説明

電力変換装置

【課題】内部故障の発生可能性を低くし、効率のよい運転を可能にする電力変換装置を得ること。
【解決手段】当該電力変換装置の待機時に、第1の降圧回路および第1の保護回路の第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子のオンオフ制御と第1の降圧回路および第1の保護回路の第1のリレーおよび第2のリレーの開閉制御との組み合わせと、第1の電流検出部が検出した第1の直流電源の出力電流値と予め定めた所定電流値との比較とに基づき、前記第1のスイッチング素子、前記第1のリレー、前記第2のスイッチング素子および前記第2のリレーについて、故障有無の判定を行う第1の故障検出手段を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電力を交流電力へ変換する電力変換装置に関し、特に直流電源が太陽電池モジュール等である場合に用いられる電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュール等の直流電源から出力される直流電力を交流電力へ変換する電力変換装置として、例えば、特許文献1に示されたものがある。
【0003】
特許文献1では、直流電源の直流電力を交流電力に変換する単相インバータの交流側を複数直列接続し、上記複数の単相インバータの各発生電圧の総和により出力電圧を制御する電力変換装置において、第2の直流電源と、該第2の直流電源の電圧を降圧する降圧回路とを備え、上記複数の単相インバータのうち電圧が最大である第1のインバータの直流電源電圧は、上記第2の直流電源から上記降圧回路を介して生成されるようにした電力変換装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−166783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の電力変換装置では、降圧回路が故障した場合、第2の直流電源の電圧が降圧されずに第1のインバータに印加され、第1のインバータが連鎖故障することが起こり得るという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、内部故障の発生可能性を低くし、効率のよい運転を可能にする電力変換装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明は、第1の直流電源から供給される直流電力を交流電力へ変換する電力変換装置であって、第1のスイッチング素子および前記第1のスイッチング素子に並列に接続された第1のリレーを含んで構成され、前記第1の直流電源から印加される直流電圧を降圧する第1の降圧回路と、第2のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子に並列に接続された第2のリレーを含んで構成され、前記第1の直流電源と前記第1の降圧回路との間に配置され、前記第1の降圧回路の出力電圧が印加される後段の回路を保護する第1の保護回路と、前記第1の直流電源の正極出力端と前記第1の保護回路の入力端との接続ラインに流れる電流を検出する第1の電流検出部と、当該電力変換装置の待機時に、前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子のオンオフ制御と前記第1のリレーおよび前記第2のリレーの開閉制御との組み合わせと、前記第1の電流検出部の検出電流値と予め定めた所定電流値との比較とに基づき、前記第1のスイッチング素子、前記第1のリレー、前記第2のスイッチング素子および前記第2のリレーについて、故障有無の判定を行う第1の故障検出手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、保護回路および降圧回路における各スイッチング素子にリレーを並列接続する場合において、装置の待機時に、各スイッチング素子と各リレーの短絡故障や開放故障を検出できるので、装置稼働時に内部故障の発生可能性を低くすることができ、また効率のよい運転を可能にするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1による電力変換装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す第1のリレー駆動制御部が行う故障検出動作の手順を説明するフローチャートである。
【図3】図3は、本発明の実施の形態2による電力変換装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる電力変換装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による電力変換装置の構成を示すブロック図である。図1において、第1の直流電源1は、例えば、太陽光発電システムにおいて発電を行う太陽電池モジュールである。第1の直流電源1の正極出力端は、第1の保護回路2、第1の降圧回路3および第1の昇圧回路4をこの順に介してインバータ回路5の正極入力端に接続され、第1の直流電源1の負極出力端は、直接インバータ回路5の負極入力端に接続されている。
【0012】
第1の直流電源1の正極出力端と第1の保護回路2との接続ラインに、第1の電流検出部6の検出端が接続されている。第1の電流検出部6は、検出した第1の直流電源1の出力電流Islを第1のリレー駆動制御部8に出力する。
【0013】
また、第1の直流電源1と第1の保護回路2との間において、第1の直流電源1の正極出力端と第1の保護回路2との接続ラインと、第1の直流電源1の負極出力端とインバータ回路5の負極入力端との接続ラインとの間に、平滑用のコンデンサC1が接続されている。第1の電圧検出部9は、コンデンサC1の端子電圧Vs1を検出し、第1のリレー駆動制御部8に出力する。
【0014】
第1の保護回路2は、スイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q1に並列に接続されたリレーRy1とを含んで構成されている。リレーRy1は、第1のリレー駆動制御部8によって開閉制御される。スイッチング素子Q1は、この実施の形態ではIGBTトランジスタを用いている。IGBTトランジスタQ1のコレクタ端子とリレーRy1の一端との接続端が保護回路2の入力端であり、第1の直流電源1の正極出力端に接続されている。IGBTトランジスタQ1のエミッタ端子とリレーRy1の他端との接続端が保護回路2の出力端であり、降圧回路3の入力端に接続されている。IGBTトランジスタQ1のゲート端子は第1の直流電圧変換回路制御部9に接続されている。IGBTトランジスタQ1のコレクタ端子とエミッタ端子との間にはダイオードが逆並列に接続されている。ここで、スイッチング素子Q1は、「第2のスイッチング素子」に対応し、リレーRy1は、「第2のリレー」に対応している。なお、スイッチング素子Q1は、一方向導通回路(例えば、ダイオード等)を逆並列に接続した開閉回路を含んで構成するようにしてもよい。
【0015】
第1の降圧回路3は、スイッチング素子Q2と、スイッチング素子Q2に並列に接続されたリレーRy2と、リアクトルL1と、ダイオードD1とを含んで構成されている。リレーRy2は、第1のリレー駆動制御部8によって開閉制御される。スイッチング素子Q2は、この実施の形態ではIGBTトランジスタを用いている。IGBTトランジスタQ2のコレクタ端子とリレーRy2の一端との接続端が第1の降圧回路3の入力端であり、保護回路2の出力端に接続されている。IGBTトランジスタQ2のエミッタ端子とリレーRy2の他端とが共に、ダイオードD1のカソード端子およびリアクトルL1の一端に接続されている。IGBTトランジスタQ2のゲート端子は第1の直流電圧変換回路制御部9に接続されている。ダイオードD1のアノード端子は、第1の直流電源1の負極出力端とインバータ回路5の負極入力端との接続ラインに接続されている。リアクトルL1の他端が第1の降圧回路3の出力端である。IGBTトランジスタQ2のコレクタ端子とエミッタ端子との間にはダイオードが逆並列に接続されている。ここで、スイッチング素子Q2は「第1のスイッチング素子」に対応し、リレーRy2は「第1のリレー」に対応している。なお、スイッチング素子Q2は、一方向導通回路を逆並列に接続した開閉回路を含んで構成するようにしてもよい。
【0016】
第1の昇圧回路4は、第1の降圧回路3と兼用して用いられるリアクトルL1と、スイッチング素子Q3と、ダイオードD2とを含んで構成されている。リアクトルL1の一端が第1の昇圧回路4の入力端である。スイッチング素子Q3は、この実施の形態ではIGBTトランジスタを用いている。IGBTトランジスタQ3のコレクタ端子はリアクトルL1の他端とダイオードD2のアノード端子との接続端に接続され、エミッタ端子は第1の直流電源1の負極出力端とインバータ回路5の負極入力端との接続ラインに接続され、ゲート端子は第1の直流電圧変換回路制御部9に接続されている。IGBTトランジスタQ2のコレクタ端子とエミッタ端子との間にはダイオードが逆並列に接続されている。ダイオードD2のカソード端子は、第1の昇圧回路4の出力端であり、インバータ回路5の正極入力端に接続されている。なお、スイッチング素子Q3は、一方向導通回路を逆並列に接続した開閉回路を含んで構成するようにしてもよい。
【0017】
インバータ回路5の正極入力端と負極入力端との間には、コンデンサC3が接続されている。コンデンサC3は、第1の降圧回路3と第1の昇圧回路4のいずれか一方の出力電圧によって充電される。第3の電圧検出部10は、コンデンサC3の端子電圧Viiを検出し、インバータ回路制御部11と第1のリレー駆動制御部8とに出力する。
【0018】
インバータ回路制御部11は、外部から運転開始指示が入力されると、第3の電圧検出部10から通知されるコンデンサC3の端子電圧Viiを監視し、通知されたコンデンサC3の端子電圧Viiが所定値になると、インバータ回路5内のスイッチング素子をオンオフ制御し、インバータ回路5に、直流電源であるコンデンサC3の端子電圧Viiから交流電圧を変換生成させる。
【0019】
この実施の形態では、インバータ回路制御部11は、外部から運転開始指示が入力されても、その前に第1のリレー駆動制御部8から故障検知の通知が入力されていると、コンデンサC3の端子電圧Viiが所定値以上であっても、外部操作によるリセット信号が入力されるまでインバータ回路5を駆動せずに停止状態(当該電力変換装置の強制的停止状態)に維持するようになっている。
【0020】
インバータ回路5は、最大(瞬時値)でコンデンサC3の端子電圧Viiまで出力することができる。例えば、インバータ回路5が200Vの交流電力(実効値)を出力するために必要なコンデンサC3の端子電圧Viiは約282Vである。このため、コンデンサC3の端子電圧Viiが約282V以上であれば、インバータ回路5は200Vの交流出力を行うことが可能である。インバータ回路5の交流出力は、リアクトルL3,L4およびコンデンサC4を含んで構成されるフィルタ回路、並びにリレーRy5,Ry6を介して、商用電力系統(または交流負荷)12に供給される。
【0021】
この実施の形態では、外部から運転開始指示が入力される前の待機時に、第1のリレー駆動制御部8が、図2に示す手順によって、第1の電流検出部6からの検出電流値Is1と予め定めた所定電流値との比較に基づき、第1の直流電圧変換回路制御部9に動作指示を与えつつ、第1の保護回路2と第1の降圧回路3の一方または両方の故障検出を行うようになっている。つまり、第1のリレー駆動制御部8は、「第1の故障検出手段」に対応している。この故障検出動作の説明を行う前に、当該電力変換装置の動作等について説明する。
【0022】
外部から運転開始指示が入力される前の待機時では、第1の直流電源1を構成する太陽電池モジュールは、直流電力を生成しているが、第1の直流電圧変換回路制御部9がスイッチング素子Q1,Q2,Q3をそれぞれオフ状態に制御し、第1のリレー駆動制御部8がリレーRy1,Ry2をそれぞれ開路状態に制御し、コンデンサC3への充電を阻止している。
【0023】
外部から運転開始指示が入力されると、第1の直流電圧変換回路制御部9がスイッチング素子Q1をオン状態に制御し、第1のリレー駆動制御部8がリレーRy1を閉路状態に制御し、つまり、第1の保護回路2をバイパス状態に制御し、直流電源1を降圧回路3に接続する。このとき、第1のリレー駆動制御部8は、第1の電圧検出部9から通知されたコンデンサC1の端子電圧Vs1に基づき、第1の降圧回路3を動作させるか第1の昇圧回路4を動作させるかを判断し、その判断結果を第1の直流電圧変換回路制御部9に通知する。第1の降圧回路3を動作させる場合は、第1のリレー駆動制御部8がリレーRy2を開路状態に維持し、同時に、第1の直流電圧変換回路制御部9がスイッチング素子Q3をオフ状態に維持してスイッチング素子Q2をオンオフ制御する。第1の昇圧回路4を動作させる場合は、第1のリレー駆動制御部8がリレーRy2を閉路させ、第1の直流電圧変換回路制御部9がスイッチング素子Q2をオフ状態に維持してスイッチング素子Q3をオンオフ制御する。これによって、コンデンサC2が充電され、端子電圧Viiが所定値になると、インバータ回路制御部11がインバータ回路5の運転を開始する。
【0024】
第1の直流電源1を構成する太陽電池モジュールの出力電圧は、取り出す電力によって決まり、電力を取り出していない時、最大となる。よって、太陽光発電システム運転開始前はまだ電力を取り出していないので出力電圧が最大となり第1の直流電源1の出力電圧が定格電圧を超えて700V程度になることがある。このように第1の直流電源1の出力電圧が定格電圧を上回っていて降圧が必要である場合は、第1の降圧回路3が、第1の直流電源1の出力電圧を所望の電圧(例えば、定格電圧等)に降圧してコンデンサC2の電圧Viiを生成する。この場合、第1の昇圧回路4が昇圧を行う必要はないので、第1の昇圧回路4内のスイッチング素子Q3はオフ状態に制御される。この観点から、第1の降圧回路3は、第1の直流電源1の高い直流電圧が第1の降圧回路3の後段の回路(図1に示す例では、昇圧回路4(特に、スイッチング素子Q3)、コンデンサC2、およびインバータ回路5)に印加されることを防いで後段の回路を保護することを兼ねた回路となっている。また、第1の保護回路2は、直流電源1の出力電圧が第1の降圧回路3の後段の回路に印加されることを防いでおり、第1の降圧回路3による後段回路の保護との多重保護回路となっている。これによって、第1の昇圧回路4、コンデンサC2、インバータ回路5は、定格電圧に適した、即ち耐圧の低い素子で構成することができ、損失が低減された効率のよい回路となる。
【0025】
上述したように、第1の直流電源1の出力電圧が定格電圧を上回っていて降圧が必要である場合に、第1の降圧回路3では、第1のリレー駆動制御部8がリレーRy2を開路させる際に、スイッチング素子Q2が第1の直流電圧変換回路制御部9によりオンオフ制御されるので、リレーRy2はアークを発生することなく開路させることができる。つまり、第1の降圧回路3は、リレーRy2を設けてバイパスできるようにしてあるが、リレーRy2での発熱等の問題なく第1の降圧回路3に降圧動作を開始させることができる。
【0026】
なお、電力変換装置に求められる安全規格(例えば、電気用品安全法、IEC等)は、降圧開路3およびリレーRy2によって満たされれば良い。そのため、第1の保護回路2内のスイッチング素子Q1としてスイッチング素子Q2よりも耐圧の低い小型のものを利用することができ、リレーRy1としてリレーRy2よりも絶縁耐圧が低い(絶縁距離が短い)小型のものを利用することができる。先に説明したように、第1の直流電源1の出力電圧が700V程度になり得る場合には、電力変換装置に求められる安全規格を満たすため、リレーRy2として、接点距離が5.6ミリメートル程度のリレーを用いる。一方、リレーRy1は、電力変換装置の何処かで異常が発生した場合に、電力変換装置を停止させる制御を行うことが可能な時間を稼げる程度のリレーであれば良い。例えば、リレーRy1として、AC1000Vを1分間程度保たせることが可能な接点距離が1.5ミリメートル程度のリレーを用いることができる。この場合、リレーRy1の大きさをリレーRy2の4分の1程度の大きさにすることができる。これによって、電力変換装置が大きくなることをできるだけ抑制しながら、保護回路2を備えることができる。
【0027】
また、第1の直流電源1の出力電圧が定格電圧を下回り、さらに所定の電圧(例えば、200V等)以下になると、第1の昇圧回路4が、第1の直流電源1の出力電圧を昇圧してコンデンサC2の電圧Viiを生成する。この場合、第1の降圧回路3が降圧を行う必要はないので、第1の降圧回路3では、リレーRy2が閉路状態に制御されてバイパスされる。つまり、スイッチング素子Q2での損失発生を防止する。そして、第1の昇圧回路4では、スイッチング素子Q3が第1の直流電圧変換回路制御部9によりオンオフ制御され、第1の直流電源1の出力電圧が所望の電圧(例えば、定格電圧等)に昇圧される。このように、第1の昇圧回路4による昇圧動作を、スイッチング素子Q2での損失発生を防止しつつ、実施することができる。
【0028】
また、第1の直流電源1の出力電圧が定格電圧を含む所定の範囲(例えば、200V〜定格電圧等)である場合は、第1の降圧回路3および第1の昇圧回路4の両方の動作を停止させることができる。すなわち、第1の降圧回路3ではリレーRy2が閉路状態に制御され、第1の昇圧回路4ではスイッチング素子Q3がオフ状態に制御され、第1の直流電源1の出力電圧が、第1の保護回路2、第1の降圧回路3および第1の昇圧回路4をパスして直接コンデンサC3に印加される。
【0029】
一方、電力変換装置の稼働中に第1の昇圧回路4またはインバータ回路5に異常が発生し、それによってコンデンサC3の端子電圧Viiが所望の電圧(例えば、定格電圧等)よりも高電圧になった場合、第3の電圧検出部10から第1のリレー駆動制御部8に通知されるので、第1のリレー駆動制御部8が第1の直流電圧変換回路制御部9に指示を出し、両者によって、第1の保護回路2および第1の降圧回路3に保護動作を行わせる。すなわち、まず、第1の降圧回路3において、リレーRy2が開路状態に制御され、その後スイッチング素子Q2がオフ状態に制御され、その後、第1の保護回路2において、リレーRy1が開路状態に制御され、その後スイッチング素子Q1がオフ状態に制御される。
【0030】
また、電力変換装置の稼働中に第1の降圧回路3に異常が発生し、それによって第1の直流電源1の出力電圧が定格電圧を上回っているにもかかわらず第1の降圧回路3による降圧が行われずに、コンデンサC3の端子電圧Viiが所望の電圧(例えば、定格電圧等)よりも高電圧になった場合、第1のリレー駆動制御部8が、第1の電圧検出部11から通知される端子電圧Vs1と第3の電圧検出部10から通知される端子電圧Viiとを比較し、第1の直流電圧変換回路制御部9に指示を出し、両者によって第1の保護回路2に保護動作を行わせる。すなわち、第1の保護回路2において、リレーRy1が開路状態に制御され、その後スイッチング素子Q1がオフ状態に制御される。これによって、第1の直流電源1の高くなり過ぎた出力電圧が第1の降圧回路3の後段の回路に印加されることが防止でき、第1の降圧回路3の後段の回路を保護することができる。なお、第1の保護回路2を遮断状態に制御する場合、まず、スイッチング素子Q1をオンさせてリレーRy1を開路状態に制御し、その後スイッチング素子Q1をオフさせる手順が取れるので、リレーRy1でアークを発生させることなく、第1の保護回路2が確実に遮断状態に制御される。
【0031】
なお、電力変換装置の稼働中に第1の保護回路2に異常が発生した場合、電力変換装置に求められる安全規格はリレーRy2を備える第1の降圧回路3によって満たされているので、電力変換装置の稼働を継続することも可能ではあるが、安全をより確実なものとするために、第1のリレー駆動制御部8が、第1の電圧検出部11から通知される端子電圧Vs1と第3の電圧検出部10から通知される端子電圧Viiとを比較し、第1の直流電圧変換回路制御部9に指示を出し、両者によって第1の降圧回路3に保護動作を行わせるようにしてもよい。すなわち、第1の降圧回路3において、リレーRy2を開路状態に制御し、その後スイッチング素子Q2をオフ状態に制御するようにしてもよい。
【0032】
以上要するに、この実施の形態による電力変換装置は、次のような特徴を有している。(1)第1の降圧回路3を備え、第1の直流電源1の出力電圧が定格電圧を上回っている場合に第1の降圧回路3が第1の直流電源1の出力電圧を所望の電圧(例えば、定格電圧等)に降圧するようにしたので、第1の昇圧回路4(特には、スイッチング素子Q3)、コンデンサC2、およびインバータ回路5を耐圧の低い素子で構成することができる。半導体スイッチング素子は耐圧が高くなるほど導通損失が大きくなる傾向があるので、第1の昇圧回路4、インバータ回路5を耐圧の低い素子で構成することにより、損失が低減された変換効率の高い電力変換装置を実現することができる。
【0033】
(2)第1の保護回路2を備え、電力変換装置の稼働中に第1の降圧回路3に異常が発生し、それにより第1の直流電源1の出力電圧が定格電圧を上回っているにもかかわらず第1の降圧回路3による降圧が行われずに、コンデンサC3の端子電圧Viiが所望の電圧(例えば、定格電圧等)よりも高電圧になった場合に、リレーRy1が開路状態に制御され、その後スイッチング素子Q1がオフ状態に制御される。これによって、第1の直流電源1の高くなり過ぎた出力電圧が第1の降圧回路3の後段の回路に印加されることを防いで、第1の降圧回路3の後段の回路を多重保護することができる。
【0034】
(3)第1の降圧回路3にリレーRy2を備え、第1の直流電源1の出力電圧の降圧が不要な場合に、第1の降圧回路3内のスイッチング素子Q2をバイパスすることができるようにしたので、第1の降圧回路3内のスイッチング素子Q2で損失が発生することを防止することができ、さらに損失低減を図ることができる。
【0035】
(4)第1の直流電源1の出力電圧に応じて、第1の昇圧回路4と第1の降圧回路3とのいずれかを選択的に動作させる、或いは、双方を動作させないで、コンデンサC3の端子電圧Viiを生成するので、コンデンサC3の端子電圧Viiを安定して生成でき、安定した交流出力を精度よく得ることができる。
【0036】
(5)そして、電力変換装置の待機時に、第1のリレー駆動制御部8が、常に、或いは外部から指示があったときに、図2に示す手順で、第1の電流検出部6からの検出電流値Is1と予め定めた所定電流値との比較に基づいて、第1の直流電圧変換回路制御部9に動作指示を与えつつ、第1の保護回路2を構成するリレーRy1およびスイッチング素子Q1と、第1の降圧回路3を構成するリレーRy2およびスイッチング素子Q2とが、短絡故障していないか、開放故障していないかの健全性を予めチェックすることができる。
【0037】
以下、図2を参照して、電力変換装置の待機時に実施される故障検出動作について説明する。図2は、図1に示す第1のリレー駆動制御部が行う故障検出動作の手順を説明するフローチャートである。なお、処理手順を示すステップは、単に「ST」と略記する。
【0038】
電力変換装置の待機時においては、スイッチング素子Q1,Q2,Q3は、全てオフ状態であり、リレーRy1,Ry2も全て開路状態である。このような待機時の状態において、図2に示すように、第1のリレー駆動制御部8は、コンデンサC2に不要な充電が行われ、端子電圧Viiが過電圧とならないようにするため、スイッチング素子Q3もオンオフさせつつ、故障検出を行う。
【0039】
図2おいて、ST1〜ST5では、第1の保護回路2を構成するリレーRy1およびスイッチング素子Q1について、短絡故障の有無がチェックされる。
【0040】
ST1では、第1のリレー駆動制御部8は、リレーRy1,Ry2を共に開路状態に維持する。そして、第1の直流電圧変換回路制御部9に対し、スイッチング素子Q1をオフ状態に維持させる動作指示を与え、スイッチング素子Q2,Q3を共にデューティ比t1でオンさせる動作指示を与えて、ST2へ進む。ここで、デューティ比t1は、当該電力変換装置の制御周期内でのオン時間幅であり、第1の電圧検出部9が検出したコンデンサC1の端子電圧Vs1とデューティ比t1との積がスイッチング素子Q2,Q3の耐圧以下となるように設定される。
【0041】
ST2では、第1のリレー駆動制御部8は、第1の電流検出部6が検出した第1の直流電源1の出力電流Is1が所定電流値と等しいか否か、或いは所定電流値よりも小さいか否かを調べる。その結果、Is1≦所定電流値であれば(ST2:Yes)、リレーRy1とスイッチング素子Q1の両方共に短絡故障していないと判定し(ST3)、ST6へ進む。一方、Is1≦所定電流値でなければ(ST2:No)、リレーRy1とスイッチング素子Q1の少なくとも一方は短絡故障していると判定し(ST4)、インバータ回路制御部11に故障検出を通知し、エラー表示を行い(ST5)、本手順を終了する。インバータ回路制御部11は、故障検出の通知が入力されると、外部から当該電力変換装置の動作開始指示が入力されても、外部からリセット信号が入力されるまでは、インバータ回路5を駆動しない、つまり、当該電力変換装置を強制的に停止状態に維持する。
【0042】
また、ST6〜ST10では、第1の降圧回路3を構成するリレーRy2およびスイッチング素子Q2について、短絡故障の有無がチェックされる。
【0043】
ST6では、第1のリレー駆動制御部8は、リレーRy1,Ry2を共に開路状態に維持する。そして、第1の直流電圧変換回路制御部9に対し、スイッチング素子Q2をオフ状態に制御させる動作指示を与え、スイッチング素子Q1,Q3を共にデューティ比t2でオンさせる動作指示を与えて、ST7へ進む。ここで、デューティ比t2は、当該電力変換装置の制御周期内でのオン時間幅であり、第1の電圧検出部9が検出したコンデンサC1の端子電圧Vs1とデューティ比t1との積がスイッチング素子Q1,Q3の耐圧以下となるように設定される。
【0044】
ST7では、第1のリレー駆動制御部8は、第1の電流検出部6が検出した第1の直流電源1の出力電流Is1が所定電流値と等しいか否か、或いは所定電流値よりも小さいか否かを調べる。その結果、Is1≦所定電流値であれば(ST7:Yes)、リレーRy2とスイッチング素子Q2の両方共に短絡故障していないと判定し(ST8)、ST11へ進む。一方、Is1≦所定電流値でなければ(ST7:No)、リレーRy2とスイッチング素子Q2の少なくとも一方は短絡故障していると判定し(ST9)、インバータ回路制御部11に故障検出を通知し、エラー表示を行い(ST10)、本手順を終了する。当該電力変換装置は、外部から運転開始指示が入力されても、外部からリセット信号が入力されるまで、強制的に停止状態に制御される。
【0045】
次に、ST11〜ST20では、第1の保護回路2内のリレーRy1と第1の降圧回路3内のスイッチング素子Q2とについて、開放故障の有無がチェックされる。
【0046】
ST11では、第1のリレー駆動制御部8は、リレーRy1を閉路状態に制御し、リレーRy2を閉路状態に制御する。そして、第1の直流電圧変換回路制御部9に対して、スイッチング素子Q1をオフ状態に制御させる動作指示を与え、スイッチング素子Q2,Q3を共にデューティ比t3でオンさせる動作指示を与えて、ST12へ進む。ここで、デューティ比t3は、当該電力変換装置の制御周期内でのオン時間幅であり、第1の電圧検出部9が検出したコンデンサC1の端子電圧Vs1とデューティ比t3との積がスイッチング素子Q2,Q3の耐圧以下となるように設定される。
【0047】
ST12では、第1のリレー駆動制御部8は、第1の電流検出部6が検出した第1の直流電源1の出力電流Is1が所定電流値と等しいか否か、或いは所定電流値よりも大きいか否かを調べる。その結果、Is1≧所定電流値であれば(ST12:Yes)、リレーRy1とスイッチング素子Q2の両方共に開放故障していないと判定し(ST13)、ST20へ進む。一方、Is1≧所定電流値でなければ(ST12:No)、リレーRy1とスイッチング素子Q2の少なくとも一方は開放故障していると判定し(ST14)、ST15へ進む。
【0048】
ST15では、第1のリレー駆動制御部8は、リレーRy1を開路状態に制御し、リレーRy2を開路状態に維持する。そして、第1の直流電圧変換回路制御部9に対し、スイッチング素子Q1をオン状態に制御させる動作指示を与え、スイッチング素子Q2,Q3を共にデューティ比t4でオンさせる動作指示を与えて、ST16へ進む。
ST16では、第1のリレー駆動制御部8は、第1の電流検出部6が検出した第1の直流電源1の出力電流Is1が所定電流値と等しいか否か、或いは所定電流値よりも大きいか否かを調べる。その結果、Is1≧所定電流値であれば(ST16:Yes)、リレーRy1が開放故障していると判定し(ST17)、また、Is1≧所定電流値でなければ(ST16:No)、スイッチング素子Q2が開放故障していると判定し(ST18)、
インバータ回路制御部11に故障検出を通知し、エラー表示を行い(ST19)、本手順を終了する。当該電力変換装置は、外部から運転開始指示が入力されても、外部からリセット信号が入力されるまで、強制的に停止状態に制御される。
【0049】
次に、ST20〜ST28では、第1の保護回路2内のスイッチング素子Q1と第1の降圧回路3内のリレーRy2とについて、開放故障の有無がチェックされる。
【0050】
ST20では、第1のリレー駆動制御部8は、リレーRy1を開路状態に制御し、リレーRy2を閉路状態に制御する。そして、第1の直流電圧変換回路制御部9に対して、スイッチング素子Q2をオフ状態に制御させる動作指示を与え、スイッチング素子Q1,Q3を共にデューティ比t5でオンさせる動作指示を与えて、ST21へ進む。ここで、デューティ比t5は、当該電力変換装置の制御周期内でのオン時間幅であり、第1の電圧検出部9が検出したコンデンサC1の端子電圧Vs1とデューティ比t5との積がスイッチング素子Q1,Q3の耐圧以下となるように設定される。
【0051】
ST21では、第1のリレー駆動制御部8は、第1の電流検出部6が検出した第1の直流電源1の出力電流Is1が所定電流値と等しいか否か、或いは所定電流値よりも大きいか否かを調べる。その結果、Is1≧所定電流値であれば(ST21:Yes)、リレーRy2とスイッチング素子Q1の両方共に開放故障していないと判定し(ST22)、インバータ回路制御部11に故障無しを通知し(ST29)、本手順を終了する。インバータ回路制御部11は、故障無しの通知が入力されると、外部からの運転開始指示入力に応答してインバータ回路5の駆動を開始できる状態(電力変換装置起動可の状態)にする。
【0052】
一方、ST21の判断において、Is1≧所定電流値でなければ(ST21:No)、リレーRy2とスイッチング素子Q1の少なくとも一方は開放故障していると判定し(ST23)、ST24へ進む。
【0053】
ST24では、第1のリレー駆動制御部8は、リレーRy1,Ry2を共に開路状態に制御する。そして、第1の直流電圧変換回路制御部9に対して、スイッチング素子Q2をオン状態に制御させる動作指示を与え、スイッチング素子Q1,Q3を共にデューティ比t6でオンさせる動作指示を与えて、ST25へ進む。
【0054】
ST25では、第1のリレー駆動制御部8は、第1の電流検出部6が検出した第1の直流電源1の出力電流Is1が所定電流値と等しいか否か、或いは所定電流値よりも大きいか否かを調べる。その結果、Is1≧所定電流値であれば(ST25:Yes)、リレーRy2が開放故障していると判定し(ST26)、また、Is1≧所定電流値でなければ(ST25:No)、スイッチング素子Q1が開放故障していると判定し(ST27)、
インバータ回路制御部11に故障検出を通知し、エラー表示を行い(ST28)、本手順を終了する。当該電力変換装置は、外部から運転開始指示が入力されても、外部からリセット信号が入力されるまで、強制的に停止状態に制御される。
【0055】
ここで、第1の保護回路2を構成するリレーRy1およびスイッチング素子Q1の少なくとも一方に短絡故障があり、第1の降圧回路3を構成するリレーRy2およびスイッチング素子Q2の少なくとも一方に短絡故障がある状態で当該電力変換装置を起動すると、第1の直流電源1から、第1の昇圧回路4およびインバータ回路5のスイッチング素子に耐圧以上の直流電圧が印加されるので稼働中に内部故障の発生を招来する。
【0056】
これに対し、本実施の形態では、図2に示すように、当該電力変換装置の待機時に、リレーRy1、スイッチング素子Q1、リレーRy2およびスイッチング素子Q2の少なくとも一方に短絡故障があることを検出すると、エラー表示を行い、予め部品交換等の適切な措置を採ることができるまで当該電力変換装置を強制的に停止状態に制御するので、稼働中に内部故障が発生する可能性を低くすることができる。
【0057】
また、リレーRy1とリレーRy2の少なくとも一方に開放故障がある状態で運転すると、直流電圧降下素子(スイッチング素子Q1,Q2)をバイパスできなくなるので、損失が増加し、効率の低い状態での運転になってしまう。
【0058】
これに対し、本実施の形態では、図2に示すように、当該電力変換装置の待機時に、リレーRy1とリレーRy2の少なくとも一方に開放故障があることを検出すると、エラー表示を行い、予め部品交換等の適切な措置を採ることができるまで当該電力変換装置を強制的に停止状態に制御するので、効率の低い状態での運転となるのを防止できる。
【0059】
実施の形態2.
図3は、本発明の実施の形態2による電力変換装置の構成を示すブロック図である。太陽光発電システムでは、図3に示すように、第1の回路(図1に示した第1の直流電源1と第1の保護回路2と第1の降圧回路3と第1の昇圧回路4)と、第2の回路(第2の直流電源21と第2の保護回路22と第2の降圧回路23と第2の昇圧回路24)とが、インバータ回路5に並列に接続された構成とする場合が多い。
【0060】
第2の直流電源21は、第1の直流電源1とは独立した太陽電池モジュールである。第2の保護回路22は、スイッチング素子Q4と該スイッチング素子Q4に並列接続されるリレーRy3とを含んで構成される。第2の降圧回路23は、スイッチング素子Q5と該スイッチング素子Q5に並列接続されるリレーRy4とダイオードD3とリアクトルL2とを含んで構成される。第2の昇圧回路24は、リアクトルL2とスイッチング素子Q5とダイオードD4とを含んで構成される。
【0061】
そして、第2の回路でも第1の回路と同様に、第2の直流電源21の出力電流Is2を検出する第2の電流検出器25と、第2の直流電源21の出力端子間に設けられるコンデンサC2の端子電圧Vs2を検出する第2の電圧検出部26と、リレーRy3,Ry4を開閉制御する第2のリレー駆動制御部27と、第2のリレー駆動制御部27からの指示に従ってスイッチング素子Q4,Q5,Q6のオンオフ制御を行う第2の直流電圧変換回路制御部28とを備えている。第2のリレー駆動制御部27には、第3の電圧検出部100から検出電圧Viiが入力される。
【0062】
第2のリレー駆動制御部27は、第2の故障検出手段を構成し、第1のリレー駆動制御部8と同様に、図2に示す手順で、リレーRy3,Ry4,スイッチング素子Q4,Q5の短絡故障有無と開放故障有無とを判定し、判定結果をインバータ回路制御部11に通知し、当該電力変換装置の起動を制御させる。
【0063】
ここで、電力変換装置が、図1に示すように、1つの直流電源(太陽電池モジュール)の出力電圧を保護回路、降圧回路、昇圧回路を介してインバータ回路に与える構成である場合は、保護回路および降圧回路を構成するそれぞれのリレーおよびスイッチング素子の故障検出は、実施の形態1にて説明した直流電源の出力電流を用いる方法の他に、インバータ回路5の入力電圧Viiを用いる方法によっても実施することができる。
【0064】
ところが、図3に示すように、第1の回路と第2の回路とが、インバータ回路5に並列に接続された構成を採る電力変換装置では、第1の直流電源1を構成する太陽電池モジュールと、第2の直流電源21を構成する太陽電池モジュールとで、太陽電池の直列枚数や方位が相違することに起因して、第1の回路と第2の回路との起動開始時間が異なる場合がある。この場合には、先に第1の回路だけで電力変換装置が動作を開始していて、後から第2の回路が動作を開始する場合が起こる。
【0065】
このケースにおいて、リレーRy3,Ry4,スイッチング素子Q4,Q5の故障検出を、コンデンサC3の端子電圧Viiと所定電圧値との比較に基づき行うことにすると、第1の回路が先に起動していると、既にコンデンサC3の端子電圧Viiはある値に充電されており、その後に第2の回路が起動し始める際に故障検知を行おうとしても、端子電圧Viiでは判定できないことになる。
【0066】
したがって、図3に示すように、第1の回路と第2の回路とが、インバータ回路5に並列に接続された構成を採る電力変換装置において、インバータ回路5の入力電圧Viiを用いて、第2の回路の故障検知を行う場合は、既に起動している第1の回路を一旦停止して、コンデンサC3の端子電圧Viiを低下させる必要がある。折角変換動作を行っている電力変換装置を停止させることは非効率である。
【0067】
その点、実施の形態1にて説明したような電流検知による故障検出方法を採用すれば、上記のような第1の回路と第2の回路を並列させる太陽光発電システムにおいて、電力変換装置を停止させることなく、故障検出を実施することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本発明にかかる電力変換装置は、内部故障の発生可能性を低くすることを可能にし、効率のよい運転を可能にする電力変換装置として有用であり、特に、太陽光発電システムで用いる電力変換装置に適している。
【符号の説明】
【0069】
1 第1の直流電源(太陽電池モジュール)
2 第1の保護回路
3 第1の降圧回路
4 第1の昇圧回路
5 インバータ回路
6 第1の電流検出部
7 第1の電圧検出部
8 第1のリレー駆動制御部(第1の故障検出手段)
9 第1の直流電圧検出回路制御部
10 第3の電圧検出部
11 インバータ回路制御部
21 第2の直流電源(太陽電池モジュール)
22 第2の保護回路
23 第2の降圧回路
24 第2の昇圧回路
25 第2の電流検出部
26 第2の電圧検出部
27 第2の直流電圧検出回路制御部
28 第2のリレー駆動制御部(第2の故障検出手段)
C1,C2,C3 コンデンサ
Ry1〜Ry4 リレー
Q1〜Q6 スイッチング素子
L1,L2 リアクトル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の直流電源から供給される直流電力を交流電力へ変換する電力変換装置であって、
第1のスイッチング素子および前記第1のスイッチング素子に並列に接続された第1のリレーを含んで構成され、前記第1の直流電源から印加される直流電圧を降圧する第1の降圧回路と、
第2のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子に並列に接続された第2のリレーを含んで構成され、前記第1の直流電源と前記第1の降圧回路との間に配置され、前記第1の降圧回路の出力電圧が印加される後段の回路を保護する第1の保護回路と、
前記第1の直流電源の正極出力端と前記第1の保護回路の入力端との接続ラインに流れる電流を検出する第1の電流検出部と、
当該電力変換装置の待機時に、前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子のオンオフ制御と前記第1のリレーおよび前記第2のリレーの開閉制御との組み合わせと、前記第1の電流検出部の検出電流値と予め定めた所定電流値との比較とに基づき、前記第1のスイッチング素子、前記第1のリレー、前記第2のスイッチング素子および前記第2のリレーについて、故障有無の判定を行う第1の故障検出手段と
を備えることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
第1の前記故障検出手段は、
前記第1のリレーおよび前記第2のリレーを共に開路させ、前記第1のスイッチング素子をオンオフさせ前記第2のスイッチング素子をオフさせて前記比較を行い、前記第1のスイッチング素子をオフさせ前記第2のスイッチング素子をオンオフさせて前記比較を行い、前記検出電流値が前記所定電流値よりも大きい場合に、前記第1のスイッチング素子と前記第1のリレーの少なくとも一方が短絡故障していると判定し、前記第2のスイッチング素子と前記第2のリレーの少なくとも一方が短絡故障していると判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記第1の故障検出手段は、
前記第1のリレーを閉路させ前記第2のリレーを開路させ、前記第2のスイッチング素子をオフさせ前記第1のスイッチング素子をオンオフさせて前記比較を行い、前記検出電流値が前記所定電流値よりも小さい場合に、前記第1のリレーと前記第2のスイッチング素子の少なくとも一方が開放故障していること判定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記第1の故障検出手段は、
前記第2のリレーを閉路させ前記第1のリレーを開路させ、前記第1のスイッチング素子をオフさせ前記第2のスイッチング素子をオンオンさせて前記比較を行い、前記検出電流値が前記所定電流値よりも小さい場合に、前記第2のリレーと前記第1のスイッチング素子の少なくとも一方が開放故障していると判定する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記第1の故障検出手段は、
前記第1のリレーを開路させて前記比較を行い、前記検出電流値が前記所定電流値よりも大きい場合に前記第1のリレーが開放故障していると判定し、前記検出電流値が前記所定電流値よりも小さい場合に前記第2のスイッチング素子が開放故障していると判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記第1の故障検出手段は、
前記第2のリレーを開路させて前記比較を行い、前記検出電流値が前記所定電流値よりも大きい場合に前記第2のリレーが開放故障していると判定し、前記検出電流値が前記所定電流値よりも小さい場合に前記第1のスイッチング素子が開放故障していると判定する
ことを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記第1の故障検出手段は、前記故障していると判定したときは、当該電力変換装置を強制的停止状態に維持させることを特徴とする請求項1,2,5,6のいずれか一つに記載の電力変換装置。
【請求項8】
第2の直流電源と、
第3のスイッチング素子および前記第3のスイッチング素子に並列に接続された第3のリレーを含んで構成され、前記第2の直流電源から印加される直流電圧を降圧する第2の降圧回路と、
第4のスイッチング素子および前記第4のスイッチング素子に並列に接続された第4のリレーを含んで構成され、前記第2の直流電源と前記第2の降圧回路との間に配置され、前記第2の降圧回路の出力電圧が印加される後段の回路を保護する第2の保護回路と、
前記第2の直流電源の正極出力端と前記第2の保護回路の入力端との接続ラインに流れる電流を検出する第2の電流検出部と、
当該電力変換装置の待機時に、前記第3のスイッチング素子および前記第4のスイッチング素子のオンオフ制御と前記第3のリレーおよび前記第4のリレーの開閉制御との組み合わせと、前記第2の電流検出部の検出電流値と予め定めた所定電流値との比較とに基づき、前記第3のスイッチング素子、前記第4のリレー、前記第3のスイッチング素子および前記第4のリレーについて、故障有無の判定を行う第2の故障検出手段と
を備え、
前記第1の降圧回路の後段と前記第2の降圧回路の後段とが並列接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記第2の故障検出手段は、
前記第3のリレーおよび前記第4のリレーを共に開路させ、前記第3のスイッチング素子をオンオフさせ前記第4のスイッチング素子をオフさせて前記比較を行い、前記第3のスイッチング素子をオフさせ前記第4のスイッチング素子をオンオフさせて前記比較を行い、前記検出電流値が前記所定電流値よりも大きい場合に、前記第3のスイッチング素子と前記第3のリレーの少なくとも一方が短絡故障していると判定し、前記第4のスイッチング素子と前記第4のリレーの少なくとも一方が短絡故障していると判定する
ことを特徴とする請求項8に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記第2の故障検出手段は、
前記第3のリレーを閉路させ前記第4のリレーを開路させ、前記第4のスイッチング素子をオフさせ前記第3のスイッチング素子をオンオフさせて前記比較を行い、前記検出電流値が前記所定電流値よりも小さい場合に、前記第3のリレーと前記第4のスイッチング素子の少なくとも一方が開放故障していること判定する
ことを特徴とする請求項8または9に記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記第2の故障検出手段は、
前記第4のリレーを閉路させ前記第3のリレーを開路させ、前記第3のスイッチング素子をオフさせ前記第4のスイッチング素子をオンオンさせて前記比較を行い、前記検出電流値が前記所定電流値よりも小さい場合に、前記第4のリレーと前記第3のスイッチング素子の少なくとも一方が開放故障していると判定する
ことを特徴とする請求項8〜10のいずれか一つに記載の電力変換装置。
【請求項12】
前記第2の故障検出手段は、
前記第3のリレーを開路させて前記比較を行い、前記検出電流値が前記所定電流値よりも大きい場合に前記第3のリレーが開放故障していると判定し、前記検出電流値が前記所定電流値よりも小さい場合に前記第4のスイッチング素子が開放故障していると判定する
ことを特徴とする請求項10に記載の電力変換装置。
【請求項13】
前記第2の故障検出手段は、
前記第4のリレーを開路させて前記比較を行い、前記検出電流値が前記所定電流値よりも大きい場合に前記第4のリレーが開放故障していると判定し、前記検出電流値が前記所定電流値よりも小さい場合に前記第3のスイッチング素子が開放故障していると判定する
ことを特徴とする請求項11に記載の電力変換装置。
【請求項14】
前記第2の故障検出手段は、前記故障していると判定したときは、当該電力変換装置を強制的停止状態に維持させることを特徴とする請求項8,9,12,13のいずれか一つに記載の電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−182519(P2011−182519A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42778(P2010−42778)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】