説明

電子機器

【課題】各種入力操作が可能な入力装置を備えた電子機器において、電子機器の筐体を開いて配線板を取り出すことなく、入力装置を容易に交換できる電子機器を提供する。
【解決手段】信号生成第一手段13を有する入力装置11を、外部から筐体14の開口部15に嵌め込んで位置決め装着し、その筐体14に対して蓋状カバー19を取り付けるのみで、入力装置11が固定状態となると共に、信号生成第一手段13と組み合わされることによって機能する信号生成第二手段17を筐体14内に設けたため、入力装置11の交換の際には、筐体14を開いて信号生成第二手段17が設けられている配線板16を取り出すことなく、入力装置11を容易に交換できる電子機器を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作体への所定操作によって各種入力操作が可能な入力装置を備え、この入力装置を操作して使用する電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、各種入力操作用の入力装置を備えた電子機器は、目覚ましく普及している。
【0003】
このような従来の電子機器について、図11を用いて以下に説明する。
【0004】
図11は従来の電子機器の要部斜視図であり、同図において、1は入力装置で、その端子部2が使用電子機器の配線板3の所定位置に半田付けによって電気的かつ機械的に接続されている。
【0005】
この入力装置1は、上方側に突出または露出状態の操作体4を有し、操作する人の手や指がこの操作体4に触れることによって操作体4が所定の方向に操作され、上記所定操作に対応した電気信号を出力させるものである。
【0006】
そして、この電気信号は、半田付けによって電子機器の配線板3に電気的に接続された端子部2を通じて電子機器のマイクロコンピュータ(図示せず)等に伝達され、その信号に合わせて電子機器は所定の機能を作動させる。
【0007】
そして、5は、電子機器の上ケースとなる筐体で、入力装置1の操作体4を挿通可能な開口部5Aを備え、その開口部5Aから入力装置1の操作体4のみが筐体5上面側に突出または露出するようにして、上記入力装置1を固定した配線板3上に配設されている。
【0008】
このように構成された従来の入力装置1を備えた電子機器は、筐体5から上方側に突出または露出した入力装置1の操作体4に対して所定操作をすることによって、電子機器の各種機能を作動させることができるものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら上記従来の電子機器では、入力装置1が故障し、その入力装置1の交換が必要な場合には、電子機器の筐体5を開いて配線板3を取り出し、半田付けで接続された入力装置1の端子部2を配線板3から外して、故障した入力装置1を取り除いた後に、正常に作動する新しい入力装置(図示せず)を配線板3に半田付けで電気的かつ機械的に取り付け、もとの状態に組み合わせなければならず、非常に手間がかかるという課題があった。
【0010】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、使用電子機器の筐体内の配線板を取り出すことなく、入力装置を容易に交換できる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0012】
本発明の請求項1に記載の発明は、信号生成第一手段を有する入力装置と、上記入力装置を外部から嵌め込んで位置決め装着する開口部を有する筐体と、上記筐体に対して着脱可能で、上記筐体の開口部に装着された際、上記入力装置が固定状態となる蓋状カバーと、上記筐体内に設けられ、上記信号生成第一手段と組み合わされることによって機能する信号生成第二手段とを少なくとも備えた電子機器としたものであり、蓋状カバーを筐体から外すのみで、装着されている入力装置を取り外すことができ、その後に新しい入力装置を開口部に嵌め込んで再度蓋状カバーを筐体に取り付けるだけで、新しい入力装置が電気的かつ機械的に機能するものにできるため、入力装置の交換の際に、筐体を開いたり、筐体内の信号生成第二手段を電気的に接続し直すことなく、入力装置を容易に交換することができるという作用を有する。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、筐体に着脱可能に取り付けられた蓋状カバーを照光可能とし、入力装置の視認性を向上させたものであり、請求項1記載の発明による作用に加え、筐体内に配された発光部品からの光で蓋状カバーを光らせることにより、入力装置の装着位置が視認し易くできるという作用を有する。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の発明において、入力装置の信号生成第一手段と筐体内の信号生成第二手段とが非接触状態で組み合わされて機能することによって上記信号生成第二手段から所定出力が得られるようにしたものであり、請求項1記載の発明による作用に加え、入力装置の信号生成第一手段と筐体内の信号生成第二手段とを非接触状態で機能するものとしたため、両者を簡単に組み合わせることができて長寿命のものが容易に得られるという作用を有する。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の発明において、信号生成第二手段が筐体内に配された配線板に配設されると共に、その信号生成第二手段上を含む上記配線板上が絶縁シートで覆われたものであり、筐体外部からの塵や水分の侵入に対して信号生成第二手段およびそれを配設した配線板を保護することができ、防塵および防滴構造で長期に亘って安定した入力操作ができるものが実現できるという作用を有する。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1記載の発明において、入力装置の信号生成第一手段と筐体内の信号生成第二手段とが組み合わされてトラックボール装置が構成されるものであり、請求項1記載の発明による作用に加え、全方位への入力操作ができる操作性の優れた入力装置を有する電子機器を実現できるという作用を有する。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5記載の電子機器であって、トラックボール装置の信号生成第一手段として磁気を用い、筐体内の信号生成第二手段を磁気センサとした電子機器としたものであり、請求項5記載の発明による作用に加え、信号生成第一手段から発せられた所定の強さの磁気を、非接触状態で信号生成第二手段の磁気センサで検出して機能するものにできるため、長寿命のものが実現でき、また磁気センサを用いることにより、信号生成第二手段が小形・薄形にできるため、小形・薄形の電子機器を容易に実現できるという作用を有する。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項5記載の電子機器であって、トラックボール装置の信号生成第一手段として磁気を用い、筐体内の信号生成第二手段がリードスイッチである電子機器としたものであり、請求項5記載の発明による作用に加え、信号生成第二手段となるリードスイッチの出力はデジタル信号であるので使用機器内の信号処理としてA/D変換回路が不要にでき、電子機器の回路設計が簡素化できるという作用を有する。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項5記載の電子機器であって、操作体であるボールが上下動可能で、信号生成第二手段が配設された配線板に、上記ボールの上下動に伴って作動するスイッチが配された電子機器としたものであり、請求項5記載の発明による作用に加え、ボールの回転操作に伴って所定の出力信号が得られると共に、ボールの押下操作によってもスイッチからの所定の出力が得られるものにできるため、例えばこの電子機器において、メニュー中からの所望の項目選択をボールの回転操作で行い、選択した項目の決定・確定をボールの押下操作で行うようにすることにより、メニュー中からの所望項目の選択および決定・確定という連続した操作機能をボールという一つの操作体で行える操作性の優れた使い易い電子機器が実現できるという作用を有する。
【0020】
請求項9に記載の発明は、請求項5記載の電子機器であって、操作体であるボールが、その下方に配設された弾性体で部品用ケースに設けられた円形孔に内側から押し当てられるように付勢された電子機器としたものであり、ボールの非操作時においては、常に部品用ケースの円形孔をボールが塞いだ状態を維持できるため、部品用ケース内への塵の侵入が防止でき、防塵性に優れたものが得られるという作用を有する。
【0021】
請求項10に記載の発明は、請求項6または7記載の発明において、操作体であるボールに所定間隔をあけて、対向する二本ずつの二組が互いに直交するように矩形状に配置されると共に、上記ボールに当接する部分の断面が所定の凹凸部を有する円形状の四本のローラに、信号生成第一手段としての磁石がそれぞれ共廻り可能に固定され、上記ボールへの回転操作時に、上記ボールに当接する上記所定のローラの回転に合わせて上記磁石が回転して磁気を変化させるようにしたものであり、ボールを回転操作すると、その回転操作方向に応じた所定のローラのみが回転して、上記所定のローラに固定されている磁石からの磁気のみが変化するものにできるため、その磁気変化を信号生成第二手段としての磁気センサやリードスイッチ等の磁気感応素子で検出して所定出力をさせることにより、上記回転操作方向の特定ができ、ローラの回転方向等の検知等が不要で構造および出力信号の処理が容易なものにできるという作用を有する。
【0022】
請求項11に記載の発明は、信号生成第一手段を有する入力装置と、位置決め装着された上記入力装置の操作体を露出させる開口部を有する筐体と、上記筐体内に設けられ、上記信号生成第一手段と非接触状態で組み合わされることによって機能する信号生成第二手段が配設された配線板と、上記信号生成第二手段上を含む上記配線板上を覆う絶縁シートからなる電子機器としたものであり、信号生成第一手段と信号生成第二手段とが非接触状態で組み合わされて所定の出力が得られるものであるため、入力装置の交換の際には、筐体内の配線板を取り出して信号生成第二手段を電気的に接続し直すことなく、入力装置の操作体を含む部分を容易に交換できると共に、信号生成第二手段上を含む上記配線板上を絶縁シートで覆うようにでき、筐体外部からの塵や水分の侵入に対して信号生成第二手段およびそれを配設した配線板を保護できる高品質のものが実現できるという作用を有する。
【0023】
請求項12に記載の発明は、請求項11記載の発明において、絶縁シートが、筐体の主操作面側に対応する配線板の全面を覆うものであり、通常の電子機器においては、入力装置の操作体が露出した筐体の面側を主操作面として活用すべく、他の操作部材等を配置することも多く、その結果、上記筐体の主操作面側には、孔やスリット部分も多く構成され、防塵・防滴構造に劣り易くなるが、その筐体の主操作面側に対応する配線板の全面を絶縁シートで覆った構成であるため、配線板に装着された他の電子部品等を含めて、筐体外部からの塵や水分の侵入から保護できる高品質のものにできるという作用を有する。
【0024】
請求項13に記載の発明は、請求項11記載の発明において、入力装置が、筐体の裏面と配線板を覆う絶縁シートとの間で、挟み込まれて位置決めされたものであり、最小限の構成部品点数で済むと共に、入力装置を筐体の裏面で若干押え込むようにして挟み込むようにすると、入力装置は、絶縁シートの柔軟性によって、絶縁シートを厚み方向に少し圧縮するようにして装着でき、これにより入力装置の装着時のガタツキも低減できるという作用を有する。
【発明の効果】
【0025】
以上のように本発明によれば、入力装置に信号生成第一手段を配し、筐体内に信号生成第一手段と組み合わさって機能する信号生成第二手段を配するようにしたので、入力装置を交換する際にも、電子機器の筐体内の配線板を取り出すことなく、入力装置を容易に交換できる電子機器を実現できるという有利な効果が得られる。
【0026】
また、信号生成第一手段と信号生成第二手段とを非接触状態で機能するものとすることにより、電子機器の防滴性を容易に向上させる構成が可能となる。
【0027】
さらに、入力装置としてトラックボール装置を搭載することにより、所望項目の選択〜決定・確定までを含む細かな入力操作が可能となり、特に信号生成第二手段からの出力をデジタル信号出力が得られるものとすれば、電子機器の回路設計まで容易にできて、使い易くて安価な電子機器にできるという効果も得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0029】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態による電子機器の分解斜視図、図2は同主要部材となる蓋状カバーを取り付ける際の筐体内側から観た状態を示す概念図である。
【0030】
同図において、11は、上面視略正方形状で樹脂製の部品用ケース12内に信号生成第一手段13が設けられた入力装置で、この入力装置11は、電子機器の上ケースとなる筐体14に組み込まれるものである。
【0031】
そして、この筐体14には、入力装置11の部品用ケース12を位置決めして嵌め込める大きさの開口部15が設けられている。
【0032】
この開口部15は、筐体14の上面側に相当する部分が、部品用ケース12の外形よりも大きい径に設けられた円形開口穴部15Aとなり、その下方が円形開口穴部15Aと同一中心位置で部品用ケース12の外形に合わせて設けられた方形開口孔部15B、およびその方形開口孔部15Bの各辺の中央位置に外方側に突出形成された保持用開口孔部15Cから構成されている。
【0033】
なお、保持用開口孔部15Cは、後述する蓋状カバー19との組み合わせの関係で、その外周面を繋ぐ仮想線が、円形開口穴部15Aと同一かそれより小さい相似の円弧となるように構成することが好ましい。
【0034】
そして、この円形開口穴部15A下方には、方形開口孔部15Bと保持用開口孔部15Cとによって筐体14の残部部分が形成されることとなり、その残部部分は、筐体14の上面よりも低い位置の平坦で同一高さの段部15Dとなっている。
【0035】
そして、筐体14の開口部15の底部に相当する筐体14内の位置には、配線板16等の内部部材が配されている。
【0036】
この内部部材である配線板16には、入力装置11に設けられた信号生成第一手段13と組み合わされることによって機能して所定の出力を生ずる信号生成第二手段17が配設されている。
【0037】
この信号生成第二手段17を構成する素子は、端子部18を有し、その端子部18は、配線板16に半田付けによって接続されている。
【0038】
そして、19は、円形開口穴部15Aを塞ぐ蓋状カバーであり、円形開口穴部15Aの径より少し小径で、その中央に貫通孔20Aを有する円形リング状の平板部20と、平板部20下面の外周部から下方に突出した四ヶ所のL形柱状部21〜24からなり、このL形柱状部21〜24の平板部20に連結していない方の水平部25〜28の外側面には凹溝29〜32がそれぞれ設けられている。
【0039】
また、このL形柱状部21〜24は、蓋状カバー19下面に等角度ピッチで設けられ、水平部25〜28は、開口部となる先端方向が同一方向に合わせて設けられている。
【0040】
さらに、その水平部25〜28のそれぞれの長さは、開口部15の保持用開口孔部15Cの長さ寸法よりも短く構成されている。
【0041】
そして、上記入力装置11は、筐体14の開口部15の方形開口孔部15B内に嵌め込まれて位置決めされ、その後、筐体14の上方から、L形柱状部21〜24を、対応する開口部15の保持用開口孔部15Cにそれぞれ挿入するようにして蓋状カバー19を装着し、円形リング状の平板部20下面を段部15D上に当接させた状態で、蓋状カバー19を時計回り方向に回転させて蓋状カバー19のL形柱状部21〜24の水平部25〜28を筐体14の段部15D下面に引っ掛け、蓋状カバー19を筐体14に取り付け固定する。
【0042】
また、この蓋状カバー19の時計回り方向への回転に伴って、蓋状カバー19のL形柱状部21〜24の外側面に設けられた凹溝29〜32は、筐体14内に設けられた凸部33〜36と各々嵌合して、嵌合した後は蓋状カバー19に反時計回り方向の小さな力が作用しても、簡単に蓋状カバー19が回転して外れることのないようになっている。
【0043】
なお、蓋状カバー19が筐体14に固定された状態で、両者の上面位置が面一状態になるように、平板部20の厚みと円形開口穴部15Aの深さを設定しておくと外観上で見栄えのよいものとなる。
【0044】
そして、上記状態で蓋状カバー19が筐体14に固定された際に、入力装置11は、側方位置が筐体14の段部15Dの側壁で規制され、上下方向では配線板16と蓋状カバー19によって挟み込まれて固定状態になる。
【0045】
このように本発明においては、筐体14に蓋状カバー19を装着固定するのみで入力装置11を容易に取り付けることができる。
【0046】
次に、このように入力装置11が装着された電子機器の動作について説明する。
【0047】
まず、この入力装置11の操作体となる操作部11Aを手や指等により操作すると、その操作部11Aと連動して信号生成第一手段13が作動し、これと組み合わされて機能する筐体14内の配線板16に配設された信号生成第二手段17が作動し、この信号生成第二手段17の端子部18からの所定出力が配線板16の所定パターンを介してマイクロコンピュータ(図示せず)に伝達され、その信号に合わせて該電子機器は所定機能を作動させる。
【0048】
その入力装置11の操作部11Aへの操作を中断すると、信号生成第一手段13の作動が停止すると共に、信号生成第二手段17も停止して、その出力信号が発生しない状態に戻る。
【0049】
このように本発明によるものは、入力装置11の操作部11Aへの操作性や電子機器自身の応答性は、従来と同等なものである。
【0050】
また、本実施の形態による電子機器において、入力装置11を交換する場合には、まず蓋状カバー19を反時計回り方向に所定以上の大きさの力、すなわちL形柱状部21〜24の凹溝29〜32に嵌合している各凸部33〜36が外れる大きさの力を加えて回転させ、筐体14の段部15Dの下面に引っ掛けてあるL形柱状部21〜24の水平部25〜28をそれぞれ保持用開口孔部15C内の位置に戻し、蓋状カバー19を筐体14から上方に取り外す。
【0051】
次に、筐体14の方形開口孔部15Bに位置決め装着されている入力装置11を取り出してから正常に作動する新しい入力装置(図示せず)を筐体14の方形開口孔部15Bに嵌め込む。
【0052】
そして、再度上記に説明したように、蓋状カバー19を筐体14の開口部15に対して挿入し、その後、時計回り方向に回転させて蓋状カバー19の各L形柱状部21〜24の水平部25〜28を段部15Dの下面にそれぞれ引っ掛けると共に、その外側面の凹溝29〜32に各凸部33〜36を嵌合させることにより、筐体14の段部15D、配線板16および蓋状カバー19で新しい入力装置を固定状態とする。
【0053】
特に、通常の電子機器においては、操作部11Aを操作することによって機構的に動作する部分を含む入力装置11の故障頻度が高いことは周知であるが、本発明によるものは、上記に説明したように、入力装置11が容易に交換できるものである。
【0054】
なお、上記故障モードの場合には、当該部分のみを交換するのみで正常な動作になることが多く、筐体14内の配線板16に端子部18が半田付け接続されて配設された信号生成第二手段17等は故障等し難いため、交換の必要がなく、上記入力装置11の取り替えのみで、入力装置11内の信号生成第一手段13に対し、信号生成第二手段17が組み合わされて即座に機能するものとなる。
【0055】
なお、蓋状カバー19の筐体14への固定方法としては、上記に説明したL形柱状部21〜24を備えたものを回して固定する以外にも、スナップフィット方式やネジ止め方式を用いて固定するものであってもよい。
【0056】
また、上記入力装置11の交換時等に、信号生成第一手段13と信号生成第二手段17との位置合わせが比較的簡単にできるようにするため、入力装置11の信号生成第一手段13および配線板16に配設された信号生成第二手段17は、例えば磁気や光などを用いた非接触状態で組み合わさって機能するものが好ましい。
【0057】
すなわち、その一事例としては、入力装置11の信号生成第一手段13を磁石とし、筐体14内の信号生成第二手段17をホール素子などの磁気センサとして、入力装置11の信号生成第一手段13と筐体14内の信号生成第二手段17とが非接触状態で機能して信号生成第二手段17から所定出力が得られるようにすればよい。
【0058】
この場合には、入力装置11の信号生成第一手段13と筐体14内の信号生成第二手段17との間に、防滴性の絶縁シート37を配することも可能となり、筐体14の入力装置11を嵌め込む開口部15や入力装置11自身等から侵入する塵や水分を絶縁シート37で防ぐこともでき、防塵および防滴構造とすることができる。
【0059】
ここで、絶縁シート37を配する代わりに、筐体14の開口部15部分の外周部および底部を覆う壁を設けて、箱形凹部状に囲うようにして防滴構造としてもよい。
【0060】
また、蓋状カバー19の材質を、導光材料の材質のもので形成すると共に、筐体14内の信号生成第二手段17を設けた配線板16等にLEDやEL素子などの発光部品を配して、この発光部品が発する光が蓋状カバー19を通して筐体14上面まで導かれるようにすると、入力装置11の周囲が光るようにでき、入力装置11の装着位置の視認性が向上し、夜間等の使用時においても良好に操作できるものにできる。
【0061】
さらに、蓋状カバー19に加え、入力装置11の部品用ケース12自身を導光材料の材質のものとして、上記同様に発光部品が発する光を導くようにしてもよい。
【0062】
以上のように本実施の形態によれば、電子機器の筐体14を開いて配線板16を取り出したりせずに、蓋状カバー19を筐体14から外すのみで、機構的に動く部分を含む入力装置11を取り出せて容易に交換することができ、再度蓋状カバー19を筐体14に取り付けるだけで入力装置11が電気的かつ機械的に接続されて機能する電子機器を実現できるものである。
【0063】
また、入力装置11の操作部11Aへの所定操作に対応する出力は、信号生成第一手段13に組み合わさって機能する信号生成第二手段17から発するものであるため、両者を非接触状態で機能するものにすると、信号生成第二手段17が設けられた配線板16上を、信号生成第二手段17上を含むようにして防滴性の絶縁シート37で覆う構成とすることもでき、この構成のものにおいては、信号生成第二手段17およびそれを配設した配線板16が、筐体14外部からの塵や水分の侵入に対して保護された筐体14内の防塵・防滴構造のものとすることができる。
【0064】
さらに、蓋状カバー19を導光材料で形成して筐体14内からの光を導くことによって入力装置11の位置の視認性を向上させることもできる。
【0065】
なお、本発明は、入力装置11の操作部11Aとして、スティック・パッド・転動部材等を搭載し、それらへの操作により、信号生成第一手段13が作動するもの全てに適用可能なものである。
【0066】
(実施の形態2)
本実施の形態は、実施の形態1による電子機器において、その入力装置11として、磁気を用いて所定操作に応じた検出ができるトラックボール装置を搭載したものを説明するものである。
【0067】
なお、実施の形態1と同じ構成の部分には、同一符号を付与して、詳細な説明を省略する。
【0068】
図3は本発明の第2の実施の形態による電子機器の分解斜視図、図4は同断面図、図5は同筐体およびトラックボール装置のケース部を除いた状態の平面図、図6は同図5のA−A線における断面図、図7は同筐体およびトラックボール装置のケース部、ボール、ローラを除いた状態の平面図である。
【0069】
同図に示すように、本実施の形態による電子機器は、筐体14の開口部15内に入力装置11となるトラックボール装置40が嵌め込まれ、その上方から蓋状カバー19が筐体14に装着固定されることによって、トラックボール装置40が位置決め装着されていることは実施の形態1の場合と同じである。
【0070】
まず、このトラックボール装置40について、以下に詳細に説明する。
【0071】
同図において、41は樹脂形成された上面視四角形のトラックボール装置としての基体部であり、その上面の各辺それぞれの近くには、図4および図5に示すように、四本の円形軸状のXIローラ42、XIIローラ43およびYIローラ44、YIIローラ45が、対向する二本ずつの二組が互いに直交するように正方形状に配置され、基体部41に一体形成された二ヶ所ずつの支持部46〜49によりそれぞれ回転可能に支持されている。
【0072】
そして、このトラックボール装置40の操作体としてのボール50の中心よりも少し下方の外周に、上記XIローラ42、XIIローラ43およびYIローラ44、YIIローラ45それぞれの中央に設けられた当接部42A,43Aおよび44A,45Aがボール50と所定の間隔をもって位置するように配置されている。
【0073】
また、上記のXIローラ42〜YIIローラ45の当接部42A〜45Aの断面は、円周の等分位置に所定の凹凸部を有する円形状をしている(図4参照)。
【0074】
そして、XIローラ42〜YIIローラ45の一端部には、図5および図6に示すように、90°毎にNまたはS極が交互に着磁された信号生成第一手段となる磁石51〜54がそれぞれ設けられ、各ローラ42〜45の回転と一体に共廻りするように構成されている。
【0075】
なお、図5の平面図においても、磁石51〜54に斜線を施して見やすく記載している。
【0076】
また、この上記各部材を覆っている55は、基体部41の上方側に固定されて両者で部品用ケースとなるトラックボール装置40用の樹脂製のケース部で、図3および図4に示すように、その上面中央部には、収容されたボール50の上部が突出するようにボール50の径よりも少し小さい円形孔55Aを有し、上面の外周から下方に伸びて下端が基体部41に固定された周囲壁55Bからなり、通常状態において、ボール50がこのトラックボール装置40から外れることを防止している。
【0077】
さらに、ボール50は、一端が基体部41にインサート成形などによって固定された片持ち状の板ばね56の他端部によって下方から押し上げられており、ボール50を操作しない通常状態においては、ケース部55上面中央部の円形孔55Aはボール50上端によって塞がれるようになっている。
【0078】
また、このボール50は、下方向に押す力が加わったときには、ボール50下端で板ばね56を押し下げてケース部55と基体部41によって構成される空間内部を上下に移動可能な構成となっている。
【0079】
このように構成されたトラックボール装置40は、上述のごとく筐体14の開口部15に嵌め込まれた後に、蓋状カバー19が装着されて、部品用ケース(基体部41およびケース部55)の側方位置が筐体14の段部15Dの側壁で規制され、上下方向では筐体14内に配された配線板57と蓋状カバー19によって挟み込まれて固定され、電子機器に装着されている。
【0080】
そして、上記筐体14内に配された配線板57には、トラックボール装置40の第一信号発生手段である磁石51〜54と組み合わされることによって機能し、所定の出力を生ずる信号生成第二手段として、磁気センサ58〜61がそれぞれの端子部58A〜61Aを半田付け接続されることによって配設されている。
【0081】
この各々の磁気センサ58〜61は、当該トラックボール装置40の各ローラ42〜45に取り付けられた磁石51〜54に対応する位置に設けられている。
【0082】
さらに、この磁気センサ58〜61上を含めて配線板57の上方は、可撓性を有する絶縁シート62で覆われている。
【0083】
また、この配線板57に配された磁気センサ58〜61の配設位置の中央部分が、トラックボール装置40のボール50の下端位置に対応しており、その配線板57上の中央部分には自力復帰型のプッシュスイッチ63が配設されている。
【0084】
この自力復帰型のプッシュスイッチ63は、配線板57上に金属箔等によって形成された外側固定接点64上に、上方に凸状の弾性金属薄板からなるドーム状可動接点65を載せて、その中央部下面を、同様に配線板57上に設けられた中央固定接点66と所定の間隔をあけて対峙させ、ドーム状可動接点65上部を下面に粘着層を有する可撓性の絶縁フィルム67で覆って構成されているものである。
【0085】
上記構成のプッシュスイッチ63は、低寸法でしかも安価に構成できると共に、自力復帰型で動作時に節度感を有する高性能なものである。
【0086】
なお、ドーム状可動接点65の弾性反発力は、通常状態およびボール50の回転操作時に押されて反転することがないように、所定の大きさ以上に設定されている。
【0087】
また、この自力復帰型のプッシュスイッチ63は、必ずしも配線板57上で形成する必要はなく、単体スイッチとして完成した低寸法のプッシュスイッチを配線板57上に装着したものであってもよい。
【0088】
本実施の形態による電子機器は、このように構成されるものであり、以下にその動作を、図8のトラックボール装置の回転操作時の状態を示す図5のX−X線における断面図および、図9の同プッシュ操作時の状態を示す図5のX−X線における断面図等を用いて説明する。
【0089】
まず、本実施の形態による電子機器において、入力装置となるトラックボール装置40を操作していない図4および図6に示す通常状態から、トラックボール装置40のケース部55の円形孔55Aから上方に突出した操作体としてのボール50上部を手や指で触れて、図6および図8に矢印で示すように、ボール50を左方向に回転操作する場合について最初に説明する。
【0090】
この操作時においては、ボール50の外周には操作方向に対応するXIローラ42の当接部42Aのみか、それに加えてYIローラ44、YIIローラ45の何れか一方の当接部44Aまたは45Aが一緒に当接するようになる。
【0091】
このとき、ボール50は、操作方向に対応するXIローラ42の当接部42Aに設けられた凹凸部に対して直角に当接してボール50が回転するので、XIローラ42を回転させるに十分に大きな摩擦が得られてXIローラ42は回転する。
【0092】
一方、操作方向の直交方向のYIローラ44、YIIローラ45の何れか一方の当接部44Aまたは45Aにボール50が当接しても、ボール50と凹凸部との当接方向が水平方向に近くなるため、いずれのYIローラ44、YIIローラ45が回転するのに必要な摩擦が得られずにボール50は空転してYIローラ44、YIIローラ45は回転しない。
【0093】
そして、このXIローラ42の回転に伴い、その一端部に設けられた信号生成第一手段である磁石51が共廻りして、磁石51に対応するように下方の配線板57に配設された信号生成第二手段である磁気センサ58に、磁石51のNまたはS極が交互に接近を繰返す。
【0094】
このとき、磁石51のN極が磁気センサ58に近づくと、磁気センサ58に作用するN極の磁気が大きくなり、それに伴って磁気センサ58の正の出力電圧も大きくなる。
【0095】
一方、S極が磁気センサ58に近づくと、磁気センサ58に作用するS極の磁気が大きくなり、それに伴って磁気センサ58の負の出力電圧も大きくなる。
【0096】
そして、この磁気センサ58の端子部58Aからの出力電圧が所定の値を超えるとON状態、下回るとOFF状態とマイクロコンピュータ(図示せず)などで処理することによってデジタル信号を生成する。
【0097】
これによってXIローラ42の回転数が検出でき、それに合わせて当該電子機器のディスプレイ画面上に表示されたカーソル等のX軸の正または負の一方向への移動量が検知されるものである。
【0098】
同様にして、ボール50を右方向に回転操作すると、今度はXIローラ42は回転しないでXIIローラ43が回転して、ディスプレイ画面上に表示されたカーソルのX軸の上記左方向への回転操作とは逆の方向への移動量が、そして前および後ろ方向に回転操作すると、XIローラ42とXIIローラ43に回転は伝達されないが、対向しているYIローラ44またはYIIローラ45に回転が伝達されY軸の正または負方向への移動量がそれぞれ検知される。
【0099】
さらにボール50を斜め方向に回転操作すると、XIローラ42またはXIIローラ43の一方とYIローラ44またはYIIローラ45の一方が共に、その回転方向および回転成分に応じて回転し、X軸およびY軸それぞれの方向におけるカーソルの設定された方向への移動量が検知されるものである。
【0100】
なお、以上の説明において、このトラックボール装置40のXIローラ42〜YIIローラ45の磁石51〜54として90°毎にNまたはS極が着磁されているもの、すなわち各ローラ42〜45の1回転中に2回信号を発するものを説明したが、これは必要に応じて増減させてもよい。
【0101】
次に、上記ボール50の回転操作によって、ディスプレイ画面上のカーソルが所望の位置に到達した時に、図4に示す通常状態からボール50の上部を手や指でプッシュ操作すると、ボール50は、下方に配設された板ばね56を押し下げていき、絶縁シート62を介して板ばね56に設けた突出部56A下面で配線板57上に配設されたプッシュスイッチ63の上部中央位置すなわちドーム状可動接点65の中央部を下方に押す。
【0102】
そして、この押し下げ力が所定の値を超えると、ドーム状可動接点65は節度感を伴いながら弾性反転して、図9の断面図に示すように、ドーム状可動接点65の中央下面が中央固定接点66に接触し、ドーム状可動接点65を介して外側固定接点64と中央固定接点66の間が導通する。
【0103】
そして、その信号は配線板57上の配線パターン(図示せず)を介して、このトラックボール装置40を使用する電子機器の回路に、ディスプレイ画面上のカーソルの位置の認識信号等として伝達される。
【0104】
この後、ボール50に加えた押し下げ力を除くと、プッシュスイッチ63のドーム状可動接点65は自らの弾性復元力により元のドーム形状に復帰し、絶縁シート62および板ばね56の突出部56Aを介してボール50を上方に押し戻し、プッシュスイッチ63の外側固定接点64と中央固定接点66の間は再び電気的オフ状態となる。
【0105】
また、ボール50は、片持ち状の板ばね56自身の復元力によってケース部55の円形孔55Aに当接されるまで押上げられて、元の図4の通常状態に戻る。
【0106】
なお、板ばね56を配する代わりに、絶縁シート62のプッシュスイッチ63に対応する位置をドーム状に形成し、ボール50下端を当接させてボール50を上方に付勢してケース部55の円形孔55Aを塞ぐようにしてもよい。
【0107】
以上のように本実施の形態によれば、ボール50の回転操作によってディスプレイ画面上に表示されたカーソルを容易に細かい精度で移動操作することができると共に、ボール50をプッシュ操作することによって下方のプッシュスイッチ63を動作させて、カーソルの位置の認識信号などを発することができる、小さい投影面積でしかも動作の安定したプッシュスイッチ付きのトラックボール装置を備えた電子機器が得られるものである。
【0108】
この電子機器においても、トラックボール装置40の機構的に動作する部分に故障が発生した時等に、筐体14を開いて配線板57を取り出すことなく、当該部分に相当するトラックボール装置40の部分のみを容易に交換できると共に、磁気センサ58〜61上を含む配線板57上に防滴性の絶縁シート62が配してあるため、防塵・防滴構造のものにできることは実施の形態1の場合と同じである。
【0109】
(実施の形態3)
本実施の形態による電子機器は、上述の実施の形態2に説明した電子機器と同様に、入力装置として磁気式のトラックボール装置40を備えたものではあるが、信号生成第二手段が実施の形態2のものとは異なるものであるため、その信号生成第二手段の部分を主として以下に説明する。
【0110】
なお、実施の形態1および2と同一構成部分、例えばトラックボール装置40の詳細構成等には、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0111】
図10は本発明の第3の実施の形態による電子機器において、筐体およびトラックボール装置のケース部、ボール、ローラを除いた状態の平面図であり、同図に示すように、本実施の形態によるものは、上記の実施の形態2にて図7に示したものに対して、配線板57に装着された信号生成第二手段が、四つのリードスイッチ71〜74で構成されているものである。
【0112】
この四つのリードスイッチ71〜74は、各端子部71A〜74Aが電子機器の配線板57上に半田付け接続されることによって配設されており、その装着位置は、上述の実施の形態2のものと同様に、基体部41に回転可能に支持されたXIローラ42〜YIIローラ45(図10には図示せず)に装着された信号生成第一手段である磁石51〜54(図10には図示せず)にそれぞれ対応した位置となっている。
【0113】
このリードスイッチ71〜74は、それぞれに対応したローラ42〜45に装着された磁石51〜54のN極またはS極の位置がローラ42〜45の回転によって相対的に変化することでON、OFFを繰返し、デジタル信号が出力できる素子である。
【0114】
なお、本実施の形態における上記以外の構成は実施の形態2と同様であるので説明を省略する。
【0115】
次に以上のように構成された本実施の形態による電子機器の動作について説明する。
【0116】
まず、トラックボール装置40のボール50を左側に回転操作すると、実施の形態2の場合と同様に、その方向に対応するXIローラ42が回転すると共に、信号生成第一手段となる磁石51が共廻りし、磁石51に対応して設けられた信号生成第二手段であるリードスイッチ71に、そのNまたはS極が交互に接近を繰返すことは同じである。
【0117】
そして、磁石51のN極およびS極の位置が、リードスイッチ71に対して所定の位置範囲内ではリードスイッチ71がON状態となり、その位置範囲を外れるとリードスイッチ71がOFF状態に切換わって、その磁石51の回転に伴うデジタル信号が生成できるものである。
【0118】
これによってローラ42の回転数すなわち、このトラックボール装置40を使用する電子機器のディスプレイ画面上に表示されたカーソルの設定された方向への移動量が検知されることは実施の形態2と同様であるので説明を省略する。
【0119】
そして、上記とは異なる方向に回転操作した場合にも同様の動作となり、その操作方向に対応するリードスイッチ71〜74からデジタル信号が生成される。
【0120】
また、本実施の形態による電子機器におけるトラックボール装置40のボール50をプッシュ操作する際の動作、およびトラックボール装置40の装着方法は、実施の形態2の場合と同じであるので説明を省略する。
【0121】
そして、上記のように、信号生成第二手段としてリードスイッチ71〜74を配設したものとすることにより、信号生成第二手段の出力がデジタル信号で得られるので、電子機器側での信号処理としてA/D変換回路が不要にでき、電子機器の回路設計も簡素化することができる。
【0122】
(実施の形態4)
本実施の形態による電子機器は、上述の実施の形態1に説明した電子機器に対し、入力装置11の装着部分の構成が異なるものであり、その異なる構成部分を主に図面を用いて説明する。
【0123】
図12は本発明の第4の実施の形態による電子機器の要部斜視図、図13は同分解斜視図、図14は同図13に示すB−B線における完成状態の断面図である。
【0124】
同図に示すように、本実施の形態による電子機器は、筐体81そのものを用いて入力装置11を位置決め装着するようにしたものである。
【0125】
つまり、本実施の形態によるものは、実施の形態1で説明した蓋状カバー19(図1参照)を用いない構成であり、このために、構成部品点数が少なくて済むものである。
【0126】
以下、その内容について説明すると、同図に示すように、筐体81には、入力装置11の操作部11Aに対応する開口部81Aが所定の位置に設けられていると共に、その開口部81A近傍の筐体81の裏面側部分は、入力装置11の部品用ケース12の上部形状に応じた位置決め用の凹部81Bが設けられたものとなっている。
【0127】
なお、同図に図示はしていないが、筐体81の開口部81Aを形成した同一面には、他の操作部材等も備えたものになっており、入力装置11の操作部11Aを操作する筐体81の面側は、この電子機器の主操作面として構成されている。
【0128】
そして、その開口部81Aおよび凹部81Bの位置に対応するようにして、筐体81内に配された配線板16上には、信号生成第二手段17が半田付けなどにより配設されている。
【0129】
なお、この信号生成第二手段17は、入力装置11内に設けられた信号生成第一手段(図示せず)と、非接触状態で組み合わされることによって始めて機能して所定出力を発するものである。
【0130】
そして、この配線板16の上面は、信号生成第二手段17の上部を含んで、絶縁シート37で全面を覆われている。
【0131】
このとき、同図には図示していないが、この配線板16には、入力装置11の信号生成第二手段17以外の電子部品等も装着・実装されており、それらの電子部品等の上部を含んで絶縁シート37は、配線板16の当該全面を覆っている。
【0132】
つまり、筐体81の主操作面側に対応する配線板16の面側は、全て一枚の絶縁シート37で覆われたものとなっており、開口部81Aやその同一面に構成された他の操作部材用の孔やスリット部分からの塵埃や水分の侵入があっても、確実に配線板16およびそれに装着・実装された信号生成第二手段17や電子部品等を保護できるようになっている。
【0133】
そして、入力装置11は、操作部11Aを筐体81の開口部81Aに挿通させるようにして、筐体81の凹部81B裏面と配線板16上の絶縁シート37との間で挟み込まれるようにして所定位置に位置決め装着されている。
【0134】
このとき、入力装置11は、部品用ケース12の上部が筐体81の凹部81B内に挿入された状態になっており、その部品用ケース12と凹部81Bとの側部どうしの係合によって、入力装置11は、配線板16面に対して平行な方向への位置決めがなされると共に、上下方向には、部品用ケース12の上面が、筐体81の凹部81B裏面で押え込まれて、凹部81B裏面と配線板16上の絶縁シート37との間で部品用ケース12が挟み込まれて位置決めされている。
【0135】
なお、上記構成とする際には、絶縁シート37は柔軟性を有するものであるために、若干、部品用ケース12の上面を筐体81の凹部81B裏面で押え込んで、部品用ケース12の下面が、絶縁シート37を厚み方向に少し圧縮するようにして装着するようにすると、入力装置11のガタツキ等も低減でき、高品質なものにできる。
【0136】
このように構成された本実施の形態による電子機器は、部品点数少なく構成でき、筐体81を開くのみで、入力装置11の操作部11Aを含む部分が取り換え可能なものにできる。
【0137】
なお、その入力装置11の動作等については、実施の形態1によるものと同じであるため、説明を省略する。
【0138】
また、上記には筐体81で入力装置11を押え込む構成を説明したが、他の部材で同様に入力装置11を位置決め装着してもよい。
【0139】
さらに、非接触の信号生成第一手段を有する入力装置11の操作形態としては、上記に説明したスティックタイプに限定されるものではなく、例えば、実施の形態2に説明したトラックボール装置40など、ボールやローラのような転動部材を操作体として備えた入力装置であってもよく、また、パッド方式で所定入力操作が可能な入力装置にも適用でき、さらに、入力装置11以外の部材にも適用可能なものである。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明による電子機器は、配線板を取り出すことなく、入力装置を容易に交換できるものとして実現することができるという効果を有し、各種入力操作が可能な入力装置を備え、この入力装置を操作して使用する電子機器に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本発明の第1の実施の形態による電子機器の分解斜視図
【図2】同主要部材となる蓋状カバーを取り付ける際の筐体内側から観た状態を示す概念図
【図3】本発明の第2の実施の形態による電子機器の分解斜視図
【図4】同断面図
【図5】同筐体およびトラックボール装置のケース部を除いた状態の平面図
【図6】同図5のA−A線における断面図
【図7】同筐体およびトラックボール装置のケース部、ボール、ローラを除いた状態の平面図
【図8】同トラックボール装置の回転操作時の状態を示す図5のX−X線における断面図
【図9】同トラックボール装置のプッシュ操作時の状態を示す図5のX−X線における断面図
【図10】本発明の第3の実施の形態による電子機器において、筐体およびトラックボール装置のケース部、ボール、ローラを除いた状態の平面図
【図11】従来の電子機器の要部斜視図
【図12】本発明の第4の実施の形態による電子機器の要部斜視図
【図13】同分解斜視図
【図14】同図13に示すB−B線における完成状態の断面図
【符号の説明】
【0142】
11 入力装置
11A 操作部
12 部品用ケース
13 信号生成第一手段
14,81 筐体
15,81A 開口部
15A 円形開口穴部
15B 方形開口孔部
15C 保持用開口孔部
15D 段部
16,57 配線板
17 信号生成第二手段
18,58A〜61A,71A〜74A 端子部
19 蓋状カバー
20 平板部
20A 貫通孔
21〜24 L形柱状部
25〜28 水平部
29〜32 凹溝
33〜36 凸部
37,62 絶縁シート
40 トラックボール装置
41 基体部
42 XIローラ
42A〜45A 当接部
43 XIIローラ
44 YIローラ
45 YIIローラ
46〜49 支持部
50 ボール
51〜54 磁石
55 ケース部
55A 円形孔
55B 周囲壁
56 板ばね
56A 突出部
58〜61 磁気センサ
63 プッシュスイッチ
64 外側固定接点
65 ドーム状可動接点
66 中央固定接点
67 絶縁フィルム
71〜74 リードスイッチ
81B 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号生成第一手段を有する入力装置と、上記入力装置を外部から嵌め込んで位置決め装着する開口部を有する筐体と、上記筐体に対して着脱可能で、上記筐体の開口部に装着された際、上記入力装置が固定状態となる蓋状カバーと、上記筐体内に設けられ、上記信号生成第一手段と組み合わされることによって機能する信号生成第二手段とを少なくとも備えた電子機器。
【請求項2】
筐体に着脱可能に取り付けられた蓋状カバーを照光可能とし、入力装置の視認性を向上させた請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
入力装置の信号生成第一手段と筐体内の信号生成第二手段とが非接触状態で組み合わされて機能することによって上記信号生成第二手段から所定出力が得られるようにした請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
信号生成第二手段が筐体内に配された配線板に配設されると共に、その信号生成第二手段上を含む上記配線板上が絶縁シートで覆われた請求項3記載の電子機器。
【請求項5】
入力装置の信号生成第一手段と筐体内の信号生成第二手段とが組み合わされてトラックボール装置が構成される請求項1記載の電子機器。
【請求項6】
請求項5記載の電子機器であって、トラックボール装置の信号生成第一手段として磁気を用い、筐体内の信号生成第二手段を磁気センサとした電子機器。
【請求項7】
請求項5記載の電子機器であって、トラックボール装置の信号生成第一手段として磁気を用い、筐体内の信号生成第二手段がリードスイッチである電子機器。
【請求項8】
請求項5記載の電子機器であって、操作体であるボールが上下動可能で、信号生成第二手段が配設された配線板に、上記ボールの上下動に伴って作動するスイッチが配された電子機器。
【請求項9】
請求項5記載の電子機器であって、操作体であるボールが、その下方に配設された弾性体で部品用ケースに設けられた円形孔に内側から押し当てられるように付勢された電子機器。
【請求項10】
操作体であるボールに所定間隔をあけて、対向する二本ずつの二組が互いに直交するように矩形状に配置されると共に、上記ボールに当接する部分の断面が所定の凹凸部を有する円形状の四本のローラに、信号生成第一手段としての磁石がそれぞれ共廻り可能に固定され、上記ボールへの回転操作時に、上記ボールに当接する上記所定のローラの回転に合わせて上記磁石が回転して磁気を変化させるようにした請求項6または7記載の電子機器。
【請求項11】
信号生成第一手段を有する入力装置と、位置決め装着された上記入力装置の操作体を露出させる開口部を有する筐体と、上記筐体内に設けられ、上記信号生成第一手段と非接触状態で組み合わされることによって機能する信号生成第二手段が配設された配線板と、上記信号生成第二手段上を含む上記配線板上を覆う絶縁シートからなる電子機器。
【請求項12】
絶縁シートが、筐体の主操作面側に対応する配線板の全面を覆う請求項11記載の電子機器。
【請求項13】
入力装置が、筐体の裏面と配線板を覆う絶縁シートとの間で、挟み込まれて位置決めされた請求項11記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−80279(P2007−80279A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−276242(P2006−276242)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【分割の表示】特願2001−204349(P2001−204349)の分割
【原出願日】平成13年7月5日(2001.7.5)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】