電力変換装置及び発電変換システム
【課題】電源より発電した電力を交流系統に出力する電力変換装置であって、交流系統の電圧低下時の運転継続性を向上する。
【解決手段】一端を交流系統2に接続し、他端を電源3に接続し、発電機の発電電力を制御する電力変換器11と、交流系統に出力する電力を制御する電力変換器10と、前記電力変換器を制御する制御部200を備える。交流系統からの電圧を振幅算出器2001で算出し、この電圧振幅を電流換算し、電源3から発電する電力の上限値をリミッタ2005により制限する。最大電力運転制御器2004は直流電流とパネル電圧を入力し、最大電力運転が可能な電流指令値Idcrefを探索する。電流指令値Idcrefは0−上限値間に制限されて(IdcrefN)直流電流との差分をとり、電流制御器2007で電圧指令値Vchopを発生し、電力変換器11に出力する。
【解決手段】一端を交流系統2に接続し、他端を電源3に接続し、発電機の発電電力を制御する電力変換器11と、交流系統に出力する電力を制御する電力変換器10と、前記電力変換器を制御する制御部200を備える。交流系統からの電圧を振幅算出器2001で算出し、この電圧振幅を電流換算し、電源3から発電する電力の上限値をリミッタ2005により制限する。最大電力運転制御器2004は直流電流とパネル電圧を入力し、最大電力運転が可能な電流指令値Idcrefを探索する。電流指令値Idcrefは0−上限値間に制限されて(IdcrefN)直流電流との差分をとり、電流制御器2007で電圧指令値Vchopを発生し、電力変換器11に出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源の電圧・電流を変換して連系する交流系統に電力を出力する電力変換装置及び発電変換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムや風力発電システムなどの分散電源システムの導入が世界的に進んでいる。分散電源システムが多く接続する系統において、系統電圧低下が発生したときに分散電源システムが脱落すると、電源消失によりさらに系統電圧の低下が進み、大規模な停電が発生する恐れがある。そのため、分散電源には系統電圧低下時でも発電を継続することが望ましい。
これら分散電源の多くは、電源から発電した電力をチョッパなどの発電電力制御用電力変換器により所定の電圧の直流電力に変換し、その直流電力を自励式電力変換器である系統連系用電力変換器で交流電力に変換して交流系統に出力する。系統連系用電力変換器と発電電力制御用電力変換器の接続端子には、直流電圧の変動を抑制する平滑コンデンサが並列に接続される。
自励式電力変換器は一般に、熱的制約により定格電流以上の電流を連続で出力することができない。そのため、系統事故などにより接続する系統電圧が低下すると、系統連系用電力変換器の出力電流は定格電流に制限されるため、系統電圧と系統連系用電力変換器出力電流の積である出力電力の上限値は低下する。
このとき、太陽光パネルや風車から発電した電力が系統連系用電力変換器の出力可能な電力を上回ると、系統連系用電力変換器の直流端子に並列接続される平滑コンデンサが充電される。平滑コンデンサが過度に充電されると系統連系用電力変換器や発電電力制御用電力変換装置のスイッチング素子の破損、平滑コンデンサの破損を生じる可能性がある。
過電圧から電力変換器を保護する方法が特許文献1に開示されている。文献1における第一の方法は、平滑コンデンサ電圧が所定の値を超えると、電力変換装置の制御器に発電電力制御用電力変換器を停止させる。第二の方法は、平滑コンデンサ電圧が電圧指令値と過電圧判定値の間である所定の値を超えると、発電電力制御用電力変換器の入力電流指令値上限値を制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−20150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の第一の方法では、発電が停止してしまい、分散電源システムの利用率が低下する。また発電が停止するため系統電圧がさらに低下するため電力系統の大規模停電を促進してしまう可能性がある。
特許文献1記載の第二の方法では、発電の継続が可能である。しかし、発電電力制御用電力変換器の遅れを考慮し、平滑コンデンサ電圧の過電圧判定値と発電電力の上限値を低下させる発電電力抑制判定値の間には余裕を持たせる必要がある。また、平滑コンデンサの電圧指令値と発電電力抑制判定値が近いと、制御の揺らぎにより高い頻度で発電電力を絞り込むことになるため、平均コンデンサの電圧指令値と発電電力抑制判定値の間にも余裕をもたせる必要がある。ゆえに、平滑コンデンサ電圧指令値を過電圧判定値よりかなり余裕を持たせて設計しなければならず、電力変換器のスイッチング素子の電圧利用率が低下する。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、分散電源システムの電力変換器の電圧利用率を低下させずに、交流系統電圧低下時の運転継続性を向上できる電力変換装置およびその発電変換システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、接続する交流系統の電圧振幅を検出し、該電圧振幅が所定の値以下になった場合には系統連系用電力変換器の出力可能な電力以下に、電源からの発電電力を制限することによって達成できる。
より具体的には、接続する交流系統の電圧振幅を算出する手段と、発電電力制御用電力変換器の発電電力指令を制限する発電電力指令リミッタを備え、該電圧振幅が所定の値以下であれば該電圧振幅に応じて該リミッタの上限値を低くする。
または、電力変換装置の制御部に電源からの出力電流を制御する電流制御器と、該出力電流の指令値を制限する出力電流リミッタを備え、接続する交流系統の電圧振幅が所定の値以下であれば該電圧振幅に応じて該出力電流リミッタの上限値を低くする。
前記電源が太陽光発電パネルである場合は、太陽光発電パネルの最大電力追従制御を電流指令値の変更により実施し、該最大電力追従制御の出力である電流指令値を上記出力電流リミッタにより制限する。
系統連系用電力変換器の接続する交流系統が三相である電力変換装置においては、電源から発電する発電電力指令のリミッタ上限値もしくは該電源の出力電流指令のリミッタ上限値を、交流系統の正相電圧振幅に応じて低くする。
前記電源が回転型発電機である場合は、電力変換装置の制御部に発電電力制御用電力変換器に接続する電源の出力する有効電流を制御する電流制御器と、該有効電流指令値を制限する出力電流リミッタを備え、接続する交流系統の電圧振幅が所定の値以下であれば該電圧振幅に応じて有効電流リミッタの上限値を低くする。
前記電源が風車を備える風力発電機である場合は、該風車の羽の角度を変える手段を備え、前記制御部に入力される前記交流系統の電圧振幅が所定の値以下であれば前記風車の羽の角度を寝かせて風車の入力トルクを下げれば、発電機の発電電力を交流系統の電圧振幅に応じて小さくしても風車がオーバースピードになることを回避できる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、接続する交流系統の電圧振幅が低下した時、速やかに電源の発電電力を系統連系用電力変換器の出力可能な電力以下に制限することができる。これにより、平滑コンデンサの過電圧を防止することができ、交流系統の電圧低下発生時の運転継続性能を向上できる。また、平滑コンデンサの電圧上昇が起こる前に発電電力を制限することができるため、電力変換器の電圧利用率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例1による電力変換装置の主要部の構成図。
【図2】実施例1の制御部の詳細を示す構成図。
【図3】最大電力追従運転の電流と電圧および電力の関係図。
【図4】実施例1の最大電力追従運転の処理を示すフロー図。
【図5】実施例1の交流系統の電圧振幅と太陽光発電パネルの出力電流指令上限値との関係図。
【図6】実施例1の交流系統の電圧振幅と太陽光発電パネルの出力電流指令上限値との別の関係図。
【図7】本発明の実施例2による電力変換装置の主要部の構成図。
【図8】実施例2の制御部の詳細を示す構成図。
【図9】実施例2の正相電圧振幅算器の構成図。
【図10】実施例2の正相電圧振幅算器の別の構成図。
【図11】本発明の実施例3による電力変換装置の主要部の構成図。
【図12】実施例3の制御部の詳細を示す構成図。
【図13】交流系統の正相電圧振幅と出力電力指令上限値の関係図。
【図14】本発明の実施例4による風力発電の電力変換装置の主要構成図。
【図15】実施例4の制御部の詳細を示す構成図。
【図16】実施例4のピッチ角調整信号発生器の別の構成図。
【図17】実施例4のピッチ角調整信号発生器の更に別の構成図。
【図18A】実施例4の制御部の別の形態の詳細を示す構成図。
【図18B】実施例4の制御部の更に別の形態の詳細を示す構成図。
【図19】本発明の実施例5による電力変換システムの構成図。
【図20】実施例2の制御部の別の形態を示す構成図。
【図21】実施例2制御部の更に別の形態を示す構成図。
【図22】実施例1の制御部の別の形態を示す構成図。
【図23】実施例1の制御部の更に別の形態を示す構成図。
【図24】本発明の実施例6による電力変換システムの構成図。
【図25】実施例1の制御部の他の形態を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の複数の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施例を説明する各図面では、同一の機能を有する要素には同一の符号を付してある。また、図1、図7、図11、図14に示されるIGBTと、該IGBTと逆並列に接続されたダイオードからなる
並列体10m〜10p、11m、11n、30m〜30r、31m〜31rを、それぞれIGBT素子10m〜10p、IGBT素子11m、11n、IGBT素子30m〜30r、IGBT素子31m〜31rと呼ぶことにする。
【実施例1】
【0009】
本実施例は太陽光発電パネルと交流系統に接続され、太陽光発電パネルで発電した電力を交流電力に変換し、交流系統に出力する電力変換装置である。
【0010】
すなわち、太陽光パネルからの発電電力を制御して該発電電力を直流電力に変換する発電電力制御用電力変換器と、前記発電電力制御用電力変換器の出力端に接続する平滑コンデンサと、前記発電電力制御用電力変換器と前記平滑コンデンサに接続して前記直流電力を交流電力に変換して前記交流系統に出力する系統連系電力変換器と、前記交流系統の電圧振幅を入力とし、該電圧振幅に応じて前記発電電力制御用電力変換器の発電電力上限値を変化させる発電電力制限手段を含む制御部を備え、前記発電電力制限手段は前記電圧振幅が所定の設定値より小さい場合は、該電圧振幅に応じて前記発電電力制御用電力変換器の発電電力上限値を小さくし、前記平滑コンデンサの過充電を抑制する。
この電力変換装置によれば、電圧利用率を低減させずに交流系統の電圧が低下したときの運転継続性を向上することができる。
【0011】
図1は本実施例の電力変換装置の主回路の構成を示し、電力変換装置1は太陽光発電パネル3と、交流系統2を接続している。
太陽光発電パネル3の正極は、逆流防止用ダイオード15、昇圧リアクトル14を介して発電電力制御用電力変換器11の入力端子11Aに接続される。また、太陽光発電パネル3の負極は発電電力制御用電力変換器11の入力端子11Bに接続される。
発電電力制御用電力変換器11はIGBT素子11m、11nにより構成される昇圧チョッパであり、発電電力制御用電力変換器11を構成するIGBT素子11m、11nは電力変換装置1の制御器200から出力されるゲート信号によりPWM制御される。
制御器200は端子11A−11B間の出力電圧をPWM制御することにより太陽光発電パネル3から入力する電力を制御し、その電力を出力端子11P、11Nに出力する。出力端子11P、11Nの間には平滑コンデンサ12が接続され、発電電力制御用電力変換器11の出力電圧を平滑化する。
系統連系用電力変換器10の入力端子10Pは、端子11Pに、入力端子10Nは端子11Nに接続され、発電電力制御用電力変換器11の出力電力を受け取る。また、系統連系用電力変換器10の出力端子10U、10Vは、連系インピーダンス13を介して交流系統2に接続される。
系統連系用電力変換器10は単相インバータであり、系統連系用電力変換器10を構成するIGBT素子10m〜10pのIGBTは電力変換装置1の制御器200から出力されるゲート信号によりPWM制御され、出力端子10Uと10Vの間に交流電圧を出力する。
制御器200は出力端子10U−10V間の出力電圧を、IGBT素子10m〜10pのPWM制御により平滑コンデンサ12の端子電圧を一定にするように交流系統2に出力する電力を制御する。これにより系統連系用電力変換器10は、発電電力制御用電力変換器11より出力された電力を交流系統2に出力する。
次に、本実施例の電力変換装置1におけるセンサおよび制御部200の機能について説明する。図2は実施例1における制御部の詳細な構成を示している。
電力変換装置1には、逆流防止用ダイオード15のアノード端子と太陽光発電パネルの陰極間の電圧を検出する電圧センサ23、昇圧リアクトル14を流れる電流を検出する電流センサ22、平滑コンデンサ12の端子電圧を検出する電圧センサ26、連系インピーダンス13を流れる電流を検出する電流センサ21、交流系統2の電圧を検出する電圧センサ20を備え、上記センサの出力は制御器200に入力される。制御器200は、上記センサからの入力に従い、発電電力制御用電力変換器11および系統連系用電力変換器10のIGBT素子をPWM制御するためのゲート信号を算出し、出力する。
【0012】
まず、系統連系用電力変換器11の制御動作について説明する。電圧センサ26の出力である直流電圧は、制御器200に取り込まれる。制御器200は、あらかじめ定めた直流電圧指令値と電圧センサ26による直流電圧の偏差を算出し、その偏差を電圧制御器2008に出力する。
電圧制御器2008は該偏差から平滑コンデンサ12端子の直流電圧が直流電圧指令値に追従するような交流電流指令値Iacrefを算出する。電流制御器2009は交流電流指令値Iacrefと電流センサ21の出力の偏差を入力し、交流電流指令値Iacrefと電流センサ21の出力が一致するような交流電圧指令値Vinvを算出し、PWM制御器2010に出力する。PWM制御器2010は電流制御器2009の出力Vinvと三角波キャリアと大小比較することでIGBT素子10m〜10pのゲート信号を算出し、系統連系用電力変換器10に出力する。
次に本実施例の新規な点である、発電制御用電力変換器11の制御動作について説明する。本実施例の発電制御用電力変換器11の制御方法の特徴は、(1)最大電力追従運転演算の出力が太陽光発電パネルの出力電流指令値である点と、(2)交流系統2の電圧振幅に応じて該出力電流指令値のリミッタ上限値を変化させる点とにある。
制御部200は太陽光発電パネル3の出力電力が最大になるように太陽光発電パネルの出力電流指令値を変化させる電力最大化制御器2004と、該出力電流指令値と電流検出器22により検出した太陽光パネルの出力電流を一致させるように、発電電力用電力変換器11の太陽光パネル側出力電圧を制御する電流制御器2005を備える。ここで、太陽光パネル側出力電圧とは,発電電力制御用電力変換器11の端子11Aと11Bの間に出力する電圧のことである。
まず、最大電力追従運転演算について説明する。太陽光発電パネルより得られる電力は、ある電圧において極大値を持つ。そのため、従来太陽光発電パネルの端子電圧を変化させることにより最大電力運転の電圧を探索する方法が用いられてきた。端子電圧の変化方法としては、発電電力制御用電力変換器11の端子11Aと端子11Bの間の電圧を変化させる方法や、太陽光発電パネルの出力電流制御をマイナーループとして持つ太陽光発電パネル端子電圧制御の電圧指令値を変化させる方法がある。
本実施例では、太陽光発電パネルの出力電力を可及的速やかに変化させることを目的とし、太陽光発電パネルの最大電力運転を、太陽光発電パネル3の電流指令値変化によって最大電力運転を探索する方法とする。
図3に太陽光発電パネル3の出力電流と出力電圧、出力電力の関係の一例を示す。図3より、ある出力電流において発電電力が極大値をとる。ゆえに、電流指令値を変化させることにより最大電力運転探索が可能である。
本実施例の電力変換装置1は、電流センサ22の出力値と電圧センサ23の出力値より最大電力運転制御器2004を用いて最大電力運転を実施する。最大電力運転制御器2004は電流センサ22と電圧センサ23の出力値を入力とし、太陽光発電パネル3の出力電流指令値Idcrefを算出し、出力電流指令値リミッタ2005に出力する。
図4に最大電力運転制御器の演算手順を示す。最大電力運転制御器2004はStep1〜Step9までの処理を実施することにより最大電力運転を実現する電流指令値Idcrefを探索する。
まず、太陽光発電パネル3の出力電流と出力電圧から現時点の発電電力Pnowを算出する(Step1)。次に算出した発電電力Pnowが前回算出した発電電力Poldと比較し(Step2)、また、前回電流値Idc_oldと現在の電流値Idc_nowを比較する(Step3、Step4)。PoldよりPnowが大きくかつIdc_oldよりIdc_nowが大きい場合、およびPoldよりPnowが小さくかつIdc_oldよりIdc_nowが小さい場合は、太陽光発電パネル3の出力電流指令値Idcrefを前回値より所定の値ΔIだけ増やす(Step5)。
PoldよりPnowが大きくかつIdc_oldよりIdc_nowが小さい場合(Step3)、およびPoldよりPnowが小さくかつIdc_oldよりIdc_nowが大きい場合(Step4)は、太陽光発電パネル3の出力電流指令値Idcrefを前回値より所定の値ΔIだけ減らす(Step6)。Step5もしくはStep6により算出された出力電流指令値Idcrefを出力電流指令値リミッタ2005に出力し(Step7)、前回発電電力と前回電流指令値を更新した後(Step8)、所定の時間が経過した後(Step9)、Step1の処理を再度実行する。
上記処理により算出された出力電流指令値Idcrefに太陽光発電パネル3の出力電流が追従するように、電流制御器2006は発電電力制御用電力変換器11の端子11Aと11B間に出力する電圧指令値Vchopを算出する。
PWM制御器2007は電流制御器2006の出力Vchopと三角波キャリアと大小比較することでIGBT素子11m〜11nのゲート信号を算出し、発電電力制御用電力変換器11に出力する。以上の制御により、太陽光発電パネル3の出力電流指令値の変更により最大電力運転が可能となる。
次に2点目の新規な点である交流系統2の電圧振幅に応じて太陽光発電パネル3の出力電流指令上限値を変化させる制御方法について説明する。本機能は、交流系統2の電圧振幅が低下すると系統連系用電力変換器10が交流系統2に出力可能な電力が低下し、太陽光発電パネル3から発電した電力が交流系統2に出力可能な電力が上回り、平滑コンデンサ12が過電圧になることを回避するものである。以下、本制御動作を説明する。
交流系統2の電圧は電圧センサ20により検出され、検出値は電圧振幅算出器2001に出力される。電圧振幅算出器2001は交流系統2の電圧振幅を算出し、電流換算器2003に出力する。ここで、電圧振幅は実効値演算、1/4サイクル遅れの値を用いて自乗和平方根、基本波に対するフーリエ正弦係数とフーリエ余弦係数の自乗和平方根などによって算出してもよい。
図5に、交流系統の電圧振幅値と太陽光パネル出力電流指令上限値の関係図を示す。図5に示す関係図に基づいて、電流換算器2003は太陽光発電パネル3の出力電流指令上限値を算出し、出力電流指令値リミッタ2005に出力する。ここで、本実施例の系統連系用電力変換器10は交流系統2の電圧振幅が0.9puの場合でも電力変換装置1の定格出力電力を出力できるものとした。交流系統2の電圧振幅が1.0pu以上でなければ系統連系用電力変換器10が電力変換装置1の定格出力電力を出力できない場合は、電流換算器2003の入力―出力関係を図6のようにすれば良い。
出力電流指令値リミッタ2005は最大電力運転制御器2004の出力値Idcrefを、下限を0、上限を電流換算器2003の出力値として制限し、その出力を新たな太陽光発電パネル3出力電流指令値とする。
このように、接続する交流系統2の電圧振幅に応じて太陽光発電パネル3の出力電流上限値を制限することにより、交流系統2の電圧振幅が低下したときには速やかに太陽光発電パネル3の発電電力を制限することができる。そのため、平滑コンデンサ12の電圧が上昇することを回避することができ、発電電力制御用電力変換器11と系統連系用電力変換器10の電圧利用率を下げずに交流系統2の電圧振幅が低下した場合の電力変換装置1の運転継続性を向上することができる。
本実施例では、交流系統2の電圧振幅だけにより太陽光発電パネル3の出力電流指令値上限値を算出したが、図25に示すように太陽光発電パネル3の出力電圧と出力電流から太陽光発電パネル3の開放時出力電圧を推定する開放時電圧推定器2013を備え、太陽光発電パネル3の出力電流指令上限値を、系統連系用電力変換器10の出力可能な最大の電力を開放時電圧推定器2013で推定した電圧で除算した値を太陽光発電パネル3出力電流値としても良い。具体的には推定器2013は、出力電圧からパネル3の投下内部抵抗値と出力電流値の積を減算することで、パネル3の開放時電圧を算出する。
また、図22に示すように、最適電流算出器2101を備える。最適電流算出器2101は系統電圧振幅と直流電流とパネル電圧と等価内部抵抗から、系統連系用電力変換器の有効電力出力と平衡する太陽電池パネルの電力出力を得られるような電流値を算出し、該電流値をリミッタ2005の上限値として出力する構成としてもよい。
【0013】
また、電圧振幅をp.u.値で表してV[p.u.]、系統連系用電力変換器の有効電力出力をp.u.値で表してPc[p.u.]とすると、系統連系用電力変換器の電流がリミッタにより1.0p.u.に制限されていれば、V=Pcの関係が成り立つ。したがって、図23に示すように、系統電圧と系統電流から有効電力演算器2102を用いて、交流系統2に出力する有効電力を演算し、交流系統の電圧振幅の代わりに使用して最適電流指令値上限値を演算してもよい。
また、交流系統2の電圧に高調波が含まれ、電圧振幅算出器2001が脈動する場合は、電圧振幅算出器2001(図25)にローパスフィルタ処理、もしくは交流系統2の基本波周期を窓とする移動平均処理を施し、その出力を電流換算器2003に出力しても良い。
以上より、接続する交流系統2の電圧振幅に応じて太陽光発電パネル3の出力電流上限値を制限することにより、交流系統2の電圧振幅が低下したときには速やかに太陽光発電パネル3の発電電力を制限することができる。そのため、平滑コンデンサ12の電圧が上昇することを回避することができ、発電電力制御用電力変換器11と系統連系用電力変換器10の電圧利用率を下げずに交流系統2の電圧振幅が低下した場合の電力変換装置1の運転継続性を向上することができる。
【実施例2】
【0014】
次に本発明の実施例2を説明する。図7は実施例2における電力変換装置の主回路構成を示す。本実施例において、本発明の実施例1と同じものは同一の符号で示し、説明を省略する。
本実施例は、交流系統2が3相の交流系統であり、発電電流制限手段2003は電流指令値リミッタ2005の上限値を交流系統の正相電圧振幅に応じて低下させることを特徴とする。
本実施例の電力変換装置1の発電電力制御用電力変換器11は実施例1と同様である。また、実施例1と同様に発電電力制御用電力変換器11は太陽光発電パネル3に接続され、系統連系用電力変換器30は平滑コンデンサ12の端子電圧を所定の電圧に追従するよう交流系統2に電力を出力する。
実施例1との相違点は、実施例2は接続する交流系統が3相であり、系統連系用電力変換器30がIGBT素子30m〜30rにより構成される3相インバータとなる点である。また、実施例1は太陽光発電パネル3からの発電電力を交流系統2の電圧振幅に応じて制限する制御動作であるのに対し、実施例2は交流系統2の正相電圧により太陽光発電パネル3の発電電力を制限する制御動作を行う。
図8は実施例2の制御部の詳細を示す構成図である。実施例2の電力変換装置1は、実施例1と同様に電流換算器2003の出力により太陽光発電パネル3の出力電流指令上限値を制限する。本実施例と実施例1との相違は電流換算器2003の入力が異なる。
電力変換装置1が接続する交流系統2が3相の場合、交流系統2の相電圧は同一送電線に接続する単相負荷のアンバランスなどにより不平衡になる場合がある。その場合、交流系統2の電圧振幅は相によりアンバランスとなる。この状態で合成電圧ベクトルの振幅で太陽光発電パネル3の出力電流上限値を設定すると、出力電流上限値が交流系統2の基本波周波数の倍周波数で脈動するため、太陽光発電パネル3の出力電流制御がリミッタの動作に追従できず、電流指令上限値制限による発電電力抑制が実現できなくなる恐れがある。仮にリミッタの動作に太陽光発電パネル3の出力電流制御が追従したとしても、平滑コンデンサ12の端子電圧が変動して系統連系用電力変換器30の運転に支障を来たす恐れがある。
本実施例では、太陽光発電パネル3の出力電流上限値を、交流系統2の電圧の平衡成分である正相電圧により制限する。具体的には、電圧センサ20により検出した電圧を正相電圧振幅算出器2016に入力し、正相電圧振幅算出器2016は算出した正相電圧振幅を電流換算器2003に出力する。
図9に正相電圧振幅算出器の構成を示す。正相電圧振幅算出器2016は交流系統2の正相電圧を算出するもので、3相の電圧検出値を2相/3相変換器20161にてαβ成分であるVα、Vβに変換する。3相電圧検出値は位相検出器20162にも入力され、位相検出器20162は正相電圧の位相を算出する。
2相/3相変換器20161の出力と、位相検出器20162の出力はd−q変換器20163に入力され、d−q変換器20163はd軸電圧Vd、q軸電圧Vqを算出する。算出したVd、Vqは窓が交流系統2の基本波周期である位相平均20164Aと20164Bで移動平均処理する。交流系統2の電圧が不平衡の場合は、Vd、Vqに交流系統2の基本波の倍周波数成分として現れるが、移動平均20164A、20164Bを施すことにより除去することができる。
また、交流系統2の電圧に高調波成分が含まれる場合は、該高調波成分はVd、Vqに基本波の整数倍の脈動として現れるため、移動平均20164A、位相平均20164Bにより除去することができる。ゆえに、移動平均20164A、20164Bの出力値V1_re、V1_imには交流系統2の正相電圧のみを抽出することができる。以上より、正相電圧の振幅はV1_re、V1_imは二乗和の平方根を算出することにより得ることができる。
正相電圧の振幅は交流系統2が不平衡であっても一定である。ゆえに一定の値に太陽光発電パネル3の出力電流指令上限値を制限できる。これにより、発電電力制御用電力変換器1の出力電力が脈動することを防止することができるため、系統連系用電力変換器30の運転に支障を来たすことを回避することができる。
本実施例では、電流換算器2003の正相電圧を図9に示すブロックにより算出したが、図10に示すブロックによっても良い。すなわち、移動平均20164A、20164Bに代えて、カットオフ周波数が交流系統2の基本波周波数より低いローパスフィルタ20168A、20168Bを用いて算出しても良い。
また、図20に示すように、電流換算器2003に代えて最適電流算出器2101を備えても良い。最適電流算出器2101は系統電圧振幅と直流電流とパネル電圧と等価内部抵抗2100から、系統連系用電力変換器の有効電力出力と平衡する太陽電池パネルの電力出力を得られるような電流値を算出し、該値をリミッタ2005の上限値として出力する構成としてもよい。
【0015】
また、正相電圧振幅をp.u.値で表してV1[p.u.]、系統連系用電力変換器の有効電力出力をp.u.値で表してPc[p.u.]とすると、系統連系用電力変換器の電流がリミッタにより1.0p.u.に制限されていれば、V1=Pcの関係が成り立つ。したがって、図21に示すように、系統電圧と系統電流から有効電力演算器2102を用いて、交流系統2に出力する有効電力を演算し、前記交流系統の正相電圧振幅の代わりに使用して最適電流指令値上限値を演算してもよい。
以上より、接続する交流系統2の電圧振幅に応じて太陽光発電パネル3の出力電流上限値を制限することにより、交流系統2の電圧振幅が低下したときには速やかに太陽光発電パネル3の発電電力を制限することができる。そのため、平滑コンデンサ12の電圧が上昇することを回避することができ、発電電力制御用電力変換器11と系統連系用電力変換器30の電圧利用率を下げずに交流系統2の電圧振幅が低下した場合の電力変換装置1の運転継続性を向上することができる。
さらに、本実施例によれば交流系統2の電圧が不平衡の場合でも太陽光パネル3の出力電流上限値を一定の値とすることができるため、太陽光発電パネル3の脈動する発電電力制限を回避することができ、系統連系用電力変換器30の安定な運転が可能となる。
【実施例3】
【0016】
図11は実施例3による電力変換装置の主要部の構成を示す。本実施例において、実施例1、2と同じものは同一の符号で示し、説明を省略する。
電力変換装置1の系統連系用電力変換器30は実施例2と同様である。また、系統連系用電力変換器30は交流系統2に接続され、平滑コンデンサ12の端子電圧を所定の電圧に追従するよう交流系統2に電力を出力する。
実施例1との相違点は、実施例3では発電電力制御用電力変換器11の接続する電源が直流電源5となる。また、実施例2の電力変換装置は太陽光発電パネル3の最大電力追従運転をすることに対し、実施例3の電力変換装置は外部から与えられる有効電力指令値に追従して直流電源5の発電電力を制御する電力制御器を備える。
直流電源5の発電した電力は、発電電力制御用電力変換器11により昇圧され、さらに昇圧した直流電力を系統連系用電力変換器30が交流電力に変換して交流系統2に出力する。
図12は実施例3の制御部の構成を示している。乗算器2023は電圧センサ23により検出した直流電源5の直流電圧と、電流センサ22により検出した直流電源5の出力電流を乗算し、直流電源5より発電された電力を算出する。外部より与えられる直流電源5の発電電力指令は、発電電力リミッタ2022により制限される。
発電電力制御器2024は、上記制限された発電電力指令に、乗算器2023で算出した電力を一致させるよう、直流電源5の出力電流指令値Idcrefを算出し、電流制御器2006は出力電流指令値Idcrefと直流電源5の出力電流検出値が一致するよう発電制御用電力変換器11の出力電圧指令値Vchopを算出する。
出力電圧指令値VchopはPWM制御器2007に出力される。PWM制御器2007は電流制御器2006の出力Vchopと三角波キャリアと大小比較することでIGBT素子11m〜11nのゲート信号を算出し、発電電力制御用電力変換器11に出力する。
これにより、端子11A、11B間には電圧指令値に追従した電圧を出力することができる。以上の動作原理により電源の出力電流は、電流指令値に追従するように制御できる。
ところで、電流指令値Idrefは電源から出力する有効電力(または無効電力)が指令値に追従するよう発電電力制御器2024(またはAQR)により算出された電流指令値である。ゆえに、電力変換装置1は、直流電源5の出力する有効電力(または無効電力)を指令値に追従するよう制御することができる。
一方、交流系統2の電圧は電圧センサ20により検出され、その出力は正相電圧振幅算出器2016に入力される。正相電圧振幅算出器2016は交流系統2の正相電圧を算出し、その出力を電力換算器2025に出力する。
電力換算器2025は、図13に示す関係図に基づき、交流系統電圧振幅から直流電源5の発電電力指令上限値を算出し、発電電力リミッタ2022に出力する。発電電力リミッタ2022は電力換算器2025の出力を上限値として外部から与えられた発電電力指令を制限する。
上記の制御器構成を取ることにより、交流系統2の電圧が低下した場合、速やかに直流電源5から発電する電力指令を低下させることが可能となる。
実施例3では電力指令値の上限値を直接制限するため、電源の電流指令値を制限する実施例1や実施例2に比べて、より精度高く発電電力を制限することが可能となる。実施例3では接続する電源を直流電源としたが、直流電源5の変わりにNaS電池や燃料電池であっても良い。
以上より、接続する交流系統2の電圧振幅に応じて太陽光発電パネル3の出力電流上限値を制限することにより、交流系統2の電圧振幅が低下したときには速やかに直流電源5の発電電力を制限することができる。そのため、平滑コンデンサ12の電圧が上昇することを回避することができ、発電電力制御用電力変換器11と系統連系用電力変換器30の電圧利用率を下げずに交流系統2の電圧振幅が低下した場合の電力変換装置1の運転継続性を向上することができる。
さらに本実施例によれば、電力指令値の上限値を直接制限するため、電源の電流指令値を制限する実施例1や実施例2に比べて、より精度高く発電電力を制限することが可能となる。
【実施例4】
【0017】
図14は本発明の実施例4による主要部の構成を示す。本実施例において、実施例3と同じものは同一の符号で示し、説明を省略する。本実施例は電源が風車とそのピッチ角制御手段を持つ風力発電機であり、交流系統が三相の場合である。
本実施例の電力変換装置1の、系統連系用電力変換器30は実施例3と同様である。また、系統連系用電力変換器30は交流系統2に接続され、平滑コンデンサ12の端子電圧を所定の電圧に一致させるよう交流系統2に電力を出力する。
実施例3との主回路における相違点は、実施例4が発電電力制御用電力変換器31がIGBT素子31m〜31rにより構成される三相コンバータである点と、電源が回転型発電機である同期発電機4により発電する風力発電システムである点である。
また、発電電力制御用電力変換器31が接続する風車の羽43a、43bにはピッチ角を調整するピッチ角調整機構42a、42bが設けられ、外部から与えられる指令によりピッチ角を調整することが可能な構造を持つ。
制御機能については、本実施例の電力変換装置1が同期発電機4から受け取る有効電力と無効電力を制御する制御器と、有効電力制御器から出力される有効電流指令値を制限する有効電流リミッタと、交流系統2の正相電圧に応じて該有効電流指令値上限値を低下させ、さらにピッチ角調整機構42a、42bにピッチ角を寝かせる機能を有する点が異なる。
図15は実施例4による電力変換装置の制御機能の詳細構成を示す。同期発電機4の回転子41には風力の羽の軸が接続され、軸が回転することにより発電する。回転子41には位置センサ24が備えられ、その出力は制御器200に入力される。また、発電機の出力電圧は電圧センサ25により、出力電流は電流センサ22により検出し、その出力は制御器200に入力される。
制御器200は電圧センサ25と電流センサ22の出力を有効電力・無効電力算出器(PQ検出器)2026に入力し、同期発電機4の出力する有効電力値P、無効電力値Qを算出する。
有効電力・無効電力算出器2026により算出された有効電力値Pと、外部より与えられる有効電力指令値Prefは有効電力制御器2027に入力され、有効電力制御器2027は有効電力値Pを有効電力指令値Prefに一致するよう同期発電機4の出力する有効電流指令値Idrefを算出する。
同様に、有効電力・無効電力算出器2026により算出された無効電力Qと、外部より与えられた無効電力指令値Qrefは無効電力制御器2028に入力され、無効電力制御器2028は無効電力値Qを無効電力指令値Qrefに一致するよう同期発電機4の出力する無効電流指令値Iqrefを算出する。
有効電流指令値Idrefは、有効電流指令値リミッタ2005に入力される。有効電流指令値リミッタ2005の上限値は、実施例2で示した方法と同様に、正相電圧振幅算出器2016により算出された交流系統2の正相電圧振幅値に応じて低く設定する。
一方、位置センサ25により検出した回転子41の位置検出値は位相検出器2020に入力され、位置検出器2020は回転子41の位相角を算出する。位相検出器2020の出力と電流センサ22はd−q変換器2021に入力され、d−q変換器2021は電流センサ22の出力値をd−q変換し、発電機出力電流の有効電流値Id、無効電流値Iqを算出する。電流制御器2006は、有効電流指令値リミッタ2005の出力と有効電流値Idを、無効電力制御器2026の出力Iqrefと無効電流値Iqを一致させるように発電電力制御用電力変換器31の発電機4側出力電圧指令値Vconvを算出する。
次に、本実施例で新規な点であるピッチ角調整信号発生器の動作、およびピッチ角調整動作について説明する。
交流系統2の正相電圧振幅値は正相電圧振幅算出器2016により算出され、ピッチ角調整信号発生器2029に出力される。電流換算器2003の出力が低下を開始する正相電圧振幅の閾値をV1_Lとすると、ピッチ角調整信号発生器2029は正相電圧振幅算出器2016の出力がV1_L以下のとき、風車のピッチ角調整機構42a、42bにピッチ角調整信号を出力する。ピッチ角調整機構42a、42bは、制御器200よりピッチ角調整信号を入力すると、羽43a、43bの風に対する角度を寝かせ、風圧を逃がすことができる状態にする。
上記動作をさせることにより、発電電力制御用電力変換器31が系統連系用電力変換器30に出力する電力を、系統連系用電力変換器30の出力可能な電力以下に抑制することができる。
風車が交流系統2の電圧に関係なく運転を続けた場合、発電電力制御用電力変換器31の有効電流指令上限値が抑制されると、機械的入力が電気的出力を超えるため、風車がオーバースピードになり、システム運用に影響を及ぼす可能性がある。本実施例の電力変換装置を用いれば、制御器200により風車の羽43a、43bのピッチ角を風に対して寝かせることにより風車の機械的入力を制限するため、発電電力制御用電力変換器31に出力する電力が抑制されても風車のオーバースピードを抑制することができる。
ここで、本実施例ではピッチ角調整信号発生器2029は正相電圧振幅算出器2016の出力がV1_L以下のときにピッチ角調整機構42a、42bにピッチ角調整信号を出力するとしたが、制御器200はピッチ角調整信号発生器2029の代わりにピッチ角調整信号発生器2030を備えても良い。図16に示すように、ピッチ角調整信号発生器2030は入力発電機4の有効電力算出値と交流系統2の正相電圧振幅値をp.u.化演算器2031a、2031bによりそれぞれp.u.化し、正相電圧振幅値のp.u.値が有効電力算出値のp.u.値を比較器2031Cで比較する。その結果、正相電圧振幅値が有効電力算出値より小さい場合のみピッチ角調整信号を出力する構成としても良い。なお、正相電圧振幅値のp.u.値は、例えば系統定格電圧における正相電圧値を基準とし、有効電力算出値のp.u.値は、例えば定格出力時の有効電力値を基準とする。
また、制御器200はピッチ角調整信号発生器2029の代わりにピッチ角調整信号発生器2031を備えても良い。図17に示すように、ピッチ角調整信号発生器2031は交流系統2の正相電圧振幅値を比較器2031a、2031b、2031cによって複数の閾値と比較する。その比較結果を2031dに出力し、比較器2031a、2031b、2031cの出力に応じてピッチ角調整機構42a、42bの調整する角度を変えても良い。なお、正相電圧振幅が閾値(V1_L1、V1_L2、V1_L3)より大きい場合、比較器2031a、2031b、2031cは1を出力、その他の場合は0を出力する。ピッチ角調整信号発生器2031を図17のように構成することにより、風車のピッチ各を徐々にねかせることが可能になり、ショックの少ない制御が実現できる。
本実施例では、同期発電機4の出力する有効電流指令値Idrefは有効電力制御器2027により算出されるが、図18Aに示すように制御器200が風車の回転速度を算出する速度算出器2032と、回転速度を制御する速度制御器2033を備え、該速度制御器2033が、外部より与えられる回転速度指令と、風車回転速度と、が一致するように有効電流指令値を算出する構成としても良い。この構成とすることで、瞬低時の運転継続性能向上に加えて、定常時の風車回転速度を制御対象とすることができ、風車回転速度を安定を増すことができる。
また、図18Bに示すように制御器200が風車の回転速度を算出する速度算出器2032と、回転速度を制御する速度制御器2033を備え、速度制御器2033が、外部より与えられる回転速度指令と、風車回転速度と、が一致するように有効電力制御器2027に与える有効電力指令値を算出する構成としても良い。この構成とすることで、瞬低時の運転継続性能向上に加えて、定常時の発電電力を制御対象とすることができ、発電電力制御性能を向上させることができる。
以上より、本実施例によれば接続する交流系統2の正相電圧振幅に応じて風力発電システムの同期発電機4の出力する有効電流を抑制することができるため、交流系統2の正相電圧振幅が低下したときには速やかに同期発電機4の発電電力を制限することができる。これにより、平滑コンデンサ12の電圧が上昇することを回避することができ、発電電力制御用電力変換器31と系統連系用電力変換器30の電圧利用率を下げずに交流系統2の正相電圧振幅が低下した場合の電力変換装置1の運転継続性を向上することができる。
さらに、本実施例によれば電力変換装置1の発電電力を制限するのと同時に風車の羽のピッチ角を調整して風車の機械的入力を制限することができるため、風車のオーバースピードを回避することができる。
【実施例5】
【0018】
図19は本発明の実施例5による電力変換システムの構成を示す。本実施例において、実施例3と同じものは同一の符号で示し、説明を省略する。
実施例4記載の電力変換装置との相違点は、実施例5記載の電力変換装置1の発電電力制御用電力変換器31を制御する制御器200Aと、系統連系用電力変換器30を制御する制御器200Bをもつ点にある。
海洋風力発電システムなどにおいては、海に設置された風車で発電した電力を直流で送電するシステムがあり、その場合、発電用電力変換器31と系統連系用電力変換器30が直流送電線50P、50Nで連系され、物理的に離れた場所に設置される場合がある。本実施例は、上記状況でも交流系統3で電圧低下が発生した場合に、発電システムとしての運転継続性を向上する電力変換システムを提案するものである。
電力変換装置1の発電電力制御用電力変換器31は制御器200Aにより制御され、系統連系用電力変換装置30は制御器200Bにより制御される。交流系統3の正相電圧は制御器200Bの正相電圧振幅算出器2016により算出され、シリアル変換器300B1に出力される。
シリアル変換器300B1は正相電圧振幅算出器2016の出力をシリアル通信形式に変換し、E/O変換器300B2に出力する。E/O変換器300B2はシリアル変換器300B1の出力を光信号に変換し、その光を、ライトガイド300Cを介して制御器200Aに備えられたO/E変換器300A1に出力する。
O/E変換器300A1は光信号を電気信号に変換し、その出力を復元器300A2に出力する。復元器300A2はシリアル信号化された電気信号から交流系統3の正相電圧振幅値に復元し、その出力を発電電力制御用電力変換器31の有効電流指令上限値を算出する電流換算器2003と、風車の羽のピッチ角を調整する信号を算出するピッチ角調整信号発生器2029と、に出力する。
以上のように、発電電力制御用電力変換器と系統連系用電力変換器が地理的に離れている場合でも、制御器が通信機能を有することにより交流系統2の正相電圧振幅値を発電電力制御用電力変換器の制御器に交流系統2の正相電圧振幅値を伝達できる。
本実施例では、ライトガイドを用いたシリアル通信により交流系統2の正相電圧振幅値を発電電力制御用電力変換器31の制御器200Aに伝達したが、無線による通信によって制御器200Bから制御器200Aへ交流系統2の正相電圧振幅値を伝達しても良い。
以上より、本実施例によれば接続する交流系統2の正相電圧振幅に応じて風力発電システムの同期発電機4の出力する有効電流を抑制することができるため、交流系統2の正相電圧振幅が低下したときには速やかに同期発電機4の発電電力を制限することができる。これにより、平滑コンデンサ12の電圧が上昇することを回避することができ、発電電力制御用電力変換器31と系統連系用電力変換器30の電圧利用率を下げずに交流系統2の正相電圧振幅が低下した場合の電力変換装置1の運転継続性を向上することができる。
さらに、本実施例によれば発電電力制御用電力変換器31と系統連系用電力変換器30が地理的に離れた場所に設置されていても、交流系統2の正相電圧振幅を発電電力制御用電信することができ、運転継続性の向上を維持できる。
【実施例6】
【0019】
図24は本発明の実施例6による電力変換システムの構成を示す。本実施例において、実施例5と同じものは同一の符号で示し、説明を省略する。
実施例5記載の電力変換装置との相違点は、実施例6は電源が太陽光発電パネルである点と、発電電力制御用電力変換器31が実施例1〜3と同じ直流−直流の変換装置である点である。
太陽光発電パネルは、砂漠などに設置され、需要地まで発電した電力を直流で送電するシステムが考えられ、その場合、発電用電力変換器31と系統連系用電力変換器30が直流送電線50P、50Nで連系され、物理的に離れた場所に設置される場合がある。本実施例は、上記状況でも交流系統3で電圧低下が発生した場合にも発電システムとしての運転継続性を向上する電力変換システムを提案するものである。
正相電圧振幅演算器2016は、本実施例では、系統連系電力変換装置の制御装置200dに組み込まれている。実施例5と同様に正相電圧振幅演算値がシリアル通信により、発電電力制御用電力変換器の制御装置200cに渡され、実施例2と同様に、発電電力制御用電力変換器11と系統連系用電力変換器30の電圧利用率を下げずに交流系統2の電圧振幅が低下した場合の電力変換装置1の運転継続性を向上することができる。
さらに、本実施例によれば発電電力制御用電力変換器31と系統連系用電力変換器30が地理的に離れた場所に設置されていても、交流系統2の正相電圧振幅を発電電力制御用電力変換器31に送信することができ、運転継続性の向上を維持できる。
また、本実施例においても、実施例2と同様に系統電圧振幅と直流電流とパネル電圧から、系統電力変換器の有効電力出力と平衡する太陽電池パネルの電力出力を得られる電流値をリミッタの上限値としてもよい。さらに、系統電圧と系統電流から有効電力演算器を用いて、有効電力を演算し、前期交流系統の電圧振幅の代わりに使用して最適電流指令値上限値を演算してもよい。
【符号の説明】
【0020】
1…電力変換装置、2…交流系統、3…太陽光発電パネル、4…同期発電機、5…直流電源、10,30…系統連系用電力変換器、11,31…発電電力制御用電力変換器、12…平滑コンデンサ、13…連系インピーダンス、14…昇圧リアクトル、15…逆流防止用ダイオード、20,23,25,26…電圧センサ、21,22…電流センサ、24…位置センサ、41…同期発電機回転子、50P,50N…直流送電線、200,200A,200B,200c,200d…制御器、2001…振幅算出器、2003…電流換算器、2004…最大電力運転制御器、2005…出力電流指令値リミッタ、2006…電流制御器、2007,2010…PWM制御器、2008…電圧制御器、2009…電流制御器。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源の電圧・電流を変換して連系する交流系統に電力を出力する電力変換装置及び発電変換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムや風力発電システムなどの分散電源システムの導入が世界的に進んでいる。分散電源システムが多く接続する系統において、系統電圧低下が発生したときに分散電源システムが脱落すると、電源消失によりさらに系統電圧の低下が進み、大規模な停電が発生する恐れがある。そのため、分散電源には系統電圧低下時でも発電を継続することが望ましい。
これら分散電源の多くは、電源から発電した電力をチョッパなどの発電電力制御用電力変換器により所定の電圧の直流電力に変換し、その直流電力を自励式電力変換器である系統連系用電力変換器で交流電力に変換して交流系統に出力する。系統連系用電力変換器と発電電力制御用電力変換器の接続端子には、直流電圧の変動を抑制する平滑コンデンサが並列に接続される。
自励式電力変換器は一般に、熱的制約により定格電流以上の電流を連続で出力することができない。そのため、系統事故などにより接続する系統電圧が低下すると、系統連系用電力変換器の出力電流は定格電流に制限されるため、系統電圧と系統連系用電力変換器出力電流の積である出力電力の上限値は低下する。
このとき、太陽光パネルや風車から発電した電力が系統連系用電力変換器の出力可能な電力を上回ると、系統連系用電力変換器の直流端子に並列接続される平滑コンデンサが充電される。平滑コンデンサが過度に充電されると系統連系用電力変換器や発電電力制御用電力変換装置のスイッチング素子の破損、平滑コンデンサの破損を生じる可能性がある。
過電圧から電力変換器を保護する方法が特許文献1に開示されている。文献1における第一の方法は、平滑コンデンサ電圧が所定の値を超えると、電力変換装置の制御器に発電電力制御用電力変換器を停止させる。第二の方法は、平滑コンデンサ電圧が電圧指令値と過電圧判定値の間である所定の値を超えると、発電電力制御用電力変換器の入力電流指令値上限値を制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−20150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の第一の方法では、発電が停止してしまい、分散電源システムの利用率が低下する。また発電が停止するため系統電圧がさらに低下するため電力系統の大規模停電を促進してしまう可能性がある。
特許文献1記載の第二の方法では、発電の継続が可能である。しかし、発電電力制御用電力変換器の遅れを考慮し、平滑コンデンサ電圧の過電圧判定値と発電電力の上限値を低下させる発電電力抑制判定値の間には余裕を持たせる必要がある。また、平滑コンデンサの電圧指令値と発電電力抑制判定値が近いと、制御の揺らぎにより高い頻度で発電電力を絞り込むことになるため、平均コンデンサの電圧指令値と発電電力抑制判定値の間にも余裕をもたせる必要がある。ゆえに、平滑コンデンサ電圧指令値を過電圧判定値よりかなり余裕を持たせて設計しなければならず、電力変換器のスイッチング素子の電圧利用率が低下する。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、分散電源システムの電力変換器の電圧利用率を低下させずに、交流系統電圧低下時の運転継続性を向上できる電力変換装置およびその発電変換システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、接続する交流系統の電圧振幅を検出し、該電圧振幅が所定の値以下になった場合には系統連系用電力変換器の出力可能な電力以下に、電源からの発電電力を制限することによって達成できる。
より具体的には、接続する交流系統の電圧振幅を算出する手段と、発電電力制御用電力変換器の発電電力指令を制限する発電電力指令リミッタを備え、該電圧振幅が所定の値以下であれば該電圧振幅に応じて該リミッタの上限値を低くする。
または、電力変換装置の制御部に電源からの出力電流を制御する電流制御器と、該出力電流の指令値を制限する出力電流リミッタを備え、接続する交流系統の電圧振幅が所定の値以下であれば該電圧振幅に応じて該出力電流リミッタの上限値を低くする。
前記電源が太陽光発電パネルである場合は、太陽光発電パネルの最大電力追従制御を電流指令値の変更により実施し、該最大電力追従制御の出力である電流指令値を上記出力電流リミッタにより制限する。
系統連系用電力変換器の接続する交流系統が三相である電力変換装置においては、電源から発電する発電電力指令のリミッタ上限値もしくは該電源の出力電流指令のリミッタ上限値を、交流系統の正相電圧振幅に応じて低くする。
前記電源が回転型発電機である場合は、電力変換装置の制御部に発電電力制御用電力変換器に接続する電源の出力する有効電流を制御する電流制御器と、該有効電流指令値を制限する出力電流リミッタを備え、接続する交流系統の電圧振幅が所定の値以下であれば該電圧振幅に応じて有効電流リミッタの上限値を低くする。
前記電源が風車を備える風力発電機である場合は、該風車の羽の角度を変える手段を備え、前記制御部に入力される前記交流系統の電圧振幅が所定の値以下であれば前記風車の羽の角度を寝かせて風車の入力トルクを下げれば、発電機の発電電力を交流系統の電圧振幅に応じて小さくしても風車がオーバースピードになることを回避できる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、接続する交流系統の電圧振幅が低下した時、速やかに電源の発電電力を系統連系用電力変換器の出力可能な電力以下に制限することができる。これにより、平滑コンデンサの過電圧を防止することができ、交流系統の電圧低下発生時の運転継続性能を向上できる。また、平滑コンデンサの電圧上昇が起こる前に発電電力を制限することができるため、電力変換器の電圧利用率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例1による電力変換装置の主要部の構成図。
【図2】実施例1の制御部の詳細を示す構成図。
【図3】最大電力追従運転の電流と電圧および電力の関係図。
【図4】実施例1の最大電力追従運転の処理を示すフロー図。
【図5】実施例1の交流系統の電圧振幅と太陽光発電パネルの出力電流指令上限値との関係図。
【図6】実施例1の交流系統の電圧振幅と太陽光発電パネルの出力電流指令上限値との別の関係図。
【図7】本発明の実施例2による電力変換装置の主要部の構成図。
【図8】実施例2の制御部の詳細を示す構成図。
【図9】実施例2の正相電圧振幅算器の構成図。
【図10】実施例2の正相電圧振幅算器の別の構成図。
【図11】本発明の実施例3による電力変換装置の主要部の構成図。
【図12】実施例3の制御部の詳細を示す構成図。
【図13】交流系統の正相電圧振幅と出力電力指令上限値の関係図。
【図14】本発明の実施例4による風力発電の電力変換装置の主要構成図。
【図15】実施例4の制御部の詳細を示す構成図。
【図16】実施例4のピッチ角調整信号発生器の別の構成図。
【図17】実施例4のピッチ角調整信号発生器の更に別の構成図。
【図18A】実施例4の制御部の別の形態の詳細を示す構成図。
【図18B】実施例4の制御部の更に別の形態の詳細を示す構成図。
【図19】本発明の実施例5による電力変換システムの構成図。
【図20】実施例2の制御部の別の形態を示す構成図。
【図21】実施例2制御部の更に別の形態を示す構成図。
【図22】実施例1の制御部の別の形態を示す構成図。
【図23】実施例1の制御部の更に別の形態を示す構成図。
【図24】本発明の実施例6による電力変換システムの構成図。
【図25】実施例1の制御部の他の形態を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の複数の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施例を説明する各図面では、同一の機能を有する要素には同一の符号を付してある。また、図1、図7、図11、図14に示されるIGBTと、該IGBTと逆並列に接続されたダイオードからなる
並列体10m〜10p、11m、11n、30m〜30r、31m〜31rを、それぞれIGBT素子10m〜10p、IGBT素子11m、11n、IGBT素子30m〜30r、IGBT素子31m〜31rと呼ぶことにする。
【実施例1】
【0009】
本実施例は太陽光発電パネルと交流系統に接続され、太陽光発電パネルで発電した電力を交流電力に変換し、交流系統に出力する電力変換装置である。
【0010】
すなわち、太陽光パネルからの発電電力を制御して該発電電力を直流電力に変換する発電電力制御用電力変換器と、前記発電電力制御用電力変換器の出力端に接続する平滑コンデンサと、前記発電電力制御用電力変換器と前記平滑コンデンサに接続して前記直流電力を交流電力に変換して前記交流系統に出力する系統連系電力変換器と、前記交流系統の電圧振幅を入力とし、該電圧振幅に応じて前記発電電力制御用電力変換器の発電電力上限値を変化させる発電電力制限手段を含む制御部を備え、前記発電電力制限手段は前記電圧振幅が所定の設定値より小さい場合は、該電圧振幅に応じて前記発電電力制御用電力変換器の発電電力上限値を小さくし、前記平滑コンデンサの過充電を抑制する。
この電力変換装置によれば、電圧利用率を低減させずに交流系統の電圧が低下したときの運転継続性を向上することができる。
【0011】
図1は本実施例の電力変換装置の主回路の構成を示し、電力変換装置1は太陽光発電パネル3と、交流系統2を接続している。
太陽光発電パネル3の正極は、逆流防止用ダイオード15、昇圧リアクトル14を介して発電電力制御用電力変換器11の入力端子11Aに接続される。また、太陽光発電パネル3の負極は発電電力制御用電力変換器11の入力端子11Bに接続される。
発電電力制御用電力変換器11はIGBT素子11m、11nにより構成される昇圧チョッパであり、発電電力制御用電力変換器11を構成するIGBT素子11m、11nは電力変換装置1の制御器200から出力されるゲート信号によりPWM制御される。
制御器200は端子11A−11B間の出力電圧をPWM制御することにより太陽光発電パネル3から入力する電力を制御し、その電力を出力端子11P、11Nに出力する。出力端子11P、11Nの間には平滑コンデンサ12が接続され、発電電力制御用電力変換器11の出力電圧を平滑化する。
系統連系用電力変換器10の入力端子10Pは、端子11Pに、入力端子10Nは端子11Nに接続され、発電電力制御用電力変換器11の出力電力を受け取る。また、系統連系用電力変換器10の出力端子10U、10Vは、連系インピーダンス13を介して交流系統2に接続される。
系統連系用電力変換器10は単相インバータであり、系統連系用電力変換器10を構成するIGBT素子10m〜10pのIGBTは電力変換装置1の制御器200から出力されるゲート信号によりPWM制御され、出力端子10Uと10Vの間に交流電圧を出力する。
制御器200は出力端子10U−10V間の出力電圧を、IGBT素子10m〜10pのPWM制御により平滑コンデンサ12の端子電圧を一定にするように交流系統2に出力する電力を制御する。これにより系統連系用電力変換器10は、発電電力制御用電力変換器11より出力された電力を交流系統2に出力する。
次に、本実施例の電力変換装置1におけるセンサおよび制御部200の機能について説明する。図2は実施例1における制御部の詳細な構成を示している。
電力変換装置1には、逆流防止用ダイオード15のアノード端子と太陽光発電パネルの陰極間の電圧を検出する電圧センサ23、昇圧リアクトル14を流れる電流を検出する電流センサ22、平滑コンデンサ12の端子電圧を検出する電圧センサ26、連系インピーダンス13を流れる電流を検出する電流センサ21、交流系統2の電圧を検出する電圧センサ20を備え、上記センサの出力は制御器200に入力される。制御器200は、上記センサからの入力に従い、発電電力制御用電力変換器11および系統連系用電力変換器10のIGBT素子をPWM制御するためのゲート信号を算出し、出力する。
【0012】
まず、系統連系用電力変換器11の制御動作について説明する。電圧センサ26の出力である直流電圧は、制御器200に取り込まれる。制御器200は、あらかじめ定めた直流電圧指令値と電圧センサ26による直流電圧の偏差を算出し、その偏差を電圧制御器2008に出力する。
電圧制御器2008は該偏差から平滑コンデンサ12端子の直流電圧が直流電圧指令値に追従するような交流電流指令値Iacrefを算出する。電流制御器2009は交流電流指令値Iacrefと電流センサ21の出力の偏差を入力し、交流電流指令値Iacrefと電流センサ21の出力が一致するような交流電圧指令値Vinvを算出し、PWM制御器2010に出力する。PWM制御器2010は電流制御器2009の出力Vinvと三角波キャリアと大小比較することでIGBT素子10m〜10pのゲート信号を算出し、系統連系用電力変換器10に出力する。
次に本実施例の新規な点である、発電制御用電力変換器11の制御動作について説明する。本実施例の発電制御用電力変換器11の制御方法の特徴は、(1)最大電力追従運転演算の出力が太陽光発電パネルの出力電流指令値である点と、(2)交流系統2の電圧振幅に応じて該出力電流指令値のリミッタ上限値を変化させる点とにある。
制御部200は太陽光発電パネル3の出力電力が最大になるように太陽光発電パネルの出力電流指令値を変化させる電力最大化制御器2004と、該出力電流指令値と電流検出器22により検出した太陽光パネルの出力電流を一致させるように、発電電力用電力変換器11の太陽光パネル側出力電圧を制御する電流制御器2005を備える。ここで、太陽光パネル側出力電圧とは,発電電力制御用電力変換器11の端子11Aと11Bの間に出力する電圧のことである。
まず、最大電力追従運転演算について説明する。太陽光発電パネルより得られる電力は、ある電圧において極大値を持つ。そのため、従来太陽光発電パネルの端子電圧を変化させることにより最大電力運転の電圧を探索する方法が用いられてきた。端子電圧の変化方法としては、発電電力制御用電力変換器11の端子11Aと端子11Bの間の電圧を変化させる方法や、太陽光発電パネルの出力電流制御をマイナーループとして持つ太陽光発電パネル端子電圧制御の電圧指令値を変化させる方法がある。
本実施例では、太陽光発電パネルの出力電力を可及的速やかに変化させることを目的とし、太陽光発電パネルの最大電力運転を、太陽光発電パネル3の電流指令値変化によって最大電力運転を探索する方法とする。
図3に太陽光発電パネル3の出力電流と出力電圧、出力電力の関係の一例を示す。図3より、ある出力電流において発電電力が極大値をとる。ゆえに、電流指令値を変化させることにより最大電力運転探索が可能である。
本実施例の電力変換装置1は、電流センサ22の出力値と電圧センサ23の出力値より最大電力運転制御器2004を用いて最大電力運転を実施する。最大電力運転制御器2004は電流センサ22と電圧センサ23の出力値を入力とし、太陽光発電パネル3の出力電流指令値Idcrefを算出し、出力電流指令値リミッタ2005に出力する。
図4に最大電力運転制御器の演算手順を示す。最大電力運転制御器2004はStep1〜Step9までの処理を実施することにより最大電力運転を実現する電流指令値Idcrefを探索する。
まず、太陽光発電パネル3の出力電流と出力電圧から現時点の発電電力Pnowを算出する(Step1)。次に算出した発電電力Pnowが前回算出した発電電力Poldと比較し(Step2)、また、前回電流値Idc_oldと現在の電流値Idc_nowを比較する(Step3、Step4)。PoldよりPnowが大きくかつIdc_oldよりIdc_nowが大きい場合、およびPoldよりPnowが小さくかつIdc_oldよりIdc_nowが小さい場合は、太陽光発電パネル3の出力電流指令値Idcrefを前回値より所定の値ΔIだけ増やす(Step5)。
PoldよりPnowが大きくかつIdc_oldよりIdc_nowが小さい場合(Step3)、およびPoldよりPnowが小さくかつIdc_oldよりIdc_nowが大きい場合(Step4)は、太陽光発電パネル3の出力電流指令値Idcrefを前回値より所定の値ΔIだけ減らす(Step6)。Step5もしくはStep6により算出された出力電流指令値Idcrefを出力電流指令値リミッタ2005に出力し(Step7)、前回発電電力と前回電流指令値を更新した後(Step8)、所定の時間が経過した後(Step9)、Step1の処理を再度実行する。
上記処理により算出された出力電流指令値Idcrefに太陽光発電パネル3の出力電流が追従するように、電流制御器2006は発電電力制御用電力変換器11の端子11Aと11B間に出力する電圧指令値Vchopを算出する。
PWM制御器2007は電流制御器2006の出力Vchopと三角波キャリアと大小比較することでIGBT素子11m〜11nのゲート信号を算出し、発電電力制御用電力変換器11に出力する。以上の制御により、太陽光発電パネル3の出力電流指令値の変更により最大電力運転が可能となる。
次に2点目の新規な点である交流系統2の電圧振幅に応じて太陽光発電パネル3の出力電流指令上限値を変化させる制御方法について説明する。本機能は、交流系統2の電圧振幅が低下すると系統連系用電力変換器10が交流系統2に出力可能な電力が低下し、太陽光発電パネル3から発電した電力が交流系統2に出力可能な電力が上回り、平滑コンデンサ12が過電圧になることを回避するものである。以下、本制御動作を説明する。
交流系統2の電圧は電圧センサ20により検出され、検出値は電圧振幅算出器2001に出力される。電圧振幅算出器2001は交流系統2の電圧振幅を算出し、電流換算器2003に出力する。ここで、電圧振幅は実効値演算、1/4サイクル遅れの値を用いて自乗和平方根、基本波に対するフーリエ正弦係数とフーリエ余弦係数の自乗和平方根などによって算出してもよい。
図5に、交流系統の電圧振幅値と太陽光パネル出力電流指令上限値の関係図を示す。図5に示す関係図に基づいて、電流換算器2003は太陽光発電パネル3の出力電流指令上限値を算出し、出力電流指令値リミッタ2005に出力する。ここで、本実施例の系統連系用電力変換器10は交流系統2の電圧振幅が0.9puの場合でも電力変換装置1の定格出力電力を出力できるものとした。交流系統2の電圧振幅が1.0pu以上でなければ系統連系用電力変換器10が電力変換装置1の定格出力電力を出力できない場合は、電流換算器2003の入力―出力関係を図6のようにすれば良い。
出力電流指令値リミッタ2005は最大電力運転制御器2004の出力値Idcrefを、下限を0、上限を電流換算器2003の出力値として制限し、その出力を新たな太陽光発電パネル3出力電流指令値とする。
このように、接続する交流系統2の電圧振幅に応じて太陽光発電パネル3の出力電流上限値を制限することにより、交流系統2の電圧振幅が低下したときには速やかに太陽光発電パネル3の発電電力を制限することができる。そのため、平滑コンデンサ12の電圧が上昇することを回避することができ、発電電力制御用電力変換器11と系統連系用電力変換器10の電圧利用率を下げずに交流系統2の電圧振幅が低下した場合の電力変換装置1の運転継続性を向上することができる。
本実施例では、交流系統2の電圧振幅だけにより太陽光発電パネル3の出力電流指令値上限値を算出したが、図25に示すように太陽光発電パネル3の出力電圧と出力電流から太陽光発電パネル3の開放時出力電圧を推定する開放時電圧推定器2013を備え、太陽光発電パネル3の出力電流指令上限値を、系統連系用電力変換器10の出力可能な最大の電力を開放時電圧推定器2013で推定した電圧で除算した値を太陽光発電パネル3出力電流値としても良い。具体的には推定器2013は、出力電圧からパネル3の投下内部抵抗値と出力電流値の積を減算することで、パネル3の開放時電圧を算出する。
また、図22に示すように、最適電流算出器2101を備える。最適電流算出器2101は系統電圧振幅と直流電流とパネル電圧と等価内部抵抗から、系統連系用電力変換器の有効電力出力と平衡する太陽電池パネルの電力出力を得られるような電流値を算出し、該電流値をリミッタ2005の上限値として出力する構成としてもよい。
【0013】
また、電圧振幅をp.u.値で表してV[p.u.]、系統連系用電力変換器の有効電力出力をp.u.値で表してPc[p.u.]とすると、系統連系用電力変換器の電流がリミッタにより1.0p.u.に制限されていれば、V=Pcの関係が成り立つ。したがって、図23に示すように、系統電圧と系統電流から有効電力演算器2102を用いて、交流系統2に出力する有効電力を演算し、交流系統の電圧振幅の代わりに使用して最適電流指令値上限値を演算してもよい。
また、交流系統2の電圧に高調波が含まれ、電圧振幅算出器2001が脈動する場合は、電圧振幅算出器2001(図25)にローパスフィルタ処理、もしくは交流系統2の基本波周期を窓とする移動平均処理を施し、その出力を電流換算器2003に出力しても良い。
以上より、接続する交流系統2の電圧振幅に応じて太陽光発電パネル3の出力電流上限値を制限することにより、交流系統2の電圧振幅が低下したときには速やかに太陽光発電パネル3の発電電力を制限することができる。そのため、平滑コンデンサ12の電圧が上昇することを回避することができ、発電電力制御用電力変換器11と系統連系用電力変換器10の電圧利用率を下げずに交流系統2の電圧振幅が低下した場合の電力変換装置1の運転継続性を向上することができる。
【実施例2】
【0014】
次に本発明の実施例2を説明する。図7は実施例2における電力変換装置の主回路構成を示す。本実施例において、本発明の実施例1と同じものは同一の符号で示し、説明を省略する。
本実施例は、交流系統2が3相の交流系統であり、発電電流制限手段2003は電流指令値リミッタ2005の上限値を交流系統の正相電圧振幅に応じて低下させることを特徴とする。
本実施例の電力変換装置1の発電電力制御用電力変換器11は実施例1と同様である。また、実施例1と同様に発電電力制御用電力変換器11は太陽光発電パネル3に接続され、系統連系用電力変換器30は平滑コンデンサ12の端子電圧を所定の電圧に追従するよう交流系統2に電力を出力する。
実施例1との相違点は、実施例2は接続する交流系統が3相であり、系統連系用電力変換器30がIGBT素子30m〜30rにより構成される3相インバータとなる点である。また、実施例1は太陽光発電パネル3からの発電電力を交流系統2の電圧振幅に応じて制限する制御動作であるのに対し、実施例2は交流系統2の正相電圧により太陽光発電パネル3の発電電力を制限する制御動作を行う。
図8は実施例2の制御部の詳細を示す構成図である。実施例2の電力変換装置1は、実施例1と同様に電流換算器2003の出力により太陽光発電パネル3の出力電流指令上限値を制限する。本実施例と実施例1との相違は電流換算器2003の入力が異なる。
電力変換装置1が接続する交流系統2が3相の場合、交流系統2の相電圧は同一送電線に接続する単相負荷のアンバランスなどにより不平衡になる場合がある。その場合、交流系統2の電圧振幅は相によりアンバランスとなる。この状態で合成電圧ベクトルの振幅で太陽光発電パネル3の出力電流上限値を設定すると、出力電流上限値が交流系統2の基本波周波数の倍周波数で脈動するため、太陽光発電パネル3の出力電流制御がリミッタの動作に追従できず、電流指令上限値制限による発電電力抑制が実現できなくなる恐れがある。仮にリミッタの動作に太陽光発電パネル3の出力電流制御が追従したとしても、平滑コンデンサ12の端子電圧が変動して系統連系用電力変換器30の運転に支障を来たす恐れがある。
本実施例では、太陽光発電パネル3の出力電流上限値を、交流系統2の電圧の平衡成分である正相電圧により制限する。具体的には、電圧センサ20により検出した電圧を正相電圧振幅算出器2016に入力し、正相電圧振幅算出器2016は算出した正相電圧振幅を電流換算器2003に出力する。
図9に正相電圧振幅算出器の構成を示す。正相電圧振幅算出器2016は交流系統2の正相電圧を算出するもので、3相の電圧検出値を2相/3相変換器20161にてαβ成分であるVα、Vβに変換する。3相電圧検出値は位相検出器20162にも入力され、位相検出器20162は正相電圧の位相を算出する。
2相/3相変換器20161の出力と、位相検出器20162の出力はd−q変換器20163に入力され、d−q変換器20163はd軸電圧Vd、q軸電圧Vqを算出する。算出したVd、Vqは窓が交流系統2の基本波周期である位相平均20164Aと20164Bで移動平均処理する。交流系統2の電圧が不平衡の場合は、Vd、Vqに交流系統2の基本波の倍周波数成分として現れるが、移動平均20164A、20164Bを施すことにより除去することができる。
また、交流系統2の電圧に高調波成分が含まれる場合は、該高調波成分はVd、Vqに基本波の整数倍の脈動として現れるため、移動平均20164A、位相平均20164Bにより除去することができる。ゆえに、移動平均20164A、20164Bの出力値V1_re、V1_imには交流系統2の正相電圧のみを抽出することができる。以上より、正相電圧の振幅はV1_re、V1_imは二乗和の平方根を算出することにより得ることができる。
正相電圧の振幅は交流系統2が不平衡であっても一定である。ゆえに一定の値に太陽光発電パネル3の出力電流指令上限値を制限できる。これにより、発電電力制御用電力変換器1の出力電力が脈動することを防止することができるため、系統連系用電力変換器30の運転に支障を来たすことを回避することができる。
本実施例では、電流換算器2003の正相電圧を図9に示すブロックにより算出したが、図10に示すブロックによっても良い。すなわち、移動平均20164A、20164Bに代えて、カットオフ周波数が交流系統2の基本波周波数より低いローパスフィルタ20168A、20168Bを用いて算出しても良い。
また、図20に示すように、電流換算器2003に代えて最適電流算出器2101を備えても良い。最適電流算出器2101は系統電圧振幅と直流電流とパネル電圧と等価内部抵抗2100から、系統連系用電力変換器の有効電力出力と平衡する太陽電池パネルの電力出力を得られるような電流値を算出し、該値をリミッタ2005の上限値として出力する構成としてもよい。
【0015】
また、正相電圧振幅をp.u.値で表してV1[p.u.]、系統連系用電力変換器の有効電力出力をp.u.値で表してPc[p.u.]とすると、系統連系用電力変換器の電流がリミッタにより1.0p.u.に制限されていれば、V1=Pcの関係が成り立つ。したがって、図21に示すように、系統電圧と系統電流から有効電力演算器2102を用いて、交流系統2に出力する有効電力を演算し、前記交流系統の正相電圧振幅の代わりに使用して最適電流指令値上限値を演算してもよい。
以上より、接続する交流系統2の電圧振幅に応じて太陽光発電パネル3の出力電流上限値を制限することにより、交流系統2の電圧振幅が低下したときには速やかに太陽光発電パネル3の発電電力を制限することができる。そのため、平滑コンデンサ12の電圧が上昇することを回避することができ、発電電力制御用電力変換器11と系統連系用電力変換器30の電圧利用率を下げずに交流系統2の電圧振幅が低下した場合の電力変換装置1の運転継続性を向上することができる。
さらに、本実施例によれば交流系統2の電圧が不平衡の場合でも太陽光パネル3の出力電流上限値を一定の値とすることができるため、太陽光発電パネル3の脈動する発電電力制限を回避することができ、系統連系用電力変換器30の安定な運転が可能となる。
【実施例3】
【0016】
図11は実施例3による電力変換装置の主要部の構成を示す。本実施例において、実施例1、2と同じものは同一の符号で示し、説明を省略する。
電力変換装置1の系統連系用電力変換器30は実施例2と同様である。また、系統連系用電力変換器30は交流系統2に接続され、平滑コンデンサ12の端子電圧を所定の電圧に追従するよう交流系統2に電力を出力する。
実施例1との相違点は、実施例3では発電電力制御用電力変換器11の接続する電源が直流電源5となる。また、実施例2の電力変換装置は太陽光発電パネル3の最大電力追従運転をすることに対し、実施例3の電力変換装置は外部から与えられる有効電力指令値に追従して直流電源5の発電電力を制御する電力制御器を備える。
直流電源5の発電した電力は、発電電力制御用電力変換器11により昇圧され、さらに昇圧した直流電力を系統連系用電力変換器30が交流電力に変換して交流系統2に出力する。
図12は実施例3の制御部の構成を示している。乗算器2023は電圧センサ23により検出した直流電源5の直流電圧と、電流センサ22により検出した直流電源5の出力電流を乗算し、直流電源5より発電された電力を算出する。外部より与えられる直流電源5の発電電力指令は、発電電力リミッタ2022により制限される。
発電電力制御器2024は、上記制限された発電電力指令に、乗算器2023で算出した電力を一致させるよう、直流電源5の出力電流指令値Idcrefを算出し、電流制御器2006は出力電流指令値Idcrefと直流電源5の出力電流検出値が一致するよう発電制御用電力変換器11の出力電圧指令値Vchopを算出する。
出力電圧指令値VchopはPWM制御器2007に出力される。PWM制御器2007は電流制御器2006の出力Vchopと三角波キャリアと大小比較することでIGBT素子11m〜11nのゲート信号を算出し、発電電力制御用電力変換器11に出力する。
これにより、端子11A、11B間には電圧指令値に追従した電圧を出力することができる。以上の動作原理により電源の出力電流は、電流指令値に追従するように制御できる。
ところで、電流指令値Idrefは電源から出力する有効電力(または無効電力)が指令値に追従するよう発電電力制御器2024(またはAQR)により算出された電流指令値である。ゆえに、電力変換装置1は、直流電源5の出力する有効電力(または無効電力)を指令値に追従するよう制御することができる。
一方、交流系統2の電圧は電圧センサ20により検出され、その出力は正相電圧振幅算出器2016に入力される。正相電圧振幅算出器2016は交流系統2の正相電圧を算出し、その出力を電力換算器2025に出力する。
電力換算器2025は、図13に示す関係図に基づき、交流系統電圧振幅から直流電源5の発電電力指令上限値を算出し、発電電力リミッタ2022に出力する。発電電力リミッタ2022は電力換算器2025の出力を上限値として外部から与えられた発電電力指令を制限する。
上記の制御器構成を取ることにより、交流系統2の電圧が低下した場合、速やかに直流電源5から発電する電力指令を低下させることが可能となる。
実施例3では電力指令値の上限値を直接制限するため、電源の電流指令値を制限する実施例1や実施例2に比べて、より精度高く発電電力を制限することが可能となる。実施例3では接続する電源を直流電源としたが、直流電源5の変わりにNaS電池や燃料電池であっても良い。
以上より、接続する交流系統2の電圧振幅に応じて太陽光発電パネル3の出力電流上限値を制限することにより、交流系統2の電圧振幅が低下したときには速やかに直流電源5の発電電力を制限することができる。そのため、平滑コンデンサ12の電圧が上昇することを回避することができ、発電電力制御用電力変換器11と系統連系用電力変換器30の電圧利用率を下げずに交流系統2の電圧振幅が低下した場合の電力変換装置1の運転継続性を向上することができる。
さらに本実施例によれば、電力指令値の上限値を直接制限するため、電源の電流指令値を制限する実施例1や実施例2に比べて、より精度高く発電電力を制限することが可能となる。
【実施例4】
【0017】
図14は本発明の実施例4による主要部の構成を示す。本実施例において、実施例3と同じものは同一の符号で示し、説明を省略する。本実施例は電源が風車とそのピッチ角制御手段を持つ風力発電機であり、交流系統が三相の場合である。
本実施例の電力変換装置1の、系統連系用電力変換器30は実施例3と同様である。また、系統連系用電力変換器30は交流系統2に接続され、平滑コンデンサ12の端子電圧を所定の電圧に一致させるよう交流系統2に電力を出力する。
実施例3との主回路における相違点は、実施例4が発電電力制御用電力変換器31がIGBT素子31m〜31rにより構成される三相コンバータである点と、電源が回転型発電機である同期発電機4により発電する風力発電システムである点である。
また、発電電力制御用電力変換器31が接続する風車の羽43a、43bにはピッチ角を調整するピッチ角調整機構42a、42bが設けられ、外部から与えられる指令によりピッチ角を調整することが可能な構造を持つ。
制御機能については、本実施例の電力変換装置1が同期発電機4から受け取る有効電力と無効電力を制御する制御器と、有効電力制御器から出力される有効電流指令値を制限する有効電流リミッタと、交流系統2の正相電圧に応じて該有効電流指令値上限値を低下させ、さらにピッチ角調整機構42a、42bにピッチ角を寝かせる機能を有する点が異なる。
図15は実施例4による電力変換装置の制御機能の詳細構成を示す。同期発電機4の回転子41には風力の羽の軸が接続され、軸が回転することにより発電する。回転子41には位置センサ24が備えられ、その出力は制御器200に入力される。また、発電機の出力電圧は電圧センサ25により、出力電流は電流センサ22により検出し、その出力は制御器200に入力される。
制御器200は電圧センサ25と電流センサ22の出力を有効電力・無効電力算出器(PQ検出器)2026に入力し、同期発電機4の出力する有効電力値P、無効電力値Qを算出する。
有効電力・無効電力算出器2026により算出された有効電力値Pと、外部より与えられる有効電力指令値Prefは有効電力制御器2027に入力され、有効電力制御器2027は有効電力値Pを有効電力指令値Prefに一致するよう同期発電機4の出力する有効電流指令値Idrefを算出する。
同様に、有効電力・無効電力算出器2026により算出された無効電力Qと、外部より与えられた無効電力指令値Qrefは無効電力制御器2028に入力され、無効電力制御器2028は無効電力値Qを無効電力指令値Qrefに一致するよう同期発電機4の出力する無効電流指令値Iqrefを算出する。
有効電流指令値Idrefは、有効電流指令値リミッタ2005に入力される。有効電流指令値リミッタ2005の上限値は、実施例2で示した方法と同様に、正相電圧振幅算出器2016により算出された交流系統2の正相電圧振幅値に応じて低く設定する。
一方、位置センサ25により検出した回転子41の位置検出値は位相検出器2020に入力され、位置検出器2020は回転子41の位相角を算出する。位相検出器2020の出力と電流センサ22はd−q変換器2021に入力され、d−q変換器2021は電流センサ22の出力値をd−q変換し、発電機出力電流の有効電流値Id、無効電流値Iqを算出する。電流制御器2006は、有効電流指令値リミッタ2005の出力と有効電流値Idを、無効電力制御器2026の出力Iqrefと無効電流値Iqを一致させるように発電電力制御用電力変換器31の発電機4側出力電圧指令値Vconvを算出する。
次に、本実施例で新規な点であるピッチ角調整信号発生器の動作、およびピッチ角調整動作について説明する。
交流系統2の正相電圧振幅値は正相電圧振幅算出器2016により算出され、ピッチ角調整信号発生器2029に出力される。電流換算器2003の出力が低下を開始する正相電圧振幅の閾値をV1_Lとすると、ピッチ角調整信号発生器2029は正相電圧振幅算出器2016の出力がV1_L以下のとき、風車のピッチ角調整機構42a、42bにピッチ角調整信号を出力する。ピッチ角調整機構42a、42bは、制御器200よりピッチ角調整信号を入力すると、羽43a、43bの風に対する角度を寝かせ、風圧を逃がすことができる状態にする。
上記動作をさせることにより、発電電力制御用電力変換器31が系統連系用電力変換器30に出力する電力を、系統連系用電力変換器30の出力可能な電力以下に抑制することができる。
風車が交流系統2の電圧に関係なく運転を続けた場合、発電電力制御用電力変換器31の有効電流指令上限値が抑制されると、機械的入力が電気的出力を超えるため、風車がオーバースピードになり、システム運用に影響を及ぼす可能性がある。本実施例の電力変換装置を用いれば、制御器200により風車の羽43a、43bのピッチ角を風に対して寝かせることにより風車の機械的入力を制限するため、発電電力制御用電力変換器31に出力する電力が抑制されても風車のオーバースピードを抑制することができる。
ここで、本実施例ではピッチ角調整信号発生器2029は正相電圧振幅算出器2016の出力がV1_L以下のときにピッチ角調整機構42a、42bにピッチ角調整信号を出力するとしたが、制御器200はピッチ角調整信号発生器2029の代わりにピッチ角調整信号発生器2030を備えても良い。図16に示すように、ピッチ角調整信号発生器2030は入力発電機4の有効電力算出値と交流系統2の正相電圧振幅値をp.u.化演算器2031a、2031bによりそれぞれp.u.化し、正相電圧振幅値のp.u.値が有効電力算出値のp.u.値を比較器2031Cで比較する。その結果、正相電圧振幅値が有効電力算出値より小さい場合のみピッチ角調整信号を出力する構成としても良い。なお、正相電圧振幅値のp.u.値は、例えば系統定格電圧における正相電圧値を基準とし、有効電力算出値のp.u.値は、例えば定格出力時の有効電力値を基準とする。
また、制御器200はピッチ角調整信号発生器2029の代わりにピッチ角調整信号発生器2031を備えても良い。図17に示すように、ピッチ角調整信号発生器2031は交流系統2の正相電圧振幅値を比較器2031a、2031b、2031cによって複数の閾値と比較する。その比較結果を2031dに出力し、比較器2031a、2031b、2031cの出力に応じてピッチ角調整機構42a、42bの調整する角度を変えても良い。なお、正相電圧振幅が閾値(V1_L1、V1_L2、V1_L3)より大きい場合、比較器2031a、2031b、2031cは1を出力、その他の場合は0を出力する。ピッチ角調整信号発生器2031を図17のように構成することにより、風車のピッチ各を徐々にねかせることが可能になり、ショックの少ない制御が実現できる。
本実施例では、同期発電機4の出力する有効電流指令値Idrefは有効電力制御器2027により算出されるが、図18Aに示すように制御器200が風車の回転速度を算出する速度算出器2032と、回転速度を制御する速度制御器2033を備え、該速度制御器2033が、外部より与えられる回転速度指令と、風車回転速度と、が一致するように有効電流指令値を算出する構成としても良い。この構成とすることで、瞬低時の運転継続性能向上に加えて、定常時の風車回転速度を制御対象とすることができ、風車回転速度を安定を増すことができる。
また、図18Bに示すように制御器200が風車の回転速度を算出する速度算出器2032と、回転速度を制御する速度制御器2033を備え、速度制御器2033が、外部より与えられる回転速度指令と、風車回転速度と、が一致するように有効電力制御器2027に与える有効電力指令値を算出する構成としても良い。この構成とすることで、瞬低時の運転継続性能向上に加えて、定常時の発電電力を制御対象とすることができ、発電電力制御性能を向上させることができる。
以上より、本実施例によれば接続する交流系統2の正相電圧振幅に応じて風力発電システムの同期発電機4の出力する有効電流を抑制することができるため、交流系統2の正相電圧振幅が低下したときには速やかに同期発電機4の発電電力を制限することができる。これにより、平滑コンデンサ12の電圧が上昇することを回避することができ、発電電力制御用電力変換器31と系統連系用電力変換器30の電圧利用率を下げずに交流系統2の正相電圧振幅が低下した場合の電力変換装置1の運転継続性を向上することができる。
さらに、本実施例によれば電力変換装置1の発電電力を制限するのと同時に風車の羽のピッチ角を調整して風車の機械的入力を制限することができるため、風車のオーバースピードを回避することができる。
【実施例5】
【0018】
図19は本発明の実施例5による電力変換システムの構成を示す。本実施例において、実施例3と同じものは同一の符号で示し、説明を省略する。
実施例4記載の電力変換装置との相違点は、実施例5記載の電力変換装置1の発電電力制御用電力変換器31を制御する制御器200Aと、系統連系用電力変換器30を制御する制御器200Bをもつ点にある。
海洋風力発電システムなどにおいては、海に設置された風車で発電した電力を直流で送電するシステムがあり、その場合、発電用電力変換器31と系統連系用電力変換器30が直流送電線50P、50Nで連系され、物理的に離れた場所に設置される場合がある。本実施例は、上記状況でも交流系統3で電圧低下が発生した場合に、発電システムとしての運転継続性を向上する電力変換システムを提案するものである。
電力変換装置1の発電電力制御用電力変換器31は制御器200Aにより制御され、系統連系用電力変換装置30は制御器200Bにより制御される。交流系統3の正相電圧は制御器200Bの正相電圧振幅算出器2016により算出され、シリアル変換器300B1に出力される。
シリアル変換器300B1は正相電圧振幅算出器2016の出力をシリアル通信形式に変換し、E/O変換器300B2に出力する。E/O変換器300B2はシリアル変換器300B1の出力を光信号に変換し、その光を、ライトガイド300Cを介して制御器200Aに備えられたO/E変換器300A1に出力する。
O/E変換器300A1は光信号を電気信号に変換し、その出力を復元器300A2に出力する。復元器300A2はシリアル信号化された電気信号から交流系統3の正相電圧振幅値に復元し、その出力を発電電力制御用電力変換器31の有効電流指令上限値を算出する電流換算器2003と、風車の羽のピッチ角を調整する信号を算出するピッチ角調整信号発生器2029と、に出力する。
以上のように、発電電力制御用電力変換器と系統連系用電力変換器が地理的に離れている場合でも、制御器が通信機能を有することにより交流系統2の正相電圧振幅値を発電電力制御用電力変換器の制御器に交流系統2の正相電圧振幅値を伝達できる。
本実施例では、ライトガイドを用いたシリアル通信により交流系統2の正相電圧振幅値を発電電力制御用電力変換器31の制御器200Aに伝達したが、無線による通信によって制御器200Bから制御器200Aへ交流系統2の正相電圧振幅値を伝達しても良い。
以上より、本実施例によれば接続する交流系統2の正相電圧振幅に応じて風力発電システムの同期発電機4の出力する有効電流を抑制することができるため、交流系統2の正相電圧振幅が低下したときには速やかに同期発電機4の発電電力を制限することができる。これにより、平滑コンデンサ12の電圧が上昇することを回避することができ、発電電力制御用電力変換器31と系統連系用電力変換器30の電圧利用率を下げずに交流系統2の正相電圧振幅が低下した場合の電力変換装置1の運転継続性を向上することができる。
さらに、本実施例によれば発電電力制御用電力変換器31と系統連系用電力変換器30が地理的に離れた場所に設置されていても、交流系統2の正相電圧振幅を発電電力制御用電信することができ、運転継続性の向上を維持できる。
【実施例6】
【0019】
図24は本発明の実施例6による電力変換システムの構成を示す。本実施例において、実施例5と同じものは同一の符号で示し、説明を省略する。
実施例5記載の電力変換装置との相違点は、実施例6は電源が太陽光発電パネルである点と、発電電力制御用電力変換器31が実施例1〜3と同じ直流−直流の変換装置である点である。
太陽光発電パネルは、砂漠などに設置され、需要地まで発電した電力を直流で送電するシステムが考えられ、その場合、発電用電力変換器31と系統連系用電力変換器30が直流送電線50P、50Nで連系され、物理的に離れた場所に設置される場合がある。本実施例は、上記状況でも交流系統3で電圧低下が発生した場合にも発電システムとしての運転継続性を向上する電力変換システムを提案するものである。
正相電圧振幅演算器2016は、本実施例では、系統連系電力変換装置の制御装置200dに組み込まれている。実施例5と同様に正相電圧振幅演算値がシリアル通信により、発電電力制御用電力変換器の制御装置200cに渡され、実施例2と同様に、発電電力制御用電力変換器11と系統連系用電力変換器30の電圧利用率を下げずに交流系統2の電圧振幅が低下した場合の電力変換装置1の運転継続性を向上することができる。
さらに、本実施例によれば発電電力制御用電力変換器31と系統連系用電力変換器30が地理的に離れた場所に設置されていても、交流系統2の正相電圧振幅を発電電力制御用電力変換器31に送信することができ、運転継続性の向上を維持できる。
また、本実施例においても、実施例2と同様に系統電圧振幅と直流電流とパネル電圧から、系統電力変換器の有効電力出力と平衡する太陽電池パネルの電力出力を得られる電流値をリミッタの上限値としてもよい。さらに、系統電圧と系統電流から有効電力演算器を用いて、有効電力を演算し、前期交流系統の電圧振幅の代わりに使用して最適電流指令値上限値を演算してもよい。
【符号の説明】
【0020】
1…電力変換装置、2…交流系統、3…太陽光発電パネル、4…同期発電機、5…直流電源、10,30…系統連系用電力変換器、11,31…発電電力制御用電力変換器、12…平滑コンデンサ、13…連系インピーダンス、14…昇圧リアクトル、15…逆流防止用ダイオード、20,23,25,26…電圧センサ、21,22…電流センサ、24…位置センサ、41…同期発電機回転子、50P,50N…直流送電線、200,200A,200B,200c,200d…制御器、2001…振幅算出器、2003…電流換算器、2004…最大電力運転制御器、2005…出力電流指令値リミッタ、2006…電流制御器、2007,2010…PWM制御器、2008…電圧制御器、2009…電流制御器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から入力する電力を制御して交流系統に出力する電力変換装置において、
前記電源の発電電力を制御して該発電電力を直流電力に変換する発電電力制御用電力変換器と、
前記発電電力制御用電力変換器の出力端に接続する平滑コンデンサと、
前記発電電力制御用電力変換器と前記平滑コンデンサに接続して前記直流電力を交流電力に変換して前記交流系統に出力する系統連系電力変換器と、を備え、
前記交流系統の電圧振幅を検出する手段と、
前記電源の出力電流を検出する電流検出器と、
前記電源の出力電流指令値を制限する電流指令値リミッタと、
前記電流検出器により検出した電流検出値が前記電流指令値リミッタの出力に一致するように前記発電電力制御用電力変換器の電源側出力電圧を調整する電流制御器と、
前記電圧振幅を入力とし、該電圧振幅に応じて前記出力電流指令値の上限値を変化させる発電電流制限手段と、を制御部に備え、
前記交流系統の電圧振幅が所定の値より小さい場合は、前記発電電流制限手段が該電圧振幅に応じて前記電流指令値リミッタの上限値を低くすることにより前記電源からの発電電力を制限し、該発電電力の制限により平滑コンデンサの過充電を抑制することを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1記載の電力変換装置であって、
前記電源が太陽光発電パネルであり、該太陽光発電パネルの出力電圧を検出する電圧検出器と、該太陽光発電パネルの出力電流を検出する電流検出器と、前記発電電力制御用電力変換器を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記電流指令値リミッタの入力である電流指令値を、太陽光発電パネルの出力電力が最大になるように算出することを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項1記載の電力変換装置であって、
前記交流系統が3相の交流系統であり、前記発電電流制限手段は前記電流指令値リミッタの上限値を交流系統の正相電圧振幅に応じて低下させることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項2記載の電力変換装置であって、
前記交流系統が3相の交流系統であり、前記発電電流制限手段は前記電流指令値リミッタの上限値を交流系統の正相電圧振幅に応じて低下させることを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項1記載の電力変換装置であって、
前記電源が回転型発電機であり、前記交流系統は単相または三相であり、
前記制御部は前記電源の出力する電流の有効電流を制限する有効電流指令値リミッタと、
該有効電流指令値リミッタの出力と該電源の出力電流の有効電流が一致するように、前記発電電力制御用電力変換器の電源側出力電圧を調整する電流制御器と、を備え、
前記交流系統の電圧振幅に応じて、該電圧振幅が所定の設定値より小さい場合は、前記発電電流制限手段が該電圧振幅に応じて前記有効電流指令値リミッタの上限値を低くすることで平滑コンデンサの過充電を抑制することを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
請求項5記載の電力変換装置であって、
前記電源が風車を含む風力発電装置であり、該風車は羽の角度を変える手段を備え、
前記交流系統の電圧振幅が所定の値以下であれば風車の羽を風向に対して寝かせる指令を出力する手段を有することを特徴とする電力変換装置。
【請求項7】
請求項2記載の電力変換装置であって、
前記制御部に、前記太陽光発電パネルの出力電圧と出力電流の検出値から該太陽光発電パネルの開放時出力電圧を推定する手段と、
該開放時出力電圧の推定値を用いて太陽光発電パネル出力電流指令値の上限値を補正する出力電流指令上限値補正手段と、を備え、
該出力電流上限値補正手段は、前記発電電流制限手段の出力値を太陽光発電パネル開放時出力電圧推定値で除算し、該除算した値に比例した値を新たな電流指令値上限値とすることを特徴とする電力変換装置。
【請求項8】
請求項2に記載の電力変換装置であって、
前記交流系統は単相または三相であり、
前記制御部に、太陽光発電パネル出力電流指令値の上限値を補正する出力電流指令上限値補正手段を備え、
該出力電流上限値補正手段は、前記交流系統の電圧振幅と、前記太陽光発電パネルの出力電圧及び出力電流の検出値と、太陽光発電パネルの等価内部抵抗値とから、系統連系電力変換器から出力される有効電力と太陽光発電パネルから出力される電力が平衡する電流値を計算し、これを電流指令値上限値とすることを特徴とする電力変換装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電力変換装置であって、
前記系統連系電力変換器の出力有効電力を検出する手段を備え、
該出力有効電力値を用いて、系統連系電力変換器から出力される有効電力と太陽光発電パネルから出力される電力が平衡する電流値を計算し、これを電流指令値上限値とすることを特徴とする電力変換装置。
【請求項10】
請求項5に記載の電力変換装置であって、
前記回転型発電機は風車によって回転される風力発電機であり、該風車は羽の角度を変える手段と、
前記交流系統の正相電圧振幅に応じて前記有効電流指令値の上限値を変化させる前記発電電流制限手段と、
前記正相電圧のp.u.値と風力発電機の発電電力のp.u.値を比較する比較器を含み、正相電圧のp.u.値が発電電力のp.u.値より小さい場合に風車の羽を風向に対して寝かせて発電電力を抑制する手段を備えることを特徴とする電力変換装置。
【請求項11】
請求項5記載の電力変換装置であって、
前記回転型発電機は風車によって回転される風力発電機であり、該風車は羽の角度を変える手段と、
前記交流系統の正相電圧振幅に応じて前記有効電流指令値の上限値を変化させる前記発電電流制限手段と、
前記正相電圧と複数の閾値を比較し、その比較結果により羽の角度を変えることを特徴とする電力変換装置。
【請求項12】
請求項1に記載の電力変換装置あって、
前記電圧振幅を検出する電圧振幅検出手段の出力を入力し、フィルタ処理を行った値を出力するローパスフィルタを備え、前記交流系統の電圧に含まれる高調波を除去することを特徴とする電力変換装置。
【請求項13】
請求項1に記載の電力変換装置であって、
前記電圧振幅を検出する電圧振幅検出手段の出力を入力し、移動平均処理を行った値を出力する移動平均処理手段を備え、前記交流系統の電圧に含まれる高調波を除去することを特徴とする電力変換装置。
【請求項14】
請求項2記載の電力変換装置を備え、
前記太陽光発電パネルの出力電圧を検出する電圧検出器と、出力電流を検出する電流検出器を備え、
前記制御部は、前記電流指令値リミッタの入力である電流指令値を、前記太陽光発電パネルの出力電圧と出力電流から得られる太陽光発電パネルの出力電力が最大になるように算出することを特徴とする太陽光発電変換システム。
【請求項15】
請求項5記載の電力変換装置を備え、
前記回転型発電機は風車によって回転される風力発電機であり、該風車は羽の角度を変える手段を備え、
前記交流系統の電圧振幅が所定の設定値以下であれば風車の羽を風向に対して寝かせて月日発電電力を抑制することを特徴とする風力発電変換システム。
【請求項1】
電源から入力する電力を制御して交流系統に出力する電力変換装置において、
前記電源の発電電力を制御して該発電電力を直流電力に変換する発電電力制御用電力変換器と、
前記発電電力制御用電力変換器の出力端に接続する平滑コンデンサと、
前記発電電力制御用電力変換器と前記平滑コンデンサに接続して前記直流電力を交流電力に変換して前記交流系統に出力する系統連系電力変換器と、を備え、
前記交流系統の電圧振幅を検出する手段と、
前記電源の出力電流を検出する電流検出器と、
前記電源の出力電流指令値を制限する電流指令値リミッタと、
前記電流検出器により検出した電流検出値が前記電流指令値リミッタの出力に一致するように前記発電電力制御用電力変換器の電源側出力電圧を調整する電流制御器と、
前記電圧振幅を入力とし、該電圧振幅に応じて前記出力電流指令値の上限値を変化させる発電電流制限手段と、を制御部に備え、
前記交流系統の電圧振幅が所定の値より小さい場合は、前記発電電流制限手段が該電圧振幅に応じて前記電流指令値リミッタの上限値を低くすることにより前記電源からの発電電力を制限し、該発電電力の制限により平滑コンデンサの過充電を抑制することを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1記載の電力変換装置であって、
前記電源が太陽光発電パネルであり、該太陽光発電パネルの出力電圧を検出する電圧検出器と、該太陽光発電パネルの出力電流を検出する電流検出器と、前記発電電力制御用電力変換器を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記電流指令値リミッタの入力である電流指令値を、太陽光発電パネルの出力電力が最大になるように算出することを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項1記載の電力変換装置であって、
前記交流系統が3相の交流系統であり、前記発電電流制限手段は前記電流指令値リミッタの上限値を交流系統の正相電圧振幅に応じて低下させることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項2記載の電力変換装置であって、
前記交流系統が3相の交流系統であり、前記発電電流制限手段は前記電流指令値リミッタの上限値を交流系統の正相電圧振幅に応じて低下させることを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項1記載の電力変換装置であって、
前記電源が回転型発電機であり、前記交流系統は単相または三相であり、
前記制御部は前記電源の出力する電流の有効電流を制限する有効電流指令値リミッタと、
該有効電流指令値リミッタの出力と該電源の出力電流の有効電流が一致するように、前記発電電力制御用電力変換器の電源側出力電圧を調整する電流制御器と、を備え、
前記交流系統の電圧振幅に応じて、該電圧振幅が所定の設定値より小さい場合は、前記発電電流制限手段が該電圧振幅に応じて前記有効電流指令値リミッタの上限値を低くすることで平滑コンデンサの過充電を抑制することを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
請求項5記載の電力変換装置であって、
前記電源が風車を含む風力発電装置であり、該風車は羽の角度を変える手段を備え、
前記交流系統の電圧振幅が所定の値以下であれば風車の羽を風向に対して寝かせる指令を出力する手段を有することを特徴とする電力変換装置。
【請求項7】
請求項2記載の電力変換装置であって、
前記制御部に、前記太陽光発電パネルの出力電圧と出力電流の検出値から該太陽光発電パネルの開放時出力電圧を推定する手段と、
該開放時出力電圧の推定値を用いて太陽光発電パネル出力電流指令値の上限値を補正する出力電流指令上限値補正手段と、を備え、
該出力電流上限値補正手段は、前記発電電流制限手段の出力値を太陽光発電パネル開放時出力電圧推定値で除算し、該除算した値に比例した値を新たな電流指令値上限値とすることを特徴とする電力変換装置。
【請求項8】
請求項2に記載の電力変換装置であって、
前記交流系統は単相または三相であり、
前記制御部に、太陽光発電パネル出力電流指令値の上限値を補正する出力電流指令上限値補正手段を備え、
該出力電流上限値補正手段は、前記交流系統の電圧振幅と、前記太陽光発電パネルの出力電圧及び出力電流の検出値と、太陽光発電パネルの等価内部抵抗値とから、系統連系電力変換器から出力される有効電力と太陽光発電パネルから出力される電力が平衡する電流値を計算し、これを電流指令値上限値とすることを特徴とする電力変換装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電力変換装置であって、
前記系統連系電力変換器の出力有効電力を検出する手段を備え、
該出力有効電力値を用いて、系統連系電力変換器から出力される有効電力と太陽光発電パネルから出力される電力が平衡する電流値を計算し、これを電流指令値上限値とすることを特徴とする電力変換装置。
【請求項10】
請求項5に記載の電力変換装置であって、
前記回転型発電機は風車によって回転される風力発電機であり、該風車は羽の角度を変える手段と、
前記交流系統の正相電圧振幅に応じて前記有効電流指令値の上限値を変化させる前記発電電流制限手段と、
前記正相電圧のp.u.値と風力発電機の発電電力のp.u.値を比較する比較器を含み、正相電圧のp.u.値が発電電力のp.u.値より小さい場合に風車の羽を風向に対して寝かせて発電電力を抑制する手段を備えることを特徴とする電力変換装置。
【請求項11】
請求項5記載の電力変換装置であって、
前記回転型発電機は風車によって回転される風力発電機であり、該風車は羽の角度を変える手段と、
前記交流系統の正相電圧振幅に応じて前記有効電流指令値の上限値を変化させる前記発電電流制限手段と、
前記正相電圧と複数の閾値を比較し、その比較結果により羽の角度を変えることを特徴とする電力変換装置。
【請求項12】
請求項1に記載の電力変換装置あって、
前記電圧振幅を検出する電圧振幅検出手段の出力を入力し、フィルタ処理を行った値を出力するローパスフィルタを備え、前記交流系統の電圧に含まれる高調波を除去することを特徴とする電力変換装置。
【請求項13】
請求項1に記載の電力変換装置であって、
前記電圧振幅を検出する電圧振幅検出手段の出力を入力し、移動平均処理を行った値を出力する移動平均処理手段を備え、前記交流系統の電圧に含まれる高調波を除去することを特徴とする電力変換装置。
【請求項14】
請求項2記載の電力変換装置を備え、
前記太陽光発電パネルの出力電圧を検出する電圧検出器と、出力電流を検出する電流検出器を備え、
前記制御部は、前記電流指令値リミッタの入力である電流指令値を、前記太陽光発電パネルの出力電圧と出力電流から得られる太陽光発電パネルの出力電力が最大になるように算出することを特徴とする太陽光発電変換システム。
【請求項15】
請求項5記載の電力変換装置を備え、
前記回転型発電機は風車によって回転される風力発電機であり、該風車は羽の角度を変える手段を備え、
前記交流系統の電圧振幅が所定の設定値以下であれば風車の羽を風向に対して寝かせて月日発電電力を抑制することを特徴とする風力発電変換システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2013−66378(P2013−66378A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−279051(P2012−279051)
【出願日】平成24年12月21日(2012.12.21)
【分割の表示】特願2008−59888(P2008−59888)の分割
【原出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 大規模電力供給用太陽光発電系統安定化等実証研究 北杜サイトにおける大規模電力供給用太陽光発電系統安定化等実証研究 PCSの研究開発,高調波抑制対策,監視計測システムの開発委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月21日(2012.12.21)
【分割の表示】特願2008−59888(P2008−59888)の分割
【原出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 大規模電力供給用太陽光発電系統安定化等実証研究 北杜サイトにおける大規模電力供給用太陽光発電系統安定化等実証研究 PCSの研究開発,高調波抑制対策,監視計測システムの開発委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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