構成の概要を示す。
【0053】
電源回路34は、液晶表示装置10のシステム電源電圧VDD、システム接地電源電圧VSSの電圧差を昇圧した後レギュレートを行って、データドライバ30及び走査ドライバ32等に電圧を供給する。
【0054】
この電源回路34は、昇圧回路90、電圧レギュレータ回路92を含むことができる。昇圧回路90は、システム接地電源電圧VSSを基準にシステム電源電圧VDDを昇圧して昇圧電圧VOUTを出力する。電圧レギュレータ回路92は、システム接地電源電圧VSSを基準に昇圧電圧VOUTのレギュレートを行い、階調電圧発生回路を含むデータドライバ30に電圧VDDR、VSSを供給し、走査ドライバ32に電圧VDDHG、VEEを供給する。
【0055】
走査ドライバ32は、走査線の選択期間に電圧VDDHGを該走査線に供給し、走査線の非選択期間に電圧VEEを該走査線に供給する。
【0056】
3. データドライバ
図4に、図1のデータドライバ30の構成の概要を示す。
【0057】
データドライバ30は、入力ラッチ回路100、シフトレジスタ110、ラインラッチ回路120、ラッチ回路130、階調電圧発生回路140、DAC(Digital/Analog Converter)150、出力回路160を含む。
【0058】
入力ラッチ回路100は、画素単位でシリアルに入力される画像データを、クロック信号CLKに基づいてラッチする。クロック信号CLKは、図1に示す表示コントローラ38から供給される。1画素が、それぞれ6ビットのR信号、G信号及びB信号により構成される場合、1画素は18ビットで構成される。
【0059】
シフトレジスタ110は、入力ラッチ回路100でラッチされた画像データを、クロック信号CLKに同期してシフトする。そしてシフトレジスタ110でシフトされて順次取り込まれた階調データは、ラインラッチ回路120に取り込まれる。ラインラッチ回路120に取り込まれた画像データは、ラッチパルス信号LPのタイミングでラッチ回路130にラッチされる。ラッチパルス信号LPは、表示コントローラ38から水平走査周期で入力される。
【0060】
このようにシフトレジスタ110が、画素単位でシリアルに入力される画像データを順次シフトして、ラッチ回路130が1走査ライン分の画像データを取り込むことができる。
【0061】
階調電圧発生回路140は、電源回路34からの高電位側電源電圧(第1の電源電圧)VDDR及び低電位側電源電圧(第2の電源電圧)VSSの間の複数の階調電圧V0〜VY(Yは、自然数)を発生する。例えばR信号、G信号及びB信号がそれぞれ6ビットの場合、各色成分の信号について階調電圧V0〜V63を発生する。
【0062】
また階調電圧発生回路140は、ガンマ補正制御信号GAMに基づいて、ガンマ補正が施された階調電圧を出力する。更に階調電圧発生回路140は、パワーセーブ信号PSに基づく制御により、低消費電力動作を実現させる。ガンマ補正制御信号GAMは、表示コントローラ38から供給される。パワーセーブ信号PSは、データドライバ30の図示しない制御回路、又は表示コントローラ38から供給される。
【0063】
DAC150は、ラッチ回路130から出力される画像データに対応した駆動電圧を、データドライバ30の出力線毎に生成する。より具体的には、DAC150は、階調電圧発生回路140によって生成された複数の階調電圧V0〜V63の中から、ラッチ回路130からの1出力線分の画像データ毎に、該画像データに対応した階調電圧を選択し、選択した階調電圧を駆動電圧として出力する。
【0064】
出力回路160は、各出力線が液晶表示パネル20の各データ線に接続される複数の出力線を駆動する。より具体的には、出力回路160は、DAC150によって出力線毎に生成された駆動電圧に基づいて、各出力線を駆動する。例えば出力回路160は、出力線毎に設けられたボルテージフォロワ接続された演算増幅器により、各出力線を駆動する。即ち、出力回路160は、階調電圧発生回路140が発生した階調電圧V0〜V63のいずれかを用いて電気光学装置としての液晶表示装置を駆動する。
【0065】
4. 階調電圧発生回路
図5に、図4の階調電圧発生回路140の構成例の回路図を示す。ここでは、階調電圧発生回路140が、階調電圧V0〜V63を発生する。そして、階調電圧V0を高電位側電源電圧VDDR、階調電圧V63を低電位側電源電圧VSSとして出力している。
【0066】
階調電圧発生回路140は、入力側抵抗回路(第1の抵抗回路)142、出力側抵抗回路(第2の抵抗回路)144を含む。入力側抵抗回路142及び出力側抵抗回路144は、高電位側電源線(第1の電源線)及び低電位側電源線(第2の電源線)の間に接続される。高電位側電源線には、高電位側電源電圧(第1の電源電圧)VDDRが供給される。低電位側電源線には、低電位側電源電圧(第2の電源電圧)VSSが供給される。従って、入力側抵抗回路142及び出力側抵抗回路144は、高電位側電源電圧VDDR及び低電位側電源電圧VSSの間に接続されるということができる。
【0067】
入力側抵抗回路142は、その両端の電圧を(J+1)(Jは正の整数)分割して分圧した第1〜第Jの入力分圧ノードNDI1〜NDIJを有する。より具体的には、入力側抵抗回路142は、高電位側電源線及び低電位側電源線(或いは高電位側電源電圧VDDR及び低電位側電源電圧VSS)の間に直列に接続された第1〜第(J+1)の入力側抵抗素子IR1〜IRJ+1を有する。第1〜第(J+1)の入力側抵抗素子IR1〜IRJ+1は、それぞれ抵抗値が固定の固定抵抗である。そして、第1〜第(J+1)の入力側抵抗素子IR1〜IRJ+1により、高電位側電源電圧VDDR及び低電位側電源電圧VSSの間の電圧を分圧する。第iの入力分圧ノードNDIi(1≦i≦J、iは整数)は、第iの入力側抵抗素子IRiと第(i+1)の入力側抵抗素子IRi+1とが接続されるノードである。
【0068】
出力側抵抗回路144もまた、その両端の電圧を(J+1)分割して分圧した第1〜第Jの出力分圧ノードNDO1〜NDOJを有する。より具体的には、出力側抵抗回路144もまた、例えば高電位側電源線及び低電位側電源線(或いは高電位側電源電圧VDDR及び低電位側電源電圧VSS)の間に直列に接続された第1〜第(J+1)の出力側抵抗素子OR1〜ORJ+1を有する。第1〜第(J+1)の出力側抵抗素子OR1〜ORJ+1は、それぞれ抵抗値が固定の固定抵抗である。そして、第1〜第(J+1)の出力側抵抗素子OR1〜ORJ+1により、高電位側電源電圧VDDR及び低電位側電源電圧VSSの間の電圧を分圧する。第iの出力分圧ノードNDOiは、第iの出力側抵抗素子ORiと第(i+1)の出力側抵抗素子ORi+1とが接続されるノードである。
【0069】
そして、第iの入力分圧ノードNDIiの電圧は、第iの出力分圧ノードNDOiの電圧と等しくなるように各入力側抵抗素子、各出力側抵抗素子により分圧されている。
【0070】
また第iの入力分圧ノードNDIiとこれに対応する第iの出力分圧ノードNDOiとの間に、第iのボルテージフォロワ回路(第iのインピーダンス変換回路)OPAMPiが設けられている。第iのボルテージフォロワ回路OPAMPiは、ボルテージフォロワ接続された差動増幅器を有し、インピーダンス変換回路として機能する。第iのボルテージフォロワ回路OPAMPiの入力には、第iの入力分圧ノードNDIiの電圧が供給される。第iのボルテージフォロワ回路OPAMPiの出力は、第iの出力分圧ノードNDOiに接続される。従って、第iのボルテージフォロワ回路OPAMPiは、第iの入力分圧ノードNDIiの電圧に基づいて第iの出力分圧ノードNDOiを駆動する。
【0071】
第1〜第Jのボルテージフォロワ回路OPAMP1〜OPAMPJは、パワーセーブ信号PSに基づいて駆動制御が行われる。より具体的には、第1〜第Jのボルテージフォロワ回路OPAMP1〜OPAMPJは、パワーセーブ信号PSにより指定された駆動期間においては駆動を行い、パワーセーブ信号PSにより指定された非駆動期間においてはその出力の駆動を停止する。
【0072】
階調電圧発生回路140は、階調電圧選択回路146を含む。階調電圧選択回路146は、出力側抵抗回路144の両端の電圧を(K+1)(J<K、Kは整数)分割して分圧した第1〜第Kの抵抗分割ノードtp1〜tpKの電圧のうち、L(J<L<K、Lは整数)種類の電圧を階調電圧として選択する。例えば階調電圧発生回路140が、階調電圧V0〜V63を発生する場合、階調電圧V0、V63を除く62種類の電圧を階調電圧V1〜V62として出力する。階調電圧選択回路146は、ガンマ補正制御信号GAMに基づいて第1〜第Kの抵抗分割ノードtp1〜tpKのうちL個の抵抗分割ノードを選択し、選択したL個の抵抗分割ノードの電圧を階調電圧として出力する。
【0073】
図6に、第iのボルテージフォロワ回路OPAMPiの構成例の回路図を示す。ここでは、第iのボルテージフォロワ回路OPAMPiの構成例を示しているが、第1〜第(i−1)のボルテージフォロワ回路OPAMP1〜OPAMPi−1、第(i+1)〜第Jのボルテージフォロワ回路OPAMPi+1〜OPAMPJの構成も同様である。
【0074】
第iのボルテージフォロワ回路OPAMPiは、p型差動増幅部pDIFi、n型差動増幅部nDIFi、駆動部DRViを含む。p型差動増幅部pDIFiは、電流源を構成するトランジスタを含み、該トランジスタのゲート電極にパワーセーブ信号PSを供給することで、p型差動増幅部pDIFiの動作、又は動作の停止を制御できる。n型差動増幅部nDIFiは、電流源を構成するトランジスタを含み、該トランジスタのゲート電極にパワーセーブ信号PSを供給することで、n型差動増幅部nDIFiの動作、又は動作の停止を制御できる。
【0075】
このような第iのボルテージフォロワ回路OPAMPiの構成は公知であるため、詳細な動作の説明を省略する。本実施形態では、パワーセーブ信号PSがHレベルのとき、p型差動増幅部pDIFiは、第iの入力分圧ノードNDIi及び第iの出力分圧ノードNDOiの電圧が等しくなるように、駆動部DRViのn型駆動トランジスタのゲート電圧を供給する。パワーセーブ信号PSがLレベルのとき、p型差動増幅部pDIFiの電流源の動作が停止され、p型差動増幅部pDIFiの動作が停止する。
【0076】
またパワーセーブ信号PSがHレベルのとき、n型差動増幅部nDIFiは、第iの入力分圧ノードNDIi及び第iの出力分圧ノードNDOiの電圧が等しくなるように、駆動部DRViのp型駆動トランジスタのゲート電圧を供給する。パワーセーブ信号PSがLレベルのとき、n型差動増幅部nDIFiの電流源の動作が停止され、n型差動増幅部nDIFiの動作が停止する。
【0077】
従って、パワーセーブ信号PSがHレベルのとき、第iのボルテージフォロワ回路OPAMPiは、第iの入力分圧ノードNDIiの電圧に基づいて第iの出力分圧ノードNDOiを駆動する。またパワーセーブ信号PSがLレベルのとき、第iのボルテージフォロワ回路OPAMPiは、第iの出力分圧ノードNDOiの駆動を停止する。そしてパワーセーブ信号PSがLレベルのとき、p型差動増幅部pDIFi及びn型差動増幅部nDIFiの電流源の動作を停止できるため、消費電流を削減できる。
【0078】
なお、インピーダンス変換回路としてのボルテージフォロワ回路の構成は、図6に示したものに本発明が限定されるものではない。
【0079】
図7に、本実施形態の階調電圧発生回路140の他の構成例の図を示す。但し、図5に示す階調電圧発生回路140と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0080】
図7において、階調電圧選択回路146は、高電位側電源電圧VDDR(第1の電源線の電圧)に最も近い階調電圧を選択するための第1の選択回路SEL1と、低電位側電源電圧VSS(第2の電源線の電圧)に最も近い階調電圧を選択するための第2の選択回路SEL2とを少なくとも含むことが望ましい。より具体的には、第1の選択回路SEL1は、第1〜第Kの抵抗分割ノードtp1〜tpKのうち複数の抵抗分割ノードの電圧の中から、複数の階調電圧V0〜V63のうち高電位側電源電圧VDDRに最も近い階調電圧V1(第1の階調電圧)を出力する。また第2の選択回路SEL2は、第1〜第Kの抵抗分割ノードtp1〜tpKのうち複数の抵抗分割ノードの電圧の中から、複数の階調電圧V0〜V63のうち低電位側電源電圧VSSに最も近い階調電圧V62(第2の階調電圧)を出力する。
【0081】
図8に、第1の選択回路SEL1の構成例を示す。図8では、第1の選択回路SEL1の構成例を示すが、第2の選択回路SEL2も同様の構成を有する。
【0082】
図8では、第1の選択回路SEL1が、第1〜第4の抵抗分割ノードtp1〜tp4の電圧のいずれかから1つの電圧を、ガンマ補正制御信号GAMに基づいて選択する。図8では、4つの抵抗分割ノードの電圧のいずれかから1つの電圧を選択しているが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0083】
このような選択回路は、各出力側抵抗素子に対して、0、1又は複数個を設けられる。
【0084】
次に、図5又は図7の階調電圧発生回路140の動作について説明する。
【0085】
図9に、液晶表示装置のガンマ特性(液晶の光透過率特性)を示す。
【0086】
図9において、横軸に表示の明るさを示す階調(x)を示し、縦軸に液晶印加電圧(Vx)を示す。階調(x)は、例えば6ビットの画像データで表現でき、画像データが「000000」のとき階調は「0」、画像データが「111101」のとき階調が「61」となる。
【0087】
図9において、ガンマ補正曲線200は、ノーマリホワイトのアクティブマトリクス型液晶表示装置のガンマ特性を表す。ガンマ補正曲線200が示すように、階調(x)と液晶印加電圧(Vx)との関係は非線形関係である。従って、画像データに基づいて画像を忠実に表現するために、ガンマ補正を施した印加電圧を液晶に供給する必要がある。
【0088】
例えば、図9に示すガンマ補正曲線200を有するアクティブマトリクス型液晶表示装置を駆動する場合、階調電圧発生回路140は、ガンマ補正曲線200に従って階調「0」〜「63」に対して対応付けられた階調電圧を発生する。そして、液晶駆動回路が階調「2」の表示を行う場合、階調電圧発生回路140が発生した階調電圧「V0」〜「V63」のうち階調電圧「V2」を選択してデータ線に供給する。また液晶駆動回路が階調「61」の表示を行う場合、階調電圧発生回路140が発生した階調電圧「V0」〜「V63」のうち階調電圧「V61」を選択してデータ線に供給する。
【0089】
このとき、各信号線の電圧が変化して目的とする電圧に到達するまでに、各信号線の容量成分と出力側抵抗回路144の各抵抗素子の抵抗成分とで定まる時定数に対応した遅延時間を要する。例えばデータドライバ30が極性反転駆動を行う場合や電源供給を開始する場合等、高電位側電源電圧VDDR及び低電位側電源電圧VSSの供給が開始されたとしても各階調電圧が目的の電圧に到達するまでに、ある程度の時間を要することを意味する。従って、この遅延時間を考慮して、所定の書き込み時間内に信号線の電圧を目的の電圧に到達させる必要がある。
【0090】
本実施形態では、第1〜第Jのボルテージフォロワ回路OPAMP1〜OPAMPJが第1〜第Jの出力分圧ノードNDO1〜NDOJを駆動する。このため、出力側抵抗回路144の両端の電圧を分圧する場合に比べて、高い駆動能力でいち早く目的とする電圧に到達させることができる。これにより、液晶表示装置の表示領域の拡大や画素の高精細化のためにデータ線の本数が増加して1水平走査期間が短くなったとしても、目的とする階調電圧にいち早く到達させ、安定した階調電圧を供給できるようになる。
【0091】
更に、第1〜第Jのボルテージフォロワ回路OPAMP1〜OPAMPJは、パワーセーブ信号PSにより一斉にその駆動を停止することが望ましい。より具体的には、第1〜第Jのボルテージフォロワ回路OPAMP1〜OPAMPJが、複数の階調電圧V0〜V63のいずれかがデータ線DL1〜DLMに供給される1走査期間中のボルテージフォロワ回路駆動期間(第1の期間)において第1〜第Jの出力分圧ノードNDO1〜NDOJを駆動する。そして、該1走査期間中のボルテージフォロワ回路駆動期間後のボルテージフォロワ回路非駆動期間(第2の期間)において、第1〜第Jのボルテージフォロワ回路OPAMP1〜OPAMPJが、第1〜第Jの出力分圧ノードNDO1〜NDOJの駆動を停止する。
【0092】
図10に、パワーセーブ信号PSのタイミングの一例を示す。図10では、パワーセーブ信号PSと階調電圧V1の変化のみを示しているが、他の階調電圧V2〜V62についても同様である。
【0093】
パワーセーブ信号PSは、1ラインの走査期間である1H期間中の前半をボルテージフォロワ回路駆動期間として、Hレベルとなる。これにより、第1〜第Jのボルテージフォロワ回路OPAMP1〜OPAMPJの電流源が動作し、第1〜第Jの出力分圧ノードNDO1〜NDOJを駆動する。従って、階調電圧V1は、抵抗素子により分圧して出力する場合に比べて、より早く目的とする電圧レベルに到達する。
【0094】
その後、1H期間中の後半をボルテージフォロワ回路非駆動期間として、パワーセーブ信号PSがLレベルとなる。これにより、第1〜第Jのボルテージフォロワ回路OPAMP1〜OPAMPJの電流源の動作が停止する。従って、ボルテージフォロワ回路非駆動期間では、出力側抵抗回路144の抵抗素子により分圧された電圧レベルが保持される。既に、ボルテージフォロワ回路駆動期間において目的とする電圧レベルに到達しているため、ボルテージフォロワ回路非駆動期間において第1〜第Jのボルテージフォロワ回路OPAMP1〜OPAMPJの電流源の動作を停止させても階調電圧のレベルを維持できる。このため、各階調電圧のレベルを変動させることなく、低消費電力化を図ることができる。
【0095】
ここで、液晶表示装置A、Bに最適な階調電圧を発生する場合がを考える。
【0096】
図11に、液晶表示装置A、Bのガンマ特性を示す。
【0097】
この場合、例えば階調「61」に対して、液晶表示装置Aを駆動する場合は階調電圧「V61A」を発生し、液晶表示装置Bを駆動する場合は階調電圧「V61B」を発生させる必要がある。
【0098】
しかしながら本実施形態によれば、ガンマ補正制御信号GAMに基づいて、抵抗分割ノードの中から最適な抵抗分割ノードを選択すればよいため、種々のガンマ特性に応じた階調電圧を安定して供給できる。
【0099】
図11に示すように、液晶表示装置のガンマ特性は、製品や製造ばらつき等によって異なる。しかしながら、大きく異なるのは高電位側電源電圧VDDRに近い階調電圧群と低電位側電源電圧VSSに近い階調電圧群に限られる。階調電圧の中間付近(中間階調付近)では、階調に対する階調電圧の関係が線形関係となり、階調電圧を調整する必要がないからである。そこで、図11に示すように、高電位側電源電圧VDDR及び低電位側電源電圧VSSに近い例えば階調電圧V1〜V8、V59〜V62を調整できればよい。従って、高電位側電源電圧VDDR及び低電位側電源電圧VSSに最も近い階調電圧V1、V62を少なくとも調整できることが望ましい。こうすることで、付加回路の増加を最低限に抑え、種々のガンマ特性に対応した階調電圧を発生できる階調電圧発生回路を提供できる。
【0100】
また本実施形態では、複数の階調電圧V0〜V63のうち階調電圧V1、V62(第1及び第2の階調電圧)の間の例えば階調電圧V3(第3の階調電圧)を出力する第3の選択回路SEL3を含むことが望ましい。この第3の選択回路SEL3は、第1〜第Kの抵抗分割ノードtp1〜tpKのうち複数の抵抗分割ノードの電圧の中から、階調電圧V1、V62(第1及び第2の階調電圧)の間の階調電圧V3(第3の階調電圧)を出力する。このとき、第1の選択回路SEL1が選択する抵抗分割ノード数が、第3の選択回路SEL3が選択する抵抗分割ノード数より多い。そして、第2の選択回路SEL2が選択する抵抗分割ノード数が、第3の選択回路SEL3が選択する抵抗分割ノード数より多い。
【0101】
ガンマ特性は、上述のように、その特性が大きく異なるのは高電位側電源電圧VDDRに近い階調電圧群と低電位側電源電圧VSSに近い階調電圧群に限られる。従って、高電位側電源電圧VDDR及び低電位側電源電圧VSSに近い程、1つの階調電圧を選択するための選択回路の選択可能なノード数を多くすることにより、簡素な構成で、種々のガンマ特性に応じた階調電圧を発生させることが可能となる。
【0102】
更に、複数の階調電圧のうち高電位側電源電圧VDDR(第1の電源電圧)又は低電位側電源電圧VSS(第2の電源電圧)に近い階調電圧ほど、階調電圧間の電圧差が大きいことが望ましい。これは、図9又は図11に示すように、高電位側電源電圧VDDR(第1の電源電圧)又は低電位側電源電圧VSS(第2の電源電圧)に近い階調電圧ほど、1階調当たりの液晶印加電圧の変化が大きくなるからである。こうすることによっても、簡素な構成で、種々のガンマ特性に応じた階調電圧を発生させることが可能となる。
【0103】
4.1 比較例
次に本実施形態の比較例との対比において、本実施形態における階調電圧発生回路140を説明する。
【0104】
図12に、本実施形態の第1の比較例における階調電圧発生回路300の構成例を示す。但し、図5又は図7に示す本実施形態の階調電圧発生回路140と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0105】
第1の比較例における階調電圧発生回路300は、入力電圧差(|VDDR−VSS|)から、基準階調電圧VREF1〜VREF9を生成する。そして、基準階調電圧差(|VREF1−VREF2|等)から、階調電圧V0〜V63を生成する。
【0106】
階調電圧発生回路300は、高電位側電源線と低電位側電源線との間にガンマ補正抵抗rP1〜rP8が直列に接続される。また、高電位側電源線と低電位側電源線との間に、ガンマ補正抵抗rQ1〜rQ63が直列に接続される。高電位側電源線には、高電位側電源電圧VDDRが供給される。低電位側電源線には、低電位側電源電圧VSSが供給される。
【0107】
ガンマ補正抵抗rP1〜rP8は可変抵抗であり、ガンマ補正抵抗rQ1〜rQ63は固定抵抗である。ガンマ補正抵抗rP1〜rP8は、補正信号P1〜P8によりその抵抗値が調整される。
【0108】
ガンマ補正抵抗rP1〜rP8の各ガンマ補正抵抗の接続ノードと、この接続ノードと対応する階調電圧発生ノードとの間には、ボルテージフォロワ回路VC1〜VC7が接続される。
【0109】
ガンマ補正抵抗rP1〜rP8のデフォルト時の抵抗値、ガンマ補正抵抗rQ1〜rQ63のデフォルト時の抵抗値は、液晶表示装置のガンマ特性に応じて決定される。そして、ガンマ補正抵抗の入力側と出力側において各基準階調電圧間の抵抗値は同一となるように決定される。例えば基準階調電圧VREF1〜VREF2間に関して、(rP1のデフォルト時の抵抗値)=(qQ1の抵抗値)+(rQ2の抵抗値)となる。
【0110】
ここで、図11の液晶表示装置Aに対してデフォルト時の抵抗値を決定しているものとする。液晶表示装置Bのガンマ特性に応じた階調電圧を発生させる場合、補正信号によりガンマ補正抵抗rP1〜rP8の抵抗値を変更し、例えば階調電圧「V61A」から「V61B」に変更する。
【0111】
ところが、各ボルテージフォロワ回路の入力側と出力側との間に電位差が生じ、出力側のガンマ補正抵抗とボルテージフォロワ回路との間に電流が流れる。即ち、例えばガンマ補正抵抗rP1を変更して入力側のガンマ補正抵抗比を変更するため、(rP1の変更後の抵抗値)<(rQ1の抵抗値)+(rQ2の抵抗値)、或いは(rP1の変更後の抵抗値)>(rQ1の抵抗値)+(rQ2の抵抗値)となり、ボルテージフォロワ回路VC1の入力側と出力側との間に電位差が生じ、電流Iが発生する。
【0112】
また、この電流Iの発生に起因して、ボルテージフォロワ回路の位相余裕が小さくなる場合がある。この場合、ボルテージフォロワ回路が発振し易くなる。これにより、安定した階調電圧を供給することができなくなる。更に、電流Iの発生によって、消費電力が増大してしまう。更にまた、ボルテージフォロワ回路の設計時の条件と異なる条件で動作することになるため、より一層、発振状態に陥りやすい状態を招くことになる。
【0113】
これに対して本実施形態における階調電圧発生回路140では、入力側の抵抗素子の抵抗値がすべて固定であるため、ガンマ特性の調整は出力側の抵抗素子の抵抗値を変更することで実現される。このため、各ボルテージフォロワ回路の入力側と出力側の電位とは常に同一となる。従って、第1の比較例における階調電圧発生回路300における電流Iの発生を回避できる。これにより、電流Iの削減によって消費電流を低減でき、ボルテージフォロワ回路の発振を回避できる。
【0114】
また、各ボルテージフォロワ回路の入力側と出力側の電位とは常に同一となるため、図10に示すように、目的とする電圧レベルに到達した後はボルテージフォロワ回路の動作を停止させることができる。ところが、第1の比較例では、ボルテージフォロワ回路が、常に出力を駆動する必要があり、該ボルテージフォロワ回路の動作を停止させることができない。このように本実施形態によれば、第1の比較例と比べて大幅に消費電力を削減できる。
【0115】
図13に、本実施形態の第2の比較例における階調電圧発生回路400の構成例を示す。但し、図12に示す第1の比較例における階調電圧発生回路300と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0116】
第2の比較例における階調電圧発生回路400が、第1の比較例における階調電圧発生回路300と本質的に異なる点は、階調電圧V0、V1、V62、V63を電源回路で直接生成する点である。この電源回路では、電子ボリューム等で、階調電圧V0、V1、V62、V63の電圧が調整される。
【0117】
しかしながら、電源回路がより多くの電源電圧を生成する必要があるため、付加回路の増加、レイアウト面積の増大等によりコスト高を招く。しかも、第2の比較例においても、ボルテージフォロワ回路の入力側でガンマ補正抵抗を調整しているため、第1の比較例と同様の問題が生ずる。
【0118】
従って、第2の比較例との対比において、本実施形態における階調電圧発生回路140は、階調電圧発生回路140に電源電圧を供給する電源回路を簡素化できるため、低コスト化を実現できる。しかも、本実施形態によれば、上述のように、低消費電力で、種々のガンマ特性に応じた階調電圧を安定して供給できる。
【0119】
なお本発明は、上述した構成に限定されるものではない。
【0120】
4.2 変形例
図14に、本実施形態の第1の変形例における階調電圧発生回路500の構成例の回路図を示す。但し、図5に示す本実施形態における階調電圧発生回路140と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0121】
第1の変形例における階調電圧発生回路500は、更に、入力側オフセット用抵抗回路(第1のオフセット用抵抗回路)IR0、IRJ+2、出力側オフセット用抵抗回路(第2のオフセット用抵抗回路)OSR1、OSR2を含む。入力側オフセット用抵抗回路IR0は、入力側抵抗回路(第1の抵抗回路)の一端に接続される。出力側オフセット用抵抗回路OSR1は、出力側抵抗回路(第2の抵抗回路)の一端に接続される。入力側オフセット用抵抗回路IRJ+2は、入力側抵抗回路(第1の抵抗回路))の一端に接続される。出力側オフセット用抵抗回路OSR2は、出力側抵抗回路(第2の抵抗回路)の他端に接続される。ここで、第iのボルテージフォロワ回路(第iのインピーダンス変換回路)OPAMPiの入力電圧と出力電圧とが等しくなるように、入力側オフセット用抵抗回路を含む入力側抵抗回路の抵抗比と、出力側オフセット用抵抗回路を含む出力側抵抗回路の抵抗比とが設定される。
【0122】
そして、高電位側電源線が、入力側オフセット用抵抗回路IR0及び出力側オフセット用抵抗回路OSR1の一端又は他端のいずれかに電気的に接続される。即ち、高電位側電源電圧VDDR(第1の電源電圧)が、入力側オフセット用抵抗回路IR0及び出力側オフセット用抵抗回路OSR1の一端又は他端のいずれかに供給される。従って、入力側抵抗回路142及び出力側抵抗回路144の一端には、高電位側電源電圧VDDRが直接供給され、又は高電位側電源電圧VDDRが入力側オフセット用抵抗回路IR0、出力側オフセット用抵抗回路OSR1を介して供給される。このとき、スイッチ回路SW1、SW2を同一の制御信号で切り替えて、高電位側電源電圧VDDRが階調電圧V0として供給され続けることが望ましい。
【0123】
同様に、低電位側電源線が、入力側オフセット用抵抗回路IRJ+2、出力側オフセット用抵抗回路OSR2の一端又は他端のいずれかに電気的に接続される。即ち、低電位側電源電圧VSS(第2の電源電圧)が、入力側オフセット用抵抗回路IRJ+2及び出力側オフセット用抵抗回路OSR2の一端又は他端のいずれかに供給される。従って、入力側抵抗回路142及び出力側抵抗回路144の他端には、低電位側電源電圧VSSが直接供給され、又は低電位側電源電圧VSSが入力側オフセット用抵抗回路IRJ+2、出力側オフセット用抵抗回路OSR2を介して供給される。このとき、スイッチ回路SW3、SW4を同一の制御信号で切り替えて、低電位側電源電圧VSSが階調電圧V63として供給され続けることが望ましい。
【0124】
第1の変形例によれば、線形関係にある中間階調領域の各階調電圧を含めて、ガンマ特性に応じて全体の階調電圧をより細かく調整できるようになる。
【0125】
なお図14では、高電位側にスイッチ回路SW1、SW2を設けるだけでなく、低電位側にスイッチ回路SW3、SW4を設けているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、高電位側及び低電位側のうち少なくとも一方に設けるだけでもよい。
【0126】
図15に、本実施形態の第2の変形例における第1の選択回路SEL1の構成例の回路図を示す。但し、図8に示す本実施形態における第1の選択回路SEL1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0127】
第2の変形例における第1の選択回路SEL1は、本実施形態又は第1の変形例における階調電圧選択回路を構成する各選択回路に適用できる。
【0128】
第2の変形例における第1の選択回路SEL1(広義には階調電圧選択回路)は、複数の第1のスイッチ素子SWE1と、1つの第2のスイッチ素子SWE2とを含む。複数の第1のスイッチ素子SWE1の各第1のスイッチ素子の一端は、出力側抵抗回路144(第2の抵抗回路)の複数の抵抗分割ノードのいずれかに接続される。各第1のスイッチ素子SWE1の構成は同一である。
【0129】
第2のスイッチ素子SWE2の一端は、出力側抵抗回路144(第2の抵抗回路)の複数の抵抗分割ノードのいずれかに接続される。そして、第2のスイッチ素子SWE2のオン抵抗値は、複数の第1のスイッチ素子の各第1のスイッチ素子のオン抵抗値より小さい。ここでオン抵抗値とは、スイッチ素子がオン状態(導通状態)になったときの抵抗値いう。
【0130】
図16に、第1のスイッチ素子SWE1及び第2のスイッチ素子SWE2のスイッチ制御のタイミング図を示す。
【0131】
まず、複数の階調電圧V0〜V63のいずれか1つの階調電圧(図15では階調電圧V1(第4の階調電圧))を出力する場合に、第2のスイッチ素子SWE2をオン、複数の第1のスイッチ素子SWE1のすべてをオフとして第2のスイッチ素子SWE2を介して階調電圧V1(第4の階調電圧)を出力する。これにより、より低いオン抵抗値のスイッチ素子を介して階調電圧V1を大まかな電圧レベルに設定できる。このとき、第1のスイッチ素子SWE1を介して階調電圧を出力する場合に比べて、目的とする電圧に到達する速度が速く、消費電力も小さい。
【0132】
その後、第2のスイッチ素子SWE2をオフ、複数の第1のスイッチ素子SWE1のいずれか1つをオンして、オンとなった該第1のスイッチ素子を介して階調電圧V1(第4の階調電圧)を出力する。これにより、階調電圧V1の電圧レベルを精度良く設定できる。
【0133】
このような構成を採用することで、第1の選択回路SEL1を構成するすべてのスイッチ素子のオン抵抗値を低くするためにすべてのスイッチ素子の面積を大きくする必要がなくなる。従って、精度良く階調電圧のレベルを設定できる第1の選択回路SEL1を、より少ない面積で構成できる。
【0134】
また本実施形態、第1又は第2の変形例のように、高電位側から順に1又は複数の抵抗分割ノードの電圧から1つの階調電圧を発生させなくてもよい。例えば図17に示すように、階調電圧V1を選択するための第4の抵抗分割ノードtp4の電圧が、階調電圧V2を選択するための第3の抵抗分割ノードtp3の電圧より低い場合であってもよい。この場合、ガンマ補正制御信号GAMにより、階調電圧V1の電位が階調電圧V2の電位より高くなるように、それぞれ複数の抵抗分割ノードの電圧の中から選択する必要がある。
【0135】
また液晶の印加電圧を交流化するために極性反転駆動を行う場合、図18に示すように正極性用及び負極性用の階調電圧発生回路を設けることも可能である。
【0136】
図18に、正極性用及び負極性用の階調電圧発生回路を設けた場合の構成例を示す。
【0137】
正極性用階調電圧発生回路600は、液晶の印加電圧が正極性の期間で用いられる階調電圧V0p〜V63pを生成する。負極性用階調電圧発生回路610は、液晶の印加電圧が負極性の期間で用いられる階調電圧V0n〜V63nを生成する。DACでは、正極性の期間で階調電圧V0p〜V63pのうちいずれか1つの階調電圧を選択し、負極性の期間で階調電圧V0n〜V63nのうちいずれか1つの階調電圧を選択する。
【0138】
正極性用階調電圧発生回路600及び負極性用階調電圧発生回路610は、それぞれ高電位側電源線及び低電位側電源線の間に設けられる。正極性用階調電圧発生回路600及び負極性用階調電圧発生回路610として、本実施形態、第1又は第2の変形例における階調電圧発生回路が適用される。
【0139】
5. 電子機器
図19に、上述の階調電圧発生回路を含む駆動回路が適用された電子機器の構成例のブロック図を示す。ここでは、電子機器として、携帯電話機の構成例のブロック図を示す。
【0140】
携帯電話機800は、カメラモジュール810を含む。カメラモジュール810は、CCDカメラを含み、CCDカメラで撮像した画像のデータを表示コントローラ802に供給する。表示コントローラ802として、図1の表示コントローラ38を採用できる。
【0141】
携帯電話機800は、表示パネル820を含む。表示パネル820として、図1の液晶表示パネル20を採用できる。この場合、表示パネル820は、表示ドライバ830によって駆動される。表示パネル820は、複数の走査線、複数のデータ線、複数の画素を含む。表示ドライバ830は、複数の走査線の1又は複数本単位で走査線を選択する走査ドライバの機能を有すると共に、画像データに対応した電圧を複数のデータ線に供給するデータドライバの機能を有する。このような表示ドライバ830の機能は、本実施形態、第1又は第2の変形例における階調電圧発生回路を含むデータドライバと、図1の走査ドライバ32とで実現できる。
【0142】
表示コントローラ802は、表示ドライバ830に接続され、表示ドライバ830に対して画像データを供給する。
【0143】
ホスト840は、表示コントローラ802に接続される。ホスト840は、表示コントローラ802を制御する。またホスト840は、アンテナ860を介して受信された画像データを、変復調部850で復調した後、表示コントローラ802に供給できる。表示コントローラ802は、この画像データに基づき、表示ドライバ830により表示パネル820に表示させる。
【0144】
ホスト840は、カメラモジュール810で生成された画像データを変復調部850で変調した後、アンテナ860を介して他の通信装置への送信を指示できる。
【0145】
ホスト840は、操作入力部870からの操作情報に基づいて画像データの送受信処理、カメラモジュール810の撮像、表示パネルの表示処理を行う。
【0146】
なお電気光学装置としての液晶表示装置880は、表示コントローラ802、表示ドライバ830及び表示パネル820を含むことができる。この場合、ホスト840が、液晶表示装置880に対して画像データを供給する。
【0147】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、本発明は上述の液晶表示装置の駆動に適用されるものに限らず、エレクトロクミネッセンス、プラズマディスプレイ装置の駆動に適用可能である。
【0148】
また、本発明のうち従属請求項に係る発明においては、従属先の請求項の構成要件の一部を省略する構成とすることもできる。また、本発明の1の独立請求項に係る発明の要部を、他の独立請求項に従属させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本実施形態における液晶表示装置の構成の概要の構成図。
【図2】本実施形態における液晶表示装置の他の構成の概要の構成図。
【図3】図1の電源回路の構成の概要を示すブロック図。
【図4】図1のデータドライバの構成の概要を示すブロック図。
【図5】図4の階調電圧発生回路の構成例の回路図。
【図6】第iのボルテージフォロワ回路の構成例の回路図。
【図7】本実施形態の階調電圧発生回路の他の構成例の図。
【図8】第1の選択回路の構成例を示す図。
【図9】液晶表示装置のガンマ特性の説明図。
【図10】パワーセーブ信号のタイミングの一例を示すタイミング図。
【図11】種々の液晶表示装置のガンマ特性の説明図。
【図12】本実施形態の第1の比較例における階調電圧発生回路の構成例を示す図。
【図13】本実施形態の第2の比較例における階調電圧発生回路の構成例を示す図。
【図14】本実施形態の第1の変形例における階調電圧発生回路の構成例の回路図。
【図15】本実施形態の第2の変形例における第1の選択回路の構成例の回路図。
【図16】図15の第1のスイッチ素子及び第2のスイッチ素子のスイッチ制御のタイミング図。
【図17】第1の選択回路の他の構成例の回路図。
【図18】正極性用及び負極性用の階調電圧発生回路を設けた場合の構成例を示す図。
【図19】本実施形態、第1又は第2の変形例における階調電圧発生回路が適用された表示ドライバを含む電子機器の構成例のブロック図。
【符号の説明】
【0150】
10 液晶表示装置、 20 液晶表示パネル、 30 データドライバ、
32 走査ドライバ、 34 電源回路、 38 表示コントローラ、
100 入力ラッチ回路、 110 シフトレジスタ、 120 ラインラッチ回路、
130 ラッチ回路、 140 階調電圧発生回路、 142 入力側抵抗回路、
144 出力側抵抗回路、 146 階調電圧選択回路、 150 DAC、
160 出力回路、 GAM ガンマ補正制御信号、
IR1〜IRJ+1 第1〜第(J+1)の入力側抵抗素子、
NDI1〜NDIJ 第1〜第Jの入力分圧ノード、
NDO1〜NDOJ 第1〜第Jの出力分圧ノード、
OPAMP1〜OPAMPJ 第1〜第Jのボルテージフォロワ回路、
OR1〜ORJ+1 第1〜第(J+1)の出力側抵抗素子、 PS パワーセーブ信号、
SEL1〜SEL3 第1〜第3の選択回路、
tp1〜tpK 第1〜第Kの抵抗分割ノード、 VDDR 高電位側電源電圧、
VSS 低電位側電源電圧、 V0〜V63 階調電圧
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の階調電圧を発生するための階調電圧発生回路であって、
第1及び第2の電源線の間に直列に接続されその抵抗値が固定の第1〜第(J+1)(Jは正の整数)の抵抗素子を有し、前記第1〜第(J+1)の抵抗素子により前記第1及び第2の電源線の間の電圧を分圧した第1〜第Jの入力分圧ノードを有する第1の抵抗回路と、
前記第1〜第Jの入力分圧ノードの各入力分圧ノードの電圧が各インピーダンス変換回路の入力に供給される第1〜第Jのインピーダンス変換回路と、
前記第1及び第2の電源線の間に接続され、前記第1及び第2の電源線の間の電圧を分圧した各出力分圧ノードが各インピーダンス変換回路によって駆動される第1〜第Jの出力分圧ノードを有する第2の抵抗回路と、
前記第2の抵抗回路の両端の電圧を分圧する第1〜第K(J<K、Kは整数)の抵抗分割ノードの電圧の中からL(J<L<K、Lは整数)種類の抵抗分割ノードの電圧を階調電圧として出力する階調電圧選択回路とを含み、
第i(1≦i≦J、iは整数)の出力分圧ノードの電圧が、
第iの入力分圧ノードの電圧と等しいことを特徴とする階調電圧発生回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記階調電圧選択回路が、
前記第1〜第Kの抵抗分割ノードのうち複数の抵抗分割ノードの電圧の中から、前記複数の階調電圧のうち前記第1の電源線の電圧に最も近い第1の階調電圧を出力する第1の選択回路と、
前記第1〜第Kの抵抗分割ノードのうち複数の抵抗分割ノードの電圧の中から、前記複数の階調電圧のうち前記第2の電源線の電圧に最も近い第2の階調電圧を出力する第2の選択回路とを含むことを特徴とする階調電圧発生回路。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1〜第Kの抵抗分割ノードのうち複数の抵抗分割ノードの電圧の中から、前記複数の階調電圧のうち前記第1及び第2の階調電圧の間の第3の階調電圧を出力する第3の選択回路を含み、
前記第1の選択回路が選択する抵抗分割ノード数が、前記第3の選択回路が選択する抵抗分割ノード数より多く、
前記第2の選択回路が選択する抵抗分割ノード数が、前記第3の選択回路が選択する抵抗分割ノード数より多いことを特徴とする階調電圧発生回路。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記複数の階調電圧のうち前記第1の電源線の電圧に近い階調電圧ほど、階調電圧間の電圧差が大きいことを特徴とする階調電圧発生回路。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記階調電圧選択回路が、
各第1のスイッチ素子の一端が前記第2の抵抗回路の複数の抵抗分割ノードのいずれかに接続された複数の第1のスイッチ素子と、
一端が前記第2の抵抗回路の複数の抵抗分割ノードのいずれかに接続され前記複数の第1のスイッチ素子の各第1のスイッチ素子よりオン抵抗値が小さい第2のスイッチ素子とを含み、
前記複数の階調電圧のいずれか1つの第4の階調電圧を出力する場合に、
前記第2のスイッチ素子がオン、前記複数の第1のスイッチ素子がオフとなり前記第2のスイッチ素子を介して前記第4の階調電圧を出力した後に、前記第2のスイッチ素子がオフ、前記複数の第1のスイッチ素子のいずれか1つがオンとなり、オンとなった該第1のスイッチ素子を介して前記第4の階調電圧を出力することを特徴とする階調電圧発生回路。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記第1〜第Jのインピーダンス変換回路が、
前記複数の階調電圧のいずれかが電気光学装置のデータ線に供給される1走査期間中の第1の期間において前記第1〜第Jの出力分圧ノードを駆動し、
前記1走査期間中の前記第1の期間後の第2の期間において前記第1〜第Jの出力分圧ノードの駆動を停止することを特徴とする階調電圧発生回路。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記第1の抵抗回路の一端にその一端が接続される第1のオフセット用抵抗回路と、
前記第2の抵抗回路の一端にその一端が接続される第2のオフセット用抵抗回路とを含み、
前記第1の電源線が、
前記第1及び第2のオフセット用抵抗回路の前記一端又は該第1及び第2のオフセット抵抗用回路の他端に電気的に接続されることを特徴とする階調電圧発生回路。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか記載の階調電圧発生回路と、
前記階調電圧発生回路が発生した複数の階調電圧のいずれかを用いて電気光学装置を駆動する出力回路とを含むことを特徴とする駆動回路。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか記載の階調電圧発生回路を含むことを特徴とする電気光学装置。
【請求項10】
請求項9記載の電気光学装置を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
複数の階調電圧を発生するための階調電圧発生回路であって、
第1及び第2の電源線の間に直列に接続されその抵抗値が固定の第1〜第(J+1)(Jは正の整数)の抵抗素子を有し、前記第1〜第(J+1)の抵抗素子により前記第1及び第2の電源線の間の電圧を分圧した第1〜第Jの入力分圧ノードを有する第1の抵抗回路と、
前記第1〜第Jの入力分圧ノードの各入力分圧ノードの電圧が各インピーダンス変換回路の入力に供給される第1〜第Jのインピーダンス変換回路と、
前記第1及び第2の電源線の間に接続され、前記第1及び第2の電源線の間の電圧を分圧した各出力分圧ノードが各インピーダンス変換回路によって駆動される第1〜第Jの出力分圧ノードを有する第2の抵抗回路と、
前記第2の抵抗回路の両端の電圧を分圧する第1〜第K(J<K、Kは整数)の抵抗分割ノードの電圧の中からL(J<L<K、Lは整数)種類の抵抗分割ノードの電圧を階調電圧として出力する階調電圧選択回路とを含み、
第i(1≦i≦J、iは整数)の出力分圧ノードの電圧が、
第iの入力分圧ノードの電圧と等しいことを特徴とする階調電圧発生回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記階調電圧選択回路が、
前記第1〜第Kの抵抗分割ノードのうち複数の抵抗分割ノードの電圧の中から、前記複数の階調電圧のうち前記第1の電源線の電圧に最も近い第1の階調電圧を出力する第1の選択回路と、
前記第1〜第Kの抵抗分割ノードのうち複数の抵抗分割ノードの電圧の中から、前記複数の階調電圧のうち前記第2の電源線の電圧に最も近い第2の階調電圧を出力する第2の選択回路とを含むことを特徴とする階調電圧発生回路。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1〜第Kの抵抗分割ノードのうち複数の抵抗分割ノードの電圧の中から、前記複数の階調電圧のうち前記第1及び第2の階調電圧の間の第3の階調電圧を出力する第3の選択回路を含み、
前記第1の選択回路が選択する抵抗分割ノード数が、前記第3の選択回路が選択する抵抗分割ノード数より多く、
前記第2の選択回路が選択する抵抗分割ノード数が、前記第3の選択回路が選択する抵抗分割ノード数より多いことを特徴とする階調電圧発生回路。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記複数の階調電圧のうち前記第1の電源線の電圧に近い階調電圧ほど、階調電圧間の電圧差が大きいことを特徴とする階調電圧発生回路。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記階調電圧選択回路が、
各第1のスイッチ素子の一端が前記第2の抵抗回路の複数の抵抗分割ノードのいずれかに接続された複数の第1のスイッチ素子と、
一端が前記第2の抵抗回路の複数の抵抗分割ノードのいずれかに接続され前記複数の第1のスイッチ素子の各第1のスイッチ素子よりオン抵抗値が小さい第2のスイッチ素子とを含み、
前記複数の階調電圧のいずれか1つの第4の階調電圧を出力する場合に、
前記第2のスイッチ素子がオン、前記複数の第1のスイッチ素子がオフとなり前記第2のスイッチ素子を介して前記第4の階調電圧を出力した後に、前記第2のスイッチ素子がオフ、前記複数の第1のスイッチ素子のいずれか1つがオンとなり、オンとなった該第1のスイッチ素子を介して前記第4の階調電圧を出力することを特徴とする階調電圧発生回路。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記第1〜第Jのインピーダンス変換回路が、
前記複数の階調電圧のいずれかが電気光学装置のデータ線に供給される1走査期間中の第1の期間において前記第1〜第Jの出力分圧ノードを駆動し、
前記1走査期間中の前記第1の期間後の第2の期間において前記第1〜第Jの出力分圧ノードの駆動を停止することを特徴とする階調電圧発生回路。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記第1の抵抗回路の一端にその一端が接続される第1のオフセット用抵抗回路と、
前記第2の抵抗回路の一端にその一端が接続される第2のオフセット用抵抗回路とを含み、
前記第1の電源線が、
前記第1及び第2のオフセット用抵抗回路の前記一端又は該第1及び第2のオフセット抵抗用回路の他端に電気的に接続されることを特徴とする階調電圧発生回路。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか記載の階調電圧発生回路と、
前記階調電圧発生回路が発生した複数の階調電圧のいずれかを用いて電気光学装置を駆動する出力回路とを含むことを特徴とする駆動回路。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか記載の階調電圧発生回路を含むことを特徴とする電気光学装置。
【請求項10】
請求項9記載の電気光学装置を含むことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−39205(P2006−39205A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−218841(P2004−218841)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]