説明

電力増幅器の冗長電源のための回路構成

回路構成は、電力増幅器(1)、特に高周波数電力増幅器の冗長電源のために用いられる。この場合の電力増幅器(1)は、複数の出力段コンポーネント(21)及び複数の電源ユニット(2)を備える。電源ユニット(2)は、それらの負荷端接続において共に接続され、一緒に出力段コンポーネント(21)にエネルギを供給する。電源ユニット(2)が故障した場合、少なくとも2つの出力段コンポーネント(21)は、能動的にオフに切り替えられ、電力増幅器(1)が低減した出力電力ではあるが動作を継続できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力増幅器、特に無線及びテレビ信号をブロードキャストする通信で、携帯電話の基地局で、レーダ技術で、EMC測定技術で、及び科学的目的で大容量高周波数電力を生成するのに用いられるような高周波数電力増幅器のための冗長電源のための回路構成に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波数電力増幅器は、通常、高周波数出力段のコンポーネントにカプラ(パワー・スプリッタ及びパワー・カプラ)により接続された幾つかの単一高周波数出力段増幅器を有する。この方法でのみ、所望の総電力出力が達成される。これらの高周波数出力段増幅器のうちの1又は複数が故障すると、結果として出力電力が低下する。しかしながら、送信は、受信サイトにおける信号対雑音比S/Nの低下を伴って、低下した出力電力で依然として可能である。残りの出力電力は、式Pout=Pnom*m/nで計算できる。ここで、Poutは残りの出力電力を表し、Pnomは全ての出力段増幅器が機能しているときの公称出力電力を表し、[m]は機能している出力段増幅器の数を表し、[n]は出力段増幅器の総数を表す。
【0003】
これに対し、電源ユニットが故障すると、電源ユニットが冗長に実装されていない場合には、もはや送信できない。正確には、このような電源ユニットは、主電源と個々の装置内のコンポーネント群との間の接続を形成するので、比較的高い故障リスクがある。主電源の品質は、異なる国のみならず、工場内でも大きく変化するので、大きな電圧変動、電圧スパイク又は短時間の電源断は珍しいことではない。さらに、コンポーネント群が次第に高速且つ高出力になり、同時に更なる小型電源ユニットに対する要望の結果として、切り替えユニットは、多くの過負荷コンポーネントを有し、複雑になり、したがって統計的に故障しやすくなった。したがって、動作信頼度を向上させるために、電力増幅器の冗長電源が望ましい。
【0004】
多数の独立した高周波数電力増幅器に電力を供給する冗長構成の電源ユニットは、US6,064,260から知られている。各高周波数電力増幅器は、電源ユニット、高周波数電力段、線形化器を設け、高周波数電力段及び線形化器は、電源ユニットの負荷を表し、電源ユニットからエネルギを供給される。同時に、全ての電源ユニットが電源バスに接続される。電源ユニットが故障した場合、これは、スイッチを開き、電源ユニットを高周波数電力増幅器の負荷及び電源バスから分離するエラー信号を生成する。残りの電源ユニットは、それらが、電源ユニットがエネルギを失った高周波数電力増幅器に電力を供給し続けられるように定められる(dimensioned)。さらに、電流センサは、接続された負荷の消費電流を登録する。電流消費が所定の範囲内でない場合、これは高周波数電力段又は線形化器内のエラーを示す。次に、スイッチは、負荷を電力増幅器の電源ユニットから及び電源バスから切り離す。
【0005】
US6,064,260の構成の欠点は、一緒に高周波数電力増幅器を形成する個々の出力段の増幅器をオフに切り替えられないことである。高周波数増幅器は、動作し続けるか又は全体としてオフに切り替えられなければならない。後者の場合には、高周波数増幅器は信号の送信を停止してしまう。ここでは、低下した出力電力での動作のための準備は行われない。冗長性を保証するために、全ての電源ユニットは極めて過大でなければならない。例えば、2つの高周波数電力増幅器のみが、それぞれ、電源バスを介して電源ユニットに接続される場合、各電源ユニットは、故障の場合に他の電力増幅器にエネルギを供給できるようにするために、2倍の電力のために設計されなければならない。そうでなければ、高周波数増幅器の一方又は両方の電流センサはエラーを報告し、一方又は両方の高周波数増幅器を電源バスから対応するスイッチを介して切断するだろう。しかし、少なくとも1つの高周波数増幅器は完全に動作を停止するだろう。冗長性を達成するために、特に多くのキロワットの出力の電源ユニットを有する全体の構成のコストは有意に増大する。例えば、2つより多い高周波数電力増幅器が電源バスに接続される場合、電源ユニットの出力制限はある程度低減することができる。しかしながら、個々の電力増幅器の数に依存して同質の増幅器段に供給するために、異なる電源ユニットが用いられなければならない。異なる大きさの電源ユニットは、種々の数の電力増幅器を1つの筐体内に収容する均一的な設計を不可能にする。故障の場合には、使用されるスイッチは、幾つかの場合には、依然として100Aより多い短絡回路電流をオフに切り替え可能である必要がある。したがって、このようなスイッチの大きさ及びコストは、無視できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、高周波数電力増幅器の電源ユニットの冗長電源のためのスイッチ構成であって、少なくとも1つの電源ユニットが故障した場合に送信電力が低下するが、個々の電源ユニットは比較的低い電力制限を有し、動作を継続することを可能にする、スイッチ構成を提供することを目的とする。このために用いられる電源ユニットは、筐体の購入及び設計に関して望ましい一般条件を達成するために一様であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有するスイッチ構成により達成される。本発明の更なる有利な発展は、従属請求項の対象を形成する。
【0008】
本発明による切り替え装置は、電力増幅器、特に高周波数電力増幅器の冗長電源を設け、電力増幅器は、複数の出力段コンポーネント及び複数の電源ユニットを有する。電源ユニットは、それらの負荷端接続において接続され、出力段コンポーネントにエネルギを共同で供給する。少なくとも1つの電源ユニットが故障した場合、少なくとも1つの出力段コンポーネントは、直ちに能動的にオフに切り替えられる。
【0009】
電力増幅器の種々の出力段コンポーネントは、共通電源線により種々の電源ユニットから給電されるので、電源ユニットが故障したとき、残りの電源ユニットが強制的にその給電を引き継ぐことなく、動作が継続する。電源ユニットが故障した結果として、所与の数の出力段コンポーネントはオフに切り替えられ、送信電力は低減されるが、動作の継続は依然として可能である。したがって、電源ユニットの電力は、冗長性を失うことなく、通常動作に合わせることができる。さらに、電源ユニットは、同一の構造的形状を備えることが望ましく、これは筐体への統合を容易にする。
【0010】
本発明の更なる利点は、全ての電源ユニットが、それらの共通の負荷端接続点により少なくとも1つの共通フィルタに接続されることである。特に、例えば、数キロワットの高電力では、電源ユニットを出力段コンポーネントの高周波数エネルギの影響から保護する共通フィルタは、別個のフィルタが各電源ユニットに用いられる場合よりも遙かに望ましい。このような共通フィルタに必要な空間は、複数の個々のフィルタと比較して有意に少ない。
【0011】
また、有利なことに、電力増幅器の出力段コンポーネントと同様に、前置増幅器、ドライバ増幅器、制御部、高周波数検出器を含む電力制御ユニット、エラー制御ユニット及び複数のファンのような電力増幅器内の機能ユニットも、共通電源線を介して全ての電源ユニットから給電される。このように、種々の中央コンポーネントは、出力段コンポーネントと同様に、更なる電源ユニットの形式で追加コストを招くことなく、冗長にエネルギを供給されうる。
【0012】
本発明による冗長電源のための切り替え装置の一実施形態の利点は、故障したとき、各電源ユニットが状態線を介してエラー信号を出力し、このエラー信号は所与の数の出力段コンポーネントをオフに切り替えるために用いられることである。これはスイッチ素子を介して達成される。このスイッチ素子は、影響を受ける出力段コンポーネントのパワー・トランジスタのバイアス電圧を例えばアースに接続する。このように、相互変調生成物を回避するために、高周波数制御電力は、スイッチ素子を介して出力段コンポーネントと切断される。この目的のため、90°ハイブリッド・カプラにより纏めて制御されるこれらの出力段コンポーネントは、結果として生じる反射を負荷平衡抵抗器に向けるために、常に対でオフに切り替えられる。
【0013】
これは、厳密に同一の動作条件が、残りの依然として動作している出力段コンポーネントにも、レベル又は周波数応答の点で、広がることを保証する。この状況では、スイッチ素子は、非常に小さい信号電流を切り替える必要があるだけなので、SMDコンポーネント(表面実装素子、表面実装コンポーネント)から構成することができる。
【0014】
2以上の電源ユニットを有する本発明による更なる実施形態では、状態線は、全ての電源ユニットのオープン・コレクタ出力で、互いに及び所与の数のスイッチ素子及び/又は出力段コンポーネントの切り替えユニットに直接接続される。状態線の相互接続は、OR関数のように動作する。これは、更なる制御ユニットを有することなく、電源ユニットが故障したときに、必要な数の出力段コンポーネントがオフに切り替えられることを保証し、動作は、出力電力の低下を伴うが、残りの電源ユニットを介して維持される。
【0015】
本発明の更なる実施形態では、各電源ユニットの状態ユニットは、個々に論理ユニットに接続される。したがって、論理ユニットの出力は、異なるスイッチ素子及び切り替えユニットに接続される。論理ユニットは、1又は複数の電源ユニットが故障したときに、いくつの及びどの出力段コンポーネントがオフに切り替えられるかを決定する。このように、最小限の数のスイッチ素子及び切り替えユニットで十分に高い冗長性を達成することができる。
【0016】
本発明の別の例示的な実施形態は、単なる例として、図面を参照して記載される。同一の参照符号は同一の対象を表す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】電力増幅器の冗長電源のための本発明による回路構成の第1の例示的な実施形態の回路図を示す。
【図2】電力増幅器の冗長電源のための本発明による回路構成の第2の例示的な実施形態の回路図を示す。
【図3】電力増幅器の冗長電源のための本発明による回路構成の第3の例示的な実施形態の回路図を示す。
【図4】電力増幅器の冗長電源のための本発明による回路構成の第4の例示的な実施形態の回路図を示す。
【図5】本発明によるスイッチ素子の90°ハイブリッド・カプラへの例示的な接続を示す。
【図6】電力増幅器の冗長電源のための本発明による回路構成のスイッチ素子の第1の例示的な実施形態の回路図を示す。
【図7】本発明による構造及び例示的な実施形態による切り替えユニットの接続を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、電力増幅器1の冗長電源のための本発明による回路構成の回路図を示す。電力増幅器1は、2つの電源ユニット2を備える。電源ユニット2は、入力端で、望ましくは主電源から接続3を介してエネルギを引き出す。2つの電源ユニット2の負荷端出力は、節点4で互いに接続される。2つの電源ユニット2は、並列に接続される。線5を介して、2つの電源ユニット2は互いに同期し、節点4に接続された負荷が2つの電源ユニット2の間で一様に分配されるようにし、各電源ユニット2がいずれの場合にも同一の電力を提供するようにする。
【0019】
2つの電源ユニット2の負荷端接続において、共通フィルタ6が節点4に接続される。このフィルタ6は、2つの電源ユニット2を、それらの負荷端出力において、増幅器で生じる高周波数エネルギを通じた干渉から保護する。フィルタ6は、Tフィルタ又はPIフィルタとして実現することができる。このフィルタは、例えば最大150Aまでの電流のために設計されている。 2つの電源ユニット2の相互接続及び結果としてもたらされる共通電源線を通じて、このフィルタは1回のみ必要とされる。これは、空間及びコストの節約を達成する。さらに、2つの電源ユニット2は、故障の場合に、影響を受ける電源ユニット2がその負荷端出力において短絡回路を接続しないように設けられる。さらに、2つの電源ユニット2は、それぞれ電源ユニット2にオープン・コレクタ(open collector)を介して接続される状態線7、7を備える。電源ユニット2が故障した場合、状態線7、7はアースに接続される。
【0020】
共通電源線8は、2つの電源ユニット2にフィルタ6を介して接続され、電力増幅器1内の多数の個々のコンポーネント群に電力を供給する。これらのコンポーネント群のうちの幾つかは、電力増幅器1の動作に必要であり、全体の故障を回避するために、電源ユニット2が故障した場合にも強制的にエネルギを供給され続けなければならない。これらのコンポーネント群は、中央機能ユニット9、つまり、制御部10、高周波数検出器12を備えた電源レギュレータ11、エラー・モニタ13、少なくとも1つのファン14、前置増幅器15及びドライバ増幅器16のようなコンポーネントを有する。これらの機能ユニット9の全ては共通電源線8に接続される。
【0021】
入力17において、信号源からの増幅されるべき信号は、図示されないが、電力増幅器1の前置増幅器15に供給される。前置増幅器15の出力は、ドライバ増幅器16の入力に接続される。ドライバ増幅器16の出力は、パワー・スプリッタ18に接続される。パワー・スプリッタ18は、望ましくは90°ハイブリッド・カプラとして実装される3つのカプラ19、19、19を有し、入力信号を比較的低いレベルの幾つかの出力信号に分割する。第1のカプラ19は、例えばウィルキンソン・カプラとして実装することもでき、又は任意の設計を設けることもできる。しかしながら、第1のカプラ19は、この場合、90°ハイブリッド・カプラとして実現され、その入力はドライバ増幅器16の接続に接続される。第1の90°ハイブリッド・カプラ19の出力は、負荷平衡抵抗器20を介してアースに接続される。負荷平衡抵抗器20は、入力と出力との間の電力差を吸収する。第1の90°ハイブリッド・カプラ19の別の出力は、第2のハイブリッド・カプラ19の入力に接続される。第1の90°ハイブリッド・カプラ19の第3の出力は、第3の90°ハイブリッド・カプラ19の入力に接続される。ドライバ増幅器16から来る信号は、第1の90°ハイブリッド・カプラ19の出力において及び第2の90°ハイブリッド・カプラ19の入力において−90°の位相変位を提供する。
【0022】
第2の90°ハイブリッド・カプラ19は、1つの出力において、アースに接続された負荷平衡抵抗器20を備える。90°ハイブリッド・カプラ19の別の出力は、出力段コンポーネント21に接続される。出力段コンポーネント21の入力における信号は、ドライバ増幅器16の出力における信号に対して−180°変位している。90°ハイブリッド・カプラ19の別の出力は、出力段コンポーネント21に接続される。出力段コンポーネント21の入力における信号は、ドライバ増幅器16の出力における信号に対して−90°変位している。
【0023】
第3の90°ハイブリッド・カプラ19は、1つの出力において、アースに接続された負荷平衡抵抗器20を備える。90°ハイブリッド・カプラ19の別の出力は、出力段コンポーネント21に接続される。出力段コンポーネント21の入力における信号は、ドライバ増幅器の出力における信号に対して変位しない。90°ハイブリッド・カプラ19の別の出力は、出力段コンポーネント21に接続される。出力段コンポーネント21の入力における信号は、ドライバ増幅器16の出力における信号に対して−90°変位している。
【0024】
3つの90°ハイブリッド・カプラ19、19、19を介して、入力信号は4つの信号に分割される。これらの4つの信号は、入力信号に対して位相変位し、それらのレベルは、それぞれの場合に、入力信号のレベルの4分の1に一致している。第1の90°ハイブリッド・カプラ19は、ウィルキンソン・カプラとして実装することもできる。これらのカプラの出力における信号は、この例では互いに対して如何なる位相変位もない。
【0025】
異なる出力段コンポーネント21、21、21、21は、同一に構築されることが望ましい。90°ハイブリッド・カプラ192、193の出力から来る入力信号は、パワー・スプリッタ22に供給される。このパワー・スプリッタは、入力信号を均一に2つの信号に分割する。これらの信号は、それぞれ出力段増幅器23に供給される。これらの出力段増幅器23のそれぞれは、共通電源線8に接続される。これらの出力段増幅器23のそれぞれの出力は、パワー・カプラ25に接続される。このパワー・カプラ25は、2つの信号を結合して、比較的高い振幅を有する1つの信号を形成する。この例示的な実施形態では、電力増幅器は、少なくとも2つの電源ユニット2及び少なくとも4つの出力段コンポーネント21を備える。電源ユニットは、それらの負荷端接続において共に接続され、出力段コンポーネントにエネルギを供給する。2つの出力段コンポーネント21、21及び21、21は、それぞれ1つの90°ハイブリッド・カプラ19、19、19により駆動され、それぞれ出力段コンポーネント32及び32を形成する。電源ユニット2が故障した場合に、2つの出力段コンポーネント21、21若しくは21、21、又は出力段コンポーネント32、32のような対応する1つは、能動的にオフに切り替えられる。
【0026】
能動的にオフに切り替えるという概念は、この例示的な実施形態では、出力段コンポーネント21のパワー・トランジスタのバイアス電圧がオフに切り替えられるだけでなく、影響を受ける出力段コンポーネント21の高周波数制御電力も切断されることを意味すると理解されるべきである。これは、影響を受ける電源ユニット2からの出力である、状態線7上の制御信号を用いて直接的に実施される。ここで、例えば線上の電流を検出し及び遅延した調整命令を出力する如何なる追加の装置も必要ない。この制御信号は、切り替えユニット31及び影響を受ける出力段コンポーネント21のスイッチ素子30に供給される。制御信号は、例えば電源ユニット2の故障を示すエラー信号であってもよい。しかしながら、制御信号自体は、負荷状態の分類が重篤に達するか、又は電源ユニット2内のコンポーネントが所定のパラメータの外側で動作すると直ぐに出力されうる。正確には、この最後の動作状態は、外部機器に登録することができない。
【0027】
種々の出力段コンポーネント21、21、21、21のパワー・カプラ25の出力は、パワー・カプラ26に接続される。この例のパワー・カプラ26は、パワー・スプリッタ18の3つの90°ハイブリッド・カプラ19、19、19に対向して配置された3つのハイブリッド・カプラ27、27、27を有する。したがって、互いに位相変位された個々の入力信号は、入力信号がそれぞれの場合に共に加算され互いに相殺しないように、結合され出力信号を形成する。出力接続29において、出力信号が供給される。この出力信号の振幅は、個々の出力段コンポーネント21、21、21、21の個々の出力段増幅器23の出力における信号の振幅の和を結合したものである。
【0028】
この目的のため、第1の出力段コンポーネント21の出力における信号は、第2の90°ハイブリッド・カプラ27の第1の入力に供給される。第2の出力段コンポーネント21の出力における更なる信号は、第2の90°ハイブリッド・カプラ27の第1の入力に供給される。第1の90°ハイブリッド・カプラ27の出力は、アースに接続される負荷平衡抵抗器28に接続される。第2の90°ハイブリッド・カプラの第2の出力に現れる信号は、第2の90°ハイブリッド・カプラ27により−90°だけ変位され、したがって90°ハイブリッド・カプラ27の第1の出力に現れる信号と同相である。2つの信号の和は、90°ハイブリッド・カプラ27の更なる出力に現れ、第1の90°ハイブリッド・カプラ27の第1の入力に接続される。
【0029】
同様のことが、パワー・カプラ26の第3の90°ハイブリッド・カプラ27の信号についても適用される。第3の出力段コンポーネント21の出力における信号は、第3の90°ハイブリッド・カプラ27の第1の出力に供給される。第4の出力段コンポーネント21の出力における更なる信号は、第3の90°ハイブリッド・カプラ27の第2の入力に供給される。90°ハイブリッド・カプラ27の出力は、アースに接続される負荷平衡抵抗器28に接続される。第3の90°ハイブリッド・カプラの第1の入力に現れる信号は、第3の90°ハイブリッド・カプラ27により−90°だけ変位され、したがって90°ハイブリッド・カプラ27の第1の入力に現れる信号と同相である。2つの信号の和は、90°ハイブリッド・カプラ27の更なる出力に現れ、90°ハイブリッド・カプラ27の第2の入力に接続される。
【0030】
第1の90°ハイブリッド・カプラ27の出力は、アースに接続される負荷平衡抵抗器28に接続される。第1の90°ハイブリッド・カプラの第2の入力に現れる信号は、第1の90°ハイブリッド・カプラ27により−90°だけ変位され、したがって90°ハイブリッド・カプラ27の第1の入力に現れる信号と同相である。2つの信号の和は、90°ハイブリッド・カプラ27の更なる出力に現れ、出力接続29に接続される。
【0031】
カプラ27は、90°ハイブリッド・カプラである必要はない。カプラ27は、例えばウィルキンソン・カプラとして実装できる。しかしながら、両方のカプラ19及び27が同じ種類であれば有利である。
【0032】
電源ユニット2が故障した場合、電力増幅器1が低下した出力電力でも動作し続けるために、差し支えない消費部品は、残りの消費部品が依然として利用可能な電源ユニット2により電力を供給され続けられるように、オフに切り替えられなければならない。この例では、中央機能ユニット9はエネルギを供給されるべきであることが考慮されなければならない。本発明のこの例示的な実施形態では、各電源ユニット2は、2つの出力段コンポーネント21及び中央機能ユニット9にエネルギを供給することができる。一方の電源ユニット2が故障した場合、関連する状態線7又は7の電位は、オープン共通コレクタ回路によりアースに接続される。
【0033】
したがって、第1の電源ユニット2の状態線7は、スイッチ素子30に接続される。これは、図示されず、出力段コンポーネント21及び21の出力段増幅器23の内部に配置される。図示されないこのスイッチ素子30を介して、出力段増幅器23の内部の個々のパワー・トランジスタのバイアス電圧はオフに切り替えられる。したがって、出力段ユニットの電力入力は、殆どゼロまで低減される。しかしながら、出力段増幅器23は、パワー・スプリッタ18、22を介して一定の高周波数入力電力を供給され続ける。使用される増幅技術に依存して、相互変調生成物が、パワー・カプラ25及び27を介して電力増幅器1の出力接続29に到達し、出力段増幅器23内で生じうる。これは、個々のパワー・トランジスタが、この場合には堅調に非線形に動作するからである。
【0034】
したがって、高周波数入力電力が、既に能動的にオフに切り替えられている出力段増幅器23から切断される必要が依然として存在する。この目的のため、パワー・スプリッタ19の2つの出力を出力段コンポーネント21及び21の入力に接続する線は、切り替えユニット31を介してアースに接続される。以下に更に詳細に記載される切り替えユニット31は、状態線7のエラー信号を介してアクティブにされる。したがって、これ以上は、高周波数入力電力は、既に能動的にオフに切り替えられている出力段増幅器23に供給されない。したがって、これ以上は、相互変調生成物は、電力増幅器1の出力接続29において生じない。しかしながら、この設計は、パワー・スプリッタ18が90°ハイブリッド技術を用いて構築される場合に、意味があり可能なだけである。この例では、パワー・スプリッタ18の誤差整合の発生は、パワー・カプラのバイアス電圧がオフに切り替えられている間、及び高周波数入力電力が切断されている間のみ、確実に回避されるだけである。したがって、反射電力は、負荷平衡抵抗器で吸収される。これは、顕著な波形及び関連する不要な周波数応答の発生を回避する。依然として動作中の残りの出力段コンポーネントは、オフに切り替えられている出力段コンポーネントにより影響を受けることなく、動作点において同一の入力信号により動作し続ける。切り替えユニット31は、例示的な実施形態では90°ハイブリッド・カプラとして実装され負荷平衡抵抗器を設けなければならないパワー・スプリッタ22の後ろに配置できる。詳細な説明は、図5の説明で提供される。
【0035】
同様のことが、出力段コンポーネント21、21に適用される。第2の電源ユニット2の状態線7は、ここでは、スイッチ素子30に接続される。これは、図示されず、出力段コンポーネント21及び21の出力段増幅器23の内部に配置される。第2の電源ユニットが故障した場合、出力段増幅器23内の個々のパワー・トランジスタのバイアス電圧は、状態線7上のエラー信号により、ここでは図示されないスイッチ素子30を通じてオフに切り替えられる。
【0036】
内部変調生成物を回避するため、高周波数入力電力は、出力段コンポーネント21、21の既に能動的にオフに切り替えられた出力段増幅器23から切断できる。これは、既に説明したように、パワー・スプリッタ18の2つの出力を出力段コンポーネント21及び21の入力に接続する線がそれぞれ切り替えユニット31を介してアースに接続されるので起こる。これらの切り替えユニット31は、状態線7のエラー信号により駆動される。
【0037】
図示された種類の結線では、各電源ユニット2の状態線7は、所与の数のスイッチ素子30及び切り替えユニット31に接続される。しかしながら、この種の結線は、n個の電源ユニット2に対して無制限に連続することができる。この例では、n個の電源ユニット2の状態線7は、p個のスイッチ素子30及び任意的にq個の切り替えユニット31に接続される。したがって、パワー・スプリッタ18及びパワー・カプラ26は、この例示的な実施形態では、示されるより多くの90°ハイブリッド・カプラ20、27を備えなければならない。
【0038】
図2は、電力増幅器1の冗長電源のための本発明による回路構成の更なる例示的な実施形態の回路図を示す。電力増幅器1の構造に依存して、電力増幅器の更なる動作が固定電力出力まで可能かなだけかどうかが重要である。1又は複数の電源ユニットが故障した場合、残りの出力電力は、冒頭で提供された式に従って計算できる。図2の例示的な実施形態では、電力増幅器1は、正確に2つの電源ユニット2によりエネルギを供給される。一方の電源ユニット2が故障した場合、電力増幅器1の更なる動作は、依然として意味があり可能であるが、両方の電源ユニット2が故障した場合は、動作はもはや不可能である。
【0039】
スイッチ素子30及び切り替えユニット31の数を低減し、それにより電力増幅器1のコストを低減するために、いずれかの電源ユニット2が故障した場合は常に、スイッチ素子30及び任意的に切り替えユニット31を備えた出力段コンポーネント21は、オフに切り替えられる。この例では、電源ユニット2が故障した場合には常に、出力段ユニット32は能動的にオフに切り替えられる。したがって、この例では、全ての電源ユニット2の状態線7は、節点40において全て互いに接続される。各状態線7は電源ユニット2のオープン・コレクタ出力に接続されるので、節点40における共通接続はOR接続として機能する。この例示的な実施形態では、電源ユニット2が不良により故障した場合、故障した電源ユニット2は、状態線7を介して共通エラー信号を出力する。この共通エラー信号は、パワー・スプリッタ19の出力に接続された出力段コンポーネント21、21のパワー・トランジスタのバイアス電圧をオフに切り替える。したがって、出力段コンポーネント21、21は、ほぼ無電流状態に切り替えられる。任意的に、高周波数入力電力は、共通エラー信号が状態線7を介して供給される切り替えユニット31を備えた出力段コンポーネント21、21から切断されたままであってもよい。しかしながら、他の出力段コンポーネント21、21はオフに切り替えられない。
【0040】
提供された説明を除いて、電力増幅器1の冗長電源の回路構成のための本発明によるこの更なる例示的な実施形態の構造及び機能する方法は、図1の例示的な実施形態に対応する。ここで、図1を参照する。
【0041】
本発明による更なる例示的な実施形態では、図示されないが、2つより多い電源ユニット2が図2の電力増幅器1に統合されてもよい。したがって、出力段コンポーネント21の数、パワー・スプリッタ18及びパワー・カプラ26内の90°ハイブリッド・カプラ19、27の数は、スイッチ素子30及び切り替えユニット31と同様に適宜増加できる。例えば、電力増幅器1は、8個の出力段コンポーネント21及びそれぞれにパワー・スプリッタ18及びパワー・カプラ26内に7個の90°ハイブリッド・カプラ19、27を備える。これらは、共に、電源ユニット2により電力を供給される。しかしながら、1つより多い電源ユニット2が故障したときの動作は幾つかの用途では意味がないので、2つの出力段コンポーネント21のみが、スイッチ素子30及び切り替えユニット31に接続できる。
【0042】
図3は、本発明による別の例示的な実施形態を示す。図3は、基本的に図2の回路図の拡張である。したがって、ここで図2の説明を参照する。図2とは対照的に、n個の電源ユニット2が、n個の出力段ユニット32、32、32にエネルギを供給している。n個の電源ユニット2の全ての状態線7は、節点40において互いに直接接続される。状態線7は電源ユニット2のオープン・コレクタ出力に取り付けられるので、節点40はOR関数と考えられる。節点40は、出力段ユニット32のスイッチ素子30及び切り替えユニット31にのみ接続される。これに続き、どの電源ユニット2が故障するかに関わらず、出力段ユニット32の出力段コンポーネント21は、常に能動的にオフに切り替えられる。或いは、n個の電源ユニット2のうちの少なくとも1つが故障した場合、出力段コンポーネント21並びに共通エラー信号が供給されるスイッチ素子30及び/又は切り替えユニット31を備えた対応する出力段ユニット32のパワー・トランジスタのバイアス電圧は、オフに切り替えられる。
【0043】
図2と比較すると、図3には明らかにかなり多くのカプラがある。明確化のため、出力段コンポーネント21及び出力段ユニット32乃至32に直接接続される90°ハイブリッド・カプラのみがそれぞれ示される。しかしながら、90°ハイブリッド・カプラの構造及び結線は、図2と同様に実施される。本発明によるこの更なる例示的な実施形態の特定の利点は、結線コストが低減されることである。なぜなら、正確には最高で1つの電源ユニット2が故障した場合、又は電源ユニット2が、2つの電源ユニット2が同時に故障する可能性が低いという良好な信頼性を提供する場合、動作は依然として意味があると考えられるからである。
【0044】
図4は、電力増幅器1の冗長電源のための本発明による回路構成の更なる例示的な実施形態の回路図を示す。構造及び機能する方法は、実質的に図1のものと対応する。対照的に、本発明によるこの例示的な実施形態は、n個の電源ユニット2を1つの電力増幅器1に統合でき、それによりスイッチ素子30及び切り替えユニット31の数、したがって生産コストを可能な限り低く保つ回路構成を提供する。
【0045】
全ての電源ユニットは、それらの負荷端接続において共に接続される。この例示的な実施形態では、種々の電源ユニット2の個々の状態線7は、1若しくは複数のスイッチ素子30又は1若しくは複数の切り替えユニット31に又は互いに直接接続されない。これらn個の電源ユニット2からの全ての状態線7は、それぞれ、論理ユニット50の入力に接続される。ここで、論理ユニット50の最大n−1本の出力線は、最大n−1個の出力段ユニット32のスイッチ素子30又は切り替えユニット31に接続される。また、出力段ユニット32は2つの出力段コンポーネント21を備える。ここで、有利なことに、スイッチ素子30及び任意的に切り替えユニット31に適合しなければならない出力段コンポーネント21の数だけ、故障しうる電源ユニット2が存在し、動作は依然として可能なままである。
【0046】
論理ユニット50は、故障した電源ユニット2の数を電源ユニット2の状態線7のエラー信号を介して登録し、必要な数の出力段コンポーネント21をオフに切り替える。出力段コンポーネント21の増幅器ユニット23のパワー・トランジスタのバイアス電圧は、スイッチ素子30を介してオフに切り替えられる。また、任意的に、出力段コンポーネント21の入力からの高周波数入力電力は、切り替えユニット31を介してアースに接続される。したがって、電力は反射され負荷平衡抵抗器に供給される。スイッチ素子30及び切り替えユニット31は、論理ユニット50により主として制御される。したがって、スイッチ素子30及び切り替えユニット31の数は少なく保たれ、電源ユニット2の故障は、各々、論理ユニット50により登録され、切り替え動作が同時に実施される。論理ユニット50は、共通電源線に接続される。共通電源線には中央機能ユニット9も接続される。
【0047】
論理ユニット50自体は、ANDゲート及びORゲートのような個々の論理機能を有してもよい。論理ユニット50は、有利なことに、マイクロコントローラで又はプログラマブル論理モジュールFPGAで実現される。このようなモジュールは、制御及び調整のために既に備えられており、ソフトウェア変更を介して簡単に変更が実施できるという利点を提供する。パワー・スプリッタ18及びパワー・カプラ26は、所要の数の90°ハイブリッド・カプラを含む。第1/第2の90°ハイブリッド・カプラと及び第3の90°ハイブリッド・カプラとの間の接続は、点線により示される。出力段コンポーネント21の数に依存して、示されるより多くの90°ハイブリッド・カプラをパワー・スプリッタ18及びパワー・カプラ26内に設けることができる。
【0048】
同様に、更なる出力段コンポーネント21が点線により示され、n個の出力段コンポーネント21の全ての1つの電力増幅器1内に組み込まれることを示している。これは、本発明によるスイッチ構成を用いて、幾つかの電源ユニット2、出力段コンポーネント21及びカプラによる使用のために、どのように電力増幅器1が非常に簡単に調整されるかを示す。点線で示される出力段コンポーネント21は、中央論理ユニとから制御されるスイッチ素子30及び切り替えユニット31を備える。さらに、更なる出力段コンポーネント21への接続は、点線で示され、表示された出力段コンポーネント21と共に出力段ユニット32を形成する。しかしながら、全ての更なる出力段コンポーネント21は、必ずしもスイッチ素子30及び切り替えユニット31を有する必要はない。
【0049】
電力増幅器1の冗長電源のための回路構成の本発明によるこの更なる例示的な実施形態を通じて、電源のための高い冗長性を有するシステムを、最大n個の電源ユニット2の使用のために、少数のスイッチ素子30及び切り替えユニット31で作ることができる。
【0050】
例として選択された出力分割器18の90°ハイブリッド・カプラ19に関連して、図5は、何故、90°ハイブリッド・カプラ19の2つの出力が切り替えユニット31によりアースに同期して接続される必要があるかを説明する。負荷平衡抵抗器20に加えて、90°ハイブリッド・カプラ19は、2つの出力に切り替えユニット31を備える。切り替えユニット31は、出力をアースに接続でき、それにより2つの出力信号を出力接続61、62から切断する。出力段コンポーネント21、21は、出力接続61、62に接続される。高周波数信号は、入力接続60に接続される。通常動作中、2つの出力段コンポーネント21、21は動作しており、切り替えユニット31は図5に示される位置に配置される。入力接続60における高周波数信号の一部は、出力接続62を通じて出力段コンポーネント212に導かれる。高周波数信号の別の部分は、90°ハイブリッド・カプラ192を通じて流れ、−90°の位相変位を有して出力接続61を通じて出力段コンポーネント21へ導かれる。整合している場合には、電力は負荷平衡抵抗器20へ導かれない。
【0051】
出力段コンポーネント21、21がオフに切り替えられる場合、切り替えユニット31は閉じられ、90°ハイブリッド・カプラ19の2つの出力をアースに接続する。入力60に接続される信号の一部は、第2の出力接続62へ向かう方向に、90°ハイブリッド・カプラ19を通じて移動する。90°ハイブリッド・カプラ19のこの出力における信号の位相変位は、0°である。信号は節点63で反射される。節点63は、スイッチ素子31を通じてアースに接続される。ここで、位相変位は0°のままである。この反射信号の一部は、90°ハイブリッド・カプラ19の第2の出力から、ハイブリッド・カプラ19の入力接続60へ戻り、そこで0°の位相変位を提供する。この反射信号の一部は、90°ハイブリッド・カプラ19の第2の出力から、90°ハイブリッド・カプラ19を通って移動し、負荷平衡抵抗器20が接続されたハイブリッド・カプラ19の出力において−90°の位相変位をもって現れる。第2の出力において現れない、90°ハイブリッド・カプラ19の入力接続60における信号の一部は、90°ハイブリッド・カプラ19を通過し、第1の出力において−90°の位相変位をもって現れる。節点64はアースに接続され、90°ハイブリッド・カプラ19の第1の出力に接続される信号が反射されるようにする。ここで、位相変位は−90°のままである。反射信号の一部は、90°ハイブリッド・カプラ19を通過し、負荷平衡抵抗器20が接続されている点で−90°の位相変位をもって出る。
【0052】
第2の出力から来る信号及び第1の出力から来る信号は、負荷平衡抵抗器20が接続されている点で同じ−90°の位相変位を備える。2つの信号は加算され、エネルギは負荷平衡抵抗器20により吸収される。この反射信号の別の一部は、第1の出力から90°ハイブリッド・カプラ19を通過し、ハイブリッド・カプラ19の入力60へ戻り、そこで−180°の位相変位を提供する。ここで、第2の入力から来る信号は、0°の位相変位を提供する。2つの信号は、それらの振幅に関して同一の大きさを有するが、位相は180°異なる。したがって、それらは入力30において互いに打ち消し合う。これは、2つの出力からの全ての反射電力が、負荷平衡抵抗器20を通り、そこで完全に吸収されることを意味する。したがって、如何なる電力も入力60に反射されない。入力60は、切り替え前と同じ良好な整合を提供する。したがって、依然として動作中の出力段増幅器の性能に影響を与えうる望ましくない周波数応答の発生を防ぐことができる。しかしながら、これは、90°ハイブリッド・カプラ19の2つの出力が同調して互いに接続されるときにのみ生じる。これは、提示された本発明の例示的な実施形態の全ての場合に当てはまる。
【0053】
図6は、本発明による電力増幅器1の冗長電源のための回路構成のスイッチ素子30の可能な実施形態、及びそれがパワー・トランジスタのバイアス電圧をオフに切り替えるためにどのように用いられるかを示す。電圧が、接続71に印加され、直列抵抗器72を通じて節点74に、したがってトランジスタ75のコレクタに供給される。トランジスタ75のベースは、信号線7に接続される。信号線7を通じて、電源ユニット2又は論理ユニット50から来るエラー信号が、トランジスタ75に供給される。エミッタはアースに接続される。更なるトランジスタ76のベースは、節点74に接続される。更なるトランジスタ76のエミッタは、再びアースに接続される。トランジスタ76のコレクタは、パワー・トランジスタのベース81又はゲート81にインダクタンス77を介して接続される。
【0054】
DC電圧は、接続80に印加され、パワー・トランジスタのベース又はゲート81に、インダクタンス78及び直列抵抗器79を通じて供給される。インダクタンス78は、高周波数信号がDC電圧源に結合されないよう機能する。通常動作中、トランジスタ75は導通し、それによりトランジスタ76を抑制する。エラーが生じた場合、トランジスタ76が導通し始めると直ぐに、トランジスタ75が抑制される。DC電圧成分は、直列抵抗器79及びインダクタンス78を通じてパワー・トランジスタのベース又はゲート81に印加され、再びインダクタンス77及びトランジスタ76を通じてアースに排出される。出力信号は、論理ユニット50を介して直接反転されるので、トランジスタ75は不要である。トランジスタに加え、他の半導体部品も使用できる。リレーのような機械的スイッチも、スイッチ素子30のために使用できる。信号ストリームのみが接続され、従って如何なる高電力も接続されないので、SMD技術により提供される小型且つコスト効率の良い構造を用いることが可能である。
【0055】
図7は、本発明による電力増幅器1の冗長電源のための回路構成のスイッチユニット31の可能な実施形態、及びそれが高周波数入力電力を出力段コンポーネント21と切断するためにどのように用いられるかを示す。入力接続63、64は、図5の節点63又は節点64に対応する。これは、結合キャパシタ95を介して節点98に接続され、したがって出力接続61、62に接続される。これも図5に示される。PIN(positive intrinsic negative)ダイオード96のカソードは、節点98に接続される。PINダイオード96のアノードは、一方ではキャパシタ97を通じてアースに接続され、他方ではインダクタンス99を通じて入力接続91に接続される。
【0056】
さらに、節点98は、一方ではインダクタンス94を介してトランジスタ93のコレクタに接続され、他方では直列抵抗器92に接続される。直列抵抗器92は、その第2の出力で入力接続90に接続される。トランジスタ93のエミッタは、アースに接続される。更なるトランジスタ100のコレクタは、トランジスタ93のベースに接続される。DC電圧は、直列抵抗器101を介してトランジスタ100のコレクタに接続される。トランジスタ100のエミッタはアースに接続され、状態線7を通じて来るエラー信号は、トランジスタ100のベースに接続される。入力接続91に印加されるDC電圧より大きいDC電圧が、入力接続90に印加されなければならない。
【0057】
通常動作中、トランジスタ100は導通し、トランジスタ93は抑制される。ダイオード96のカソードにおける電圧は、ダイオード96のアノードにおける電圧よりも高い。ダイオード96は、この状態では非導通である。入力接続63、64に加えられる高周波数入力電力は、出力接続61、62においてタップすることができる。
【0058】
エラーが生じた場合、トランジスタ93が導通し始めると直ぐに、トランジスタ100が抑制される。ダイオード96のカソードにおける電位は、インダクタンス94及びトランジスタ93を通じてアースに引き込まれる。アノードにおける電位が変わらないので、ダイオード96は導通し始める。高周波数入力電力は、結合キャパシタ95及びキャパシタ97を通じてアースに導かれ、高周波数の全反射が節点61、64において生じる。これは、節点63、64に供給される信号が全て反射されることを意味する。インダクタンス94及び99は、高周波数入力電力の一部がDC電源回路内に結合されるのを防ぐ。
【0059】
本発明は提示された例示的な実施形態に限定されない。記載及び/又は説明された全ての要素は、本発明の枠組みの範囲内で必要に応じて結合することができる。エラー信号が論理ユニット50を介して反転される場合、例えば、トランジスタ100は不要である。示されたPINダイオード回路の代わりに、回路は、リレーを備えて構成することもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力増幅器の冗長電源のための回路構成であって、前記電力増幅器は、複数の出力段コンポーネント及び複数の電源ユニットを備え、前記電源ユニットは、該電源ユニットの負荷端接続において共に接続され、前記出力段コンポーネントにエネルギを供給し、
少なくとも1つの電源ユニットが故障したとき、少なくとも1つの出力段コンポーネントが能動的にオフに切り替えられる、回路構成。
【請求項2】
2つの出力段コンポーネントは、それぞれ90°ハイブリッド・カプラを介して制御され、出力段ユニットを形成する、請求項1に記載の回路構成。
【請求項3】
故障したとき、各電源ユニットは、状態線を介してエラー信号を出力し、前記少なくとも1つの出力段コンポーネントのオフへの切り替えは、前記エラー信号に従って実施される、請求項1又は2に記載の回路構成。
【請求項4】
各電源ユニットの前記状態線は、共通エラー信号が出力されるように互いに接続される、請求項3に記載の回路構成。
【請求項5】
n個の電源ユニットの前記状態線は、論理ユニットの入力にそれぞれ接続され、
前記論理ユニットのn−1本の出力線は、それぞれ少なくとも1つの出力段コンポーネントに接続される、請求項3に記載の回路構成。
【請求項6】
少なくとも1つの電源ユニットが故障したとき、該電源ユニットの前記エラー信号が供給された前記出力段コンポーネントは、スイッチ素子を介して、前記出力段コンポーネントのパワー・トランジスタのバイアス電圧をアースに接続することにより、オフに切り替えられる、請求項3乃至5のいずれか一項に記載の回路構成。
【請求項7】
前記出力段コンポーネントは、前記切り替えユニットにより高周波数制御電力と切断され、前記電源ユニットの前記エラー信号は、前記切り替えユニットに供給される、請求項6に記載の回路構成。
【請求項8】
少なくとも1つの電源ユニットが故障したとき、前記共通エラー信号が供給されたスイッチ素子を備える前記出力段コンポーネントの前記パワー・トランジスタの前記バイアス電圧は、オフに切り替えられる、請求項4に記載の回路構成。
【請求項9】
前記切り替えユニットを有する前記出力段コンポーネントは、該切り替えユニットにより高周波数制御線と切断され、前記共通エラー信号は、前記切り替えユニットに供給される、請求項8に記載の回路構成。
【請求項10】
n−1個の電源ユニットが故障したとき、最大でn−1個の出力段コンポーネントの前記パワー・トランジスタのバイアス電圧は、それぞれスイッチ素子によりオフに切り替えられ、各スイッチ素子は、前記論理ユニットの出力に接続される、請求項5に記載の回路構成。
【請求項11】
最大でn−1個の出力段コンポーネントは、それぞれ切り替えユニットにより高周波数制御線と切断され、該切り替えユニットは前記論理ユニットの出力線に接続される、請求項10に記載の回路構成。
【請求項12】
前記切り替えユニットは、PINダイオードを備え、該PINダイオードを通じて、前記高周波数制御電力がアースに接続される、請求項7又は9又は11に記載の回路構成。
【請求項13】
前記90°ハイブリッド・カプラは、負荷平衡抵抗器を備え、反射電力は該負荷平衡抵抗器に吸収される、請求項2に記載の回路構成。
【請求項14】
前記電源ユニットが前記出力段コンポーネントにより生成された高周波数エネルギにより影響を受けるのを防ぐため、前記電源ユニットは、該電源ユニットの負荷端接続において、少なくとも1つのフィルタに接続される、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の回路構成。
【請求項15】
前記電源ユニットに接続された前記出力段コンポーネントの負荷は、各電源ユニットがエラーのない動作中に同じ電力を供給するように分割される、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の回路構成。
【請求項16】
前記電力増幅器は、該電力増幅器の動作に必要な機能ユニットを備え、該機能ユニットは、共通電源線を介して全ての電源ユニットに接続される、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の回路構成。
【請求項17】
前記機能ユニットは、前置増幅器、ドライバ増幅器、制御部、高周波数検出器を備えた出力レギュレータ、エラー・モニタ及び少なくとも1つのファンを有する、請求項16に記載の回路構成。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−516095(P2013−516095A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545123(P2012−545123)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007306
【国際公開番号】WO2011/079901
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(505141602)ローデ ウント シュワルツ ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー (51)
【Fターム(参考)】