説明

難溶解性治療剤の放出のための医療デバイス

本発明の一態様によれば、一つ以上のポリマー担体領域を含む、移植可能または挿入可能な医療デバイスが提供される。そして、これらのポリマー担体領域は、ポリマー、難溶解性治療剤、および可溶化剤を含む。具体的な一局面において、このポリマー担体領域は、(a)少なくとも一つのポリマー、(b)37℃の水溶液(例えば蒸留水、生理食塩水、リン酸緩衝食塩水、尿、血液等の体液を含む生物流体等)中で1mg/ml以下、例えば1mg/ml〜0.1mg/ml〜0.01mg/ml〜0.001mg/mlまたはそれ以下の範囲の溶解度を有する、少なくとも一つの治療剤、および(c)少なくとも一つの可溶化剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に医療デバイスに関し、特に、難溶解性治療剤を放出する移植可能または挿入可能な医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー材料による治療剤の制御放出は、長年様々な形態で存在している。例えば、体に治療剤を送達するための、多数のポリマーベースの医療デバイスが開発されている。例としては、Boston Scientific Corp.(TAXUS)、Johnson & Johnson(CYPHER)等から市販される、薬物溶出冠状動脈ステントが含まれる。
【0003】
しかし、多くの薬物の送達は、ポリマー材料および/または体液中におけるそれらの溶解度により、困難となっている。例えば、多くの治療剤は、とりわけ血液や尿をはじめとする体液中で難溶解性を有する、疎水性化合物である。従って、これらの治療剤は、放出されるかわりに、デバイスのポリマー材料中に維持されうることが好ましい。これは、時として、デバイスから標的部位に治療効果のある量の治療剤を送達する上での限定要因である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によれば、一つ以上のポリマー担体領域を含む、移植可能または挿入可能な医療デバイスが提供される。そして、これらのポリマー担体領域は、可溶化剤の助けを借りて難溶解性治療剤を送達する。
【0005】
本発明の利点は、より高レベルの難溶解性治療剤を放出するポリマー担体領域が形成されうることである。
【0006】
本発明のこれらおよび他の態様、実施形態および利点は、以下の詳細な記載および請求項を検討した当業者に即座に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態による、尿管ステントの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(発明の詳細な説明)
以下の本発明の多数の態様および実施形態の詳細な説明を参照することにより、本発明のより完全な理解が可能である。以下の本発明の詳細な説明は、本発明を例示するものであり、制限するものではない。
【0009】
一態様では、本発明は、一つ以上のポリマー担体領域を含む、移植可能または挿入可能な医療デバイスを提供する。そして、これらのポリマー担体領域は、(a)少なくとも一つのポリマー、(b)37℃の水溶液(例えば蒸留水、生理食塩水、リン酸緩衝食塩水、尿、血液等の体液を含む生物流体等)中で1mg/ml以下、例えば1mg/ml〜0.1mg/ml〜0.01mg/ml〜0.001mg/mlまたはそれ以下の範囲の溶解度を有する、少なくとも一つの治療剤(本明細書において「難溶解性治療剤」と称される)、および(c)少なくとも一つの可溶化剤を含む。
【0010】
「ポリマー領域」とは、一つ以上の種類のポリマーを含む領域(例えばデバイスをコートする層、デバイスの構成要素、デバイス全体等)を意味する。「担体領域」とは、一つ以上の治療剤を含む領域を意味する。「ポリマー担体領域」とは、一つ以上のポリマーと一つ以上の治療剤を含む領域を意味する。
【0011】
本発明から利する医療デバイスには、手技の用途で、またはインプラントとして対象内に移植または挿入される、様々な医療デバイスが含まれる。例には、カテーテル(例えばバルーンカテーテル等の導尿または血管カテーテル)、ガイドワイヤ、バルーン、フィルタ(例えば大静脈フィルタ)、ステント(冠状動脈ステント、脳ステント等の末梢血管ステント、尿道ステント、尿管ステント、胆管ステント、気管ステント、胃腸ステントおよび食道ステントを含む)、ステント植皮、血管グラフト、血管アクセスポート、脳動脈瘤充填コイル(Guglilmi着脱可能コイルおよび金属コイルを含む)を含む塞栓デバイス、心筋プラグ、ペースメーカリード、左心室補助心臓およびポンプ、人工心臓、心臓弁、血管弁、組織膨化デバイス、軟骨、骨、皮膚および他のin vivo組織再生のための組織工学足場、スリング、縫合糸、縫合糸アンカ、吻合クリップおよびリング、手術部位の組織ステープルおよび結紮クリップ、カニューレ、金属ワイヤ結紮糸、移植骨片、骨板、関節補綴等の整形外科補綴、ならびに体内への移植または挿入に適した他の様々な医療デバイスが含まれる。
【0012】
本発明の医療デバイスには、全身治療に使用されるものだけでなく、任意の組織または臓器の局所治療に使用される、移植可能および挿入可能な医療デバイスが含まれる。非限定的な例は、腫瘍、心臓を含む臓器、冠血管および末梢血管系(全体的に「血管系」と称される)、腎臓、膀胱、尿道、尿管、前立腺、膣、子宮および卵巣を含む泌尿生殖系、眼球、肺、気管、食道、腸、胃、脳、肝臓および膵臓、骨格筋、平滑筋、乳腺、皮膚組織、軟骨、歯および骨である。
【0013】
本明細書で使用されるところの、「治療」とは、疾患または状態の防止、疾患または状態と関連した症状の抑制または除去、または疾患または状態の実質的または完全な除去をさす。好ましい対象(「患者」とも呼ばれる)は、脊椎動物の対象であり、より好ましくは哺乳類の対象、より好ましくはヒトの対象である。本発明とともに使用するための医療デバイスの具体例には、(例えば、痛みおよび/または感染の治療のために)尿路に一つ以上の治療剤を送達する尿管ステント、または(例えば、再狭窄の治療のために)血管系に一つ以上の治療剤を送達する冠状動脈ステントおよび脳ステント等のステントが含まれる。
【0014】
いくつかの実施形態においては、本発明のポリマー担体領域は、(例えば、治療剤を装填したポリマーステント本体の形で)医療デバイス全体に対応する。他の実施態様においては、ポリマー担体領域は、医療デバイスの一つ以上の部分に対応する。例えば、ポリマー担体領域は、医療デバイスの構成要素の形、医療デバイスに取り入れられた一つ以上の繊維の形、下層の医療デバイス基材の全体または一部だけの上に形成された一つ以上のポリマー層の形等でありうる。層は、様々な場所および様々な形状(例えば、一連の長方形、ストライプ、または他の任意の連続的または非連続的パターンの形)で、下層の基材の上に提供されうる。本明細書で使用されるところの、所与の材料の「層」とは、長さおよび幅と比較して厚みが小さい、その材料の領域である。本明細書で使用されるところの層は、例えば下層の基材の輪郭をとるなど、平らである必要はない。層は、不連続でありうる(例えば、パターン)。「膜」、「層」および「コーティング」のような用語は、本明細書において互換可能に使用されうる。
【0015】
下層の医療デバイス基材として使用する材料には、セラミック、金属、およびポリマー基材が含まれる。基材材料は、炭素ベースまたはシリコンベースの材料であってもよい。
【0016】
上述のように、本発明のポリマー担体領域は、少なくとも一つのポリマー、少なくとも一つの難溶解性治療剤、および少なくとも一つの可溶化剤を含む。
【0017】
「治療剤」、「薬物」、「医薬的に活性の薬剤」、および「医薬的に活性な薬剤」、および他の関連した用語は、本明細書において互換可能に使用されうる。
【0018】
本発明とともに使用する治療剤の例には、以下が含まれる(一部は難溶解性治療剤であり、その他は異なる)。(a)ヘパリン、ヘパリン誘導体類、ウロキナーゼ、およびPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)等の抗血栓剤類;(b)デキサメサゾン、プレドニソロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジンおよびメサラミン等の抗炎症剤類;(c)パクリタキセル、5−フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンジオスタチン、アンギオペプチン、平滑筋細胞増殖を遮断可能な単クローン抗体類、およびチミジンキナーゼ阻害剤類等の抗腫瘍/抗増殖/抗縮瞳薬剤類;(d)リドカイン、ブピバカインおよびロピバカイン等の麻酔剤類;(e)D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、RGDペプチドを含む化合物、ヘパリン、ヒルジン、アンチトロンビン化合物、血小板受容体アンタゴニスト、抗トロンビン抗体類、抗血小板受容体抗体類、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤類、血小板阻害剤類およびマダニ抗血小板物質ペプチド類等の抗凝固剤類;(f)成長因子類、転写活性化物質類、および翻訳促進物質類等の血管細胞成長促進剤類;(g)成長因子阻害剤類、成長因子受容体アンタゴニスト類、転写リプレッサ類、翻訳リプレッサ類、複製阻害剤類、阻害抗体類、成長因子類に対する抗体類、成長因子と細胞毒からなる二機能性分子、抗体と細胞毒からなる二機能性分子等の血管細胞成長阻害剤類;(h)プロテインキナーゼおよびチロシンキナーゼ阻害剤類(例えばチルフォスチン類、ゲニステイン、キノキサリン類);(i)プロスタサイクリンアナログ類;(j)コレステロール降下剤類;(k)アンジオポイエチン類;(l)トリクロサン、セファロスポリン類、アミノグリコシド類およびニトロフラントイン等の抗微生物剤類;(m)細胞毒性剤類、細胞増殖抑制剤類および細胞増殖影響因子類;(n)血管拡張剤類;(o)内因性血管作用機序を妨げる薬剤類;(p)単クローン抗体類等の白血球動員阻害剤類;(q)サイトカイン類;(r)ホルモン類;(s)ゲルダナマイシンを含む、HSP90タンパク質(すなわち、分子シャペロンまたはハウスキーピングタンパク質であり、細胞の増殖および残存を担う他のクライアントタンパク質/シグナル伝達タンパク質の安定性および機能に必要である、熱ショックタンパク質)の阻害剤類、(t)α受容体アンタゴニスト類(例えばドキサゾシン、タムスロシン、テラゾシン、プラゾシンおよびアルフゾシン)、カルシウムチャネル遮断薬類(例えばベラピミルverapimil、ジルチアゼム、ニフェジピン、ニカルジピン、ニモジピンおよびベプリジル)、β受容体アゴニスト類(例えばドブタミンおよびサルメテロール)、β受容体アンタゴニスト類(例えばアテノロール、メタプロロールmetaprololおよびブタキサミン)、アンギオテンシン−II受容体アンタゴニスト類(例えばロサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、カンデサルタンおよびテルミサルタン)、および抗痙攣/抗コリン薬類(例えばオキシブチニンクロライド、フラボキサート、トルテロジン、硫酸ヒオスシアミン、ジクロミン)等の平滑筋弛緩物質類、(u)bARKct阻害剤類、(v)ホスホランバン阻害剤類、(w)Serca2遺伝子/タンパク質、(x)アミノキゾリン類aminoquizolinesを含む免疫反応修飾剤類、例えばレスキモドおよびイミキモド等のイミダゾキノリン類、および(y)ヒトアポリオタンパク質類apolio proteins(例えばAI、AII、AIII、AIV、AV等)。
【0019】
上に列挙されるものに限られない多数の治療剤が、例えば再狭窄を標的とする薬剤として、血管治療計画の候補として同定されている。このような薬剤は、本発明の実行に有用であり、以下の一つ以上を含む。(a)ジルチアゼムおよびクレンチアゼム等のベンゾチアザピン類(benzothiazapines)、ニフェジピン、アムロジピンおよびニカルダピン等のジヒドロピリジン類、およびベラパミル等のフェニルアルキルアミン類を含むカルシウムチャネル遮断薬類、(b)ケタンセリンおよびナフチドロフリル等の5−HTアンタゴニスト類、ならびにフルオキセチン等の5−HT吸収阻害剤類を含むセロトニン経路モジュレータ類、(c)シロスタゾールおよびジピリダモール等のホスホジエステラーゼ阻害剤類、フォルスコリン等のアデニレート/グアニレートシクラーゼ刺激剤類、ならびにアデノシンアナログ類を含む環状ヌクレオチド経路の薬剤類、(d)プラゾシンおよびブナゾシン等のα−アンタゴニスト類、プロプラノロール等のβ−アンタゴニスト類、およびラベタロールおよびカルベジロール等のα/β−アンタゴニスト類を含むカテコールアミンモジュレータ類、(e)エンドセリン受容体アンタゴニスト類、(f)ニトログリセリン、硝酸イソソルビドおよび亜硝酸アミル等の有機硝酸塩類/亜硝酸塩類、ニトロプルシドナトリウム等の無機ニトロソ化合物類、モルシドミンおよびリンシドミン等のシドノニミン類、ジアゼニウムジオレート類およびアルカンジアミン類のNO付加物類等のnonoエート類、低分子量化合物類(例えばカプトプリル、グルタチオンおよびN−アセチルペニシラミンのS−ニトロソ誘導体類)および高分子量化合物類(例えばタンパク質類、ペプチド類、オリゴ糖類、多糖類、合成ポリマー類/オリゴマー類および天然ポリマー類/オリゴマー類のS−ニトロソ誘導体類)を含むS−ニトロソ−化合物類、ならびにC−ニトロソ−化合物類、O−ニトロソ−化合物類、N−ニトロソ−化合物類およびL−アルギニンを含む一酸化窒素ドナー類/放出分子類、(g)シラザプリル、フォシノプリルおよびエナラプリル等のACE阻害剤類、(h)サララシンおよびロサルチン等のATII−受容体アンタゴニスト類、(i)アルブミンおよびポリエチレンオキシド等の血小板粘着阻害剤類、(j)シロスタゾール、アスピリンおよびチエノピリジン(チクロピジン、クロピドグレル)を含む血小板凝集阻害剤類およびアブシキシマブ、エピチフィバチド(epitifibatide)およびチロフィバン等のGPIIb/IIIa阻害剤類、(k)ヘパリン、低分子量ヘパリン、デキストランサルフェートおよびβ−シクロデキストリンテトラデカサルフェート等のヘパリノイド類、ヒルジン、ヒルログ、PPACK(D−phe−L−propyl−L−arg−クロロメチルケトン)およびアルガトロバン等のトロンビン阻害剤類、アンチスタチンおよびTAP(マダニ抗凝血性ペプチド)等のFXa阻害剤類、ワルファリン等のビタミンK阻害剤類ならびに活性化プロテインCを含む凝固経路モジュレータ類、(l)アスピリン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシンおよびスルフィンピラゾン等のシクロオキシゲナーゼ経路阻害剤類、(m)デキサメサゾン、プレドニソロン、メスプレドニソロンおよびハイドロコーチゾン等の天然および合成コルチコステロイド類、(n)ノルジヒドログアイレチック酸(nordihydroguairetic acid)およびコーヒー酸等のリポキシゲナーゼ経路阻害剤類、(o)ロイコトリエン受容体アンタゴニスト類、(p)E−およびP−セレクチン類のアンタゴニスト類、(q)VCAM−IおよびICAM−Iの相互作用阻害剤類、(r)PGE1およびPGI2等のプロスタグランジン類およびシプロステン、エポプロステノール、カルバサイクリン、イロプロストおよびベラプロスト等のプロスタサイクリンアナログ類を含むプロスタグランジン類およびそのアナログ類、(s)ビスホスホネート類を含むマクロファージ活性化抑制剤類、(t)ロバスタチン、プラバスタチン、フラバスタチン、シンバスタチンおよびセリバスタチン等のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤類、(u)魚油類およびオメガ−3−脂肪酸類、(v)プロブコール、ビタミンCおよびE、エブセレン、トランスレチノイン酸およびSOD模倣体類等のフリーラジカルスカベンジャ類/酸化防止剤類、(w)bFGF抗体類およびキメラ融合タンパク質類等のFGF経路の薬剤類、トラピジル等のPDGF受容体アンタゴニスト類、アンギオペプチンおよびオクレオチド(ocreotide)等のソマトスタチンアナログ類を含むIGF経路の薬剤類、ポリアニオン剤類(ヘパリン、フコイジン)、デコリン、およびTGF−β抗体類等のTGF−β経路の薬剤類、EGF抗体類、受容体アンタゴニスト類およびキメラ融合タンパク質類等のEGF経路の薬剤類、サリドマイドおよびそのアナログ類等のTNF−α経路の薬剤類、スロトロバン、バピプロスト、ダゾキシベンおよびリドグレル等のトロンボキサンA2(TXA2)経路モジュレータ類、ならびにチルフォスチン、ゲニステインおよびキノキサリン誘導体類等のタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤類を含む、様々な成長因子に作用する薬剤類、(x)マリマスタット、イロマスタットおよびメタスタット等のMMP経路阻害剤類、(y)サイトカラシンB等の細胞運動阻害剤類、(z)プリンアナログ類(例えば、6−メルカプトプリンまたは塩素化されたプリンヌクレオシドアナログであるクラドリビン)、ピリミジンアナログ類(例えばシタラビンおよび5−フルオロウラシル)およびメトトレキセート等の抗代謝剤類、ナイトロジェンマスタード類、アルキルスルホネート類、エチレンイミン類、抗生物質類(例えばダウノルビシン、ドキソルビシン)、ニトロソウレア類、シスプラチン、微小管動態に作用する薬剤類(例えばビンブラスチン、ビンクリスチン、コルヒチン、Epo D、パクリタキセルおよびエポチロン)、カスパーゼ活性化物質類、プロテアソーム阻害剤類、血管形成阻害剤類(例えばエンドスタチン、アンジオスタチンおよびスクアラミン)、ラパマイシン、セリバスタチン、フラボピリドールおよびスラミンを含む抗増殖/抗腫瘍剤類、(aa)ハロフジノンまたは他のキナゾリノン誘導体類およびトラニラスト等のマトリクス沈着/組織経路阻害剤類、(bb)VEGFおよびRGDペプチド等の内皮化促進剤類、および(cc)ペントキシフィリン等の血液レオロジーモジュレータ類。
【0020】
本発明の医療デバイスとともに様々な治療剤負荷が使用でき、治療上有効量は当業者が容易に決定しうる。典型的な負荷の範囲は、例えば、ポリマー担体領域の1重量%またはそれ以下〜2重量%〜5重量%〜10重量%〜25重量%またはそれ以上である。
【0021】
徐放プロフィールを有する医療デバイスが、本発明の一定の実施形態において有益である。「徐放プロフィール」とは、効果的な量の治療剤が、医療デバイスから何日、何週間、または何ヶ月等という長期間にわたり宿主組織または生理的環境に放出される、放出プロフィールを意味する。
【0022】
本明細書で使用されるところの、「可溶化剤」は、十分な分量で加えられると、水溶液(例えば、蒸留水、生理食塩水、リン酸緩衝食塩水、尿、血液等の体液を含む生物流体)中の治療剤の溶解度を高める物質である。溶解度(例えば、体積あたりの重量ベースで測定される)が、例えば、10%〜25%〜50%〜100%〜250%(2.5倍)〜500%(5倍)〜1000%(10倍)〜2500%(25倍)〜5000%(50倍)〜10000%(100倍)またはそれ以上高められうる。もちろん、これらの基準を満たす可溶化剤は、上に特に記載したもの以外の他の水を含む(水性)液体中の治療剤の溶解度も高める傾向がある。可溶化剤(solublizing agent)および治療剤の性質を含めた様々な要因に応じて、可溶化剤の分量は様々となり、例えば、ポリマー担体領域の1重量%またはそれ以下〜2重量%〜5重量%〜10重量%またはそれ以上となりうる。採用される有効量は、当業者が容易に決定しうる。
【0023】
可溶化剤の例としては、例えば、以下の非共有的相互作用の一つ以上に基づいて、治療剤と親密に結合することにより、治療剤の溶解度を高める化合物が挙げられる:静電的相互作用(例えば、イオン−イオン、イオン−双極子、双極子−双極子)、水素結合相互作用、π−πスタッキング相互作用、カチオン−π相互作用、ファンデルワールス相互作用、および疎水効果。これらの薬剤は通常、(例えば、ホスト−ゲストまたは他の複合体を形成することにより、ミセルへの自己集合により、自己乳化により、または治療剤とその他の結合を自発的に形成することにより)水中で自発的に治療剤と結合する。これらの薬剤の多くは両親媒性である(すなわち、疎水性および親水性の部分を有する)。治療剤の水溶性を高めることにより、材料が、医療デバイスからの治療剤の輸送を増加し、したがって治療剤の放出を増加する傾向がある。
【0024】
可溶化剤の例には、治療剤の溶解度がその環境において高まるように、治療剤の付近の環境に影響する(例えば、ポリマー放出領域の環境のpHに影響する)化合物がさらに含まれる。
【0025】
可溶化剤の具体的な例には、以下のうち適切なものが含まれる。(a)カリックスアレーン類、シロデキストリン類cylodextrins(例えば、α−、β−、γ−、δ−等シクロデキストリン類、およびカチオン誘導体類およびヒドロキシプロピルおよびスルホブチルエーテル基による誘導体類を含むそれらの誘導体類)、クラウンエーテル類(およびそれらの誘導体類)等を含む大(多)環状化合物類等、分子次元の内部空洞(ノッチ等を含む)を有し、疎水性ゲスト分子のホスト、特に比較的疎水性の空洞と比較的親水性の外部とを有するホスト分子としての役割を果たしうる、ホスト分子類およびそれらの誘導体類;(b)例えば、ポリ(アリールエーテル)、ポリ(アミドアミン)(PAMAM)、ポリ(1,4−ジアミノブタン)(DAB)、およびポリ(プロピレンイミン)より選択される内部を有するもの、および、カルボキシレート末端基類等のイオン末端基類、ポリアクリル酸末端鎖類等のポリ(イオンモノマー)末端鎖類、ポリ(親水性モノマー)末端鎖類、例えば、2〜4〜8〜12〜20またはそれ以上のモノマーを有するもの等のポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシド鎖類等より選択される親水性末端基または親水性末端鎖で終端するものなど、水中で典型的に比較的疎水性の内部と比較的親水性の鎖末端とを有する、いわゆる「単分子ミセル」を形成するものを含む両親媒性デンドリマー類;(c)様々なイオン性(例えば、カチオン性、アニオン性、双性イオン性)および非イオン性界面活性剤類;モノ−、ジ−、およびトリグリセリド類(例えばグリセロールモノステアレート、グリセロールジステアレート、グリセロールモノラウレート等);多価アルコールエステル類;レシチン等のリン脂質類;スクロース(例えばスクロースモノラウレートおよびスクロースモノステアレート、および他のショ糖脂肪酸エステル類)、およびソルビトール(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミタート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノドデカノエート、ソルビタンモノヘキサデカノエート、ソルビタンモノオクタデカノエート、ソルビタントリオクタデカノエート、ソルビタンモノ−9−モノデカノエート、およびソルビタントリ−9−オクタデセノエート、および他のソルビタン脂肪酸エステル類)等、糖類および糖アルコール類の部分(例えばモノ−、ジ−、トリ−等)脂肪酸エステル類;オリゴグルコシドの脂肪族アルコールエーテル類(例えばアキルポリグルコシド類akylpolyglucosides);ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンならびにそれらの誘導体類およびコポリマー類等のポリオキシアルキレン類(ポリオキシエチレン、ポリオキシエチレンエーテル、ポリエチレングリコール、およびポリエチレンオキシドは従来技術において同義的に使用されることが多いことに注意)、例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類(別名ポロクサマー類)、およびポリエチレングリコールエステル類、ポリプロピレングリコールエステル類、ソルビタンのポリエトキシ化脂肪酸エステル類(例えばポリソルベート類)等のポリオキシアルキレンソルビタンエステル類、およびポリエチレンオキシドの脂肪酸エステル類(例えばポリオキシエチレンステアレート類)を含むポリオキシアルキレンエステル類、ポリエチレンオキシド(例えばポリオキシエチル化ラウリルエーテル)の脂肪族アルコールエーテル類およびポリエチレンオキシド(例えばポリエトキシ化オクチルフェノール)のアルキルフェノールエーテル類を含むポリオキシアルキレンエーテル類、およびエトキシ化油脂類(例えば、エトキシ化ヒマシ油およびポリオキシエチル化ヒマシ油、別名ポリエチレングリコール−グリセリルトリリシノレエート等のポリオキシアルキレン誘導体類;(d)緩衝剤類ならびに有機および無機酸類、塩基類およびそれらの塩類、例えばアスコルビン、安息香、エデト、セバシン、ソルビン、グルタミン、p−トルエンスルホン、クエン、コハク、フマル、アジピン、リンゴおよび酒石酸類、メグルミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリアジン塩基、グアニジン、N−メチルグルカミン、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、重炭酸ナトリウムおよびリン酸ナトリウム(二塩基および一塩基)等の炭酸塩および重炭酸塩のアルカリおよびアルカリ土類金属塩類等をはじめ、特に難溶解性治療剤が、水溶性を高めるためにこのような薬剤を用いてイオン化されうる酸性および/または塩基性基を有する場合の、pH制御剤類;および(e)以上の混合物。可溶化剤のさらなる例については、例えば、Berchielli等に対する米国特許出願公開第2005/0186276号、Mazess等に対する第2004/0053894号、およびCuratolo等に対する第2002/0006443号を参照。F.Aulenta等、“Dendrimers:a new class of nanoscopic containers and delivery devices,”European Polymer Journal 39(2003)1741−1771;およびM.LiuおよびJ.M.M.Frechet;“Designing dendrimers for drug delivery,”PSTT Vol.2,No.10(1999年10月)393−401も参照。
【0026】
上述のように、「ポリマー」領域は、例えば、50重量%またはそれ以下〜75重量%〜90重量%〜95重量%〜97.5重量%〜99重量%またはそれ以上のポリマーを含むものである。
【0027】
本明細書で使用されるところの「ポリマー」とは、一般にモノマーと呼ばれる一つ以上の構成単位の複数のコピー(例えば、2〜5〜10〜25〜50〜100〜250〜500〜1000またはそれ以上のコピー)を含む分子である。
【0028】
ポリマーは、例えば環状、線状、および分岐形態より選択されうる、多くの形態をとることができる。分岐形態は、星形の形態(例えば、一つの分岐点から三つ以上の鎖が生じる形態)、コーム形態(例えば、主鎖と複数の側鎖とを有する形態)、樹枝状の形態(例えば、樹枝状および高分枝ポリマー)その他を含む。
【0029】
本明細書で使用されるところの「ホモポリマー」とは、単一の構成単位の複数のコピーを含むポリマーである。「コポリマー」は、少なくとも二つの異なる構成単位の複数のコピーを含むポリマーであり、例としては、ランダム、統計、グラジエント、周期的(例えば、交互)およびブロックコポリマー類が挙げられる。
【0030】
本明細書で使用されるところの「ブロックコポリマー」とは、例えばポリマーが遮断するそして、例えば、構成単位(すなわち、モノマー)が一つのポリマーブロックに見られるが、別のポリマーブロックには見られないことにより、組成が異なる二つ以上のポリマーブロックを含むコポリマーである。本明細書で使用されるところの「ポリマーブロック」とは、構成単位の集まり(例えば、5〜10〜25〜50〜100〜250〜500〜1000またはそれ以上の単位)である。ブロックは、分枝または非分枝でありうる。ブロックは、単一のタイプの構成単位を含んでもよいし(本明細書において、「ホモポリマーブロック」とも称される)または、例えばランダム、統計、グラジエント、または周期的(例えば、交互)分布において提供されうる、複数のタイプの構成単位を含んでもよい(本明細書において、「コポリマーブロック」とも称される)。
【0031】
本発明に用いられるポリマーは、例えば、以下のうちの適切なものから選択されうる:ポリアクリル酸類を含むポリカルボン酸ポリマー類およびコポリマー類;アセタールポリマー類およびコポリマー類;アクリレートおよびメタクリレートポリマー類およびコポリマー類(例えばn−ブチルメタクリレート);セルロースアセテート類、セルロースナイトレート類、プロピオン酸セルロース類、セルロースアセテートブチレート類、セロハン類、レーヨン類、レーヨントリアセテート類、およびカルボキシメチルセルロース類およびヒドロキシアルキルセルロース類等のセルロースエーテル類を含むセルロースポリマー類およびコポリマー類;ポリオキシメチレンポリマー類およびコポリマー類;ポリエーテルブロックイミド類およびポリエーテルブロックアミド類、ポリアミドイミド類、ポリエステルイミド類およびポリエーテルイミド類等のポリイミドポリマー類およびコポリマー類;ポリアリールスルホン類およびポリエーテルスルホン類を含むポリスルホンポリマー類およびコポリマー類;ナイロン6,6、ナイロン12、ポリカプロラクタム類およびポリアクリルアミド類を含むポリアミドポリマー類およびコポリマー類;アルキッド樹脂類、フェノール樹脂類、ユリア樹脂類、メラミン樹脂類、エポキシ樹脂類、アリル樹脂類およびエポキシ樹脂類を含む樹脂類;ポリカーボネート類;ポリアクリロニトリル類;ポリビニルピロリドン類(架橋およびその他);ポリビニルアルコール類、ポリビニルクロライド類等のポリビニルハライド類、エチレンビニルアセテートコポリマー類(EVA)、ポリビニリデンクロライド類、ポリビニルメチルエーテル類等のポリビニルエーテル類、ポリスチレン類、スチレン−無水マレイン酸コポリマー類、スチレンブタジエンコポリマー類、スチレン−エチレン−ブチレンコポリマー類(例えば、Kraton(登録商標)Gシリーズポリマー類として入手可能なポリスチレン−ポリエチレン/ブチレン−ポリスチレン(SEBS)コポリマー)、スチレン−イソプレンコポリマー類(例えばポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、アクリロニトリル−スチレンコポリマー類、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー類、スチレンブタジエンコポリマー類およびスチレン−イソブチレンコポリマー類(例えば、Pinchukに対する米国特許第6,545,097号に開示されるもの等のポリイソブチレン−ポリスチレンおよびポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロックコポリマー類)を含むビニル−芳香族−アルキレンコポリマー類、ポリビニルケトン類、ポリビニルカルバゾール類およびポリビニルアセテート類等のポリビニルエステル類を含むビニルモノマー類のポリマー類およびコポリマー類;ポリベンゾイミダゾール類;いくつかの酸性基が亜鉛またはナトリウムイオンのいずれかにより中和されうる(一般にアイオノマーとして公知である)、エチレン−メタクリル酸コポリマー類およびエチレン−アクリル酸コポリマー類;ポリエチレンオキシド類(PEO)を含むポリアルキルオキシドポリマー類およびコポリマー類;ポリエチレンテレフタレート類および(d−,l−およびメソラクチドならびに乳酸を含む)ラクチド、イプシロン−カプロラクトン、グリコリド(グリコール酸を含む)、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、パラ−ジオキサノン、トリメチレンカルボネート(およびそのアルキル誘導体類)、1,4−ジオキセパン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン、および6,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2−オンのポリマー類およびコポリマー類(ポリ(乳酸)およびポリ(カプロラクトン)のコポリマー類が特定の一例である)等の脂肪族ポリエステル類を含むポリエステル類;ポリフェニレンエーテル類、ポリエーテルケトン類、ポリエーテルエーテルケトン類等のポリアリールエーテル類を含むポリエーテルポリマー類およびコポリマー類;ポリフェニレンサルファイド類;ポリイソシアネート類;ポリプロピレン類、ポリエチレン類(低および高密度、低および高分子量)、ポリブチレン類(ポリブト−1−エンおよびポリイソブチレン等)、ポリオレフィンエラストマー類(例えばサントプレーン)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム類、ポリ−4−メチル−ペン−1−エン類、エチレン−アルファオレフィンコポリマー類、エチレン−メチルメタクリレートコポリマー類、およびエチレンビニルアセテートコポリマー類等の、ポリアルキレン類を含むポリオレフィンポリマー類およびコポリマー類;ポリテトラフルオロエチレン類(PTFE)、ポリ(テトラフルオロエチレン−コ−ヘキサフルオロプロペン)(FEP)、改変エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー類(ETFE)、およびポリビニリデンフルオライド類(PVDF)を含むフッ素化ポリマー類およびコポリマー類;シリコーンポリマー類およびコポリマー類;熱可塑性ポリウレタン類(TPU);エラストマーポリウレタン類およびポリウレタンコポリマー類(ポリエーテルベース、ポリエステルベース、ポリカーボネートベース、脂肪族ベース、芳香族ベースおよびこれらの混合物であるブロックおよびランダムコポリマー類を含む等のエラストマー類;市販のポリウレタンコポリマー類の例には、Bionate(登録商標)、Carbothane(登録商標)、Tecoflex(登録商標)、Tecothane(登録商標)、Tecophilic(登録商標)、Tecoplast(登録商標)、Pellethane(登録商標)、Chronothane(登録商標)、およびChronoflex(登録商標)が含まれる;p−キシリレンポリマー類;ポリイミノカルボネート類;ポリエチレンオキシド−ポリ乳酸コポリマー類等のコポリ(エーテルエステル類);ポリホスファジン類(polyphosphazines);ポリアルキレンオキサレート類;ポリオキサアミド類およびポリオキサエステル類(アミン類および/またはアミド基を含むものを含む);ポリオルトエステル類;フィブリン、フィブリノーゲン、コラーゲン、エラスチン、キトサン、ゼラチン、デンプン、ヒアルロン酸等のグリコサミノグリカン類を含む、ポリペプチド類、タンパク質類、多糖類、および脂肪酸類(およびそのエステル類)等のバイオポリマー類;ならびに以上のブレンドおよびさらなるコポリマー類。
【0032】
以上のものを必ずしも除外しない、本発明に用いられるポリマーのさらなる例は、例えば、以下のうちの適切なものから選択されうる:エチレンビニルアセテートコポリマー類(EVA)およびアクリル酸またはメタクリル酸とエチレンのコポリマー類を含むエチレンコポリマー類;弾性ポリウレタン類およびポリウレタンコポリマー類;メタロセン触媒ポリエチレン(mPE)およびmPEコポリマー類;ビニル芳香族コポリマー類;ポリエステル−エーテルコポリマー類、ポリアミド−エーテルコポリマー類;シリコーン;および同の混合物。
【0033】
ビニル芳香族コポリマー類には、(a)エチレン、ブチレンおよびイソブチレンの一つ以上を含みうる、一つ以上のポリアルキレンホモポリマーまたはコポリマーブロック、および(b)スチレンおよびα−メチルスチレンの一つ以上を含みうる、一つ以上のポリ(ビニル芳香族)ホモポリマーまたはコポリマーブロック、例えばポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレントリブロックコポリマー類等の、ポリスチレンまたはポリメチルスチレンとポリイソブチレンのブロックコポリマー類を含むもの等の、多価−ポリ(ビニル芳香族)ブロックコポリマー類が含まれる。これらのポリマー類は、例えば、Pinchuk等に対する米国特許第6,545,097号に記載される。
【0034】
弾性ポリウレタン類は、多官能イソシアネート類(例えば脂肪族および芳香族ジイソシアネート類の両者を含むジイソシアネート類)およびポリオール類(マクログリコール類、例えばマクロジオール類とも呼ばれる)から合成されるポリマー類のファミリーである。一般に用いられるマクログリコール類には、ポリエステルグリコール類、ポリエーテルグリコール類およびポリカーボネートグリコール類が含まれる。典型的には、脂肪族または芳香族ジオール類も鎖延長剤として用いられる。ポリウレタン類は一般に、用いられるマクログリコールのタイプに基づいて分類され、ポリエステルグリコール類を含むものはポリエステルウレタン類と呼ばれ、ポリエーテルグリコール類を含むものはポリエーテルポリウレタン類と呼ばれ、ポリカーボネートグリコール類を含むものはポリカーボネートポリウレタン類と呼ばれる。また、ポリウレタン類は一般に、それらの製剤におけるジイソシアネート成分の化学的性質にもとづき、芳香族または脂肪族と呼ばれる。市販のポリウレタンコポリマー類の例には、Carbothane(登録商標)(脂肪族ポリカーボネートポリウレタン)、Tecoflex(登録商標)(脂肪族ポリエーテルポリウレタン)、Tecothane(登録商標)(芳香族ポリエーテルポリウレタン)、Tecophilic(登録商標)(脂肪族ポリエーテルポリウレタン)、Tecoplast(登録商標)(芳香族ポリエーテルポリウレタン)、Pellethane(登録商標)(芳香族ポリエーテルポリウレタン)、Chronothane(登録商標)(芳香族ポリエーテルポリウレタン)、およびChronoflex(登録商標)(脂肪族ポリカーボネートポリウレタン)等が含まれる。
【0035】
ポリエーテル−ポリアミドブロックコポリマー類には、(a)エチレンオキシド、トリメチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびテトラメチレンオキシドの一つ以上を含む、ホモポリマーおよびコポリマーブロックより選択される一つ以上のポリエーテル類ブロック、(b)ナイロン6、ナイロン4/6、ナイロン6/6、ナイロン6/10、ナイロン6/12、ナイロン11およびナイロン12ブロック等の、ナイロンホモポリマーおよびコポリマーブロックより選択される一つ以上のポリアミドブロックを含むものが含まれる。具体例は、Elf AtochemからPEBAXとして入手可能な、ポリ(テトラメチレンオキシド)−ナイロン−12ブロックコポリマーである。
【0036】
エチレンビニルアセテートコポリマー類には、ビニルアセテートの重量パーセント比が約0.5%〜1%〜2%〜5%〜約15%〜約20%〜約30%〜約40%であるランダムコポリマー類が含まれる。一般に、ビニルアセテート含量が高いほど、EVAの硬さおよびデュロメータは低い。それ故、一定の実施形態では、硬さおよびデュロメータがデバイス内で変化しうる。尿管ステントを例とすると、ステントは、間に移行領域を有する、デュロメータ値が異なる両端領域を有して生産されうる。
【0037】
ポリマー領域からの治療剤の放出プロフィールは、選択される特定の治療剤(単数または複数)、可溶化剤solublizing agent(単数または複数)およびポリマー(単数または複数)とそれらの相対量を含む多くの変数の影響を受ける。放出プロフィールは、デバイス中のポリマー担体領域の大きさ、数、および/または位置にも影響される。例えば、ポリマー領域の厚みまたは表面積を変化させることにより、放出プロフィールが変更されうる。さらに、複数のポリマー担体領域が用いられうる。例えば、含量が同じまたは異なる(例えばポリマー、可溶化剤および/または治療剤の含量が異なる)複数のポリマー担体領域が、互いに対して横に配置されうる。あるいは、(例えば、可溶化剤および治療剤を伴うか伴わずに、上述の一つ以上のポリマー類から形成された)ポリマー層が、本発明のポリマー担体領域の上に配置されることにより、障壁層としての役割を果たしうる。
【0038】
いくつかの実施形態においては、例えば水和速度の速いポリマーまたはポリマーブロックを加えることにより(または水和速度の遅いポリマーまたはポリマーブロックに対して水和速度の速いポリマーまたはポリマーブロックの比率を高めることにより)、ポリマー領域が周囲環境から水を吸収する速度を高めることや、可溶塩の賦形剤等の浸透剤を加えること等により、放出プロフィールが変更されうる。
【0039】
本発明によりポリマー担体領域を形成するために、多数の技術が利用可能である。
【0040】
例えば、ポリマー担体領域が熱可塑性を有する一つ以上のポリマー類から形成される場合には、圧縮成形、射出成形、ブロー成形、スピニング、真空成型およびカレンダリング、シート、ファイバ、ロッド、チューブおよび他の様々な長さの断面プロフィールへの押出、およびこれらのプロセスの組み合わせを含む、多様な標準の熱可塑性材料の加工技術を用いて、ポリマー担体領域を形成できる。これらや他の熱可塑性材料加工技術を用いて、デバイスの全体またはその一部を作成できる。
【0041】
加工の間の、一つ以上のポリマー(単数または複数)、一つ以上の治療剤(単数または複数)、および一つ以上の可溶化剤(単数または複数)の混合または調合は、従来技術において公知の任意の技術を用いて実行されうる。例えば、熱可塑性材料が用いられる場合には、(a)ポリマー(単数または複数)、および(b)治療剤(単数または複数)、可溶化剤(単数または複数)、または両者を含む、ポリマー溶融体が形成されうる。そのようにする一般的な方法は、ポリマー(単数または複数)および治療剤(単数または複数)および/または可溶化剤(単数または複数)の混合物に機械的剪断を施すことである。これらの材料をこの様式で混合できるデバイスには、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサ、高速ミキサ、およびロスケトル等のデバイスが含まれる。
【0042】
後の加工を促進するために、任意のポリマー(単数または複数)、治療剤(単数または複数)、および可溶化剤(単数または複数)が予め調合され、または個別に予め混合されうる。例えば、治療剤がポリマーと予め調合された後に可溶化剤と調合され、または、可溶化剤がポリマーと予め調合された後に治療剤と調合されうる。別の選択肢としては、ポリマーと調合される前に、治療剤が可溶化剤と予めブレンドされ(例えば、微粉末化およびブレンディング、溶解および噴霧乾燥等により乾燥させる等により)、これにより治療剤と可溶化剤の密接に結合。もちろん、ポリマー(単数または複数)、治療剤(単数または複数)および可溶化剤(単数または複数)が上述のとおり単一のステップで全て混合および調合されてもよい。
【0043】
材料が調合されたら、上述のもの等(例えば押出、成形、鋳造等)の様々な熱可塑性材料加工技術のいずれかを用いて加工しうる。加工の間に制御されうる加工条件には、加工デバイスの温度、適用される剪断速度、および滞流時間がある。
【0044】
溶媒ベースの技術を含む熱可塑性材料加工技術以外の他の加工技術を用いて、本発明のポリマー担体領域を形成してもよい。これらの技術を用いて、(a)第一に、ポリマー(単数または複数)、治療剤(単数または複数)および可溶化剤(単数または複数)を含む溶液または分散を提供し、(b)その後、溶媒を除去することにより、ポリマー担体領域が形成されうる。最終的に選択される溶媒は、乾燥速度、表面張力等の他のファクターに加えて、ポリマー担体領域を形成するポリマー(単数または複数)(多くの実施形態においては治療剤(単数または複数)および可溶化剤(単数または複数)も)を溶解する能力に基づいて通常選択される、一つ以上の溶媒種を含む。好適な溶媒ベースの技術には、溶液流延技術、スピンコーティング技術、ウェブコーティング技術、溶液噴霧技術、浸漬技術、気中懸濁を含む機械的懸濁によるコーティングに関する技術、インクジェット技術、静電技術、およびこれらのプロセスの組み合わせ等が含まれる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態においては、ポリマーを含む溶液(溶媒ベースの加工が用いられる場合)またはポリマー溶融体(熱可塑性材料加工が用いられる場合)が基材に加えられて、ポリマー担体領域が形成される。例えば、基材は、ポリマー担体領域が加えられる移植可能または挿入可能な医療デバイスの全体または一部に対応しうる。基材は、例えば、凝固後にポリマー担体領域が除去される、型等のテンプレートであってもよい。例えば押出および同時押出技術等の他の実施形態においては、一つ以上のポリマー担体領域が基材を用いずに形成される。より具体的な例においては、ステント本体全体が押出される。別の実施形態においては、ポリマー層が、下層のステント本体とともに同時押出される。別の実施形態においては、既存のステント本体の上にコーティング層を噴霧または押出することにより、下層のステップ本体の上にポリマー層が提供される。さらに別の具体例においては、ステントが型に鋳造される。
【0046】
上述のように、本発明の実施形態によれば、ポリマー担体領域の上にポリマー障壁層が提供されうる。これらの実施形態では、例えば上述の溶媒ベースの技術または熱可塑性材料の加工技術の一つを用いて、ポリマー担体領域の上にポリマー障壁層が形成されうる。あるいは、先に形成されたポリマー障壁の領域が、ポリマー担体の領域の上に接着されてもよい。
【0047】
他の実施態様においては、本発明による医療デバイスは、放射線不透過剤を含む層および/または潤滑性を提供する層または外面等の、さらなる層を含みうる。このような潤滑層は、例えば、医療デバイスの挿入および移植を促進するために望ましく、従来技術で公知の様々な滑らかなヒドロゲルが含まれる。
【実施例】
【0048】
例えば、尿管ステントが、泌尿器内処置後に、処置に続発する尿管閉塞の場合の足場としての役割を果たすために使用される。ステントは、尿管閉塞を引き起こす先天性異常、狭窄または悪性病変がある場合に、開存性を提供するための緩和デバイスとしても使用される。本実施例の尿管ステントは、米国マサチューセッツ州ナティックのBoston Scientificから市販されるPercuflex(登録商標)尿管ステントの設計に基づいて形成される。
【0049】
このようなステント10の概略図が、図1に示される。ステント10は、腎臓ピグテール12、シャフト14および膀胱ピグテール16を含む、管状のポリマー押出物である。尿管の硬性を提供し、尿を通過させるために、ステント10が尿管に挿入される。ピグテール12、16は、医師により配置されたステント10を適所に保つのに役立つ。ステント10には、以下がさらに提供される。(a)挿入を補助するテーパー先端11、(b)排液を促進するために本体の長さに沿って螺旋状のパターンに配置された、複数のサイドポート18(1つに番号が付されている)、(c)適切な長さのステントが尿管に挿入された時期を知るために医師による視覚化に使用される、目盛り線20(1つが図示される)、および(d)当技術分野で周知の、ステントの配置および回収を補助するナイロン縫合糸22。配置の間には通常、このような尿管ステント10が、膀胱鏡により泌尿器ガイドワイヤの上に配置され、ポジショナにより所定の位置に進められる。ステントの近位端が腎臓/腎杯に進んだら、ガイドワイヤを除去して、腎臓および膀胱内でピグテール12、16を形成させる。
【0050】
しかし、上のPercuflex(登録商標)尿管ステントとは異なり、本実施例において使用されるステントは、トリクロサン等の難溶解性治療剤、および以下の一つ以上のような可溶化剤を含む。a)陽イオン界面活性剤類(例えば、アルキルピリジニウムおよび四級アンモニウム等の脂肪族アミン塩類またはアンモニウム塩類を有するもの)、アニオン界面活性剤類(例えばラウリル硫酸ナトリウム等)、および非イオン性界面活性剤類(例えばTween−80等)等の界面活性剤類、b)プルロニック類(プルロニックF127およびF108等)、c)L−アルギニン等のアミノ酸類、およびアミノ糖アルコールのN−メチルグルカミン等、d)両親媒性分子またはゲル類(例えばシクロデキストリン等)、e)両性界面活性剤類(例えばベタイン等)、f)両性電解質界面活性剤類(例えばN−アルキルプロピオン酸等)、g)界面活性ポリマー類(例えばPEGおよびPEO等の疎水的に改質されたポリマー類等)、双生イオン類(例えば、スルホベタインタイプおよびジメチルアルキルアンモニオプロパンスルホネート類等)。
【0051】
非イオン性広域スペクトル抗微生物剤のトリクロサンは、シャワーゲル、石鹸、マウスウォッシュおよび歯みがき、洗剤、ローション、クリームおよび化粧品等の様々なパーソナルケア用品で20年以上間使用されている。それは、プラスチック玩具、ポリマー、および織物にも取り入れられている。近年では、トリクロサンは、Ethicon Inc.、Johnson and Johnson Companyからの生分解性コートされたVICRYL Plus抗微生物縫合糸に抗微生物剤として取り入れられている。トリクロサンの抗微生物効果は十分に立証され、ほとんどのグラム陽性およびグラム陰性の好気性および嫌気性の細菌、一部のイーストおよび真菌類に対して、非常に低い濃度(MIC<0.3ppm)であっても、試験した生物の大半において即効性、持続性、および広域性があると説明される。Bhargava,H.N.等、“Triclosan:Application and safety.”AJIC American Journal of Infection Control,vol.24(3)June 1996,pp.209−218;Jones,RD等、“Triclosan:a review of effectiveness and safety in health care settings.”Am J Infect Control 2000 Apr;28(2):184−96;Regos,J.,“Antimicrobial spectrum of triclosan,a broad−spectrum antimicrobial agent for topical application.II.Comparison with some other antimicrobial agent.”Dermatologia 1979;158(1):72−9を参照。
【0052】
本発明によるトリクロサンを含む尿管ステントは、以下の成分を以下の分量で含みうる。
(a)0.1〜30重量%のトリクロサン(Irgacare(商標)MPの商品名でCiba Specialty Chemicalsから入手可能)、(b)放射線不透過剤としての5〜30重量%のオキシ炭酸ビスマス(Mallinckrodt)、(b)効果的な量の可溶化剤、および(c)バランスエチレンビニルアセテートコポリマー(DuPontのElvax460)。第一に、トリクロサンと可溶化剤が、例えば粉末形態において予め混合され、微粒化および混合され、または溶解および乾燥される(例えば冷凍乾燥、風乾、オーブン乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥等)などして、予めブレンドされる。予めブレンドされたトリクロサンと可溶化剤は、その後、例えば低剪断プロフィールのスクリュー設計の二軸押出機で、EVAコポリマーとともに調合される。均一な混合を達成し、凝集および分解の可能性を回避するために、バレル温度、スクリュー回転数および処理量が調節される。調合後、例えば、24:1L/D、圧縮比3:1、低剪断スクリューの標準的な1”スクリュー直径押出機において、ペレットが適切な直径のチューブに押出される。均一な混合を達成し、凝集および分解の可能性を回避するために、バレル温度、スクリュー回転数および処理量が調節される。
【0053】
押出された材料は、その後切断され、テーパー先端が提供され、アニールされ、インク(Formulab CFX−00)でマークされ、Hydroplus(商標)(マサチューセッツ州ナティックのBoston Scientific Corp.から入手可能であり、米国特許第5,091,205号に記載される親水性ポリアクリル酸ポリマーコーティング)のコーティングでコートされた後、周知のようにサイドポートが形成され、熱風処置によりピグテールが形成され、縫合糸が加えられる。
【0054】
様々な実施形態が本明細書に特に図示および説明されるが、当然のことながら、本発明の精神および意図した範囲をから逸脱することなく、本発明の修正および変更が以上の教示に包含され、添付の請求の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーと、治療剤と、可溶化剤とを含むポリマー担体領域を含む、医療デバイスであり、該医療デバイスが、対象の身体への移植または挿入に適し、該治療剤が、移植部位に存在する体液中37℃で1mg/ml未満の溶解度を有する、医療デバイス。
【請求項2】
前記医療デバイスが、血管医療デバイスであり、前記体液が血液である、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記血管医療デバイスが、ステント、カテーテル、バルーン、フィルタ、ステント植皮、血管アクセスポート、心筋プラグ、弁、弁ソーイングカフ、およびコイルより選択される、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記医療デバイスが、泌尿器科デバイスであり、前記体液が尿である、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記泌尿器科医療デバイスが、尿管ステント、尿カテーテル、スリング、人工膀胱、人工括約筋、勃起機能障害インプラント、および子宮内器具より選択される、請求項4に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記ポリマー担体領域を複数含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記ポリマー担体領域が、医療デバイス全体に、または医療デバイスの構成要素全体に対応する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記ポリマー担体領域が、下層の基材を少なくとも部分的に覆う層の形である、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記ポリマー担体領域が、抗増殖剤、血管細胞成長促進剤、抗微生物剤、鎮痛剤、免疫抑制剤、抗炎症剤、鎮痙剤、アルファ遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、βアゴニスト、腫瘍性剤(neoplatic agent)および細胞増殖抑制薬剤より選択される治療剤を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記ポリマー担体領域が、パクリタキセルおよびトリクロサンより選択される治療剤を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記医療デバイスが、前記対象への移植または挿入時に徐放性を示す、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記ポリマー担体領域が、前記治療剤の溶解度を少なくとも10倍高める可溶化剤を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記ポリマー担体領域が、前記治療剤周辺のpH環境を変更する可溶化剤を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記ポリマー担体領域が、酸、酸性塩、塩基、塩基塩およびそれらの組み合わせより選択される可溶化剤を含む、請求項13に記載の医療デバイス。
【請求項15】
前記ポリマー担体領域が、前記治療剤に非共有結合するか、または該治療剤を封入する可溶化剤を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項16】
前記ポリマー担体領域が、前記体液への曝露時に水溶性錯体、ミセル、またはエマルションを自発的に形成する可溶化剤を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項17】
前記ポリマー担体領域が、前記治療剤とホスト−ゲスト錯体を形成する可溶化剤を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項18】
前記ポリマー担体領域が、シクロデキストリン、シクロデキストリン誘導体、またはこれらの組み合わせより選択される可溶化剤を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項19】
前記ポリマー担体領域が、両親媒性デンドリマーである可溶化剤を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項20】
前記ポリマー担体領域が、界面活性剤である可溶化剤を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項21】
前記ポリマー担体領域が、脂肪酸モノ−、ジ−、およびトリ−グリセリド類、多価アルコールエステル類、リン脂質類、糖類および糖アルコール類の脂肪酸エステル類、オリゴグルコシド類の脂肪族アルコールエーテル類、ポリオキシアルキレン類、ポリオキシアルキレンコポリマー類、ポリオキシアルキレンエステル類、ポリオキシアルキレンエーテル類、およびこれらの組み合わせより選択される可溶化剤(solublizing agent)を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項22】
前記ポリマー担体領域が、コポリマーを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項23】
前記ポリマー担体領域が、ブロックコポリマーを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項24】
前記ポリマー担体領域が、エチレンビニルアセテートコポリマー類、エチレンアクリル酸コポリマー類、エチレンメタクリル酸コポリマー類、アルキレンビニル芳香族コポリマー類、ポリエステル−エーテルコポリマー類、ポリアミド−エーテルコポリマー類、シリコーン、およびこれらの組み合わせより選択されるポリマーを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項25】
前記ポリマー担体領域が、(a)エチレン、ブチレン、イソブチレン、およびこれらの組み合わせより選択されるアルキレンモノマーを含むポリアルキレンブロックと、(b)スチレン、α−メチル−スチレン、およびそれらの組み合わせより選択されるビニル芳香族モノマーを含むポリ(ビニル芳香族)ブロックとを含むブロックコポリマーを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項26】
前記ポリマー担体領域が、ポリエステルポリウレタン類、ポリエーテルポリウレタン類、ポリカーボネートポリウレタン類、およびそれらの混合物より選択されるポリマーを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項27】
前記ポリマー担体領域が、(a)エチレンオキシド、トリメチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラメチレンオキシド、およびこれらの組み合わせより選択される環状エーテルモノマーを含むポリエーテルブロックと、(b)ナイロン6ブロック、ナイロン4/6ブロック、ナイロン6/6ブロック、ナイロン6/10ブロック、ナイロン6/12ブロック、ナイロン11ブロック、およびナイロン12ブロックより選択されるポリアミドブロックとを含むブロックコポリマーを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項28】
前記ポリマー担体領域が、約0.5〜40%の範囲のビニルアセテート含量を有するエチレンビニルアセテートコポリマーを含む、請求項1に記載の医療デバイス。

【図1】
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【公表番号】特表2009−541007(P2009−541007A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518162(P2009−518162)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/014361
【国際公開番号】WO2008/002434
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】