説明

電子安定器

【課題】 蛍光灯管が寿命終了または故障したとき自己保護機能を提供できる電子安定器を提供する。
【解決手段】 蛍光灯管20の両端は、それぞれ第1フィラメント201と第2フィラメント202が設けられる。電子安定器1は、制御回路10、第1パワースイッチ11および第2パワースイッチ12、一つの直流障壁容量コンデンサーCb、共振回路2、電圧検出回路61、ならびに整流フィルタ回路62を備える。整流フィルタ回路62は、交流電圧を直流電圧に変換して、直流電圧を制御回路10の入力端に伝送する。制御回路10内部の比較器63は、直流電圧が許容電圧レベルVrefを超えていると判断したとき、中断の制御信号を発生し、制御回路10の稼動をただちに中止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蛍光灯に用いる電子安定器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、材料工学及び製造技術の進歩に従い、蛍光灯管の径が細いほど、その発光効率が高いことが知られている。
【0003】
蛍光灯管の管径は、最初のT12(管径38.4mm)がT8(管径25.6mm)になり、そして現在主流のT5(16mm)に細管化され、さらに、T4、T3、T2などの小管径に発展してきた。
【0004】
電子安定器の回路において、エネルギー伝送の基本構造は、ハーフブリッジ式共振回路がほとんどであり、制御方式は自励式と他励式の2種類に分かれる。図1は、米国GE社が市販されているエジソン21W省エネ電球であり、図2は、オランダPHILIPS社が市販されているHELIX 23Wの省エネ電気回路を示す。両者とも自励発振回路に属している。図3は、米国IR社が勧める制御IC(IR2520D)を省エネ電球に使用する電気回路(International Rectifier社のApplication Note AN1066参照)であり、他励式発振回路に属する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前述3種類の電子安定器は、いずれも自己保護機能を設けられておらず、蛍光灯管が劣化したとき、蛍光灯管の電圧は、引き続き上昇するため、電気回路が負荷に耐えられず、部品と回路を焼損する。さらに、前記電子安定器において、すべてのフィラメントは、共振インダクターと共振コンデンサーとの直列接続されている。フィラメントの劣化または瑕疵によって、突然、断線したとき、共振インダクターと共振コンデンサー両方のエネルギーが互いに引っ張り合いとなっていて、フィラメントの断線箇所の火花が電気アークを引き起こす。その電気アークは、電子安定器が焼損するまでに継続される。いままで、ほとんどの業者は、この種の問題について、比較的パワーが弱いパワースイッチを灯管が劣化する前に焼損する構成を取り入れている。
【0006】
前述とおり、従来の自己保護機能を設けられていない各種の電子安定器は、灯管が寿命終了または故障したとき、回路を焼損する形で壊れる。しかし、保守するにコストが掛かり、省エネ電球または電子安定器が故障したとき、使用者は、廃棄処置するしかなく、資源が浪費されるほか、環境が大きく汚染される。近年は、環境保護意識が高まり、各種物品の回収、修理及び再使用は、世界各国並び業者がますます重視する重要課題となっている。しかし、各種の電子安定器または省エネ電球は、灯管が寿命終了または故障したとき、電気回路が焼損する。これは、各種の電子安定器と蛍光灯管は、まったく回収し再利用することができない廃棄物になることを意味する。このような現象は、前述環境保護を実現するための主な障害となっている。
【0007】
従来の各種電子安定器の稼動原理及び問題点を分析し、以下のとおり説明する。原則として、電子安定器のエネルギー伝送構造は、半ブリッジLCに共振回路が直列接続されている。半ブリッジLC共振回路は、1対の上下に直列接続されたパワースイッチ(そのうち、Q1は上アームスイッチ、Q2は下アームスイッチという。)、直流障壁容量コンデンサー(Cb)、共振インダクター(Lr)、共振コンデンサー(Cr)及び前記パワースイッチの制御回路を含まれる。図1と図2に示す電子安定器の例をいうと、両者とも自励回路に属する。一般として、自励回路は、スタート回路は必須であり、スタート回路はR4、R6、C8及び二方向性二端子サイリスタ―DA1(diode for alternating current, Diac)からなる。自励回路の発振を継続させる原理は、飽和しやすい磁気コアによって、駆動トランスを構成し、それぞれパワースイッチQ1、Q2を駆動させる。駆動トランスはさらに、3つのコイル(L20、L21、L22)を有する。そのうち、一次コイルL20は、共振回路に直列接続され、2つの2次コイルL21、L22は、互いに逆の極性により、それぞれパワースイッチQ1、Q2の入力端に接続され、下アームスイッチQ2がスタート回路によって導通された後、駆動トランスの磁束は、飽和と負の飽和との間でパワースイッチQ1、Q2を交互に導通させ、共振インダクターLrと共振コンデンサーCrより組み合わせた共振回路を発振させる。蛍光灯管LAMPが点灯される前の灯管は回路を形成していて、共振コンデンサーCrの電圧を次から次へと電圧を増加させ、蛍光灯管LAMP内部のアルゴンガスが遊離し、水銀が気化され遊離し始める。水銀の遊離によって形成される紫外線が管壁の蛍光体に当たって、可視光を出射する。このとき、蛍光灯管LAMP内部の水銀は、すでに気化し遊離されているため、その電圧が降下して、高周波域で抵抗を形成され、電気回路は、基本的にインダクターと抵抗(LR)に変わり、繰返し発振される。その電流は、駆動トランスの飽和電流によって決められ、周波数は、共振インダクターLrと灯管の抵抗によって決める。よって、蛍光灯管は継続に点灯される。
【0008】
図1と図2に示す電気回路の異なる点は、図1は、灯管に正の温度係数(positive temperature coefficient, PTC)の抵抗が並列接続されている。常温において、抵抗値は、数オームしかないが、点灯すると、正の温度係数の抵抗PTCに流れる電流によって、蛍光灯管LAMPのフィラメントの予熱が開始される。正の温度係数の抵抗PTCが電流の通過によって発熱した後、抵抗値が瞬く間に数百万オームに上昇される。このとき、共振コンデンサーCrが高電圧を発振し、蛍光灯管が点灯される。予熱されたフィラメントが熱電子を出射し、アルゴンイオンの衝撃を阻止することにより、フィラメントの寿命を延長する。原理は以上であるが、整合されていない正の温度係数の抵抗PTCは、アルゴンの遊離を1回で成功できない可能性があるため、フィラメントは、複数回の衝撃によって、寿命が短縮される。もしかしたら、これは図2に示す電気回路が正の温度係数の抵抗PTCを取り付けて理由かもしれない、今回の実験によって、証明されている。
【0009】
図3に示すIR社が推薦する省エネ電球に応用できる制御IC(IR2520D)の電気回路を例として説明する。これは他励式発振回路であり、半ブリッジパワースイッチは、Power MOSが使用されている。表示はそれぞれ、MHSは上アームスイッチ、MLSは下アームスイッチ、LRESは共振インダクター、CDCは平衡コンデンサー、CRESは共振コンデンサー、IR2520Dは上アームと下アームハーフブリッジ制御回路である。前述上アームと下アームハーフブリッジ制御回路は、共振インダクターLRESと共振コンデンサーCRESの共振周波数より高い周波数を最初に送られ、その後、周波数が下がる。高周波域のとき、共振インダクターLRESと共振コンデンサーCRESは、共振されない。このときの電流は、共振コンデンサーCRESとフィラメントに流れ、フィラメントの予熱効果を有する。一方、周波数が共振インダクターLRESと共振コンデンサーCRESの共振周波数に近づいたとき、共振コンデンサーCRESに共振の高電圧が発振され、アルゴンガスを遊離させる。点火した後、駆動周波数は、既定の周波数にとどまり、灯管を点灯させる。以上は、図3に示す電気回路の主な稼動原理である。
【0010】
本発明の目的は、蛍光灯管の寿命終了時または故障時において自己保護機能を有する電子安定器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、蛍光灯管が寿命終了または故障したとき、自己保護機能を提供可能な電子安定器を提供する。電子安定器は、制御回路、第1パワースイッチ、第2パワースイッチ、直流障壁容量コンデンサー、共振回路、電圧検出回路、および整流フィルタ回路を備える。そのうち、制御回路は、第1パワースイッチおよび第2パワースイッチに接続され、第1パワースイッチおよび第2パワースイッチの切換え操作を制御する。第1パワースイッチおよび第2パワースイッチは、直流障壁容量コンデンサーを介して共振回路と接続される。共振回路は、共振インダクターと共振コンデンサーとを有する。そのうち、共振インダクターは、第1パワースイッチおよび第2パワースイッチと蛍光灯管に備えるフィラメントの間に直列接続され、共振コンデンサーは、電圧検出回路と直列接続した後、蛍光灯管に備える2つのフィラメントの間に並列接続される。電圧検出回路は、共振コンデンサーの電流に基づき、蛍光灯管の等比例の交流電圧レベルを検出した上、この交流電圧を整流フィルタ回路に伝送する。整流フィルタ回路によって、交流電圧を直流電圧に変換して、直流電圧を制御回路の入力端に伝送される。制御回路の比較器によって、直流電圧のレベルが許容電圧レベルを超えていると判断したとき、中断の制御信号を発生し、制御回路の稼動をただちに中止する。このように、電子安定器は、蛍光灯管の寿命終了が来る前に、持続される過負荷を有効に避けることができ、電子安定器の電気回路と部品の焼損を防止することができる。このほか、フィラメントは、共振回路に直列接続されていないため、フィラメントの発火による電気アークを引き起こす現象を避けられ、電球口金部プラスチック部材の発火を完全に防止することができる。
【0012】
本発明によると、蛍光灯管のフィラメントが発火することによる電気アークの発生を抑制する。蛍光灯管の劣化または異常が発生したとき、電子安定器に取り付けられた部品及び電気回路を保護し、焼損を避けることができる。さらに、蛍光灯管が寿命終了または故障したとき、電子安定器の電気回路を回収し再利用できる。新しい蛍光灯管に取り替えた後、電子安定器を再び正常に使用することができ、資源の節約並びに環境保護を実現することができる。
【0013】
本発明によると、蛍光灯管が電子放出性物質の消尽、灯管のガス漏れ、フィラメントの劣化または断線などにより、寿命終了または整流効果などいずれかの原因で故障する前に、電子安定器の稼動をただちに中止し、危険を避けられるほか、蛍光灯管以外の部品または電気回路の破損を防止することができる。本発明の電子安定器を適用すれば、蛍光灯管が寿命終了または故障しても、新しい灯管に取り替えることにより、引き続き通常どおり点灯を使用することができる。このため、本発明は電気廃棄物の形成を防止できるほか、環境汚染を軽減し、かつ前述国際安全規格を充足する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の電子安定器の電気回路図である。
【図2】従来の他の電子安定器の電気回路図である。
【図3】従来のさらに他の電子安定器の電気回路図である。
【図4】本発明の一実施形態における電子安定器の模式図である。
【図5】図4に示す電子安定器の電気回路図である。
【図6】オシロスコープで表示された実験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(一実施形態)
本発明の一実施形態による電子安定器を図4〜6に基づいて説明する。
図4に示すように、蛍光灯管20の両端部は、それぞれ第1フィラメント201と第2フィラメント202が設けられ、電子安定器1は、制御回路10、第1パワースイッチ11および第2パワースイッチ12、一つの直流障壁容量コンデンサーCb、共振回路2、電圧検出回路61、ならびに整流フィルタ回路62を備える。そのうち、制御回路10は、第1パワースイッチ11および第2パワースイッチ12に接続し、第1パワースイッチ11および第2パワースイッチ12の切換え操作を制御する。第1パワースイッチ11および第2パワースイッチ12は、直流障壁容量コンデンサーCbを介して、共振回路2に接続される。共振回路2は、共振インダクターLrと共振コンデンサーCrを有する。そのうち、共振インダクターLrは、第1パワースイッチ11および第2パワースイッチ12と蛍光灯管20の第1フィラメント201との間に直列接続され、共振コンデンサーCrは、電圧検出回路61と直列接続してから蛍光灯管20の第1フィラメント201および第2フィラメント202の間に並列接続されている。電圧検出回路61は、蛍光灯管20の等比例交流電圧を検出して、交流電圧を整流フィルタ回路62に伝送する。整流フィルタ回路62は、交流電圧を直流電圧に変換して、直流電圧を制御回路10の入力端に伝送する。制御回路10内部の比較器63は、直流電圧が許容電圧レベルVrefを超えていると判断したとき、中断の制御信号を発生し、制御回路10の稼動をただちに中止させる。
【0016】
本発明の一実施形態に示す各素子間の接続関係並びに稼動原理をまとめて、以下のとおり説明する。図4及び図5に示すように、制御回路10は、少なくとも2つの出力信号を発生する。そのうち、第1出力信号と第2出力信号は、同一周波数であり、波形が交差した電圧信号である。第1パワースイッチ11は金属酸化物半導体電界効果トランジスター(Power Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor、Power MOSFET) Q1であり、第1パワースイッチ11のゲート電極は第1出力信号を受信することにより、第1パワースイッチ11は第1出力信号に基づき、信号の切換え操作を行う。第1パワースイッチ11のドレイン電極は、電気供給端Vinの正極に接続されている。第2パワースイッチ12は、金属酸化物半導体電界効果トランジスターQ2であり、第2パワースイッチ12のゲート電極は、第2出力信号を受信することにより、第2パワースイッチ12は、第2出力信号に基づき、信号の切換え操作を行う。第2パワースイッチ12のドレイン電極は、第1パワースイッチ11のソース電極に接続され、第2パワースイッチ12のソース電極は、電気供給端Vinの負極に接続されている。このように、共振コンデンサーCrは、電圧検出回路61と直列接続された後、合わせて蛍光灯管20両端部の第1フィラメント201および第2フィラメント202に並列接続される。共振インダクターLrは、直流障壁容量コンデンサーCbと直列接続された後、合わせて第1パワースイッチ11と第2パワースイッチ12との間に接続された回路と、共振コンデンサーCrとの間に接続されている。よって、制御回路10より順番に第1出力信号と第2出力信号を発生し、第1パワースイッチ11および第2パワースイッチ12を交互に駆動するとき、共振インダクターLrと共振コンデンサーCrの共振周波数に近い2つの駆動信号を発生し、第1パワースイッチ11および第2パワースイッチ12を交互に駆動する。共振コンデンサーCrより高電圧を発振し、蛍光灯管20内部のアルゴンガスをすばやく遊離させ、アルゴンイオンが加速され、水銀の気化と遊離を駆動する。水銀イオンが水銀原子に還元されたとき、紫外光が発生され、紫外光が蛍光灯管20内壁の蛍光体にぶつかると、蛍光体は可視光を発生し、蛍光灯管20は、点灯される。
【0017】
もし、電子安定器1に予熱が必要な場合、予熱回路(図示しない)によって、蛍光灯管20が点灯される前、第1フィラメント201両端部に並列接続された第1予熱コイルL1と、第2フィラメント202両端部に並列接続された第2予熱コイルL2に予熱電圧を印加することができる。電子安定器1が予熱不要であれば、第1フィラメント201と第2フィラメント202の両端部は、第1予熱コイルL1または第2予熱コイルL2を接続する代わりに、第1フィラメント201と第2フィラメント202両端部をそれぞれ短絡して置く。第1フィラメント201と第2フィラメント202の両端部を短絡するか否かに関わらず、第1フィラメント201と第2フィラメント202は、共振回路に直列接続されていないため、第1フィラメント201または第2フィラメント202が突然に断線しても、その間にはエネルギーの発振がないことから、火花による電気アークは、まったく発生されない。
【0018】
図4に示すように、電圧検出回路61が共振コンデンサーCrの交流電流を検出する働きはあるが、共振コンデンサーCrの交流電流は、蛍光灯管20の電圧を十分に反映できるため、本実施形態において、共振コンデンサーCrと第2フィラメント202との間に電流検出抵抗器RSが直列接続されている。図5に示すように、図4に示す電圧検出回路61として、共振コンデンサーCrより等比例の灯管電圧を取得することができる。前述とおり、蛍光灯管20の劣化または故障したとき、灯管電圧は、徐々に上昇するかまたは突然に上昇される。電流検出抵抗器RSより取得された交流電圧は、整流フィルタ回路62によって、直流電圧に整流フィルタし、半ブリッジ制御回路10に伝送された後、制御回路10内部の比較器63によって、直流電圧の上昇が許容電圧レベルVrefを超えることが判断されたとき、制御回路10は、ただちに中断の制御信号を発生し、制御回路10の稼動をただちに中止させ、第1出力信号と第2出力信号が発生しないようにする。よって、第1フィラメント201または第2フィラメント202の劣化または故障により断線しフィラメントが発火し電気アークを形成し、突然に共振コンデンサーCrより極めて高い共振電流が発生することによる電子安定器1の部品の焼損、または灯具である蛍光灯管20両端部のプラスチック部材の発火を抑制し、電子安定器1を保護する目的を達成することができる。
【0019】
本発明は、上記実施形態に限ることなく、実務の需要により、電子安定器の電気回路の設計を変更することができる。
【0020】
電子安定器の電気回路の設計を変更しても、本実施形態の保護回路の構造は、電子安定器の電気回路に応用されるものである。よって、電子安定器の設計分野の当業者は、本実施形態の構成に基づいて、電子安定器1に電圧検出回路61と整流フィルタ回路62を追加するなど、電圧検出回路61が共振コンデンサーCrの交流電圧レベルを検出し、かつ整流フィルタ回路62を介して、交流電圧レベルを直流電圧レベルに整流した後、制御回路10に伝送し、制御回路10によって、直流電圧レベルがあらかじめに設定された許容電圧レベルVrefを超えていると判断したとき、ただちに中断の制御信号を発生し、制御回路10の稼動をただちに中止する。これにより、蛍光灯管20の寿命終了または故障する前に、第1フィラメント201または第2フィラメント202の劣化または故障によって、断線を引き起こし、継続に電気アークを発生し、電子安定器1の焼損または火事事故を防止できる。
【0021】
さらに、本実施形態の電子安定器の実行可能性を実証するため、本発明者は、図4に示す模式図に基づいて、細部な電気回路を実際に設計した。図5に示すように、電流検出抵抗器Rsは、図4に示す電圧検出回路61であり、共振コンデンサーCrの交流電圧のサンプリング(sampling)を行い、蛍光灯管20が劣化したとき、灯管電圧が上昇し続けると、サンプリングされた交流電圧レベルも高くなり、電圧増倍用コンデンサーC10、整流ダイオードD2、抵抗器R9、整流ダイオードD4、抵抗器R10、フィルターコンデンサーC11などの素子を用いて、図4に示す整流フィルタ回路62を組み合わせた。そのうち、2つの整流ダイオードD2、D4は、電圧検出回路61(または電流検出抵抗器Rs)によって、サンプリングされた交流電圧に対して、全波整流を行う。そのうち一つの整流ダイオードは、ツエナーダイオードと、RCフィルタ回路(R9、R10、C10、C11)を利用し、交流電圧と等比例の直流電圧を取得した上、この交流電圧を制御回路10の比較器63の入力端に伝送し、制御回路10に備える比較器63によって、整流フィルタ回路62によって、フィルターコンデンサーC11が許容電圧レベルVrefを超えていることが検出されたとき、比較器63より中断の制御信号を発生し、制御回路10の稼動をただちに中止させ、第1フィラメント201または第2フィラメント202が断線し、引き続いて電気アークを形成していて、電子安定器を焼損し、火事事故を引き起す問題を防止する。
【0022】
このほか、本発明者は、図5に示す電子安定器1において、パワークラスの可変抵抗器を蛍光灯管20に代わる。抵抗値をゆるやかに増加させ、蛍光灯管の劣化現象をシミュレートした。このとき、オシロスコープを用いて、実測したところ、図6に示すように、灯管電圧(すなわち、CH1の波形)がゆるやかに増加し、整流フィルタ回路62に備えるフィルターコンデンサーC11の直流電圧値(すなわち、CH2の波形)が徐々に上昇し、正常な灯管電圧の上下0.6ボルトの許容電圧レベルVrefに来たとき、本実施形態の電子安定器の自己保護機能が起動され、制御回路10の稼動をただちに中止させ、共振インダクターLrと共振コンデンサーCrとの間の発振を中止して、本実施形態の電子安定器は、破損することなく、保護される。
【0023】
以上、本発明は、実施形態の具体的内容に限定されるものではない。実務の需要に従い、その他の制御回路、電圧検出回路または整流フィルタ回路により、電子安定器の自己保護機能の目的を達成することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 ・・・電子安定器
10 ・・・制御回路、
11 ・・・第1パワースイッチ、
12 ・・・第2パワースイッチ、
20 ・・・蛍光灯管、
201 ・・・第1フィラメント、
202 ・・・第2フィラメント、
61 ・・・電圧検出回路、
62 ・・・整流フィルタ回路、
63 ・・・比較器、
Cb ・・・直流障壁容量コンデンサー、
Cr ・・・共振コンデンサー、
C10 ・・・電圧増倍用コンデンサー、
C11 ・・・フィルタコンデンサー、
D2、D4 ・・・整流ダイオード、
L1 ・・・第1予熱コイル、
L2 ・・・第2予熱コイル、
Lr ・・・共振インダクター、
RS ・・・電流検出抵抗器、
R9、R10・・・抵抗器、
Q1、Q2 ・・・金属酸化物半導体電界効果トランジスター、
Vin ・・・電気供給端、
Vref ・・・許容電圧レベル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光灯管両端部の第1フィラメントおよび第2フィラメントに並列接続され、蛍光灯管の寿命終了または故障において自己保護機能を提供可能な電子安定器であって、
周波数が同じであり、波形が交差する電圧信号である第1出力信号および第2出力信号を発生可能な制御回路と、
一端が互いに直列接続されている第1パワースイッチおよび第2パワースイッチと、
前記第1パワースイッチと前記第2パワースイッチとの間に接続された回路に直列接続される直流障壁容量コンデンサーと、
共振インダクターおよび共振コンデンサーを有し、前記共振インダクターは前記直流障壁容量コンデンサーと前記第1フィラメントとの間に並列接続され、前記共振コンデンサーは前記第1フィラメントと前記第2フィラメントとの間に並列接続され、前記第1パワースイッチおよび前記第2パワースイッチの切換え操作に基づいて、前記共振コンデンサーより脈動電圧を発生させる共振回路と、
前記共振コンデンサーに直列接続され、前記第1フィラメントと前記第2フィラメントとの間に並列接続していて、前記蛍光灯管の等比例交流電圧を検出する電圧検出回路と、
前記電圧検出回路と前記制御回路に接続され、前記電圧検出回路より交流電圧を直流電圧に変換した後、直流電圧を前記制御回路に印加する整流フィルタ回路と、を備え、
前記第1パワースイッチの他端は、電気供給端の正極に接続され、前記第1出力信号を受信し、前記第1出力信号に基づいて切換え操作を行い、
前記第2パワースイッチの他端は、前記電気供給端の負極に接続され、前記第2出力信号を受信し、前記第2出力信号に基づいて、信号の切換え操作を行い、
前記制御回路により、直流電圧が所定の許容電圧レベルを超えることが判断されたとき、中断の制御信号を発生し、前記制御回路の稼動をただちに中止させることを特徴とする電子安定器。
【請求項2】
前記第1パワースイッチと前記第2パワースイッチは、それぞれ金属酸化物半導体電界効果トランジスターであり、前記第1パワースイッチのゲート電極は、前記第1出力信号を受信し、前記第1パワースイッチのドレイン電極は、前記電気供給端の正極に接続され、前記第2パワースイッチのゲート電極は、前記第2出力信号を受信し、前記第2パワースイッチのドレイン電極は、前記第1パワースイッチのソース電極に接続され、ソース電極は、前記電気供給端の負極に接続されることを特徴とする請求項1記載の電子安定器。
【請求項3】
前記電圧検出回路は、検出抵抗器であることを特徴とする請求項2記載の電子安定器。
【請求項4】
前記整流フィルタ回路は、2つの整流ダイオードより構成され、電圧検出回路によってサンプリングされ交流電圧の全波整流を行い、さらに、RCフィルタ回路を利用し、前記交流電圧に等比例の直流電圧を取得した後、前記直流電圧を前記制御回路の比較器の入力端に印加することを特徴とする請求項3記載の電子安定器。
【請求項5】
前記整流ダイオードは、ツエナーダイオードであることを特徴とする請求項4記載の電子安定器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−38053(P2013−38053A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226807(P2011−226807)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(599084131)天網電子股▲分▼有限公司 (8)
【Fターム(参考)】