説明

電子機器、及び、電子機器における制御方法

【課題】外部記憶媒体が取り外されることを抑制可能な電子機器を提供すること。
【解決手段】着脱可能な外部記憶媒体に記憶されるコンテンツデータを表示可能な電子機器であって、コンテンツデータ表示中に外部記憶媒体が取り外されると警告音を出力するとともに、コンテンツデータ表示中に電子機器への電力供給の遮断要求を受け付けた場合、電力供給の遮断を許可することなく、表示部に認証情報の入力を求める指示画面を表示するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱可能な外部記憶媒体に記憶されたコンテンツデータを表示する電子機器であり、特に、外部記憶媒体が取り外されることを抑制可能な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
以前より、印刷装置やファクシミリ装置などの電子機器は、店頭で陳列販売されるとき、販売促進用に機器の表示部にデモデータを表示している。例えば、下記特許文献1には、メモリカード(外部記憶媒体)に記憶されたデモ表示指示ファイルに従ってデモを表示し、デモ表示中に電源スイッチの操作を受け付ける印刷装置が記載されている。
【0003】
また、下記特許文献2には、データが記録された記録媒体が装置から抜き取られると警告音を出力する光ディスク装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−176104号公報
【特許文献2】特開2008−159166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように店頭で陳列されている際に、心無い第三者により外部記憶媒体が取り外され、持ち去られることがあった。つまり、デモデータ表示中に電源スイッチが操作されることで電子機器の電源がオフされ、警告音が鳴らないようにした上で、外部記憶媒体が取り外され、持ち去られることがあった。
【0006】
本発明は、外部記憶媒体を取り外せなくするような機械的な手段を採用することなく、外部記憶媒体が取り外されることを抑制可能な電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子機器は、コンテンツデータを記憶可能な外部記憶媒体を着脱可能なメモリインタフェースと、コンテンツデータを表示可能な表示部と、音声を出力する音声出力部と、を備えた電子機器であって、前記電子機器への電力供給の遮断に係る遮断要求を受け付ける受付手段と、コンテンツデータとともに、認証情報が当該コンテンツデータに関連付けて前記外部記憶媒体に記憶されているか否かを判断する判断手段と、前記外部記憶媒体に記憶されたコンテンツデータを前記表示部に表示するコンテンツデータ表示手段と、前記コンテンツデータが表示されている間、前記外部記憶媒体が前記メモリインタフェースに装着されているか否かを監視する監視手段と、前記判断手段により前記認証情報が前記コンテンツデータと関連付けて記憶されていると判断されたことを条件として、前記監視手段により前記外部記憶媒体が前記メモリインタフェースに装着されていないことが検出された場合、警告音を前記音声出力部に出力させる第1音声出力手段と、前記コンテンツデータが表示されている状態で前記遮断要求を受け付けた場合、電力供給の遮断を許可することなく、前記表示部に、前記認証情報の入力を求める指示画面を表示する指示画面表示手段と、を備える。
【0008】
これにより、認証情報が関連付けられたコンテンツデータの表示中に、外部記憶媒体が取り外された場合には、警告音を出力するとともに、電子機器への電力供給の遮断に係る遮断要求を受け付けた場合には、電力供給の遮断を許可することなく、認証情報の入力を求める指示画面を表示することができる。
【0009】
よって、コンテンツデータ表示中に電力供給が遮断されてしまうことを防止し、警告音を出力しないようにして外部メモリが取り外されてしまうことを抑制することができる。また、警告音の出力により、電子機器の管理者に通知することができるとともに、取り外した第三者に対して、その警告音により外部記憶媒体を取り外してはいけないことを察知させることができ、取り外された外部記憶媒体がメモリインタフェースに戻されることを期待できる。
【0010】
なお、遮断要求とは、例えば、電源キーの押下により入力される電力供給遮断の指令を含むことはもちろんのこと、電力供給遮断の前に、電源キー以外の所定のキーの操作が必要なものであれば、その所定のキーが操作されることにより入力される指令をも含む概念である。また、認証情報は、パスワードなどの文字列による認証であってもよいし、キーの所定時間の押下操作に係るもの、複数キーの所定順での押下操作に係るもの、電子機器を管理する者の指紋情報やIDカードなどの固有情報であってもよい。
【0011】
さらに、電子機器は、前記コンテンツデータが表示されている状態で前記遮断要求を受け付けた場合、前記判断手段により前記認証情報が前記コンテンツデータと関連付けて記憶されていないと判断されたことを条件として、前記電子機器への電力供給の遮断を許可する第1電源管理手段を備えるとよい。
【0012】
これにより、認証情報がコンテンツデータと関連付けて記憶されていない場合は、コンテンツデータ表示中でも電力供給の遮断を許可することができる。よって、外部記憶媒体に記憶された情報に応じて電源管理ができるため、例えば店頭で陳列販売される際のデモとしてのコンテンツデータの表示処理と、ユーザによる当電子機器購入後のコンテンツデータ表示処理とを好適に切り分けて電源管理することができる。
【0013】
さらに、電子機器は、前記判断手段により前記認証情報が前記コンテンツデータと関連付けて記憶されていると判断され、前記コンテンツデータが表示されている状態で前記遮断要求を受け付けた場合、前記指示画面に基づき入力された情報と、前記外部記憶媒体に記憶されている前記認証情報とが一致することを条件として、前記電子機器への電力供給の遮断を許可する第2電源管理手段を備えるとよい。
【0014】
これにより、指示画面に基づいて入力された情報と外部記憶媒体に記憶されている認証情報とが一致した場合、電力供給の遮断を許可することができる。よって、認証情報を知っている者のみが、コンテンツデータ表示中でも電源供給を遮断させることができ、認証情報を知らない第三者は、電力供給を遮断させることはできないので、警告音が出力されないようにした上での外部記憶媒体の取り外しを抑制することが可能となる。
【0015】
さらに、電子機器は、前記判断手段により前記認証情報が前記コンテンツデータと関連付けて記憶されていると判断され、前記コンテンツデータが表示されている状態で前記遮断要求を受け付けた場合、前記指示画面に基づき入力された情報と、前記外部記憶媒体に記憶されている前記認証情報とが一致しないことを条件として、警告音を前記音声出力部に出力させる第2音声出力手段を備えるとよい。
【0016】
これにより、指示画面に基づいて入力された情報と外部記憶媒体に記憶されている認証情報とが一致しない場合に、警告音を出力することができる。よって、認証情報を知らない第三者により、認証情報を予測して適当な情報が入力されることを抑制することができる。
【0017】
さらに、電子機器は、前記判断手段により前記認証情報が前記コンテンツデータと関連付けて記憶されていると判断され、前記指示画面に基づき入力された情報と、前記外部記憶媒体に記憶されている前記認証情報とが一致することを条件として、前記監視手段により前記外部記憶媒体が前記メモリインタフェースに取り付けられていないことが検出され場合、前記警告音を前記音声出力部に出力させないように前記第1音声出力手段を制御する音声制御手段を備えるとよい。
【0018】
これにより、指示画面に基づいて入力された情報と外部記憶媒体に記憶されている認証情報とが一致した場合、外部記憶媒体が取り外されても、警告音を出力しないように制御できる。よって、認証情報を知っている者のみが、コンテンツデータ表示中でも警告音を出力させることなく外部記憶媒体を取り外すことができ、認証情報を知らない第三者による外部記憶媒体の取り外しに対しては警告音を出力することで、外部記憶媒体の取り外しを抑制できる。
【0019】
さらに、電子機器は、前記警告音の出力音量を前記警告音以外の音声の出力音量よりも大きく変更して、前記警告音を出力するよう前記音声出力部を制御する音量変更手段を備えるとよい。
【0020】
これにより、出力音量を大きくして警告音を出力させることができる。よって、電子機器の管理者は警告音に気づき易くなる。
【0021】
また、本発明に係る電子機器における制御方法は、コンテンツデータを記憶可能な外部記憶媒体を着脱可能なメモリインタフェースと、コンテンツデータを表示可能な表示部と、音声を出力する音声出力部と、を備えた電子機器における制御方法あって、前記電子機器への電力供給の遮断に係る遮断要求を受け付ける受付ステップと、コンテンツデータとともに、認証情報が当該コンテンツデータに関連付けて前記外部記憶媒体に記憶されているか否かを判断する判断ステップと、前記外部記憶媒体に記憶されたコンテンツデータを前記表示部に表示するコンテンツデータ表示ステップと、前記コンテンツデータが表示されている間、前記外部記憶媒体が前記メモリインタフェースに装着されているか否かを監視する監視ステップと、前記判断ステップにより前記認証情報が前記コンテンツデータと関連付けて記憶されていると判断されたことを条件として、前記監視ステップにより前記外部記憶媒体が前記メモリインタフェースに装着されていないことが検出された場合、警告音を前記音声出力部に出力させる第1音声出力ステップと、前記コンテンツデータが表示されている状態で前記遮断要求を受け付けた場合、電力供給の遮断を許可することなく、前記表示部に、前記認証情報の入力を求める指示画面を表示する指示画面表示ステップと、を備える。
【0022】
これにより、請求項1と同様の作用、効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】複合機および外部メモリの構成図である。
【図2】複合機により実行されるメイン処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本実施形態を説明する。図1は、本実施形態の複合機10の概略を示した図である。
【0025】
複合機10は、CPU、ROM、RAM等(図示せず。)を備え、複合機10の各動作について、このROMに記憶されたプログラムに基づき制御を行う制御部11と、各種情報を記憶する記憶部12と、印刷処理を行う印刷部13と、複合機10のユーザから指示を受け付ける操作部14と、図示しないネットワーク回線に接続され他の装置と通信を行うネットワークインタフェース(ネットワークI/F)15と、各種情報を表示する表示部16と、スピーカなどにより構成される音声出力部17と、USBメモリなどの記憶媒体である外部メモリ20を着脱可能なメモリインタフェース(メモリI/F)18と、図示しない電力線に接続され、複合機10に電力を供給する電源ユニット19と、を備えている。なお、制御部11と各部12〜19とは、バスラインを介して互いに接続され、各部12〜19は制御部11により制御されている。
【0026】
メモリI/F18は、外部メモリ検出部182を備え、外部メモリ20がメモリI/F18に装着されているか否かを検出可能である。制御部11は、その検出結果を参照することで、メモリI/F18に外部メモリ20が装着されているか否かを認識する。
【0027】
メモリI/F18に外部メモリ20が装着されると、制御部11は、外部メモリ20内に記憶されているコンテンツデータ201を読み出し、そのコンテンツデータ201の表示部16への表示指示、印刷部13への印刷出力指示、音声出力部17への音声出力指示などを行う。
【0028】
操作部14は、電源キー142を備え、電源キー142の押下により複合機10の電源のオンとオフとを切り替えることができる。すなわち、電源ユニット19から複合機10への電力供給を、受け付けるか遮断するかを切り替えることができる。
【0029】
音声出力部17は、制御部11からの制御により、出力する音の音量を大きくしたり小さくしたりすることが可能である。
【0030】
外部メモリ20は、記憶媒体であり、コンテンツデータ201と指示データ202を記憶している。さらに、指示データ202は、複数の文字列から構成される認証情報としてのパスワード203を含むことができる。なお、コンテンツデータ201は、例えば、画像データや映像データなどである。
【0031】
指示データ202は、外部メモリ20がメモリI/F18に装着された際、制御部11により優先的に読み取られるように構成され、外部メモリ20に一緒に記憶されているコンテンツデータ201の表示指示が記載されたデータである。制御部11は、指示データ202を読み取ると、指示データ202に記載された表示指示に従い、コンテンツデータ201を表示部16に表示する。
【0032】
上述のように、指示データ202は、コンテンツデータ201とパスワード203とに関連性を有している。つまり、コンテンツデータ201とパスワード203は指示データ202を介して互いに関連性を有しているとも言える。
【0033】
次に、図2を参照して、複合機10の制御部11によって実行される処理について説明する。図2は、複合機10の制御部11によって、ROMに記憶されたプログラムに基づき実行される複合機メイン処理を示したフローチャートである。この複合機メイン処理は、電源キー142が押下されることによる複合機10の電源がオンされることにより開始される。
【0034】
複合機10の電源がオンされると、制御部11は、メモリI/F18に外部メモリ20が装着されているか否かを判断し(S205)、装着されていなければ(S205:NO)、複合機10は通常処理を行う(S210)。ここでの通常処理とは、例えば、印刷部13による印刷処理などである。
【0035】
制御部11は、メモリI/F18に外部メモリ20が装着されたと判断すると(S205:YES)、外部メモリ20に記憶されている指示データ202を読み取り、その指示データ202に記載された表示指示により表示の対象とされているコンテンツデータ201が、外部メモリ20に記憶されているか否かを判断する(S213)。
【0036】
ここで、コンテンツデータ201が記憶されていないと判断した場合(S213:NO)、制御部11は、通常処理を行う(S210)。ここでの通常処理とは、例えば、外部メモリ20から何らかのデータを取得する処理や、外部メモリ20に何らかのデータを記憶させる処理などである。
【0037】
制御部11は、外部メモリ20にコンテンツデータ201が記憶されていると判断すると(S213:YES)、指示データ202にパスワード203が含まれているか否かを判断する(S215)。
【0038】
そして、指示データ202にパスワード203が含まれていないと判断された場合(S215:NO)、制御部11は、通常処理を行う(S210)。ここでの通常処理とは、例えば、外部メモリ20に記憶されたパスワード203を含まない指示データ202に従い、コンテンツデータ201を表示部16に表示させる処理や、パスワード203を含まない指示データ202に従ったコンテンツデータ201の表示中に、電源キー142が押下されることによる電源ユニット19からの電力供給遮断を許可する処理(電源オフ)などである。
【0039】
一方、指示データ202にパスワード203が含まれていると判断した場合(S215:YES)、RAMにフラグを立てる(S220)。このフラグは、パスワード203を含む指示データ202が記憶された外部メモリ20が、メモリI/F18に装着されていることを示すものである。
【0040】
続いて、制御部11は、外部メモリ20からコンテンツデータ201を読み出し、表示部16に表示する(S225)。
【0041】
制御部11は、コンテンツデータ201の表示中に、電源キー142がユーザにより押下されたか否か監視しており(S230)、電源キー142の押下が検出されていない間は(S230:NO)、メモリI/F18に外部メモリ20が装着されているか否かを常時監視している(S235)。なお、電源キー142が押下されると、電源キー142が押下されたことを示す信号が制御部11に伝えられ、制御部11は、電源キー142が押下されたことを検出できる。
【0042】
そして、外部メモリ20がメモリI/F18に装着されていれば(S235:YES)、S230に処理を戻し、電源キー142の押下の監視を続ける。ここで、外部メモリ20がメモリI/F18に装着されていないことが検出された場合(S235:NO)、すなわち、外部メモリ20がメモリI/F18から取り外された場合、制御部11は、RAMにフラグが立っているか否かを判断する(S240)。制御部11は、フラグが立っていないと判断すると(S240:NO)、S205に処理を移行する。
【0043】
一方、RAMにフラグが立っていると判断すると(S240:YES)、制御部11は、表示部16に、取り外された外部メモリ20の装着を促す旨の警告表示を行うとともに(S245)、音声出力部17の出力音量を大きくする(S250)。なお、警告表示の一例として、「取り外した外部メモリを再度装着してください」などの表示がある。
【0044】
また、出力音量は、警告音以外の音声に設定されている出力音量よりも大きく変更されればよいが、特に、本実施形態では、音声出力部17が出力可能な出力音量のうち最大音量に変更する場合について説明する。
【0045】
次いで、制御部11は、音声出力部17に警告音の出力を開始させる(S255)。この警告音は、記憶部12に記憶された警告音データに基づき出力される。
【0046】
そして、制御部11は、メモリI/F18に、取り外された外部メモリ20が装着されたか否かを監視し続け(S260:NO)、外部メモリ20がメモリI/F18に装着されたことが検出されると(S260:YES)、音声出力部17に警告音の出力を停止させる(S265)。
【0047】
続いて、制御部11は、S250で最大に変更した出力音量を変更前の音量に戻し(S267)、処理をS205に移す。
【0048】
また、外部メモリ20に記憶されたコンテンツデータ201の表示中に、電源キー142が押下されたことを検出すると(S230:YES)、制御部11は、RAMにフラグが立っているか否かを判断する(S270)。
【0049】
制御部11は、RAMにフラグが立っていると判断すると(S270:YES)、ユーザにパスワードの入力を促すパスワード入力画面を表示部16に表示し(S275)、ユーザによる操作部12からのパスワード入力を受け付ける。
【0050】
制御部11は、入力されたパスワードが正しいパスワードか否か、換言すれば、入力されたパスワードが、外部メモリ20が記憶する指示データ202に含まれるパスワード203と一致するか否かを判断する(S280)。
【0051】
ここで、制御部11は、入力されたパスワードが正しいパスワードであると判断すると(S280:YES)、RAMに立っているフラグを下ろし(S282)、処理をS230に戻す。一方、正しいパスワードではないと判断すると(S280:NO)、パスワード入力画面への誤ったパスワードの入力が続けて所定回数繰り返されたか否かを判断する(S284)。
【0052】
ここで、誤ったパスワードの入力が所定回数繰り返されていないと判断すると(S284:NO)、制御部11は、処理をS230移行させる。一方、誤ったパスワードの入力が所定回数繰り返されたと判断すると(S284:YES)、ユーザに正しいパスワードを確認させる旨の警告表示を、表示部16に表示させる(S286)。警告表示の一例として、「複合機の管理者に正しいパスワードを問い合わせてください」などの表示がある。
【0053】
制御部11は、警告表示とともに、所定時間、警告音を音声出力部17に出力させた後(S288)、処理をS230に移行する。
【0054】
また、制御部11は、S270の処理で、RAMにフラグが立っていないと判断すると(S270:NO)、シャットダウン処理を行い(S290)、本複合機メイン処理を終了する。つまり、電源キー142が押下され、正しいパスワードが入力されていた場合には、制御部11は、シャットダウン処理を実行することを許可する。なお、シャットダウン処理は、表示していたコンテンツデータ201の表示を終了し、電源ユニット19からの電力供給を遮断する処理(電源オフ)を行うものであり、周知の複合機と同じ処理であるため、詳細な説明は省略する。
【0055】
本実施形態に係る発明の効果を以下に説明する。
【0056】
本実施形態に係る複合機10は、コンテンツデータ201の表示中に電源キー142が押下された場合でも、指示データ202に含まれるパスワード203が入力されていない状態であれば、電源をオフすることなくパスワード入力画面を表示することができる。これにより、警告音が出力されないように複合機10の電源をオフした上で、外部メモリ20が取り外されることを抑制することができる。
【0057】
一方で、指示データ202にパスワード203が含まれていない場合には、電源キー142が押下されることで複合機10の電源をオフすることができる。コンテンツデータ201にパスワード203が含まれているか否かで、電源オフの制御を好適に切り分けることができる。
【0058】
また、パスワード入力画面に入力されたパスワードと指示データ202に含まれたパスワード203とが一致した場合には、コンテンツデータ201の表示中でも電源をオフすることができ、パスワードを知らない第三者による電源オフを禁止し、警告音が出力されないようにした上で外部メモリが取り外されることを抑制することが可能となる。
【0059】
さらに、パスワードの入力を所定回数誤ると、警告音を出力することができる。外部メモリ20の取り外しを試みる者が、しらみつぶしにパスワードを入力することにより正しいパスワードが入力されてしまうことを抑制することができる。
【0060】
また、正しいパスワードが入力されずに外部メモリ20が取り外された場合には、警告音を出力して複合機10の管理者に通知することができるとともに、正しいパスワードが入力された場合には、外部メモリ20を取り外しても警告音の出力は行わない。よって、パスワードを知らない第三者による外部メモリ20の取り外しを抑制することができる。
【0061】
また、出力される警告音は、音声出力部が出力可能な最大の音量で出力されるため、複合機10の管理者は警告音に気づき易くなるとともに、外部メモリ20を取り外した者は、その警告音に驚き、外部メモリ20がメモリI/F18に戻すことが考えられる。よって、外部メモリ20が取り外され、持ち去られてしまうことを抑制することが可能となる。
【0062】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0063】
本実施形態における電源ユニット19からの電力供給の遮断は、完全なる遮断でもよいが、例えば印刷部13がインクジェットプリンタ機構で構成されていた場合には、インク詰まりを防止する措置などを実行する程度に電力供給はなされていてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、コンテンツデータ201の表示を指示する指示データ202にパスワード203が含まれる構成を説明したが、これに限定されることはなく、コンテンツデータ201とパスワード203が関連付けて外部メモリ20に記憶されていればよい。そして、コンテンツデータ201表示中に入力されるパスワードと外部メディア20に記憶されたパスワード203との一致が検出できればよい。
【0065】
さらに、上記実施形態では、認証情報として複数の文字列から構成されるパスワード203を用いたが、パスワード203に代えて所定の操作を認証情報として用いてもよい。例えば、特定のキーの押下や所定時間のキー押下、複数のキーの同時押下、複数キーの所定の順での押下、指紋情報の入力、IDカードなどの固有情報の入力などである。これら所定の操作を認証情報として用いる場合には、コンテンツデータ201と上記所定の操作を示す情報を関連付けて外部メモリ20に記憶しておき、S215において、「所定の操作を示す情報あり?」とし、S275において、「所定の操作入力画面表示」とし、さらに、S280において、「正しい所定の操作が行われたか?」とするとよい。
【0066】
また、上記実施形態では、S230において、コンテンツデータ201が表示されている間に電源キー142の押下を監視しているが、外部メモリ20にコンテンツデータ201が複数記憶されていた場合には、表示されるコンテンツデータ201間のギャップにおいても、当然電源キー142の押下を監視すればよい。
【0067】
また、S260において、警告音出力中に、取り外された外部メモリ20が装着されたかを判断しているが、S205において外部メモリが装着された際に、外部メモリ20から固有の識別情報を取得しておき、S260でその識別情報を備えた外部メモリ20が装着されたかを判断するとよい。抜き取られた外部メモリ20とは異なる外部メモリ20が装着されることで警告音の出力を停止してしまうことを防止できる。
【0068】
また、本実施形態では、パスワード入力画面は、電源キー142の押下によって表示される構成とされていたが、複合機10の電源をオフするために何かしらの処理(例えばパスワード入力)が必要な構成の場合には、その何かしらの処理を行うための操作部14の操作が行われたことに基づいてパスワード入力画面を表示してもよい。
【0069】
なお、複合機10は電子機器の一例、外部メモリ20は外部記憶媒体の一例、パスワード203(上記「所定の操作」)は認証情報の一例、電源キー142の押下により制御部11に伝えられる信号は遮断要求の一例、パスワード入力画面(上記「所定の操作入力画面」)は指示画面の一例である。
【0070】
また、S230を実行する制御部11は受付手段の一例である。S215を実行する制御部11は判断手段の一例である。S225を実行する制御部11はコンテンツデータ表示手段の一例である。S235を実行する制御部11は監視手段の一例である。S255を実行する制御部11は第1音声出力手段の一例である。S275を実行する制御部11は指示画面表示手段の一例である。S210を実行する制御部11は第1電源管理手段の一例である。S290を実行する制御部11は第2電源管理手段の一例である。S288を実行する制御部11は第2音声出力手段の一例である。S240でNOと判断する制御部11は音声制御手段の一例である。S250を実行する制御部11は音量変更手段の一例である。
【符号の説明】
【0071】
10 複合機
20 外部メモリ
201 コンテンツデータ
202 指示データ
203 パスワード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツデータを記憶可能な外部記憶媒体を着脱可能なメモリインタフェースと、コンテンツデータを表示可能な表示部と、音声を出力する音声出力部と、を備えた電子機器であって、
前記電子機器への電力供給の遮断に係る遮断要求を受け付ける受付手段と、
コンテンツデータとともに、認証情報が当該コンテンツデータに関連付けて前記外部記憶媒体に記憶されているか否かを判断する判断手段と、
前記外部記憶媒体に記憶されたコンテンツデータを前記表示部に表示するコンテンツデータ表示手段と、
前記コンテンツデータが表示されている間、前記外部記憶媒体が前記メモリインタフェースに装着されているか否かを監視する監視手段と、
前記判断手段により前記認証情報が前記コンテンツデータと関連付けて記憶されていると判断されたことを条件として、前記監視手段により前記外部記憶媒体が前記メモリインタフェースに装着されていないことが検出された場合、警告音を前記音声出力部に出力させる第1音声出力手段と、
前記コンテンツデータが表示されている状態で前記遮断要求を受け付けた場合、電力供給の遮断を許可することなく、前記表示部に、前記認証情報の入力を求める指示画面を表示する指示画面表示手段と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記コンテンツデータが表示されている状態で前記遮断要求を受け付けた場合、前記判断手段により前記認証情報が前記コンテンツデータと関連付けて記憶されていないと判断されたことを条件として、前記電子機器への電力供給の遮断を許可する第1電源管理手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記判断手段により前記認証情報が前記コンテンツデータと関連付けて記憶されていると判断され、前記コンテンツデータが表示されている状態で前記遮断要求を受け付けた場合、前記指示画面に基づき入力された情報と、前記外部記憶媒体に記憶されている前記認証情報とが一致することを条件として、前記電子機器への電力供給の遮断を許可する第2電源管理手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記判断手段により前記認証情報が前記コンテンツデータと関連付けて記憶されていると判断され、前記コンテンツデータが表示されている状態で前記遮断要求を受け付けた場合、前記指示画面に基づき入力された情報と、前記外部記憶媒体に記憶されている前記認証情報とが一致しないことを条件として、警告音を前記音声出力部に出力させる第2音声出力手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記判断手段により前記認証情報が前記コンテンツデータと関連付けて記憶されていると判断され、前記指示画面に基づき入力された情報と、前記外部記憶媒体に記憶されている前記認証情報とが一致することを条件として、前記監視手段により前記外部記憶媒体が前記メモリインタフェースに取り付けられていないことが検出され場合、前記警告音を前記音声出力部に出力させないように前記第1音声出力手段を制御する音声制御手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記警告音の出力音量を前記警告音以外の音声の出力音量よりも大きく変更して、前記警告音を出力するよう前記音声出力部を制御する音量変更手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の電子機器。
【請求項7】
コンテンツデータを記憶可能な外部記憶媒体を着脱可能なメモリインタフェースと、コンテンツデータを表示可能な表示部と、音声を出力する音声出力部と、を備えた電子機器における制御方法あって、
前記電子機器への電力供給の遮断に係る遮断要求を受け付ける受付ステップと、
コンテンツデータとともに、認証情報が当該コンテンツデータに関連付けて前記外部記憶媒体に記憶されているか否かを判断する判断ステップと、
前記外部記憶媒体に記憶されたコンテンツデータを前記表示部に表示するコンテンツデータ表示ステップと、
前記コンテンツデータが表示されている間、前記外部記憶媒体が前記メモリインタフェースに装着されているか否かを監視する監視ステップと、
前記判断ステップにより前記認証情報が前記コンテンツデータと関連付けて記憶されていると判断されたことを条件として、前記監視ステップにより前記外部記憶媒体が前記メモリインタフェースに装着されていないことが検出された場合、警告音を前記音声出力部に出力させる第1音声出力ステップと、
前記コンテンツデータが表示されている状態で前記遮断要求を受け付けた場合、電力供給の遮断を許可することなく、前記表示部に、前記認証情報の入力を求める指示画面を表示する指示画面表示ステップと、
を備えることを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−239199(P2010−239199A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82206(P2009−82206)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】