説明

集合住宅用生ごみ処理活用システム

【課題】家庭の台所や厨房から発生する生ごみを破砕し処理するディスポーザーは、そのまま下水に流せて悪臭や害虫の発生が防げ生ごみの保管やごみ出しの手間が省けるなどメリットが多くかなり使われていた時期もあったが、最近は下水道汚染や環境保護の観点から殆ど使われていない。
【解決手段】そこで団地など集合住宅にまとめて設置してその排水を地下などに設置した処理システムに集め、破砕裁断された固形物と水分をゆっくりと移動する水切りを通して分離乾燥させ更にその排水をフィルターで濾過、24時間それを繰り返す。目詰まりし易いフィルターの掃除交換を楽にし何時でもディスポーザーへの投入を可能にした。回収した固形物はそのまま或いは発酵処理され肥料となり、分離された水は更に別の濾過装置で下水道に流して良い数値をクリアーにして下水または中水道に再利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマンションやアパートなどの集合住宅用の生ごみ処理に、本考案の生ごみ処理活用システムを使用することにより、現状では使用が難しいディスポーザーを各戸に設置できるようになり、居住部分の悪臭や害虫の発生が防げるだけでなく、ディスポーザーによる下水汚染が防止でき、水との分離と乾燥が簡単に連続処理できるように考えたもので、処理したものはそのまま肥料として活用できる。
【背景技術】
【0002】
生ごみがディスポーザーで処理できれば簡単と考える人も多いが河川が汚れるという理由で最近は殆ど使われていない。とは言え固形物を取り除き、フィルターなどで濾過し、下水道局の下水に流しても良い数値がクリア出来れば解決するだけでなく、残った固形物は良質の肥料として生まれ変わる。
【特許文献1】特開平8−155428
【特許文献1】特開2007−328187
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
台所や厨房から発生する生ごみ等を破砕し、そのまま下水道に流せるディスポーザーは、居住部分の悪臭や害虫の発生を防ぎ、ごみ出しの手間が省けるなど便利なものだが、下水道や河川が汚れるなどそのままでは許可を受けることも難しい状態だった。しかし最近は浄化装置やフィルターの改良開発により比較的ローコストで排水を水質基準内にすることが可能になり、裁断された固形物と水を効率良く分離さえ出来れば肥料などのリサイクル化も可能になるだけでなく、これから造るマンションに利用すれば中水道として処理した水をトイレなどにも利用でき、循環リサイクルが可能になる。
【0004】
ディスポーザーは生ごみが細かく破砕された状態で水と共に下水に流される。そのままの状態では不可能だが、下水に流される前に水と粉砕された生ごみを分離すれば可能になる。各戸にディスポーザーを設置し、その排水を別ルートで一ヶ所に集める必要があるので、新築の団地などに導入するのが便利だ。更にトイレや水遣りの水にこの浄化された水が使える中水道を配備することによりリサイクル回路が出来、更に無駄がなくなる。集められたディスポーザーで処理された生ごみを効率良く固形物と水に分離出来れば、固形物は細分されているので乾燥時間も短く、乾燥するだけで或いは発酵させて肥料として使用ができる。更なる問題は一般的にフィルターは詰まり易く、密度を大きくすればするほど効率が悪化するので、水洗いが簡単な構造が出来ないかを考えた。

【課題を解決するための手段】
【0005】
集合住宅では各戸の事情が異なるので24時間使用できないと不便だ。そこでディスポーザーから流れて来たのを感知して駆動するのが好ましい。条件により異なるが一般的にはこの装置を地下に埋めて使った方が便利だ。各戸のディスポーザーから集められた排水を、ゆっくりと移動しているステンレスやプラスチック製メッシュなどの水切り上に平均して落とす。図では円形の穴に描かれているが、長方形や、先と手前では大きさを変えるなど詰まらず平均に落下する形状が理想である。水分は下に落ち、更にフィルターで濾過され、必要ならそこから別の濾過装置を通り浄化され下水に流されるか中水道を利用してトイレなどの水として再利用できる。分離された固形物はストックケースに落ちるまでに水分を出来るだけ少なくなっている方が好ましい。そのために固形物を均し棒状ヒーターで加熱する。
更にフィルターは荒いものほど使い易いが濾過後の処理が面倒なので先ず粗いステンレスやプラスチックメッシュ製などの水切りを通し、更にその落下先に細かい濾過フィルターを設けた。然し密度を高めれば高めるほど詰まり易く、掃除が面倒なので回転軸を設けて蓋になっている水切りを開き、濾過フィルター部を水圧で詰まりを除去、それでも取り切れなくなったらフィルターを取り出し掃除または交換する。分離された破砕ごみは悪臭が発生し易いので腐敗を防ぐ目的でその度毎に熱風で乾燥させる。更に効率的に乾燥させるためにストックケースの底にもヒーターを埋め込んだ。温湿センサーにより設定した状態になったらヒーターと熱風が自動的に止まり、流れて来たら再び稼動する。ストックケースに集められ乾燥した固形物はバキュームで回収するのが簡単で楽だ。

【発明の効果】
【0006】
集合住宅の各戸に設置したディスポーザーに24時間何時でも生ごみを投入が可能になる。当然その分悪臭や害虫の発生源である生ごみをストックして置く必要がなくなる。投入された破砕された生ごみは集められ、多くの穴を有するパイプ状の排出口から非常にゆっくり移動している水切りの上に落ちて水分が下に分離、棒ヒーターでゆっくり乾燥されストックケースに落ちる。ここでもヒーターと熱風で加熱乾燥、温湿センサーの作用で指定した状態になると止まり新しく流れてきたら稼動しこれを繰り返す。回収した乾燥生ごみは有効活用される。一方詰まり易いフィルターは水切りと細かいフィルターの二重構造で詰まり難くなり、フィルターは取り外しも簡単で詰まりを水圧で簡単に吹き飛ばせる。フィルターで分離された排水は必要に応じて更に濾過装置を経て下水に流すか中水道として再利用できる。シンガポールでは下水を処理して飲料水にできるフィルターも開発されたと言うニュースもあり、これらの技術を活用、或いは組み合わせることにより下水道に流して良い数値はクリアー出来る。

【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
蓋(2)の付いた箱状の本体(1)の上部に、幅広いステンレスメッシュの水切り(7)が付き複数の回転軸(11)(12)を有するベルトを設置、モーター(13)の回転をベルトや歯車などの組み合わせによりゆっくりと回転軸に伝えてステンレスメッシュの水切り(7)をゆっくりと移動させる。ベルトが移動するスタート地点の近くに、多数の穴を有しディスポーザーから排出されて来た流動体を水切り上に平均して落とす為のパイプ(4)を設ける。更に水切りの上で水分を落としながら移動して来るディスポーザーからの排出物先には、むらを無くし破砕生ごみを平均させる均し板(6)と、ある程度乾燥させる棒ヒーター(5)、更にステンレスメッシュに残って付着した破砕生ごみを掻き取る板(16)を設ける。掻き取り板はゴムなどの弾性素材でステンレスメッシュを押すような位置に設置するのが好ましい。大部分の水分が除去された破砕生ごみはストックケース(9)に落下して溜まる。(9)に集められた粉砕生ごみは熱風の吹き出し口(15)からの熱風と周囲や底などに設置したヒーターにより攪拌乾燥、1又は複数箇所に設置した温湿センサー(22)の働きで指定した状態になったらスイッチが切れ、流れて来たら稼動しこれを繰り返し24時間何時でも対応可能になる。一方水切りの下には濾過フィルター(17)に集めるための板(21)を設け、これによって落下してきた排水は濾過フィルターで濾過され、(8)を経て排水口(10)より外部に排出される。更に必要に応じてそのまま、或いは別の濾過装置を通り下水または中水道に流される。濾過フィルターが目に見えて取り出し易い位置にあるので、目詰まりが簡単に判り、水圧を使ったり取り外してのフィルター掃除や取替えが簡単にできる。
仕切り板に付いている取っ手(14)を上に引き上げると(11)が回転軸になり、蓋が開くように開くので、部品取替えやメンテナンスが楽にできる。尚図1は解り易くするためにディスポーザーからの穴の多く開いたパイプや棒ヒーターを支える板(18)は省略してある。図5のように引き上げた時も、本体のケースが邪魔してホースが引っかからないように受け入れ口(3)と多穴付パイプ(4)が外れるなどの工夫が必須だ。

【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本体の斜視図
【図2】本体の蓋を除いた上面図
【図3】本体の前側面説明図
【図4】フィルター掃除のために水切りなどを上に跳ね上げた図
【図5】横側面説明図
【図6】水切りの下に隠れている部分の骨組斜視図
【符号の説明】
【0009】
1 本体
2 蓋
3 ディスポーザーからの流動物受け入れ口
4 3の先に取り付ける多くの穴を有するパイプ
5 棒状のヒーター
6 均し板
7 ステンレスメッシュなどの水切り
8 排水が集まるところ
9 破砕生ごみストックケース
10 排水口
11 回転軸A
12 回転軸B
13 モーター
14 フィルター掃除用取手付き破砕生ごみが食み出てしまうのを防ぐ仕切り板
15 熱風口
16 水切りに残った破砕生ごみ掻き取り板
17 濾過フィルター
18 多穴付パイプや棒ヒーター、均し板、取っ手付き仕切り板などを支える板
19 多穴付パイプを貫通させ支える穴
20 棒ヒーターを貫通させ支える穴
21 水切りを通った排水を濾過フィルター上に導くための板
22 温湿センサー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発明は集合住宅などで各戸に設置したディスポーザーから排出される破砕生ごみの処理活用に関するものであり、設置されたモーターにより駆動し、破砕生ごみの落ちる側にゆっくりと移動する幅広い水切り付き回転ベルトを設置し、そのベルト上でベルトが移動始める側にディスポーザーで破砕されて水と一緒に流れて来た生ごみが水切り上に平均して落ちるように多くの穴の開いたパイプを設け、破砕生ごみが移動する先にはそれを均し水分を効率良く落下させるための板、更にその先に棒ヒーターを設け、水切りが回転し下側に移行する途中に、水切りに付着して残った破砕ごみを掻き落とす板を設置、排水が分離されて落下する部分に更に排水を濾過するためのフィルターを設け、分離された破砕生ごみを収納するケースの一部にヒーター及び熱風で乾燥させる為の吹き出し口、更にその乾燥度を制御して設定温湿度になるとヒーター及び熱風を自動的にストップさせ、粉砕ごみが流れて来る度に始動させる温湿度センサーを設けた集合住宅や厨房用生ごみ処理活用システム


【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−22903(P2010−22903A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184459(P2008−184459)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【特許番号】特許第4341850号(P4341850)
【特許公報発行日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(303063610)
【Fターム(参考)】