説明

電子機器

【課題】フレームレスキーによって構成された操作部を備えた電子機器において、操作部が内側より照らされても個々のキーをユーザが識別可能な電子機器を提供すること。
【解決手段】携帯電話機Kの操作部は、主にキートップ12、プレート部材8、基板9で構成されている。キートップ12は、キー部材1a〜1d,2a〜2e,3a〜3e,4a〜4eからなり、キー部材が4つ接する箇所に光を通過させる通過手段を有する。さらに、プレート部材8は、前記通過手段に向かい合う位置に孔部81を有する。さらに基板9は、孔部81に向かい合う位置にLED91を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部の内側に照明部を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年市場に提供されている携帯電話機は、そのデザイン的観点や携帯性の向上の為に年々小型化される傾向にある。
【0003】
しかしながら、携帯電話機のサイズを現行の寸法のまま縮小すると、例えばLCD(Liquid Crystal Display)で構成される表示部や、キートップなどで構成される操作部のサイズも小さくなってしまう。特に操作部においては、ボタン一つ一つの大きさが小さくなってしまう為に、ユーザの操作性が悪くなるという問題があった。
【0004】
前段落において記載した問題に対応するために、例えば「フレームレスキー」と呼ばれるキー配列の構成が用いられている。従来のキー配列は、キートップとキートップの隙間にキーフロントからなる枠が存在していた。しかしながら、フレームレスキーのキー配列は隣り合うキー部材の間には、キーフロントからなる枠が存在しない。つまりフレームレスキーの構造を用いることにより、キーフロントの枠が存在しない領域の分だけ、それぞれのキートップの大きさを大きくすることが出来る(例えば特許文献1)。これにより、キー操作の操作性は維持されたまま、携帯電話機は小型化されるようになった。
【0005】
他方、携帯電話機に限らず、視認性を高めるために、電話機の操作ボタンは半透明もしくは透明な部材からなり、当該ボタンを筐体内部からLED(Light Emitting Diode)などの照明器具で照らす構成となっているものが多い(例えば特許文献2)。
【0006】
従って、サイズが小さくなった場合においても、操作性及び視認性を向上させるために、上述した2つの技術を組み合わせた携帯電話機が、現在市場に多く投入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007‐124012
【特許文献2】実開平7‐30425
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、「背景技術」の最下段において提示した携帯電話機(以下、従来の携帯電話機と記載する)には、以下に示す課題があった。
【0009】
当該課題とは、従来の携帯電話機を使用しようとするとき、キートップ全体が光ってしまい、個々のキーの識別が難しくなってしまうというものである。以下、図8を用いて詳細に説明する。
【0010】
図8(a)は、明るいところで従来の携帯電話機1000の様子を示したものである。この従来の携帯電話機は、表示部1002とフレームレスキーで構成された操作部1001を備えている。当該操作部1001は、透明または半透明の材質の樹脂等からなる。そして、従来の携帯電話機の内部には、筐体内側から操作部を照らすLED等の照明部が配されている。また、携帯電話機1000の周囲の明るさを検知し、当該周囲の明るさが閾値より下回ったとき、前記照明部を光らせる不図示の照明点灯手段も当該携帯電話機1000は備えている。
【0011】
図8(a)で示すように、明るいところに存在する従来の携帯電話機は、「1」「2」「3」「4」「5」「6」「7」「8」「9」「0」「#」「*」の各数字または文字が、境目があるように見えるため、個々のどのキーに割り当てられているか直ぐに視認可能な構成となっている。
【0012】
図8(b)は、前記照明点灯手段が作動するほど暗いところで、従来の携帯電話機1000を使用したときの様子を示した図である。このとき、操作部1001は、筐体内部に配されている照明部によって内側より照射される。しかしながら、当該携帯電話機1000の操作部1001はフレームレスキーで構成されている。従って、個々のキーの間は、フロントケース等で区切られていない。このような状況下で、筐体内部の照明部が光ると、図8(b)に示すように、操作部1001全体が光って見え、キーの境目が見えなくなってしまう。これは、個々のキーの間に照明部からの光を遮光するもの(例えば、フロントケースに一体成型された樹脂パーツ等)が無いために生じる現象である。従って、図8(b)の状況下において、ユーザは個々のキーを区別して識別することが困難となり、ユーザの利便性に欠ける。
【0013】
本発明の目的は、フレームレスキーによって構成された操作部を備えた電子機器において、操作部が内側より照らされても個々のキーをユーザが識別可能な電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る電子機器は、複数のキー部材がとなり合っているフレームレスキー構造のキートップを有した電子機器であって、当該電子機器内に備えられた照明部と、前記キートップと前記照明部の間に筐体の厚み方向に挟まれて配されるプレート部材と、を備え、前記キートップは、前記複数のキー部材間に前記照明部からの光を通す第1の通過手段を有し、前記プレート部材は、前記キートップの裏側に向かい合うように配され、前記第1の通過手段へ前記照明部からの光を通過させるための第2の通過手段を有する、ことを特徴とする。
【0015】
好適には、前記キートップは、略長方形の形状をした前記複数のキー部材が並べられることにより形成され、前記第2の通過手段は、前記複数のキー部材が4つ接する箇所と向かい合う箇所に設けられた孔部であることを特徴とする。
【0016】
好適には、前記フレームレスキーを構成する前記複数のキー部材は、互いに接続されていないことを特徴とする。
【0017】
好適には、前記キートップと前記キーフレームの間に光を透過及び拡散させる透過拡散部が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、フレームレスキーによって構成された操作部を備えた電子機器において、操作部が内側より照らされても個々のキーをユーザが識別可能な電子機器を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態である携帯電話機の斜視図である。
【図2】第2筐体の分解斜視図である。
【図3】(a)第2筐体のキートップ部分の正面図である。(b)(a)の部分の分解斜視図である。(c)(a)において点線で囲った箇所の拡大図である。
【図4】第2筐体のキートップ部分の正面図である。
【図5】キートップの分解図である。
【図6】(a)第2筐体のキートップ部分の正面図である。(b)図6(a)に示されたY‐Y方向におけるキートップの断面図である。
【図7】図1におけるX‐X方向における断面図である。
【図8】従来の携帯電話機を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明に係る電子機器の一実施形態について説明する。なお、以下の説明において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0021】
本実施形態においては、本発明の電子機器の一例として携帯電話機を挙げて説明する。図1は、本実施形態の携帯電話機Kの斜視図である。この図に示すように、本実施形態の携帯電話機Kは、ディスプレイ4やスピーカ5を備える第1筐体1と、複数のキー部材1a〜1d,2a〜2e,3a〜3e,4a〜4eからなるキートップが露出して配置される第2筐体2とがヒンジ部3を介して接続されており、必要に応じて(例えば、待機状態)折り畳める構造となっている。また、本実施形態の携帯電話機Kは、図1に示すように、キートップ2a〜2e,3a〜3e,4a〜4e同士が隣接して配置されるフレームレスキー構造を採用している。このため、キートップ2a〜2e,3a〜3e,4a〜4e間には、筐体の一部が各キートップ2a〜2e,3a〜3e,4a〜4eを支持するための枠体として配置されていない。
【0022】
図2は第2筐体2の分解斜視図である。
【0023】
第2筐体2は、その筐体厚さ方向に、フロントケース10、キートップ12、プレート部材8、ラバーシート7、基板9、リアケース11の順に重なって配されている。
【0024】
フロントケース10は、第2筐体2の外観をなす部材の一つである。フロントケース10は、当該携帯電話機Kが折り畳まれたとき、ディスプレイ4と接触する部分である。また、キートップを第2筐体2の外側に露出させるために、フロントケース10は、その略中央に大きな開口部を有している。また、フロントケース10は、第1筐体と接続する為のヒンジ部3を有している。
【0025】
リアケース11は、第2筐体2の外観をなす部材の一つである。前述したフロントケース10と組み合わされることによって、リアケース11は第2筐体2の外観を構成する。リアケース11は、一面のみが開口した筐体の形状をしている。リアケース11は、前述した開口した部分でフロントケース10と組み立てられることによって、第2筐体2の外観を構成している。また、リアケース11は、外界へ着信を伝える為のスピーカ等、数種類の部品を備えている。
【0026】
キートップ12は、キー部材1a〜1d,2a〜2e,3a〜3e,4a〜4eから構成される。キー部材1a〜1d,2a〜2e,3a〜3e,4a〜4eのうち、キー部材2a〜2e,3a〜3e,4a〜4eがテンキー、発呼キー及び電源キーなどを構成する。また、キー部材1aは、押下されることによって、例えばディスプレイ4に選択表示された内容をユーザへ決定させる決定キーとして用いられる。また、キー部材1bは、例えばディスプレイ4に複数の選択項目が表示されたとき、上下方向または左右方向に押下されることによって、前記複数の選択項目をユーザへ選択させることが可能な選択キーである。キー部材1c及びキー部材1dは、押下されることによって、例えばディスプレイ4が表示する画面の中に描かれた所定の操作をユーザへ選択及び決定させるソフトキーとして作用する。
【0027】
また、キー部材1a〜1d,2a〜2e,3a〜3e,4a〜4eは、例えばポリカーボネイトやアクリルなどの樹脂からなる。また、前述したように複数のキー部材1a〜1d,2a〜2e,3a〜3e,4a〜4eは、それらが隣り合う箇所に、例えばフロントケース10から延びて設けられる枠による仕切りが設けられない構造となっている。
【0028】
また、複数のキー部材1a〜1d,2a〜2e,3a〜3e,4a〜4eは、一つ一つが繋がっていない別々の部材である。そして、この複数のキー部材のうち、キー部材2a〜2e,3a〜3e,4a〜4eは、それぞれが角の丸い長方形の形状をしている。また、キー部材1aは長方形の形状をしている。キー部材1bは、キー部材1aを取り囲んだ四角い枠の形状をしている。また、キー部材1c及びキー部材1dは、それぞれコの字の
形状をしている。そしてキー部材1cとキー部材1dは、二つ組み合わされることによって、一つの四角い枠の形状を構成し、キー部材1bを取り囲むように配される。
【0029】
これら別々の部材であるキー部材1a〜1d,2a〜2e,3a〜3e,4a〜4eがフロントケース10に平行な方向に敷き詰められるように並んで配されることによってキートップ12を構成する。これについては、後に詳述する。
【0030】
プレート部材8は、キートップ12とラバーシート7の間に配される部材である。プレート部材8は、例えば金属製である。具体的には、プレート部材8の原材料は、ステンレスまたはチタン等の軽くて強度の高い金属が用いられることが好ましい。また、プレート部材8の厚みは0.15mmほどである。
【0031】
プレート部材8は、開口部82を備えている。開口部82は、ラバーシート7に備えられた押し子とキー部材1a〜1d,2a〜2e,3a〜3e,4a〜4eに向かい合うようにプレート部材8に配される。押し子とは、ラバーシート7に一体成型された突起のことで、ドームスイッチ92の頂点と接するようにラバーシート7に配される。従って、図2においては、図示されていない。
【0032】
従って、プレート部材8はキートップ12とラバーシート7の間に配されるものの、キートップ12から加えられた押下をラバーシート7へ伝達させることが可能である。ゆえに、ラバーシート7に備えられた不図示の押し子が基板9に備えられたドームスイッチ92へキートップ12の押下を伝えることが可能となる。
【0033】
プレート部材8は更に、孔部81を備えている。当該孔部81は、前述した開口部82に比べ小さい孔である。具体的には、テンキーに向かい合うように配された略長方形の開口部82は、長辺が約10mm、短辺が約6mmであるのに対し、孔部81の直径は約0.5mmである。図3(a)に示すとおり、孔部81は、キー部材2a、2b、3a、3bが接触する点Aと向かい合うように孔部81は配される。また、キー部材2b、2c、3b、3cが接触する点Bに向かい合う箇所にも孔部81は配される。また、キー部材2c、2d、3c、3dが接触する点Cに向かい合う箇所にも孔部81は配される。また、キー部材2d、2e、3d、3eが接触する点Dに向かい合う箇所にも孔部81は配される。また、キー部材3a、3b、4a、4bが接触する点Eに向かい合う箇所にも孔部81は配される。また、キー部材3b、3c、4b、4cが接触する点Fに向かい合う箇所にも孔部81は配される。また、キー部材3c、3d、4c、4dが接触する点Gに向かい合う箇所にも孔部81は配される。また、キー部材3d、3e、4d、4eが接触する点Hに向かい合う箇所にも孔部81は配される。つまり、孔部81は合計で8つ、プレート部材8に設けられる。
【0034】
ラバーシート7(特許請求の範囲における「透過拡散部」)は、基板9とプレート部材8の間に備えられる。ラバーシート7は、可撓性を有するシリコンゴムなどからなる。また、ラバーシート7は、透明または半透明である。従って、ラバーシート7は光を透過させることが可能である。また、ラバーシート7は、自身に対して入射された光量の一部を反射させることも可能である。ラバーシート7は、キー部材1a〜1d,2a〜2e,3a〜3e,4a〜4eが押下されると撓む。そして、ラバーシート7の裏側(リアケース11側)に備えられた押し子が、基板9の備えるドームスイッチ92の頂上を押下する。
【0035】
基板9は、プレート部材8とリアケース11の間に挟まれるように配される。基板9は、コンピュータープログラムを動作させる制御部や、コンピュータープログラムを記憶する記憶部などの電子部品が配されている。
【0036】
基板9は、ドームスイッチ92を備えている。ドームスイッチ92は、外界から押下されると電気信号を発生させる。当該電気信号を制御部が適宜処理することによって、ドームスイッチ92は、外部からの押下による入力を、携帯電話機Kの動作に反映させることを可能とする。
【0037】
基板9は更にLED91(特許請求の範囲における照明部)を複数個有している。LEDとはLight Emitting Diodeの略で電圧を印加することにより発光する素子である。なお、本実施形態においては、照明部としてLEDを用いているものの、電気によって発光する素子であれば照明部として利用可能である。例えば、有機EL(Electro−Luminescence)などが例として挙げられる。
【0038】
LED91は、プレート部材8に設けられた少なくとも孔部81と向かい合う位置に設けられる。従って、点A〜点Hの合計8箇所にLEDは設けられる。なお、当該LED91は点A〜点H以外の箇所に更に備えられていてもよい。
【0039】
基板9は更に、LED91、ドームスイッチ92が配されている面に白色シート93が備えられている。白色シート93が果たす役割については後に詳述する。
【0040】
図3(a)は、キー部材2a〜2e,3a〜3e,4a〜4eの正面図である。前述したように、点A〜点Hは孔部81と向かい合うように配される。また、孔部81はLED91と向かい合うように配される。従って、点A〜点H、孔部81及びLED91は、互いに第2筐体2の厚さ方向に一直線に並ぶこととなる。その様子を示した図が、図3(b)である。なお、図を見やすくするために、本来ならばキートップ12とプレート部材8の間に存在するラバーシート7を省いて本図は作成されている。矢印で示したようにLED91、孔部81及び点A〜点Hが一直線上に並んでいる。
【0041】
図3(c)は、図3(a)において、点線で囲んだ点Aの付近を拡大した図である。キー部材2a、2b、3a、3bは略長方形の形状をしている。しかしながら、図3(c)に示したとおり、点Aの部分は角に丸みがつけられている。従って、図中のLに示すように、キー部材2a、2b、3a、3bの角が直角である場合よりも、点Aには、より大きな隙間が生じる。本実施形態においてはLの長さは約0.46mmである。なお、図では点Aの拡大図のみを示したものの、点B〜点Hにおいても同じ形状をしている。
【0042】
図4(a)は、LED91が点灯したときのキートップ12の様子を示した図である。図中に示された星型の形状は、LED91から放射された光を示している。図中に示されたとおり、LED91の光は、孔部81と点A〜点Hを通過して外部へ放射される。従って、LED91は、点A〜点Hの箇所を局部的に光らせる。
【0043】
図4(b)は、暗い場所における、携帯電話機Kのキートップ12の様子を示した図である。図8を用いて示したように、暗い場所においてキートップ12の裏側(筐体内側)の照明が点灯すると、従来の携帯電話機ではキートップ12全体が光ってしまう為に、キー部材一つ一つの視認性が悪くなってしまう。しかしながら、本発明による携帯電話機Kのキートップ12は、キー部材2a〜2e,3a〜3e,4a〜4eが構成する4つ辻の箇所である点A〜点Hが局部的に光るために、当該局部的な光が複数のキー部材の境目の目安となる。従って、図中破線で示したように、ユーザはキー部材の境目を見えないながらも認識することが可能となる。よって、暗い場所においてもユーザは快適にキー操作を行うことが可能となる。
【0044】
図5はキートップ12の分解図である。キー部材1a〜1d,2a〜2e,3a〜3e,4a〜4eは、図中に示すように互いに接続されて形成されておらず、一つ一つバラバラに形成されている。(なお、特許請求の範囲における「複数のキー部材」は、図5に示すようにキー部材が一つ一つバラバラに形成されているという場合と、複数のキー部材が連続している場合も含む。すなわち、「複数のキー部材」とは、バラバラ及び連続の双方を含み、ユーザによって押下されるキー部材が複数個あるという意味である。)
このように、キー部材1a〜1d,2a〜2e,3a〜3e,4a〜4e部材がバラバラになっていることで、キートップ12は、点A〜点Hの所定の点の場所以外にも、例えばキー部材2aと3aの境界線、3aと4aの境界線にも隙間を生じさせることが可能となる。この隙間は、例えば点Aの周辺において説明をすると、図3(c)に示した隙間Mと隙間Nのことである。本実施形態において、この隙間の大きさはM、Nともに約0.15mmである。
【0045】
従って、点A〜点Hにおいて局部的にLED91の光が外界へ放射されるだけでなく、隙間M,Nからも光が漏れて放射される。よって、図6の太線で示すように、LED91の光がキー部材1a〜1d,2a〜2e,3a〜3e,4a〜4eの隙間全てから放射されるようになるために、キー部材一つ一つの視認性がより向上する。
【0046】
また、キー部材1a〜1d,2a〜2e,3a〜3e,4a〜4eが一つ一つバラバラに形成されていることで次に述べる効果もある。図6(b)を用いて当該効果を説明する。
【0047】
図6(b)は、図6(a)に示されたY‐Y方向の断面図である。
【0048】
前述した効果とは、携帯電話機Kの誤認識を防ぎ、ユーザの操作性を向上させるというものである。当該効果を、図6(b)を用いて詳細に説明する。
【0049】
もし、キートップが連続に形成されていたとすると、「5」キーの周りにある「1」「2」「3」「4」「6」「7」「8」「9」のキーも連動して上下運動してしまう(図6(b)上段)。従って、「1」「2」「3」「4」「6」「7」「8」「9」も、それらの直下にあるラバーシート7を押下してしまう為に、「1」「2」「3」「4」「6」「7」「8」「9」に対応するドームスイッチ92が押下されてしまう恐れがあった。よって、「1」「2」「3」「4」「6」「7」「8」「9」が押されたと、携帯電話機Kは誤認識を起こしてしまい、ユーザの操作性が悪くなる恐れがあった。
【0050】
しかしながら、本発明は、前述したようにキー部材1a〜1d,2a〜2e,3a〜3e,4a〜4eがバラバラに存在しているために、「1」「2」「3」「4」「6」「7」「8」「9」は、「5」が押下されることに連動して動くことはない(図6(b)下段)。従って、前述したような、連続的に複数のキー部材が形成されているときに生じる問題は生じなくなる。
【0051】
図7(a)は、図1において示したX‐X方向の断面図である。図7(b)は、図7(a)において破線で囲んだ箇所を拡大した図である。具体的には、点Dと点Hを通り、キートップ12に垂直な平面で携帯電話機Kを切断したときの断面図である。
【0052】
図7(b)において示したように、基板9に配されたLED91から発射された光は透過性を有するラバーシート7、孔部81及び点Dを通過して外へ放射される(破線矢印Y)。同時に、LED91から放射された光は、点Dから放射されないものもある(破線矢印Z)。これら点Dから放射されない光Zは、プレート部材8と白色シート93によって反射されてラバーシート7と基板9の間を第2筐体2の横手方向及び長手方向へと伝播する。そして光Zは、自身を放射した以外のLED91が配されている箇所まで到達し(例えば点Hの直下にあるLED91)、前記LED91と向かい合っているキートップ12の隙間から外界へ放射される。つまり、LED91から放射された光のうち、向かい合うキートップ12の隙間以外の方向に放射されてしまった光をも、外へ放射させることが可能となるため、LED91から放射された光が第2筐体2の内部に閉じ込められることがない。従って、LED91から放射された光を無駄にしない。従って、より効率的に光を利用できるという効果が生じる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳説したが、具体的な構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において設計変更等が可能である。
【0054】
例えば、上記実施形態においては、本発明の電子機器の一例として、携帯電話機を挙げて説明した。しかしながら、本発明は、携帯電話機に限定されるものではなく、例えばパソコンのキーボードなどの押すためのキーを複数備える電子機器であれば適用することが可能である。
【0055】
また、上記実施形態の携帯電話機は折り畳み型のものであったが、本発明はヒンジ部3を備えないストレート型の携帯電話機にも適用可能である。
【0056】
また、本実施形態においてプレート部材8は、金属製の板金からなると説明したものの、本発明は当該材料でなくとも、その効果を発揮することが可能である。例えば樹脂製の透明な板に孔部81に該当する箇所以外の面に塗装が施されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0057】
K…携帯電話機
1…第1筐体
2…第2筐体
7…ラバーシート
8…プレート部材
9…基板
10…フロントケース
11…リアケース
1a〜1d,2a〜2e,3a〜3e,4a〜4e…キー部材
81…孔部
82…開口部
91…LED
92…ドームスイッチ
93…白色シート



【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
当該筐体の表面に配列された複数のキー部材と、
前記筐体内に備えられた照明部と、
を備え、
前記照明部からの光を、前記複数のキー部材のうち隣り合うキー部材の間から前記表面に放出させるとともに、前記照明部からの光を、前記キー部材の表面から放出させない構造をさらに有する
電子機器。
【請求項2】
前記複数のキー部材がマトリックス状に配置された4つのキー部材を備え、
前記照明部からの光を、隣り合う前記キー部材の間で且つ前記4つのキー部材の隅部により囲まれる位置から前記表面に放出させる
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記複数のキー部材は、フレームレスキー構造により配列される
請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記キー部材と前記照明部の間に、前記筐体の厚み方向に挟まれて配されるプレート部材をさらに備え、
前記プレート部材は、前記照明部から前記キー部材の間に向かう光を通過させる通過手段を有する
請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記キー部材と前記照明部の間に、前記筐体の厚み方向に挟まれて配され、透光性を有するラバーシートをさらに備える
請求項1乃至4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
筐体と、
当該筐体の表面に配列された複数のキー部材と、
前記筐体内に備えられた照明部と、
を備え、
前記照明部からの光を、前記複数のキー部材のうち隣り合うキー部材の間から前記表面に放出させるとともに、前記照明部からの光を、前記キー部材における外周部の表面から放出させない構造をさらに有する
電子機器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−170114(P2012−170114A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−88777(P2012−88777)
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【分割の表示】特願2007−251918(P2007−251918)の分割
【原出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】