説明

電圧変換装置の制御装置及び制御方法

【課題】電圧変換装置の電圧変換比を制限する制御をより適切に行う。
【解決手段】バッテリの電圧Vb及び電流Ibに基づいてバッテリのSOCを算出し(S104)、バッテリのSOCからバッテリ起電圧Vboを算出する(S106)。バッテリ起電圧VboとDC/DCコンバータの出力側に接続されたコンデンサの電圧Vcとに基づいてバッテリの出力が最大となるときのデューティ比D(=Vbo/2Vc)を最適デューティ範囲DRの下限値DLとして設定することで(S110)、下限値DLをバッテリのSOCに応じて変化させる。そして、デューティ比Dが最適デューティ範囲DR内に入るように、デューティ比Dに制限を加えてDC/DCコンバータを駆動制御する(S112,S114,S118)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧変換装置の制御装置及び制御方法に関し、特に、スイッチング素子へのスイッチング制御信号のデューティ比の調整により電圧変換比の制御が可能な電圧変換装置の制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電圧変換装置を備えた駆動システムとして、駆動システムの電力源としてのバッテリと、バッテリからの入力電圧をDC/DC変換するDC/DCコンバータと、DC/DCコンバータからの出力を多相交流電力に変換するインバータ回路およびインバータ回路からの多相交流電力を受けて回転駆動するモータからなる負荷と、DC/DCコンバータと負荷との間に配置されインバータ回路の正負極母線間に接続されたコンデンサと、を備えるものが提案されている(例えば下記特許文献1)。このシステムでは、バッテリからの入力電圧をDC/DCコンバータによりDC/DC変換してコンデンサに蓄電すると共に蓄電されたコンデンサを直流電源とみなして負荷を駆動している。また、DC/DCコンバータ内のスイッチング素子へ出力するスイッチング制御信号のデューティ比の調整により、DC/DCコンバータの電圧変換比を制御することができる。
【0003】
その他にも、下記特許文献2の電圧変換装置の制御装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−112904号公報
【特許文献2】国際公開第03/61104号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうしたシステムでは、例えば以下に説明する理由により、スイッチング制御信号のデューティ比を制限することで、DC/DCコンバータの電圧変換比を制限する制御を行う必要が出てくる。バッテリは、一般的には、負荷要求出力に相当する電力を供給可能に設計されているが、バッテリの状態によっては、例えば、気温低下によりバッテリの内部抵抗が上昇したときには、負荷要求出力に応じた電力をバッテリから出力させることができない場合も考えられる。この場合に、単純に負荷要求出力に相当する電力が負荷に供給されるようにDC/DCコンバータを駆動制御しようとすると、バッテリの内部抵抗により消費される電力が大きくなり、却って負荷に供給する電力を低下させる場合もある。そこで、負荷への供給電力の低下を抑えるために、スイッチング制御信号のデューティ比を制限する必要が出てくる。
【0006】
特許文献2の電圧変換装置の制御装置は、バッテリの起電圧(定数として設定)とDC/DCコンバータの出力電圧とに基づきバッテリの出力が最大となるときのデューティ比を最適デューティ範囲の下限値として設定し、スイッチング素子へのスイッチング制御信号のデューティ比が最適デューティ範囲内となるようにデューティ比に制限を加えている。特許文献2の電圧変換装置の制御装置は、このデューティ比の制限により、負荷への供給電力の低下を抑えている。
【0007】
ただし、特許文献2においては、バッテリの起電圧を定数として設定している。そのため、バッテリの充電状態(SOC)の変化に対して起電圧が変化する場合は、バッテリの充電状態(SOC)の変動に対して最適デューティ範囲の下限値が変動してしまう。したがって、特許文献2においては、DC/DCコンバータの電圧変換比を制限する制御を最適に行うことが困難であるという問題点がある。
【0008】
本発明は、電圧変換装置の電圧変換比を制限する制御をより適切に行うことができる電圧変換装置の制御装置及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電圧変換装置の制御装置及び制御方法は、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
【0010】
本発明に係る電圧変換装置の制御装置は、充放電可能な蓄電器からの直流電圧をスイッチング素子のスイッチング動作により所望の電圧に変換して出力する電圧変換装置にて用いられ、スイッチング素子へのスイッチング制御信号のデューティ比の調整により電圧変換比の制御が可能な電圧変換装置の制御装置であって、スイッチング制御信号のデューティ比に対する蓄電器の出力特性に基づいて、該デューティ比の許容範囲を設定する許容範囲設定手段と、スイッチング制御信号のデューティ比が前記許容範囲内に入るように、該デューティ比を制限するデューティ比制限手段と、蓄電器の充電状態を取得する充電状態取得手段と、を有し、前記許容範囲設定手段は、蓄電器の充電状態の変化に対して前記許容範囲を変更することを要旨とする。
【0011】
本発明に係る電圧変換装置の制御装置において、前記許容範囲設定手段は、蓄電器の充電状態の変化に対して前記許容範囲における下限値を変更し、前記デューティ比制限手段は、スイッチング制御信号のデューティ比が前記下限値以上になるように、該デューティ比を制限するものとすることもできる。この本発明に係る電圧変換装置の制御装置において、前記許容範囲設定手段は、蓄電器の充電状態が満充電状態に近づく変化に対して前記下限値を増大させるものとすることもできる。この本発明に係る電圧変換装置の制御装置において、前記電圧変換装置は、スイッチング制御信号のデューティ比の減少に対して電圧変換比が増大する装置であり、前記下限値は、前記蓄電器の出力特性における最大出力に対応するデューティ比に略等しいものとすることもできる。
【0012】
本発明に係る電圧変換装置の制御装置において、前記許容範囲設定手段は、蓄電器の充電状態の変化に対して前記許容範囲における上限値を変更し、前記デューティ比制限手段は、スイッチング制御信号のデューティ比が前記上限値以下になるように、該デューティ比を制限するものとすることもできる。この本発明に係る電圧変換装置の制御装置において、前記許容範囲設定手段は、蓄電器の充電状態が満充電状態に近づく変化に対して前記上限値を増大させるものとすることもできる。この本発明に係る電圧変換装置の制御装置において、蓄電器の内部抵抗を取得する内部抵抗取得手段をさらに有し、前記許容範囲設定手段は、蓄電器の内部抵抗の変化に対して前記許容範囲における上限値を変更するものとすることもできる。この本発明に係る電圧変換装置の制御装置において、前記許容範囲設定手段は、蓄電器の内部抵抗の増大に対して前記許容範囲における上限値を増大させるものとすることもできる。
【0013】
また、本発明に係る電圧変換装置の制御装置は、充放電可能な蓄電器からの直流電圧をスイッチング素子のスイッチング動作により所望の電圧に変換して出力する電圧変換装置にて用いられ、スイッチング素子へのスイッチング制御信号のデューティ比の調整により電圧変換比の制御が可能な電圧変換装置の制御装置であって、蓄電器の電流が所定の設定範囲内に入るように、スイッチング制御信号のデューティ比の許容範囲を設定する許容範囲設定手段と、スイッチング制御信号のデューティ比が前記許容範囲内に入るように、該デューティ比を制限するデューティ比制限手段と、蓄電器の充電状態を取得する充電状態取得手段と、を有し、前記許容範囲設定手段は、蓄電器の充電状態の変化に対して前記許容範囲を変更することを要旨とする。
【0014】
また、本発明に係る電圧変換装置の制御装置は、充放電可能な蓄電器からの直流電圧をスイッチング素子のスイッチング動作により所望の電圧に変換して出力する電圧変換装置にて用いられ、スイッチング素子へのスイッチング制御信号のデューティ比の調整により電圧変換比の制御が可能な電圧変換装置の制御装置であって、蓄電器の電流を検出する電流検出手段と、蓄電器の電流に対する出力特性に基づいて、蓄電器の電流の許容範囲を設定する許容範囲設定手段と、蓄電器の電流が前記許容範囲内に入るように、スイッチング制御信号のデューティ比を制限するデューティ比制限手段と、蓄電器の充電状態を取得する充電状態取得手段と、を有し、前記許容範囲設定手段は、蓄電器の充電状態の変化に対して前記許容範囲を変更することを要旨とする。
【0015】
また、本発明に係る電圧変換装置の制御装置は、充放電可能な蓄電器からの直流電圧をスイッチング素子のスイッチング動作により所望の電圧に変換して出力する電圧変換装置にて用いられ、スイッチング素子へのスイッチング制御信号のデューティ比の調整により電圧変換比の制御が可能な電圧変換装置の制御装置であって、蓄電器の電圧を検出する電圧検出手段と、蓄電器の電圧が許容範囲内に入るように、スイッチング制御信号のデューティ比を制限するデューティ比制限手段と、蓄電器の充電状態を取得する充電状態取得手段と、蓄電器の充電状態の変化に対して前記許容範囲を変更する許容範囲設定手段と、を有することを要旨とする。
【0016】
本発明に係る電圧変換装置の制御装置において、前記電圧変換装置は、一端が蓄電器の一端に接続されたリアクトルと、リアクトルの他端と出力端との間に配置された第1スイッチング素子と、リアクトルの他端と蓄電器の他端との間に配置された第2スイッチング素子と、を含み、スイッチング制御信号のデューティ比は、第1スイッチング素子の導通期間をT1onとし第2スイッチング素子の導通期間をT2onとすると、T1on/(T1on+T2on)により表されるものとすることもできる。
【0017】
また、本発明に係る電圧変換装置の制御方法は、充放電可能な蓄電器からの直流電圧をスイッチング素子のスイッチング動作により所望の電圧に変換して出力する電圧変換装置にて用いられ、スイッチング素子へのスイッチング制御信号のデューティ比の調整により電圧変換比の制御が可能な電圧変換装置の制御方法であって、蓄電器の充電状態を取得する充電状態取得ステップと、スイッチング制御信号のデューティ比に対する蓄電器の出力特性に基づいて、該デューティ比の許容範囲を設定する許容範囲設定ステップと、スイッチング制御信号のデューティ比が前記許容範囲内に入るように、該デューティ比を制限するデューティ比制限ステップと、を含み、前記許容範囲設定ステップは、蓄電器の充電状態の変化に対して前記許容範囲を変更するステップであることを要旨とする。
【0018】
また、本発明に係る電圧変換装置の制御方法は、充放電可能な蓄電器からの直流電圧をスイッチング素子のスイッチング動作により所望の電圧に変換して出力する電圧変換装置にて用いられ、スイッチング素子へのスイッチング制御信号のデューティ比の調整により電圧変換比の制御が可能な電圧変換装置の制御方法であって、蓄電器の充電状態を取得する充電状態取得ステップと、蓄電器の電流が所定の設定範囲内に入るように、スイッチング制御信号のデューティ比の許容範囲を設定する許容範囲設定ステップと、スイッチング制御信号のデューティ比が前記許容範囲内に入るように、該デューティ比を制限するデューティ比制限ステップと、を含み、前記許容範囲設定ステップは、蓄電器の充電状態の変化に対して前記許容範囲を変更するステップであることを要旨とする。
【0019】
また、本発明に係る電圧変換装置の制御方法は、充放電可能な蓄電器からの直流電圧をスイッチング素子のスイッチング動作により所望の電圧に変換して出力する電圧変換装置にて用いられ、スイッチング素子へのスイッチング制御信号のデューティ比の調整により電圧変換比の制御が可能な電圧変換装置の制御方法であって、蓄電器の電流を検出する電流検出ステップと、蓄電器の充電状態を取得する充電状態取得ステップと、蓄電器の電流に対する出力特性に基づいて、蓄電器の電流の許容範囲を設定する許容範囲設定ステップと、蓄電器の電流が前記許容範囲内に入るように、スイッチング制御信号のデューティ比を制限するデューティ比制限ステップと、を含み、前記許容範囲設定ステップは、蓄電器の充電状態の変化に対して前記許容範囲を変更するステップであることを要旨とする。
【0020】
また、本発明に係る電圧変換装置の制御方法は、充放電可能な蓄電器からの直流電圧をスイッチング素子のスイッチング動作により所望の電圧に変換して出力する電圧変換装置にて用いられ、スイッチング素子へのスイッチング制御信号のデューティ比の調整により電圧変換比の制御が可能な電圧変換装置の制御方法であって、蓄電器の電圧を検出する電圧検出ステップと、蓄電器の充電状態を取得する充電状態取得ステップと、蓄電器の充電状態の変化に対して蓄電器の電圧の許容範囲を変更する許容範囲設定ステップと、蓄電器の電圧が前記許容範囲内に入るように、スイッチング制御信号のデューティ比を制限するデューティ比制限ステップと、を含むことを要旨とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、スイッチング素子へのスイッチング制御信号のデューティ比を制限することで電圧変換装置の電圧変換比を制限する制御を、蓄電器の充電状態に応じてより適切に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明する。図1は、本発明の一実施例である電圧変換装置の制御装置を備えた駆動システム20の構成の概略を示す構成図である。実施例の駆動システム20は、図示するように、充放電可能な蓄電器としてのバッテリ22と、バッテリ22の入力電圧をDC/DC変換して出力する電圧変換装置としてのDC/DCコンバータ24と、DC/DCコンバータ24からの出力電力を蓄電可能なコンデンサ26と、コンデンサ26の蓄電電力を用いて駆動可能な負荷28と、装置全体をコントロールする電子制御ユニット40とを備える。
【0023】
バッテリ22は、例えば、鉛系やリチウム(Li)イオン系の二次電池として構成されている。ここでのバッテリ22は、例えば図2に示すように、SOC(充電状態)の変化に対して起電圧Vboが変化する特性を有する。より具体的には、SOCの増大(満充電状態に近づく変化)に対して起電圧Vboが増大する特性である。
【0024】
DC/DCコンバータ24は、負荷28の正側ラインと負側ラインに対してソース側とシンク側となるように直列接続された2個のトランジスタT1,T2と、このトランジスタT1,T2に各々逆並列接続された2個のダイオードD1,D2と、一端がバッテリ22の一端に接続されるとともに他端がトランジスタT1,T2の接続点に接続されたリアクトルLとを備える。トランジスタT1はリアクトルLの他端と出力端との間に配置されており、トランジスタT2はリアクトルLの他端とバッテリ22の他端との間に配置されている。このDC/DCコンバータ24では、トランジスタT2をオンすると、バッテリ22とリアクトルLとトランジスタT2とを結ぶ短絡回路が形成されバッテリ22から流れる直流電流に応じてリアクトルLにエネルギが蓄積される。この状態でトランジスタT2をオンからオフすると、リアクトルLに蓄積されたエネルギは、ダイオードD1を介してコンデンサ26に蓄えられる。この際、コンデンサ26の電圧はバッテリ22の供給電圧よりも高くできる。一方、このDC/DCコンバータ24でコンデンサ26の電荷を用いてバッテリ22を充電することもできる。したがって、このDC/DCコンバータ24は、昇降圧チョッパ回路を構成し、トランジスタT1,T2をオンオフするスイッチング動作によりコンデンサ26を充電したり、コンデンサ26に蓄えられた電荷を用いてバッテリ22を充電したりすることができる。なお、DC/DCコンバータ24が備えるリアクトルとしては、コイルを用いることができる。
【0025】
負荷28は、例えば、図3に示すように、電気自動車やハイブリッド自動車などに搭載されるインバータおよび電動機からなる構成やインバータおよび発電機からなる構成(図3(a)参照)、二つのインバータを並列に接続して各インバータに各々電動機と発電機とを接続した構成(図3(b)参照)などが該当する他、これら電気自動車やハイブリッド自動車などに搭載される電動機や発電機に限られず、バッテリ22からの電力を用いて駆動する電気機器などであってもよい。
【0026】
電子制御ユニット40は、図1に示すように、CPU42を中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶したROM44と、一時的にデータを記憶するRAM46と、入出力ポート(図示せず)とを備える。この電子制御ユニット40には、バッテリ22に取り付けられた電圧センサ30からのバッテリ(端子間)電圧Vb、バッテリ22とDC/DCコンバータ24との間を接続する電力ラインに取り付けられた電流センサ32からのバッテリ電流Ib、コンデンサ26に取り付けられた電圧センサ34からのコンデンサ電圧(DC/DCコンバータ24の出力電圧)Vc、バッテリ22に取り付けられた温度センサ36からのバッテリ温度Tb、及び負荷28の駆動に関する指令値などが入力ポートを介して入力されている。一方、電子制御ユニット40からは、DC/DCコンバータ24のトランジスタT1,T2へのスイッチング制御信号や、負荷28への駆動制御信号などが出力ポートを介して出力されている。ここで、電子制御ユニット40は、トランジスタT1,T2へのスイッチング制御信号のデューティ比Dの調整により、DC/DCコンバータ24の電圧変換比を制御することができる。本実施例では、上側のトランジスタT1の導通期間(T1on)と下側のトランジスタT2の導通期間(T2on)との割合であるデューティ比Dは、D=T1on/(T1on+T2on)により表され、このデューティ比D(=T1on/(T1on+T2on))の減少に対してDC/DCコンバータ24の電圧変換比(=Vc/Vb)が増大する。
【0027】
電子制御ユニット40は、例えば図4に示す機能ブロック図により構成することができる。電子制御ユニット40は、以下に説明するSOC推定部52、起電圧演算部54、内部抵抗演算部56、デューティ比制限値演算部58、デューティ比演算部60、及びデューティ比制限部62を備える。
【0028】
SOC推定部52は、バッテリ22のSOC(充電状態)を推定して起電圧演算部54へ出力する。ここで、バッテリ22のSOCは、例えばバッテリ電流Ibとバッテリ電圧Vbの特性から求めることができる。そこで、SOC推定部52は、入力されたバッテリ電流Ibとバッテリ電圧Vbに基づいてSOCを検出することができる。
【0029】
起電圧演算部54は、バッテリ22の起電圧Vboを演算してデューティ比制限値演算部58へ出力する。本実施例では、バッテリ22のSOCと起電圧Vboは、例えば図2に示すような対応関係にある。そこで、起電圧演算部54は、入力されたバッテリ22のSOCからバッテリ起電圧Vboを検出することができる。
【0030】
内部抵抗演算部56は、バッテリ22の内部抵抗Rbを演算してデューティ比制限値演算部58へ出力する。ここで、バッテリ22の温度Tbと内部抵抗Rbは、例えば図5に示すような対応関係にある。そこで、内部抵抗演算部56は、入力されたバッテリ22の温度Tbからバッテリ22の内部抵抗Rbを検出することができる。
【0031】
デューティ比制限値演算部58は、入力されたバッテリ起電圧Vbo、バッテリ内部抵抗Rb及びコンデンサ電圧Vcに基づいて、スイッチング制御信号のデューティ比Dの下限値DL及び上限値DHを演算してデューティ比制限部62へ出力する。ここでの下限値DLは、バッテリ起電圧Vboとコンデンサ電圧Vcとに基づいて演算され、上限値DHは、バッテリ起電圧Vboとバッテリ内部抵抗Rbとコンデンサ電圧Vcとに基づいて演算される。この下限値DL及び上限値DHにより、デューティ比Dの許容範囲(下限値DL以上かつ上限値DH以下)が設定される。なお、デューティ比Dの下限値DL及び上限値DHを演算する処理の詳細については後述する。
【0032】
デューティ比演算部60は、入力されたバッテリ電圧Vbに基づいてトランジスタT1,T2へのスイッチング制御信号のデューティ比Dを演算してデューティ比制限部62へ出力する。なお、デューティ比Dを演算する処理の詳細については後述する。
【0033】
デューティ比制限部62は、デューティ比演算部60にて演算されたスイッチング制御信号のデューティ比Dがデューティ比制限値演算部58にて設定された許容範囲内(下限値DL以上かつ上限値DH以下)に入るように、デューティ比Dを制限する。より詳細には、デューティ比制限部62は、デューティ比Dが許容範囲内(下限値DL以上かつ上限値DH以下)である場合は、デューティ比Dのスイッチング制御信号をDC/DCコンバータ24のトランジスタT1,T2へ出力する。一方、デューティ比制限部62は、デューティ比Dが下限値DLより小さい場合は、デューティ比DLのスイッチング制御信号をトランジスタT1,T2へ出力する。また、デューティ比制限部62は、デューティ比Dが上限値DHより大きい場合は、デューティ比DHのスイッチング制御信号をトランジスタT1,T2へ出力する。
【0034】
こうして構成された実施例の駆動システム20の動作、特に、DC/DCコンバータ24の駆動制御に関する動作について説明する。図6は、実施例の駆動システム20の電子制御ユニット40により実行されるDC/DCコンバータ駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、0.2msec毎)に繰り返し実行される。
【0035】
DC/DCコンバータ駆動制御ルーチンが実行されると、電子制御ユニット40のCPU42は、まず、コンデンサ目標電圧Vc*、コンデンサ電圧Vc、バッテリ電圧Vb、バッテリ電流Ib、及びバッテリ温度Tbを読み込む(ステップS100)。ここで、コンデンサ目標電圧Vc*は、負荷28の駆動に関する指令値としての要求出力Pに基づいて設定、即ち負荷28を要求出力Pで駆動するために必要なコンデンサ26の電圧値として設定されるものである。
【0036】
こうしてバッテリ22の状態に関する情報を読み込むと、コンデンサ目標電圧Vc*とバッテリ電圧Vbとにより次式(1)を用いて、上側のトランジスタT1のオン期間(T1on)と下側のトランジスタT2のオン期間(T2on)との割合であるデューティ比D(=T1on/(T1on+T2on))がデューティ比演算部60にて算出される(ステップS102)。ここで、αは、デューティ比Dの補正項である。
【0037】
D=Vb/Vc*+α ・・・(1)
【0038】
次に、読み込んだバッテリ電圧Vbとバッテリ電流Ibに基づいてバッテリ22のSOCがSOC推定部52にて演算され(ステップS104)、バッテリ22のSOCからバッテリ起電圧Vboが起電圧演算部54にて演算される(ステップS106)。そして、読み込んだバッテリ温度Tbからバッテリ内部抵抗Rbが内部抵抗演算部56にて演算される(ステップS108)。
【0039】
続いて、コンデンサ電圧Vcとバッテリ起電圧Vboとバッテリ内部抵抗Rbとに基づいて、最適デューティ範囲DRを設定する処理がデューティ比制限値演算部58にて行われる(ステップS110)。ここで、最適デューティ範囲DRは、DC/DCコンバータ24の駆動によりバッテリ22から取り出すことのできる出力範囲に対応するデューティ比Dの範囲である。以下、最適デューティ範囲DRについて更に詳細に説明する。
【0040】
いま、駆動システム20を負荷28側からみたときの出力BPは、デューティ比Dとコンデンサ電圧Vcとバッテリ電流Ibとにより、次式(2)により示すことができる。
【0041】
BP=Vc×Ib×D ・・・(2)
【0042】
ここで、バッテリ電流Ibは、次式(3)で示すことができる。
【0043】
Ib=(Vbo−D×Vc)/Rb ・・・(3)
【0044】
式(3)を式(2)に代入すると、次式(4)を得る。
【0045】
BP=−Vc2/Rb×(D−Vbo/2Vc)2+Vbo2/4Rb ・・・(4)
【0046】
式(4)は、トランジスタT1,T2のデューティ比Dに対するバッテリ22の出力BPの関係を表すバッテリ22の出力特性として図7のように示すことができる。図7に示すように、バッテリ22から最大出力Vbo2/4Rbを取り出すためには、デューティ比Dが値Vbo/2VcとなるようにDC/DCコンバータ24を駆動制御すればよく、仮にデューティ比Dが値Vbo/2Vcを下回るように(昇圧率を上昇させる方向に)DC/DCコンバータ24を駆動制御すると、却ってバッテリ22から取り出す出力BPが低下してしまうことがわかる。したがって、最適デューティ範囲DRにおける下限値DLを値Vbo/2Vcに設定することで、バッテリ22の最大出力BPmaxを確保でき、負荷28を安定して駆動することができる。なお、出力BPは、バッテリ22の放電時を正とし、バッテリ22の充電時を負としている。
【0047】
本実施例では、図8に示すように、バッテリ22のSOCの増大(満充電状態に近づく変化)に対してバッテリ起電圧Vboが増大して最大出力BPmaxに対応するデューティ比Dが増大する。そこで、バッテリ22のSOCが変化しても下限値DLが最大出力BPmaxに対応するデューティ比Dに略等しい状態が保たれるように、バッテリ22のSOCに応じて下限値DL(=Vbo/2Vc)を変化させる。より詳細には、バッテリ22のSOCの増大(満充電状態に近づく変化)に対して下限値DL(=Vbo/2Vc)を増大させる。
【0048】
なお、最適デューティ範囲DRにおける下限値DLとしては、必ずしもバッテリ22の出力特性における最大出力BPmaxに対応するデューティ比Vbo/2Vcに設定する必要はない。例えば、最大出力BPmaxに対応するデューティ比Vbo/2Vcよりも若干大きい値Vbo/2Vc+ΔD(ΔD>0)を下限値DLとして設定してもよいし、デューティ比Vbo/2Vcよりも若干小さい値Vbo/2Vc−ΔDを下限値DLとして設定してもよい。
【0049】
また、バッテリ22の充電時(回生時、出力BPが負の場合)を考えると、バッテリ22への入力電力が過大とならないように、デューティ比Dを制限することが好ましい。ここで、バッテリ出力BPの充電側の制限値をPblim(負の定数)とすると、バッテリ出力BPがPblimであるときのデューティ比Dは、前述の式(4)から次式(5)で示すことができる。
【0050】
D=(Vbo+(Vbo2−4Rb×Pblim)0.5)/2Vc ・・・(5)
【0051】
したがって、バッテリ出力BPが制限値Pblimを下回らない(バッテリ22への入力電力が過大とならない)ためには、最適デューティ範囲DRにおける上限値DHを値(Vbo+(Vbo2−4Rb×Pblim)0.5)/2Vcに設定することが好ましい。
【0052】
本実施例では、図8に示すように、バッテリ22のSOCの増大(満充電状態に近づく変化)に対してバッテリ起電圧Vboが増大して出力Pblimに対応するデューティ比Dが増大する。そこで、バッテリ22のSOCが変化しても上限値DHが出力Pblimに対応するデューティ比Dに略等しい状態が保たれるように、バッテリ22のSOCに応じて上限値DH(=(Vbo+(Vbo2−4Rb×Pblim)0.5)/2Vc)を変化させる。より詳細には、バッテリ22のSOCの増大(満充電状態に近づく変化)に対して上限値DHを増大させる。
【0053】
さらに、本実施例では、図9に示すように、バッテリ内部抵抗Rbの増大(バッテリ温度Tbの低下)に対して出力Pblimに対応するデューティ比Dが増大する。そこで、バッテリ内部抵抗Rb(バッテリ温度Tb)が変化しても上限値DHが出力Pblimに対応するデューティ比Dに略等しい状態が保たれるように、バッテリ内部抵抗Rb(バッテリ温度Tb)に応じて上限値DHを変化させる。より詳細には、バッテリ内部抵抗Rbの増大(バッテリ温度Tbの低下)に対して上限値DHを増大させる。
【0054】
こうして最適デューティ範囲DR、すなわち下限値DL及び上限値DHが設定されると、ステップS102で算出されたデューティ比Dが最適デューティ範囲DRの範囲内にあるか否か(下限値DL以上かつ上限値DH以下であるか否か)がデューティ比制限部62にて判定される(ステップS112)。ステップS102で算出されたデューティ比Dが最適デューティ範囲DRの範囲内にあると判定されたときには、デューティ比制限部62は、このデューティ比Dのスイッチング制御信号によりDC/DCコンバータ24を駆動制御する(ステップS114)。そして、デューティ比Dを制限していないことを示すために、制限フラグFをオフに設定して(ステップS116)、本ルーチンを終了する。
【0055】
一方、ステップS102で算出されたデューティ比Dが最適デューティ範囲DRの範囲内にないと判定されたときには、デューティ比制限部62は、デューティ比Dを最適デューティ範囲DRの範囲内となるように制限を加えてDC/DCコンバータ24を駆動制御する(ステップS118)。すなわち、デューティ比制限部62は、デューティ比Dが下限値DLより小さい場合は、デューティ比DLのスイッチング制御信号によりDC/DCコンバータ24を駆動制御する。一方、デューティ比制限部62は、デューティ比Dが上限値DHより大きい場合は、デューティ比DHのスイッチング制御信号によりDC/DCコンバータ24を駆動制御する。そして、デューティ比Dを制限していることを示すために、制限フラグFをオンに設定して(ステップS120)、本ルーチンを終了する。なお、以上の処理においては、トランジスタT1,T2へ出力するスイッチング制御信号のデューティ比Dを決定する毎に、バッテリ22のSOCを検出してバッテリ起電圧Vboを演算する。
【0056】
以上説明した実施例の駆動システム20によれば、バッテリ22のSOCの変化に対してデューティ比Dの下限値DLを変化させるから、バッテリ22のSOCが変化してバッテリ起電圧Vboが変化しても、下限値DLが最大出力BPmaxに対応するデューティ比Dに略等しい状態を確保することができ、バッテリ22から最大出力BPmaxを安定して取り出すことができる。したがって、負荷28に要求される出力Pに相当する電力をバッテリ22から取り出すことができない場合でも、コンデンサ26の電圧低下をより適切に抑制できるとともに負荷28を安定して駆動させることができる。
【0057】
そして、バッテリ22のSOCの変化に対してデューティ比Dの上限値DHを変化させるから、バッテリ22のSOCが変化してバッテリ起電圧Vboが変化しても、上限値DHが出力Pblimに対応するデューティ比Dに略等しい状態を確保することができる。さらに、バッテリ内部抵抗Rbの変化に対してデューティ比Dの上限値DHを変化させるから、バッテリ内部抵抗Rbが変化しても、上限値DHが出力Pblimに対応するデューティ比Dに略等しい状態を確保することができる。したがって、バッテリ22のSOCや内部抵抗Rbが変化しても、バッテリ22への入力電力をより適切に制限することができる。
【0058】
以上のことから、実施例の駆動システム20によれば、トランジスタT1,T2へのスイッチング制御信号のデューティ比Dを制限することでDC/DCコンバータ24の電圧変換比(昇圧比)を制限する制御を、バッテリ22の充電状態(SOC)に応じてより適切に行うことができる。
【0059】
なお、図6のDC/DCコンバータ駆動制御ルーチンにおけるステップS110で設定される最適デューティ範囲DR(下限値DL及び上限値DH)については、以下に説明する処理によっても設定することができる。
【0060】
まずDC/DCコンバータ24のトランジスタT1,T2の電流容量、及びバッテリ22の電流容量の少なくとも一方に基づいて最大許容電流Ibmaxを決定し、この最大許容電流Ibmaxを例えば電子制御ユニット40内のROM44などに予め記憶しておく。すなわち、トランジスタT1、T2に流せる電流容量またはバッテリ22に流せる電流容量のいずれか一方を選択するか、または両者の内大きい方を採用することで最大許容電流Ibmaxを決定する。なお、このROM44は、不揮発性メモリであればよく、書き換え可能なEEPROMや、フラッシュメモリを採用することも好適である。
【0061】
そして、図6のDC/DCコンバータ駆動制御ルーチンのステップS110では、最大許容電流Ibmax、バッテリ内部抵抗Rb、バッテリ起電圧Vbo、及びコンデンサ電圧Vcに基づいて、最適デューティ範囲DR(下限値DL及び上限値DH)を設定する処理がデューティ比制限値演算部58にて行われる。
【0062】
上述の式(3)に示すように、バッテリ電流Ibは、Ib=(Vbo−D×Vc)/Rbで表される。したがって、デューティ比Dは、D=(Vbo−Rb×Ib)/Vcである。そこで、デューティ比制限値演算部58は、バッテリ電流Ibが−Ibmax以上かつIbmax以下となるように、最適デューティ範囲DRにおける下限値DLを(Vbo−Rb×Ibmax)/Vcに設定し、最適デューティ範囲DRにおける上限値DHを(Vbo−Rb×(−Ibmax))/Vcに設定する(ステップS110)。ここで、Ibmaxの符号は、バッテリ22から放電する方向を正、充電する方向を負としている。
【0063】
本実施例では、バッテリ22のSOCの増大(満充電状態に近づく変化)に対してバッテリ起電圧Vboが増大して電流Ibmax,−Ibmaxに対応するデューティ比Dが増大する。そこで、バッテリ22のSOCが変化しても、下限値DL及び上限値DHが電流Ibmax,−Ibmaxにそれぞれ対応するデューティ比Dに略等しい状態が保たれるように、バッテリ22のSOCに応じて下限値DL(=(Vbo−Rb×Ibmax)/Vc)及び上限値DH(=(Vbo−Rb×(−Ibmax))/Vc)を変化させる。より詳細には、バッテリ22のSOCの増大(満充電状態に近づく変化)に対して下限値DL及び上限値DHを増大させる。そして、ステップS112以降の処理によって、デューティ比Dが最適デューティ範囲DR内(下限値DL以上かつ上限値DH以下)に入るように制限されることで、バッテリ電流IbがDC/DCコンバータ24のトランジスタT1,T2の最大許容電流またはバッテリ22の最大許容電流を超えないように制限される。
【0064】
この実施例によれば、バッテリ22のSOCの変化に対してデューティ比Dの下限値DL及び上限値DHを変化させるから、バッテリ22のSOCが変化してバッテリ起電圧Vboが変化しても、下限値DL及び上限値DHが電流Ibmax,−Ibmaxにそれぞれ対応するデューティ比Dに略等しい状態を確保することができる。したがって、バッテリ電流IbがDC/DCコンバータ24のトランジスタT1,T2の最大許容電流やバッテリ22の最大許容電流を超えないように制限する制御を、バッテリ22の充電状態(SOC)に応じてより適切に行うことができる。
【0065】
次に、第2実施例の駆動システムについて説明する。第2実施例の駆動システムは、第1実施例の駆動システム20と同一のハード構成をしている。そして、電子制御ユニット40は、例えば図10に示す機能ブロック図により構成することができる。図10に示す機能ブロック図においては、図4に示す機能ブロック図と比較して、デューティ比制限値演算部58の代わりに以下に説明する電流制限値演算部64が設けられている。
【0066】
電流制限値演算部64は、入力されたバッテリ起電圧Vbo及びバッテリ内部抵抗Rbに基づいて、バッテリ電流Ibの上限値IHを演算してデューティ比制限部62へ出力する。この上限値IHにより、バッテリ電流Ibの許容範囲が設定される。なお、バッテリ電流Ibの上限値IHを演算する処理の詳細については後述する。
【0067】
デューティ比制限部62は、バッテリ電流Ibが電流制限値演算部64にて設定された許容範囲内(上限値IH以下)に入るように、デューティ比演算部60にて演算されたスイッチング制御信号のデューティ比Dを制限する。より詳細には、デューティ比制限部62は、バッテリ電流Ibが許容範囲内(上限値IH以下)である場合は、デューティ比Dのスイッチング制御信号をDC/DCコンバータ24のトランジスタT1,T2へ出力する。一方、デューティ比制限部62は、バッテリ電流Ibが上限値IHより大きい場合は、バッテリ電流Ibが上限値IH以下となるようにデューティ比Dを制限したスイッチング制御信号をトランジスタT1,T2へ出力する。
【0068】
図11は、第2実施例の駆動システムの電子制御ユニット40により実行されるDC/DCコンバータ駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、0.2msec毎)に繰り返し実行される。
【0069】
DC/DCコンバータ駆動制御ルーチンが実行されると、電子制御ユニット40のCPU42は、まず、コンデンサ目標電圧Vc*、バッテリ電圧Vb、バッテリ電流Ib、及びバッテリ温度Tbを読み込む(ステップS200)。そして、コンデンサ目標電圧Vc*とバッテリ電圧Vbとにより前述の式(1)を用いて、デューティ比D(=T1on/(T1on+T2on))がデューティ比演算部60にて算出される(ステップS202)。
【0070】
次に、読み込んだバッテリ電圧Vbとバッテリ電流Ibに基づいてバッテリ22のSOCがSOC推定部52にて演算され(ステップS204)、バッテリ22のSOCからバッテリ起電圧Vboが起電圧演算部54にて演算される(ステップS206)。そして、読み込んだバッテリ温度Tbからバッテリ内部抵抗Rbが内部抵抗演算部56にて演算される(ステップS208)。
【0071】
続いて、バッテリ起電圧Vboとバッテリ内部抵抗Rbとに基づいて、最適電流範囲IRを設定する処理が電流制限値演算部64にて行われる(ステップS210)。ここで、最適電流範囲IRは、DC/DCコンバータ24の駆動によりバッテリ22から取り出すことのできる出力範囲に対応するバッテリ電流Ibの範囲であり、例えば、バッテリ22から取り出すことのできる最大出力BPmaxに対応する電流値を上限値IHとした範囲である。以下、最適電流範囲IRについて更に詳細に説明する。
【0072】
バッテリ22から取り出すことのできる出力BPは、バッテリ電圧Vbとバッテリ電流Ibとから次式(6)で示すことができる。
【0073】
BP=Vb×Ib ・・・(6)
【0074】
また、バッテリ電圧Vbは、その内部抵抗Rbと起電圧Vboとから、次式(7)で示すことができる。
【0075】
Vb=Vbo−Ib×Rb ・・・(7)
【0076】
式(6)に式(7)を代入すると、次式(8)を得る。
【0077】
BP=(Vbo−Ib×Rb)×Ib
=−Rb×(Ib−Vbo/2Rb)2+Vbo2/4Rb ・・・(8)
【0078】
式(8)は、バッテリ電流Ibに対するバッテリ22の出力BPの関係を表すバッテリ22の出力特性として図12のように示すことができる。図12に示すように、バッテリ22から最大出力Vbo2/4Rbを取り出すためには、バッテリ電流Ibが値Vbo/2RbとなるようにDC/DCコンバータ24を駆動制御すればよく、仮にバッテリ電流Ibが値Vbo/2Rbを超えるように(昇圧率を上昇させる方向に)DC/DCコンバータ24を駆動制御すると、バッテリ22の内部抵抗Rbで消費される電力が大きくなり却ってバッテリ22から取り出す出力BPが低下してしまうことがわかる。したがって、最適電流範囲IRにおける上限値IHを値Vbo/2Rbに設定することで、バッテリ22の最大出力BPmaxを確保でき、負荷28を安定して駆動することができる。
【0079】
本実施例では、図13に示すように、バッテリ22のSOCの増大(満充電状態に近づく変化)に対してバッテリ起電圧Vboが増大して最大出力BPmaxに対応するバッテリ電流Ibが増大する。そこで、バッテリ22のSOCが変化しても上限値IHが最大出力BPmaxに対応するバッテリ電流Ibに略等しい状態が保たれるように、バッテリ22のSOCに応じて上限値IH(=Vbo/2Rb)を変化させる。より詳細には、バッテリ22のSOCの増大(満充電状態に近づく変化)に対して上限値IH(=Vbo/2Rb)を増大させる。
【0080】
なお、最適電流範囲IRにおける上限値IHとしては、必ずしもバッテリ22の出力特性における最大出力BPmaxに対応するバッテリ電流Vbo/2Rbに設定する必要はない。例えば、最大出力BPmaxに対応するバッテリ電流Vbo/2Rbよりも若干大きい値Vbo/2Rb+ΔI(ΔI>0)を上限値IHとして設定してもよいし、バッテリ電流Vbo/2Rbよりも若干小さい値Vbo/2Rb−ΔIを上限値IHとして設定してもよい。
【0081】
こうして最適電流範囲IR、すなわち上限値IHが設定されると、バッテリ電流Ibが最適電流範囲IRの範囲内にあるか否か(上限値IH以下であるか否か)がデューティ比制限部62にて判定される(ステップS212)。バッテリ電流Ibが最適電流範囲IRの範囲内にある(上限値IH以下である)と判定されたときには、デューティ比制限部62は、ステップS202で算出されたデューティ比Dのスイッチング制御信号によりDC/DCコンバータ24を駆動制御する(ステップS214)。そして、デューティ比Dを制限していないことを示すために、制限フラグFをオフに設定して(ステップS216)、本ルーチンを終了する。
【0082】
一方、バッテリ電流Ibが最適電流範囲IRの範囲内にない(上限値IHより大きい)と判定されたときには、デューティ比制限部62は、バッテリ電流Ibが最適電流範囲IRの範囲内に入る(上限値IH以下になる)ように、デューティ比Dに制限を加えたスイッチング制御信号によりDC/DCコンバータ24を駆動制御する(ステップS218)。そして、デューティ比Dを制限していることを示すために、制限フラグFをオンに設定して(ステップS220)、本ルーチンを終了する。なお、以上の処理においても、トランジスタT1,T2へ出力するスイッチング制御信号のデューティ比Dを決定する毎に、バッテリ22のSOCを検出してバッテリ起電圧Vboを演算する。
【0083】
以上説明した第2実施例の駆動システムによれば、バッテリ22のSOCの変化に対してバッテリ電流Ibの上限値IHを変化させるから、バッテリ22のSOCが変化してバッテリ起電圧Vboが変化しても、上限値IHが最大出力BPmaxに対応するバッテリ電流Ibに略等しい状態を確保することができ、バッテリ22から最大出力BPmaxを安定して取り出すことができる。
【0084】
次に、第3実施例の駆動システムについて説明する。第3実施例の駆動システムは、第1実施例の駆動システム20と同一のハード構成をしている。そして、電子制御ユニット40は、例えば図14に示す機能ブロック図により構成することができる。図14に示す機能ブロック図においては、図10に示す機能ブロック図と比較して、内部抵抗演算部56が省略されており、電流制限値演算部64の代わりに以下に説明する電圧制限値演算部66が設けられている。
【0085】
電圧制限値演算部66は、入力されたバッテリ起電圧Vboに基づいて、バッテリ電圧Vbの下限値VLを演算してデューティ比制限部62へ出力する。この下限値VLにより、バッテリ電圧Vbの許容範囲が設定される。なお、バッテリ電圧Vbの下限値VLを演算する処理の詳細については後述する。
【0086】
デューティ比制限部62は、バッテリ電圧Vbが電圧制限値演算部66にて設定された許容範囲内(下限値VL以上)に入るように、デューティ比演算部60にて演算されたスイッチング制御信号のデューティ比Dを制限する。より詳細には、デューティ比制限部62は、バッテリ電圧Vbが許容範囲内(下限値VL以上)である場合は、デューティ比Dのスイッチング制御信号をDC/DCコンバータ24のトランジスタT1,T2へ出力する。一方、デューティ比制限部62は、バッテリ電圧Vbが下限値VLより小さい場合は、バッテリ電圧Vbが下限値VL以上となるようにデューティ比Dを制限したスイッチング制御信号をトランジスタT1,T2へ出力する。
【0087】
図15は、第3実施例の駆動システムの電子制御ユニット40により実行されるDC/DCコンバータ駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、0.2msec毎)に繰り返し実行される。
【0088】
DC/DCコンバータ駆動制御ルーチンが実行されると、電子制御ユニット40のCPU42は、まず、コンデンサ目標電圧Vc*、バッテリ電圧Vb、及びバッテリ電流Ibを読み込む(ステップS300)。そして、コンデンサ目標電圧Vc*とバッテリ電圧Vbとにより前述の式(1)を用いて、デューティ比D(=T1on/(T1on+T2on))がデューティ比演算部60にて算出される(ステップS302)。
【0089】
次に、読み込んだバッテリ電圧Vbとバッテリ電流Ibに基づいてバッテリ22のSOCがSOC推定部52にて演算され(ステップS304)、バッテリ22のSOCからバッテリ起電圧Vboが起電圧演算部54にて演算される(ステップS306)。
【0090】
続いて、バッテリ起電圧Vboから最適電圧範囲VRを設定する処理が電圧制限値演算部66にて行われる(ステップS308)。ここで、最適電圧範囲VRは、DC/DCコンバータ24の駆動によりバッテリ22から取り出すことのできる出力範囲に対応するバッテリ電圧Vbの範囲であり、例えば、バッテリ22から取り出すことのできる最大出力BPmaxに対応する電圧値を下限値VLとした範囲である。以下、最適電圧範囲VRについて更に詳細に説明する。
【0091】
バッテリ電圧Vbは、バッテリ起電圧Vboとバッテリ電流Ibと内部抵抗Rbとに基づいて、次式(9)により算出することができる。
【0092】
Vb=Vbo−Ib×Rb ・・・(9)
【0093】
一方、バッテリから最大出力BPmaxを取り出すときのバッテリ電流Ibは、第2実施例の駆動システムで説明したように値Vbo/2Rbであるから、このときのバッテリ電圧Vbは、次式(10)で示される。
【0094】
Vb=Vbo/2 ・・・(10)
【0095】
したがって、バッテリ22から最大出力Vbo2/4Rbを取り出すためには、バッテリ電圧Vbが値Vbo/2となるようにDC/DCコンバータ24を駆動制御すればよく、仮にバッテリ電圧Vbが値Vbo/2を下回るように(昇圧率を上昇させる方向に)DC/DCコンバータ24を駆動制御すると、バッテリ22の内部抵抗Rbで消費される電力が大きくなり却ってバッテリ22から取り出す出力BPが低下してしまうことがわかる。したがって、最適電圧範囲VRにおける下限値VLを値Vbo/2に設定することで、バッテリ22の最大出力BPmaxを確保でき、負荷28を安定して駆動することができる。
【0096】
本実施例では、バッテリ22のSOCの増大(満充電状態に近づく変化)に対してバッテリ起電圧Vboが増大して最大出力BPmaxに対応するバッテリ電圧Vbが増大する。そこで、バッテリ22のSOCが変化しても下限値VLが最大出力BPmaxに対応するバッテリ電圧Vbに略等しい状態が保たれるように、バッテリ22のSOCに応じて下限値VL(=Vbo/2)を変化させる。より詳細には、バッテリ22のSOCの増大(満充電状態に近づく変化)に対して下限値VL(=Vbo/2)を増大させる。
【0097】
なお、最適電圧範囲VRにおける下限値VLとしては、必ずしもバッテリ22の出力特性における最大出力BPmaxに対応するバッテリ電圧Vbo/2に設定する必要はない。例えば、最大出力BPmaxに対応するバッテリ電圧Vbo/2よりも若干大きい値Vbo/2+ΔV(ΔV>0)を下限値VLとして設定してもよいし、バッテリ電圧Vbo/2よりも若干小さい値Vbo/2−ΔVを下限値VLとして設定してもよい。
【0098】
こうして最適電圧範囲VR、すなわち下限値VLが設定されると、バッテリ電圧Vbが最適電圧範囲VRの範囲内にあるか否か(下限値VL=Vbo/2以上であるか否か)がデューティ比制限部62にて判定される(ステップS310)。バッテリ電圧Vbが最適電圧範囲VRの範囲内にある(下限値VL以上である)と判定されたときには、デューティ比制限部62は、ステップS302で算出されたデューティ比Dのスイッチング制御信号によりDC/DCコンバータ24を駆動制御する(ステップS312)。そして、デューティ比Dを制限していないことを示すために、制限フラグFをオフに設定して(ステップS314)、本ルーチンを終了する。
【0099】
一方、バッテリ電圧Vbが最適電圧範囲VRの範囲内にない(下限値VLより小さい)と判定されたときには、デューティ比制限部62は、バッテリ電圧Vbが最適電圧範囲VRの範囲内に入る(下限値VL以上になる)ように、デューティ比Dに制限を加えたスイッチング制御信号によりDC/DCコンバータ24を駆動制御する(ステップS316)。そして、デューティ比Dを制限していることを示すために、制限フラグFをオンに設定して(ステップS318)、本ルーチンを終了する。なお、以上の処理においても、トランジスタT1,T2へ出力するスイッチング制御信号のデューティ比Dを決定する毎に、バッテリ22のSOCを検出してバッテリ起電圧Vboを演算する。
【0100】
以上説明した第3実施例の駆動システムによれば、バッテリ22のSOCの変化に対してバッテリ電圧Vbの下限値VLを変化させるから、バッテリ22のSOCが変化してバッテリ起電圧Vboが変化しても、下限値VLが最大出力BPmaxに対応するバッテリ電圧Vbに略等しい状態を確保することができ、バッテリ22から最大出力BPmaxを安定して取り出すことができる。
【0101】
第1〜第3実施例の駆動システムでは、電子制御ユニット40がDC/DCコンバータ24の駆動制御と共に負荷28の駆動制御を兼ねるものとしたが、DC/DCコンバータ24の駆動制御と負荷28の駆動制御とを別々の電子制御ユニットにより行ない、両電子制御ユニット間の情報のやり取りを通信により行なうものとしても構わない。
【0102】
第1〜第3実施例の駆動システムでは、DC/DCコンバータ24と負荷28との間にコンデンサ26を備えるものとしたが、コンデンサ26を備えないものとしても構わない。
【0103】
また、こうしたDC/DCコンバータの駆動制御や負荷の駆動制御を行なう制御システムとしてコンピュータを機能させるプログラムとする態様や、このプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体、例えば、CD−ROMやDVD−ROM、フレキシブルディスクなどの種々の記憶媒体とする態様なども好適である。こうしたプログラムをコンピュータにインストールすると共にこのプログラムを実行することにより、本発明の効果を奏することができる。
【0104】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明のこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の一実施例である駆動システム20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】バッテリ22のSOCと起電圧Vboとの関係を示す図である。
【図3】駆動システム20の一例を示す図である。
【図4】電子制御ユニット40の構成を示すブロック図である。
【図5】バッテリ22の内部抵抗Rbと温度Tbとの関係を示す図である。
【図6】実施例の駆動システム20の電子制御ユニット40により実行されるDC/DCコンバータ駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図7】バッテリ22の出力特性の一例を示す図である。
【図8】バッテリ22の出力特性がSOCに応じて変化する様子を示す図である。
【図9】バッテリ22の出力特性が内部抵抗Rbに応じて変化する様子を示す図である。
【図10】電子制御ユニット40の他の構成を示すブロック図である。
【図11】変形例の駆動システムの電子制御ユニット40により実行されるDC/DCコンバータ駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図12】バッテリ22の出力特性の一例を示す図である。
【図13】バッテリ22の出力特性がSOCに応じて変化する様子を示す図である。
【図14】電子制御ユニット40の他の構成を示すブロック図である。
【図15】変形例の駆動システムの電子制御ユニット40により実行されるDC/DCコンバータ駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0106】
20 駆動システム、22 バッテリ、24 DC/DCコンバータ、26 コンデンサ、28 負荷、30,34 電圧センサ、32 電流センサ、36 温度センサ、40 電子制御ユニット、52 SOC推定部、54 起電圧演算部、56 内部抵抗演算部、58 デューティ比制限値演算部、60 デューティ比演算部、62 デューティ比制限部、64 電流制限値演算部、66 電圧制限値演算部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電可能な蓄電器からの直流電圧をスイッチング素子のスイッチング動作により所望の電圧に変換して出力する電圧変換装置にて用いられ、スイッチング素子へのスイッチング制御信号のデューティ比の調整により電圧変換比の制御が可能な電圧変換装置の制御装置であって、
スイッチング制御信号のデューティ比に対する蓄電器の出力特性に基づいて、該デューティ比の許容範囲を設定する許容範囲設定手段と、
スイッチング制御信号のデューティ比が前記許容範囲内に入るように、該デューティ比を制限するデューティ比制限手段と、
蓄電器の充電状態を取得する充電状態取得手段と、
を有し、
前記許容範囲設定手段は、蓄電器の充電状態の変化に対して前記許容範囲を変更することを特徴とする電圧変換装置の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電圧変換装置の制御装置であって、
前記許容範囲設定手段は、蓄電器の充電状態の変化に対して前記許容範囲における下限値を変更し、
前記デューティ比制限手段は、スイッチング制御信号のデューティ比が前記下限値以上になるように、該デューティ比を制限することを特徴とする電圧変換装置の制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電圧変換装置の制御装置であって、
前記許容範囲設定手段は、蓄電器の充電状態が満充電状態に近づく変化に対して前記下限値を増大させることを特徴とする電圧変換装置の制御装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の電圧変換装置の制御装置であって、
前記電圧変換装置は、スイッチング制御信号のデューティ比の減少に対して電圧変換比が増大する装置であり、
前記下限値は、前記蓄電器の出力特性における最大出力に対応するデューティ比に略等しいことを特徴とする電圧変換装置の制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1に記載の電圧変換装置の制御装置であって、
前記許容範囲設定手段は、蓄電器の充電状態の変化に対して前記許容範囲における上限値を変更し、
前記デューティ比制限手段は、スイッチング制御信号のデューティ比が前記上限値以下になるように、該デューティ比を制限することを特徴とする電圧変換装置の制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電圧変換装置の制御装置であって、
前記許容範囲設定手段は、蓄電器の充電状態が満充電状態に近づく変化に対して前記上限値を増大させることを特徴とする電圧変換装置の制御装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の電圧変換装置の制御装置であって、
蓄電器の内部抵抗を取得する内部抵抗取得手段をさらに有し、
前記許容範囲設定手段は、蓄電器の内部抵抗の変化に対して前記許容範囲における上限値を変更することを特徴とする電圧変換装置の制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電圧変換装置の制御装置であって、
前記許容範囲設定手段は、蓄電器の内部抵抗の増大に対して前記許容範囲における上限値を増大させることを特徴とする電圧変換装置の制御装置。
【請求項9】
充放電可能な蓄電器からの直流電圧をスイッチング素子のスイッチング動作により所望の電圧に変換して出力する電圧変換装置にて用いられ、スイッチング素子へのスイッチング制御信号のデューティ比の調整により電圧変換比の制御が可能な電圧変換装置の制御装置であって、
蓄電器の電流が所定の設定範囲内に入るように、スイッチング制御信号のデューティ比の許容範囲を設定する許容範囲設定手段と、
スイッチング制御信号のデューティ比が前記許容範囲内に入るように、該デューティ比を制限するデューティ比制限手段と、
蓄電器の充電状態を取得する充電状態取得手段と、
を有し、
前記許容範囲設定手段は、蓄電器の充電状態の変化に対して前記許容範囲を変更することを特徴とする電圧変換装置の制御装置。
【請求項10】
充放電可能な蓄電器からの直流電圧をスイッチング素子のスイッチング動作により所望の電圧に変換して出力する電圧変換装置にて用いられ、スイッチング素子へのスイッチング制御信号のデューティ比の調整により電圧変換比の制御が可能な電圧変換装置の制御装置であって、
蓄電器の電流を検出する電流検出手段と、
蓄電器の電流に対する出力特性に基づいて、蓄電器の電流の許容範囲を設定する許容範囲設定手段と、
蓄電器の電流が前記許容範囲内に入るように、スイッチング制御信号のデューティ比を制限するデューティ比制限手段と、
蓄電器の充電状態を取得する充電状態取得手段と、
を有し、
前記許容範囲設定手段は、蓄電器の充電状態の変化に対して前記許容範囲を変更することを特徴とする電圧変換装置の制御装置。
【請求項11】
充放電可能な蓄電器からの直流電圧をスイッチング素子のスイッチング動作により所望の電圧に変換して出力する電圧変換装置にて用いられ、スイッチング素子へのスイッチング制御信号のデューティ比の調整により電圧変換比の制御が可能な電圧変換装置の制御装置であって、
蓄電器の電圧を検出する電圧検出手段と、
蓄電器の電圧が許容範囲内に入るように、スイッチング制御信号のデューティ比を制限するデューティ比制限手段と、
蓄電器の充電状態を取得する充電状態取得手段と、
蓄電器の充電状態の変化に対して前記許容範囲を変更する許容範囲設定手段と、
を有することを特徴とする電圧変換装置の制御装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1に記載の電圧変換装置の制御装置であって、
前記電圧変換装置は、一端が蓄電器の一端に接続されたリアクトルと、リアクトルの他端と出力端との間に配置された第1スイッチング素子と、リアクトルの他端と蓄電器の他端との間に配置された第2スイッチング素子と、を含み、
スイッチング制御信号のデューティ比は、第1スイッチング素子の導通期間をT1onとし第2スイッチング素子の導通期間をT2onとすると、T1on/(T1on+T2on)により表されることを特徴とする電圧変換装置の制御装置。
【請求項13】
充放電可能な蓄電器からの直流電圧をスイッチング素子のスイッチング動作により所望の電圧に変換して出力する電圧変換装置にて用いられ、スイッチング素子へのスイッチング制御信号のデューティ比の調整により電圧変換比の制御が可能な電圧変換装置の制御方法であって、
蓄電器の充電状態を取得する充電状態取得ステップと、
スイッチング制御信号のデューティ比に対する蓄電器の出力特性に基づいて、該デューティ比の許容範囲を設定する許容範囲設定ステップと、
スイッチング制御信号のデューティ比が前記許容範囲内に入るように、該デューティ比を制限するデューティ比制限ステップと、
を含み、
前記許容範囲設定ステップは、蓄電器の充電状態の変化に対して前記許容範囲を変更するステップであることを特徴とする電圧変換装置の制御方法。
【請求項14】
充放電可能な蓄電器からの直流電圧をスイッチング素子のスイッチング動作により所望の電圧に変換して出力する電圧変換装置にて用いられ、スイッチング素子へのスイッチング制御信号のデューティ比の調整により電圧変換比の制御が可能な電圧変換装置の制御方法であって、
蓄電器の充電状態を取得する充電状態取得ステップと、
蓄電器の電流が所定の設定範囲内に入るように、スイッチング制御信号のデューティ比の許容範囲を設定する許容範囲設定ステップと、
スイッチング制御信号のデューティ比が前記許容範囲内に入るように、該デューティ比を制限するデューティ比制限ステップと、
を含み、
前記許容範囲設定ステップは、蓄電器の充電状態の変化に対して前記許容範囲を変更するステップであることを特徴とする電圧変換装置の制御方法。
【請求項15】
充放電可能な蓄電器からの直流電圧をスイッチング素子のスイッチング動作により所望の電圧に変換して出力する電圧変換装置にて用いられ、スイッチング素子へのスイッチング制御信号のデューティ比の調整により電圧変換比の制御が可能な電圧変換装置の制御方法であって、
蓄電器の電流を検出する電流検出ステップと、
蓄電器の充電状態を取得する充電状態取得ステップと、
蓄電器の電流に対する出力特性に基づいて、蓄電器の電流の許容範囲を設定する許容範囲設定ステップと、
蓄電器の電流が前記許容範囲内に入るように、スイッチング制御信号のデューティ比を制限するデューティ比制限ステップと、
を含み、
前記許容範囲設定ステップは、蓄電器の充電状態の変化に対して前記許容範囲を変更するステップであることを特徴とする電圧変換装置の制御方法。
【請求項16】
充放電可能な蓄電器からの直流電圧をスイッチング素子のスイッチング動作により所望の電圧に変換して出力する電圧変換装置にて用いられ、スイッチング素子へのスイッチング制御信号のデューティ比の調整により電圧変換比の制御が可能な電圧変換装置の制御方法であって、
蓄電器の電圧を検出する電圧検出ステップと、
蓄電器の充電状態を取得する充電状態取得ステップと、
蓄電器の充電状態の変化に対して蓄電器の電圧の許容範囲を変更する許容範囲設定ステップと、
蓄電器の電圧が前記許容範囲内に入るように、スイッチング制御信号のデューティ比を制限するデューティ比制限ステップと、
を含むことを特徴とする電圧変換装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−115635(P2006−115635A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−301662(P2004−301662)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】