説明

電子機器及び着脱ユニット

【課題】本発明は、簡易な構成でありながら、非接触による着脱ユニットの識別を行うことが可能な電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る電子機器10は、本体に装着された着脱ユニットBATを用いて所定の動作を行うものであって、着脱ユニットBATを本体に装着するときに、着脱ユニットBATの少なくとも一の部位に対向するように設けられた少なくとも一の磁気センサ16と;磁気センサ16での検出結果に基づいて着脱ユニットBATの識別を行う識別部17と;識別部17での識別結果に基づいて着脱ユニットBATの動作制御や機器全体の動作制御を行う制御部18と;を有して成る構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体に装着された着脱ユニットを用いて所定の動作を行う電子機器(バッテリユニットを電源として撮像動作を行うデジタルカメラや、インクカートリッジをインク供給源として印刷動作を行うインクジェットプリンタなど)に関するものであり、特に、着脱ユニットの識別技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、デジタルカメラのバッテリユニットや、インクジェットプリンタのインクカートリッジなど、電子機器の本体に装着されて用いられる着脱ユニットの形状や仕様は、メーカ毎ないしは機種毎に予め決められており、故障やトラブルを未然に回避するという観点から、メーカは、純正品(自社製品)の使用をユーザに推奨している。
【0003】
特に、従来の電子機器には、着脱ユニット毎に搭載された管理用ICとの通信により、着脱ユニットの識別を行う機種も存在する。
【0004】
なお、上記に関連する従来技術の一例として、特許文献1には、交換可能な電池ユニットと、この電池ユニットに設けられ、当該電池ユニットの製品を識別する上で必要な特定の情報を記憶した情報通信チップと、前記電池ユニットが所定の装着場所に装着された状態で、前記情報通信チップから前記特定の情報を読み込む情報読込み手段と、この情報読込み手段によって読み込まれた前記特定の情報に基づいて前記電池ユニットの使用可否を判断し、その判断結果に応じて前記電池ユニットの使用を制御する制御手段と、を具備したことを特徴とする電子機器が開示・提案されている。
【特許文献1】特開2005−285567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
確かに、上記従来の電子機器であれば、不適切な着脱ユニットの使用を禁止して、故障やトラブルの発生を防止することが可能である。
【0006】
しかしながら、上記従来の電子機器において、着脱ユニット毎に搭載される管理用ICは、必ずしも安価なものではなく、着脱ユニットのコストアップ要因となっていた。
【0007】
また、上記従来の電子機器では、機器本体と管理用ICの双方に電気的な接点を露出させておく必要があるため、摩耗や結露などによって両者の通信が不安定となり、着脱ユニットの識別精度が低下するおそれがあるほか、非純正品の着脱ユニットを製造する第三者にとっては、着脱ユニットに搭載された管理用ICが純正品の認証システムに利用されていることを看破し、その回避策を講じることが容易となっていた。
【0008】
なお、無線ICタグを用いて、非接触による着脱ユニットの識別を行うことも可能であるが、上記の管理用ICを用いた場合と同様、コスト面で不利であり、特に、交換部品や消耗部品の識別手段として、無線ICタグを個別に搭載することは非現実的であった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑み、簡易な構成でありながら、非接触による着脱ユニットの識別を行うことが可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る電子機器は、本体に装着された着脱ユニットを用いて所定の動作を行う電子機器であって、前記着脱ユニットを前記本体に装着するとき(装着完了時または装着作業中)に、前記着脱ユニットの少なくとも一の部位に対向するように設けられた少なくとも一の磁気センサと;前記磁気センサでの検出結果に基づいて前記着脱ユニットの識別を行う識別部と;前記識別部での識別結果に基づいて前記着脱ユニットの動作制御や機器全体の動作制御を行う制御部と;を有して成る構成(第1の構成)とされている。
【0011】
なお、上記第1の構成から成る電子機器にて、前記磁気センサは、両極検出タイプ、極性判別タイプ、単極検出タイプ、及び、交番検出タイプのいずれかである構成(第2の構成)にするとよい。
【0012】
また、上記第1または第2の構成から成る電子機器にて、前記識別部は、磁界が検出された前記磁気センサの位置や個数、或いは、検出された磁界の極性、若しくは、これらの組合わせに基づいて、前記着脱ユニットの識別を行う構成(第3の構成)にするとよい。
【0013】
また、上記第1〜第3いずれかの構成から成る電子機器において、前記制御部は、前記識別部で前記着脱ユニットが純正品でないと識別されたときに、前記着脱ユニットの動作を禁止する、或いは、機器全体の動作を禁止する構成(第4の構成)にするとよい。
【0014】
また、上記第1〜第4いずれかの構成から成る電子機器は、前記識別部において前記着脱ユニットが純正品でないと識別されたときに、その旨をユーザに報知する報知部を有して成る構成(第5の構成)にするとよい。
【0015】
また、本発明に係る着脱ユニットは、上記第1〜第5いずれかの構成から成る電子機器に着脱されるものであって、前記電子機器の本体に装着するとき(装着完了時または装着作業中)に、前記磁気センサと対向する位置に磁石を有して成る構成(第6の構成)とされている。
【0016】
なお、上記第6の構成から成る着脱ユニットにおいて、前記磁石は、前記着脱ユニットの表面に埋設されて成る構成(第7の構成)にするとよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、簡易な構成でありながら、非接触による着脱ユニットの識別を行うことが可能な電子機器を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明に係るデジタルカメラの一実施形態を示すブロック図である。本実施形態のデジタルカメラ10は、本体に装着されたバッテリユニットBATを電源として撮像動作を行う電子機器であって、撮像部11と、記憶部12と、操作部13と、表示部14と、電源部15と、磁気センサ16と、識別部17と、制御部18と、を有して成る。
【0019】
バッテリユニットBATは、図2(バッテリユニットBATが着脱される様子を示した模式図)に示すように、デジタルカメラ10の本体に着脱可能な二次電池(リチウムイオン電池やニッケル水素電池など)であって、デジタルカメラ10の本体に装着されたときに、磁気センサ16と対向する位置に磁石MGを有して成る。なお、磁石MGは、1つのバッテリユニットBATに複数設けても構わない。
【0020】
また、磁石MGとしては、永久磁石のほか、電磁石を用いることもできる。特に、磁石MGとして電磁石を用いる場合には、バッテリユニットBATをデジタルカメラ10の本体に装着してから所定の期間(磁気センサ16での磁界検出に必要な期間)だけ、電磁石の形成(コイルへの通電)を行うようにすればよい。また、磁界の極性を時間経過と共に順次切り替えていくように、コイルへの通電方向を適宜制御しても構わない。
【0021】
また、磁石MGは、図3(磁石MGと磁気センサ16との位置関係を示す模式図)に示すように、バッテリユニットBATの表面に埋設し、第三者の目に触れにくいように、その表面をシールで被覆するか、或いは、樹脂封止することが望ましい。このような構成とすることにより、非純正品のバッテリユニットを製造する第三者にとっては、純正品のバッテリユニットBATに磁石MGが埋設されており、これが純正品の認証システムに利用されていることを看破しにくくなるので、その回避策を講じることが容易ではなくなる。
【0022】
図1に戻り、デジタルカメラ10本体の構成要素について、詳細な説明を続ける。撮像部11は、レンズ群や光電変換素子(CCD[Charge Coupled Devices]或いはCMOS[Complementary Metal Oxide Semiconductor]などのイメージセンサ)を備えて成り、被写体の光学像を電気的な撮像信号として出力する手段である。
【0023】
記憶部12は、撮像部11で得られた撮像信号を画像データとして不揮発的に格納する手段であり、フラッシュメモリやハードディスクドライブなどの大容量記憶装置デバイスを用いることができる。
【0024】
操作部13は、ユーザ操作を受け付ける手段であり、電源ボタン、レリーズボタン、ズームボタン、動作モード切替ボタン、カーソルキー、タッチパネルなどを備えて成る。
【0025】
表示部14は、撮像部11で生成された撮像信号や、記憶部12から読み出された撮像信号、或いは、デジタルカメラ10の動作設定や動作状態などに関する種々の情報を表示する手段であり、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイを備えて成る。
【0026】
電源部15は、デジタルカメラ10の本体に装着されたバッテリユニットBATから電力供給を受けて動作し、デジタルカメラ10の各部へ駆動電圧を供給する手段であって、シリーズレギュレータやスイッチングレギュレータ、チャージポンプなどを備えて成る。
【0027】
磁気センサ16は、先出の図3に示すように、バッテリユニットBATがデジタルカメラ10の本体に装着されたときに、バッテリユニットBATの少なくとも一の部位(磁石MGの埋設部位)に対向するように設けられた磁気検出手段であり、ホール素子を備えたホールセンサや磁気抵抗素子を備えたMRセンサなどを用いることができる。
【0028】
識別部17は、磁気センサ16での検出結果に基づいてバッテリユニットBATの識別を行う手段である。
【0029】
制御部18は、識別部17での識別結果に基づいてバッテリユニットBATの動作制御や機器全体の動作制御を行う手段であり、マイコンなどを有して成る。
【0030】
なお、図1では、識別部17と制御部18を独立の回路ブロックとして描写したが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、制御部18にバッテリユニットBATの識別機能を組み込んでもよい。その際、バッテリユニットBATの識別機能については、ハードウェアで実現してもよいし、ソフトウェアで実現してもよい。
【0031】
上記構成から成るデジタルカメラ10の本体にバッテリユニットBATが装着されて、バッテリユニットBATから電源部15への電力供給が行われ、電源部15からデジタルカメラ10の各部へ駆動電圧が供給されると、識別部17は、磁気センサ16での検出結果に基づいて、バッテリユニットBATの識別を行う。
【0032】
このとき、磁気センサ16で何ら磁界が検出されなければ、識別部17は、デジタルカメラ10に現在装着されているバッテリユニットBATが純正品でないと識別し、その旨を制御部18に伝達する。
【0033】
制御部18は、識別部17からの上記伝達を受けて、デジタルカメラ10に現在装着されているバッテリユニットBATが純正品でないと認識し、所定の対抗措置を発動する。なお、上記の対抗措置としては、デジタルカメラ10全体の動作を禁止(非常停止)してもよいし、バッテリユニットBATが純正品でない旨をユーザに報知すべく、表示部14に所定の警告表示を行ってもよい。或いは、電源部15にバッテリユニットBATの充電機能が具備されている場合には、バッテリユニットBATの充電処理を禁止してもよい。このような対抗措置を発動することにより、純正品でないバッテリユニットが装着された際の故障やトラブル(発熱、発煙、発火、膨張、液漏れなど)を未然に回避し、デジタルカメラ10の安全性を向上することが可能となる。
【0034】
上記したように、本実施形態のデジタルカメラ10であれば、バッテリユニットBATに埋設された磁石MGから発せられる磁界を磁気センサ16で検出し、その検出結果に基づいてバッテリユニットBATの識別を行うことができるので、管理用ICを用いた従来構成に比べて、電気的な接点を要することなく、より簡易な構成でバッテリユニットBATを適切に識別することが可能となる。
【0035】
なお、上記実施形態では、純正品であるか否かの識別が済んでいないバッテリユニットBATから一旦電力供給を受けて、バッテリユニットBATの識別動作を行った後、これが純正品でなかったときに所定の対抗措置を発動する構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、デジタルカメラ10の本体にバッテリユニットBATの識別動作を行うための予備電源(ボタン電池など)を別途用意しておき、バッテリユニットBATが純正品であることが確認されるまで、バッテリユニットBATからの電力供給を禁止する構成としても構わない。このような構成とすることにより、デジタルカメラ10の安全性をより高めることが可能となる。
【0036】
次に、デジタルカメラ10の本体側に設けられる磁気センサ16の種類について、詳細な説明を行う。磁気センサ16としては、両極検出タイプの磁気センサ16a(図4Aを参照)、極性判別タイプの磁気センサ16b(図4Bを参照)、S極検出タイプの磁気センサ16c(図4Cを参照)、或いは、N極検出タイプの磁気センサ16d(図4Dを参照)のいずれかを用いることができる。
【0037】
図4Aは、磁気センサ16aの両極検出動作を示す模式図である。本図に示すように、両極検出タイプの磁気センサ16aは、S極とN極いずれの磁界も検出されないときには検出信号S1をハイレベルに維持する一方、S極とN極いずれかの磁界が検出されたときには、検出信号S1をハイレベルからローレベルに立ち下げる。このように、両極検出タイプの磁気センサ16aであれば、バッテリユニットBATに埋設される磁石MGの極性に依らず、その有無のみを検出することができる。すなわち、磁気センサ16aを用いている場合には、磁石MGの埋設に際して、その磁極方向を考慮せずに済むので、バッテリユニットBATの製造工程を簡略化することが可能となる。
【0038】
図4Bは、磁気センサ16bの極性判別動作を示す模式図である。本図に示すように、極性検出タイプの磁気センサ16bは、S極とN極いずれの磁界も検出されないときには検出信号S1、S2をいずれもハイレベルに維持する。また、磁気センサ16bは、S極の磁界が検出されたときには、検出信号S1をハイレベルからローレベルに立ち下げる一方、検出信号S2をハイレベルに維持する。また、磁気センサ16bは、N極の磁界が検出されたときには、検出信号S2をハイレベルに維持する一方、検出信号S2をハイレベルからローレベルに立ち下げる。このように、極性判別タイプの磁気センサ16bであれば、検出信号S1、S2の出力論理レベルの組合わせにより、磁石MGの有無だけでなくその極性についても判別することができるので、バッテリユニットBATの識別情報をより多く得ることが可能となる。すなわち、磁気センサ16bを用いることにより、デジタルカメラ10の本体に装着されたバッテリユニットBATが純正品であるか否かを識別するだけでなく、バッテリユニットBATが純正品である場合には、その仕様(例えばリチウムイオン系であるかニッケル水素系であるか)についても識別することが可能となる。
【0039】
図4Cは、磁気センサ16cのS極検出動作を示す模式図であり、図4Dは、磁気センサ16dのN極検出動作を示す模式図である。図4Cに示したように、S極検出タイプの磁気センサ16cは、S極の磁界が検出されない限り、検出信号S1をハイレベルに維持し、S極の磁界が検出されたときには、検出信号S1をハイレベルからローレベルに立ち下げる。また、図4Dに示したように、N極検出タイプの磁気センサ16dは、N極の磁界が検出されない限り、検出信号S1をハイレベルに維持し、N極の磁界が検出されたときには、検出信号S1をハイレベルからローレベルに立ち下げる。このように、単極検出タイプの磁気センサ16c、16dであれば、純正品の判別をより簡便に実現することが可能となる。
【0040】
なお、上記の説明では、検出信号S1、S2の初期値(磁界が検出されないときの論理レベル)をハイレベルとして説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、検出信号S1、S2の初期値をローレベルとしても構わない。
【0041】
また、デジタルカメラ10の本体にバッテリユニットBATの識別動作を行うための予備電源(ボタン電池など)が別途具備されており、バッテリユニットBATの装着作業中(すなわち、バッテリユニットBATから電力供給を受けることができない間)でも、磁気センサ16や識別部17への電力供給が可能である場合には、磁気センサ16として、交番検出タイプの磁気センサ16e(図7、図8を参照)を用いることも可能である。これについては、後ほど詳細に説明する。
【0042】
なお、バッテリユニットBATの仕様や規格をより高度に識別するためには、バッテリユニットBATに複数の磁石MGを埋設しておくとともに、デジタルカメラ10の本体側にも複数の磁気センサ16を設けておき、識別部17において、磁界が検出された磁気センサ16の位置や個数、或いは、検出された磁界の極性、若しくは、これらの組合わせに基づいて、バッテリユニットBATの識別を行えばよい。
【0043】
図5は、複数の磁石を備えたバッテリユニットの一例を示す模式図である。図5に示すように、バッテリユニットBATには、異なる部位に2つの磁石MGx、MGyが埋設されており、デジタルカメラ10の本体には、バッテリユニットBATがデジタルカメラ10の本体に装着されたときに、磁石MGx、MGyと対向する形で、磁気センサ16x、16yが設けられている。なお、本構成例では、磁気センサ16x、16yとして、それぞれ、極性判別タイプの磁気センサ(先出の図4Bを参照)が用いられている。そして、識別部17は、磁気センサ16x、16yから出力される検出信号Sx、Syの組合わせに基づいて、バッテリユニットBATの識別を行う。
【0044】
図6は、検出信号Sx、Syと識別結果との関係を示す図である。本図に示すように、磁気センサ16x、16yの双方で磁界が検出されない場合、識別部17は、バッテリユニットBATが純正品でないと識別する。また、磁気センサ16xでN極の磁界が検出され、磁気センサ16yで磁界が検出されない場合、識別部17は、バッテリユニットBATが純正品であり、その仕様がタイプ1(例えばリチウムイオン系の大容量タイプ)であると識別する。また、磁気センサ16xでS極の磁界が検出され、磁気センサ16yで磁界が検出されない場合、識別部17は、バッテリユニットBATが純正品であり、その仕様がタイプ2(例えばリチウムイオン系の小容量タイプ)であると識別する。また、磁気センサ16xで磁界が検出されず、磁気センサ16yでN極の磁界が検出された場合、識別部17は、バッテリユニットBATが純正品であり、その仕様がタイプ3(例えばニッケル水素系の大容量タイプ)であると識別する。また、磁気センサ16xで磁界が検出されず、磁気センサ16yでS極の磁界が検出された場合、識別部17は、バッテリユニットBATが純正品であり、その仕様がタイプ4(例えばニッケル水素系の小容量タイプ)であると識別する。また、磁気センサ16x、16yの双方でN極の磁界が検出された場合、識別部17は、バッテリユニットBATが純正品であり、その仕様がタイプ5であると識別する。また、磁気センサ16xでN極の磁界が検出され、磁気センサ16yでS極の磁界が検出された場合、識別部17は、バッテリユニットBATが純正品であり、その仕様がタイプ6であると識別する。また、磁気センサ16xでS極の磁界が検出され、磁気センサ16yでN極の磁界が検出された場合、識別部17は、バッテリユニットBATが純正品であり、その仕様がタイプ7であると識別する。また、磁気センサ16x、16yの双方でS極の磁界が検出された場合、識別部17は、バッテリユニットBATが純正品であり、その仕様がタイプ8であると識別する。
【0045】
上記したように、本実施形態のデジタルカメラ10であれば、バッテリユニットBATに埋設される磁石MGの位置や個数、磁界の極性を任意に組み合わせることにより、識別部17で得られる識別結果の通り数を増やすことができるので、図6で例示したように、バッテリユニットBATを仕様毎に細かく識別することが可能となる。また、上記複数ある組合わせのうち、純正品であると識別される組合わせの数を絞ることによって、デジタルカメラ10の安全性をより高めることも可能となる。
【0046】
なお、バッテリユニットBATに設けられる磁石MGの個数については、上記に限定されるものではなく、3つ以上の磁石MGを設けても構わない。また、デジタルカメラ10の本体側に設けられる複数の磁気センサ16についても、その検出タイプを一律に選択する必要はなく、各々異なる検出タイプのものを用いても構わない。
【0047】
また、先述したように、バッテリユニットBATの装着作業中でも、磁気センサ16や識別部17への電力供給が可能である場合には、交番検出タイプの磁気センサ16eを用いることができる。このとき、磁気センサ16eは、図7に示すように、バッテリユニットBATの装着完了位置ではなく、装着経路上の任意の位置に設けておけばよい。また、バッテリユニットBATには、デジタルカメラ10の本体に装着するときに、磁気センサ16eに順次対向する形で、複数の磁石MGzを配列しておけばよい。
【0048】
図8は、磁気センサ16eで得られる検出信号Seの一例を示す波形図である。本図に示すように、交番検出タイプの磁気センサ16eで得られる検出信号Seは、順次検出される磁界の極性(磁束密度)に応じたパルス波形となる。従って、識別部17では、検出信号Seの論理レベルを順次監視することにより、バッテリユニットBATを仕様毎に細かく識別したり、バッテリユニットBATが純正品であるか否かを厳しく認証することが可能となる。また、先述の図5で示した構成と異なり、交番検出タイプの磁気センサ16eを1つだけ設ければ済むので、小型化や低消費電力化を図る上で有利である。
【0049】
なお、上記の実施形態では、バッテリユニットの識別処理を行う構成を例に挙げて本発明の説明を行ったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、その他の着脱ユニット(インクカートリッジやトナーカートリッジ、或いは、その他のオプションユニットなど)の識別処理を行う際にも、広く適用することが可能である。
【0050】
また、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、例えば、デジタルカメラのバッテリユニットやインクジェットプリンタのインクカートリッジが純正品であるか否かを識別する技術として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】は、本発明に係るデジタルカメラの一実施形態を示すブロック図である。
【図2】は、バッテリユニットBATが着脱される様子を示した模式図である。
【図3】は、磁石MGと磁気センサ16との位置関係を示す模式図である。
【図4A】は、磁気センサ16aの両極検出動作を示す模式図である。
【図4B】は、磁気センサ16bの極性判別動作を示す模式図である。
【図4C】は、磁気センサ16cのS極検出動作を示す模式図である。
【図4D】は、磁気センサ16dのN極検出動作を示す模式図である。
【図5】は、複数の磁石MGx、MGyを備えたバッテリユニットBATの一例を示す模式図である。
【図6】は、検出信号Sx、Syと識別結果との関係を示す図である。
【図7】は、交番検出タイプの磁気センサ16eを用いた構成を示す模式図である。
【図8】は、検出信号Seの一例を示す波形図である。
【符号の説明】
【0053】
10 デジタルカメラ(電子機器)
11 撮像部
12 記憶部
13 操作部
14 表示部
15 電源部
16 磁気センサ
16a 磁気センサ(両極検出タイプ)
16b、16x、16y 磁気センサ(極性判別タイプ)
16c 磁気センサ(S極検出タイプ)
16d 磁気センサ(N極検出タイプ)
16e 磁気センサ(交番検出タイプ)
17 識別部
18 制御部
BAT バッテリユニット(着脱ユニット)
MG、MGx、MGy、MGz 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に装着された着脱ユニットを用いて所定の動作を行う電子機器であって、
前記着脱ユニットを前記本体に装着するときに、前記着脱ユニットの少なくとも一の部位に対向するように設けられた少なくとも一の磁気センサと;
前記磁気センサでの検出結果に基づいて前記着脱ユニットの識別を行う識別部と;
前記識別部での識別結果に基づいて前記着脱ユニットの動作制御や機器全体の動作制御を行う制御部と;
を有して成ることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記磁気センサは、両極検出タイプ、極性判別タイプ、単極検出タイプ、及び、交番検出タイプのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記識別部は、磁界が検出された前記磁気センサの位置や個数、或いは、検出された磁界の極性、若しくは、これらの組合わせに基づいて、前記着脱ユニットの識別を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、前記識別部において前記着脱ユニットが純正品でないと識別されたときに、前記着脱ユニットの動作を禁止する、或いは、機器全体の動作を禁止することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記電子機器は、前記識別部において前記着脱ユニットが純正品でないと識別されたときに、その旨をユーザに報知する報知部を有して成ることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電子機器に着脱される着脱ユニットであって、
前記電子機器の本体に装着するときに、前記磁気センサと対向する位置に磁石を有して成ることを特徴とする着脱ユニット。
【請求項7】
前記磁石は、前記着脱ユニットの表面に埋設されて成ることを特徴とする請求項6に記載の着脱ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−62969(P2010−62969A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−227896(P2008−227896)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】