説明

電力変換装置

【課題】大出力でスピーカが駆動された場合でも、出力電圧の変動を抑制することができる電力変換装置を提供する。
【解決手段】入力信号を増幅するアンプである負荷駆動回路2に対し、コントローラ11によってNMOSQ1をオンオフすることで電力を供給するDC/DCコンバータ1と、スピーカSPを駆動するアンプ出力電圧を検出するアンプ出力電圧検出機能と、検出したアンプ出力電圧の変化量とDC/DCコンバータ1の出力電圧とを演算した誤差信号をDC/DCコンバータ1にフィードバックするフィードバック機能とを備えたフィードバック回路4とを具備し、コントローラ11は、フィードバックされた誤差信号に基づいて、アンプ出力電圧が増加すると供給する電力量を増加させ、アンプ出力電圧が減少すると供給する電力量を減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力電力から所望の出力電力を生成する電力変換装置に係り、特に入力信号を増幅するアンプ(電力増幅器)に電力を供給する電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入力信号に基づいて負荷を駆動するアンプに電力を供給する電力変換装置としてスイッチング電源が用いられている。このようなスイッチング電源においては、設定されている定格電圧に出力電圧を安定させるため、出力電圧を検出し、検出した出力電圧に基づいてスイッチング素子によるスイッチング動作をフィードバック制御することが一般的に行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4に、スイッチング電源であるDC/DCコンバータ1から供給される電力を用いた従来の電力変換装置例を示す。
ダイオードがブリッジ構成された整流回路DBの交流入力端子ACin1、ACin2には商用交流電源ACが接続され、商用交流電源ACから入力された交流電圧が全波整流されて整流回路DBから出力される。整流回路DBの整流出力正極端子と整流出力負極端子との間には、平滑コンデンサC1が接続されている。これにより、商用交流電源ACを整流回路DBと平滑コンデンサC1とで整流平滑した直流電源が得られる。
【0004】
整流回路DBの整流出力負極端子はスイッチング素子であるN型のMOSFET(以下、NMOSと称す)Q1のソース端子が接続され、NMOSQ1のドレイン端子はトランスTの1次側巻き線を介して整流回路DBの整流出力正極端子に接続されている。また、NMOSQ1のゲート端子はコントローラ11のゲート制御端子Gに接続され、コントローラ11によってNMOSQ1をオン/オフ制御することで、整流回路DBと平滑コンデンサC1とで整流平滑された直流電源をNMOSQ1でスイッチングして、トランスTの1次側巻き線に印加する。
【0005】
トランスTには、NMOSQ1がオンしている時に磁気エネルギーが蓄えられ、NMOSQ1がオフしているときに蓄えられた磁気エネルギーがトランスTの2次側巻き線から電力として放出される。トランスTの2次側巻き線の両端子間には、整流ダイオードD1を介して平滑コンデンサC2が接続され、トランスTの2次側巻き線から放出された電力は、整流ダイオードD1と平滑コンデンサC2により整流平滑され、直流出力電圧が後段の負荷駆動回路2に供給される。なお、平滑コンデンサC2の正極端子に接続されているラインが電源ラインとなり、平滑コンデンサC2の負極端子に接続されているラインがGNDラインとなる。
【0006】
負荷駆動回路2は、例えばスピーカSPから音声を出力するオーディオアンプであり、4つのN型のMOSFET(以下、NMOSと称す)Q2、Q3、Q4、Q5からなるフルブリッジ回路と、当該フルブリッジ回路を制御するプロセッサ21とを有している。NMOSQ2、Q3のドレイン端子はそれぞれ電源ラインに接続され、NMOSQ4、Q5のソース端子はそれぞれGNDラインに接続されている。また、NMOSQ2のソース端子とNMOSQ4のドレイン端子とは接続点Xで接続され、接続点Xと負荷であるスピーカSPの一方端とがインダクタL1を介して接続され、スピーカSPの一方端とインダクタL1との接続点とGNDラインとの間にコンデンサC3が接続されている。さらに、NMOSQ3のソース端子とNMOSQ5のドレイン端子とは接続点Yで接続され、接続点YとスピーカSPの他方端とがインダクタL2を介して接続され、スピーカSPの他方端とインダクタL2との接続点とGNDラインとの間にコンデンサC4が接続されている。
【0007】
プロセッサ21には、NMOSQ2、Q3、Q4、Q5のゲート電極がそれぞれ接続され、プロセッサ21は、入力端子inから入力される入力信号に基づいて、NMOSQ2、Q3、Q4、Q5をPWM制御し、入力端子inから入力される入力信号を増幅してスピーカSPから音声出力させる。
【0008】
後段の負荷駆動回路2に供給される直流の出力電圧(平滑コンデンサC2の両端電圧)は、抵抗R1、R2、R3、シャントレギュレータZ1、コンデンサC5、フォトカプラPCを構成する発光ダイオードPCDおよび受光トランジスタPCTR、抵抗R4、コンデンサC6からなるフィードバック回路3により誤差信号としてコントローラ11にフィードバックされる。
【0009】
平滑コンデンサC2の両端子間、すなわち電源ラインとGNDラインとの間には、抵抗R1、発光ダイオードPCD及びシャントレギュレータZ1が直列に接続されている。抵抗R1は、発光ダイオードPCDとシャントレギュレータZ1に流れる電流を制限するためのものであり、抵抗R1の一端部は電源ラインに接続され、抵抗R1の他端部は、発光ダイオードPCDのアノードに接続されている。発光ダイオードPCDのカソードはシャントレギュレータZ1のカソードに接続され、シャントレギュレータZ1のアノードはGNDラインに接続されている。また、電源ラインとGNDラインとの間には、分圧用の抵抗R2及び抵抗R3が直列に接続され、抵抗R2と抵抗R3の接続点はシャントレギュレータZ1の制御端子aに接続されていると共に、コンデンサC5を介してシャントレギュレータZ1のカソードに接続されている。コンデンサC5はシャントレギュレータZ1に対する負帰還回路である。
【0010】
後段の負荷駆動回路2に供給される直流の出力電圧が抵抗R2と抵抗R3によって分圧された出力電圧信号がシャントレギュレータZ1の制御端子aに入力され、シャントレギュレータZ1の内部基準電圧と比較され、その誤差電圧に応じた電流I(Z1)が発光ダイオードPCDを流れ、電流I(Z1)が誤差信号として発光ダイオードPCDから受光トランジスタPCTRに出力される。
【0011】
受光トランジスタPCTRのコレクタ端子は抵抗R4を介してコントローラ11のフィードバック端子FBに接続され、受光トランジスタPCTRのエミッタ端子は接地端子に接続されている。また、コントローラ11のフィードバック端子FBの接続点と受光トランジスタPCTRのエミッタ端子との間には、コンデンサC6が接続されている。抵抗R4およびコンデンサC6は、フィードバック制御における発振防止用の位相補償回路として機能する。受光トランジスタPCTRでは、発光ダイオードPCDからの誤差信号が受光されると、受光された誤差信号に応じた電流I(FB)が流れ、誤差信号がコントローラ11に伝達される。これにより、コントローラ11は、誤差信号に応じたパルス幅のPWM信号を生成することで、NMOSQ1をPWM制御し、出力電圧を定格電圧に保つように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−61351号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来技術では、出力電圧を検出し、検出した出力電圧に基づいてスイッチング素子によるスイッチング動作をフィードバック制御しているため、出力電圧がある程度変動してから、フィードバック制御によって出力電圧を定格電圧に戻すことになり、大出力で負荷が駆動された場合には、出力電圧が大きく変動してしまうという問題点があった。
【0014】
図5は、図4の各部の信号波形、及び動作波形を示したもので、上から、(a)プロセッサ21の入力信号Vin、(b)平滑コンデンサC2の電圧VC2、(c)シャントレギュレータZ1を流れる電流IZ1、(d)受光トランジスタPCTRを流れる電流IFB、(e)コントローラ11で生成されるPWM信号VQ1、(f)コンデンサC3の電圧VC3、(g)コンデンサC4の電圧VC4を示している。
【0015】
図5(a)に示すような、大きな出力を要求する入力信号Vinがプロセッサ21に入力された場合において、まず、入力信号Vinの立ち上がり時の動作について図5に示す実線矢印に基づいて説明する。入力信号Vinが立ち上がると、平滑コンデンサC2に蓄積された電荷の消費量、すなわち消費される電力量が増加していくため、図5(b)に示すように、平滑コンデンサC2の電圧VC2が定格電圧から低下していく。このような現象は、平滑コンデンサC2の容量が小さいほど顕著に現れる。平滑コンデンサC2の電圧VC2が定格電圧よりも低下すると、図5(c)、(d)に示すような電流I(Z1)、電流I(FB)がフィードバック回路3において誤差信号として検出されてコントローラ11にフィードバックされ、コントローラ11は、図5(e)に示すように、誤差信号に応じてパルス幅を広げたPWM信号を生成することで、NMOSQ1をオンオフ制御して平滑コンデンサC2に供給される電力量を増加させる。
【0016】
次に、入力信号Vinの立ち下がり時の動作について図5に示す点線矢印に基づいて説明する。入力信号Vinが立ち下がる過程において、平滑コンデンサC2に蓄積された電荷の消費量が減少していくと共に、平滑コンデンサC2に供給される電力量が増加されているため、図5(b)に示すように、平滑コンデンサC2の電圧VC2が定格電圧を越えて上昇していく。平滑コンデンサC2の電圧VC2が定格電圧よりも上昇すると、図5(c)、(d)に示すような電流I(Z1)、電流I(FB)がフィードバック回路3において誤差信号として検出されてコントローラ11にフィードバックされ、コントローラ11は、図5(e)に示すように、誤差信号に応じてパルス幅を狭めたPWM信号を生成することで、NMOSQ1をオンオフ制御して平滑コンデンサC2へ供給される電力量を減少させる。
【0017】
このように、大きな出力を要求する入力信号Vinがプロセッサ21に入力された場合、負荷駆動回路2の消費電力の変化を検出するタイミングが遅くなって、図5(b)に示すように、出力電圧、すなわち平滑コンデンサC2の電圧VC2が大きく変動してしまう。従って、平滑コンデンサC2の電圧VC2を定格電圧としている後段の負荷駆動回路2の出力信号は、図5(f)、(g)に実線で示すように、応答性が悪化、すなわち一点鎖線で示した入力信号Vinから遅れたものになってしまい、音質が劣化してしまう。
【0018】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、従来技術の問題を解決し、大出力で負荷が駆動された場合でも、出力電圧の変動を抑制することができる電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の電力変換装置は、入力信号に基づいて負荷を駆動する負荷駆動回路に電力を供給する電力変換装置であって、コントローラによってスイッチング素子をオンオフすることで前記負荷駆動回路に電力を供給するスイッチング電源と、前記負荷を駆動する負荷駆動電圧を検出する負荷駆動電圧検出手段と、該負荷駆動電圧検出手段によって検出された前記負荷駆動電圧の変化量を前記コントローラにフィードバックするフィードバック手段とを具備し、前記コントローラは、フィードバックされた前記負荷駆動電圧の変化量に基づいて、前記負荷駆動電圧が増加すると供給する電力量を増加させ、前記負荷駆動電圧が減少すると供給する電力量を減少させることを特徴とする。
また、本発明の電力変換装置においては、前記フィードバック手段は、前記負荷駆動電圧検出手段によって検出された前記負荷駆動電圧の変化量と前記スイッチング電源の出力電圧とを演算した誤差信号を前記コントローラにフィードバックさせ、前記コントローラは、フィードバックされた前記誤差信号に基づいて、前記スイッチング電源の出力電圧が増加すると供給する電力量を減少させ、前記スイッチング電源の出力電圧が減少すると供給する電力量を増加させて前記スイッチング電源の出力電圧を一定にすることを特微とする。
また、本発明の電力変換装置においては、前記負荷駆動電圧検出手段は、前記負荷の両端子からグランドを介して整流することで、前記負荷駆動電圧のグランドに対する絶対値信号を検出し、前記フィードバック手段は、前記負荷駆動電圧検出手段によって検出された前記絶対値信号を、コンデンサを介して前記スイッチング電源の出力電圧を分圧した出力電圧信号に重畳させて前記誤差信号を生成することを特微とする。
また、本発明の電力変換装置においては、前記負荷駆動回路は、入力信号に基づいて前記負荷であるスピーカから音声出力するオーディオアンプであることを特微とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による実施形態の電力変換装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】本発明による実施形態の電力変換装置の回路構成を示す回路構成図である。
【図3】図2の各部の信号波形、及び動作波形を示す波形図である。
【図4】従来技術の電力変換装置の回路構成を示す回路構成図である。
【図5】図4の各部の信号波形、及び動作波形を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0022】
本実施形態の電力変換装置は、図1に示すように、負荷駆動回路2に電力を供給するスイッチング電源であるDC/DCコンバータ1と、フィードバック回路4とからなる。負荷駆動回路2は、DC/DCコンバータ1からの電力を用いて入力信号を増幅するアンプ(電力増幅器)であり、入力信号に基づいて負荷であるスピーカSPを駆動して音声出力する。フィードバック回路4は、スピーカSPを駆動する負荷駆動電圧、すなわち負荷駆動回路2から出力されるアンプ出力電圧を検出するアンプ出力電圧検出機能と、検出したアンプ出力電圧の変化量とDC/DCコンバータ1の出力電圧とを演算してDC/DCコンバータ1にフィードバックするフィードバック機能とを備えている。
【0023】
図2に、実施形態の電力変換装置の具体的な回路構成を示す。なお、DC/DCコンバータ1及び負荷駆動回路2は、図4に示す従来の電力変換装置と同一の構成であるため、同一符号を付与して説明を省略する。
【0024】
フィードバック回路4は、抵抗R1、R3、R5、R6、R7、R8、シャントレギュレータZ1、コンデンサC7、C8、ダイオードD2、D3、フォトカプラPCを構成する発光ダイオードPCDおよび受光トランジスタPCTRからなる。
【0025】
平滑コンデンサC2の両端子間、電源ラインとGNDラインとの間には抵抗R1、発光ダイオードPCD及びシャントレギュレータZ1が直列に接続されている。抵抗R1は、発光ダイオードPCDとシャントレギュレータZ1に流れる電流を制限するためのものであり、抵抗R1の一端部は電源ラインに接続され、抵抗R1の他端部は、発光ダイオードPCDのアノードに接続されている。発光ダイオードPCDのカソードはシャントレギュレータZ1のカソードに接続され、シャントレギュレータZ1のアノードがGNDラインに接続されている。また、電源ラインとGNDラインとの間には、分圧用の抵抗R5、抵抗R6及び抵抗R3が直列に接続され、抵抗R6と抵抗R3の接続点はシャントレギュレータZ1の制御端子aに接続されていると共に、コンデンサC7が抵抗R6及び抵抗R3に対して並列に接続されている。
【0026】
負荷であるスピーカSPの一方端には、ダイオードD2のアノードが接続されていると共に、スピーカSPの他方端には、ダイオードD3のアノードが接続され、ダイオードD2のカソードとダイオードD3のカソードとが接続されている。また、ダイオードD2のカソードとダイオードD3のカソードとの接続点ZとGNDラインとの間には抵抗R7が接続されている。さらに、抵抗R6と抵抗R3の接続点と接続点Zとの間には抵抗8及びコンデンサC8が直列に接続されている。
【0027】
スピーカSPを駆動する負荷駆動電圧、すなわちアンプ出力電圧は、ダイオードD2及びダイオードD3によってグランドを介して整流され、ダイオードD2のカソードとダイオードD3のカソードとの接続点Zで、グランドに対する絶対値信号として検出される。接続点Zで検出されたアンプ出力電圧は、コンデンサC8を介することで、交流成分のアンプ出力電圧信号となり、当該交流成分のアンプ出力電圧信号は、DC/DCコンバータ1の出力電圧を分圧させた出力電圧信号に重畳され、シャントレギュレータZ1の制御端子aに入力される。すなわち、検出されたアンプ出力電圧の変化量とDC/DCコンバータ1の出力電圧とが演算、すなわち検出されたアンプ出力電圧の変化量とDC/DCコンバータ1の出力電圧の差分が計算されてシャントレギュレータZ1の制御端子aに入力されることになる。
【0028】
制御端子aに入力された電圧は、シャントレギュレータZ1の内部基準電圧と比較され、その誤差電圧に応じた電流I(Z1)が発光ダイオードPCDを流れ、電流I(Z1)が誤差信号として発光ダイオードPCDから受光トランジスタPCTRに出力される。これにより、検出されたアンプ出力電圧の変化分とDC/DCコンバータ1の出力電圧とが演算され、演算結果が誤差信号としてフィードバックされる。
【0029】
受光トランジスタPCTRのコレクタ端子はコントローラ11のフィードバック端子FBに接続され、受光トランジスタPCTRのエミッタ端子は接地端子に接続されている。受光トランジスタPCTRでは、発光ダイオードPCDからの誤差信号が受光されると、受光された誤差信号に応じた電流I(FB)が流れ、誤差信号がコントローラ11に伝達される。これにより、コントローラ11は、誤差信号に応じたパルス幅のPWM信号を生成することで、NMOSQ1をオンオフ制御し、出力電圧を一定に保つように構成される。
【0030】
図3は、図2の各部の信号波形、及び動作波形を示したもので、上から、(a)プロセッサ21の入力信号Vin、(b)平滑コンデンサC2の電圧VC2、(c)シャントレギュレータZ1を流れる電流IZ1、(d)受光トランジスタPCTRを流れる電流IFB、(e)コントローラ11で生成されるPWM信号VQ1、(f)コンデンサC3の電圧VC3、(g)コンデンサC4の電圧VC4を示している。
【0031】
図3(a)に示すような、大きな出力を要求する入力信号Vinがプロセッサ21に入力された場合において、まず、入力信号Vinの立ち上がり時の動作について図3に示す実線矢印に基づいて説明する。入力信号Vinが立ち上がると、平滑コンデンサC2に蓄積された電荷の消費量、消費される電力量が増加する。平滑コンデンサC2に蓄積された電荷の消費量が増加すると、平滑コンデンサC2の電圧VC2が定格電圧から低下していくことになるが、平滑コンデンサC2の電圧VC2が定格電圧から大きく低下する前に、入力信号Vinに応じたスピーカSPを駆動するアンプ出力電圧の立ち上がり変化をダイオードD2のカソードとダイオードD3のカソードとの接続点Zで検出し、検出したアンプ出力電圧の変化量とDC/DCコンバータ1の出力電圧とが演算されてシャントレギュレータZ1の制御端子aに入力される。これにより、図3(c)、(d)に示すような電流I(Z1)、電流I(FB)が誤差信号としてコントローラ11にフィードバックされる。コントローラ11は、図5(e)に示すように、誤差信号に応じたパルス幅のPWM信号を生成することで、NMOSQ1をオンオフ制御して平滑コンデンサC2へ供給される電力量を増加させる。従って、平滑コンデンサC2に蓄積された電荷の消費量が増加しても、消費量の増加分が平滑コンデンサC2へ供給される電力量の増加として素早く反映されることになり、平滑コンデンサC2の電圧VC2がほとんど変化することがない。
【0032】
次に、入力信号Vinの立ち下がり時の動作について図3に示す点線矢印に基づいて説明する。入力信号Vinが立ち下がり始めると、平滑コンデンサC2に蓄積された電荷の消費量が減少していき、入力信号Vinに応じたスピーカSPを駆動するアンプ出力電圧の立ち下がり変化をダイオードD2のカソードとダイオードD3のカソードとの接続点Zで検出し、検出したアンプ出力電圧の変化量とDC/DCコンバータ1の出力電圧とが演算されてシャントレギュレータZ1の制御端子aに入力される。これにより、図3(c)、(d)に示すような電流I(Z1)、電流I(FB)が誤差信号としてフィードバック回路4で検出されてコントローラ11にフィードバックされる。コントローラ11は、図3(e)に示すように、誤差信号に応じたパルス幅のPWM信号を生成することで、NMOSQ1をオンオフ制御して平滑コンデンサC2へ供給される電力量を減少させる。従って、平滑コンデンサC2に蓄積された電荷の消費量が減少しても、消費量の減少分が平滑コンデンサC2へ供給される電力量の減少として素早く反映されることになり、平滑コンデンサC2の電圧VC2がほとんど変化することがない。なお、フィードバックされる誤差信号は、検出されたアンプ出力電圧の変化量と出力電圧とが演算されたものであるため、出力電圧の変動分もコントローラ11にフィードバックされ、コントローラ11は、フィードバックされた前記スイッチング電源の出力電圧が定格電圧よりも増加すると供給する電力量を減少させ、前記スイッチング電源の出力電圧が定格電圧よりも減少すると供給する電力量を増加させる。
【0033】
このように、大きな出力を要求する入力信号Vinがプロセッサ21に入力された場合でも、負荷駆動回路2の消費電力の変化を素早く検出して供給する電力量を制御することができる。従って、図3(b)に示すように、平滑コンデンサC2の電圧VC2は大きく変動することなく、ほぼ一定となり安定する。平滑コンデンサC2の電圧VC2が安定するため、後段の負荷駆動回路2の出力信号は、図5(f)、(g)に実線で示すように、応答性が向上、すなわち入力信号Vinから遅れることなく、ほぼ同一タイミングの波形となり、音質を向上させることができる。
【0034】
なお、本実施形態では、接続点Zで検出したアンプ出力電圧がコンデンサC8を介してシャントレギュレータZ1の制御端子aに入力されるように構成されているため、アンプ出力電圧における交流の変動成分がフィードバックされることになり、アンプ出力電圧の変動、すなわち出力電力の変動に素早く対応することができる。また、DC/DCコンバータ1からの出力電圧を検出するための抵抗と並列してコンデンサC7が設けられているため、出力電圧フィードバック制御の位相補償が行われることになり、DC/DCコンバータ1からの出力電圧を安定化させることができる。さらに、誤差信号の送信(発光ダイオードPCD)側にコンデンサC7を設けて位相補償を行うことで、誤差信号の受信側(受光トランジスタPCTR)での位相補償回路を省略することも可能になる。
【0035】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【符号の説明】
【0036】
1・・・DC/DCコンバータ
2・・・負荷駆動回路
3・・・フィードバック回路(従来)
4・・・フィードバック回路(本実施形態)
11・・・コントローラ
21・・・プロセッサ
C1、C2 平滑コンデンサ
C3、C4、C5、C6、C7、C8 コンデンサ
DB・・・整流回路
D1、D2、D3・・・ダイオード
L1、L2・・・インダクタ
PCD・・・発光ダイオード
PCTR・・・受光トランジスタ
SP・・・スピーカ
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8・・・抵抗
Q1、Q2、Q3、Q4、Q5・・・N型のMOSFET
Z1・・・シャントレギュレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号に基づいて負荷を駆動する負荷駆動回路に電力を供給する電力変換装置であって、
コントローラによってスイッチング素子をオンオフすることで前記負荷駆動回路に電力を供給するスイッチング電源と、
前記負荷を駆動する負荷駆動電圧を検出する負荷駆動電圧検出手段と、
該負荷駆動電圧検出手段によって検出された前記負荷駆動電圧の変化量を前記コントローラにフィードバックするフィードバック手段とを具備し、
前記コントローラは、フィードバックされた前記負荷駆動電圧の変化量に基づいて、前記負荷駆動電圧が増加すると供給する電力量を増加させ、前記負荷駆動電圧が減少すると供給する電力量を減少させることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記フィードバック手段は、前記負荷駆動電圧検出手段によって検出された前記負荷駆動電圧の変化量と前記スイッチング電源の出力電圧とを演算した誤差信号を前記コントローラにフィードバックさせ、
前記コントローラは、フィードバックされた前記誤差信号に基づいて、前記スイッチング電源の出力電圧が増加すると供給する電力量を減少させ、前記スイッチング電源の出力電圧が減少すると供給する電力量を増加させて前記スイッチング電源の出力電圧を一定にすることを特微とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記負荷駆動電圧検出手段は、前記負荷の両端子からグランドを介して整流することで、前記負荷駆動電圧のグランドに対する絶対値信号を検出し、
前記フィードバック手段は、前記負荷駆動電圧検出手段によって検出された前記絶対値信号を、コンデンサを介して前記スイッチング電源の出力電圧を分圧した出力電圧信号に重畳させて前記誤差信号を生成することを特微とする請求項1又は2記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記負荷駆動回路は、入力信号に基づいて前記負荷であるスピーカから音声出力するオーディオアンプであることを特微とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−125025(P2012−125025A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272725(P2010−272725)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】