説明

電力供給システムおよび電源装置

【課題】本発明は、所定の機器を制御するコントローラと、電力取入口(例えばAC電源のコンセントなど)から受け取った電力を上記の機器およびコントローラに供給する電源装置とを備えた電力供給システム等に関し、省電力化を図る。
【解決手段】コントローラ20に電力供給する第1の電源回路305と、オン操作により電力取入口と第1の電源回路とを繋ぐ第1の電力供給路を生成するとともにオフ操作により第1の電力供給路を遮断するメインスイッチ304と、コントローラによるオン、オフ制御を受け、オン制御により、メインスイッチをバイパスして電力取入口と第1の電源回路とを繋ぐ第2の電力供給路を生成するとともに、オフ制御により、第2の電力供給路を遮断する第1のスイッチ回路306と、コントローラによるオン、オフ制御を受け、オン制御により、上記機器用の電力を生成してその機器に供給する第2の電源回路308とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の機器を制御するコントローラと、電力取入口(例えばAC電源のコンセントなど)から受け取った電力を上記の機器およびコントローラに供給する電源装置とを備えた電力供給システム、および、電力取入口から受け取った電力を所定の機器およびその機器を制御するコントローラに供給する電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿画像を読み取って画像信号を得、その画像信号に基づいてその原稿画像を複製したコピー画像を用紙上に記録する複写機が広く普及している。その複写機の中には、ネットワークに接続されてそのネットワークを経由して送信されてきた画像信号に基づく画像を記録して出力する(以下、この機能を「プリンタ機能」と称する)を兼ね備えた複写機も登場してきている。
【0003】
従来、このようなプリンタ機能を実現するには、そのようなプリンタ機能を持たない複写機を基本にして、その複写機に、ネットワークを介して通信を行なうコントローラを接続するとともに、さらに、節電のために複写機自体の電源は常時はオフにしておきそのコントローラがその複写機で画像を記録すべき画像信号を受信したときにその複写機の電源を立ち上げるための24時間常時通電の電源設備を接続して複写機の電源のオン、オフ制御が行なわれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来の構成の場合、コントローラはネットワークの監視機能について常時稼動させておく必要はあるものの、複写機自体の電源は常時オフになっているためかなりの省電力化が実現されている。しかしながら、従来の構成の場合、さらに24時間通電の電源設備を必要とし、これが電力を常時無駄に消費し、全体としての省電力化がいま一歩進まないという問題がある。
【0005】
上記の問題は、プリンタ機能付き複写機に限らず、機器を制御するコントローラと、それらの機器やコントローラに電力を供給する電源装置とを備えた電力供給システムにおいて共通する問題である。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、更なる省電力化が図られた電力供給システムおよび電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明の電力供給システムは、所定の機器を制御するコントローラと、電力取入口から受け取った電力を上記機器および上記コントローラに供給する電源装置とを備えた電力供給システムにおいて、
上記電源装置が、
コントローラ用の電力を生成してコントローラに供給する第1の電源回路と、
電力投入、切断用にオン、オフ操作され、オン操作により電力取入口と第1の電源回路とを繋ぐ第1の電力供給路を生成するとともにオフ操作により第1の電力供給路を遮断するメインスイッチと、
コントローラによるオン、オフ制御を受け、オン制御により、メインスイッチをバイパスして電力取入口と第1の電源回路とを繋ぐ第2の電力供給路を生成するとともに、オフ制御により、第2の電力供給路を遮断する第1のスイッチ回路と、
コントローラによるオン、オフ制御を受け、オン制御により、上記機器用の電力を生成してその機器に供給する第2の電源回路とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の電力供給システムは、メインスイッチの操作によって直接的にはコントローラのみに電力を供給し、コントローラの制御により機器に電力を供給するようにしたため、機器を稼動させておく必要がないときはコントローラにより機器への電力供給が遮断され必要なときにのみ機器への電力供給が行なわれる。したがって従来コントローラのほかに必要としていた24時間常時通電の電源は不要となり、省電力化が推進される。
【0009】
ここで、上記本発明の電力供給システムにおいて、上記コントローラは、上記第1の電源回路から供給された電力を受け取った直後の初期状態においては、上記第1のスイッチ回路をオン制御するハードウェア状態にあることが好ましい。
【0010】
このように構成することにより、メインスイッチがオン操作されコントローラが各部の立ち上げ動作を行なってるときに直ぐにオフ操作されたときであってもその立ち上げ動作が中断されることが防止され、その立ち上げ動作の中断による不具合の発生が防止される。
【0011】
また、上記本発明の電力供給システムにおいて、上記第1のスイッチ回路は、第1の電源回路がコントローラに供給する電力の電圧と同一の電圧の信号をオン制御の信号として動作するものであることが好ましい。
【0012】
また、本発明の電力供給システムにおいて電力取入口と第2の電源回路との間に配備され、コントローラからオン、オフ制御を受け、オン制御により電力取入口と第2の電源回路との間を繋ぐ第3の電力供給路を生成するとともにオフ制御により第3の電力供給路を遮断する第2のスイッチ回路を備えることが好ましい。
【0013】
この第3の電力供給回路を備えると、機器への電力供給を停止しているときに、機器側の電源である第2の電源回路の一次側損失も防止でき、更なる省電力化が実現する。
【0014】
このように構成すると、コントローラによる拡張機能、例えば前述の例にいうプリンタ機能が不要な場合、コントローラなしで、上記第1の電源回路の出力を第2のスイッチ回路の制御信号として直結すればよく、こうすることにより、メインスイッチのオン、オフ操作によって直接に機器への電力投入、切断が行なわれ、コントローラによる拡張機能なしの使い方にも合致した電力供給システムが実現する。
【0015】
ここで、本発明の電力供給システムは、一例として、上記機器が、原稿画像を読み取って画像信号を得、その画像信号に基づいてその原稿画像を複製したコピー画像を用紙上に記録する複写機であって、上記コントローラが、ネットワークを監視してネットワークを経由して送信されてきた画像信号を上記複写機に受け渡すコントローラであるときに好適に作用する。
【0016】
つまり、コントローラのみ電力供給したい場合コントローラからのオフ制御により、第1、第2のスイッチ回路をオフすることによりスイッチの保持電力、機器側に搭載されている電源回路の一次損失も防止でき、コントローラ以外の消費電力を無くすことが可能となる。
【0017】
また、上記目的を達成する本発明の電源装置は、電力取入口から受け取った電力を所定の機器およびその機器を制御するコントローラに供給する電源装置において、
コントローラ用の電力を生成してコントローラに供給する第1の電源回路と、
電力投入、切断用にオン、オフ操作され、オン操作により電力取入口と第1の電源回路とを繋ぐ第1の電力供給路を生成するとともにオフ操作により第1の電力供給路を遮断するメインスイッチと、
コントローラによるオン、オフ制御を受け、オン制御により、メインスイッチをバイパスして電力取入口と第1の電源回路とを繋ぐ第2の電力供給路を生成するとともに、オフ制御により、第2の電力供給路を遮断する第1のスイッチ回路と、
コントローラによるオン、オフ制御を受け、オン制御により、上記機器用の電力を生成してその機器に供給する第2の電源回路とを備えたことを特徴とする。
【0018】
ここで、本発明の電源装置において、上記第1のスイッチ回路は、第1の電源回路がコントローラに供給する電力の電圧と同一の電圧の信号をオン制御の信号として動作するものであることが好ましい。
【0019】
また、本発明の電源装置において、電力取入口と第2の電源回路との間に配備され、コントローラからオン、オフ制御を受け、オン制御により電力取入口と第2の電源回路との間を繋ぐ第3の電力供給路を生成するとともにオフ制御により第3の電力供給路を遮断する第2のスイッチ回路を備えることが好ましい。
【0020】
さらに、本発明の電源装置において前記コントローラが暴走等により前記メインスイッチからのオフ信号を受けて所定時間経過しても前記コントローラがオフ制御しない場合、前記第1のスイッチ回路および前記第2の電源回路はハードウエアにより時間差で前記第2の電力供給路を遮断し、前記第2の電源回路の出力を停止することが好ましい。ここで機器側である第3の電力供給路の出力を先に停止することが安全上好ましい。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したとおり、本発明によれば、省電力化が推進される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0023】
図1は、本発明の電力供給システムの一実施形態を示す回路ブロック図である。
【0024】
この図1には、プリンタ機能付き複写機を構成する複写機本体10と、その複写機に搭載された定着器11と、図示しないネットワークに接続されたコントローラ20と、この図1に示すその他の要素の集合からなる電源装置30が示されている。定着器11は複写機の構成要素であるが、ここでは、後の説明の都合上、定着器11と複写機本体10を別のブロックで示してある。
【0025】
コントローラ20は、ネットワークを常時監視し、そのネットワーク上に複写機で画像を記録すべき画像信号が送信されてくると複写機に電力を投入してその複写機に画像信号を受け渡す。コントローラ20内には、画像データを取り込んだり、プログラムを記憶するための、図示しないハードディスク装置(以下、HDDと略記する)が内蔵されている。
【0026】
電源装置30には、AC電力を取り入れるためのプラグ301が備えられており、そのプラグ301がAC電源用のコンセント(図示せず)に差し込まれると、そのプラグ301から取り込まれたAC電力は、漏電遮断器302およびノイズフィルタ303を経由してメインスイッチ304に達する。メインスイッチ304は電源投入遮断用のメインスイッチであり、オン操作により電源が投入され、オフ操作により電源が遮断される。図1には、オフ操作された状態のメインスイッチ304が示されている。メインスイッチ304のオン、オフの状態は信号線331を経由してコントローラ20に伝達される。
【0027】
ここで、メインスイッチ304がオン操作されると、プラグ301から取り込まれた電力は、電源回路305に達する。この電源回路305は、本発明にいう第1の電源回路に相当し、このメインスイッチ304を経由して電源回路305にAC電力を供給する電力供給路は本発明にいう第1の電力供給路に相当する。この電源回路305では、コントローラ20の、HDDを除く各部に供給されるDC電力が生成されてコントローラ20に供給される。この電源回路305で生成されてコントローラ20に供給されるDC電力には、コントローラ20自体で利用される電力のほか、制御線341,342を経由して後述するリレー306,307および電源回路308内のリレー308aをオン状態に制御するための電力も生成されてコントローラ20に供給される。コントローラ20は、電源回路305から電力の供給を受けると、内蔵されたHDDを除き動作を開始し制御線341を経由してメインパワーオン信号(Main P ON signal)が出力されるとともに制御線342を経由してレディパワーオン信号(Ready P ON signal)が出力される。
【0028】
制御線341にMain P ON signalが出力されると、そのMain P ON signalは、2つのリレー306,307をオン状態に制御する。リレー306がオン状態になると、プラグ301から取り入れられ漏電遮断器302およびノイズフィルタ303を経由して供給されてきたAC電力が、メインスイッチ304をバイパスして、電源回路305に供給される。ここで、このリレー306は、本発明にいう第1のスイッチ回路に相当し、メインスイッチ304をバイパスして電源回路305にAC電力を供給する電力供給路は本発明にいう第2の電力供給路に相当する。
【0029】
リレー306がオン状態になると、その後メインスイッチ304がオフ操作されても、コントローラ20自らがMain P ON signalの出力を停止するまでは、電源回路305を介してコントローラ20にDC電力が供給され続ける。
【0030】
また制御線341にMain P ON signalが出力されると、もう1つのリレー307もオン状態となる。このリレー307がオン状態になると、コントローラ20にHDD用の電力を供給する電源回路309、定着器11に電力を供給する電源回路310および複写機にフィニッシャ(画像が記録され積み重ねられた用紙束にパンチ穴をあけたり、用紙束をステープラで綴じる装置)等のオプション装置が組み込まれているときのそのオプション装置に電力を供給する電源回路311に電力が供給される。また、リレー307がオン状態になると、複写機本体10に電力を供給する電源回路308の一次側にまでAC電力が供給される。
【0031】
また、コントローラ20は、電源回路305から電力の供給を受けると、上述したとおり、制御線341にMain P ON signalを出力するとともに、制御線342にReady P ON signalを出力し、このReady P ON signalは、複写機本体10に電力を供給する電源回路308のリレー308aをオン状態に制御する。このリレー308aがオン状態になると、電源回路308は、複写機本体10に供給する電力を生成して複写機本体10に供給する。この複写機本体10用の電源回路308は、本発明にいう第2電源回路に相当する。
【0032】
また、リレー307は、本発明にいう第2のスイッチ回路に相当しそのリレー307を経由する電力供給路が本発明にいう第3の電力供給路に相当する。
【0033】
ここで、メインスイッチ304がオン操作されたときに、リレー306がオン状態になるのが遅れると、その間にメインスイッチ304がオフ操作された場合に、コントローラ20の動作の立ち上がりの途中で不意に電力が遮断されることとなり、コントローラ20に誤作動や破損を生じるおそれがある。そこで、ここでは、以下の工夫が施されている。
【0034】
図2は、コントローラ20の、制御線341にMain P ON signalを出力する部分の概略回路図である。
【0035】
コントローラ20では、ソフトウェアが実行され、そのソフトウェアにより、制御線Main P ON signalの送出や停止が制御されるが、コントローラ20の内部回路201は、電力の供給を受けると、ソフトウェアの起動を待つことなく、先ずは初期状態としてハードウェア的にMain P ON signalを送出するように構成されている。すなわち、内部回路201に電力が供給されてそこから出力される信号のレベルが十分なレベルにまで立ち上がると、リセットが解除され、その内部回路201から出力された信号がバッファ202から出力されトランジスタ回路203でパワー増幅されて、Main P ON signalとして制御線341に出力される。
【0036】
したがって、図1に示すリレー306,307はメインスイッチ304がオン操作されるとコントローラ20内で動作するソフトウェアの立ち上がりを待つことなく直ちにオン状態となり、コントローラ20の立ち上がりの途中でメインスイッチ304が不用意にオフ操作されても電力供給がされ続け、コントローラ20が立ち上がって電源オフに対処できる環境が整ってから自分でリレー306,307をオフ制御することができる。
【0037】
尚、図2では、制御線341に出力されるMain P ON signalについて説明したが、制御線342に出力されるReady P ON signalについても同様である。
【0038】
またコントローラ20が暴走等によりメインスイッチ304からのオフ信号を受けて所定時間経過してもコントローラ20がオフ制御しない場合、リレー306、308aはメインスイッチ304のオフ信号を受けて(図示せず)ハードウエアにより時間差でオフにする。時間差はリレー308aである複写機本体10側は異常動作などを想定し緊急オフが好ましく、リレー306であるコントローラ20側はデータ保存の時間が必要であるためである。
【0039】
コントローラ20は、図1に示す全てのリレー306,307,308aがオン状態にあり全ての電源回路305,308,309,310,311が電力供給を行なっている通常の稼動モードのほか、ローパワーモードとスリープモードとを有する。
【0040】
ローパワーモードは、通常の稼動モードと比べ制御線342へのReady P ON signalの送出が停止されて複写機本体10用の電源回路308のリレー308aがオフ状態に移行したモードである。通常の稼動モードからローパワーモードに移行するにあたっては、電源回路308のリレー308aがオフ状態に制御されるに先立って、コントローラ20から複写機本体10に、信号線332を経由して、ローパワーモードに移行することが予告され、複写機本体10は、その予告を受けて、定着器11用の電源回路310に、信号線333を介して、ローパワーモードに移行することが指示される。すると、電源回路310は定着器11に供給する電力を制限する。これは、定着器11は電力を停止してしまうと立ち上がるのに時間がかかるため、ある程度の電力を供給し続けておき、実際に稼動する必要を生じたときに速やかに立ち上がるためである。コントローラ20は、複写機本体10にローパワーモードへの移行の予告を行なった後、制御線342へのReady P ON signalの出力を停止し電源回路308のリレー308aをオフ状態に制御する。すると、その電源回路308から複写機本体10への電力供給が停止し、複写機本体10が電源オフの状態となる。
【0041】
また、スリープモードでは、ローパワーモードと比べ、さらに、制御線341のMain P ON signalの送出が停止されて、リレー306,307がオフ状態に制御される。リレー306,307がオフ状態になると、電源回路309へのAC電力供給が遮断されるためコントローラ20のHDDへの電力供給が停止し、複写機本体10、定着器11およびオプション装置(組み込まれている場合)への電力供給も停止する。
【0042】
ただし、リレー306がオフ状態となっても、電源回路305にはメインスイッチ304を経由してAC電力が供給され続け、コントローラ20はHDDを除き動作可能である。このとき、コントローラ20は、ネットワークを監視する部分のみが動作し、他の部分への電力供給を停止する。コントローラ20は、ネットワークを経由して自分が受信すべき画像データが送信されてくることを認識すると、制御線341,342にMain P ON signal,Ready P ON signalを送出して通常の移動モードに移行する。
【0043】
スリープモードにあるときは、HDDも停止しており、ネットワーク監視作業のみを行なっているため、そのスリープモードにあるときにメインスイッチ304がオフ操作されても、それ以降はネットワークの監視動作も停止することのほか、不都合は生じない。
【0044】
ここで、複写機本体10にプリンタの機能が不要のときは、コントローラ20は不要である。ここでは、電源回路305で、Main P ON signalおよびReady P ON signalと同じ電圧レベルの電力が生成されており、その電力をコントローラ20に供給する電力線と、制御線341,342とを直結するためのハーネスのチートコネクタ(図示せず)が用意されており、その電力線と制御線341,342が直結される。このときリレー306のコネクタは外しておく。こうすると、メインスイッチ304をオン操作して電源回路305が立ち上がったときにその電源回路305の立ち上がりを受けて2つのリレー307,308aがオン状態となり、メインスイッチ304がオフ操作すると2つのリレー307,308aがオフ状態となる。すなわち、コントローラ20がないことによりネットワークの監視が行なわれずプリント機能はなくなるものの、電源のオン、オフは正常に行なわれることになる。
【0045】
また、コントローラの種類によっては、ネットワークを監視するためにHDDを稼動させておく必要のあるコントローラも存在する。そのようなコントローラの場合、Ready P ON signalのみオフ制御する。このときは省電力の効果が一部削がれることにはなるが動作は正常に行なわれる。
【0046】
図3、図4は、図1に示す電力供給システムにおける電源オン、オフの動作の流れを示すフローチャートの、それぞれ前半部分および後半部分を示す図である。ここでは、図1を合わせて参照して図3、図4のフローチャートについて説明するが、既に図1を参照して説明済であるため、電源オン、オフの流れを簡単に説明するにとどめる。
【0047】
メインスイッチ304がオン操作されると、電源回路305を介してコントローラ20に電力供給が行なわれる(ステップS1)。すると、コントローラ20により、ハードウェア的な論理により制御線341,342に、Main P ON signalおよびReady P ON signalが出力(Active)され(ステップS2)、入力電源保持用のリレー306およびメイン電源のリレー307,308aがオン状態となり(ステップS3)、複写機本体10に電源が供給される(ステップS4)。またこのとき電源回路309を介してコントローラ20のHDDにも電源供給が行なわれる。
【0048】
コントローラ20の内部での初期処理が終了すると(ステップS5)、コントローラは、Main P ON signal,Ready P ON signalをソフトウェア的に制御線341,342の出力ポートをActive論理(Main P ON signal,Ready P ON signalを出力する状態)にセットする(ステップS6)。
【0049】
ステップS7では、複写機のスタート検知(図示せず)し(ステップS7)複写のジョブ処理(ステップS8)若しくは、ネットワークを経由して、複写機をプリンタとして使って画像を記録するための画像データが送信されたか否かがモニタされ(ステップS7)、コントローラ20は画像データが送信されてくると、複写機本体10に対しジョブの実行が指示され、複写機本体10に画像データを通信して複写機で画像記録を行なわさせるジョブ処理が行なわれる(ステップS8)。ステップS7で上記のようなジョブ処理へ移行すべきことが判定されたときはステップS8でジョブ処理が行なわれた後、あるいはステップS7で今の時点ではジョブ処理不要と判定されたときは直接に、信号線331をモニタしてメインスイッチ304がオフ状態にあるか否かが判定され(ステップS9)、メインスイッチ304がオフ状態にあるときは、コントローラ内のデータが保存され(図4ステップS21)、コントローラ20の制御線341,342の出力ポートの論理が、Main P ON signalおよびReady P ON signalの出力を停止するinactive論理にセットされ(ステップS22)、これにより電源が全てオフとなる。
【0050】
図3のステップS9でメインスイッチ304がオフ操作されていないと判定されると、ローパワーモードに移行すべきか否かが判定される(ステップS10)。ここでは、複写機でジョブの実行が終了した後次のジョブの指示がないまま所定時間経過したことをもってローパワーモードに移行すべきことが判定される。
【0051】
ローパワーモードへ移行すべきことが判定されると、コントローラ20は、制御線342の出力ポートを、Ready P ON signalの出力を停止することを指示するinactive論理にセットし(ステップS11)、これにより、複写機本体10の電源がオフとなる。
【0052】
ローパワーモードにあるときにジョブへ移行すべきことが判定されると、コントローラ20は、制御線342の出力ポートをReady P ON signalを出力すべきことを指示するActive論理にセットし(ステップS24)、これにより複写機本体10の電源がオンとなり、ジョブ処理が実行される(図3ステップS8)。
【0053】
ステップS23においてジョブに移行すべきタイミングではないことが判定されると、メインスイッチ304の状態がモニタされ(ステップS26)、メインスイッチ304のオフが検知されるとステップS21に移行し、上記と同様にしてデータ保存および電源オフが行なわれる。
【0054】
ステップS26でメインスイッチがオン状態にあることが判定されると、ステップS27に進み、スリープモードに移行すべき状態にあるか否かが判定される。
【0055】
本実施形態では、ローパワーモードに移行してからあらかじめ決められた時間をそのローパワーモードが続いていることをもってスリープモードに移行すべきことが判定される。
【0056】
ステップS27でスリープモードに移行すべきことが判定されると、コントローラ20は、制御線341,342の出力ポートの論理を、Main P ON signal,Ready P ON signalの出力を停止すべきことを表わすinactive論理にセットする(ステップS28)。すると、入力電源保持用リレー306および他のリレー307,308が全てオフ状態となり複写機側の電源およびコントローラのHDDの電源がオフとなる(ステップS29)。
【0057】
このスリープモードにあるときにジョブに移行すべきことが判定されると(ステップS30)、コントローラは、2本の制御線341,342の出力ポートにMain P ON signal,Ready P ON signalを出力すべきことを指示するActive論理にセットし(ステップS31)、これにより、全てのリレー306,307,308aをオン状態とし(ステップS32)、ジョブ処理が実行される(図3ステップS8)。
【0058】
スリープモードにあるときにメインスイッチ304がオフ操作されると(ステップS33)、コントローラ20も電源オフ状態となりこれにより全ての電源がオフとなる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の電力供給システムの一実施形態を示す回路ブロック図である。
【図2】コントローラの、制御線にMain P ON signalを出力する部分の概略回路図である。
【図3】図1に示す電力供給システムにおける電源オン、オフの動作の流れを示すフローチャートの前半部分を示す図である。
【図4】図1に示す電力供給システムにおける電源オン、オフの動作の流れを示すフローチャートの後半部分を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
10 複写機本体
11 定着器
20 コントローラ
30 電源装置
301 プラグ
302 漏電遮断器
303 ノイズフィルタ
304 メインスイッチ
305 電源回路
306,307 リレー
308 電源回路
308a リレー
309,310,311 電源回路
331,332,333 信号線
341,342 制御線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の機器を制御するコントローラと、電力取入口から受け取った電力を前記機器および前記コントローラに供給する電源装置とを備えた電力供給システムにおいて、
前記電源装置が、
前記コントローラ用の電力を生成して該コントローラに供給する第1の電源回路と、
電力投入、切断用にオン、オフ操作され、オン操作により前記電力取入口と前記第1の電源回路とを繋ぐ第1の電力供給路を生成するとともにオフ操作により該第1の電力供給路を遮断するメインスイッチと、
前記コントローラによるオン、オフ制御を受け、オン制御により、前記メインスイッチをバイパスして前記電力取入口と前記第1の電源回路とを繋ぐ第2の電力供給路を生成するとともに、オフ制御により、該第2の電力供給路を遮断する第1のスイッチ回路と、
前記コントローラによるオン、オフ制御を受け、オン制御により、前記機器用の電力を生成して該機器に供給する第2の電源回路とを備えたことを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記第1の電源回路から供給された電力を受け取った直後の初期状態においては、前記第1のスイッチ回路をオン制御するハードウェア状態にあることを特徴とする請求項1記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記第1のスイッチ回路は、前記第1の電源回路が前記コントローラに供給する電力の電圧と同一の電圧の信号をオン制御の信号として動作するものであることを特徴とする請求項1記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記電力取入口と前記第2の電源回路との間に配備され、前記コントローラからオン、オフ制御を受け、オン制御により該電力取入口と前記第2の電源回路との間を繋ぐ第3の電力供給路を生成するとともにオフ制御により該第3の電力供給路を遮断する第2のスイッチ回路を備えたことを特徴とする請求項1記載の電力供給システム。
【請求項5】
前記機器が、原稿画像を読み取って画像信号を得、該画像信号に基づいて該原稿画像を複製したコピー画像を用紙上に記録する複写機であって、前記コントローラが、ネットワークを監視して該ネットワークを経由して送信されてきた画像信号を前記複写機に受け渡すコントローラであることを特徴とする請求項1記載の電力供給システム。
【請求項6】
電力取入口から受け取った電力を所定の機器および該機器を制御するコントローラに供給する電源装置において、
前記コントローラ用の電力を生成して該コントローラに供給する第1の電源回路と、
電力投入、切断用にオン、オフ操作され、オン操作により前記電力取入口と前記第1の電源回路とを繋ぐ第1の電力供給路を生成するとともにオフ操作により該第1の電力供給路を遮断するメインスイッチと、
前記コントローラによるオン、オフ制御を受け、オン制御により、前記メインスイッチをバイパスして前記電力取入口と前記第1の電源回路とを繋ぐ第2の電力供給路を生成するとともに、オフ制御により、該第2の電力供給路を遮断する第1のスイッチ回路と、
前記コントローラによるオン、オフ制御を受け、オン制御により、前記機器用の電力を生成して該機器に供給する第2の電源回路とを備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項7】
前記第1のスイッチ回路は、前記第1の電源回路が前記コントローラに供給する電力の電圧と同一の電圧の信号をオン制御の信号として動作するものであることを特徴とする請求項6記載の電源装置。
【請求項8】
前記電力取入口と前記第2の電源回路との間に配備され、前記コントローラからオン、オフ制御を受け、オン制御により該電力取入口と前記第2の電源回路との間を繋ぐ第3の電力供給路を生成するとともにオフ制御により該第3の電力供給路を遮断する第2のスイッチ回路を備えたことを特徴とする請求項6記載の電源装置。
【請求項9】
前記メインスイッチからのオフ信号を受けて所定時間経過しても前記コントローラがオフ制御しない場合、前記第1のスイッチ回路および前記第2の電源回路はハードウエアにより時間差で前記第2の電力供給路を遮断し、前記第2の電源回路の出力を停止するものであることを特徴とする請求項6記載の電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−94627(P2006−94627A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−276731(P2004−276731)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】