電子価格提示システム、電子価格提示装置、及び電子価格提示方法
【課題】カオス暗号化方法により価格を電子的に提示する際に、携帯電話等の携帯型端末装置で簡便に価格はい情報を取得できる電子価格提示システム、装置及び方法を提供すること。
【解決手段】電子価格提示サーバには、複数のユーザ端末に固有に割り当てられた識別符号やその計算値を各ユーザの秘密鍵として関係付けて記録する秘密鍵記録手段と、カオス暗号化方法により暗号化データを生成する暗号化手段と、暗号化データを、対応するアイテムおよびユーザに関係付けて記録する価格データ記録手段と、ユーザ端末からの要求に応じて対応する暗号化データを検索し読み出す検索手段と、その結果をユーザ端末に送信する送信手段とを備える。一方、ユーザ端末では、識別符号値読み出し手段から読み出された識別符号値を用いて受信した暗号化データを復号化し、元の価格データを生成する復号化手段と、復号化された該価格データを表示する表示手段とを備える。
【解決手段】電子価格提示サーバには、複数のユーザ端末に固有に割り当てられた識別符号やその計算値を各ユーザの秘密鍵として関係付けて記録する秘密鍵記録手段と、カオス暗号化方法により暗号化データを生成する暗号化手段と、暗号化データを、対応するアイテムおよびユーザに関係付けて記録する価格データ記録手段と、ユーザ端末からの要求に応じて対応する暗号化データを検索し読み出す検索手段と、その結果をユーザ端末に送信する送信手段とを備える。一方、ユーザ端末では、識別符号値読み出し手段から読み出された識別符号値を用いて受信した暗号化データを復号化し、元の価格データを生成する復号化手段と、復号化された該価格データを表示する表示手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子価格表提示システム及びその装置、方法に関し、販売先ごとに異なる価格表を提示すると共に、第三者によって販売価格を知られることがないように情報を秘匿する技術に係る。
【背景技術】
【0002】
流通過程においては、商品またはサービスといったアイテムの価格を取引相手毎に個別に設定することが頻繁に行われている。このように設定されるアイテムの価格を当事者価格と呼ぶ。当事者価格は、利害関係上、その取引相手以外の第三者に対し秘匿する必要がある。このため従来は、取引相手毎に個別にアイテムの価格表を作成し、この価格表を紙に印刷した状態で、対応する取引相手のみに提示することにより、アイテムの価格が第三者に分からないようにしていた。
【0003】
第三者への秘匿性を確保すると共に、取引相手に対しては簡便に価格を提示するための技術として、特許文献1に開示される技術が本件出願人らによって提案されている。本技術によれば、電子価格提示サーバではカオス暗号化方法によってクライアントのユーザに対応した秘密鍵を用いて暗号化し、クライアントは、そのユーザの秘密鍵で復号化して表示する。これにより、高度なセキュリティを保ちながら、ユーザ側ではほとんど手間をかけることなく価格表を表示することができる。
【0004】
しかしながら上記の技術では最近増えている携帯端末を利用した方法では十分な対応ができない問題がある。例えば、復号化を端末側で行う必要があったことや、電子価格表への通信アクセスに手間がかかること、秘密鍵の送信方法など、携帯端末特有の問題を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4219629号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みて創出されたものであり、カオス暗号化方法により価格を電子的に提示する際に、携帯電話等の携帯型端末装置で簡便に価格情報を取得できる電子価格提示システム、装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は次のような電子価格提示システムを提供する。
すなわち、複数のユーザがそれぞれ所持するユーザ端末と、各ユーザに対応する価格を提示する電子価格提示サーバとからなる電子価格提示システムであって、次の構成を備える。
まず、電子価格提示サーバには、複数のユーザ端末に固有に割り当てられた識別符号、又は該識別符号から所定の計算式に従って計算した計算値のいずれかである識別符号値を各ユーザの秘密鍵として関係付けて記録する秘密鍵記録手段と、カオス暗号化方法によって暗号化データを生成する暗号化手段と、暗号化データを、対応するアイテムおよびユーザに関係付けて記録する価格データ記録手段と、ユーザ端末からの要求に応じて該価格データ記録手段からユーザに関係付けて記録された暗号化データを検索し読み出す検索手段と、この検索手段により読み出された暗号化データを、該ユーザ端末に送信する送信手段とを備える。
本発明の暗号化手段は、M個(Mは自然数)の秘密鍵を用いてN次元(Nは自然数)の有理数ベクトルを一括して暗号化するカオス暗号化方法により、各ユーザに関連づけられたM個の該秘密鍵を該秘密鍵記録手段から読み出して各アイテムに対するN個の前記価格データを1つのN次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成することを特徴とする。
【0008】
一方、ユーザ端末には、識別符号値を読み出し、又は計算する識別符号値読み出し手段と、電子価格提示サーバへ該要求を送信する第2の送信手段と、電子価格提示サーバから送信される該暗号化データを受信する受信手段と、受信された該暗号化データを該識別符号値読み出し手段から読み出された該識別符号値を用いて復号化し、元の価格データを生成する復号化手段と、復号化された該価格データを表示する表示手段とを備える。
【0009】
あるいは、次のような構成でもよい。
すなわち、本発明の電子価格提示サーバには、上記と同様の秘密鍵記録手段、暗号化手段、価格データ記録手段と、ユーザ端末からの要求に応じて該価格データ記録手段から該ユーザに関係付けて記録された暗号化データを検索し読み出す検索手段に加え、検索手段により読み出された暗号化データを、該秘密鍵記録手段から読み出された該ユーザの識別符号値を用いて復号化する復号化手段と、復号化された価格データをユーザ端末に送信する送信手段とを備える。
そして、ユーザ端末には、第2の送信手段と共に、電子価格提示サーバから送信される価格データを受信する受信手段と、受信した該価格データを表示する表示手段とを備える。
【0010】
上記の電子価格提示システムにおいて、電子価格提示サーバの暗号化手段が、各アイテムに対するN個の該価格データを1つのN次元ベクトルに可逆圧縮した後、N次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成すると共に、ユーザ端末の復号化手段が、復号化した後、可逆圧縮の逆操作を行い、元の価格データを生成する構成でもよい。
【0011】
上記の電子価格提示システムにおいて、電子価格提示サーバの暗号化手段で暗号化されたN次元の暗号化データを所定のハッシュ関数でハッシュすることにより、N個のハッシュ値を取得し記録するハッシュ化手段を備え、電子価格提示サーバの検索手段が、ユーザ端末からの要求に応じて価格データ記録手段からユーザに関係付けて記録された暗号化データを、該ユーザに関係付けて記録されたハッシュ値をキーワードに検索し読み出す構成でもよい。
【0012】
上記の電子価格提示システムにおいて、電子価格提示サーバのネットワークアドレスと、アイテムを識別するアイテム識別符号との情報を少なくとも含む価格リンク手段を用いることもできる。この価格リンク手段は、ユーザ端末で電子的に読み取り可能なものとする。
これに対応して、ユーザ端末には、該価格リンク手段を読み取る価格リンク読み取り手段を備えると共に、読み取った該ネットワークアドレス宛に、第2の送信手段から、読み取ったアイテム識別符号を送信する。また、電子価格提示サーバの前記検索手段は、該受信したアイテム識別符号に対応するアイテムの価格を含む前記暗号化データを検索する。
【0013】
上記の電子価格提示システムにおいて、第2の送信手段が、読み取ったアイテム識別符号と共に、価格データにおける価格を更新するための価格変換値を送信し、電子価格提示サーバが、その価格データを価格変換値に基づいて算出した結果で更新する価格更新手段を備えることもできる。
【0014】
上記価格リンク手段が、バーコード情報であって、価格リンク読み取り手段が、該バーコードを読み取るセンサである構成でもよい。
あるいは、価格リンク手段が、非接触型タグであって、価格リンク読み取り手段が、非接触型タグの読み取り手段である構成でもよい。
【0015】
本発明の電子価格提示サーバにおいて、上記価格データにおける価格を一括して更新するための一括価格変換値を入力する入力手段と、価格データを該一括価格変換値に基づいて算出した結果で更新する一括価格更新手段を備えることもできる。
この一括価格更新手段において、更新される価格と共に、更新前の原価格を同時に記録する構成でもよい。
【0016】
本発明は、上記電子価格提示サーバの構成を備えた電子価格提示装置として提供することもできる。
本装置において、価格データに復号化する構成では、復号化された価格データをユーザ端末に送信する送信手段に限らず、復号化された該価格データを表示する表示手段を備えることもできる。
【0017】
本発明は、複数のユーザがそれぞれ所持するユーザ端末と、各ユーザに対応する価格を提示する電子価格提示サーバとからなる電子価格提示システムにおける処理方法として提供することもできる。
すなわち、予め複数のユーザ端末に固有に割り当てられた識別符号、又は該識別符号から所定の計算式に従って計算した計算値のいずれかである識別符号値を各ユーザの秘密鍵として関係付けて該電子価格提示サーバの秘密鍵記録手段に記録しておき、
(A) 電子価格提示サーバの暗号化手段が、M個(Mは自然数)の秘密鍵を用いてN次元(Nは自然数)の有理数ベクトルを一括して暗号化するカオス暗号化方法により、各ユーザに関連づけられたM個の該秘密鍵を該秘密鍵記録手段から読み出して各アイテムに対するN個の前記価格データを1つのN次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成する暗号化ステップ、
(B) 電子価格提示サーバの価格データ記録手段が、該暗号化データを、対応する該アイテムおよび該ユーザに関係付けて記録する価格データ記録ステップ、
(C) 該ユーザ端末の第2の送信手段が、該電子価格提示サーバへ要求を送信する要求送信ステップ、
(D) 該電子価格提示サーバの検索手段が、該ユーザ端末からの要求に応じて該価格データ記録手段から該ユーザに関係付けて記録された暗号化データを検索し読み出す検索ステップ、
(E) この検索手段により読み出された該暗号化データを、該ユーザ端末に送信する送信ステップ、
(F) 該ユーザ端末の受信手段が、該電子価格提示サーバから送信される該暗号化データを受信する受信ステップ、
(G) 該ユーザ端末の識別符号値読み出し手段が、該識別符号値を読み出し、又は計算する識別符号値読み出しステップ、
(H) 該ユーザ端末の復号化手段が、受信された該暗号化データを該識別符号値読み出し手段から読み出された該識別符号値を用いて復号化し、元の価格データを生成する復号化ステップ、
(I) 該ユーザ端末の表示手段が、復号化された該価格データを表示する表示ステップ
を有することを特徴とする。
【0018】
本発明は、次のような電子価格提示システムにおける処理方法を提供することもできる。
すなわち、予め複数のユーザ端末に固有に割り当てられた識別符号、又は該識別符号から所定の計算式に従って計算した計算値のいずれかである識別符号値を各ユーザの秘密鍵として関係付けて該電子価格提示サーバの秘密鍵記録手段に記録しておき、
(a) 電子価格提示サーバの暗号化手段が、M個(Mは自然数)の秘密鍵を用いてN次元(Nは自然数)の有理数ベクトルを一括して暗号化するカオス暗号化方法により、各ユーザに関連づけられたM個の該秘密鍵を該秘密鍵記録手段から読み出して各アイテムに対するN個の前記価格データを1つのN次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成する暗号化ステップ、
(b) 電子価格提示サーバの価格データ記録手段が、該暗号化データを、対応する該アイテムおよび該ユーザに関係付けて記録する価格データ記録ステップ、
(c) ユーザ端末の第2の送信手段が、該電子価格提示サーバへ要求を送信する要求送信ステップ、
(d) 電子価格提示サーバの検索手段が、該ユーザ端末からの要求に応じて該価格データ記録手段から該ユーザに関係付けて記録された暗号化データを検索し読み出す検索ステップ、
(e) 電子価格提示サーバの復号化手段が、この検索手段により読み出された該暗号化データを、該秘密鍵記録手段から読み出された前記ユーザの識別符号値を用いて復号化する復号化ステップ、
(f) 電子価格提示サーバの送信手段が、復号化された該価格データを該ユーザ端末に送信する送信ステップ、
(g) ユーザ端末の受信手段が、該電子価格提示サーバから送信される該価格データを受信する受信ステップ、
(h) ユーザ端末の表示手段が、該価格データを表示する表示ステップ
を有することを特徴とする。
【0019】
上記いずれかの電子価格提示方法の暗号化ステップ(A)(a)において、電子価格提示サーバの暗号化手段が、各アイテムに対するN個の該価格データを1つのN次元ベクトルに可逆圧縮した後、N次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成すると共に、復号化ステップ(H)(e)において、ユーザ端末の復号化手段が、復号化した後、可逆圧縮の逆操作を行い、元の価格データを生成することもできる。
【0020】
上記いずれかの電子価格提示方法において、暗号化ステップ(A)(a)の次に、電子価格提示サーバのハッシュ化手段が、前記暗号化ステップで暗号化されたN次元の暗号化データを所定のハッシュ関数でハッシュすることにより、N個のハッシュ値を取得し記録するハッシュ化ステップを有すると共に、検索ステップにおいて、電子価格提示サーバの検索手段が、前記ユーザ端末からの要求に応じて前記価格データ記録手段から前記ユーザに関係付けて記録された暗号化データを、該ユーザに関係付けて記録されたハッシュ値をキーワードに検索し読み出す構成でもよい。
【0021】
本発明は、上記いずれかの電子価格提示方法をコンピュータの電子価格提示サーバに実行させることを特徴とするサーバ用プログラムとして提供することもできる。
また、上記いずれかの電子価格提示方法をコンピュータのユーザ端末に実行させることを特徴とする端末用プログラムとして提供することもできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、以上の構成を備えることにより、次の効果を奏する。
ユーザ端末に固有に割り当てられた識別符号やその計算値を秘密鍵とすることにより、ユーザが秘密鍵を定義する必要がなく、秘匿性の高いカオス暗号化方法を簡便に利用することができるようになる。特に、携帯電話などにはハードウェア上に識別符号が付与されており、この情報は情報を取得したり、他の端末でなりすますことが困難であるため、ユーザ以外の者に価格が誤って提示されることが極めて少ない。
これと同様に、いかなるユーザ端末であってもハードウェア上に識別符号を付与することで従来の技術のように秘密鍵を生成して交換する必要がないため、簡便な電子価格提示方法に寄与する。
【0023】
携帯電話端末のように、ユーザが個人的に使用するものであって、通信経路も通信キャリアによって保護されているユーザ端末においては、電子価格提示サーバにおいて復号化することもできる。この場合、ユーザ端末において復号化の処理が不要であり、処理負荷の軽減を図ることができる。
【0024】
本発明の価格リンク手段を用いることによってユーザ端末から簡便に電子価格提示サーバにアクセスすることが可能となる。例えば、カタログのアイテムの写真の横に、価格リンク手段としてバーコード情報を表示しておくことで、ユーザ端末でそのバーコード情報を読み取って電子価格提示サーバから対応する価格を取得することができる。
また、価格リンク手段として非接触型のタグを用いれば携帯電話端末などを近づけることで電子価格提示サーバに簡便にアクセスし、価格データを得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例1における電子価格提示システムの一構成例を示すブロック図である。
【図2】電子価格提示サーバの一構成例を示すブロック図である。
【図3】電子価格データテーブルの一例を示す図であり、(a)は実際の当事者価格が表示された状態を示し、(b)は当事者価格が暗号化された状態を示す。
【図4】データベースサーバの一構成例を示すブロック図である。
【図5】Webサーバの一構成例を示すブロック図である。
【図6】ユーザ端末の一構成例を示すブロック図である。
【図7】ユーザ端末の識別符号を秘密鍵として登録する処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】データベースサーバにおける価格データの蓄積処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】ユーザ端末において価格表示を行うための処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】ユーザ端末において価格更新処理を行うための処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】本発明に係る電子価格提示システム用媒体の一例としてカタログを用いる場合の説明図である。
【図12】本発明に係る電子価格提示システム用媒体の一例として値札を用いる場合の説明図である。
【図13】本発明の実施例2における価格表示を行うための処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施例3における価格データの蓄積処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施例3における価格表示を行うための処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施例4における価格データの蓄積処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施例4における価格表示を行うための処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】本発明の実施例5における一括価格更新を行うための処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を、図面に示す実施例を基に説明する。なお、実施形態は下記に限定されるものではない。
本発明は、インターネットなどの通信ネットワークを介して、ユーザ端末(以下、端末と呼ぶ。)と、電子価格提示サーバ(以下、サーバと呼ぶ。)とが接続されており、サーバ上にカオス暗号化方法によって暗号化された状態で蓄積されたアイテムの価格を端末から取得可能とするものである。次の実施例1では、暗号化された価格データを端末で復号化する方法を、実施例2ではサーバで復号化する方法をそれぞれ述べる。
【実施例1】
【0027】
図1は、本発明の実施例1における電子価格提示システムの全体構成を示すブロック図である。このシステムは、電子価格提示サーバ(1)と、このサーバ(1)が提供するサービスをインターネット(3)を介して受けるユーザ端末(2A)(2B)(2C)とから構成される。サーバ(1)は、例えば商社やメーカー等、商品またはサービスといったアイテムの売り方の業者Sが管理するコンピュータからなり、端末(2A)〜(2C)は、業者Sが提供するアイテムの買い方の業者やユーザの携帯電話端末などからなる。
【0028】
サーバ(1)は、図2に示すように、アイテムの暗号化された価格データを蓄積し、この価格データに基づき要求に応じて暗号化データを検索できるデータベースサーバ(以下「DBサーバ」という)(11)と、DBサーバ(11)にLAN(Local Area Network)を介して接続され、DBサーバ(11)から検索された暗号化データを端末(2A)〜(2C)に配信するWebサーバ(12)とから構成される。
電子価格表は、例えば図3(a)に示すように、業者Sの取引相手であるユーザA〜Cに対して設定されたアイテムの当事者価格を表にしたものである。DBサーバ(11)は後述するように、ユーザに対して個別に付与される秘密鍵を管理し、これらの秘密鍵を用いて図3(b)に示すようにユーザのアイテムに対する価格(当事者価格)を暗号化することが可能である。
【0029】
DBサーバ(11)は、図4に示すように、制御部(21)と、これに接続される操作部(22)、LAN送受信部(23)、データベース(25)、表示部(26)とを有する。
制御部(21)は、入力部(22)から入力される各端末(2A)〜(2C)の唯一無二の識別符号を秘密鍵(KA〜KC)とし、この秘密鍵をユーザA〜CのID(aaa〜ccc)に関係付けてデータベース(25)に記録する。
【0030】
ここで、識別符号をそのまま秘密鍵とするのではなく、予め備えた所定の計算式に識別符号を代入して計算される計算値を秘密鍵としてもよい。本発明ではこのような識別符号又はその計算値を識別符号値と呼ぶ。例えば、前記識別符号が数字ではなく、アルファベットなどの文字を含む場合には、これらを文字コードに変換して10進数や16進数、2進数などに数値化することもできる。
【0031】
さらに制御部(21)では、ユーザAに提供するアイテムの価格データに対し、そのユーザに対応する秘密鍵(例えば鍵KA)を用いてカオス暗号化方法により暗号処理を施し、暗号化された価格データ(暗号化データ)をアイテム番号およびユーザIDに関係付けてデータベース(25)に記録する暗号化手段を有する。
【0032】
そして、Webサーバ(12)から送信されLAN送受信部(23)を介して入力される検索指示にしたがい、データベース(25)を検索して必要なアイテム情報または価格データを読み出す検索手段と、検索手段により読み出されたアイテム情報またはその暗号化データをLAN送受信部(23)を介してWebサーバ(12)へ送信する第1の送信手段とを有する。カオス暗号化方法については、特許第3030341号公報に詳細に記載されているので、その説明を省略する。
【0033】
入力部(22)は、端末(2A)〜(2C)からメモリカード、ICカードなどのメディアを介して入力する構成でもよいし、LAN送受信部(23)と一体をなしてWebサーバ(12)から受信する端末(2A)〜(2C)から送信された情報を入力する構成でもよい。あるいはキーボードやタッチパネル等で構成して、識別符号値を直接入力したり、アイテムの当事者価格の入力等に用いられるものであってもよい。
LAN送受信部(23)は、Webサーバ(12)に接続されるLANとのインターフェースである。
【0034】
データベース(25)は、業者Sが提供するアイテムの情報が記録されるアイテム情報記録手段、制御部(21)によりユーザA〜C毎の識別符号値(秘密鍵KA〜KC)がユーザA〜CのID(aaa〜ccc)に関係付けて記録される秘密鍵記録手段、制御部(21)により暗号化された価格データをアイテム番号およびユーザIDに関係付けて記録される価格データ記録手段として作用するものであり、具体的には磁気ディスクや半導体メモリ等により構成される。
表示部(26)は、入力部(22)から制御部(21)に入力される情報などを画面表示するものである。
【0035】
Webサーバ(12)は、図5に示すように、制御部(31)と、これに接続される送受信部(32)、LAN送受信部(33)、制御プログラム記録部(34)とを有する。
送受信部(32)は、端末(2A)〜(2C)に接続されるインターネット(3)とのインターフェースであり、LAN送受信部(33)は、DBサーバ(12)に接続されるLANとのインターフェースである。
制御プログラム記録部(34)は、Webサーバプログラムを記録するものである。
【0036】
制御部(31)は、制御プログラム記録部(34)に記録されているWebサーバプログラムの諸機能を実現するものであり、例えば端末(2A)〜(2C)から送信されるアイテム情報表示要求または価格表示要求が送受信部(32)により受信されると、要求されているアイテム情報または価格データの検索指示をLAN送受信部(33)を介してDBサーバ(11)へ送信する手段と、DBサーバ(11)から送信されるアイテム情報または価格データがLAN送受信部(33)により受信されると、アイテム情報についてはそれを基にHTML情報(HyperText Markup Language)を生成し、価格データ(暗号化データ)についてはそのまま、送受信部(32)を介して上記要求の送信元へ配信する手段とを有する。
【0037】
端末(2A)は、図6に示すように、制御部(41)と、これに接続される操作部(42)、送受信部(43)、制御プログラム記録部(44)、識別符号格納部(45)、表示部(46)、価格リンク読み取り部(47)とを有する。
操作部(42)は、ユーザAによる端末(2A)の操作に用いられるものであり、具体的にはキーボードやタッチパネル等により構成される。
送受信部(43)は、サーバ(1)に接続されるインターネット(3)とのインターフェースである。
【0038】
制御プログラム記録部(44)は、Webブラウザなどの制御プログラムを記録するものである。
識別符号格納部(45)は、端末(2A)に固有に割り当てられた識別符号を格納するものであり、ハードウェア又はソフトウェア上、改ざん不可能に記録されている。
表示部(46)は、操作部(42)から制御部(41)に入力される情報、サーバ(1)から配信されるアイテム情報および価格データを画面表示するものである。
【0039】
制御部(41)は、制御プログラム記録部(44)に記録されているWebブラウザの諸機能を実現するものであり、例えば操作部(42)からの入力によりアイテム情報表示要求、価格表示要求および後述する暗号化データを送受信部(43)を介してサーバ(1)へ送信する第2の送信手段と、サーバ(1)から送信され送受信部(43)を介して入力されるHTML情報を解析する解析手段とを有する。また、サーバ(1)から送信され送受信部(43)を介して入力される電子価格表の暗号化された価格データを、識別符号格納部(45)に記録されている秘密鍵KAを用いて復号化する復号化手段を有する。
なお、他の端末2B,2Cも同様の構成を有しているので、その説明を省略する。
【0040】
次に、図1〜図6に示した電子価格提示システムの動作について説明する。
まず、図7を参照し、DBサーバ(11)における秘密鍵の登録手順について説明する。本発明では予め各ユーザが、自己の使用する端末をDBサーバ(11)に登録しておくことを要する。公知の携帯電話端末や、パーソナルコンピュータでは、各機器に製造時に付与されたシリアル番号が格納されており、それらは固有の番号であり、また改ざんすることができないものが多い。特に、携帯電話端末では個人認証の方法としても用いられ、その内容も携帯電話事業者が安全に通信できるようにしていることから、本発明の秘密鍵として利用するのに好適である。
【0041】
最初に、ユーザは端末(2A)が操作部(42)の操作によって端末登録の処理を指示すると、制御部(41)が識別符号格納部(45)から識別符号を読み出し、送受信部(43)からサーバ(1)に向けて識別符号を送信(S1)する。
識別符号は、Webサーバ(12)を介してDBサーバ(11)の制御部(21)に至り、端末登録と判定(S2)されると、データベースに識別符号値として格納される。このときの判定処理(S2)としては、すでに登録されたユーザでないかの照合や、図示しない登録拒否リストに該当するユーザでないかの確認などを行うこともできる。
【0042】
本発明では識別符号とユーザIDとを組み合わせて格納するが、操作部(42)から任意のユーザIDを入力させてもよい。また、携帯電話端末の場合には、携帯電話番号をユーザIDとして用いることもできる。あるいは端末のイーサネット(登録商標)アダプタにおけるMACアドレスをユーザIDとしてもよい。
【0043】
端末の登録に問題がなければ、識別符号値を格納(S3)する。なお、上述したように識別符号は、所定の計算式によって計算値とすることもできるので、そのような場合には制御部(41)で計算処理を行ってから格納(S3)する。
【0044】
次に、図8および図3を参照し、DBサーバ(11)における価格データの蓄積手順について説明する。例えばユーザA〜Cに提供する「計測器」の当事者価格を蓄積する場合、業者Sがアイテム番号「0001」およびユーザA〜CのID「aaa、bbb、ccc」とともに、当事者価格を示す価格データ「\480,000、\500,000、\528,000」を入力部(22)から入力すると(S11;YES)、DBサーバ(11)は制御部(21)により、ユーザA〜CのIDに基づきデータベース(25)からユーザA〜Cの識別符号値(秘密鍵KA〜KC)を検索し読み出す(S12)。そして、読み出された秘密鍵KA〜KCを用いて、入力された価格データに対しカオス暗号化方法により暗号処理を施し、暗号化データ「2oH"mN-d93>>/、GJ8y2>DKlq02p、)g&2Y=;K.7L'#」を生成する(S13)。具体的には、秘密鍵KAを用いて価格データ「\480,000」を暗号化し暗号化データ「2oH"mN-d93>>/」生成し、秘密鍵KBを用いて価格データ「\500,000」を暗号化し暗号化データ「GJ8y2>DKlq02p」生成し、秘密鍵KCを用いて価格データ「\528,000」を暗号化し暗号化データ「)g&2Y=;K.7L'#」生成する。このようにして得られた暗号化データを、アイテム番号およびユーザA〜CのIDに関係付けてデータベース(25)に記録することにより(S14)、ユーザA〜Cに対する当事者価格の蓄積が完了する。
【0045】
カオス暗号化方法によれば、M個の秘密鍵を用いてN次元の有理数ベクトルを一括して暗号化することができる。MとNは任意の自然数である。したがって、表の各行を1個のN次元ベクトルと捉えれば、カオス暗号化方法により、表をカラム毎に暗号化することができる。しかも、カラム数は任意であり、短時間で暗号化が可能である。このため、カオス暗号化方法を用いることにより、表3(a)のユーザA〜Cのそれぞれのカラムの暗号化を短時間で行なうことができる。
【0046】
DBサーバ(11)において当事者価格を変更する場合は、業者Sが価格データ変更要求とともにアイテム番号、業者IDおよび新しい価格データを入力部(22)から入力すると、蓄積の場合と同様にDBサーバ(11)は秘密鍵を読み出し、新しい価格データに対しカオス暗号化方法により暗号処理を施し、得られた暗号化データでデータベース(25)の内容を更新し、これにより当事者価格の変更が完了する。このように当事者価格の変更が容易に、しかも短時間でできるので、市況の変動に伴う価格改定をリアルタイムに処理でき、ビジネスをより有利に展開できる。
【0047】
次に、図9、11、12を参照し、ユーザ端末における価格データの表示手順について説明する。
図9に示すように、ユーザAが業者Sのアイテムの価格を知りたいときには、まず操作部(42)を操作して価格リンク読み取り部(47)を動作させる。本実施例では価格リンク読み取り部(47)として、携帯電話端末に備えられたカメラと、非接触タグの読み取り装置を例として挙げるが、電子的に読み取り可能であれば公知のいかなる手段を用いてもよい。
【0048】
図11は価格リンク手段を備えた電子価格提示システム用媒体の例である。図11に示すのは、紙媒体の商品カタログの一葉(100)であって、従来の商品カタログと同様に各商品の写真(101)(102)(103)と、その近傍に参考価格(101a)(102a)(103a)を記載している。本発明の電子価格提示システム用媒体では、これらに加えて2次元バーコード(101b)(102b)(103b)を表示している。
この2次元バーコードには、電子価格提示サーバ(1)のインターネットURLと、各商品のアイテム識別符号(例えば、商品コード、JANコードなど)との情報を含んでいる。
【0049】
ユーザが価格リンク読み取り部(例えばカメラ)(47)でこれを読み取ると、公知の携帯電話端末の機能により制御部(41)でURLとアイテム識別符号のデータを取得する(S31)。
これが読み取られたことを契機として、Webブラウザを起動し(S32)、インターネット(3)上の業者SのWebサーバ(12)へユーザIDとアイテムの識別符号と共に価格表示要求を送信する(S33)。上述したように、ユーザIDを携帯電話番号とする場合には、発信者番号通知の機能により自動的に通知することもできる。
【0050】
価格表示要求を受信したWebサーバ(12)は、要求されているアイテム識別符号に対応する価格の検索をDBサーバ(11)に指示する(S34)。
この指示を受けて、DBサーバ(11)はアイテム識別符号およびユーザAのIDに基づきデータベース(25)を検索して、要求された価格データを抽出し(ステップS35)、その暗号化データをユーザ端末(2A)に送信(S36)する。
【0051】
端末(2A)は該暗号化データをダウンロードすると、識別符号格納部(45)から秘密鍵KAを読み出し(S37)、この秘密鍵KAを用いて暗号化データを復号化する(S38)。この暗号化データはユーザA用の秘密鍵KAを用いて暗号化されたものであるから、復号化処理(S38)により元の価格データに戻すことができる。これを表示部(46)の画面に表示することにより(S39)、ユーザAは実際の当事者価格(\480,000)を確認することができる。
【0052】
本発明によれば、業者Sは商品カタログに通常の写真や価格に加えて、自己の管理する価格提示サーバのURLと、アイテムの識別符号を含むバーコードを印刷するだけで足りる。バーコードには当事者価格は含まれていないので、これらは不特定多数に配布することができる。
一方、ユーザも、予め登録した自己の端末でこれを読み取ってアクセスするだけで、自分向けの当事者価格を至極簡便に読み取ることができる。
【0053】
上記実施例では、カタログ(100)を例に挙げたが、本発明の電子価格提示システム用媒体はチラシ、新聞・雑誌の広告欄などのいかなる印刷媒体でもよい。またインターネットのショッピングサイトにおいて、商品と共にバーコードを画像表示する構成でもよいし、テレビコマーシャルなど放送の画面上に表示してもよい。
【0054】
さらに、図12に示すように店頭の値札(110)(111)として提供することもできる。本構成では、一般の消費者向けの価格を従来通り数字で表示(110a)(111a)すると共に、その近傍に2次元バーコード(110b)(111b)を表示しておく。予め登録会員など、特別な価格の提示を受けるユーザは、携帯電話端末などでこの2次元バーコード(110b)(111b)を読み取り、自分向けの価格を確認することができる。このようにすることで、一般の消費者向けには特別料金を秘匿しながら、特定の会員向けに差別化した金額を簡便に提示することができる。
【0055】
本発明では、必ずしも価格リンク読み取り処理(S31)を行わず、電子価格提示サーバへのアクセスはブックマークなどに登録されたURLにユーザが手動でアクセスするようにしてもよい。アイテムの識別符号も手動で操作部(42)から入力して価格を取得する構成でもよい。
【0056】
本発明の価格リンク手段には、上記した2次元バーコードに限らず、1次元のバーコードでもよいし、電子的に読み取り可能ないかなる表示でもよい。価格リンク読み取り部もカメラに限らず、その他の光学式読み取りセンサ、磁気読み取りセンサなどいかなる手段でもよい。
例えば、価格リンク手段に非接触タグを用いることもできる。この場合、ICチップを上記カタログや値札に埋め込んでおき、公知の非接触タグ読み取り装置を用いて読み取ることもできる。
【0057】
当事者価格を更新する方法として、ユーザ端末から当該ユーザに対する価格を更新するための価格変換値を送信することもできる。この価格変換値には、例えば一定の割合で変更する価格変換比率や、一律に加減算する値、あるいはアイテムの識別符号に基づいて価格を更新するための計算式などを用いることができる。
【0058】
本技術にかかる更新処理について図10に示す。
最初に価格リンクを読み取り(S31)、Webブラウザを起動(S32)した後で、例えば価格更新のモードを選択する。
そして、アイテム識別符号と、価格変換値との情報を含む価格更新要求(S60)をWebサーバ(12)に送ると、それらの情報をDBサーバ(11)に更新指示(S61)として伝達する。
【0059】
DBサーバ(11)では、アイテム識別符号から暗号化価格データが検索(S62)される。この状態では価格データは暗号化されているため、データベース(25)から当該ユーザのIDに基づいて識別符号値が読み出され(S63)、カオス暗号化方法に従って制御部(21)で復号化処理(S64)される。
そして、上記の価格変換値に従って、復号化された価格を変換処理(S65)する。その後は図8の処理手順と同様にして、カオス暗号処理(S66)、暗号化価格データ記録(S67)を行う。
【0060】
以上の方法によれば、当事者価格についてユーザ端末から簡便に更新することができるようになる。使用方法としては、例えば特定のチラシに割引を適用するための価格変換値を格納したバーコードを印刷して配布し、ユーザがその内容を読み取ると、当該ユーザに関して以後は割引が適用されるようになる。価格変換値の有効期限の情報を格納しておけば、特定の期間内に読み取った者だけに割引を適用することもできる。
【実施例2】
【0061】
実施例1の構成では、データベース(25)に格納された価格データをユーザ端末(2A)で復号化する構成を説明したが、これを電子価格提示サーバ(1)側で行うこともできる。
その場合の処理の流れを図13に示す。なお、図9と同一の処理については同一符号で示して説明を省略する。
【0062】
ユーザ端末(2A)から価格表示要求(S33)があると、DBサーバ(11)に検索指示(S34)がされ暗号化価格データが、アイテム識別符号に基づいて検索(S35)される。
本実施例では、この後、データベース(25)から当該ユーザのIDに基づいて識別符号値が読み出され(S41)、カオス暗号化方法に従って制御部(21)で復号化処理(S42)される。
【0063】
復号化処理されて可読となった価格データはDBサーバ(11)の表示部(26)で画面表示を行ってもよい。実際上の利用方法としては、該表示部(26)が図12に示すような値札の表示器であって、ユーザ端末(2A)で2次元バーコード(110b)(111b)を読み取ってアクセスすると、しばらくの間、価格表示(110a)(111a)が当事者価格に切り替わる、という例が考えられる。
【0064】
この場合、ユーザIDがなりすまし可能な場合にはカオス暗号化方法による秘匿性の確保が十分ではないが、これを携帯電話の発信者番号や、別に配布するICタグなどにすることで、ユーザの本人性を担保することもできる。この場合、カオス暗号化によってサーバ(1)のデータベース(25)における各ユーザ向けの当事者価格の秘匿性は確保されるので、該電子価格データテーブルを自由に配布することもできる。
なお、付加的に電子価格表の情報量が大きい場合には、電子価格データテーブルの暗号化または通信時の際に、同時に公知の技術により圧縮化する工程を付加してもよい。この際に、業者Sの秘密鍵によってカオス暗号化を行ってもよい。
【0065】
復号化された価格データは、ユーザ端末(2A)に送信されて画面表示(S45)することもできる。
本発明は、図1に示した電子価格提示システムのほか、電子価格提示サーバを単体からなる電子価格提示装置として提供してもよい。同システムの処理方法として提供することもできる。
さらに、上記カタログや値札などの電子価格提示システム用媒体として提供することもできる。
【実施例3】
【0066】
本発明において、価格データを圧縮した後に暗号化処理することもできる。この方法によれば、多数のアイテムとその当事者価格によって大容量となるデータを小さな容量の記憶媒体にも格納することができる。また当該データを電子価格提示サーバに保管する場合は、使用電力量の削減が可能で、省スペースと省電力になる。
図14に示すように、価格データ入力処理において、価格データ入力の指示(S11)があった後、データベース(25)から秘密鍵を読み出す。そして、暗号化する価格データを、可逆的な圧縮方法を用いて圧縮する(S15)。
【0067】
可逆圧縮方法としては公知のいかなる方法を用いてもよいが、連長圧縮、ハフマン符号化、LZWアルゴリズムなどのアルゴリズムが広く知られている。LZWアルゴリズムを利用したLZW、LZH、ZIPなどの圧縮方法を用いることもできる。
【0068】
次に、圧縮した価格データをカオス暗号化処理する(S13)。
容量を小さくしたデータを対象に暗号化処理することで、処理量が少なく高速な暗号化に寄与する。
そして、可逆圧縮され、暗号化された価格データをデータベース(25)に記録する。(S16)
【0069】
ユーザ端末における価格の表示時には図15に示す処理を行う。
図9に示した処理と復号化処理(S38)までは同様に進み、その後、可逆圧縮方法の逆操作(解凍)によって、元の価格データに復元する(S40)。その結果を画面表示(S39)する。
【0070】
以上の圧縮・解凍工程を価格データの入力と検索に用いる方法は、実施例2に示したサーバ側で復号化する構成でも同様に適用することができる。この場合、図13の復号化(S42)の直後に上記復元工程を含めばよい。
【実施例4】
【0071】
本発明において、ハッシュ関数を用いて検索を高速化することができる。
図16に示すように、価格データ入力処理において、価格データ入力の指示(S11)があった後、データベース(25)から秘密鍵を読み出す。そして、秘密鍵を用いて価格データにカオス暗号化処理(S13)する。
さらに、暗号化されたN次元のデータに対して、所定のハッシュ関数を用いてハッシュし、N個のハッシュ値を取得する(S17)。
このN個のハッシュ値をユーザに対応付けてハッシュテーブルとして記録すると共に、そのハッシュ値と暗号化された価格データとをデータベース(25)に格納する(S18)。
【0072】
ユーザ端末における価格の表示の際には、図17に示すようにDBサーバ(11)において検索指示(S34)を受けると、ユーザに対応するハッシュ値(S50)をハッシュテーブルから取得(S50)し、さらにデータベース(25)から暗号化データを検索(S51)する。
以降の処理は実施例1と同様である。
【0073】
実施例2においても暗号化価格データ検索処理(S35)に代えて、ハッシュ値の読み取り処理(S50)と、それを用いた暗号化価格データ検索処理(S51)を実行処理すればよい。
【実施例5】
【0074】
上記実施例1においてユーザ端末から当事者価格を更新する方法を示した。本実施例では本発明に係る電子価格提示サーバ(1)において、特定の権限を有する管理者が価格を一括更新する技術について説明する。
図18に本処理のフローチャートを示す。まず、電子価格提示サーバ(1)のDBサーバ(11)において、入力部(22)から価格データの一括更新の処理を選択(S70)し、価格データを更新する正当な権限を有するか否か認証を受ける(S71)。認証処理は必ずしも行わなくてもよいが、上記したユーザ端末のように秘密鍵となる識別符号を用いないため、本実施例では認証処理を行うことが好ましい。
【0075】
認証を通過すると、入力部(22)から管理者が一括変換値を入力(S72)する。一括変換値は、例えば一定の割合で変更する価格変換比率や、一律に加減算する値、あるいはアイテムの識別符号に基づいて価格を更新するための計算式などを用いることができる。具体的には「全品20%引き」「全品500円引き」などの情報を入力する。現在の値段に応じて「1万円以上のアイテムは全品1000円引き、2万円以上のアイテムは全品3000円引き」などの条件を加えてもよい。
【0076】
さらに、一括変換値には端数の処理方法に関する情報を含むこともできる。たとえば「1円未満四捨五入」「100円未満四捨五入」「100円未満切り捨て」「100円未満の桁はすべて80に変更」などの情報を含む。
【0077】
そして、暗号化価格データの検索処理(S73)を行う。上記実施例では、各ユーザ毎に価格データを検索したが、本実施例の場合には全ての価格データを一括変換するため、検索処理(S73)を行わず、格納されているすべてのデータを対象としてもよい。
そして、データベース(25)から検索又は順次読み出された暗号化価格データに対応するユーザのIDに基づいて識別符号値が読み出され(S74)、カオス暗号化方法に従って制御部(21)で復号化処理(S75)される。
【0078】
復号化された価格について、上記一括変換値に基づいて価格一括変換処理(S76)する。
同時に、本発明では変換する前の元の価格(原価格)を記録する(S77)。例えば、復号化されたあるアイテムの価格が1000円で、一括変換値が30%割引であった場合、価格一括変換処理(S76)により当該アイテムの価格は700円に更新される。
【0079】
四捨五入や切り上げ・切り下げなどの処理を行わなければ、価格を通常価格に戻したい場合に、700円を0.7で割ることで元の金額に可逆的に戻すことができる。しかし、通貨の場合には、かならず最小単位がある上、販売価格の切りを良くしたり、購買意欲を高めるために端数を8や9に揃えることが一般的であり、そのような計算を行うと、元の価格に戻すことができなくなる。端的な例としては、1000円の3割引は700円であるが、1001円や999円の3割引も700円であり、これを改めて元の価格に戻したり、2割引に変更したい場合に誤差が生じてしまう。
【0080】
そのため、従来価格を変更する処理は人手によって1つ1つ行うことが必要で、翌営業日までの深夜に作業をしなければならないこともあった。本発明によれば、原価格を記録することで、いつでも変換前の値に戻すことが容易であり、このような価格更新作業を大幅に軽減することができる。
【0081】
一括変換された価格と原価格とは、共に図8の処理手順と同様にして、カオス暗号処理(S78)、暗号化価格データ記録(S79)の各処理で暗号化、記録される。なお、上述した可逆圧縮を用いる構成や、ハッシュ値を用いる構成と組み合わせて実施することも自在である。
【0082】
記録された原価格は次の価格一括変換の処理において用いる。すなわち、一括変換値入力(S72)において、「原価格に戻す」あるいは「原価格から20%引きに更新」と管理者が入力すると、価格一括変換処理(S76)では現在の価格(前回一括変換された値)ではなく、原価格を基準に変換を行う。「原価格に戻す」場合には記録された原価格に書き換えるだけよいし、「原価格から20%引きに更新」の場合には、原価格を読み出して20%引き(及び四捨五入等)の演算を行えばよい。
【0083】
この際、原価格記録(S77)処理では、改めて原価格を記録する。すなわち、原価格は常に元の価格が記録された状態とする。このように2つの価格を常に保持しておくことで、一時的な値段の変換を簡便に行えるようにすることができる。
もちろん、一括変換処理において、原価格を更新する処理を備えておいてもよい。この処理の場合には、原価格を可逆的に戻せなくなるが、例えば為替レートの変動によって原価格が一律に変化する場合には本処理を備えることも有効である。
【符号の説明】
【0084】
1 電子価格提示サーバ
2A ユーザ端末A
2B ユーザ端末B
2C ユーザ端末C
3 インターネット
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子価格表提示システム及びその装置、方法に関し、販売先ごとに異なる価格表を提示すると共に、第三者によって販売価格を知られることがないように情報を秘匿する技術に係る。
【背景技術】
【0002】
流通過程においては、商品またはサービスといったアイテムの価格を取引相手毎に個別に設定することが頻繁に行われている。このように設定されるアイテムの価格を当事者価格と呼ぶ。当事者価格は、利害関係上、その取引相手以外の第三者に対し秘匿する必要がある。このため従来は、取引相手毎に個別にアイテムの価格表を作成し、この価格表を紙に印刷した状態で、対応する取引相手のみに提示することにより、アイテムの価格が第三者に分からないようにしていた。
【0003】
第三者への秘匿性を確保すると共に、取引相手に対しては簡便に価格を提示するための技術として、特許文献1に開示される技術が本件出願人らによって提案されている。本技術によれば、電子価格提示サーバではカオス暗号化方法によってクライアントのユーザに対応した秘密鍵を用いて暗号化し、クライアントは、そのユーザの秘密鍵で復号化して表示する。これにより、高度なセキュリティを保ちながら、ユーザ側ではほとんど手間をかけることなく価格表を表示することができる。
【0004】
しかしながら上記の技術では最近増えている携帯端末を利用した方法では十分な対応ができない問題がある。例えば、復号化を端末側で行う必要があったことや、電子価格表への通信アクセスに手間がかかること、秘密鍵の送信方法など、携帯端末特有の問題を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4219629号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みて創出されたものであり、カオス暗号化方法により価格を電子的に提示する際に、携帯電話等の携帯型端末装置で簡便に価格情報を取得できる電子価格提示システム、装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は次のような電子価格提示システムを提供する。
すなわち、複数のユーザがそれぞれ所持するユーザ端末と、各ユーザに対応する価格を提示する電子価格提示サーバとからなる電子価格提示システムであって、次の構成を備える。
まず、電子価格提示サーバには、複数のユーザ端末に固有に割り当てられた識別符号、又は該識別符号から所定の計算式に従って計算した計算値のいずれかである識別符号値を各ユーザの秘密鍵として関係付けて記録する秘密鍵記録手段と、カオス暗号化方法によって暗号化データを生成する暗号化手段と、暗号化データを、対応するアイテムおよびユーザに関係付けて記録する価格データ記録手段と、ユーザ端末からの要求に応じて該価格データ記録手段からユーザに関係付けて記録された暗号化データを検索し読み出す検索手段と、この検索手段により読み出された暗号化データを、該ユーザ端末に送信する送信手段とを備える。
本発明の暗号化手段は、M個(Mは自然数)の秘密鍵を用いてN次元(Nは自然数)の有理数ベクトルを一括して暗号化するカオス暗号化方法により、各ユーザに関連づけられたM個の該秘密鍵を該秘密鍵記録手段から読み出して各アイテムに対するN個の前記価格データを1つのN次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成することを特徴とする。
【0008】
一方、ユーザ端末には、識別符号値を読み出し、又は計算する識別符号値読み出し手段と、電子価格提示サーバへ該要求を送信する第2の送信手段と、電子価格提示サーバから送信される該暗号化データを受信する受信手段と、受信された該暗号化データを該識別符号値読み出し手段から読み出された該識別符号値を用いて復号化し、元の価格データを生成する復号化手段と、復号化された該価格データを表示する表示手段とを備える。
【0009】
あるいは、次のような構成でもよい。
すなわち、本発明の電子価格提示サーバには、上記と同様の秘密鍵記録手段、暗号化手段、価格データ記録手段と、ユーザ端末からの要求に応じて該価格データ記録手段から該ユーザに関係付けて記録された暗号化データを検索し読み出す検索手段に加え、検索手段により読み出された暗号化データを、該秘密鍵記録手段から読み出された該ユーザの識別符号値を用いて復号化する復号化手段と、復号化された価格データをユーザ端末に送信する送信手段とを備える。
そして、ユーザ端末には、第2の送信手段と共に、電子価格提示サーバから送信される価格データを受信する受信手段と、受信した該価格データを表示する表示手段とを備える。
【0010】
上記の電子価格提示システムにおいて、電子価格提示サーバの暗号化手段が、各アイテムに対するN個の該価格データを1つのN次元ベクトルに可逆圧縮した後、N次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成すると共に、ユーザ端末の復号化手段が、復号化した後、可逆圧縮の逆操作を行い、元の価格データを生成する構成でもよい。
【0011】
上記の電子価格提示システムにおいて、電子価格提示サーバの暗号化手段で暗号化されたN次元の暗号化データを所定のハッシュ関数でハッシュすることにより、N個のハッシュ値を取得し記録するハッシュ化手段を備え、電子価格提示サーバの検索手段が、ユーザ端末からの要求に応じて価格データ記録手段からユーザに関係付けて記録された暗号化データを、該ユーザに関係付けて記録されたハッシュ値をキーワードに検索し読み出す構成でもよい。
【0012】
上記の電子価格提示システムにおいて、電子価格提示サーバのネットワークアドレスと、アイテムを識別するアイテム識別符号との情報を少なくとも含む価格リンク手段を用いることもできる。この価格リンク手段は、ユーザ端末で電子的に読み取り可能なものとする。
これに対応して、ユーザ端末には、該価格リンク手段を読み取る価格リンク読み取り手段を備えると共に、読み取った該ネットワークアドレス宛に、第2の送信手段から、読み取ったアイテム識別符号を送信する。また、電子価格提示サーバの前記検索手段は、該受信したアイテム識別符号に対応するアイテムの価格を含む前記暗号化データを検索する。
【0013】
上記の電子価格提示システムにおいて、第2の送信手段が、読み取ったアイテム識別符号と共に、価格データにおける価格を更新するための価格変換値を送信し、電子価格提示サーバが、その価格データを価格変換値に基づいて算出した結果で更新する価格更新手段を備えることもできる。
【0014】
上記価格リンク手段が、バーコード情報であって、価格リンク読み取り手段が、該バーコードを読み取るセンサである構成でもよい。
あるいは、価格リンク手段が、非接触型タグであって、価格リンク読み取り手段が、非接触型タグの読み取り手段である構成でもよい。
【0015】
本発明の電子価格提示サーバにおいて、上記価格データにおける価格を一括して更新するための一括価格変換値を入力する入力手段と、価格データを該一括価格変換値に基づいて算出した結果で更新する一括価格更新手段を備えることもできる。
この一括価格更新手段において、更新される価格と共に、更新前の原価格を同時に記録する構成でもよい。
【0016】
本発明は、上記電子価格提示サーバの構成を備えた電子価格提示装置として提供することもできる。
本装置において、価格データに復号化する構成では、復号化された価格データをユーザ端末に送信する送信手段に限らず、復号化された該価格データを表示する表示手段を備えることもできる。
【0017】
本発明は、複数のユーザがそれぞれ所持するユーザ端末と、各ユーザに対応する価格を提示する電子価格提示サーバとからなる電子価格提示システムにおける処理方法として提供することもできる。
すなわち、予め複数のユーザ端末に固有に割り当てられた識別符号、又は該識別符号から所定の計算式に従って計算した計算値のいずれかである識別符号値を各ユーザの秘密鍵として関係付けて該電子価格提示サーバの秘密鍵記録手段に記録しておき、
(A) 電子価格提示サーバの暗号化手段が、M個(Mは自然数)の秘密鍵を用いてN次元(Nは自然数)の有理数ベクトルを一括して暗号化するカオス暗号化方法により、各ユーザに関連づけられたM個の該秘密鍵を該秘密鍵記録手段から読み出して各アイテムに対するN個の前記価格データを1つのN次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成する暗号化ステップ、
(B) 電子価格提示サーバの価格データ記録手段が、該暗号化データを、対応する該アイテムおよび該ユーザに関係付けて記録する価格データ記録ステップ、
(C) 該ユーザ端末の第2の送信手段が、該電子価格提示サーバへ要求を送信する要求送信ステップ、
(D) 該電子価格提示サーバの検索手段が、該ユーザ端末からの要求に応じて該価格データ記録手段から該ユーザに関係付けて記録された暗号化データを検索し読み出す検索ステップ、
(E) この検索手段により読み出された該暗号化データを、該ユーザ端末に送信する送信ステップ、
(F) 該ユーザ端末の受信手段が、該電子価格提示サーバから送信される該暗号化データを受信する受信ステップ、
(G) 該ユーザ端末の識別符号値読み出し手段が、該識別符号値を読み出し、又は計算する識別符号値読み出しステップ、
(H) 該ユーザ端末の復号化手段が、受信された該暗号化データを該識別符号値読み出し手段から読み出された該識別符号値を用いて復号化し、元の価格データを生成する復号化ステップ、
(I) 該ユーザ端末の表示手段が、復号化された該価格データを表示する表示ステップ
を有することを特徴とする。
【0018】
本発明は、次のような電子価格提示システムにおける処理方法を提供することもできる。
すなわち、予め複数のユーザ端末に固有に割り当てられた識別符号、又は該識別符号から所定の計算式に従って計算した計算値のいずれかである識別符号値を各ユーザの秘密鍵として関係付けて該電子価格提示サーバの秘密鍵記録手段に記録しておき、
(a) 電子価格提示サーバの暗号化手段が、M個(Mは自然数)の秘密鍵を用いてN次元(Nは自然数)の有理数ベクトルを一括して暗号化するカオス暗号化方法により、各ユーザに関連づけられたM個の該秘密鍵を該秘密鍵記録手段から読み出して各アイテムに対するN個の前記価格データを1つのN次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成する暗号化ステップ、
(b) 電子価格提示サーバの価格データ記録手段が、該暗号化データを、対応する該アイテムおよび該ユーザに関係付けて記録する価格データ記録ステップ、
(c) ユーザ端末の第2の送信手段が、該電子価格提示サーバへ要求を送信する要求送信ステップ、
(d) 電子価格提示サーバの検索手段が、該ユーザ端末からの要求に応じて該価格データ記録手段から該ユーザに関係付けて記録された暗号化データを検索し読み出す検索ステップ、
(e) 電子価格提示サーバの復号化手段が、この検索手段により読み出された該暗号化データを、該秘密鍵記録手段から読み出された前記ユーザの識別符号値を用いて復号化する復号化ステップ、
(f) 電子価格提示サーバの送信手段が、復号化された該価格データを該ユーザ端末に送信する送信ステップ、
(g) ユーザ端末の受信手段が、該電子価格提示サーバから送信される該価格データを受信する受信ステップ、
(h) ユーザ端末の表示手段が、該価格データを表示する表示ステップ
を有することを特徴とする。
【0019】
上記いずれかの電子価格提示方法の暗号化ステップ(A)(a)において、電子価格提示サーバの暗号化手段が、各アイテムに対するN個の該価格データを1つのN次元ベクトルに可逆圧縮した後、N次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成すると共に、復号化ステップ(H)(e)において、ユーザ端末の復号化手段が、復号化した後、可逆圧縮の逆操作を行い、元の価格データを生成することもできる。
【0020】
上記いずれかの電子価格提示方法において、暗号化ステップ(A)(a)の次に、電子価格提示サーバのハッシュ化手段が、前記暗号化ステップで暗号化されたN次元の暗号化データを所定のハッシュ関数でハッシュすることにより、N個のハッシュ値を取得し記録するハッシュ化ステップを有すると共に、検索ステップにおいて、電子価格提示サーバの検索手段が、前記ユーザ端末からの要求に応じて前記価格データ記録手段から前記ユーザに関係付けて記録された暗号化データを、該ユーザに関係付けて記録されたハッシュ値をキーワードに検索し読み出す構成でもよい。
【0021】
本発明は、上記いずれかの電子価格提示方法をコンピュータの電子価格提示サーバに実行させることを特徴とするサーバ用プログラムとして提供することもできる。
また、上記いずれかの電子価格提示方法をコンピュータのユーザ端末に実行させることを特徴とする端末用プログラムとして提供することもできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、以上の構成を備えることにより、次の効果を奏する。
ユーザ端末に固有に割り当てられた識別符号やその計算値を秘密鍵とすることにより、ユーザが秘密鍵を定義する必要がなく、秘匿性の高いカオス暗号化方法を簡便に利用することができるようになる。特に、携帯電話などにはハードウェア上に識別符号が付与されており、この情報は情報を取得したり、他の端末でなりすますことが困難であるため、ユーザ以外の者に価格が誤って提示されることが極めて少ない。
これと同様に、いかなるユーザ端末であってもハードウェア上に識別符号を付与することで従来の技術のように秘密鍵を生成して交換する必要がないため、簡便な電子価格提示方法に寄与する。
【0023】
携帯電話端末のように、ユーザが個人的に使用するものであって、通信経路も通信キャリアによって保護されているユーザ端末においては、電子価格提示サーバにおいて復号化することもできる。この場合、ユーザ端末において復号化の処理が不要であり、処理負荷の軽減を図ることができる。
【0024】
本発明の価格リンク手段を用いることによってユーザ端末から簡便に電子価格提示サーバにアクセスすることが可能となる。例えば、カタログのアイテムの写真の横に、価格リンク手段としてバーコード情報を表示しておくことで、ユーザ端末でそのバーコード情報を読み取って電子価格提示サーバから対応する価格を取得することができる。
また、価格リンク手段として非接触型のタグを用いれば携帯電話端末などを近づけることで電子価格提示サーバに簡便にアクセスし、価格データを得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例1における電子価格提示システムの一構成例を示すブロック図である。
【図2】電子価格提示サーバの一構成例を示すブロック図である。
【図3】電子価格データテーブルの一例を示す図であり、(a)は実際の当事者価格が表示された状態を示し、(b)は当事者価格が暗号化された状態を示す。
【図4】データベースサーバの一構成例を示すブロック図である。
【図5】Webサーバの一構成例を示すブロック図である。
【図6】ユーザ端末の一構成例を示すブロック図である。
【図7】ユーザ端末の識別符号を秘密鍵として登録する処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】データベースサーバにおける価格データの蓄積処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】ユーザ端末において価格表示を行うための処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】ユーザ端末において価格更新処理を行うための処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】本発明に係る電子価格提示システム用媒体の一例としてカタログを用いる場合の説明図である。
【図12】本発明に係る電子価格提示システム用媒体の一例として値札を用いる場合の説明図である。
【図13】本発明の実施例2における価格表示を行うための処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施例3における価格データの蓄積処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施例3における価格表示を行うための処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施例4における価格データの蓄積処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施例4における価格表示を行うための処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】本発明の実施例5における一括価格更新を行うための処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を、図面に示す実施例を基に説明する。なお、実施形態は下記に限定されるものではない。
本発明は、インターネットなどの通信ネットワークを介して、ユーザ端末(以下、端末と呼ぶ。)と、電子価格提示サーバ(以下、サーバと呼ぶ。)とが接続されており、サーバ上にカオス暗号化方法によって暗号化された状態で蓄積されたアイテムの価格を端末から取得可能とするものである。次の実施例1では、暗号化された価格データを端末で復号化する方法を、実施例2ではサーバで復号化する方法をそれぞれ述べる。
【実施例1】
【0027】
図1は、本発明の実施例1における電子価格提示システムの全体構成を示すブロック図である。このシステムは、電子価格提示サーバ(1)と、このサーバ(1)が提供するサービスをインターネット(3)を介して受けるユーザ端末(2A)(2B)(2C)とから構成される。サーバ(1)は、例えば商社やメーカー等、商品またはサービスといったアイテムの売り方の業者Sが管理するコンピュータからなり、端末(2A)〜(2C)は、業者Sが提供するアイテムの買い方の業者やユーザの携帯電話端末などからなる。
【0028】
サーバ(1)は、図2に示すように、アイテムの暗号化された価格データを蓄積し、この価格データに基づき要求に応じて暗号化データを検索できるデータベースサーバ(以下「DBサーバ」という)(11)と、DBサーバ(11)にLAN(Local Area Network)を介して接続され、DBサーバ(11)から検索された暗号化データを端末(2A)〜(2C)に配信するWebサーバ(12)とから構成される。
電子価格表は、例えば図3(a)に示すように、業者Sの取引相手であるユーザA〜Cに対して設定されたアイテムの当事者価格を表にしたものである。DBサーバ(11)は後述するように、ユーザに対して個別に付与される秘密鍵を管理し、これらの秘密鍵を用いて図3(b)に示すようにユーザのアイテムに対する価格(当事者価格)を暗号化することが可能である。
【0029】
DBサーバ(11)は、図4に示すように、制御部(21)と、これに接続される操作部(22)、LAN送受信部(23)、データベース(25)、表示部(26)とを有する。
制御部(21)は、入力部(22)から入力される各端末(2A)〜(2C)の唯一無二の識別符号を秘密鍵(KA〜KC)とし、この秘密鍵をユーザA〜CのID(aaa〜ccc)に関係付けてデータベース(25)に記録する。
【0030】
ここで、識別符号をそのまま秘密鍵とするのではなく、予め備えた所定の計算式に識別符号を代入して計算される計算値を秘密鍵としてもよい。本発明ではこのような識別符号又はその計算値を識別符号値と呼ぶ。例えば、前記識別符号が数字ではなく、アルファベットなどの文字を含む場合には、これらを文字コードに変換して10進数や16進数、2進数などに数値化することもできる。
【0031】
さらに制御部(21)では、ユーザAに提供するアイテムの価格データに対し、そのユーザに対応する秘密鍵(例えば鍵KA)を用いてカオス暗号化方法により暗号処理を施し、暗号化された価格データ(暗号化データ)をアイテム番号およびユーザIDに関係付けてデータベース(25)に記録する暗号化手段を有する。
【0032】
そして、Webサーバ(12)から送信されLAN送受信部(23)を介して入力される検索指示にしたがい、データベース(25)を検索して必要なアイテム情報または価格データを読み出す検索手段と、検索手段により読み出されたアイテム情報またはその暗号化データをLAN送受信部(23)を介してWebサーバ(12)へ送信する第1の送信手段とを有する。カオス暗号化方法については、特許第3030341号公報に詳細に記載されているので、その説明を省略する。
【0033】
入力部(22)は、端末(2A)〜(2C)からメモリカード、ICカードなどのメディアを介して入力する構成でもよいし、LAN送受信部(23)と一体をなしてWebサーバ(12)から受信する端末(2A)〜(2C)から送信された情報を入力する構成でもよい。あるいはキーボードやタッチパネル等で構成して、識別符号値を直接入力したり、アイテムの当事者価格の入力等に用いられるものであってもよい。
LAN送受信部(23)は、Webサーバ(12)に接続されるLANとのインターフェースである。
【0034】
データベース(25)は、業者Sが提供するアイテムの情報が記録されるアイテム情報記録手段、制御部(21)によりユーザA〜C毎の識別符号値(秘密鍵KA〜KC)がユーザA〜CのID(aaa〜ccc)に関係付けて記録される秘密鍵記録手段、制御部(21)により暗号化された価格データをアイテム番号およびユーザIDに関係付けて記録される価格データ記録手段として作用するものであり、具体的には磁気ディスクや半導体メモリ等により構成される。
表示部(26)は、入力部(22)から制御部(21)に入力される情報などを画面表示するものである。
【0035】
Webサーバ(12)は、図5に示すように、制御部(31)と、これに接続される送受信部(32)、LAN送受信部(33)、制御プログラム記録部(34)とを有する。
送受信部(32)は、端末(2A)〜(2C)に接続されるインターネット(3)とのインターフェースであり、LAN送受信部(33)は、DBサーバ(12)に接続されるLANとのインターフェースである。
制御プログラム記録部(34)は、Webサーバプログラムを記録するものである。
【0036】
制御部(31)は、制御プログラム記録部(34)に記録されているWebサーバプログラムの諸機能を実現するものであり、例えば端末(2A)〜(2C)から送信されるアイテム情報表示要求または価格表示要求が送受信部(32)により受信されると、要求されているアイテム情報または価格データの検索指示をLAN送受信部(33)を介してDBサーバ(11)へ送信する手段と、DBサーバ(11)から送信されるアイテム情報または価格データがLAN送受信部(33)により受信されると、アイテム情報についてはそれを基にHTML情報(HyperText Markup Language)を生成し、価格データ(暗号化データ)についてはそのまま、送受信部(32)を介して上記要求の送信元へ配信する手段とを有する。
【0037】
端末(2A)は、図6に示すように、制御部(41)と、これに接続される操作部(42)、送受信部(43)、制御プログラム記録部(44)、識別符号格納部(45)、表示部(46)、価格リンク読み取り部(47)とを有する。
操作部(42)は、ユーザAによる端末(2A)の操作に用いられるものであり、具体的にはキーボードやタッチパネル等により構成される。
送受信部(43)は、サーバ(1)に接続されるインターネット(3)とのインターフェースである。
【0038】
制御プログラム記録部(44)は、Webブラウザなどの制御プログラムを記録するものである。
識別符号格納部(45)は、端末(2A)に固有に割り当てられた識別符号を格納するものであり、ハードウェア又はソフトウェア上、改ざん不可能に記録されている。
表示部(46)は、操作部(42)から制御部(41)に入力される情報、サーバ(1)から配信されるアイテム情報および価格データを画面表示するものである。
【0039】
制御部(41)は、制御プログラム記録部(44)に記録されているWebブラウザの諸機能を実現するものであり、例えば操作部(42)からの入力によりアイテム情報表示要求、価格表示要求および後述する暗号化データを送受信部(43)を介してサーバ(1)へ送信する第2の送信手段と、サーバ(1)から送信され送受信部(43)を介して入力されるHTML情報を解析する解析手段とを有する。また、サーバ(1)から送信され送受信部(43)を介して入力される電子価格表の暗号化された価格データを、識別符号格納部(45)に記録されている秘密鍵KAを用いて復号化する復号化手段を有する。
なお、他の端末2B,2Cも同様の構成を有しているので、その説明を省略する。
【0040】
次に、図1〜図6に示した電子価格提示システムの動作について説明する。
まず、図7を参照し、DBサーバ(11)における秘密鍵の登録手順について説明する。本発明では予め各ユーザが、自己の使用する端末をDBサーバ(11)に登録しておくことを要する。公知の携帯電話端末や、パーソナルコンピュータでは、各機器に製造時に付与されたシリアル番号が格納されており、それらは固有の番号であり、また改ざんすることができないものが多い。特に、携帯電話端末では個人認証の方法としても用いられ、その内容も携帯電話事業者が安全に通信できるようにしていることから、本発明の秘密鍵として利用するのに好適である。
【0041】
最初に、ユーザは端末(2A)が操作部(42)の操作によって端末登録の処理を指示すると、制御部(41)が識別符号格納部(45)から識別符号を読み出し、送受信部(43)からサーバ(1)に向けて識別符号を送信(S1)する。
識別符号は、Webサーバ(12)を介してDBサーバ(11)の制御部(21)に至り、端末登録と判定(S2)されると、データベースに識別符号値として格納される。このときの判定処理(S2)としては、すでに登録されたユーザでないかの照合や、図示しない登録拒否リストに該当するユーザでないかの確認などを行うこともできる。
【0042】
本発明では識別符号とユーザIDとを組み合わせて格納するが、操作部(42)から任意のユーザIDを入力させてもよい。また、携帯電話端末の場合には、携帯電話番号をユーザIDとして用いることもできる。あるいは端末のイーサネット(登録商標)アダプタにおけるMACアドレスをユーザIDとしてもよい。
【0043】
端末の登録に問題がなければ、識別符号値を格納(S3)する。なお、上述したように識別符号は、所定の計算式によって計算値とすることもできるので、そのような場合には制御部(41)で計算処理を行ってから格納(S3)する。
【0044】
次に、図8および図3を参照し、DBサーバ(11)における価格データの蓄積手順について説明する。例えばユーザA〜Cに提供する「計測器」の当事者価格を蓄積する場合、業者Sがアイテム番号「0001」およびユーザA〜CのID「aaa、bbb、ccc」とともに、当事者価格を示す価格データ「\480,000、\500,000、\528,000」を入力部(22)から入力すると(S11;YES)、DBサーバ(11)は制御部(21)により、ユーザA〜CのIDに基づきデータベース(25)からユーザA〜Cの識別符号値(秘密鍵KA〜KC)を検索し読み出す(S12)。そして、読み出された秘密鍵KA〜KCを用いて、入力された価格データに対しカオス暗号化方法により暗号処理を施し、暗号化データ「2oH"mN-d93>>/、GJ8y2>DKlq02p、)g&2Y=;K.7L'#」を生成する(S13)。具体的には、秘密鍵KAを用いて価格データ「\480,000」を暗号化し暗号化データ「2oH"mN-d93>>/」生成し、秘密鍵KBを用いて価格データ「\500,000」を暗号化し暗号化データ「GJ8y2>DKlq02p」生成し、秘密鍵KCを用いて価格データ「\528,000」を暗号化し暗号化データ「)g&2Y=;K.7L'#」生成する。このようにして得られた暗号化データを、アイテム番号およびユーザA〜CのIDに関係付けてデータベース(25)に記録することにより(S14)、ユーザA〜Cに対する当事者価格の蓄積が完了する。
【0045】
カオス暗号化方法によれば、M個の秘密鍵を用いてN次元の有理数ベクトルを一括して暗号化することができる。MとNは任意の自然数である。したがって、表の各行を1個のN次元ベクトルと捉えれば、カオス暗号化方法により、表をカラム毎に暗号化することができる。しかも、カラム数は任意であり、短時間で暗号化が可能である。このため、カオス暗号化方法を用いることにより、表3(a)のユーザA〜Cのそれぞれのカラムの暗号化を短時間で行なうことができる。
【0046】
DBサーバ(11)において当事者価格を変更する場合は、業者Sが価格データ変更要求とともにアイテム番号、業者IDおよび新しい価格データを入力部(22)から入力すると、蓄積の場合と同様にDBサーバ(11)は秘密鍵を読み出し、新しい価格データに対しカオス暗号化方法により暗号処理を施し、得られた暗号化データでデータベース(25)の内容を更新し、これにより当事者価格の変更が完了する。このように当事者価格の変更が容易に、しかも短時間でできるので、市況の変動に伴う価格改定をリアルタイムに処理でき、ビジネスをより有利に展開できる。
【0047】
次に、図9、11、12を参照し、ユーザ端末における価格データの表示手順について説明する。
図9に示すように、ユーザAが業者Sのアイテムの価格を知りたいときには、まず操作部(42)を操作して価格リンク読み取り部(47)を動作させる。本実施例では価格リンク読み取り部(47)として、携帯電話端末に備えられたカメラと、非接触タグの読み取り装置を例として挙げるが、電子的に読み取り可能であれば公知のいかなる手段を用いてもよい。
【0048】
図11は価格リンク手段を備えた電子価格提示システム用媒体の例である。図11に示すのは、紙媒体の商品カタログの一葉(100)であって、従来の商品カタログと同様に各商品の写真(101)(102)(103)と、その近傍に参考価格(101a)(102a)(103a)を記載している。本発明の電子価格提示システム用媒体では、これらに加えて2次元バーコード(101b)(102b)(103b)を表示している。
この2次元バーコードには、電子価格提示サーバ(1)のインターネットURLと、各商品のアイテム識別符号(例えば、商品コード、JANコードなど)との情報を含んでいる。
【0049】
ユーザが価格リンク読み取り部(例えばカメラ)(47)でこれを読み取ると、公知の携帯電話端末の機能により制御部(41)でURLとアイテム識別符号のデータを取得する(S31)。
これが読み取られたことを契機として、Webブラウザを起動し(S32)、インターネット(3)上の業者SのWebサーバ(12)へユーザIDとアイテムの識別符号と共に価格表示要求を送信する(S33)。上述したように、ユーザIDを携帯電話番号とする場合には、発信者番号通知の機能により自動的に通知することもできる。
【0050】
価格表示要求を受信したWebサーバ(12)は、要求されているアイテム識別符号に対応する価格の検索をDBサーバ(11)に指示する(S34)。
この指示を受けて、DBサーバ(11)はアイテム識別符号およびユーザAのIDに基づきデータベース(25)を検索して、要求された価格データを抽出し(ステップS35)、その暗号化データをユーザ端末(2A)に送信(S36)する。
【0051】
端末(2A)は該暗号化データをダウンロードすると、識別符号格納部(45)から秘密鍵KAを読み出し(S37)、この秘密鍵KAを用いて暗号化データを復号化する(S38)。この暗号化データはユーザA用の秘密鍵KAを用いて暗号化されたものであるから、復号化処理(S38)により元の価格データに戻すことができる。これを表示部(46)の画面に表示することにより(S39)、ユーザAは実際の当事者価格(\480,000)を確認することができる。
【0052】
本発明によれば、業者Sは商品カタログに通常の写真や価格に加えて、自己の管理する価格提示サーバのURLと、アイテムの識別符号を含むバーコードを印刷するだけで足りる。バーコードには当事者価格は含まれていないので、これらは不特定多数に配布することができる。
一方、ユーザも、予め登録した自己の端末でこれを読み取ってアクセスするだけで、自分向けの当事者価格を至極簡便に読み取ることができる。
【0053】
上記実施例では、カタログ(100)を例に挙げたが、本発明の電子価格提示システム用媒体はチラシ、新聞・雑誌の広告欄などのいかなる印刷媒体でもよい。またインターネットのショッピングサイトにおいて、商品と共にバーコードを画像表示する構成でもよいし、テレビコマーシャルなど放送の画面上に表示してもよい。
【0054】
さらに、図12に示すように店頭の値札(110)(111)として提供することもできる。本構成では、一般の消費者向けの価格を従来通り数字で表示(110a)(111a)すると共に、その近傍に2次元バーコード(110b)(111b)を表示しておく。予め登録会員など、特別な価格の提示を受けるユーザは、携帯電話端末などでこの2次元バーコード(110b)(111b)を読み取り、自分向けの価格を確認することができる。このようにすることで、一般の消費者向けには特別料金を秘匿しながら、特定の会員向けに差別化した金額を簡便に提示することができる。
【0055】
本発明では、必ずしも価格リンク読み取り処理(S31)を行わず、電子価格提示サーバへのアクセスはブックマークなどに登録されたURLにユーザが手動でアクセスするようにしてもよい。アイテムの識別符号も手動で操作部(42)から入力して価格を取得する構成でもよい。
【0056】
本発明の価格リンク手段には、上記した2次元バーコードに限らず、1次元のバーコードでもよいし、電子的に読み取り可能ないかなる表示でもよい。価格リンク読み取り部もカメラに限らず、その他の光学式読み取りセンサ、磁気読み取りセンサなどいかなる手段でもよい。
例えば、価格リンク手段に非接触タグを用いることもできる。この場合、ICチップを上記カタログや値札に埋め込んでおき、公知の非接触タグ読み取り装置を用いて読み取ることもできる。
【0057】
当事者価格を更新する方法として、ユーザ端末から当該ユーザに対する価格を更新するための価格変換値を送信することもできる。この価格変換値には、例えば一定の割合で変更する価格変換比率や、一律に加減算する値、あるいはアイテムの識別符号に基づいて価格を更新するための計算式などを用いることができる。
【0058】
本技術にかかる更新処理について図10に示す。
最初に価格リンクを読み取り(S31)、Webブラウザを起動(S32)した後で、例えば価格更新のモードを選択する。
そして、アイテム識別符号と、価格変換値との情報を含む価格更新要求(S60)をWebサーバ(12)に送ると、それらの情報をDBサーバ(11)に更新指示(S61)として伝達する。
【0059】
DBサーバ(11)では、アイテム識別符号から暗号化価格データが検索(S62)される。この状態では価格データは暗号化されているため、データベース(25)から当該ユーザのIDに基づいて識別符号値が読み出され(S63)、カオス暗号化方法に従って制御部(21)で復号化処理(S64)される。
そして、上記の価格変換値に従って、復号化された価格を変換処理(S65)する。その後は図8の処理手順と同様にして、カオス暗号処理(S66)、暗号化価格データ記録(S67)を行う。
【0060】
以上の方法によれば、当事者価格についてユーザ端末から簡便に更新することができるようになる。使用方法としては、例えば特定のチラシに割引を適用するための価格変換値を格納したバーコードを印刷して配布し、ユーザがその内容を読み取ると、当該ユーザに関して以後は割引が適用されるようになる。価格変換値の有効期限の情報を格納しておけば、特定の期間内に読み取った者だけに割引を適用することもできる。
【実施例2】
【0061】
実施例1の構成では、データベース(25)に格納された価格データをユーザ端末(2A)で復号化する構成を説明したが、これを電子価格提示サーバ(1)側で行うこともできる。
その場合の処理の流れを図13に示す。なお、図9と同一の処理については同一符号で示して説明を省略する。
【0062】
ユーザ端末(2A)から価格表示要求(S33)があると、DBサーバ(11)に検索指示(S34)がされ暗号化価格データが、アイテム識別符号に基づいて検索(S35)される。
本実施例では、この後、データベース(25)から当該ユーザのIDに基づいて識別符号値が読み出され(S41)、カオス暗号化方法に従って制御部(21)で復号化処理(S42)される。
【0063】
復号化処理されて可読となった価格データはDBサーバ(11)の表示部(26)で画面表示を行ってもよい。実際上の利用方法としては、該表示部(26)が図12に示すような値札の表示器であって、ユーザ端末(2A)で2次元バーコード(110b)(111b)を読み取ってアクセスすると、しばらくの間、価格表示(110a)(111a)が当事者価格に切り替わる、という例が考えられる。
【0064】
この場合、ユーザIDがなりすまし可能な場合にはカオス暗号化方法による秘匿性の確保が十分ではないが、これを携帯電話の発信者番号や、別に配布するICタグなどにすることで、ユーザの本人性を担保することもできる。この場合、カオス暗号化によってサーバ(1)のデータベース(25)における各ユーザ向けの当事者価格の秘匿性は確保されるので、該電子価格データテーブルを自由に配布することもできる。
なお、付加的に電子価格表の情報量が大きい場合には、電子価格データテーブルの暗号化または通信時の際に、同時に公知の技術により圧縮化する工程を付加してもよい。この際に、業者Sの秘密鍵によってカオス暗号化を行ってもよい。
【0065】
復号化された価格データは、ユーザ端末(2A)に送信されて画面表示(S45)することもできる。
本発明は、図1に示した電子価格提示システムのほか、電子価格提示サーバを単体からなる電子価格提示装置として提供してもよい。同システムの処理方法として提供することもできる。
さらに、上記カタログや値札などの電子価格提示システム用媒体として提供することもできる。
【実施例3】
【0066】
本発明において、価格データを圧縮した後に暗号化処理することもできる。この方法によれば、多数のアイテムとその当事者価格によって大容量となるデータを小さな容量の記憶媒体にも格納することができる。また当該データを電子価格提示サーバに保管する場合は、使用電力量の削減が可能で、省スペースと省電力になる。
図14に示すように、価格データ入力処理において、価格データ入力の指示(S11)があった後、データベース(25)から秘密鍵を読み出す。そして、暗号化する価格データを、可逆的な圧縮方法を用いて圧縮する(S15)。
【0067】
可逆圧縮方法としては公知のいかなる方法を用いてもよいが、連長圧縮、ハフマン符号化、LZWアルゴリズムなどのアルゴリズムが広く知られている。LZWアルゴリズムを利用したLZW、LZH、ZIPなどの圧縮方法を用いることもできる。
【0068】
次に、圧縮した価格データをカオス暗号化処理する(S13)。
容量を小さくしたデータを対象に暗号化処理することで、処理量が少なく高速な暗号化に寄与する。
そして、可逆圧縮され、暗号化された価格データをデータベース(25)に記録する。(S16)
【0069】
ユーザ端末における価格の表示時には図15に示す処理を行う。
図9に示した処理と復号化処理(S38)までは同様に進み、その後、可逆圧縮方法の逆操作(解凍)によって、元の価格データに復元する(S40)。その結果を画面表示(S39)する。
【0070】
以上の圧縮・解凍工程を価格データの入力と検索に用いる方法は、実施例2に示したサーバ側で復号化する構成でも同様に適用することができる。この場合、図13の復号化(S42)の直後に上記復元工程を含めばよい。
【実施例4】
【0071】
本発明において、ハッシュ関数を用いて検索を高速化することができる。
図16に示すように、価格データ入力処理において、価格データ入力の指示(S11)があった後、データベース(25)から秘密鍵を読み出す。そして、秘密鍵を用いて価格データにカオス暗号化処理(S13)する。
さらに、暗号化されたN次元のデータに対して、所定のハッシュ関数を用いてハッシュし、N個のハッシュ値を取得する(S17)。
このN個のハッシュ値をユーザに対応付けてハッシュテーブルとして記録すると共に、そのハッシュ値と暗号化された価格データとをデータベース(25)に格納する(S18)。
【0072】
ユーザ端末における価格の表示の際には、図17に示すようにDBサーバ(11)において検索指示(S34)を受けると、ユーザに対応するハッシュ値(S50)をハッシュテーブルから取得(S50)し、さらにデータベース(25)から暗号化データを検索(S51)する。
以降の処理は実施例1と同様である。
【0073】
実施例2においても暗号化価格データ検索処理(S35)に代えて、ハッシュ値の読み取り処理(S50)と、それを用いた暗号化価格データ検索処理(S51)を実行処理すればよい。
【実施例5】
【0074】
上記実施例1においてユーザ端末から当事者価格を更新する方法を示した。本実施例では本発明に係る電子価格提示サーバ(1)において、特定の権限を有する管理者が価格を一括更新する技術について説明する。
図18に本処理のフローチャートを示す。まず、電子価格提示サーバ(1)のDBサーバ(11)において、入力部(22)から価格データの一括更新の処理を選択(S70)し、価格データを更新する正当な権限を有するか否か認証を受ける(S71)。認証処理は必ずしも行わなくてもよいが、上記したユーザ端末のように秘密鍵となる識別符号を用いないため、本実施例では認証処理を行うことが好ましい。
【0075】
認証を通過すると、入力部(22)から管理者が一括変換値を入力(S72)する。一括変換値は、例えば一定の割合で変更する価格変換比率や、一律に加減算する値、あるいはアイテムの識別符号に基づいて価格を更新するための計算式などを用いることができる。具体的には「全品20%引き」「全品500円引き」などの情報を入力する。現在の値段に応じて「1万円以上のアイテムは全品1000円引き、2万円以上のアイテムは全品3000円引き」などの条件を加えてもよい。
【0076】
さらに、一括変換値には端数の処理方法に関する情報を含むこともできる。たとえば「1円未満四捨五入」「100円未満四捨五入」「100円未満切り捨て」「100円未満の桁はすべて80に変更」などの情報を含む。
【0077】
そして、暗号化価格データの検索処理(S73)を行う。上記実施例では、各ユーザ毎に価格データを検索したが、本実施例の場合には全ての価格データを一括変換するため、検索処理(S73)を行わず、格納されているすべてのデータを対象としてもよい。
そして、データベース(25)から検索又は順次読み出された暗号化価格データに対応するユーザのIDに基づいて識別符号値が読み出され(S74)、カオス暗号化方法に従って制御部(21)で復号化処理(S75)される。
【0078】
復号化された価格について、上記一括変換値に基づいて価格一括変換処理(S76)する。
同時に、本発明では変換する前の元の価格(原価格)を記録する(S77)。例えば、復号化されたあるアイテムの価格が1000円で、一括変換値が30%割引であった場合、価格一括変換処理(S76)により当該アイテムの価格は700円に更新される。
【0079】
四捨五入や切り上げ・切り下げなどの処理を行わなければ、価格を通常価格に戻したい場合に、700円を0.7で割ることで元の金額に可逆的に戻すことができる。しかし、通貨の場合には、かならず最小単位がある上、販売価格の切りを良くしたり、購買意欲を高めるために端数を8や9に揃えることが一般的であり、そのような計算を行うと、元の価格に戻すことができなくなる。端的な例としては、1000円の3割引は700円であるが、1001円や999円の3割引も700円であり、これを改めて元の価格に戻したり、2割引に変更したい場合に誤差が生じてしまう。
【0080】
そのため、従来価格を変更する処理は人手によって1つ1つ行うことが必要で、翌営業日までの深夜に作業をしなければならないこともあった。本発明によれば、原価格を記録することで、いつでも変換前の値に戻すことが容易であり、このような価格更新作業を大幅に軽減することができる。
【0081】
一括変換された価格と原価格とは、共に図8の処理手順と同様にして、カオス暗号処理(S78)、暗号化価格データ記録(S79)の各処理で暗号化、記録される。なお、上述した可逆圧縮を用いる構成や、ハッシュ値を用いる構成と組み合わせて実施することも自在である。
【0082】
記録された原価格は次の価格一括変換の処理において用いる。すなわち、一括変換値入力(S72)において、「原価格に戻す」あるいは「原価格から20%引きに更新」と管理者が入力すると、価格一括変換処理(S76)では現在の価格(前回一括変換された値)ではなく、原価格を基準に変換を行う。「原価格に戻す」場合には記録された原価格に書き換えるだけよいし、「原価格から20%引きに更新」の場合には、原価格を読み出して20%引き(及び四捨五入等)の演算を行えばよい。
【0083】
この際、原価格記録(S77)処理では、改めて原価格を記録する。すなわち、原価格は常に元の価格が記録された状態とする。このように2つの価格を常に保持しておくことで、一時的な値段の変換を簡便に行えるようにすることができる。
もちろん、一括変換処理において、原価格を更新する処理を備えておいてもよい。この処理の場合には、原価格を可逆的に戻せなくなるが、例えば為替レートの変動によって原価格が一律に変化する場合には本処理を備えることも有効である。
【符号の説明】
【0084】
1 電子価格提示サーバ
2A ユーザ端末A
2B ユーザ端末B
2C ユーザ端末C
3 インターネット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザがそれぞれ所持するユーザ端末と、各ユーザに対応する価格を提示する電子価格提示サーバとからなる電子価格提示システムであって、
該電子価格提示サーバには、
複数のユーザ端末に固有に割り当てられた識別符号、又は該識別符号から所定の計算式に従って計算した計算値のいずれかである識別符号値を各ユーザの秘密鍵として関係付けて記録する秘密鍵記録手段と、
M個(Mは自然数)の秘密鍵を用いてN次元(Nは自然数)の有理数ベクトルを一括して暗号化するカオス暗号化方法により、各ユーザに関連づけられたM個の該秘密鍵を該秘密鍵記録手段から読み出して各アイテムに対するN個の該価格データを1つのN次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成する暗号化手段と、
該暗号化データを、対応する該アイテムおよび該ユーザに関係付けて記録する価格データ記録手段と、
該ユーザ端末からの要求に応じて該価格データ記録手段から該ユーザに関係付けて記録された暗号化データを検索し読み出す検索手段と、
この検索手段により読み出された該暗号化データを、該ユーザ端末に送信する送信手段と
を備えると共に、
該ユーザ端末には、
該識別符号値を読み出し、又は計算する識別符号値読み出し手段と、
該電子価格提示サーバへ該要求を送信する第2の送信手段と、
該電子価格提示サーバから送信される該暗号化データを受信する受信手段と、
受信された該暗号化データを該識別符号値読み出し手段から読み出された該識別符号値を用いて復号化し、元の価格データを生成する復号化手段と、
復号化された該価格データを表示する表示手段と
を備えた
ことを特徴とする電子価格提示システム。
【請求項2】
複数のユーザがそれぞれ所持するユーザ端末と、各ユーザに対応する価格を提示する電子価格提示サーバとからなる電子価格提示システムであって、
該電子価格提示サーバには、
複数のユーザ端末に固有に割り当てられた識別符号、又は該識別符号から所定の計算式に従って計算した計算値のいずれかである識別符号値を各ユーザの秘密鍵として関係付けて記録する秘密鍵記録手段と、
M個(Mは自然数)の秘密鍵を用いてN次元(Nは自然数)の有理数ベクトルを一括して暗号化するカオス暗号化方法により、各ユーザに関連づけられたM個の該秘密鍵を該秘密鍵記録手段から読み出して各アイテムに対するN個の該価格データを1つのN次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成する暗号化手段と、
該暗号化データを、対応する該アイテムおよび該ユーザに関係付けて記録する価格データ記録手段と、
該ユーザ端末からの要求に応じて該価格データ記録手段から該ユーザに関係付けて記録された暗号化データを検索し読み出す検索手段と、
この検索手段により読み出された該暗号化データを、該秘密鍵記録手段から読み出された該ユーザの識別符号値を用いて復号化する復号化手段と、
復号化された該価格データを該ユーザ端末に送信する送信手段と
を備えると共に、
該ユーザ端末には、
該電子価格提示サーバへ該要求を送信する第2の送信手段と、
該電子価格提示サーバから送信される該価格データを受信する受信手段と、
受信した該価格データを表示する表示手段と
を備えた
ことを特徴とする電子価格提示システム。
【請求項3】
前記電子価格提示システムにおいて、
前記電子価格提示サーバの前記暗号化手段が、各アイテムに対するN個の該価格データを1つのN次元ベクトルに可逆圧縮した後、N次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成すると共に、
前記ユーザ端末の前記復号化手段が、
復号化した後、可逆圧縮の逆操作を行い、元の価格データを生成する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子価格提示システム。
【請求項4】
前記電子価格提示システムにおいて、
前記電子価格提示サーバの前記暗号化手段で暗号化されたN次元の暗号化データを所定のハッシュ関数でハッシュすることにより、N個のハッシュ値を取得し記録するハッシュ化手段を備え、
前記電子価格提示サーバの検索手段が、前記ユーザ端末からの要求に応じて前記価格データ記録手段から前記ユーザに関係付けて記録された暗号化データを、該ユーザに関係付けて記録されたハッシュ値をキーワードに検索し読み出す
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電子価格提示システム。
【請求項5】
前記電子価格提示システムにおいて、
前記電子価格提示サーバのネットワークアドレスと、アイテムを識別するアイテム識別符号との情報を少なくとも含み、前記ユーザ端末で電子的に読み取り可能な価格リンク手段を用い、
前記ユーザ端末には、該価格リンク手段を読み取る価格リンク読み取り手段を備えると共に、
読み取った該ネットワークアドレス宛に、前記第2の送信手段から、読み取ったアイテム識別符号を送信し、
前記電子価格提示サーバの前記検索手段は、該受信したアイテム識別符号に対応するアイテムの価格を含む前記暗号化データを検索する
請求項1ないし4のいずれかに記載の電子価格提示システム。
【請求項6】
前記電子価格提示システムにおいて、
前記第2の送信手段が、読み取ったアイテム識別符号と共に、前記価格データにおける価格を更新するための価格変換値を送信し、
前記電子価格提示サーバが、該価格データを該価格変換値に基づいて算出した結果で更新する価格更新手段を備えた
請求項5に記載の電子価格提示システム。
【請求項7】
前記価格リンク手段が、バーコード情報であって、
前記価格リンク読み取り手段が、該バーコードを読み取るセンサである
請求項5又は6に記載の電子価格提示システム。
【請求項8】
前記価格リンク手段が、非接触型タグであって、
前記価格リンク読み取り手段が、非接触型タグの読み取り手段である
請求項5又は6に記載の電子価格提示システム。
【請求項9】
前記電子価格提示サーバにおいて、
前記価格データにおける価格を一括して更新するための一括価格変換値を入力する入力手段と、
該価格データを該一括価格変換値に基づいて算出した結果で更新する一括価格更新手段
を備えた
請求項1ないし8のいずれかに記載の電子価格提示システム。
【請求項10】
前記一括価格更新手段において、
前記更新される価格と共に、更新前の原価格を同時に記録する
請求項9に記載の電子価格提示システム。
【請求項11】
複数のユーザに対応する価格を提示する電子価格提示装置であって、
複数のユーザ端末に固有に割り当てられた識別符号、又は該識別符号から所定の計算式に従って計算した計算値のいずれかである識別符号値を各ユーザの秘密鍵として関係付けて記録する秘密鍵記録手段と、
M個(Mは自然数)の秘密鍵を用いてN次元(Nは自然数)の有理数ベクトルを一括して暗号化するカオス暗号化方法により、各ユーザに関連づけられたM個の該秘密鍵を該秘密鍵記録手段から読み出して各アイテムに対するN個の該価格データを1つのN次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成する暗号化手段と、
該暗号化データを、対応する該アイテムおよび該ユーザに関係付けて記録する価格データ記録手段と、
該ユーザ端末からの要求に応じて該価格データ記録手段から該ユーザに関係付けて記録された暗号化データを検索し読み出す検索手段と、
この検索手段により読み出された該暗号化データを、該ユーザ端末に送信する送信手段と
を備えたことを特徴とする電子価格提示装置。
【請求項12】
複数のユーザに対応する価格を提示する電子価格提示装置であって、
複数のユーザ端末に固有に割り当てられた識別符号、又は該識別符号から所定の計算式に従って計算した計算値のいずれかである識別符号値を各ユーザの秘密鍵として関係付けて記録する秘密鍵記録手段と、
M個(Mは自然数)の秘密鍵を用いてN次元(Nは自然数)の有理数ベクトルを一括して暗号化するカオス暗号化方法により、各ユーザに関連づけられたM個の該秘密鍵を該秘密鍵記録手段から読み出して各アイテムに対するN個の該価格データを1つのN次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成する暗号化手段と、
該暗号化データを、対応する該アイテムおよび該ユーザに関係付けて記録する価格データ記録手段と、
該ユーザ端末からの要求に応じて該価格データ記録手段から該ユーザに関係付けて記録された暗号化データを検索し読み出す検索手段と、
この検索手段により読み出された該暗号化データを、該秘密鍵記録手段から読み出された該ユーザの識別符号値を用いて復号化する復号化手段と、
復号化された該価格データを該ユーザ端末に送信する送信手段、又は復号化された該価格データを表示する表示手段、の少なくともいずれかと
を備えたことを特徴とする電子価格提示装置。
【請求項13】
前記暗号化手段が、各アイテムに対するN個の該価格データを1つのN次元ベクトルに可逆圧縮した後、N次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成する
ことを特徴とする請求項11又は12に記載の電子価格提示装置。
【請求項14】
前記暗号化手段で暗号化されたN次元の暗号化データを所定のハッシュ関数でハッシュすることにより、N個のハッシュ値を取得し記録するハッシュ化手段を備え、
前記検索手段が、前記ユーザ端末からの要求に応じて前記価格データ記録手段から前記ユーザに関係付けて記録された暗号化データを、該ユーザに関係付けて記録されたハッシュ値をキーワードに検索し読み出す
ことを特徴とする請求項11ないし13のいずれかに記載の電子価格提示装置。
【請求項15】
前記電子価格提示装置において、
前記価格データにおける価格を一括して更新するための一括価格変換値を入力する入力手段と、
該価格データを該一括価格変換値に基づいて算出した結果で更新する一括価格更新手段
を備えた
請求項11ないし14のいずれかに記載の電子価格提示装置。
【請求項16】
前記一括価格更新手段において、
前記更新される価格と共に、更新前の原価格を同時に記録する
請求項15に記載の電子価格提示装置。
【請求項17】
前記請求項5ないし8のいずれかに記載の電子価格提示システムで用いられ、
前記電子価格提示サーバのネットワークアドレスと、アイテムを識別するアイテム識別符号との情報を少なくとも含み、前記ユーザ端末で電子的に読み取り可能な価格リンク手段を有する
ことを特徴とする電子価格提示システム用媒体。
【請求項18】
前記価格リンク手段が、バーコード情報である
請求項17に記載の電子価格提示システム用媒体。
【請求項19】
前記価格リンク手段が、非接触型タグであって、
請求項17に記載の電子価格提示システム用媒体。
【請求項20】
複数のユーザがそれぞれ所持するユーザ端末と、各ユーザに対応する価格を提示する電子価格提示サーバとからなる電子価格提示システムにおける処理方法であって、
予め複数のユーザ端末に固有に割り当てられた識別符号、又は該識別符号から所定の計算式に従って計算した計算値のいずれかである識別符号値を各ユーザの秘密鍵として関係付けて該電子価格提示サーバの秘密鍵記録手段に記録しておき、
該電子価格提示サーバの暗号化手段が、M個(Mは自然数)の秘密鍵を用いてN次元(Nは自然数)の有理数ベクトルを一括して暗号化するカオス暗号化方法により、各ユーザに関連づけられたM個の該秘密鍵を該秘密鍵記録手段から読み出して各アイテムに対するN個の該価格データを1つのN次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成する暗号化ステップ、
該電子価格提示サーバの価格データ記録手段が、該暗号化データを、対応する該アイテムおよび該ユーザに関係付けて記録する価格データ記録ステップ、
該ユーザ端末の第2の送信手段が、該電子価格提示サーバへ要求を送信する要求送信ステップ、
該電子価格提示サーバの検索手段が、該ユーザ端末からの要求に応じて該価格データ記録手段から該ユーザに関係付けて記録された暗号化データを検索し読み出す検索ステップ、
この検索手段により読み出された該暗号化データを、該ユーザ端末に送信する送信ステップ、
該ユーザ端末の受信手段が、該電子価格提示サーバから送信される該暗号化データを受信する受信ステップ、
該ユーザ端末の識別符号値読み出し手段が、該識別符号値を読み出し、又は計算する識別符号値読み出しステップ、
該ユーザ端末の復号化手段が、受信された該暗号化データを該識別符号値読み出し手段から読み出された該識別符号値を用いて復号化し、元の価格データを生成する復号化ステップ、
該ユーザ端末の表示手段が、復号化された該価格データを表示する表示ステップ
を有する
ことを特徴とする電子価格提示方法。
【請求項21】
複数のユーザがそれぞれ所持するユーザ端末と、各ユーザに対応する価格を提示する電子価格提示サーバとからなる電子価格提示システムにおける処理方法であって、
予め複数のユーザ端末に固有に割り当てられた識別符号、又は該識別符号から所定の計算式に従って計算した計算値のいずれかである識別符号値を各ユーザの秘密鍵として関係付けて該電子価格提示サーバの秘密鍵記録手段に記録しておき、
該電子価格提示サーバの暗号化手段が、M個(Mは自然数)の秘密鍵を用いてN次元(Nは自然数)の有理数ベクトルを一括して暗号化するカオス暗号化方法により、各ユーザに関連づけられたM個の該秘密鍵を該秘密鍵記録手段から読み出して各アイテムに対するN個の該価格データを1つのN次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成する暗号化ステップ、
該電子価格提示サーバの価格データ記録手段が、該暗号化データを、対応する該アイテムおよび該ユーザに関係付けて記録する価格データ記録ステップ、
該ユーザ端末の第2の送信手段が、該電子価格提示サーバへ要求を送信する要求送信ステップ、
該電子価格提示サーバの検索手段が、該ユーザ端末からの要求に応じて該価格データ記録手段から該ユーザに関係付けて記録された暗号化データを検索し読み出す検索ステップ、
該電子価格提示サーバの復号化手段が、この検索手段により読み出された該暗号化データを、該秘密鍵記録手段から読み出された該ユーザの識別符号値を用いて復号化する復号化ステップ、
該電子価格提示サーバの送信手段が、復号化された該価格データを該ユーザ端末に送信する送信ステップ、
該ユーザ端末の受信手段が、該電子価格提示サーバから送信される該価格データを受信する受信ステップ、
該ユーザ端末の表示手段が、該価格データを表示する表示ステップ
を有する
ことを特徴とする電子価格提示方法。
【請求項22】
前記電子価格提示方法の前記暗号化ステップにおいて、
前記電子価格提示サーバの前記暗号化手段が、各アイテムに対するN個の該価格データを1つのN次元ベクトルに可逆圧縮した後、N次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成すると共に、
前記復号化ステップにおいて、
前記ユーザ端末の前記復号化手段が、復号化した後、可逆圧縮の逆操作を行い、元の価格データを生成する
ことを特徴とする請求項20又は21に記載の電子価格提示方法。
【請求項23】
前記電子価格提示方法において、
前記暗号化ステップの次に、
前記電子価格提示サーバのハッシュ化手段が、前記暗号化ステップで暗号化されたN次元の暗号化データを所定のハッシュ関数でハッシュすることにより、N個のハッシュ値を取得し記録するハッシュ化ステップを有すると共に、
前記検索ステップにおいて、
前記電子価格提示サーバの検索手段が、前記ユーザ端末からの要求に応じて前記価格データ記録手段から前記ユーザに関係付けて記録された暗号化データを、該ユーザに関係付けて記録されたハッシュ値をキーワードに検索し読み出す
ことを特徴とする請求項20ないし22のいずれかに記載の電子価格提示方法。
【請求項24】
請求項20〜23のいずれか一つに記載の電子価格提示方法をコンピュータの電子価格提示サーバに実行させることを特徴とするサーバ用プログラム。
【請求項25】
請求項20〜23のいずれか一つに記載の電子価格提示方法をコンピュータのユーザ端末に実行させることを特徴とする端末用プログラム。
【請求項1】
複数のユーザがそれぞれ所持するユーザ端末と、各ユーザに対応する価格を提示する電子価格提示サーバとからなる電子価格提示システムであって、
該電子価格提示サーバには、
複数のユーザ端末に固有に割り当てられた識別符号、又は該識別符号から所定の計算式に従って計算した計算値のいずれかである識別符号値を各ユーザの秘密鍵として関係付けて記録する秘密鍵記録手段と、
M個(Mは自然数)の秘密鍵を用いてN次元(Nは自然数)の有理数ベクトルを一括して暗号化するカオス暗号化方法により、各ユーザに関連づけられたM個の該秘密鍵を該秘密鍵記録手段から読み出して各アイテムに対するN個の該価格データを1つのN次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成する暗号化手段と、
該暗号化データを、対応する該アイテムおよび該ユーザに関係付けて記録する価格データ記録手段と、
該ユーザ端末からの要求に応じて該価格データ記録手段から該ユーザに関係付けて記録された暗号化データを検索し読み出す検索手段と、
この検索手段により読み出された該暗号化データを、該ユーザ端末に送信する送信手段と
を備えると共に、
該ユーザ端末には、
該識別符号値を読み出し、又は計算する識別符号値読み出し手段と、
該電子価格提示サーバへ該要求を送信する第2の送信手段と、
該電子価格提示サーバから送信される該暗号化データを受信する受信手段と、
受信された該暗号化データを該識別符号値読み出し手段から読み出された該識別符号値を用いて復号化し、元の価格データを生成する復号化手段と、
復号化された該価格データを表示する表示手段と
を備えた
ことを特徴とする電子価格提示システム。
【請求項2】
複数のユーザがそれぞれ所持するユーザ端末と、各ユーザに対応する価格を提示する電子価格提示サーバとからなる電子価格提示システムであって、
該電子価格提示サーバには、
複数のユーザ端末に固有に割り当てられた識別符号、又は該識別符号から所定の計算式に従って計算した計算値のいずれかである識別符号値を各ユーザの秘密鍵として関係付けて記録する秘密鍵記録手段と、
M個(Mは自然数)の秘密鍵を用いてN次元(Nは自然数)の有理数ベクトルを一括して暗号化するカオス暗号化方法により、各ユーザに関連づけられたM個の該秘密鍵を該秘密鍵記録手段から読み出して各アイテムに対するN個の該価格データを1つのN次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成する暗号化手段と、
該暗号化データを、対応する該アイテムおよび該ユーザに関係付けて記録する価格データ記録手段と、
該ユーザ端末からの要求に応じて該価格データ記録手段から該ユーザに関係付けて記録された暗号化データを検索し読み出す検索手段と、
この検索手段により読み出された該暗号化データを、該秘密鍵記録手段から読み出された該ユーザの識別符号値を用いて復号化する復号化手段と、
復号化された該価格データを該ユーザ端末に送信する送信手段と
を備えると共に、
該ユーザ端末には、
該電子価格提示サーバへ該要求を送信する第2の送信手段と、
該電子価格提示サーバから送信される該価格データを受信する受信手段と、
受信した該価格データを表示する表示手段と
を備えた
ことを特徴とする電子価格提示システム。
【請求項3】
前記電子価格提示システムにおいて、
前記電子価格提示サーバの前記暗号化手段が、各アイテムに対するN個の該価格データを1つのN次元ベクトルに可逆圧縮した後、N次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成すると共に、
前記ユーザ端末の前記復号化手段が、
復号化した後、可逆圧縮の逆操作を行い、元の価格データを生成する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子価格提示システム。
【請求項4】
前記電子価格提示システムにおいて、
前記電子価格提示サーバの前記暗号化手段で暗号化されたN次元の暗号化データを所定のハッシュ関数でハッシュすることにより、N個のハッシュ値を取得し記録するハッシュ化手段を備え、
前記電子価格提示サーバの検索手段が、前記ユーザ端末からの要求に応じて前記価格データ記録手段から前記ユーザに関係付けて記録された暗号化データを、該ユーザに関係付けて記録されたハッシュ値をキーワードに検索し読み出す
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電子価格提示システム。
【請求項5】
前記電子価格提示システムにおいて、
前記電子価格提示サーバのネットワークアドレスと、アイテムを識別するアイテム識別符号との情報を少なくとも含み、前記ユーザ端末で電子的に読み取り可能な価格リンク手段を用い、
前記ユーザ端末には、該価格リンク手段を読み取る価格リンク読み取り手段を備えると共に、
読み取った該ネットワークアドレス宛に、前記第2の送信手段から、読み取ったアイテム識別符号を送信し、
前記電子価格提示サーバの前記検索手段は、該受信したアイテム識別符号に対応するアイテムの価格を含む前記暗号化データを検索する
請求項1ないし4のいずれかに記載の電子価格提示システム。
【請求項6】
前記電子価格提示システムにおいて、
前記第2の送信手段が、読み取ったアイテム識別符号と共に、前記価格データにおける価格を更新するための価格変換値を送信し、
前記電子価格提示サーバが、該価格データを該価格変換値に基づいて算出した結果で更新する価格更新手段を備えた
請求項5に記載の電子価格提示システム。
【請求項7】
前記価格リンク手段が、バーコード情報であって、
前記価格リンク読み取り手段が、該バーコードを読み取るセンサである
請求項5又は6に記載の電子価格提示システム。
【請求項8】
前記価格リンク手段が、非接触型タグであって、
前記価格リンク読み取り手段が、非接触型タグの読み取り手段である
請求項5又は6に記載の電子価格提示システム。
【請求項9】
前記電子価格提示サーバにおいて、
前記価格データにおける価格を一括して更新するための一括価格変換値を入力する入力手段と、
該価格データを該一括価格変換値に基づいて算出した結果で更新する一括価格更新手段
を備えた
請求項1ないし8のいずれかに記載の電子価格提示システム。
【請求項10】
前記一括価格更新手段において、
前記更新される価格と共に、更新前の原価格を同時に記録する
請求項9に記載の電子価格提示システム。
【請求項11】
複数のユーザに対応する価格を提示する電子価格提示装置であって、
複数のユーザ端末に固有に割り当てられた識別符号、又は該識別符号から所定の計算式に従って計算した計算値のいずれかである識別符号値を各ユーザの秘密鍵として関係付けて記録する秘密鍵記録手段と、
M個(Mは自然数)の秘密鍵を用いてN次元(Nは自然数)の有理数ベクトルを一括して暗号化するカオス暗号化方法により、各ユーザに関連づけられたM個の該秘密鍵を該秘密鍵記録手段から読み出して各アイテムに対するN個の該価格データを1つのN次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成する暗号化手段と、
該暗号化データを、対応する該アイテムおよび該ユーザに関係付けて記録する価格データ記録手段と、
該ユーザ端末からの要求に応じて該価格データ記録手段から該ユーザに関係付けて記録された暗号化データを検索し読み出す検索手段と、
この検索手段により読み出された該暗号化データを、該ユーザ端末に送信する送信手段と
を備えたことを特徴とする電子価格提示装置。
【請求項12】
複数のユーザに対応する価格を提示する電子価格提示装置であって、
複数のユーザ端末に固有に割り当てられた識別符号、又は該識別符号から所定の計算式に従って計算した計算値のいずれかである識別符号値を各ユーザの秘密鍵として関係付けて記録する秘密鍵記録手段と、
M個(Mは自然数)の秘密鍵を用いてN次元(Nは自然数)の有理数ベクトルを一括して暗号化するカオス暗号化方法により、各ユーザに関連づけられたM個の該秘密鍵を該秘密鍵記録手段から読み出して各アイテムに対するN個の該価格データを1つのN次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成する暗号化手段と、
該暗号化データを、対応する該アイテムおよび該ユーザに関係付けて記録する価格データ記録手段と、
該ユーザ端末からの要求に応じて該価格データ記録手段から該ユーザに関係付けて記録された暗号化データを検索し読み出す検索手段と、
この検索手段により読み出された該暗号化データを、該秘密鍵記録手段から読み出された該ユーザの識別符号値を用いて復号化する復号化手段と、
復号化された該価格データを該ユーザ端末に送信する送信手段、又は復号化された該価格データを表示する表示手段、の少なくともいずれかと
を備えたことを特徴とする電子価格提示装置。
【請求項13】
前記暗号化手段が、各アイテムに対するN個の該価格データを1つのN次元ベクトルに可逆圧縮した後、N次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成する
ことを特徴とする請求項11又は12に記載の電子価格提示装置。
【請求項14】
前記暗号化手段で暗号化されたN次元の暗号化データを所定のハッシュ関数でハッシュすることにより、N個のハッシュ値を取得し記録するハッシュ化手段を備え、
前記検索手段が、前記ユーザ端末からの要求に応じて前記価格データ記録手段から前記ユーザに関係付けて記録された暗号化データを、該ユーザに関係付けて記録されたハッシュ値をキーワードに検索し読み出す
ことを特徴とする請求項11ないし13のいずれかに記載の電子価格提示装置。
【請求項15】
前記電子価格提示装置において、
前記価格データにおける価格を一括して更新するための一括価格変換値を入力する入力手段と、
該価格データを該一括価格変換値に基づいて算出した結果で更新する一括価格更新手段
を備えた
請求項11ないし14のいずれかに記載の電子価格提示装置。
【請求項16】
前記一括価格更新手段において、
前記更新される価格と共に、更新前の原価格を同時に記録する
請求項15に記載の電子価格提示装置。
【請求項17】
前記請求項5ないし8のいずれかに記載の電子価格提示システムで用いられ、
前記電子価格提示サーバのネットワークアドレスと、アイテムを識別するアイテム識別符号との情報を少なくとも含み、前記ユーザ端末で電子的に読み取り可能な価格リンク手段を有する
ことを特徴とする電子価格提示システム用媒体。
【請求項18】
前記価格リンク手段が、バーコード情報である
請求項17に記載の電子価格提示システム用媒体。
【請求項19】
前記価格リンク手段が、非接触型タグであって、
請求項17に記載の電子価格提示システム用媒体。
【請求項20】
複数のユーザがそれぞれ所持するユーザ端末と、各ユーザに対応する価格を提示する電子価格提示サーバとからなる電子価格提示システムにおける処理方法であって、
予め複数のユーザ端末に固有に割り当てられた識別符号、又は該識別符号から所定の計算式に従って計算した計算値のいずれかである識別符号値を各ユーザの秘密鍵として関係付けて該電子価格提示サーバの秘密鍵記録手段に記録しておき、
該電子価格提示サーバの暗号化手段が、M個(Mは自然数)の秘密鍵を用いてN次元(Nは自然数)の有理数ベクトルを一括して暗号化するカオス暗号化方法により、各ユーザに関連づけられたM個の該秘密鍵を該秘密鍵記録手段から読み出して各アイテムに対するN個の該価格データを1つのN次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成する暗号化ステップ、
該電子価格提示サーバの価格データ記録手段が、該暗号化データを、対応する該アイテムおよび該ユーザに関係付けて記録する価格データ記録ステップ、
該ユーザ端末の第2の送信手段が、該電子価格提示サーバへ要求を送信する要求送信ステップ、
該電子価格提示サーバの検索手段が、該ユーザ端末からの要求に応じて該価格データ記録手段から該ユーザに関係付けて記録された暗号化データを検索し読み出す検索ステップ、
この検索手段により読み出された該暗号化データを、該ユーザ端末に送信する送信ステップ、
該ユーザ端末の受信手段が、該電子価格提示サーバから送信される該暗号化データを受信する受信ステップ、
該ユーザ端末の識別符号値読み出し手段が、該識別符号値を読み出し、又は計算する識別符号値読み出しステップ、
該ユーザ端末の復号化手段が、受信された該暗号化データを該識別符号値読み出し手段から読み出された該識別符号値を用いて復号化し、元の価格データを生成する復号化ステップ、
該ユーザ端末の表示手段が、復号化された該価格データを表示する表示ステップ
を有する
ことを特徴とする電子価格提示方法。
【請求項21】
複数のユーザがそれぞれ所持するユーザ端末と、各ユーザに対応する価格を提示する電子価格提示サーバとからなる電子価格提示システムにおける処理方法であって、
予め複数のユーザ端末に固有に割り当てられた識別符号、又は該識別符号から所定の計算式に従って計算した計算値のいずれかである識別符号値を各ユーザの秘密鍵として関係付けて該電子価格提示サーバの秘密鍵記録手段に記録しておき、
該電子価格提示サーバの暗号化手段が、M個(Mは自然数)の秘密鍵を用いてN次元(Nは自然数)の有理数ベクトルを一括して暗号化するカオス暗号化方法により、各ユーザに関連づけられたM個の該秘密鍵を該秘密鍵記録手段から読み出して各アイテムに対するN個の該価格データを1つのN次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成する暗号化ステップ、
該電子価格提示サーバの価格データ記録手段が、該暗号化データを、対応する該アイテムおよび該ユーザに関係付けて記録する価格データ記録ステップ、
該ユーザ端末の第2の送信手段が、該電子価格提示サーバへ要求を送信する要求送信ステップ、
該電子価格提示サーバの検索手段が、該ユーザ端末からの要求に応じて該価格データ記録手段から該ユーザに関係付けて記録された暗号化データを検索し読み出す検索ステップ、
該電子価格提示サーバの復号化手段が、この検索手段により読み出された該暗号化データを、該秘密鍵記録手段から読み出された該ユーザの識別符号値を用いて復号化する復号化ステップ、
該電子価格提示サーバの送信手段が、復号化された該価格データを該ユーザ端末に送信する送信ステップ、
該ユーザ端末の受信手段が、該電子価格提示サーバから送信される該価格データを受信する受信ステップ、
該ユーザ端末の表示手段が、該価格データを表示する表示ステップ
を有する
ことを特徴とする電子価格提示方法。
【請求項22】
前記電子価格提示方法の前記暗号化ステップにおいて、
前記電子価格提示サーバの前記暗号化手段が、各アイテムに対するN個の該価格データを1つのN次元ベクトルに可逆圧縮した後、N次元ベクトルとして暗号化し暗号化データを生成すると共に、
前記復号化ステップにおいて、
前記ユーザ端末の前記復号化手段が、復号化した後、可逆圧縮の逆操作を行い、元の価格データを生成する
ことを特徴とする請求項20又は21に記載の電子価格提示方法。
【請求項23】
前記電子価格提示方法において、
前記暗号化ステップの次に、
前記電子価格提示サーバのハッシュ化手段が、前記暗号化ステップで暗号化されたN次元の暗号化データを所定のハッシュ関数でハッシュすることにより、N個のハッシュ値を取得し記録するハッシュ化ステップを有すると共に、
前記検索ステップにおいて、
前記電子価格提示サーバの検索手段が、前記ユーザ端末からの要求に応じて前記価格データ記録手段から前記ユーザに関係付けて記録された暗号化データを、該ユーザに関係付けて記録されたハッシュ値をキーワードに検索し読み出す
ことを特徴とする請求項20ないし22のいずれかに記載の電子価格提示方法。
【請求項24】
請求項20〜23のいずれか一つに記載の電子価格提示方法をコンピュータの電子価格提示サーバに実行させることを特徴とするサーバ用プログラム。
【請求項25】
請求項20〜23のいずれか一つに記載の電子価格提示方法をコンピュータのユーザ端末に実行させることを特徴とする端末用プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−35800(P2011−35800A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182177(P2009−182177)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【出願人】(597037669)パテネット株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【出願人】(597037669)パテネット株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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