説明

電動パーキングブレーキの故障診断装置

【課題】ケーブルを用いた電動パーキングブレーキにおいて、ケーブルに起因する故障か、モータの拘束か、またモータ駆動回路側の断線かを診断すること。
【解決手段】荷重センサ15からのケーブル張力の変化量が一定以下の場合には、ケーブル張力判断部31における診断結果にて故障判断部33は、モータ11の拘束、モータ11側の断線、スイッチング素子の短絡の可能性があると判断する。これにより、ケーブル側に起因する不具合か、モータ駆動回路41側に起因する不具合であるのかを診断することができる。また、モータ駆動回路41内の電流測定用端子において大電流が流れていると故障判断部33が判断した場合には、故障判断部33はモータ11の拘束、スイッチング素子の短絡の可能性があると判断する。これにより、モータ11側に起因する不具合であることを診断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーキングブレーキの作動、解除をモータとケーブルにて電動で行なうようにした電動パーキングブレーキに関するものであり、より詳しくはモータ等の故障を診断する電動パーキングブレーキの故障診断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パーキングブレーキの作動、解除をモータとケーブルにて電動で行なうこの種の電動パーキングブレーキでは、ケーブルに荷重センサが介装されていて、この荷重センサからケーブルの張力を検出し、パーキングブレーキを作動させる場合には、モータを例えば正転駆動してケーブルの引き作動を行なう。そして、ケーブルの引き作動に伴い荷重センサからのケーブル張力が高くなり、予め設定した張力になった場合に、一定の制動力を確保したとして、モータを停止させてケーブルの引き作動を停止させる。これによりブレーキが掛かった状態となる。
【0003】
また、パーキングブレーキを解除する場合は、モータを逆転駆動してケーブルの戻し作動(解除)を行ない、荷重センサからのケーブル張力が所定の値まで下がった場合に、ブレーキが解除(開放)されたとしてモータを停止させてケーブルの戻し作動を停止する。これによりブレーキが解除されて走行可能な状態となる。
【0004】
上記のようにケーブルに介装した荷重センサからのケーブル張力を検出して、パーキングブレーキの作動、解除を行なっているものとして、例えば、下記の特許文献1が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−128389号公報
【0006】
上記特許文献1では、モータの正転駆動によりケーブルを介してパーキングブレーキを作動状態とし、前記モータの逆転駆動により前記パーキングブレーキを前記ケーブルを介して解除状態にするアクチュエータと、前記パーキングブレーキに作用するケーブルの荷重を検出する荷重センサと、前記荷重センサからの出力電圧Vsに応じて前記モータの回転駆動を制御する制御装置とを備え、前記荷重センサからの出力電圧Vsが予め設定されている前記ケーブルの目標引き力の電圧値Vtcになった時点における前記パーキングブレーキの作動完了後、前記荷重センサからの出力電圧Vsが前記目標引き力の電圧値Vtcに対して変化した場合に、該出力電圧Vsが前記電圧値Vtcになるまで前記モータを正転駆動させる制御手段を設けているものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電動パーキングブレーキシステムにおいて、パーキングブレーキを作動させる場合には、モータを正転駆動してケーブルを所定の荷重に達するまで引き作動を行ない、また、パーキングブレーキを解除する場合には、ケーブルに荷重がかからない開放される位置までモータを逆転駆動してケーブルを開放する。そのため、パーキングブレーキの作動・解除が確実に行なわれることが必要であるために、荷重センサにより前記ケーブルの状態を検知して、確実にパーキングブレーキの作動・解除を行なうようにしている。
【0008】
前記特許文献1では、荷重センサによりケーブルの伸びを検出しており、パーキングブレーキの制動状態において、ケーブルの伸びによる引き力低下を防止して、パーキングブレーキの制動を確実にしている。
しかしながら、特許文献1の場合では、荷重センサによりケーブルの伸び等の状態は検知することができるものの、モータの拘束、モータを含めたモータ側の回路の断線等は検知することができない。そのため、ケーブルに起因する不具合か、モータ・回路に起因する不具合かを診断する必要がある。
【0009】
本発明は上述の問題点に鑑みて提供したものであって、ケーブルを用いた電動パーキングブレーキにおいて、ケーブルに起因する故障か、モータの拘束か、またモータ駆動回路側の断線かを診断することを目的とした電動パーキングブレーキの故障診断装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明の電動パーキングブレーキの故障診断装置では、正逆回転駆動によりケーブル3を介してブレーキアッセンブリ4を作動状態または解除状態とするモータ11と、前記ケーブル3に加えられる張力を検出する荷重センサ15とを備えた電動パーキングブレーキの故障診断装置であって、
前記モータ11の回転駆動を制御する制御装置1を備え、
前記制御装置1は、スイッチング素子により構成されたブリッジ回路の平衡点に前記モータ11が接続されたモータ駆動回路41を有し、
前記モータ駆動回路41において、
前記モータ11の第一端子M1が正側第一スイッチング素子Q1と負側第一スイッチング素子Q3との接続点に接続され、前記モータ11の第二端子M2が正側第二スイッチング素子Q2と負側第二スイッチング素子Q4との接続点に接続され、
前記第一端子M1には電圧検出回路40が接続され、
前記負側第一スイッチング素子Q3と前記負側第二スイッチング素子Q4との間に電流測定用端子43を備え、
前記モータ11の駆動により前記ケーブル3に与えられたケーブル張力が、前記荷重センサ15からの荷重信号により所定値のケーブル張力以上であることを判断するケーブル張力判断部31と、
前記ケーブル張力が所定値以下の場合に、前記正側第一スイッチング素子Q1及び前記負側第二スイッチング素子Q4をONとし、前記正側第二スイッチング素子Q2及び負側第一スイッチング素子Q3をOFFとするモータ正回転制御、または前記正側第二スイッチング素子Q2及び負側第一スイッチング素子Q3をONとし、前記正側第一スイッチング素子Q1及び負側第二スイッチング素子Q4をOFFとするモータ逆回転制御とするモータ回転制御部32と、
前記モータ正回転制御または前記モータ逆回転制御における前記電流測定用端子43での電流値が0の場合には前記モータ駆動回路41の断線と判断し、該電流値が所定値である場合にはモータ11の拘束発生と判断し、該電流値が大電流である場合には前記モータ駆動回路41の短絡発生と判断する故障判断部33を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
(1)本発明の電動パーキングブレーキの故障診断装置によれば、故障判断部33により、モータ正回転制御または前記モータ逆回転制御における電流測定用端子43での電流値が0の場合にはモータ駆動回路41の断線と判断し、該電流値が所定値である場合にはモータ11の拘束発生と判断し、該電流値が大電流である場合には前記モータ駆動回路41の短絡発生と判断するようにしているので、ケーブル3を用いた電動パーキングブレーキにおいて、ケーブル3に起因する電動パーキングブレーキの故障か、モータ駆動回路41の断線か、モータ11の拘束か、モータ駆動回路41の断線を診断することができる。
【0012】
(2)本発明の電動パーキングブレーキの故障診断装置によれば、前記故障判断部33が、前記正側第一スイッチング素子Q1、前記負側第一スイッチング素子Q3及び前記負側第二スイッチング素子Q4をOFFとし、前記正側第二スイッチング素子Q2をONとして、前記電圧検出回路40の電圧を測定して前記モータ11の断線を判断しているので、モータ11の断線も診断することができる。
【0013】
(3)本発明の電動パーキングブレーキの故障診断装置によれば、前記ケーブル張力が所定値以上であった場合に、前記故障判断部33が、前記正側第一スイッチング素子Q1と前記正側第二スイッチング素子Q2とをONとし、前記負側第一スイッチング素子Q3と前記負側第二スイッチング素子Q4とをOFFとして、前記モータ11のブレーキをかけるとともに、前記電流測定用端子43での電流値を監視して前記負側第一スイッチング素子Q3と前記負側第二スイッチング素子Q4との短絡を監視しているので、スイッチング素子の短絡も診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態における電動パーキングブレーキシステムの概略ブロック構成図である。
【図2】本発明の実施の形態における引き作動と解除時のケーブル張力特性と駆動電流特性を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態における制御装置内のモータ駆動回路及び電圧検出回路の具体回路を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における引き作動時の故障診断を行なう場合のフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態における引き作動時の故障診断を行なう場合のフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態における引き作動時の故障診断を行なう場合のフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態における解除時の故障診断を行なう場合のフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態における解除時の故障診断を行なう場合のフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態における解除時の故障診断を行なう場合のフローチャートである。
【図11】(a)〜(c)は本発明の実施の形態における「スイッチング素子短絡診断1」の説明図である。
【図12】(a)(b)は本発明の実施の形態における「モータ断線診断」の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は電動パーキングブレーキシステムの概略ブロック構成図を示し、制御装置1と、この制御装置1により制御されるアクチュエータ2と、このアクチュエータ2によりケーブル3の引き作動、解除がされることで、パーキングブレーキの作動、解除が行なわれるブレーキアッセンブリ4等で構成されている。
また、この電動パーキングブレーキシステムには、パーキングブレーキを作動、解除するために制御装置1に信号を送る操作スイッチ5が設けられている。
【0016】
アクチュエータ2は、制御装置1により正転、逆転駆動される正逆回転可能なモータ11と、このモータ11の回転数を減速させる複数段のギアからなる減速機構12と、この減速機構12の出力にて回転駆動されるスクリュー13と、このスクリュー13の回転により該スクリュー13の軸方向に往復動し、イコライザー機構を構成しているナット14と、後述する荷重センサ15等で構成されている。
また、ナット14の一方の端部には図中左側のケーブル3が接続され、ナット14の他方の端部側は荷重センサ15を介したケーブル3(図中の右側)が接続され、両ケーブル3の他端はブレーキアッセンブリ4側に接続されている。
【0017】
上記荷重センサ15は、ケーブル3に作用する荷重(張力)を検出するものであり、この荷重センサ15で検出したケーブル張力を制御装置1へ送っている。この荷重センサ15は、主な構成部材として、シャフト20と、主ばね21と、副ばね22と、マグネット23と、ホールIC24等で構成されている。
【0018】
ケーブル3を引き作動、解除するに従いシャフト20が軸方向に往復動し、このシャフト20の往復動と共に、マグネット23が往復動する。このマグネット23の往復動により該マグネット23に対応して配置されているホールIC24が、ケーブル3の荷重に相当する主ばね21と副ばね22との圧縮、伸長変形量に応じた電圧をケーブル張力として制御装置1へ出力するようになっている。
【0019】
図2は、パーキングブレーキの引き作動と解除時の荷重センサ15から出力されるケーブル張力特性とモータ11の駆動電流特性を示し、図2(a)が引き作動時を、図2(b)が解除時をそれぞれ示している。
操作スイッチ5からパーキングブレーキの引き作動の指令が制御装置1へ送られると、モータ11が正転駆動されてケーブル3が引き作動される。ケーブル3が引き作動されると荷重センサ15からケーブル張力が制御装置1へ送られる。そして、制御装置1では、予め設定したケーブル張力(図2(a)の目標ケーブル引き張力TH)を検出すると、モータ11を停止させて引き作動を終了する。
【0020】
また、パーキングブレーキの引き作動の状態から、解除をすべく操作スイッチ5からの信号が制御装置1へ送られると、制御装置1は、モータ11を逆転駆動して、ケーブル3を解除方向に戻す。制御装置1では、荷重センサ15からのケーブル張力が予め設定した値(図2(b)の目標ケーブル戻し張力TL)を検出した場合には、パーキングブレーキの解除が終了したとしてモータ11を停止させる。このようにして、パーキングブレーキの引き作動、解除が行なわれる。
【0021】
図3は本発明の電動パーキングブレーキに関連したブロック図を示し、制御装置1は、マイクロコンピュータからなるCPU( Central Processing Unit )30と、電圧検出回路40と、モータ駆動回路41とで構成されている。また、CPU30は、ケーブル張力判断部31と、モータ回転制御部32と、故障判断部33と、制御部34と、記憶部35等で構成されている。
上記制御部34は、所定のプログラムの手順に沿って全体を制御するものであり、また、記憶部35は、前記プログラムを格納しているROMや、荷重センサ15等からのデータを一時的に保存するRAM等で構成されている。
【0022】
上記ケーブル張力判断部31は、荷重センサ15からの荷重信号によりケーブル3の張力が所定値のケーブル張力以上であることを判断するものであり、また、モータ回転制御部32は、上記ケーブル3の張力が所定値以下の場合には、モータ駆動回路41の各スイッチング素子をオン、オフ制御してモータ11を正回転制御したり、またはモータ11を逆回転制御するものである。
また、故障判断部33は、モータ駆動回路41内に流れる電流値や電圧検出回路40からの信号により、モータ駆動回路41の断線や、モータ11の拘束や、モータ駆動回路41の短絡発生や、モータ駆動回路41のスイッチング素子の短絡等を判断するものである。
【0023】
図4は、モータ駆動回路41及び電圧検出回路40の具体回路図を示しており、モータ駆動回路41はFETからなるスイッチング素子Q1〜Q4にてフルブリッジ回路で構成されている。
上記フルブリッジ回路の平衡点にモータ11が接続されており、該モータ11の一方の端子を第一端子M1とし、モータ11の他方の端子を第二端子M2とすると、正側第一スイッチング素子としてのスイッチング素子Q1と、負側第一スイッチング素子としてのスイッチング素子Q3との接続点にモータ11の第一端子M1がコード等のラインM+を介して接続されている。また、正側第二スイッチング素子としてのスイッチング素子Q2と、負側第二スイッチング素子としてのスイッチング素子Q4との接続点にモータ11の第二端子M2がコード等のラインM−を介して接続されている。
【0024】
また、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2のソース同士が接続され、この接続点に直流電圧+Vbが印加されている。スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4のソース同士が接続され、この接続点が接地されている。この接続点もしくは接続点から接地までのラインの部分を各スイッチング素子Q1〜Q4に流れる電流を測定する電流測定用端子43とし、この電流測定用端子43にカレントトランスなどの電流検出器を設けて、接続点もしくはラインに流れる電流を測定し、その電流値に応じた信号をCPU30に送っている(図3参照)。
【0025】
また、電圧検出回路40は3個の抵抗R1〜R3を直列に接続した回路構成となっており、この抵抗R1〜R3の直列回路の抵抗R1側に直流電圧+Vbが印加されて、抵抗R3の他端は接地されている。そして、抵抗R1と抵抗R2との接続点45がモータ駆動回路41のスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q3との接続点に接続され、例えばスイッチング素子Q1が短絡している場合にはスイッチング素子Q1のソースに印加されている直流電圧+Vbが抵抗R1と抵抗R2の接続点45に印加されることになる。
【0026】
また、抵抗R2と抵抗R3との接続点46に現れる電圧VinがCPU30の故障判断部33へ入力されており、この電圧Vinや上記電流測定用端子43にて測定した電流値はCPU30側でA/D変換されて、故障判断部33等に入力されるようになっている。
ここで、電圧検出回路40において、各抵抗R1〜R3にて分割された電圧VinがCPU30に入力され、この入力された電圧Vinの値に応じて故障判断部33がスイッチング素子Q1〜Q4の短絡やモータ11の断線を判断(診断)するようになっている。
【0027】
なお、荷重センサ15からの信号もCPU30側でA/D変換されて、記憶部35やケーブル張力判断部31側ではデジタル処理されるようになっている。
【0028】
次に、パーキングブレーキの引き作動における故障診断について図5〜図7に示すフローチャートを用いて説明する。パーキングブレーキの作動開始前に、先ず図5のステップS1に示すように、CPU30の制御部34はモータ駆動回路41の各スイッチング素子Q1〜Q4をオフにしてステップS2に移行する。
このステップS2では、「スイッチング素子短絡診断1」を行なう。この「スイッチング素子短絡診断1」では図11に示すように、各スイッチング素子Q1〜Q4が正常か、あるいは短絡しているかを診断する。
【0029】
図4に示すように、全スイッチング素子Q1〜Q4がそれぞれ短絡せずに正常な場合には、電圧検出回路40の接続点45にはモータ駆動回路41側の直流電圧+Vbが印加されないために、図11(a)に示すような回路となり、接続点46に各抵抗R1〜R3で分圧された電圧Vinが生じ、この電圧Vinは、{R3/(R1+R2+R3)}*Vbとなり、この電圧VinがCPU30の故障判断部33に入力され、電圧Vin値に基づいて故障判断部33では正常であると判断する。
【0030】
また、スイッチング素子Q1またはスイッチング素子Q2が短絡しているとすると、モータ駆動回路41側の直流電圧+Vbがスイッチング素子Q1またはQ2を介して電圧検出回路40の接続点45に印加されることになる。
この場合の電圧検出回路40は図11(b)に示すようになり、接続点46
には、直流電圧+Vbを抵抗R2と抵抗R3とで分圧した電圧が生じ、この電圧が電圧Vinとして故障判断部33が判断する。この電圧Vinの値は図11(a)の場合よりも高いため、故障判断部33は、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4が正常で、スイッチング素子Q1またはスイッチング素子Q2のいずれか、あるいは両方共短絡していると判断する。
【0031】
次に、モータ駆動回路41のスイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2が正常で、スイッチング素子Q3またはスイッチング素子Q4が短絡している場合には、図11(c)に示すように電圧検出回路40の接続点45はスイッチング素子Q3またはスイッチング素子Q4を介して接地されることになる。
そのため、電圧検出回路40の接続点46は、アース電位(0V)となり、このアース電位が電圧VinとしてCPU30に入力される。故障判断部33は、入力された電圧Vinが0Vのために、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2は正常で、スイッチング素子Q3またはスイッチング素子Q4のいずれか、あるいは両方共短絡していると判断する。
【0032】
「スイッチング素子短絡診断1」を終えると、ステップS2からステップS3に移行し、モータ駆動回路41の各スイッチング素子Q1〜Q4がそれぞれ正常な場合にはステップS5へ進み、スイッチング素子Q1〜Q4のいずれかが短絡している場合にはステップS4に移行して、スイッチング素子Q1〜Q4のいずれかが短絡していると診断結果を出し、4番端子を経由して図7に示すように終了する。すなわち、引き作動の前にモータ駆動回路41のスイッチング素子Q1〜Q4のいずれかが短絡しているので、パーキングブレーキの引き作動はせずに故障診断を終了する。
【0033】
ステップS3において、スイッチング素子Q1〜Q4の短絡診断の結果、正常な場合はステップS5に移行し、制御部34がモータ駆動回路41のスイッチング素子Q2をオンにし、他のスイッチング素子Q1、Q3、Q4をオフにする。そして、ステップS6に移行して「モータ断線診断」を行なう。
この「モータ断線診断」において、スイッチング素子Q2をオンにし、他のスイッチング素子Q1、Q3、Q4をオフにすると、モータ駆動回路41側の直流電圧+Vbがスイッチング素子Q2、ラインM+、モータ11及びラインM−を介して電圧検出回路40の接続点45に印加され、この時の回路は図12(a)に示すようになる。
【0034】
したがって、電圧検出回路40の接続点46には、抵抗R2と抵抗R3とで直流電圧+Vbを分圧した電圧が生じ、この電圧が電圧VinとしてCPU30の故障判断部33に入力される。故障判断部33では、この電圧Vinの値の場合には正常と判断する。すなわち、ラインM+、M−を含めたモータ11側の断線はしていないと判断する。
【0035】
また、上記と同様にスイッチング素子Q2をオンにし、他のスイッチング素子Q1、Q3、Q4をオフにすると、ラインM+、M−を含めたモータ11側に断線があった場合、モータ駆動回路41側の直流電圧+Vbは電圧検出回路40の接続点45には印加されないために、図12(b)に示すような回路となる。
そのため、電圧検出回路40の接続点46には、3個の抵抗R1〜R3にて電圧検出回路40の直流電圧+Vbが分割されることになって、断線していない場合と比べて低い電圧が生じ、これにより、故障判断部33では、ラインM+、M−を含めたモータ11側が断線していると判断する。これにより、モータ11側に起因する不具合であることを診断することができる。
【0036】
ステップS6において、「モータ断線診断」が終了してステップS7に移行し、モータ11側に断線があった場合にはステップS8に移行する。ステップS8では、制御部34はモータ駆動回路41の各スイッチング素子Q1〜Q4をオフにし、ステップS9で診断結果を断線とし、4番端子を介して図7に示すように故障診断を終了し、適切なフェールセーフを実施する。
【0037】
ステップS7において、モータ11側の断線が無く正常な場合には、ステップS10に移行して、制御部34はモータ駆動回路41の各スイッチング素子Q1〜Q4をオフにしてステップS11に進む。ステップS11では、制御部34がモータ駆動回路41のスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q4をオンにすると共に、スイッチング素子Q2とスイッチング素子Q3をオフにしてモータ11を正転駆動する。
そして、ステップS11からステップS12に移行して「動作中診断」を行なう。このステップS12での「動作中診断」では、荷重センサ15から出力されるケーブル張力と、電流測定用端子43において流れる電流とを監視してモータ11の拘束、モータ11側の断線、スイッチング素子Q1〜Q4の短絡の可能性について診断を行なう。
【0038】
モータ11を正転駆動してケーブル3を引き作動すると、荷重センサ15からは張力に応じた信号がCPU30のケーブル張力判断部31に入力される。そして、図2(a)に示すように、モータ11が正常に回転している場合には、ケーブル張力の変化量は一定以上であり、また、スイッチング素子Q1〜Q4が短絡していない場合には、電流測定用端子43において大電流は流れない。すなわち、図2(a)に示すような電流であり、正常な場合には大電流は流れない。
このケーブル張力の変化量が一定以上か以下かをケーブル張力判断部31が判断し、その判断結果により故障判断部33が診断を行ない、ケーブル張力が一定以上の場合には故障判断部33は、モータ11は拘束されておらず、また、モータ11の断線も無く、正常と判断する。また、故障判断部33では電流測定用端子43において電流値にて大電流が流れているかを判断し、大電流が流れていない場合には、モータ駆動回路41のスイッチング素子Q1〜Q4は短絡しておらず、スイッチング素子Q1〜Q4は正常であると判断する。
【0039】
また、ケーブル張力判断部31において、ケーブル張力の変化量が一定以下の場合には、ケーブル張力判断部31における診断結果にて故障判断部33は、モータ11の拘束、モータ11側の断線、スイッチング素子Q1〜Q4の短絡の可能性があると判断する。これにより、ケーブル3側に起因する不具合か、それともモータ駆動回路41側に起因する不具合であるのかを診断することができる。
また、電流測定用端子43において大電流が流れていると故障判断部33が判断した場合には、故障判断部33はモータ11の拘束、スイッチング素子Q1〜Q4の短絡の可能性があると判断する。これにより、モータ11側に起因する不具合であることを診断することができる。
【0040】
ステップS13において、モータ11、スイッチング素子Q1〜Q4の異常があると判断した場合には、ステップS13からステップS14に移行し、モータ駆動回路41のスイッチング素子Q1〜Q4を制御部34がオフにする。そして、ステップS14からステップS15に進む。
ここで、ステップS2からステップS14までの故障診断の回数を予め設定しておき、設定した回数(N回)になるまで故障診断を行なう。そして、図5のステップS15に示しているリトライ回数は、上記設定した故障診断の回数をいい、設定した故障診断の回数に達した場合には、3番端子を介して図6に示すステップS20に移行する。
【0041】
図5のステップS15において、リトライ回数(故障診断の設定回数)に達していない場合には、ステップS16に移行して現在の故障診断の回数にプラス1して、ステップS2に戻り、設定した故障診断回数に達するまでこれを繰り返す。
【0042】
一方、ステップS13において、故障診断の結果、正常の場合にはステップS17に進み、ケーブル張力判断部31において荷重センサ15からのケーブル張力が目標張力(図2(a)に示す目標ケーブル引き張力(TH)参照)に到達したか否かを判断する。目標張力に達していない場合は、ステップS12に戻り、制御部34はモータ回転制御部32を制御して、モータ駆動回路41のスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q4をオンし、スイッチング素子Q2とスイッチング素子Q3をオフしてモータ11を正転駆動する。
そして、ステップS12からステップS17へと動作を繰り返して、ケーブル張力が目標張力に達した場合にはステップS18へ移行する。なお、モータ回転制御部32の機能を制御部34に持たせて、制御部34が上記制御を行なうことで、モータ回転制御部32を設けなくしても良い。
【0043】
ステップS18では、制御部34がモータ駆動回路41のスイッチング素子Q4をオフとする。この状態では、スイッチング素子Q1はオンで、スイッチング素子Q2とスイッチング素子Q3はオフである。そして、ステップS19に移行してスイッチング素子Q2をオンにする。
この状態ではスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2がオンで、スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4がオフであり、これはモータ11の端子間を短絡してモータ11にブレーキをかけている状態である。そして、2番端子から図7に示すステップS30に移行する。
【0044】
次に、図6に示すステップS20以降について説明する。図5に示すステップS15において、故障診断の回数が予め設定した回数に達した以降は、ステップS20において、「スイッチング素子短絡診断1」を行なう。この「スイッチング素子短絡診断1」はステップS2の場合と同じであるので、説明は省略するが、モータ駆動回路41のスイッチング素子Q1〜Q4が正常か、短絡しているかを診断する。
【0045】
「スイッチング素子短絡診断1」を終えた後に、ステップS20からステップS21へ移行し、診断結果が正常でない場合には、ステップS22に移行して故障がスイッチング素子Q1〜Q4の短絡であると診断し、4番端子から図7に示すように故障診断を終了し、適切なフェールセーフを実施する。
診断結果が正常の場合には、ステップS21からステップS23に移行し、制御部34は、モータ駆動回路41のスイッチング素子Q2をオン、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をオフとして、ステップS24に移行してモータ11の断線診断を行なう。このステップS24における「モータ断線診断」もステップS6の場合と同様なので説明は省略する。
【0046】
ステップS24からステップS25に移行して、モータ11側が断線していると故障判断部33が診断した場合には、ステップS25からステップS26に進んで制御部34はモータ駆動回路41のスイッチング素子Q1〜Q4をオフとし、診断結果がモータ11側が断線していると判断する(ステップS27参照)。そして、4番端子を介して故障診断を終了し(図7参照)、適切なフェールセーフを実施する。
【0047】
一方、ステップS25において、診断結果が正常な場合(モータ11の断線が無し)は、ステップS28に移行して制御部34はモータ駆動回路41のスイッチング素子Q1〜Q4をオフにする。この図6のフローは図5のステップS13において、モータ11が拘束されていると診断された後のフローであるので、ステップS28からステップS29に移行し、モータ11が拘束されているとの診断結果とする。そして、4番端子を介して故障診断を終了し(図7参照)、適切なフェールセーフを実施する。
【0048】
次に、図7に示すステップS30以降のフローについて説明する。図5に示すステップS19はモータ11にブレーキをかけている状態であり、この状態でステップS30に示すように「スイッチング素子短絡診断2」を行なう。
この「スイッチング素子短絡診断2」は、モータブレーキ中においてスイッチング素子Q1〜Q4が短絡しているかを診断するものであり、モータ駆動回路41のスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2がオン、スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4がオフの時に、電流測定用端子43において大電流が流れているか否かでスイッチング素子Q1〜Q4の短絡しているかを判断する。
【0049】
電流測定用端子43において大電流が流れていない場合には、故障判断部33はスイッチング素子Q1〜Q4が短絡しておらず正常と判断し、大電流が流れている場合にはスイッチング素子Q1〜Q4のいずれか、あるいは全部が短絡していると判断する。
「スイッチング素子短絡診断2」における診断後は、ステップS30からステップS31に移行し、正常でない場合にはステップS32に移行してスイッチング素子Q1〜Q4が短絡していると診断して故障診断を終了し、適切なフェールセーフを実施する。
【0050】
また、ステップS31において、診断結果が正常な場合にはステップS33に移行して、ブレーキをかけている時間に達するまでこれを繰り返し、ブレーキンギ時間が経過すればステップS34に移行する。ステップS34では、制御部34がモータ駆動回路41のスイッチング素子Q1〜Q4をオフにし、ステップS35に進む。
ステップS35では「スイッチング素子短絡診断1」を行なう。この「スイッチング素子短絡診断1」は上記と同様なので説明は省略する。
【0051】
そして、ステップS35からステップS36に移行し、上記「スイッチング素子短絡診断1」の結果、スイッチング素子Q1〜Q4が短絡していると診断した場合にはステップS32に進み、スイッチング素子Q1〜Q4が短絡していない正常な場合には、故障診断を終了する。
【0052】
次に、パーキングブレーキを解除する場合における故障診断の制御方法について図8〜図10により説明する。パーキングブレーキの解除開始前に、先ず図8のステップS51に示すように、CPU30の制御部34はモータ駆動回路41の各スイッチング素子Q1〜Q4をオフにしてステップS52に移行する。
このステップS52では、「スイッチング素子短絡診断1」を行なう。この「スイッチング素子短絡診断1」は、上記パーキングブレーキの作動の場合と同じなので説明は省略する。
【0053】
「スイッチング素子短絡診断1」を終えると、ステップS52からステップS53に移行し、モータ駆動回路41の各スイッチング素子Q1〜Q4がそれぞれ正常な場合にはステップS55へ進み、スイッチング素子Q1〜Q4のいずれかが短絡している場合にはステップS54に移行して、スイッチング素子Q1〜Q4のいずれかが短絡していると診断結果を出し、4番端子を経由して図10に示すように終了する。すなわち、解除の前にモータ駆動回路41のスイッチング素子Q1〜Q4のいずれかが短絡しているので、パーキングブレーキの解除はせずに故障診断を終了する。
【0054】
ステップS53において、スイッチング素子Q1〜Q4の短絡診断の結果、正常な場合はステップS55に移行し、制御部34がモータ駆動回路41のスイッチング素子Q2をオンにし、他のスイッチング素子Q1、Q3、Q4をオフにする。そして、ステップS56に移行して「モータ断線診断」を行なう。この「モータ断線診断」も上記と同様なので説明は省略する。
【0055】
ステップS56において、「モータ断線診断」が終了してステップS57に移行し、モータ11側に断線があった場合にはステップS58に移行する。ステップS58では、制御部34はモータ駆動回路41の各スイッチング素子Q1〜Q4をオフにし、ステップS59で診断結果を断線とし、4番端子を介して図10に示すように故障診断を終了し、適切なフェールセーフを実施する。
【0056】
ステップS57において、モータ11側の断線が無く正常な場合には、ステップS60に移行して、制御部34はモータ駆動回路41のスイッチング素子Q2とスイッチング素子Q3をオンにすると共に、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q4をオフにしてモータ11を逆転駆動する。
そして、ステップS60からステップS61に移行して「動作中診断」を行なう。このステップS61での「動作中診断」では、荷重センサ15から出力されるケーブル張力と、電流測定用端子43において流れる電流とを監視してモータ11の拘束、モータ11側の断線、スイッチング素子Q1〜Q4の短絡の可能性について診断を行なう。この「動作中診断」も上記と同様なので説明は省略する。
【0057】
ステップS62において、モータ11、スイッチング素子Q1〜Q4の異常があると判断した場合には、ステップS62からステップS63に移行し、モータ駆動回路41のスイッチング素子Q1〜Q4を制御部34がオフにする。そして、ステップS63からステップS64に進む。
ここで、ステップS2からステップS14までの故障診断の回数を予め設定しておき、設定した回数(N回)になるまで故障診断を行なう。そして、図8のステップS64に示しているリトライ回数は、上記設定した故障診断の回数をいい、設定した故障診断の回数に達した場合には、3番端子を介して図9に示すステップS69に移行する。
【0058】
図8のステップS64において、リトライ回数(故障診断の設定回数)に達していない場合には、ステップS65に移行して現在の故障診断の回数にプラス1して、ステップS52に戻り、設定した故障診断回数に達するまでこれを繰り返す。
【0059】
一方、ステップS62において、故障診断の結果、正常の場合にはステップS66に進み、ケーブル張力判断部31において荷重センサ15からのケーブル張力が目標張力(図2(b)に示す目標ケーブル戻し張力(TL)参照)に到達したか否かを判断する。目標張力に達していない場合は、ステップS61に戻り、制御部34はモータ回転制御部32を制御して、モータ駆動回路41のスイッチング素子Q2とスイッチング素子Q3をオンし、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q4をオフしてモータ11を逆転駆動する。
そして、ステップS61からステップS66へと動作を繰り返して、ケーブル張力が目標張力に達した場合にはステップS67へ移行する。
【0060】
ステップS67では、制御部34がモータ駆動回路41のスイッチング素子Q3をオフとする。この状態では、スイッチング素子Q2はオンで、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q4はオフである。そして、ステップS68に移行してスイッチング素子Q1をオンにする。
この状態ではスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2がオンで、スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4がオフであり、これはモータ11の端子間を短絡してモータ11にブレーキをかけている状態である。そして、2番端子から図10に示すステップS79に移行する。
【0061】
次に、図9に示すステップS69以降について説明する。図8に示すステップS15において、故障診断の回数が予め設定した回数に達した以降は、ステップS69において、「スイッチング素子短絡診断1」を行なう。この「スイッチング素子短絡診断1」はステップS52の場合と同じであるので、説明は省略するが、モータ駆動回路41のスイッチング素子Q1〜Q4が正常か、短絡しているかを診断する。
【0062】
「スイッチング素子短絡診断1」を終えた後に、ステップS69からステップS70へ移行し、診断結果が正常でない場合には、ステップS71に移行して故障がスイッチング素子Q1〜Q4の短絡であると診断し、4番端子から図10に示すように故障診断を終了し、適切なフェールセーフを実施する。
診断結果が正常の場合には、ステップS70からステップS72に移行し、制御部34は、モータ駆動回路41のスイッチング素子Q2をオン、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をオフとして、ステップS73に移行してモータ11の断線診断を行なう。このステップS73における「モータ断線診断」もステップS56の場合と同様なので説明は省略する。
【0063】
ステップS73からステップS74に移行して、モータ11側が断線していると故障判断部33が診断した場合には、ステップS74からステップS75に進んで制御部34はモータ駆動回路41のスイッチング素子Q1〜Q4をオフとし、診断結果がモータ11側が断線していると判断する(ステップS76参照)。そして、4番端子を介して故障診断を終了し(図10参照)、適切なフェールセーフを実施する。
【0064】
一方、ステップS74において、診断結果が正常な場合(モータ11の断線が無し)は、ステップS77に移行して制御部34はモータ駆動回路41のスイッチング素子Q1〜Q4をオフにする。この図9のフローは図8のステップS62において、モータ11が拘束されていると診断された後のフローであるので、ステップS77からステップS78に移行し、モータ11が拘束されているとの診断結果とする。そして、4番端子を介して故障診断を終了し(図10参照)、適切なフェールセーフを実施する。
【0065】
次に、図10に示すステップS79以降のフローについて説明する。図8に示すステップS68はモータ11にブレーキをかけている状態であり、この状態でステップS79に示すように「スイッチング素子短絡診断2」を行なう。この「スイッチング素子短絡診断2」も上記と同様なので説明は省略する。
【0066】
「スイッチング素子短絡診断2」における診断後は、ステップS79からステップS80に移行し、正常でない場合にはステップS81に移行してスイッチング素子Q1〜Q4が短絡していると診断して故障診断を終了し、適切なフェールセーフを実施する。
【0067】
また、ステップS80において、診断結果が正常な場合にはステップS82に移行して、ブレーキをかけている時間に達するまでこれを繰り返し、ブレーキンギ時間が経過すればステップS83に移行する。ステップS83では、制御部34がモータ駆動回路41のスイッチング素子Q1〜Q4をオフにし、ステップS84に進む。
ステップS84では「スイッチング素子短絡診断1」を行なう。この「スイッチング素子短絡診断1」は上記と同様なので説明は省略する。
【0068】
そして、ステップS84からステップS85に移行し、上記「スイッチング素子短絡診断1」の結果、スイッチング素子Q1〜Q4が短絡していると診断した場合にはステップS81に進み、スイッチング素子Q1〜Q4が短絡していない正常な場合には、故障診断を終了する。
【符号の説明】
【0069】
1 制御装置
2 アクチュエータ
3 ケーブル
4 ブレーキアッセンブリ
11 モータ
15 荷重センサ
32 モータ回転制御部
33 故障判断部
40 電圧検出回路
41 モータ駆動回路
43 電流測定用端子
M1 第一端子
M2 第二端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正逆回転駆動によりケーブル(3)を介してブレーキアッセンブリ(4)を作動状態または解除状態とするモータ(11)と、前記ケーブル(3)に加えられる張力を検出する荷重センサ(15)とを備えた電動パーキングブレーキの故障診断装置であって、
前記モータ(11)の回転駆動を制御する制御装置(1)を備え、
前記制御装置(1)は、スイッチング素子により構成されたブリッジ回路の平衡点に前記モータ(11)が接続されたモータ駆動回路(41)を有し、
前記モータ駆動回路(41)において、
前記モータ(11)の第一端子(M1)が正側第一スイッチング素子(Q1)と負側第一スイッチング素子(Q3)との接続点に接続され、前記モータ(11)の第二端子(M2)が正側第二スイッチング素子(Q2)と負側第二スイッチング素子(Q4)との接続点に接続され、
前記第一端子(M1)には電圧検出回路(40)が接続され、
前記負側第一スイッチング素子(Q3)と前記負側第二スイッチング素子(Q4)との間に電流測定用端子(43)を備え、
前記モータ(11)の駆動により前記ケーブル(3)に与えられたケーブル張力が、前記荷重センサ(15)からの荷重信号により所定値のケーブル張力以上であることを判断するケーブル張力判断部(31)と、
前記ケーブル張力が所定値以下の場合に、前記正側第一スイッチング素子(Q1)及び前記負側第二スイッチング素子(Q4)をONとし、前記正側第二スイッチング素子(Q2)及び負側第一スイッチング素子(Q3)をOFFとするモータ正回転制御、または前記正側第二スイッチング素子(Q2)及び負側第一スイッチング素子(Q3)をONとし、前記正側第一スイッチング素子(Q1)及び負側第二スイッチング素子(Q4)をOFFとするモータ逆回転制御とするモータ回転制御部(32)と、
前記モータ正回転制御または前記モータ逆回転制御における前記電流測定用端子(43)での電流値が0の場合には前記モータ駆動回路(41)の断線と判断し、該電流値が所定値である場合にはモータ(11)の拘束発生と判断し、該電流値が大電流である場合には前記モータ駆動回路(41)の短絡発生と判断する故障判断部(33)を備えていることを特徴とする電動パーキングブレーキの故障診断装置。
【請求項2】
前記故障判断部(33)が、前記正側第一スイッチング素子(Q1)、前記負側第一スイッチング素子(Q3)及び前記負側第二スイッチング素子(Q4)をOFFとし、前記正側第二スイッチング素子(Q2)をONとして、前記電圧検出回路(40)の電圧を測定して前記モータ(11)の断線を判断していることを特徴とする請求項1に記載の電動パーキングブレーキの故障診断装置。
【請求項3】
前記ケーブル張力が所定値以上であった場合に、前記故障判断部(33)が、前記正側第一スイッチング素子(Q1)と前記正側第二スイッチング素子(Q2)とをONとし、前記負側第一スイッチング素子(Q3)と前記負側第二スイッチング素子(Q4)とをOFFとして、前記モータ(11)のブレーキをかけるとともに、前記電流測定用端子(43)での電流値を監視して前記負側第一スイッチング素子(Q3)と前記負側第二スイッチング素子(Q4)との短絡を監視することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動パーキングブレーキの故障診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−11877(P2012−11877A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149620(P2010−149620)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(390000996)株式会社ハイレックスコーポレーション (362)
【Fターム(参考)】