説明

雄コネクタおよび該雄コネクタを備えたプリント基板

【課題】外部電線端末に設けられることにより、プリント基板側の導電路に対する外部電線の接続安定性を確保しつつ、プリント基板側の接続部構造の簡略化を達成し得る、新規な構造の雄コネクタおよび該雄コネクタを備えたプリント基板を提供することを、目的とする。
【解決手段】外部電線34の端末に接続された雄端子30を収容するハウジング32がロック手段48によってプリント基板12に固定された状態で、付勢手段36による付勢力を雄端子30に及ぼして、雄端子30をプリント基板12の導電路18aに押し付けて接続するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電線の端末に設けられて、プリント基板に対して着脱可能に取り付けられる雄コネクタおよび該雄コネクタが取り付けられたプリント基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車の電気接続箱等の各種電気装置においては、電気配線の効率化等を目的として、特定の回路パターンを構成する導電路が形成されてリレーやコンデンサー、トランジスタ等の電気部品が装着されたプリント基板が採用されている。そして、このプリント基板の導電路に対して、外部電線が電気的に接続されることにより電気装置が特定機能を発揮するようになっている。
【0003】
ところで、外部電線とプリント基板の導電路との接続は、製造や組立ての作業上の理由等から着脱可能なコネクタ接続によって行なわれることが多い。具体的には、外部電線の端末に設けられた雄コネクタを、プリント基板に取り付けられた雌コネクタに嵌合させることにより、外部電線側の雄端子を導電路側の雌端子に電気的に接続することによって行われている。例えば、特許文献1(特開2005−129275号公報)に記載の如きである。
【0004】
ところが、このような従来構造のコネクタ接続では、外部電線側の雄コネクタとプリント基板側の雌コネクタとをそれぞれ設ける必要があり、部品点数が多く製造が面倒であった。特に安定した接続状態を確保するためには、雌コネクタをプリント基板に対して強固に取り付ける必要があり、特許文献1の図6に示すように、雌コネクタをプリント基板に対してねじ止め等しなければならず、更なる部品点数の増加と構造の複雑化および製造作業の煩雑化が一層大きな問題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−129275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、外部電線端末に設けられることにより、プリント基板側の導電路に対する外部電線の接続安定性を確保しつつ、プリント基板側の接続部構造の簡略化を達成し得る、新規な構造の雄コネクタおよび該雄コネクタを備えたプリント基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
雄コネクタに係る本発明の第一の態様は、外部電線の端末に設けられて、導電路を備えたプリント基板に取り付けられることにより前記外部電線を前記導電路に導通させる雄コネクタであって、前記外部電線の端末に接続された雄端子と、該雄端子を収容するハウジングと、該ハウジングを前記プリント基板に対して着脱可能に固定するロック手段と、前記ロック手段による前記ハウジングの前記プリント基板への固定状態において、前記雄端子に付勢力を及ぼして該雄端子を前記プリント基板の前記導電路に対して押し付けて接続する付勢手段とを有することを、特徴とする。
【0008】
雄コネクタについての第一の態様によれば、外部電線の端末に設けられた雄コネクタ自体をプリント基板に対して直接に固定することができることから、従来必要とされた基板に固定的に取り付けられる雌コネクタを不要とすることができる。これにより、部品点数の削減が実現される。即ち、雄コネクタに付勢手段を設けたが故に、プリント基板側では、単に雄端子が押し付けられる導電路を形成するだけで、雄コネクタの接続状態下において導電路に対する雄端子の導通状態が安定して維持され得ることとなったのである。
【0009】
また、ロック手段の固定力によってプリント基板から雄コネクタのハウジングが離脱することを防止すると共に、付勢手段の付勢力により導電路のランド部等への雄端子先端部の接続(導通保持)が確実に行われる。これにより、雌コネクタを廃止しても、強固且つ確実な外部電線と導電路の電気的接続が確保される。さらに、プリント基板に対する雌コネクタの複雑な固定構造の採用が不要となることから、構造の簡素化が図られる。加えて、プリント基板の有効面積を大きく確保することもできる。
【0010】
雄コネクタに係る本発明の第二の態様は、第一の態様に記載のものにおいて、前記雄端子に設けられた湾曲部によって前記付勢手段が構成されているようにしたものである。
【0011】
雄コネクタについての第二の態様によれば、付勢手段が別部材を必要とすることなく簡単な構造で実現可能となる。
【0012】
雄コネクタに係る本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、前記ロック手段が、前記ハウジングに一体形成されて該ハウジングから前記プリント基板に向かって突出して前記プリント基板に係脱可能とされた係止部を有するロック部によって構成されているようにしたものである。
【0013】
雄コネクタについての第三の態様によれば、雄コネクタをプリント基板に対して着脱可能に固定するロック手段が、ハウジングに一体形成されていることから、例えば、ねじ固定や別体の係止部材を用いる等の場合に比して、簡単な構造でロック手段が実現可能となる。
【0014】
雄コネクタに係る本発明の第四の態様は、前記第一〜第三の何れかの態様に記載のものにおいて、前記ハウジングが、前記雄端子の収容領域を囲む周壁を備えており、該周壁における開口端面よりも前記雄端子の先端部分が前記プリント基板に向かって突出していると共に、前記付勢手段により前記雄端子の先端部分が前記ハウジング内方への変位を弾性的に許容されているようにしたものである。
【0015】
雄コネクタについての第四の態様によれば、プリント基板においてハウジングの周壁が当接する領域と略面一に導電路を形成しても安定して導通状態が実現可能であるから、構造簡略化、製造容易等の効果が発揮される。また、雄端子の導電路への押し付け状態下において、ハウジングの周壁端面を基板に当接させることでコネクタ接続安定性の向上を図ることが出来る。加えて、雄端子の導電路への接続状態の確認が容易となる。
【0016】
雄コネクタ付プリント基板に係る本発明の第一の態様は、導電路を備えたプリント基板に対して、請求項1〜4の何れか1項に記載の雄コネクタが着脱可能に取り付けられた雄コネクタ付プリント基板であって、前記プリント基板に形成された前記導電路には基板表面に広がる平坦な接続用ランド部が形成されていると共に、前記プリント基板における前記接続用ランド部を外れた位置には前記雄コネクタの前記ロック手段が固定される固定部が設けられており、該固定部に対して前記ロック手段が固定されることにより、前記雄コネクタが前記プリント基板に取り付けられて前記雄コネクタの前記雄端子が前記プリント基板の前記接続用ランド部上に付着された半田に対して前記付勢手段による付勢力で押し付けられて導通状態に保持されていることを、特徴とする。
【0017】
雄コネクタ付プリント基板についての第一の態様によれば、雄端子を付勢手段の付勢力によって接続用ランド部上の半田に確実に接続(導通)保持できることから、プリント基板に対して挿通孔を設けて端子を半田付けする必要がなくなる。それにより、プリント基板の製造が容易となるだけでなく、基板裏面側の広いスペースを実装面として利用することができることから、近年のプリント基板の高密度化への対応も容易に可能となる。
【0018】
雄コネクタ付プリント基板に係る本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記雄コネクタの前記ハウジングが、前記雄端子の収容領域を囲む周壁を備えており、該周壁における開口端面よりも前記雄端子の先端部分が前記プリント基板に向かって突出していると共に、前記雄端子の前記周壁の開口端面からの外方への突出長さが、前記プリント基板上に形成された前記接続用ランド部上の半田の肉厚寸法よりも小さくされているようにしたものである。
【0019】
雄コネクタ付プリント基板についての第二の態様によれば、雄端子の先端(押し付け部)が、接続用ランド部上の半田を貫通することを回避できる。即ち、本発明では、雄端子の先端部が接続用ランド部やその上の半田を貫通する態様を除くものではないが、雄端子の先端部分の突出長さを所定寸法に調節することにより、先端部分の半田貫通を回避して、貫通に伴う導通の不良や不安定化の発生を抑えることが出来る。
【発明の効果】
【0020】
本発明においては、外部電線に接続されている雄端子を、付勢力が及ぼされた状態で、プリント基板の導電路に押し付けて接続するから、プリント基板の導電路に対する外部電線の接続安定性を確保しつつ、プリント基板側の接続部構造の簡略化を達成することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態としての雄コネクタ付プリント基板を示す縦断面図。
【図2】図1に示した雄コネクタ付プリント基板を構成するプリント基板の要部を示す平面図。
【図3】図2に示したプリント基板の要部拡大断面図。
【図4】図1に示した雄コネクタ付プリント基板を構成する雄コネクタを示す縦断面図。
【図5】図1に示した雄コネクタ付プリント基板の要部拡大断面図。
【図6】本発明の雄コネクタ付プリント基板として採用可能な構造を示す要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1には、雄コネクタ付プリント基板に係る本発明の一実施形態としての雄コネクタ付プリント基板10が示されている。雄コネクタ付プリント基板10は、プリント基板12に対して、雄コネクタに係る本発明の一実施形態としての雄コネクタ14が着脱可能に取り付けられた構造とされている。なお、以下の説明において、上下方向とは、原則として、図1中の上下方向をいう。
【0024】
より詳細には、プリント基板12は、図2及び図3に示されているように、硬質の絶縁基板16の表裏両面に導電路18a,18bが形成された両面プリント配線板で構成されている。特に、絶縁基板16の基板表面19側の導電路18aは、基板表面19に形成された凹溝20内に設けられている。これにより、後述する接続用ランド部22上に付着されたクリーム半田26の基板表面19からの突出高さを抑えることが出来る。
【0025】
また、裏面側の導電路18bは、後述する接続用ランド部22が形成された領域の裏側にも設けられている。なお、裏面側の導電路18bは、絶縁基板16の裏面に対して直接に形成されているが、基板表面19側の導電路18aと同様に、絶縁基板16の裏面に凹溝を形成し、この凹溝内に設けても良い。
【0026】
絶縁基板16の基板表面19に形成された導電路18aには、接続用ランド部22が10個形成されている。接続用ランド部22は、何れも、矩形平板形状を呈しており、互いに同じ大きさとされている。
【0027】
このような接続用ランド部22は、5つで一つの列を為すようにして、2列に亘って形成されている。接続用ランド部22は、各列毎に等間隔に並んでおり、一方の列の接続用ランド部22と他方の列の接続用ランド部22は、配列方向で互いに同じ位置にある。
【0028】
接続用ランド部22の表面は、絶縁基板16の基板表面19と平行に広がる平坦面とされており、この接続用ランド部22の表面に対して半田としてのクリーム半田26が付着されている。
【0029】
また、プリント基板12には、接続用ランド部22を外れた位置において、固定部としての固定用孔28が二つ設けられている。これら二つの固定用孔28は、それぞれ、矩形断面形状でもって絶縁基板16を厚さ方向に貫通して形成されており、互いに同じ大きさとされている。このような固定用孔28は、接続用ランド部22を配列方向に挟んだ両側に位置するように形成されている。
【0030】
上述の如きプリント基板12に取り付けられる雄コネクタ14は、図4に示されているように、雄端子30がハウジング32に収容された構造とされている。
【0031】
雄端子30は、表面に導電性のメッキ層を鍍着させた金属性母材をプレス加工して形成されており、全体としてロッド形状を呈している。雄端子30の基端部分には、図示しない圧着部が設けられており、この圧着部において、雄端子30が外部電線34の端末に圧着されている。これにより、雄端子30と外部電線34が電気的に接続されている。なお、圧着部による圧着は、従来から公知の圧着端子における圧着と同様な方法を採用することが出来る。
【0032】
雄端子30の長手方向中間部分には、付勢手段としての湾曲部36がS字形状でもって形成されている。これにより、雄端子30の長手方向での弾性変形が許容されている。なお、湾曲部36は、S字形状に限定されず、例えば、螺旋形状等であっても良い。また、付勢手段は、雄端子30に設けられている必要はなく、例えば、後述するハウジング32の上底壁42を周壁40に対して弾性支持する構造であっても良い。
【0033】
雄端子30の先端部分38は、長手方向外方へ行くに従って次第に断面形状が小さくなる先細形状とされている。なお、雄端子30の先端部分38は、先細形状に限定されず、例えば、湾曲形状であっても良い。先端部分を湾曲させるのであれば、当該先端部分に付勢手段としての湾曲部が形成されていても良い。
【0034】
このような雄端子30が収容されるハウジング32は、合成樹脂材で形成されており、矩形枠体形状を呈する周壁40の上側開口が上底壁42で覆蓋された構造とされている。
【0035】
周壁40において長手方向(図2の左右方向)で対向する一対の壁部44,44には、それぞれ、外側へ突出する支持部46が設けられており、支持部46の突出端には、ロック手段としてのロック部48が設けられている。
【0036】
ロック部48は、合成樹脂材料で形成されており、全体として厚肉の矩形板形状を呈している。ロック部48の長手方向一端には、厚さ方向一方に向かって突出する係止部50が設けられている。
【0037】
係止部50は、ロック部48の幅方向(図4の紙面に垂直な方向)に略一定の直角三角形断面でストレートに延びるように形成されている。これにより、係止部50には、ロック部48の長手方向に対する直交方向へ広がる係止面52が形成されていると共に、この係止面52よりもロック部48の長手方向一端側へ行くに従って次第にロック部48からの高さ寸法が小さくなる傾斜面54が形成されている。
【0038】
このようなロック部48は、係止部50が突設された厚さ方向一方の面の略中央部分において、支持部46の突出端に一体形成されており、壁部44と平行な状態で、ハウジング32の高さ方向に延びている。係止部50は、周壁40の開口端面56よりも開口方向外方に位置している。
【0039】
上底壁42には、ハウジング32がプリント基板12へ取り付けられた状態でプリント基板12に形成された接続用ランド部22と対応する位置において、図示しない圧入孔が形成されている。そして、これら圧入孔のそれぞれに雄端子30の基端部分がハウジング32の内側から圧入固定される。これにより、雄コネクタ14が形成される。
【0040】
上述の如く基端部分が圧入孔に圧入固定された状態で、雄端子30は、長手方向中間部分が周壁40内に位置していると共に、先端部分38が周壁40の開口端面56よりも開口方向外方へ突出している。雄端子30の開口端面56からの突出高さ:Hは、クリーム半田26の厚さ寸法:hよりも小さくされている。
【0041】
このような雄コネクタ14は、ロック部48の下端部分がプリント基板12の固定用孔28に対してプリント基板12の表面側から位置合わせされて、雄端子30の先端部分38がプリント基板12の接続用ランド部22に向かって突出した状態で、プリント基板12へ押し付けられる。その際、固定用孔28の開口周縁部が係止部50の傾斜面54上を摺動することにより、ロック部48の下端部分がハウジング32の長手方向外方に湾曲変形すると共に、雄コネクタ14がプリント基板12に接近する。そして、係止部50の傾斜面54と固定用孔28の開口周縁部の間での摺動が終わり、係止部50が固定用孔28を抜け出してプリント基板12の裏側に位置すると、ロック部48がそれ自身の有する弾性に基づいて元の形状に戻る。これにより、係止部50の係止面52が固定用孔28の開口周縁部に対してプリント基板12の裏側から重ね合わされて、係止部50が固定用孔28の開口周縁部に対してプリント基板12の裏側から係止される。その結果、係止部50とハウジング32の周壁40の開口端面56との間でプリント基板12が挟持された状態で、雄コネクタ14がプリント基板12に取り付けられる。
【0042】
雄コネクタ14がプリント基板12に取り付けられる際、先端部分38がハウジング32の開口端面56から外方へ突出している雄端子30はプリント基板12によって長手方向に押されることになるが、湾曲部36の弾性変形が許容されていることにより、先端部分38がハウジング32内に引っ込む(図2参照)。なお、図2では、湾曲部36が変形した状態を判り易くするために、湾曲部36の変形量を大きくして図示している。
【0043】
このようにハウジング32内へ引っ込んだ雄端子30の先端部分38は、湾曲部36が元の形状に戻ろうとする力(付勢力)により、図5に示されているように、接続用ランド部22上のクリーム半田26に突き刺さっている。その結果、外部電線34と導電路18aが雄端子30を介して電気的に接続される。なお、本実施形態では、湾曲部36の付勢力が、雄端子30の先端部分38がクリーム半田26に突き刺さった状態で保持されるように調節されている。雄端子30の先端部分38は、接続用ランド部22に突き刺さっていても良い。
【0044】
また、上述の如くプリント基板12に取り付けられた雄コネクタ14は、各ロック部48の上端部分をハウジング32の長手方向外方から内方へ押して各ロック部48の下端部分を互いに離隔する方向へ変位させることで、係止部50による固定用孔28の開口周縁部への係止状態を解除することが出来るようになっている。そして、係止部50が固定用孔28の開口周縁部に係止されていない状態で、固定用孔28を通じて係止部50をプリント基板12の裏側から表側へ移動させることにより、雄コネクタ14をプリント基板12から取り外すことが出来る。
【0045】
このような雄コネクタ付プリント基板10においては、雄コネクタ14がプリント基板12に対して直接固定されているから、従来必要とされた雌コネクタをプリント基板12に設ける必要がなくなる。その結果、雄コネクタ14のプリント基板12への接続に必要な部品点数を少なくすることが可能となる。
【0046】
雄コネクタ14がプリント基板12に固定された状態で、雄端子30の先端部分38が湾曲部36の付勢力によってクリーム半田26への穿刺状態で保持されることから、雄端子30と導電路18aの導通を確実に行うことが出来る。これにより、雄端子30の先端部分38が挿通される挿通孔をプリント基板12に形成して、この挿通孔に挿通した雄端子30の先端部分38を半田付けする必要がなくなる。その結果、プリント基板12における雄コネクタ14の取付位置の裏側にも導電路18bを形成することが可能となる。
【0047】
雄端子30の先端部分38が先細形状とされているから、クリーム半田26の表面に酸化膜が形成されていても、雄端子30の先端部分38をクリーム半田26の内部に確実に突き刺すことが出来て、それにより、雄端子30と導電路18aの導通を確保することが出来る。
【0048】
雄端子30がハウジング32の開口端面56から外側へ突出しているから、プリント基板12の表面に形成された凹溝20内に導電路18aが設けられていても、雄端子30と導電路18aを安定して導通させることが出来る。
【0049】
また、ハウジング32の開口端面56がプリント基板12の表面に重なっていれば、雄端子30と導電路18aが接続されていることになるので、雄端子30と導電路18aの接続状態の確認が容易になる。
【0050】
雄端子30の開口端面56からの突出高さ:Hがクリーム半田26の厚さ寸法:hよりも小さくされているから、雄コネクタ14がプリント基板12に取り付けられた状態で、雄端子30の先端部分38がクリーム半田26や接続用ランド部22の導電部を超えて貫通してしまう不具合を回避することが出来る。その結果、雄端子30と導電路18aの間での導通不良等の発生を防ぐことが可能となる。
【0051】
雄端子30に設けられた湾曲部36によって付勢手段が構成されているから、雄端子30に付勢力を及ぼす部材を別途設ける必要がなくなる。その結果、雄コネクタ14の構造の簡略化を図ることが可能となる。
【0052】
ロック手段がハウジング32に一体形成されたロック部48で構成されているから、ねじ等を用いる場合に比して、ロック手段の構造を簡単にすることが出来る。
【0053】
雄コネクタ14がプリント基板12に取り付けられた状態で、ハウジング32の開口端面56がプリント基板12の表面に重ね合わされているから、雄コネクタ14のプリント基板12への取付状態を安定させることが出来る。
【0054】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、ロック手段には、ねじ固定等も含まれる。また、ロック手段には、プリント基板の補強等のために、金具や樹脂等の補強部材を装着しても良い。
【0055】
また、プリント基板側の導電路における雄端子が穿刺される部分がプリント基板の表面から突出している構造を採用する場合は、雄端子の先端部分がハウジングの周壁の開口端面から突出している必要はない。
【0056】
また、湾曲部36の付勢力の調節は任意であり、雄端子30の先端部分38がクリーム半田26や接続用ランド部22を貫通しても良く、そのような態様も本発明に含まれることは当然である。
【0057】
また、図6に示されているように、接続用ランド部22の表面が半田レベラ24で覆われており、この半田レベラ24に対してクリーム半田26が付着されていても良い。この場合、クリーム半田26の接続用ランド部22への接合性が向上すると共に、雄端子30が柔らかいクリーム半田26に刺さり易くなる。なお、湾曲部36の付勢力を調節して、雄端子30の先端部分38が半田レベラ24を貫通するようにしても良い。
【符号の説明】
【0058】
10:雄コネクタ付プリント基板,12:プリント基板,14:雄コネクタ,18a:導電路,19:基板表面,22:接続用ランド部,26:クリーム半田(半田),28:固定用孔(固定部),30:雄端子,32:ハウジング,34:外部電線,36:湾曲部(付勢手段),38:先端部分,40:周壁,48:ロック部(ロック手段),50:係止部,56:開口端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電線の端末に設けられて、導電路を備えたプリント基板に取り付けられることにより前記外部電線を前記導電路に導通させる雄コネクタであって、
前記外部電線の端末に接続された雄端子と、該雄端子を収容するハウジングと、該ハウジングを前記プリント基板に対して着脱可能に固定するロック手段と、前記ロック手段による前記ハウジングの前記プリント基板への固定状態において、前記雄端子に付勢力を及ぼして該雄端子を前記プリント基板の前記導電路に対して押し付けて接続する付勢手段とを有することを特徴とする雄コネクタ。
【請求項2】
前記雄端子に設けられた湾曲部によって前記付勢手段が構成されている請求項1に記載の雄コネクタ。
【請求項3】
前記ロック手段が、前記ハウジングに一体形成されて該ハウジングから前記プリント基板に向かって突出して前記プリント基板に係脱可能とされた係止部を有するロック部によって構成されている請求項1又は2に記載の雄コネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングが、前記雄端子の収容領域を囲む周壁を備えており、該周壁における開口端面よりも前記雄端子の先端部分が前記プリント基板に向かって突出していると共に、前記付勢手段により前記雄端子の先端部分が前記ハウジング内方への変位を弾性的に許容されている請求項1〜3の何れか1項に記載の雄コネクタ。
【請求項5】
導電路を備えたプリント基板に対して、請求項1〜4の何れか1項に記載の雄コネクタが着脱可能に取り付けられた雄コネクタ付プリント基板であって、
前記プリント基板に形成された前記導電路には基板表面に広がる平坦な接続用ランド部が形成されていると共に、前記プリント基板における前記接続用ランド部を外れた位置には前記雄コネクタの前記ロック手段が固定される固定部が設けられており、該固定部に対して前記ロック手段が固定されることにより、前記雄コネクタが前記プリント基板に取り付けられて前記雄コネクタの前記雄端子が前記プリント基板の前記接続用ランド部上に付着された半田に対して前記付勢手段による付勢力で押し付けられて導通状態に保持されていることを特徴とする雄コネクタ付プリント基板。
【請求項6】
前記雄コネクタの前記ハウジングが、前記雄端子の収容領域を囲む周壁を備えており、該周壁における開口端面よりも前記雄端子の先端部分が前記プリント基板に向かって突出していると共に、前記雄端子の前記周壁の開口端面からの外方への突出長さが、前記プリント基板上に形成された前記接続用ランド部上の半田の肉厚寸法よりも小さくされている請求項5に記載の雄コネクタ付プリント基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−70776(P2011−70776A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218325(P2009−218325)
【出願日】平成21年9月23日(2009.9.23)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】