説明

電動かしめ機およびアタッチメント

【課題】施工の確認作業が容易であり、しかも継手のかしめ忘れを確実に防止できる電動かしめ機を提供する。
【解決手段】かしめ機本体2に制御装置を収容したアタッチメント3を取り付け、その制御装置に、それぞれの継手に取り付けられたICタグに、かしめ作業の完了を含む情報を自動的に書き込む機能を持たせている。またアタッチメント3のケースの上面に、バッテリーアダプタ4の上面に設けられた接続部材と同様の形状および構造の接続部材を設け、アタッチメント3のケースの下面に、かしめ機本体2の下面に設けられた接続部材と同様の形状および構造の接続部材を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水・給湯管や冷暖房用の設備配管の配管作業において、配管に継手をかしめて接合するのに用いられる電動かしめ機に関し、更には、かしめ機本体に装着され、作業の完了を含むかしめ作業の履歴情報を継手に取り付けられたICタグに書き込む機能を備えたアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
配管用の継手には、配管に差し込んだ後、専用の電動かしめ機を用いて配管にかしめて接合するタイプのものがあり、この種の継手としては、積水化学工業株式会社製の「メタキュット」(登録商標)を初めとして、多くの製品が市販されている。
【0003】
従来、この種の継手を配管に接合する場合、作業効率を高めるため、継手を配管に差し込む作業をまとめて行った後に、かしめ作業をまとめて行う施工方法が採られていた。しかし、この施工方法では、かしめ作業の確認の不備により、かしめ忘れが発生する恐れがある。かしめ忘れを放置したまま、後工程の保温工事等が行われると、外観からは、かしめ忘れを発見することができないため、配管内に通水した際に、かしめ忘れ箇所から水漏れ事故が発生することがある。
【0004】
このような水漏れ事故の発生を未然に防止するため、かしめ忘れを確認する様々な方法が採用されている。特許文献1には、継手の外周面に、外周面の色とは異なる色の薄帯部材を巻き付けておく方法が開示されている。以下、図12を参照して、特許文献1に記載されたかしめ忘れの確認方法について、簡単に説明する。
【0005】
図12に、継手100に配管110の端部を挿入した状態を示す。継手100は、周囲に雄ねじが形成されたねじ部101と、小径のノズル部102と、ノズル部102との間に樹脂製の配管110を挿入可能な隙間を備えたスリーブ103とで構成されている。
【0006】
スリーブ103には、出荷前の工場において薄帯部材104が予め巻き付けられている。薄帯部材104は、スリーブ103の外周面に対してコントラストの大きな色彩を有している。薄帯部材104は、ビニールテープ、フィルム、紙などで形成され、裂け易いように継手100の軸心方向に切れ目が入れられている。
【0007】
継手100は、ねじ部101を図示しない剛性管の端部に設けられた雌ねじ部に螺合させることにより剛性管に連結される。一方、継手100と配管110は、ノズル部102に配管110の端部を外嵌した後、スリーブ103を縮径方向にかしめて、配管110をノズル部102とスリーブ103で矜持することにより接続される。
【0008】
電動かしめ機を用いてスリーブ103を縮径方向にかしめる際に、薄帯部材104は切り裂かれる。作業者がスリーブ103から切り裂かれた薄帯部材104を取り除くことにより、作業終了後の点検の際に、継手100の色彩の変化から、かしめ忘れの有無を容易に判別できる。
【0009】
かしめ忘れを確認する他の方法として、特許文献2に記載された方法がある。この方法では、継手100のスリーブ103の外周面に、あらかじめ感圧または感熱発色片を貼付しておく。電動かしめ機を用いてスリーブ103を縮径方向にかしめる際に、かしめに伴う圧力または熱により発色片が発色する。発色があれば、かしめが行われたことになるので、かしめ忘れの有無を容易に判別できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−2402号公報
【特許文献2】特開2004−138169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上述した従来のかしめ忘れの確認方法では、継手が見え難い場所にある場合に作業員が見落とす可能性があり、万全の策とは言い難い。また、確認データの集計が手作業で行われるため、継手のかしめ箇所が多いと集計作業が煩雑になる。
【0012】
本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、施工の確認作業が容易であり、しかも継手のかしめ忘れを確実に防止できる電動かしめ機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明にかかる電動かしめ機は、配管に継手をかしめて接合する電動かしめ機であって、
前記継手をかしめる作用部、この作用部を駆動する駆動部、および作業者が把持するための把持部を有するかしめ機本体と、
筒型のケースに、前記駆動部に電力を供給するバッテリーが収容されたバッテリーアダプタと、
筒型のケースに、前記バッテリーから出力される電流の値に基づいて前記かしめ機本体におけるかしめ作業の終了を判断し、かつ前記継手に取り付けられたICタグに、作業の終了を含むかしめ作業の履歴情報を送信して記憶させる制御装置が収容されたアタッチメントと、を備え、
前記アタッチメントのケースの上面には、前記バッテリーアダプタのケースの上面に設けられた、前記かしめ機本体との接続用の第1の接続部材と機械的および電気的に接続可能な第2の接続部材が設けられ、
前記アタッチメントのケースの下面には、前記かしめ機本体の把持部の下面に設けられた、前記バッテリーアダプタとの接続用の第3の接続部材と機械的および電気的に接続可能な第4の接続部材が設けられていることを特徴とする。
【0014】
ここで、前記制御装置は、
前記バッテリーから出力される電流の値を検出する電流センサと、
前記電流センサで検出した電流値に基づいて前記かしめ機本体におけるかしめ作業の終了を判断する制御手段と、
前記制御手段の制御に基づき、前記バッテリーから前記駆動部に供給される電力を遮断する遮断手段と、
前記制御手段での判断結果を含むかしめ作業の履歴情報を、無線により前記ICタグに送信する第1の通信手段と、を備えることが好ましい。
【0015】
さらに前記制御装置は、前記制御手段での判断結果を含む情報を、無線で外部の携帯端末に送信する第2の通信手段を備えることが好ましい。
【0016】
また前記制御手段は、前記電流センサで検出した電流値が急激に減少したときに、前記かしめ機本体におけるかしめ作業が終了したと判断することが好ましい。
【0017】
また前記第2の接続部材は、前記アタッチメントのケースの上面から外方に突き出した形状をなし、
前記第4の接続部材は、前記アタッチメントのケースの下面から内方に凹んだ形状をなし、
前記第1の接続部材と前記第4の接続部材は相互に嵌合するように構成され、前記第2の接続部材と前記第3の接続部材は相互に嵌合するように構成されていることが好ましい。
【0018】
また、前記アタッチメントのケースの側面に、前記ICタグを挿入するタグホルダーが設けられ、かつそのタグホルダーには、前記ICタグの挿入を検出するスイッチが設けられていることが好ましい。
【0019】
また前記アタッチメントのケースは、水平方向の断面が前記バッテリーアダプタのケースの断面と略等しいことが好ましい。または、前記アタッチメントのケースは、水平方向の後部もしくは前部の断面が前記バッテリーアダプタ(4)のケースの断面と略等しく、かつ前部が前記バッテリーアダプタ(4)の前部より前方に突き出した形状、もしくは後部が前記バッテリーアダプタ(4)の後部より後方に突き出した形状をしていることが好ましい。
【0020】
本発明にかかるアタッチメントは、配管に継手をかしめて接合する電動かしめ機に用いられ、前記継手をかしめる作用部、この作用部を駆動する駆動部、および作業者が把持するための把持部を有するかしめ機本体と、筒状のケースに、前記駆動部に電力を供給するバッテリーが収容されたバッテリーアダプタとの間に装着されるアタッチメントであって、
前記バッテリーから出力される電流の値に基づいて前記かしめ機本体におけるかしめ作業の終了を判断し、かつ前記継手に取り付けられたICタグに、作業の終了を含むかしめ作業の履歴情報を送信して記憶させる制御装置と、
前記制御装置を収容する筒型のケースと、を備え、
前記ケースの上面には、前記バッテリーアダプタのケースの上面に設けられた、前記かしめ機本体との接続用の第1の接続部材と機械的および電気的に接続可能な第2の接続部材が設けられ、
前記ケースの下面には、前記かしめ機本体の把持部の下面に設けられた、前記バッテリーアダプタとの接続用の第3の接続部材と機械的および電気的に接続可能な第4の接続部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の電動かしめ機を用いれば、一連のかしめ作業を行う間にICタグにかしめ作業の履歴情報が書き込まれるため、かしめ作業やその確認作業が簡素化されると共に、履歴作業の書き込み忘れが生じる恐れがない。
【0022】
また既存の電動かしめ機に何も手を加えることなく、かしめ機本体とバッテリーアダプタの間にアタッチメントを取り付けるだけで上記機能を実現できるため、機能付加に伴うコストアップを最小限に留めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態にかかる電動かしめ機の構成を示す正面図である。
【図2】図1のバッテリーアダプタの外観を示す斜視図である。
【図3】図1のアタッチメントの外観を示す斜視図である。
【図4】図4のアタッチメントをA−A線で切断した断面図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる電動かしめ機の電気系の構成を示す図である。
【図6】かしめ作業において、油圧シリンダ駆動用のモータに流れる電流値の変化を示すグラフである。
【図7】図1の電動かしめ機の作用部の動作を示す拡大図である。
【図8】図1の電動かしめ機の作用部の動作を示す拡大図である。
【図9】図1の電動かしめ機の作用部の動作を示す拡大図である。
【図10】ICタグへの履歴情報の書き込み処理を説明するフローチャートである。
【図11】アタッチメントの他の例を示す斜視図である。
【図12】継手に配管の端部を挿入した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態にかかる電動かしめ機およびアタッチメントについて、図面を参照しながら説明する。
【0025】
<電動かしめ機の構成>
図1に、本発明の実施の形態にかかる電動かしめ機1の構成を示す。電動かしめ機1は、基本的に、かしめ機本体2、アタッチメント3およびバッテリーアダプタ4で構成されている。電動かしめ機1の構成について説明する前に、本発明にかかる電動かしめ機の特徴点について説明する。
【0026】
本発明にかかる電動かしめ機は、構成上2つの特徴点を備えている。第1の特徴点は、かしめ機本体2に制御装置を収容したアタッチメント3を取り付け、その制御装置に、それぞれの継手に取り付けられたICタグにかしめ作業の履歴情報を自動的に書き込む機能を持たせた点にある。アタッチメント3に収容された制御装置によって、作業の完了を含むかしめ作業の履歴情報が自動的にICタグに書き込まれる。従って、すべての継手についてかしめ作業が終了した後に、各継手に取りつけられICタグの履歴情報を確認すれば、かしめ忘れの継手を確実に発見できる。
【0027】
第2の特徴点は、アタッチメント3のケースの上面に、バッテリーアダプタ4の上面に設けられた接続部材と同様の形状および構造の接続部材を設け、またアタッチメント3のケースの下面に、かしめ機本体の下面に設けられた接続部材と同様の形状および構造の接続部材を設けている点にある。このような構成を採用した結果、既存の電動かしめ機に何も手を加えることなく、必要な場合にのみ、アタッチメント3をかしめ機本体2とバッテリーアダプタ4との間に装着すればよい。
【0028】
以下、まず、図1〜図4を参照して、第2の特徴点を中心に電動かしめ機1の構成を説明する。かしめ機本体2は、前述の継手100をかしめるもので、ピストルとよく似た形状をしており、ピストルの銃口の位置に、かしめ作用を行う作用部210が設けられている。
【0029】
またピストルの銃身の部分には駆動部230が設けられている。駆動部230には、作用部210を駆動する油圧シリンダ231および駆動用モータ232(図5参照)が収容されている。油圧シリンダ231はモータ232の回転によりシリンダが前後動するように構成されている。
【0030】
ピストルのグリップに対応する部分が把持部240であり、把持部240には、モータ232を駆動させる操作ボタン241が設けられている。操作ボタン241はピストルの引き金(トリガー)に相当する。
【0031】
また把持部240の下端に、アタッチメント3およびバッテリーホルダ4との接続部242が形成されている。接続部242の下面には、アタッチメント3またはバッテリーホルダ4の上端部が挿入される開口部が形成されている。
【0032】
作用部210には、プレスダイス211とヨークダイス214が設けられている。プレスダイス211とヨークダイス214は、対向する面に、それぞれ図12に示したスリーブ103の外径と略同じか少し小径の半円筒形の凹面形状をしたかしめ部212、215が形成されている。また、それぞれのかしめ部212、215の両側に、平坦な突合せ部213、216が連接されている。
【0033】
プレスダイス211は、油圧シリンダ231(図5参照)に接続されており、油圧シリンダ231によって軸方向に進退できるように構成されている。
【0034】
ヨークダイス214は、一端が回転軸217を介してかしめ機本体2に回転可能に枢支され、他端に係止部材221の溝に係止される突起が設けられている。なお、かしめ機本体2によるかしめ動作については、後に図7〜図9を参照して説明する。
【0035】
図2にバッテリーアダプタ4の外観を示す。電動かしめ機1において、アタッチメント3を用いないときには、バッテリーアダプタ4をかしめ機本体2に直接取り付けて使用する。断面が略5角形の筒状のケース401の内部にはバッテリー402(図5参照)が収容されている。
【0036】
ケース401の上端面には、バッテリーアダプタ4とかしめ機本体2との接続部材であるターミナル凸部403が設けられている。一方、かしめ機本体2の接続部242下面の開口部には、ターミナル凸部403に対応した形状の凹みを有するターミナル凹部(図示せず)が設けられている。
【0037】
ターミナル凸部403には放電用の一対の端子411および充電用の複数の端子412が取り付けられている。ターミナル凸部403がかしめ機本体2のターミナル凹部に嵌合すると、一対の端子411はかしめ機本体2の一対の端子243(図5参照)に接続される。
【0038】
従って、ターミナル凸部403をかしめ機本体2のターミナル凹部に挿入して嵌合することにより、バッテリーアダプタ4とかしめ機本体2は機械的かつ電気的に接続される。なお、充電用の端子412はバッテリーを充電する際に用いられるもので、本発明と直接的には関係しない。
【0039】
ケース401の後方上部には、脱落防止用のかぎ状の爪431を有するスライダ(図示せず)が設けられている。スライダはケース401の側面に形成された長方形の孔に嵌め込まれており、前後方向に移動できるが、通常は、バネにより外向きに付勢されている。ターミナル凸部403をかしめ機本体2のターミナル凹部に嵌合する際に、爪431が、かしめ機本体2の接続部242の開口部内壁に形成されたかぎ状の爪(図示せず)に係合して、バッテリーアダプタ4のかしめ機本体2からの脱落を防止する。
【0040】
次に、アタッチメント3の構成について説明する。図3にアタッチメント3の外観を示し、図4に、図3のアタッチメント3をA−A線で切断した断面を示す。アタッチメント3は、かしめ機本体2とバッテリーアダプタ4との間に装着され、バッテリーアダプタ4とほぼ同様の断面形状の筒状のケース301内に図5に示す制御装置300が収容されている。
【0041】
ケース301の上面には、バッテリーアダプタ4のターミナル凸部403と同様の形状のターミナル凸部302が設けられ、下面には、かしめ機本体2の把持部240の下面に設けられたターミナル凹部(図示せず)と同様の形状のターミナル凹部303が設けられている。またターミナル凸部302の側面には、かしめ機本体2の一対の端子243と接続される一対の端子311が取り付けられ、またターミナル凹部303の側面には、バッテリーアダプタ4の一対の端子411と接続される一対の端子312が取り付けられている。
【0042】
図4に示すように、アタッチメント3のケース301内は空洞になっており、この空洞に、図5に示す制御装置300を構成する回路部品が収容されている。これらの回路部品は、図に破線で示したように、シャーシ304に支持された回路基板305a、305bおよび305cに分散して配置されている。シャーシ304はビス等に
よりケース301の内壁に固定されている。また回路基板305a〜305cの間に、それぞれの間隔を保つスペーサ306が配置されている。
【0043】
また図3に示すように、筒状のケース301の側面にはタグホルダー307が設けられており、上部にICタグ5を挿入するスリットが形成されている。さらに図4に示すように、ケース301の一部にはヒューズ313およびスイッチ314が取り付けられている。なお、端子311と端子312は2本の配線で接続され、またケース301内に配置された各回路部品は、配線によりそれぞれ接続されているが、煩雑さを避けるため、図4では配線は省略している。
【0044】
図4に示すように、バッテリーアダプタ4と同様、ケース301の後方の上部に設けられた長方形の孔には、脱落防止用のスライダ331が嵌め込まれている。スライダ331は矢印で示すように前後方向に移動できるが、通常は、隔壁308との間に配されたバネ332により外向きに付勢されている。
【0045】
スライダ331の上端部にはかぎ状の爪333が形成されており、この爪333をかしめ機本体2の接続部242の開口部内壁に形成されたかぎ状の爪(図示せず)に係合させることにより、アタッチメント3のかしめ機本体2からの脱落を防止する。
【0046】
また、かしめ機本体2の接続部242と同様に、アタッチメント3の下部にバッテリーアダプタ4との接続用の開口部309が形成され、その開口部309の内壁には、脱落防止用のかぎ状の爪310が形成されている。
【0047】
図3に示すアタッチメント3のターミナル凸部302を、かしめ機本体2のターミナル凹部(図示せず)に嵌合させ、またバッテリーアダプタ4のターミナル凸部403をアタッチメント3のターミナル凹部303に嵌合させることにより、かしめ機本体2、アタッチメント3およびバッテリーアダプタ4は、機械的および電気的に接続される。
【0048】
アタッチメント3のターミナル凸部302を、かしめ機本体2のターミナル凹部(図示せず)に嵌合させる際には、スライダ331を指で押し、爪333を内方に移動させた状態で、ターミナル凸部302をかしめ機本体2の開口部に挿入する。アタッチメント3のターミナル凸部302がかしめ機本体2のターミナル凹部に完全に挿入された後、スライダ331から指を放すと、アタッチメント3の脱落防止用の爪333が、かしめ機本体2の接続部242の開口部内壁の爪(図示せず)に係合し、アタッチメント3の脱落を防止できる。
【0049】
同様に、バッテリーアダプタ4のターミナル凸部403をアタッチメント3のターミナル凹部303に嵌合させる際には、バッテリーアダプタ4の図示しないスライダを指で押し、爪431を内方に移動させた状態で、ターミナル凸部403をアタッチメント3の開口部309に挿入する。バッテリーアダプタ4のターミナル凸部403がアタッチメント3のターミナル凹部303に完全に挿入された後、スライダから指を放すと、バッテリーアダプタ4の脱落防止用の爪431が、アタッチメント3の開口部309の爪310に係合し、バッテリーアダプタ4の脱落を防止できる。
【0050】
上述したように、本発明にかかる電動かしめ機1では、アタッチメント3をかしめ機本体2に取り付けるための改造を全く必要としない。制御装置300を内蔵したアタッチメント3として、ケース301の上面にバッテリーアダプタ4のターミナル凸部と同様の形状および構造のターミナル凸部を設け、またケース301の下面にかしめ機本体2の下面に設けられたターミナル凹部と同様の形状および構造のターミナル凹部を設けている。そしてこれらの部材同士を嵌合させることにより、かしめ機本体2とバッテリーアダプタ4との間にアタッチメント3が装着され、同時にかしめ機本体2とバッテリーアダプタ4とが電気的に接続される。
【0051】
なお、本実施の形態では、アタッチメントとして、ケースの上面にターミナル凸部が形成され、下面にターミナル凹部が形成されたものを用いたが、必ずしもこの形状に限定されない。かしめ機本体およびバッテリーアダプタの設けられる接続部材の形状および構造に応じて、アタッチメントの上面および下面に設ける接続部材の形状や構造を変更すればよい。
【0052】
次に、図5および図6を参照して、第1の特徴点を中心に電動かしめ機1の構成を説明する。図5に、電動かしめ機1の電気系の構成を示す。なお図5では、各電子部品は1本の配線により接続されているが、実際には、プラス用およびマイナス用の2本の配線によって接続されている。図面が煩雑になるのを避けるため、1本の配線で表示している。
【0053】
かしめ機本体2には、モータ232により駆動される油圧シリンダ231が内蔵されている。またモータ232と端子243との間には、操作ボタン241の動きに連動してオン/オフされるスイッチ244が設けられている。なお油圧シリンダ231には、油圧ポンプや、シリンダの移動方向を切換えるバルブ等が含まれるが、これらの部材は本発明とは直接的には関係しないため、説明を省略する。
【0054】
また前述したように、かしめ機本体2とアタッチメント3は、かしめ機本体2の把持部240のターミナル凹部(図示せず)に設けられた端子243とアタッチメント3のケース301の上面のターミナル凸部302に設けられた端子311によって電気的に接続される。同様に、アタッチメント3とバッテリーアダプタ4は、アタッチメント3のケース301の下面のターミナル凹部303に設けられた端子312とバッテリーアダプタ4のケース401の上面のターミナル凸部403に設けられた端子411によって電気的に接続される。
【0055】
アタッチメント3のケース301内には、制御装置300が収容されている。制御装置300は、バッテリー402の電力をかしめ機本体2へ供給する。また制御装置300は、継手100に取り付けられたICタグ5に無線により情報を書き込み、またICタグ5に書き込まれた情報を無線により読み取る機能を備えている。同様に、制御装置300は、作業者が携帯するPDA(Personal Digital Assistant)6と無線で通信する機能を備えている。
【0056】
ICタグ5は、無線(例えばUHF帯)による通信機能を備えたICで、自らは電源を持たず、制御装置300から送信された電波をアンテナで受信し、その電波をエネルギー源として動作する。ICタグ5にはあらかじめ識別情報としてID番号が書き込まれており、制御装置300からの指示に従い、内蔵のメモリに格納されたID番号を含む情報を制御装置300に送信し、また制御装置300から送信された情報をメモリに書き込む。
【0057】
PDA6は、Bluetooth規格に準拠した携帯端末で、制御装置300との間で無線によるデジタル情報の送受信を行う。PDA6は、タッチパネル入力装置を兼ねた液晶画面601を備えており、あらかじめ登録されている作業者の名前とパスワードが入力されることによりログオンされ、制御装置300との通信履歴が液晶画面601に表示される。PDA6のメモリには、データベースとして、あらかじめ施工現場の階数と部屋名のリストが格納されており、作業者がリストから特定の階数および部屋名を選択することにより継手100の施工場所が入力され、また施工日時等の作業履歴に関する情報が液晶画面601に表示される。
【0058】
次に、アタッチメント3の制御装置300の構成と機能について説明する。制御装置300は、バッテリー402からかしめ機本体2のモータ232に供給される電流値を検出し、その値が急激に減少したときにかしめ作業が終了したと判断して、その結果をPDA6に送信し、またその情報を含むかしめ作業の履歴情報をPDA6から受信して、ICタグ5に書き込む。
【0059】
制御装置300は、マイコン315、RFIDモジュール316、アンテナ317、Bluetoothモジュール318、電流センサ319、A/Dコンバータ320、リレー321およびDC/DCコンバータ322を備えている。
【0060】
なお、制御装置300のマイコン315は本発明の制御手段を構成し、またRFIDモジュール316およびアンテナ317は本発明の第1の通信手段を構成し、Bluetoothモジュール318は本発明の第2の通信手段を構成し、リレー321は本発明の電流遮断手段を構成する。
【0061】
マイコン315は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)で構成され、ROMに格納されたプログラムに基づいて、制御装置300各部の動作を制御する。
【0062】
RFIDモジュール316は、ID番号が書き込まれたICタグ5との間で無線通信によって情報を送受信する。前述したようにICタグ5は、アンテナ317を介してRFIDモジュール316から送信される電波をエネルギー源として動作するため、電池等を内蔵していない。ただしICタグ5が受け取れるエネルギーは極めて微弱であるため、通信可能距離は数メートルである。
【0063】
Bluetoothモジュール318は、PDA6と同様にBluetooth規格に準拠したもので、無線通信によりPDA6との間でデジタル情報の送受信を行う。
【0064】
電流センサ319は、バッテリー402から油圧シリンダ231の駆動用モータ232に供給される電流を検出するもので、電流センサ319で検出された電流値は、A/Dコンバータ320でデジタル信号に変換された後、マイコン315に伝送される。
【0065】
図6に、かしめ作業において、油圧シリンダ231の駆動用モータ232に流れる電流値の変化を示す。図において、縦軸は電流値を電圧値に変換した値を示し、横軸は経過時間を示す。かしめ作業が進むにつれてモータ232に流れる電流が増加し、かしめ作業が完了すると電流値が急激に低下し、その後は一定の値を示す。従って、マイコン315でこの電流値の特徴的な変化を抽出することにより、かしめ作業が完了したことを判断できる。
【0066】
リレー321は、マイコン315からの制御信号に基づいて、バッテリー402からモータ232に供給される電流を遮断する。マイコン315は、電流値の特徴的な変化を抽出したときに、かしめ作業が完了したと判断してリレー321を動作させ、バッテリー402からの電流を遮断する。
【0067】
DC/DCコンバータ322は、制御部315、RFIDモジュール316、Bluetoothモジュール318他に電力を供給するものである。通常、バッテリー402からは電圧12V(ボルト)の電力が供給されるが、この電圧はマイコン315やその他のモジュールの動作電圧3.3Vに比べて高い。このため、バッテリー402からの電力は、DC/DCコンバータ322で電圧が下げられた後、破線の矢印で示すように、それぞれの回路部品に供給される。
【0068】
マイコン315にはリミットスイッチ323が接続されている。リミットスイッチ323はタグホルダー307(図3参照)のスリットの下部に取り付けられており、タグホルダー307にICタグ5が挿入されたときにオンとなる。
【0069】
上述の構成において、マイコン315は、電流センサ319で検出した電流値の急激な低下を検出したときに、かしめ作業が完了したと判断し、施工完了信号を、継手のID番号と共に、Bluetoothモジュール318を介してPDA6に送信する。
【0070】
施工完了信号を受信したPDA6は、該当のID番号について施工完了、施工者、施工日時を含むかしめ作業の履歴情報を作成し、内蔵のメモリに保存すると共に制御装置300に返送する。
【0071】
Bluetoothモジュール318を介してPDA6からかしめ作業の履歴情報を受信したマイコン315は、その履歴情報を、RFIDモジュール316を介してICタグ5に送信し、メモリに書き込む。
【0072】
これら一連の動作は、作業者の操作によることなく自動的に行われる。従って、かしめ作業が完了した後に、継手100に取りつけられICタグ5の履歴情報を読み出せば、かしめ忘れの有無を確実に確認できる。
【0073】
なお、本実施の形態では、ICタグ5との通信手段としてRFIDモジュール316を用い、PDA6との通信手段としてBluetoothモジュール318を用いたが、必ずしもこれらの手段に限定されない。無線を用いて通信を行うことができる他の手段を用いてもよいことは云うまでもない。
【0074】
<かしめ作業およびICタグへの履歴情報の書き込み>
次に、かしめ機本体2におけるかしめ作業と、その作業に連動して行われるICタグ5への履歴情報の書き込みについて説明する。最初に、図7〜図9を参照して、かしめ機本体2におけるかしめ作業について説明する。
【0075】
図7、図8および図9に、図1の電動かしめ機1の作用部210を拡大して示す。図7に示すように、ヨークダイス214の上側には、これを係止するための係止部材221が配置されている。係止部材221は、かしめ機本体2に設けられた回転軸223に回転可能に枢支されている。手を用いてレバー222を時計回りに回転させると、てこの原理により、回転軸223を支点として、左側の係止部224が上方向に移動する。また、レバー222には係止部224を反時計回りに付勢するためのバネ225が設けられていて、レバー222から手を外すと、係止部224が係止位置に常に戻るようになっている。
【0076】
係止部224には破線で示す係止溝226が設けられており、この係止溝226に、ヨークダイス214の上側端部にある係止突起218が係合することによって、ヨークダイス214をかしめ姿勢に保持する。
【0077】
図7に示したかしめ姿勢から、図8に示すように、ヨークダイス214を係止している係止部材221のレバー222を下側に押圧して、係止部224を上側に移動させ、係止溝226によるヨークダイス214の係止突起218に対する係止を解除する。
【0078】
次に、図9に示すように、係止解除となったヨークダイス214を反時計回りに回転させ、ヨークダイス214の係止突起218と係止部材221との間にスリーブ103(図12参照)の径より大きな隙間Sが形成される姿勢とする。そして、この隙間Sから継手100のスリーブ103部分がプレスダイス211のかしめ部212に臨むように挿入する。
【0079】
そして、かしめ機本体2を支えていない側の手を用いて、再び、ヨークダイス214を反対時計回りに回転させてかしめ姿勢に復帰させ、続いて係止部材221を作用させて、ヨークダイス214を固定(係止)し、図7に示したかしめ姿勢に保持する。
【0080】
作業者がかしめ機本体2の把持部240の操作ボタン241を押すと、スイッチ244がオンとなってモータ232が回転し、油圧シリンダ231が駆動してプレスダイス211を左側に移動させ、ヨークダイス214との間でかしめ作業が行われる。
【0081】
次に、図10のフローチャートを参照して、ICタグ5への履歴情報の書き込み処理について説明する。図10に、アタッチメント3およびPDA6における処理の流れを示す。図の左側にアタッチメント3で行われる処理を示し、右側にPDA6で行われる処理を示す。
【0082】
事前の作業として、現場事務所にあるパーソナルコンピュータ(以降、「パソコン」と略す)を用い、施工現場で使用する継手の数に対応した数のID番号のリストを作成する。また作成されたリストをPDA6のメモリに書き込むと共に、タグライタを用いてICタグ5のメモリに、識別情報として、それぞれID番号を書き込んでおく。さらに図5に示すように、ID番号が書き込まれたICタグ5を紐などにより継手100に取り付けておく。
【0083】
なお、ICタグ5を継手100に取り付ける方法としては、紐を用いる方法以外に、ICタグ5を継手100の表面に接着したり、内部に埋め込んだりする方法がある。継手100の使用形態に応じて、これらの中から最適の方法を採用すればよい。
【0084】
作業者は、継手100を施工現場の配管110に差し込むと共に、ICタグ5をアタッチメント3のタグホルダー307(図3参照)に挿入する。この際、アタッチメント3の手動スイッチ314は、作業者によりオン状態(接続状態)に設定されており、制御装置300の各回路にDC/DCコンバータ322を介して電力が供給されている。
【0085】
作業者の手によってタグホルダー307にICタグ5が挿入されると、ホルダーの下部に設置されたリミットスイッチ323によりICタグ5の挿入が検出され、これが以下の一連の処理を開始するトリガーとなる。
【0086】
最初に、制御装置300のマイコン315は、RFIDモジュール316に指示してICタグ5に無線で信号を送信し、ICタグ5のメモリに格納されているID番号を読み取る(ステップS1)。引き続いて制御部315は、読み取ったICタグ5のID番号を、Bluetoothモジュール318に指示して無線によりPDA6に送信する(ステップS2)。
【0087】
ICタグ5のID番号を受信したPDA6は、受信したID番号を、あらかじめデータベースに格納されているID番号と照合する(ステップS3)。
【0088】
PDA6は、データベースに合致するID番号がある場合には(ステップS4でYes)、ステップS5の処理に進む。一方、合致するID番号がない場合には(ステップS4でNo)、合致するID番号がないことを作業者に知らせるため、その旨を液晶画面601に表示する(ステップS6)。
【0089】
PDA6は、合致する識別番号がある場合、アタッチメント3に施工開始命令を送信する(ステップS5)。Bluetoothモジュール318を介して施工開始命令を受信したマイコン315は、リレー321を制御して、かしめ機本体2のモータ232にバッテリー402からの電力を供給する(ステップS7)。
【0090】
作業者が、かしめ機本体2の操作ボタン241を押すとスイッチ244がオンとなり、モータ232に電力が供給されてかしめ作業が開始され、また作業の間、電流センサ319は、バッテリー402からの配線に流れる電流値を検出する(ステップS8)。
【0091】
前述の図6に示したように、かしめ作業が行われている間にモータ232に流れる電流値は、時間の経過に従って次第に上昇し、かしめ作業が完了すると急激に低下する。そしてその後は一定の出力を示す。マイコン315は、電流値の急激な低下を検出した場合(ステップS9のYes)、かしめ機本体2による継手100のかしめ作業が完了したと判断し、リレー321を制御してバッテリー402からモータ232への電力供給を停止する(ステップS10)。制御部315はさらに、Bluetoothモジュール318を介して施工完了信号をPDA6に送信する(ステップS11)。
【0092】
一方、ステップS9において、制御部315が電流値の急激な低下を検出しなかった場合(No)、ステップS8の処理に戻り、引き続き電流センサ319による電流値の検出が行われる。
【0093】
次にPDA6は、制御装置300から送信された施工完了信号を受けて、施工完了、施工者、および施工日時を含むかしめ作業の履歴情報をメモリに保存すると共に、制御装置300に送信する(ステップS12)。
【0094】
Bluetoothモジュール318を介して、PDA6からかしめ作業の履歴情報を受信したマイコン315は、その履歴情報をRFIDモジュール316およびアンテナ317を介してICタグ5に送信し、内蔵のメモリに書き込む(ステップS13)。
【0095】
以降、上記と同様の処理により、施工現場に設置されたすべての継手100について、かしめ作業の履歴情報がPDA6に送信されると共に、個々の履歴情報がICタグ5に書き込まれる。
【0096】
かしめ作業の完了後、PDA6のメモリに書き込まれた履歴情報を現場事務所にあるパソコンのハードディスクにアップロードする。パソコンに取り込まれた履歴情報は、集計用ソフトウェアにより、ID番号と対応付けてハードディスクに格納される。
【0097】
作業者は、パソコンからかしめ作業の履歴情報を読み出すことにより、履歴情報が格納されていないID番号の存在を確認できる。例えば、001〜100のID番号が付与された100個の継手100を施工現場に設置した場合に、001〜095のID番号の履歴情報しかない場合には、096〜100のID番号が付与された継手100について、かしめ忘れの可能性があることがわかる。
【0098】
さらに、ICタグ5に格納された情報を読み取ることができるタグリーダを内蔵し、かつ感度の高いアンテナを取り付けたスキャンニング装置を用意する。作業者が、このスキャンニング装置を施工現場に携帯し、全てのICタグ5に書き込まれた履歴情報を確認すれば、かしめ忘れの継手100を簡単に発見することができる。従って、かしめ作業が未施工の継手100があったとしても、現場事務所と施工現場の両方において、その継手を容易に発見できるため、継手のかしめ忘れを確実に防止し、施工の信頼性を高めることができる。
【0099】
以上説明したように、本発明にかかる電動かしめ機を用いれば、一連のかしめ作業を行う間に、自動的にICタグ5にかしめ作業の履歴情報が書き込まれるため、かしめ作業やその確認作業を簡素化でき、またICタグ5への履歴情報の書き込み忘れが生じる恐れがない。
【0100】
本実施の形態にかかる電動かしめ機1は、アタッチメント3を装着せず、かしめ機本体2の把持部240に直接バッテリーアダプタ4を装着すれば、電動かしめ機を通常の形態で使用できる。その一方で、かしめ機本体2とバッテリーアダプタ4との間にアタッチメント3を装着し、かしめ作業の履歴情報をICタグ5に書き込むようにすれば、パソコンでICタグの履歴情報を確認することにより、さらにはスキャンニング装置を用いてICタグの履歴情報を読み取ることによって、かしめ忘れの継手を確実に発見できる。
【0101】
なお、本実施の形態では、一旦、施工完了信号を制御装置300からPDA6に送信して、施工完了を含むかしめ作業の履歴情報を作成した後、その履歴情報をICタグ5に送信しメモリに書き込んでいる。これに対し、PDA6を介さず、施工完了信号を制御装置300から直接ICタグ5に書き込むようにしてもよい。この場合、パソコンを用いた継手の履歴情報の確認はできないが、作業者が、スキャンニング装置を施工現場に携帯して、各継手のICタグ5のメモリに格納された情報を読み出せば、かしめ作業が未施工の継手を簡単に発見できる。この方法によれば、PDAやパソコンが不要となるため、継手の数の少ない比較的小規模の施工現場におけるかしめ忘れの確認に適している。
【0102】
<アタッチメントの他の例>
図11に、電動かしめ機1に取り付けるアタッチメントの他の例を示す。図2および図3に示したアタッチメント3は、断面形状をバッテリーアダプタ4のそれと一致させることにより、両者を一体に取り扱えるように工夫している。しかしその反面、複数の回路基板が縦方向に配置されている関係で、垂直方向の長さが長くなる。
【0103】
これに伴い、アタッチメント3およびバッテリーアダプタ4を含めた電動かしめ機1全体の高さが高くなるため、配管が縦横に入り組んだような施工現場では、アタッチメント3およびバッテリーアダプタ4が邪魔になり、かしめ作業に支障が出る。
【0104】
このため図11に示すアタッチメント3aでは、かしめ機本体2の操作に邪魔とならない作用部210の下方の空間を利用して(図1参照)、電動かしめ機1の高さを低くしている。
【0105】
具体的には、ケース301aとして、垂直方向の長さが短く、かつ前部が水平方向に突出して、前後方向に長くなったケースを採用している。このようにしてケース内の空間の容量を維持したまま、垂直方向の長さを短くすることにより、アタッチメント3aを含む電動かしめ機1の高さを低くすることができる。
【0106】
なお、図11に示すアタッチメント3aでは、前部が水平方向に突出したケース301aを採用しているが、駆動部230の下方の空間を利用して、後部が水平方向に突出したケースを採用しても、同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明にかかる電動かしめ機は、給水・給湯管や冷暖房用の設備配管に限られず、継手のかしめを必要とする全ての配管に適用できるものである。
【符号の説明】
【0108】
1 電動かしめ機
2 かしめ機本体
3、3a アタッチメント
4 バッテリーアダプタ
5 ICタグ
6 PDA
210 作用部
211 プレスダイス
212、215 かしめ部
214 ヨークダイス
221 係止部材
222 レバー
230 駆動部
231 油圧シリンダ
232 モータ
240 把持部
241 操作ボタン
242 接続部
243 311、312、411 端子
244、314 スイッチ
300 制御装置
301、301a、401 ケース
302、403 ターミナル凸部
303、ターミナル凹部
305a、305b、305c 回路基板
307 タグホルダー
313 ヒューズ
315 マイコン
316 RFIDモジュール
317 アンテナ
318 Bluetoothモジュール
319 電流センサ
320 A/Dコンバータ
321 リレー
322 DC/DCコンバータ
323 リミットスイッチ
310、333、431 爪
331 スライダ
332 バネ
402 バッテリー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管に継手をかしめて接合する電動かしめ機であって、
前記継手をかしめる作用部、この作用部を駆動する駆動部、および作業者が把持するための把持部を有するかしめ機本体と、
筒型のケースに、前記駆動部に電力を供給するバッテリーが収容されたバッテリーアダプタと、
筒型のケースに、前記バッテリーから出力される電流の値に基づいて前記かしめ機本体におけるかしめ作業の終了を判断し、かつ前記継手に取り付けられたICタグに、作業の終了を含むかしめ作業の履歴情報を送信して記憶させる制御装置が収容されたアタッチメントと、を備え、
前記アタッチメントのケースの上面には、前記バッテリーアダプタのケースの上面に設けられた、前記かしめ機本体との接続用の第1の接続部材と機械的および電気的に接続可能な第2の接続部材が設けられ、
前記アタッチメントのケースの下面には、前記かしめ機本体の把持部の下面に設けられた、前記バッテリーアダプタとの接続用の第3の接続部材と機械的および電気的に接続可能な第4の接続部材が設けられていることを特徴とする電動かしめ機。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記バッテリーから出力される電流の値を検出する電流センサと、
前記電流センサで検出した電流値に基づいて前記かしめ機本体におけるかしめ作業の終了を判断する制御手段と、
前記制御手段の制御に基づき、前記バッテリーから前記駆動部に供給される電力を遮断する遮断手段と、
前記制御手段での判断結果を含むかしめ作業の履歴情報を、無線により前記ICタグに送信する第1の通信手段と、を備えることを特徴とする、請求項1に記載の電動かしめ機。
【請求項3】
前記制御装置は、前記制御手段での判断結果を含む情報を、無線で外部の携帯端末に送信する第2の通信手段を更に備えることを特徴とする、請求項2に記載の電動かしめ機。
【請求項4】
前記制御手段は、前記電流センサで検出した電流値が急激に減少したときに、前記かしめ機本体におけるかしめ作業が終了したと判断することを特徴とする、請求項2ないし3のいずれかに記載の電動かしめ機。
【請求項5】
前記第2の接続部材は、前記アタッチメントのケースの上面から外方に突き出した形状をなし、
前記第4の接続部材は、前記アタッチメントのケースの下面から内方に凹んだ形状をなし、
前記第1の接続部材と前記第4の接続部材は相互に嵌合するように構成され、前記第2の接続部材と前記第3の接続部材は相互に嵌合するように構成されていることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の電動かしめ機。
【請求項6】
前記アタッチメントのケースの側面に、前記ICタグを挿入するタグホルダーが設けられ、かつそのタグホルダーには、前記ICタグの挿入を検出するスイッチが設けられていることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の電動かしめ機。
【請求項7】
前記アタッチメントのケースは、水平方向の断面が前記バッテリーアダプタのケースの断面と略等しいことを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の電動かしめ機。
【請求項8】
前記アタッチメントのケースは、水平方向の後部もしくは前部の断面が前記バッテリーアダプタ(4)のケースの断面と略等しく、かつ前部が前記バッテリーアダプタ(4)の前部より前方に突き出した形状、もしくは後部が前記バッテリーアダプタ(4)の後部より後方に突き出した形状をしていることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の電動かしめ機。
【請求項9】
配管に継手をかしめて接合する電動かしめ機に用いられ、
前記継手をかしめる作用部、この作用部を駆動する駆動部、および作業者が把持するための把持部を有するかしめ機本体と、筒状のケースに、前記駆動部に電力を供給するバッテリーが収容されたバッテリーアダプタとの間に装着されるアタッチメントであって、
前記バッテリーから出力される電流の値に基づいて前記かしめ機本体におけるかしめ作業の終了を判断し、かつ前記継手に取り付けられたICタグに、作業の終了を含むかしめ作業の履歴情報を送信して記憶させる制御装置と、
前記制御装置を収容する筒型のケースと、を備え、
前記ケースの上面には、前記バッテリーアダプタのケースの上面に設けられた、前記かしめ機本体との接続用の第1の接続部材と機械的および電気的に接続可能な第2の接続部材が設けられ、
前記ケースの下面には、前記かしめ機本体の把持部の下面に設けられた、前記バッテリーアダプタとの接続用の第3の接続部材と機械的および電気的に接続可能な第4の接続部材が設けられていることを特徴とするアタッチメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−224738(P2011−224738A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97693(P2010−97693)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000191319)新菱冷熱工業株式会社 (78)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】