説明

電子機器

【課題】扉の開閉装置を有する電子機器において、簡単な構成にて、扉に指などの異物が挟まるような不測の事態に対応できるようにすること。
【解決手段】扉の開閉装置を有する電子機器において、扉の位置を検出するためのポテンショメータの出力電圧の変化の早さを監視して、扉の移動の速さが所定の値よりも小さいときに、扉が何らかの原因で動きを停止していると判断し、扉の駆動を停止する。位置検出のためのポテンショメータを以上検出に兼用しているため、構成が簡単となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用音響機器などの電子機器に関する。さらに、詳しくは、扉の開閉装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車載用音響機器などの電子機器において、扉開閉が可能なように構成されている場合がある。扉には、表示手段が設けられていて、扉が開閉することにより、表示手段の角度が変更でき、また、表示手段の後背部に、例えば、CDの挿入口などを設けることもでき、都合が良い。
【0003】
しかし、扉の開閉をモータなどの駆動源を用いて自動的に行う場合には、使用者の指などが挟まって、怪我などしないように安全機構を設ける必要がある。
【0004】
車載用音響機器とは異なるが、特開平9−21273号公報には、扉の開閉制御装置において、扉を駆動するモータの電圧及び電流の変化を検出して、電流及び電圧の両方の変化量が所定のしきい値以上であるときに、異物を挟んだと判断して、モータの回転を停止・逆転させる構成が開示されている。
【特許文献1】特開平9−21273号公報(E05F 15/10、B60J 1/00)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に述べたように、扉の開閉が可能な電子機器が利用されており、また、扉開閉制御装置において、異物の挟み込みに対する対策が考えられている。しかしながら、上記の先行技術では、駆動源であるモータの電圧及び電流の両方の変化を検出するための検出手段が必要であり、構成、制御が複雑となってしまう。
【0006】
そこで、本発明では、構造を簡単とすることができる、扉の開閉制御装置を備えた電子機器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、扉開閉の駆動源と、扉の開閉位置を検出するポテンショメータと、ポテンショメータの出力を判別する前記駆動源の制御手段を備えている。そこで、、扉の開閉位置を検出するために設けられたポテンショメータを用いて、扉の開閉動作に異常があるかどうかを検出する。異常を判別した場合には、駆動源を制御して、所定の処理を行う。
【0008】
さらに具体的には、ポテンショメータが電圧により扉の開閉位置を出力する場合、ポテンショメータの電圧変化の速度(割合)に基づき、異常を検出する。
【発明の効果】
【0009】
したがって、本発明によれば、追加の構成を必要とせずに、簡単な構成で、指などの異物が挟まり、効果がある。つまり、
扉の位置の検出用のポテンショメータを用いて、扉開閉の異常(異物の挟み込み)を検出できるので、効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に従い、本発明の1実施例について説明する。図1は、本発明の1実施例の正面を表す正面図、図2は扉(ベゼル)が少し開いた状態を示す説明図、図3は、扉が閉じた状態を示す説明図、図4は、実施例での電気的構成を示す回路図、図5は、ポテンショメータ付近の構造の説明図、図6は扉(ベゼル)の制御のフローチャートである。
【0011】
図1において、1は扉(ベゼル)、2は表示部、3は扉(ベゼル)に設けられたオープン釦(扉の開閉を指示する)である。本発明の1実施例においては、扉(ベゼル)が開閉可能であって、開状態においては、扉(ベゼル)の裏側に隠されていた本体4に設けられたカセットやCDの挿入口が露出することになる(図示省略)。表示部には、この音響機器の操作や状態に関するグラフィック表示等が行われる。図3は、前述の如く、扉(ベゼル)が閉じた状態を示しているが、開状態から閉じた状態への扉(ベゼル)の移動の途中において、図2に示すように指が挟まると使用者が怪我をする恐れがある。また、ペンなどが挟まった時には、この電子機器の扉(ベゼル)開閉機構が故障する恐れもある。
【0012】
図5において、5は回転型のポテンショメータであり、回転位置に応じた抵抗値を呈する。回転型ポテンショメータ5の回転軸には、回転ギア6が取り付けられている。回転ギア6はスライドギア7と歯合しており、スライドギア7の図中左右方向の移動に伴い回転ギア6が回転し、そして、回転ポテンショメータ5の呈する抵抗値が変化することになる。このようにして、回転型ポテンショメータ5の呈する抵抗値により、扉(ベゼル)の開閉位置が検出できる。
【0013】
回転ポテンショメータ5は、図4に示すように一端が+5Vの電源端子に接続されており、他端は接地されている。ポテンショメータ5の変化する抵抗値は、端子5aの電圧値として取り出され、マイクロコンピュータ8に供給される。マイクロコンピュータ8の入力端子8aにおいては、AD変換機能により、アナログ値としての電圧が、デジタル値に変換されてマイクロコンピュータ8内に取り込まれる。そして、扉(ベゼル)の位置の制御は、マイクロコンピュータ8がこの入力電圧を見て、扉(ベゼル)の駆動源であるモーター9の回転をモータードライブ回路10を介して制御することにより行われる。
【0014】
ホームポジションスイッチ11は、扉(ベゼル)が閉位置に達したときにオンとなるスイッチであり、マイクロコンピュータ8は、モーター9を停止させる。
【0015】
次に、図6に従い、異物が挟まることへの対策の動作を説明する。扉(ベゼル)が閉まるとき、すなわち、開状態において、オープン釦3が操作されるとモータ9が扉(ベゼル)の閉方向へ回転を開始する(62)。そして、モータ9が回転している期間、マイクロコンピュータ8は、ポテンショメータ5の出力電圧を定期的にサンプリングして、評価する。そして、ポテンショメータ5の出力電圧の変化が注目される。電圧の変化が所定の割合以上であれば、モータ9の回転速度従って扉(ベゼル)の移動の速度が所定の速度以上であるということが分かる。
【0016】
逆に、電圧の変化が所定の割合より少ない場合には、モータ9の回転速度従って扉(ベゼル)の移動速度が所定の速度より小さいということが分かる。そこで、判別のしきい値を適切に設定することにより、扉(ベゼル)が動かなくなっていること、すなわち、異物が挟まるなどしていることが分かる。尚、このとき、ホームポジションスイッチはオフ状態である。
【0017】
ポテンショメータ5の電圧の変化の測定には、サンプリングされた電圧値において、直前のサンプル値と現在のサンプル値の差分を用いることで可能である。更に具体的には、直近のいくつか(例えば5サンプル分)における直前のサンプル値との差分が、所定値以下であれば、変化速度が遅いというように判別が出来る。
【0018】
変化速度が遅くなければ、そのまま処理が行われるが、変化速度が遅い場合、処理64以下に進む。すなわち、閉方向への回転を停止し、一時的(遅延タイマーによる)に開方向へモータを回転させて、その後、モータ9の回転を停止させる。この一連の処理(64〜67)により異物の挟持は解除できる。
【0019】
このように、本来、扉(ベゼル)の位置の検出に用いられるポテンショメータ(ポテンショメータの出力電圧で、扉の位置が分かる)を扉の移動の速さの検出に使うことで構成を簡単にすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の1実施例の正面を表す正面図
【図2】扉(ベゼル)が少し開いた状態を示す説明図
【図3】扉が閉じた状態を示す説明図
【図4】実施例での電気的構成を示す回路図
【図5】ポテンショメータ付近の構造の説明図
【図6】扉(ベゼル)の制御のフローチャートである。1実施例におけるパネルの閉位置を示す正面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 扉(ベゼル)
2 表示部
3 釦
4 本体
5 ポテンショメーター
6 回転ギア
7 スライド
8 マイクロコンピュータ
9 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉の駆動機構及び駆動源を備えてなる電子機器において、
前記扉の位置の検出手段と、
前記検出手段出力に基づき前記扉の移動の速さを検出する速度検出手段とを備え、
前記扉の移動の早さが所定値以下の場合に、前記扉の駆動を停止してなる電子機器。
【請求項2】
前記位置の検出手段は、回転型のポテンショメータであり、このポテンショメータの電圧出力の変化により前記速さを検出してなる請求項1の電子機器。
【請求項3】
前記扉の駆動が停止された後、所定時間だけ前記扉を逆方向に駆動してなる請求項2の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−273189(P2006−273189A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−97220(P2005−97220)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】