説明

電子機器及びその製造方法

【課題】半田付け等の接合作業を行いやすい電子機器及びその製造方法を提供する。
【解決手段】液晶ディスプレイパネル4をバックライト6に重ねて、液晶ディスプレイパネル4の表示領域の外側の非表示領域41aに接続された可撓性回路シート5に連繋されるとともに液晶ディスプレイパネル4の縁からその外に延び出た接合片53を、バックライト6に設けられた第2可撓性回路シート64に連繋された接合片66に重ね、接合片53に形成された端子54と、接合片66に形成された端子67とを接合し、接合片53及び接合片66を非表示領域41aの上に折り返し、表示窓25が形成されたケース2を液晶ディスプレイパネル4の上から被せて、接合片53及び接合片66をケース2と非表示領域41aの間に収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置には、液晶ディスプレイパネルの裏面側にバックライトを組み付けたものがある。そのような表示装置では、例えば液晶ディスプレイパネル、バックライトのそれぞれに可撓性回路シートが接続されていることがある。このような表示装置を携帯電話機等の機器本体に組み付ける場合、2枚の可撓性回路シートを別々に液晶ディスプレイパネル及びバックライトを駆動するための主回路基板に接続しなければならず、その接続作業が2回あるので、煩わしかった。そこで、2枚の可撓性回路シートを一纏めにし、接続作業が1回で済むようにすることがなされている。具体的には、液晶ディスプレイパネルに接続された可撓性回路シートに、バックライトに接続された可撓性回路シートを接続している(例えば、特許文献1参照)。液晶ディスプレイパネルに接続された可撓性回路シートを主回路基板に接続すれば、主回路基板に対しての可撓性回路シートの接続が1回で済む。
【0003】
このようなバックライトに接続された可撓性回路シートは液晶ディスプレイパネルの裏側に配置されるため、表示装置の組み立てに際しては、液晶ディスプレイパネル用の可撓性回路シートの一部を液晶ディスプレイパネルの裏側に折り返し、その折り返した部分をバックライト用の可撓性回路シートに重ね、その重なった部分に形成された端子同士を接合して接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−41328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、液晶ディスプレイパネル用の可撓性回路シートの一部を裏側に折り返した状態では、接合の作業性が悪かった。つまり、折り返した部分が元に戻ろうとするので、その折り返した部分を止めにくいうえ、その折り返した部分がずれたり、揺れたりするから、接合しにくかった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、接合作業を行いやすい電子機器及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明の第1の態様によれば、
複数の電子モジュールを備えた電子機器の製造方法であって、
前記複数の電子モジュールにそれぞれ設けられた可撓性回路シートの接合片が延出した状態で前記接合片にそれぞれ設けられた接触端子をともに上側に向けるように相互に隣接させて、前記接触端子同士に跨るように導電性接合材を塗布して接合してから、前記接合片同士を折り返してケース内に収納することを特徴とする。
前記複数の電子モジュールのうちの1つは液晶ディスプレイパネルであり、前記接合片は、前記液晶ディスプレイパネルの非表示領域のみと重なるように折り返されていることが好ましい。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、
複数の電子モジュールを備えた電子機器であって、
前記複数の電子モジュールにそれぞれ設けられた可撓性回路シートの接合片は、それぞれが延出した状態では、前記接合片にそれぞれ設けられた接触端子がともに上側を向き且つ相互に隣接するように配置され、前記接触端子同士に跨るように導電性接合材が形成され、前記前記接合片同士を折り返してケース内に収納されていることを特徴とする。
前記複数の電子モジュールのうちの1つは液晶ディスプレイパネルであり、前記接合片は、前記液晶ディスプレイパネルの非表示領域のみと重なるように折り返されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、接合片を折り返す前に、端子同士を接合できるので、導電性接合材がずれることなくその接合の作業性を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶表示装置の分解斜視図である。
【図2】同実施形態に係る液晶表示装置の要部側面図である。
【図3】同実施形態において接合部を拡大して示した断面図である。
【図4】同実施形態に係る液晶表示装置の平面図である。
【図5】同実施形態に係る液晶表示装置の製造方法における接合工程後の要部側面図である。
【図6】同実施形態に係る液晶表示装置の製造方法における接合工程後の平面図である。
【図7】図6の一部を拡大して示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0011】
図1は、電子機器としての液晶表示装置1の分解斜視図である。
図1に示すように、この液晶表示装置1は、上ケース2、下ケース3、液晶ディスプレイパネル4、可撓性回路シート5及びバックライト6等を有する。以下、液晶表示装置1が組み立てられた状態の構成について具体的に説明する。
【0012】
上ケース2の天板21が矩形枠状に設けられ、その天板21の4辺に側板22が連接され、側板22が天板21に対して立てた状態に設けられている。側板22のうち天板21の1つの短辺に連接された部分の左右中央部には、切欠部23が形成されている。上ケース2の天板21には、矩形状の表示窓25が開口している。
【0013】
下ケース3の底板31が矩形枠状に設けられ、その底板31の2つの長辺に側板32,33がそれぞれ連接され、1つの短辺に側板34が連接され、もう1つの短辺に側板34より短い側板35,36が連接されている。これらが側板32〜36が底板31に対して立てた状態に設けられている。下ケース3の底板31には、矩形状の窓37が開口している。
【0014】
下ケース3が上ケース2に組み付けられている。具体的には、下ケース3が入れ子状にして上ケース2内に入れられている。上ケース2の側板22に形成された切欠部23は側板35,36の間に位置しているので、側板35,36によって塞がれていない。
【0015】
上ケース2及び下ケース3の内側であって、下ケース3の底板31の上には、電子モジュールとしての液晶ディスプレイパネル4が搭載され、上ケース2が液晶ディスプレイパネル4の上に被せてある。液晶ディスプレイパネル4は、アクティブマトリクス駆動方式のものである。この液晶ディスプレイパネル4では、上基板42が下基板41に対向している。シール材が上基板42の縁部分に沿って枠状に設けられ、そのシール材が上基板42と下基板41との間に挟持され、そのシール材によって上基板42と下基板41が接着されている。下基板41と上基板42の間であってシール材の内側に液晶が封入されている。下基板41のサイズは上基板42のサイズよりも大きく、下基板41の一部が上基板42の縁から突出している。下基板41と上基板42が重なった部分が表示領域である。下基板41の表示領域内の上面には、複数の走査線が互いに平行となって横方向に延びるように設けられているとともに、複数の信号線が互いに平行となって縦方向に延びるように設けられている。走査線と信号線の各交差部に薄膜トランジスタが形成されている。薄膜トランジスタのゲート電極が走査線に接続され、薄膜トランジスタのソース電極、ドレイン電極の一方が信号線に接続され、他方が透明な画素電極に接続されている。複数の画素電極が下基板41の表面においてマトリクス状に配列され、一方、上基板42の両面のうち下基板41に向き合う面に透明な共通電極が成膜されている。画素電極及び共通電極の表面には、それぞれ配向膜が形成されている。また、上基板42には、カラーフィルタが形成されている。上基板42の上には、偏光フィルタ43が貼着されている。
【0016】
液晶ディスプレイパネル4が上ケース2及び下ケース3の内側に収容された状態では、上基板42が上ケース2の表示窓25に向き合って、表示領域が表示窓25に重なって、表示窓25が塞がれている。下基板41が窓37に向き合って、窓37が塞がれている。
【0017】
液晶ディスプレイパネル4には、ICチップ44が表面実装されている。具体的には、下基板41のうち上基板42の縁からはみ出た非表示領域41aの上にICチップ44が表面実装されている。ICチップ44には、液晶ディスプレイパネル4を駆動するドライバが内蔵されている。ICチップ44の複数の出力端子には、表示領域から延び出た走査線や信号線がそれぞれ接続されている。また、ICチップ44の複数の入力端子には、非表示領域41a上に形成された複数の引き回し配線がそれぞれ接続され、これら引き回し配線は、非表示領域41a上に接合された可撓性回路シート5の複数の配線にそれぞれ接続されている。
【0018】
液晶ディスプレイパネル4には、可撓性回路シート5が接続されている。具体的には、下基板41のうち上基板42の縁からはみ出た非表示領域41aの上に可撓性回路シート5の端部52が接合されている。可撓性回路シート5は、上ケース2及び下ケース3の内側から切欠部23を通って上ケース2及び下ケース3の外側に延び出ている。
【0019】
可撓性回路シート5はいわゆるFPC(Flexible Printed Circuit)といわれるものである。ICチップ44に電力を供給したり、信号を出力したりするための配線が可撓性回路シート5の端部52から端部51にかけて形成されている。また、可撓性回路シート5は、シート状の接合片53が連繋され、接合片53と可撓性回路シート5が一体となっている。接合片53の表面には、2つの接触端子54が形成されている。
【0020】
電子モジュールとしてのバックライト6は、下ケース3の下側において窓37を通じて液晶ディスプレイパネル4の下面に対向するように配置されている。バックライト6は以下のように構成されている。
【0021】
ベース板61の上に導光板62が載置され、ベース板61と導光板62との間に反射シートが挟まれている。LED等の発光素子63が導光板62の一側面に沿って配列されており、その一側面が入射面となっている。これら発光素子63は、可撓性回路シート64上に搭載されている。可撓性回路シート64は導光板62の入射面の脇においてベース板61の上に貼着され、可撓性回路シート64の上に遮光シート65が貼着され、発光素子63が遮光シート65によって覆われている。導光板62の上面が下ケース3の窓37を介して液晶ディスプレイパネル4の裏面に対向している。導光板62の上面が出射面となり、その出射面から出射した光が液晶ディスプレイパネル4の裏面に入射する。導光板62の上面には、光拡散シート、プリズムアレイシート等の光学シートがはり付けられている。
【0022】
図2は、液晶表示装置1の要部側面図である。図3は、要部断面図である。図4は、液晶表示装置1の上面図である。図2、図4では、上ケース2を下ケース3から外した状態で示されており、上ケース2の図示を省略する。
【0023】
図1、図2、図3、図4に示すように、可撓性回路シート64には、シート状の接合片66が連繋され、接合片66と可撓性回路シート64が一体となっている。接合片66の表面には、2つの接触端子67が形成されている。可撓性回路シート64上には、接触端子67と可撓性回路シート64に設けられた発光素子63とを電気的に接続する複数の配線が形成され、これら配線は、接合片66及び可撓性回路シート64に設けられた絶縁膜68によって覆われている。可撓性回路シート5の接合片53に設けられた2つの接触端子54及び可撓性回路シート64の接合片66の2つの接触端子67は、接合片53及び接合片66を折り返されずに重ねたときに相互に隣接して露出するように位置がずれて設けられている。具体的には、上側の接合片53より、下側の接合片66の方がより突出するように長く延出している。これら接合片53,66が接合した状態で液晶ディスプレイパネル4の前面側に折り返されている。
【0024】
接合片53,66が折り返されずに広げられた状態では、接合片53が可撓性回路シート5の端部52から左側に延び出ており、その左端から下基板41の縁の外に向かって延び出ており、更にその突端から右側に延び出ている。つまり、接合片53全体としてはU字状を呈し、接合片53のうち下基板41の縁の外側に延び出た部分はL字状を呈している。
【0025】
接合片53,55が折り返されずに広げられた状態では、接合片66が可撓性回路シート64から下基板41の縁の外に向かって延び出ており、その突端から右側に延び出ている。つまり、接合片53は全体としてL字状を呈している。
【0026】
接合片53及び可撓性回路シート5には、接触端子54から可撓性回路シート5の端部51にかけて敷設された配線が形成されている。その配線は、発光素子63に電力を供給するために用いられ、接合片53及び可撓性回路シート5に設けられた絶縁膜58によって覆われている。
【0027】
接合片53,66が折り返されずに広げられた状態の接合片66の表面には、2つの接触端子67が形成されている。接合片66及び可撓性回路シート64には、所定の回路パターンが形成され、その回路パターンの一部が接触端子67となっており、その回路パターンが発光素子63に接続されている。
【0028】
接合片53が接合片66の表面の上に重ねられている。接触端子67の上には接合片53が重なっていない。接合片53と接合片66が重ねられた状態では、接触端子54と接触端子67が互いに近接している。接触端子54と接触端子67がそれらの上部に連続して堆積された半田等の導電性接合材7によって電気的に接続するように接合されている。なお、導電性接合材7として半田の代わりに接着剤中に多数の導電性微粒子を含む導電性接着剤を用いてもよい。その場合、硬化した一塊の導電性接着剤が接触端子54と接触端子67の両方の上に堆積し、その導電性接着剤が接触端子54と接触端子67の両方に電気的に接続している。
【0029】
液晶表示装置1では、図2に示すように、導電性接合材7によって相互に接合された接合片53,66が下基板41の表面側に折り返されている状態で、液晶ディスプレイパネル4及びバックライト6が、上ケース2、下ケース3の間に嵌入されている。折り返された接合片53,66は、下基板41のうち上基板42の縁からはみ出た非表示領域41aと上ケース2の天板21との間に収容されている。そのため、接合片53,66は、表示領域内まで至っていない。このとき、ICチップ44等に接続されるために非表示領域41aに設けられた複数の配線は、接触端子54、接触端子67及び導電性接合材7と重なる部位には形成されていない。したがってこれら配線は、接触端子54、接触端子67及び導電性接合材7のいずれにも導通していない。
【0030】
このように接合片53,66が折り返されることによって、導電性接合材7が接合片53,66によって隠れる。そのため、導電性接合材7が他の電子部品や回路に接触して、ショートが発生することを抑えることができる。
また、接合片53,66が非表示領域41aの上に折り返されることで、接合片53,66のはみ出し量を減らすことができる。
【0031】
液晶表示装置1の製造方法について説明する。
下基板41のうち上基板42の縁からはみ出た非表示領域41aにICチップ44を実装するとともに、その非表示領域41aに可撓性回路シート5の端部52を接合する。可撓性回路シート5を下基板41に接合すると、接合片53が接触端子54を上向きにした状態で下基板41の縁の外に延び出た状態になる。
【0032】
一方、ベース板61の上に、反射シート、導光板62、光学シートを順に積み重ねる。また、導光板62の一側面(入射面)近傍において可撓性回路シート64をベース板61上に貼着する。可撓性回路シート64をベース板61に貼着すると、発光素子63が導光板62の一側面に沿って配列される。その後、発光素子63の上から遮光シート65を可撓性回路シート64に貼着する。
【0033】
次に、液晶ディスプレイパネル4の下基板41を下ケース3の窓37に向けた状態で、液晶ディスプレイパネル4を下ケース3の底板31の上に搭載する。次に、バックライト6を下ケース3の下から下ケース3に取り付け、導光板62の出射面を窓37を介して液晶ディスプレイパネル4の下基板41に対向させる。これにより、図6、図7に示すように、接合片66が接触端子67を上にした状態で図示しないステージ上に配置され、接合片53が接触端子54を上向きにした状態で接合片66上に配置される。そして、可撓性回路シート5の接合片53を、可撓性回路シート64の接合片66の上に重ねる。接合片53が接合片66に重なっても、接触端子67の上に接触端子54に重ならず、接触端子67と接触端子54が近接する。
【0034】
次に、接触端子67の上から接触端子54の上にかけて導電性接合材7を塗布する(図5、図6、図7参照)。このとき、導電性接合材7は、常に接合片53及び接合片66の上面に配置しているので、流れ落ちることがない。この後、導電性接合材7が固化して、導電性接合材7が接触端子54,67の両方を接合する。なお、半田メッキが接合前に予め接触端子54,67の上にそれぞれ形成され、それら半田メッキをリフローすることによって両方の半田メッキを溶融して一塊にすることで、導電性接合材7を形成してもよい。
【0035】
導電性接合材7として半田ではなく導電性接着剤を用いる場合には、接触端子67の上から接触端子54の上にかけて導電性接着剤を塗布する。導電性接着剤が硬化して、導電性接着剤が接触端子54,67の両方に接合する。
以上のように、接合片53,66を折り曲げずに伸ばして接合片53の接触端子54及び接合片66の接触端子67をともに上向きにした状態で、接触端子54,67同士の接合を行ったので、導電性接合材7が重力により位置ずれを起こさないためその接合の作業性が良くなる。つまり、接合片53,66を伸ばした状態で接合片53,66を止めることができるので、曲げたときの復元力によって接合片53,66が揺れなくなり、接触端子54,67の位置がずれなくすることができる。そのため、揺れによる歩留まりの低下を抑えることができる。
【0036】
接合後、接合片53,66を下基板41の表面側に折り返す。
【0037】
次に、上ケース2を液晶ディスプレイパネル4の上から被せて、上ケース2を下ケース3に組み付け、液晶ディスプレイパネル4を上ケース2及び下ケース3の内に収容する。下ケース3を上ケース2に入れ子状に組み付ける時には、可撓性回路シート5を切欠部23に挿入する。下ケース3と上ケース2を組み付けることによって、接合片53,66が下基板41のうち上基板42の縁からはみ出た非表示領域41aと上ケース2の天板21との間に収容される。
【0038】
〔変形例〕
なお、上記実施形態では、接触端子54が接合片53の表面に形成されていたが、接触端子54が接合片53の裏面に形成されていてもよい。この場合、接合片66の表面に接合片53が重ねられた状態では、接触端子54と接触端子67が対向して重なり、接触端子54と接触端子67が半田によって接合され、半田等の導電性接合材7が接触端子54,67に堆積している。導電性接合材7として半田の代わりに導電性接着剤が接触端子54と接触端子67の間に挟まれ、これら接触端子54,67が導電性接着剤によって接着されていてもよい。導電性接合材7として半田の代わりに異方導電性フィルム(Anisotropic Conductive Film)又は異方導電性ペースト(Anisotropic Conductive Paste)が接合片53と接合片66の間に挟まれて、接合片53と接合片66が異方導電性フィルム又は異方導電性ペーストによって接着され、接触端子54と接触端子67が異方導電性フィルム又は異方導電性ペーストによって接着されていてもよい。異方導電性フィルム、異方導電性ペーストはその厚み方向(接合片53,66に対して垂直な方向)に導電性を有し、その厚みに垂直な方向(接合片53,66に沿う方向)に絶縁性を有する。つまり、対向した接触端子54と接触端子67との電気的な接触は、異方導電性フィルム、異方導電性ペーストに含まれた導電性微粒子によって取ることができる。接触端子54,54は、異方導電性フィルム、異方導電性ペーストの母材によって絶縁されている。
【0039】
接触端子54が接合片53の裏面に形成されている場合でも、液晶表示装置1を製造するに際しては、接合片53,66を折り返す前に接合を行う。なお、接合前までの工程は、上記実施形態と同様である。
【0040】
具体的には、接触端子67の上に半田又は導電性接着剤を塗布して、接合片66の表面に接合片53を重ねて、接触端子67と接触端子54の間に半田又は導電性接着剤の導電性接合材7を挟む。半田が固化し、又は導電性接着剤が硬化すると、接触端子54と接触端子67が半田又は導電性接着剤によって接合される。なお、半田メッキが接合前に接触端子54と接触端子67の一方又は両方の上に形成され、半田メッキをリフローすることによって、接触端子54と接触端子67を半田によって接合してもよい。
てもよい。
【0041】
半田、導電性接着剤ではなく、異方導電性フィルム又は異方導電性ペーストを用いる場合には、接合片66の表面と接合片53の裏面との間に異方導電性フィルム又は異方導電性ペーストを挟み、その部分を熱圧着する。異方導電性フィルム又は異方導電性ペーストの母材が熱によって溶融し、その後異方導電性フィルム又は異方導電性ペーストの母材が硬化することによって、接合片66と接合片53が接着される。接触端子67と接触端子54との電気的な導通は、異方導電性フィルム又は異方導電性ペーストに含まれる導電微粒子によってなされる。
【0042】
接合後、接合片53,66を下基板41の表面側に折り返し、上ケース2を液晶ディスプレイパネル4の上から下ケース3に組み付ける。
また上記各実施形態では、上に液晶ディスプレイパネル4、下にバックライト6を配置させて、それぞれの可撓性回路シート5、64の接合片の少なくとも一方の上に導電性接合材7を落ちないように配置させたが、これに限らず、接触することで接触位置を認識するタッチパネルを上に配置し、液晶ディスプレイパネル4を下に配置して、それぞれに設けられた可撓性回路シートの接合片の少なくとも一方の上に導電性接合材7を落ちないように配置させてもよい。つまり、電子モジュールとしてのタッチパネルに接合することによってタッチパネルに接続された複数の配線が設けられた可撓性回路シートの接合片の各接触端子と、液晶ディスプレイパネル4の接合片に形成されたタッチパネル接続用接触端子とがともに上側を向くように相互に隣接しているか、或いは、タッチパネルに接合することによってタッチパネルに接続された複数の配線が設けられた可撓性回路シートの接合片の各接触端子と、液晶ディスプレイパネル4の可撓性回路シートの接合片におけるタッチパネル接続用接触端子との一方を上向きにして、導電性接合材7を配置して他方をそれに重ねることで容易に接合することができる。いずれにおいても折り曲げられた接合片は、非表示領域内に設けられている。
また、上にタッチパネル、中に液晶ディスプレイパネル4、下にバックライト6を配置させ、それぞれの可撓性回路シートの接合片における各接触端子が全て上向きで、且つタッチパネルの接合片の接触端子と、液晶ディスプレイパネル4の可撓性回路シートの接合片のタッチパネル接続用接触端子とが隣接し、さらに、液晶ディスプレイパネル4の可撓性回路シートのうちの接合片53の接触端子54と、バックライト6の可撓性回路シートのうちの接合片66の接触端子67とが隣接し、それぞれ導電性接合材7を塗布して一括して接続させてもよい。この場合も折り曲げられた接合片は、いずれも非表示領域内に設けられている。
【符号の説明】
【0043】
1 液晶表示装置(電子機器)
2 上ケース
4 液晶ディスプレイパネル(電子モジュール)
5 可撓性回路シート
6 バックライト(電子モジュール)
7 半田
25 表示窓
41a 非表示領域
53 接合片
54 接触端子
64 可撓性回路シート
66 接合片
67 接触端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子モジュールを備えた電子機器の製造方法であって、
前記複数の電子モジュールにそれぞれ設けられた可撓性回路シートの接合片が延出した状態で前記接合片にそれぞれ設けられた接触端子をともに上側に向けるように相互に隣接させて、前記接触端子同士に跨るように導電性接合材を塗布して接合してから、前記接合片同士を折り返してケース内に収納することを特徴とする電子機器の製造方法。
【請求項2】
前記複数の電子モジュールのうちの1つは液晶ディスプレイパネルであり、前記接合片は、前記液晶ディスプレイパネルの非表示領域のみと重なるように折り返されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器の製造方法。
【請求項3】
複数の電子モジュールを備えた電子機器であって、
前記複数の電子モジュールにそれぞれ設けられた可撓性回路シートの接合片は、それぞれが延出した状態では、前記接合片にそれぞれ設けられた接触端子がともに上側を向き且つ相互に隣接するように配置され、前記接触端子同士に跨るように導電性接合材が形成され、前記前記接合片同士を折り返してケース内に収納されていることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
前記複数の電子モジュールのうちの1つは液晶ディスプレイパネルであり、前記接合片は、前記液晶ディスプレイパネルの非表示領域のみと重なるように折り返されていることを特徴とする請求項3記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−231145(P2010−231145A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81423(P2009−81423)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】