説明

電動式パワーステアリング装置

【課題】電動式パワーステアリング装置の減速機において、駆動ギヤと従動ギヤの噛み合いを安定化させる。
【解決手段】ハウジング10に組み付けられた電動モータ40の出力軸42の回転は、減速機50により減速され、この減速された回転がボールねじ機構30によりラックバー20の軸方向の変位に変換されて、ラックバー20に操舵力が付与される。減速機50は、電動モータ40の出力軸42に連結された円錐状の駆動ギヤ51と、ボールねじ機構30のナット32に連結された円錐状の従動ギヤ52と、駆動ギヤ51を軸方向に移動可能とする弾性継手43およびゴム55(移動許容手段)を備える。また、減速機50は、駆動ギヤ51を大径部51a側から小径部51b側へ向けて付勢して、従動ギヤ52と弾発的に噛み合わせる各スプリング56、スプリングリテーナ57および調整ねじ58(付勢機構)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式パワーステアリング装置に係り、特に、電動モータの出力軸の回転を減速するための減速機を備えた電動式パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電動式パワーステアリング装置の一つとして、ハウジングに組み付けられた電動モータの出力軸の回転が減速機により減速され、この減速された回転が変位変換機構によりラックバーの軸方向の変位に変換されて、同ラックバーに軸力が付与されるように構成されたものがあり、例えば、下記特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2005−145431号公報
【0003】
上記特許文献1に記載された電動式パワーステアリング装置においては、減速機が、電動モータの出力軸に支持軸を介して連結された駆動ギヤと、変位変換機構の入力部材としてのボールねじ機構のナットに連結された従動ギヤを備えている。駆動ギヤは、支持軸および円筒状の調整カラーを介してハウジングに取り付けられている。調整カラーは、中心軸から所定量偏心した支持孔を有しており、この支持孔にて支持軸が回転可能に支持されている。
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載された電動式パワーステアリング装置においては、以下のようにして駆動ギヤと従動ギヤ間のバックラッシが調整されるようになっている。まず、電動モータの出力軸と駆動ギヤの支持軸を連結する前に、駆動ギヤを支持軸および調整カラーを介してハウジングに組み付け、従動ギヤと噛み合わせる。次に、調整カラーを所定角度回転させ、駆動ギヤと従動ギヤ間のバックラッシを所定量に設定する。バックラッシの設定後、電動モータの出力軸と駆動ギヤの支持軸を連結するとともに、設定後の組み付け位置に応じて電動モータ本体をハウジングに組み付ける。
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載された電動式パワーステアリング装置では、駆動ギヤと従動ギヤ間のバックラッシを調整するに際して、常に電動モータ本体をハウジングから取り外す作業が必要であり、駆動ギヤと従動ギヤ間のバックラッシを所定値に設定した後、再度電動モータ本体をハウジングに組み付ける作業が必要であって、作業が煩雑である。また、駆動ギヤと従動ギヤ間のバックラッシを所定値に設定したとしても、減速機の減速比が大きく設定されていること等により、駆動ギヤと従動ギヤ間の僅かながたつきに起因して、駆動ギヤと従動ギヤの噛み合いが不安定になり易く、噛み合い時に異音、振動の発生するおそれが高い。
【発明の開示】
【0006】
したがって、本発明では、上記問題に対処するために、駆動ギヤと従動ギヤ間のバックラッシの調整作業が極めて容易であり、しかも駆動ギヤと従動ギヤの噛み合いが安定化し得る電動式パワーステアリング装置を提供することをその目的としている。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明においては、ハウジングに組み付けられた電動モータの出力軸の回転が減速機により減速され、この減速された回転が変位変換機構によりラックバーの軸方向の変位に変換されて、同ラックバーに軸力(軸方向の力)が付与されるように構成された電動式パワーステアリング装置において、前記減速機は、前記電動モータの出力軸に連結された円錐状の駆動ギヤと、前記変位変換機構の入力部材に連結されて前記駆動ギヤに噛み合う円錐状の従動ギヤと、前記駆動ギヤおよび前記従動ギヤのうちの少なくとも一方のギヤを軸方向に移動可能とする移動許容手段と、前記移動許容手段によって軸方向に移動可能とされた前記ギヤを大径部側から小径部側へ向けて軸方向に付勢して前記両ギヤを弾発的に噛み合わせる付勢手段とを備えていることに特徴がある。この場合において、前記移動許容手段は、例えば、前記駆動ギヤを同駆動ギヤを支持する支持軸と共に軸方向へ移動可能とする構成を備えていることも可能であり、前記駆動ギヤを同駆動ギヤを支持する支持軸に対して軸方向へ移動可能とする構成を備えていることも可能である。また、前記移動許容手段は、例えば、前記駆動ギヤを同駆動ギヤを支持する支持軸と共に径方向へも移動可能とする構成を備えていることも可能である。
【0008】
この電動式パワーステアリング装置では、駆動ギヤと従動ギヤが何れも円錐状に形成され、両ギヤのうちの少なくとも一方のギヤが付勢手段により大径部側から小径部側へ向けて軸方向に付勢されて、両ギヤが弾発的に噛み合わされる。したがって、付勢手段の軸方向への付勢力により、両ギヤの噛み合い角度に応じて噛み合い方向(径方向)の力の分力が発生するので、両ギヤの噛み合いが強められるとともに、両ギヤが弾発的に噛み合わされるようになる。このため、両ギヤ間のバックラッシが自動的に所定大きさに維持され、両ギヤの噛み合いを安定化させることが可能である。これにより、付勢手段による付勢力が所定値に維持されている長期に渡って、両ギヤ間のバックラッシを所定大きさに設定する作業は勿論のこと、電動モータ本体のハウジングからの取り外し作業およびハウジングへの取り付け作業が不要となる。
【0009】
また、本発明の実施に際して、前記付勢手段は、前記一方のギヤを大径部側から小径部側へ向けて軸方向に付勢する付勢力を調整可能な調整機構を備えていることも可能である。
【0010】
この場合には、付勢手段が付勢力を調整可能な調整機構付きとされている。したがって、付勢手段による付勢力が所定値に維持されなくなった場合には、調整機構の操作により、付勢手段による付勢力を容易に所定値に設定することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る電動式パワーステアリング装置の要部を概略的に示していて、この第1実施形態に電動式パワーステアリング装置においては、車両の左右方向に延設されて車体(図示省略)に組み付けられるハウジング10にラックバー20、ボールねじ機構30、電動モータ40および減速機50が組み付けられている。
【0012】
ラックバー20は、ハウジング10にて車両の左右方向(ラックバー20の軸方向)に移動可能かつ回転不能に組み付けられている。このラックバー20は、ラックギヤ(図示省略)にて入力軸のピニオン(図示省略)と軸力伝達可能に係合されるとともに、ハウジング10を貫通した左右両端にてタイロッド、ナックルアーム(図示省略)などを介して転舵輪((図示省略)に軸力伝達可能に連結されている。
【0013】
ボールねじ機構30は、ラックバー20と同軸的に設けられていて、ねじ軸31、ナット32および多数のボール33で構成されている。ねじ軸31は、ラックバー20と一体に形成されている。ナット32は、ねじ軸31の外周にて軸受34,35を介してハウジング10にねじ軸31の軸回りに回転可能かつ車両の左右方向へ移動不能に組み付けられている。多数のボール33は、ねじ軸31の外周に形成した螺旋溝とナット32の内周に形成した螺旋溝間にて回転自在に保持されている。
【0014】
電動モータ40は、その電動モータ本体41にてハウジング10の外壁に固定されていて、ロータ(図示省略)の回転が出力軸42を介して外部に出力される。出力軸42は、弾性継手43を介して後述する駆動ギヤ51を支持する支持軸53にトルク伝達可能に連結されている。弾性継手43は、互いに係合可能な凹凸形状を有する一対の弾性体が結合して構成された周知のものであり、その弾性変形に応じて、出力軸42に対する支持軸53の軸方向および径方向への所定量の移動が許容されている。
【0015】
減速機50は、電動モータ40の出力軸42とボールねじ機構30のナット32間に介装されていて、駆動ギヤ51および従動ギヤ52を備えている。駆動ギヤ51および従動ギヤ52は、所定の減速ギヤ比に設定された平行軸仕様の円錐歯車であり、駆動ギヤ51が支持軸53と同軸に一体的に固定され、従動ギヤ52がナット32と同軸に一体的に固定されている。これにより、電動モータ40の出力軸42の回転が減速機50により減速され、この減速された回転がボールねじ機構30によりラックバー20の軸方向の変位に変換されて、ラックバー20に軸力(軸方向の力)が付与される。ボールねじ機構30は、変位変換機構としての機能を果たし、ナット32は、変位変換機構の入力部材としての機能を果たす。
【0016】
支持軸53は、駆動ギヤ51を軸方向に貫通していて、駆動ギヤ51の大径部51a側の端部にて軸受54を介してハウジング10に軸線回りに回転可能に組み付けられている。軸受54の外輪の外周とハウジング10間には、ゴム55が介装されており、ゴム55の弾性変形に応じて軸受54の軸方向および径方向への所定量の移動が許容されている。
【0017】
また、軸受54の外輪の端面とハウジング10間には、一対のスプリング56,56およびスプリングリテーナ57が介装されている。各スプリング56は、所定の押し付け力が維持されるように、軸受54とスプリングリテーナ57間に所定の圧縮状態で介装されていて、軸受54および支持軸53を介して駆動ギヤ51を大径部51a側から小径部51b側へ向けて軸方向に付勢している。
【0018】
これにより、ゴム55および弾性継手43の軸方向への弾性変形に伴って、駆動ギヤ51が支持軸53および軸受54と共に電動モータ40の出力軸42に向けて軸方向へ所定量移動している。また、ゴム55および弾性継手43が径方向へ弾性変形した場合には、駆動ギヤ51が支持軸53および軸受54と共に径方向へも移動可能とされている。ゴム55および弾性継手43は、移動許容手段としての機能を果たす。
【0019】
スプリングリテーナ57は、調整ねじ58、図示を省略するガイド等と共にハウジング10に組み付けられている。調整ねじ58は、ハウジング10に形成された雌ねじ部10aとねじ結合していて、調整ねじ58の回転操作に応じてスプリングリテーナ57が支持軸53の軸方向に移動可能とされている。これにより、ハウジング10の外側からの調整ねじ58の回転操作に応じて、各スプリング56の押し付け力が調整可能とされている。各スプリング56、スプリングリテーナ57および調整ねじ58は、付勢手段としての機能を果たし、スプリングリテーナ57、調整ねじ58およびハウジング10の雌ねじ部10aは、調整機構としての機能をも果たす。
【0020】
上記のように構成した第1実施形態においては、ハウジング10に電動モータ40および減速機50が組み付けられた状態で、各スプリング56の軸方向への押し付け力が、軸受54から支持軸53を経て駆動ギヤ51に伝達されて、駆動ギヤ51が電動モータ40の出力軸42に向けて軸方向へ所定量移動している。したがって、駆動ギヤ51と従動ギヤ52の噛み合い角度に応じて噛み合い方向(径方向)の力の分力が発生するので、両ギヤ51,52の噛み合いが強められるとともに、両ギヤ51,52が弾発的に噛み合わされるようになる。このため、両ギヤ51,52間のバックラッシが自動的に所定大きさに維持され、両ギヤ51,52の噛み合いが安定化する。
【0021】
その結果、各スプリング56による押し付け力が所定値に維持されている長期に渡って、駆動ギヤ51と従動ギヤ52間のバックラッシを所定大きさに設定する作業は勿論のこと、電動モータ本体41のハウジング10からの取り外し作業およびハウジング10への取り付け作業が不要となる。
【0022】
また、上記第1実施形態では、減速機50の減速比を大きく設定する等のために、従動ギヤ52に比して小さく形成された駆動ギヤ51を、付勢手段として機能する各スプリング56、スプリングリテーナ57および調整ねじ58により大径部51a側から小径部51b側へ向けて軸方向に付勢するようにしたので、付勢手段をコンパクトに構成することができる。
【0023】
また、上記第1実施形態では、各スプリング56が有する衝撃吸収特性により、両ギヤ51,52の噛み合い時に発生する衝撃が効果的に吸収されて、噛み合い時における音、振動の発生が抑制される。また、両ギヤ51,52の噛み合い精度や組み付け精度に起因して、両ギヤ51,52の噛み合い部に径方向への突発的な力が作用した場合であっても、その力がゴム55および弾性継手43の弾性変形により効果的に吸収される。
【0024】
また、上記第1実施形態では、各スプリング56が、軸受54の外輪(非回転部)とスプリングリテーナ57間に介装されており、支持軸53および駆動ギヤ51の回転の影響を受け難くされている。したがって、各スプリング56の耐久性が確保されるので、各スプリング56の押し付け力がより長期に渡って所定値に維持されて、両ギヤ51,52間のバックラッシの調整作業が一層長い期間不要となる。そして、各スプリング56による付勢力が所定値に維持されなくなった場合には、ハウジング10の外側の調整ねじ58の回転操作により、各スプリング56による付勢力を容易に所定値に設定することができる。なお、スプリング56を複数個用いることで、押し付け力の調整自由度を高くすることができるが、使用するスプリングの数は適宜変更可能であり、例えば1個だけ使用するようにして、部品点数を減らすようにしてもよい。
【0025】
上記第1実施形態においては、駆動ギヤ51が支持軸53と共に軸方向へ移動可能とされるように構成して実施したが、これに代えて、例えば図2に示すように、駆動ギヤ51が支持軸53に対して軸方向へ移動可能とされるように構成して実施することも可能である。なお、この第2実施形態の他の構成については、上記第1実施形態と同様であるので、上記第1実施形態と同じ機能を果たす部材には同一の符号を付して、説明を省略する。
【0026】
この第2実施形態においては、駆動ギヤ51と支持軸53がスプライン結合Sにより連結されていて、駆動ギヤ51が支持軸53に対して軸方向に移動可能かつ軸回りに回転不能とされている。スプライン結合Sは、移動許容手段としての機能を果たす。また、駆動ギヤ51とハウジング10間には、スプリング61、スプリングリテーナ62および調整ねじ63が介装されている。
【0027】
スプリング61は、所定の押し付け力が維持されるように、駆動ギヤ51の大径部51aとスプリングリテーナ62間に所定の圧縮状態で介装されていて、駆動ギヤ51を大径部51a側から小径部51b側へ向けて軸方向に押し付けている。なお、支持軸53の軸受54側の端部外周には、駆動ギヤ51の小径部51bと係合可能なストッパ53aが一体的に設けられていて、スプリング61の押し付け力に伴う駆動ギヤ51の軸受54側への最大移動量が規定されるようになっている。
【0028】
スプリングリテーナ62は、支持軸53の外径より大きな内径の中心孔62aを有する円板状をなし、その中心孔62aにて支持軸53を挿通させ、その外周部にて調整ねじ63に中心線回りに回転可能に組み付けられている。調整ねじ63は、円環状をなし、その内周に形成された円環溝63aにてスプリングリテーナ62を回転可能に支持しており、その外周に形成された雄ねじ部63bにてハウジング10に形成された雌ねじ部10bと軸方向に移動可能にねじ結合している。なお、調整ねじ63は、ハウジング10の外側から回転操作可能とされている。
【0029】
これにより、ハウジング10の外側からの調整ねじ63の回転操作に応じて、スプリング61の押し付け力が調整可能とされている。スプリング61、スプリングリテーナ62および調整ねじ63は、付勢手段としての機能を果たし、スプリングリテーナ62、調整ねじ63およびハウジング10の雌ねじ部10bは、調整機構としての機能を果たす。
【0030】
上記のように構成した第2実施形態においては、駆動ギヤ51と支持軸53とがスプライン結合Sにより、軸方向へ相対移動可能かつ軸回りに相対回転不能とされている。したがって、支持軸53と共に駆動ギヤ51が回転する点は、上記第1実施形態と同じであるが、駆動ギヤ51と共にスプリング61およびスプリングリテーナ62が軸回りに回転する点で、上記第1実施形態とは異なる。
【0031】
この第2実施形態においては、駆動ギヤ51のみをスプリング61により大径部51a側から小径部51b側へ向けて軸方向に直に付勢するようにしたので、上記第1実施形態に比して、付勢手段としてのスプリング61の押し付け力を小さく設定することができる。また、この第2実施形態においても、スプリング61が有する衝撃吸収特性により、両ギヤ51,52の噛み合い時における音、振動の発生が抑制される。また、両ギヤ51,52の噛み合い部に径方向への突発的な力が作用した場合であっても、その力がゴム55および弾性継手43の弾性変形により効果的に吸収される。
【0032】
上記第1実施形態および第2実施形態では、軸受54をゴム55を介してハウジング10に組み付けて、駆動ギヤ51の軸方向への移動が許容されるようにした。しかし、これに加えてまたは変えて、例えば従動ギヤ52をゴム等の弾性体を介してナット32に結合して、従動ギヤ52の軸方向への移動が許容されるように構成して実施することも可能である。
【0033】
また、上記第1実施形態等では、軸受54をゴム55を介してハウジング10に組み付けて、駆動ギヤ51の径方向への移動が許容されるようにした。しかし、これに加えてまたは変えて、例えば軸受34,35をゴム等の弾性体を介してハウジング10に組み付けて、従動ギヤ52の径方向への移動が許容されるように構成して実施することも可能であり、また従動ギヤ52とナット32間にゴム等の弾性体を介装して、従動ギヤ52の径方向への移動が許容されるように構成して実施することも可能である。これによれば、駆動ギヤ51と従動ギヤ52の噛み合い精度や組み付け精度に起因して、駆動ギヤ51と従動ギヤ52の噛み合い部に径方向への突発的な力が作用した場合には、その力が前記弾性体の弾性変形により吸収されるようになる。
【0034】
また、上記各実施形態等では、駆動ギヤおよび従動ギヤとして、平行軸仕様の円錐歯車51,52を用いて実施したが、駆動ギヤおよび従動ギヤとして、例えば交差軸仕様の円錐歯車を用いて実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電動式パワーステアリング装置の要部を概略的に示す正面断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る電動式パワーステアリング装置の要部を概略的に示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0036】
10…ハウジング、10a…雌ねじ部(調整機構)、20…ラックバー、30…ボールねじ機構(変位変換機構)、31…ねじ軸、32…ナット(入力部材)、33…ボール、40…電動モータ、42…出力軸、43…弾性継手(移動許容手段)、50…減速機、51…駆動ギヤ、51a…大径部、51b…小径部、52…従動ギヤ、53…支持軸、54…軸受、55…ゴム(移動許容手段)、56…スプリング(付勢手段)、57…スプリングリテーナ(付勢手段、調整機構)、58…調整ねじ(付勢手段、調整機構)、S…スプライン結合(移動許容手段)、61…スプリング(付勢手段)、62…スプリングリテーナ(付勢手段、調整機構)、63…調整ねじ(付勢手段、調整機構)、10b…雌ねじ部(調整機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングに組み付けられた電動モータの出力軸の回転が減速機により減速され、この減速された回転が変位変換機構によりラックバーの軸方向の変位に変換されて、同ラックバーに軸力が付与されるように構成された電動式パワーステアリング装置において、
前記減速機は、前記電動モータの出力軸に連結された円錐状の駆動ギヤと、前記変位変換機構の入力部材に連結されて前記駆動ギヤに噛み合う円錐状の従動ギヤと、前記駆動ギヤおよび前記従動ギヤのうちの少なくとも一方のギヤを軸方向に移動可能とする移動許容手段と、前記移動許容手段によって軸方向に移動可能とされた前記ギヤを大径部側から小径部側へ向けて軸方向に付勢して前記両ギヤを弾発的に噛み合わせる付勢手段とを備えていることを特徴とする電動式パワーステアリング装置。
【請求項2】
請求項1に記載した電動式パワーステアリング装置において、
前記移動許容手段は、前記駆動ギヤを同駆動ギヤを支持する支持軸と共に軸方向へ移動可能とする構成を備えていることを特徴とする電動式パワーステアリング装置。
【請求項3】
請求項1に記載した電動式パワーステアリング装置において、
前記移動許容手段は、前記駆動ギヤを同駆動ギヤを支持する支持軸に対して軸方向へ移動可能とする構成を備えていることを特徴とする電動式パワーステアリング装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちの何れか一つに記載した電動式パワーステアリング装置において、
前記移動許容手段は、前記駆動ギヤを同駆動ギヤを支持する支持軸と共に径方向へも移動可能とする構成を備えていることを特徴とする電動式パワーステアリング装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちの何れか一つに記載した電動式パワーステアリング装置において、
前記付勢手段は、前記一方のギヤを大径部側から小径部側へ向けて軸方向に付勢する付勢力を調整可能な調整機構を備えていることを特徴とする電動式パワーステアリング装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−168613(P2007−168613A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−369038(P2005−369038)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】