説明

電力増幅器

【課題】特別な信号源の搭載を不要にして、回路の簡単化を図ることができるとともに、タイミングの調整精度を高めて、高効率化と低歪み化を実現することができるようにする。
【解決手段】RF電力増幅トランジスタ2により増幅されたRF信号の電力を検波する電力検波装置7と、電力検波装置7により検波されたRF信号の電力から、RF電力増幅トランジスタ2に対するRF信号と制御信号AFに対応するドレイン電圧信号の入力タイミングのずれを検出する位相制御装置8とを設け、入力タイミングのずれの検出結果に応じて制御信号AFの位相を調整して、入力タイミングのずれを解消する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、RF信号などの帯域信号の電力を増幅する電力増幅器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、通信装置における通信容量は増大の一途をたどっており、これに伴って変調方式が改良されている。
変調方式によっては、電力増幅器に次のような問題を与える。
例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)が無線通信信号として採用される場合、OFDMは包絡線振幅変動が大きいため、電力増幅器には線形性が求められる。
線形性を得るためには、平均電力と最大瞬時電力の差(ピークファクタ)が大きいOFDMである場合、電力増幅器の動作電力を飽和電力の1/10程度にする必要がある。
このため、電力増幅器の効率が最大効率に比べて大きく低下する問題が生じる。
【0003】
バックオフを確保した領域でも高効率な特性を実現できる手法として、変調波の包絡線振幅に応じて電力増幅器のバイアス電圧値を変化させるバイアス変調方式が良く知られている。
このバイアス変調方式では、電力増幅器の性能(高効率・低歪み)を得るに際して、電力増幅器に入力されるRF信号とバイアス変調信号との同期の確保が非常に重要である。
ここでのRF信号とバイアス変調信号の同期は、バイアス変調信号を生成するためにRF信号を分岐する分岐点から、RF信号が増幅器のドレイン電極に到達(バイアス変調信号経路)するまでの時間と、分岐されたRF信号に基づいてバイアス制御信号が生成されて、そのバイアス制御信号が増幅器のドレイン電極に到達(帯域信号経路)するまでの時間が一致することである。
【0004】
例えば、以下の特許文献1には、バイアス変調方式に分類されるEER方式増幅器の低歪み化のために、バイアス変調信号に相当する振幅成分とRF信号に相当する位相成分の伝送遅延差を最適化する方法を次のように提案している
即ち、電力増幅器の出力変調信号の歪み量が最小となるように振幅成分又は位相成分の遅延量を信号遅延手段によって変化させる。
もしくは、変調波信号の替わりにチャープ信号を用いて、変調信号が特定の周波数成分を有するように遅延量を変化させることによって、電力増幅器における位相成分と振幅成分の信号のタイミングを一致させて、変調スペクトラムのひずみを低減し、電力増幅器の効率を高めるようにしている。
【0005】
しかしながら、下記の(1)〜(3)の問題がある。
(1)歪みを観測するためのコスト・回路規模が掛かる。即ち、特許文献1では、「復調したデジタル信号処理を施して歪み周波数成分のレベルを演算する手法や、アナログベースバンド信号に周波数変換した後に歪み成分をフィルタリングしてレベル検波する手法」を備える必要があり、特に後者のレベル検波手法については、信号によってはフィルタに高いスペックを要求することになり、実現が困難である。
(2)変調波を用いる歪み観測の場合、伝送時間の絶対量の初期値の決定が難しい。
(3)チャープ信号を用いる場合、新たな信号源を持つことになり、コスト・回路規模が大きくなる。
【0006】
また、以下の特許文献2には、直交変調方式のI,Q信号、EER方式のr,θ信号のように、異なる遅延量をもつ経路を通って変調された後に合成される2つの信号パスの遅延差を補正することで、送信信号の線形性を改善する方法を次のように提案している。
即ち、入力されたデジタル信号から分離された二つの信号又は分離されて入力された二つのデジタル信号をアナログ信号に変換するDA変換回路と、そのDA変換回路で変換されたアナログ信号を合成する合成回路と、その合成回路により合成された信号の一部をフィードバック信号として取り出す分配回路と、そのフィードバック信号をデジタル信号に変換するAD変換回路と、そのDA変換回路及びAD変換回路に動作クロック信号を供給する発振回路と、そのAD変換回路で変換されたフィードバック信号を二つの信号に分離する分離回路と、その分離回路により分離された入力信号と、その分離回路で分離されたフィードバック信号とを比較する比較回路とを有し、発振回路が比較回路による比較結果に基づいてその出力を制御する。
【0007】
しかしながら、特許文献2の場合、クロックタイミングを変化させることで位相を変化させる調整であり、その変化幅はDA変換回路のサンプリング周波数で限定される。また、伝送時間が固定された後の調整方法に過ぎず、厳密に言えば位相を変化させており、伝送時間を変化させていない。
このため、変調波のように帯域を有する信号では、タイミングの調整精度が低下する問題を有する。
【0008】
【特許文献1】特開2004−356835号公報(段落番号[0018]から[0021]、図1)
【特許文献2】特開2005−203960号公報(段落番号[0021]から[0033]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の電力増幅器は以上のように構成されているので、特許文献1の場合、新たな信号源を配置する必要があり、コスト・回路規模が大きくなるなどの課題があり、また、特許文献2の場合、変調波のように帯域を有する信号では、タイミングの調整精度が低下するなどの課題があった。
【0010】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、特別な信号源の搭載を不要にして、回路の簡単化を図ることができるとともに、タイミングの調整精度を高めて、高効率化と低歪み化を実現することができる電力増幅器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る電力増幅器は、電力増幅手段により増幅された帯域信号の電力を検波する電力検波手段と、電力検波手段により検波された帯域信号の電力から、電力増幅手段に対する帯域信号とバイアス変調信号の入力タイミングのずれを検出するずれ検出手段とを設け、入力タイミング制御手段がずれ検出手段の検出結果に応じて電力増幅手段に対するバイアス変調信号の入力タイミングを制御して、帯域信号とバイアス変調信号の入力タイミングのずれを解消するようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、電力増幅手段により増幅された帯域信号の電力を検波する電力検波手段と、電力検波手段により検波された帯域信号の電力から、電力増幅手段に対する帯域信号とバイアス変調信号の入力タイミングのずれを検出するずれ検出手段とを設け、入力タイミング制御手段がずれ検出手段の検出結果に応じて電力増幅手段に対するバイアス変調信号の入力タイミングを制御して、帯域信号とバイアス変調信号の入力タイミングのずれを解消するように構成したので、特別な信号源の搭載を不要にして、回路の簡単化を図ることができるとともに、タイミングの調整精度を高めて、高効率化と低歪み化を実現することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による電力増幅器を示す構成図であり、図において、RF電力増幅トランジスタ2はゲート電極がRF信号入力端子1と接続され、ドレイン電極が電力分配器5と接続され、ソース電極がグランドと接続されており、電圧制御器11から出力されるドレイン電圧信号によってドレイン電極が駆動されて、RF信号入力端子1から入力されたバースト信号であるRF信号(帯域信号)の電力を増幅する。なお、RF電力増幅トランジスタ2は電力増幅手段を構成している。
【0014】
ゲート電圧回路3はゲート電圧信号を発生し、そのゲート電圧信号をRF電力増幅トランジスタ2のゲート電極に出力する回路である。
給電線路4,12は高周波的にハイインピーダンスになるインダクタ等からなる線路である。
電力分配器5はRF電力増幅トランジスタ2により増幅されたRF信号の電力を分配し、そのRF信号をRF信号出力端子6及び電力検波装置7に出力する。
電力検波装置7は電力分配器5により分配されたRF信号を検波する処理を実施する。
なお、電力分配器5及び電力検波装置7から電力検波手段が構成されている。
【0015】
位相制御装置8は電力検波装置7により検波されたRF信号の電力から、RF電力増幅トランジスタ2に対するRF信号とドレイン電圧信号の入力タイミングのずれを検出し、ずれの検出結果に応じた位相制御信号を位相可変装置10に出力する処理を実施する。なお、位相制御装置8はずれ検出手段を構成している。
位相可変装置10は制御信号入力端子9から矩形波信号である制御信号AF(バイアス変調信号)を入力し、位相制御装置8から出力された位相制御信号に応じて制御信号AFの位相を調整する処理を実施する。
電圧制御器11は位相可変装置10から出力された位相調整後の制御信号AFをドレイン電圧信号に変換し、そのドレイン電圧信号をRF電力増幅トランジスタ2のドレイン電極に印加する処理を実施する。
なお、位相可変装置10及び電圧制御器11から入力タイミング制御手段が構成されている。
【0016】
次に動作について説明する。
RF信号入力端子1には、図2に示すようなRF信号(バースト信号)が入力され、制御信号入力端子9には、バイアス変調信号である制御信号AF(矩形波信号)が入力される。
【0017】
このとき、RF電力増幅トランジスタ2のドレイン電極(地点A)において、RF信号入力端子1から入力される幅tのRF信号と、制御信号入力端子9から入力される幅tの制御信号AFに対応するドレイン電圧信号との入力タイミングが一致する場合、電力増幅器として最大の出力電力が得られる(状態Pを参照)。
しかしながら、制御信号入力端子9から入力される制御信号AFが、RF信号入力端子1から入力されるRF信号よりも時間αだけ遅延が生じると、RF電力増幅トランジスタ2のドレイン電極(地点A)において、RF信号と制御信号AFに対応するドレイン電圧信号との入力タイミングにずれが発生して、電力増幅器として得られる出力電力が減少する(状態Qを参照)。
【0018】
そこで、この実施の形態1では、入力タイミングのずれを検出し、ずれの検出結果に応じて制御信号AFの位相を調整(制御信号AFの位相を進める調整、または、制御信号AFの位相を遅らせる調整)して、入力タイミングのずれを解消することにより、電力増幅器として最大の出力電力が得られるようにしている。
【0019】
RF電力増幅トランジスタ2は、RF信号入力端子1から入力された幅tのRF信号がゲート電極に与えられ、ゲート電圧回路3からゲート電圧信号がゲート電極に与えられると、電圧制御器11から出力されるドレイン電圧信号によってドレイン電極が駆動されて、そのRF信号の電力を増幅する。
電力分配器5は、RF電力増幅トランジスタ2により増幅されたRF信号の電力を分配し、そのRF信号をRF信号出力端子6及び電力検波装置7に出力する。
【0020】
電力検波装置7は、電力分配器5からRF信号を受けると、そのRF信号を検波する。
位相制御装置8は、電力検波装置7がRF信号を検波すると、そのRF信号の電力から、RF電力増幅トランジスタ2のドレイン電極に対するRF信号とドレイン電圧信号の入力タイミングのずれを検出する。
以下、位相制御装置8の処理内容を具体的に説明する。
【0021】
RF信号と制御信号AFに対応するドレイン電圧信号の入力タイミングがずれている場合、図2に示すように、RF信号の電力が最大電力Pmaxになる時間と、RF信号の電力が規定電力Pregになる時間が発生し、RF信号の電力が最大電力Pmaxになる時間と、RF信号の電力が規定電力Pregになる時間との時間差αが、RF信号と制御信号AFに対応するドレイン電圧信号との入力タイミングのずれに相当する。
【0022】
そこで、位相制御装置8は、電力検波装置7により検波されたRF信号の電力を監視して、RF信号の電力が最大電力Pmaxになる時間と、RF信号の電力が規定電力Pregになる時間とを検出し、RF信号の電力が最大電力Pmaxになる時間と、RF信号の電力が規定電力Pregになる時間との時間差αを算出する。
次に、位相制御装置8は、制御信号AFに対応するドレイン電圧信号がRF信号より時間差αだけ遅れていれば、時間差αだけ制御信号AFの位相を進ませる旨を示す位相制御信号を位相可変装置10に出力する。
一方、制御信号AFに対応するドレイン電圧信号がRF信号より時間差αだけ進んでいれば、時間差αだけ制御信号AFの位相を遅らせる旨を示す位相制御信号を位相可変装置10に出力する。
【0023】
位相可変装置10は、制御信号入力端子9から矩形波信号である制御信号AFを入力し、位相制御装置8から出力された位相制御信号を受けると、その位相制御信号に応じて制御信号AFの位相を調整する。
即ち、位相可変装置10は、位相制御信号が時間差αだけ制御信号AFの位相を進ませる旨を示していれば、制御信号AFの位相を時間差αだけ進める調整を行う。
一方、位相制御信号が時間差αだけ制御信号AFの位相を遅らせる旨を示していれば、制御信号AFの位相を時間差αだけ遅らせる調整を行う。
【0024】
電圧制御器11は、位相可変装置10から位相調整後の制御信号AFを受けると、その制御信号AFをドレイン電圧信号に変換し、そのドレイン電圧信号をRF電力増幅トランジスタ2のドレイン電極に印加する。
これにより、RF電力増幅トランジスタ2のドレイン電極(地点A)において、RF信号とドレイン電圧信号との入力タイミングが一致する。
【0025】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、RF電力増幅トランジスタ2により増幅されたRF信号の電力を検波する電力検波装置7と、電力検波装置7により検波されたRF信号の電力から、RF電力増幅トランジスタ2に対するRF信号と制御信号AFに対応するドレイン電圧信号の入力タイミングのずれを検出する位相制御装置8とを設け、入力タイミングのずれの検出結果に応じて制御信号AFの位相を調整して、入力タイミングのずれを解消するように構成したので、特別な信号源(例えば、チャープ信号を発生する信号源)の搭載を不要にして、回路の簡単化を図ることができるとともに、タイミングの調整精度を高めて、高効率化と低歪み化を実現することができる効果を奏する。
なお、RF信号の電力を評価するに際して、電力検波装置7を実装する必要があるが、電力増幅器を搭載しているシステム内に、例えば、ALC(Automatic Level Control)などの電力検出機能を有する装置があれば、この装置を利用することができる。
【0026】
また、この実施の形態1によれば、RF電力増幅トランジスタ2に入力される制御信号AF(バイアス変調信号)が矩形波信号であり、RF信号がバースト信号であるので、周波数に関わらず、時間差αを把握することができる効果を奏する。
即ち、RF電力増幅トランジスタ2に入力されるRF信号が変調波の包絡線であり、制御信号AF(バイアス変調信号)が上記包絡線に基づく変調信号である場合、変調波には帯域幅に亘る周波数成分が存在し、低い周波数成分が支配的であれば、電力増幅器の出力電力がこの低周波数成分に依存して、時間差αの検出精度が劣化することがあるが、RF信号として、バースト信号を用いれば、周波数に関わらず、時間差αを把握することができる。
【0027】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、RF信号入力端子1から幅tのRF信号が入力され、制御信号入力端子9から幅tの制御信号AFが入力されるものについて示したが、図3に示すように、制御信号入力端子9から入力される幅tの制御信号AFが、RF信号に対応する部分の電圧が零で、他の部分がHレベルの電位を有している信号(信号レベルが反転されている図2のRF信号に相当する信号)であってもよい。
【0028】
図3に示すような制御信号AFが入力される場合、RF電力増幅トランジスタ2のドレイン電極(地点A)において、RF信号入力端子1から入力される幅tのRF信号と、その制御信号AFに対応するドレイン電圧信号との入力タイミングが一致する場合、電力増幅器として出力電力が得られない(状態Rを参照)。
しかしながら、制御信号入力端子9から入力される制御信号AFが、RF信号入力端子1から入力されるRF信号よりも時間αだけ遅延が生じると、RF電力増幅トランジスタ2のドレイン電極(地点A)において、RF信号と制御信号AFに対応するドレイン電圧信号との入力タイミングにずれが発生して、電力増幅器として得られる出力電力が増加する(状態Sを参照)。
【0029】
そこで、この実施の形態2では、入力タイミングのずれを検出し、ずれの検出結果に応じて制御信号AFの位相を調整(制御信号AFの位相を進める調整、または、制御信号AFの位相を遅らせる調整)して、入力タイミングのずれを解消することにより、電力増幅器として出力電力が得られないようにしている。
ただし、電力増幅器として出力電力が得られないようにするのは、入力タイミングのずれを解消する電力増幅器の初期設定時に限るものであり、入力タイミングのずれが解消された後は、RF信号入力端子1から入力されるRF信号の信号レベルを反転して、図2に示すようなRF信号に戻して、電力増幅器として最大の出力電力が得られるようにする。
【0030】
RF電力増幅トランジスタ2は、RF信号入力端子1から入力された幅tのRF信号がゲート電極に与えられ、ゲート電圧回路3からゲート電圧信号がゲート電極に与えられると、電圧制御器11から出力されるドレイン電圧信号によってドレイン電極が駆動されて、そのRF信号の電力を増幅する。
電力分配器5は、RF電力増幅トランジスタ2により増幅されたRF信号の電力を分配し、そのRF信号をRF信号出力端子6及び電力検波装置7に出力する。
【0031】
電力検波装置7は、電力分配器5からRF信号を受けると、そのRF信号を検波する。
位相制御装置8は、電力検波装置7がRF信号を検波すると、そのRF信号の電力から、RF電力増幅トランジスタ2のドレイン電極に対するRF信号とドレイン電圧信号の入力タイミングのずれを検出する。
以下、位相制御装置8の処理内容を具体的に説明する。
【0032】
RF信号と制御信号AFに対応するドレイン電圧信号の入力タイミングがずれている場合、図3に示すように、RF信号の電力が最小電力Pminになる時間と、RF信号の電力が規定電力Pregになる時間が発生し、RF信号の電力が最小電力Pminになる時間と、RF信号の電力が規定電力Pregになる時間との時間差αが、RF信号と制御信号AFに対応するドレイン電圧信号との入力タイミングのずれに相当する。
【0033】
そこで、位相制御装置8は、電力検波装置7により検波されたRF信号の電力を監視して、RF信号の電力が最小電力Pminになる時間と、RF信号の電力が規定電力Pregになる時間とを検出し、RF信号の電力が最小電力Pminになる時間と、RF信号の電力が規定電力Pregになる時間との時間差αを算出する。
次に、位相制御装置8は、制御信号AFに対応するドレイン電圧信号がRF信号より時間差αだけ遅れていれば、時間差αだけ制御信号AFの位相を進ませる旨を示す位相制御信号を位相可変装置10に出力する。
一方、制御信号AFに対応するドレイン電圧信号がRF信号より時間差αだけ進んでいれば、時間差αだけ制御信号AFの位相を遅らせる旨を示す位相制御信号を位相可変装置10に出力する。
【0034】
位相可変装置10は、制御信号入力端子9から矩形波信号である制御信号AFを入力し、位相制御装置8から出力された位相制御信号を受けると、その位相制御信号に応じて制御信号AFの位相を調整する。
即ち、位相可変装置10は、位相制御信号が時間差αだけ制御信号AFの位相を進ませる旨を示していれば、制御信号AFの位相を時間差αだけ進める調整を行う。
一方、位相制御信号が時間差αだけ制御信号AFの位相を遅らせる旨を示していれば、制御信号AFの位相を時間差αだけ遅らせる調整を行う。
【0035】
電圧制御器11は、位相可変装置10から位相調整後の制御信号AFを受けると、その制御信号AFをドレイン電圧信号に変換し、そのドレイン電圧信号をRF電力増幅トランジスタ2のドレイン電極に印加する。
これにより、RF電力増幅トランジスタ2のドレイン電極(地点A)において、RF信号とドレイン電圧信号との入力タイミングが一致する。
【0036】
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、上記実施の形態1と同様に、特別な信号源(例えば、チャープ信号を発生する信号源)の搭載を不要にして、回路の簡単化を図ることができるとともに、タイミングの調整精度を高めて、高効率化と低歪み化を実現することができる効果を奏する。
【0037】
実施の形態3.
図4はこの発明の実施の形態3による電力増幅器を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
位相制御装置13は電力検波装置7により検波されたRF信号の電力から、RF電力増幅トランジスタ2に対するRF信号とドレイン電圧信号の入力タイミングのずれを検出し、ずれの検出結果に応じた位相制御信号を位相可変装置14に出力する処理を実施する。
なお、位相制御装置13はずれ検出手段を構成している。
位相可変装置14はRF信号入力端子1からRF信号を入力し、位相制御装置8から出力された位相制御信号に応じてRF信号の位相を調整する処理を実施する。
なお、位相可変装置14は入力タイミング制御手段を構成している。
【0038】
次に動作について説明する。
位相制御装置13及び位相可変装置14以外は、上記実施の形態1,2と同様であるため、ここでは、位相制御装置13及び位相可変装置14の動作のみを説明する。
【0039】
位相制御装置13は、電力検波装置7により検波されたRF信号の電力を監視して、RF信号の電力が最大電力Pmaxになる時間(または、最小電力Pminになる時間)と、RF信号の電力が規定電力Pregになる時間とを検出し、RF信号の電力が最大電力Pmaxになる時間(または、最小電力Pminになる時間)と、RF信号の電力が規定電力Pregになる時間との時間差αを算出する。
次に、位相制御装置13は、制御信号AFに対応するドレイン電圧信号がRF信号より時間差αだけ遅れていれば、時間差αだけRF信号の位相を遅らせる旨を示す位相制御信号を位相可変装置14に出力する。
一方、制御信号AFに対応するドレイン電圧信号がRF信号より時間差αだけ進んでいれば、時間差αだけRF信号の位相を進ませる旨を示す位相制御信号を位相可変装置14に出力する。
【0040】
位相可変装置14は、制御信号入力端子9からRF信号を入力し、位相制御装置13から出力された位相制御信号を受けると、その位相制御信号に応じてRF信号の位相を調整する。
即ち、位相可変装置14は、位相制御信号が時間差αだけRF信号の位相を遅らせる旨を示していれば、RF信号の位相を時間差αだけ遅らせる調整を行う。
一方、位相制御信号が時間差αだけRF信号の位相を進ませる旨を示していれば、RF信号の位相を時間差αだけ進ませる調整を行う。
【0041】
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、RF電力増幅トランジスタ2により増幅されたRF信号の電力を検波する電力検波装置7と、電力検波装置7により検波されたRF信号の電力から、RF電力増幅トランジスタ2に対するRF信号と制御信号AFに対応するドレイン電圧信号の入力タイミングのずれを検出する位相制御装置8とを設け、入力タイミングのずれの検出結果に応じてRF信号の位相を調整して、入力タイミングのずれを解消するように構成したので、特別な信号源(例えば、チャープ信号を発生する信号源)の搭載を不要にして、回路の簡単化を図ることができるとともに、タイミングの調整精度を高めて、高効率化と低歪み化を実現することができる効果を奏する。
【0042】
実施の形態4.
上記実施の形態1では、RF信号入力端子1から幅tのRF信号が入力され、制御信号入力端子9から幅tの制御信号AFが入力されるものについて示したが、図5に示すように、RF信号入力端子1から入力されるRF信号のバースト幅が段階的に狭められる場合(図5の例では、RF信号のバースト幅が周期Tから周期T/2に狭められている)、位相可変装置10が位相制御装置8の指示の下で、制御信号AFの矩形波幅を段階的に狭めるようにしてもよい(図5の例では、制御信号AFの矩形波幅が周期Tから周期T/2に狭められている)。
【0043】
以下、具体的に処理内容を説明する。
入力タイミングのずれを解消する電力増幅器の初期設定時において、最初は時間差αが不明であるため、位相制御装置8から出力される位相制御信号の初期値を適切に決定する必要がある。
そこで、初期設定時の最初の段階では、分解時間能は粗くても、広範囲に亘って時間差αを探索することができるようにするために、RF信号入力端子1からバースト幅が広いRF信号(バースト幅が周期TのRF信号)が入力される。
位相可変装置10は、位相制御装置8の指示の下、初期設定時の最初の段階では、制御信号AFの矩形波幅を周期Tに設定する。
以降、上記実施の形態1と同様にして、時間差αが算出されて、位相制御装置8から位相制御信号の初期値が出力される。
このときの時間差αの分解時間能は分解時間bであるが(図5を参照)、広範囲に亘って時間差αが探索される。
【0044】
上記のようにして、位相制御装置8から位相制御信号の初期値が出力されると、時間差αの分解時間能を高めるため、RF信号入力端子1からバースト幅が狭いRF信号(バースト幅が周期T/2のRF信号)が入力される。
位相可変装置10は、位相制御装置8の指示の下、制御信号AFの矩形波幅を周期T/2に狭める。
以降、上記実施の形態1と同様にして、時間差αが算出されて、位相制御装置8から位相制御信号が出力される。
このときの時間差αの分解時間能は分解時間aであり(図5を参照)、最初の段階より、時間差αの分解時間能が高められる。
図5の例では、RF信号のバースト幅及び制御信号AFの矩形波幅を1回だけ狭めているものを示しているが、2回以上狭めるようにしてもよい。
【0045】
以上で明らかなように、この実施の形態4によれば、RF信号入力端子1から入力されるRF信号のバースト幅が段階的に狭められる場合、位相可変装置10が位相制御装置8の指示の下で、制御信号AFの矩形波幅を段階的に狭めるように構成したので、確実に時間差αが収束に向かうようになり、その結果、時間差αの算出時間を短縮することができるとともに、時間差αの算出精度を高めて、入力タイミングのずれの解消精度を高めることができる効果を奏する。
【0046】
なお、この実施の形態4では、図1の電力増幅器に適用されるものであって、RF信号入力端子1から入力されるRF信号のバースト幅が段階的に狭められる場合、位相可変装置10が位相制御装置8の指示の下で、制御信号AFの矩形波幅を段階的に狭めるものについて示したが、図4の電力増幅器に適用されるようにしてもよい。
即ち、制御信号入力端子9から入力される制御信号AFの矩形波幅が段階的に狭められる場合(図5の例では、制御信号AFの矩形波幅が周期Tから周期T/2に狭められている)、位相可変装置14が位相制御装置13の指示の下で、RF信号のバースト幅を段階的に狭めるようにしてもよい(図5の例では、RF信号のバースト幅が周期Tから周期T/2に狭められている)。
【0047】
実施の形態5.
上記実施の形態1〜4では、RF信号入力端子1から入力されるRF信号がバースト信号であり、制御信号入力端子9から入力される制御信号AFが矩形波信号であるものについて示したが、図6に示すように、RF信号入力端子1から入力されるRF信号が変調波の包絡線(変調波が重畳されたRF信号)であり、制御信号入力端子9から入力される制御信号AFが上記包絡線に基づく変調信号であってよい(図中、実線の制御信号AFは入力タイミングが一致しており、点線の制御信号AFは入力タイミングがずれている)。
この場合も、上記実施の形態1〜4と同様の処理で、入力タイミングのずれを解消して、高効率化と低歪み化を実現することができる。
【0048】
実施の形態6.
図7はこの発明の実施の形態6による電力増幅器を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
信号品質監視装置21は電力分配器5により分配されたRF信号の信号品質を監視する処理を実施する。なお、信号品質監視装置21は信号品質監視手段を構成している。
位相制御装置22は図1の位相制御装置8と同様に、電力検波装置7により検波されたRF信号の電力から、RF電力増幅トランジスタ2に対するRF信号とドレイン電圧信号の入力タイミングのずれを検出し、ずれの検出結果に応じた位相制御信号を位相可変装置23に出力するほか、位相可変装置23により制御信号AFの位相調整が行われたのち、信号品質監視装置21の監視結果に応じて入力タイミングの微調整を指示する微調整信号を位相可変装置23に出力する処理を実施する。なお、位相制御装置22はずれ検出手段を構成している。
【0049】
位相可変装置23は図1の位相可変装置10と同様に、制御信号入力端子9から矩形波信号である制御信号AFを入力し、位相制御装置22から出力された位相制御信号に応じて制御信号AFの位相を調整するほか、位相制御装置22から出力された微調整信号に応じて制御信号AFの位相を微調整する処理を実施する。なお、位相可変装置23は入力タイミング制御手段を構成している。
【0050】
次に動作について説明する。
RF電力増幅トランジスタ2に対するRF信号とドレイン電圧信号の入力タイミングのずれを零にすることができれば、通常、信号品質も最良になる。
しかしながら、RF信号経路の周波数振幅特性をはじめとする信号品質の劣化要因は多岐にわたり、RF電力増幅トランジスタ2に対するRF信号とドレイン電圧信号の入力タイミングのずれが零でも、信号品質が最良にならないことがある。
そこで、この実施の形態6では、上記実施の形態1と同様にして、RF電力増幅トランジスタ2に対するRF信号とドレイン電圧信号の入力タイミングのずれを解消してから、RF信号の信号品質(例えば、誤り特性BER,EVM(Error Vector Magnitude))を監視する信号品質監視装置21の監視結果に応じて入力タイミングの微調整を行うようにする。
【0051】
以下、具体的に処理内容を説明する。
位相制御装置22は、図1の位相制御装置8と同様に、電力検波装置7により検波されたRF信号の電力から、RF電力増幅トランジスタ2に対するRF信号とドレイン電圧信号の入力タイミングのずれを検出し、ずれの検出結果に応じた位相制御信号を位相可変装置23に出力する。
位相可変装置23は、図1の位相可変装置10と同様に、制御信号入力端子9から矩形波信号である制御信号AFを入力し、位相制御装置22から出力された位相制御信号に応じて制御信号AFの位相を調整する。
【0052】
信号品質監視装置21は、電力分配器5により分配されたRF信号の信号品質(例えば、誤り特性BER,EVM)を監視し、その監視結果を位相制御装置22に出力する。
位相制御装置22は、位相可変装置23が制御信号AFの位相を調整したのち、信号品質監視装置21から信号品質の監視結果を受けると、その監視結果に応じて入力タイミングの微調整を指示する微調整信号を位相可変装置23に出力する。
位相可変装置23は、位相制御装置22から微調整信号を受けると、その微調整信号に応じて制御信号AFの位相を微調整する。
位相制御装置22及び位相可変装置23の処理は、RF信号の信号品質が最良になるまで、制御信号AFの位相を繰り返し微調整する。
なお、微調整の幅は、予め、位相可変装置23に設定されていてもよいし、位相制御装置22が出力する微調整信号に微調整の幅を含めるようにしてもよい。
【0053】
以上で明らかなように、この実施の形態6によれば、RF電力増幅トランジスタ2に対するRF信号とドレイン電圧信号の入力タイミングのずれを解消してから、RF信号の信号品質を監視する信号品質監視装置21の監視結果に応じて入力タイミングの微調整を行うように構成したので、RF信号の信号品質を最良に保つことができる効果を奏する。
【0054】
実施の形態7.
図8はこの発明の実施の形態7による電力増幅器を示す構成図であり、図において、図4及び図7と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
位相制御装置24は図4の位相制御装置13と同様に、電力検波装置7により検波されたRF信号の電力から、RF電力増幅トランジスタ2に対するRF信号とドレイン電圧信号の入力タイミングのずれを検出し、ずれの検出結果に応じた位相制御信号を位相可変装置25に出力するほか、位相可変装置25によりRF信号の位相調整が行われたのち、信号品質監視装置21の監視結果に応じて入力タイミングの微調整を指示する微調整信号を位相可変装置25に出力する処理を実施する。なお、位相制御装置24はずれ検出手段を構成している。
位相可変装置25は図4の位相可変装置14と同様に、RF信号入力端子1からRF信号を入力し、位相制御装置24から出力された位相制御信号に応じてRF信号の位相を調整するほか、位相制御装置24から出力された微調整信号に応じてRF信号の位相を微調整する処理を実施する。なお、位相制御装置24は入力タイミング制御手段を構成している。
【0055】
上記実施の形態6では、図1の電力増幅器に適用されるものについて示したが、図8に示すように、信号品質監視装置21を実装して、図4の電力増幅器に適用されるようにしてもよい。
この実施の形態7によれば、RF電力増幅トランジスタ2に対するRF信号とドレイン電圧信号の入力タイミングのずれを解消してから、RF信号の信号品質を監視する信号品質監視装置21の監視結果に応じて入力タイミングの微調整を行うように構成したので、上記実施の形態6と同様に、RF信号の信号品質を最良に保つことができる効果を奏する。
【0056】
実施の形態8.
上記実施の形態1〜7では、アナログ信号処理で入力タイミングのずれを解消するものについて示したが、図1、図4、図7や図8の電力検波装置7、位相制御装置8(または、13,22,24)及び位相可変装置10(または,14,23,25)をデジタル信号処理装置で構成して、デジタル信号処理で入力タイミングのずれを解消するようにしてもよい。
【0057】
図9はデジタル信号処理装置を図1の電力増幅器に適用する例を示す構成図である。
図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
RF電力増幅トランジスタ30は図1のRF電力増幅トランジスタ2と同様に、RF信号の電力を増幅する処理を実施する。
低周波濾波器であるLPF31は電力分配器5の出力信号からRF信号を濾波して、そのRF信号をデジタル信号処理装置32に出力する。
デジタル信号処理装置32のADC33はLPF31から出力されたRF信号を量子化し、その量子化結果である量子化帯域信号を電力検知部34に出力する処理を実施する。
電力検知部34はADC33から出力された量子化帯域信号を振幅信号に変換し、その振幅信号を位相制御部35に出力する。
なお、LPF31、ADC33及び電力検知部34は、図1の電力検波装置7に相当している。
【0058】
位相制御部35は電力検知部34から出力された振幅信号から、RF電力増幅トランジスタ30に対するRF信号とドレイン電圧信号の入力タイミングのずれを検出し、ずれの検出結果に応じた位相制御信号をシフトレジスタ36、FIR37及びクロック発振器38に出力する処理を実施する。
なお、位相制御部35は、図1の位相制御装置8に相当している。
【0059】
シフトレジスタ36は位相制御部35から出力された位相制御信号にしたがって量子化制御信号(制御信号AFが量子化された信号)をシフトして、その量子化制御信号をFIR37に出力する。
デジタルフィルタであるFIR37は位相制御部35から出力された位相制御信号にしたがって、シフトレジスタ36から出力された量子化制御信号に遅延を与える処理を実施する。
DAC39はクロック発振器38から出力されるクロックに同期して、FIR37により遅延された量子化制御信号を逆量子化する処理を実施する。
なお、シフトレジスタ36、FIR37、クロック発振器38及びDAC39は、図1の位相可変装置10に相当している。
【0060】
クロックフェーズシフタ40はクロック発振器38から出力されるクロックの位相を変化させる処理を実施するものであり、例えば、上記実施の形態6,7のように、入力タイミングを微調整する場合に、位相制御部35から出力される微調整信号にしたがってDAC39又はDAC41に与えるクロックの位相を変化させるようにする。
DAC41はクロックフェーズシフタ40から出力されるクロックに同期して、量子化帯域信号(RF信号が量子化された信号)を逆量子化する処理を実施する。
【0061】
LPF42はデジタル信号処理装置32におけるDAC39の出力信号から制御信号AFを濾波して、その制御信号AFを電圧制御器11に出力する。
LPF43はデジタル信号処理装置32におけるDAC41の出力信号からRF信号を濾波して、そのRF信号をRF電力増幅トランジスタ30に出力する。
【0062】
図8のように、図1の電力検波装置7、位相制御装置8及び位相可変装置10をデジタル信号処理装置32で構成して、デジタル信号処理で入力タイミングのずれを解消するようにしても、上記実施の形態1と同様に、高効率化と低歪み化を実現することができるほか、回路規模を小さくすることができる効果を奏する。
【0063】
実施の形態9.
上記実施の形態1〜8では、例えば、電圧制御器11が位相可変装置10から出力された位相調整後の制御信号AFをドレイン電圧信号に変換し、そのドレイン電圧信号をRF電力増幅トランジスタ2のドレイン電極に印加するものについて示したが、図10に示すように、電圧制御器11が位相可変装置10から出力された位相調整後の制御信号AFをゲート電圧信号に変換し、そのゲート電圧信号をRF電力増幅トランジスタ50のゲート電極(地点B)に印加するようにしてもよく、上記実施の形態1〜8と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】この発明の実施の形態1による電力増幅器を示す構成図である。
【図2】RF信号と制御信号AFの入力タイミングと出力電力の関係などを示す説明図である。
【図3】RF信号と制御信号AFの入力タイミングと出力電力の関係などを示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態3による電力増幅器を示す構成図である。
【図5】RF信号のバースト幅及び制御信号AFの矩形波幅を段階的に狭める例を示す説明図である。
【図6】RF信号が変調波の包絡線であり、制御信号AFが上記包絡線に基づく変調信号である例を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態6による電力増幅器を示す構成図である。
【図8】この発明の実施の形態7による電力増幅器を示す構成図である。
【図9】デジタル信号処理装置を図1の電力増幅器に適用する例を示す構成図である。
【図10】この発明の実施の形態9による電力増幅器を示す構成図である。
【符号の説明】
【0065】
1 RF信号入力端子、2,30,50 RF電力増幅トランジスタ(電力増幅手段)、3 ゲート電圧回路、4,12 給電線路、5 電力分配器(電力検波手段)、6 RF信号出力端子、7 電力検波装置(電力検波手段)、8,13,22,24 位相制御装置(ずれ検出手段)、9 制御信号入力端子、10,14,23,25 位相可変装置(入力タイミング制御手段)、11 電圧制御器(入力タイミング制御手段)、21 信号品質監視装置(信号品質監視手段)、31,42,43 LPF、32 デジタル信号処理装置、33 ADC、34 電力検知部、35 位相制御部、36 シフトレジスタ、37 FIR、38 クロック発振器、39,41 DAC、40 クロックフェーズシフタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイアス変調信号にしたがって帯域信号の電力を増幅する電力増幅手段と、上記電力増幅手段により増幅された帯域信号の電力を検波する電力検波手段と、上記電力検波手段により検波された帯域信号の電力から、上記電力増幅手段に対する上記帯域信号と上記バイアス変調信号の入力タイミングのずれを検出するずれ検出手段と、上記ずれ検出手段の検出結果に応じて上記電力増幅手段に対する上記バイアス変調信号の入力タイミングを制御して、上記帯域信号と上記バイアス変調信号の入力タイミングのずれを解消する入力タイミング制御手段とを備えた電力増幅器。
【請求項2】
バイアス変調信号にしたがって帯域信号の電力を増幅する電力増幅手段と、上記電力増幅手段により増幅された帯域信号の電力を検波する電力検波手段と、上記電力検波手段により検波された帯域信号の電力から、上記電力増幅手段に対する上記帯域信号と上記バイアス変調信号の入力タイミングのずれを検出するずれ検出手段と、上記ずれ検出手段の検出結果に応じて上記電力増幅手段に対する上記帯域信号の入力タイミングを制御して、上記帯域信号と上記バイアス変調信号の入力タイミングのずれを解消する入力タイミング制御手段とを備えた電力増幅器。
【請求項3】
電力増幅手段に入力されるバイアス変調信号が矩形波信号であり、帯域信号がバースト信号であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の電力増幅器。
【請求項4】
ずれ検出手段は、帯域信号とバイアス変調信号の入力タイミングのずれとして、電力検波手段により検波された帯域信号の電力が最大になる時間と、上記帯域信号の電力が規定電力になる時間との時間差を検出することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の電力増幅器。
【請求項5】
ずれ検出手段は、帯域信号とバイアス変調信号の入力タイミングのずれとして、電力検波手段により検波された帯域信号の電力が最小になる時間と、上記帯域信号の電力が規定電力になる時間との時間差を検出することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の電力増幅器。
【請求項6】
入力タイミング制御手段は、電力増幅手段に入力されるバイアス変調信号が矩形波信号であり、帯域信号がバースト信号である場合において、上記帯域信号のバースト幅が段階的に狭められる場合、上記バイアス変調信号の矩形波幅を段階的に狭めることを特徴とする請求項1記載の電力増幅器。
【請求項7】
入力タイミング制御手段は、電力増幅手段に入力されるバイアス変調信号が矩形波信号であり、帯域信号がバースト信号である場合において、上記バイアス変調信号の矩形波幅が段階的に狭められる場合、上記帯域信号のバースト幅を段階的に狭めることを特徴とする請求項2記載の電力増幅器。
【請求項8】
電力増幅手段に入力される帯域信号が変調波の包絡線であり、バイアス変調信号が上記包絡線に基づく変調信号であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の電力増幅器。
【請求項9】
電力増幅手段により増幅された帯域信号の信号品質を監視する信号品質監視手段を設け、タイミング制御手段が上記電力増幅手段に対するバイアス変調信号の入力タイミングを制御したのち、上記信号品質監視手段の監視結果に応じて当該入力タイミングを微調整することを特徴とする請求項1記載の電力増幅器。
【請求項10】
電力増幅手段により増幅された帯域信号の信号品質を監視する信号品質監視手段を設け、タイミング制御手段が上記電力増幅手段に対する帯域信号の入力タイミングを制御したのち、上記信号品質監視手段の監視結果に応じて当該入力タイミングを微調整することを特徴とする請求項2記載の電力増幅器。
【請求項11】
電力検波手段、ずれ検出手段及び入力タイミング制御手段がデジタル信号処理装置から構成されていることを特徴とする請求項1から請求項10のうちのいずれか1項記載の電力増幅器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−141411(P2009−141411A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312431(P2007−312431)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】