説明

障害対応管理システム

【課題】迅速な障害対応処理を実現可能な障害対応管理システムを得ること。
【解決手段】本発明は、ネットワークの状態を監視し、障害発生を検知するネットワーク監視機能を有する障害対応管理システムであって、障害の復旧対応などのプロセスにおいて実行したイベントの情報を管理するイベントログデータベース(13)と、ネットワーク監視機能によりネットワーク障害が検知された場合に、システム内の携帯電話(65,66,67,68)へネットワーク障害が発生した旨の通知を行い、また、イベントログデータベース(13)に記録された情報に基づいて障害復旧対応プロセスの進捗を把握し、進捗状況に問題がある場合、システム内の携帯電話(65,66,67,68)の全部または一部を利用して、問題を解消するための指示を行うネットワーク障害管理装置(1)と、を備えることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信サービスプロバイダが提供するネットワークにおけるネットワーク障害管理技術に関するものであり、特に、障害発生時に実行する処理の迅速化を実現する障害対応管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
通信サービスプロバイダが提供するネットワークにおいて発生した障害を管理する従来技術として、たとえば下記特許文献1に記載の技術が存在する。
【0003】
下記特許文献1に記載によれば、この従来技術を適用したシステムは、図10に示した構成をとり、通信サービスプロバイダが提供するネットワークにおいて障害が発生すると(例えばネットワーク機器(Network Equipment)であるNEのいずれかにおいて障害が発生すると)、NMSサーバにて障害を検知し、NMSワークステーション上の画面に故障発生を表示する。これにより、通信サービスプロバイダの保守担当者は、障害検知を認識する。そして、保守担当者は、検知された障害に関する情報をネットワーク機器ベンダや顧客へ伝達するため、NMSワークステーションにて入力することにより、保守情報提供サーバを経由して、あらかじめ保守情報提供サーバにて記憶している連絡先である、顧客の担当者がもつ携帯端末(顧客の携帯端末)およびネットワーク機器ベンダの担当者がもつ携帯端末(機器ベンダの携帯端末)へ通知する。
【0004】
【特許文献1】特許第3654151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の技術では、通信サービスプロバイダにて検知したネットワーク障害について顧客やネットワーク機器ベンダに対して迅速に通知し、また、Webブラウザを利用した顧客からの要求に対する情報開示が可能である。しかしながら、上記特許文献1においては、ネットワーク障害発生後の通信サービスプロバイダにおける障害対応措置についての記述がなされていない、すなわち、従来技術を利用した場合、通信サービスプロバイダにおける決められたプロセスに対応した業務(例えば、顧客に対する報告のために必要な管理者承認の取得、など)を行うことができない、という問題点があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ネットワーク障害管理装置を通して、通信サービスプロバイダの中であらかじめ取り決めた障害対応プロセスに則って、障害対応処理を実行可能な障害対応管理システムを得ることを目的とする。また、この対応処理によって通信サービスプロバイダと顧客との間で取り交わされた契約などに記述された報告期限に遅延することを防止するため、遅延防止の仕組みを提供することも可能である。また、その過程を示した証跡を残すことができ、その対応プロセスを後日監査することが可能な障害対応管理システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ネットワークの状態を監視し、障害発生を検知するネットワーク監視機能を有する障害対応管理システムであって、障害の復旧対応などのプロセスにおいて実行したイベントの情報を管理するイベントログデータベースと、前記ネットワーク監視機能によりネットワーク障害が検知された場合に、システム内の携帯電話へネットワーク障害が発生した旨の通知を行い、また、前記イベントログデータベースに記録された情報に基づいて障害復旧対応プロセスの進捗を把握し、進捗状況に問題がある場合、当該システム内の携帯電話の全部または一部を利用して、問題を解消するための指示を行うネットワーク障害管理装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、通信サービスプロバイダのネットワーク障害対処部門の管理者や担当者が所有する携帯電話に対して障害発生を通知することにより、管理者や担当者などに対して迅速にネットワーク障害を通報するとともに、たとえば、承認処理が滞っている場合には担当者とその管理者の携帯電話間の呼制御を行い、音声通話を利用した承認処理を実行させるようにしたので、保守業務や顧客への報告業務などにおいて必要な管理者の承認処理を遅滞なく実施できる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明にかかる障害対応管理システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる障害対応管理システムの実施の形態1の構成例を示す図である。図1において、1は、ネットワーク障害が発生した場合に、その旨を関係者へ通知したり、データベースを利用して障害に関する情報を管理したりするネットワーク障害管理装置、2は、管理するネットワークの状態を監視し、障害発生を検知するネットワーク監視装置、3は、ネットワークシステム、4は、Webサーバである。また、5は、通信サービスプロバイダの営業部門担当者であり、6は、通信サービスプロバイダの保守部門担当者である。さらに、7は、営業部門および/または保守部門の管理者、8は、管理者7の代行者である。また、65は、営業部門の担当者がもつ携帯電話、66は、保守部門の担当者がもつ携帯電話、67は、管理者がもつ携帯電話、68は、管理者の代行者がもつ携帯電話である。またさらに、11は、通信サービスプロバイダが提供しているネットワークシステムの顧客とそのシステム管理などの担当者の情報、ネットワークシステムを構成するネットワーク装置とそのベンダの情報、通信サービスプロバイダ内の営業担当者や保守担当者などの情報、などを管理するネットワーク情報データベース、12は、ネットワークシステムで発生した障害についての各種情報を管理する障害状況管理データベース、13は、障害の復旧対応などのために実行したイベント(関係者への連絡など)についての情報を記録するイベントログデータベースである。そして、14は、イベントログデータベース13内にある、承認時音声ファイルを示している。
【0011】
また、図1に示した21は、顧客のネットワークシステム担当者、22は、エンドユーザを示し、31は、ネットワーク機器ベンダの機器保守担当者を示している。
【0012】
図2は、ネットワーク障害検知から対応までの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0013】
図3は、担当者が管理者(または代行者)の承認を取得する場合の音声ファイルの登録処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0014】
図4は、担当者が管理者(または代行者)の承認を取得する場合のプロセスの一例を示すフローチャートである。
【0015】
次に動作について説明する。まず、顧客のエンドユーザ22は、通信サービスプロバイダが提供するネットワークシステム3を利用する。また、顧客のネットワークシステム担当者21は、ネットワークシステム3に関する自社内連絡等、管理を行う。このネットワークシステム担当者21は、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)を使用して通信サービスプロバイダ中のWebサーバ4へアクセスする、通信サービスプロバイダの営業部門担当5に問い合わせるなどしてネットワークシステム3の状況についての確認などを行い、エンドユーザ22が使用しているネットワークシステム3の管理業務を実施する。なお、Webサーバ4へのアクセスはWebブラウザ機能を有する一般的な携帯電話からも可能となっている。そのため、Webサーバ4は、接続処理において認識した接続要求元の装置の種類、状態などに基づいて、当該接続要求元にとって最適な画面表示が可能となるように、情報を適宜加工して接続相手(接続要求元)へ送信する。また、図1に示したように、ネットワーク機器ベンダの機器保守担当者31からもWebサーバ4へアクセス可能であり、この場合も、Webサーバ4は、情報を適宜加工して接続相手へ送信する。さらに、アクセス権限を有する他のユーザ(たとえば、通信サービスプロバイダの保守部門の担当者など)からもWebサーバ4へアクセス可能である。
【0016】
また、ネットワークシステム3に含まれるネットワーク機器のベンダには、そのネットワーク機器の機器保守担当者31がおり、ネットワーク機器が故障したときは、故障機の交換などを行う役目を担っている。
【0017】
また、通信サービスプロバイダが管理するネットワークシステム3においてネットワーク障害が発生した場合の各装置等の動作について図2を参照しながら説明する。ネットワーク監視装置2は、ネットワーク情報データベース11に格納されているネットワーク構成情報などを参照して、ネットワークシステム3を構成する各機器を監視する。また、障害の発生箇所および障害の影響を受けるネットワークユーザ(顧客)の特定を行う。そして、ネットワーク監視装置2は、監視対象機器における障害を検知すると(ステップS1)、障害が発生した機器の情報およびその機器を含むネットワークシステムの情報をネットワーク障害管理装置1へ送信することにより、障害が発生したことを通知する(ステップS2)。
【0018】
上記ステップS2において障害発生の通知を受けたネットワーク障害管理装置1は、まず、この障害発生のログを障害状況管理データベース12へ記録する。また、ネットワーク情報データベース11には、障害が発生したネットワークシステムに関係する通信サービスプロバイダ内の関係者の連絡先(携帯電話の電話番号など)があらかじめ記録されている。ネットワーク障害管理装置1は、関係者の連絡先情報をネットワーク情報データベース11から取得し、各関係者の携帯電話65,66,67,68に対して障害が発生した旨を通知する(ステップS3)。この通知は、携帯電話がもつメール機能を用いて、プッシュ型にて行う。通知を受けた担当者や管理者は必要であれば、自分がもつ端末からネットワーク障害管理装置1を経由して、イベントログデータベース13などへアクセスすることにより、発生したネットワーク障害に関する履歴などの詳細情報を知ることができる。
【0019】
また、通信サービスプロバイダの保守部門担当者6は、上記ネットワーク障害の原因を追究し、必要な障害対応措置を実施する(ステップS4)。このとき、ネットワーク機器の交換が必要と判断すれば、ネットワーク機器ベンダの機器保守担当者31に連絡して、故障したネットワーク機器の交換を要求する。ここで、保守部門担当者6からネットワーク機器ベンダの機器保守担当者31への連絡は、ネットワーク障害管理装置1を通して行い、ネットワーク障害管理装置1は、ネットワーク機器ベンダの機器保守担当者31への連絡を障害対応イベントとしてイベントログデータベース13へ登録する。
【0020】
上記ステップS4において必要な障害対応措置を実施後、通信サービスプロバイダの担当者(保守部門担当者6または営業部門担当者5)は、顧客に対してネットワークシステム3の障害内容、障害の解決、などについての報告を行う(ステップS5)。
【0021】
また、本発明では、たとえば上記ステップS4における措置を実施するにあたり保守部門担当者6がその管理者7の承認を得る必要がある場合、管理者7に対して承認確認の連絡を携帯電話にて行う。すなわち、携帯電話を使用して連絡を行うことにより、管理者が多忙であるなど、席に不在の場合でも、常に通話連絡が取れるようにする。なお、本実施の形態において使用する携帯電話は、無線LAN機能を搭載しており、社内にある無線コントローラと携帯電話の間にて常時通信を行い、携帯電話のユーザ(たとえば管理者7)が社内にいるか、社外にいるかを判定することができるもの(プレゼンス管理機能を有する携帯電話)を用いる。また、このネットワーク障害管理装置1は、通話を実施する2つの携帯電話間(ここでは保守部門担当者6の携帯電話66と管理者7の携帯電話68の間)の呼を制御し、これら2つの携帯電話同士を接続させる機能(IP電話の管理装置の機能)を有している。
【0022】
これらの機器(ネットワーク障害管理装置1,上述した無線LAN機能搭載の携帯電話)を用いると、例えば、社内にいる管理者7や管理者の代行者8に承認権限を優先的に与えるような運用にするならば、承認を得ようとしている管理者7や代行者8が社内にいるか否かを判定し、社内にいる管理者7や代行者8と承認を得ようとする担当者をネットワーク障害管理装置1からの制御により接続(通話)させることが可能である。
【0023】
また、このようなプレゼンス管理機能を使用しない場合であっても、携帯電話の電波不達などにより管理者と連絡がつかず、通話できないときには、ネットワーク障害管理装置1は、自動的に管理者の代行者の携帯電話に対して通話呼び出しを行い、通話連絡をとるような運用とすることも可能である。
【0024】
そして、担当者と通話状態となった管理者7またはその代行者8は、必要に応じて携帯電話による音声通話を利用して担当者からの依頼内容についての承認を行う。なお、図3は、携帯電話を使用した承認手順を示したフローチャートである。図3に示したように、携帯電話を使用して承認を行う場合、依頼者である担当者が承認者である管理者(または代行者)と通話を行い、承認を依頼する(ステップS11)。このときの通話内容は依頼者の携帯電話に録音される。管理者(または代行者)の承認が得られた場合(ステップS12,Yes)、担当者の携帯電話は、承認を得た際の通話録音内容をネットワーク障害管理装置1へ承認イベントとともに承認時音声ファイルとして送付し(ステップS14)、ネットワーク障害管理装置1は、受信した承認イベントおよび承認時音声ファイル14を関連付けてイベントログデータベース13へ保存する(ステップS15)。これに対して、管理者(または代行者)の承認が得られない場合(ステップS12,No)、担当者は承認を得るために必要な措置を実行後(ステップS13)、承認者に対して再度承認依頼を行う。なお、ここでは、承認を依頼する側の携帯電話で通話内容を録音するものとして説明を行ったが、承認依頼を受けた側で録音するようにしてもよいし、双方で録音するようにしてもよい。また、いずれの場合も、通話録音内容は、ネットワーク管理装置1経由でイベントログデータベース13へ保存される。
【0025】
一方、営業部門担当者5は、顧客のネットワークシステム担当からの問い合わせを受けた場合はもとより、問い合わせを受けなかった場合であっても、ネットワーク障害が発生したことを所定の期限内に顧客に報告する必要がある。また、ネットワーク障害への対処、解決、またその過程、場合によってはネットワーク障害再発防止策などを顧客に対して報告する義務がある。この場合においても管理者7に対して承認確認を行う必要があるため、上述した保守部門担当者6が管理者7などから承認をとるのと同様な手順で、携帯電話を使用した承認処理を行う。
【0026】
ここで、顧客への報告では、報告期限があるため、報告期限が迫っているのに、顧客への報告がない場合には、ネットワーク障害管理装置1は、担当者(ここでは営業部門担当者5)に対して客先報告を急がせるために、図4に示すようなフローの処理を実行する。処理を具体的に示すと、ネットワーク障害管理装置1は、顧客への報告期限が迫っているにもかかわらず報告が行われていないことを検出した場合、担当者から管理者(ここでは管理者8)への承認依頼がされているかどうかを確認する(ステップS21,S22)。報告期限が迫っているかどうか、および顧客への報告が行なわれたかどうかは、たとえば、イベントログデータベース13へ登録されている情報から判断する。
【0027】
ステップS22における確認の結果、承認依頼が行われていなければ(ステップS22,No)、承認依頼を行うように担当者へメールで通告する(ステップS23)。一方、担当者から管理者へ承認依頼がされている場合(ステップS22,Yes)、管理者による承認が既に行われているかどうかを確認する(ステップS24)。管理者による承認が済んでいる場合(ステップS24,Yes)、顧客への報告を行うように担当者へメールで通告する(ステップS25)。一方、承認が済んでいない場合(ステップS24,No)、管理者が社内にいるかどうか、すなわちネットワーク障害管理装置1が呼制御を行い担当者と管理者を通話させることができるかどうかを確認する(ステップS26)。管理者が社内にいれば(ステップS26,Yes)、ネットワーク障害管理装置1は、自動的に管理者と担当者の携帯電話に対して通話呼び出しを行い、承認を行うように管理者に対して促す(ステップS27)。ここでは、たとえば、管理者と担当者が通話を開始後、ネットワーク障害管理装置1が音声メッセージを流すことにより承認処理の実行を促す。なお、ネットワーク障害管理装置1は、音声メッセージを利用するのではなく、通話呼び出しを行う前に、承認処理を実行するように予めメールで通告してもよいし、メールによる通告と音声メッセージによる通告を併用してもよい。また、携帯電話を使用して行う承認処理は、上記図3に示した携帯電話を使用した承認手順に従い行う。
【0028】
これに対して、管理者が社内にいない場合(ステップS26,No)、管理者の代行者が社内にいるかどうかを確認する(ステップS28)。代行者が社内にいれば(ステップS28,Yes)、ネットワーク障害管理装置1は、自動的に代行者と担当者の携帯電話に対して通話呼び出しを行い、承認を行うように代行者に対して促す(ステップS29)。承認処理の実行を促す方法は、上記ステップS27と同様の方法を使用する。また、代行者も社内にいない場合(ステップS28,No)、ネットワーク障害管理装置1は、担当者に対してメールを送信し、社外にいる承認者(管理者または代行者)へ電話をかけて承認を得るように、通告する(ステップS30)。以上のような手順をネットワーク障害管理装置1が実行することにより、担当者から顧客への報告を急がせることができ、また、担当者から承認依頼を受けているにもかかわらず承認を行っていない管理者に対して承認を促し、承認を可能な限り早く取得できるようにする。
【0029】
以上のような管理者または管理者の代行者の承認時の音声についても、上述した保守部門担当者がその管理者などから携帯電話を使用して承認を得る場合と同様に、承認時音声ファイルとして携帯電話へ録音し、担当者の携帯電話は、それをネットワーク障害管理装置1へ承認イベントとともに承認時音声ファイルを送付する。ネットワーク障害管理装置1は、受信した承認イベントおよび承認時音声ファイルをイベントログデータベース13へ保存する。なお、承認を行う者が社内にいる場合には、承認を行う側の携帯電話が承認時の通話録音を行ってもよい。
【0030】
なお、上述した保守部門担当者6が、その管理者などから承認を受ける場合の処理手順も図4に示した手順と同様である。すなわち、ネットワーク障害管理装置1は、担当者(この場合は保守部門担当者6)からネットワーク機器ベンダの機器保守担当者31への報告が期限内に行われないおそれがあると判断すると、担当者から管理者への承認依頼状況、管理者による承認状況、など確認し、必要に応じてメール送信や、担当者と管理者の携帯電話の呼制御を行い、担当者が承認を可能な限り早く取得できるようにする。
【0031】
また、上記説明においては、説明の便宜上、保守部門担当者の管理者と営業部門担当者の管理者が同一の場合について説明したが、管理者は部門毎に異なっていても構わない。また、承認者が複数存在する場合には、承認を行う者の優先順位などを予め決定しておき、この順位に従い承認依頼などを行うようにすればよい。
【0032】
このように、本実施の形態においては、通信サービスプロバイダのネットワーク障害対処部門の管理者や担当者に携帯電話を持たせ、ネットワーク障害管理装置は、これらの携帯電話に対して障害発生を通知することにより、管理者や担当者などに対して迅速にネットワーク障害を通報するとともに、たとえば、承認処理が滞っている場合には担当者とその管理者の携帯電話間の呼制御を行い、音声通話を利用した承認処理を実行させるようにした。これにより、通信サービスプロバイダ外の保守ベンダや顧客に対する報告において必要な管理者の承認処理を遅滞なく実施できる。また、すべての処理イベントをログに保存することにしてその証跡を残し、後日監査などが行われた場合においても、あらかじめ決められたプロセスにしたがって処理を実施していることを容易に確認することができる。
【0033】
なお、本実施の形態においては、監視対象のネットワークシステム3を通信サービスプロバイダ側で管理している場合(図1参照)の例について説明したが、ネットワークシステムを顧客側で管理している場合についても本発明は適用可能である。すなわち、通信サービスプロバイダ側のネットワーク監視装置が顧客側のネットワークシステムを監視するような構成のシステムに対しても本発明を適用可能である。これは、後述する実施の形態においても同様である。
【0034】
実施の形態2.
つづいて、実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1においては、担当者と管理者が携帯電話を使用して障害発生の通知を受けたり、関係者同士が携帯電話を使用して連絡を行ったり、また、各種手続に必要な承認取得などを行うことにより障害対応を行うこととしたが、本実施の形態においては、携帯電話に代えて机上電話(固定電話)を使用して行う障害対応動作について説明する。
【0035】
図5は、実施の形態2のネットワーク障害管理システムの構成例を示す図である。本実施の形態のネットワーク障害管理システムは、実施の形態1のネットワーク障害管理システム(図1参照)と比較して、各関係者(営業部門担当者、保守部門担当者、管理者など)が電話端末に代えて机上電話端末(据え置きタイプ)およびPCを使用する点が異なる。具体的には、営業部門担当者5が机上電話75およびPC85を使用する。同様に、保守部門担当者6,管理者7,管理者の代行者8は、それぞれ、机上電話76およびPC86,机上電話77およびPC87,机上電話78およびPC88を使用する。他の部分については上述した実施の形態1と同様であるため、それらの部分については、実施の形態1と同じ符号を付してその説明は省略する。
【0036】
ネットワーク障害検知から対応までの処理手順は、図2に示した実施の形態1における手順と同様である。ただし、本実施の形態のネットワーク情報データベース11へ記録されている通信サービスプロバイダ内の関係者の連絡先は、携帯電話ではなく机上電話の電話番号となる。そして、ステップS2において障害発生の通知を受けたネットワーク障害管理装置1は、ステップS3において、障害発生のログを障害状況管理データベース12へ記録後、各関係者のPCに対して障害が発生した旨を通知する。また、各関係者は、PCを使用してネットワーク障害管理装置1を経由して、イベントログデータベース13などへアクセスすることにより、発生したネットワーク障害に関する履歴などの詳細情報を知ることができる。
【0037】
また、担当者が管理者(または代行者)の承認を取得する場合の音声ファイルの登録処理手順は、図3に示した実施の形態1における手順と同様である。
【0038】
図6は、実施の形態2の担当者が管理者(または代行者)の承認を取得する場合のプロセスの一例を示すフローチャートである。なお、上述した実施の形態1における処理(図4参照)と同様の処理については、同じステップ番号を付与してその説明は省略する。
【0039】
ネットワーク障害が発生し、図6に示したステップS21〜S25が実行されるなどした後に、ステップS24において管理者による承認が済んでいないと判断した場合(ステップS24,No)、管理者が在席中かどうか、すなわちネットワーク障害管理装置1が呼制御を行い担当者と管理者を通話させることができるかどうかを確認する(ステップS26a)。なお、管理者が社内にいるかどうかの判断を可能とするために、たとえば、机上電話の使用者が在席中か否かの状態を使用者自身が設定するための操作ボタンを机上電話に設けるなどし、また、この設定状態を他の装置が認識できるようにしておく。ステップS26aにおいて管理者が在席中であれば(ステップS26a,Yes)、ネットワーク障害管理装置1は、自動的に管理者と担当者の机上電話に対して通話呼び出しを行い、承認を行うように管理者に対して促す(ステップS27a)。ここでは、たとえば、管理者と担当者が通話を開始後、ネットワーク障害管理装置1が音声メッセージを流すことにより承認処理の実行を促す。なお、ネットワーク障害管理装置1は、音声メッセージを利用するのではなく、通話呼び出しを行う前に、承認処理を実行するように予めメールで通告してもよいし、メールによる通告と音声メッセージによる通告を併用してもよい。
【0040】
これに対して、管理者が在席中でなければ(ステップS26a,No)、管理者の代行者が在席中かどうかを確認する(ステップS28a)。代行者が在席中であれば(ステップS28a,Yes)、ネットワーク障害管理装置1は、自動的に代行者と担当者の机上電話に対して通話呼び出しを行い、承認を行うように代行者に対して促す(ステップS29a)。また、代行者も在席中でない場合(ステップS28a,No)、ネットワーク障害管理装置1は、担当者に対してメールを送信し、在席していない承認者(管理者または代行者)の携帯電話へ電話をかけて承認を得るように、通告する(ステップS30a)。承認処理の実行を促す方法は、上記ステップS27aと同様の方法を使用する。以上のような手順をネットワーク障害管理装置1が実行することにより、担当者から顧客への報告を急がせることができ、また、担当者から承認依頼を受けているにもかかわらず承認を行っていない管理者に対して承認を促し、承認を可能な限り早く取得できるようにする。
【0041】
以上のような管理者または管理者の代行者の承認時の音声は、承認時音声ファイルとして机上電話へ録音され、担当者の机上電話は、それをネットワーク障害管理装置1へ承認イベントとともに承認時音声ファイルとして送付する。ネットワーク障害管理装置1は、受信した承認イベントおよび承認時音声ファイルをイベントログデータベース13へ保存する。なお、承認を行う側の机上電話が承認時の通話録音を行うなどしてもよい。
【0042】
なお、上述した保守部門担当者6が、その管理者などから承認を受ける場合の処理手順も図6に示した手順と同様である。すなわち、ネットワーク障害管理装置1は、担当者からネットワーク機器ベンダの機器保守担当者31への報告が期限内に行われないおそれがあると判断すると、担当者から管理者への承認依頼状況、管理者による承認状況、などを確認し、必要に応じてメール送信や、担当者と管理者の机上電話の呼制御を行い、担当者が承認を可能な限り早く取得できるようにする。
【0043】
また、上記説明においては、説明の便宜上、保守部門担当者の管理者と営業部門担当者の管理者が同一の場合について説明したが、管理者は部門毎に異なっていても構わない。また、承認者が複数存在する場合には、承認を行う者の優先順位などを予め決定しておき、この順位に従い承認依頼などを行うようにすればよい。
【0044】
また、実施の形態1で説明した携帯電話と本実施の形態の机上電話およびPCを組み合わせて使用してもよい。すなわち、管理者が席を外している場合には携帯電話を使用して通話呼び出しを行い、在席している場合には机上電話を使用して通話呼び出しを行う、など、状況に応じて通信用の機器(携帯電話または机上電話)を使い分けるようにしてもよい。
【0045】
このように、本実施の形態においては、実施の形態1において使用した携帯電話に代えて、ユーザが在席中かどうかの状態を他の機器から確認可能な机上電話およびPCを使用する。そして、ネットワーク障害管理装置は、各関係者のPCに対して障害発生を通知することにより、管理者や担当者などに対して迅速にネットワーク障害を通報するとともに、たとえば、承認処理が滞っている場合には担当者とその管理者の机上電話間の呼制御を行い、音声通話を利用した承認処理を実行させるようにした。通話させるようにした。これにより、通信サービスプロバイダ外の保守ベンダや顧客に対する報告において必要な管理者の承認処理を遅滞なく実施できる。また、すべての処理イベントをログに保存することにしてその証跡を残し、後日監査などが行われた場合においても、あらかじめ決められたプロセスにしたがって処理を実施していることを容易に確認することができる。
【0046】
実施の形態3.
つづいて、実施の形態3について説明する。上述した実施の形態1においては、携帯電話を使用して各種手続に必要な承認取得などを行う際に、音声通話を使用して承認依頼および承認取得を行うこととしたが、本実施の形態においては、携帯電話に実装されたWebブラウザを利用して承認依頼および承認取得を行う場合の障害対応動作について説明する。
【0047】
本実施の形態のネットワーク障害管理システムの構成は、上述した実施の形態1と同様である。また、ネットワーク障害検知から対応までの処理手順は、図2に示した実施の形態1における手順と同様である。
【0048】
図7は、実施の形態3の担当者が管理者(または代行者)の承認を取得する場合のプロセスの一例を示すフローチャートである。なお、上述した実施の形態1における処理(図4参照)と同様の処理については、同じステップ番号を付与してその説明は省略する。また、図7は、担当者が承認者(管理者またはその代行者)に対して携帯電話を使用した承認伺いを実行する際の画面表示の一例を示す図であり、図8は、承認伺いを受けた案件について、携帯電話を使用した承認を実行する際の画面表示の一例を示す図である。
【0049】
図7に示したように、実施の形態1の場合と比較して、担当者が管理者の承認を得るための処理(ステップS27bおよびS29b)が異なる。すなわち、担当者からの承認依頼に対して管理者が承認を行っていない場合(ステップS24,No)において、管理者または代行者が所有する携帯電話の機能により、社内にいることが判別できた場合(ステップS26,Yes、またはステップS28,Yes)、ネットワーク障害管理装置1は、管理者(管理者不在の場合は代行者)に対して承認を実施するようにメール通知を実行する(ステップS27b、ステップS29b)。これを受けて、管理者(または代行者)は、携帯電話画面から担当者が承認を受けようとする案件を閲覧し、携帯電話画面に現れた承認実行ボタン(図8参照)を押すなどして、承認処理を実行する。承認処理が実行されると、ネットワーク障害管理装置1は、承認イベント(承認処理が完了した旨を示す情報)をイベントログデータベース13へ格納し、また、承認依頼元の担当者に対してメールを送信することにより、承認が完了したことを通知する。担当者はこれを受けて、客先に対して報告を実行することとなる。
【0050】
このように、本実施の形態においては、通信サービスプロバイダのネットワーク障害対処部門の管理者や担当者に携帯電話を持たせ、ネットワーク障害管理装置は、これらの携帯電話に対して障害発生を通知することにより、管理者や担当者などに対して迅速にネットワーク障害を通報するとともに、たとえば、承認処理が滞っている場合には担当者とその管理者の携帯電話の間で承認依頼および承認実行を行うように促すようにした。これにより、通信サービスプロバイダ外の保守ベンダや顧客に対する報告において必要な管理者の承認処理を遅滞なく実施できる。また、すべての処理イベントをログに保存することにしてその証跡を残し、後日監査などが行われた場合においても、あらかじめ決められたプロセスにしたがって処理を実施していることを容易に確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のように、本発明にかかる障害対応管理システムは、ネットワークの保守に有用であり、特に、ネットワーク障害発生時の各種処理の迅速化を実現するシステムとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明にかかる障害対応管理システムの実施の形態1の構成例を示す図である。
【図2】ネットワーク障害検知から対応までの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】担当者が管理者(または代行者)の承認を取得する場合の音声ファイルの登録処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】担当者が管理者(または代行者)の承認を取得する場合のプロセスの一例を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態2のネットワーク障害管理システムの構成例を示す図である。
【図6】実施の形態2の担当者が管理者(または代行者)の承認を取得する場合のプロセスの一例を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態3の担当者が管理者(または代行者)の承認を取得する場合のプロセスの一例を示すフローチャートである。
【図8】携帯電話を使用した承認取得動作における携帯電話の画面表示例を示す図である。
【図9】携帯電話を使用した承認取得動作における携帯電話の画面表示例を示す図である。
【図10】従来技術を説明するための図である。
【符号の説明】
【0053】
1 ネットワーク障害管理装置
2 ネットワーク監視装置
3 ネットワークシステム
4 Webサーバ
5 営業部門担当者
6 保守部門担当者
7 管理者
8 管理者の代行者
11 ネットワーク情報データベース
12 障害状況管理データベース
13 イベントログデータベース
14 承認時音声ファイル
21 ネットワークシステム担当者
22 エンドユーザ
31 機器保守担当者
65、66、67、68 携帯電話
75、76、77、78 机上電話
85、86、87、88 PC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークの状態を監視し、障害発生を検知するネットワーク監視機能を有する障害対応管理システムであって、
障害の復旧対応などのプロセスにおいて実行したイベントの情報を管理するイベントログデータベースと、
前記ネットワーク監視機能によりネットワーク障害が検知された場合に、システム内の携帯電話へネットワーク障害が発生した旨の通知を行い、また、前記イベントログデータベースに記録された情報に基づいて障害復旧対応プロセスの進捗を把握し、進捗状況に問題がある場合、当該システム内の携帯電話の全部または一部を利用して、問題を解消するための指示を行うネットワーク障害管理装置と、
を備えることを特徴とする障害対応管理システム。
【請求項2】
前記携帯電話が通話録音機能を有し、
前記ネットワーク障害管理装置は、前記携帯電話の通話録音機能を利用して行われた障害復旧対応プロセスにおける承認取得処理の結果を示す承認時音声ファイルを取得した場合、当該承認時音声ファイルを前記イベントログデータベースへ格納することを特徴とする請求項1に記載の障害対応管理システム。
【請求項3】
前記携帯電話がWebブラウザ機能を有し、
前記ネットワーク障害管理装置は、障害復旧対応プロセスにおいて、依頼元となる携帯電話から承認依頼を受けた依頼先となる携帯電話に対してWeb上で承認を行うための指示を出し、当該依頼先がWeb上で承認を行った場合には、承認が行われた旨を示す情報を前記イベントログデータベースへ格納し、かつ承認が行われた旨を通知するメールを前記依頼元携帯電話へ送信することを特徴とする請求項1または2に記載の障害対応管理システム。
【請求項4】
ネットワークの状態を監視し、障害発生を検知するネットワーク監視機能を有する障害対応管理システムであって、
障害の復旧対応などのプロセスにおいて実行したイベントの情報を管理するイベントログデータベースと、
前記ネットワーク監視機能によりネットワーク障害が検知された場合に、システム内のパーソナルコンピュータへネットワーク障害が発生した旨の通知を行い、また、前記イベントログデータベースに記録された情報に基づいて障害復旧対応プロセスの進捗を把握し、進捗状況に問題がある場合、当該システム内の固定電話の全部または一部を利用して、問題を解消するための指示を行うネットワーク障害管理装置と、
を備えることを特徴とする障害対応管理システム。
【請求項5】
前記固定電話が通話録音機能を有し、
前記ネットワーク障害管理装置は、前記固定電話の通話録音機能を利用して行われた障害復旧対応プロセスにおける承認取得処理の結果を示す承認時音声ファイルを取得した場合、当該承認時音声ファイルを前記イベントログデータベースへ格納することを特徴とする請求項4に記載の障害対応管理システム。
【請求項6】
さらに、
ネットワーク障害の内容を開示するためのWebサーバと、
前記ネットワーク監視機能により検知されたネットワーク障害の情報を管理する障害状況管理データベースと、
を備え、
前記Webサーバは、自身にアクセスを行う装置が使用するWebブラウザの種類や表示能力の情報および前記障害状況管理データベースから取得したネットワーク障害の情報に基づいて、ネットワーク障害の内容をWebブラウザへ表示するために最適化された情報を装置毎に個別に生成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の障害対応管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−172707(P2008−172707A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−6055(P2007−6055)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】