説明

難燃性樹脂組成物及び難燃性樹脂成形品

【課題】 機械的物理特性の低下が少なく、かつ環境負荷の少ない新規な難燃性樹脂組成物及びそれを用いた難燃性樹脂成形品を提供することを目的とする。具体的には、有害なガスを発生させることなく高難燃性が得られ、かつポリマー物性を著しく低下させることがなく、さらにリサイクル性に優れた難燃性樹脂組成物及び難燃性樹脂成形品の提供である。
【解決手段】 マトリックス樹脂に、少なくとも体積平均粒子径が1〜500nmの範囲の金属水和物を含んでなる難燃性粒子と、難燃助剤と、を配合してなる難燃性樹脂組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂に難燃性粒子を混合した難燃性樹脂組成物及び難燃性樹脂成形品に関するものであり、より具体的には、家電及びOA製品の筐体、電線、ケーブル、自動車車両、船舶、航空機、鉄道車両、建築材料、電子機器やプリント基板等に、火災などの熱による災害から保護する目的で使用されるものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂(マトリックス樹脂)に混合して難燃化する目的に使用される難燃剤としては、従来からハロゲン系化合物、三酸化アンチモン、リン系化合物、水和金属化合物(金属水和物)などが使用されている。しかし、上記ハロゲン化合物や三酸化アンチモンは、環境問題から敬遠されつつある一方、前記水和金属化合物は環境負荷を低減できるだけでなく、樹脂リサイクルの観点からも優れているため好適である。
【0003】
しかし、前記水和金属化合物では、その他の有機系難燃化合物と比較して同等の難燃性を得るために多量の配合量を必要とするため、ポリマー物性を著しく低下させてしまう。ポリマー物性を低下させることなく、前記その他の有機系難燃剤と同等な難燃性を発現させるためには、小粒径の水和金属化合物をマトリックス樹脂中で凝集することなく粒子単位で均一に分散安定化させなければならない。このため、金属水和物からなる粒子を樹脂中に混合する場合、マトリックス樹脂中での分散性を担保するため、また活性基がマトリックス樹脂に影響を及ぼし樹脂特性が損なわれることを防止するため、粒子表面に均一な被覆層を形成することが好ましい。
【0004】
粒子表面に被覆層を形成する方法として、まず、高級脂肪酸などによる表面処理、シリカ層形成などが知られているが(例えば、特許文献1、2参照)、ナノサイズ粒子に適用した場合、従来の反応条件では粒子が十分に分散しにくく、かつ、被覆反応速度がはやいため、粒子が凝集状態で被覆反応をうけてしまい、その結果、均一な被覆粒子を得ることができない。
【0005】
また、無機粉体の表面に、ポリアミノ酸を処理したりや気相の環状オルガノシロキサンを作用させたりする方法があるが(例えば、特許文献3、4参照)、これらの方法についてもナノサイズ粒子に適用した場合には分散性が担保されず、凝集物が発生してしまう。
【0006】
また、ポリオレフィンに複合金属水酸化物(難燃剤)とシリコーン化合物(難燃助剤)とをブレンドした難燃性ポリオレフィン組成物が提案されているが(例えば、特許文献5参照)、難燃剤が大粒径であり単なるブレンドであるため、難燃剤と難燃助剤との相乗効果が十分に得られていない。
【0007】
さらに、燃焼時に有害なガスを発生させない低環境負荷の難燃樹脂組成物として、平均粒子径が0.008〜0.2μmのポリオルガノシロキサン系粒子にビニル系単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体からなる難燃樹脂を熱可塑性樹脂に配合したものや、塩化ビニル樹脂と同程度の難燃性を有し、焼却処理時に有害なガスを発生ない樹脂組成物として、ポリオレフィン系樹脂に水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、およびシリコーンパウダーを添加したノンハロゲン難燃性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献6、7参照)。
【0008】
しかしながら、これらの難燃性樹脂組成物では、前者の場合には、エンジニアリングプラスチックに適応しても、シロキサン系粒子のみによる難燃化では十分な難燃性が得られず、 後者の場合には、大量に水酸化マグネシウムを配合(100phr以上)するために、ABS等のエンジニアリングプラスチックに適応すると十分な強度が得られないという問題がある。
【0009】
さらに、近年、微粒子を用いた樹脂難燃化の例として、ポリアミドおよび処理されたケイ酸塩のポリマーナノコンポジット組成物や、グラフトポリマー、ホスホネートアミンおよび無機ナノ粒子を含有するポリカーボネートブレンドなども提案されているが(例えば、特許文献8、9参照)、いずれも難燃剤として使用した場合、前記のごとき問題点が解決されていない。
【特許文献1】特開昭52−30262号公報
【特許文献2】特開2003−253266号公報
【特許文献3】特開昭57−145006号公報
【特許文献4】特開昭61−268763号公報
【特許文献5】特開平10−245456号公報
【特許文献6】特開2000−264935号公報
【特許文献7】特開2000−191844号公報
【特許文献8】特開2003−517488号公報
【特許文献9】特開2003−509523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決することを目的とする。
すなわち、本発明は、機械的物理特性の低下が少なく、かつ環境負荷の少ない新規な難燃性樹脂組成物及びそれを用いた難燃性樹脂成形品を提供することを目的とする。具体的には、有害なガスを発生させることなく高難燃性が得られ、かつポリマー物性を著しく低下させることがなく、さらにリサイクル性に優れた難燃性樹脂組成物及び難燃性樹脂成形品の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従来難燃剤は、粒子径が1〜50μmの範囲の難燃性粒子を、少なくとも50〜150質量部程度と多量に配合することによって、樹脂の難燃化が検討されてきた。このような粒子の多量配合により、樹脂の機械的特性や電気的特性などを劣化させてしまうため、他の添加剤もしくは他樹脂などを配合するなどの処方がとられてきた。
【0012】
本発明者等は、前記課題を解決するべく、粒子の比表面積を増加させ、ポリマーとの接触面積も増加させる微粒子の難燃性粒子の樹脂への適用について鋭意研究を重ねた。その結果、体積平均粒子径が1〜500nmの範囲の特定の難燃性粒子と、難燃助剤とを配合することにより、従来の体積平均粒子径が0.5〜50μm程度の難燃剤と比較して、低充填で同等以上の難燃性やリサイクル性が得られることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0013】
すなわち本発明は、
<1> マトリックス樹脂に、少なくとも体積平均粒子径が1〜500nmの範囲の金属水和物を含んでなる難燃性粒子と、難燃助剤と、を配合してなる難燃性樹脂組成物である。
【0014】
<2> 前記金属水和物が、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む金属の水和物である<1>に記載の難燃性樹脂組成物である。
【0015】
<3> 前記金属水和物が、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種類の金属の水和物である<1>に記載の難燃性樹脂組成物である。
【0016】
<4> 前記難燃性粒子の表面に、有機化合物またはポリシリコーンを含む被覆層が形成されている<1>〜<3>のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物である。
【0017】
<5> 前記マトリックス樹脂が、ABS樹脂及び/またはポリスチレンである<1>〜<4>のいずれかに記載の難燃性樹脂成形物である。
【0018】
<6> 前記難燃助剤が、ホウ酸系難燃助剤、シリコーン化合物及びチッ素系難燃助剤のうちから選択される1種以上を含む<1>〜<5>のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物である。
【0019】
<7> さらに、体積平均粒子径が0.5μmより大きく50μm以下の難燃剤を含む<1>〜<6>のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物である。
【0020】
<8> <1>〜<7>のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物を含んでなる難燃性樹脂成形品であって、
UL−94試験による難燃性がV2以上であり、再成形したときの降伏応力が再成形前の降伏応力の60%以上で、かつ、前記難燃性が再成形前の難燃性と同一である難燃性樹脂成形品である。
【0021】
<9> 構成樹脂単体成形品と比較して、ISO5660のコーンカロリメータ測定による発熱速度が3分の1以下である<8>に記載の難燃性樹脂成形品である。
【0022】
<10> 構成樹脂単体成形品と比較して、ISO5660のコーンカロリメータ測定による発煙量が同等以下である<8>に記載の難燃性樹脂成形品である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、粒子の比表面積が大きく、ポリマーとの接触面積も大きい難燃性粒子及び難燃助剤をマトリックス樹脂に配合することにより、機械的物理特性の低下が少なく、かつ環境負荷の少ない新規な難燃性樹脂組成物及びそれを用いた難燃性樹脂成形品を提供することができる。具体的には、有害なガスを発生させることなく高難燃性が得られ、かつポリマー物性を著しく低下させることがなく、さらにリサイクル性に優れた難燃性樹脂組成物及び難燃性樹脂成形品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を詳細に説明する。
<難燃性樹脂組成物>
本発明の難燃性樹脂組成物は、マトリックス樹脂に、少なくとも体積平均粒子径が1〜500nmの範囲の金属水和物を含んでなる難燃性粒子と、難燃助剤と、を配合してなることを特徴とする。
【0025】
前述のように、従来難燃剤として使用されている水和金属化合物などの難燃性の粒子では、その他の有機系難燃化合物と比較して同等の難燃性を得るために多量にマトリックス樹脂中に配合させなければならず、これによりポリマー物性が著しく低下する。このため、ポリマー物性の低下を防ぐためには、難燃剤の低充填化が必要である。
なお、上記難燃性とは、ABS樹脂及び/またはポリスチレン中に難燃性化合物を5質量部含有させた時に、ISO5660に規定する最高発熱速度が難燃性化合物を含む前と比較して3分の1以下であるものをいう。
【0026】
前記低充填化の方法の一つとして、難燃性の粒子をさらにナノサイズに微粒子化することにより、粒子の比表面積を増加させ、その結果、ポリマーとの接触面積を増加させることで、少量の添加でも従来のハロゲン系難燃剤に匹敵する難燃性能を発現させることができる。
【0027】
すなわち、前記難燃剤として使用される水和金属化合物には、燃焼時に熱分解して水を放出することで燃焼時の熱量を低下させる効果と、燃焼時にポリマーから発する燃焼ガスを希釈する効果との二つの効果がある。そして、通常その効果は多量に充填しないと十分な難燃剤が出現しないことが知られているが、これらの現象は、あくまで従来のマイクロサイズ粒径の水和金属化合物における現象である。
【0028】
本発明者等は、難燃剤の粒径をナノサイズにすることで熱量を低下させる効果と燃焼時にポリマーから発する燃焼ガスを希釈する効果とをより緻密に、かつ効果的に働かせることができることを見出した。それは例えば、燃焼物に対して水をジョウロにて消火するのとより水滴が細かい霧吹きにて消火するのとどちらが効果的であるかは、自明の理であるように、マイクロサイズとナノサイズの粒径効果は歴然であるからである。
【0029】
一方、ポリマーへの難燃剤添加による樹脂難燃化においては、難燃剤を一つではなくいくつか併用して用いる場合がほとんどあり、その場合に樹脂に対する配合量の多いものが主たる難燃剤であり、その主たる難燃剤の難燃効果をさらに高めるため少量添加されるものとして難燃助剤がある。
【0030】
例えば、臭素系難燃剤に対する難燃助剤が酸化アンチモン化合物であり、主たる臭素系難燃剤に対し、燃焼時に臭素と反応性を持つ酸化アンチモン化合物がさらに難燃性能を高める。この場合、難燃助剤は臭素系難燃剤と反応し、吸熱効果を持つとされており、難燃剤と組合せてさらなる相乗効果を得るために使用されるものである。
【0031】
一方、難燃助剤の中には、積極的に炭化し、燃焼時にポリマー表面を覆い酸素を遮断する効果と、ポリマーから発せられる可燃物を遮断する二つの効果とを持つものがある。このような化合物をチャー形成化合物といい、その難燃効果は、前記水和金属化合物の持つ難燃効果と異なるものである。
【0032】
本発明においては、これら水和金属化合物とチャー形成化合物(難燃助剤)との異なる二つの効果を組合せることにより、さらなる難燃効果の向上が見出された。
具体的には、ナノサイズの水和金属化合物とチャー形成化合物とを併用した場合には、前記水和金属化合物をナノサイズにした優位性とチャー形成化合物の持つ元々の効果とを組合せることで、従来のマイクロサイズ水和金属化合物とチャー形成化合物との組合せ効果より、さらに難燃性の向上が可能であることがわかった。これは、水和金属化合物がナノサイズであるがために、ポリマー中におけるチャー形成化合物との距離が非常に近くなるためであると考えられる。
【0033】
さらに本発明においては、難燃剤としてナノサイズの金属水和物とチャーを形成し得る難燃助剤とを使用することで、前記のような両者の複合効果により、燃焼時に有害なガスが発生せず、かつリサイクル時の環境付加の小さな難燃性樹脂組成物を得ることができることも明らかとなった。
【0034】
以下、本発明の難燃性樹脂組成物の構成等について説明する。
<難燃性粒子>
本発明における金属水和物を含んでなる難燃性粒子の体積平均粒子径は、1〜500nmの範囲である。また、難燃性粒子の体積平均粒子径は1〜200nmの範囲であることが好ましく、5〜200nmの範囲であることがより好ましく、10〜200nmの範囲(特に10〜100nm)であることがさらに好ましい。
【0035】
難燃性粒子の体積平均粒子径が1nmより小さいと、難燃性保持能が低下してしまう。また、500nmより大きいと、市販の体積平均粒子径が1μmの難燃性粒子と同等の特性となり、難燃性を得るために多量に添加することが必要となってしまう。
【0036】
また、体積平均粒子径が前記範囲の難燃性粒子は、樹脂中に均一に分散する。さらに、難燃性粒子の体積平均粒子径がナノメーターサイズであると、微細な複合体を形成できることと相まって、透明性の高い難燃性樹脂組成物を得ることができる。
【0037】
前記金属水和物としては、例えば、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種類の金属の水和物を用いることができる。これらの金属の水和物は微粒子化が容易であり、また水和物として安定であるだけでなく、加熱による吸熱性、脱水反応性に優れるため優れた難燃効果を発揮する。上記金属水和化合物の中では、Mg、Al、Caの水和物が特に好ましい。
【0038】
金属の水和物としては、難燃成分を保持するものであれば特に制限されないが、具体的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化鉄、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化ニッケルなどの金属水和物;アルミン酸カルシウム、2水和石膏、ホウ酸亜鉛及びメタホウ酸バリウムの水和物などからなるもの;等が例示される。さらに、これらの複合化水和物も好適に使用される。これらの中では、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム及び水酸化カルシウムが好ましい。
【0039】
また、前記金属水和物としては、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む複合金属の水和物を用いることもできる。このようにMg金属を必須としてこれに各種金属を複合化させた場合、難燃効果の向上を図ることができる。例えば、MgとNiやFeとを複合化させると、燃焼時に気化した樹脂成分に由来する炭化水素中の水素を引き抜く作用を生じ、樹脂組成物の難燃化効果、低発煙化効果を高めることができる。また、MgとAlとを複合化させると、燃焼時の水放出温度を調整して難燃効果を向上させることができる。
【0040】
本発明において、難燃性粒子としてはCa、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む金属の水和物が用いられる場合、該金属の水和物は、下記一般式(1)で示される。
MgMx・(OH)y ・・・ 一般式(1)
上式において、MはCa、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiから選択される1種以上の金属を表し、xは0.1〜10の実数、yは2〜32の整数を表す。
【0041】
前記Mとしては、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu、Niを用いることが好ましく、特にMgMxとしてMgAlx、MgCax、MgZnx、MgFex、Mg(Al・Ca)xが好ましく用いられる。
【0042】
本発明における難燃性粒子には、マトリックス樹脂中でのナノサイズの難燃性粒子の分散性を向上させるためには、難燃性粒子表面に均一な被覆層を形成することが好ましい(以下、この難燃性粒子を「表面被覆難燃性粒子」という場合がある)。被覆層を形成すると、難燃成分を金属水和物粒子中に安定に保持できるとともに、マトリックス樹脂との親和性を大きく向上させることができる。また、前記被覆層は有機化合物またはポリシリコーンを含むことが好ましい。
【0043】
前記有機化合物としては、特に制限されないが、前記難燃性粒子と結合可能な有機基を有するものであることが好ましい。このような有機基を難燃性粒子に結合させることにより、難燃性粒子表面に薄層の有機層を均一に形成することができる。
【0044】
前記有機化合物としては、前記有機基の末端に難燃性粒子と結合を形成するための結合性基を有したものが好ましい。
上記結合性基としては、例えば、ヒドロキシル基、リン酸基、ホスホニウム塩基、アミノ基、硫酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、親水性複素環基、多糖基(ソルビトール、ソルビット、ソルビタン、ショ糖エステル、ソルビタンエステル残基など)、ポリエーテル基(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン基などのアルキレンの炭素数が2〜4のポリオキシアルキレン基など)、加水分解性基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ基などの炭素数が1〜4のアルコキシ基など)、ハロゲン原子(臭素、塩素原子など)等が挙げられる。
【0045】
なお、結合性基がアニオン性基(硫酸基、スルホン酸基、カルボキシル基など)の場合、種々の塩基と塩を形成していてもよい。該塩基としては、無機塩基(例えば、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、アンモニアなど)、有機塩基(例えば、アミン類など)が挙げられる。また、結合性基がカチオン性基(例えば、アミノ基)の場合には、酸、例えば無機酸(塩酸、硫酸など)、有機酸(酢酸など)と塩を形成してもよい。さらに、上記カチオン性基は、アニオン性基(特に、カルボキシル基、硫酸基)と塩を形成してもよい。また、結合性基として、カチオン性基及びアニオン性基の両方を有していてもよい。
【0046】
このように、好ましい結合性基には、イオン性基(アニオン性基、カチオン性基)、加水分解性基が含まれ、難燃性粒子と形成される結合は、イオン結合であっても共有結合であってもよい。
【0047】
前記有機化合物の有機基としては、界面活性剤の疎水性基等として作用する基(例えば、高級脂肪酸残基、高級アルコール残基、アルキル−アリール基など)やポリアミノ酸残基等が挙げられる。
上記高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、カプリル酸、カプリン酸、ダチュリン酸、ステアリン酸、モンタン酸、メリシン酸などの炭素数8〜30の飽和脂肪酸(好ましくは炭素数10〜28の飽和脂肪酸、さらに好ましくは12〜26の飽和脂肪酸);エライジン酸、リノール酸、リノレン酸リンデル酸、マッコウ酸、オレイン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸などの炭素数が12〜30の不飽和脂肪酸(好ましくは炭素数が14〜28の不飽和脂肪酸、さらに好ましくは炭素数が14〜26の不飽和脂肪酸)などが挙げられる。
【0048】
前記疎水性基としては、また、これらの高級脂肪酸残基または前記高級脂肪酸に対応する高級アルコール残基(例えば、オクチル、ノニル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル(セチル)、オクタデシルなどの炭素数が8〜24の高級脂肪酸残基(好ましくは炭素数が10〜22の高級脂肪酸残基、さらに好ましくは炭素数が12〜20の高級脂肪酸残基)などが挙げられる。
【0049】
また、前記アルキル−アリール基としては、例えば、ヘキシルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニル、デシルフェニル、ドデシルフェニル、イソプロピルフェニル、ブチルフェニル、アミルフェニル、テトラデシルフェニルなどのアルキル−アリール基(好ましくは炭素数が1〜20のアルキル−炭素数が6〜18のアリール基、さらに好ましくは炭素数が6〜18のアルキル−炭素数が6〜12のアリール基、特に炭素数が6〜16のアルキル−フェニル基)などが挙げられる。
【0050】
これらの疎水性基には、種々の置換基(例えば、炭素数が1〜4のアルキル基など)が置換していてもよい。
【0051】
また、前記ポリシリコーンとしては、シロキサン結合を有するものであれば特に限定されないが、下記一般式(2)で示されるような環状オルガノシロキサン化合物の重合体を用いることが好ましい。
【0052】
【化1】

【0053】
上記式中、nは3〜8の整数を表す。nの数が小さいほど沸点が低く、揮発して難燃性粒子に吸着する量が多くなり、nが7を超えると揮発しにくくなり被覆処理が不充分となるため好ましくない。また特に4量体、5量体、6量体はその立体的な性質から重合しやすく最も適している。
【0054】
本発明においては、前記一般式(2)で示される環状オルガノシロキサン化合物(a)、(b)のうちのいずれか、または2種を組み合わせて用いることができる。重合体の重合度(繰り返し単位数)は10〜1000の範囲であることが好ましく10〜100の範囲がより好ましい。また、被覆層としては、上記重合体と前記有機化合物と組み合わせて用いてもよい。
【0055】
被覆層として、上記のような低表面エネルギーのポリシリコーンを用いることにより、表面被覆難燃性粒子をマトリックス樹脂と混合した場合に樹脂の可塑化が起こりにくくなる。
また、難燃性樹脂組成物としたときに、燃焼時に表面のポリシリコーン層が熱バリア層を形成するが、粒子表面にポリシリコーンの被覆層を形成することで、金属水和物粒子より放出される水分が熱バリア層を発泡させるため、熱バリア層の断熱性を高め難燃効果を向上させることができる。
【0056】
本発明における表面被覆難燃性粒子における有機化合物による表面被覆量は、表面被覆難燃性粒子全体の1〜200質量%の範囲であることが好ましく、20〜100質量%の範囲であることがより好ましく、30〜80質量%の範囲であることがさらに好ましい。被覆量が1質量%に満たないと、マトリックス樹脂中で凝集物が生成し、分散が不均一になってしまう場合がある。また、200質量%を超えると、マトリックス樹脂に分散したとき樹脂が可塑化してしまう場合がある。
【0057】
また、表面被覆難燃性粒子におけるポリシリコーンによる表面被覆量は、表面被覆難燃性粒子全体の20〜200質量%の範囲であることが好ましく、20〜80質量%の範囲であることがより好ましい。被覆量が20質量%に満たないと、マトリックス樹脂中で凝集物が生成し、分散が不均一になってしまう場合がある。また、200質量%を超えると、マトリックス樹脂に分散したとき樹脂が可塑化してしまう場合がある。
なお、被覆層の均一性は、表面被覆難燃性粒子を透過型電子顕微鏡で観察することにより確認することができる。
【0058】
なお、本発明における表面被覆した難燃性粒子の場合も、体積平均粒子径(表面被覆難燃性粒子が非球状の場合にはその外接円の平均径)は前記と同様である。
【0059】
また、本発明における難燃性粒子の分散度は、0.1〜3.0の範囲が好ましく。分散度は0.1〜1.0の範囲がさらに好ましく、0.1〜0.8の範囲が特に好ましい。
分散度が小さいことは、難燃性粒子の粒度分布が狭いこと、すなわち粒子の大きさがより均一であることを示しており、分散度が前記範囲にあると樹脂に分散した場合の難燃性、機械的特性も均一となる。
【0060】
なお、前記体積平均粒子径、分散度は、レーザードップラーヘテロダイン型粒度分布計(UPA日機装株式会社製、MICROTRAC−UPA150)により測定した(以下同様である)。具体的には、測定された粒度分布を基にして、体積について小粒径側から累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径とした。また、質量について粒度分布を引いて、小粒径側から累積90%となる粒径をD90、累積10%となる粒径をD10としたとき、分散度は下記式(1)で定義される。この測定法については、以下同様である。
分散度=log(D90/D10) ・・・ 式(1)
【0061】
前記表面被覆した難燃性粒子の製造方法は、上記構成、特性を満足させることができる方法であれば特に制限されないが、例えば、有機化合物金属塩及び分散剤を溶解させた水溶液中に金属水和物粒子を分散させ、その表面に有機化合物層を形成する方法、金属水和物粒子表面に有機シロキサン化合物の気化物を作用させ、ポリシリコーン化合物層を形成する方法、さらにアルキル酸金属塩を有機溶媒に展開して逆ミセルを形成し、金属イオンを金属酸化物として表面被覆粒子を形成する方法などが挙げられる。
【0062】
本発明の難燃性樹脂組成物における前記難燃性粒子の配合量は、後述するマトリックス樹脂100質量部に対して0.1〜80質量部の範囲であることが好ましく、5〜50質量部の範囲であることがより好ましい。
【0063】
<難燃助剤>
本発明に用いられる難燃助剤としては、例えば、ホウ酸系難燃助剤、アンモン系難燃助剤、その他の無機系難燃助剤、チッ素系難燃助剤、その他の有機系難燃助剤及びコロイド系難燃助剤から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0064】
前記ホウ酸系難燃助剤としては、例えば、ホウ酸亜鉛水和物、メタホウ酸バリウム、ほう砂などのホウ酸を含有する化合物が挙げられる。
【0065】
前記アンモン系難燃助剤としては、例えば、硫酸アンモニウム等のアンモニア化合物が挙げられる。
前記その他無機系難燃助剤としては、例えば、フェロセンなどの酸化鉄系燃焼触媒、酸化チタンなどのチタンを含有する化合物、スルファミン酸グアニジンなどのグアニジン系化合物、さらに、ジルコニウム系化合物、モリブデン系化合物、錫系化合物、炭酸カリウムなどの炭酸塩化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水酸和金属及びその変性物が挙げられる。
前記チッ素系難燃助剤としては、例えば、トリアジン環を有するシアヌレート化合物が挙げられる。
【0066】
前記その他の有機系難燃助剤としては、例えば、無水クロレンド酸、無水フタル酸、ビスフェノールAを含有する化合物、グリシジルエーテルなどのグリシジル化合物、ジエチレングリコール、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール、変性カルバミド、シリコーンオイル、オルガノシロキサン等のシリコーン化合物が挙げられる。
コロイド系難燃助剤としては、例えば、従来から使用されている難燃性を持つ水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水和金属化合物、アルミン酸化カルシウム、2水和石膏、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ砂、カオリンクレーなどの水和物、硝酸ナトリウムなどの硝酸化合物、モリブデン化合物、ジルコニウム化合物、アンチモン化合物、ドーソナイト、プロゴパイトなどの難燃性化合物のコロイドが挙げられる。
【0067】
以上の各種難燃助剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられる難燃助剤としては、比較的少ない量で優れた難燃効果が得られること、リサイクル時における熱履歴などで劣化しないことなどから、ホウ酸系難燃助剤、シリコーン化合物及びチッ素系難燃助剤のうちから選択される1種以上を用いることが好ましい。
【0068】
本発明の難燃性樹脂組成物における前記難燃助剤の配合量は、後述するマトリックス樹脂100質量部に対して0.1〜50質量部の範囲であることが好ましく、1〜30質量部の範囲であることがより好ましい。
【0069】
本発明の難燃性樹脂組成物のマトリックス樹脂としては、ゴム・プラスチックなどの高分子化合物であれば特に限定されるものではなく、具体的には、生分解性樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ASA樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、エルロールプラスチック樹脂、塩素化ポリエーテル、塩素化ポリエチレン、アリル樹脂、エポキシ樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、FRP、アイオノマー、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、ニトリル樹脂、ポリエステル、オレフィンビニルアルコール共重合体、石油樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアクリレート、ポリアリルスルフォン、ポリベンゾイミダゾール、ポリブタジエン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルフォン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリケトン、メタクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、ポリスチレン(PS)、SAN樹脂、ブタジエン−スチレン樹脂、ポリウレタン、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリ酢酸ビニル、キシレン樹脂、熱可塑性エラストマー、EPDM、CR、BR、ニトリルゴム、天然ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム等が挙げられる。
【0070】
これらの中では、ABS樹脂が成形後の成形体の表面性に優れ、ポリスチレンが成形後の成形体の透明性に優れる点で好ましい。また、これらは、単独もしくは2つ以上で複合して使用することができる。
特にABS樹脂に関しては、フェノール、カーボネート、重質油類またはピッチ類及びホルムアルデヒド化合物を酸触媒の存在下で重縮合して得られる縮合多環芳香族樹脂にて変性した変性ABS樹脂が、上記のようにチャーを形成すべき物質が付加され難燃性が向上しており、前記難燃性粒子と併用することによりさらに相乗効果が生ずるため好ましい。
【0071】
また、例えば上記ABS樹脂と難燃性粒子等とを配合したABS樹脂コンパウンドを、他の樹脂とポリマーブレンドしてもよい。該他の樹脂としては、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリアミドを始めとする様々なエンジニアリングプラスチックに混合して用いてもよい。
【0072】
本発明の難燃性樹脂組成物には、通常配合される安定剤などを配合させることができる。これらは特に限定されるものではないが、例えば、橋掛け剤、橋掛け促進剤、橋掛け促進助剤、活性剤、橋掛け抑制剤、老化防止剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、補強剤、強化剤、発砲剤、発泡助剤、安定剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、変性剤、着色剤、カップリング剤、防腐剤、防カビ剤、改質剤、接着剤、付香剤、重合触媒、重合開始剤、重合禁止剤、重合抑制剤、重合調整剤、重合開始剤、結晶核剤、相溶化剤、分散剤、消泡剤などが挙げられる。
これらは、単独もしくは2つ以上で複合して使用することができる。
【0073】
また、本発明の難燃性樹脂組成物には、前記難燃性微粒子、難燃助剤のみだけではなく、さらに粒子径の大きい難燃剤と併用することによって、ポリマーマトリックス中において大きな粒子同志の隙間を小さな難燃性微粒子が埋める石垣のような効果により、隙間なくマトリックス樹脂中に難燃性物質を行き渡らせる効果がある。そして上記の効果によって、難燃性はさらに向上する。
【0074】
前記難燃剤としては、体積平均粒子径が0.5μmよりも大きく50μm以下であるものが好ましく、0.5μmよりも大きく30μm以下であるものがより好ましい。体積粒子径が0.5μm以下であると、粒子が小さすぎて前記石垣のような構造を採ることができない場合がある。50μmより大きいと、ポリマーの機械的特性を低下させる原因となる場合がある。
【0075】
前記難燃剤としては、特に制限されないが、水和金属化合物、無機水和物、窒素含有化合物、及び珪素含有無機充填剤から選択される1種以上を用いることが好ましい。
前記水和金属化合物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化カルシウムのうちから選択されるいずれかであることが好ましい。また、前記無機水和物としては、アルミン酸化カルシウム、2水和石膏、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ砂、及びカオリンクレーのうちから選択されるいずれかであることが好ましい。また、前記窒素含有化合物は硝酸ナトリウムであることが好ましい。さらに、前記珪素含有無機充填剤は、モリブデン化合物、ジルコニウム化合物、アンチモン化合物、ドーソナイト、プロゴパイト、及びスメクタイト等から選択されるいずれかであることが好ましい。
【0076】
上記難燃剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記難燃性化合物としては、前記難燃性微粒子に用いられる無機微粒子を構成する化合物と同一であっても、異なってもよい。
【0077】
前記難燃剤の含有量は、前記難燃性粒子100質量部に対し、0.1〜200質量部の範囲であることが好ましく、0.1〜50質量部の範囲であることがより好ましい。含有量が0.1質量部に満たないと、含有量が少なすぎ前記石垣のような構造を採ることができない場合がある。200質量部を超えると、難燃剤の量が多くなりすぎポリマーの機械的特性が低下する場合がある。
【0078】
また、本発明の難燃性樹脂組成物には、前記難燃性粒子、難燃助剤のみだけではなく、有機化処理したスメクタイト類と併用することによって、マトリックス樹脂中において大きなアスペクト比のスメクタイト類粒子同志の隙間を小さな難燃性微粒子が埋める点と線のような効果により、隙間なくマトリックス樹脂中に難燃性物質を行き渡らせる効果がある。
【0079】
付け加えるに、前記有機化処理したスメクタイト類が樹脂中に分散した際にその樹脂は透明になり、本発明の難燃性微粒子が可視光以下の大きさであり、かつ、樹脂に配合する際にも均一に分散するため、その併用配合樹脂は透明性に優れる。
【0080】
本発明の難燃性樹脂組成物は、以上述べた難燃性粒子、難燃助剤、マトリックス樹脂及び必要に応じて難燃剤、安定剤などを混合し、これを混練機で混練することにより得ることができる。
上記混練機としては、特に制限されないが、3本ロールや2本ロールを用い、せん断応力と位置交換の繰り返しによって、難燃性微粒子を分散させる方法、及びニーダー、バンバリーミキサー、インターミックス、1軸押出機、2軸押出機を用い、分散機壁面の衝突力やせん断力によって分散させる方法が、高い分散性を得る観点から好ましく用いられる。
【0081】
混練温度は用いるマトリックス樹脂、難燃性粒子などの添加量等によって異なるが、50〜450℃の範囲が好ましく、60〜380℃の範囲がより好ましい。
【0082】
一方、本発明における難燃性粒子は、表面に被覆層を好適に有していることから、前記ニーダー、2軸押出機及びロールなどの機械的混合のみならず、マトリックス樹脂が溶解する、もしくは膨潤する溶液中においても樹脂と均一分散させることができる。
【0083】
また、重合過程における樹脂製造の過程において、重合溶媒とともに混合することも可能である。このように樹脂への分散において大きな自由度を持つことは、配合量が少なくても難燃性が出現し、機械的強度を損なわないことにより、加工性が向上していると考えられる。よって、ペレット、繊維、フィルム、シート、構造物など、幅広い形状の加工品を得る加工方法への適用が可能となる。
【0084】
その際の有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、メタノール、エチルホルムアミド、ニトロメタン、エタノール、アクリル酸、アセトニトリル、アニリン、シクロヘキサノール、n−ブタノール、メチルアミン、n−アミルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、クロロホルム、ベンゼン、酢酸エチル、トルエン、ジエチルケトン、四塩化炭素、ベンゾニトリル、シクロヘキサン、イソブチルクロリド、ジエチルアミン、メチルシクロヘキサン、酢酸イソアミル、n−オクタン、n−ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、メチルイソプロピルケトン、酢酸ブチル、メチルプロピルケトン、エチルベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン、塩化メチレン、ピリジン、n−ヘキサノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、エチレングリコール、グリセロールホルムアミド、ジメトルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
これらは単独もしくは2つ以上で複合して使用することができる。
【0085】
また、その際の混合温度は0〜200℃の範囲、好ましくは室温から150℃の範囲、特に好ましくは10〜100℃の範囲であり、場合によっては、圧力をかけてもよいし、かけなくてもよい。
【0086】
混練または上記溶液分散後の難燃性樹脂組成物中には、難燃性微粒子が一次粒径で均一に分散していることが好ましい。この分散状態については、難燃性樹脂組成物のシートについて紫外、可視光による透過率を測定することにより、簡易に測定することができる。
【0087】
測定法は、テトラヒドロフラン100mLにエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デユポン製 EV260)10gを溶解させた溶液に、難燃剤微粒子0.5gを分散させた試料溶液をガラス基板上にキャストし、60℃にて3時間乾燥させ厚み20μmのフィルムを作製し、これを試料として、紫外・可視光分光光度計にて透過率を測定するものである。
【0088】
上記測定法により求めた透過率は、550nmの測定において、40〜90%の範囲であることが好ましく、60〜90%の範囲であることがより好ましい。
【0089】
以上、本発明の難燃性樹脂組成物及びその製法について簡単に説明した。本発明の難燃性樹脂組成物は、従来の難燃剤を微粒子化することにより、粒子の比表面積を増加させ、ポリマー(マトリックス樹脂)との接触面積を増加させると共に、チャー形成化合物である難燃助剤を併用することにより、少量の配合で高い難燃性能が発現されることを特徴としている。
また、本発明における難燃性粒子は、表面に被覆層(有機化合物、ポリシリコーン)を有することで、樹脂中にさらに均一に分散させることができ、その難燃効果は向上する。
【0090】
しかも、本発明の難燃性樹脂組成物は、難燃性粒子の少量添加で高難燃性であるため、機械的特性に優れるだけでなく、従来のハロゲン系やリン酸エステル系の難燃剤に比べて環境負荷が小さく、金属水和物が熱履歴で劣化することがないためリサイクル性も高い。さらには、用いられる難燃性粒子が可視光以下の大きさであり、かつ、マトリックス樹脂に配合する際にも均一に分散するため、難燃性樹脂組成物は透明性に優れる。
【0091】
<難燃性樹脂成形品>
本発明の難燃性樹脂成形品は、既述した本発明の難燃性樹脂組成物を含む組成物を成形機により成形したものである。
上記成形機としては、プレス成形機、インジェクション成形機、モールド成形機、ブロー成形機、押出成形機、及び紡糸成形機のうちから選択される1以上の成形機を用いることができる。したがって、これらの1つにより成形を行ってもよいし、1つの成形機により成形を行った後、他の成形機により続けて成形を行ってもよい。
【0092】
成形された本発明の難燃性樹脂成形品の形状は、シート状、棒状、糸状など特に限定されるものではない。また、その大きさも制限されるものではない。
【0093】
本発明の難燃性樹脂成形品は、例えばシート状成形物として包装及び建材などに、また構造物状成形物として複写機及びプリンターなどの筐体、内部部品等のOA機器部品などに用いることができる。
以下、上記OA機器部品として、下記に例示する各々に用いた場合のメリットについて簡単に説明する。
【0094】
(筐体)
本発明においては、難燃剤として金属水和物からなる難燃性粒子を使用するので、燃焼時にハロゲン系ガス、ダイオキシン、シアン等の有毒ガスが発生せず、高度な難燃性を有する。そして、その高度な難燃性、高曲げ弾性率及び良好な成形加工性より従来の成形品と比較して、薄肉化が可能であるため筐体の構成材料としてとして好ましい。また、表面処理した金属水和物を樹脂組成物に含有させることにより、樹脂組成物の表面抵抗を低減できることから、筐体表面の帯電防止性能にも優れる。
【0095】
また、従来ノンハロゲン難燃樹脂組成物で使用されているのは、無機系及び有機系リンであるが、これは加水分解性があるため、大気中の水分の影響を受けて配合された樹脂組成物の寿命が縮まる。一方、本発明の難燃性樹脂組成物は加水分解及び熱による安定性が良好であることから、リン系難燃剤を配合した従来ノンハロゲン難燃樹脂組成物と比較しても長寿命及びリサイクル性に優れる。さらに、使用中の変色(黄変)、耐擦傷性の低下も抑制でき、耐トナー性(耐油性)にも優れるため好ましい。
【0096】
(内部用樹脂成形品)
本発明の難燃性樹脂成形品を内部樹脂成形品に用いる場合には、難燃性能の維持性と成形品の寸法精度に優れるため好ましい。OA機器の内部は、例えば、トナーを溶融し定着させるための発熱部等を有しているため、使用される樹脂にも耐熱性が要求される。特に、湿度が高い地域で使用される場合は、樹脂成形品の耐熱性及び耐加水分解性がより要求される。前記難燃性粒子は、熱分解性に強いため、これを混合した樹脂の難燃性の耐熱維持性は、他の難燃剤と比較して高い。なお、従来ノンハロゲン系難燃樹脂組成物で使用されているのは、無機系及び有機系リンであるが、前記のようにこれは加水分解性があり、その樹脂組成物の寿命を縮めてしまう欠点がある。一方、本発明の難燃性樹脂組成物は耐熱性及び耐加水分解性が良好であることから、従来のノンハロゲン難燃樹脂組成物と比較して、寸法制度に優れ、内部用樹脂成形品として使用するのに適している。
【0097】
(ROSフレーム)
ROSフレームとして用いる場合には、成形品の寸法精度に優れるため好ましい。寸法精度に優れる理由は、前記内部用樹脂成形品の場合と同様である。また、本発明の難燃性樹脂成形品では、難燃性粒子の比表面積が大きいが故に、ポリマーとの接触面積が大きく、なおかつ難燃性粒子は真球状であるために、本発明の難燃性樹脂組成物の成型異方性及び熱収縮率が小さく、機械的強度を高くすることができかつ難燃性も高い。
【0098】
(軸受け・ギアー)
この場合は、成形品の摺動性と寸法精度とに優れるため好ましい。寸法精度に優れる理由は、前記内部用樹脂成形品の場合と同様である。また、本発明における難燃性粒子が真球状であるために、これを混合した樹脂組成物は摺動性に優れ、かつ、成型異方性及び熱収縮率が小さい。
【0099】
以上のように、本発明の難燃性樹脂成形品は難燃性に優れるが、具体的には、本発明の難燃性樹脂成形品では、ISO5660のコーンカロリメータ測定による発熱速度が、難燃性粒子等を含む前の構成樹脂単体成形品と比較して、3分の1以下であることが好ましい。
【0100】
また、本発明の難燃性樹脂成形品では、難燃性の効果を促進させる効果のみならず、燃焼時のスート(炭化物)を抑制する低発煙性機能を有すものである。具体的には、本発明の難燃性樹脂成形品では、ISO5660のコーンカロリメータ測定による発煙量が、難燃性粒子等を含む前の構成樹脂単体成形品と比較して、同等以下であることが好ましい。なお、ここで「同等」とは、発煙量が構成樹脂単体成形品の発煙量の±1%の範囲であることをいう。
【0101】
さらに、前記リサイクル性としては、成形されたUL−94試験による難燃性がV2以上である難燃性樹脂成形品を粉砕し、その粉砕物を2軸押出機等の混練機にて混練して再ペレット化し、射出成形機にて射出して再び樹脂成形品とする条件で再成形を5回繰り返し、その再成形後の難燃性樹脂成形品の降伏応力が再成形前の降伏応力の60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。また、同様にして再成形した難燃性樹脂成形品の難燃性が再成形前と同一であることが好ましい。なお、難燃性樹脂成形品を粉砕した後に、異物を除去するための洗浄などを行ってから混練しても良い。混練温度については、前述の難燃性樹脂組成物の場合と同様である
【実施例】
【0102】
以下、本発明について実施例により具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
まず、本発明に用いた難燃性粒子の製造例を示す。また、この難燃性粒子を用いた難燃性樹脂組成物を作製しその特性についても検討した。
【0103】
(難燃性粒子の調製)
下記実施例に用いた難燃性粒子について説明する。
難燃性粒子として体積平均粒径が80nmの水酸化マグネシウム粒子(マグネシア50H、宇部マテリアル社製)200gと、環状オルガノシロキサン化合物としてオクタメチルシクロテトラシロキサン200gとを、それぞれ別のガラス容器に秤量した。これらを容器ごと、減圧・密閉できるデシケーター中に設置した。次いで、真空ポンプにてデシケーター内圧を80mmHgまで減圧した後密閉した。その後、デシケーター容器ごと60℃環境下にて12時間放置し処理を行った。処理後、ガラス容器より表面処理の施された表面被覆難燃性粒子(難燃性粒子)を取り出した。
【0104】
得られた表面被覆難燃性粒子の体積平均粒子径は80nm、分散度は0.5であった。また、表面被覆難燃性粒子を精秤して表面被覆量を算出したところ30質量%であり、透過型電子顕微鏡(FEI Company TecnaiG2)による観察でも均一に被覆されていることが確認された。
【0105】
<実施例1>
(難燃性樹脂組成物、難燃性樹脂成形品の作製)
前記表面被覆難燃性粒子と、ABS樹脂(旭化成製、191)と、難燃助剤としてホウ酸亜鉛(USBORAX製、FLAMEBREAK ZB)とを、表1に示すように所定量秤量・混合した後、2軸押出機を用いて混練してストランドをホットカットすることで、難燃性樹脂組成物のチップを得た。得られたチップを加熱プレス(120℃×10分間)にて成形することによって、2mm厚のシート状成形体(難燃性樹脂成形品)を得た。
【0106】
(難燃性樹脂成形品の評価)
上記の如く作製したシート状成形体について、下記の評価を行った。
・難燃性試験(UL−94)
難燃性試験(UL−94)としては、JIS Z 2391に従い垂直燃焼試験を行った。その試料厚みは、2mmにて試験を実施した。難燃性試験合格品について、最も難燃効果の高いレベルをV0とし、次いでV1、V2、HBとした。一方、これらに達しないものを不合格とした。
【0107】
・難燃性試験(コーンカロリメータ)
難燃性試験(コーンカロリメータ)としては、コーンカロリメータ((株)東洋精機製作所製、コーンカロリメータIIIC3)を用い、ISO5660に準拠して、輻射熱量を50kW/m2として、燃焼時間と発熱速度との関係を調べ、また、同時に発煙量についても調べた。
【0108】
・機械的強度試験
機械的強度試験としては、オートグラフ((株)東洋精機製作所製、V1−C)を用い、JIS K 7161に準拠して、常温にて引張速度を50mm/minとして、降伏応力を測定した。
【0109】
・表面抵抗値
表面抵抗値の測定は、川口電気製作所製P−616を使用し、IEC 60093に準拠して、サンプルを形成後23℃/湿度55%の条件で1日保持した後に表面抵抗値の測定を行った。
【0110】
・リサイクル性
前記シート成形体を小型ニ軸破砕機(フジテック株式会社製、CSS)により破砕してペレット化し、さらに押出成形機(東芝機械社製、TEM−SS)により、フィード温度180℃、ヘッド温度220℃、スクリュー回転60rpmの条件で押出成形し、次いで射出成形機(日本製鋼社製、J55AD)により、ノズル温度220℃、金型温度40℃の条件で射出成形を行った。この再成形を5回繰り返した後の成形品について、前記難燃性試験、機械的強度試験を行い、再成形前の特性との比較を行った(降伏応力については再成形前に対する比率で示した)。また、目視により、外観(透明性)変化についても確認した。
結果を表1にまとめて示す。
【0111】
<実施例2〜7、比較例1〜3>
実施例1の難燃性樹脂組成物の作製において、難燃性粒子、ABS樹脂、難燃剤、難燃助剤の種類、配合量を表1に示すようにした以外は同様にして難燃性樹脂成形物を作製し、同様の評価を行った。
【0112】
ここで、実施例6に用いたABS樹脂は、ポリカーボネート変性ABS樹脂である。ポリカーボネート変性ABS樹脂は、例えば特開2004−331709号公報に示されるように、ポリカーボネート構造を導入したポリスチレンを用いて作製できる。具体的には以下のようにして合成した。
【0113】
(ポリカーボネート構造を導入したポリスチレンの作製)
冷却管を備えた500mlのガラスフラスコに攪拌子を入れ、ポリ(4−ビニルフェノール)(アルドリッチ社製、重量平均分子量:約8000)0.5gと、炭酸ジフェニル18gと、4−ジメチルアミノピリジン25mgとをそれぞれ導入した。容器内を窒素で置換した後、200℃のオイルバスに入れることにより反応を開始した。5時間後、内容物を多量のメタノールに投入することにより反応を停止し、ポリマーを再沈させた。ポリマーは、ろ過により回収し、メタノールで数回洗浄した(収量:420mg)。得られたポリマーを塩化メチレンで分別したところ、可溶なポリマー:320mgと不溶なポリマー:100mgとであった。塩化メチレンに可溶なポリマーの重量平均分子量(Mw)および分子量分散度(Mw/Mn)は、それぞれ22500および2.1であった。
【0114】
得られた塩化メチレンに可溶なポリマーについて、核磁気共鳴スペクトルを測定した結果を以下に示す。
・核磁気共鳴スペクトル(CDCl31H,単位はppm):δ1.2〜1.5(b、2H)、1.5〜2.0(b、1H)、6.2〜6.7(b、2H)、6.7〜7.2(b、2H)、7.3(b、3H)、7.4(b、4H)
・核磁気共鳴スペクトル(CDCl313C,単位はppm):δ40、42〜46、120.4、120.8、126、128.2,129,8,149、151、152
【0115】
(ポリカーボネート変性ABS樹脂の作製)
ポリカーボネート変性ABS樹脂は、上記のポリカーボネート構造を導入したポリスチレンをビニルアクリロニトリルやブタジエンと共重合させる、または、ポリアクリロニトリルやポリブタジエンとポリマーブレンドさせることで得られる。ここでは、後者のポリマーブンレンド法を用いた。上記のようにして得られたポリカーボネート構造を導入したポリスチレン30質量部と、ポリアクリロニトリル(三井化学製、バレックス#3000)40質量部及びポリブタジエン(日本ゼオン製、NipolBR1220)30質量部とを、2軸押出機(KZW15−45、テクノベル製)を用いて220℃にて混練し、ポリカーボネート変性ABS樹脂を得た。その後は、実施例1と同様にして2mm厚のシート状成形体(難燃性樹脂成形品)を得た。
結果を表1に示す。
【0116】
【表1】

【0117】
<実施例8〜12、比較例4〜8>
実施例1の難燃性樹脂組成物の作製において、マトリックス樹脂としてABS樹脂に加え、ポリカーボネート樹脂(HF1110、GEレキサン社製)及びポリフェニレンエーテル(ザイロンSW201A、旭化成製)を用い、前記難燃性粒子、難燃剤、難燃助剤の種類、配合量を表2に示すようにした以外は同様にして難燃性樹脂成形物を作製し、同様の評価を行った。
結果を表2に示す。
【0118】
【表2】

【0119】
<実施例13〜17、比較例9〜13>
実施例1の難燃性樹脂組成物の作製において、マトリックス樹脂としてポリスチレン(HF77、PSジャパン社製)及びハイインパクトポリスチレン(400、PSジャパン社製)を用い、前記難燃微粒子、難燃剤、難燃助剤の種類、配合量を表3に示すようにした以外は同様にして難燃性樹脂成形物を作製し、同様の評価を行った。
結果を表3に示す。
【0120】
【表3】

【0121】
以上の結果から、本発明における難燃性粒子、難燃助剤を配合した難燃性樹脂組成物は、高い難燃性と低発煙性とを有し、かつ、機械的特性を損なわず、さらにリサイクル性に優れることがわかった。
また、通常の粒径の大きい難燃剤と併用した場合においても、高い難燃性を有し、かつ機械的特性を損なわないこともわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス樹脂に、少なくとも体積平均粒子径が1〜500nmの範囲の金属水和物を含んでなる難燃性粒子と、難燃助剤と、を配合してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
【請求項2】
前記金属水和物が、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む金属の水和物であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項3】
前記金属水和物が、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種類の金属の水和物であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項4】
前記難燃性粒子の表面に、有機化合物またはポリシリコーンを含む被覆層が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項5】
前記マトリックス樹脂が、ABS樹脂及び/またはポリスチレンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項6】
前記難燃助剤が、ホウ酸系難燃助剤、シリコーン化合物及びチッ素系難燃助剤のうちから選択される1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項7】
さらに、体積平均粒子径が0.5μmより大きく50μm以下の難燃剤を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物を含んでなる難燃性樹脂成形品であって、
UL−94試験による難燃性がV2以上であり、再成形したときの降伏応力が再成形前の降伏応力の60%以上で、かつ、前記難燃性が再成形前の難燃性と同一であることを特徴とする難燃性樹脂成形品。
【請求項9】
構成樹脂単体成形品と比較して、ISO5660のコーンカロリメータ測定による発熱速度が3分の1以下であることを特徴とする請求項8に記載の難燃性樹脂成形品。
【請求項10】
構成樹脂単体成形品と比較して、ISO5660のコーンカロリメータ測定による発煙量が同等以下であることを特徴とする請求項8に記載の難燃性樹脂成形品。

【公開番号】特開2006−265417(P2006−265417A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−87301(P2005−87301)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】