説明

電子機器

【課題】 表示ユニットの閉じた状態、及び、開いた状態のいずれの状態に於いても、表示部の表示面が操作者側に向いている電子機器を提供する。
【解決手段】 電子機器1000の表示ユニット2を閉じた状態(A)から、開いた状態(G)に移行するとき、表示ユニット2が本体1に対して約45度の角度まで開き、その後、ギア歯4a、ギア5〜7の回転により表示ユニット2の表示部3が回転することにより、表示部3の表示面3aが操作者側を向いた状態を保てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示を有する電子機器に関し、特に、携帯電話、携帯情報端末、ノートパソコン又はデスクトップパソコン等の、表示部を有する表示ユニットをヒンジ機構で本体ユニットに結合し回転運動可能に支持する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な携帯電話、携帯情報端末、ノートパソコン等の携帯性を有する電子機器に於いては、表示部を有する表示ユニットをヒンジ機構によって回動可能に支持し、携帯時は、表示ユニットの表示面を表示ユニットを支持する支持ユニットのキーボード面に対向させて折り畳んだ、閉じた状態としてコンパクトなサイズにし、電話時又はキー入力操作時等は、表示ユニットをヒンジ機構によって所定の角度まで回転して表示ユニットを開いた状態にし、表示面を可視状態として使用している。
【0003】
上述した様な表示部を有する表示ユニットがそれを支持する本体ユニットに対して回転運動する構成は、上記した携帯型の電子機器だけではなく、デスクトップパソコン、サーバー、AV機器等の据置型の電子機器にも多く採用されている。それら場合は、表示ユニットが本体ユニットに閉じた状態では、その表示ユニットの奥側に内蔵する着脱可能な記憶媒体等を外部から保護すると共に、表示部の表示面を操作者側に向けて、内蔵する記憶媒体等の内容、種類等の情報を表示する。そして、表示ユニットを回転して開いた状態の状態とすることにより、記憶媒体等の着脱を可能とする。
【0004】
以上説明した電子機器に於いては、一般的に表示ユニットと表示部が一体的に構成されており、本体ユニットに対して回転運動する表示ユニットの状態により、表示部の表示面が操作者側を向かない、不可視状態となる場合がある。
【0005】
それを解決し、表示ユニットが閉じた状態及び開いた状態のいずれの状態に於いても表示部の表示面を操作者側に向ける技術として、表示ユニットと表示部を別体的に構成し、本体ユニットに対する表示ユニットの回転運動とは別に、表示ユニットに対する表示部の反転移動が可能な技術が提案されている。
【0006】
その従来技術に関係する提案として、携帯電話を実施の形態とした特許文献1等、また、ノートパソコン又は携帯情報端末を実施の形態とした特許文献2等がある。
【特許文献1】特開2001−189782号
【特許文献2】特開平6−337846号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、それらの従来技術は、表示部を回転して表示面を操作者側に向ける操作を操作者に依存する事を前提とした技術である。以下、図面を用いて従来技術を説明する。
【0008】
図11は据置型の電子機器に対する従来技術を説明する為の図で、電子機器100は操作者の操作によって回転運動する表示ユニット102を支持している。表示ユニット102は表示部103を有し、図11(A)に示す、表示ユニット102の背面を本体ユニット101に対向させた位置とした、表示ユニット102を閉じた状態の場合は、表示部103の表示面103aを操作者側に向けることにより、内蔵する記憶媒体104に関する種々の情報等を表示することができる。
【0009】
図11(B)は、図11(A)の状態から表示ユニット102をその右側端面近傍部に設けたヒンジ機構(図示せず)の回転中心軸を中心として回転し、表示ユニット102を開いた状態とした状態を示し、内蔵している記憶媒体104等の着脱を可能としている。その状態に於いては、表示部103はその背面103bを操作者側に向け、表示面103aが見えない状態であるが、図11(C)で示す様に、表示部103を表示ユニット102に対して回転可能な構成とすることによって、操作者はそれを回転させ、表示面103aを自分の方に向けることができる。
【0010】
携帯型の電子機器に対する従来技術も図11を用いて説明した据置型へのそれと同様で、表示ユニットを本体ユニットに対して回転するヒンジ機構とは別に、表示ユニットの表示部を反転させる機構を設け、その反転運動を操作者が行う事によって、表示ユニットが閉じた状態及び開いた状態のいずれの状態に於いても表示部の表示面を操作者側に向ける手段を実現している。
【0011】
しかし、それらの従来技術では、操作者はその都度自分で表示部の反転操作を行わなければならない。また、その表示部の反転運動は、表示ユニットが閉じた状態の状態では行う事ができない為、例えば携帯電話に於いて表示ユニットを折り畳んであり表示面が不可視状態であって、その表示ユニットを折り畳んだ状態で表示面を見ることを希望する場合は、まず表示ユニットを開いた状態又は表示部を反転移動可能な角度の状態にし、それから表示部の反転移動を行い、再び表示ユニットを閉じた状態まで戻す、手間が掛かる操作を必要としていた。
【0012】
本発明は以上説明した従来技術が有する問題点を解決し、表示ユニットの閉じた状態、又は、開いた状態のいずれの状態に於いても表示部の表示面は操作者側に向いている電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成する為に、本発明の電子機器は、本体ユニットと、閉じた状態と開いた状態の間で前記本体ユニットに回転自在に取り付けられた表示ユニットから成る電子機器であって、前記表示ユニットに回転自在に取り付けられた表示部と、前記表示ユニットが前記閉じた状態と前記開いた状態で回動されるときに、前記表示ユニットの回動運動を、前記表示部の回動運動として伝達する伝達手段とを有し、前記表示ユニットが前記閉じた状態と前記開いた状態の何れの状態においても、前記表示部が前記本体ユニットの外側を向いていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の電子機器は、表示部と、該表示部を移動して表示面を反転可能に支持する表示ユニットと、該表示ユニットをヒンジ機構で結合し回転運動可能に支持する本体ユニットを有し、前記表示ユニットの回転運動によって、前記表示ユニットの一面が前記本体ユニットに対向する閉じた状態と、前記一面が前記本体ユニットに対向しない所定の角度に開いた状態に、開閉する事ができる電子機器であって、前記表示ユニットの回転運動を伝達機構よって伝達し、前記表示ユニットの回転移動中に前記表示部の表示面を反転移動させる手段を更に有し、該手段は、前記表示ユニットが閉じた状態に於いては、前記表示部の表示面を、前記表示ユニットの前記一面の背面側として可視状態とすると共に、前記表示ユニットが前記開いた状態に於いては、前記表示部の表示面を反転状態として前記表示ユニットの前記一面の方向にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、表示ユニットの閉じた状態又は開いた状態のいずれの状態に於いても表示部の表示面は操作者側に向いている電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る据置型の電子機器1000を説明する為の斜視図で、本体ユニット1にヒンジ機構で結合して回転運動する表示ユニット2の背面を本体ユニット1に対向させた、閉じた状態の状態を示している。表示ユニット2は表示面3aを前面方向に向けて可視状態にした表示部3を支持しており、また、表示部3の上部に配置した伝達機構の構成を説明する為に、その部分を透視化している。
【0018】
本体ユニット1には、表示ユニット2を開いた状態で、ハードディスク装置が着脱自在であり、また、CPU、内部メモリ等の所謂パソコンを構成する各種構成が内蔵されており、CPUによる処理結果やハードディスクの状態等が表示ユニット2の表示部3により表示される構成となっている。
【0019】
1aは表示ユニット2の回転軸上に配置され、本体ユニット1に固定保持されたヒンジ機構軸、4はヒンジ機構軸1aに固定保持された固定ギア、2aはヒンジ機構軸1aに対して回転運動可能に支持された、表示ユニット2側の回転軸を示す。表示ユニット2の下面右側にも、回転軸2aと同軸の位置に同様の回転軸を有するが、本図では死角状態となっている。
【0020】
固定ギア4は、図1で透視化している内部構成を上方から見た図2で示すように、ギア歯4aを一部にのみ設け、それ以外にはギア歯を設けていない構成となっている。そのギア歯4aの位置は、固定ギア4が本体ユニット1側に固定されているので、表示ユニット2の回転運動に連動した回転は行わない。また、ギア歯4aと噛合って回転するギア5、及びギア5の回転を増速伝達するギア群6は表示ユニット2に支持されており、ギア群6の端末部のギアは表示部3の回転軸3bに固定配置したギア7に噛合って、それを回転させる。尚、ギア5、7及びギア群6は図面上ではギア歯を記載していないが、その全周囲にギア歯を有している。尚、表示部3の下面中央部にも、回転軸3bと同軸の位置に同様の回転軸を有するが、死角状態となっている。
【0021】
上記構成に於いて、以下図3を用いて本発明第1の実施の形態の特徴及びその作用を説明する。同図(A)〜(G)は、図1で示した電子機器1000の表示ユニット2の回転運動の各角度の状況を、図1と異なる方向から見た斜視図と、図2と同様の表示部3の上部に配置した伝達機構の構成を可視化した上面図とを列記して示している。
【0022】
図3(A)で示した表示ユニット2がその背面を本体ユニット1に対向させた、表示ユニット2が閉じた状態から、図3(B)の表示ユニット2を本体ユニット1に対して約45°の角度まで開く回転の間は、固定ギア4のギア歯4aは隣接するギア5に噛合わないので、表示部3は独自の回転を行わずに表示ユニット2の回転に連動して移動する。
【0023】
表示ユニット2の回転を図3(B)の状態から更に進めると、図3(C)に示すように、ギア歯4aがギア5との噛合い状態となり、ギア5及びその回転を増速伝達するギア群6そしてギア7の回転を開始させ、ギア7を固定保持している表示部3が回転軸3bを中心とした回転を開始する。図3(D)は図3(C)の状態から更に表示ユニット2の回転を進め、図3(B)から約45°回転した状態を示し、その間の固定ギア4のギア歯4aに噛合って回転するギア5のギア7への伝達により、表示部3は表示ユニット2に対して約90°回転した状態を示している。
【0024】
更に表示ユニット2の回転を進めると、図3(E)の状態を経由して図3(F)の表示部3が表示ユニット2に対して反転した状態に至る。そして、その状態でギア歯4aのギア5との噛合いを終了させ、図3(F)以降は表示部3は独自の回転移動を行わずに表示ユニット2の回転と共に移動し、図3(G)に示す、表示ユニット2の回転を終了した、開いた状態に至る。その状態に於いて、表示面3aは操作者向いている。
【0025】
また、表示ユニット2を図3(G)の開いた状態から閉じていくと、上述の説明と逆に図3(G)から図3(B)へ表示ユニット2の回転に応じて表示部3が回転して反転し、図3(A)の表示面3aを操作者側に向けた初期状態に復帰する。
【0026】
尚、本実施の形態に於いては表示部3の回転を表示ユニット2が閉じた状態又は開いた状態から約45°の角度から開始及び終了するように設定しているが、その角度は表示ユニット2の回転中の表示部3の回転が本体ユニット1に干渉することがない範囲の、表示ユニット2の任意の回転角度に設定することが可能である。
【0027】
また、本実施の形態に於いては、表示ユニット2の回転角度を約180°に設定しているが、携帯電話、携帯情報端末、又はノートパソコンに於いては180°より小さい角度を開いた状態としている場合がある。その場合に於いても、表示ユニットが閉じた状態からその開いた状態までの回転中に表示部を反転移動させるように伝達機構を設定することにより、同様に可能となることは言うまでもない。
【0028】
更に、表示ユニット2の回転に伴う表示部3の反転移動時の回転方向は、本実施の形態の回転方向と逆方向とすることも、可能である。
【0029】
携帯型の電子機器に本実施の形態の発明を応用した例を図4に示す。同図に於いては、表示ユニット12の回転を表示部13に伝達する機構は基本的に図1乃至3を用いて説明した据置型の電子機器1000と同様の為、表示ユニット12の回転に伴う表示部13の反転状況のみを図示している。11はキーボード(図示せず)を有する本体ユニットで、表示ユニット12を回転可能に保持しており、その表示ユニット12は表示面13aを有する表示部13を反転可能に支持している。図3で説明した据置型の電子機器1000への説明と同様に図4(A)では表示ユニット12が本体ユニット11に対して閉じた状態を示すと共に、表示面13aを操作者に可視可能な方向に設定している。その閉じた状態の表示ユニット12を図4(A)から(G)まで回転して開いた状態とすると、その間に表示部13がその回転運動の伝達により反転して可視状態となっている。
【0030】
ところで、据置型の電子機器1000の表示ユニット2は表示部3の下側に表示部の表示面3aの面積とほぼ同等の非表示部エリアを有している。その為、操作者はその非表示部エリアを保持して表示ユニット2を回転運動させれば、その回転に応じて反転移動する表示部3の移動が表示ユニット2回転させている操作者の手に触ることはない。
【0031】
しかし、非表示部エリアが小さい、携帯型の電子機器1100の表示ユニット12の場合は、図5で示す様にそれを回転操作する操作者の手のひらが反転する表示部13の近傍に配置される為、反転移動する表示部13が触る可能性がある。
【0032】
以下、第2の実施の形態に於いて、その問題を解決する発明を説明する。
【0033】
(第2の実施の形態)
図6乃至図8は本発明の第2の実施の形態に係る据置型の電子機器1200を説明する為の図で、図6は表示ユニット22上部の伝達機構部を透視化した電子機器1200の斜視図、図7は伝達機構部の上面図、図8は伝達機構部の拡大斜視図である。尚、第1の実施の形態と同様に内部に各種構成を有するものである。
【0034】
それらの図の電子機器1200は、本体ユニット21に対して回転運動する表示ユニット22の背面を本体ユニット21に対向させた、閉じた状態の状態を示し、表示ユニット22は表示面23aを前面方向に向けて可視状態にした表示部23を支持している。固定ギア24は本体ユニット21に固定保持されたヒンジ機構(記号指示せず)に固定保持されており、22aはヒンジ機構の軸に対して回転運動可能に支持された、表示ユニット22側の回転軸を示す。
【0035】
固定ギア24は、図7で示す様にギア歯24a、24b、24cの3グループのギア歯の位置の位相をずらし、そして図8で示す様にそれぞれ中段、上段、下段に上下方向にも分配配置している。
【0036】
ギア25、26及び27は、表示ユニット22の回転運動に伴い、各々固定ギア24のギア歯24a、24b及び24cと噛合って回転する。ギア25の下部にはその回転を増速伝達し、表示部23を、その右側端面近傍に配置した中心回転軸23bを中心として回転運動させる増速機構を有し、またギア26の下部にはその回転をベルト28の周回運動に増速伝達する機構を有するが、それらは図6等では死角状態となっている。また、ギア25とその回転を増速伝達する機構は、表示部23の回転中心軸23b側に保持され、固定ギア24以外のギア26等の他のギアは、表示ユニット22側に支持されている。
【0037】
ギア26の回転に伴い周回運動するベルト28は、その運動と一体的に直線的に往復移動する保持部材29を有す。その保持部材29は表示部23の回転軸23bを回転可能に支持すると共に、保持部材29の直線移動時に表示部23の回転軸23bを連動する構成となっている。
【0038】
また、ギア群30はギア27の回転を二段ギア31に増速伝達する。
【0039】
尚、固定ギア24以外のギアには図面上でギア歯を記載していないが、その全周囲にギア歯を有している。
【0040】
また、表示ユニット22の下面部には回転軸22aと同軸の位置にその回転を支持する回転軸を有しているが、死角状態となっている。更には、表示部23の下面部にも回転中心軸23bと同軸の位置に同様の軸を有すると共に、その軸を回転可能かつその軸の移動時にその移動を支持する、保持部材29と同様な直線的に移動可能な保持部材を有するが、図示していない。
【0041】
以上の構成に於いて、以下図9を用いて本発明の第2の実施の形態の特徴及びその作用を説明する。同図(A)〜(H)は、電子機器1200の表示ユニット22の回転運動の各角度の斜視図と、図7と同様の表示部23の上部に配置した伝達機構の構成を可視化した上面図とを列記して示している。
【0042】
図9(A)で示した表示ユニット22がその背面を本体ユニット21に対向させた、閉じた状態から、図9(B)の表示ユニット22を本体ユニット21に対して約45°の角度まで開く回転の間は、固定ギア24のギア歯24a、24b及び24cは隣接するギアに噛合わず、表示部23は独自の回転運動を行わずに表示ユニット22の回転に連動して移動する。
【0043】
表示ユニット22の回転を図9(B)の状態から更に進めると、ギア歯24aがギア25との噛合い状態となってギア25及びその回転を増速伝達する機構を介して、表示部23が回転中心軸23bを中心とした回転を開始する。
【0044】
その回転方向は、図9(C)に示すように、表示部23の回転中心軸23b近傍端面と対を成す側面部を、図9(A)の状態で本体ユニット21に対向していた表示ユニット22の背面の方向に回転する。もし、それを逆方向の表示ユニット22の前面方向に回転すると、回転する表示部23が表示ユニット22を回転させている操作者の手に触る可能性がある為、本発明の目的を達成できない。
【0045】
図9(D)は表示ユニット22が更に回転を進め、図9(B)から約45°回転した状態を示し、その間の固定ギア24のギア歯24aと噛合って回転するギア25の回転の伝達により、表示部23は表示ユニット22に対して約90°回転した状態を示している。その状態でギア歯24aのギア25との噛合いを終了させ、表示部23はそれの回転を中止する。それと同時に、ギア歯24bのギア26との噛合いが開始状態となっている。
【0046】
その図9(D)から表示ユニット22の回転を進めると、ギア歯24bに噛合ったギア26の回転により、ベルト28が周回運動を開始する。それに伴い、ベルト28と一体的な保持部材29の移動によって、それに支持されている表示部23の回転中心軸23bが、それと垂直方向でかつ表示ユニット23の背面に沿った方向である、図9(D)下側に示す上面図に於いて図面下側へ、移動させられる。その表示ユニット22の回転に伴う表示部23の移動途中の状態を図9(E)に示す。尚、回転中心軸23bの移動に伴い、それに保持されているギア25も同時に移動している。
【0047】
図9(E)から表示ユニット22の回転を進めた状態を図9(F)に示す。同図に於ける保持部材29と回転軸23bの表示ユニット22に対する位置は、図9(A)の当初の位置と比較すると、同図の表示面23aの横方向の対称中心線を軸として対称の位置に移動すると共に、ギア歯24bのギア26との噛合いが終了して、回転軸23bの位置移動を終了する。その時、回転軸23bと一緒に移動したギア25は二段ギア31の下側のギアと噛合っている。また、同時にギア歯24cのギア27との噛合いが開始状態となっている。
【0048】
図9(F)から表示ユニット22の回転を進めた状態が、図9(G)である。表示ユニット22への回転操作に伴い、ギア歯24cがギア27及びそれに連なるギア群30に増速回転させ、その回転が二段ギア31に伝えられる。そして、二段ギア31の下側のギアは回転軸23bと一緒に移動したギア25と噛合っているので、表示部23の回転運動を再開している。
【0049】
そして、図9(H)の所定の角度まで表示ユニット22を回転させると、表示部23は反転状態となり、ギア歯24cとギア27の噛合いを終了し、表示部23の反転運動を終了する。表示面23aは図9(A)状態と同様に、操作者側に向いている。
【0050】
以上説明した図9(A)から(H)までの、表示ユニット22の回転に伴う表示部23の反転運動が示す様に、例え操作者が図9(A)の状態で右手親指を表示ユニット22の左側面に、そして残りの指を表示面23aの上面部に配置して表示ユニット22の回転を行っても、その表示ユニット22回転中の表示部23の反転移動は操作者の指に触ることなく、それを行う事ができる。
【0051】
また、図9(H)の表示ユニット22の位置からそれを閉じていくと、以上の説明の逆の運動を行って図9(A)の閉じた状態に至り、表示面23aを可視状態とする。
【0052】
尚、図9で説明した機構に於いては表示部23の回転移動及びその回転中心軸23bの位置移動を各々独立して運動を行う例で示したが、それらの移動を同時に行う機構、すなわち表示部23が回転しながら移動する機構も可能である。
【0053】
本実施の形態を携帯型の電子機器1400に応用した例を図10に示す。同図に於いては、表示ユニット42の本体ユニット41に対する回転を表示部43に伝達する機構は基本的には図6乃至9を用いて説明した据置型の電子機器1200と同様であるが、表示部43の回転軸を表示ユニット42と本体ユニット41の回転軸に垂直とした例を示している。
【0054】
すなわち、表示ユニット42の本体ユニット41に対する回転をハス歯ギア等で90°直角方向に変換して、表示部43の回転に伝達している。その機構は本発明の主旨とは異なるので、特に詳細の説明を省き、表示ユニット42の回転に伴って表示部43の反転させ、表示ユニット43が閉じた状態の図10(A)と開いた状態の図10(H)のいずれに於いても可視可能である事を示す。そして、図5に示したように操作者の手のひらが表示ユニット42の上面に置いたままの状態で表示ユニット42を開く回転操作しても、手のひらに表示部43の反転移動が触る等の影響がない事も示している。
【0055】
以上の第1及び第2の実施の形態で説明した例に於いては、表示ユニットを操作者が手で保持して回転させる構造の電子機器であるが、近年、特に携帯電話に於いては、表示ユニットと本体ユニットのヒンジ機構にスナップ式回転機構を有する機器が出てきている。すなわち表示ユニットを開放する方向へ付勢するバネ機構を有し、表示ユニットが閉じた状態ではその付勢する力を蓄える状態で本体ユニット側に保持し、その保持をボタン操作等で解除することによって、表示ユニットを一気に開放して開いた状態とする気候である。尚、表示ユニットを閉じた状態とする時は、操作者の手で表示ユニットを閉じる操作を行う機構が一般的である。
【0056】
本発明はそのようなスナップ式回転機構の表示ユニットを有する電子機器に於いては、本発明は非常に有効で、表示ユニットを開くボタン操作ひとつで、表示ユニットの反転をも行うことができる。
【0057】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、表示ユニットの回転運動中にその回転運動を伝達して表示部を反転移動させることによって、操作者が表示部を別途反転操作することなく、表示ユニットの閉じた状態又は開いた状態のいずれの状態に於いても表示部の表示面は操作者側に向いている電子機器を提供することができる。そして、表示ユニットの回転操作時の表示部の反転移動を、表示ユニットの回転操作を行っている操作者の手に触ることなく行う電子機器をも提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる据置型の電子機器の構成を説明する斜視図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係わる据置型の電子機器の表示ユニットの回転を表示部に伝達する機構を説明する透視上面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係わる据置型の電子機器の表示ユニットの回転に伴う表示部を反転する説明する図。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係わる携帯型の電子機器の表示ユニットの回転に伴う表示部を反転する説明する図。
【図5】携帯型の電子機器の表示ユニットを回転操作する操作者の手の位置を説明する図。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係わる据置型の電子機器の構成を説明する斜視図。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係わる据置型の電子機器の表示ユニットの回転を表示部に伝達する機構を説明する透視上面図。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係わる据置型の電子機器の表示ユニットの回転を表示部に伝達する機構を説明する拡大斜視図。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係わる据置型の電子機器の表示ユニットの回転に伴う表示部を反転する説明する図。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係わる携帯型の電子機器の表示ユニットの回転に伴う表示部を反転する説明する図。
【図11】従来技術を説明する図。
【符号の説明】
【0059】
1、11、21、41 本体ユニット
2、12、22、42 表示ユニット
3、13、23、43 表示部
3a、13a、23a、43a 表示面
3b、23b 表示部の回転中心
4、24 固定ギア
4a、24a、24b、24c 固定ギアのギア歯
5、25、26 27 ギア
6、30、ギア群
28 ベルト
29 保持部材
31 二段ギア
1000、1100、1200、1400 電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ユニットと、閉じた状態と開いた状態の間で前記本体ユニットに回転自在に取り付けられた表示ユニットから成る電子機器であって、
前記表示ユニットに回転自在に取り付けられた表示部と、
前記表示ユニットが前記閉じた状態と前記開いた状態で回動されるときに、前記表示ユニットの回動運動を、前記表示部の回動運動として伝達する伝達手段とを有し、
前記表示ユニットが前記閉じた状態と前記開いた状態の何れの状態においても、前記表示部が前記本体ユニットの外側を向いていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記伝達手段は、前記表示ユニットが前記閉じた状態から所定の角度開いた状態までは、前記回転運動を伝達しない構成であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記伝達手段が、一部のギア歯が設けられていないギアで構成されていることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記伝達手段は、前記表示ユニット内に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記本体ユニットの回動時の中心が、前記本体ユニットの端部にあり、前記表示部の回動時の中心が、前記表示部の中心部にあることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記表示ユニットが、前記本体ユニットに設けられた外部記憶装置の装着部を覆う構成であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の電子機器。
【請求項7】
表示部と、該表示部を移動して表示面を反転可能に支持する表示ユニットと、該表示ユニットをヒンジ機構で結合し回転運動可能に支持する本体ユニットを有し、
前記表示ユニットの回転運動によって、前記表示ユニットの一面が前記本体ユニットに対向する閉じた状態と、前記一面が前記本体ユニットに対向しない所定の角度に開いた状態に、開閉する事ができる電子機器であって、
前記表示ユニットの回転運動を伝達機構よって伝達し、前記表示ユニットの回転移動中に前記表示部の表示面を反転移動させる手段を更に有し、
該手段は、前記表示ユニットが閉じた状態に於いては、前記表示部の表示面を、前記表示ユニットの前記一面の背面側として可視状態とすると共に、前記表示ユニットが前記開いた状態に於いては、前記表示部の表示面を反転状態として前記表示ユニットの前記一面の方向にすることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
前記表示ユニットの回転運動を伝達機構よって伝達し、前記表示ユニットの回転移動中に前記表示部の表示面を反転移動させる手段は、前記表示部が前記表示ユニットに対して回転移動する手段と該回転移動する手段の回転中心軸を移動する手段を更に有し、
前記回転移動する手段は、前記回転中心軸を前記表示部の左右又は上下の端面近傍に設け、前記閉じた状態又は前記開いた状態からの前記表示ユニットの回転運動の伝達に基づき、前記回転中心軸近傍端面と対を成す側面部を前記表示ユニットの前記一面の方向に回転移動する手段であると共に、前記回転中心軸を移動する手段は、前記回転中心軸を該中心軸と垂直方向かつ前記表示ユニットの前記一面に沿った方向へ移動する手段を有することを特徴とする請求項7に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−133668(P2006−133668A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−325097(P2004−325097)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】