説明

電力変換装置

【課題】エンジン発電機による電動機駆動システムにおいて、電力変換器の高調波や直流電圧変動の影響によって、d軸とq軸の電圧外乱による電流脈動の強めあい現象により軸振動が増加し、dq軸間干渉の影響により振動やd軸電流が増加する恐れがある。
【解決手段】エンジン発電機システムの電力変換器105において、発電機104の回転子磁束方向のd軸電流に含まれる振動成分の位相が、発電機104の回転電気角周波数に含まれる同一周波数の振動成分の位相に対し、90度以上進むようにd軸電圧調整手段117により発電機104を制御するためのd軸電圧Vd*をΔVd*調整し、さらに、q軸電流に含まれる振動成分の位相が、発電機104の回転電気角周波数に含まれる同一周波数の振動成分の位相に対し、90度以上進むようにq軸電圧調整手段118によりq軸の電圧Vq*をΔVq*調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン発電機システムおよび電動機駆動システムの電力変換装置に関し、特に、発電機とエンジン間の軸または電動機に接続された回転機器の軸の振動を抑制することに好適な制御を実現する電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力変換器で電動機を可変速駆動し、減速ギア、増速ギアなどを介してファン、ポンプ、圧縮機などの回転機器を運転する電動機駆動システムにおいては、電動機と回転機器間の軸に特定周波数の振動成分が発生する場合がある。この振動周波数は機器に固有のものであり、電力変換器駆動では、この固有周波数の振動がシステムに悪影響を与えないように制御することが必要である。
【0003】
このため、振動が大きくなる特定周波数での運転時間を短く(スキップ)するように、電力変換器の出力周波数を制御する技術が知られている。また、特定周波数近傍での駆動において、前記振動成分を打ち消すため、例えば、特許文献1に記載されているように、速度変動やトルク変動成分を推定し、それらの脈動を打ち消すための逆電動機トルクをかけるように、電力変換器を制御する技術が知られている。
【0004】
また、特許文献2では、電動機で発生される電動機トルクもしくは電動機トルク電流に含まれる振動成分の位相が、電動機の回転電気角周波数に含まれる同一周波数の振動成分の位相に対し、90度以上進むように電動機を駆動するための電圧を制御することで振動成分を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−252142号公報
【特許文献2】特開2010−259275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、回転速度から駆動系の脈動トルクや電動機の負荷トルクを外乱トルクとして推定して、それらの外乱トルクを打ち消すように電動機トルクを補償している。しかしながら、速度推定や軸振動トルクの推定には電動機や機械系の情報が不可欠である。これらの定数を事前に入手、もしくは測定する必要があり、それらの値が実値と違っていた場合、逆に振動を助長させるようなトルクを発生する恐れがある。また、制御演算が複雑になり、制御遅れが顕著となった場合には、振動を助長させるようなトルクを発生する恐れがある。
【0007】
特許文献2では、電動機の回転角周波数ω1に含まれる振動成分に対し、トルク電流Iqもしくは電動機トルクτGに含まれる振動成分が90度以上進むようq軸電圧指令を制御することで、機械系の振動を抑制する。しかしながら、従来技術の特許文献2を、エンジン発電機による電動機駆動システムに用いた場合、電力変換器の高調波の影響や電動機負荷変動による直流電圧変動の影響によっては、d軸とq軸の電圧外乱による電流脈動が強めあう現象が発生し、軸振動が増加する恐れがある。また、電動機の電気的伝達特性によっては、q軸電圧指令のみに電流検出値IqFBによる振動抑制ループを設けているため、dq軸間干渉の影響による振動の増加やd軸電流が増加する恐れがある。
【0008】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、エンジン発電機による電動機駆動システムにおいて振動成分の抑制が可能なエンジン発電機システム、電力変換器、発電機制御装置および発電機の制御方法を提供することにある。
【0009】
また、他の目的としては、家電、鉄鋼、高圧一般産業ドライブ分野において、発電機、エンジンおよび電動機などの機械系の各種定数精度が比較的低くても制御方式のゲイン設計が容易であることが望ましいことから、定数ロバスト性の高い電力変換器および軸振動の抑制制御手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、エンジン発電機システムの電力変換装置において、発電機の回転子磁束方向のd軸電流に含まれる振動成分の位相が、前記発電機の回転電気角周波数に含まれる同一周波数の振動成分の位相に対し、90度以上進むように前記発電機を制御するための前記d軸の電圧を調整し、さらに前記d軸に直交するq軸電流に含まれる振動成分の位相が、前記発電機の回転電気角周波数に含まれる同一周波数の振動成分の位相に対し、90度以上進むように前記q軸の電圧を調整することを特徴とする。
【0011】
具体的には、発電機と、前記発電機を駆動するエンジンと、前記発電機に流れる電流を検出する電流検出器と、三相電圧指令信号をキャリア信号によってパルス幅変調するPWM信号制御部と、パルス幅変調されたゲート信号により駆動される電力変換装置と、電動機と、前記電動機を駆動する電力変換器を備えたエンジン発電機システムの電力変換装置において、前記発電機を制御する電力変換器の出力電圧を調整するdq軸電圧調整部を備え、前記dq軸電圧調整部は、前記発電機の回転子磁束方向のd軸電流に含まれる振動成分の位相が、前記発電機の回転電気角周波数に含まれる同一周波数の振動成分の位相に対し、90度以上進むように発電機を制御するための前記d軸の電圧を調整し、さらに前記d軸に直交するq軸電流に含まれる振動成分の位相が、前記発電機の回転電気角周波数に含まれる同一周波数の振動成分の位相に対し、90度以上進むように前記q軸の電圧を調整することを特徴とする。
【0012】
更に、本発明のエンジン発電機システムの電力変換装置において、前記dq軸電圧調整部は、d軸電圧調整手段とq軸電圧調整手段によって構成され、前記d軸電圧調整手段およびq軸電圧調整手段は、比例制御部、もしくは比例制御部と一次遅れ制御部、もしくは比例制御部と一次遅れ制御部と不完全微分制御部で構成される。
【0013】
また、本発明は、電動機駆動システムの電力変換装置において、電動機の回転子磁束方向のd軸電流に含まれる振動成分の位相が、前記電動機の回転電気角周波数に含まれる同一周波数の振動成分の位相に対し、90度以上進むように前記電動機を制御するための前記d軸の電圧を調整し、さらに前記d軸に直交するq軸電流に含まれる振動成分の位相が、前記電動機の回転電気角周波数に含まれる同一周波数の振動成分の位相に対し、90度以上進むように前記q軸の電圧を調整することを特徴とする。
【0014】
具体的には、電動機と、前記電動機に流れる電流を検出する電流検出器と、三相電圧指令信号をキャリア信号によってパルス幅変調するPWM信号制御部と、パルス幅変調されたゲート信号により駆動される電力変換装置を備えた電動機駆動システムの電力変換装置において、前記電動機を制御する電力変換装置の出力電圧を調整するdq軸電圧調整部を備え、前記dq軸電圧調整部は、前記発電機の回転子磁束方向のd軸電流に含まれる振動成分の位相が、前記発電機の回転電気角周波数に含まれる同一周波数の振動成分の位相に対し、90度以上進むように発電機を制御するための前記d軸の電圧を調整し、さらに前記d軸に直交するq軸電流に含まれる振動成分の位相が、前記発電機の回転電気角周波数に含まれる同一周波数の振動成分の位相に対し、90度以上進むように前記q軸の電圧を調整することを特徴とする。
【0015】
更に、本発明の電動機駆動システムの電力変換装置において、前記dq軸電圧調整部は、d軸電圧調整手段とq軸電圧調整手段によって構成され、前記d軸電圧調整手段およびq軸電圧調整手段は、比例制御部、もしくは比例制御部と一次遅れ制御部、もしくは比例制御部と一次遅れ制御部と不完全微分制御部で構成される。
【0016】
また、本発明は、発電機と、前記発電機を駆動するエンジンと、前記発電機に流れる電流に基づいた三相電圧指令信号をキャリア信号によってパルス幅変調するPWM信号制御部と、パルス幅変調されたゲート信号により駆動される電力変換装置と、電動機と、前記電動機を駆動する電力変換器を備えたエンジン発電機システムの電力変換装置において、
前記発電機の交流電流に含まれる振動成分の位相が、前記発電機の回転電気角周波数に含まれる同一周波数の振動成分に対し、90度以上進むように交流電圧指令を調整することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、電動機と、前記電動機に流れる電流に基づいた三相電圧指令信号をキャリア信号によってパルス幅変調するPWM信号制御部と、パルス幅変調されたゲート信号により駆動される電力変換装置を備えた電動機駆動システムの電力変換装置において、
前記電動機の交流電流に含まれる振動成分の位相が、前記電動機の回転電気角周波数に含まれる同一周波数の振動成分に対し、90度以上進むように交流電圧指令を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、q軸電圧調整手段に加えて、d軸電圧調整手段を設けることで、エンジン発電機システムおよび電動機駆動システムにおける発電機のd軸とq軸の電圧外乱による振動成分を抑制する効果の向上およびd軸電流の増加を抑制する効果がある。
【0019】
また、エンジン発電機システムおよび電動機駆動システムにおいて、発電機とエンジン間の軸や電動機と回転機器間の軸に発生する特定周波数の振動成分の抑制を、詳細な電動機や機械系の情報を必要とせず、簡単な制御系で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の実施例1における全体制御ブロック図である。
【図2】図2は、発電機の三相固定子巻線軸と回転子磁束位置の関係図である。
【図3】図3は、dq軸干渉ループを考慮したときの永久磁石同期発電機のd軸およびq軸の電圧脈動ΔVから電流脈動ΔIのブロック図である。
【図4】図4は、永久磁石同期発電機のd軸およびq軸の電圧脈動ΔVから電流脈動ΔIまでの伝達特性の例である。
【図5】図5は、本発明の実施例1におけるq軸電圧調整手段を含む機能ブロック図である。
【図6】図6は、q軸電圧調整手段を実施した場合のd軸およびq軸の電圧脈動ΔVから電流脈動ΔIまでの伝達特性の例である。
【図7】図7は、エンジン発電機システムにおいて発生する恐れのある振動源を示す図である。
【図8】図8は、電力変換器(CNV)の高調波の影響による電圧外乱特性を表した図である。
【図9】図9は、電力変換器(CNV)の直流電圧変動の影響による電圧外乱特性を表した図である。
【図10】図10は、本発明の実施例1におけるd軸電圧調整手段を含む機能ブロック図である。
【図11】図11は、本発明の実施例1であるq軸電圧調整手段とd軸電圧調整手段を併用した場合のd軸およびq軸の電圧脈動ΔVから電流脈動ΔIの伝達特性の例である。
【図12】図12は、本発明の実施例2における全体制御ブロック図である。
【図13】図13は、本発明の実施例3における全体制御ブロック図である。
【図14】図14は、本発明の実施例4における全体制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。なお、同一の要素については、全ての図において、原則として同一の符号を付している。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の実施例1によるエンジン発電機システムの構成図である。本システムは、制御対象である発電機104、発電機104に接続されたエンジン101、発電機104を制御する電力変換器(CNV)105、電力変換器(CNV)105を制御する制御装置106、電動機109、電動機109を駆動する電力変換器(INV)108、および(INV)電力変換器108を制御する電動機駆動制御装置110から構成される。
【0023】
制御装置106は、発電制御時の外乱に起因するエンジン101と発電機104の間の軸(シャフト)103およびカップリング部102の振動を抑制するためのdq軸電圧調整部116を備える。dq軸電圧調整部116は、発電機104の回転電気角周波数に含まれる振動成分の位相に対し、発電機104を流れる電流に含まれる同一周波数の振動成分の位相が90度以上進むよう電力変換器(CNV)105を制御することで振動成分を減衰させる。
【0024】
図1の構成図を、さらに詳しく説明する。図1において、電力変換器(CNV)105は、相電流検出部111による交流電流検出値Iu、Iwと回転速度検出部112による発電機104の回転電気角周波数ω1を基に、制御装置106により制御される。なお、図1の相電流検出部111では2相検出による交流電流検出の構成としているが、3相検出としてもよい。また、相電流センサを用いず、電力変換器(CNV)105の過電流保護用に取り付けられた直流抵抗を流れる電流値から推定される交流電流値を用いてもよい。
【0025】
交流電流検出値Iu、Iwは、電気位相角θdに基づき、dq座標変換器113によって、d軸(磁束軸)上の電流検出値Idおよび前記d軸に直交するq軸(トルク軸)上の電流検出値Iqに変換される。電気位相角θdは、回転電気角周波数ω1を入力とし、位相演算部114で演算される。電圧指令演算部115では、励磁電流指令Id*、トルク電流指令Iq*、回転電気角周波数ω1、d軸電流検出値Id及びq軸電流検出値Iqを入力とし、d軸電圧指令Vd*とq軸電圧指令Vq*を出力する。
【0026】
なお、電圧指令演算部115では、電流指令だけでなく、トルク指令などを用いる場合もある。dq軸電圧調整部116は、d軸電圧調整手段117とq軸電圧調整手段118で構成される。d軸電圧調整手段117では、d軸電流検出値Idを入力とし、d軸電圧調整値ΔVd*を出力する。出力されたd軸電圧調整値ΔVd*は、電圧指令演算部115の出力であるd軸電圧指令Vd*に加算し、電圧指令Vd**として出力する。
【0027】
また、q軸電圧調整手段118では、q軸電流検出値Iqを入力とし、q軸電圧調整値ΔVq*を出力する。出力されたq軸電圧調整値ΔVq*は、電圧指令演算部115の出力であるq軸電圧指令Vq*に加算し、電圧指令Vq**として出力する。電圧指令Vd**と電圧指令Vq**は、電気位相角θdに基づき、dq座標逆変換器113’によって三相交流軸上の電圧指令Vu*、Vv*、Vw*に変換される。電圧指令Vu*、Vv*、Vw*は、パルス幅変調(PWM)信号制御器119によって、電力変換器(CNV)105を駆動するPWMパルス信号に変換される。
【0028】
次に、本実施例におけるエンジン101と発電機104間の軸振動抑制手段を説明する。まず、図2を用いて座標軸を定義する。本実施例では、図2に示すように、発電機104の三相固定子巻線のU相をu軸、V相をv軸、W相をw軸とする。また、発電機104の回転子磁束方向をd軸、d軸に直交する軸をq軸とする。d軸の電気位相角を、固定子u軸から見た位相角として、図2に示すθdとして定義する。θdが0度のときは、U相巻線の鎖交磁束が最大となる。
【0029】
本発明では、q軸(トルク軸)上の電流検出値Iqの振動成分を不完全微分で抽出しq軸電圧指令Vq*を調整する振動抑制制御ループと、d軸(磁束軸)上の電流検出値Idの振動成分を不完全微分で抽出しd軸電圧指令Vd*を調整する振動抑制制御ループを併用する。
【0030】
これは、q軸電圧調整ループが主に軸振動の抑制に効果があり、一方、d軸電圧調整ループは、q軸電圧調整ループ利用時のd軸電流Idの増加を抑制する効果がある。また、q軸電圧調整ループに加えて、d軸電圧調整ループも設けることで、電圧外乱ΔVd、ΔVqによって生じるd軸の電流脈動ΔIdおよびq軸の電流脈動ΔIqの位相が同位相となり、dq軸間干渉ループにより互いの振動を増加させることがないように調整することが可能となる。
【0031】
図3は、dq軸間干渉ループを考慮したときの永久磁石同期発電機のd軸およびq軸の電圧脈動ΔV(外乱ΔVd,外乱ΔVq)からの電流脈動ΔI(変動ΔId,変動ΔIq)の発生を示すブロック図である。
【0032】
また、図4は、永久磁石同期発電機が任意の回転周波数で駆動しているときのd軸およびq軸の電圧脈動ΔV(外乱ΔVd,外乱ΔVq)電流脈動ΔI(ΔId,ΔIq)までの伝達特性である。永久磁石同期発電機の電気的特性によっては、dq軸間干渉ループを考慮した伝達関数のうち、微分演算子sの2乗の項が微分演算子sの1乗の項に比べて支配的となり、図4のような永久磁石同期発電機の回転周波数で共振特性を持つようになる。この共振周波数がエンジン発電機システムの機械系の固有振動数に近づいた場合、振動が大きくなり問題となる。
【0033】
図5は、本発明の実施例1におけるq軸電圧調整手段11を含む機能ブロック図である。q軸電圧調整手段118では、発電機104の回転角周波数ω1に含まれる振動成分に対し、q軸電流検出値Iqに含まれる振動成分が90度以上進むように電圧指令調整値ΔVq*を設定する。90度以上進ませることで、機械系の振動を抑制することができる。
【0034】
図6は、永久磁石同期発電機の伝達特性(図4)に、前述のIq検出値によるq軸電圧調整ループを設けた場合の電圧外乱ΔVに対する電流脈動ΔIの伝達特性の変化の一例である。永久磁石同期発電機の回転周波数での共振倍率が下がっていることがわかる。その結果、共振周波数がエンジン発電機システムの機械系の固有振動数に近づいた場合の振動を抑制することができる。
【0035】
図7は、エンジン発電機システムにおいて発電制御時にエンジンと発電機間の軸振動の加振源となる電圧外乱の例である。エンジン発電機システムの発電制御時に想定される電圧外乱としては、CNV高調波、直流電圧変動などが考えられる。
【0036】
図8は、電力変換器(CNV)105の高調波の影響による電圧外乱特性を表した図である。前述の電圧外乱ΔVd、ΔVqで表した場合、一つはΔVdがcos波、ΔVqがsin波となる組合せで、もう一つはΔVdがcos波、ΔVqが−sin波となる組合せである。また、CNV高調波の周波数成分は、キャリア周波数と基本波周波数の組合せで決まるため、エンジン発電機システムの機械系の固有振動数とCNV高調波の周波数が一致する基本波周波数条件は無数に存在する。
【0037】
図9は、電力変換器(CNV)105の直流電圧変動の影響による電圧外乱特性を表した図である。前述の電圧外乱ΔVd、ΔVqで表した場合、同相関係の正弦波特性となる。また、直流電圧変動の影響による電圧外乱の周波数成分は、発電機の駆動周波数の2倍調波、6倍調波の周波数成分が生じる。
【0038】
このように、エンジン発電機システムにおいて、発電制御時にエンジンと発電機間の軸振動の加振源となる電圧外乱特性の位相関係は一様でない。そのため、電圧外乱ΔVから電流脈動ΔIのdq軸間干渉ループを考慮した4つの伝達特性「ΔVd→ΔId」、「ΔVd→ΔIq」、「ΔVq→ΔIq」および「ΔVq→ΔId」は、前述した電圧外乱の位相特性によって、電流脈動の強めあい(和)、弱めあい(差)の現象が起こる。
【0039】
したがって、軸振動の加振源となる電圧外乱特性に対して、エンジン発電機システムの機械系の固有振動数における電圧脈動ΔVから電流脈動ΔIのゲイン特性を下げることに加えて、電圧外乱ΔVd、ΔVqの位相差とq軸電圧調整制御ループも加味した前述の4つの伝達特性「ΔVd→ΔId」、「ΔVd→ΔIq」、「ΔVq→ΔIq」および「ΔVq→ΔId」の位相特性との関係が強めあう条件にならないよう制御設計することが軸振動の抑制に有効である。
【0040】
そこで、本発明では、上記の課題を解決するため、q軸電圧調整手段118に加えて、d軸電圧調整手段117を設ける。
【0041】
図10は、本発明の実施例1におけるd軸電圧調整手段117を含む機能ブロック図である。d軸電圧調整手段117では、発電機104の回転角周波数ω1に含まれる振動成分に対し、d軸電流検出値Idに含まれる振動成分が90度以上進むようにd軸電圧調整値ΔVd*を設定する。90度以上進ませることで、d軸電流の振動の増加を抑制することができる。また、電圧外乱ΔV(ΔVd、ΔVq)から電流脈動ΔI(ΔId,ΔIq)の伝達特性において、振動の強めあい条件を緩和するよう制御設計することが可能となる。その結果、従来技術に比べて軸振動抑制効果を向上できる。
【0042】
図11は、永久磁石同期発電機の伝達特性に、q軸電圧調整手段118とd軸電圧調整手段117を設けた場合の電圧外乱ΔV(ΔVd、ΔVq)に対する電流脈動ΔI(ΔId,ΔIq)の伝達特性の一例である。
【0043】
図6のq軸電圧調整手段118だけの場合と比較し、ゲイン特性を下げることができているのがわかる。また、エンジン発電機システムにおいて、発電制御時のCNV高調波や直流電圧変動の電圧外乱特性に対して、電圧外乱ΔV(ΔVd、ΔVq)から電流脈動ΔI(ΔId,ΔIq)のdq軸の強めあい(同相関係)現象を緩和できる位相特性となっている。
【0044】
次に、本実施例におけるd軸電圧調整手段117およびq軸電圧調整手段118の具体的な設定方法について説明する。
【0045】
前述したとおり、発電機104の回転角周波数ω1に含まれる振動成分に対し、電流Iqに含まれる振動成分が90度以上進むようq軸電圧指令を調整すれば、振動は低減できる。図5のq軸電圧調整手段118を含む系のブロック図において、q軸電圧調整手段118のゲインをKqqとする。
【0046】
Kqqのゲイン設定については、図5のIqに対するループを考える。Iqを起点とした伝達関数Gは式(1)となる。このとき、振動成分のみを考慮するため、誘起電圧emfのループは無視する。
【数1】

式(1)において、Gは伝達関数、Kqqはq軸電圧調整手段118のゲイン、r+L・sは、発電機104のインピーダンス成分、sは微分演算子を示している。
【0047】
ここで、電流検出値Iqを利用した振動抑制方式は、Iqの振動成分を不完全微分で抽出し、q軸の電圧指令を調整する手段とした。この場合、発電機104の内部インピーダンスによる位相変化を考慮し、不完全微分の位相変化を設定する。例えば、発電機104の内部インピーダンスによる位相変化が80度の位相遅れとなる場合、不完全微分の位相変化を0度以上80度未満の進みとなるよう不完全微分の時定数Tiq_qを設定し、さらに伝達ループのゲインを負として180度位相をすすめることで、Iqに対する位相変化が90度以上180度未満進むように制御する。例えば、図5中のKqqは式(2)を用いて設定することができる。
【数2】

式(2)において、Kqqはq軸電圧調整手段118のゲイン、Tiq_qは不完全微分の時定数、Kiqq_1,Kiqq_2はゲイン、sは微分演算子を示している。
【0048】
このように、q軸電圧調整手段118では、発電機104のIq電流に含まれる振動成分の位相が、発電機104の回転電気角周波数に含まれる同一周波数の振動成分の位相に対し、90度以上進むようなKqqを設定する。
【0049】
次に、d軸電圧調整手段117の設定方法について説明する。図10のd軸電圧調整手段117を含む系のブロック図において、d軸電圧調整手段117のゲインをKddとする。
【0050】
ddのゲイン設定については、図10のIdに対するループを考える。Idを起点とした伝達関数Gは式(3)となる。
【数3】

式(3)において、Gは伝達関数、Kddはd軸電圧調整手段118のゲイン、r+L・sは、発電機104のインピーダンス成分、sは微分演算子を示している。
【0051】
ここで、電流検出値Idを利用した振動抑制方式についても、Idの振動成分を不完全微分で抽出し、d軸の電圧指令を調整する手段とした。この場合、発電機104の内部インピーダンスによる位相変化を考慮し、不完全微分の位相変化を設定する。例えば、発電機104の内部インピーダンスによる位相変化が80度の位相遅れとなる場合、不完全微分の位相変化を0度以上80度未満の進みとなるよう不完全微分の時定数を設定し、さらに伝達ループのゲインを負として180度位相をすすめることで、Idに対する位相変化が90度以上180度未満進むように制御する。例えば、図10中のKddは式(4)を用いて設定することができる。
【数4】

式(4)において、Kddはd軸電圧調整手段117のゲイン、Tid_dは不完全微分の時定数、Kidd_1,Kidd_2はゲイン、sは微分演算子を示している。
【0052】
このように、d軸電圧調整手段117でもq軸電圧調整手段118と同様に、発電機104のId電流に含まれる振動成分の位相が、発電機104の回転電気角周波数に含まれる同一周波数の振動成分の位相に対し、90度以上進むようなKddを設定する。
【0053】
なお、d軸電圧調整手段117およびq軸電圧調整手段118のKddおよびKqqの比例成分を大きくすると、システム全体が不安定となる。そのため、機械系のトルク振動の振幅が予め決められた所定値以上となった場合に90度以上進ませるようKddおよびKqqの比例成分を調整し、それ以外では、KddおよびKqqの比例成分を90度以上進ませるような値よりも小さく設定してもよい。
【0054】
また、前述のdq軸間干渉ループを含めた4つのΔVからΔIへの伝達特性(「ΔVd→ΔId」、「ΔVd→ΔIq」、「ΔVq→ΔIq」および「ΔVq→ΔId」)の関係が、発電機104の駆動周波数の前後で位相特性が大きく変化するため、dq軸電圧調整手段はエンジン発電機システムの機械系の固有振動数と発電機104の駆動周波数の関係に応じてKddおよびKqqの設定を変更することが必要である。また、前記発電機104の電気的伝達特性が回転電気角周波数や負荷条件によって変化する場合も、それに応じてKddおよびKqqの設定を変更することが必要である。
【0055】
なお、発電機104の回転角周波数の振動成分とq軸電流およびd軸電流の振動成分がきれいな正弦波になっていない場合、波形を積分して得られる平均値と波形の交差する点をゼロ点として、その位相差を見れば、q軸電流およびd軸電流の振動波形が、回転角周波数の振動波形に対して、90度以上進んでいるかどうか判断することが可能である。また、回転角周波数の振動波形のピーク値間を180度とし、q軸電流およびd軸電流の振動波形の最大値が、前記回転角周波数の振動波形から得られた最大値に対する進み角をみることが可能である。
【0056】
以上説明したように、本実施例によれば、エンジン発電機システムの電力変換器において、発電機104の回転子磁束方向のd軸電流に含まれる振動成分の位相が、前記発電機104の回転電気角周波数に含まれる同一周波数の振動成分の位相に対し、90度以上進むように発電機104を制御するための前記d軸の電圧を調整し、さらにd軸に直交するq軸電流に含まれる振動成分の位相が、発電機104の回転電気角周波数に含まれる同一周波数の振動成分の位相に対し、90度以上進むように前記q軸の電圧を調整することで、発電機104とエンジン101間の軸に発生する特定周波数の振動成分を抑制する効果の向上およびd軸電流の増加を抑制することができる。
【実施例2】
【0057】
次に、本発明の実施例2について説明する。実施例2は、電力変換器で電動機120を可変速駆動しトルク伝達部を介して負荷器を運転する電動機駆動システムの例である。図12に、実施例2による電動機駆動システムの構成図を示す。図1に示す実施例1と比較して、構成の相違部分のみを説明する。本システムは、制御対象である電動機120、電動機120を駆動する電力変換器(INV)108、および電力変換器(INV)108を制御する制御装置106から構成される。
【0058】
本実施例では、電動機120の回転子磁束方向のd軸電流に含まれる振動成分の位相が、電動機120の回転電気角周波数に含まれる同一周波数の振動成分の位相に対し、90度以上進むようにd軸の電圧を調整し、さらに前記d軸に直交するq軸電流に含まれる振動成分の位相が、電動機120の回転電気角周波数に含まれる同一周波数の振動成分の位相に対し、90度以上進むように前記q軸の電圧を調整することで、電動機120と負荷器121間の軸に発生する特定周波数の振動成分を抑制する効果の向上およびd軸電流の増加を抑制することができる。
【実施例3】
【0059】
次に、本発明の実施例3について説明する。図13に、実施例3によるエンジン発電機システムの構成図を示す。図1に示す実施例1と比較して、構成の相違部分のみを説明する。図1では、dq軸電圧指令を調整していたのに対し、本実施例では交流電圧指令を調整する。
【0060】
交流電圧調整手段122では、電流検出部111で検出された交流電流検出値を用い、実施例1および実施例2と同様に、比例制御、比例制御と一次遅れ制御、比例制御と不完全微分制御、比例制御と不完全微分制御と一次遅れ制御などを用いて、各々各相の交流電圧調整値ΔVu*、ΔVv*、ΔVw*を演算する。
【0061】
以上説明したように、本実施例によれば、交流成分の調整を行うことで、実施例1および実施例2と同様に発電機104の回転角周波数の振動成分に対し、交流電流の振動成分の位相を90度以上進めることにより、機械系の振動成分の減衰させることができる。
【実施例4】
【0062】
次に、本発明の実施例4について説明する。図14、に実施例4による電動機駆動システムの構成図を示す。図12に示す実施例2と比較して、構成の相違部分のみを説明する。図12では、dq軸電圧指令を調整していたのに対し、本実施例では交流電圧指令を調整する。交流電圧調整手段122では、電流検出部111で検出された交流電流検出値を用い、実施例1、実施例2および実施例3と同様に、比例制御、比例制御と一次遅れ制御、比例制御と不完全微分制御、比例制御と不完全微分制御と一次遅れ制御などを用いて、各々各相の交流電圧調整値ΔVu*、ΔVv*、ΔVw*を演算する。
【0063】
以上説明したように、本実施例によれば、交流成分の調整を行うことで、実施例1、実施例2および実施例3と同様に電動機120の回転角周波数の振動成分に対し、交流電流の振動成分の位相を90度以上進めることにより、機械系の振動成分の減衰させることができる。
【符号の説明】
【0064】
101 エンジン
102 カップリング部
103 軸(シャフト)
104 発電機
105 電力変換器(CNV)
106 制御装置
107 直流電源部
108 電力変換器(INV)
109 電動機
110 電動機駆動制御装置
111 相電流検出部
112 速度検出器
113 dq座標変換器
113’ dq座標逆変換器
114 位相演算部
115 電圧指令演算部
116 dq軸電圧調整部
117 d軸電圧調整手段
118 q軸電圧調整手段
119 パルス幅変調(PWM)信号制御器
120 電動機
121 負荷器
122 交流電圧調整手段
123 交流電圧補正部
131 出力端子
132 出力端子
141 入力端子
142 入力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機と、前記発電機を駆動するエンジンと、前記発電機に流れる電流に基づいた三相電圧指令信号をキャリア信号によってパルス幅変調するPWM信号制御部と、パルス幅変調されたゲート信号により駆動される電力変換装置と、電動機と、前記電動機を駆動する電力変換器を備えたエンジン発電機システムの電力変換装置において、
前記発電機の回転子磁束方向のd軸の電流に含まれる振動成分の位相が、前記発電機の回転電気角周波数に含まれる同一周波数の振動成分に対し、90度以上進むように前記d軸の電圧指令を調整し、さらに前記d軸に直交するq軸の電流に含まれる振動成分の位相が、前記発電機の前記回転電気角周波数に含まれる前記同一周波数の振動成分に対し、90度以上進むように前記q軸の電圧指令を調整することを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
電動機と、前記電動機に流れる電流に基づいた三相電圧指令信号をキャリア信号によってパルス幅変調するPWM信号制御部と、パルス幅変調されたゲート信号により駆動される電力変換装置を備えた電動機駆動システムの電力変換装置において、
前記電動機の回転子磁束方向のd軸の電流に含まれる振動成分の位相が、前記電動機の回転電気角周波数に含まれる同一周波数の振動成分に対し、90度以上進むように前記d軸の電圧指令を調整し、さらに前記d軸に直交するq軸の電流に含まれる振動成分の位相が、前記電動機の前記回転電気角周波数に含まれる前記同一周波数の振動成分に対し、90度以上進むように前記q軸の電圧指令を調整することを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電力変換装置において、
前記回転電気角周波数の振動成分の波形の平均値と該振動成分の波形の交点をゼロ点とし、前記q軸の電流および前記d軸の電流の振動周波数の振動成分の波形の平均値と該振動成分の波形の交点をゼロ点とした場合、前記q軸の電流および前記d軸の電流の振動成分の波形から得られたゼロ点が、前記回転電気角周波数の振動成分の波形から得られたゼロ点に対し、90度以上進むように電圧指令を調整することを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電力変換装置において、
前記電圧指令を調整する手段は、比例、比例と一次遅れ、比例と微分、比例と一次遅れと不完全微分、比例と不完全微分、もしくは比例と微分と不完全微分のいずれかを含んで構成されることを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の電力変換装置において、
前記回転電気角周波数の振動成分の波形のピーク値間を180度とし、前記q軸の電流および前記d軸の電流の振動成分の波形のピーク値間を180度とし、前記q軸の電流および前記d軸の電流の振動成分の最大ピーク値が、前記回転電気角周波数の振動成分の波形から得られた最大ピーク値に対し、90度以上進むように電圧指令を調整することを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電力変換装置において、
前記電圧指令を調整する手段は、比例、比例と一次遅れ、比例と微分、比例と一次遅れと不完全微分、比例と不完全微分、もしくは比例と微分と不完全微分のいずれかを含んで構成されることを特徴とする電力変換装置。
【請求項7】
発電機と、前記発電機を駆動するエンジンと、前記発電機に流れる電流に基づいた三相電圧指令信号をキャリア信号によってパルス幅変調するPWM信号制御部と、パルス幅変調されたゲート信号により駆動される電力変換装置と、電動機と、前記電動機を駆動する電力変換器を備えたエンジン発電機システムの電力変換装置において、
前記発電機の交流電流に含まれる振動成分の位相が、前記発電機の回転電気角周波数に含まれる同一周波数の振動成分に対し、90度以上進むように交流電圧指令を調整することを特徴とする電力変換装置。
【請求項8】
電動機と、前記電動機に流れる電流に基づいた三相電圧指令信号をキャリア信号によってパルス幅変調するPWM信号制御部と、パルス幅変調されたゲート信号により駆動される電力変換装置を備えた電動機駆動システムの電力変換装置において、
前記電動機の交流電流に含まれる振動成分の位相が、前記電動機の回転電気角周波数に含まれる同一周波数の振動成分に対し、90度以上進むように交流電圧指令を調整することを特徴とする電力変換装置。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の電力変換装置において、
前記回転電気角周波数の振動成分の波形の平均値と該振動成分の波形の交点をゼロ点とし、前記交流電流の振動周波数の振動成分の波形の平均値と該振動成分の波形の交点をゼロ点とした場合、前記交流電流の振動成分の波形から得られたゼロ点が、前記回転電気角周波数の振動成分の波形から得られたゼロ点に対し、90度以上進むように電圧指令を調整することを特徴とする電力変換装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電力変換装置において、
前記電圧指令を調整する手段は、比例、比例と一次遅れ、比例と微分、比例と一次遅れと不完全微分、比例と不完全微分、もしくは比例と微分と不完全微分のいずれかを含んで構成されることを特徴とする電力変換装置。
【請求項11】
請求項7または請求項8に記載の電力変換装置において、
前記回転電気角周波数の振動成分の波形のピーク値間を180度とし、前記交流電流の振動成分の波形のピーク値間を180度とし、前記交流電流の振動成分の最大ピーク値が、前記回転電気角周波数の振動成分の波形から得られた最大ピーク値に対し、90度以上進むように電圧指令を調整することを特徴とする電力変換装置。
【請求項12】
請求項11に記載の電力変換装置において、
前記電圧指令を調整する手段は、比例、比例と一次遅れ、比例と微分、比例と一次遅れと不完全微分、比例と不完全微分、もしくは比例と微分と不完全微分のいずれかを含んで構成されることを特徴とする電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−99131(P2013−99131A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240255(P2011−240255)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】