説明

障害物検出装置

【課題】外来ノイズとセンサ送受信の混信による誤報防止を図りながら、検出エリアの変動を極力抑制する障害物検出装置を提供する
【解決手段】マイクロフォン21及び回路部23を持つセンサ5は、基準周波数モードまたは外来ノイズを避けるための前記基準周波数モードとは異なる周波数で超音波を送波するシフト周波数モードのうち、いずれかに周波数調整回路32で切替えて、超音波を送波するとともに、マイク駆動回路33での超音波の音圧またはゲイン調整回路36での受信感度を、基準周波数モードの送信時からシフト周波数モードでの送信時とで変更する。これにより、外来ノイズで誤動作し難く、かつ検知エリアの変更を抑制することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の特に後方に向かって超音波を送信し、障害物を検出する障害物検出装置に関するものである。特に、外来の超音波ノイズで誤動作し難い装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の周囲には、超音波のノイズが溢れている。特に、トラックのエアーブレーキ(空気ブレーキとも呼ばれ、空気制動器の一種でエアタンクに貯めた圧縮空気でブレーキをかける装置である。油圧を用いたブレーキに比べ大きな制動力が期待できるため、鉄道車両や中型・大型のトラックやバスのブレーキに使用される。ブレーキを解除すると溜まっていたエアーが抜けるのでプシュッというエアー音がする。)の音の中の超音波は、かなりな音圧があり、これを拾って障害物が無いのに反応してしまうことがある。また、他車の同じような障害物検出装置から飛んできた超音波で誤作動することもある。図10は、従来の外来ノイズによる誤動作を説明するための説明図である。図10の(a)において、他車101が停車あるいは低速度で動いているときに、障害物検出装置のセンサ5から超音波が出ることにより、同じく作動中の自車102の障害物検出装置が誤作動を起こした例を示している。
【0003】
次に、図10の(b)はトラック103のエアーブレーキの音104で、後続する自車102の障害物検出装置が誤作動を起こした例を示している。
【0004】
そこで、従来、障害物の誤検出を低減することができる障害物検出装置を提供するという課題の基に、特許文献1のものが知られている。この特許文献1は、車両の周囲の環境から超音波を受信して、周囲の超音波の状況をモニターしている。そのために、全受信回路を超音波センサに接続し、全受信回路の全受信情報を収集している。
【0005】
そして、認識した周囲の超音波の状況に応じて、送受信する超音波の周波数帯を選択している。そのために、上記モニターの後、閾値を超えた入力があるかを判定している。更に、送信周波数を基準周波数に設定し、全受信回路にて閾値を超えた入力があるかを判定している。閾値を超える入力が無い受信回路の周波数のうちから送信周波数をランダムに選択している。
【0006】
そして、受信回路にて閾値を連続的に超えた入力があるかを判定している。更に、閾値を超えた時間が最も少ない受信回路の周波数を選択し、その周波数を送信周波数として設定するものである。こうして、外来ノイズの影響を受け難い周波数帯を利用することにより、誤検出を低減して、車両の周囲の障害物を正確に検出している。
【0007】
また、従来、特許文献2に記載の障害物検出装置が知られている。この特許文献2は、近距離にある障害物であっても、遠距離にある障害物であっても、適切に検出可能な障害物検出装置を提供することを課題としている。
【0008】
そのために、障害物検出装置が備える超音波センサ(以下、単にセンサとも言う)は、ECUからの指令に応じて、送波周波数および送波出力を変更可能である。これにより、指向性が高くて、検出距離が長距離となる遠距離モードと、指向性が低くて、検出距離が短距離となる近距離モードとを切替えて、障害物の検出及び検出エリアを変更することができている。
【0009】
検出エリアを変更する際には、例えば、車速Vが所定の閾値V2以下の場合には、近距離モードとされる。これにより、車両近傍の不感帯を減少させることができる。
【0010】
一方、車速Vが所定の閾値V2より大の場合には、遠距離モードとされ、これにより、より遠方の障害物を精度良く検出できるようになっている。
【0011】
この特許文献2の技術に使われる超音波を送受信するマイクロフォン(以下、単にマイクとも言う)は、高周波数モードと低周波数モードとの二つに共用される。このうち、高周波モードは狭指向性であり、遠距離の障害物検出に向いている。また、低周波モードは広指向性を持ち、近距離での障害物検出に向いている
また、遠くの障害物検出は、路面を検出しないように、超音波のビームを細くしなければならない。ところが、細くしていくと、近くの上下が拾えない。よって、近くは、ある程度の幅が必要である。このために、上記特許文献2は、駆動周波数の切替により、指向性(ビームの広狭)を切替制御している。そして、この切替制御は、上述のように車速に応じて、また、検出距離に応じて、車両進行方向に応じて、あるいは任意に行われるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−107156号公報
【特許文献2】特開2009−14560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記特許文献1の技術によると、ノイズと関係の無い周波数を選定することにより、外来ノズルに影響されない障害物の検出が可能である。しかし、単に送受信周波数を切替えたのでは、指向性の変化により検出エリアが変ってしまう。つまり高周波数になると、超音波ビームは細く短いものになってしまう。また低周波数では、ビームの放射角の広い幅のある検出エリアが設定されてしまう。
【0014】
また、特許文献2の最新の技術によれば、単一のセンサから高周波数の遠距離検出モードでの送信と低周波数での短距離検出モードでの検出が、コンピュータから成る検出手段の指令により任意に変えられるが、外来ノイズ対策について開示されていない。
【0015】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目して成されたものであり、その目的は、外来ノイズとセンサ送受信の混信による誤報防止を図りながら、検出エリアの変動を極力抑制する障害物検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は上記目的を達成するために、下記の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、マイクロフォン(21)及び回路部(23)を持つセンサ(5)は、基準周波数モードまたは外来ノイズを避けるための前記基準周波数モードとは異なる周波数で超音波を送波するシフト周波数モードのうち、いずれかに切替えて、超音波を送波するとともに、該超音波の音圧または受信感度を、基準周波数モードのときから前記シフト周波数モードときとで変更することができるものから成り、車両周辺の外来ノイズのレベルを判定し、外来ノズルが大きく、混信の可能性が高いときに、前記マイクロフォン(21)からシフト周波数モードで超音波を送波するとともに、該超音波の音圧または受信感度を基準周波数モードの場合から変更して、前記マイクロフォン(21)から障害物検出のための超音波の送波及び受波を行うことを特徴としている。
【0017】
この発明によれば、外来ノイズが大きいときは、別の周波数であるシフト周波数モードで送信受信を行い、かつ、この周波数の変更につれて、該超音波の音圧または受信感度を基準周波数モードよりも変更して、前記マイクロフォン(21)から超音波を送波及び受波するから、外来ノイズで誤動作し難く、かつ検知エリアの変動を抑制することが出来る。
【0018】
請求項2に記載の発明では、前記シフト周波数モードは、基準周波数モードよりも高周波数で超音波を送波するモードからなり、前記超音波の音圧または受信感度を基準周波数モードよりも前記シフト周波数モードの方で大きく設定することを特徴としている。
【0019】
この発明によれば、高周波数側にシフトすることにより、外来ノイズに影響され難くなる。また、検知エリアが細く短くなろうとするが、超音波の音圧または受信感度を基準周波数モードよりも前記シフト周波数モードの方で大きく設定することにより、検知エリアの変動を抑制することが出来る。
【0020】
請求項3に記載の発明では、前記回路部(23)内に、周波数調整回路(32)、マイク駆動回路(33)、ゲイン調整回路(36)、距離及びノイズ演算回路(37)を備え、前記周波数調整回路(32)は、前記制御手段(3)から指示された前記基準周波数モードまたは前記シフト周波数モードから成る送信周波数情報を超音波パルス信号の送信周波数として設定し、この設定した送信周波数の超音波パルス信号を前記マイク駆動回路(33)へ送信し、前記マイク駆動回路(33)は、前記周波数調整回路(32)からの前記超音波パルス信号により、基準周波数駆動信号または該基準周波数駆動信号よりも周波数が所定量シフトされたシフト周波数駆動信号を生成して、設定された増幅度により所定の前記音圧で前記マイクロフォン(21)を駆動して、超音波を送波及び受波し、前記ゲイン調整回路(36)は、送波され障害物により反射され、前記マイクロフォン(21)により受信された受信信号を、前記制御手段(3)にて指示されたゲインを参照して、所定の前記受信感度で増幅することを特徴としている。
【0021】
この発明によれば、前記センサ(5)内の回路部(23)内に、周波数調整回路(32)、マイク駆動回路(33)、ゲイン調整回路(36)を備えるから、センサ(5)内で信号処理が実行され、前記制御手段(3)の負担を軽くすることが出来る。
【0022】
請求項4に記載の発明では、前記マイク駆動回路(33)は、基準周波数駆動信号を生成するときと該基準周波数駆動信号よりも周波数が所定量シフトされたシフト周波数駆動信号を生成するときとで増幅度を変更して、この増幅された駆動信号により前記マイクロフォン(21)を駆動することを特徴としている。
【0023】
この発明によれば、マイク駆動回路(33)は、基準周波数駆動信号を生成するときとシフト周波数駆動信号を生成するときとで増幅度を変更出来るため、検知エリアの変動を増幅度の調整で抑制できる。
【0024】
請求項5に記載の発明では、更に、受信感度を段階的に変化させるデータが書き込まれたメモリ(39)を有し、前記ゲイン調整回路(36)では、メモリ(39)に記憶されたゲインを参照して、受信信号を所定倍に増幅し、増幅後の受信信号を前記フィルタ回路(35)へ出力することを特徴とする請求項3または4に記載の障害物検出装置。
【0025】
この発明によれば、メモリ(39)内のデータに基づいて受信感度を変化させることで、車種が変わっても、メモリ(39)内のデータの変更で対応できる。
【0026】
請求項6に記載の発明では、前記回路部(23)内に、更に、フィルタ回路(35)、距離及びノイズ演算回路(37)、閾値調整回路(38)、及び比較回路(38a)を備え、前記フィルタ回路(35)は、前記ゲイン調整回路(36)にて増幅された受信信号に対してフィルタ処理を行い、前記比較回路(38a)では、前記閾値調整回路(38)にて設定されたノイズ判定用の閾値電圧レベルあるいは障害物判定用の閾値電圧レベルと、受信信号のレベルとが比較され、前記距離及びノイズ演算回路(37)では、第1のタイミングにおいて、前記比較回路(38a)が、受信信号はノイズ判定用の閾値より大きいと判定した場合に、外来ノズルにより混信の可能性が大きいことを示す外来ノイズデータを前記制御手段(3)へ出力し、かつ、前記距離及びノイズ演算回路(37)では、第2のタイミングにおいて、前記比較回路(38a)が、受信信号は障害物判定用の閾値より大きいと判定した場合に、超音波の送波開始時から反射波の受波までに要した時間から距離を演算し、その距離を示す距離データを前記制御手段(3)へ出力することを特徴としている。
【0027】
この発明によれば、前記センサ(5)内の回路部(23)内に、更に、フィルタ回路(35)、距離及びノイズ演算回路(37)、閾値調整回路(38)、及び比較回路(38a)を備えるから、外来ノズルにより混信の可能性が大きいことを示す外来ノイズデータを制御手段(3)へ出力し、また、別のタイミングでは、距離データを制御手段(3)へ出力することが出来る。
【0028】
請求項7に記載の発明では、前記制御手段(3)は、前記マクロフォン(21)にて外部の超音波を検出し外来ノイズのモニタリングを指示する手段(S701)を有し、前記マクロフォン(21)による外来ノイズに起因する検出信号は、前記ゲイン調整回路(36)を通り、前記検出信号内の基準となる周波数の信号レベルが前記比較回路(38a)で前記閾値調整回路(38)の閾値と比較され、外来ノズルのため、基準周波数で送受信すると誤動作を起こす可能性があると判定されたときは、前記距離及びノイズ演算回路(37)によって、前記制御手段(3)に報告され、この報告を受けた制御手段(3)は、前記周波数調整回路32に送受信周波数を変更指令すると共に、前記マイク駆動回路内の増幅度を変えて超音波の出力を変化させ、かつ前記ゲイン調整回路(36)に信号を送り、受信感度を変更することを特徴としている。
【0029】
この発明によれば、外来ノズルと混信しない周波数で超音波の送受信を行うと共に、周波数の変更で生じた、検出エリアの変動を、マイク駆動回路(33)内の増幅度を変えて超音波の音圧を変化させるとともに、ゲイン調整回路(36)に信号を送り受信感度を変更することで、極力少なくすることが出来る。
【0030】
請求項8に記載の発明では、前記超音波の音圧または受信感度を基準周波数モードの場合から変更するときに、前記超音波の送波開始からの時間の経過につれて音圧を段階的に変化させるか、または、前記超音波の受波開始からの時間の経過につれて受信感度を段階的に変化させることを特徴としている。
【0031】
この発明によれば、時間の経過につれて音圧段階的に変化させるか、または、受信感度を段階的に変化させることで、検知エリアの変動を精緻な制御によって抑制できる。
【0032】
請求項9に記載の発明では、前記マイクロフォン(21)から前記シフト周波数モードで超音波を送波するとともに、該超音波の音圧及び受信感度の双方を基準周波数モードの場合から変更して、前記マイクロフォン(21)から障害物検出のための超音波を送波及び受波を行うことを特徴としている。
【0033】
この発明によれば、シフト周波数モードは周波数が変わるため、超音波の検知エリアが変化しようとするが、該超音波の音圧及び受信感度の双方を基準周波数モードよりも前記シフト周波数モードの方で変更して設定することで、検知エリアの変動が抑制され、基準周波数モードと類似の検知エリアで、シフト周波数モードによる障害物の検出が出来るため、違和感や誤動作の少ない障害物検出装置が得られる。
【0034】
請求項10に記載の発明では、車両周辺の外来ノイズのレベルを判定し、外来ノズルが大きく、混信の可能性が高いときに、前記マイクロフォン(21)から、より高周波数側の前記シフト周波数モードで超音波を送波するとともに、該超音波の音圧及び受信感度を基準周波数モードの場合よりも大きくして、前記マイクロフォン(21)から障害物検出のための超音波を送波及び受波を行うことを特徴としている。
【0035】
この発明によれば、外来ノイズが大きいときは、より高周波数のシフト周波数モードで送信受信を行い、かつ、この周波数の変更につれて、該超音波の音圧及び受信感度を基準周波数モードよりも大きくして、前記マイクロフォン(21)から超音波を送波及び受波するから、外来ノイズで誤動作し難く、かつ検知エリアの変動を抑制することが出来る。
【0036】
なお、特許請求の範囲および上記各手段に記載の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態における障害物検出装置全体の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は、上記実施形態における超音波センサの外観を示した外形図であり、(b)は、超音波センサの内部構成図である。
【図3】上記実施形態における超音波センサ内部の回路部の構成を示すブロック図である。
【図4】上記実施形態におけるマイク駆動回路のブロック図である。
【図5】上記実施形態における障害物検出処理のフローチャートである。
【図6】上記実施形態における各センサの送信タイミングを説明する車両平面方向から見た説明図である。
【図7】上記実施形態における各センサへの送信及び各センサからの障害物情報の取得の順序を示すフローチャートである。
【図8】上記実施形態における混信の有無を説明する説明図であり、(a)は比較例を、(b)は上記実施形態の場合を示す。
【図9】上記実施形態における送信周波数等と検知エリアの変化を説明する説明図であり、(a)は比較例を、(b)は上記実施形態の場合を示す。
【図10】従来の外来ノイズによる障害物検出装置の誤動作を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(一実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1乃至図9を用いて詳細に説明する。図1は、この一実施形態における障害物検出装置全体の構成を示すブロック図である。また、図3は、超音波センサ5内部の回路部23の構成を示すブロック図である。
【0039】
先ず、図1及び図3基づいて、概要を説明する。制御がスタートすると、制御手段を成すECU3は、センサ5内の複共振マクロフォンにて外部の超音波をモニターする。この検出信号は、図3のゲイン調整回路36を通り、フィルタ回路35でフィルタリングされる。そして基準となる周波数である45kHzの信号レベルが比較回路38aで閾値と比較される。
【0040】
距離及びノイズ演算回路37は、信号レベルが高く、外来ノズルのため、基準周波数45kHzで送受信すると誤動作を起こす可能性があるときは、LAN制御回路31と通信線7(図1)を介してECU3に報告する。
【0041】
この報告を受けたECU3は、通信線7とLAN制御回路31介して周波数調整回路32(図3)に送受信周波数の変更を、より高周波数側に指令すると共に、マイク駆動回路33内のドライバの増幅度を変えて超音波の出力を変化させるとともに、メモリ39を介してゲイン調整回路36に信号を送り受信感度(ゲインG)を時間(t)の経過につれて段階的に変化させる。
【0042】
これにより、外来ノズルと混信しない周波数で、超音波の送受信を行うと共に、周波数の変更で生じた、検出エリアの変動を極力少なくするものである。
【0043】
以下、本発明の第1実施形態について図1乃至図9を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明において、上記特許文献2と共通する点は、一部省略して説明する。
【0044】
この図1の障害物検出装置1は、制御手段を成す電子制御ユニット(ECUと言う)3、各々が複共振センサより成る6つのセンサ5(以下、個々のセンサ5を区別する場合には、センサ#1〜#6とも呼ぶ。)、シリアル通信線7等を備えている。
【0045】
また、ECU3には、速度センサ11、変速装置12、クリアランスソナー作動スイッチ13、駐車アシストシステム作動スイッチ14、アクティブ制御設定スイッチ15などからの信号が、直接または他のECU(図示略)を介して入力されるようになっている。
【0046】
センサ5は、車両の前方や後方に向けて超音波を送波し、障害物によって反射された反射波を受波して、障害物の検知を行うものである。図2(a)は、センサ5の外観を示した外形図であり、図2(b)は、センサ5の内部模式構成図である。
【0047】
図2(b)に示すように、センサ5は、複共振マイクロフォン(マイク)21と回路部23とによって構成される。図3は、主としてセンサ5内部の回路部23の構成を示すブロック図である。
【0048】
図3に示すように、回路部23は、LAN制御回路31、周波数調整回路32、マイク駆動回路33、フィルタ回路35、ゲイン調整回路36、距離及びノイズ演算回路37、閾値調整回路38、比較回路38a、およびメモリ39によって構成されている。
【0049】
LAN制御回路31は、シリアル通信線7(図1)を介して、ECU3から送信された各種通信フレームを受信するとともに、測距した距離データ及び外来ノイズデータを返信するためポーリングフレームを送信する。
【0050】
周波数調整回路32は、ECU3から送信された周波数設定フレームにセットされた送信周波数情報を超音波パルス信号の送信周波数として設定し、この設定した送信周波数の超音波パルス信号をマイク駆動回路33へ送信する。
【0051】
マイク駆動回路33は、周波数調整回路32からの超音波パルス信号により、基準周波数駆動信号またはシフト周波数駆動信号を生成してマイク21を駆動し、これにより、マイク21から超音波が送波される。この送波された超音波が障害物により反射されると、その反射波がマイク21により受信され、その受信信号がゲイン調整回路36へ出力される。
【0052】
ゲイン調整回路36では、メモリ39に記憶されECU3にて指示されたゲインを参照して、受信信号を所定倍に増幅し、増幅後の受信信号をフィルタ回路35へ出力する。
【0053】
次に、マイク駆動回路33の内部構成を、図4に基づいて説明する。図4は、この一実施形態における上記回路部23内のマイク駆動回路33のブロック図である。マイク駆動回路33には、基準周波数回路33bとシフト周波数回路33aが設けられている。
【0054】
シフト周波数駆動信号用のシフト周波数用トランス33a2と、基準周波数駆動信号用の基準周波数用トランス33b2が設けられ、これらのトランス33a2、及び33b2の前段に、それぞれ設定された増幅度で増幅を行うシフト周波数用ドライバ回路33a1または基準周波数用ドライバ回路33b1が設けられている。
【0055】
図3のフィルタ回路35は、ゲイン調整回路36にて増幅された受信信号に対してフィルタ処理を行って、マイク21の共振周波数から外れた周波数成分を除去するものである。このフィルタ回路は、周知のスイッチドキャパシタフィルタ(SCF)で構成されている。
【0056】
これにより、フィルタ処理における中心周波数の変更が可能なフィルタ回路をLSIで実現することができる。なお、フィルタ回路35では、ECU3から送信された周波数設定フレームにセットされる中心周波数をフィルタ処理における中心周波数として設定する。
【0057】
このフィルタ回路35によってフィルタ処理された受信信号は、比較回路38aに出力され、比較回路38aでは、障害物検出のために超音波を送波する直前の第1のタイミングにおいて、閾値調整回路38にて設定されたノイズ判定用の閾値電圧レベルあるいは障害物判定用の閾値電圧レベルと、外来ノイズの受信信号のレベルとを比較する。
【0058】
距離及びノイズ演算回路37では、比較回路38aが、受信信号>ノイズ判定用の閾値と判定した場合に、外来ノズルにより混信の可能性が大きいと判断し、それを示す外来ノイズデータをLAN制御回路31へ出力する。
【0059】
一方、距離及びノイズ演算回路37では、障害物検出のための超音波を送波し、反射波を受波した後の第2のタイミングにおいて、比較回路38aが受信信号>障害物判定用の閾値と判定した場合に、超音波の送波開始時から反射波の受波までに要した時間から距離を演算し、その距離を示す距離データをLAN制御回路31へ出力する。
【0060】
周波数調整回路32は、単一回路から成り、該周波数調整回路32からの超音波パルス信号が、図4の切替回路33cを介して、シフト周波数用ドライバ回路33a1及び基準周波数用ドライバ回路33b1のいずれか一方に供給される。
【0061】
なお、シフト周波数用ドライバ回路33a1の増幅度の方が基準周波数用ドライバ回路33b1の増幅度より大きく設定されている。そして、切替回路33cは、図3のLAN制御回路31を介して図1のECU3からの指令信号CSで切替制御される。
【0062】
この一実施形態において、マイク21及び回路部23を持つ図2(b)のセンサ5は、指向性および検出距離を2通りに変更することができる。具体的には、基準周波数モードまたは外来ノイズを避けるためのシフト周波数モードのうち、いずれかに切替えて、超音波を送波することができる。
【0063】
このために、センサ5は、複数周波数に共振する複共振マクロフォンからなるマイク21を採用している。
【0064】
また、図4のトランス33a2及び33b2は、マイク21内の図示しない圧電素子を駆動するために、高電圧まで昇圧する機能と、LC共振回路により共振を調整する機能を有している。
【0065】
また、以上説明したようなセンサ5における基準周波数モードまたは外来ノイズを避けるためのシフト周波数モードとの切替えや、センサ5による超音波の送波受波のタイミングは、ECU3によって制御される。
【0066】
より詳しく説明すると、ECU3は、センサ5に対し、送波周波数および送波出力の変更を指示するためのモード変更指示フレーム、超音波の送波を指示するための送波指示フレーム、測距した距離情報及びノイズデータの送信を指示するためのポーリングフレーム等、各種通信フレームを、シリアル通信線7を介してセンサ5へ送信する処理を行う。
【0067】
このうち、モード変更指示フレームには、センサID、メッセージID、送波出力レベル、送波周波数及びフィルタ中心周波数、エラー・チェック・コード(ECC)などのフィールドが含まれている。
【0068】
センサIDのフィールドには、各センサ5(センサ#1〜#6の各々)に予め割り当てられたIDがセットされ、センサ5では、このフィールドを参照することにより、自身に対する情報であるか否か判断する。
【0069】
メッセージIDのフィールドには、上述の各種通信フレーム毎に割り当てられたIDがセットされ、各センサ5では、このフィールドを参照することにより、通信フレームの種類を判断する。
【0070】
メッセージIDのフィールドがモード変更指示フレームに対応するIDである場合、そのメッセージIDに続くフィールドには、各センサ5において設定すべき超音波信号の送波出力レベル、及び送波周波数と、フィルタ回路35のフィルタ処理において設定すべき中心周波数がセットされている。
【0071】
各センサ5では、このフィールドを参照することにより、送波出力レベル、送波周波数、および中心周波数を判断する。
【0072】
このモード変更指示フレームにおいてセットされる送波出力レベル、送波周波数、及び中心周波数は、後述する処理の中で、基準周波数モードまたは外来ノイズを避けるためのシフト周波数モードのいずれかに応じて設定される。
【0073】
(クリアランスソナー作動制御処理)
次に、クリアランスソナー作動時に、制御手段を成すECU3が実行する障害物検出制御処理について、図5に基づいて説明する。
【0074】
この障害物検出処理は、詳しくは図5に示すような処理となる。すなわち、ECU3は、ステップS305(以下、単にS305と記す。他のステップも同じ)において、まず、周辺の外来ノイズのモニターを行い、送信すべき周波数を決定する。つまり基準周波数モードまたは外来ノイズを避けるためのシフト周波数モードのいずれにするかを決定する。
【0075】
次に、超音波送波指令をセンサ#1〜#6へ送信する。これにより、各センサ#1〜#6では、超音波の送波、および反射波の受波が行われ、それら送波および受波の結果に基づいて、センサ毎に障害物の有無ないし障害物までの距離が検出される。
【0076】
次に、ECU3は、センサ#1〜#6から取得した障害物情報に基づいて、1以上のセンサが障害物を検出したか否かを判定する(S315)。ここで、1以上のセンサが障害物を検出していれば(S315:YES)、さらに、現在の車速Vが所定の上限値V1よりも大きいか否かを判定する(S320)。
【0077】
そして、現在の車速Vが所定の上限値V1以下である場合は(S320:NO)、障害物を検出したセンサに対応する警告灯を点灯し(S325)、障害物までの距離に対応する警告音を鳴動させる(S330)。
【0078】
一方、1以上のセンサが障害物を検出していても(S315:YES)、現在の車速Vが所定の上限値V1よりも大きい場合は(S320:YES)、警告灯を消灯し(S335)、警告音の鳴動を停止させる(S340)。
【0079】
なお、S315の処理において、いずれのセンサ5とも障害物を検出していなければ(S315:NO)、その場合も、警告灯を消灯し(S335)、警告音の鳴動を停止させる(S340)。
【0080】
次に、上述の図5のS305について詳述する。前述したように、制御手段を成すECU3は、複共振マクロフォンにて外部の超音波を検出し外来ノイズのモニタリングを行う。この外来ノイズに起因する検出信号は、図3の一定ゲインのゲイン調整回路36を通り、フィルタ回路35でフィルタリングされる。そして基準となる周波数である45kHzの信号レベルが比較回路38aで閾値と比較される。距離及びノイズ演算回路37は、信号レベルが高く外来ノズルのため、基準周波数45kHzで送受信すると誤動作を起こす可能性があるときは、LAN制御回路31と通信線を介してECU3に報告する。
【0081】
この報告を受けたECU3は、通信線とLAN制御回路31介して周波数調整回路32に送受信周波数をより高周波数に変更指令すると共に、図4のマイク駆動回路33内の切換回路33cを切替えてドライバの増幅度を変えて超音波の出力を変化させる。
【0082】
また、図3のメモリ39を介してゲイン調整回路36にゲイン指示信号を送り受信感度を階段状に変更する。つまり、基準周波数モードを、外来ノイズを避けるためのシフト周波数モード(55Hz)に切替えて、超音波を送波する。
【0083】
これにより、外来ノズルと混信しない周波数で超音波の送受信を行うと共に、周波数の変更で生じた、検出エリアの変動を、マイク駆動回路33内のドライバの増幅度を変えて超音波の出力を変化させるとともに、メモリ39を介してゲイン調整回路に信号を送り受信感度を時間と共に階段状に変更することで、極力少なくするものである。
【0084】
なお、外来ノイズのモニター期間において、外来ノイズに起因する検出信号が、ゲイン調整回路36を通るときは、ゲイン調整回路36が所定の一定ゲインに設定されている。
【0085】
そして、フィルタ回路35でフィルタリングされ、基準となる周波数である45kHzの信号レベルが比較回路38aで閾値と比較された結果、信号レベルが低く外来ノイズが少ないため、基準周波数45kHzで送受信しても誤動作を起こす可能性が少ないと判断したときは、このことを、距離及びノイズ演算回路37が、LAN制御回路31と通信線7(図1)を介してECU3に報告する。
【0086】
そして、この場合は、基準周波数モードのまま、超音波を送波及び受波する。また、この基準周波数モードでの受波は、所定の一定ゲインのゲイン調整回路36で増幅される。
【0087】
図6は、この第1実施形態における各センサの送信タイミングを説明するものであり、車両を平面方向から見た説明図である。図6において、各々が複数の周波数それぞれに共振する複共振センサ5であって車両の前方のフロントコーナ(右)に1個、フロントコーナ(左)に1個、車両後部バンパー内の孔にクッションを介して取り付けられた4個の同じセンサ5が設けられている。
【0088】
これらの4個のセンサ5は、それぞれリアコーナ(右)、リアセンタ(右)、リアセンタ(左)、リアコーナ(左)に設けられている。そして、全部で6個のセンサ5はAグループ、Bグループ及びCグループのいずれかのグループに属している。
【0089】
図7は、図5のS305を説明し、周波数モードの決定及び各センサ5への送信及び各センサからの障害物情報の取得の順序を明確にするためのフローチャートである。これによれば、S701で基準周波数モードのまま、超音波を送波するか、または、シフト周波数モードに切替えて、超音波を送波し、外来ノズルと混信しない周波数で超音波の送受信を行うかの周波数モードの決定を行う。
【0090】
次に、S702で、決定された周波数で上記Aグループのセンサに超音波送信指令を送信する。次に、S703で上記Aグループのセンサ5から障害物情報を取得する。更に、S704で、上記決定された周波数でBグループのセンサ5に超音波送信指令を送信する。次に、S705で、上記Bグループのセンサ5から障害物情報を取得する。
【0091】
更に、S706で、上記決定された周波数でCグループのセンサ5に超音波送信指令を送信する。次に、S707で、上記Cグループのセンサ5から障害物情報を取得する。
【0092】
この図6及び図7ように、各グループを時分割的に送信制御することで、同じ周波数の超音波が隣同士で混信せずに送信及び受信される。なお、センサの総数が6個のものを示したが8個等でも良い。
【0093】
図8は、周波数モードを切替えることによる外来ノイズとの混信防止を説明するための説明図である。そして、図8の(a)は、外来ノイズの周波数と送受信の周波数が一致しているときの混信状態を示している。図8の(b)は、上記一実施形態のように、外来ノイズを検出して基準周波数モードから、より周波数の高いシフト周波数モードに切替えた場合の混信が発生しない状態を図示している。
【0094】
次に、図9は、送信周波数と検知エリアと送信音圧または受信感度の関係を説明する説明図である。図9の(a)は、基準周波数で送信したときの基準検知エリア91が、単純にノイズ回避のために、送信周波数を、より高周波数に切替えて、超音波を送波したのでは、検知エリア92が短く、かつ幅の狭いものに変わってしまう比較例を示している。一方、図9の(b)は、ノイズ回避のために、送信周波数を、より高周波数のシフト周波数モードに切替えると共に、上述のように、マイク駆動回路内のドライバの増幅度を変えて(あるいは、増幅度の異なるドライバ側に切替えて)音波の出力を増加(音圧を上げる)させるとともに、メモリ39を介してゲイン調整回路に信号を送り、受信感度を段階的に変更することによって、検知エリア93のように、基準検知エリア91とあまり変わらないようにすることが出来ることを示している。
【0095】
なお、センサ5は、40kHzから60kHzの範囲内で送信周波数を選定できる。よって、基準周波数を45kHz以外から選んでもよいし、シフト周波数は55kHz以外でも良い。例えば基準周波数を40kHzとし、シフト周波数は60kHzとしても良い。
【0096】
以上のように、上記一実施形態においては、複数の周波数で送受信が可能な複共振マイクロフォン21を用い、大きな外来ノイズが入力された場合に、外来ノイズの周波数とは異なる周波数でセンサ5を送受信することにより、外来ノイズ大きい環境でも、障害物報知をすることが可能となった。
【0097】
また、周波数を切替た時の背反として、センサ5の指向性が変化し、検知エリアが変わってしまうが、これに対し、制御手段3を成すECUとセンサ5間の通信により、センサ5の送信音圧及び受信感度を可変することによって、検知エリアをあまり変えずに、超音波の周波数を変えることが可能となった
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。例えば、上述の一実施形態では、受信感度と送信出力(音圧)の両方を一律に上げて、周波数をより高周波数側にシフトさせたが、受信感度のみ、または送信出力(音圧)のみを上げて周波数をより高周波数側にシフトさせても良い。
【0098】
また、送信出力(音圧)は、一律に一定値まで上げるのでなく、時間の経過と共に受信感度と共に送信出力(音圧)を階段状に可変させても良い。このためには、図4で、二点鎖線で示すように、制御手段3からの指令信号CSで増幅度を階段状に変えることが出来るドライバを用いればよい。また、上記階段状のパターンは、図3のメモリ39内に格納しておくことが出来る。
【0099】
また、マイクロフォンとして、共振点が、基本周波数とシフト周波数との二箇所に存在する複共振マイクロフォンを使用したが、これは見た目一つのセンサの中に、複数のマイクロフォンが格納され、それぞれの共振周波数が異なるマイクロフォン、あるいはスピーカのように広帯域の周波数で作動するマイクロフォンを使用したセンサで構成することも出来る。
【符号の説明】
【0100】
3 制御手段を成すECU
5 センサ
21 複共振マイクロフォン
31 LAN制御回路
32 周波数調整回路
33 マイク駆動回路
35 フィルタ回路
36 ゲイン調整回路
37 距離及びノイズ演算回路
91 基準周波数で送信したときの基準検知エリア
93 シフト周波数モードでの検知エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロフォン(21)及び回路部(23)を持つセンサ(5)は、基準周波数モードまたは外来ノイズを避けるための前記基準周波数モードとは異なる周波数で超音波を送波するシフト周波数モードのうち、いずれかに切替えて、超音波を送波するとともに、前記超音波の音圧または受信感度を、基準周波数モードのときから前記シフト周波数モードときとで変更することができるものから成り、
車両周辺の外来ノイズのレベルを判定し、外来ノズルが大きく、混信の可能性が高いときに、前記マイクロフォン(21)からシフト周波数モードで超音波を送波するとともに、前記超音波の音圧または受信感度を基準周波数モードの場合から変更して、前記マイクロフォン(21)から障害物検出のための超音波の送波及び受波を行うことを特徴とする障害物検出装置。
【請求項2】
前記シフト周波数モードは、基準周波数モードよりも高周波数で超音波を送波するモードからなり、前記超音波の音圧または受信感度を基準周波数モードよりも前記シフト周波数モードの方で大きく設定することを特徴とする請求項1に記載の障害物検出装置。
【請求項3】
前記回路部(23)内に、周波数調整回路(32)、マイク駆動回路(33)、ゲイン調整回路(36)、距離及びノイズ演算回路(37)を備え、
前記周波数調整回路(32)は、前記制御手段(3)から指示された前記基準周波数モードまたは前記シフト周波数モードから成る送信周波数情報を超音波パルス信号の送信周波数として設定し、この設定した送信周波数の超音波パルス信号を前記マイク駆動回路(33)へ送信し、
前記マイク駆動回路(33)は、前記周波数調整回路(32)からの前記超音波パルス信号により、基準周波数駆動信号または前記基準周波数駆動信号よりも周波数が所定量シフトされたシフト周波数駆動信号を生成して、設定された増幅度により所定の前記音圧で前記マイクロフォン(21)を駆動して、超音波を送波及び受波し、
前記ゲイン調整回路(36)は、送波され障害物により反射され、前記マイクロフォン(21)により受信された受信信号を、前記制御手段(3)にて指示されたゲインを参照して、所定の前記受信感度で増幅することを特徴とする請求項1または2に記載の障害物検出装置。
【請求項4】
前記マイク駆動回路(33)は、基準周波数駆動信号を生成するときと前記基準周波数駆動信号よりも周波数が所定量シフトされたシフト周波数駆動信号を生成するときとで増幅度を変更して、この増幅された駆動信号により前記マイクロフォン(21)を駆動することを特徴とする請求項3に記載の障害物検出装置。
【請求項5】
更に、受信感度を段階的に変化させるデータが書き込まれたメモリ(39)を有し、前記ゲイン調整回路(36)では、メモリ(39)に記憶されたゲインを参照して、受信信号を所定倍に増幅し、増幅後の受信信号を前記フィルタ回路(35)へ出力することを特徴とする請求項3または4に記載の障害物検出装置。
【請求項6】
前記回路部(23)内に、更に、フィルタ回路(35)、距離及びノイズ演算回路(37)、閾値調整回路(38)、及び比較回路(38a)を備え、
前記フィルタ回路(35)は、前記ゲイン調整回路(36)にて増幅された受信信号に対してフィルタ処理を行い、
前記比較回路(38a)では、前記閾値調整回路(38)にて設定されたノイズ判定用の閾値電圧レベルあるいは障害物判定用の閾値電圧レベルと、受信信号のレベルとが比較され、
前記距離及びノイズ演算回路(37)では、第1のタイミングにおいて、前記比較回路(38a)が、受信信号はノイズ判定用の閾値より大きいと判定した場合に、外来ノズルにより混信の可能性が大きいことを示す外来ノイズデータを前記制御手段(3)へ出力し、
かつ、前記距離及びノイズ演算回路(37)では、第2のタイミングにおいて、前記比較回路(38a)が、受信信号は障害物判定用の閾値より大きいと判定した場合に、超音波の送波開始時から反射波の受波までに要した時間から距離を演算し、その距離を示す距離データを前記制御手段(3)へ出力することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の障害物検出装置。
【請求項7】
前記制御手段(3)は、前記マクロフォン(21)にて外部の超音波を検出し外来ノイズのモニタリングを指示する手段(S701)を有し、
前記マクロフォン(21)による外来ノイズに起因する検出信号は、前記ゲイン調整回路(36)を通り、前記検出信号内の基準となる周波数の信号レベルが前記比較回路(38a)で前記閾値調整回路(38)の閾値と比較され、外来ノズルのため、基準周波数で送受信すると誤動作を起こす可能性があると判定されたときは、前記距離及びノイズ演算回路(37)によって、前記制御手段(3)に報告され、
この報告を受けた制御手段(3)は、前記周波数調整回路32に送受信周波数を変更指令すると共に、前記マイク駆動回路内の増幅度を変えて超音波の出力を変化させ、かつ前記ゲイン調整回路(36)に信号を送り、受信感度を変更することを特徴とする請求項6に記載の障害物検出装置。
【請求項8】
前記超音波の音圧または受信感度を基準周波数モードの場合から変更するときに、前記超音波の送波開始からの時間の経過につれて音圧を段階的に変化させるか、または、前記超音波の受波開始からの時間の経過につれて受信感度を段階的に変化させることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の障害物検出装置。
【請求項9】
前記マイクロフォン(21)から前記シフト周波数モードで超音波を送波するとともに、前記超音波の音圧及び受信感度の双方を基準周波数モードの場合から変更して、前記マイクロフォン(21)から障害物検出のための超音波を送波及び受波を行うことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の障害物検出装置。
【請求項10】
車両周辺の外来ノイズのレベルを判定し、外来ノズルが大きく、混信の可能性が高いときに、前記マイクロフォン(21)から、より高周波数側の前記シフト周波数モードで超音波を送波するとともに、前記超音波の音圧及び受信感度を基準周波数モードの場合よりも大きくして、前記マイクロフォン(21)から障害物検出のための超音波を送波及び受波を行うことを特徴とする請求項9に記載の障害物検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−230427(P2010−230427A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77141(P2009−77141)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】