電子回路部品装着システム
【課題】生産能率の低下を抑えつつ、装着ミスが発生した電子回路部品のリカバリを行うことができる電子回路部品装着システムを提供する。
【解決手段】電子回路部品装着システムの、マルチノズルヘッド40を備えた装着装置を制御する制御装置に、(a)マルチノズルヘッド40により1枚の回路基板に対して装着作業が行われている途中で、装着装置に、マルチノズルヘッド40の別のノズルヘッドとの交換、あるいはマルチノズルヘッド40に保持されている吸着ノズル154の少なくとも1つの別の吸着ノズル154との交換によるヘッド変更を行わせるヘッド変更制御部と、(b)そのヘッド変更制御部の制御によるヘッド変更の直前に、変更前のマルチノズルヘッド40よる装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものの再度の装着動作を集中的に行う集約リカバリを前記装着装置に行わせるヘッド変更前集約リカバリ制御部とを設ける。
【解決手段】電子回路部品装着システムの、マルチノズルヘッド40を備えた装着装置を制御する制御装置に、(a)マルチノズルヘッド40により1枚の回路基板に対して装着作業が行われている途中で、装着装置に、マルチノズルヘッド40の別のノズルヘッドとの交換、あるいはマルチノズルヘッド40に保持されている吸着ノズル154の少なくとも1つの別の吸着ノズル154との交換によるヘッド変更を行わせるヘッド変更制御部と、(b)そのヘッド変更制御部の制御によるヘッド変更の直前に、変更前のマルチノズルヘッド40よる装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものの再度の装着動作を集中的に行う集約リカバリを前記装着装置に行わせるヘッド変更前集約リカバリ制御部とを設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路部品装着システムに関するものであり、特に、電子回路部品の回路基材への装着ミスが発生した場合のリカバリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子回路部品装着システムにおいて、吸着ノズルに部品供給装置から電子回路部品を受け取らせ、回路基材に装着させる場合、装着ミスが発生することがある。例えば、吸着ノズルが電子回路部品の吸着動作を行ったにもかかわらず、電子回路部品が吸着されない吸着ミスが発生することがあるのであり、吸着をミスした吸着ノズルは電子回路部品を回路基材に装着することができず、装着ミスが発生する。そのため、下記の特許文献1に記載の電子回路部品装着システムにおいては、吸着ミスが発生した場合、その直後に、吸着をミスした吸着ノズルに再度、電子回路部品の吸着を行わせ、電子回路部品を回路基材に装着させるリカバリが行われるようにされている。
【特許文献1】特開2003−124699公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、装着ミスが発生した場合に直ちにリカバリを行う即時リカバリが好ましくない場合がある。例えば、装着装置が複数の吸着ノズルを保持するマルチノズルヘッドにより電子回路部品を回路基材に装着する場合、吸着ミスが発生する毎に即時リカバリを行っていては装着能率が低下する。マルチノズルヘッドは、複数の吸着ノズルの全部が電子回路部品を吸着した後、基材保持装置へ移動させられ、複数の電子回路部品をまとめて回路基材に装着するのが望ましいのであるが、即時リカバリにおいては、吸着ミスが発生した場合、ミスなく吸着された電子回路部品が回路基材に装着された後、吸着ミスが発生した電子回路部品の吸着,装着がやり直される。そのため、マルチノズルヘッドの部品供給装置と基材保持装置との間の1往復による電子回路部品の装着を1回の装着作業とすれば、吸着ミスの発生した装着作業回数が多いほど、マルチノズルヘッドのリカバリのための余分な往復回数が増え、生産能率が低下する。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、生産能率の低下を抑えつつ、装着ミスが発生した電子回路部品のリカバリを行うことができる電子回路部品装着システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題は、(A)回路基材を保持する基材保持装置と、(B)その回路基材に装着されるべき電子回路部品を供給する部品供給装置と、(C)それぞれ電子回路部品を吸着して保持する複数の吸着ノズルを保持するマルチノズルヘッドを備え、そのマルチノズルヘッドの複数の吸着ノズルの各々によって前記部品供給装置から電子回路部品を受け取って前記基材保持装置に保持された回路基材に装着する装着装置と、(D)少なくともその装着装置を制御する制御装置とを含む電子回路部品装着システムにおいて、前記制御装置を、(a)前記マルチノズルヘッドにより前記回路基材の1枚に対して装着作業が行われている途中で、前記装着装置に、前記マルチノズルヘッドの別のノズルヘッドとの交換、あるいは前記マルチノズルヘッドに保持されている吸着ノズルの少なくとも1つの別の吸着ノズルとの交換によるヘッド変更を行わせるヘッド変更制御部と、(b)そのヘッド変更制御部によるノズルヘッドの変更の直前に、変更前のマルチノズルヘッドによる装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものの再度の装着動作を集中的に行う集約リカバリを前記装着装置に行わせるヘッド変更前集約リカバリ制御部とを含むものとすることにより解決される。
回路基材には、例えば、回路基板であるプリント配線板,一方の面に電子回路部品が搭載されるとともに電気的に接合され、他方の面には電子回路部品が未装着であるプリント回路板,ベアチップが搭載され、チップ付基板を構成する基材,ボールグリッドアレイを備えた電子回路部品が搭載される基材等が含まれる。
装着ミスには、例えば、装着装置が吸着ノズルにより電子回路部品の受取り,装着を行う場合、例えば、吸着ノズルが電子回路部品を吸着できなかったこと、吸着ノズルが電子回路部品を吸着できたが、回路基材に装着できないほどの保持位置誤差があること、吸着ノズルが吸着した電子回路部品に欠損があること、吸着ノズルによる電子回路部品の保持姿勢が装着のために設定された姿勢ではないこと等、電子回路部品の吸着時に発生するミスである吸着ミスや、吸着ノズルが電子回路部品を吸着し、回路基材への装着動作を行ったが、電子回路部品が吸着ノズルについて来てしまい、回路基材に装着されなかったこと等、電子回路部品の装着時に発生するミスが含まれる。吸着ミスは、例えば、部品供給装置からの電子回路部品の受取り後、吸着ノズルに保持された電子回路部品を撮像装置によって撮像することにより検出することができる。装着ミスは、例えば、電子回路部品の回路基材への装着動作の終了後、回路基材の部品装着箇所を撮像装置によって撮像することにより検出することができる。
【発明の効果】
【0005】
上記のように、電子回路部品装着システムの制御装置を、それぞれ電子回路部品を吸着して保持する複数の吸着ノズルを保持するマルチノズルヘッドにより回路基材の1枚に対して装着作業が行われている途中で、装着装置に、マルチノズルヘッドの別のノズルヘッドとの交換、あるいは前記マルチノズルヘッドに保持されている吸着ノズルの少なくとも1つの別の吸着ノズルとの交換によるヘッド変更を行わせるヘッド変更制御部と、そのヘッド変更制御部によるノズルヘッドの変更の直前に、変更前のマルチノズルヘッドによる装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものの再度の装着動作を集中的に行う集約リカバリを前記装着装置に行わせるヘッド変更前集約リカバリ制御部とを含むものとすれば、一旦変更されたマルチノズルヘッドを前のマルチノズルヘッドに戻すことなく、装着ミスが発生した電子回路部品のリカバリを行うことができるため、生産能率の低下を抑えつつリカバリを行うことができる。
【発明の態様】
【0006】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0007】
なお、以下の各項において、(13項が請求項1に相当し、(14)項が請求項2に、(15)項が請求項3に、それぞれ相当する。
【0008】
(1)回路基材を保持する基材保持装置と、その回路基材に装着されるべき電子回路部品を供給する部品供給装置と、その部品供給装置から電子回路部品を受け取って前記基材保持装置に保持された回路基材に装着する装着装置と、少なくともその装着装置を制御する制御装置とを含む電子回路部品装着システムであって、前記制御装置が、
前記電子回路部品の前記回路基材への装着ミスが発生した場合にその直後にその装着されなかった電子回路部品の再度の装着動作を行う即時リカバリを前記装着装置に行わせる
即時リカバリ制御部と、
前記電子回路部品の前記回路基材への装着ミスが発生した場合に、予め定められた条件が成立した時にその時点までに発生した装着ミスにより装着されなかった電子回路部品の再度の装着動作を集中的に行う集約リカバリを前記装着装置に行わせる集約リカバリ制御部と、
前記即時リカバリ制御部と前記集約リカバリ制御部とを自動で選択するリカバリ制御選択部と
を含む電子回路部品装着システム。
(2)当該電子回路部品装着システムが、前記装着装置のヘッド保持装置に、複数の吸着ノズルを保持するマルチノズルヘッドと単一の吸着ノズルを保持するシングルノズルヘッドとを選択的に取り付け可能なものであり、前記リカバリ制御選択部が、前記装着装置のヘッド保持装置に前記シングルノズルヘッドが装着されている状態では前記即時リカバリ制御部を選択し、前記マルチノズルヘッドが装着されている状態では前記集約リカバリ制御部を選択するヘッド種対応選択部を含む(1)項に記載の電子回路部品装着システム。
シングルノズルヘッドは、1回の装着動作毎に電子回路部品を1個ずつ回路基材に装着する。したがって、装着ミスが発生した場合、即時リカバリを行っても、集約リカバリを行っても、部品供給装置および基材保持装置に対するリカバリのための相対往復移動の回数は同じであり、生産能率の低下の程度は同じであるが、即時リカバリを行えば、電子回路部品の装着順序が入れ替わらずに済む利点がある。また、シングルノズルヘッドによる回路基材への電子回路部品の装着作業の途中で、吸着ノズルの交換や電子回路部品を供給するトレイの交替が必要となっても、リカバリが済んだ状態でそれらが行われることとなり、吸着ノズルの交換やトレイの交替の影響を受けることなく、リカバリを行うことができる。
マルチノズルヘッドは複数の吸着ノズルを保持し、複数の電子回路部品を同時に保持することができる。したがって、装着ミスが発生した複数の電子回路部品をまとめてリカバリすることができ、リカバリのための作業回数が装着ミスが発生した装着作業回数より少なくて済み、装着ミスが発生する毎にリカバリが行われる即時リカバリに比較して生産能率の低下を抑制しつつ、リカバリを行うことができる。
本項に記載の電子回路部品装着システムにおいては、1枚の回路基材への電子回路部品の装着は、少なくとも1つのマルチノズルヘッドと少なくとも1つのシングルノズルヘッドとの少なくとも一方により行われ、種々の態様で行われるが、いずれの場合にもリカバリ制御選択部によるリカバリ制御部の選択により、自動的に、生産能率の低下が少なくて済むリカバリが行われる。
(3)前記集約リカバリ制御部における前記予め定められた条件が、少なくとも、前記装着ミスが発生した回路基材に装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものを除くすべての電子回路部品の装着が終了することを含む(2)項に記載の電子回路部
品装着システム。
回路基材は、装着が予定されている全部の電子回路部品の装着が終了すれば、基板保持装置による保持が解除され、装着装置の外へ出される。一旦、装着装置の外へ出された回路基材を再度、同じ電子回路部品装着システムに戻してリカバリを行うことは、生産能率を低下させるため、その低下を抑制するためには、1枚の回路基材について発生した装着ミスは、その回路基材が外へ出される前にリカバリされることが望ましく、本項に記載の電子回路部品装着システムによれば、その要求が満たされる。
予め定められた条件が、装着ミスが発生した回路基材に装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものを除くすべての電子回路部品の装着が終了することのみであれば、1枚の回路基材への電子回路部品の装着の途中では集約リカバリは行われない。そのため、1枚の回路基材への電子回路部品の装着が複数のノズルヘッドにより行われる場合、回路基材への装着が予定されている電子回路部品のうち、装着ミスとなった電子回路部品を除くすべての電子回路部品の装着終了時に、集約リカバリを行う必要のあるノズルヘッドがヘッド保持装置に保持されていなければ、現にヘッド保持装置に保持されて
いるノズルヘッドと交換して電子回路部品の再度の装着を行わせることが必要となる。その場合でも、装着ミスが発生した複数の電子回路部品についてまとめて再装着が行われる分、生産能率低下の抑制効果が得られる。
本項に記載の特徴は、(1)項においても採用可能である。
(4)前記集約リカバリ制御部における前記予め定められた条件が、少なくとも、前記装着ミスが発生した際に前記ヘッド保持装置に装着されている前記マルチノズルヘッドによる装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものを除くすべての電子回路部品の装着が終了することを含む(2)項または(3)項に記載の電子回路部品装着システム。
1枚の回路基材への電子回路部品の装着が複数のノズルヘッドにより行われ、マルチノズルヘッドの変更を伴う場合、装着ミスが発生した際にヘッド保持装置に装着されているマルチノズルヘッドによる装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものを除くすべての電子回路部品の装着が終了したときに、次のノズルヘッドと交換される前に、ヘッド保持装置に保持されているマルチノズルヘッドによる集約リカバリが行われる。
本(4)項が(3)項に従属する態様においては、1枚の回路基材への電子回路部品の装着作業が複数のマルチノズルヘッドを用いて行われ、それら複数のマルチノズルヘッドのうち1枚の回路基材に対する装着作業の最後に使用されるものが装着ミスを発生した場合や、1枚の回路基材に対する装着作業の全部が同じマルチノズルヘッドにより行われる場合には、(3)項の条件と(4)項の条件とが同時に満たされる。したがって、この場合には、どちらの条件が満たされることにより集約リカバリが行われると考えても実質的な違いはない。それに対して、1枚の回路基材に対する装着作業が複数のマルチノズルヘッドを用いて行われ、装着ミスを発生したマルチノズルヘッドが最後に使用されるものでない場合には、(4)項の条件が(3)項の条件より前に満たされ、(4)項の条件が満たされることにより集約リカバリが行われることとなる。
(5)前記制御装置が、前記回路基材の1枚に対する電子回路部品の装着作業の途中に、前記装着装置に、前記ヘッド保持装置に装着されている前記マルチノズルヘッドを別のマルチノズルヘッドあるいは前記シングルノズルヘッドに変更させるヘッド変更制御部を含み、かつ、前記集約リカバリ制御部が、そのヘッド変更制御部によるヘッドの変更の直前に、変更前のマルチノズルヘッドによる装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものの再度の装着動作を前記装着装置に集中的に行わせるヘッド変更前集約リカバリ制御部を含む(2)項または(3)項に記載の電子回路部品装着システム。
マルチノズルヘッドは、1つずつの吸着ノズルをそれぞれ保持するノズル保持部の数と保持可能な吸着ノズルの種類との少なくとも一方が異なる場合に種類が異なるとすることも、現実に保持されている吸着ノズルの組合わせが異なる場合に種類が異なるとすることもできる。前者の場合には「マルチノズルヘッドの変更」が、必然的に、マルチノズルヘッドを別のマルチノズルヘッドと交換することを意味し、後者の場合には、マルチノズルヘッドに保持されている吸着ノズルの少なくとも1つを別の吸着ノズルと交換することと、保持している吸着ノズルの少なくとも1つが異なる別のマルチヘッドと交換することとのいずれかを意味することとなる。
マルチノズルヘッドの変更の直前にリカバリを行えば、マルチノズルヘッドは、それの使用による電子回路部品の装着時に装着ミスが発生した電子回路部品を再度装着してから変更されることとなり、後に、リカバリのために再度、装着ミスが発生したマルチノズルヘッドをヘッド保持装置に保持させなくてよく、あるいは装着ミスが発生した吸着ノズルをマルチノズルヘッドに保持させなくてよく、能率良くリカバリを行うことができる。
マルチノズルヘッドの変更がマルチノズルヘッドの交換である場合、集約リカバリ制御部の「予め定められた条件」は、交換されるマルチノズルヘッドによる装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものを除くすべての電子回路部品の装着が終了することであることとなる。
マルチノズルヘッドの変更が吸着ノズルの交換である場合、集約リカバリ制御部の「予
め定められた条件」の一例は、交換される吸着ノズルによる装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものを除くすべての電子回路部品の装着が終了したことである。ただし、集約リカバリの効果を有効に享受できるのは、装着ミスとなった複数の電子回路部品を一緒にマルチノズルヘッドに保持させてリカバリを行う場合であるので、マルチノズルヘッドの変更が吸着ノズルの交換である場合、その交換の対象である吸着ノズルと同一種類の吸着ノズルにより一緒にリカバリできる電子回路部品の数と、装着ミスとなった電子回路部品のうち上記同一種類の吸着ノズルにより装着されるべきものの数とが同じになることを、集約リカバリ制御部の「予め定められた条件」とすることが望ましい。例えば、マルチノズルヘッドに同一種類の吸着ノズルが複数保持されている場合に、それらのうちの一部の交換が行われるからといって直ちに集約リカバリが行われなくてもよいのである。
(6)前記部品供給装置が、
それぞれ同一種類の電子回路部品が複数ずつ収容された複数のトレイと、
それら複数のトレイのいずれかを選択的に部品供給位置に位置させるトレイ選択装置と
を含み、かつ、前記集約リカバリ制御部の予め定められた条件が、前記部品供給位置にあるトレイから供給されることが予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものを除くすべての電子回路部品の装着が終了したことである(2)項ないし(5)項のいずれかに記載の電子回路部品装着システム。
部品供給位置に位置するトレイが部品供給位置から退避させられる前に、そのトレイからの供給が予定されている電子回路部品であって、装着ミスとなった電子回路部品のリカバリがまとめて行われる。リカバリが行われない状態でトレイが部品供給位置から退避させられ、後にリカバリが行われる場合には、リカバリの実行時に、装着ミスが発生したトレイを再度、部品供給位置に位置させることが必要であるが、本項に記載の電子回路部品装着システムによれば、トレイの再度の位置決めが不要であり、リカバリを能率良く行うことができ、生産能率の低下を抑制することができる。
本項に記載の特徴は、(1)項においても採用可能である。
(7)前記集約リカバリ制御部が、再装着動作を行わせるべき電子回路部品が複数ある場合にそれら複数の電子回路部品の再装着動作をできる限り短い時間で行い得る装着順序の決定を行うリカバリ順序決定部を含む(2)項ないし(6)項のいずれかに記載の電子回路部品装着システム。
例えば、再装着される電子回路部品の供給箇所および回路基材における装着箇所の電子回路部品装着システムにおける位置に基づいて、装着ミスが発生した全部の電子回路部品の再装着のために要するノズルヘッドの移動距離が最も短くて済むように装着順序が設定され、リカバリが能率良く行われるようにされる。
本項に記載の特徴は、(1)項においても採用可能である。
(8)前記装着装置が、
前記ヘッド保持装置を前記基材保持装置に保持されている回路基材の表面に平行な平面上の任意の位置へ移動させるヘッド移動装置と、
前記ヘッド保持装置に保持されたヘッドの少なくとも吸着ノズルと、前記基材保持装置とを互いに接近,離間させる接近離間装置と
を含む(2)項ないし(7)項のいずれかに記載の電子回路部品装着システム。
接近離間装置は、吸着ノズルを基材保持装置に接近,離間させる装置とされてもよく、基材保持装置を吸着ノズルに接近,離間させる装置とされてもよく、吸着ノズルおよび基板保持装置ノズルの両方を互いに接近,離間させる装置とされてもよい。
ノズルヘッドの交換が行われる場合、本項に記載のヘッド移動装置に、ヘッド交換のためにヘッド保持装置を移動させるヘッド移動装置を兼ねさせることができ、電子回路部品装着システムを簡易にかつ安価に構成することができる。
(9)回路基材を保持する基材保持装置と、その回路基材に装着されるべき電子回路部品を供給する部品供給装置と、その部品供給装置から電子回路部品を受け取って前記基材保持装置に保持された回路基材に装着する装着装置と、少なくともその装着装置を制御する
制御装置とを含み、かつ、前記装着装置のヘッド保持装置に、複数の吸着ノズルを保持するマルチノズルヘッドを1つ以上を含む複数種類のノズルヘッドを選択的に取り付け可能な電子回路部品装着システムであって、
前記制御装置が、
前記マルチノズルヘッドにより前記回路基材の1枚に対して装着作業が行われている途中で、前記装着装置に、前記ヘッド保持装置に装着されている前記マルチノズルヘッドを別のノズルヘッドに変更させるヘッド変更制御部と、
そのヘッド変更制御部によるノズルヘッドの変更の直前に、変更前のマルチノズルヘッドによる装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものの再度の装着動作を集中的に行う集約リカバリを前記装着装置に行わせるヘッド変更前集約リカバリ制御部と
を含む電子回路部品装着システム。
本項に記載の電子回路部品装着システムは、ヘッド保持装置にマルチノズルヘッドとシングルノズルヘッドとが選択的に取付け可能であることおよび即時リカバリ制御部を有することが不可欠ではない点を除いて、(5)項に記載の電子回路部品装着システムと同様に
説明される。
(10)前記制御装置が、
前記ヘッド変更制御部による前記マルチノズルヘッドの変更時に、その時点までに発生した装着ミスの前記集約リカバリが、変更後のマルチノズルヘッドによっても可能であるか否かを判定し、その集約リカバリが可能であれば、前記ヘッド変更前集約リカバリ制御部に集約リカバリを行わせることなく前記ヘッド変更制御部に前記マルチノズルヘッドの変更を行わせる集約リカバリ阻止部と、
その集約リカバリ阻止部による集約リカバリの阻止後に前記変更後のマルチノズルヘッドによる電子回路部品の装着作業中に発生した装着ミスの集約リカバリと共に、前記ヘッド変更前集約リカバリ制御により行われるべきであった集約リカバリを行う併合集約リカバリ制御部と
を含む (5)項または(9)項に記載の電子回路部品装着システム。
それまでヘッド保持装置に装着されていたマルチノズルヘッドによっては、少なくとも能率良く電子回路部品の装着作業を行い得なくなる場合等には、別のマルチノズルヘッドに交換するか、少なくとも一部の吸着ノズルを別のものと交換するか等により、マルチノズルヘッドの変更を行うことが望ましく、その場合には、原則的に、その時点までに発生している吸着ミスの集約リカバリをヘッド変更前集約リカバリ制御部に行わせることが望ましいのであるが、装着ミスが発生した電子回路部品と変更後のマルチノズルヘッドに保持されている吸着ノズルの種類とによっては、変更後のマルチノズルヘッドによっても能率良く集約リカバリを行うことができる場合がある。その場合には、ヘッド変更前集約リカバリ制御部による集約リカバリを阻止し、その阻止した集約リカバリを、マルチノズル変更後に、併合集約リカバリ制御部に行わせることが望ましい。
(11)回路基材を保持する基材保持装置と、その回路基材に装着されるべき電子回路部品を供給する部品供給装置と、その部品供給装置から電子回路部品を受け取って前記基材保持装置に保持された回路基材に装着する装着装置と、少なくとも前記部品供給装置および前記装着装置を制御する制御装置とを含む電子回路部品装着システムであって、
前記制御装置が、
前記回路基材の1枚に対する電子回路部品の装着作業の途中で、前記部品供給装置と前記装着装置との少なくとも一方の構成を、装着可能な電子回路部品がそれまでとは少なくとも一部において異なる構成に変更することが必要となった場合に、それら部品供給装置と前記装着装置との前記少なくとも一方にその構成変更を行わせる構成変更制御部と、
その構成変更制御部による構成の変更の直前に、変更前の構成による装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものの再度の装着動作を前記部品供給装置および前記装着装置に集中的に行わせる構成変更前集約リカバリ制御部と
を含む電子回路部品装着システム。
前記マルチノズルヘッドの変更は本項における装着装置の構成変更の一例であり、前記部品供給位置にあるトレイの交替は本項における部品供給装置の構成変更の一例である。構成変更後に集約リカバリが行われる場合に、一旦変更された構成が元に戻されることが必要になれば、集約リカバリの能率が低下するため、その事態の発生を回避するために、構成変更の直前に、その時点までに必要になっているリカバリがまとめて行われるようにするのである。
(12)前記制御装置が、
前記構成変更制御部による前記構成の変更時に、その時点までに発生した装着ミスの集約リカバリが、変更後の構成によっても可能であるか否かを判定し、その集約リカバリが可能であれば、前記構成変更前集約リカバリ制御部に集約リカバリを行わせることなく前記構成変更制御部に前記構成の変更を行わせる集約リカバリ阻止部と、
その集約リカバリ阻止部による集約リカバリの阻止後に、前記変更後の構成による電子回路部品の装着作業中に発生した装着ミスの集約リカバリと共に、前記構成変更前集約リカバリ制御部により行われるべきであった集約リカバリを行う併合集約リカバリ制御部と
を含む(11)項に記載の電子回路部品装着システム。
(13)回路基材を保持する基材保持装置と、その回路基材に装着されるべき電子回路部品を供給する部品供給装置と、それぞれ電子回路部品を吸着して保持する複数の吸着ノズルを保持するマルチノズルヘッドを備え、そのマルチノズルヘッドの複数の吸着ノズルの各々によって前記部品供給装置から電子回路部品を受け取って前記基材保持装置に保持された回路基材に装着する装着装置と、少なくともその装着装置を制御する制御装置とを含む電子回路部品装着システムであって、前記制御装置が、
前記マルチノズルヘッドにより前記回路基材の1枚に対して装着作業が行われている途中で、前記装着装置に、前記マルチノズルヘッドの別のノズルヘッドとの交換、あるいは前記マルチノズルヘッドに保持されている吸着ノズルの少なくとも1つの別の吸着ノズルとの交換によるヘッド変更を行わせるヘッド変更制御部と、
そのヘッド変更制御部によるノズルヘッドの変更の直前に、変更前のマルチノズルヘッドによる装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものの再度の装着動作を集中的に行う集約リカバリを前記装着装置に行わせるヘッド変更前集約リカバリ制御部と
を含むことを特徴とする電子回路部品装着システム。
(14)前記制御装置が、
前記ヘッド変更制御部による前記マルチノズルヘッドの変更時に、その時点までに発生した装着ミスの前記集約リカバリが、変更後のマルチノズルヘッドによっても可能であるか否かを判定し、その集約リカバリが可能であれば、前記ヘッド変更前集約リカバリ制御部に集約リカバリを行わせることなく前記ヘッド変更制御部に前記マルチノズルヘッドの変更を行わせる集約リカバリ阻止部と、
その集約リカバリ阻止部による集約リカバリの阻止後に前記変更後のマルチノズルヘッドによる電子回路部品の装着作業中に発生した装着ミスの集約リカバリと共に、前記ヘッド変更前集約リカバリ制御により行われるべきであった集約リカバリを行う併合集約リカバリ制御部と
を含む(13)項に記載の電子回路部品装着システム。
(15)前記装着装置が、
前記マルチノズルヘッドを保持するヘッド保持装置を前記基材保持装置に保持されている回路基材の表面に平行な平面上の任意の位置へ移動させるヘッド移動装置と、
前記ヘッド保持装置に保持された前記マルチノズルヘッドの前記複数の吸着ノズルの各々と、前記基材保持装置とを互いに接近,離間させる接近離間装置と
を含む(13)項または(14)項に記載の電子回路部品装着システム。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】請求可能発明の実施例である電子回路部品装着システムを概略的に示す平面図である。
【図2】上記電子回路部品装着システムの装着装置においてヘッド保持装置がシングルノズルヘッドを保持した状態を示す側面図(一部断面)である。
【図3】上記装着装置においてヘッド保持装置がマルチノズルヘッドを保持した状態を示す側面図(一部断面)である。
【図4】保持する複数の吸着ノズルの種類が互いに異なる2種類のマルチノズルヘッドを概略的に示す図である。
【図5】保持する吸着ノズルの種類が互いに異なる2種類のシングルノズルヘッドを概略的に示す図である。
【図6】上記電子回路部品装着システムの制御装置の構成を概念的に示すブロック図である。
【図7】上記制御装置の主体を成す制御コンピュータのROMに記憶させられた装着制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】上記制御コンピュータのROMに記憶させられたマルチノズルヘッドによる電子回路部品の装着制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】上記制御コンピュータのROMに記憶させられた集約リカバリ制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図10】上記制御コンピュータのROMに記憶させられたシングルノズルヘッドによる電子回路部品の装着制御ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0011】
図1に、請求可能発明の一実施例としての電子回路部品装着システムが概略的に図示されている。本電子回路部品装着システムは、図1に示すように、基材搬送装置としての基板搬送装置10,それぞれ部品供給装置の一種であるフィーダ型部品供給装置12およびトレイ型部品供給装置14,基材保持装置としての基板保持装置16,装着装置18,ノズルヘッド収納装置20および制御装置22(図6参照)を含む。
【0012】
基板搬送装置10は、システム本体としてのベッド30上に設けられ、回路基材としての回路基板32を水平な一方向に搬送して基板保持装置16に搬入し、基板保持装置16から搬出する。基板搬送方向をX軸方向とし、基板保持装置16に保持されている回路基板32の表面である部品装着面に平行な一平面である水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向とする。基板保持装置16は位置を固定して設けられ、図示は省略するが、例えば、回路基板32を下方から支持する基板支持装置と、回路基板32の基板搬送方向に平行な両縁部をそれぞれクランプするクランプ装置とを含み、基板搬送装置10により搬入された回路基板32を水平な姿勢で保持する。
【0013】
フィーダ型部品供給装置12およびトレイ型部品供給装置14は、本電子回路部品装着システムでは、図1に示すように、ベッド30上の、基板搬送装置10に対してY軸方向に隔たった両側にそれぞれ設けられている。フィーダ型部品供給装置12は、部品供給具の一種であるフィーダを複数備えている。複数のフィーダはそれぞれ、各部品供給部がX軸方向に並ぶ状態で設けられ、それぞれ多数の電子回路部品が送り装置により送られ、1個ずつ順次、部品供給部に位置決めされて供給される。
【0014】
前記トレイ型部品供給装置14は多数の収容凹部を有するトレイに電子回路部品を収容して供給する装置である。トレイ型部品供給装置14は種々の態様で構成され、例えば、特開2006−86483公報に記載されているように、複数段のトレイ収容部を備え、昇降可能に設けられたストッカと、ストッカ昇降装置と、ストッカ外トレイ移動装置とを含むものとされる。複数のトレイ収容部にはそれぞれ、複数のトレイが重ねて収容されるとともに、ストッカ内トレイ移動装置により水平方向に移動させられる。ストッカがストッカ昇降装置によって昇降させられることにより、複数のトレイ収容部のうちの1つが、上下方向において設定された部品供給高さに選択的に移動させられる。ストッカ外トレイ移動装置は、この部品供給高さに対応する位置に設けられ、部品供給高さに移動させられたトレイ収容部に収容されたトレイを、ストッカ内トレイ移動装置と共同して水平方向に移動させ、ストッカから送り出して水平方向における部品供給位置へ移動させる。電子回路部品の供給の済んだトレイは、ストッカに戻され、次に電子回路部品を供給するトレイが収容されたトレイ収容部が部品供給高さへ移動させられ、トレイが部品供給位置へ移動させられる。複数のトレイにはそれぞれ、同一種類の電子回路部品が複数ずつ収容される。
【0015】
本装着装置18は、図1ないし図3に示すように、マルチノズルヘッド40,シングルノズルヘッド42,ヘッド保持装置44,ヘッド移動装置46,接近離間装置たるヘッド昇降装置48およびヘッド回転装置50を含む。ヘッド移動装置46は、図1に示すように、X軸方向移動装置54およびY軸方向移動装置56を含む。X軸方向移動装置54は、可動部材としてのX軸スライド60とX軸スライド移動装置62(図6参照)とを含む。X軸スライド移動装置62は、駆動源たるX軸移動用モータ64(図6参照)と、ボールねじおよびナットを含む送りねじ機構66(図6参照)とを含む。Y軸方向移動装置56はX軸スライド60上に設けられ、可動部材としてのY軸スライド70とY軸スライド移動装置72(図6参照)とを含む。Y軸スライド移動装置72は、X軸スライド移動装置62と同様に、駆動源たるY軸移動用モータ74(図6参照)と送りねじ機構76(図6参照)とを含む。X軸移動用モータ64およびY軸移動用モータ74は、例えば、電動モータの一種であるエンコーダ付サーボモータにより構成される。サーボモータは、回転角度の正確な制御が可能な電動回転モータであり、サーボモータに代えてステップモータを用いてもよい。リニアモータを用いてもよい。
【0016】
図2に示すように、Y軸スライド70に前記ヘッド保持装置44,ヘッド昇降装置48およびヘッド回転装置50が設けられ、Y軸スライド70の移動により、ヘッド保持装置44が水平面上の任意の位置へ移動させられる。これらヘッド保持装置44,マルチノズルヘッド40およびシングルノズルヘッド42等は、未だ公開されていないが、本出願人の出願に係る特願2005−075397の明細書に記載の電子回路部品保持装置と同様に構成されており、簡単に説明する。
【0017】
ヘッド保持装置44は、図2に示すように、装置本体たる軸状部材80および軸状部材80の下端部に一体的に設けられたヘッド保持部82とを含む。軸状部材80は、横断面形状が円形を成し、外周面にスプライン84が設けられたスプライン軸部材である。ヘッド保持部82は、横断面形状が円形を成し、軸状部材80より大きい直径を有する。
【0018】
ヘッド回転装置50は、Y軸スライド70に鉛直軸線まわりに回転可能に保持された回転部材としての回転体86と、回転部材駆動装置としての回転体駆動装置88とを含む。回転体駆動装置88は回転用モータ90(図6参照)を駆動源とし、その回転が回転体86に固定のギヤ92等を含む回転伝達装置により回転体86に伝達され、回転体86が鉛直軸線まわりに回転させられる。回転用モータ90は、例えば、エンコーダ付サーボモータにより構成される。回転体86は円筒状を成し、その内周面に設けられたスプライン94に軸状部材80のスプライン84が軸方向に相対移動可能かつ相対回転不能に嵌合され、回転体86の回転により軸状部材80およびヘッド保持部82が鉛直軸線まわりに正逆両方向に任意の角度回転させられる。
【0019】
前記ヘッド昇降装置48は、図2に示すように、Y軸スライド70に昇降可能に設けられた昇降部材100と、駆動源としての昇降用モータ102(図6参照)と、Y軸スライド70に軸方向に相対移動不能かつ鉛直軸線まわりに回転可能に設けられたねじ軸としてのボールねじ104および昇降部材100に固定のナット106を含む送りねじ機構108とを含む。昇降用モータ102は、例えば、エンコーダ付サーボモータにより構成される。軸状部材80の上部は、昇降部材100により相対回転可能かつ軸方向に相対移動不能に保持されており、ボールねじ104が昇降用モータ102により回転させられ、昇降部材100が昇降させられることによりヘッド保持装置44が昇降させられる。
【0020】
軸状部材80内には、その軸線上に通路110が設けられるとともに、その外側に円環状通路112が設けられ、円環状通路112は負圧ポンプ等の負圧源120に接続されている。負圧源120から円環状通路112への負圧の供給は、開閉装置122により許容,遮断される。以後、円環状通路112を負圧供給通路112と称する。
【0021】
通路110は、コンプレッサ等の正圧源124および前記負圧源120に接続されている。通路110への正圧の供給と負圧の供給とは切換装置126により切り換えられ、正圧と負圧とが択一的に供給される。切換装置126により、通路110が大気に開放された状態も得られる。以後、通路110を正圧・負圧供給通路110と称する。
【0022】
前記ヘッド保持部82は、図2に示すように、その軸線に直角な一平面状を成し、水平で下向きの吸着面130を備えている。ヘッド保持部82には、吸着面130に開口し、その軸線を中心線とする円環状の負圧室用凹部132が形成され、通路134により負圧供給通路112に連通させられている。正圧・負圧供給通路110の下端部は、吸着面130に開口させられている。
【0023】
前記マルチノズルヘッド40およびシングルノズルヘッド42はいずれも、ヘッド保持装置44によって負圧により吸着されて保持され、昇降,回転させられる。シングルノズルヘッド42は、図2に示すように、ヘッド本体138および被保持部140を含む。ヘッド本体138はノズル保持部(図示省略)を備え、負圧により電子回路部品142を吸着する部品保持具たる吸着ノズル144を1つ、保持する。被保持部140は、横断面形状が円形の円板状を成し、その軸線に直角で一平面状の被吸着面146を備えている。シングルノズルヘッド42は、被吸着面146が吸着面130に密着させられ、負圧室用凹部132が塞がれてヘッド吸着用負圧室148が形成され、負圧供給通路112からヘッド吸着用負圧室148に供給される負圧によりシングルノズルヘッド42がヘッド保持装置44により吸着され、保持される。シングルノズルヘッド42は、ヘッド保持装置44がヘッド昇降装置48,ヘッド回転装置50によって昇降,回転させられることにより昇降,回転させられ、部品供給装置12,14,基板保持装置16に接近,離間させられて電子回路部品を受け取り、回路基板32に装着する。シングルノズルヘッド42がヘッド保持装置44により保持された状態では、正圧・負圧供給通路110がヘッド本体138に連通させられ、電子回路部品の吸着時には吸着ノズル144に負圧が供給され、電子回路部品の回路基板32への装着時には負圧の供給が断たれるとともに正圧が供給され、電子回路部品を迅速に開放するようにされる。
【0024】
マルチノズルヘッド40は、図3に示すように、ヘッド本体150,被保持部152,複数のノズル保持部153,部品保持具たる吸着ノズル154,ノズル保持部153の各々について設けられたバルブ装置156およびノズル昇降装置157を備えている。被保持部152は、その軸線に直角で一平面状の被吸着面158を備えており、シングルノズルヘッド42と同様に、被吸着面158が吸着面130に密着させられてヘッド吸着用負圧室148が形成され、負圧供給通路112からヘッド吸着用負圧室148に供給される負圧によってマルチノズルヘッド40がヘッド保持装置44により吸着され、保持される。
【0025】
マルチノズルヘッド40がヘッド保持装置44により保持された状態では、正圧・負圧供給通路110および負圧供給通路112がそれぞれ、マルチノズルヘッド40内の通路に連通させられ、バルブ装置156の切換えにより、電子回路部品の吸着時には吸着ノズル154に負圧が供給され、装着時には負圧の供給が断たれるとともに正圧が供給される。バルブ装置156の切換えは、マルチノズルヘッド40の昇降に伴ってバルブ切換装置160により行われる。バルブ切換装置160は、複数のバルブ装置156を個々に負圧供給状態と、正圧供給状態とに切り換えるように構成される。また、リセット装置162が設けられ、複数のバルブ装置156が一斉にリセットされ、吸着ノズル154に負圧も正圧も供給しない状態に復帰させられる。さらに、マルチノズルヘッド40の昇降に伴ってノズル昇降装置157が作動させられ、吸着ノズル154をヘッド本体150に対して昇降させ、複数の吸着ノズル154のうち、電子回路部品の吸着,装着を行う吸着ノズル154が、その他の吸着ノズル154に対して選択的に昇降させられる。そのため、ヘッド昇降装置48によってマルチノズルヘッド40が昇降させられるとき、その昇降に伴って選択された吸着ノズル154が部品供給装置12,14あるいは基板保持装置16に接近,離間させられ、電子回路部品を受け取り、あるいは吸着した電子回路部品を回路基板32に装着する。これらバルブ装置156,ノズル昇降装置157,バルブ切換装置160およびリセット装置162も前記特願2005−075397の明細書に記載されており、詳細な説明は省略する。
【0026】
前記ノズルヘッド収納装置20は、図1に概略的に示すように、複数のヘッド収納部170を備え、複数種類のマルチノズルヘッド40および複数種類のシングルノズルヘッド42が収納されている。マルチノズルヘッド40は、例えば、図4(a),(b)に概略的に示すマルチノズルヘッド40Aおよび40Bのように、保持する吸着ノズル154の種類を互いに異にすることにより種類を異にする。吸着ノズル154の種類は、例えば、吸着ノズル154の吸着管172の直径を異にすることにより異ならされる。マルチノズルヘッド40Aが保持する複数の吸着ノズル154の種類は全部同じであり、マルチノズルヘッド40Bが保持する複数の吸着ノズル154の種類は全部同じであるが、複数種類の吸着ノズル154を保持するマルチノズルヘッド40もある。シングルノズルヘッド42も同様に、図5(a),(b)に概略的に示すシングルノズルヘッド42A,42Bのように、保持する吸着ノズル144の吸着管174の直径を異にすることにより種類が異ならされる。電子回路部品の装着にマルチノズルヘッド40とシングルノズルヘッド42とのいずれを使用するか、また、いずれの種類のマルチノズルヘッド40あるいはシングルノズルヘッド42を使用するかは、回路基板32に装着される電子回路部品の種類に応じて決められる。ノズルヘッド収納装置20は、前記特願2005−075397の明細書に記載されており、詳細な図示および説明は省略する。
【0027】
さらに、図1に概略的に示すように、X軸スライド60には2組の部品撮像システム180が設けられ、Y軸スライド70にはマーク撮像システム182が設けられている。これら撮像システム180,182はそれぞれ、撮像デバイスとしてのCCDカメラ184,186(図6参照)および照明装置(図示省略)を備えている。
【0028】
前記制御装置22は、図6に示すように、CPU200,ROM202,RAM204およびそれらを接続するバス206を含む制御コンピュータ210を主体とするものであり、入・出力部212には、部品撮像システム180およびマーク撮像システム182の各CCDカメラ184,186の撮像により得られた画像データを処理する画像処理コンピュータ214,エンコーダ付サーボモータのエンコーダ216等が接続されている。入・出力部212にはまた、駆動回路220を介してX軸移動用モータ64等、種々のアクチュエータ等が接続されている。また、ROM202には、図示を省略するメインルーチン,図7にフローチャートで表す装着制御ルーチン,部品装着プログラム等、種々のプログラムおよびデータ等が記憶させられている。
【0029】
次に作動を説明する。
本電子回路部品装着システムにおいて回路基板32への電子回路部品の装着は、マルチノズルヘッド40とシングルノズルヘッド42との少なくとも一方を用いて行われる。いずれのノズルヘッドが電子回路部品の装着に使用される場合でも、装着ミスが発生すれば、装着されなかった電子回路部品の回路基板32への装着をやり直すリカバリが行われる。ヘッド保持装置44にマルチノズルヘッド40が保持されている状態では集約リカバリが行われ、シングルノズルヘッド42が保持されている状態では即時リカバリが行われる。
【0030】
集約リカバリは、電子回路部品の回路基板32への装着ミスが発生した場合に、予め定められた条件が成立した時に、その時点までに発生した装着ミスにより装着されなかった電子回路部品の再度の装着動作を装着装置18に集中的に行わせるリカバリである。本電子回路部品装着システムでは、ノズルヘッドの交換は行われるが、マルチノズルヘッド40についてもシングルノズルヘッド42についても、保持している吸着ノズル144,154の別の吸着ノズル144,154への交換は行われない。また、マルチノズルヘッド40はフィーダ型部品保持装置12からのみ電子回路部品を受け取って回路基板32に装着する。したがって、予め定められた条件は、回路基板32への電子回路部品の装着が、マルチノズルヘッド40を含む複数のノズルヘッドによって行われる場合、マルチノズルヘッド40による装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものを除くすべての電子回路部品の装着が終了することであることとなり、マルチノズルヘッド40の交換の直前に、交換前のマルチノズルヘッド40による装着が予定されている電子回路部品のうち、装着ミスとなったものの再度の装着動作が集中的に行われる。本電子回路部品装着システムにおいて装着ミスは、装着ミスを発生したマルチノズルヘッド40により、そのマルチノズルヘッド40が予定の電子回路部品の装着のためにヘッド保持装置44に保持された状態で行われ、生産能率の低下を抑制しつつリカバリが行われる。1枚の回路基板32への電子回路部品の装着が1つのマルチノズルヘッド40のみにより行われる場合、装着ミスが発生した回路基板32に装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものを除くすべての電子回路部品の装着が終了することが予め定められた条件となる。
【0031】
即時リカバリは、電子回路部品の回路基板32への装着ミスが発生した場合に、その直後にその装着されなかった電子回路部品の再度の装着動作を装着装置18に行わせるリカバリである。したがって、シングルノズルヘッド42の場合、装着ミスが発生すれば、直ちに電子回路部品の装着がやり直しされる。
【0032】
回路基板32への電子回路部品の装着およびリカバリを説明するが、簡単のために、保持する複数の吸着ノズルの種類が同じであるマルチノズルヘッド40による電子回路部品の装着およびリカバリについて、1枚の回路基板32への電子回路部品の装着がマルチノズルヘッド40A,40B,シングルノズルヘッド42A,42Bにより行われる場合を例に取り、図7〜図10に示すフローチャートに基づいて説明する。ノズルヘッドは、マルチノズルヘッド40A,40B,シングルノズルヘッド42A,42Bの順に使用される。なお、マルチノズルヘッド40はフィーダ型部品供給装置12により供給される電子回路部品を回路基板32に装着し、シングルノズルヘッド42はフィーダ型部品供給装置12およびトレイ型部品装置14により供給される電子回路部品を回路基板32に装着する。
【0033】
図7に示す装着制御ルーチンのステップ1(以後、S1と略記する。他のステップについても同じ。)においては、マルチノズルヘッドにより回路基板32への電子回路部品の装着が行われるか否かが判定される。この判定は部品装着プログラムに基づいて行われる。部品装着プログラムは、例えば、回路基板32における部品装着箇所の座標,装着される電子回路部品の種類,装着姿勢,装着順序の各データを含み、電子回路部品がフィーダ
型部品供給装置12により供給されるのであれば、電子回路部品を供給するフィーダの部品供給部の位置データを含む。電子回路部品がトレイ型部品供給装置14により供給されるのであれば、電子回路部品を供給するトレイが収容されたトレイ収容部を指定するデータが含まれる。部品装着プログラムはまた、電子回路部品の装着に使用されるノズルヘッドを設定するデータを含む。1つのノズルヘッドにより設定された装着順序に従って連続して回路基板32に装着される複数の電子回路部品毎にノズルヘッドが設定されており、S1の判定は、部品装着プログラムのノズルヘッド設定データに基づいて行われる。
【0034】
ここでは回路基板32には、まず、マルチノズルヘッド40Aによって電子回路部品が装着されるため、S1の判定結果がYESになってS2が実行され、マルチノズルヘッド40Aによる電子回路部品の回路基板32への装着が行われる。マルチノズルヘッド40Aによる電子回路部品の回路基板32への装着を、図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0035】
まず、S11が実行され、ヘッド保持装置44によりマルチノズルヘッド40Aが保持される。ヘッド保持装置44は、現に保持しているノズルヘッドがマルチノズルヘッド40Aでなければ、ノズルヘッド収納装置20へ移動させられ、現に保持しているノズルヘッドをノズルヘッド収納装置20の空のヘッド収納部170に収納し、マルチノズルヘッド40Aを保持する。また、ヘッド保持装置44がノズルヘッドを保持していなければ、ノズルヘッド収納装置20へ移動させられてマルチノズルヘッド40Aを保持する。ヘッド保持装置44がノズルヘッドを保持しているか否か、および現に保持しているノズルヘッドの種類は、例えば、部品装着プログラムの進行状況に基づいてわかる。ヘッド保持装置44によるマルチノズルヘッド40のヘッド収納装置20への収納および保持の各動作は、前記特願2005−075397の明細書に記載されており、詳細な説明は省略する。
【0036】
ヘッド保持装置44がマルチノズルヘッド40Aを保持したならば、S12が実行され、ヘッド保持装置44はフィーダ型部品供給装置12へ移動させられ、マルチノズルヘッド40Aが保持している全部の吸着ノズル154に電子回路部品を吸着させる。部品装着プログラムから吸着データ、例えば、吸着する電子回路部品の種類,電子回路部品を供給するフィーダの部品供給部の位置が装着順に読み出され、複数の吸着ノズル154は装着順に電子回路部品を吸着する。吸着ノズル154による電子回路部品の保持動作は、前記特願2005−075397の明細書に記載されており、説明を省略する。
【0037】
全部の吸着ノズル154が電子回路部品を吸着したならば、S13が実行され、吸着ノズル154に電子回路部品を回路基板32に装着させるべく、ヘッド保持装置44は基板保持装置16へ移動させられるが、その途中で部品撮像システム180に至り、電子回路部品がCCDカメラ184によって撮像される。ここでは、全部の吸着ノズル154に保持された電子回路部品がCCDカメラ184により同時に一括して撮像される。そして、撮像データが画像処理コンピュータ214により処理され、取得された電子回路部品の画像データに基づいて、複数の電子回路部品についてそれぞれ、保持位置誤差,保持姿勢,保持の有無,欠損の有無が検出される。電子回路部品の保持位置誤差には、吸着ノズル154の移動方向に平行な方向の位置誤差であるX軸,Y軸方向における各位置誤差および回転位置誤差が含まれる。回転位置誤差は、電子回路部品の軸線まわりの位置誤差である。
【0038】
そして、S14が実行され、今回、マルチノズルヘッド40Aにより回路基板32に装着される複数の電子回路部品について吸着ミスが発生したか否かが判定される。ここにおいて吸着ミスは、吸着ノズル154による電子回路部品の保持位置誤差が設定値を超えて大きいこと、吸着ノズル154が電子回路部品を吸着していないこと、電子回路部品に欠損があること、吸着ノズル154による電子回路部品の保持姿勢が予め設定された姿勢ではなく、装着不可能な姿勢であることである。例えば、電子回路部品は、その軸線が吸着管の軸線と平行となる姿勢で保持されることが予定されているのであれば、直角となる姿勢で保持されていれば、装着不可能とされる。
【0039】
これらのうち、いずれかの吸着ミスがあれば、吸着ミスが発生した吸着ノズル154は、電子回路部品を回路基板32に装着することができず、装着ミスが発生する。そのため、S14の判定結果がYESになってS15が実行され、吸着ミスデータがRAM204に設けられた装着ミスデータメモリに記憶させられる。吸着ミスデータには、例えば、吸着ミスが発生した電子回路部品の種類,装着順序,部品装着箇所および吸着ミスの内容が含まれる。例えば、マルチノズルヘッド40Aのうち、吸着開始から何番目の吸着ノズル154について吸着ミスが生じたかにより、吸着ミスが発生した電子回路部品が特定され、種類等がわかる。また、吸着ミスを発生した吸着ノズル154がマルチノズルヘッド40Aにおいて特定され、そのノズル特定データも吸着ミスデータとして、電子回路部品の種類等と共に装着ミスデータメモリに記憶させられる。吸着ノズル154は、その吸着ノズル154を保持するノズル保持部153のマルチノズルヘッド40Aにおける位置により特定される。ノズル保持部153の位置は、例えば、複数のノズル保持部153のうち、基準となるノズル保持部153が設定され、それに対する位置により特定される。
【0040】
次いでS16が実行され、ミス部品収容部材たるミス部品収容箱に投棄する電子回路部品があるか否かが判定される。吸着ノズル154が電子回路部品を吸着していても、保持位置誤差が大きく、回路基板32に装着することができない場合、電子回路部品に欠損がある場合および電子回路部品の保持姿勢が装着不可能な姿勢である場合には、それら電子回路部品は回路基板32に装着することができないため、ミス部品収容箱に投棄されるのである。ミス部品収容箱は、図示は省略するが、ベッド30のヘッド保持装置44の移動領域内に設けられている。吸着ミスデータの内容に基づいてミス部品収容箱に投棄する電子回路部品があるか否かが判定され、あればS16の判定結果がYESになってS17が実行され、RAM204に設けられた投棄部品メモリに投棄部品データが記憶させられる。投棄部品データには、投棄が必要な電子回路部品を保持する吸着ノズル154をマルチノズルヘッド40Aにおいて特定するデータが含まれる。
【0041】
投棄部品データが記憶させられた後、S18以下のステップが実行され、電子回路部品が回路基板32に装着される。吸着ミスがなく、S14の判定結果がNOになった場合、吸着ミスは発生したが、投棄の必要な電子回路部品がなく、S16の判定結果がNOになった場合にも、S18以下のステップが実行される。S18では、部品装着プログラムから部品装着データが読み出される。部品装着データには、例えば、電子回路部品を装着する部品装着箇所の座標データおよび装着姿勢が含まれる。今回、マルチノズルヘッド40Aに保持されて回路基板32に装着される複数の電子回路部品について、装着順序が早い電子回路部品から順に部品装着データが1つずつ読み出され、S19の実行により、その電子回路部品を保持した吸着ノズル154が、ヘッド保持装置44の移動によるマルチノズルヘッド40Aの移動によって部品装着箇所上へ移動させられ、電子回路部品を装着する。なお、吸着ミスが発生した吸着ノズル154は部品装着動作を行わされず、電子回路部品を吸着していても、その電子回路部品は回路基板32に装着されない。S19では、吸着ミスの発生が装着ミスデータメモリに記憶させられている電子回路部品については、その装着順になっても部品装着データが読み出されず、次に吸着ミスの発生していない電子回路部品について部品装着データが読み出され、回路基板32に装着される。
【0042】
電子回路部品の装着姿勢の変更が必要であれば、マルチノズルヘッド40Aが移動の間に回転させられて電子回路部品の姿勢が変更される。また、ヘッド保持装置44の移動位置の修正により、電子回路部品の撮像により得られた保持位置誤差のうちのX軸,Y軸方向の各位置誤差および基準マーク撮像システム182による回路基板32の基準マークの撮像に基づいて得られる部品装着箇所のX軸,Y軸方向の各位置誤差が修正される。さらに、ヘッド保持装置44の回転によりマルチノズルヘッド40Aが回転させられ、電子回路部品の回転位置誤差および部品装着箇所の回転位置誤差が修正される。そして、部品装着箇所上へ移動させられた吸着ノズル154は電子回路部品を回路基板32に装着する。マルチノズルヘッド40Aによる電子回路部品の回路基板32への装着は、特願2005−075397の明細書に記載されており、説明を省略する。
【0043】
電子回路部品の装着後、S20が実行され、マーク撮像システム182のCCDカメラ186が、電子回路部品の装着が行われた部品装着箇所上へ移動させられ、部品装着箇所を撮像する。そして、その撮像データが画像処理コンピュータ214により処理され、取得された画像データに基づいて部品装着箇所に電子回路部品が装着されているか否かが検出される。次いでS21が実行され、装着ミスが発生したか否か、ここでは部品装着箇所に電子回路部品が装着されていないかが判定される。電子回路部品の吸着後の撮像により吸着ミスの発生が検出された電子回路部品については、回路基板32への部品装着データが読み出されず、吸着ノズル154の部品装着動作が行われないため、部品装着箇所に電子回路部品が装着されていないということは、電子回路部品を吸着した吸着ノズル154が電子回路部品の装着動作を行ったものの、電子回路部品を再び吸着してきてしまい、回路基板32に装着されない装着ミスが発生したことを意味する。したがって、部品装着箇所に電子回路部品が装着されていなければ、S21の判定結果がYESになってS22が実行され、装着ミスデータが装着ミスデータメモリに記憶させられる。装着ミスデータには、例えば、装着ミスが発生した電子回路部品の種類,装着順序および部品装着箇所が含まれる。S22においてはまた、装着ミスが発生した電子回路部品について、S17におけると同様に、投棄部品メモリに投棄部品データが記憶させられ、電子回路部品の投棄が行われるようにされる。一旦、装着動作が行われた電子回路部品は、クリーム状はんだが付着する等の不具合が生じ、そのままでは回路基板32への装着に使用できないことがあるため、ミス部品収容箱に投棄されるのである。
【0044】
次いでS23が実行され、マルチノズルヘッド40Aが部品供給装置から受け取ってきた全部の電子回路部品(吸着ミスあるいは装着ミスが発生した電子回路部品は除く)の装着が終了し、マルチノズルヘッド40Aの1回の装着作業が終了したか否かが判定される。この判定は、例えば、マルチノズルヘッド40Aが部品供給装置12から受け取った全部の電子回路部品のうち、吸着ミスが発生していない電子回路部品の中で装着順が最も遅い電子回路部品について部品装着データが読み出され、装着動作が行われたか否かにより行われる。S23の判定は、装着が終了するまでNOであり、ルーチンの実行はS18に戻る。そして、次に回路基板32に装着される電子回路部品について部品装着データが読み出され、回路基板32への装着が行われる。
【0045】
マルチノズルヘッド40Aが部品供給装置から受け取ってきた全部の電子回路部品について装着動作が行われれば、S23の判定結果がYESになってS24が実行され、投棄の必要な電子回路部品があるか否かが判定される。この判定は投棄部品メモリに投棄部品データが記憶させられているか否かにより行われ、投棄部品データが記憶させられていれば、S24の判定結果がYESになってS25が実行され、投棄の必要な電子回路部品がミス部品収容箱に投棄される。この際、ヘッド保持装置44は部品収容箱へ移動させられ、吸着ノズル154による電子回路部品の保持が解放されて電子回路部品が部品収容箱へ投棄される。投棄要部品が複数あれば、全部が順次、部品収容箱上へ移動させられ、投棄される。部品収容箱が大きいのであれば、マルチノズルヘッド40Aが部品収容箱上へ移動させられ、停止させられた状態で少なくとも1つの投棄部品が順次、部品収容箱に投棄される。投棄は投棄部品データに基づいて行われ、投棄部品を保持している吸着ノズル154について、装着時と同様に吸着ノズル154への負圧の供給が断たれるとともに正圧が供給され、吸着ノズル154による電子回路部品の吸着が解除される。投棄部品メモリは、投棄の必要な全部の電子回路部品の投棄後、クリアされる。
【0046】
投棄後、S26が実行され、マルチノズルヘッド40Aにより装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミス(吸着ミスを含む)となったものを除くすべての電子回路部品の装着が終了したか否かが判定される。この判定は、マルチノズルヘッド40Aによる装着が設定された全部の電子回路部品のうち、装着順序が最後である電子回路部品について吸着,装着が行われたか否かにより、例えば、装着プログラムの進行状況に基づいて行われる。装着が終了していなければ、S26の判定結果はNOになってルーチンの実行はS12に戻り、S12以下のステップが実行されて、マルチノズルヘッド40Aにより残りの電子回路部品についても同様に回路基板32への装着が行われる。なお、吸着ミスが発生した場合、吸着ミスデータは、マルチノズルヘッド40Aによる先回の電子回路部品の装着作業時にミスを生じた電子回路部品のミスデータと共に装着ミスデータメモリに記憶されるが、S16における投棄部品の有無の判定は、今回のマルチノズルヘッド40Aによる電子回路部品の装着作業時に生じたミスに基づいて行われる。例えば、装着順序により、今回、装着される電子回路部品であることがわかる。また、複数の吸着ノズル154の各々について設けられたバルブ装置156は、マルチノズルヘッド40Aによる次回の電子回路部品の吸着に先立ってリセット装置162によりリセットされる。
【0047】
マルチノズルヘッド40Aによる装着が予定された電子回路部品のうち装着ミスとなったものを除くすべての電子回路部品が回路基板32に装着されれば、S26の判定結果がYESになってS27が実行され、リカバリが必要であるか否かが判定される。この判定は、装着ミスデータメモリにデータが記憶されているか否かにより行われる。装着ミスデータメモリにデータが記憶されていなければ、リカバリは不要であり、S27の判定結果はNOになり、ルーチンの実行は装着制御ルーチンのS4に戻る。
【0048】
装着ミスデータメモリにデータが記憶されていれば、リカバリが必要であり、S27の判定結果がYESになってS28が実行され、集約リカバリ制御が行われる。集約リカバリ制御を図9に示すフローチャートに基づいて説明する。
集約リカバリ制御ルーチンでは、まず、S31において、装着装置18により再度の装着動作が行われる全部の電子回路部品について装着順序が決定される。装着順序は、再装着動作ができる限り短い時間で行われる順序に決定される。装着ミスデータメモリに記憶させられたデータから、装着ミスが発生した電子回路部品について、その電子回路部品を供給する部品供給部の位置および部品装着箇所がわかり、装着順序は、電子回路部品を供給するフィーダの部品供給部および部品装着箇所の各位置に基づいて、リカバリされる全部の電子回路部品をマルチノズルヘッド40Aが吸着し、回路基板32に装着する際のヘッド保持装置44の移動距離の合計ができる限り短く、ヘッド保持装置44の移動時間ができる限り短くなる順序に決定される。
【0049】
次いで、S32以下のステップが実行され、S31において決定された順序に従って、電子回路部品の回路基板32への再度の装着が行われる。マルチノズルヘッド40Aが保持する複数の吸着ノズル154は全部種類が同じであり、全部の吸着ノズル154をリカバリに使用することができ、リカバリが迅速に行われる。集約リカバリ制御のS32〜S45は、マルチノズルノズルヘッドによる電子回路部品の装着ルーチンのS12〜S25と同様に行われるため、説明を省略する。但し、集約リカバリの実行時に発生した装着ミス(吸着ミスを含む)のデータは、RAM204に設けられた集約リカバリ制御用の装着ミスデータメモリに記憶させられる。マルチノズルヘッド40Aが1回、リカバリを行う毎にS46が実行され、リカバリが終了したか否かが判定される。マルチノズルヘッド40Aの1回のリカバリは、リカバリする電子回路部品の吸着および装着を含み、部品供給装置12と基板保持装置16との間の1往復によるリカバリである。S46では、マルチノズルヘッド40Aによるリカバリが予定されている電子回路部品のうち、再度、装着ミス(吸着ミスを含む)となったものを除くすべての電子回路部品の装着が終了したか否かが判定される。この判定は、マルチノズルヘッド40Aによりリカバリされる少なくとも1つの電子回路部品のうち、吸着ミスが発生していない電子回路部品の中で装着順序が最後である電子回路部品について吸着,装着動作が行われたか否かにより行われる。装着ミスが発生した電子回路部品の数が、マルチノズルヘッド40Aが保持する吸着ノズル154の数より多い場合には、S46の判定結果はNOになってルーチンの実行はS32に戻り、残りの電子回路部品について再装着動作が行われる。
【0050】
リカバリが予定された全部の電子回路部品について装着装置18による再装着動作が行われたならば、S46の判定結果がYESになってS47が実行され、リカバリ時に吸着ミスおよび装着ミスが発生したか否かが判定される。この判定は、集約リカバリ制御用の装着ミスデータメモリに装着ミスデータが記憶されているか否かにより行われる。装着ミスデータが記憶されていなければ、リカバリが必要な全部の電子回路部品が回路基板32に装着されたのであり、S47の判定結果はNOになる。装着ミスデータが記憶されていれば、リカバリ動作中にも装着ミスが発生したのであり、S47の判定結果がYESになってS31が実行され、再度、装着ミスが発生した電子回路部品について装着順序が決定され、装着し直される。リカバリの必要な全部の電子回路部品が回路基板32に装着されたならば、S47の判定結果はNOになってS48が実行され、リカバリ時ではない通常の電子回路部品の装着時に使用される装着ミスデータメモリおよび集約リカバリ制御用の装着ミスデータメモリがクリアされ、集約リカバリ制御ルーチンが終了するとともに、マルチノズルヘッドによる電子回路部品の装着制御ルーチンが終了し、ルーチンの実行は装着制御ルーチンのS4に戻る。RAM204に装着履歴メモリを設け、装着ミスデータメモリに記憶させられた装着ミスデータを記憶させ、保存しておいてもよい。また、マルチノズルヘッド40がヘッド保持装置44に保持された後、初めて装着ミスデータメモリに装着ミスデータが記憶させられる際に、装着ミスデータメモリがクリアされるようにし、S48は省略してもよい。
【0051】
図7に示す装着制御ルーチンのS4においては、1枚の回路基板32への電子回路部品の装着が終了したか否かが判定される。この判定は、例えば、1枚の回路基板32について最後に電子回路部品の装着を行うシングルノズルヘッド42Bによる電子回路部品の装着が終了したか否かにより行われ、終了していなければ、S4の判定結果はNOになってルーチンの実行はS1に戻る。シングルノズルヘッド42Bによる電子回路部品の装着が終了したか否かは、例えば、装着プログラムの進行状況によりわかる。そして、次に電子回路部品の装着を行うノズルヘッドがマルチノズルヘッドであるか否かが判定される。ここでは、マルチノズルヘッド40Aの次にマルチノズルヘッド40Bにより電子回路部品の装着が行われるため、S1の判定結果がYESになってS2が実行され、マルチノズルヘッド40Bの使用による電子回路部品の装着が図8に示すフローチャートに従って行われる。
【0052】
マルチノズルヘッド40Bによる電子回路部品の装着の場合にも、装着ミスが発生すれば、集約リカバリが行われ、装着ミスが発生した電子回路部品の装着がやり直される。マルチノズルヘッド40Bによる電子回路部品の装着が終了した状態では、まだ、回路基板32に装着される電子回路部品が残っているため、装着制御ルーチンのS4の判定結果がNOになってS1が実行される。マルチノズルヘッド40Bの次には、シングルノズルヘッド42Aによって電子回路部品の装着が行われるため、S1の判定結果がNOになってS3が実行され、シングルノズルヘッド42Aによる電子回路部品の回路基板32への装着が行われる。
【0053】
シングルノズルヘッド42Aによる電子回路部品の回路基板32への装着は、図10に示すシングルノズルヘッドによる電子回路部品の装着制御ルーチンに従って行われる。まず、S71が実行され、ヘッド保持装置44がノズルヘッド収納装置20へ移動させられてマルチノズルヘッド40Bをノズルヘッド収納装置20に収納し、シングルノズルヘッド42Aを保持する。
【0054】
次いでS72が実行され、部品装着プログラムから吸着データが読み出され、ヘッド保持装置44はフィーダ型部品供給装置12あるいはトレイ型部品供給装置14へ移動させられ、シングルノズルヘッド42Aが電子回路部品を吸着し、受け取る。トレイ型部品供給装置14において部品供給位置へ移動させられたトレイの水平面内における位置は設計上、得られ、また、トレイにおける電子回路部品の残数管理および電子回路部品が取り出された収容凹部の位置管理により、シングルノズルヘッド42Aが移動させられて電子回路部品を取り出す収容凹部が決められる。
【0055】
電子回路部品の吸着後、S73が実行され、ヘッド保持装置44が基板保持装置16へ移動させられるが、その途中で部品撮像システム180に至り、吸着ノズル144に保持された電子回路部品がCCDカメラ184により撮像される。そして、撮像データが画像処理コンピュータ214により処理され、取得された電子回路部品の画像データに基づいて、電子回路部品の保持位置誤差,保持姿勢,保持の有無,欠損の有無が検出される。次いでS74が実行され、吸着ミスがあるか否かが判定される。この吸着ミスは、マルチノズルヘッド40Aによる電子回路部品の装着時における吸着ミスと同じであり、画像データに基づいて判定される。
【0056】
吸着ミスがなければ、S74の判定結果はNOになってS78が実行され、ヘッド保持装置44が回路基板32へ移動させられて電子回路部品を装着する。吸着ミスがあれば、S74の判定結果がYESになってS75が実行され、部品装着プログラムのうち、部品吸着データを装着順序に従って読み出すためのデータ、例えば、カウンタが設けられ、そのカウント値であって、読み出し毎に1、増加させられるカウント値が電子回路部品1個分、戻され、吸着ミスが発生した電子回路部品について再度、部品吸着データが読み出され、吸着動作が行われるようにされる。そして、S76が実行され、吸着ミスが発生した電子回路部品のミス部品収容箱への投棄が必要であるか否かが判定される。この判定は吸着ミスの内容に基づいて行われる。吸着ミスが、吸着ノズル144により電子回路部品が吸着されている状態で発生するミスであれば、その電子回路部品の投棄が必要であり、S76の判定結果がYESになってS77が実行され、ヘッド保持装置44がミス部品収容箱へ移動させられて電子回路部品を投棄する。その後、S72が実行され、再度、電子回路部品の吸着が行われる。電子回路部品の投棄が不要であれば、S76の判定結果がNOになってS72が実行される。吸着ミスが発生した場合、その直後に吸着がやり直され、即時リカバリされるのである。
【0057】
シングルノズルヘッド42Aが吸着ミスなく電子回路部品を吸着したならば、S78が実行され、電子回路部品が回路基板32に装着される。部品装着データが読み出され、シングルノズルヘッド42Aが部品装着箇所上へ移動させられて電子回路部品を装着するのであり、この際、吸着ノズル144による保持位置誤差等が修正される。装着後、S79が実行され、マーク撮像システム182が部品装着箇所上へ移動させられて部品装着箇所を撮像する。そして、撮像データが画像処理コンピュータ214により処理され、それにより得られる画像データに基づいてS80が実行され、装着ミスがあるか否か、すなわち部品装着箇所に電子回路部品が装着されていないかが判定される。部品装着箇所に電子回路部品が装着されていなければ、装着ミスの発生であり、S80の判定結果がYESになってS81が実行され、部品装着プログラムが電子回路部品1個分、戻され、装着ミスが発生した電子回路部品について再度、吸着,装着動作が行われるようにされた後、S82が実行され、電子回路部品がミス部品収容箱に投棄される。この場合、電子回路部品は吸着ノズル144により吸着され、吸着ノズル144が装着動作を行ったものの装着されず、吸着ノズル144についてきてしまったのであり、投棄が必要であるからである。S82の実行後、S72が実行され、装着ミスが発生した電子回路部品について再度、吸着,装着がやり直され、即時にリカバリされる。
【0058】
装着ミスがなければ、S80の判定結果がNOになってS83が実行され、シングルノズルヘッド42Aについて予定された全部の電子回路部品が装着されたか否かが判定される。この判定は、例えば、装着データの読出しが、シングルノズルヘッド42Aによる装着が予定された電子回路部品のうちの最後の電子回路部品について行われ、その電子回路部品が装着ミスなく装着されたか否かにより行われる。予定された全部の電子回路部品がまだ装着されていなければ、S83の判定結果はNOになってS72が実行され、次の電子回路部品がシングルノズルヘッド42Aにより回路基板32に装着される。
【0059】
シングルノズルヘッド42Aについて予定された全部の電子回路部品が回路基板32に装着されたならば、S83の判定結果がYESになり、シングルノズルヘッド42Aによる電子回路部品の装着が終了する。そして、装着制御ルーチンのS4が実行され、1枚の回路基板32への電子回路部品の装着が終了したか否かが判定されるが、この判定結果はNOであり、S1が実行される。次にシングルノズルヘッド42Bによる電子回路部品の装着が行われるため、S1の判定結果はNOになってS3が実行され、シングルノズルヘッド42Bによる電子回路部品の回路基板32への装着が行われる。この装着は、図10に示すフローチャートに従って、シングルノズルヘッド42Aによる電子回路部品の装着と同様に行われ、吸着ミスや装着ミスが発生すれば、直ちに吸着,装着がやり直される。
【0060】
シングルノズルヘッド42Bによる電子回路部品の装着が終了すれば、S4の判定結果がYESになってS5が実行され、所定枚数の回路基板32への電子回路部品の装着が終了したか否かが判定される。予定された枚数の回路基板32への電子回路部品の装着が終了するまで、S5の判定結果はNOになる。そして、電子回路部品の装着が済んだ回路基板32が搬出され、次に電子回路部品が装着される回路基板32が搬入され、基板保持装置16により保持されたならば、S1〜S4が実行され、4つのノズルヘッド40A,40B,42A,42Bにより順次、電子回路部品が装着される。予定された枚数の回路基板32への電子回路部品の装着が終了すれば、S5の判定結果がYESになってルーチンの実行が終了する。
【0061】
以上の説明から明らかなように、本電子回路部品装着システムにおいては、ヘッド昇降装置48が接近離間装置を構成し、制御装置22のS74,S75,S72を実行する部分が即時リカバリ制御部を構成し、S28を実行する部分が構成変更前集約リカバリ制御部としてのヘッド変更前集約リカバリ制御部たるヘッド交換前集約リカバリ制御部を構成し、マルチノズルヘッド40による電子回路部品の装着制御ルーチンにおいて集約リカバリが行われ、シングルノズルヘッド42による電子回路部品の装着制御ルーチンにおいて即時リカバリが行われるルーチンの構成がリカバリ制御選択部としてのヘッド種対応選択部を構成している。また、制御装置22のS11,S71を実行する部分が構成変更制御部としてのヘッド変更制御部を構成し、S31を実行する部分がリカバリ順序決定部を構成し、S13,S20,S33,S40,S73,S79を実行する部分が部品撮像システム180およびマーク撮像システム182と共に装着ミス検出部を構成している。
【0062】
なお、マルチノズルヘッドについて予定された複数回の装着作業のうち、最後の回の装着作業における電子回路部品の装着数が、マルチノズルヘッドが保持可能な電子回路部品の最大数より少ない場合には、空いている吸着ノズルについてリカバリを行わせ、予定された電子回路部品の装着とリカバリとが同時に行われるようにしてもよい。
【0063】
また、マルチノズルヘッドにより電子回路部品を装着する際に電子回路部品をトレイ型部品供給装置から受け取る場合、集約リカバリの必要が生じ、装着順序を決める際には、部品供給位置にあるトレイの位置が考慮される。例えば、トレイは複数の収容凹部を備え、それら収容凹部の各々が部品供給部であることとなるが、既に電子回路部品が取り出されて空の収容凹部もあるため、トレイについて設定された基準位置(例えば、トレイの基板保持装置側の端部のうち、幅方向の中央位置あるいはトレイ全体の中央位置)を代表的にトレイの位置としてヘッド保持装置の移動距離が算出され、装着順序の決定に供される。
【0064】
また、簡単のために、保持する複数の吸着ノズルの種類がすべて同じであるマルチノズルヘッドによる電子回路部品の装着およびリカバリを例に取って説明したが、複数種類の吸着ノズルを保持したマルチノズルヘッドにより電子回路部品の装着およびリカバリが行われる場合には、例えば、装着が割り当てられた電子回路部品の種類に応じて吸着ノズルの種類の組合わせが決められる。部品装着プログラムは、電子回路部品毎に吸着ノズルの種類を規定するデータを含み、電子回路部品は設定された種類の吸着ノズルにより回路基材に装着され、リカバリされる。
【0065】
さらに、集約リカバリは、回路基材の1枚に対する電子回路部品の装着作業の途中に、マルチノズルヘッドが保持する吸着ノズルが別の吸着ノズルと交換される場合、その交換の直前に行われるようにしてもよい。この場合、電子回路部品装着システムは吸着ノズルの自動交換機能を備えたシステムとされる。例えば、特開2004−311599公報に記載されているように、電子回路部品装着システムは複数の吸着ノズルを収納するノズルストッカを備え、マルチノズルヘッドのノズル保持部および吸着ノズルは、ノズルストッカとの間において吸着ノズルの交換が自動的に行われる構成とされる。
マルチノズルヘッドは複数種類の吸着ノズルを保持し、電子回路部品の装着作業の進行に伴い、電子回路部品の種類に応じて一部の種類の吸着ノズルが交換される。部品装着プログラムにおいて電子回路部品の各々について、電子回路部品を装着する吸着ノズルの種類が設定され、それに合わせてマルチノズルヘッドが保持する吸着ノズルの種類の組合わせが設定されるとともに、電子回路部品の装着に必要な種類の吸着ノズルがマルチノズルヘッドに保持されていない状態が生じた際に吸着ノズルの交換が行われる。そして、交換される吸着ノズルのみによって装着可能な電子回路部品であって、装着ミスが発生した電子回路部品についてノズル交換前にリカバリが行われる。この際、交換されない吸着ノズルにより装着される電子回路部品であって、装着ミスが発生した電子回路部品が他にあれば、同時にリカバリが行われるようにしてもよい。
【0066】
また、集約リカバリは、回路基材の1枚に対する電子回路部品の装着作業の途中に、トレイ型部品供給装置のトレイが交替させられるとき、その交替の直前に行われるようにしてもよい。前記トレイ型部品供給装置14のように、ストッカに上下方向に設けられた複数のトレイ収容部にそれぞれトレイが収容され、それらトレイ収容部のうち、電子回路部品を供給するトレイが収容されたものが部品供給高さへ移動させられ、トレイがストッカの外に設定された部品供給位置へ移動させられて電子回路部品を供給する際、トレイ型部品供給装置14により供給される電子回路部品の種類が変わる場合、部品供給位置にあるトレイから供給されることが予定されている電子回路部品のうち、装着ミスとなったものを除くすべての電子回路部品の装着が終了し、トレイが交替させられるとき、集約リカバリが行われ、交替させられるトレイが退避する前に、そのトレイにより供給される電子回路部品であって、装着ミスとなった電子回路部品が回路基材に装着される。
このトレイ交替前集約リカバリは、マルチノズルヘッドがヘッド保持装置に装着されている状態で行われ、トレイ交替のためにリカバリを行う吸着ノズルの他に空いている吸着ノズルがあり、フィーダ型部品供給装置により供給される電子回路部品であって、装着ミスが発生した電子回路部品があれば、一緒にリカバリされるようにしてもよい。
【0067】
さらに、集約リカバリは、マルチノズルヘッドの変更の直前に行われ、装着ミスが発生したマルチノズルヘッドにより行われることは不可欠ではなく、変更後に、変更後のマルチノズルヘッドにより行われてもよい。
例えば、1枚の回路基材への電子回路部品の装着が少なくとも複数のマルチノズルヘッドによって行われ、交換によりマルチノズルヘッドが変更される場合、各マルチノズルヘッドにおける吸着ノズルの種類の組合わせの一部が重複する場合があれば、重複する種類の吸着ノズルにより吸着される電子回路部品については、変更後のマルチノズルヘッドにおいてリカバリすることができる。また、吸着ノズルが吸着し得る電子回路部品の種類は1種類ではなく、複数種類にわたるとともに、異なる種類の吸着ノズルがそれぞれ吸着し得る電子回路部品の種類が一部、重複していることが多い。そのため、変更前のマルチノズルヘッドと、変更後のマルチノズルヘッドとがそれぞれ保持する吸着ノズルの種類が全く異なる場合でも、変更後のマルチノズルヘッドが保持する吸着ノズルにより、変更前のマルチノズルヘッドによる装着が予定された電子回路部品を吸着し、装着することが可能な場合があり、その場合には、変更前のマルチノズルヘッドにおける集約リカバリを阻止し、変更後のマルチノズルヘッドにおいて、そのマルチノズルヘッドによる電子回路部品の装着作業中に発生した装着ミスの集約リカバリと共にまとめてリカバリすることができる。この場合、制御装置は、集約リカバリ阻止部および併合集約リカバリ制御部を含むこととなる。
マルチノズルヘッドの変更が吸着ノズルの交換の場合である場合も同様であり、交換される吸着ノズルによる装着が予定された電子回路部品を、交換後の吸着ノズルあるいは交換されない他の吸着ノズルにより吸着可能であれば、交換後にまとめて行われるようにすることが可能である。
【0068】
トレイ型部品供給装置において電子回路部品を供給するトレイが交替させられる場合にも、トレイ交替前に集約リカバリを行わせず、交替後のトレイにより供給される電子回路部品の装着作業の途中に発生した装着ミスの集約リカバリと共にリカバリされてもよい。このトレイ交替時集約リカバリ阻止および併合集約リカバリは、例えば、複数種類のトレイにそれぞれ複数種類の電子回路部品が収容されるとともに、電子回路部品の種類の一部が共通である場合に可能である。
【符号の説明】
【0069】
12:フィーダ型部品供給装置 14:トレイ型部品供給装置 16:基板保持装置 18:装着装置 22:制御装置 32:回路基板 40:マルチノズルヘッド 42:シングルノズルヘッド 44:ヘッド保持装置 46:ヘッド移動装置 48:ヘッド昇降装置 144,154:吸着ノズル
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路部品装着システムに関するものであり、特に、電子回路部品の回路基材への装着ミスが発生した場合のリカバリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子回路部品装着システムにおいて、吸着ノズルに部品供給装置から電子回路部品を受け取らせ、回路基材に装着させる場合、装着ミスが発生することがある。例えば、吸着ノズルが電子回路部品の吸着動作を行ったにもかかわらず、電子回路部品が吸着されない吸着ミスが発生することがあるのであり、吸着をミスした吸着ノズルは電子回路部品を回路基材に装着することができず、装着ミスが発生する。そのため、下記の特許文献1に記載の電子回路部品装着システムにおいては、吸着ミスが発生した場合、その直後に、吸着をミスした吸着ノズルに再度、電子回路部品の吸着を行わせ、電子回路部品を回路基材に装着させるリカバリが行われるようにされている。
【特許文献1】特開2003−124699公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、装着ミスが発生した場合に直ちにリカバリを行う即時リカバリが好ましくない場合がある。例えば、装着装置が複数の吸着ノズルを保持するマルチノズルヘッドにより電子回路部品を回路基材に装着する場合、吸着ミスが発生する毎に即時リカバリを行っていては装着能率が低下する。マルチノズルヘッドは、複数の吸着ノズルの全部が電子回路部品を吸着した後、基材保持装置へ移動させられ、複数の電子回路部品をまとめて回路基材に装着するのが望ましいのであるが、即時リカバリにおいては、吸着ミスが発生した場合、ミスなく吸着された電子回路部品が回路基材に装着された後、吸着ミスが発生した電子回路部品の吸着,装着がやり直される。そのため、マルチノズルヘッドの部品供給装置と基材保持装置との間の1往復による電子回路部品の装着を1回の装着作業とすれば、吸着ミスの発生した装着作業回数が多いほど、マルチノズルヘッドのリカバリのための余分な往復回数が増え、生産能率が低下する。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、生産能率の低下を抑えつつ、装着ミスが発生した電子回路部品のリカバリを行うことができる電子回路部品装着システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題は、(A)回路基材を保持する基材保持装置と、(B)その回路基材に装着されるべき電子回路部品を供給する部品供給装置と、(C)それぞれ電子回路部品を吸着して保持する複数の吸着ノズルを保持するマルチノズルヘッドを備え、そのマルチノズルヘッドの複数の吸着ノズルの各々によって前記部品供給装置から電子回路部品を受け取って前記基材保持装置に保持された回路基材に装着する装着装置と、(D)少なくともその装着装置を制御する制御装置とを含む電子回路部品装着システムにおいて、前記制御装置を、(a)前記マルチノズルヘッドにより前記回路基材の1枚に対して装着作業が行われている途中で、前記装着装置に、前記マルチノズルヘッドの別のノズルヘッドとの交換、あるいは前記マルチノズルヘッドに保持されている吸着ノズルの少なくとも1つの別の吸着ノズルとの交換によるヘッド変更を行わせるヘッド変更制御部と、(b)そのヘッド変更制御部によるノズルヘッドの変更の直前に、変更前のマルチノズルヘッドによる装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものの再度の装着動作を集中的に行う集約リカバリを前記装着装置に行わせるヘッド変更前集約リカバリ制御部とを含むものとすることにより解決される。
回路基材には、例えば、回路基板であるプリント配線板,一方の面に電子回路部品が搭載されるとともに電気的に接合され、他方の面には電子回路部品が未装着であるプリント回路板,ベアチップが搭載され、チップ付基板を構成する基材,ボールグリッドアレイを備えた電子回路部品が搭載される基材等が含まれる。
装着ミスには、例えば、装着装置が吸着ノズルにより電子回路部品の受取り,装着を行う場合、例えば、吸着ノズルが電子回路部品を吸着できなかったこと、吸着ノズルが電子回路部品を吸着できたが、回路基材に装着できないほどの保持位置誤差があること、吸着ノズルが吸着した電子回路部品に欠損があること、吸着ノズルによる電子回路部品の保持姿勢が装着のために設定された姿勢ではないこと等、電子回路部品の吸着時に発生するミスである吸着ミスや、吸着ノズルが電子回路部品を吸着し、回路基材への装着動作を行ったが、電子回路部品が吸着ノズルについて来てしまい、回路基材に装着されなかったこと等、電子回路部品の装着時に発生するミスが含まれる。吸着ミスは、例えば、部品供給装置からの電子回路部品の受取り後、吸着ノズルに保持された電子回路部品を撮像装置によって撮像することにより検出することができる。装着ミスは、例えば、電子回路部品の回路基材への装着動作の終了後、回路基材の部品装着箇所を撮像装置によって撮像することにより検出することができる。
【発明の効果】
【0005】
上記のように、電子回路部品装着システムの制御装置を、それぞれ電子回路部品を吸着して保持する複数の吸着ノズルを保持するマルチノズルヘッドにより回路基材の1枚に対して装着作業が行われている途中で、装着装置に、マルチノズルヘッドの別のノズルヘッドとの交換、あるいは前記マルチノズルヘッドに保持されている吸着ノズルの少なくとも1つの別の吸着ノズルとの交換によるヘッド変更を行わせるヘッド変更制御部と、そのヘッド変更制御部によるノズルヘッドの変更の直前に、変更前のマルチノズルヘッドによる装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものの再度の装着動作を集中的に行う集約リカバリを前記装着装置に行わせるヘッド変更前集約リカバリ制御部とを含むものとすれば、一旦変更されたマルチノズルヘッドを前のマルチノズルヘッドに戻すことなく、装着ミスが発生した電子回路部品のリカバリを行うことができるため、生産能率の低下を抑えつつリカバリを行うことができる。
【発明の態様】
【0006】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0007】
なお、以下の各項において、(13項が請求項1に相当し、(14)項が請求項2に、(15)項が請求項3に、それぞれ相当する。
【0008】
(1)回路基材を保持する基材保持装置と、その回路基材に装着されるべき電子回路部品を供給する部品供給装置と、その部品供給装置から電子回路部品を受け取って前記基材保持装置に保持された回路基材に装着する装着装置と、少なくともその装着装置を制御する制御装置とを含む電子回路部品装着システムであって、前記制御装置が、
前記電子回路部品の前記回路基材への装着ミスが発生した場合にその直後にその装着されなかった電子回路部品の再度の装着動作を行う即時リカバリを前記装着装置に行わせる
即時リカバリ制御部と、
前記電子回路部品の前記回路基材への装着ミスが発生した場合に、予め定められた条件が成立した時にその時点までに発生した装着ミスにより装着されなかった電子回路部品の再度の装着動作を集中的に行う集約リカバリを前記装着装置に行わせる集約リカバリ制御部と、
前記即時リカバリ制御部と前記集約リカバリ制御部とを自動で選択するリカバリ制御選択部と
を含む電子回路部品装着システム。
(2)当該電子回路部品装着システムが、前記装着装置のヘッド保持装置に、複数の吸着ノズルを保持するマルチノズルヘッドと単一の吸着ノズルを保持するシングルノズルヘッドとを選択的に取り付け可能なものであり、前記リカバリ制御選択部が、前記装着装置のヘッド保持装置に前記シングルノズルヘッドが装着されている状態では前記即時リカバリ制御部を選択し、前記マルチノズルヘッドが装着されている状態では前記集約リカバリ制御部を選択するヘッド種対応選択部を含む(1)項に記載の電子回路部品装着システム。
シングルノズルヘッドは、1回の装着動作毎に電子回路部品を1個ずつ回路基材に装着する。したがって、装着ミスが発生した場合、即時リカバリを行っても、集約リカバリを行っても、部品供給装置および基材保持装置に対するリカバリのための相対往復移動の回数は同じであり、生産能率の低下の程度は同じであるが、即時リカバリを行えば、電子回路部品の装着順序が入れ替わらずに済む利点がある。また、シングルノズルヘッドによる回路基材への電子回路部品の装着作業の途中で、吸着ノズルの交換や電子回路部品を供給するトレイの交替が必要となっても、リカバリが済んだ状態でそれらが行われることとなり、吸着ノズルの交換やトレイの交替の影響を受けることなく、リカバリを行うことができる。
マルチノズルヘッドは複数の吸着ノズルを保持し、複数の電子回路部品を同時に保持することができる。したがって、装着ミスが発生した複数の電子回路部品をまとめてリカバリすることができ、リカバリのための作業回数が装着ミスが発生した装着作業回数より少なくて済み、装着ミスが発生する毎にリカバリが行われる即時リカバリに比較して生産能率の低下を抑制しつつ、リカバリを行うことができる。
本項に記載の電子回路部品装着システムにおいては、1枚の回路基材への電子回路部品の装着は、少なくとも1つのマルチノズルヘッドと少なくとも1つのシングルノズルヘッドとの少なくとも一方により行われ、種々の態様で行われるが、いずれの場合にもリカバリ制御選択部によるリカバリ制御部の選択により、自動的に、生産能率の低下が少なくて済むリカバリが行われる。
(3)前記集約リカバリ制御部における前記予め定められた条件が、少なくとも、前記装着ミスが発生した回路基材に装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものを除くすべての電子回路部品の装着が終了することを含む(2)項に記載の電子回路部
品装着システム。
回路基材は、装着が予定されている全部の電子回路部品の装着が終了すれば、基板保持装置による保持が解除され、装着装置の外へ出される。一旦、装着装置の外へ出された回路基材を再度、同じ電子回路部品装着システムに戻してリカバリを行うことは、生産能率を低下させるため、その低下を抑制するためには、1枚の回路基材について発生した装着ミスは、その回路基材が外へ出される前にリカバリされることが望ましく、本項に記載の電子回路部品装着システムによれば、その要求が満たされる。
予め定められた条件が、装着ミスが発生した回路基材に装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものを除くすべての電子回路部品の装着が終了することのみであれば、1枚の回路基材への電子回路部品の装着の途中では集約リカバリは行われない。そのため、1枚の回路基材への電子回路部品の装着が複数のノズルヘッドにより行われる場合、回路基材への装着が予定されている電子回路部品のうち、装着ミスとなった電子回路部品を除くすべての電子回路部品の装着終了時に、集約リカバリを行う必要のあるノズルヘッドがヘッド保持装置に保持されていなければ、現にヘッド保持装置に保持されて
いるノズルヘッドと交換して電子回路部品の再度の装着を行わせることが必要となる。その場合でも、装着ミスが発生した複数の電子回路部品についてまとめて再装着が行われる分、生産能率低下の抑制効果が得られる。
本項に記載の特徴は、(1)項においても採用可能である。
(4)前記集約リカバリ制御部における前記予め定められた条件が、少なくとも、前記装着ミスが発生した際に前記ヘッド保持装置に装着されている前記マルチノズルヘッドによる装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものを除くすべての電子回路部品の装着が終了することを含む(2)項または(3)項に記載の電子回路部品装着システム。
1枚の回路基材への電子回路部品の装着が複数のノズルヘッドにより行われ、マルチノズルヘッドの変更を伴う場合、装着ミスが発生した際にヘッド保持装置に装着されているマルチノズルヘッドによる装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものを除くすべての電子回路部品の装着が終了したときに、次のノズルヘッドと交換される前に、ヘッド保持装置に保持されているマルチノズルヘッドによる集約リカバリが行われる。
本(4)項が(3)項に従属する態様においては、1枚の回路基材への電子回路部品の装着作業が複数のマルチノズルヘッドを用いて行われ、それら複数のマルチノズルヘッドのうち1枚の回路基材に対する装着作業の最後に使用されるものが装着ミスを発生した場合や、1枚の回路基材に対する装着作業の全部が同じマルチノズルヘッドにより行われる場合には、(3)項の条件と(4)項の条件とが同時に満たされる。したがって、この場合には、どちらの条件が満たされることにより集約リカバリが行われると考えても実質的な違いはない。それに対して、1枚の回路基材に対する装着作業が複数のマルチノズルヘッドを用いて行われ、装着ミスを発生したマルチノズルヘッドが最後に使用されるものでない場合には、(4)項の条件が(3)項の条件より前に満たされ、(4)項の条件が満たされることにより集約リカバリが行われることとなる。
(5)前記制御装置が、前記回路基材の1枚に対する電子回路部品の装着作業の途中に、前記装着装置に、前記ヘッド保持装置に装着されている前記マルチノズルヘッドを別のマルチノズルヘッドあるいは前記シングルノズルヘッドに変更させるヘッド変更制御部を含み、かつ、前記集約リカバリ制御部が、そのヘッド変更制御部によるヘッドの変更の直前に、変更前のマルチノズルヘッドによる装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものの再度の装着動作を前記装着装置に集中的に行わせるヘッド変更前集約リカバリ制御部を含む(2)項または(3)項に記載の電子回路部品装着システム。
マルチノズルヘッドは、1つずつの吸着ノズルをそれぞれ保持するノズル保持部の数と保持可能な吸着ノズルの種類との少なくとも一方が異なる場合に種類が異なるとすることも、現実に保持されている吸着ノズルの組合わせが異なる場合に種類が異なるとすることもできる。前者の場合には「マルチノズルヘッドの変更」が、必然的に、マルチノズルヘッドを別のマルチノズルヘッドと交換することを意味し、後者の場合には、マルチノズルヘッドに保持されている吸着ノズルの少なくとも1つを別の吸着ノズルと交換することと、保持している吸着ノズルの少なくとも1つが異なる別のマルチヘッドと交換することとのいずれかを意味することとなる。
マルチノズルヘッドの変更の直前にリカバリを行えば、マルチノズルヘッドは、それの使用による電子回路部品の装着時に装着ミスが発生した電子回路部品を再度装着してから変更されることとなり、後に、リカバリのために再度、装着ミスが発生したマルチノズルヘッドをヘッド保持装置に保持させなくてよく、あるいは装着ミスが発生した吸着ノズルをマルチノズルヘッドに保持させなくてよく、能率良くリカバリを行うことができる。
マルチノズルヘッドの変更がマルチノズルヘッドの交換である場合、集約リカバリ制御部の「予め定められた条件」は、交換されるマルチノズルヘッドによる装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものを除くすべての電子回路部品の装着が終了することであることとなる。
マルチノズルヘッドの変更が吸着ノズルの交換である場合、集約リカバリ制御部の「予
め定められた条件」の一例は、交換される吸着ノズルによる装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものを除くすべての電子回路部品の装着が終了したことである。ただし、集約リカバリの効果を有効に享受できるのは、装着ミスとなった複数の電子回路部品を一緒にマルチノズルヘッドに保持させてリカバリを行う場合であるので、マルチノズルヘッドの変更が吸着ノズルの交換である場合、その交換の対象である吸着ノズルと同一種類の吸着ノズルにより一緒にリカバリできる電子回路部品の数と、装着ミスとなった電子回路部品のうち上記同一種類の吸着ノズルにより装着されるべきものの数とが同じになることを、集約リカバリ制御部の「予め定められた条件」とすることが望ましい。例えば、マルチノズルヘッドに同一種類の吸着ノズルが複数保持されている場合に、それらのうちの一部の交換が行われるからといって直ちに集約リカバリが行われなくてもよいのである。
(6)前記部品供給装置が、
それぞれ同一種類の電子回路部品が複数ずつ収容された複数のトレイと、
それら複数のトレイのいずれかを選択的に部品供給位置に位置させるトレイ選択装置と
を含み、かつ、前記集約リカバリ制御部の予め定められた条件が、前記部品供給位置にあるトレイから供給されることが予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものを除くすべての電子回路部品の装着が終了したことである(2)項ないし(5)項のいずれかに記載の電子回路部品装着システム。
部品供給位置に位置するトレイが部品供給位置から退避させられる前に、そのトレイからの供給が予定されている電子回路部品であって、装着ミスとなった電子回路部品のリカバリがまとめて行われる。リカバリが行われない状態でトレイが部品供給位置から退避させられ、後にリカバリが行われる場合には、リカバリの実行時に、装着ミスが発生したトレイを再度、部品供給位置に位置させることが必要であるが、本項に記載の電子回路部品装着システムによれば、トレイの再度の位置決めが不要であり、リカバリを能率良く行うことができ、生産能率の低下を抑制することができる。
本項に記載の特徴は、(1)項においても採用可能である。
(7)前記集約リカバリ制御部が、再装着動作を行わせるべき電子回路部品が複数ある場合にそれら複数の電子回路部品の再装着動作をできる限り短い時間で行い得る装着順序の決定を行うリカバリ順序決定部を含む(2)項ないし(6)項のいずれかに記載の電子回路部品装着システム。
例えば、再装着される電子回路部品の供給箇所および回路基材における装着箇所の電子回路部品装着システムにおける位置に基づいて、装着ミスが発生した全部の電子回路部品の再装着のために要するノズルヘッドの移動距離が最も短くて済むように装着順序が設定され、リカバリが能率良く行われるようにされる。
本項に記載の特徴は、(1)項においても採用可能である。
(8)前記装着装置が、
前記ヘッド保持装置を前記基材保持装置に保持されている回路基材の表面に平行な平面上の任意の位置へ移動させるヘッド移動装置と、
前記ヘッド保持装置に保持されたヘッドの少なくとも吸着ノズルと、前記基材保持装置とを互いに接近,離間させる接近離間装置と
を含む(2)項ないし(7)項のいずれかに記載の電子回路部品装着システム。
接近離間装置は、吸着ノズルを基材保持装置に接近,離間させる装置とされてもよく、基材保持装置を吸着ノズルに接近,離間させる装置とされてもよく、吸着ノズルおよび基板保持装置ノズルの両方を互いに接近,離間させる装置とされてもよい。
ノズルヘッドの交換が行われる場合、本項に記載のヘッド移動装置に、ヘッド交換のためにヘッド保持装置を移動させるヘッド移動装置を兼ねさせることができ、電子回路部品装着システムを簡易にかつ安価に構成することができる。
(9)回路基材を保持する基材保持装置と、その回路基材に装着されるべき電子回路部品を供給する部品供給装置と、その部品供給装置から電子回路部品を受け取って前記基材保持装置に保持された回路基材に装着する装着装置と、少なくともその装着装置を制御する
制御装置とを含み、かつ、前記装着装置のヘッド保持装置に、複数の吸着ノズルを保持するマルチノズルヘッドを1つ以上を含む複数種類のノズルヘッドを選択的に取り付け可能な電子回路部品装着システムであって、
前記制御装置が、
前記マルチノズルヘッドにより前記回路基材の1枚に対して装着作業が行われている途中で、前記装着装置に、前記ヘッド保持装置に装着されている前記マルチノズルヘッドを別のノズルヘッドに変更させるヘッド変更制御部と、
そのヘッド変更制御部によるノズルヘッドの変更の直前に、変更前のマルチノズルヘッドによる装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものの再度の装着動作を集中的に行う集約リカバリを前記装着装置に行わせるヘッド変更前集約リカバリ制御部と
を含む電子回路部品装着システム。
本項に記載の電子回路部品装着システムは、ヘッド保持装置にマルチノズルヘッドとシングルノズルヘッドとが選択的に取付け可能であることおよび即時リカバリ制御部を有することが不可欠ではない点を除いて、(5)項に記載の電子回路部品装着システムと同様に
説明される。
(10)前記制御装置が、
前記ヘッド変更制御部による前記マルチノズルヘッドの変更時に、その時点までに発生した装着ミスの前記集約リカバリが、変更後のマルチノズルヘッドによっても可能であるか否かを判定し、その集約リカバリが可能であれば、前記ヘッド変更前集約リカバリ制御部に集約リカバリを行わせることなく前記ヘッド変更制御部に前記マルチノズルヘッドの変更を行わせる集約リカバリ阻止部と、
その集約リカバリ阻止部による集約リカバリの阻止後に前記変更後のマルチノズルヘッドによる電子回路部品の装着作業中に発生した装着ミスの集約リカバリと共に、前記ヘッド変更前集約リカバリ制御により行われるべきであった集約リカバリを行う併合集約リカバリ制御部と
を含む (5)項または(9)項に記載の電子回路部品装着システム。
それまでヘッド保持装置に装着されていたマルチノズルヘッドによっては、少なくとも能率良く電子回路部品の装着作業を行い得なくなる場合等には、別のマルチノズルヘッドに交換するか、少なくとも一部の吸着ノズルを別のものと交換するか等により、マルチノズルヘッドの変更を行うことが望ましく、その場合には、原則的に、その時点までに発生している吸着ミスの集約リカバリをヘッド変更前集約リカバリ制御部に行わせることが望ましいのであるが、装着ミスが発生した電子回路部品と変更後のマルチノズルヘッドに保持されている吸着ノズルの種類とによっては、変更後のマルチノズルヘッドによっても能率良く集約リカバリを行うことができる場合がある。その場合には、ヘッド変更前集約リカバリ制御部による集約リカバリを阻止し、その阻止した集約リカバリを、マルチノズル変更後に、併合集約リカバリ制御部に行わせることが望ましい。
(11)回路基材を保持する基材保持装置と、その回路基材に装着されるべき電子回路部品を供給する部品供給装置と、その部品供給装置から電子回路部品を受け取って前記基材保持装置に保持された回路基材に装着する装着装置と、少なくとも前記部品供給装置および前記装着装置を制御する制御装置とを含む電子回路部品装着システムであって、
前記制御装置が、
前記回路基材の1枚に対する電子回路部品の装着作業の途中で、前記部品供給装置と前記装着装置との少なくとも一方の構成を、装着可能な電子回路部品がそれまでとは少なくとも一部において異なる構成に変更することが必要となった場合に、それら部品供給装置と前記装着装置との前記少なくとも一方にその構成変更を行わせる構成変更制御部と、
その構成変更制御部による構成の変更の直前に、変更前の構成による装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものの再度の装着動作を前記部品供給装置および前記装着装置に集中的に行わせる構成変更前集約リカバリ制御部と
を含む電子回路部品装着システム。
前記マルチノズルヘッドの変更は本項における装着装置の構成変更の一例であり、前記部品供給位置にあるトレイの交替は本項における部品供給装置の構成変更の一例である。構成変更後に集約リカバリが行われる場合に、一旦変更された構成が元に戻されることが必要になれば、集約リカバリの能率が低下するため、その事態の発生を回避するために、構成変更の直前に、その時点までに必要になっているリカバリがまとめて行われるようにするのである。
(12)前記制御装置が、
前記構成変更制御部による前記構成の変更時に、その時点までに発生した装着ミスの集約リカバリが、変更後の構成によっても可能であるか否かを判定し、その集約リカバリが可能であれば、前記構成変更前集約リカバリ制御部に集約リカバリを行わせることなく前記構成変更制御部に前記構成の変更を行わせる集約リカバリ阻止部と、
その集約リカバリ阻止部による集約リカバリの阻止後に、前記変更後の構成による電子回路部品の装着作業中に発生した装着ミスの集約リカバリと共に、前記構成変更前集約リカバリ制御部により行われるべきであった集約リカバリを行う併合集約リカバリ制御部と
を含む(11)項に記載の電子回路部品装着システム。
(13)回路基材を保持する基材保持装置と、その回路基材に装着されるべき電子回路部品を供給する部品供給装置と、それぞれ電子回路部品を吸着して保持する複数の吸着ノズルを保持するマルチノズルヘッドを備え、そのマルチノズルヘッドの複数の吸着ノズルの各々によって前記部品供給装置から電子回路部品を受け取って前記基材保持装置に保持された回路基材に装着する装着装置と、少なくともその装着装置を制御する制御装置とを含む電子回路部品装着システムであって、前記制御装置が、
前記マルチノズルヘッドにより前記回路基材の1枚に対して装着作業が行われている途中で、前記装着装置に、前記マルチノズルヘッドの別のノズルヘッドとの交換、あるいは前記マルチノズルヘッドに保持されている吸着ノズルの少なくとも1つの別の吸着ノズルとの交換によるヘッド変更を行わせるヘッド変更制御部と、
そのヘッド変更制御部によるノズルヘッドの変更の直前に、変更前のマルチノズルヘッドによる装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものの再度の装着動作を集中的に行う集約リカバリを前記装着装置に行わせるヘッド変更前集約リカバリ制御部と
を含むことを特徴とする電子回路部品装着システム。
(14)前記制御装置が、
前記ヘッド変更制御部による前記マルチノズルヘッドの変更時に、その時点までに発生した装着ミスの前記集約リカバリが、変更後のマルチノズルヘッドによっても可能であるか否かを判定し、その集約リカバリが可能であれば、前記ヘッド変更前集約リカバリ制御部に集約リカバリを行わせることなく前記ヘッド変更制御部に前記マルチノズルヘッドの変更を行わせる集約リカバリ阻止部と、
その集約リカバリ阻止部による集約リカバリの阻止後に前記変更後のマルチノズルヘッドによる電子回路部品の装着作業中に発生した装着ミスの集約リカバリと共に、前記ヘッド変更前集約リカバリ制御により行われるべきであった集約リカバリを行う併合集約リカバリ制御部と
を含む(13)項に記載の電子回路部品装着システム。
(15)前記装着装置が、
前記マルチノズルヘッドを保持するヘッド保持装置を前記基材保持装置に保持されている回路基材の表面に平行な平面上の任意の位置へ移動させるヘッド移動装置と、
前記ヘッド保持装置に保持された前記マルチノズルヘッドの前記複数の吸着ノズルの各々と、前記基材保持装置とを互いに接近,離間させる接近離間装置と
を含む(13)項または(14)項に記載の電子回路部品装着システム。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】請求可能発明の実施例である電子回路部品装着システムを概略的に示す平面図である。
【図2】上記電子回路部品装着システムの装着装置においてヘッド保持装置がシングルノズルヘッドを保持した状態を示す側面図(一部断面)である。
【図3】上記装着装置においてヘッド保持装置がマルチノズルヘッドを保持した状態を示す側面図(一部断面)である。
【図4】保持する複数の吸着ノズルの種類が互いに異なる2種類のマルチノズルヘッドを概略的に示す図である。
【図5】保持する吸着ノズルの種類が互いに異なる2種類のシングルノズルヘッドを概略的に示す図である。
【図6】上記電子回路部品装着システムの制御装置の構成を概念的に示すブロック図である。
【図7】上記制御装置の主体を成す制御コンピュータのROMに記憶させられた装着制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】上記制御コンピュータのROMに記憶させられたマルチノズルヘッドによる電子回路部品の装着制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】上記制御コンピュータのROMに記憶させられた集約リカバリ制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図10】上記制御コンピュータのROMに記憶させられたシングルノズルヘッドによる電子回路部品の装着制御ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0011】
図1に、請求可能発明の一実施例としての電子回路部品装着システムが概略的に図示されている。本電子回路部品装着システムは、図1に示すように、基材搬送装置としての基板搬送装置10,それぞれ部品供給装置の一種であるフィーダ型部品供給装置12およびトレイ型部品供給装置14,基材保持装置としての基板保持装置16,装着装置18,ノズルヘッド収納装置20および制御装置22(図6参照)を含む。
【0012】
基板搬送装置10は、システム本体としてのベッド30上に設けられ、回路基材としての回路基板32を水平な一方向に搬送して基板保持装置16に搬入し、基板保持装置16から搬出する。基板搬送方向をX軸方向とし、基板保持装置16に保持されている回路基板32の表面である部品装着面に平行な一平面である水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向とする。基板保持装置16は位置を固定して設けられ、図示は省略するが、例えば、回路基板32を下方から支持する基板支持装置と、回路基板32の基板搬送方向に平行な両縁部をそれぞれクランプするクランプ装置とを含み、基板搬送装置10により搬入された回路基板32を水平な姿勢で保持する。
【0013】
フィーダ型部品供給装置12およびトレイ型部品供給装置14は、本電子回路部品装着システムでは、図1に示すように、ベッド30上の、基板搬送装置10に対してY軸方向に隔たった両側にそれぞれ設けられている。フィーダ型部品供給装置12は、部品供給具の一種であるフィーダを複数備えている。複数のフィーダはそれぞれ、各部品供給部がX軸方向に並ぶ状態で設けられ、それぞれ多数の電子回路部品が送り装置により送られ、1個ずつ順次、部品供給部に位置決めされて供給される。
【0014】
前記トレイ型部品供給装置14は多数の収容凹部を有するトレイに電子回路部品を収容して供給する装置である。トレイ型部品供給装置14は種々の態様で構成され、例えば、特開2006−86483公報に記載されているように、複数段のトレイ収容部を備え、昇降可能に設けられたストッカと、ストッカ昇降装置と、ストッカ外トレイ移動装置とを含むものとされる。複数のトレイ収容部にはそれぞれ、複数のトレイが重ねて収容されるとともに、ストッカ内トレイ移動装置により水平方向に移動させられる。ストッカがストッカ昇降装置によって昇降させられることにより、複数のトレイ収容部のうちの1つが、上下方向において設定された部品供給高さに選択的に移動させられる。ストッカ外トレイ移動装置は、この部品供給高さに対応する位置に設けられ、部品供給高さに移動させられたトレイ収容部に収容されたトレイを、ストッカ内トレイ移動装置と共同して水平方向に移動させ、ストッカから送り出して水平方向における部品供給位置へ移動させる。電子回路部品の供給の済んだトレイは、ストッカに戻され、次に電子回路部品を供給するトレイが収容されたトレイ収容部が部品供給高さへ移動させられ、トレイが部品供給位置へ移動させられる。複数のトレイにはそれぞれ、同一種類の電子回路部品が複数ずつ収容される。
【0015】
本装着装置18は、図1ないし図3に示すように、マルチノズルヘッド40,シングルノズルヘッド42,ヘッド保持装置44,ヘッド移動装置46,接近離間装置たるヘッド昇降装置48およびヘッド回転装置50を含む。ヘッド移動装置46は、図1に示すように、X軸方向移動装置54およびY軸方向移動装置56を含む。X軸方向移動装置54は、可動部材としてのX軸スライド60とX軸スライド移動装置62(図6参照)とを含む。X軸スライド移動装置62は、駆動源たるX軸移動用モータ64(図6参照)と、ボールねじおよびナットを含む送りねじ機構66(図6参照)とを含む。Y軸方向移動装置56はX軸スライド60上に設けられ、可動部材としてのY軸スライド70とY軸スライド移動装置72(図6参照)とを含む。Y軸スライド移動装置72は、X軸スライド移動装置62と同様に、駆動源たるY軸移動用モータ74(図6参照)と送りねじ機構76(図6参照)とを含む。X軸移動用モータ64およびY軸移動用モータ74は、例えば、電動モータの一種であるエンコーダ付サーボモータにより構成される。サーボモータは、回転角度の正確な制御が可能な電動回転モータであり、サーボモータに代えてステップモータを用いてもよい。リニアモータを用いてもよい。
【0016】
図2に示すように、Y軸スライド70に前記ヘッド保持装置44,ヘッド昇降装置48およびヘッド回転装置50が設けられ、Y軸スライド70の移動により、ヘッド保持装置44が水平面上の任意の位置へ移動させられる。これらヘッド保持装置44,マルチノズルヘッド40およびシングルノズルヘッド42等は、未だ公開されていないが、本出願人の出願に係る特願2005−075397の明細書に記載の電子回路部品保持装置と同様に構成されており、簡単に説明する。
【0017】
ヘッド保持装置44は、図2に示すように、装置本体たる軸状部材80および軸状部材80の下端部に一体的に設けられたヘッド保持部82とを含む。軸状部材80は、横断面形状が円形を成し、外周面にスプライン84が設けられたスプライン軸部材である。ヘッド保持部82は、横断面形状が円形を成し、軸状部材80より大きい直径を有する。
【0018】
ヘッド回転装置50は、Y軸スライド70に鉛直軸線まわりに回転可能に保持された回転部材としての回転体86と、回転部材駆動装置としての回転体駆動装置88とを含む。回転体駆動装置88は回転用モータ90(図6参照)を駆動源とし、その回転が回転体86に固定のギヤ92等を含む回転伝達装置により回転体86に伝達され、回転体86が鉛直軸線まわりに回転させられる。回転用モータ90は、例えば、エンコーダ付サーボモータにより構成される。回転体86は円筒状を成し、その内周面に設けられたスプライン94に軸状部材80のスプライン84が軸方向に相対移動可能かつ相対回転不能に嵌合され、回転体86の回転により軸状部材80およびヘッド保持部82が鉛直軸線まわりに正逆両方向に任意の角度回転させられる。
【0019】
前記ヘッド昇降装置48は、図2に示すように、Y軸スライド70に昇降可能に設けられた昇降部材100と、駆動源としての昇降用モータ102(図6参照)と、Y軸スライド70に軸方向に相対移動不能かつ鉛直軸線まわりに回転可能に設けられたねじ軸としてのボールねじ104および昇降部材100に固定のナット106を含む送りねじ機構108とを含む。昇降用モータ102は、例えば、エンコーダ付サーボモータにより構成される。軸状部材80の上部は、昇降部材100により相対回転可能かつ軸方向に相対移動不能に保持されており、ボールねじ104が昇降用モータ102により回転させられ、昇降部材100が昇降させられることによりヘッド保持装置44が昇降させられる。
【0020】
軸状部材80内には、その軸線上に通路110が設けられるとともに、その外側に円環状通路112が設けられ、円環状通路112は負圧ポンプ等の負圧源120に接続されている。負圧源120から円環状通路112への負圧の供給は、開閉装置122により許容,遮断される。以後、円環状通路112を負圧供給通路112と称する。
【0021】
通路110は、コンプレッサ等の正圧源124および前記負圧源120に接続されている。通路110への正圧の供給と負圧の供給とは切換装置126により切り換えられ、正圧と負圧とが択一的に供給される。切換装置126により、通路110が大気に開放された状態も得られる。以後、通路110を正圧・負圧供給通路110と称する。
【0022】
前記ヘッド保持部82は、図2に示すように、その軸線に直角な一平面状を成し、水平で下向きの吸着面130を備えている。ヘッド保持部82には、吸着面130に開口し、その軸線を中心線とする円環状の負圧室用凹部132が形成され、通路134により負圧供給通路112に連通させられている。正圧・負圧供給通路110の下端部は、吸着面130に開口させられている。
【0023】
前記マルチノズルヘッド40およびシングルノズルヘッド42はいずれも、ヘッド保持装置44によって負圧により吸着されて保持され、昇降,回転させられる。シングルノズルヘッド42は、図2に示すように、ヘッド本体138および被保持部140を含む。ヘッド本体138はノズル保持部(図示省略)を備え、負圧により電子回路部品142を吸着する部品保持具たる吸着ノズル144を1つ、保持する。被保持部140は、横断面形状が円形の円板状を成し、その軸線に直角で一平面状の被吸着面146を備えている。シングルノズルヘッド42は、被吸着面146が吸着面130に密着させられ、負圧室用凹部132が塞がれてヘッド吸着用負圧室148が形成され、負圧供給通路112からヘッド吸着用負圧室148に供給される負圧によりシングルノズルヘッド42がヘッド保持装置44により吸着され、保持される。シングルノズルヘッド42は、ヘッド保持装置44がヘッド昇降装置48,ヘッド回転装置50によって昇降,回転させられることにより昇降,回転させられ、部品供給装置12,14,基板保持装置16に接近,離間させられて電子回路部品を受け取り、回路基板32に装着する。シングルノズルヘッド42がヘッド保持装置44により保持された状態では、正圧・負圧供給通路110がヘッド本体138に連通させられ、電子回路部品の吸着時には吸着ノズル144に負圧が供給され、電子回路部品の回路基板32への装着時には負圧の供給が断たれるとともに正圧が供給され、電子回路部品を迅速に開放するようにされる。
【0024】
マルチノズルヘッド40は、図3に示すように、ヘッド本体150,被保持部152,複数のノズル保持部153,部品保持具たる吸着ノズル154,ノズル保持部153の各々について設けられたバルブ装置156およびノズル昇降装置157を備えている。被保持部152は、その軸線に直角で一平面状の被吸着面158を備えており、シングルノズルヘッド42と同様に、被吸着面158が吸着面130に密着させられてヘッド吸着用負圧室148が形成され、負圧供給通路112からヘッド吸着用負圧室148に供給される負圧によってマルチノズルヘッド40がヘッド保持装置44により吸着され、保持される。
【0025】
マルチノズルヘッド40がヘッド保持装置44により保持された状態では、正圧・負圧供給通路110および負圧供給通路112がそれぞれ、マルチノズルヘッド40内の通路に連通させられ、バルブ装置156の切換えにより、電子回路部品の吸着時には吸着ノズル154に負圧が供給され、装着時には負圧の供給が断たれるとともに正圧が供給される。バルブ装置156の切換えは、マルチノズルヘッド40の昇降に伴ってバルブ切換装置160により行われる。バルブ切換装置160は、複数のバルブ装置156を個々に負圧供給状態と、正圧供給状態とに切り換えるように構成される。また、リセット装置162が設けられ、複数のバルブ装置156が一斉にリセットされ、吸着ノズル154に負圧も正圧も供給しない状態に復帰させられる。さらに、マルチノズルヘッド40の昇降に伴ってノズル昇降装置157が作動させられ、吸着ノズル154をヘッド本体150に対して昇降させ、複数の吸着ノズル154のうち、電子回路部品の吸着,装着を行う吸着ノズル154が、その他の吸着ノズル154に対して選択的に昇降させられる。そのため、ヘッド昇降装置48によってマルチノズルヘッド40が昇降させられるとき、その昇降に伴って選択された吸着ノズル154が部品供給装置12,14あるいは基板保持装置16に接近,離間させられ、電子回路部品を受け取り、あるいは吸着した電子回路部品を回路基板32に装着する。これらバルブ装置156,ノズル昇降装置157,バルブ切換装置160およびリセット装置162も前記特願2005−075397の明細書に記載されており、詳細な説明は省略する。
【0026】
前記ノズルヘッド収納装置20は、図1に概略的に示すように、複数のヘッド収納部170を備え、複数種類のマルチノズルヘッド40および複数種類のシングルノズルヘッド42が収納されている。マルチノズルヘッド40は、例えば、図4(a),(b)に概略的に示すマルチノズルヘッド40Aおよび40Bのように、保持する吸着ノズル154の種類を互いに異にすることにより種類を異にする。吸着ノズル154の種類は、例えば、吸着ノズル154の吸着管172の直径を異にすることにより異ならされる。マルチノズルヘッド40Aが保持する複数の吸着ノズル154の種類は全部同じであり、マルチノズルヘッド40Bが保持する複数の吸着ノズル154の種類は全部同じであるが、複数種類の吸着ノズル154を保持するマルチノズルヘッド40もある。シングルノズルヘッド42も同様に、図5(a),(b)に概略的に示すシングルノズルヘッド42A,42Bのように、保持する吸着ノズル144の吸着管174の直径を異にすることにより種類が異ならされる。電子回路部品の装着にマルチノズルヘッド40とシングルノズルヘッド42とのいずれを使用するか、また、いずれの種類のマルチノズルヘッド40あるいはシングルノズルヘッド42を使用するかは、回路基板32に装着される電子回路部品の種類に応じて決められる。ノズルヘッド収納装置20は、前記特願2005−075397の明細書に記載されており、詳細な図示および説明は省略する。
【0027】
さらに、図1に概略的に示すように、X軸スライド60には2組の部品撮像システム180が設けられ、Y軸スライド70にはマーク撮像システム182が設けられている。これら撮像システム180,182はそれぞれ、撮像デバイスとしてのCCDカメラ184,186(図6参照)および照明装置(図示省略)を備えている。
【0028】
前記制御装置22は、図6に示すように、CPU200,ROM202,RAM204およびそれらを接続するバス206を含む制御コンピュータ210を主体とするものであり、入・出力部212には、部品撮像システム180およびマーク撮像システム182の各CCDカメラ184,186の撮像により得られた画像データを処理する画像処理コンピュータ214,エンコーダ付サーボモータのエンコーダ216等が接続されている。入・出力部212にはまた、駆動回路220を介してX軸移動用モータ64等、種々のアクチュエータ等が接続されている。また、ROM202には、図示を省略するメインルーチン,図7にフローチャートで表す装着制御ルーチン,部品装着プログラム等、種々のプログラムおよびデータ等が記憶させられている。
【0029】
次に作動を説明する。
本電子回路部品装着システムにおいて回路基板32への電子回路部品の装着は、マルチノズルヘッド40とシングルノズルヘッド42との少なくとも一方を用いて行われる。いずれのノズルヘッドが電子回路部品の装着に使用される場合でも、装着ミスが発生すれば、装着されなかった電子回路部品の回路基板32への装着をやり直すリカバリが行われる。ヘッド保持装置44にマルチノズルヘッド40が保持されている状態では集約リカバリが行われ、シングルノズルヘッド42が保持されている状態では即時リカバリが行われる。
【0030】
集約リカバリは、電子回路部品の回路基板32への装着ミスが発生した場合に、予め定められた条件が成立した時に、その時点までに発生した装着ミスにより装着されなかった電子回路部品の再度の装着動作を装着装置18に集中的に行わせるリカバリである。本電子回路部品装着システムでは、ノズルヘッドの交換は行われるが、マルチノズルヘッド40についてもシングルノズルヘッド42についても、保持している吸着ノズル144,154の別の吸着ノズル144,154への交換は行われない。また、マルチノズルヘッド40はフィーダ型部品保持装置12からのみ電子回路部品を受け取って回路基板32に装着する。したがって、予め定められた条件は、回路基板32への電子回路部品の装着が、マルチノズルヘッド40を含む複数のノズルヘッドによって行われる場合、マルチノズルヘッド40による装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものを除くすべての電子回路部品の装着が終了することであることとなり、マルチノズルヘッド40の交換の直前に、交換前のマルチノズルヘッド40による装着が予定されている電子回路部品のうち、装着ミスとなったものの再度の装着動作が集中的に行われる。本電子回路部品装着システムにおいて装着ミスは、装着ミスを発生したマルチノズルヘッド40により、そのマルチノズルヘッド40が予定の電子回路部品の装着のためにヘッド保持装置44に保持された状態で行われ、生産能率の低下を抑制しつつリカバリが行われる。1枚の回路基板32への電子回路部品の装着が1つのマルチノズルヘッド40のみにより行われる場合、装着ミスが発生した回路基板32に装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものを除くすべての電子回路部品の装着が終了することが予め定められた条件となる。
【0031】
即時リカバリは、電子回路部品の回路基板32への装着ミスが発生した場合に、その直後にその装着されなかった電子回路部品の再度の装着動作を装着装置18に行わせるリカバリである。したがって、シングルノズルヘッド42の場合、装着ミスが発生すれば、直ちに電子回路部品の装着がやり直しされる。
【0032】
回路基板32への電子回路部品の装着およびリカバリを説明するが、簡単のために、保持する複数の吸着ノズルの種類が同じであるマルチノズルヘッド40による電子回路部品の装着およびリカバリについて、1枚の回路基板32への電子回路部品の装着がマルチノズルヘッド40A,40B,シングルノズルヘッド42A,42Bにより行われる場合を例に取り、図7〜図10に示すフローチャートに基づいて説明する。ノズルヘッドは、マルチノズルヘッド40A,40B,シングルノズルヘッド42A,42Bの順に使用される。なお、マルチノズルヘッド40はフィーダ型部品供給装置12により供給される電子回路部品を回路基板32に装着し、シングルノズルヘッド42はフィーダ型部品供給装置12およびトレイ型部品装置14により供給される電子回路部品を回路基板32に装着する。
【0033】
図7に示す装着制御ルーチンのステップ1(以後、S1と略記する。他のステップについても同じ。)においては、マルチノズルヘッドにより回路基板32への電子回路部品の装着が行われるか否かが判定される。この判定は部品装着プログラムに基づいて行われる。部品装着プログラムは、例えば、回路基板32における部品装着箇所の座標,装着される電子回路部品の種類,装着姿勢,装着順序の各データを含み、電子回路部品がフィーダ
型部品供給装置12により供給されるのであれば、電子回路部品を供給するフィーダの部品供給部の位置データを含む。電子回路部品がトレイ型部品供給装置14により供給されるのであれば、電子回路部品を供給するトレイが収容されたトレイ収容部を指定するデータが含まれる。部品装着プログラムはまた、電子回路部品の装着に使用されるノズルヘッドを設定するデータを含む。1つのノズルヘッドにより設定された装着順序に従って連続して回路基板32に装着される複数の電子回路部品毎にノズルヘッドが設定されており、S1の判定は、部品装着プログラムのノズルヘッド設定データに基づいて行われる。
【0034】
ここでは回路基板32には、まず、マルチノズルヘッド40Aによって電子回路部品が装着されるため、S1の判定結果がYESになってS2が実行され、マルチノズルヘッド40Aによる電子回路部品の回路基板32への装着が行われる。マルチノズルヘッド40Aによる電子回路部品の回路基板32への装着を、図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0035】
まず、S11が実行され、ヘッド保持装置44によりマルチノズルヘッド40Aが保持される。ヘッド保持装置44は、現に保持しているノズルヘッドがマルチノズルヘッド40Aでなければ、ノズルヘッド収納装置20へ移動させられ、現に保持しているノズルヘッドをノズルヘッド収納装置20の空のヘッド収納部170に収納し、マルチノズルヘッド40Aを保持する。また、ヘッド保持装置44がノズルヘッドを保持していなければ、ノズルヘッド収納装置20へ移動させられてマルチノズルヘッド40Aを保持する。ヘッド保持装置44がノズルヘッドを保持しているか否か、および現に保持しているノズルヘッドの種類は、例えば、部品装着プログラムの進行状況に基づいてわかる。ヘッド保持装置44によるマルチノズルヘッド40のヘッド収納装置20への収納および保持の各動作は、前記特願2005−075397の明細書に記載されており、詳細な説明は省略する。
【0036】
ヘッド保持装置44がマルチノズルヘッド40Aを保持したならば、S12が実行され、ヘッド保持装置44はフィーダ型部品供給装置12へ移動させられ、マルチノズルヘッド40Aが保持している全部の吸着ノズル154に電子回路部品を吸着させる。部品装着プログラムから吸着データ、例えば、吸着する電子回路部品の種類,電子回路部品を供給するフィーダの部品供給部の位置が装着順に読み出され、複数の吸着ノズル154は装着順に電子回路部品を吸着する。吸着ノズル154による電子回路部品の保持動作は、前記特願2005−075397の明細書に記載されており、説明を省略する。
【0037】
全部の吸着ノズル154が電子回路部品を吸着したならば、S13が実行され、吸着ノズル154に電子回路部品を回路基板32に装着させるべく、ヘッド保持装置44は基板保持装置16へ移動させられるが、その途中で部品撮像システム180に至り、電子回路部品がCCDカメラ184によって撮像される。ここでは、全部の吸着ノズル154に保持された電子回路部品がCCDカメラ184により同時に一括して撮像される。そして、撮像データが画像処理コンピュータ214により処理され、取得された電子回路部品の画像データに基づいて、複数の電子回路部品についてそれぞれ、保持位置誤差,保持姿勢,保持の有無,欠損の有無が検出される。電子回路部品の保持位置誤差には、吸着ノズル154の移動方向に平行な方向の位置誤差であるX軸,Y軸方向における各位置誤差および回転位置誤差が含まれる。回転位置誤差は、電子回路部品の軸線まわりの位置誤差である。
【0038】
そして、S14が実行され、今回、マルチノズルヘッド40Aにより回路基板32に装着される複数の電子回路部品について吸着ミスが発生したか否かが判定される。ここにおいて吸着ミスは、吸着ノズル154による電子回路部品の保持位置誤差が設定値を超えて大きいこと、吸着ノズル154が電子回路部品を吸着していないこと、電子回路部品に欠損があること、吸着ノズル154による電子回路部品の保持姿勢が予め設定された姿勢ではなく、装着不可能な姿勢であることである。例えば、電子回路部品は、その軸線が吸着管の軸線と平行となる姿勢で保持されることが予定されているのであれば、直角となる姿勢で保持されていれば、装着不可能とされる。
【0039】
これらのうち、いずれかの吸着ミスがあれば、吸着ミスが発生した吸着ノズル154は、電子回路部品を回路基板32に装着することができず、装着ミスが発生する。そのため、S14の判定結果がYESになってS15が実行され、吸着ミスデータがRAM204に設けられた装着ミスデータメモリに記憶させられる。吸着ミスデータには、例えば、吸着ミスが発生した電子回路部品の種類,装着順序,部品装着箇所および吸着ミスの内容が含まれる。例えば、マルチノズルヘッド40Aのうち、吸着開始から何番目の吸着ノズル154について吸着ミスが生じたかにより、吸着ミスが発生した電子回路部品が特定され、種類等がわかる。また、吸着ミスを発生した吸着ノズル154がマルチノズルヘッド40Aにおいて特定され、そのノズル特定データも吸着ミスデータとして、電子回路部品の種類等と共に装着ミスデータメモリに記憶させられる。吸着ノズル154は、その吸着ノズル154を保持するノズル保持部153のマルチノズルヘッド40Aにおける位置により特定される。ノズル保持部153の位置は、例えば、複数のノズル保持部153のうち、基準となるノズル保持部153が設定され、それに対する位置により特定される。
【0040】
次いでS16が実行され、ミス部品収容部材たるミス部品収容箱に投棄する電子回路部品があるか否かが判定される。吸着ノズル154が電子回路部品を吸着していても、保持位置誤差が大きく、回路基板32に装着することができない場合、電子回路部品に欠損がある場合および電子回路部品の保持姿勢が装着不可能な姿勢である場合には、それら電子回路部品は回路基板32に装着することができないため、ミス部品収容箱に投棄されるのである。ミス部品収容箱は、図示は省略するが、ベッド30のヘッド保持装置44の移動領域内に設けられている。吸着ミスデータの内容に基づいてミス部品収容箱に投棄する電子回路部品があるか否かが判定され、あればS16の判定結果がYESになってS17が実行され、RAM204に設けられた投棄部品メモリに投棄部品データが記憶させられる。投棄部品データには、投棄が必要な電子回路部品を保持する吸着ノズル154をマルチノズルヘッド40Aにおいて特定するデータが含まれる。
【0041】
投棄部品データが記憶させられた後、S18以下のステップが実行され、電子回路部品が回路基板32に装着される。吸着ミスがなく、S14の判定結果がNOになった場合、吸着ミスは発生したが、投棄の必要な電子回路部品がなく、S16の判定結果がNOになった場合にも、S18以下のステップが実行される。S18では、部品装着プログラムから部品装着データが読み出される。部品装着データには、例えば、電子回路部品を装着する部品装着箇所の座標データおよび装着姿勢が含まれる。今回、マルチノズルヘッド40Aに保持されて回路基板32に装着される複数の電子回路部品について、装着順序が早い電子回路部品から順に部品装着データが1つずつ読み出され、S19の実行により、その電子回路部品を保持した吸着ノズル154が、ヘッド保持装置44の移動によるマルチノズルヘッド40Aの移動によって部品装着箇所上へ移動させられ、電子回路部品を装着する。なお、吸着ミスが発生した吸着ノズル154は部品装着動作を行わされず、電子回路部品を吸着していても、その電子回路部品は回路基板32に装着されない。S19では、吸着ミスの発生が装着ミスデータメモリに記憶させられている電子回路部品については、その装着順になっても部品装着データが読み出されず、次に吸着ミスの発生していない電子回路部品について部品装着データが読み出され、回路基板32に装着される。
【0042】
電子回路部品の装着姿勢の変更が必要であれば、マルチノズルヘッド40Aが移動の間に回転させられて電子回路部品の姿勢が変更される。また、ヘッド保持装置44の移動位置の修正により、電子回路部品の撮像により得られた保持位置誤差のうちのX軸,Y軸方向の各位置誤差および基準マーク撮像システム182による回路基板32の基準マークの撮像に基づいて得られる部品装着箇所のX軸,Y軸方向の各位置誤差が修正される。さらに、ヘッド保持装置44の回転によりマルチノズルヘッド40Aが回転させられ、電子回路部品の回転位置誤差および部品装着箇所の回転位置誤差が修正される。そして、部品装着箇所上へ移動させられた吸着ノズル154は電子回路部品を回路基板32に装着する。マルチノズルヘッド40Aによる電子回路部品の回路基板32への装着は、特願2005−075397の明細書に記載されており、説明を省略する。
【0043】
電子回路部品の装着後、S20が実行され、マーク撮像システム182のCCDカメラ186が、電子回路部品の装着が行われた部品装着箇所上へ移動させられ、部品装着箇所を撮像する。そして、その撮像データが画像処理コンピュータ214により処理され、取得された画像データに基づいて部品装着箇所に電子回路部品が装着されているか否かが検出される。次いでS21が実行され、装着ミスが発生したか否か、ここでは部品装着箇所に電子回路部品が装着されていないかが判定される。電子回路部品の吸着後の撮像により吸着ミスの発生が検出された電子回路部品については、回路基板32への部品装着データが読み出されず、吸着ノズル154の部品装着動作が行われないため、部品装着箇所に電子回路部品が装着されていないということは、電子回路部品を吸着した吸着ノズル154が電子回路部品の装着動作を行ったものの、電子回路部品を再び吸着してきてしまい、回路基板32に装着されない装着ミスが発生したことを意味する。したがって、部品装着箇所に電子回路部品が装着されていなければ、S21の判定結果がYESになってS22が実行され、装着ミスデータが装着ミスデータメモリに記憶させられる。装着ミスデータには、例えば、装着ミスが発生した電子回路部品の種類,装着順序および部品装着箇所が含まれる。S22においてはまた、装着ミスが発生した電子回路部品について、S17におけると同様に、投棄部品メモリに投棄部品データが記憶させられ、電子回路部品の投棄が行われるようにされる。一旦、装着動作が行われた電子回路部品は、クリーム状はんだが付着する等の不具合が生じ、そのままでは回路基板32への装着に使用できないことがあるため、ミス部品収容箱に投棄されるのである。
【0044】
次いでS23が実行され、マルチノズルヘッド40Aが部品供給装置から受け取ってきた全部の電子回路部品(吸着ミスあるいは装着ミスが発生した電子回路部品は除く)の装着が終了し、マルチノズルヘッド40Aの1回の装着作業が終了したか否かが判定される。この判定は、例えば、マルチノズルヘッド40Aが部品供給装置12から受け取った全部の電子回路部品のうち、吸着ミスが発生していない電子回路部品の中で装着順が最も遅い電子回路部品について部品装着データが読み出され、装着動作が行われたか否かにより行われる。S23の判定は、装着が終了するまでNOであり、ルーチンの実行はS18に戻る。そして、次に回路基板32に装着される電子回路部品について部品装着データが読み出され、回路基板32への装着が行われる。
【0045】
マルチノズルヘッド40Aが部品供給装置から受け取ってきた全部の電子回路部品について装着動作が行われれば、S23の判定結果がYESになってS24が実行され、投棄の必要な電子回路部品があるか否かが判定される。この判定は投棄部品メモリに投棄部品データが記憶させられているか否かにより行われ、投棄部品データが記憶させられていれば、S24の判定結果がYESになってS25が実行され、投棄の必要な電子回路部品がミス部品収容箱に投棄される。この際、ヘッド保持装置44は部品収容箱へ移動させられ、吸着ノズル154による電子回路部品の保持が解放されて電子回路部品が部品収容箱へ投棄される。投棄要部品が複数あれば、全部が順次、部品収容箱上へ移動させられ、投棄される。部品収容箱が大きいのであれば、マルチノズルヘッド40Aが部品収容箱上へ移動させられ、停止させられた状態で少なくとも1つの投棄部品が順次、部品収容箱に投棄される。投棄は投棄部品データに基づいて行われ、投棄部品を保持している吸着ノズル154について、装着時と同様に吸着ノズル154への負圧の供給が断たれるとともに正圧が供給され、吸着ノズル154による電子回路部品の吸着が解除される。投棄部品メモリは、投棄の必要な全部の電子回路部品の投棄後、クリアされる。
【0046】
投棄後、S26が実行され、マルチノズルヘッド40Aにより装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミス(吸着ミスを含む)となったものを除くすべての電子回路部品の装着が終了したか否かが判定される。この判定は、マルチノズルヘッド40Aによる装着が設定された全部の電子回路部品のうち、装着順序が最後である電子回路部品について吸着,装着が行われたか否かにより、例えば、装着プログラムの進行状況に基づいて行われる。装着が終了していなければ、S26の判定結果はNOになってルーチンの実行はS12に戻り、S12以下のステップが実行されて、マルチノズルヘッド40Aにより残りの電子回路部品についても同様に回路基板32への装着が行われる。なお、吸着ミスが発生した場合、吸着ミスデータは、マルチノズルヘッド40Aによる先回の電子回路部品の装着作業時にミスを生じた電子回路部品のミスデータと共に装着ミスデータメモリに記憶されるが、S16における投棄部品の有無の判定は、今回のマルチノズルヘッド40Aによる電子回路部品の装着作業時に生じたミスに基づいて行われる。例えば、装着順序により、今回、装着される電子回路部品であることがわかる。また、複数の吸着ノズル154の各々について設けられたバルブ装置156は、マルチノズルヘッド40Aによる次回の電子回路部品の吸着に先立ってリセット装置162によりリセットされる。
【0047】
マルチノズルヘッド40Aによる装着が予定された電子回路部品のうち装着ミスとなったものを除くすべての電子回路部品が回路基板32に装着されれば、S26の判定結果がYESになってS27が実行され、リカバリが必要であるか否かが判定される。この判定は、装着ミスデータメモリにデータが記憶されているか否かにより行われる。装着ミスデータメモリにデータが記憶されていなければ、リカバリは不要であり、S27の判定結果はNOになり、ルーチンの実行は装着制御ルーチンのS4に戻る。
【0048】
装着ミスデータメモリにデータが記憶されていれば、リカバリが必要であり、S27の判定結果がYESになってS28が実行され、集約リカバリ制御が行われる。集約リカバリ制御を図9に示すフローチャートに基づいて説明する。
集約リカバリ制御ルーチンでは、まず、S31において、装着装置18により再度の装着動作が行われる全部の電子回路部品について装着順序が決定される。装着順序は、再装着動作ができる限り短い時間で行われる順序に決定される。装着ミスデータメモリに記憶させられたデータから、装着ミスが発生した電子回路部品について、その電子回路部品を供給する部品供給部の位置および部品装着箇所がわかり、装着順序は、電子回路部品を供給するフィーダの部品供給部および部品装着箇所の各位置に基づいて、リカバリされる全部の電子回路部品をマルチノズルヘッド40Aが吸着し、回路基板32に装着する際のヘッド保持装置44の移動距離の合計ができる限り短く、ヘッド保持装置44の移動時間ができる限り短くなる順序に決定される。
【0049】
次いで、S32以下のステップが実行され、S31において決定された順序に従って、電子回路部品の回路基板32への再度の装着が行われる。マルチノズルヘッド40Aが保持する複数の吸着ノズル154は全部種類が同じであり、全部の吸着ノズル154をリカバリに使用することができ、リカバリが迅速に行われる。集約リカバリ制御のS32〜S45は、マルチノズルノズルヘッドによる電子回路部品の装着ルーチンのS12〜S25と同様に行われるため、説明を省略する。但し、集約リカバリの実行時に発生した装着ミス(吸着ミスを含む)のデータは、RAM204に設けられた集約リカバリ制御用の装着ミスデータメモリに記憶させられる。マルチノズルヘッド40Aが1回、リカバリを行う毎にS46が実行され、リカバリが終了したか否かが判定される。マルチノズルヘッド40Aの1回のリカバリは、リカバリする電子回路部品の吸着および装着を含み、部品供給装置12と基板保持装置16との間の1往復によるリカバリである。S46では、マルチノズルヘッド40Aによるリカバリが予定されている電子回路部品のうち、再度、装着ミス(吸着ミスを含む)となったものを除くすべての電子回路部品の装着が終了したか否かが判定される。この判定は、マルチノズルヘッド40Aによりリカバリされる少なくとも1つの電子回路部品のうち、吸着ミスが発生していない電子回路部品の中で装着順序が最後である電子回路部品について吸着,装着動作が行われたか否かにより行われる。装着ミスが発生した電子回路部品の数が、マルチノズルヘッド40Aが保持する吸着ノズル154の数より多い場合には、S46の判定結果はNOになってルーチンの実行はS32に戻り、残りの電子回路部品について再装着動作が行われる。
【0050】
リカバリが予定された全部の電子回路部品について装着装置18による再装着動作が行われたならば、S46の判定結果がYESになってS47が実行され、リカバリ時に吸着ミスおよび装着ミスが発生したか否かが判定される。この判定は、集約リカバリ制御用の装着ミスデータメモリに装着ミスデータが記憶されているか否かにより行われる。装着ミスデータが記憶されていなければ、リカバリが必要な全部の電子回路部品が回路基板32に装着されたのであり、S47の判定結果はNOになる。装着ミスデータが記憶されていれば、リカバリ動作中にも装着ミスが発生したのであり、S47の判定結果がYESになってS31が実行され、再度、装着ミスが発生した電子回路部品について装着順序が決定され、装着し直される。リカバリの必要な全部の電子回路部品が回路基板32に装着されたならば、S47の判定結果はNOになってS48が実行され、リカバリ時ではない通常の電子回路部品の装着時に使用される装着ミスデータメモリおよび集約リカバリ制御用の装着ミスデータメモリがクリアされ、集約リカバリ制御ルーチンが終了するとともに、マルチノズルヘッドによる電子回路部品の装着制御ルーチンが終了し、ルーチンの実行は装着制御ルーチンのS4に戻る。RAM204に装着履歴メモリを設け、装着ミスデータメモリに記憶させられた装着ミスデータを記憶させ、保存しておいてもよい。また、マルチノズルヘッド40がヘッド保持装置44に保持された後、初めて装着ミスデータメモリに装着ミスデータが記憶させられる際に、装着ミスデータメモリがクリアされるようにし、S48は省略してもよい。
【0051】
図7に示す装着制御ルーチンのS4においては、1枚の回路基板32への電子回路部品の装着が終了したか否かが判定される。この判定は、例えば、1枚の回路基板32について最後に電子回路部品の装着を行うシングルノズルヘッド42Bによる電子回路部品の装着が終了したか否かにより行われ、終了していなければ、S4の判定結果はNOになってルーチンの実行はS1に戻る。シングルノズルヘッド42Bによる電子回路部品の装着が終了したか否かは、例えば、装着プログラムの進行状況によりわかる。そして、次に電子回路部品の装着を行うノズルヘッドがマルチノズルヘッドであるか否かが判定される。ここでは、マルチノズルヘッド40Aの次にマルチノズルヘッド40Bにより電子回路部品の装着が行われるため、S1の判定結果がYESになってS2が実行され、マルチノズルヘッド40Bの使用による電子回路部品の装着が図8に示すフローチャートに従って行われる。
【0052】
マルチノズルヘッド40Bによる電子回路部品の装着の場合にも、装着ミスが発生すれば、集約リカバリが行われ、装着ミスが発生した電子回路部品の装着がやり直される。マルチノズルヘッド40Bによる電子回路部品の装着が終了した状態では、まだ、回路基板32に装着される電子回路部品が残っているため、装着制御ルーチンのS4の判定結果がNOになってS1が実行される。マルチノズルヘッド40Bの次には、シングルノズルヘッド42Aによって電子回路部品の装着が行われるため、S1の判定結果がNOになってS3が実行され、シングルノズルヘッド42Aによる電子回路部品の回路基板32への装着が行われる。
【0053】
シングルノズルヘッド42Aによる電子回路部品の回路基板32への装着は、図10に示すシングルノズルヘッドによる電子回路部品の装着制御ルーチンに従って行われる。まず、S71が実行され、ヘッド保持装置44がノズルヘッド収納装置20へ移動させられてマルチノズルヘッド40Bをノズルヘッド収納装置20に収納し、シングルノズルヘッド42Aを保持する。
【0054】
次いでS72が実行され、部品装着プログラムから吸着データが読み出され、ヘッド保持装置44はフィーダ型部品供給装置12あるいはトレイ型部品供給装置14へ移動させられ、シングルノズルヘッド42Aが電子回路部品を吸着し、受け取る。トレイ型部品供給装置14において部品供給位置へ移動させられたトレイの水平面内における位置は設計上、得られ、また、トレイにおける電子回路部品の残数管理および電子回路部品が取り出された収容凹部の位置管理により、シングルノズルヘッド42Aが移動させられて電子回路部品を取り出す収容凹部が決められる。
【0055】
電子回路部品の吸着後、S73が実行され、ヘッド保持装置44が基板保持装置16へ移動させられるが、その途中で部品撮像システム180に至り、吸着ノズル144に保持された電子回路部品がCCDカメラ184により撮像される。そして、撮像データが画像処理コンピュータ214により処理され、取得された電子回路部品の画像データに基づいて、電子回路部品の保持位置誤差,保持姿勢,保持の有無,欠損の有無が検出される。次いでS74が実行され、吸着ミスがあるか否かが判定される。この吸着ミスは、マルチノズルヘッド40Aによる電子回路部品の装着時における吸着ミスと同じであり、画像データに基づいて判定される。
【0056】
吸着ミスがなければ、S74の判定結果はNOになってS78が実行され、ヘッド保持装置44が回路基板32へ移動させられて電子回路部品を装着する。吸着ミスがあれば、S74の判定結果がYESになってS75が実行され、部品装着プログラムのうち、部品吸着データを装着順序に従って読み出すためのデータ、例えば、カウンタが設けられ、そのカウント値であって、読み出し毎に1、増加させられるカウント値が電子回路部品1個分、戻され、吸着ミスが発生した電子回路部品について再度、部品吸着データが読み出され、吸着動作が行われるようにされる。そして、S76が実行され、吸着ミスが発生した電子回路部品のミス部品収容箱への投棄が必要であるか否かが判定される。この判定は吸着ミスの内容に基づいて行われる。吸着ミスが、吸着ノズル144により電子回路部品が吸着されている状態で発生するミスであれば、その電子回路部品の投棄が必要であり、S76の判定結果がYESになってS77が実行され、ヘッド保持装置44がミス部品収容箱へ移動させられて電子回路部品を投棄する。その後、S72が実行され、再度、電子回路部品の吸着が行われる。電子回路部品の投棄が不要であれば、S76の判定結果がNOになってS72が実行される。吸着ミスが発生した場合、その直後に吸着がやり直され、即時リカバリされるのである。
【0057】
シングルノズルヘッド42Aが吸着ミスなく電子回路部品を吸着したならば、S78が実行され、電子回路部品が回路基板32に装着される。部品装着データが読み出され、シングルノズルヘッド42Aが部品装着箇所上へ移動させられて電子回路部品を装着するのであり、この際、吸着ノズル144による保持位置誤差等が修正される。装着後、S79が実行され、マーク撮像システム182が部品装着箇所上へ移動させられて部品装着箇所を撮像する。そして、撮像データが画像処理コンピュータ214により処理され、それにより得られる画像データに基づいてS80が実行され、装着ミスがあるか否か、すなわち部品装着箇所に電子回路部品が装着されていないかが判定される。部品装着箇所に電子回路部品が装着されていなければ、装着ミスの発生であり、S80の判定結果がYESになってS81が実行され、部品装着プログラムが電子回路部品1個分、戻され、装着ミスが発生した電子回路部品について再度、吸着,装着動作が行われるようにされた後、S82が実行され、電子回路部品がミス部品収容箱に投棄される。この場合、電子回路部品は吸着ノズル144により吸着され、吸着ノズル144が装着動作を行ったものの装着されず、吸着ノズル144についてきてしまったのであり、投棄が必要であるからである。S82の実行後、S72が実行され、装着ミスが発生した電子回路部品について再度、吸着,装着がやり直され、即時にリカバリされる。
【0058】
装着ミスがなければ、S80の判定結果がNOになってS83が実行され、シングルノズルヘッド42Aについて予定された全部の電子回路部品が装着されたか否かが判定される。この判定は、例えば、装着データの読出しが、シングルノズルヘッド42Aによる装着が予定された電子回路部品のうちの最後の電子回路部品について行われ、その電子回路部品が装着ミスなく装着されたか否かにより行われる。予定された全部の電子回路部品がまだ装着されていなければ、S83の判定結果はNOになってS72が実行され、次の電子回路部品がシングルノズルヘッド42Aにより回路基板32に装着される。
【0059】
シングルノズルヘッド42Aについて予定された全部の電子回路部品が回路基板32に装着されたならば、S83の判定結果がYESになり、シングルノズルヘッド42Aによる電子回路部品の装着が終了する。そして、装着制御ルーチンのS4が実行され、1枚の回路基板32への電子回路部品の装着が終了したか否かが判定されるが、この判定結果はNOであり、S1が実行される。次にシングルノズルヘッド42Bによる電子回路部品の装着が行われるため、S1の判定結果はNOになってS3が実行され、シングルノズルヘッド42Bによる電子回路部品の回路基板32への装着が行われる。この装着は、図10に示すフローチャートに従って、シングルノズルヘッド42Aによる電子回路部品の装着と同様に行われ、吸着ミスや装着ミスが発生すれば、直ちに吸着,装着がやり直される。
【0060】
シングルノズルヘッド42Bによる電子回路部品の装着が終了すれば、S4の判定結果がYESになってS5が実行され、所定枚数の回路基板32への電子回路部品の装着が終了したか否かが判定される。予定された枚数の回路基板32への電子回路部品の装着が終了するまで、S5の判定結果はNOになる。そして、電子回路部品の装着が済んだ回路基板32が搬出され、次に電子回路部品が装着される回路基板32が搬入され、基板保持装置16により保持されたならば、S1〜S4が実行され、4つのノズルヘッド40A,40B,42A,42Bにより順次、電子回路部品が装着される。予定された枚数の回路基板32への電子回路部品の装着が終了すれば、S5の判定結果がYESになってルーチンの実行が終了する。
【0061】
以上の説明から明らかなように、本電子回路部品装着システムにおいては、ヘッド昇降装置48が接近離間装置を構成し、制御装置22のS74,S75,S72を実行する部分が即時リカバリ制御部を構成し、S28を実行する部分が構成変更前集約リカバリ制御部としてのヘッド変更前集約リカバリ制御部たるヘッド交換前集約リカバリ制御部を構成し、マルチノズルヘッド40による電子回路部品の装着制御ルーチンにおいて集約リカバリが行われ、シングルノズルヘッド42による電子回路部品の装着制御ルーチンにおいて即時リカバリが行われるルーチンの構成がリカバリ制御選択部としてのヘッド種対応選択部を構成している。また、制御装置22のS11,S71を実行する部分が構成変更制御部としてのヘッド変更制御部を構成し、S31を実行する部分がリカバリ順序決定部を構成し、S13,S20,S33,S40,S73,S79を実行する部分が部品撮像システム180およびマーク撮像システム182と共に装着ミス検出部を構成している。
【0062】
なお、マルチノズルヘッドについて予定された複数回の装着作業のうち、最後の回の装着作業における電子回路部品の装着数が、マルチノズルヘッドが保持可能な電子回路部品の最大数より少ない場合には、空いている吸着ノズルについてリカバリを行わせ、予定された電子回路部品の装着とリカバリとが同時に行われるようにしてもよい。
【0063】
また、マルチノズルヘッドにより電子回路部品を装着する際に電子回路部品をトレイ型部品供給装置から受け取る場合、集約リカバリの必要が生じ、装着順序を決める際には、部品供給位置にあるトレイの位置が考慮される。例えば、トレイは複数の収容凹部を備え、それら収容凹部の各々が部品供給部であることとなるが、既に電子回路部品が取り出されて空の収容凹部もあるため、トレイについて設定された基準位置(例えば、トレイの基板保持装置側の端部のうち、幅方向の中央位置あるいはトレイ全体の中央位置)を代表的にトレイの位置としてヘッド保持装置の移動距離が算出され、装着順序の決定に供される。
【0064】
また、簡単のために、保持する複数の吸着ノズルの種類がすべて同じであるマルチノズルヘッドによる電子回路部品の装着およびリカバリを例に取って説明したが、複数種類の吸着ノズルを保持したマルチノズルヘッドにより電子回路部品の装着およびリカバリが行われる場合には、例えば、装着が割り当てられた電子回路部品の種類に応じて吸着ノズルの種類の組合わせが決められる。部品装着プログラムは、電子回路部品毎に吸着ノズルの種類を規定するデータを含み、電子回路部品は設定された種類の吸着ノズルにより回路基材に装着され、リカバリされる。
【0065】
さらに、集約リカバリは、回路基材の1枚に対する電子回路部品の装着作業の途中に、マルチノズルヘッドが保持する吸着ノズルが別の吸着ノズルと交換される場合、その交換の直前に行われるようにしてもよい。この場合、電子回路部品装着システムは吸着ノズルの自動交換機能を備えたシステムとされる。例えば、特開2004−311599公報に記載されているように、電子回路部品装着システムは複数の吸着ノズルを収納するノズルストッカを備え、マルチノズルヘッドのノズル保持部および吸着ノズルは、ノズルストッカとの間において吸着ノズルの交換が自動的に行われる構成とされる。
マルチノズルヘッドは複数種類の吸着ノズルを保持し、電子回路部品の装着作業の進行に伴い、電子回路部品の種類に応じて一部の種類の吸着ノズルが交換される。部品装着プログラムにおいて電子回路部品の各々について、電子回路部品を装着する吸着ノズルの種類が設定され、それに合わせてマルチノズルヘッドが保持する吸着ノズルの種類の組合わせが設定されるとともに、電子回路部品の装着に必要な種類の吸着ノズルがマルチノズルヘッドに保持されていない状態が生じた際に吸着ノズルの交換が行われる。そして、交換される吸着ノズルのみによって装着可能な電子回路部品であって、装着ミスが発生した電子回路部品についてノズル交換前にリカバリが行われる。この際、交換されない吸着ノズルにより装着される電子回路部品であって、装着ミスが発生した電子回路部品が他にあれば、同時にリカバリが行われるようにしてもよい。
【0066】
また、集約リカバリは、回路基材の1枚に対する電子回路部品の装着作業の途中に、トレイ型部品供給装置のトレイが交替させられるとき、その交替の直前に行われるようにしてもよい。前記トレイ型部品供給装置14のように、ストッカに上下方向に設けられた複数のトレイ収容部にそれぞれトレイが収容され、それらトレイ収容部のうち、電子回路部品を供給するトレイが収容されたものが部品供給高さへ移動させられ、トレイがストッカの外に設定された部品供給位置へ移動させられて電子回路部品を供給する際、トレイ型部品供給装置14により供給される電子回路部品の種類が変わる場合、部品供給位置にあるトレイから供給されることが予定されている電子回路部品のうち、装着ミスとなったものを除くすべての電子回路部品の装着が終了し、トレイが交替させられるとき、集約リカバリが行われ、交替させられるトレイが退避する前に、そのトレイにより供給される電子回路部品であって、装着ミスとなった電子回路部品が回路基材に装着される。
このトレイ交替前集約リカバリは、マルチノズルヘッドがヘッド保持装置に装着されている状態で行われ、トレイ交替のためにリカバリを行う吸着ノズルの他に空いている吸着ノズルがあり、フィーダ型部品供給装置により供給される電子回路部品であって、装着ミスが発生した電子回路部品があれば、一緒にリカバリされるようにしてもよい。
【0067】
さらに、集約リカバリは、マルチノズルヘッドの変更の直前に行われ、装着ミスが発生したマルチノズルヘッドにより行われることは不可欠ではなく、変更後に、変更後のマルチノズルヘッドにより行われてもよい。
例えば、1枚の回路基材への電子回路部品の装着が少なくとも複数のマルチノズルヘッドによって行われ、交換によりマルチノズルヘッドが変更される場合、各マルチノズルヘッドにおける吸着ノズルの種類の組合わせの一部が重複する場合があれば、重複する種類の吸着ノズルにより吸着される電子回路部品については、変更後のマルチノズルヘッドにおいてリカバリすることができる。また、吸着ノズルが吸着し得る電子回路部品の種類は1種類ではなく、複数種類にわたるとともに、異なる種類の吸着ノズルがそれぞれ吸着し得る電子回路部品の種類が一部、重複していることが多い。そのため、変更前のマルチノズルヘッドと、変更後のマルチノズルヘッドとがそれぞれ保持する吸着ノズルの種類が全く異なる場合でも、変更後のマルチノズルヘッドが保持する吸着ノズルにより、変更前のマルチノズルヘッドによる装着が予定された電子回路部品を吸着し、装着することが可能な場合があり、その場合には、変更前のマルチノズルヘッドにおける集約リカバリを阻止し、変更後のマルチノズルヘッドにおいて、そのマルチノズルヘッドによる電子回路部品の装着作業中に発生した装着ミスの集約リカバリと共にまとめてリカバリすることができる。この場合、制御装置は、集約リカバリ阻止部および併合集約リカバリ制御部を含むこととなる。
マルチノズルヘッドの変更が吸着ノズルの交換の場合である場合も同様であり、交換される吸着ノズルによる装着が予定された電子回路部品を、交換後の吸着ノズルあるいは交換されない他の吸着ノズルにより吸着可能であれば、交換後にまとめて行われるようにすることが可能である。
【0068】
トレイ型部品供給装置において電子回路部品を供給するトレイが交替させられる場合にも、トレイ交替前に集約リカバリを行わせず、交替後のトレイにより供給される電子回路部品の装着作業の途中に発生した装着ミスの集約リカバリと共にリカバリされてもよい。このトレイ交替時集約リカバリ阻止および併合集約リカバリは、例えば、複数種類のトレイにそれぞれ複数種類の電子回路部品が収容されるとともに、電子回路部品の種類の一部が共通である場合に可能である。
【符号の説明】
【0069】
12:フィーダ型部品供給装置 14:トレイ型部品供給装置 16:基板保持装置 18:装着装置 22:制御装置 32:回路基板 40:マルチノズルヘッド 42:シングルノズルヘッド 44:ヘッド保持装置 46:ヘッド移動装置 48:ヘッド昇降装置 144,154:吸着ノズル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基材を保持する基材保持装置と、その回路基材に装着されるべき電子回路部品を供給する部品供給装置と、それぞれ電子回路部品を吸着して保持する複数の吸着ノズルを保持するマルチノズルヘッドを備え、そのマルチノズルヘッドの複数の吸着ノズルの各々によって前記部品供給装置から電子回路部品を受け取って前記基材保持装置に保持された回路基材に装着する装着装置と、少なくともその装着装置を制御する制御装置とを含む電子回路部品装着システムであって、前記制御装置が、
前記マルチノズルヘッドにより前記回路基材の1枚に対して装着作業が行われている途中で、前記装着装置に、前記マルチノズルヘッドの別のノズルヘッドとの交換、あるいは前記マルチノズルヘッドに保持されている吸着ノズルの少なくとも1つの別の吸着ノズルとの交換によるヘッド変更を行わせるヘッド変更制御部と、
そのヘッド変更制御部の制御による前記ヘッド変更の直前に、変更前のマルチノズルヘッドによる装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものの再度の装着動作を集中的に行う集約リカバリを前記装着装置に行わせるヘッド変更前集約リカバリ制御部と
を含むことを特徴とする電子回路部品装着システム。
【請求項2】
前記制御装置が、
前記ヘッド変更制御部による前記マルチノズルヘッドの変更時に、その時点までに発生した装着ミスの前記集約リカバリが、変更後のマルチノズルヘッドによっても可能であるか否かを判定し、その集約リカバリが可能であれば、前記ヘッド変更前集約リカバリ制御部に集約リカバリを行わせることなく前記ヘッド変更制御部に前記ヘッド変更を行わせる集約リカバリ阻止部と、
その集約リカバリ阻止部による集約リカバリの阻止後に前記変更後のマルチノズルヘッドによる電子回路部品の装着作業中に発生した装着ミスの集約リカバリと共に、前記ヘッド変更前集約リカバリ制御により行われるべきであった集約リカバリを行う併合集約リカバリ制御部と
を含む請求項1に記載の電子回路部品装着システム。
【請求項3】
前記装着装置が、
前記マルチノズルヘッドを保持するヘッド保持装置を前記基材保持装置に保持されている回路基材の表面に平行な平面上の任意の位置へ移動させるヘッド移動装置と、
前記ヘッド保持装置に保持された前記マルチノズルヘッドの前記複数の吸着ノズルの各々と、前記基材保持装置とを互いに接近,離間させる接近離間装置と
を含む請求項1または2に記載の電子回路部品装着システム。
【請求項1】
回路基材を保持する基材保持装置と、その回路基材に装着されるべき電子回路部品を供給する部品供給装置と、それぞれ電子回路部品を吸着して保持する複数の吸着ノズルを保持するマルチノズルヘッドを備え、そのマルチノズルヘッドの複数の吸着ノズルの各々によって前記部品供給装置から電子回路部品を受け取って前記基材保持装置に保持された回路基材に装着する装着装置と、少なくともその装着装置を制御する制御装置とを含む電子回路部品装着システムであって、前記制御装置が、
前記マルチノズルヘッドにより前記回路基材の1枚に対して装着作業が行われている途中で、前記装着装置に、前記マルチノズルヘッドの別のノズルヘッドとの交換、あるいは前記マルチノズルヘッドに保持されている吸着ノズルの少なくとも1つの別の吸着ノズルとの交換によるヘッド変更を行わせるヘッド変更制御部と、
そのヘッド変更制御部の制御による前記ヘッド変更の直前に、変更前のマルチノズルヘッドによる装着が予定されている電子回路部品のうち装着ミスとなったものの再度の装着動作を集中的に行う集約リカバリを前記装着装置に行わせるヘッド変更前集約リカバリ制御部と
を含むことを特徴とする電子回路部品装着システム。
【請求項2】
前記制御装置が、
前記ヘッド変更制御部による前記マルチノズルヘッドの変更時に、その時点までに発生した装着ミスの前記集約リカバリが、変更後のマルチノズルヘッドによっても可能であるか否かを判定し、その集約リカバリが可能であれば、前記ヘッド変更前集約リカバリ制御部に集約リカバリを行わせることなく前記ヘッド変更制御部に前記ヘッド変更を行わせる集約リカバリ阻止部と、
その集約リカバリ阻止部による集約リカバリの阻止後に前記変更後のマルチノズルヘッドによる電子回路部品の装着作業中に発生した装着ミスの集約リカバリと共に、前記ヘッド変更前集約リカバリ制御により行われるべきであった集約リカバリを行う併合集約リカバリ制御部と
を含む請求項1に記載の電子回路部品装着システム。
【請求項3】
前記装着装置が、
前記マルチノズルヘッドを保持するヘッド保持装置を前記基材保持装置に保持されている回路基材の表面に平行な平面上の任意の位置へ移動させるヘッド移動装置と、
前記ヘッド保持装置に保持された前記マルチノズルヘッドの前記複数の吸着ノズルの各々と、前記基材保持装置とを互いに接近,離間させる接近離間装置と
を含む請求項1または2に記載の電子回路部品装着システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−211247(P2011−211247A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165857(P2011−165857)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【分割の表示】特願2006−251819(P2006−251819)の分割
【原出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【分割の表示】特願2006−251819(P2006−251819)の分割
【原出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
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