説明

電圧検出回路、及び電源装置

【課題】瞬停の度に電力を遮断せずともリセット用コンデンサを確実に放電可能とする。
【解決手段】スイッチング制御回路5への入力電圧の降下を検出し、当該スイッチング制御回路5に設けられたリセット用コンデンサC2を放電する放電回路55を作動させる電圧検出回路53であって、前記入力電圧の降下検出後の復電時から所定時間Ta後に電圧が復電判定値Vrに至る比較用信号を前記入力電圧から生成し、前記入力電圧の降下検出時から前記比較用信号の電圧が前記復電判定値Vrを超えるまで前記放電回路55の作動を継続して前記リセット用コンデンサC2を放電するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気回路に設けられたリセット用コンデンサを瞬停発生に伴い確実に放電させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電源装置には、正常に出力できる入力電圧範囲、さらには最小入力電圧が規定されたものがある。例えばスイッチング電源装置では、一般に、スイッチング動作を制御すると共にリセット用コンデンサが放電されたときにリセット動作する制御回路と、入力電圧が最小入力電圧以下となったことを検出し、リセット用コンデンサを放電する電圧検出回路(入力監視回路)とを備え、入力電力の停電/復電時に、当該電圧検出回路がリセット用コンデンサを放電することによって、制御回路の誤動作を防止したものがある。
【0003】
ところで、入力電力の復電に伴って電圧検出回路がリセット用コンデンサの放電を停止する構成であると、入力電力の停電/復電が瞬間的に生じた場合(以下、「瞬停」と言う)、リセット用コンデンサの放電が不充分になり制御回路がリセット動作しない事がある。
そこで従来、電圧検出回路によって停電復帰が検出されたときには、当該停電復帰を所定時間遅延させる機能を備えた電源回路が提案されている(例えば、特許文献1(段落番号0043〜0045、図5)参照)。係る電源回路によれば、リセット用コンデンサの放電が不充分のうちに入力電圧が復帰する場合でも、電源回路が所定時間に亘り停止するため、リセット用コンデンサが放電して制御回路を確実にリセットできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−165155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の構成では、瞬停が発生するごとに電源回路を停止させるため、当該電源回路から電力供給を受けて作動する全ての回路の動作が所定時間停止する、という問題がある。このため、リセット動作が不要な回路には、別途に電力を供給しておく必要が生じることもある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、瞬停の度に電力を遮断せずともリセット用コンデンサを確実に放電することができる電圧検出回路、及び当該電圧検出回路を備えた電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、電気回路への入力電圧の降下を検出し、当該電気回路に設けられたリセット用コンデンサを放電する放電回路を作動させる電圧検出回路であって、前記入力電圧の降下検出後の復電時から所定時間後に電圧が復電判定値に至る比較用信号を前記入力電圧から生成し、前記入力電圧の降下検出時から前記比較用信号の電圧が前記復電判定値を超えるまで前記放電回路の作動を継続して前記リセット用コンデンサを放電することを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記電圧検出回路において、前記比較用信号の電圧と、前記復電判定値とを比較するコンパレータを備え、前記比較用信号を前記コンパレータに入力する接続ノードには、前記入力電圧の降下検出時に放電しつつ、前記接続ノードに印加された入力電圧に基づき充電する充放電回路を設けたことを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記電圧検出回路において、前記入力電圧の降下検出時から所定時間に亘り前記接続ノードをグランド側に接続するゼロ電圧維持回路を備えることを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、トランスの1次側に設けたスイッチング素子のオン・オフを制御し、前記トランスの2次側に出力電圧を得るスイッチング電源装置において、前記スイッチング素子を制御するとともに、リセット用コンデンサを有するスイッチング制御回路と、前記リセット用コンデンサを放電する放電回路と、1次側への入力電圧の降下を検出し、前記放電回路を作動させて前記リセット用コンデンサを放電する電圧検出回路と、を備え、前記電圧検出回路は、前記入力電圧の降下検出後の復電時から所定時間後に電圧が復電判定値に至る比較用信号を前記入力電圧から生成し、前記入力電圧の降下検出時から前記比較用信号の電圧が前記復電判定値を超えるまで前記放電回路の作動を継続して前記リセット用コンデンサを放電することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、瞬停が発生した場合であっても、比較用信号が所定時間をかけて復電判定値に至るため、当該所定時間に亘りリセット用コンデンサの放電が継続されることとなり確実に放電させることができる。また、入力電圧から生成した比較用信号に基づき復電判定を行うため当該復電を確実に検出でき、また、比較用信号に基づき放電回路の作動を停止させるため、電気回路への電力供給を遮断せずとも確実にリセット動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る電源装置の構成を示す回路図である。
【図2】電圧検出回路を拡大して示す回路図である。
【図3】入力電力投入時(復電時)のスイッチング電源装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図4】瞬停時のスイッチング電源装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の変形例に係る電圧検出回路の構成を示す回路図である。
【図6】同電圧検出回路の瞬停時の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。この実施形態では、スイッチング電源装置のスイッチング制御回路をリセットする電圧検出回路に本発明を適用した場合を例示する。
【0013】
図1は、本実施形態に係るスイッチング電源装置1の構成を示す回路図である。
スイッチング電源装置1は、いわゆるフォワード方式のスイッチング電源である。すなわち、スイッチング電源装置1は、トランスT1を有し、このトランスT1の1次巻線2には、例えばMOSFET等のスイッチング素子3が直列に接続され、このスイッチング素子3をオン/オフするスイッチング制御回路5が設けられている。そして、スイッチング素子3がオン/オフすることで、1次側の入力端7から入力される入力電圧Vaによって1次巻線2に起電圧を生じさせ、また2次巻線9には誘導起電圧を生じさせる。
【0014】
トランスT1の2次巻線9には、整流素子たるダイオード11及び13、平滑用チョークコイル15、電解コンデンサ17から成り、2次巻線9に発生する誘導起電圧を整流して直流の出力電圧Vbを出力端21に出力する整流平滑回路19が設けられている。この出力端21に負荷を接続することで、当該負荷に所定電圧値の出力電圧Vbが印加される。
【0015】
また、このスイッチング電源装置1にあっては、1次側に、入力平滑回路23と、励磁リセット回路25とを備えている。
入力平滑回路23は、入力電圧を平滑化して出力するものであり、ダイオード27及び電解コンデンサC1から構成されている。
励磁リセット回路25は、トランスT1に蓄積される残留励磁電力を放電する回路であり、トランスT1に設けたリセット巻線としての3次巻線29と、この3次巻線29に直列に接続した抵抗31、ダイオード33及び電解コンデンサ35を備え、トランスT1の残留励磁電力を電解コンデンサ35に蓄電する。この電解コンデンサ35の入力端は、一次側の入力端7に抵抗37を介して接続されており、電解コンデンサ35の蓄電力が結果として入力側に電力還流するように構成されている。また、この電解コンデンサ35の蓄電力は、スイッチング制御回路5にも供給されており、入力電力遮断時にスイッチング制御回路5に電力を供給する補助バッテリとしても機能する。
【0016】
また、2次側にあっては、2次側の出力端21と整流平滑回路19との間に、過電圧検出回路39が設けられている。過電圧検出回路39は、出力端21の過電圧を検出する回路であり、出力端21の端子間に設けた抵抗41及び43と、この端子間の電圧が抵抗41及び43によって規定された過電圧値になった場合にオンするシャントレギュレータ45と、シャントレギュレータ45がオンしたときに発光する発光ダイオード47と、この発光ダイオード47への電流を制限する電流制限抵抗49とを備えて構成されている。そして、この発光ダイオード47の発光によって出力端21の過電圧が検知されることとなる。
【0017】
スイッチング電源装置1の出力端21の直流電圧は、スイッチング制御回路5がスイッチング素子3をオン/オフする周波数やデューティー比で規定される。この直流電圧の電圧値を一定に維持すべく、直流電圧の電圧値に基づいてスイッチング制御回路5をフィードバック制御するフィードバック回路(図示せず)が設けられている。さらに、このスイッチング制御回路5にはリセット用コンデンサC2が設けられており、このリセット用コンデンサC2が放電されたときに、フィードバック値等をリセットするように構成されている。リセット用コンデンサC2には、スイッチング電源装置1の入力端7からの入力電力が蓄電され、一旦放電が行われると、入力電力が復電しない限りは蓄電されない。
【0018】
また、スイッチング電源装置1には、停電時にリセット用コンデンサC2を放電してスイッチング制御回路5をリセットさせるパワーオンリセット回路51が設けられている。パワーオンリセット回路51は、入力電力の入力電圧Vaに基づいて停電/復電を検出する電圧検出回路53と、電圧検出回路53の検出に基づいてリセット用コンデンサC2を放電する放電回路55とを備えている。
【0019】
電圧検出回路53は、通常時、Hレベルの検出信号VCoを出力しつつ、スイッチング電源装置1への入力電力の停電を検出したときに検出信号VCoをLレベルとし、復電したときには停電検出時から所定時間Ta(図3)が経過している事を条件に、検出信号VCoをHレベルに戻す回路である。このように、検出信号VCoをLレベルとする時間が常に所定時間確保されることから、リセット用コンデンサC2を確実に放電させることができる。
放電回路55は、検出信号VCoがLレベルの期間に亘ってリセット用コンデンサC2の入力側ノードN1をグランド側(アース側)に接続し放電する。具体的には、放電回路55は、リセット用コンデンサC2の入力側ノードN1とグランド側の間に設けたスイッチング素子57と、検出信号VCoのLレベルへの遷移に伴いスイッチング素子57をオンしHレベルの遷移に伴いオフするスイッチング素子59とを備えている。スイッチング素子57をオンするための電位は、上述した励磁リセット回路25の電解コンデンサ35から供給され、入力電力遮断時に確実に動作するように構成されている。なお、同図において、放電回路55が備える抵抗61〜67は、電流制限用の抵抗である。
【0020】
図2は、電圧検出回路53を拡大して示す回路図である。
電圧検出回路53は、コンパレータ60を備え、このコンパレータ60のプラス側には、スイッチング電源装置1の入力端7の入力電圧Vaに基づく入力電圧Vinが抵抗R1を介して入力されるとともに、マイナス側には停電/復電とみなす電圧閾値である復電判定値Vrが入力されている。すなわち、コンパレータ60は、プラス側の接続ノードN2の信号(以下、「比較用信号」と言う)の電圧VCiと、復電判定値Vrとを比較し、この比較用信号の電圧VCiが復電判定値Vr以上の間はHレベルの信号を検出信号VCoとして出力し、電圧VCiが復電判定値Vr以下になったときに検出信号VCoをLレベルとする。
比較用信号の電圧VCiは、電圧検出回路53への入力電圧Vinの電圧変動に追従して上下変動するが、停電時及び復電時のそれぞれのタイミングで緩やかに変動するように、接続ノードN2に第1充放電回路63及び第2充放電回路65がそれぞれ接続されている。
【0021】
第1充放電回路63は、コンデンサC3及び抵抗R3の並列回路であって、コンパレータ60のプラス側の接続ノードN2と、出力ノードN3との間に設けられている。すなわち、第1充放電回路63のコンデンサC3は、接続ノードN2に入力電圧Vinが印加されることで充電されて所定の電位を保持し、当該接続ノードN2の電圧VCiが復電判定値Vrを下回り、コンパレータ60の出力ノードN3がLレベル(グランド電位)になったときに放電される。
また、第2充放電回路65は、コンデンサC4及び抵抗R2の並列回路であって、コンパレータ60のプラス側の接続ノードN2とグランドとの間に設けられている。すなわち、第2充放電回路65のコンデンサC4は、接続ノードN2に入力電圧Vinが印加されることで充電されて所定の電位を保持し、入力電圧Vinの低下に伴って放電する。
【0022】
これら第1充放電回路63及び第2充放電回路65により、停電発生時には、第1充放電回路63及び第2充放電回路65が電力を放電することにより、接続ノードN2の電圧VCiがグランド電位まで速やかに降下する。一方、復電時には入力電圧Vinの上昇に伴って接続ノードN2の電圧VCiも上昇する。このとき、接続ノードN2の電圧VCiの上昇は、当該接続ノードN2に接続した第1充放電回路63及び第2充放電回路65の充電を伴うため、入力電圧Vinの電圧よりも緩やかに上昇することとなる。
【0023】
図3は、入力電力投入時(復電時)のスイッチング電源装置1の動作を示すタイミングチャートである。
入力電力の投入(復電)に伴い、電圧検出回路53の入力電圧Vinが上昇すると、上述の通り、コンパレータ60のプラス側の接続ノードN2の電圧VCiが緩やかに上昇を開始し、所定時間Taをかけて復電判定値Vrに到達する。接続ノードN2の電圧VCiが復電判定値Vrに至ると、コンパレータ60の出力、すなわち電圧検出回路53の検出信号VCoがHレベルに遷移する。
【0024】
電圧検出回路53の検出信号VCoがLレベルからHレベルに至ると、放電回路55がリセット用コンデンサC2とグランド側とを遮断し、これにより、リセット用コンデンサC2の充電が開始する。そして、リセット用コンデンサC2の電位がスイッチング動作電圧Vsまで上昇すると、スイッチング制御回路5がスイッチング動作を開始し、これに伴い、スイッチング電源装置1の出力側に出力電圧Vbが発生する。なお、リセット用コンデンサC2の容量は、復電時にスイッチング動作を速やかに開始できるように、第1充放電回路63及び第2充放電回路65が備えるコンデンサC3、C4の容量よりも小さく設定されている。
【0025】
次いで、電圧検出回路53における接続ノードN2の電圧VCiの上昇時の動作について詳述する。
図3に示すように、電圧VCiが復電判定値Vrに至るまでの所定時間Taには、上昇の開始時に非常に緩やかに上昇する初期上昇期間Tbと、その後、緩やかに上昇する上昇期間Tcとが含まれている。初期上昇期間Tbは、第1充放電回路63及び第2充放電回路65の両方のコンデンサC3、C4への充電が行われる期間であり、コンデンサC3、C4の充電電圧が接続ノードN2の電圧VCiとなる。本実施形態では、第2充放電回路65のコンデンサC4の容量を第1充放電回路63のコンデンサC3よりも小さくしており、当該第2充放電回路65のコンデンサC4への充電完了に伴って初期上昇期間Tbから上昇期間Tcに移行する。
【0026】
上昇期間Tcでは、第1充放電回路63のコンデンサC3の充電が継続して行われ、このコンデンサC3の充電電圧が接続ノードN2の電圧VCiとなる。
そして、これらコンデンサC3、C4の容量を調整することで充電時間を調整し、これらのコンデンサC3、C4の充電電圧が0ボルトから復電判定値Vrに至るまでに所定時間Taを要するにしている。
【0027】
図4は、瞬停時のスイッチング電源装置1の動作を示すタイミングチャートである。
スイッチング電源装置1への入力電力の停電/復電が瞬停により瞬間的に生じた場合、同図に示すように、当該スイッチング電源装置1の入力電圧Vaが瞬間的にゼロなる。これに伴い電圧検出回路53の入力電圧Vinが降下し、当該入力電圧Vinに基づく比較用信号の電圧VCiが復電判定値Vrまで降下したときにコンパレータ60がLレベルの検出信号VCoを出力する(入力停電検出t1)。これに伴い、放電回路55がリセット用コンデンサC2をグランドに接続することで当該リセット用コンデンサC2が放電を開始することとなる。
また電圧検出回路53にあっては、コンパレータ60がLレベルの検出信号VCoを出力すると、コンデンサC3を介して、コンパレータ60のプラス側の接続ノードN2がショートされて、当該接続ノードN2の電圧VCiがゼロボルトになる。
【0028】
次いで、スイッチング電源装置1の入力電圧Vaが復電により復帰すると、電圧検出回路53の入力電圧Vinが上昇する。このとき、電圧検出回路53にあっては、コンパレータ60の比較用信号の電圧VCiが、上述の通り、入力停電検出t1から所定時間Taが経過して復電判定値Vrに至るまでは、コンパレータ60がLレベルの検出信号VCoを出力し続ける。これにより、スイッチング電源装置1の入力電力が復電していても、リセット用コンデンサC2の放電が継続される。そして、当該リセット用コンデンサC2の電圧がスイッチング停止電圧Vtを下回ったときに、スイッチング制御回路5がスイッチング動作を停止し、これにより、出力電圧Vbもゼロボルトに低下する。
そして、入力停電検出t1から所定時間Taが経過してコンパレータ60がHレベルの検出信号VCoを出力したときには、放電回路55がリセット用コンデンサC2をグランドから遮断することでリセット用コンデンサC2の充電が開始され、当該リセット用コンデンサC2の電圧がスイッチング動作電圧Vsに至ったときにスイッチング制御回路5がスイッチング動作を開始し、所定の出力電圧Vbが出力される。
【0029】
このように本実施形態によれば、コンパレータ60に信号を入力する接続ノードN2に、入力電圧Vinの降下検出後の復電時から所定時間Ta後に電圧が復電判定値Vrに至る比較用信号を入力電圧Vinから生成し、入力電圧Vinの降下検出時から比較用信号の電圧VCiが復電判定値Vrを超えるまで放電回路55の作動を継続してリセット用コンデンサC2を放電する構成とした。
この構成によれば、瞬停が発生した場合であっても、比較用信号は所定時間Taをかけて復電判定値Vrに至るため、当該所定時間Taに亘りリセット用コンデンサC2の放電が継続されることとなり確実に放電させることができる。また、入力電圧Vinから生成した比較用信号に基づき復電判定を行うため当該復電を確実に検出できる。また、当該比較用信号を用いて放電回路55の作動を停止させるため、スイッチング電源装置1への電力供給を遮断せずとも確実にスイッチング制御回路5のリセット動作を行うことができる。
【0030】
また本実施形態によれば、比較用信号をコンパレータ60に入力する接続ノードN2には、入力電圧Vinの降下検出時に放電しつつ、接続ノードN2に印加された入力電圧Vinに基づき充電する第1及び第2充放電回路63、65を設ける構成とした。
この構成により、入力電圧Vinの降下検出後の復電時から所定時間Ta後に電圧が復電判定値Vrに至る比較用信号を簡単な回路で生成でき、また、これら第1及び第2充放電回路63、65が備えるコンデンサC3、C4の容量を適宜設定することで、所定時間Taを簡単に変更できる。
【0031】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示するものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【0032】
例えば、上述した実施形態では、電圧検出回路53が第1充放電回路63及び第2充放電回路65を備える構成を例示したが、これに限らない。
図5は、本変形例に係る電圧検出回路153の構成を示す回路図である。なお、同図において、第1実施形態で説明したものについては同一の符号を付し、その説明を省略する。
この電圧検出回路153は、第1実施形態で示した電圧検出回路53において、第1充放電回路63に代えてゼロ電圧維持回路70を設けたものである。ゼロ電圧維持回路70は、検出用信号の電圧VCiが復電判定値Vrを下回ったときから所定時間Tdに亘り、比較用信号の電圧VCiをゼロボルトに維持する回路である。
【0033】
具体的には、ゼロ電圧維持回路70は、検出用信号の電圧VCiが復電判定値Vrを下回りコンパレータ60がLレベルの検出信号VCoを出力したときに接続ノードN2をグランドに接続するスイッチ素子Q1、Q2と、コンパレータ60がLレベルの検出信号VCoを出力した後、復電に伴い所定時間Tdをかけて充電されるコンデンサC5とを備え、当該コンデンサC5の充電完了に伴いスイッチ素子Q2がオフして、接続ノードN2をグランドから切断する。なお、同図に示す抵抗R4〜R7は、電流制限用の抵抗である。また、コンデンサC5の充電や、スイッチ素子Q1、Q2の駆動にはスイッチング電源装置1の入力電力が用いられる。
【0034】
図6は、本変形例に係る電圧検出回路153の瞬停時の動作を示すタイミングチャートである。
瞬停が発生した場合、電圧検出回路153においては、比較用信号の電圧VCiが復電判定値Vrを下回り、コンパレータ60が出力する検出信号VCoがLレベルになった後、上記ゼロ電圧維持回路70により、比較用信号の電圧VCiが所定時間Tdに亘りゼロボルトに維持される。その後、第2充放電回路65への充電が開始され、この充電に伴い接続ノードN2の電圧VCiが復電判定値Vrに至ったときに、コンパレータ60の検出信号VCoがHレベルに遷移する。
【0035】
このように、本変形例においては、入力電圧Vinの降下検出時から所定時間Tdに亘り接続ノードN2をグランド側に接続するゼロ電圧維持回路70を備える構成としたため、入力電圧Vinの降下検出後の復電時から電圧VCiが復電判定値Vrに至る所定時間Teが所定時間Tdよりも必ず長くなり、リセット用コンデンサC2を確実に放電することができる。
【0036】
上述した実施形態及び変形例においては、本発明をスイッチング電源装置のスイッチング制御回路のリセット動作に適用した場合を例示したが、リセット用コンデンサを備える電気回路であれば、任意の回路に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 スイッチング電源装置
3 スイッチング素子
5 スイッチング制御回路(電気回路)
51 パワーオンリセット回路
53、153 電圧検出回路
55 放電回路
60 コンパレータ
63 第1充放電回路
65 第2充放電回路
70 ゼロ電圧維持回路
C2 リセット用コンデンサ
C3〜C4 コンデンサ
N2 接続ノード
T1 トランス
Ta、Td、Te 所定時間
Tb 初期上昇期間
Tc 上昇期間
t1 入力停電検出
VCi 比較用信号の電圧
VCo 検出信号
Vin 電圧検出回路への入力電圧
Vr 復電判定値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気回路への入力電圧の降下を検出し、当該電気回路に設けられたリセット用コンデンサを放電する放電回路を作動させる電圧検出回路であって、
前記入力電圧の降下検出後の復電時から所定時間後に電圧が復電判定値に至る比較用信号を前記入力電圧から生成し、前記入力電圧の降下検出時から前記比較用信号の電圧が前記復電判定値を超えるまで前記放電回路の作動を継続して前記リセット用コンデンサを放電することを特徴とする電圧検出回路。
【請求項2】
前記比較用信号の電圧と、前記復電判定値とを比較するコンパレータを備え、
前記比較用信号を前記コンパレータに入力する接続ノードには、前記入力電圧の降下検出時に放電しつつ、前記接続ノードに印加された入力電圧に基づき充電する充放電回路を設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の電圧検出回路。
【請求項3】
前記入力電圧の降下検出時から所定時間に亘り前記接続ノードをグランド側に接続するゼロ電圧維持回路を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電圧検出回路。
【請求項4】
トランスの1次側に設けたスイッチング素子のオン・オフを制御し、前記トランスの2次側に出力電圧を得る電源装置において、
前記スイッチング素子を制御するとともに、リセット用コンデンサを有するスイッチング制御回路と、
前記リセット用コンデンサを放電する放電回路と、
1次側への入力電圧の降下を検出し、前記放電回路を作動させて前記リセット用コンデンサを放電する電圧検出回路と、を備え、
前記電圧検出回路は、
前記入力電圧の降下検出後の復電時から所定時間後に電圧が復電判定値に至る比較用信号を前記入力電圧から生成し、前記入力電圧の降下検出時から前記比較用信号の電圧が前記復電判定値を超えるまで前記放電回路の作動を継続して前記リセット用コンデンサを放電する
ことを特徴とする電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−146985(P2011−146985A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6925(P2010−6925)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000005382)古河電池株式会社 (314)
【Fターム(参考)】