説明

電子回路組立方法および電子回路組立システム

【課題】電子回路組立システムにおいて、次生産の電子回路の型式の予告を容易にする。
【解決手段】
回路基材の基材識別コードが付されたラベルがテープ化されたものをリールに巻き、そのリールをフィーダに装填する際、そのフィーダのフィーダ識別コードと回路基材の基材識別コードとを対応付けて、対応付情報メモリに記憶させる。フィーダのフィーダ保持部材への取付けを監視し(S11)、フィーダが取り付けられたならば、そのフィーダのフィーダ識別コードを取得し(S12)、そのフィーダ識別コードと対応付情報メモリの対応付情報とに基づいて、フィーダにより供給されるラベルの基材識別コードを取得する(S14、S19)。基材識別コードは回路基材の型式、すなわち組み立てるべき電子回路の型式の情報を含んでいるため、フィーダのフィーダ保持部材への取付けにより、組み立てるべき電子回路の型式を、電子回路組立システムに予告することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を回路基材に装着して電子回路を組み立てる方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のフィーダ保持部を備えたフィーダ保持部材と、前記複数のフィーダ保持部の各々に着脱可能な複数のフィーダとを含み、それらフィーダの各々により少なくとも電子部品を含む被供給物を供給する供給装置から、装着装置の保持具により被供給物を受け取り、回路基材に装着する電子部品装着機を1台以上含む電子回路組立システム、ならびにそのシステムを使用する電子回路組立方法は既に広く知られている。
また、少なくとも1台の電子部品装着機を含む複数台の対回路基材作業機がライン状に並べられた電子回路組立システムにおいて、最上流部に、回路基材に設けられたバーコードラベルを読み取るバーコードリーダを設け、このバーコードリーダによって読み取られた回路基材の識別コードに基づいて、回路基材の幅に関する情報を取得し、回路基材を対回路基材作業機に搬入する基材コンベヤの幅を、回路基材の幅に適した大きさに自動で調整することも広く知られている。
なお、電子回路組立システムは、電子部品装着機に加えて、回路基材にクリーム状はんだを印刷するスクリーン印刷機、回路基材に接着剤を塗布する接着剤塗布機、クリームはんだや接着剤の印刷,塗布状態や電子部品の装着状態を検査する検査機、接着剤を硬化させる接着剤硬化炉、クリーム状はんだを溶融させるリフロー炉の少なくとも1つを含むものとすることができ、本明細書においては、これら回路基材に対して何らかの作業を行う装置を、対回路基材作業機と総称することとする。
【0003】
そして、下記特許文献1には、電子部品装着機において、情報記憶部と通信部とそれら情報記憶部と通信部とに接続された制御部とを含み、通信により情報の書込みや読出しが可能なRFタグを、電子部品と同様にして回路基材に装着し、そのRFタグに、リーダ/ライタにより、個々の基材を識別可能な識別コードを書き込み、読み出して、その識別コードを電子回路の組立作業に利用することが記載されている。
また、下記特許文献2には、複数の電子部品を収容し、それら電子部品を供給部から順次供給するフィーダに、複数のフィーダを個々に識別可能なフィーダ識別コードを付与し、そのフィーダ識別コードを電子回路の組立作業に利用することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−87582号公報
【特許文献2】特許第3802953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、電子回路組立システムにおいて、最上流部にバーコードリーダを設け、このバーコードリーダによって読み取られた回路基材の識別コードに基づいて、回路基材の型式を取得すれば、基材コンベヤの幅を回路基材の幅に適した大きさに自動で調整することができる。
しかし、最上流部に、バーコードリーダと、そのバーコードリーダによる識別コードの読取りが可能な状態に回路基材を保持する基材保持装置とを設けることが必要であり、その分、電子回路組立システムの所要設置スペースが大きくなり、あるいは設備コストが高価となることを避け得ない。この問題は、電子回路組立システムの実用性を向上させる上で障害となり得る問題の一例であり、従来の電子回路組立システムには未だ改良の余地がある。本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、電子回路組立システムの実用性を向上させることを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって、複数のフィーダ保持部を備えたフィーダ保持部材と、前記複数のフィーダ保持部の各々に着脱可能な複数のフィーダとを含み、それらフィーダの各々により少なくとも電子部品を含む被供給物を供給する供給装置から、装着装置の保持具により被供給物を受け取り、回路基材に装着する電子部品装着機を1台以上含む電子回路組立システムにより、電子回路を組み立てる方法であって、(a)前記1台以上の電子部品装着機のいずれかの前記フィーダ保持部材に、前記複数のフィーダの少なくとも1つとして特定フィーダを取り付け、その取り付けた状態の特定フィーダから特定情報を取得する特定情報取得工程と、(b)その取得した特定情報に基づいて、前記電子回路組立システムにおいて被供給物が装着されて電子回路とされるべき回路基材の少なくとも型式を特定する特定工程とを含む電子回路組立方法が得られる。
また、本発明によって、(i)回路基材を保持する基材保持装置と、(ii)複数のフィーダ保持部を備えたフィーダ保持部材と、前記複数のフィーダ保持部の各々に着脱可能な複数のフィーダとを含み、それら複数のフィーダにより少なくとも電子部品を含む被供給物を供給する供給装置と、(iii)その供給装置から被供給物を保持具により受け取って、前記基材保持装置に保持された回路基材に装着する装着装置とを含む電子部品装着機を1台以上含む電子回路組立システムであって、(a)前記1台以上の電子部品装着機のいずれかの前記フィーダ保持部材に、前記複数のフィーダの少なくとも1つとして特定フィーダが取り付けられた状態で、その特定フィーダから特定情報を取得する特定情報取得部と、(b)その特定情報取得部により取得された前記特定情報に基づいて、当該電子回路組立システムにおいて電子部品が装着されるべき回路基材の少なくとも型式を特定する特定部とを含む電子回路組立システムが得られる。
【発明の効果】
【0007】
このように、1台以上の電子部品装着機のいずれかのフィーダ保持部材に、複数のフィーダの少なくとも1つとして特定フィーダが取り付けられた状態で、その特定フィーダから特定情報を取得し、その特定情報に基づいて、電子回路組立システムにおいて被供給物が装着されて電子回路とされるべき回路基材の少なくとも型式を特定すれば、上記いずれかの電子部品装着機を、回路基材の型式特定のための装置としても機能させることが可能になる。それによって、回路基材の型式特定専用の装置を設ける必要がなくなり、電子回路組立システムの所要設置スペースあるいは製造コストを低減させることが可能になる。
しかも、上記いずれかの電子部品装着機における特定フィーダのフィーダ保持部材への取付けは、任意の時期に行い得るため、例えば、先行する型式の電子回路の組立作業中においても行うことができ、将来組み立てるべき電子回路の型式の、電子回路組立システムへの教示の自由度が向上する効果が得られる。
【0008】
例えば、次に生産すべき電子回路の組立てのために必要な電子部品を供給するフィーダ,トレイ等の部品供給具の電子部品装着機への取付けの最初に、その電子回路用の特定フィーダの取付けが行われるようにすれば、次に生産すべき電子回路の型式、またはその電子回路用の回路基材の型式をいち早く電子部品装着機に教示することができる。それによって、例えば、特定フィーダに続いて取り付けられる部品供給具の識別コードや取付位置の妥当性を電子部品装着機に判断させることが可能になる。ただし、この場合には、生産中の全電子回路の組立てが終了し(前の電子回路の生産中に、次の電子回路用の特定フィーダの取付けが行われる場合)、かつ、次に生産すべき電子回路に必要なすべての部品供給具の取付けが終了したことが電子部品装着機あるいは作業者によって確認された後に、回路基材の搬入あるいは装着作業の開始が行われるようにすることが望ましい。
逆に、次に生産すべき電子回路の組立てのために必要な電子部品を供給する部品供給具の電子部品装着機への取付けの最後に、その電子回路用の特定フィーダの取付けが行われるようにすれば、特定フィーダの取付けを、次に生産すべき電子回路に必要なすべての部品供給具の取付け終了を電子部品装着機に入力する手段としても利用することが可能となる。それによって、例えば、生産中の電子回路のすべての組立てが終了すれば、直ちに段取替え,回路基材の搬入,装着作業の開始等が自動的に行われるようにすることができる。
【発明の態様】
【0009】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載,従来技術等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0010】
なお、以下の各項において、(11)項が請求項1に相当し、(12)項が請求項2に、(13)項が請求項3に、(14)項が請求項4に、(15)項が請求項5に、(17)項が請求項6に、(41)項が請求項7に、(1)項が請求項8にそれぞれ相当する。
【0011】
(1)複数のフィーダ保持部を備えたフィーダ保持部材と、前記複数のフィーダ保持部の各々に着脱可能な複数のフィーダとを含み、それらフィーダの各々により少なくとも電子部品を含む被供給物を供給する供給装置から、装着装置の保持具により被供給物を受け取り、回路基材に装着する電子部品装着機を1台以上含む電子回路組立システムにより、電子回路を組み立てる方法であって、
前記1台以上の電子部品装着機のいずれかの前記フィーダ保持部材に、前記複数のフィーダの少なくとも1つとして特定フィーダを取り付け、その取り付けた状態の特定フィーダから特定情報を取得する特定情報取得工程と、
その取得した特定情報に基づいて、前記電子回路組立システムにおいて被供給物が装着されて電子回路とされるべき回路基材の少なくとも型式を特定する特定工程と
を含むことを特徴とする電子回路組立方法。
本項に係る発明は、特定フィーダのフィーダ保持部材への取付けにより、電子部品装着機に、その電子部品装着機が被供給物を取り付けて電子回路とすべき回路基材の少なくとも型式の情報を入力することを特徴とする。
上記「特定情報」は、電子回路とされるべき回路基材の少なくとも型式を特定可能な情報であればよく、特定フィーダはフィーダ保持部材に取り付けられた状態で、電子部品装着機に特定情報を付与し得るものであればよい。
電子回路組立システムは、電子部品装着機を1台のみ含むものでも、複数台含むものでもよい。複数台含む場合には、それら複数台の電子部品装着機がライン状に並べられ(装着機ラインと称することとする)、上流側の電子部品装着機から下流側の電子部品装着機へ回路基材が送られながら、それぞれの電子部品装着機において分担の電子部品が装着される。電子回路組立システムは、上記電子部品装着機に加えて、回路基材にクリーム状はんだを印刷するスクリーン印刷機,回路基材に接着剤を塗布する接着剤塗布機、クリームはんだや接着剤の印刷,塗布状態や電子部品の装着状態を検査する検査機、接着剤を硬化させる接着剤硬化炉、クリーム状はんだを溶融させるリフロー炉の少なくとも1つを含むものとすることができ、本明細書においては、これら回路基材に対して何らかの作業を行う装置を、対回路基材作業機と総称することとする。
特定フィーダは、フィーダ保持部材の複数のフィーダ保持部のいずれか1つにのみ取付可能とすることも、複数のフィーダ保持部に装着可能とすることも可能である。後者の場合には、複数のフィーダ保持部に取り付けられた複数の特定フィーダの各々に基づいて特定工程において特定される回路基材の型式が複数となるため、電子回路組立方法を、それら複数の型式の回路基材の各々を含む複数の型式の電子回路の生産順序を生産順序メモリに記憶させる生産順序記憶工程を含むものとすることが望ましい。
電子回路組立システムが、ライン状に配列された複数台の電子部品装着機を含み、上流側の電子部品装着機から下流側の電子部品装着機へ回路基材を搬送しつつ電子部品の装着を行うものである場合には、最上流の電子部品装着機において特定情報取得工程が実行されることが望ましい場合が多いが、不可欠ではない。最上流の電子部品装着機以外の電子部品装着機において実行されてもよく、少なくとも1台の電子部品装着機において特定情報取得工程が実行されればよいのである。
最上流の電子部品装着機において特定情報取得工程が実施される場合にも、最上流の電子部品装着機から、同じ電子回路組立システムに属する他の電子部品装着機等対回路基材作業機に、特定情報取得工程において取得した特定情報、あるいはその特定情報に基づいて特定工程において特定した回路基材の少なくとも型式の情報が伝達されるようにすることが望ましいが、最上流の電子部品装着機以外の電子部品装着機において特定情報取得工程が実行される場合には、特定情報取得工程が実行された電子部品装着機から少なくとも最上流の対回路基材作業機に、特定情報取得工程において取得した特定情報、あるいはその特定情報に基づいて特定工程において特定した回路基材の少なくとも型式の情報が伝達されるようにすることが必要である。
なお、本項における特定工程は回路基材型式特定工程と称することができるが、回路基材の型式を特定することの実益の一つは、後記(4)項に記載のように、特定された型式の回路基材に対する組立作業を行うための制御プログラムを特定し得ることであり、別の実益は(5)項に記載のように段取替え情報を特定し得ることである。したがって、特定工程を制御プログラム特定工程あるいは段取替え情報特定工程と考えることもできる。
(2)前記特定情報取得工程が、(a)前記フィーダ保持部材の前記複数のフィーダ保持部に取り付けられる複数のフィーダを個々に識別可能なフィーダ識別コードと、(b)それぞれ前記被供給物を複数収容して前記複数のフィーダの各々に装填される複数の被供給物収容具を個々に識別可能な収容具識別コードと、(c)前記被供給物の少なくとも型式を特定可能な被供給物情報との少なくとも1つを取得し、その少なくとも1つから前記特定情報を選別する工程である(1)項に記載の電子回路組立方法。
フィーダに、フィーダを個々に識別可能なフィーダ識別コードを付すことは前記特許文献2によって知られている。
また、フィーダは、複数の被供給物を収容し、それら被供給物を順次供給するものであるが、被供給物が電子部品である場合には、電子部品は直接フィーダに収容されるのではなく、部品収容具に収容され、その部品収容具がフィーダにセットされることによって、電子部品がフィーダに間接的に収容されることが多い。例えば、テープフィーダと称されるフィーダにおいては、電子部品がテープ化部品の形態で供給されるが、そのテープ化部品はリールに巻かれ、そのリールがテープフィーダにセットされる。また、スティックフィーダと称されるフィーダにおいては、電子部品がスティックと称される長手形状の容器に一列に並んで収容され、そのスティックがスティックフィーダにセットされる。バルクフィーダと称されるフィーダにおいては、電子部品がバルクケースに収容され、そのバルクケースがバルクフィーダにセットされる。これらリール,スティック,バルクケース等の部品収容具に、それら部品収容具が収容している電子部品の型式や収容数を表すバーコードや2次元コードが付されていることが多い。したがって、これらコードを読み取れば、電子部品の型式を特定することができる。
それに対し、リール,スティック,バルクケース等の部品収容具に、それら部品収容具自体を個々に識別可能な収容具識別コードを付せば、部品収容具を個々に識別可能となり、部品収容具をフィーダと同様に繰り返し使用する場合に好都合である。
以上、被供給部物が電子部品である場合について説明したが、被供給物が後述の記録体等、他の被供給物である場合にも電子部品と同様に種々のフィーダで供給し得、電子部品と同様に扱い得る。
フィーダが、電子部品装着機の装着コントローラと通信により情報の授受を行うことが可能な通信部と、(a)フィーダ識別コード,(b)収容具識別コード,(c)被供給物情報の少なくとも1つを記憶するメモリ(フィーダを制御するフィーダコントローラのメモリが望ましいが不可欠ではない)とを含むものである場合には、上記フィーダ側の通信部と装着装置側の通信部とを介して(a)フィーダ識別コード,(b)収容具識別コード,(c)被供給物情報のいずれでも取得することができ、少なくともその取得したものに基づいて回路基材の少なくとも型式を特定することができる。
例えば、被供給物が回路基材に取り付けられる記録体である場合には、被供給物情報は記録体情報であることになり、記録体情報は少なくとも回路基材の型式を特定可能な情報を含んでいるのが普通であるため、特定情報取得工程は、被供給物情報のみを取得する工程とすることができる。
また、記録体を供給するフィーダの識別コードと、記録体情報とを直接、あるいは記録体収容具の識別コードを介して間接に対応付ける対応付情報を予め作成して、電子部品装着機の制御コンピュータに記憶させておけば、特定情報取得工程をフィーダ識別コードのみを取得するものとし、特定工程を、取得したフィーダ識別コードと上記対応付情報とに基づいて回路基材の少なくとも型式を特定する工程とすることができる。
上記記録体は、例えば、(a)一次元バーコード,二次元コードのコードラベル、(b)情報記憶部と通信部とそれら情報記憶部と通信部とに接続された制御部とを含み、通信により情報の書込みや読出しが可能なRFタグ、(c)それらコードラベルやRFタグが取り付けられた電子部品の少なくとも1つとすることができる。
被供給物が回路基材に取り付けられる電子部品であって、対象とする電子回路生産システムにおいて電子部品が装着される回路基材の1つの型式の回路基材には取り付けられるが、他の型式の回路基材には取り付けられない特有部品である場合には、その特有部品と回路基材の型式とを対応付ける対応付情報を予め作成し、電子部品装着機の制御コンピュータに記憶させておくことができ、その場合には、特定情報取得工程をフィーダ識別コードのみを取得するものとし、特定工程を、取得したフィーダ識別コードと上記対応付情報とに基づいて回路基材の少なくとも型式を特定するものとすることができる。換言すれば、特有部品を記録体の代替物として利用することができるのである。
さらに一歩進めて、1つの型式の回路基材に装着される被供給物(電子回路部品,記録体)を供給する複数のフィーダのうちの1つのフィーダのフィーダ識別コードと、上記回路基材の型式とを予め対応付けておけば、その対応付けられたフィーダがフィーダ保持部材に取り付けられることを以て、回路基材の型式の指定とすることができる。フィーダ識別コードと回路基材の型式とを対応付けたフィーダを、そのフィーダが供給する被供給物のいかんを問わず、特定フィーダとなし得るのである。
この考えを更に進めれば、フィーダが上記通信部およびフィーダコントローラを備えず、フィーダの本体にフィーダ識別コードを表すバーコード,2次元コード等が付与されたコードラベルが取り付けけられたものである場合でも、フィーダのフィーダ保持部材への取付けを以て、回路基材の型式の指定とすることができる。この場合には、フィーダ識別コードをコード読取装置により読み取る工程が特定情報取得工程を構成し、その特定情報取得工程において読み取ったフィーダ識別コードと、予め入力されているフィーダ識別コードと回路基材の少なくとも型式とを対応付ける対応付情報とに基づいて、回路基材の少なくとも型式を特定する工程が特定工程を構成することとなる。
特定工程は、回路基材の少なくとも型式を特定する工程であればよく、さらに、各回路基材を個々に特定する工程(個々の回路基材を識別する工程)であってもよい。
また、回路基材は電子部品が装着されることにより電子回路とされるものであり、回路基材識別コードや回路基材についての情報は、電子部品が装着された後は電子回路を個々に識別可能な電子回路識別コードや電子回路についての情報として機能させることも可能であり、その場合には、回路基材識別コードや回路基材の情報は、電子回路識別コードや電子回路の情報であると考えることができ、また、「回路基材への電子部品の装着」を「電子回路の生産」と称することもできる。
(3)さらに、前記特定フィーダの前記フィーダ保持部材への取付けを検知する取付検知工程を含み、その取付検知工程における取付けの検知に応じて前記特定情報取得工程を実行する(1)項または(2)項に記載の電子回路組立方法。
(4)さらに、前記特定工程において特定した回路基材の型式に基づいて、その型式の回路基材に電子部品を装着するための制御プログラムを取得するプログラム取得工程を含む(1)項ないし(3)項のいずれかに記載の電子回路組立方法。
(5)さらに、前記特定工程において特定した回路基材の型式に基づいて、その型式の回路基材に電子部品を装着するために必要な前記電子回路組立システムの段取替えの情報を取得する段取替え情報取得工程を含む(1)項ないし(4)項のいずれかに記載の電子回路組立方法。
制御プログラムが段取替えの情報をも含む場合があり、その場合には、制御プログラムを取得するプログラム取得工程が段取替え情報取得工程を含むこととなるが、制御プログラムが回路基材に電子部品を装着するための情報は含むが、段取替え情報は別の情報とされている場合がある。その場合には、段取替え情報取得工程がプログラム取得工程とは別の工程となる。
(6)さらに、前記特定工程において特定した型式の回路基材の直前に電子部品を装着すべき型式の1ロットの全回路基材に対する電子部品の装着が終了した後(特定工程において型式が特定される1ロットの回路基材の組立作業の直前に行われる別の型式の1ロットの組立作業が終了した後)に、前記段取替え情報取得工程において取得した段取替えの情報に基づく段取替えを実行する段取替実行工程を含む(5)項に記載の電子回路組立方法。
段取替情報の取得は、特定フィーダのフィーダ保持部材への取付後、段取替えの実行までであれば、いつ実行されてもよいが、段取替えの実行は直前に生産される型式の1ロットの全電子回路の生産が終了した後(1ロットの生産終了後)に行われることが必要である。
(11)回路基材を保持する基材保持装置と、
複数のフィーダ保持部を備えたフィーダ保持部材と、前記複数のフィーダ保持部の各々に着脱可能な複数のフィーダとを含み、それら複数のフィーダにより少なくとも電子部品を含む被供給物を供給する供給装置と、
その供給装置から被供給物を保持具により受け取って、前記基材保持装置に保持された回路基材に装着する装着装置と
を含む電子部品装着機を1台以上含む電子回路組立システムであって、
前記1台以上の電子部品装着機のいずれかの前記フィーダ保持部材に、前記複数のフィーダの少なくとも1つとして特定フィーダが取り付けられた状態で、その特定フィーダから特定情報を取得する特定情報取得部と、
その特定情報取得部により取得された前記特定情報に基づいて、当該電子回路組立システムにおいて電子部品が装着されるべき回路基材の少なくとも型式を特定する特定部と
を含むことを特徴とする電子回路組立システム。
上記特定情報取得部は、上記特定フィーダについてのみ情報を取得するものでもよく、前記複数のフィーダのすべてについて情報を取得する汎用の情報取得部を含み、その汎用の情報取得部により取得された情報のうちで特定フィーダに対応するもの選別するものでもよい。後者の場合には、上記情報取得部により取得される情報を、例えば、複数のフィーダの各々から供給される被供給物が、フィーダ保持部材の複数のフィーダ保持部のうちのどのフィーダ保持部に保持されたフィーダから供給されるかを特定する等、他の目的にも利用することが可能になる。
特定部は、電子部品装着機を制御する装着機コントローラに設けられても、その電子部品装着機を含む複数台の電子部品装着機の装着機コントローラに接続されたコンピュータに設けられてもよい。
前記(1)項に関する説明は、「電子回路組立方法」を「電子回路組立システム」、「工程」を「部」と読み替えれば、本項の電子回路組立システムにも当てはまる。
(12)前記特定情報取得部が、(a)前記フィーダ保持部材の前記複数のフィーダ保持部に取り付けられる複数のフィーダを個々に識別可能なフィーダ識別コードと、(b)それぞれ前記被供給物を複数収容して前記複数のフィーダの各々に装填される複数の被供給物収容具を個々に識別可能な収容具識別コードと、(c)前記被供給物の少なくとも型式を特定可能な被供給物情報との少なくとも1つを取得し、その少なくとも1つから前記特定情報を選別する手段を含み、前記特定部がその選別された特定情報に基づいて前記少なくとも型式を特定する(11)項に記載の電子回路組立システム。
上記特定情報がそれのみでは回路基材の型式を特定できないものである場合には、特定情報と回路基材の型式との対応を記憶する特殊情報/回路基材型式対応記憶部を設ければよい。
前記 (2)項に関する説明は、「電子回路組立方法」を「電子回路組立システム」に、「工程」を「部」にそれぞれ読み替えれば本項に係る電子回路組立システムにも当てはまる。
(13)さらに、前記1台以上の電子部品装着機のいずれかの前記フィーダ保持部材に少なくとも前記特定フィーダが取り付けられたことを検知するフィーダ取付検知部を含み、前記特定情報取得部が、そのフィーダ取付検知部の検知に応じて前記特定情報を取得する(12)項に記載の電子回路組立システム。
本項の特徴によれば、特定フィーダの取り付け後、速やかに特定情報を取得することができ、ひいては、回路基材の型式を速やかに特定することができる。
(14)さらに、前記特定部による前記回路基材の前記少なくとも型式の特定に基づいて、その型式の回路基材に電子部品を装着するための制御プログラムを取得する制御プログラム取得部を含む(11)項ないし(13)項のいずれかに記載の電子回路組立システム。
特定フィーダの取付けを、生産中の全電子回路の組立てが終了する前におこなえば、その生産中の全電子回路の組立てが終了する前に制御プログラムを取得することができ、全電子回路の組立てが終了した後、制御プログラムの取得が終了するまで待つ必要がなくなり、その分作業能率が向上する効果が得られる。制御プログラムの取得後、装着作業の開始前に実行されるべき処理が多い場合に特に有効である。
(15)さらに、前記特定部による前記少なくとも型式の特定に基づいて、その型式の回路基材に電子部品を装着するために必要な前記1台以上の電子部品装着機の前記いずれかの段取替えの情報を取得する段取替情報取得部を含む(11)項ないし(14)項のいずれかに記載の電子回路組立システム。
制御プログラムの取得を早期に行い得る場合と同様に、作業能率が向上する効果が得られる。自動で行われるものであると、作業者により行われるものであるとを問わず、段取替えのための作業の中に、生産中の全電子回路の組立てが終了する前に実行できるものがあれば、一層効果的である。
(16)さらに、前記特定部により特定された型式の1ロットの回路基材の直前に電子部品が装着されるべき型式の1ロットの全回路基材への電子部品の装着の終了後に、前記段取替情報取得部により取得された段取替えの情報に基づく段取替えを自動で実行する段取替実行部を含む(15)項に記載の電子回路組立システム。
段取替実行部は、1つの型式の1ロットの全電子回路の生産が終了した上、作業者やホストコンピュータから段取替開始指令が入力された場合に、段取替えを実行するものとされてもよく、1つの型式の1ロットの全電子回路の生産が終了すれば、自動で段取替えを実行するものとされてもよい。
段取替情報を早期に取得すれば、(15)項に関して説明した効果が得られる。作業者による段取替作業は、作業者の判断により、生産中の全電子回路の組立てが終了する前に実行できるものは実行する方がよいが、自動段取替えのための電子部品装着機の作動は、生産中の全電子回路の組立てが終了した後に行われる方がよい場合が多い。ただし、不可欠ではなく、生産中の全電子回路の組立てが終了する前に実行して差し支えないことが明らかな自動作動は実行されるようにすることも可能である。
(17)前記特定フィーダにより供給される被供給物が、回路基材を個々に識別可能な基材識別コードが記録され、回路基材の各々に装着されてそれら回路基材を個々に識別可能とする記録体を含み、かつ、当該電子回路組立システムが、前記供給装置から前記装着装置により取り出される、あるいは取り出された前記記録体が、電子部品が装着されるべき1ロットの回路基材のうちで最後のものに装着されるべき記録体たる1ロット最終記録体であることを検出する1ロット最終記録体検出部を含み、前記段取替実行部が、その1ロット最終記録体検出部により検出された1ロット最終記録体が装着された回路基材に対する前記1台以上の電子部品装着機の前記いずれかによるすべての電子部品の装着が終了した後にそのいずれかに対する段取替えの少なくとも一部を自動で実行するものである(16)項に記載の電子回路組立システム。
供給装置から装着装置により取り出される、あるいは取り出された記録体が1ロット最終記録体であることを検出することは、実質的に、1ロット最終記録体の回路基材への装着を検出することと同じであり、1ロット最終記録体の回路基材への装着は、その回路基材が1ロットの最終の回路基材であることを意味し、1ロットの全電子回路の生産の終了を簡単にかつ確実に検出することができる。
本項に記載の特徴は、前記(11)項ないし(15)項の各々に記載の特徴とは別個に採用することも可能である。
(18)前記1ロット最終記録体検出部が、
前記1ロット最終記録体に記録されている基材識別コードである1ロット最終記録体識別コードを記憶している最終記録体識別コード記憶部と、
その1ロット最終記録体識別コード記憶部の記憶内容に基づいて、前記特定情報取得部により取得された特定情報が前記1ロット最終記録体識別コードに対応するものであるか否かを判別する判別部と
を含む(17)項に記載の電子回路組立システム。
(19)さらに、
前記回路基材から生産される電子回路が不良品となったことを検出する不良品発生検出部と、
その不良品発生検出部による不良品発生の検出に応じて、前記1ロット最終記録体識別コード記憶部の記憶内容を1回路基材分変更する1ロット最終記録体識別コード変更部と
を含む(18)項に記載の電子回路組立システム。
不良品発生検出部は、例えば、前記被供給物の少なくとも1つの回路基材への装着ミスに起因して電子回路が不良品となったことを検出するものとすることができる。不良な電子回路の発生は必然的に記録体の無駄遣いにつながるため、1ロット最終記録体識別コードを1回路基材分変更することが必要となる。
なお、被供給物の回路基材への装着ミスは不良品発生の一因とはなるが、装着ミスが発生しても電子回路は必ず不良品となるわけではない。同じ被供給物の回路基材への装着が再度実行されることにより電子回路が不良品となることが回避される場合もあるからである。後述の実施形態における装着検査機は、不良品発生検出部の一例である。
(20)さらに、
前記記録体の回路基材への装着ミスの発生を検出する記録体装着ミス発生検出部と、
その記録体装着ミス発生検出部による装着ミス発生の検出に応じて、前記1ロット最終記録体識別コード記憶部の記憶内容を変更する1ロット最終記録体識別コード変更部と
を含む(18)項に記載の電子回路組立システム。
例えば、記録体が収容テープの送りによって供給され、取出し動作が1回行われれば、実際に記録体が取り出されたか否かとは無関係に収容テープが1ピッチ分送られる場合があり、その場合には、1回の装着ミスの検出は必然的に1つの記録体が無駄になったことを意味する。したがって、1ロット最終記録体識別コード記憶部の記憶内容を1回路基材分変更することが必要である。
ただし、記録体のフィーダからの取出ミス発生の有無が検出され、取出ミスが検出されれば、同じ記録体の取出しが再度行われる場合がある。その場合に、記録体の取出しが支障なく行われれば、取出ミスの発生は必ずしも装着ミス発生にはつながらない。しかし、再度取出し動作が行われても記録体が取り出されなければ、収容テープが1ピッチ分送られて再度記録体の取出し動作が行われる場合がある。その場合には、実際には装着動作が行われなくても、装着ミスが発生したに等しいとして、ロット最終記録体識別コード記憶部の記憶内容が1つ分変更される。
なお、記録体の回路基材への装着ミスは、例えば、基準マーク撮像装置による記録体の撮像によって検出することができ、記録体の取出ミスは、例えば、吸着ノズルにより保持された記録体の部品撮像装置による撮像によって検出することができる。また、吸着ノズルの軸線に直角な方向から、吸着ノズルの先端に記録体が吸着されているか否かを検出する記録体有無検出装置を設けて取出ミスの検出を行うこともできる。
(21)当該電子回路組立システムが、ライン状に配列された複数台の前記電子部品装着機を含み、上流側の電子部品装着機から下流側の電子部品装着機へ回路基材を搬送しつつ電子部品の装着を行うものであり、それら複数台の電子部品装着機のうち、前記直前に電子部品が装着されるべき型式の1ロットの全回路基材への電子部品の装着が終了したものから順に前記段取替えが実行される(16)項ないし(20)項のいずれかに記載の電子回路組立システム。
(22)前記特定フィーダにより供給される被供給物が、前記回路基材により生産されるべき電子回路に特有の特有物であり、前記特定情報が、その特有物を個々に識別可能な特有物識別コードであり、前記特定情報取得部が前記特有物識別コードを取得する(11)項に記載の電子回路組立システム。
(23)前記特有物が、前記回路基材を個々に識別可能な基材識別コードが記録され、回路基材の各々に装着されてそれら回路基材を個々に識別可能とする記録体を含む(22)項に記載の電子回路組立システム。
(24)前記特有物が、少なくとも当該電子回路組立システムにおいて生産されることが予定されている電子回路のうちでは、1つの型式の電子回路の生産のために回路基材に装着されるが、他の型式の電子回路の生産のために回路基材に装着されることがない型式の電子部品を含む(22)項または(23)項に記載の電子回路組立システム。
(25)さらに、前記フィーダを個々に識別可能なフィーダ識別コードと電子部品が装着されるべき回路基材の型式との対応を記憶しているフィーダ/基材型式対応記憶部を含み、前記特定部が、そのフィーダ/基材型式対応記憶部に記憶された対応と、前記特定情報取得部により取得された前記特定情報としてのフィーダ識別コードとに基づいて、前記回路基材の少なくとも型式を特定する(11)項に記載の電子回路組立システム。
例えば、1つの型式の電子回路の生産に使用される1つ以上のフィーダが予め準備される際、それら1つ以上のフィーダのうちの任意の1つのフィーダのフィーダ識別コードが、上記電子回路の生産のために電子部品が装着される回路基材の型式と対応付けられ、フィーダ/基材型式対応記憶部に記憶させられるようにするのである。
本項の電子回路組立システムにおいては、フィーダ識別コード自体が、回路基材の少なくとも型式を特定するための情報として使用されることとなる。
(26)さらに、前記特定フィーダの各々に基づいて決定される、複数の型式の回路基材からの電子回路の生産順序を記憶する生産順序記憶部を含む(11)項ないし(25)項のいずれかに記載の電子回路組立システム。
電子部品装着機において、必ず、先の電子回路生産のためのすべての電子部品の装着が終了した後に、次の電子回路のための特定フィーダがフィーダ保持部材に取り付けられるようにすることも可能であり、その場合には上記生産順序記憶部は不要である。
しかし、生産能率向上の観点からは、事情が許す限り、先の電子回路の生産中に次の電子回路生産のためのフィーダの取付け(少なくとも特定フィーダの取付け)が行われ得るようにすることが望ましい。現在生産中の電子回路用の特定フィーダの他に、複数の型式の電子回路用の特定フィーダの取付けが行われるようにすることがさらに望ましく、その場合に、生産順序記憶部が設けられることが望ましい。
生産順序記憶部は特定フィーダのフィーダ保持部材に対する取り付けの順序を生産順序として記憶するものとすることも、生産順序が入力される生産順序入力部からの入力に従って生産順序を決定し、決定した生産順序を記憶するものとすることも可能である。
(27)さらに、前記生産順序記憶部に記憶された生産順序と、予め定められている生産計画における生産順序とが異なる場合に、いずれの生産順序に従うべきかを決定する生産順序決定部を含む(26)項に記載の電子回路組立システム。
(28)さらに、前記生産順序記憶部に記憶された生産順序と、予め定められている生産計画における生産順序とが異なる場合に、その事実を報知する順序相違報知部を含む(26)項に記載の電子回路組立システム。
(29)さらに、前記順序相違報知部による報知に応じて入力される生産計画無視指令に応じて、前記生産順序記憶部に記憶された生産順序に従うことを決定する生産順序決定部を含む(28)項に記載の電子回路組立システム。
(30)前記特定フィーダにより供給される被供給物が、前記回路基材の各々に固有の基材識別コードが記録され、回路基材の各々に装着されてそれら回路基材の各々を識別可能とする記録体を含み、かつ、当該電子回路組立システムが、その記録体の回路基材への装着の前と後との少なくとも一方において当該電子回路組立システムにおいて行われた電子回路生産に関する情報である生産履歴情報を、前記基材識別コードと対応付けて記録する生産履歴情報記録部を含む(11)項ないし(29)項のいずれかに記載の電子回路組立システム。
生産履歴情報記録部は、記録体に生産履歴情報を記録するものでも、電子部品装着機の制御コンピュータやホストコンピュータの生産履歴情報メモリに生産履歴情報を記録するものでもよい。前者の場合は、基材識別コードが記録されている記録体に生産履歴情報が記録されることにより、その生産履歴情報は必然的に基材識別コードと対応付けられることとなるが、電子回路組立システムのコンピュータのメモリに記憶させられる場合には、複数の回路基材について生産履歴情報が記録されることとなるため、それら生産履歴情報の各々と基材識別コードとが対応付けて記録されることが必要である。
(31)前記電子部品装着機が、制御プログラムの実行により前記装着装置を制御する装着制御部と、回路基材の各々に装着されてそれら回路基材の各々を識別可能とする記録体に記録されている、回路基材を個々に識別可能な基材識別コードを読み取る識別コード読取装置とを含み、前記制御プログラムが、前記記録体の回路基材への装着を制御する部分と、前記記録体からの前記基材識別コードの読取りを制御する部分とを含む(11)項ないし(30)項のいずれかに記載の電子回路組立システム。
上記「記録体からの基材識別コードの読取りを制御する部分」は、記録体の特定フィーダからの取出しの前に基材識別コードを読み取らせるものでも、取出し後であって回路基材への装着前に基材識別コードを読み取らせるものでも、回路基材への装着の後に基材識別コードを読み取らせるものでもよい。
(32)さらに、
前記電子部品装着機に回路基材を搬入し、その電子部品装着機から回路基材を搬出する基材コンベヤと、
前記特定部により回路基材の型式が特定される前に前記基材コンベヤが回路基材を搬入することを禁止するコンベヤ制御部と
を含む(11)項ないし(31)項のいずれかに記載の電子回路組立システム。
本項の特徴は、基材コンベヤが、搬送すべき回路基材の寸法に応じて幅を変更可能なものである場合に、特に有効であるが、幅を変更可能なものであることは不可欠ではない。
(33)当該電子回路組立システムが、ライン状に配列された複数台の前記電子部品装着機を含み、上流側の電子部品装着機から下流側の電子部品装着機へ回路基材を搬送しつつ電子部品の装着を行うものであり、最も下流の部分に、回路基材に装着された記録体の基材識別コードを読み取る最下流識別コード読取装置が設けられ、かつ、当該電子回路組立システムが、その最下流識別コード読取装置により読み取られた識別コードが予定の識別コードとは異なる場合に、その異なることを報知する報知部を含む(11)項ないし(32)項のいずれかに記載の電子回路組立システム。
電子回路組立システムの最も下流側の部分が電子部品装着機により構成される場合には、その最下流の電子部品装着機に最下流識別コード読取装置が設けられることとなるが、最も下流の部分が電子回路検査機等、電子部品装着機以外の対回路基材作業機である場合には、その作業機に最下流識別コード読取装置が設けられることが望ましい。
本項に記載の特徴は、前記(11)項ないし(32)項の各々に記載の特徴とは別個に採用することも可能である。
(41)回路基材を保持する基材保持装置と、
複数のフィーダ保持部を備えたフィーダ保持部材と、前記複数のフィーダ保持部の各々に着脱可能な複数のフィーダとを含み、それらフィーダの各々により少なくとも電子部品を含む被供給物を供給する供給装置と、
その供給装置から被供給物を保持具により受け取って、前記基材保持装置に保持された回路基材に装着する装着装置と
を含む電子部品装着機を1台以上含む電子回路組立システムであって、その1台以上の電子部品装着機の少なくとも1台が、
前記複数のフィーダの各々が前記複数のフィーダ保持部の各々に保持された状態で、各フィーダを個々に識別可能なフィーダ識別コードを取得するフィーダ識別コード取得部と、
前記複数のフィーダの各々の前記フィーダ識別コードと、前記複数のフィーダの各々から供給される被供給物に固有の被供給物識別コードとの対応を記憶する対応記憶部と、
その対応記憶部に記憶された前記対応と、前記フィーダ識別コード取得部により取得されたフィーダ識別コードとに基づいて、前記複数のフィーダ保持部の各々に保持されたフィーダから供給される前記被供給物の前記被供給物識別コードを取得する被供給物識別コード取得部と、
その被供給物識別コード取得部により取得された前記被供給物識別コードが、電子部品が装着されるべき回路基材の型式を特定可能なものである場合に、その被供給物識別コードに基づいてその被供給物が装着されるべき回路基材の型式を特定する回路基材型式特定部と
を含むことを特徴とする電子回路組立システム。
前記(12)項ないし(33)項の各々に記載の特徴は、本項に係る発明にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】請求可能発明の一実施形態である電子回路組立システムを概略的に示す正面図である。
【図2】上記電子回路組立システムにおける基材コンベヤ列の一構成単位である付属コンベヤを示す平面図である。
【図3】図2における3−3断面図である。
【図4】上記電子回路組立システムにおける装着モジュール列を示す斜視図である。
【図5】上記装着モジュール列を構成する装着モジュールを、一部を除去して示す斜視図である。
【図6】上記装着モジュールの装着装置を示す斜視図である。
【図7】上記装着モジュールの供給装置を示す側面図である。
【図8】上記電子回路組立システムにおいて使用されるテープ化部品の一例を、カバーテープの一部を除去して示す平面図である。
【図9】上記電子回路組立システムにおいて使用されるテープ化ラベルの一例を、カバーテープの一部を除去して示す平面図である。
【図10】上記電子回路組立システムにおける最上流の装着モジュールの制御コンピュータの記憶部に格納されている制御プログラムのうち、請求可能発明に関連の深い部分のみを取り出して示すフローチャートである。
【図11】上記制御プログラムの別の部分を示すフローチャートである。
【図12】上記制御プログラムのさらに別の部分を示すフローチャートである。
【図13】上記制御プログラムのさらに別の部分を示すフローチャートである。
【図14】上記制御プログラムのさらに別の部分を示すフローチャートである。
【図15】上記制御プログラムのさらに別の部分を示すフローチャートである。
【図16】上記電子回路組立システムにおける最上流の装着モジュールの制御コンピュータとホストコンピュータとにより構成される制御系の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に、本発明の一実施形態である電子回路組立システムを概略的に示す。この電子回路組立システムにおいては、回路基材にクリーム状はんだを印刷するスクリーン印刷機10、クリーム状はんだの印刷状態の適否を検査する印刷検査機12、複数の装着モジュール14が互いに隣接して並べられた装着モジュール列16、電子部品の装着状態の適否を検査する装着検査機18、電子部品を回路基材に仮止めしているクリーム状はんだを溶融させ、電子部品を回路基材にはんだ付けするリフロー炉20がライン状に、X軸方向に配列されている。上記スクリーン印刷機10,印刷検査機12,装着モジュール14,装着検査機18およびリフロー炉20はそれぞれ対回路基材作業機であり、それぞれの対回路基材作業機を制御する制御装置26,28,30,32,34を備えており、各制御装置は制御コンピュータ36,38,40,42,44を備えている。そして、それら制御コンピュータ36,38,40,42,44はそれぞれホストコンピュータ46に接続されている。ホストコンピュータ46は制御コンピュータ36,38,40,42,44を統括的に制御するとともに、それら制御コンピュータ間の情報の伝達を仲介する。
【0014】
なお、複数の装着モジュール14の各々の制御コンピュータ40間における情報の伝達は、それら制御コンピュータ40間において直接行われるようにすることも可能であり、また、複数の装着モジュール14の制御コンピュータ40を統括的に制御する装着モジュール列制御コンピュータを設け、その装着モジュール列制御コンピュータを介して情報の伝達が行われるようにすることも可能である。同様に、装着モジュール14以外の複数の対回路基材作業機の制御コンピュータ間において直接情報の伝達が行われるようにすることも可能である。
【0015】
上記スクリーン印刷機10,印刷検査機12,装着モジュール14および装着検査機18の制御装置26,28,30,32には、それぞれ画像処理コンピュータ48および報知装置50が接続されている。スクリーン印刷機10,印刷検査機12,装着モジュール14および装着検査機18には、回路基材に設けられた基準マーク,印刷されたクリーム状はんだ,装着装置に保持された電子部品,回路基材に装着された電子部品等を撮像するための撮像装置が設けられており、それら撮像装置の撮像によって取得された画像データの処理が行われる。この撮像および画像処理については、後に装着モジュール14について代表的に説明する。
また、報知装置50は、表示画面を備えた表示装置,報知音を発する報知ブザー,点灯によって報知する報知ランプの少なくとも1つを含み、対回路基材作業機に何らかの異常、あるいは作業者の作業を必要とする事態が発生した場合に、その事実を作業者に知らせるものである。
本電子部品組立システムは、さらに、制御コンピュータ36〜44に接続可能なパーソナルコンピュータ51と、それに接続可能なバーコードリーダ52を備えている。これらの用途は後述する。
【0016】
上記複数の対回路基材作業機10,12,14,18,20を貫通する状態で基材コンベヤ列54が設けられている。基材コンベヤ列54は、対回路基材作業機10,12,14,18,20の各々に付属した複数の付属コンベヤ56と、付属コンベヤ56を接続する複数の接続コンベヤ58とが、X軸方向に直列に配列されたものである。スクリーン印刷機10,印刷検査機12,装着モジュール列16,装着検査機18およびリフロー炉20の間には、それらに対する監視やメンテナンスを行うために、作業者が身体を入れ得るスペースが設けられているため、各付属コンベヤ56が接続コンベヤ58を介して回路基材の授受を行うようにされているが、複数の装着モジュール14は作業者の手も入れられない程度に互いに近接して配列されているため、互いに隣接する装着モジュール14の付属コンベヤ56は、直接回路基材の授受を行う。
なお、複数の装着モジュール14は個々に前方へ引き出し可能とされており、装着モジュール14に対するメンテナンスはそれらを前方へ引き出した状態で行われる。
【0017】
上記付属コンベヤ56の各々および接続コンベヤ58の各々はそれぞれ独立に作動可能であるが、回路基材の搬送は互いに共同して行う。
付属コンベヤ56および接続コンベヤ58は、図2および図3に付属コンベヤ56を代表的に示すように、1対のガイドレールたる固定ガイドレール62および可動ガイドレール64を備えている。固定ガイドレール62および可動ガイドレール64は、X軸方向に平行であって水平に設けられ、固定ガイドレール62は各対回路基材作業機の本体フレームに位置を固定して設けられ、可動ガイドレール64はY軸方向に移動することにより固定ガイドレール62に接近,離間可能とされている。
【0018】
固定ガイドレール62および可動ガイドレール64の長手方向の両端部の互いに対向する面にはそれぞれ、回転部材たる溝型プーリ66が回転可能に取り付けられるとともに、固定ガイドレール62,可動ガイドレール64の、それぞれ1対ずつの溝型プーリ66の間の部分には長手形状を成す案内部材たるベルトガイド68(図3参照)が固定されており、これら1対の溝型プーリ66およびベルトガイド68にそれぞれ、巻掛部材たる無端のエンドレスベルト70が巻き掛けられている。固定ガイドレール62側のエンドレスベルト70はさらに、図3に示すように、固定ガイドレール62に回転可能に取り付けられた複数のテンションプーリ72およびガイドプーリ74に巻き掛けられるとともに、駆動プーリ76に巻き掛けられている。駆動プーリ76は、図2に示すように、固定ガイドレール62および支持部材78によって両端部を回転可能に支持された回転伝達軸たるスプライン軸80に固定されている。スプライン軸80にはさらにスプロケット84が固定されるとともに、図3に示すように、駆動源の一種である電動モータたる基材搬送用モータ86の出力軸に固定の回転部材たるスプロケット88に巻掛部材たるチェーン90によって接続されている。
【0019】
また、可動ガイドレール64側のエンドレスベルト70も、図示は省略するが、上記固定ガイドレール62側のエンドレスベルト70と同様に、テンションプーリ72,ガイドプーリ74および駆動プーリ76に巻き掛けられている。ただし、可動ガイドレール64側の駆動プーリ76は、可動ガイドレール64に相対回転可能かつ軸方向に相対移動不能に取り付けられるとともに、スプライン軸80に相対回転不能かつ軸方向に相対移動可能に嵌合されている。したがって、基材搬送用モータ86が起動されれば、スプロケット88,84が回転させられるとともに、スプライン軸80が回転させられ、一対の駆動プーリ76が回転させられて、1対のエンドレスベルト70が同期して周回させられる。
【0020】
図2に示す回路基材(具体的にはプリント配線板)100は、その両縁部において1対のエンドレスベルト70の各直線部上に載せられ、エンドレスベルト70との間の摩擦力によりエンドレスベルト70の移動に伴ってX軸方向に平行な搬送方向に搬送される。水平に設けられた固定ガイドレール62,可動ガイドレール64に設けられた各エンドレスベルト70が回路基材100を水平な姿勢で支持し、固定ガイドレール62,可動ガイドレール64に沿って送るのである。本実施形態においては、これら基材搬送用モータ86,チェーン90,スプロケット84,88,溝型プーリ66,駆動プーリ76等がベルト駆動装置を構成している。
【0021】
上記固定ガイドレール62および支持部材78により、図2に示すように、複数本の案内部材たるガイドロッド106の両端部がそれぞれ、位置を固定して支持されるとともに、複数本の送りねじ108の両端部がそれぞれ回転可能に支持されている。ガイドロッド106および送りねじ108はY軸方向に平行に設けられている。可動ガイドレール64は、それに固定のレールナット110において送りねじ108に螺合されるとともに、被案内部たるガイドブロック112においてガイドロッド106に軸方向に摺動可能に嵌合されている。複数の送りねじ108の固定ガイドレール62から外側へ、すなわち可動ガイドレール64とは反対側へ延び出させられた端部にはそれぞれ、回転体たるスプロケット114が相対回転不能に取り付けられている。
【0022】
また、固定ガイドレール62の外側には、複数のテンションスプロケット116がスプロケット114の回転軸線と平行な軸線まわりに回転可能に設けられ、これらスプロケット114,116に無端の巻掛体たるチェーン118が巻き掛けられている。2本の送りねじ108の一方には、駆動源たる幅変更用モータ120の回転が減速機122を介して伝達され、その送りねじ108が幅変更用モータ120によって直接駆動される。幅変更用モータ120の回転は、スプロケット114およびチェーン118によって他方の送りねじ108に伝達される。それにより2本の送りねじ108が同期して回転させられ、可動ガイドレール64が長手方向に関して一様に固定ガイドレール62に接近,離間させられて、両ガイドレール62,64の間隔が変更され、付属コンベヤ56の幅が変更される。本実施形態においては、スプロケット114,チェーン118等が回転伝達装置を構成し、送りねじ108,レールナット110,幅変更用モータ120等と共に間隔変更装置を構成している。
固定ガイドレール62および可動ガイドレール64にはそれぞれ、図2に示すように、基準マーク124,126が設けられている。
【0023】
本電子回路組立システムを構成する対回路基材作業機のうち、スクリーン印刷機10,印刷検査機12,装着検査機18およびリフロー炉20の詳細な構成は、本発明を理解する上で不可欠ではないため、説明を省略し、以下、装着モジュール列16について説明する。
図4に、装着モジュール列16の外観を示す。本装着モジュール列16は、複数の装着モジュール14のうち、幅の狭い装着モジュール14が4台ずつ、また、幅が広い(幅の狭い装着モジュール14の2倍の幅を有する)装着モジュール14が2台ずつ、それぞれ共通で一体のベース130上に、互いに隣接して横並びに配列されて固定されたものが、さらに複数横並びに配列されることにより構成されている。複数の装着モジュール14はそれぞれが電子部品装着機であり、回路基材100への複数の電子部品の装着を分担し、かつ、並行して行う。
【0024】
各装着モジュール14はそれぞれ、図5に示すように、本体フレームとしてのモジュール本体132,前記付属基材コンベヤ56,基材保持装置134,供給装置136,装着装置138,基準マーク撮像装置140(図6参照)および部品撮像装置142を備えている。
なお、図示の例では、付属基材コンベヤ56が2つ互いに平行に設けられているが、これは不可欠ではない。また、基材保持装置134は、付属基材コンベヤ56により所定位置まで搬入された回路基材100を下方から支持するとともに、移動しないように固定するものである。本実施形態においては、回路基材100の固定が付属基材コンベヤ56の一部と基材保持装置134との共同で行われる。
モジュール本体132は、図5に示すように、前後方向に長いベッド150と、そのベッド150の前端部および後端部からそれぞれ立ち上がった2本ずつの前コラム152および後コラム154(図5においては1本のみ図示)と、それら4本のコラム152,154に支持されたクラウン156とを備えている。図5において、手前側の装着モジュール14については、内部の構造を見易くするために、クラウン156のカバーが取り除かれた状態が示されている。
【0025】
供給装置136は、ベッド150の、付属基材コンベヤ56に対してY軸方向の一方の側であって、装着モジュール14の前面側に設けられている。供給装置136は、例えば、部品フィーダの一種であるテープフィーダ(以後、フィーダと略称する。)160により電子部品を供給するものとされ、複数のフィーダ160と、それらフィーダ160が取り付けられるフィーダ保持部材としてのフィーダ保持台162(図7参照)とを含む。複数のフィーダ160はそれぞれ、多数の電子部品をテープに保持された状態で供給し、それぞれ異なる型式の電子部品を保持した複数のフィーダ160が、各々の部品供給部がX軸方向に沿って並ぶ状態でフィーダ保持台162に取り付けられる。供給装置はトレイによって電子部品を供給することも可能であり、図4に示す実施形態においては、最下流の幅が広い装着モジュール14にフィーダ160とトレイ164との両方が取り付けられている。フィーダ160およびフィーダ保持台162の詳細については後述する。
【0026】
装着装置138は、図5および図6に示すように、装着ヘッド170と、その装着ヘッド170を移動させるヘッド移動装置172とを備えている。ヘッド移動装置172は、図6に示すように、X軸方向移動装置174およびY軸方向移動装置176を備えている。Y軸方向移動装置176は、モジュール本体132を構成するクラウン156に、供給装置136の部品供給部と基材保持装置134とに跨って設けられたリニアモータ180を備え、可動部材としてのY軸スライド182をY軸方向の任意の位置へ移動させる。X軸方向移動装置174はY軸スライド182上に設けられ、Y軸スライド182に対してX軸方向に移動させられるとともに、互いにX軸方向に相対移動させられる第1,第2X軸スライド184.186と、それらX軸スライド184,186をそれぞれ、X軸方向に移動させるX軸スライド移動装置188とを備えている。X軸スライド移動装置188は例えば、駆動源たる電動回転モータの一種であるサーボモータと、ボールねじおよびナットを含む送りねじ機構とを2組含むものとされ、X軸スライド184,186をX軸方向の任意の位置へ移動させる。
【0027】
装着ヘッド170は、第2X軸スライド186に着脱自在に搭載され、ヘッド移動装置172により、供給装置136の部品供給部と基材保持装置134とに跨る移動領域である装着作業領域内の任意の位置へ移動させられる。装着ヘッド170は、保持具の一種である吸着ノズルを保持し、保持具保持部を構成するノズルホルダの数を異にする複数の型式の装着ヘッド170が用意され、電子部品が装着される回路基材100の型式に応じて選択的に第2X軸スライド186に取り付けられる。
【0028】
図6に示す装着ヘッド170は、図示を省略するヘッド本体に鉛直な回転軸線のまわりに回転可能に設けられた回転体200と、回転体200を正逆両方向に任意の角度回転させる回転体回転装置とを備えた回転型ヘッドである。回転体200には、その回転軸線を中心とする一円周上に適宜の間隔、図示の装着ヘッド170では等角度を隔てた8つの位置にそれぞれ、ノズルホルダ202が回転体200の回転軸線に平行な方向に相対移動可能かつ自身の軸線まわりに回転可能に設けられ、それぞれ回転体200からの突出端部(装着ヘッド170が第二X軸スライド186に取り付けられた状態では下端部)において吸着ノズル190を着脱可能に保持する。
【0029】
8つのノズルホルダ202は、回転体200の回転により、回転体200の回転軸線のまわりを旋回させられ、8つの停止位置の1つである部品吸着装着位置へ順次移動させられて、ヘッド本体の部品吸着装着位置に対応する位置に設けられた昇降装置により昇降させられる。ノズルホルダ202はさらに、ヘッド本体に設けられたホルダ回転装置により、自身の軸線まわりに回転させられる。なお、前記基準マーク撮像装置140は、図6に示すように、第二X軸スライド186に搭載され、ヘッド移動装置172により装着ヘッド170と共に移動させられる。
なお、装着ヘッド170としては、ノズルホルダ202を1つのみ備え、大形の電子部品や異形の電子部品を装着可能なものや、吸着ノズル190によってではなく機械的に電子部品を把持するメカニカルチャック(保持具の一種)を備えたメカニカルヘッドも準備されている。
【0030】
前記フィーダ160およびフィーダ保持台162の詳細を図7に示す。フィーダ保持台162には、複数のフィーダ保持部210(図7には1つ図示されている)がX軸方向に適宜の間隔(本フィーダ保持台162では等間隔であって、最も幅の狭いフィーダ160をできる限り多くの数、保持することができる間隔)で設けられている。これらフィーダ保持部210はそれぞれ、横断面形状が逆T字形を成し、Y軸方向に延びる水平な溝212,1対の位置決め穴214,216およびコネクタ218を備えている。
【0031】
複数のフィーダ160により供給される電子部品は、それぞれ図8に示すテープ化部品220とされて供給される。テープ化部品220は、キャリヤテープ222の長手方向に一定のピッチで形成された収容凹部224に電子部品226(以下、部品226と略称する)が収容され、収容凹部224がカバーテープ228により覆われたものである。キャリヤテープ222には送り穴230も一定ピッチで形成されている。
【0032】
本実施形態においては、電子部品を供給するフィーダ160と同じフィーダ160によて、2次元コードラベル236(以下、ラベル236と略称する)も供給される。このラベル236も、図9に示すように、キャリヤテープ222とカバーテープ228とによりテープ化ラベル238とされている。ラベル236は、部品226を装着することにより電子回路とすべき回路基材100を個々に識別可能な基材識別コード(以下、基材IDと略称する)を含む2次元コードが印刷等により付与されたラベルである。基材IDは、例えば、回路基材の型式を識別可能なコードとその型式の回路基材に付された連続番号を表すコードとを含むものとすることができるが、回路基材の型式,製造者名,製造ロット番号,製造日時等種々の情報を表すコードとすることもできる。ラベル238に含まれる情報は種々の目的で使用される。例えば、個々の回路基材100に対して行われる対回路基材作業の履歴を、基材IDと対応付けて、前述の制御コンピュータ36〜44やホストコンピュータ46に記憶させ、電子回路の組立作業に利用したり、電子回路が電子機器に組み込まれて市場に流通させられた後における修理等に利用したりされるのである。ラベル238の情報によれば、少なくとも個々の回路基材の型式を特定できるのであり、本実施形態においては、ラベル236が、回路基材により生産されるべき電子回路に特有の特有物であり、回路基材を個々に識別可能な基材IDが記録され、回路基材の各々に装着されてそれら回路基材を個々に識別可能とする記録体であることになる。
【0033】
上記のように、部品226もラベル236も、フィーダ160により、同様に供給されるため、両者を被供給物と総称する。なお、被供給物は、部品226およびラベル236に限定されるものではない。
また、カバーテープ228は通常透明材料で形成されるため、部品226もラベル236もカバーテープ228を通して透視可能であるが、図8,9においては、これらがカバーテープ228により覆われていることを理解し易くするために、カバーテープ228を除去して示す部分以外は破線で示す。
【0034】
上記フィーダ160の本体であるフィーダ本体240は、図7に示すように、幅の狭い長手形状の板状を成し、送り装置242,カバーテープ剥離装置244,部品収容具保持装置246,係合装置248およびフィーダ制御コンピュータ250を保持している。本フィーダ160において、テープ化部品220は部品収容具たるリール252に巻き付けられて保持されており、部品収容具保持装置246はリール252をフィーダ160の幅方向に平行な軸線まわりに回転可能に保持するリール保持部材254を備え、フィーダ本体240の後端部に設けられている。フィーダ160の長手方向が前後方向であり、フィーダ160がフィーダ保持台162に取り付けられてモジュール本体132に取り付けられた状態では、長手方向がY軸方向に平行となり、幅方向がX軸方向に平行となる。リール252から引き出されたテープ化部品220は、案内装置256により案内されつつ、送り装置242により長手方向に送られる。それと共にカバーテープ228がカバーテープ剥離装置244によりキャリヤテープ222から剥がされる。送り装置242とカバーテープ剥離装置244とは共通の駆動源であるエンコーダ付きのサーボモータ258により駆動され、サーボモータ258はフィーダ制御コンピュータ250によって制御される。カバーテープ228が剥がされたキャリヤテープ222の収容凹部224から部品226やラベル236を取り出される。
【0035】
複数のフィーダ160はそれぞれ、各レール270がフィーダ保持台162の溝212に嵌合され、位置決め突起272,274が位置決め穴214,216に嵌合されて位置決めされるとともに、コネクタ276がフィーダ保持台162のコネクタ218に接続されて電力の供給や情報の授受が行われる。また、係合部材278のフィーダ保持台162への係合により、フィーダ160がフィーダ保持台162に着脱可能に取り付けられる。
【0036】
以上のように構成された電子回路組立システムにおいては、部品226を装着すべき回路基材100の型式の指定、すなわち組み立てるべき電子回路の型式の指定が、特定フィーダ160Dのフィーダ保持部材としてのフィーダ保持台162への取り付けによって行われる。特定フィーダ160Dは、部品226を装着すべき回路基材100の少なくとも型式を特定可能な被供給物である特定被供給物を供給するものであればよいが、本実施形態においては、ラベル236が特定被供給物、そのラベル236を供給するフィーダ160が特定フィーダ160Dとされている。以下、この特定フィーダ160Dによる回路基材100の型式の指定について詳述する。ただし、特に必要な場合を除いて、特定フィーダ160Dを、電子部品を供給する一般のフィーダ160と区別しないで説明する。
【0037】
装着モジュール列16の最上流にある装着モジュール14の制御コンピュータ40の記憶部に記憶させられている制御プログラムのうち、上記回路基材の指定に関連の深い部分のみを取り出して、図10ないし図15に示す。これらの図に示されているフローチャートで表される各ルーチンは、制御コンピュータ40の作動により部品226を回路基材100に装着するための制御プログラムの一部として、あるいはその制御プログラムと並行して常時、繰り返し実行(例えば、タイムシェアリングにより)される。
【0038】
図10のステップ1(以下、S1と略記する。他のステップについても同様とする)において、制御コンピュータ40への入力が待たれ、入力があれば、S2において、入力されたのが「対応付情報」であるか否かが判定される。「対応付情報」とは、部品226またはラベル236とそれらを供給するフィーダ160とを対応付ける情報を意味する。すなわち、テープ化部品220あるいはテープ化ラベル238が巻かれたリール252がフィーダ160に装填される際に、リール252とフィーダ160とに付けられたバーコードが、バーコードリーダ52により定められた順序(例えば、リール252が先でフィーダ160が後)で読み取られ、その読み取られたリール識別コード(以下、リールIDと略称する)とフィーダ識別コード(フィーダIDと略称する)とが、互いに対応付けられてパーソナルコンピュータ51に記憶させられるのであり、これら対応付けられたIDの集合が対応付情報である。この対応付情報は、任意の時期にパーソナルコンピュータ51が制御コンピュータ40に接続され、前者から後者へ入力される。
【0039】
入力されたのが対応付情報である場合には、S3において制御コンピュータ40の対応付情報メモリに格納されるが、対応付情報ではない場合には、S4において、1ロット終了判定用情報であるか否かの判定が行われる。「1ロット終了判定用情報」とは、1つの型式の1ロットの全電子回路の生産の終了を判定するための情報であり、本実施形態においては、特定フィーダ160Dに装填されるリール252に収容されているラベル236のうちで最後に装着される予定のラベル236のラベル識別コードとされている。ラベル236に付けられている2次元コードは、回路基材100の型式を識別可能なコードとその型式の回路基材に付された連続番号を表すコードとを含むラベル識別コードを表すものとされており、ラベル236が回路基材100に装着された後は基材IDとなるため、以下、統一して基材IDと称することとする。1ロットの全電子回路の生産が何らの支障もなく行われた場合に、1ロットの最後に回路基材100に装着されるはずのラベル236の基材IDが1ロット終了判定用情報として入力されるのである。
【0040】
上記1ロット終了判定用情報は、パーソナルコンピュータ51が制御コンピュータ40に接続される前に対応付情報と共にパーソナルコンピュータ51に記憶させられており、対応付情報と共に制御コンピュータ40に入力されてもよく、対応付情報とは別に、制御コンピュータ40に接続されたパーソナルコンピュータ51の入力装置から、あるいは制御コンピュータ40自体の入力装置から入力されてもよい。
S4の判定結果がYESの場合には、S5において1ロット終了判定用情報が1ロット終了判定用情報メモリに記憶させられる。S4の判定結果がNOの場合にはS6において他の処理が行われる。
【0041】
上記のようにして制御コンピュータ40に記憶された対応付情報に基づいて、回路基材100の型式の情報が図11の基材型式情報取得ルーチンの実行によって取得される。
S11において、フィーダ保持台162へのフィーダ160の取付けが待たれる。前述のように、フィーダ160がフィーダ保持台162に取り付けられると、両者のコネクタ218,276が接続され、フィーダ制御コンピュータ250を電源に接続する。この電源の投入に応じて、フィーダ制御コンピュータ250が作動を開始し、フィーダIDを制御コンピュータ40に供給する。このフィーダIDの供給によりS11の判定結果がYESとなり、S12において、供給されたフィーダIDがフィーダIDメモリに記憶される。続いて、S13において、前記対応付情報メモリに対応付情報が記憶されているか否かが判定され、記憶されていれば、S14以降が実行されるが、記憶されていなければ、S15において、報知がなされる。報知ブザーが作動させられるとともに、表示装置の表示画面に対応付情報が記憶されていない旨の表示が行われるのである。
【0042】
本電子回路生産システムにおいては、フィーダ保持台162へのフィーダ160の取付けは、必ず、そのフィーダ160を含む1群のフィーダ160(1つの型式の電子回路の生産に必要なフィーダ)に関しての対応付情報の入力が行われた後に行われることが予定されており、対応付情報の入力前にフィーダ160の取付けが行われた場合には、報知が行われ、作業者に作業順序の間違いが報知されるのである。これは、詳細な説明は省略するが、本実施形態においては、フィーダ160へのリール252の誤装填、フィーダ保持台162へのフィーダ160の誤取付けが監視されるようになっており、この監視のためには、フィーダ160の取付け開始前に対応付情報が入力されている方が都合がよいからである。ただし、本実施形態においては、生産すべき電子回路の型式が変わる毎に、すべてのフィーダ160の交換が行われることは予定されておらず、必要なフィーダ160の追加あるいは交換が行われればよいようにされているため、上記1群のフィーダ160は、既に取り付けられているフィーダ160のうち、生産が予定されている1つの型式の電子回路の組立に必要なフィーダ160が、新たに交換あるいは追加されるフィーダ160とともに1群のフィーダ160として扱われる。
【0043】
上記作業順序の間違いがない場合には、S13の判定結果がYESとなり、S14が実行される。S12で取得されたフィーダIDと、S2で記憶された対応付情報とに基づいて、新たに取り付けられたフィーダ160のフィーダIDと対応付けられているリールIDが取得され、その取得されたリールIDがラベル236を収容しているリール252のものであるか否か、すなわち、新たに取り付けられたフィーダ160が特定フィーダ160Dであるか否かが判定されるのである。
【0044】
新たに取り付けられたフィーダ160が特定フィーダ160Dではない場合には、基材情報取得ルーチンの1回の実行が終了するが、特定フィーダ160である場合には、S16において、その特定フィーダ160Dにより供給されるラベル236が生産計画によって定められている電子回路を生産するための回路基材100に装着されるべきものであるか否かの判定が行われる。
リールIDは、そのリール252により供給される部品226あるいはラベル236の型式を表すコードを含んでいるため、リールIDが判れば、部品226あるいはラベル236の型式が判る。なお、「ラベル236の型式」は、ラベル236に付されている2次元コードの内容、つまり2次元コードが表す回路基材100(あるいは、その回路基材100に部品226が装着されて生産される電子回路)の型式が異なれば、異なるものとする。すなわち、ラベル236は、それに付されている2次元コードが表している内容が異なれば互いに異なるものとし、ラベル236の2次元コードは、そのラベル236が装着される回路基材100を個々に識別可能なものであるが、そのラベルIDは、回路基材100の型式を特定するに充分な情報を含んでおり、その情報が異なる毎にラベル236の型式が異なると考えることとするのである。
【0045】
また、上記生産計画は、予め定められてホストコンピュータ46に記憶させられており、制御コンピュータ40は、その情報を読み出して上記判定を行うのである。判定結果がNOの場合には、S17において、合致しない旨の報知が作業者になされる。生産現場においては、原則として生産計画に従って生産が行われるため、報知に応じて作業者が特定フィーダ160を別のラベル236を供給するものに変更し、その事実を入力するのであるが、部品226が間に合わない等の理由によって、生産計画通り生産を行い得ない場合がある。そのような場合には、作業者は新たに取り付けた特定フィーダ160が生産計画と合致しないものであることを承知しており、報知に対して、合致しなくても差し支えないことを示す入力を行う。その結果、S19が実行される。また、S16の判定結果がYESの場合にもS19が実行される。
S19においては、新たに取り付けられた特定フィーダ160Dにより供給されるラベル236が表す回路基材100の型式を表す基材型式情報が基材型式メモリに記憶させられ、続いてS20において、他の対回路基材作業機10,12,14,18,20に基材型式情報が通報される。
【0046】
最上流の装着モジュール14の制御コンピュータ40においては、上記基材型式メモリに記憶させられた情報に基づいて、それら基材型式に対応する電子回路の生産を行うための制御プログラムの取得が行われる。この取得は、図12の制御プログラム取得ルーチンの実行により行われる。
S31において、基材型式メモリに回路基材100の基材型式の情報、すなわち型式の情報が記憶されているか否かが判定され、記憶されていれば、S32において、最も先に記憶された型式の情報に対応する制御プログラムがホストコンピュータ46から読み込まれ、予約プログラムとしてプログラムメモリに格納される。この取得が終了するまでS32,S33が繰り返し実行され、終了すれば、基材型式情報メモリの、取得された制御プログラムに対応する基材型式情報が消去される。
【0047】
本実施形態においては、基材型式メモリに複数の基材型式情報が、また、プログラムメモリに複数の制御プログラムがそれぞれ記憶させられ得、複数の型式の指定が可能とされており、先に記憶させられた(先に指定された)型式の1ロットの回路基材100に対する部品226の装着作業から順に行われ、生産が終了した制御プログラムが消去されるようにされている。上記基材型式情報および制御プログラムは、現在生産中の1ロットの電子回路に対応するものと、その次に生産されるべき1ロットの電子回路に対応するものとの2つのみを格納可能とすることも可能であるが、本実施形態においては3つ以上の格納も可能とされている。生産の予約を2つ以上行い得るようにされているのであり、特定フィーダ160Dのフィーダ保持台162への取付作業をまとめて行い得る利点がある。
【0048】
上記のようにしてプログラムメモリに格納される制御プログラムは、通常の制御プログラムと同様に、部品226を回路基材100に装着するための部分(データ)を含んでいるが、それに加えて、ラベル236を回路基材100に装着し、その装着したラベル236の2次元コードを読み取るための部分(データ)を含んでいる。後者の部分のみを取り出して示したのが図13に示すラベル装着・読取ルーチンであり、このルーチンはラベル236が回路基材100に装着される毎に制御コンピュータ40により実行される。
S41において、特定フィーダ160Dからのラベル236の取出し、および回路基材100の予め設定されているラベル装着位置への装着が行われる。この装着位置の設定は制御プログラム中において行われるため、回路基材100の型式毎に異なる位置とすることができる。
続いて、S42において、装着されたラベル236の2次元コードの読取りが行われる。この読取りは、基準マーク撮像装置140を、回路基材100に装着されたラベル236の真上の位置へ移動させて2次元コードを撮像させ、得られた画像データを画像処理コンピュータ48に処理させることにより行われる。
【0049】
上記読取りが正常に行われたか否かがS43において判定され、判定結果がYESであれば、S44において、読み取られた2次元コードが表す基材IDが基材識別コードメモリ(基材IDメモリ)に格納される。
それに対し、S43の判定結果がNOであった場合には、S45においてフラグFがセットされているか否かが判定されるが、当初は判定結果がNOであるため、S46においてフラグFがセットされ、再びS41以下が実行される。この実行時のS43の判定結果がNOであれば、S45が実行されるが、この判定結果はYESであり、S47において特定フィーダ160Dにおいてテープ化ラベル238が1ピッチ分送られた後に、S48において1ロット終了判定用情報が変更され、S41以下が実行される。
S43の判定結果がNOとなるのは、ラベル236の装着が正常に行われなかったためであり、その原因の1つは、特定フィーダ160Dからのラベル236の取出しが正常に行われないことである。そこで、1度はテープ化ラベル238の送りを行うことなく、再度の取出しが試みられ、その取出しが失敗した場合には、テープ化ラベルを1ピッチ分送った上で、ラベルの取出しが試みられるようにされているのである。そして、後者の場合には、1枚のラベル236が無駄になったことになるため、S48において、ラベル236のうちで最後に装着される予定のラベル236か否かの判定に使用される1ロット最終ラベル判定情報が変更される。具体的には、1ロット終了判定用情報の前記連続番号が1増加させられるのである。
【0050】
制御コンピュータ40においてはまた、部品装着作業の実行中に発生する生産履歴情報の収集が行われる。制御プログラムのうち、生産履歴情報の収集に関連する部分のみを取り出したのが図14に示す生産履歴情報収集ルーチンである。
S51において生産履歴情報が有るか否かが判定される。本実施形態においては、ユーザが収集を希望する生産履歴情報を任意に設定し得るようにされている。そのため、1枚の回路基材100に対する装着作業全体について、吸着ノズル190による部品226の吸着ミスや装着ミスのように、装着作業に何らかの異常が発生した場合にのみ生産履歴情報が収集される場合や、特定の吸着ノズル190あるいは特定のフィーダ160についてのみ生産履歴情報が収集される場合や、1つのテープ化部品220の末端部に別のテープ化部品220の始端部が接続されるスプライシング等、予め定められている特定の作業者作業が行われたときのみ生産履歴情報が収集される場合があり、その場合には、1枚の回路基材100について生産履歴情報が発生する場合としない場合とがある。それに対して、1枚の回路基材100に対する装着作業の終了から次の回路基材100に対する装着作業の開始までの待ち時間や、電子回路生産システムを担当した作業者の情報のように、1枚の回路基材100への装着が行われれば必ず生産履歴情報が発生する場合もある。いずれにしても、生産履歴情報が発生する時点が異なるため、制御プログラムの実行中に図14のルーチンが繰り返し実行され、生産履歴情報が発生する毎にS52が実行されて発生した生産履歴情報が基材IDと対応付けて生産履歴情報メモリに記録される。この生産履歴情報メモリに格納された生産履歴情報は、本実施形態においては、後述の次生産移行処理ルーチンにおいてホストコンピュータ46へ送られ、記録される。ただし、1つの生産履歴情報が発生する毎、あるいは1ロットの電子回路の生産が終了する毎にホストコンピュータ46へ送られるようにすることも可能である。
【0051】
制御コンピュータ40においてはさらに、最上流の装着モジュール14において1枚の回路基材100への装着が予定されているすべての部品226の装着が終了(以下、特に必要がない限り1回路基材への装着終了と称する)する毎に、図15に示す次生産移行処理ルーチンが実行される。
S61において、1回路基材への装着終了が待たれ、装着が終了すれば、S62において前記生産履歴情報のホストコンピュータ46への送信が行われる。続いて、S63において1ロットの電子回路の生産が終了したか否か、すなわち、部品26の装着が終了した1枚の回路基材100が、現在生産されている型式の1ロットの電子回路の最後のものに対応するものであるか否かの判定が行われる。具体的には、上記部品26の装着が終了した1枚の回路基材100に装着されたラベル236の基材ID(前記前記S44において基材IDメモリに記憶させられた基材ID)が、前記S5において記憶させられた、あるいは前記S48において変更された基材IDと等しいか否かが判定される。
【0052】
S63の判定結果がYESとなれば、S64において回路基材100の取込みが禁止された後、S65において段取替えが実行される。段取替えには、自動で行われるものと、作業者によって行われるものとがあり、本実施形態においては、付属コンベヤ56の幅変更と、吸着ノズル190の交換とが自動で行われる。
前記制御プログラムは、自動段取替えのための部分も含んでおり、そのうちのコンベヤ幅変更のための部分が実行されることによって、前述の基準マーク124,126が基準マーク撮像装置140により撮像され、その撮像により得られる基準マーク124,126間の距離が指定の大きさとなるように幅変更用モータ120が制御される。また、図示は省略するが、各装着モジュール14は、複数種類の吸着ノズル190を収容しているノズル収容装置を備えており、このノズル収容装置と装着ヘッド170との間で吸着ノズル190の交換が自動で行われる。
また、基材保持装置134は、図示を省略する複数の支持ピンと、それら支持ピンを任意の位置において支持可能な支持ピン支持部材とを備え、装着モジュール14は、複数の支持ピンを収容する支持ピン収容装置(図示省略)を備えており、支持ピン支持部材上の支持ピンの数や位置の変更が作業者により行われる。
さらに、フィーダ保持台162に対するフィーダ160の取付け、取外しも作業者によって行われる。
自動段取替えの終了は制御コンピュータ40自体が認識することができ、作業者による段取替えの終了は、作業者による段取替終了入力に基づいて認識され、S66の判定結果がYESとなれば、S67において回路基材10の取込禁止が解除される。
【0053】
上記各ルーチンのうち、図12の制御プログラム取得ルーチン,図14の生産履歴収集ルーチンおよび図15の次生産移行処理ルーチンは、最上流の装着モジュール14以外の対回路基材作業機10,12,14,18,20においても同様に行われる。その場合、最上流の装着モジュール14より下流側の対回路基材作業機においては、回路基材10にラベル236が装着されているため、そのラベル236の2次元コードの読取りにより、回路基材10の基材IDを取得し、その基材IDと対応付けて生産履歴情報が生産履歴情報メモリに記憶させられるようにすることが望ましい。装着モジュール列16の途中や、接続コンベヤ58上から、チェック等の目的で回路基材100が作業者により抜き取られることがあり得るため、回路基材100の基材IDを確認しつつ、生産履歴情報の収集が行われるようにすることが望ましいのである。
また、読み取られた基材IDに含まれる連続番号の順序が変わった場合には、回路基材100の抜取りが行われたこととなるため、その事実がホストコンピュータ46等、予め定められている報知先に報知されるようにすることが望ましい。そのようにすれば、抜取りの情報を、1ロットの全電子回路の組立てが終了したか否かの判断等に利用することができる。
【0054】
以上のように、テープ化部品220あるいはテープ化ラベル236が巻かれたリール252をフィーダ160(あるいは160D)に装填する際、そのフィーダ160のフィーダIDと、リール252に付けられている部品226の部品識別コード(部品ID)またはラベル236のラベルIDとを対応付けて、制御コンピュータ40の対応付情報メモリに記憶させておけば、フィーダ160のフィーダ保持台162への取付けにより、組み立てるべき電子回路の型式を制御コンピュータ40に予告することができる。フィーダ160がフィーダ保持台162に取り付けられる毎に、制御コンピュータ40はフィーダ160からの通信により取り付けられたフィーダのフィーダIDを取得し、その取得したフィーダIDと上記対応付情報メモリの対応付情報とによって、取り付けられたフィーダ160がラベル236を供給する特定フィーダ160Dか否かを知ることができ、特定フィーダ160Dであれば、その特定フィーダ160Dに対応付けられている基材IDから回路基材100の型式を特定することができるのである。すなわち、制御コンピュータ40はフィーダIDの媒介によって基材IDを取得するのである。
【0055】
上記制御コンピュータ40およびホストコンピュータ46を含み、上記各ルーチンを実行する制御系は、図16に示す機能ブロック図で表される装置と考えることができる。すなわち、ホストコンピュータ46が生産計画,制御プログラム記憶部300を構成し、制御コンピュータ40のS1〜S3を実行する部分がフィーダ/リール対応付部302を構成し、S11〜S19を実行する部分が基材型式情報取得部304を構成している。また、制御コンピュータ40のS31〜S34を実行する部分が制御プログラム取得部306を構成しており、制御プログラムは段取替情報を含んでいるため、制御プログラム取得部306は段取替情報取得部を兼ねていることになる。さらに、制御コンピュータ40のS51、S52を実行する部分が生産履歴情報収集部308を構成し、S61〜S63を実行する部分が前生産終了監視部400を構成し、S65,S66を実行する部分が段取替制御部402を構成している。そして、制御コンピュータ40の、制御プログラムの部品226を回路基材100に装着するための部分(部品装着ルーチン)を実行する部分が部品装着制御部404を構成し、制御プログラムの上記部品装着ルーチンおよび図10ないし図15のルーチンの実行を開始させる部分が生産管理部406を構成している。
【0056】
また、特許請求の範囲の記載との関係においては、特定フィーダ160DのフィーダIDが特定情報に相当し、制御コンピュータ40がS12〜S14を実行して特定フィーダ160DのフィーダIDを取得する工程が特定情報取得工程を構成し、制御コンピュータ40の特定フィーダ160DのフィーダIDを取得する部分が特定情報取得部を構成している。また、制御コンピュータ40がS14およびS19を実行して特定フィーダ160Dによって供給されるラベル236の2次元コードが表す回路基材の型式の情報(基材型式情報)を取得する工程が特定工程を構成し、制御コンピュータ40の基材型式情報を取得する部分が特定部を構成している。
そして、制御コンピュータ40のS11〜S14を実行し、フィーダ保持台162に取り付けられるフィーダ160のフィーダIDの中から特定フィーダ160DのフィーダIDを選別する部分が、複数のフィーダ160のフィーダIDから特定フィーダ160DのフィーダIDを選別する手段を構成している。
【0057】
コネクタ218,276と、制御コンピュータ40の、コネクタ218,276経てフィーダ160のコンピュータ250からのフィーダIDの送信を受信する部分がフィーダ取付検知部を構成し、S11の判定がYESになった場合に、S12〜S14を実行して特定フィーダ160DのフィーダIDを取得する部分が、フィーダ取付検知部の検知に応じて特定情報を取得する特定情報取得部を構成している。
制御コンピュータ40のS31〜S34を実行する部分が制御プログラム取得部を構成しており、本実施形態においては制御プログラムが段取替情報を含んでいるため、制御プログラム取得部が段取替情報取得部を兼ねていることになる。
【0058】
ラベル236が記録体の一種であり、制御コンピュータ40のS61,S63を実行して、部品26の装着が終了した1枚の回路基材100に装着されたラベル236の基材IDが、1ロットの最後の回路基材100に装着される予定のラベル236の基材IDと等しいことを検出する部分が1ロット最終記録体検出部を構成し、S63の判定結果がYESとなることに応じてS65を実行する部分が段取替実行部を構成している。
さらに、制御コンピュータ40のS11、S12を実行する部分がフィーダ識別コード取得部を構成し、対応付情報メモリが対応記憶部を構成し、S14においてフィーダ160のフィーダIDと対応付けられているリールID(被供給物識別コードを含んでいる)を取得する部分が被供給物識別コード取得部を構成し、S14において、取得したリールIDがラベル236を収容しているリール252のものであるか否かを判定し、判定結果がYESとなった場合にS19を実行する部分が回路基材型式特定部を構成している。
【0059】
なお、本実施形態においては、回路基材の型式の特定に基づいて、その型式の回路基材に対する組立作業のための制御プログラムや段取替え情報を取得し得るため、上記「特定工程」を回路基材型式特定工程,制御プログラム特定工程あるいは段取替え情報特定工程と称し得、上記特定部を回路基材型式特定部,制御プログラム特定部あるいは段取替え情報特定部と称し得ることは、前記〔発明の態様〕の項の(1)項および(11)項に関して述べた通りである。
しかし、さらに一歩進めて、例えば、予め、特定フィーダ160のフィーダIDと、制御プログラムあるいは段取替え情報とを直接対応付けておくこと等により、回路基材の型式の特定に基づくことなく、必要な制御プログラムや段取替え情報を特定することも可能である。
【0060】
上記実施形態においては、前述のように、制御コンピュータ40はフィーダIDの媒介によって基材IDを取得するようにされている。
それに対し、リール252にリールを個々に識別可能なリールIDが付されており、ラベルID(基材ID)はラベル236のみに付されている場合には、フィーダIDとリールIDとを対応付けるとともにリールIDと基材IDとを対応付ける対応付情報を制御コンピュータ40に記憶させておき、制御コンピュータ40がフィーダIDおよびリールIDの媒介によって基材IDを取得するようにすることも可能である。
【0061】
逆に、制御コンピュータ40がフィーダ制御コンピュータ250から直接基材IDを取得するようにすることも可能である。
例えば、テープ化ラベル238が巻かれたリール252を特定フィーダ160Dに装填する際に、ラベル236の2次元コード(基材ID)を2次元コードリーダに読み取らせ、パーソナルコンピュータ51等の仲介コンピュータを介して、あるいは介さないで直接、フィーダ制御コンピュータ250のメモリに、上記読み取らせた基材IDを記憶させておく。そして、特定フィーダ160Dがフィーダ保持台162に取り付けられるのに伴って、フィーダ制御コンピュータ250から制御コンピュータ40に、特定フィーダ160Dにより供給されるラベル236の基材IDを送信させるのである。
あるいは、フィーダ160にリール252を装填する際にフィーダ160を保持させるリール装填台や、フィーダ160自体に、コード読取装置を設け、そのコード読取装置の読取情報が直接フィーダ制御コンピュータ250に送信され、記憶されるようにすることにより、フィーダ160のフィーダ保持台162への取付けに伴って、フィーダ制御コンピュータ250から制御コンピュータ40へ基材IDが供給されるようにすることも可能である。
なお、基材IDは、テープ化ラベル238が巻かれたリール252を特定フィーダ160Dに装填する際に、パーソナルコンピュータ51等の仲介コンピュータの入力装置から手動でフィーダ制御コンピュータ250に入力されるようにすることも可能である。
また、ラベル236の基材IDと同様の方法で、部品IDもフィーダ制御コンピュータ250を介して制御コンピュータ40に供給されるようにすることが可能である。
【0062】
また、前記実施形態においては、記録体の一種であるラベル236の基材IDが、1ロットの最後の回路基材100に装着される予定のラベル236の基材IDと等しいことが検出されることによって、1ロットの組立作業の終了が検出されるようにされていたが、ラベル236の使用予定数が予めフィーダ制御コンピュータ250または制御コンピュータ40に記憶させられ、ラベル236の実際の使用数が使用予定数と等しくなったことが検出されることによって、1ロットの組立作業の終了が検出されるようにすることも可能である。
さらに、リール252に巻かれるテープ化ラベル238に収容されるラベル236の数が1ロットの回路基材100の数と予め同じにされ、すべてのラベル238の取出しが検出されることによって、1ロットの組立作業の終了が検出されるようにすることも可能である。
【0063】
以上、請求可能発明の実施例を詳細に説明したが、これは文字通り例示に過ぎず、請求可能発明は、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0064】
10:スクリーン印刷機 12:印刷検査機 14:装着モジュール 16:装着モジュール列 18:装着検査機 20:リフロー炉 26,28,30,32,34:制御装置 36,38,40,42,44:制御コンピュータ 46:ホストコンピュータ 50:報知装置 51:パーソナルコンピュータ 52:バーコードリーダ 54:基材コンベヤ列 56:付属コンベヤ 58:接続コンベヤ 100:回路基材 130:ベース 132:モジュール本体 134:基材保持装置 136:供給装置 138:装着装置 140:基準マーク撮像装置 142:部品撮像装置 160:テープフィーダ(フィーダ) 160D:特定フィーダ 162:フィーダ保持台 170:装着ヘッド 172:ヘッド移動装置 190:吸着ノズル 210:フィーダ保持部 218:コネクタ 220:テープ化部品 226:電子部品(部品) 236:2次元コードラベル(ラベル) 238:テープ化ラベル 276:コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基材を保持する基材保持装置と、
複数のフィーダ保持部を備えたフィーダ保持部材と、前記複数のフィーダ保持部の各々に着脱可能な複数のフィーダとを含み、それら複数のフィーダにより少なくとも電子部品を含む被供給物を供給する供給装置と、
その供給装置から被供給物を保持具により受け取って、前記基材保持装置に保持された回路基材に装着する装着装置と
を含む電子部品装着機を1台以上含む電子回路組立システムであって、
前記1台以上の電子部品装着機のいずれかの前記フィーダ保持部材に、前記複数のフィーダの少なくとも1つとして特定フィーダが取り付けられた状態で、その特定フィーダから特定情報を取得する特定情報取得部と、
その特定情報取得部により取得された前記特定情報に基づいて、当該電子回路組立システムにおいて電子部品が装着されるべき回路基材の少なくとも型式を特定する特定部と
を含むことを特徴とする電子回路組立システム。
【請求項2】
前記特定情報取得部が、(a)前記フィーダ保持部材の前記複数のフィーダ保持部に取り付けられる複数のフィーダを個々に識別可能なフィーダ識別コードと、(b)それぞれ前記被供給物を複数収容して前記複数のフィーダの各々に装填される複数の被供給物収容具を個々に識別可能な収容具識別コードと、(c)前記被供給物の少なくとも型式を特定可能な被供給物情報との少なくとも1つを取得し、その少なくとも1つから前記特定情報を選別する手段を含み、前記特定部がその選別された特定情報に基づいて前記少なくとも型式を特定する請求項1に記載の電子回路組立システム。
【請求項3】
さらに、前記1台以上の電子部品装着機のいずれかの前記フィーダ保持部材に少なくとも前記特定フィーダが取り付けられたことを検知するフィーダ取付検知部を含み、前記特定情報取得部が、そのフィーダ取付検知部の検知に応じて前記特定情報を取得する請求項1または2に記載の電子回路組立システム。
【請求項4】
さらに、前記特定部による前記回路基材の前記少なくとも型式の特定に基づいて、その型式の回路基材に電子部品を装着するための制御プログラムを取得する制御プログラム取得部を含む請求項1ないし3のいずれかに記載の電子回路組立システム。
【請求項5】
さらに、前記特定部による前記少なくとも型式の特定に基づいて、その型式の回路基材に電子部品を装着するために必要な前記1台以上の電子部品装着機の前記いずれかの段取替えの情報を取得する段取替情報取得部を含む請求項1ないし4のいずれかに記載の電子回路組立システム。
【請求項6】
前記特定フィーダにより供給される被供給物が、回路基材を個々に識別可能な基材識別コードが記録され、回路基材の各々に装着されてそれら回路基材を個々に識別可能とする記録体を含み、かつ、当該電子回路組立システムが、
前記供給装置から前記装着装置により取り出される、あるいは取り出された前記記録体が、電子部品が装着されるべき1ロットの回路基材のうちで最後のものに装着されるべき記録体たる1ロット最終記録体であることを検出する1ロット最終記録体検出部と、
その1ロット最終記録体検出部により検出された1ロット最終記録体が装着された回路基材に対する前記1台以上の電子部品装着機の前記いずれかによるすべての電子部品の装着が終了した後にそのいずれかに対する段取替えの少なくとも一部を自動で実行する段取替実行部と
を含む請求項1ないし5のいずれかに記載の電子回路組立システム。
【請求項7】
回路基材を保持する基材保持装置と、
複数のフィーダ保持部を備えたフィーダ保持部材と、前記複数のフィーダ保持部の各々に着脱可能な複数のフィーダとを含み、それらフィーダの各々により少なくとも電子部品を含む被供給物を供給する供給装置と、
その供給装置から被供給物を保持具により受け取って、前記基材保持装置に保持された回路基材に装着する装着装置と
を含む電子部品装着機を1台以上含む電子回路組立システムであって、その1台以上の電子部品装着機の少なくとも1台が、
前記複数のフィーダの各々が前記複数のフィーダ保持部の各々に保持された状態で、各フィーダを個々に識別可能なフィーダ識別コードを取得するフィーダ識別コード取得部と、
前記複数のフィーダの各々の前記フィーダ識別コードと、前記複数のフィーダの各々から供給される被供給物に固有の被供給物識別コードとの対応を記憶する対応記憶部と、
その対応記憶部に記憶された前記対応と、前記フィーダ識別コード取得部により取得されたフィーダ識別コードとに基づいて、前記複数のフィーダ保持部の各々に保持されたフィーダから供給される前記被供給物の前記被供給物識別コードを取得する被供給物識別コード取得部と、
その被供給物識別コード取得部により取得された前記被供給物識別コードが、電子部品が装着されるべき回路基材の型式を特定可能なものである場合に、その被供給物識別コードに基づいてその被供給物が装着されるべき回路基材の型式を特定する回路基材型式特定部と
を含むことを特徴とする電子回路組立システム。
【請求項8】
複数のフィーダ保持部を備えたフィーダ保持部材と、前記複数のフィーダ保持部の各々に着脱可能な複数のフィーダとを含み、それらフィーダの各々により少なくとも電子部品を含む被供給物を供給する供給装置から、装着装置の保持具により被供給物を受け取り、回路基材に装着する電子部品装着機を1台以上含む電子回路組立システムにより、電子回路を組み立てる方法であって、
前記1台以上の電子部品装着機のいずれかの前記フィーダ保持部材に、前記複数のフィーダの少なくとも1つとして特定フィーダを取り付け、その取り付けた状態の特定フィーダから特定情報を取得する特定情報取得工程と、
その取得した特定情報に基づいて、前記電子回路組立システムにおいて被供給物が装着されて電子回路とされるべき回路基材の少なくとも型式を特定する特定工程と
を含むことを特徴とする電子回路組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−3801(P2011−3801A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146874(P2009−146874)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】