説明

電圧検知コンセントボックス

【課題】
商用交流電源を使用する各電気機器が電圧検知回路を内蔵していない場合であっても、入力電圧の異常を検知して、異常状態を通知することができる電圧検知コンセントボックスを提供することにある。
【解決手段】
電圧検知コンセントボックス内に、外部からの交流電源の入力電圧を検知する電圧検知手段と、検知した電圧と予め記憶した電圧の閾値とを比較する判別手段および警告通知手段を設けることにより、商用交流電源の電圧を監視し、電圧の異常を検知した場合に異常状態を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧検知コンセントボックスに関し、特に、商用の交流電力のコンセントから電力の供給を行う機器に対し、入力電圧の異常を検知することで異常状態を表示・通知する電圧検知コンセントボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
交流電力の電圧異常を検知する技術が、特許文献1に記載されている。また無停電電源装置(以降UPSと記載する)を接続し電圧を監視することで、商用交流電源の電圧異常に対応する方法もある。
【0003】
【特許文献1】特開2005-10067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1では、各電気機器が電圧検知回路を内蔵する必要がある。また、UPSは高価であるため設備コストが増加する。
【0005】
本発明の目的は、商用交流電源を使用する各電気機器が電圧検知回路を内蔵していない場合であっても、電圧の異常を検知し異常状態を通知することができる電圧検知コンセントボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、コンセントボックスに交流電圧検知回路、検知電圧の閾値調整回路、信号出力回路を内蔵し、異常発生時に警告を表示する手段を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電圧検知機能を持たない電気機器であっても、商用交流電源の電圧異常を検知し、異常状態を通知することを安価に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施形態について、以下図面を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0009】
第1の実施例について図1、図2、図3、図4を用いて説明する。
【0010】
コンセントボックス100は、商用交流電源101より電源入力部102に電力を供給される。入力された交流電力は電圧検知手段103によって電圧値を検出し、電圧値信号200として判別手段104に通知され判別される。判別の基準としては図3、図4に示すある一定の監視周期内に電圧値が下限値を一定回数下回るあるいは上限値を一定回数上回ることで異常と判断する。この場合の一定回数は複数回であることが望ましい。また入力電圧に対しノイズの影響を軽減するために高周波成分を取り除くフィルター回路を設けることが望ましい。上限値、下限値については定格値105を用いるかあるいは閾値調整手段106を設けることで閾値を設定し閾値入力信号201として判別手段104に入力することで設定することが可能である。図3、図4に示す上限値、下限値は実効値であり、定格値105または閾値調整手段106により設定される閾値の値をルート2倍することで算出される。図3は正常状態を、図4は異常状態の電圧状態の例を示す。異常状態と判別された場合、判別手段104は警告信号202を警告通知手段107に通知し異常状態を通知する。異常状態の通知手段としてはLEDによる視覚的な表示やスピーカによる音声の発信により通知が考えられる。
【0011】
以下、図2のフローチャートに従い動作の流れを説明する。
(S100)コンセントボックス100は、商用交流電源101から電源入力部102に交流電力を伝達する。
(S101)電源入力部102に入力された交流電力を電圧検知手段103に伝達する。
(S102)電圧検知手段103は入力された電圧の電圧値を検出し、電圧値信号200として判別手段104に入力する。
(S103)入力された電圧値があらかじめ定められた定格値105の範囲内あるいは閾値調整手段106から入力される閾値入力信号201により設定された閾値の範囲内に納まっているかを判別する。
(S104)判別手段104は異常状態であると判断し、警告信号202を警告通知手段107に通知する。
(S105)警告信号202を受けた警告通知手段107は異常状態を通知する。
(S106)電源入力部102から入力される交流電力は、電源出力部108に伝達する。
(S107)電源入力部102から接続された電気機器109に交流電力を供給する。
【実施例2】
【0012】
第2の実施例について図5、図6を用いて説明する。本実施例は、第1の実施例の構成に信号出力回路110を備えることで電圧異常発生時の障害解析を容易にするものである。この場合、電源出力部チャネル1112,電源出力部チャネル2113,電源出力部チャネル3114の各チャネル毎の電圧を電圧検知手段103で検知し、判別手段104により判別する。警告信号203は、各チャネル毎の判別結果を警告通知手段107および信号出力回路110に入力される。この場合、警告通知手段107はチャネル別の情報を出力出来ることが望ましい。警告信号202が入力された信号出力回路110は、接続されているサーバ等の情報機器111に対し異常通知信号203を出力する。警告信号202および異常通知信号203に判別結果だけでなく、電圧値の情報を加えることで情報機器111によりコンセントボックスに接続される電気機器109の各電圧を監視することが可能である。
【0013】
以下、図6のフローチャートに従い動作の流れを説明する。
(S200)コンセントボックス100は、商用交流電源101から電源入力部102に交流電力を伝達する。
(S201)電源入力部102に入力された交流電力を電圧検知手段103に伝達する。
(S202)電圧検知手段103は入力された電圧の電圧値を検出し、電圧値信号200として判別手段104に入力する。
(S203)入力された電圧値があらかじめ定められた定格値105の範囲内あるいは閾値調整手段106から入力される閾値入力信号201により設定された閾値の範囲内に納まっているかを判別する。
(S204)判別手段104は異常状態であると判断し、警告信号202を警告通知手段107および信号出力回路110に通知する。
(S205)警告信号202を受けた警告通知手段107は異常状態を通知する。
(S206)信号出力回路110は接続されている情報機器111に通知する。
(S207)電源入力部102から入力される交流電力を電源出力部112、113、114に伝達する。
(S208)チャネル各の電源入力部112、113、114から接続された電気機器109に交流電力を供給する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1の処理を示すブロック図である
【図2】実施例1の処理を示すフローチャートである
【図3】交流電圧波形の正常状態である
【図4】交流電圧波形の異常状態である
【図5】実施例2の処理を示すブロック図である
【図6】実施例2の処理を示すフローチャートである
【符号の説明】
【0015】
100・・・コンセントボックス
101・・・商用交流電源
102・・・コンセントボックス100の電源入力部
103・・・コンセントボックス100の電圧検知手段
104・・・コンセントボックス100の判別手段
105・・・コンセントボックス100の定格値
106・・・コンセントボックス100の閾値調整手段
107・・・コンセントボックス100の警告通知手段
108・・・コンセントボックス100の電源出力部
109・・・電気機器
110・・・コンセントボックス100の信号出力回路
111・・・情報機器
112・・・コンセントボックス100の電源出力部チャネル1
113・・・コンセントボックス100の電源出力部チャネル2
114・・・コンセントボックス100の電源出力部チャネル3
200・・・電圧値信号
201・・・閾値入力信号
202・・・警告信号
203・・・異常通知信号


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を検知する電圧検知コンセントボックスにおいて、
外部からの交流電源を入力する電源入力部と、
該電源入力部が入力した交流電圧を検知する電圧検知部と、
該電圧検知手段が検知した入力電圧を、予め記憶してある電圧の閾値と比較する判別部と、
該判別部による判別の結果、前記入力電圧が所定の範囲内である場合は、該入力電圧を外部に出力する電源出力部と、
前記判別部による判別の結果、前記入力電圧が所定の範囲外である場合は、異常であることを通知する通知部とを備えることを特徴とする電圧検知コンセントボックス。
【請求項2】
前記電圧検知コンセントボックスはさらに、
前記閾値を調整する閾値調整部を備え、
前記判別部は、前記調整された閾値と、前記入力電圧とを比較することを特徴とする請求項1記載の電圧検知コンセントボックス。
【請求項3】
前記電圧検知コンセントボックスはさらに、
前記判別部による判別の結果、前記入力電圧が所定の範囲外である場合は、該入力電圧の出力信号を出力する信号出力部を備えることを特徴とする請求項1記載の電圧検知コンセントボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−96130(P2008−96130A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−274604(P2006−274604)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】