障害物検出装置および障害物検出方法
【課題】障害物や駐車枠などの本来反射波を得たい対象物からの反射波を適切に検出することができる障害物検出装置を提供すること。
【解決手段】車両の周辺に送信波を発信する発信手段と、前記送信波の対象物からの反射波を、受信反射波として受信する受信手段と、前記受信手段により受信した受信反射波が、一定時間連続して発生しているか否かを判断し、一定時間連続して発生している場合に、該受信反射波を路面からの反射波として検出する路面反射波検出手段と、前記路面からの反射波であると判断された受信反射波に基づいて、前記受信手段により受信した受信反射波中に含まれる路面からの反射波を検出するためのノイズ判定閾値を設定する設定手段と、前記ノイズ判定閾値を用いて、前記受信手段により受信した前記受信反射波から、路面以外の対象物の反射波を検出する対象物反射波検出手段と、を備えることを特徴とする障害物検出装置。
【解決手段】車両の周辺に送信波を発信する発信手段と、前記送信波の対象物からの反射波を、受信反射波として受信する受信手段と、前記受信手段により受信した受信反射波が、一定時間連続して発生しているか否かを判断し、一定時間連続して発生している場合に、該受信反射波を路面からの反射波として検出する路面反射波検出手段と、前記路面からの反射波であると判断された受信反射波に基づいて、前記受信手段により受信した受信反射波中に含まれる路面からの反射波を検出するためのノイズ判定閾値を設定する設定手段と、前記ノイズ判定閾値を用いて、前記受信手段により受信した前記受信反射波から、路面以外の対象物の反射波を検出する対象物反射波検出手段と、を備えることを特徴とする障害物検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害物検出装置および障害物検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、超音波センサなどの測距センサを用いて、特定の測定波を自車両周辺に発信し、その反射波を受信することで、自車両と、自車両周辺の障害物や駐車枠との間の距離を検出し、該検出結果に基づき、自車両を誘導する運転支援装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−195357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術においては、測距センサにより自車両周辺に発信した測定波は、自車両周辺の障害物や駐車枠により反射される他、自車両が走行する路面によっても反射されてしまうため、測距センサが、路面からの反射波を受信してしまい、障害物や駐車枠などの本来反射波を得たい対象物からの反射波の検出精度が低下し、その結果、障害物や駐車枠との間の距離の測定精度が低下してしまうという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、障害物や駐車枠などの本来反射波を得たい対象物からの反射波を適切に検出することができる障害物検出装置および障害物検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、周辺に送信波を発信し、該送信波の対象物からの反射波を受信反射波として受信し、前記受信反射波が一定時間連続して検出された場合に、該一定時間連続して検出された受信反射波を路面からの反射波として検出し、路面からの反射波として検出された受信反射波に基づいて、受信反射波中に含まれることとなる路面からの反射波を検出するためのノイズ判定閾値を設定し、前記ノイズ判定閾値を用いて、前記受信反射波から、路面以外の対象物の反射波を検出することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、路面からの反射波であると判断された受信反射波の波形に基づくノイズ判定閾値を設定することで、受信反射波から、路面からの反射波の影響を適切に除去することができ、これにより、本来反射波を得たい対象物からの反射波を適切に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本実施形態に係る車両1の構成を示すブロック図である。
【図2】図2(A)、図2(B)は、測距センサ20による検出範囲を説明するための図である。
【図3】図3(A)、図3(B)は、測距センサ20を用いた障害物100の検出方法を説明するための図である。
【図4】図4は、障害物100の反射波の電圧波形の一例を示す図である。
【図5】図5は、路面反射ノイズの電圧波形の一例を示す図である。
【図6】図6は、障害物100の反射波および路面反射ノイズの電圧波形の一例を示す図である。
【図7】図7は、障害物100の反射波および路面反射ノイズの電圧波形の一例を示す図である。
【図8】図8は、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能によるノイズ判定閾値の設定方法の一例を説明するための図である。
【図9】図9は、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能によるノイズ判定閾値の設定方法の一例を説明するための図である。
【図10】図10は、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能によるノイズ判定閾値の設定方法の一例を説明するための図である。
【図11】図11は、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能によるノイズ判定閾値の設定方法の一例を説明するための図である。
【図12】図12は、第1実施形態における障害物検出処理を示すフローチャートである。
【図13】図13は、コントローラ10の測距機能による障害物100の反射波の検出方法を説明するための図である。
【図14】図14は、コントローラ10の測距機能による障害物100の反射波の検出方法を説明するための図である。
【図15】図15は、ノイズ判定閾値モデル記憶機能に記憶される各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルの一例を示す図である。
【図16】図16は、第2実施形態における障害物検出処理を示すフローチャートである。
【図17】図17(A)〜図17(C)は、車両1周囲に障害物100が存在する場合における一場面例を示す図である。
【図18】図18(A)〜図18(C)は、図17(A)〜図17(C)に示す場面例において、測距センサ20により検出される反射波の電圧波形を示す図である。
【図19】図19は、第3実施形態における障害物検出処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪第1実施形態≫
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る車両1の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る車両1は、図1に示すように、コントローラ10、および一対の測距センサ20を備えている。
【0010】
一対の測距センサ20は、図1に示すように、車両1前部の左右両側面にそれぞれ設置されている。測距センサ20は、車両1の車幅方向を中心とした所定の方向、および所定の領域に所定の指向特性を有する送信波を、所定の時間間隔で発信する。そして、測距センサ20は、図2(A)、図2(B)に示す検出範囲内に、測距センサ20により発信された送信波を反射可能な対象物が存在する場合に、該対象物による反射波を受信し、受信した反射波をその強度に応じた電圧値に変換し、電圧波形を得ることで、該対象物からの反射波を検出し、これをコントローラ10に送信する。
【0011】
たとえば、図3(A)、図3(B)に示すように、測距センサ20の検出範囲内に、障害物100が存在する場合には、測距センサ20から発信された送信波は、障害物100により反射され、反射波が生じることとなる。そして、測距センサ20は、この障害物100により反射された反射波を受信し、受信した反射波をその強度に応じた電圧値に変換し、電圧波形を得ることで、該対象物からの反射波を検出する。なお、障害物100としては、特に限定されず、道路上あるいは路側に存在する各種障害物や、駐車枠、あるいは車両1以外の他の車両などが挙げられる。また、図2(A)は、測距センサ20による検出範囲を説明するための図であって、車両1の上面方向から見た図であり、図2(B)は、測距センサ20による検出範囲を説明するための図であって、車両1の前方方向から見た図である。さらに、図3(A)は、測距センサ20を用いた障害物100の検出方法を説明するための図であって、車両1の上面方向から見た図であり、図3(B)は、測距センサ20を用いた障害物100の検出方法を説明するための図であって、車両1の前方方向から見た図である。
【0012】
また、測距センサ20としては、超音波センサなどの音波を用いるものや、ミリ波レーダなどの電波を用いるもの、あるいは、レーザレーダ等の光波を用いるものなどが挙げられる。なお、以下においては、測距センサ20として、超音波センサを用いた場合を例示して説明する。
【0013】
図4は、測距センサ20により検出された反射波の電圧波形の一例を示す図である。図4においては、図3(A)、図3(B)に示すように、測距センサ20による検出範囲内に、障害物100が存在する場合において、時間T=0において、測距センサ20から送信波を発信した際における、測距センサ20により受信した反射波の電圧波形を示している。図4に示すように、測距センサ20による検出範囲内に、障害物100が存在する場合には、測距センサ20から障害物100までの距離に応じた時間(図4に示す例では、時間T=t1)において、障害物100からの反射波の電圧波形が検出されることとなる。
【0014】
また、コントローラ10は、測距センサ20により検出された対象物からの反射波の電圧波形を受信し、受信した電圧波形に基づいて、測距センサ20と対象物との間の距離を測定するための装置である。このようなコントローラ10は、測距センサ20と対象物との間の距離を測定するためのプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)11、各種プログラムを格納したROM(Read Only Memory)12、および、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13を有している。
【0015】
そして、このような構成を有するコントローラ10は、以下に説明する各種機能を備えている。すなわち、コントローラ10は、測距センサ20と対象物との間の距離を測定するための測距機能と、路面からの反射波に基づく路面反射ノイズを検出する路面反射ノイズ検出機能と、測距センサ20により検出された反射波が路面反射ノイズであるか否かを判断するためのノイズ判定閾値を設定するノイズ判定閾値設定機能と、を備えている。
【0016】
コントローラ10の測距機能は、測距センサ20により検出された反射波の電圧波形を受信し、受信した電圧波形に基づいて、測距センサ20と、車両1周囲に存在する対象物との間の距離を測定する。具体的には、測距機能は、まず、測距センサ20により検出された反射波の電圧波形から、所定の閾値電圧Vthよりも高い電圧値を有する電圧波形であり、かつ、最も早く測距センサ20により受信された反射波の電圧波形を検出し、これを、測距センサ20から最も近い対象物からの反射波に基づく電圧波形として判定する。たとえば、図4に示す例においては、障害物100からの反射波の電圧波形が、所定の閾値電圧Vthよりも高い電圧値を有し、かつ、最も早く測距センサ20により受信された反射波の電圧波形となるため、障害物100からの反射波の電圧波形が、測距センサ20から最も近い位置に位置する対象物からの反射波に基づく電圧波形として判定されることとなる。
【0017】
そして、測距機能は、測距センサ20と、測距センサ20から最も近い対象物との間の距離S[m]を、下記式(1)に従って、算出する。
S=c×t/2 …(1)
上記式(1)において、tは、測距センサ20により送信波が発信されてから、測距センサ20から最も近い対象物に基づく反射波が検出されるまでの時間である。また、上記式(1)において、cは、気体中の音速[m/s]であり、下記式(2)により算出することができる。なお、上記式(2)において、θは、気温[℃]である。
c≒331.5+0.61×θ …(2)
【0018】
また、上述した所定の閾値電圧Vthとしては、特に限定されず、適宜設定すればよいが、対象物からの反射波の強度は、測距センサ20からの距離が遠くなるほど空気中で減衰するという性質を有しているため、この点を考慮して設定することが望ましい。
【0019】
さらに、詳細については後述するが、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能により、路面からの反射波に基づく路面反射ノイズを検出するためのノイズ判定閾値が設定されている場合には、測距機能は、所定の閾値電圧Vthの代わりに、ノイズ判定閾値設定機能により設定されたノイズ判定閾値を用いて、路面からの反射波に基づく路面反射ノイズの影響を取り除いた状態で、障害物(路面以外の対象物)からの反射波の電圧波形の検出を行うこととなる。
【0020】
次に、コントローラ10の路面反射ノイズ検出機能およびノイズ判定閾値設定機能について説明する前に、路面からの反射波に基づく路面反射ノイズについて説明を行なう。
【0021】
図2(B)に示すように、測距センサ20は、車両1のデザイン上の理由などの理由で、路面から近い高さに設置されることが多く、そのため、図2(B)に示すように、測距センサ20による検出範囲内に路面が含まれることとなる。そして、図5に示すように、路面で反射した反射波が、測距センサ20に返ってくることがあり、この場合には、測距センサ20により、路面で反射した反射波が検出されてしまうことがある。その結果、たとえば、図6に示すように、路面で反射した反射波の電圧波形が、障害物100からの反射波の電圧波形に重畳された形で検出されたり、図7に示すように、路面で反射した反射波が、障害物100からの反射波よりも、早く検出されてしまうことがある。そして、これら図6、図7に示すいずれの場合においても、上述のコントローラ10の測距機能により、測距センサ20から最も近い対象物からの反射波として検出されるのは、時間T=t1、t2において検出された障害物100の反射波ではなく、時間T=t3において検出された路面反射ノイズとなってしまい、その結果、路面反射ノイズに基づいて、距離の測定が行なわれてしまうことがある。なお、図5は、路面反射ノイズの電圧波形の一例を示す図、図6および図7は、障害物100の反射波および路面反射ノイズの電圧波形の一例を示す図であり、これら図5〜図7においては、いずれも砂利路面に基づく路面反射ノイズの電圧波形を示している。
【0022】
なお、このような路面反射ノイズが検出されるまでの時間は、車両1における測距センサ20の取付け位置や取付け向き等の測距センサ20の取付け状態、あるいは、測距センサ20の指向特性や発振パワー等の測距センサ20のスペックに応じて変化することとなる(たとえば、測距センサ20を路面からより近い位置に取付けた場合には、路面反射ノイズが検出されるまでの時間はより短くなる。)。たとえば、図5〜図7に示す場合においては、T=ta〜tbの間で、路面反射ノイズが検出されている。なお、このような路面反射ノイズは、常時一定の電圧値を示すものではなく、空気を媒体としているため、風や空気の揺らぎ等により振動し、変化するものである。
【0023】
加えて、測距センサ20により検出される路面反射ノイズのレベル(電圧値)は、路面種別により異なるものである。たとえば、コンクリート路面のように表面の凹凸が少ない路面では、測距センサ20から路面に対して送信波が発信された場合でも、測距センサ20から見て遠い方向に反射される成分が多くなるため、路面反射ノイズのレベルは小さいものとなる。しかしその一方で、アスファルト路面や砂利路面のように表面の凹凸の大きい路面では、測距センサ20に対して対向する面が増えるため、測距センサ20から路面に対して送信波が発信されることにより、測距センサ20側に反射する成分が多くなるため、路面反射ノイズのレベルは大きいものとなる。
【0024】
そこで、本実施形態では、測距センサ20を用いて障害物との間の距離を測定する際に、このような路面反射ノイズの影響を除去するために、コントローラ10の路面反射ノイズ検出機能により路面反射ノイズを検出し、検出した路面反射ノイズに基づき、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能により、測距センサ20により検出された反射波に含まれることとなる路面反射ノイズを検出するためのノイズ判定閾値を設定する。
【0025】
具体的には、コントローラ10の路面反射ノイズ検出機能は、測距センサ20により検出された反射波について、一定時間(たとえば、数秒〜数十秒程度)連続して発生している反射波であるか否かを判定し、一定時間連続して発生していると判定した場合には、該反射波を路面からの反射波に基づく路面反射ノイズと判断し、路面反射ノイズとして検出する。たとえば、路面反射ノイズ検出機能は、図5に示すような時間T=t4〜t5に現れる反射波が、一定時間連続して検出された場合に、これを路面反射ノイズとして検出する。
【0026】
そして、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能は、路面反射ノイズ検出機能により検出された路面反射ノイズの波形パターンに基づき、測距センサ20により検出された反射波に含まれることとなる路面反射ノイズを検出するためのノイズ判定閾値を設定する。特に、路面反射ノイズが検出されるまでの時間や、その強度(電圧値)は、車両1における測距センサ20の取付け位置や取付け向き等の測距センサ20の取付け状態、あるいは、測距センサ20の指向特性や発振パワー等の測距センサ20のスペックに応じて変化することとなるため、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能は、これらに応じて、ノイズ判定閾値を設定する。以下、ノイズ判定閾値の具体的な設定方法について、路面反射ノイズ検出機能により、図5に示す反射波に基づく電圧波形が、路面反射ノイズとして検出された場合を例示して、説明する。なお、本実施形態では、ノイズ判定閾値の具体的な設定方法として、以下の4つの方法を例示するが、これらに限定されるものではない。
【0027】
すなわち、まず、第1に、図8に示すように、路面反射ノイズの電圧波形に基づいて、電圧値が極大となる極大点を抽出し、抽出した極大点に基づいて、ノイズ判定閾値を設定する方法が挙げられる。なお、図8は、ノイズ判定閾値設定機能によるノイズ判定閾値の設定方法の一例を説明するための図であり、特に、図5における路面反射ノイズが検出された部分に対応する図である(後述の図9〜図11においても同様。)。
【0028】
そして、この第1の方法においては、まず、ノイズ判定閾値設定機能は、路面反射ノイズの電圧波形に基づいて、電圧値が極大となる極大点を抽出する。次いで、ノイズ判定閾値設定機能は、抽出した極大点を時間とともにテーブル化して、離散値として、コントローラ10のRAM13に記憶させる。そして、ノイズ判定閾値設定機能は、テーブル化された複数の極大点に基づき、ノイズ判定閾値を設定する。たとえば、図8に示す例においては、それぞれ、(時間,電圧値)=(ta,Va)、(tb,Vb)、(tc,Vc)、(td,Vd)、(te,Ve)、(tf,Vf)、(tg,Vg)、(th,Vh)である合計8点が極大点として抽出され、これらが時間とともにテーブル化される(すなわち、時間ta→thの順でテーブル化される)こととなる。
【0029】
なお、テーブル化された極大点に基づいて、ノイズ判定閾値を設定する方法としては特に限定されないが、テーブル化された極大点そのものをノイズ判定閾値として設定してもよく、あるいは、各極大点における電圧値を時間軸方向にシフトさせて調整したものをノイズ判定閾値として設定してもよい。あるいは、テーブル化された極大点の電圧値を平均化したものをノイズ判定閾値としてもよい。
【0030】
本実施形態によれば、このように電圧値が極大となる極大点を用いて、ノイズ判定閾値を設定することで、路面反射ノイズの検出精度を高くすることができる。たとえば、路面反射ノイズ全体の電圧値(すなわち、時間T=t4〜t5の電圧値)を平均した平均電圧値を閾値とした場合には、路面反射ノイズの発生時の状況等によっては、該平均電圧値を超えてしまう可能性が高くなり、路面反射ノイズの検出精度が低下することが考えられる。これに対し、本実施形態のように、電圧値が極大となる極大点を用いて、ノイズ判定閾値を設定することにより、平均電圧値を閾値とした場合と比較して高い電圧値を閾値として設定することができるため、路面反射ノイズの発生時の状況に拘わらず、極大点に基づくノイズ判定閾値を超える可能性が低くなるため、結果として、路面反射ノイズの検出精度を高くすることができる。
【0031】
第2に、上述の第1の方法と同様に、路面反射ノイズの電圧波形に基づいて、電圧値が極大となる極大点を抽出し、次いで、図9に示すように、抽出した極大点の包絡線を算出し、算出した包絡線を示す数式を、ノイズ判定閾値として設定する方法が挙げられる。この第2の方法においては、まず、ノイズ判定閾値設定機能は、路面反射ノイズの電圧波形に基づいて、電圧値が極大となる極大点を抽出する。次いで、ノイズ判定閾値設定機能は、図9に示すように、抽出した各極大点に接する曲線である包絡線を算出し、算出した包絡線をノイズ判定閾値として設定する。また、ノイズ判定閾値設定機能は、算出した包絡線について、包絡線を示す数式を求め、数式化した状態で、コントローラ10のRAM13に記憶させておく。
【0032】
第3に、上述の第1の方法と同様に、路面反射ノイズの電圧波形に基づいて、電圧値が極大となる極大点を抽出し、次いで、図10に示すように、抽出した極大点の近似曲線を算出し、算出した近似曲線を示す数式を、ノイズ判定閾値として設定する方法が挙げられる。この第3の方法においては、まず、ノイズ判定閾値設定機能は、路面反射ノイズの電圧波形に基づいて、電圧値が極大となる極大点を抽出する。次いで、ノイズ判定閾値設定機能は、図10に示すように、抽出した各極大点の近似曲線を算出し、算出した近似曲線をノイズ判定閾値として設定する。また、ノイズ判定閾値設定機能は、算出した近似曲線について、近似曲線を示す数式を求め、数式化した状態で、コントローラ10のRAM13に記憶させておく。
【0033】
第4に、上述の第1の方法と同様に、路面反射ノイズの電圧波形に基づいて、電圧値が極大となる極大点を抽出し、次いで、図11に示すように、抽出した極大点に基づく矩形モデルを求め、これをノイズ判定閾値として設定する方法が挙げられる。この方法においては、まず、ノイズ判定閾値設定機能は、路面反射ノイズの電圧波形に基づいて、電圧値が極大となる極大点を抽出する。次いで、ノイズ判定閾値設定機能は、図11に示すように、抽出した各極大点に基づいて、各極大点の電圧値を越えない直線で構成された矩形モデルを算出し、算出した矩形モデルをノイズ判定閾値として設定する。また、ノイズ判定閾値設定機能は、算出した矩形モデルについて、該矩形モデルを表すデータ(たとえば、図11に示す矩形モデルの変異点の座標のデータ)を求め、これをコントローラ10のRAM13に記憶させておく。
【0034】
上述のように、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能は、上述した第1〜第4の各方法にしたがって、ノイズ判定閾値を設定する。なお、上述した各方法のうち、第1の方法(極大点を抽出する方法)によれば、電圧値が極大となる極大点を抽出するものであるため、演算負荷を低くすることができる。また、上述の方法のうち、第2の方法(極大点の包絡線を用いる方法)、第3の方法(極大点の近似曲線を用いる方法)、および第4の方法(極大点の矩形モデルを用いる方法)によれば、極大点の包絡線や極大点の近似曲線を示す数式や、矩形モデルを表すデータを求め、これをコントローラ10のRAM13に記憶させるものであるため、RAM13における記憶容量を低減させることができる。なお、本実施形態においては、上述した第1〜第4の各方法について、時間T−電圧Vグラフを用いて説明を行なったが、反射波が検出される時間Tと、測距センサ20からの距離Sとは比例関係にあるため、時間T−電圧Vグラフの代わりに、時間T−距離Sグラフを用いて、ノイズ判定閾値を設定することも可能である。
【0035】
次いで、本実施形態の動作について説明する。図12は、本実施形態における障害物検出処理を示すフローチャートである。
【0036】
まず、ステップS101では、測距センサ20により、送信波の発信、および車両1周囲に存在する対象物による反射波の受信が開始される。そして、測距センサ20は、受信した反射波をその強度に応じた電圧値に変換し、これをコントローラ10に送信する。
【0037】
次いで、ステップS102では、コントローラ10の路面反射ノイズ検出機能により、測距センサ20により検出された反射波の電圧波形に基づいて、一定時間連続して発生している反射波が存在しているか否かを判定することで、路面からの反射波に基づく路面反射ノイズが検出されたか否かの判定が行われる。具体的には、一定時間連続して発生している反射波が存在している場合には、路面反射ノイズが検出されたと判定され、一方、一定時間連続して発生している反射波が存在しない場合には、路面反射ノイズが検出なかったと判定される。路面反射ノイズが検出された場合には、ステップS103に進む。一方、路面反射ノイズが検出されなかった場合には、ステップS104に進む。
【0038】
ステップS102において、路面反射ノイズが検出された場合には、ステップS103に進み、ステップS103では、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能により、ステップS202において検出された路面反射ノイズに基づいて、ノイズ判定閾値の設定が行なわれる。なお、ノイズ判定閾値設定機能によるノイズ判定閾値の設定方法としては、特に限定されず、上述した第1〜第4の方法のいずれでもよい。
【0039】
一方、ステップS102において、路面反射ノイズが検出されなかった場合には、ステップS104に進み、ノイズ判定閾値設定機能により、図4に示すような所定の閾値電圧Vth(一定電圧Vth)が、ノイズ判定閾値として設定される。
【0040】
そして、ステップS105では、コントローラ10の測距機能により、ステップS103またはステップS104で設定されたノイズ判定閾値を用いて、測距センサ20により検出された反射波の電圧波形から、測距センサ20と障害物との間の距離の検出が行われる。
【0041】
たとえば、ステップS103において、路面反射ノイズに基づいて算出された場合には、図13に示すように、路面反射ノイズに基づくノイズ判定閾値電圧Vnが設定されることとなる。なお、図13は、上述の図6に示す場面において、路面反射ノイズに基づくノイズ判定閾値として、上述の第4の方法(極大点の矩形モデルを用いる方法)により求められたノイズ判定閾値を用い、これに基づきノイズ判定閾値電圧Vnを設定した場面例である。すなわち、図13に示すように、コントローラ10の測距機能は、路面反射ノイズに基づくノイズ判定閾値電圧Vnを設定し、これにより、路面反射ノイズを検出し、検出した路面反射ノイズを除去することで(あるいは、路面反射ノイズをマスクすることで)、障害物100に基づく反射波の電圧波形を検出することができる。そして、コントローラ10の測距機能は、障害物100に基づく反射波の電圧波形が検出された時間(図13では、時間T=t1)に基づき、上記式(1)にしたがって、測距センサ20と障害物100との間の距離を測定することができる。
【0042】
また、同様に、上述の図7に示す場面において、路面反射ノイズに基づくノイズ判定閾値として、上述の第4の方法(極大点の矩形モデルを用いる方法)により求められたノイズ判定閾値を用い、これに基づきノイズ判定閾値電圧Vnを設定した場面例である図14においても、コントローラ10の測距機能は、路面反射ノイズに基づくノイズ判定閾値電圧Vnを設定し、これにより、検出した路面反射ノイズを除去することで、障害物100に基づく反射波の電圧波形を検出することができる。そして、コントローラ10の測距機能は、障害物100に基づく反射波の電圧波形が検出された時間(図14では、時間T=t2)に基づき、上記式(1)にしたがって、測距センサ20と障害物100との間の距離を測定することができる。
【0043】
一方、ステップS102において、路面反射ノイズが検出されなかった場合には、路面反射ノイズの影響を考慮しなくてもよいため、コントローラ10の測距機能は、図4に示すように、ステップS104で設定された所定の閾値電圧Vth(一定電圧Vth)を、ノイズ判定閾値として設定することとなる。
【0044】
そして、本実施形態においては、ステップS105において、所定時間にわたり、コントローラ10の測距機能により、測距センサ20と障害物との間の距離の検出が行われた後、再度、ステップS101に戻り、ステップS101〜S105の各動作が繰り返されることとなる。
【0045】
本実施形態においては、コントローラ10の路面反射ノイズ検出機能により、路面の反射波に基づく路面反射ノイズの検出を行い、路面反射ノイズが検出された場合に、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能により、路面反射ノイズの波形に基づいて、ノイズ判定閾値の設定を行なう。そして、本実施形態によれば、このような路面反射ノイズの波形に基づくノイズ判定閾値を用いることで、路面反射ノイズの影響を有効に除去することができ、これにより、本来反射波を得たい対象物(道路上あるいは路側に存在する各種障害物や、駐車枠、あるいは車両1以外の他の車両)からの反射波を適切に検出することができ、結果として、このような対象物と測距センサ20(車両1)との間の距離の測定精度を良好なものとすることができる。
【0046】
加えて、本実施形態によれば、測距センサ20により実際に検出された路面反射ノイズに基づいて、ノイズ判定閾値を求めるものであるため、路面状況に応じたノイズ判定閾値を、随時かつ適切に設定することができる。特に、路面状況によっては、路面反射ノイズのレベルも異なることとなるため、測距センサ20により実際に検出された路面反射ノイズに基づいて、ノイズ判定閾値を求めることにより、実際に走行している路面に応じたノイズ判定閾値を適切に設定することができ、これにより、対象物と測距センサ20(車両1)との間の距離の測定精度のさらなる向上を可能とすることができる。
【0047】
≪第2実施形態≫
次いで、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態に係る車両1は、図1に示すコントローラ10が、上述した測距機能、路面反射ノイズ検出機能、およびノイズ判定閾値設定機能に加えて、路面種別ごとにノイズ判定閾値モデルを記憶するノイズ判定閾値モデル記憶機能、および車両1が走行する路面種別を推定する路面種別推定機能をさらに有する以外は、上述の第1実施形態と同様の構成を有し、同様の作用を奏するものである。
【0048】
コントローラ10のノイズ判定閾値モデル記憶機能は、路面種別ごと(たとえば、砂利路面、アスファルト路面、コンクリート路面ごと)に、各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルを記憶する機能である。図15に、ノイズ判定閾値モデル記憶機能に記憶される各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルの一例を示す。なお、図15に示す各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルは、上述の第1実施形態におけるノイズ判定閾値設定機能において説明した第4の方法(極大点の矩形モデルを用いる方法)により設定されるノイズ判定閾値のモデルである。ここで、図15からも確認できるように、測距センサ20により検出される路面反射ノイズのレベル(電圧値)や路面反射ノイズの波形は、路面種別により異なるものである。そのため、ノイズ判定閾値記憶機能は、このように路面種別ごとに、各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルを記憶している。なお、ノイズ判定閾値モデル記憶機能により記憶される各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルとしては特に限定されないが、予め、各路面について路面反射ノイズの測定を行い、これに基づいて設定したものであることが望ましい。また、図15には、上述の第1実施形態におけるノイズ判定閾値設定機能において説明した第4の方法(極大点の矩形モデルを用いる方法)により設定されるノイズ判定閾値のモデルを示したが、特にこれに限定されるものではなく、上述の第1実施形態におけるノイズ判定閾値設定機能において説明した第1の方法(極大点を抽出する方法)、第2の方法(極大点の包絡線を用いる方法)、または第3の方法(極大点の近似曲線を用いる方法)により設定されるものであってもよく、さらにこれら以外の方法により設定されるものであってもよい。また、ノイズ判定閾値モデルとしては、各路面について路面反射ノイズの測定を実際に行うことで得られるものの他、各路面形状に基づいて、計算機シミュレーションにより算出されるものであってもよい。
【0049】
また、コントローラ10の路面種別推定機能は、コントローラ10の路面反射ノイズ検出機能により路面反射ノイズが検出された場合に、路面反射ノイズ検出機能により検出された路面反射ノイズと、ノイズ判定閾値モデル記憶機能により記憶されている各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルとを比較することで、車両1が走行している路面を推定する機能である。具体的には、路面種別推定機能は、各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルのうち、路面反射ノイズ検出機能により検出された路面反射ノイズに最も一致するレベルおよび波形を有するノイズ判定閾値モデルを検出することで、車両1が走行している路面を推定する。そして、これに基づいて、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能は、ノイズ判定閾値モデル記憶機能に記憶されている各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルから、路面種別推定機能により推定された車両1が走行している路面に対応するノイズ判定閾値モデルを選択し、これをノイズ判定閾値に設定する。
【0050】
次いで、第2実施形態の動作について説明する。図16は、第2実施形態における障害物検出処理を示すフローチャートである。
【0051】
まず、ステップS201では、上述の図14のステップS101と同様に、測距センサ20により、送信波の発信、および車両1周囲に存在する対象物による反射波の受信が開始される。
【0052】
次いで、ステップS202では、上述の図14のステップS102と同様に、路面からの反射波に基づく路面反射ノイズが検出されたか否かの判定が行われ、路面反射ノイズが検出された場合には、ステップS203に進む。一方、路面反射ノイズが検出されなかった場合には、ステップS205に進む。
【0053】
ステップS203では、コントローラ10の路面種別推定機能により、ステップS202において検出された路面反射ノイズについて、ノイズ判定閾値モデル記憶機能により記憶されている各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルと比較することで、車両1が走行している路面の種別の推定が行なわれる。
【0054】
ステップS204では、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能により、ノイズ判定閾値モデル記憶機能に記憶されている各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルから、路面種別推定機能により推定された車両1が走行している路面に対応するノイズ判定閾値モデルの選択が行なわれ、選択されたノイズ判定閾値モデルが、ノイズ判定閾値として設定される。
【0055】
一方、ステップS202において、路面反射ノイズが検出されなかったと判定された場合には、ステップS205に進み、上述の図14のステップS104と同様に、ノイズ判定閾値設定機能により、図4に示すような所定の閾値電圧Vth(一定電圧Vth)が、ノイズ判定閾値として設定される。
【0056】
そして、ステップS206では、コントローラ10の測距機能により、ステップS204またはステップS205で設定されたノイズ判定閾値を用いて、測距センサ20により検出された反射波の電圧波形から、測距センサ20と障害物との間の距離の検出が行われる。
【0057】
そして、本実施形態においては、ステップS206において、所定時間にわたり、コントローラ10の測距機能により、測距センサ20と障害物との間の距離の検出が行われた後、再度、ステップS201に戻り、ステップS201〜S206の各動作が繰り返されることとなる。
【0058】
第2実施形態によれば、上述の第1実施形態と同様に、路面反射ノイズの波形に基づいて、ノイズ判定閾値の設定を行い、これを用いることで、路面反射ノイズの影響を有効に除去することができ、これにより、本来反射波を得たい対象物からの反射波を適切に検出することができ、結果として、このような対象物と測距センサ20(車両1)との間の距離の測定精度を良好なものとすることができる。
【0059】
加えて、第2実施形態においては、コントローラ10のノイズ判定閾値モデル記憶機能により、各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルを記憶しておき、かつ、コントローラ10の路面種別推定機能により、コントローラ10の路面反射ノイズ検出機能により検出された路面反射ノイズと、各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルとを比較することで、車両1が実際に走行している路面の種別を推定し、該推定した路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルを、ノイズ判定閾値として設定する。そして、第2実施形態によれば、予め設定されたノイズ判定閾値モデルに基づいて、ノイズ判定閾値を設定することで、測距センサ20により検出された路面反射ノイズに測定誤差がある場合でも、該測定誤差に基づく、路面反射ノイズの検出精度の低下を有効に防止することができる。そして、その結果として、対象物と測距センサ20(車両1)との間の距離の測定精度のさらなる向上を可能とすることができる。
【0060】
≪第3実施形態≫
次いで、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る車両1は、図1に示すコントローラ10が、上述した測距機能、路面反射ノイズ検出機能、およびノイズ判定閾値設定機能に加えて、特定対象物反射波判定機能をさらに有する以外は、上述の第1実施形態と同様の構成を有し、同様の作用を奏するものである。なお、第3実施形態に係る特定対象物反射波判定機能は、路面反射ノイズ検出機能により路面反射ノイズが検出された場合に、車両1周囲に存在する路面以外の対象物(以下、このような対象物を「特定対象物」とする。)からの反射波が検出されたか否かを判定し、特定対象物からの反射波が検出された場合に、特定対象物からの反射波の電圧波形を、路面反射ノイズの電圧波形から取り除く機能である。
【0061】
ここで、図17(A)に示すように、測距センサ20の検出範囲内に、路面以外の対象物である障害物100が存在している場合に、図18(A)に示すように、測距センサ20と障害物100との間の距離である距離SAに応じた位置に、障害物100の反射波が検出され、結果として、障害物100の反射波の波形と路面反射ノイズによる反射波の波形とが重畳されてしまい、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能により、路面反射ノイズによる反射波の波形を検出する際に、障害物100の反射波の影響が出てしまう場合がある。なお、図17(A)は、車両1周囲に障害物100が存在する場合における一場面例であり、図18(A)は、図17(A)に示す場面例において、測距センサ20により検出される反射波の電圧波形を示す図である。また、上述の図4〜図7、図13〜図14においては、反射波の電圧波形の電圧値Vを、反射波の検出時間Tに対してプロットして示した(時間T−電圧Vグラフとした)が、図18(A)においては、反射波の電圧波形の電圧値Vを、測距センサ20からの距離Sに対してプロットして示している(時間T−距離Sグラフとしている)。ここで、上述したように、反射波の検出時間Tと、測距センサ20からの距離Sとは比例関係にあるため、時間T−距離Sグラフと、時間T−電圧Vグラフとは同様なグラフとなる。
【0062】
そして、これに対して、第3実施形態では、コントローラ10の路面反射ノイズ検出機能により路面反射ノイズが検出された場合に、コントローラ10の特定対象物反射波判定機能により、車両1周囲に存在する特定対象物からの反射波が検出されたか否かを判定し、特定対象物からの反射波が検出された場合に、特定対象物からの反射波の電圧波形を、路面反射ノイズの電圧波形から取り除くものである。
【0063】
以下、コントローラ10の特定対象物反射波判定機能による特定対象物からの反射波の具体的な検出方法を、図17(A)〜図17(C)および図18(A)〜図18(C)を用いて説明する。図17(A)は、車両1周囲に障害物100が存在する場合における一場面例であり、図18(A)は、図17(A)に示す場面例において、測距センサ20により検出される反射波の電圧波形を示す図である。また、図17(B)、図18(B)は、図17(A)に示す場面例から、所定時間経過後の状態を示す場面例を示す図、およびこの場合に検出される反射波の電圧波形を示す図であり、図17(C)、図18(C)は、図17(B)に示す場面例から、さらに所定時間経過後の状態を示す場面例を示す図、およびこの場合に検出される反射波の電圧波形を示す図である。すなわち、図17(A)〜図17(C)は、車両1が前方に進行することで、車両1に備えられた測距センサ20と障害物100との距離が、SA→SB→SCと変化した場面を示しており、図18(A)〜図18(C)は、これらに対応する反射波の電圧波形を示している。ここで、図17(A)、図18(A)に示す場面における時刻を時刻TAとし、図17(B)、図18(B)に示す場面における時刻を時刻TBとし、図17(C)、図18(C)に示す場面における時刻を時刻TCとする。
【0064】
そして、図17(A)〜図17(C)に示すように、時刻TA→TB→TCと進み、車測距センサ20と障害物100との距離が、SA→SB→SCと変化した場合においては、路面反射ノイズの電圧波形は、ほとんど変化しないものの、障害物100の反射波の電圧波形は、その波形パターン自体は変化しないものの、測距センサ20からの距離が変化することにより、その検出位置(検出時間)が変化することとなる。そして、コントローラ10の路面反射ノイズ検出機能は、このような性質を利用し、波形パターン自体は変化しない(すなわち、電圧レベル自体は変化しない)ものの、測距センサ20からの距離が変化する電圧波形が存在する場合に、これを特定対象物反射波(路面以外の対象物からの反射波)として検出し、路面反射ノイズ検出機能により検出された路面反射ノイズの波形パターンから、このような特定対象物反射波に基づく波形を取り除く処理を行なう。そして、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能は、このような特定対象物反射波に基づく波形が取り除かれた波形パターンに基づいて、ノイズ判定閾値を設定する。
【0065】
次いで、第3実施形態の動作について説明する。図19は、第3実施形態における障害物検出処理を示すフローチャートである。
【0066】
まず、ステップS301では、上述の図14のステップS101と同様に、測距センサ20により、送信波の発信、および車両1周囲に存在する対象物による反射波の受信が開始される。
【0067】
次いで、ステップS302では、上述の図14のステップS102と同様に、路面からの反射波に基づく路面反射ノイズが検出されたか否かの判定が行われ、路面反射ノイズが検出された場合には、ステップS303に進む。一方、路面反射ノイズが検出されなかった場合には、ステップS306に進む。
【0068】
ステップS303では、コントローラ10の特定対象物反射波判定機能により、車両1周囲に存在する特定対象物からの反射波が検出されたか否かの判定が行なわれる。その結果、特定対象物からの反射波が検出された場合には、ステップS304に進む。一方、特定対象物からの反射波が検出されなかった場合には、ステップS305に進む。
【0069】
ステップS304では、ステップS303において特定対象物反射波が検出されたため、コントローラ10の特定対象物反射波判定機能により、路面反射ノイズ検出機能により検出された路面反射ノイズの波形パターンから、このような特定対象物反射波に基づく波形を取り除く処理を行なう。
【0070】
そして、ステップS305では、上述の図14のステップS103と同様に、ノイズ判定閾値設定機能により、ステップS302において検出された路面反射ノイズに基づいて、ノイズ判定閾値の設定が行なわれる。なお、この場合において、ステップS304において、路面反射ノイズの波形パターンから、特定対象物反射波に基づく波形を取り除く処理が行なわれている場合には、特定対象物反射波に基づく波形を取り除かれた後の路面反射ノイズに基づいて、ノイズ判定閾値の設定が行なわれることとなる。
【0071】
一方、ステップS302において、路面反射ノイズが検出されなかったと判定された場合には、ステップS306に進み、上述の図14のステップS104と同様に、ノイズ判定閾値設定機能により、図4に示すような所定の閾値電圧Vth(一定電圧Vth)が、ノイズ判定閾値として設定される。
【0072】
ステップS307では、コントローラ10の測距機能により、ステップS305またはステップS306で設定されたノイズ判定閾値を用いて、測距センサ20により検出された反射波の電圧波形から、測距センサ20と障害物との間の距離の検出が行われる。
【0073】
そして、本実施形態においては、ステップS307において、所定時間にわたり、コントローラ10の測距機能により、測距センサ20と障害物との間の距離の検出が行われた後、再度、ステップS301に戻り、ステップS301〜S307の各動作が繰り返されることとなる。
【0074】
なお、第3実施形態においては、上述の第1実施形態において、コントローラ10が、特定対象物反射波判定機能をさらに有する構成について説明したが、上述の第2実施形態において、コントローラ10が、特定対象物反射波判定機能をさらに有する構成としてもよい。この場合においては、コントローラ10の特定対象物反射波判定機能により、特定対象物からの反射波の電圧波形を、路面反射ノイズの電圧波形から取り除く処理が行なわれた際には、特定対象物反射波に基づく波形を取り除かれた後の路面反射ノイズに基づいて、コントローラ10の路面種別推定機能は、路面種別の推定を行うこととなる。
【0075】
第3実施形態によれば、上述の第1実施形態と同様に、路面反射ノイズの波形に基づいて、ノイズ判定閾値の設定を行い、これを用いることで、路面反射ノイズの影響を有効に除去することができ、これにより、本来反射波を得たい対象物からの反射波を適切に検出することができ、結果として、このような対象物と測距センサ20(車両1)との間の距離の測定精度を良好なものとすることができる。
【0076】
加えて、第3実施形態においては、コントローラ10の特定対象物反射波判定機能により、車両1周囲に存在する特定対象物(路面以外の対象物)からの反射波が検出されたか否かを判定し、特定対象物からの反射波が検出された場合に、特定対象物からの反射波の電圧波形を、路面反射ノイズの電圧波形から取り除くものである。そして、このような第3実施形態によれば、路面反射ノイズと特定対象物反射波とが重畳してしまった場合でも、路面反射ノイズの波形パターンを適切に検出することができ、さらに、特定対象物からの反射波の電圧波形を取り除いた後の波形パターンを用いて、ノイズ判定閾値を設定することで、ノイズ判定閾値を適切に設定することできる。そして、その結果として、対象物と測距センサ20(車両1)との間の距離の測定精度のさらなる向上を可能とすることができる。
【0077】
なお、上述した実施形態において、測距センサ20は本発明の発信手段および受信手段に、コントローラ10の路面反射ノイズ検出機能は本発明の路面反射波検出手段に、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能は本発明の設定手段に、コントローラ10の測距機能は本発明の対象物反射波検出手段に、コントローラ10のノイズ判定閾値モデル記憶機能は本発明の記憶手段に、コントローラ10の特定対象物反射波判定機能は本発明の特定対象物反射波検出手段に、それぞれ相当する。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0079】
たとえば、上述の実施形態においては、測距センサ20を車両1前部の左右両側面に設置した構成を例示したが、測距センサ20の設置位置および設置数は特に限定されず、その目的等に応じて適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1…車両
10…コントローラ
20…測距センサ
100…障害物
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害物検出装置および障害物検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、超音波センサなどの測距センサを用いて、特定の測定波を自車両周辺に発信し、その反射波を受信することで、自車両と、自車両周辺の障害物や駐車枠との間の距離を検出し、該検出結果に基づき、自車両を誘導する運転支援装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−195357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術においては、測距センサにより自車両周辺に発信した測定波は、自車両周辺の障害物や駐車枠により反射される他、自車両が走行する路面によっても反射されてしまうため、測距センサが、路面からの反射波を受信してしまい、障害物や駐車枠などの本来反射波を得たい対象物からの反射波の検出精度が低下し、その結果、障害物や駐車枠との間の距離の測定精度が低下してしまうという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、障害物や駐車枠などの本来反射波を得たい対象物からの反射波を適切に検出することができる障害物検出装置および障害物検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、周辺に送信波を発信し、該送信波の対象物からの反射波を受信反射波として受信し、前記受信反射波が一定時間連続して検出された場合に、該一定時間連続して検出された受信反射波を路面からの反射波として検出し、路面からの反射波として検出された受信反射波に基づいて、受信反射波中に含まれることとなる路面からの反射波を検出するためのノイズ判定閾値を設定し、前記ノイズ判定閾値を用いて、前記受信反射波から、路面以外の対象物の反射波を検出することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、路面からの反射波であると判断された受信反射波の波形に基づくノイズ判定閾値を設定することで、受信反射波から、路面からの反射波の影響を適切に除去することができ、これにより、本来反射波を得たい対象物からの反射波を適切に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本実施形態に係る車両1の構成を示すブロック図である。
【図2】図2(A)、図2(B)は、測距センサ20による検出範囲を説明するための図である。
【図3】図3(A)、図3(B)は、測距センサ20を用いた障害物100の検出方法を説明するための図である。
【図4】図4は、障害物100の反射波の電圧波形の一例を示す図である。
【図5】図5は、路面反射ノイズの電圧波形の一例を示す図である。
【図6】図6は、障害物100の反射波および路面反射ノイズの電圧波形の一例を示す図である。
【図7】図7は、障害物100の反射波および路面反射ノイズの電圧波形の一例を示す図である。
【図8】図8は、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能によるノイズ判定閾値の設定方法の一例を説明するための図である。
【図9】図9は、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能によるノイズ判定閾値の設定方法の一例を説明するための図である。
【図10】図10は、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能によるノイズ判定閾値の設定方法の一例を説明するための図である。
【図11】図11は、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能によるノイズ判定閾値の設定方法の一例を説明するための図である。
【図12】図12は、第1実施形態における障害物検出処理を示すフローチャートである。
【図13】図13は、コントローラ10の測距機能による障害物100の反射波の検出方法を説明するための図である。
【図14】図14は、コントローラ10の測距機能による障害物100の反射波の検出方法を説明するための図である。
【図15】図15は、ノイズ判定閾値モデル記憶機能に記憶される各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルの一例を示す図である。
【図16】図16は、第2実施形態における障害物検出処理を示すフローチャートである。
【図17】図17(A)〜図17(C)は、車両1周囲に障害物100が存在する場合における一場面例を示す図である。
【図18】図18(A)〜図18(C)は、図17(A)〜図17(C)に示す場面例において、測距センサ20により検出される反射波の電圧波形を示す図である。
【図19】図19は、第3実施形態における障害物検出処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪第1実施形態≫
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る車両1の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る車両1は、図1に示すように、コントローラ10、および一対の測距センサ20を備えている。
【0010】
一対の測距センサ20は、図1に示すように、車両1前部の左右両側面にそれぞれ設置されている。測距センサ20は、車両1の車幅方向を中心とした所定の方向、および所定の領域に所定の指向特性を有する送信波を、所定の時間間隔で発信する。そして、測距センサ20は、図2(A)、図2(B)に示す検出範囲内に、測距センサ20により発信された送信波を反射可能な対象物が存在する場合に、該対象物による反射波を受信し、受信した反射波をその強度に応じた電圧値に変換し、電圧波形を得ることで、該対象物からの反射波を検出し、これをコントローラ10に送信する。
【0011】
たとえば、図3(A)、図3(B)に示すように、測距センサ20の検出範囲内に、障害物100が存在する場合には、測距センサ20から発信された送信波は、障害物100により反射され、反射波が生じることとなる。そして、測距センサ20は、この障害物100により反射された反射波を受信し、受信した反射波をその強度に応じた電圧値に変換し、電圧波形を得ることで、該対象物からの反射波を検出する。なお、障害物100としては、特に限定されず、道路上あるいは路側に存在する各種障害物や、駐車枠、あるいは車両1以外の他の車両などが挙げられる。また、図2(A)は、測距センサ20による検出範囲を説明するための図であって、車両1の上面方向から見た図であり、図2(B)は、測距センサ20による検出範囲を説明するための図であって、車両1の前方方向から見た図である。さらに、図3(A)は、測距センサ20を用いた障害物100の検出方法を説明するための図であって、車両1の上面方向から見た図であり、図3(B)は、測距センサ20を用いた障害物100の検出方法を説明するための図であって、車両1の前方方向から見た図である。
【0012】
また、測距センサ20としては、超音波センサなどの音波を用いるものや、ミリ波レーダなどの電波を用いるもの、あるいは、レーザレーダ等の光波を用いるものなどが挙げられる。なお、以下においては、測距センサ20として、超音波センサを用いた場合を例示して説明する。
【0013】
図4は、測距センサ20により検出された反射波の電圧波形の一例を示す図である。図4においては、図3(A)、図3(B)に示すように、測距センサ20による検出範囲内に、障害物100が存在する場合において、時間T=0において、測距センサ20から送信波を発信した際における、測距センサ20により受信した反射波の電圧波形を示している。図4に示すように、測距センサ20による検出範囲内に、障害物100が存在する場合には、測距センサ20から障害物100までの距離に応じた時間(図4に示す例では、時間T=t1)において、障害物100からの反射波の電圧波形が検出されることとなる。
【0014】
また、コントローラ10は、測距センサ20により検出された対象物からの反射波の電圧波形を受信し、受信した電圧波形に基づいて、測距センサ20と対象物との間の距離を測定するための装置である。このようなコントローラ10は、測距センサ20と対象物との間の距離を測定するためのプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)11、各種プログラムを格納したROM(Read Only Memory)12、および、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13を有している。
【0015】
そして、このような構成を有するコントローラ10は、以下に説明する各種機能を備えている。すなわち、コントローラ10は、測距センサ20と対象物との間の距離を測定するための測距機能と、路面からの反射波に基づく路面反射ノイズを検出する路面反射ノイズ検出機能と、測距センサ20により検出された反射波が路面反射ノイズであるか否かを判断するためのノイズ判定閾値を設定するノイズ判定閾値設定機能と、を備えている。
【0016】
コントローラ10の測距機能は、測距センサ20により検出された反射波の電圧波形を受信し、受信した電圧波形に基づいて、測距センサ20と、車両1周囲に存在する対象物との間の距離を測定する。具体的には、測距機能は、まず、測距センサ20により検出された反射波の電圧波形から、所定の閾値電圧Vthよりも高い電圧値を有する電圧波形であり、かつ、最も早く測距センサ20により受信された反射波の電圧波形を検出し、これを、測距センサ20から最も近い対象物からの反射波に基づく電圧波形として判定する。たとえば、図4に示す例においては、障害物100からの反射波の電圧波形が、所定の閾値電圧Vthよりも高い電圧値を有し、かつ、最も早く測距センサ20により受信された反射波の電圧波形となるため、障害物100からの反射波の電圧波形が、測距センサ20から最も近い位置に位置する対象物からの反射波に基づく電圧波形として判定されることとなる。
【0017】
そして、測距機能は、測距センサ20と、測距センサ20から最も近い対象物との間の距離S[m]を、下記式(1)に従って、算出する。
S=c×t/2 …(1)
上記式(1)において、tは、測距センサ20により送信波が発信されてから、測距センサ20から最も近い対象物に基づく反射波が検出されるまでの時間である。また、上記式(1)において、cは、気体中の音速[m/s]であり、下記式(2)により算出することができる。なお、上記式(2)において、θは、気温[℃]である。
c≒331.5+0.61×θ …(2)
【0018】
また、上述した所定の閾値電圧Vthとしては、特に限定されず、適宜設定すればよいが、対象物からの反射波の強度は、測距センサ20からの距離が遠くなるほど空気中で減衰するという性質を有しているため、この点を考慮して設定することが望ましい。
【0019】
さらに、詳細については後述するが、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能により、路面からの反射波に基づく路面反射ノイズを検出するためのノイズ判定閾値が設定されている場合には、測距機能は、所定の閾値電圧Vthの代わりに、ノイズ判定閾値設定機能により設定されたノイズ判定閾値を用いて、路面からの反射波に基づく路面反射ノイズの影響を取り除いた状態で、障害物(路面以外の対象物)からの反射波の電圧波形の検出を行うこととなる。
【0020】
次に、コントローラ10の路面反射ノイズ検出機能およびノイズ判定閾値設定機能について説明する前に、路面からの反射波に基づく路面反射ノイズについて説明を行なう。
【0021】
図2(B)に示すように、測距センサ20は、車両1のデザイン上の理由などの理由で、路面から近い高さに設置されることが多く、そのため、図2(B)に示すように、測距センサ20による検出範囲内に路面が含まれることとなる。そして、図5に示すように、路面で反射した反射波が、測距センサ20に返ってくることがあり、この場合には、測距センサ20により、路面で反射した反射波が検出されてしまうことがある。その結果、たとえば、図6に示すように、路面で反射した反射波の電圧波形が、障害物100からの反射波の電圧波形に重畳された形で検出されたり、図7に示すように、路面で反射した反射波が、障害物100からの反射波よりも、早く検出されてしまうことがある。そして、これら図6、図7に示すいずれの場合においても、上述のコントローラ10の測距機能により、測距センサ20から最も近い対象物からの反射波として検出されるのは、時間T=t1、t2において検出された障害物100の反射波ではなく、時間T=t3において検出された路面反射ノイズとなってしまい、その結果、路面反射ノイズに基づいて、距離の測定が行なわれてしまうことがある。なお、図5は、路面反射ノイズの電圧波形の一例を示す図、図6および図7は、障害物100の反射波および路面反射ノイズの電圧波形の一例を示す図であり、これら図5〜図7においては、いずれも砂利路面に基づく路面反射ノイズの電圧波形を示している。
【0022】
なお、このような路面反射ノイズが検出されるまでの時間は、車両1における測距センサ20の取付け位置や取付け向き等の測距センサ20の取付け状態、あるいは、測距センサ20の指向特性や発振パワー等の測距センサ20のスペックに応じて変化することとなる(たとえば、測距センサ20を路面からより近い位置に取付けた場合には、路面反射ノイズが検出されるまでの時間はより短くなる。)。たとえば、図5〜図7に示す場合においては、T=ta〜tbの間で、路面反射ノイズが検出されている。なお、このような路面反射ノイズは、常時一定の電圧値を示すものではなく、空気を媒体としているため、風や空気の揺らぎ等により振動し、変化するものである。
【0023】
加えて、測距センサ20により検出される路面反射ノイズのレベル(電圧値)は、路面種別により異なるものである。たとえば、コンクリート路面のように表面の凹凸が少ない路面では、測距センサ20から路面に対して送信波が発信された場合でも、測距センサ20から見て遠い方向に反射される成分が多くなるため、路面反射ノイズのレベルは小さいものとなる。しかしその一方で、アスファルト路面や砂利路面のように表面の凹凸の大きい路面では、測距センサ20に対して対向する面が増えるため、測距センサ20から路面に対して送信波が発信されることにより、測距センサ20側に反射する成分が多くなるため、路面反射ノイズのレベルは大きいものとなる。
【0024】
そこで、本実施形態では、測距センサ20を用いて障害物との間の距離を測定する際に、このような路面反射ノイズの影響を除去するために、コントローラ10の路面反射ノイズ検出機能により路面反射ノイズを検出し、検出した路面反射ノイズに基づき、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能により、測距センサ20により検出された反射波に含まれることとなる路面反射ノイズを検出するためのノイズ判定閾値を設定する。
【0025】
具体的には、コントローラ10の路面反射ノイズ検出機能は、測距センサ20により検出された反射波について、一定時間(たとえば、数秒〜数十秒程度)連続して発生している反射波であるか否かを判定し、一定時間連続して発生していると判定した場合には、該反射波を路面からの反射波に基づく路面反射ノイズと判断し、路面反射ノイズとして検出する。たとえば、路面反射ノイズ検出機能は、図5に示すような時間T=t4〜t5に現れる反射波が、一定時間連続して検出された場合に、これを路面反射ノイズとして検出する。
【0026】
そして、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能は、路面反射ノイズ検出機能により検出された路面反射ノイズの波形パターンに基づき、測距センサ20により検出された反射波に含まれることとなる路面反射ノイズを検出するためのノイズ判定閾値を設定する。特に、路面反射ノイズが検出されるまでの時間や、その強度(電圧値)は、車両1における測距センサ20の取付け位置や取付け向き等の測距センサ20の取付け状態、あるいは、測距センサ20の指向特性や発振パワー等の測距センサ20のスペックに応じて変化することとなるため、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能は、これらに応じて、ノイズ判定閾値を設定する。以下、ノイズ判定閾値の具体的な設定方法について、路面反射ノイズ検出機能により、図5に示す反射波に基づく電圧波形が、路面反射ノイズとして検出された場合を例示して、説明する。なお、本実施形態では、ノイズ判定閾値の具体的な設定方法として、以下の4つの方法を例示するが、これらに限定されるものではない。
【0027】
すなわち、まず、第1に、図8に示すように、路面反射ノイズの電圧波形に基づいて、電圧値が極大となる極大点を抽出し、抽出した極大点に基づいて、ノイズ判定閾値を設定する方法が挙げられる。なお、図8は、ノイズ判定閾値設定機能によるノイズ判定閾値の設定方法の一例を説明するための図であり、特に、図5における路面反射ノイズが検出された部分に対応する図である(後述の図9〜図11においても同様。)。
【0028】
そして、この第1の方法においては、まず、ノイズ判定閾値設定機能は、路面反射ノイズの電圧波形に基づいて、電圧値が極大となる極大点を抽出する。次いで、ノイズ判定閾値設定機能は、抽出した極大点を時間とともにテーブル化して、離散値として、コントローラ10のRAM13に記憶させる。そして、ノイズ判定閾値設定機能は、テーブル化された複数の極大点に基づき、ノイズ判定閾値を設定する。たとえば、図8に示す例においては、それぞれ、(時間,電圧値)=(ta,Va)、(tb,Vb)、(tc,Vc)、(td,Vd)、(te,Ve)、(tf,Vf)、(tg,Vg)、(th,Vh)である合計8点が極大点として抽出され、これらが時間とともにテーブル化される(すなわち、時間ta→thの順でテーブル化される)こととなる。
【0029】
なお、テーブル化された極大点に基づいて、ノイズ判定閾値を設定する方法としては特に限定されないが、テーブル化された極大点そのものをノイズ判定閾値として設定してもよく、あるいは、各極大点における電圧値を時間軸方向にシフトさせて調整したものをノイズ判定閾値として設定してもよい。あるいは、テーブル化された極大点の電圧値を平均化したものをノイズ判定閾値としてもよい。
【0030】
本実施形態によれば、このように電圧値が極大となる極大点を用いて、ノイズ判定閾値を設定することで、路面反射ノイズの検出精度を高くすることができる。たとえば、路面反射ノイズ全体の電圧値(すなわち、時間T=t4〜t5の電圧値)を平均した平均電圧値を閾値とした場合には、路面反射ノイズの発生時の状況等によっては、該平均電圧値を超えてしまう可能性が高くなり、路面反射ノイズの検出精度が低下することが考えられる。これに対し、本実施形態のように、電圧値が極大となる極大点を用いて、ノイズ判定閾値を設定することにより、平均電圧値を閾値とした場合と比較して高い電圧値を閾値として設定することができるため、路面反射ノイズの発生時の状況に拘わらず、極大点に基づくノイズ判定閾値を超える可能性が低くなるため、結果として、路面反射ノイズの検出精度を高くすることができる。
【0031】
第2に、上述の第1の方法と同様に、路面反射ノイズの電圧波形に基づいて、電圧値が極大となる極大点を抽出し、次いで、図9に示すように、抽出した極大点の包絡線を算出し、算出した包絡線を示す数式を、ノイズ判定閾値として設定する方法が挙げられる。この第2の方法においては、まず、ノイズ判定閾値設定機能は、路面反射ノイズの電圧波形に基づいて、電圧値が極大となる極大点を抽出する。次いで、ノイズ判定閾値設定機能は、図9に示すように、抽出した各極大点に接する曲線である包絡線を算出し、算出した包絡線をノイズ判定閾値として設定する。また、ノイズ判定閾値設定機能は、算出した包絡線について、包絡線を示す数式を求め、数式化した状態で、コントローラ10のRAM13に記憶させておく。
【0032】
第3に、上述の第1の方法と同様に、路面反射ノイズの電圧波形に基づいて、電圧値が極大となる極大点を抽出し、次いで、図10に示すように、抽出した極大点の近似曲線を算出し、算出した近似曲線を示す数式を、ノイズ判定閾値として設定する方法が挙げられる。この第3の方法においては、まず、ノイズ判定閾値設定機能は、路面反射ノイズの電圧波形に基づいて、電圧値が極大となる極大点を抽出する。次いで、ノイズ判定閾値設定機能は、図10に示すように、抽出した各極大点の近似曲線を算出し、算出した近似曲線をノイズ判定閾値として設定する。また、ノイズ判定閾値設定機能は、算出した近似曲線について、近似曲線を示す数式を求め、数式化した状態で、コントローラ10のRAM13に記憶させておく。
【0033】
第4に、上述の第1の方法と同様に、路面反射ノイズの電圧波形に基づいて、電圧値が極大となる極大点を抽出し、次いで、図11に示すように、抽出した極大点に基づく矩形モデルを求め、これをノイズ判定閾値として設定する方法が挙げられる。この方法においては、まず、ノイズ判定閾値設定機能は、路面反射ノイズの電圧波形に基づいて、電圧値が極大となる極大点を抽出する。次いで、ノイズ判定閾値設定機能は、図11に示すように、抽出した各極大点に基づいて、各極大点の電圧値を越えない直線で構成された矩形モデルを算出し、算出した矩形モデルをノイズ判定閾値として設定する。また、ノイズ判定閾値設定機能は、算出した矩形モデルについて、該矩形モデルを表すデータ(たとえば、図11に示す矩形モデルの変異点の座標のデータ)を求め、これをコントローラ10のRAM13に記憶させておく。
【0034】
上述のように、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能は、上述した第1〜第4の各方法にしたがって、ノイズ判定閾値を設定する。なお、上述した各方法のうち、第1の方法(極大点を抽出する方法)によれば、電圧値が極大となる極大点を抽出するものであるため、演算負荷を低くすることができる。また、上述の方法のうち、第2の方法(極大点の包絡線を用いる方法)、第3の方法(極大点の近似曲線を用いる方法)、および第4の方法(極大点の矩形モデルを用いる方法)によれば、極大点の包絡線や極大点の近似曲線を示す数式や、矩形モデルを表すデータを求め、これをコントローラ10のRAM13に記憶させるものであるため、RAM13における記憶容量を低減させることができる。なお、本実施形態においては、上述した第1〜第4の各方法について、時間T−電圧Vグラフを用いて説明を行なったが、反射波が検出される時間Tと、測距センサ20からの距離Sとは比例関係にあるため、時間T−電圧Vグラフの代わりに、時間T−距離Sグラフを用いて、ノイズ判定閾値を設定することも可能である。
【0035】
次いで、本実施形態の動作について説明する。図12は、本実施形態における障害物検出処理を示すフローチャートである。
【0036】
まず、ステップS101では、測距センサ20により、送信波の発信、および車両1周囲に存在する対象物による反射波の受信が開始される。そして、測距センサ20は、受信した反射波をその強度に応じた電圧値に変換し、これをコントローラ10に送信する。
【0037】
次いで、ステップS102では、コントローラ10の路面反射ノイズ検出機能により、測距センサ20により検出された反射波の電圧波形に基づいて、一定時間連続して発生している反射波が存在しているか否かを判定することで、路面からの反射波に基づく路面反射ノイズが検出されたか否かの判定が行われる。具体的には、一定時間連続して発生している反射波が存在している場合には、路面反射ノイズが検出されたと判定され、一方、一定時間連続して発生している反射波が存在しない場合には、路面反射ノイズが検出なかったと判定される。路面反射ノイズが検出された場合には、ステップS103に進む。一方、路面反射ノイズが検出されなかった場合には、ステップS104に進む。
【0038】
ステップS102において、路面反射ノイズが検出された場合には、ステップS103に進み、ステップS103では、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能により、ステップS202において検出された路面反射ノイズに基づいて、ノイズ判定閾値の設定が行なわれる。なお、ノイズ判定閾値設定機能によるノイズ判定閾値の設定方法としては、特に限定されず、上述した第1〜第4の方法のいずれでもよい。
【0039】
一方、ステップS102において、路面反射ノイズが検出されなかった場合には、ステップS104に進み、ノイズ判定閾値設定機能により、図4に示すような所定の閾値電圧Vth(一定電圧Vth)が、ノイズ判定閾値として設定される。
【0040】
そして、ステップS105では、コントローラ10の測距機能により、ステップS103またはステップS104で設定されたノイズ判定閾値を用いて、測距センサ20により検出された反射波の電圧波形から、測距センサ20と障害物との間の距離の検出が行われる。
【0041】
たとえば、ステップS103において、路面反射ノイズに基づいて算出された場合には、図13に示すように、路面反射ノイズに基づくノイズ判定閾値電圧Vnが設定されることとなる。なお、図13は、上述の図6に示す場面において、路面反射ノイズに基づくノイズ判定閾値として、上述の第4の方法(極大点の矩形モデルを用いる方法)により求められたノイズ判定閾値を用い、これに基づきノイズ判定閾値電圧Vnを設定した場面例である。すなわち、図13に示すように、コントローラ10の測距機能は、路面反射ノイズに基づくノイズ判定閾値電圧Vnを設定し、これにより、路面反射ノイズを検出し、検出した路面反射ノイズを除去することで(あるいは、路面反射ノイズをマスクすることで)、障害物100に基づく反射波の電圧波形を検出することができる。そして、コントローラ10の測距機能は、障害物100に基づく反射波の電圧波形が検出された時間(図13では、時間T=t1)に基づき、上記式(1)にしたがって、測距センサ20と障害物100との間の距離を測定することができる。
【0042】
また、同様に、上述の図7に示す場面において、路面反射ノイズに基づくノイズ判定閾値として、上述の第4の方法(極大点の矩形モデルを用いる方法)により求められたノイズ判定閾値を用い、これに基づきノイズ判定閾値電圧Vnを設定した場面例である図14においても、コントローラ10の測距機能は、路面反射ノイズに基づくノイズ判定閾値電圧Vnを設定し、これにより、検出した路面反射ノイズを除去することで、障害物100に基づく反射波の電圧波形を検出することができる。そして、コントローラ10の測距機能は、障害物100に基づく反射波の電圧波形が検出された時間(図14では、時間T=t2)に基づき、上記式(1)にしたがって、測距センサ20と障害物100との間の距離を測定することができる。
【0043】
一方、ステップS102において、路面反射ノイズが検出されなかった場合には、路面反射ノイズの影響を考慮しなくてもよいため、コントローラ10の測距機能は、図4に示すように、ステップS104で設定された所定の閾値電圧Vth(一定電圧Vth)を、ノイズ判定閾値として設定することとなる。
【0044】
そして、本実施形態においては、ステップS105において、所定時間にわたり、コントローラ10の測距機能により、測距センサ20と障害物との間の距離の検出が行われた後、再度、ステップS101に戻り、ステップS101〜S105の各動作が繰り返されることとなる。
【0045】
本実施形態においては、コントローラ10の路面反射ノイズ検出機能により、路面の反射波に基づく路面反射ノイズの検出を行い、路面反射ノイズが検出された場合に、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能により、路面反射ノイズの波形に基づいて、ノイズ判定閾値の設定を行なう。そして、本実施形態によれば、このような路面反射ノイズの波形に基づくノイズ判定閾値を用いることで、路面反射ノイズの影響を有効に除去することができ、これにより、本来反射波を得たい対象物(道路上あるいは路側に存在する各種障害物や、駐車枠、あるいは車両1以外の他の車両)からの反射波を適切に検出することができ、結果として、このような対象物と測距センサ20(車両1)との間の距離の測定精度を良好なものとすることができる。
【0046】
加えて、本実施形態によれば、測距センサ20により実際に検出された路面反射ノイズに基づいて、ノイズ判定閾値を求めるものであるため、路面状況に応じたノイズ判定閾値を、随時かつ適切に設定することができる。特に、路面状況によっては、路面反射ノイズのレベルも異なることとなるため、測距センサ20により実際に検出された路面反射ノイズに基づいて、ノイズ判定閾値を求めることにより、実際に走行している路面に応じたノイズ判定閾値を適切に設定することができ、これにより、対象物と測距センサ20(車両1)との間の距離の測定精度のさらなる向上を可能とすることができる。
【0047】
≪第2実施形態≫
次いで、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態に係る車両1は、図1に示すコントローラ10が、上述した測距機能、路面反射ノイズ検出機能、およびノイズ判定閾値設定機能に加えて、路面種別ごとにノイズ判定閾値モデルを記憶するノイズ判定閾値モデル記憶機能、および車両1が走行する路面種別を推定する路面種別推定機能をさらに有する以外は、上述の第1実施形態と同様の構成を有し、同様の作用を奏するものである。
【0048】
コントローラ10のノイズ判定閾値モデル記憶機能は、路面種別ごと(たとえば、砂利路面、アスファルト路面、コンクリート路面ごと)に、各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルを記憶する機能である。図15に、ノイズ判定閾値モデル記憶機能に記憶される各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルの一例を示す。なお、図15に示す各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルは、上述の第1実施形態におけるノイズ判定閾値設定機能において説明した第4の方法(極大点の矩形モデルを用いる方法)により設定されるノイズ判定閾値のモデルである。ここで、図15からも確認できるように、測距センサ20により検出される路面反射ノイズのレベル(電圧値)や路面反射ノイズの波形は、路面種別により異なるものである。そのため、ノイズ判定閾値記憶機能は、このように路面種別ごとに、各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルを記憶している。なお、ノイズ判定閾値モデル記憶機能により記憶される各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルとしては特に限定されないが、予め、各路面について路面反射ノイズの測定を行い、これに基づいて設定したものであることが望ましい。また、図15には、上述の第1実施形態におけるノイズ判定閾値設定機能において説明した第4の方法(極大点の矩形モデルを用いる方法)により設定されるノイズ判定閾値のモデルを示したが、特にこれに限定されるものではなく、上述の第1実施形態におけるノイズ判定閾値設定機能において説明した第1の方法(極大点を抽出する方法)、第2の方法(極大点の包絡線を用いる方法)、または第3の方法(極大点の近似曲線を用いる方法)により設定されるものであってもよく、さらにこれら以外の方法により設定されるものであってもよい。また、ノイズ判定閾値モデルとしては、各路面について路面反射ノイズの測定を実際に行うことで得られるものの他、各路面形状に基づいて、計算機シミュレーションにより算出されるものであってもよい。
【0049】
また、コントローラ10の路面種別推定機能は、コントローラ10の路面反射ノイズ検出機能により路面反射ノイズが検出された場合に、路面反射ノイズ検出機能により検出された路面反射ノイズと、ノイズ判定閾値モデル記憶機能により記憶されている各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルとを比較することで、車両1が走行している路面を推定する機能である。具体的には、路面種別推定機能は、各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルのうち、路面反射ノイズ検出機能により検出された路面反射ノイズに最も一致するレベルおよび波形を有するノイズ判定閾値モデルを検出することで、車両1が走行している路面を推定する。そして、これに基づいて、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能は、ノイズ判定閾値モデル記憶機能に記憶されている各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルから、路面種別推定機能により推定された車両1が走行している路面に対応するノイズ判定閾値モデルを選択し、これをノイズ判定閾値に設定する。
【0050】
次いで、第2実施形態の動作について説明する。図16は、第2実施形態における障害物検出処理を示すフローチャートである。
【0051】
まず、ステップS201では、上述の図14のステップS101と同様に、測距センサ20により、送信波の発信、および車両1周囲に存在する対象物による反射波の受信が開始される。
【0052】
次いで、ステップS202では、上述の図14のステップS102と同様に、路面からの反射波に基づく路面反射ノイズが検出されたか否かの判定が行われ、路面反射ノイズが検出された場合には、ステップS203に進む。一方、路面反射ノイズが検出されなかった場合には、ステップS205に進む。
【0053】
ステップS203では、コントローラ10の路面種別推定機能により、ステップS202において検出された路面反射ノイズについて、ノイズ判定閾値モデル記憶機能により記憶されている各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルと比較することで、車両1が走行している路面の種別の推定が行なわれる。
【0054】
ステップS204では、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能により、ノイズ判定閾値モデル記憶機能に記憶されている各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルから、路面種別推定機能により推定された車両1が走行している路面に対応するノイズ判定閾値モデルの選択が行なわれ、選択されたノイズ判定閾値モデルが、ノイズ判定閾値として設定される。
【0055】
一方、ステップS202において、路面反射ノイズが検出されなかったと判定された場合には、ステップS205に進み、上述の図14のステップS104と同様に、ノイズ判定閾値設定機能により、図4に示すような所定の閾値電圧Vth(一定電圧Vth)が、ノイズ判定閾値として設定される。
【0056】
そして、ステップS206では、コントローラ10の測距機能により、ステップS204またはステップS205で設定されたノイズ判定閾値を用いて、測距センサ20により検出された反射波の電圧波形から、測距センサ20と障害物との間の距離の検出が行われる。
【0057】
そして、本実施形態においては、ステップS206において、所定時間にわたり、コントローラ10の測距機能により、測距センサ20と障害物との間の距離の検出が行われた後、再度、ステップS201に戻り、ステップS201〜S206の各動作が繰り返されることとなる。
【0058】
第2実施形態によれば、上述の第1実施形態と同様に、路面反射ノイズの波形に基づいて、ノイズ判定閾値の設定を行い、これを用いることで、路面反射ノイズの影響を有効に除去することができ、これにより、本来反射波を得たい対象物からの反射波を適切に検出することができ、結果として、このような対象物と測距センサ20(車両1)との間の距離の測定精度を良好なものとすることができる。
【0059】
加えて、第2実施形態においては、コントローラ10のノイズ判定閾値モデル記憶機能により、各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルを記憶しておき、かつ、コントローラ10の路面種別推定機能により、コントローラ10の路面反射ノイズ検出機能により検出された路面反射ノイズと、各路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルとを比較することで、車両1が実際に走行している路面の種別を推定し、該推定した路面種別に応じたノイズ判定閾値モデルを、ノイズ判定閾値として設定する。そして、第2実施形態によれば、予め設定されたノイズ判定閾値モデルに基づいて、ノイズ判定閾値を設定することで、測距センサ20により検出された路面反射ノイズに測定誤差がある場合でも、該測定誤差に基づく、路面反射ノイズの検出精度の低下を有効に防止することができる。そして、その結果として、対象物と測距センサ20(車両1)との間の距離の測定精度のさらなる向上を可能とすることができる。
【0060】
≪第3実施形態≫
次いで、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る車両1は、図1に示すコントローラ10が、上述した測距機能、路面反射ノイズ検出機能、およびノイズ判定閾値設定機能に加えて、特定対象物反射波判定機能をさらに有する以外は、上述の第1実施形態と同様の構成を有し、同様の作用を奏するものである。なお、第3実施形態に係る特定対象物反射波判定機能は、路面反射ノイズ検出機能により路面反射ノイズが検出された場合に、車両1周囲に存在する路面以外の対象物(以下、このような対象物を「特定対象物」とする。)からの反射波が検出されたか否かを判定し、特定対象物からの反射波が検出された場合に、特定対象物からの反射波の電圧波形を、路面反射ノイズの電圧波形から取り除く機能である。
【0061】
ここで、図17(A)に示すように、測距センサ20の検出範囲内に、路面以外の対象物である障害物100が存在している場合に、図18(A)に示すように、測距センサ20と障害物100との間の距離である距離SAに応じた位置に、障害物100の反射波が検出され、結果として、障害物100の反射波の波形と路面反射ノイズによる反射波の波形とが重畳されてしまい、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能により、路面反射ノイズによる反射波の波形を検出する際に、障害物100の反射波の影響が出てしまう場合がある。なお、図17(A)は、車両1周囲に障害物100が存在する場合における一場面例であり、図18(A)は、図17(A)に示す場面例において、測距センサ20により検出される反射波の電圧波形を示す図である。また、上述の図4〜図7、図13〜図14においては、反射波の電圧波形の電圧値Vを、反射波の検出時間Tに対してプロットして示した(時間T−電圧Vグラフとした)が、図18(A)においては、反射波の電圧波形の電圧値Vを、測距センサ20からの距離Sに対してプロットして示している(時間T−距離Sグラフとしている)。ここで、上述したように、反射波の検出時間Tと、測距センサ20からの距離Sとは比例関係にあるため、時間T−距離Sグラフと、時間T−電圧Vグラフとは同様なグラフとなる。
【0062】
そして、これに対して、第3実施形態では、コントローラ10の路面反射ノイズ検出機能により路面反射ノイズが検出された場合に、コントローラ10の特定対象物反射波判定機能により、車両1周囲に存在する特定対象物からの反射波が検出されたか否かを判定し、特定対象物からの反射波が検出された場合に、特定対象物からの反射波の電圧波形を、路面反射ノイズの電圧波形から取り除くものである。
【0063】
以下、コントローラ10の特定対象物反射波判定機能による特定対象物からの反射波の具体的な検出方法を、図17(A)〜図17(C)および図18(A)〜図18(C)を用いて説明する。図17(A)は、車両1周囲に障害物100が存在する場合における一場面例であり、図18(A)は、図17(A)に示す場面例において、測距センサ20により検出される反射波の電圧波形を示す図である。また、図17(B)、図18(B)は、図17(A)に示す場面例から、所定時間経過後の状態を示す場面例を示す図、およびこの場合に検出される反射波の電圧波形を示す図であり、図17(C)、図18(C)は、図17(B)に示す場面例から、さらに所定時間経過後の状態を示す場面例を示す図、およびこの場合に検出される反射波の電圧波形を示す図である。すなわち、図17(A)〜図17(C)は、車両1が前方に進行することで、車両1に備えられた測距センサ20と障害物100との距離が、SA→SB→SCと変化した場面を示しており、図18(A)〜図18(C)は、これらに対応する反射波の電圧波形を示している。ここで、図17(A)、図18(A)に示す場面における時刻を時刻TAとし、図17(B)、図18(B)に示す場面における時刻を時刻TBとし、図17(C)、図18(C)に示す場面における時刻を時刻TCとする。
【0064】
そして、図17(A)〜図17(C)に示すように、時刻TA→TB→TCと進み、車測距センサ20と障害物100との距離が、SA→SB→SCと変化した場合においては、路面反射ノイズの電圧波形は、ほとんど変化しないものの、障害物100の反射波の電圧波形は、その波形パターン自体は変化しないものの、測距センサ20からの距離が変化することにより、その検出位置(検出時間)が変化することとなる。そして、コントローラ10の路面反射ノイズ検出機能は、このような性質を利用し、波形パターン自体は変化しない(すなわち、電圧レベル自体は変化しない)ものの、測距センサ20からの距離が変化する電圧波形が存在する場合に、これを特定対象物反射波(路面以外の対象物からの反射波)として検出し、路面反射ノイズ検出機能により検出された路面反射ノイズの波形パターンから、このような特定対象物反射波に基づく波形を取り除く処理を行なう。そして、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能は、このような特定対象物反射波に基づく波形が取り除かれた波形パターンに基づいて、ノイズ判定閾値を設定する。
【0065】
次いで、第3実施形態の動作について説明する。図19は、第3実施形態における障害物検出処理を示すフローチャートである。
【0066】
まず、ステップS301では、上述の図14のステップS101と同様に、測距センサ20により、送信波の発信、および車両1周囲に存在する対象物による反射波の受信が開始される。
【0067】
次いで、ステップS302では、上述の図14のステップS102と同様に、路面からの反射波に基づく路面反射ノイズが検出されたか否かの判定が行われ、路面反射ノイズが検出された場合には、ステップS303に進む。一方、路面反射ノイズが検出されなかった場合には、ステップS306に進む。
【0068】
ステップS303では、コントローラ10の特定対象物反射波判定機能により、車両1周囲に存在する特定対象物からの反射波が検出されたか否かの判定が行なわれる。その結果、特定対象物からの反射波が検出された場合には、ステップS304に進む。一方、特定対象物からの反射波が検出されなかった場合には、ステップS305に進む。
【0069】
ステップS304では、ステップS303において特定対象物反射波が検出されたため、コントローラ10の特定対象物反射波判定機能により、路面反射ノイズ検出機能により検出された路面反射ノイズの波形パターンから、このような特定対象物反射波に基づく波形を取り除く処理を行なう。
【0070】
そして、ステップS305では、上述の図14のステップS103と同様に、ノイズ判定閾値設定機能により、ステップS302において検出された路面反射ノイズに基づいて、ノイズ判定閾値の設定が行なわれる。なお、この場合において、ステップS304において、路面反射ノイズの波形パターンから、特定対象物反射波に基づく波形を取り除く処理が行なわれている場合には、特定対象物反射波に基づく波形を取り除かれた後の路面反射ノイズに基づいて、ノイズ判定閾値の設定が行なわれることとなる。
【0071】
一方、ステップS302において、路面反射ノイズが検出されなかったと判定された場合には、ステップS306に進み、上述の図14のステップS104と同様に、ノイズ判定閾値設定機能により、図4に示すような所定の閾値電圧Vth(一定電圧Vth)が、ノイズ判定閾値として設定される。
【0072】
ステップS307では、コントローラ10の測距機能により、ステップS305またはステップS306で設定されたノイズ判定閾値を用いて、測距センサ20により検出された反射波の電圧波形から、測距センサ20と障害物との間の距離の検出が行われる。
【0073】
そして、本実施形態においては、ステップS307において、所定時間にわたり、コントローラ10の測距機能により、測距センサ20と障害物との間の距離の検出が行われた後、再度、ステップS301に戻り、ステップS301〜S307の各動作が繰り返されることとなる。
【0074】
なお、第3実施形態においては、上述の第1実施形態において、コントローラ10が、特定対象物反射波判定機能をさらに有する構成について説明したが、上述の第2実施形態において、コントローラ10が、特定対象物反射波判定機能をさらに有する構成としてもよい。この場合においては、コントローラ10の特定対象物反射波判定機能により、特定対象物からの反射波の電圧波形を、路面反射ノイズの電圧波形から取り除く処理が行なわれた際には、特定対象物反射波に基づく波形を取り除かれた後の路面反射ノイズに基づいて、コントローラ10の路面種別推定機能は、路面種別の推定を行うこととなる。
【0075】
第3実施形態によれば、上述の第1実施形態と同様に、路面反射ノイズの波形に基づいて、ノイズ判定閾値の設定を行い、これを用いることで、路面反射ノイズの影響を有効に除去することができ、これにより、本来反射波を得たい対象物からの反射波を適切に検出することができ、結果として、このような対象物と測距センサ20(車両1)との間の距離の測定精度を良好なものとすることができる。
【0076】
加えて、第3実施形態においては、コントローラ10の特定対象物反射波判定機能により、車両1周囲に存在する特定対象物(路面以外の対象物)からの反射波が検出されたか否かを判定し、特定対象物からの反射波が検出された場合に、特定対象物からの反射波の電圧波形を、路面反射ノイズの電圧波形から取り除くものである。そして、このような第3実施形態によれば、路面反射ノイズと特定対象物反射波とが重畳してしまった場合でも、路面反射ノイズの波形パターンを適切に検出することができ、さらに、特定対象物からの反射波の電圧波形を取り除いた後の波形パターンを用いて、ノイズ判定閾値を設定することで、ノイズ判定閾値を適切に設定することできる。そして、その結果として、対象物と測距センサ20(車両1)との間の距離の測定精度のさらなる向上を可能とすることができる。
【0077】
なお、上述した実施形態において、測距センサ20は本発明の発信手段および受信手段に、コントローラ10の路面反射ノイズ検出機能は本発明の路面反射波検出手段に、コントローラ10のノイズ判定閾値設定機能は本発明の設定手段に、コントローラ10の測距機能は本発明の対象物反射波検出手段に、コントローラ10のノイズ判定閾値モデル記憶機能は本発明の記憶手段に、コントローラ10の特定対象物反射波判定機能は本発明の特定対象物反射波検出手段に、それぞれ相当する。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0079】
たとえば、上述の実施形態においては、測距センサ20を車両1前部の左右両側面に設置した構成を例示したが、測距センサ20の設置位置および設置数は特に限定されず、その目的等に応じて適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1…車両
10…コントローラ
20…測距センサ
100…障害物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺に送信波を発信する発信手段と、
前記送信波の対象物からの反射波を、受信反射波として受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した受信反射波が、一定時間連続して発生しているか否かを判断し、一定時間連続して発生している場合に、該受信反射波を路面からの反射波として検出する路面反射波検出手段と、
前記路面からの反射波であると判断された受信反射波に基づいて、前記受信手段により受信した受信反射波中に含まれる路面からの反射波を検出するためのノイズ判定閾値を設定する設定手段と、
前記ノイズ判定閾値を用いて、前記受信手段により受信した前記受信反射波から、路面以外の対象物の反射波を検出する対象物反射波検出手段と、を備えることを特徴とする障害物検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の障害物検出装置において、
前記設定手段は、路面に対する、前記発信手段および受信手段の配置態様ならびに前記送信波の指向特性および発信強度に基づいて、前記ノイズ判定閾値を設定することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の障害物検出装置において、
前記設定手段は、前記路面からの反射波であると判断された受信反射波の実際の波形に基づいて、前記ノイズ判定閾値を設定することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の障害物検出装置において、
予め測定された前記ノイズ判定閾値を、路面種別ごとにノイズ判定閾値モデルとして記憶する記憶手段をさらに備え、
前記設定手段は、前記受信手段により受信した前記受信反射波が、路面からの反射波として検出された場合に、前記路面からの反射波であると判断された受信反射波の路面種別を判定し、前記受信反射波の路面種別に応じた前記ノイズ判定閾値モデルを、前記ノイズ判定閾値として設定することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の障害物検出装置において、
前記設定手段は、前記路面からの反射波であると判断された受信反射波の反射強度に基づいて、前記受信反射波の路面種別を判定することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の障害物検出装置において、
前記路面反射波検出手段により路面からの反射波として検出された前記受信反射波から、車両の移動に伴って、車両からの距離が変化する反射波を、特定対象物反射波として検出する特定対象物反射波検出手段をさらに備え、
前記設定手段は、前記路面からの反射波であると判断された受信反射波から、前記特定対象物反射波を取り除いた状態で、前記ノイズ判定閾値の設定を行うことを特徴とする障害物検出装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の障害物検出装置において、
前記ノイズ判定閾値が、前記路面からの反射波であると判断された受信反射波の波形から、反射強度の極大点を抽出し、該反射強度の極大点を用いて得られるものであることを特徴とする障害物検出装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の障害物検出装置において、
前記ノイズ判定閾値が、前記路面からの反射波であると判断された受信反射波の波形から、反射強度の極大点を抽出し、該反射強度の極大点の包絡線を用いて得られるものであることを特徴とする障害物検出装置。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかに記載の障害物検出装置において、
前記ノイズ判定閾値が、前記路面からの反射波であると判断された受信反射波の波形から、反射強度の極大点を抽出し、該反射強度の極大点の近似曲線を用いて得られるものであることを特徴とする障害物検出装置。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれかに記載の障害物検出装置において、
前記ノイズ判定閾値が、前記路面からの反射波であると判断された受信反射波の波形から、反射強度の極大点を抽出し、該反射強度の極大点に基づく矩形モデルを用いて得られるものであることを特徴とする障害物検出装置。
【請求項11】
周辺に送信波を発信し、該送信波の対象物からの反射波を受信反射波として受信し、
前記受信反射波が一定時間連続して検出された場合に、該一定時間連続して検出された受信反射波に基づいて、受信反射波中に含まれる路面からの反射波を検出するためのノイズ判定閾値を設定し、
前記ノイズ判定閾値を用いて、受信反射波から、路面以外の対象物の反射波を検出することを特徴とする障害物検出方法。
【請求項1】
車両の周辺に送信波を発信する発信手段と、
前記送信波の対象物からの反射波を、受信反射波として受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した受信反射波が、一定時間連続して発生しているか否かを判断し、一定時間連続して発生している場合に、該受信反射波を路面からの反射波として検出する路面反射波検出手段と、
前記路面からの反射波であると判断された受信反射波に基づいて、前記受信手段により受信した受信反射波中に含まれる路面からの反射波を検出するためのノイズ判定閾値を設定する設定手段と、
前記ノイズ判定閾値を用いて、前記受信手段により受信した前記受信反射波から、路面以外の対象物の反射波を検出する対象物反射波検出手段と、を備えることを特徴とする障害物検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の障害物検出装置において、
前記設定手段は、路面に対する、前記発信手段および受信手段の配置態様ならびに前記送信波の指向特性および発信強度に基づいて、前記ノイズ判定閾値を設定することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の障害物検出装置において、
前記設定手段は、前記路面からの反射波であると判断された受信反射波の実際の波形に基づいて、前記ノイズ判定閾値を設定することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の障害物検出装置において、
予め測定された前記ノイズ判定閾値を、路面種別ごとにノイズ判定閾値モデルとして記憶する記憶手段をさらに備え、
前記設定手段は、前記受信手段により受信した前記受信反射波が、路面からの反射波として検出された場合に、前記路面からの反射波であると判断された受信反射波の路面種別を判定し、前記受信反射波の路面種別に応じた前記ノイズ判定閾値モデルを、前記ノイズ判定閾値として設定することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の障害物検出装置において、
前記設定手段は、前記路面からの反射波であると判断された受信反射波の反射強度に基づいて、前記受信反射波の路面種別を判定することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の障害物検出装置において、
前記路面反射波検出手段により路面からの反射波として検出された前記受信反射波から、車両の移動に伴って、車両からの距離が変化する反射波を、特定対象物反射波として検出する特定対象物反射波検出手段をさらに備え、
前記設定手段は、前記路面からの反射波であると判断された受信反射波から、前記特定対象物反射波を取り除いた状態で、前記ノイズ判定閾値の設定を行うことを特徴とする障害物検出装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の障害物検出装置において、
前記ノイズ判定閾値が、前記路面からの反射波であると判断された受信反射波の波形から、反射強度の極大点を抽出し、該反射強度の極大点を用いて得られるものであることを特徴とする障害物検出装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の障害物検出装置において、
前記ノイズ判定閾値が、前記路面からの反射波であると判断された受信反射波の波形から、反射強度の極大点を抽出し、該反射強度の極大点の包絡線を用いて得られるものであることを特徴とする障害物検出装置。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかに記載の障害物検出装置において、
前記ノイズ判定閾値が、前記路面からの反射波であると判断された受信反射波の波形から、反射強度の極大点を抽出し、該反射強度の極大点の近似曲線を用いて得られるものであることを特徴とする障害物検出装置。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれかに記載の障害物検出装置において、
前記ノイズ判定閾値が、前記路面からの反射波であると判断された受信反射波の波形から、反射強度の極大点を抽出し、該反射強度の極大点に基づく矩形モデルを用いて得られるものであることを特徴とする障害物検出装置。
【請求項11】
周辺に送信波を発信し、該送信波の対象物からの反射波を受信反射波として受信し、
前記受信反射波が一定時間連続して検出された場合に、該一定時間連続して検出された受信反射波に基づいて、受信反射波中に含まれる路面からの反射波を検出するためのノイズ判定閾値を設定し、
前記ノイズ判定閾値を用いて、受信反射波から、路面以外の対象物の反射波を検出することを特徴とする障害物検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−281793(P2010−281793A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137459(P2009−137459)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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