説明

電子部品および電子機器ならびにこれらの製造方法。

【課題】 光硬化樹脂43および光硬化樹脂43に分散した無機粒子44を有する接着部材4に生じ得る点剥がれを抑制する。
【解決手段】 無機粒子44の体積基準の粒子径分布において、分布累積値が50%となる粒子径をD50、分布累積値が90%となる粒子径をD90、接着部材4の厚みをTとして、D50≧0.5μm、D90≦5.0μm、D90/T≦0.4および5μm≦T≦40μmを満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスのパッケージング技術および実装技術に関する。
【背景技術】
【0002】
光電変換素子などの電子デバイスをパッケージ化して電子部品とし、この電子部品を実装して電子機器に組み込むことができる。
特許文献1には、透光性キャップを接合部によって外囲器に固定した固体撮像装置が開示されている。ここで、接合部は0.5〜10μm前後のガラスビーズが混入された紫外線硬化性接着剤により形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−175474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような固体撮像装置を用いて電子機器を製造すると、紫外線硬化性接着剤により形成された接合部に白点が多数観察される場合がある。本発明者らは、白点に対応する箇所では樹脂とガラスビーズとの間に剥がれが生じていることを見出し、この剥がれを「点剥がれ」と名付けた。この「点剥がれ」は、電子部品の信頼性の低下を招く可能性がある。そこで本発明は、「点剥がれ」の発生が抑制された電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための第1の発明は、電子デバイスと、前記電子デバイスに対向する対向部材と、前記電子デバイスと前記対向部材を相互に固定する固定部材と、を備え、前記対向部材は、前記対向部材と前記固定部材との間に配置された、光硬化樹脂および前記光硬化樹脂に分散した無機粒子を有する接着部材によって、前記固定部材に接着されている電子部品、または、電子デバイスと、前記電子デバイスに対向する対向部材と、を備え、前記対向部材は、前記電子デバイスと前記対向部材との間に配置された、光硬化樹脂および前記光硬化樹脂に分散した無機粒子を有する接着部材によって、前記電子デバイスに接着されている電子部品において、前記無機粒子の体積基準の粒子径分布において、分布累積値が50%となる粒子径をD50、分布累積値が90%となる粒子径をD90、前記接着部材の厚みをTとして、下記の条件(a),(b),(c)および(d)
(a) D50≧0.5μm
(b) D90≦5.0μm
(c) D90/T≦0.4
(d) 5μm≦T≦40μm
を満たすことを特徴とする。
【0006】
また、上記課題を解決するための第2の発明は、電子デバイスと、前記電子デバイスに対向する対向部材とを備える電子部品の製造方法であって、電子デバイスと対向部材とを相互に固定するための固定部材と前記対向部材との間に、光硬化性の液体組成物および前記液体組成物に分散した無機粒子を含有する接着剤が介在した状態で、前記対向部材を介して前記接着剤を露光して前記液体組成物を光硬化させて、前記対向部材を前記固定部材に接着する接着部材を形成する第1の工程、または、電子デバイスと前記電子デバイスに対向した対向部材との間に、光硬化性の液体組成物および前記液体組成物に分散した多数の無機粒子を含有する接着剤が介在した状態で、前記対向部材を介して前記接着剤を露光して前記液体組成物を光硬化させて、前記対向部材を前記電子デバイスに接着する第2の工程を有し、前記無機粒子の体積基準の粒子径分布において、分布累積値が50%となる粒子径をD50、分布累積値が90%となる粒子径をD90、前記接着部材の厚みをTとして、下記の条件(a),(b),(c)および(d)
(a) D50≧0.5μm
(b) D90≦5.0μm
(c) D90/T≦0.4
(d) 5μm≦T≦40μm
を満たすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、「点剥がれ」の発生が抑制された電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】(a)電子部品の第1実施形態の一例の平面模式図、(b)電子部品の第1実施形態の一例の断面模式図、
【図2】接着剤および接着部材を説明するための模式図。
【図3】(a)電子部品の第2実施形態の一例の断面模式図、(b)電子部品の第3実施形態の一例の断面模式図、(c)電子部品の第4実施形態の一例の断面模式図。
【図4】(a)電子部品の第5実施形態の第1例の平面模式図、(b)電子部品の第5実施形態の第1例の断面模式図、(b)電子部品の第5実施形態の第2例の断面模式図。
【図5】(a)電子部品の第6実施形態の第1例の断面模式図、(b)電子部品の第6実施形態の第2例の断面模式図。
【図6】電子機器の一例の模式図。
【図7】実施例の粒子径分布を説明するための模式図。
【図8】点剥がれを説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、図1を用いて電子部品100の第1実施形態の一例を説明する。図1(a)は電子部品100の平面模式図、図1(b)は図1(a)のA−B線における断面模式図である。電子部品100は、電子デバイス1と、対向部材2と、固定部材3とを備えている。
【0010】
本例の電子デバイス1は、CMOSセンサやCCDセンサ等の光電変換素子であり、撮像素子、測距素子(焦点検出素子とも言う)および測光素子の少なくともいずれかとして用いることができる。なお、電子デバイス1の種類は光電変換素子に限定されないが、光を利用する電子デバイスを用いる場合に本発明は好適である。光を利用する電子デバイスとしては、光電変換素子のような受光素子に限らず、発光ダイオードやレーザーダイオードのような発光素子が挙げられる。反射型液晶パネルやDMD(Digital Mirror Device)のような光反射素子や透過型液晶パネルのような光透過素子も挙げられる。これら発光素子や光反射素子、光透過素子は、表示素子として用いることができる。光を利用する電子デバイスとして、他には、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)も挙げられる。
【0011】
対向部材2は電子デバイス1に対向して配置されている。対向部材2が十分な剛性を有することにより、電子デバイス1は対向部材2によって、異物の付着や損傷から保護されている。対向部材2は電子デバイス1から距離Gだけ離れている。詳細には、電子デバイス1の表面110と対向部材2の下面220との距離が距離Gである。対向部材2の下面220は対向部材2の2主面の内の電子デバイス1との対向面であり、対向部材2の上面210は対向部材2の2つ主面の内の対向面とは反対の面つまり非対向面である。電子デバイス1と対向部材2との間には、空気あるいは不活性ガス等の気体で満たされた、電子デバイス1と対向部材2に接する空間21が位置している。対向部材2は、詳細は後述するが、少なくとも、接着部材4を形成する際の露光に用いる光(露光光)の波長、すなわち露光波長に対して十分に高い光透過性を有している。また、電子デバイス1が光を利用する場合、対向部材2は利用する光の波長に対しても十分に高い光透過性を有する透明部材である。例えば、対向部材2はガラスや石英等の無機材料や樹脂等の有機材料からなる。透明部材としての対向部材2の厚みは、典型的には0.1mm以上1mm以下である。本例の電子デバイス1は光電変換素子であるため、対向部材2は光電変換素子で受光して信号電荷を生成可能な光(信号光)の波長に対しても十分に高い光透過性を有している。典型的な光電変換素子で利用する光は、0.4μm以上0.8μm以下の波長を有する。本例では、対向部材2は、対向部材2の上面210の全体が下面220の全体と平行な平板状であるが、凸レンズ等のレンズ形状を有していてもよい。
【0012】
電子デバイス1は接合部材5によって固定部材3に接合されている。本例では、接合部材5は電子デバイス1と固定部材3との間に配置されているが、電子デバイス1の縁を覆うように配置することもできる。接合部材5はボンディングペーストやボンディングテープなどを用いることができる。固定部材3の大部分が基体30で構成されている。基体30の材料としてはセラミックやプラスチック、金属、ガラスエポキシなどを用いることができる。。電子デバイス1が可視光を受光する光電変換素子である場合、基体30は青色、紫色または、黒色にしておくことよい。
【0013】
固定部材3は複数の内部端子31と、複数の内部端子31の各々に内部配線32を介して電気的に接続された複数の外部端子33とを有している。電子デバイス1は電気信号の入力または出力のための複数の電極13を有しており、電極13と内部端子31とは、接続部材6を介して電気的に接続されている。本例では接続部材6はボンディングワイヤであり、電極13と内部端子31との接続方法がワイヤボンディングである例を挙げているが、電極13と内部端子31との接続はフリップチップボンディングであってもよい。
【0014】
本例では、固定部材3はその内面310で構成された凹部300を有しており、凹部300内に電子デバイス1が収容され、電子デバイス1の裏面120が接合部材5によって凹部300の底面に接着されている。凹部300の側面は、電子デバイス1の側面と空隙を介して対向している。内部端子31は固定部材3の内面310に、凹部300に露出するように設けられている。固定部材3の内面310と外面320はそれぞれ上面330に連続している。外部端子33は固定部材3の外面320に露出するように設けられている。本実施形態の複数の外部端子33は、電子デバイス1と対向部材2の少なくとも一方からの正射影の領域内に少なくとも設けられている。具体的には、外部端子33は基体30に対して、凹部300の底面の裏面に2次元状に設けられている。そして、図1(b)に示すように、複数の外部端子33の内の一部の外部端子33は、電子デバイス1からの正射影の領域外かつ対向部材2からの正射影の領域内に位置している。複数の外部端子33の内の残りの一部は、電子デバイス1からの正射影の領域内かつ対向部材2からの正射影の領域内に位置している。
【0015】
本例の外部端子33はそれぞれ平面状であり、いわゆるLGA(Land Grid Array)構造を有しているが、外部端子33としてピンを用いたPGA(Pin Grid Array)構造としてもよい。また、LGA構造の外部端子33に、後述する導電部材7として用いるハンダボールを固着したBGA(Ball Grid Array)構造としてもよい。
【0016】
接着部材4は対向部材2と固定部材3との間に配置されており、対向部材2は接着部材4によって固定部材3に接着されている。詳細には、接着部材4は対向部材2の下面220と固定部材3の上面330との間に設けられており、対向部材2の下面220の周縁部と接着部材4とが接着しており、固定部材3の上面330と接着部材4とが接着している。つまり、対向部材2の下面220が、対向部材2の接着部材4との接着面であり、固定部材3の上面330が固定部材3の接着部材4との接着面である。対向部材2は固定部材3から、接着部材4の厚みTに相当する距離だけ離れて配置されている。詳細には、固定部材3の上面330と対向部材2の下面220との距離が、接着部材4の厚みTと等しい。接着部材4の幅Wが大きいほど、対向部材2と固定部材3との接着性は向上する。以上のような構成により、固定部材3は、電子デバイス1と対向部材2とを相互に固定している。
【0017】
図1(b)の線Eで囲んだ部分の拡大図である図2(d)を用いて、接着部材4について詳細に説明する。接着部材4は固体である光硬化樹脂43と光硬化樹脂43に分散した固体である多数の無機粒子44を含む。無機粒子44は接着部材4中で充填材(フィラー)として機能する。
【0018】
無機粒子44の体積基準の粒子径分布において、分布累積値が50%となる粒子径をD50として、D50は0.5μm以上((a) D50≧0.5μm)である。無機粒子44の体積基準の粒子径分布において、分布累積値が90%となる粒子径をD90として、D90は5.0μm以下((b) D90≦5.0μm)である。さらに、D90とTの比D90/Tは0.4以下((c) D90/T≦0.4)である。接着部材4の厚みTは、5μm以上であり40μm以下である((d) 5.0μm≦T≦40μm)。接着部材4が、これら(a)、(b)、(c)および(d)の条件を満たすことで、接着部材4の「点剥がれ」を抑制することができる。点剥がれとは、詳しくは後述するが、図8(b)のように、光硬化樹脂43と無機粒子44との間に隙間45が生じているような状態を指す。点剥がれの評価は、目安として、接着部材4の幅方向に直交する長さ方向において接着部材4の幅Wに等しい長さの領域、すなわち、W×Wの略正方形の評価領域を対象にすることができる。そして、点剥がれが抑制された状態とは、この評価領域において、点剥がれが遍在している部分がない状態である。なお、対向部材2と接着部材4の光硬化樹脂43との間や、固定部材3と接着部材4の光硬化樹脂43との間など、接着面(下面220、上面330)の近傍に、隙間が生じている状態を「面剥がれ」と呼んで、点剥がれとは区別する。また、点剥がれは、光硬化樹脂43内に生じ得る気泡とも区別される。
【0019】
無機粒子44の体積基準の粒子径分布において、分布累積値が10%となる粒子径をD10として、D10は0.5μm以上であること((e) D10≧0.5μm)が好ましい。D50は0.9μm以上1.8μm以下であること((f) 0.9μm≦D10≦1.8μm)も好ましい。D90は1.8μm以上3.5μm以下であること((g) 1.8μm≦D90≦3.5μm)も好ましい。無機粒子44の体積基準の粒子径分布において、分布累積値が99.7%となる粒子径をD3δとして、D3δは10μm以下((h) D3δ≦10μm)であることも好ましい。無機粒子44の体積基準の粒子径分布において、分布累積値が100%となる粒子径をDMAXとして、DMAXは15μm以下((i) DMAX≦15μm)であることも好ましい。これら(e)、(f)、(g)(h)および(i)の少なくともいずれかの条件を満たすことで、接着部材4の「点剥がれ」を一層抑制することができる。(e)、(f)、(g)、(h)および(i)の条件の内、より多くの条件を満たすほど、「点剥がれ」を好適に抑制することができる。
【0020】
無機粒子44の粒子径は日本工業規格のJIS Z8825−1で定義される、レーザー回折法を用いて求められる球相当径である。分布累積値は、粒子径の小さい方から積算される。すなわち、D90が5.0μm以下であることは、粒子径が5.0μm以下である粒子が、全粒子の総体積の90%を占めることを意味する。なお、無機粒子44の各々が同じ密度を有する場合には、体積基準の粒子径分布と重量基準の粒子径分布は同じと考えてく、その場合には、よい。つまり、D90が5.0μm以下であることは、粒子径が5.0μm以下である粒子のみによって、全粒子の総重量の90%を占めることも意味する。なお、D50は中位径やメジアン径とも言われ、DMAXは最大粒子径に一致する。典型的には、無機粒子44の粒子径分布は正規分布であり、分布累積値が25%となる粒子径をD25、分布累積値が75%となる粒子径をD75として、平均粒子径DAVおよび粒子径の最頻値DPEAKは、D25より大きく、D75よりも小さい。接着部材4中の無機粒子44の粒子径は、例えば、薬液で光硬化樹脂43を溶解することにより、光硬化樹脂43内から無機粒子44を取り出して計測することができる。なお、本発明では、粒子径の測定値が10.00μm未満の場合は、小数点第2位を四捨五入して記載し、粒子径の測定値が10.00μm以上の場合には、小数点第1位を四捨五入して記載している。接着部材4の厚みTについてはすべて小数点第1位を四捨五入して記載している。
【0021】
無機粒子44の材料としては、アルミナ、酸化アンチモン、フェライトなどの金属酸化物粒子、或いはタルク、シリカ、マイカ、カオリン、ゼオライトなどの硅酸塩類の粒子、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどの粒子を用いることができる。無機粒子44に含まれる粒子の材料の種類は、1種類でもよいし2種類以上でもよい。無機粒子44の形状は球状であってもよいが、図2(d)に示す様に薄片状である場合に、本発明は特に好適な効果を奏する。かかる薄片状の無機粒子44は典型的には母材を粉砕することによって得ることができる。ただし、無機粒子44が、粉砕されていることは必須ではなく、母材を粉砕することによって得られる形状と同様の形状であれば、無機粒子44の形状を薄片状とみなすことができる。
【0022】
本例の接着部材4は、空間21を取り囲む枠形状を成している。その結果、対向部材2と固定部材3とが接着部材4により気密に接着されて、対向部材2と固定部材3で気密容器を成している。つまり、本実施形態の空間21は気密空間である。気密容器内に電子デバイス1が位置していることにより、空間21への電子部品100の外部からの湿気の侵入が抑制され、電子デバイス1の性能の低下を抑制できる。また、電子デバイス1の表面110や対向部材2の下面220への異物の付着が抑制される。
【0023】
点剥がれは、枠形状の接着部材4の全周に渡って抑制されていることが望ましい。本例では接着部材4の内周及び外周は略矩形を成している。そして、図1(a)に示すように接着部材4の内周は縦の長さがP、横の長さがPであり、内周の全周の長さをP(P=2(P+P))である。したがって、接着部材4の、4+(P/W)個の評価領域のすべてにおいて、点剥がれが遍在している部分がないことが望ましい。
【0024】
また、接着部材4が枠形状である場合、対向部材2の下面220における空間21との接触面(接着面よりも内側の部分)の面積S1が、対向部材2の下面220における接着部材4との接着面の面積S4よりも大きい場合に、本発明は優れた効果を奏する。S1がS4の2倍以上である場合には顕著であり、5倍以上であるとさらに顕著である。本例では、面積S1をP×Pと近似することができ、面積S4を2W(P+P+2W)と近似することができ、P×P>2W(P+P+2W)を満たす様に設定されている。空間21の体積はG×P×Pと近似することができる。
【0025】
接着部材4の厚みTが小さいほど、また、接着部材4の幅Wが大きいほど、電子部品100の気密性は向上する。そのため気密性向上の観点では、接着部材4の幅Wが厚みTより大きいこと(W>T)が好ましく、W≧10×Tであることがより好ましい。電子部品100に気密性を求めない場合には、接着部材4が空間21を取り囲む必要はなく、接着部材4を上面330と対向部材2の4隅にのみ設けてもよいし、上面330の2辺と対向部材2の2辺の間にのみ設けてもよい。なお、例えば接着部材4が完全に空間21を取り囲まずに僅かに切れ目があったり、対向部材2や固定部材3に外部との連通穴があったりしても、それらのコンダクタンスが十分に小さければ、空間21を気密空間と云うことができる。具体的には、接着部材4の形成後に空間21の温度が常温(20℃)よりも高くなった場合に、空間21の圧力(内圧)に10%以上の上昇があれば、空間21は気密空間であると云える。接着部材4の形成後とは、電子部品100の製造時ならびに後述する電子機器の製造時および使用時の少なくともいずれかの時点である。接着部材4の接着性向上の観点では、Tに関わらず、W≧250μmとすることが好ましく、W≧500μmとすることがより好ましい。接着部材4の幅Wの上限は特に限定されないが、電子部品100の大型化を抑制するために5000μm以下とするとよい。
【0026】
また、対向部材2が電子デバイス1に接触して電子デバイス1が損傷するのを防止するため、電子デバイス1と対向部材2との距離Gが接着部材4の厚みTよりも大きいこと(G>T)が好ましく、G≧5×Tであることがより好ましい。本例では、対向部材2の下面220は平坦であるが、図1(b)に示す様に、固定部材3の上面330が電子デバイス1の表面110よりも対向部材2の近くに位置しているため、G>Tが成り立っている。また、本実施形態では、図2(d)に示す様に、固定部材3の接着部材4との接着面である上面330が、対向部材2の接着部材4との接着面である下面220よりも粗い。これにより、対向部材2と固定部材3との接着性を向上することができる。
【0027】
電子デバイス1の典型例である光電変換素子について詳細に説明する。電子デバイス1は半導体基板10を有し、半導体基板10の上に配線構造12、保護層14、カラーフィルタ層15、マイクロレンズ層16がこの順で積層されている。電子デバイス1の表面110はマイクロレンズ層16で構成されており、電子デバイス1の裏面120は半導体基板10で構成されている。配線構造12としてはアルミニウムや銅を主たる材料とする複数の配線層(不図示)と、酸化シリコンや窒化シリコンを主たる材料とする複数の層間絶縁層(不図示)で構成することができる。
【0028】
半導体基板10の内部には、複数のフォトダイオードが配列されてなる光電変換部11が設けられている。光電変換素子が撮像素子である場合、各フォトダイオードが画素を構成することができる。光電変換部11の正射影の領域が、光電変換素子の光電変換領域である。光電変換領域は、フォトダイオードで生じた信号電荷から電気信号を生成する画素回路を含むことができる。光電変換領域は、少なくとも受光領域101を含み、本例ではさらに遮光領域102を含む。受光領域101ではマイクロレンズ層16、カラーフィルタ層15、保護層14、層間絶縁層を介して光電変換部11へ光が入射する。そして、受光領域101のフォトダイオードは、有効画素として機能する。遮光領域102では不図示の遮光層によってフォトダイオードが遮光されているため、遮光領域102のフォトダイオードは、光学的黒画素(OB画素)として機能する。光電変換領域の外周との間に位置する周辺回路領域103には、光電変換部11を駆動するための駆動回路や、光電変換部11で得られた電気信号を処理する信号処理回路等が設けられている。これら駆動回路へ入力される信号や、信号処理回路から出力される信号を、外部とやりとりするための電極13は、周辺回路領域103に設けられている。なお、ここでは、配線構造12を表面110と半導体基板10との間に配置した例を示している。しかし、配線構造12を半導体基板10に対して表面110とは反対側(裏面120側)に配置した構造を採用してもよい。この場合、電子デバイス1の表面110をマイクロレンズ層16で構成し、裏面120を配線構造12に接合された、半導体基板10とは別の支持基板で構成することができる。また、表面110の略全面を光電変換領域で構成し、周辺回路領域を半導体基板10に対向する別の半導体基板に配置した構造にしてもよい。
【0029】
このように、電子デバイス1が光電変換素子である場合、対向部材2の上面や下面に異物が付着すると、対向部材2と受光領域101の距離が短いと、異物が画像にはっきりと映り込んでしまう恐れがある。これを避けるためには、対向部材2の下面220と受光領域101の距離Gを200μm以上にすることが好ましい。また、対向部材2の上面210と受光領域101の距離を500μm以上にすることが好ましい。
【0030】
次に、電子部品100の製造方法を工程順(工程a〜f)に説明する。
【0031】
(工程a) 電子デバイス1と対向部材2と固定部材3を用意する。
(工程b) 電子デバイス1を、接合部材5を介して固定部材3に固定する。接合部材5は、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等のダイボンドペーストを塗布して形成することができる。また、ダイボンドテープを貼付して形成することもできる。
(工程c) 光硬化樹脂43の前駆体である液体組成物41と、この液体組成物41に分散した固体である多数の無機粒子42とを含む接着剤40を用意する。液体組成物41は、典型的には、光硬化樹脂43の主成分となるプレポリマーと、粘度調整をするモノマー(反応希釈剤)と、光重合開始剤と、含有する。また、液体組成物41には、熱重合開始剤、密着付与剤、チクソ剤、レベリング剤、消泡剤、充填剤等の添加剤を必要に応じて添加することができる。ラジカル重合型の場合、プレポリマーとしては、官能アクリルレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、共重合アクリレート、ポリブタジエンアクリレート、シリコンアクリレート、アミノ樹脂アクリレート等が使用可能である。カチオン重合型の場合、プレポリマーとしてはエポキシ樹脂、ビニルエーテル、オキセタン、ビニルエーテル等が使用可能である。
【0032】
無機粒子42の体積基準の粒子径分布において、分布累積値が50%となる粒子径をD50として、D50は0.5μm以上((a) D50≧0.5μm)である。無機粒子42の体積基準の粒子径分布において、分布累積値が90%となる粒子径をD90として、D90は5.0μm以下((b) D90≦5.0μm)である。また、無機粒子42の体積基準の粒子径分布において、分布累積値が10%となる粒子径をD10として、D10は0.5μm以上であること((e) D10≧0.5μm)が好ましい。D50は0.9μm以上1.8μm以下であること((f) 0.9μm≦D10≦1.8μm)も好ましい。D90は1.8μm以上であること((g) D90≧1.8μm)も好ましい。無機粒子42の体積基準の粒子径分布において、分布累積値が99.7%となる粒子径をD3δとして、D3δは10μm以下((h) D3δ≦10μm)であることも好ましい。無機粒子42の体積基準の粒子径分布において、分布累積値が100%となる粒子径をDMAXとして、DMAXは15μm以下((i) DMAX≦15μm)であることも好ましい。
【0033】
無機粒子42の粒子径は日本工業規格のJIS Z8825−1で定義される、レーザー回折法を用いて求められる球相当径である。接着剤40中の無機粒子42の粒子径は、液体組成物41と混合する前に予め測定することができる。また、予め液体組成物41の光学的特性を測定することで、液体組成物41に無機粒子42が分散した状態で、無機粒子42の粒子径を測定することもできる。また、液体組成物41と無機粒子42を分離した後、無機粒子42を光学的特性が既知の適当な媒質に分散させてから、無機粒子42の粒子径を測定することもできる。
【0034】
(工程d) 接着剤40を対向部材2および固定部材3の少なくとも一方に塗布する。図2(a)に示す様に、本例では、固定部材3に塗布している。塗布方法としてはディスペンサ法や印刷法など公知の方法を採用することができる。電子部品100が気密容器を構成するために、典型的には接着剤40は枠状に塗布される。なお、接着剤40に占める無機粒子42の含有率が極端に大きいと、接着剤40の粘度が高くなり塗布が難しくなる。そのため、無機粒子42の含有率は、接着剤40の全量の25重量%以下、好ましくは20重量%以下とすることが好ましい。無機粒子42が薄片状である場合には、含有率の上昇に伴う接着剤40の粘度の上昇が著しく高くなる場合があるため、無機粒子42の含有率を20重量%以下とすることが好ましい。接着剤40の粘度が極端に低いと、接着剤40の厚み制御が難しくなる。接着剤40の粘度は、5Pa・s以上であることが好ましく、50Pa・s以下であることが好ましい。
【0035】
(工程e) 図2(b)に示す様に、接着剤40を介して対向部材2と固定部材3とを貼りあわせる。これによって、対向部材2と接着剤40が接触し、固定部材3と接着剤40が接触し、対向部材2と固定部材3の間に接着剤40が位置した状態となる。この時の接着剤40の厚みをT’とする。対向部材2は固定部材3から、接着剤40厚みT’に相当する距離だけ離れて配置されている。この時、D90とT’の比D90/T’は0.4以下((c’) D90/T’≦0.4)である。上述したように接着部材4の厚みTは5μm以上40μm以下であるが、硬化後にこの範囲の厚みになるように、接着剤40の塗布量や、固定部材3への対向部材2の加圧条件を適宜決定することにより、接着剤40の厚みT’を制御する。
【0036】
(工程f) 図2(c)に示す様に、この状態で、対向部材2を介して接着剤40を露光して接着剤40を光硬化させる、光硬化処理を行う。露光波長は0.5μm以下であるが、典型的には0.2μm以上0.4μm以下である。露光量は4000mJ/cm以上であることが好ましい。露光時間は10分間未満であることが好ましく、典型的には、1秒以上5分間未満である。露光時間を短くすることによって、光硬化樹脂43に気泡が生じることを抑制することが出来る。露光により、接着剤40の液体組成物41が光硬化して、固体の光硬化樹脂43が得られる。接着剤40の液体組成物41が接着剤40が熱硬化性をさらに有していてもよく、その場合には、典型的には光硬化処理(露光)の後に、接着剤40を加熱する熱硬化処理が行われる。熱硬化処理時の処理温度は典型的には100℃以上であり、加熱炉の中に電子部品100を入れることにより、対向部材2や空間21、固定部材3も100℃以上となる。光硬化処理の時点では液体組成物41は半硬化の状態であってもよい。このように、光硬化処理または光硬化処理および熱硬化処理によって、液体組成物41に分散していた無機粒子42は、固体の光硬化樹脂43に分散した状態の無機粒子44として固定され、かくして、図2(d)に示す接着部材4が得られる。接着剤40中の無機粒子42は液体組成物41の硬化時に生じる液体組成物41の硬化収縮を抑制する効果を有する。接着部材4中の無機粒子44は硬化後の接着部材4に生じる光硬化樹脂43の熱膨張を緩和する効果を有する。そのため、接着剤40に占める無機粒子42の割合が極端に小さいと、実用的な応力緩和の効果を得にくくなる。そのため、無機粒子42の量は、接着剤40の全量の5重量%以上とすることが好ましい。
【0037】
なお、典型的には硬化処理によって得られる接着部材4の厚みTは、重合による収縮のため、接着剤40の厚みT’よりも小さくなる。一般的に光硬化樹脂の硬化収縮率は、高いものでも10%以下であり、多くは5%以下である。したがって、接着剤40の厚みT’を6μm以上40μm以下とすること((d’)
6μm≦T’≦40μm)で、接着部材4の厚みTを5μm以上40μm以下とすることが可能となる。
【0038】
硬化処理の前後で、接着剤40中の無機粒子42と接着部材4中の無機粒子44の粒子径分布は実質的に違いがないとみなしてよい。ただし、例えば接着剤40の塗布後に、対向部材2を固定部材3に強く押し付けると、接着剤40内の無機粒子42の破断などが生じて粒子径分布に変化が生じる可能性がある。特に、接着剤40の厚みT’が無機粒子42の最大粒子径DMAXより大きいと、無機粒子42が押しつぶされて破断する可能性が高くなる。無機粒子42の粒子径は大きいよりは小さい方が点剥がれを抑制する上で好ましいため、無機粒子42の破断は点剥がれの発生に大きな影響を与えるわけではないが、破断は極力抑制することが望ましい。そのため、接着剤40の厚みT’を無機粒子42の最大粒子径DMAXよりも大きくすることが好ましい。
【0039】
以下、電子部品100の他の実施形態として第2〜第6実施形態を説明する。各実施形態において、類似の機能を有する部材には、第1実施形態で説明したものと同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。第2〜第6実施形態において用いられる接着部材4は第1実施形態で説明した条件(a)〜(d)を少なくとも満たす。
【0040】
図3(a)を用いて電子部品100の第2実施形態の一例を説明する。図3(a)は、図1(a)のA−B線と同等の箇所における電子部品100の断面模式図であり、平面模式図の記載は省略する。電子部品100は、電子デバイス1と、対向部材2と、固定部材3とを備えており、固定部材3と対向部材2とが接着部材4によって接着されている。接着部材4の構成は第1実施形態と同様である。第2実施形態の電子部品100は、固定部材3の構造が第1実施形態と異なる。そのため、第1実施形態との相違点のみを説明する。
【0041】
第1実施形態の固定部材3は1つの基体30で構成されているが、本実施例の固定部材3は、第1基体30Aで構成された第1固定部材3Aと、第2基体30Bで構成された第2固定部材3Bとを有する。そして第1固定部材3Aと第2固定部材3Bは、結合部3Cにて相互に結合されている。第1基体30Aと第2基体30Bの材料は、それぞれ異なっていてもよいし、同じであってもよい。対向部材2は、接着部材4によって第1固定部材3Aに接着されている。電子デバイス1は、接合部材5によって第2固定部材3Bに接合されている。第1固定部材3Aは開口部34を有する枠状の板であって、この開口部34が、電子デバイス1の空間21を形成する。第1固定部材3Aには貫通穴35が設けられている。この貫通穴35は、電子機器に電子部品100を搭載する際の位置決め用として用いることができるほか、ねじ止め用としても用いることができる。第2固定部材3Bにはその一方の面に複数の内部端子31が設けられており、他方の面に内部端子31から内部配線32を介して接続された外部端子33が設けられている。複数の外部端子33の少なくとも一部は、電子デバイス1および対向部材2からの正射影の領域に設けられている。
【0042】
このような電子部品100の製造方法としては、いくつかの方法を挙げることができる。大きく分けて2つの方法(方法I、方法II)がある。方法Iは、電子デバイス1と対向部材2が対向した状態で、接着剤40を露光して接着部材4を形成する方法である。方法IIは、電子デバイス1と対向部材2が対向していない状態で、接着剤40を露光して接着部材4を形成し、その後に電子デバイス1と対向部材2を対向させる方法である。
【0043】
方法Iにはさらに方法I−1と方法I−2の2つの方法がある。方法I−1は、第1固定部材3Aと第2固定部材3Bを結合部3Cにて結合して固定部材3を作製した後、電子デバイス1を第2固定部材3Bに接合部材5で接合する方法である。方法I−1を採用する場合、第1固定部材3Aと第2固定部材3Bを結合した後は、第1実施形態と同様に行うことができる。方法I−2は、電子デバイス1を第2固定部材3Bに接合部材5で接合した後、第1固定部材3Aと第2固定部材3Bを結合部3Cにて結合して固定部材3を作製する方法である。本例では、第1固定部材3Aの開口部34が電子デバイス1の輪郭よりも小さく、また、第1固定部材3Aが、電子デバイス1の電極13と第2固定部材3Bの内部端子31と接続部材6とを覆う構造である。そのため、電子デバイス1を第2固定部材3Bに接合部材5で接合し、さらに接続部材6を設けた後に、固定部材3を作製する方法I−2を採用することが好ましい。方法Iでは、第1固定部材3Aと第2固定部材3Bとが結合されてなる固定部材3に電子デバイス1が接合された状態で、対向部材2を電子デバイス1に対向させて接着剤40を用いて固定部材3(第1固定部材3A)に接着される。
【0044】
方法IIでは、対向部材2が開口部34を覆うように、接着剤40を用いて対向部材2を第1固定部材3Aに接着する。また、電子デバイス1を、接合部材5を用いて第2固定部材3Bの適当な位置に接合し、電子デバイス1と内部端子31とを接続部材6で接続する。この段階においては、対向部材2と第1固定部材3Aとの接着と、電子デバイス1と第2固定部材3Bとの接合は、はどちらを先に行ってもかまわない。そして、次の段階で、対向部材2が接着された第1固定部材3Aと、電子デバイス1が接合された第2固定部材3Bとを、対向部材2が電子デバイス1に対向するように、第1固定部材3Aと第2固定部材3Bとを結合部3Cで結合する。
【0045】
図3(b)を用いて電子部品100の第3実施形態の一例を説明する。図3(b)は、図1(a)のA−B線と同等の箇所における電子部品100の断面模式図であり、平面模式図の記載は省略する。電子部品100は、電子デバイス1と、対向部材2と、固定部材3とを備えており、固定部材3と対向部材2とが接着部材4によって接着されている。接着部材4の構成は第1実施形態と同様である。第2実施形態の電子部品100は、固定部材3の構造が第1実施形態と異なる。そのため、第1実施形態との相違点のみを説明する。
【0046】
本実施形態では、外部端子33は、電子デバイス1と対向部材2の正射影の領域外に位置している。本例では、内部端子31と内部配線32と外部端子33はリードフレームで構成されており、外部端子33はガルウィング状になっている。
【0047】
図3(c)を用いて電子部品100の第4実施形態の一例を説明する。図3(c)は、図1(a)のA−B線と同等の箇所における電子部品100の断面模式図であり、平面模式図の記載は省略する。電子部品100は、電子デバイス1と、対向部材2と、固定部材3とを備えており、固定部材3と対向部材2とが接着部材4によって接着されている。接着部材4の構成は第1実施形態と同様である。第2実施形態の電子部品100は、固定部材3の構造が第1実施形態と異なる。そのため、第1実施形態との相違点のみを説明する。
【0048】
第1実施形態では、電子デバイス1は固定部材3と対向部材2の間に位置しているが、本実施形態では、電子デバイス1は固定部材3と対向部材2の間に位置しておらず、固定部材3が、電子デバイス1と対向部材2との間に位置している。そして、固定部材3の一方の面に、対向部材2が接着部材4で接着されており、固定部材3の他方の面に、電子デバイス1が接合部材5で接合されている。このようにして、電子デバイス1と対向部材2とが固定部材3によって相互に固定されている。本例では、接合部材5は、電子デバイス1の電極13と固定部材3の内部端子31、これらを電気的に接続する接続部材6と、を封止するように設けられている。固定部材3の外部端子33は、内部配線32を介して内部端子31と接続されており、電子デバイス1からの正射影の領域の外側に位置している。
【0049】
図4(a)、(b)を用いて電子部品100の第5実施形態の第1例を説明する。図4(a)は電子部品100の第1例の平面模式図、図4(b)は図4(a)のA−B線における断面模式図である。図4(c)を用いて電子部品100の第5実施形態の第2例を説明する。図4(c)は、図4(a)のA−B線と同等の箇所における電子部品100の断面模式図であり、平面模式図の記載は省略する。第1例と第2例の電子部品100は、電子デバイス1と、対向部材2と、支持部材3’とを備えている。
【0050】
第1例と第2例の共通点を説明する。本実施形態の対向部材2は、接着部材4によって電子デバイス1に直接接着され、これによって電子デバイス1と対向部材2とが相互に固定されている。電子デバイス1は接合部材5によって支持部材3’に接合されている。支持部材3’は、基体30と、内部端子31、内部配線32、外部端子33とを備えており、電子デバイス1の電極13は接続部材6によって内部端子31に接続されている。複数の外部端子33の少なくとも一部は、電子デバイス1および対向部材2からの正射影の領域に設けられている。
【0051】
次に、第1例と第2例の違いを説明する。第1例と第2例は、電子デバイス1の接着部材4との接着面の形状が異なっている。第1例では、電子デバイス1の接着部材4との接着面は、マイクロレンズ層で構成されており、マイクロレンズの形状に起因した凹凸形状を有している。一方、第2例では、電子デバイス1の接着部材4との接着面は、不図示の平坦化層により平滑である。なお、第1例と第2例ともに対向部材2の接着部材4との接着面は平滑である。第1例のように、電子デバイス1の接着部材4との接着面が、対向部材2の接着部材4との接着面よりも粗いことで、第1実施形態で説明したのと同様の理由により、電子デバイス1と対向部材2との接着力が、第2例に比べて向上する。
【0052】
第1例と第2例は対向部材2の形状が異なっている。第1例では、対向部材2の接着部材4との接着面が突出して、対向部材2の下面が凹状となっている。一方、第2例では、対向部材2の下面は平坦である。第1例のようにすることにより、受光領域101と対向部材2との距離Gを、接着部材4の厚みTよりも大きくすることができる。一方、第2例では、マイクロレンズ層の厚み分だけ、受光領域101と対向部材2との距離Gが、接着部材4の厚みTよりも小さくなってしまう。仮に、第1例のように、電子デバイス1の接着部材4との接着面をマイクロレンズ層で構成したとしても、第2例のような対向部材2の形状では、受光領域101と対向部材2との距離Gが、接着部材4の厚みTと同じになってしまう。
【0053】
上述したように、電子デバイス1が光電変換素子である場合には対向部材2と受光領域101の距離Gを200μm以上にすることが好ましい。一方、点剥がれを抑制するためには、接着部材4の厚みTを40μm以下にする必要があるため、第2例では、距離Gを40μm以下にせざるを得ない。しかし第1例では距離Gを厚みTよりも大きくすることが可能であるため、電子デバイス1が光電変換素子である場合には、第2例よりも第1例が好適である。
【0054】
図5(a)を用いて電子部品100の第6実施形態の第1例を説明する。図5(a)は図1(a)のC−D線における断面模式図である。図5(b)を用いて電子部品100の第6実施形態の第2例を説明する。図5(a)は図4(a)のC−D線における断面模式図である。
【0055】
第6実施形態の第1例は、第1〜第4実施形態に適用することができる。図5(a)に示す様に、対向部材2と固定部材3との間には、接着部材4の厚みを規定する厚み規定部材46が設けられている。この厚み規定部材46は、接着剤40が対向部材2と固定部材3との間に介在した状態において、対向部材2と固定部材3の間隔を規定するスペーサとして機能することにより、硬化後の接着部材4の厚みTを規定する。そのため、厚み規定部材46は対向部材2の接着部材4との接着面と、固定部材3の接着部材4との接着面の双方に当接する。点剥がれを抑制する上では、接着剤40の厚みT’および接着部材4の厚みTを制御する必要があるため、このように厚み規定部材46を設けることが好ましい。厚み規定部材46としては、ポリスチレン等の有機スペーサ、シリカ等の無機スペーサを用いることができる。厚みを規定する目的から、対向部材2を固定部材3に押し付けても変形しにくい弾性率の高い材料が好ましく、無機スペーサが好ましい。厚み規定部材46の弾性率は光硬化樹脂43の弾性率よりも高いことが好ましい。また、厚み規定部材46がどのような向きで配置されても、接着部材4を所望の厚みに規定するために、厚み規定部材46は球状であることが好ましい。接着部材4の厚みTが10μm以上30μm以下であることが好ましいことから、球状の厚み規定部材46の直径としては、同じく10μm以上30μm以下であることが好ましく、15μm以上25μm以下にすることがより好ましい。
【0056】
厚み規定部材46は接着部材4の光硬化樹脂43に接することが好ましい。これにより、厚み規定部材46の脱落を避けることができる。なお、接着部材4を形成したとき、厚み規定部材46は対向部材2と固定部材3に接するため、光硬化樹脂43に分散する無機粒子44と、厚み規定部材46は明確に区別することが可能である。厚み規定部材46は、接着剤40を塗布する前に予め配置しておくこともできるし、接着剤40を塗布した後に塗布された接着剤40に混入させることもできる。しかし、塗布する接着剤40に厚み規定部材46を予め添加しておくと良い。厚み規定部材46の添加量は、接着剤40の全量の0.005〜2重量%程度であればよい。上述したように、無機粒子44と厚み規定部材46は目的が異なる別部材であり、接着剤40に厚み規定部材46を添加しても、接着剤40中における厚み規定部材46の存在は、無機粒子42の粒子径分布には寄与しない。厚み規定部材46が混入された接着剤40における厚み規定部材46と無機粒子42の粒子径分布を計測すると、5.0μmよりも大きい粒子径の範囲に、厚み規定部材46の存在を示すピークを確認できる場合もある。このピークに対応する粒子径(厚み規定部材46)を粒子径分布から除外することにより、無機粒子42の正確な粒子径分布を求めることができる。
【0057】
第6実施形態の第2例は、第5実施形態に適用することができる。図5(b)に示す様に、対向部材2と電子デバイス1との間には、接着部材4の厚みを規定する厚み規定部材46が設けられている。この厚み規定部材46は、接着剤40が対向部材2と電子デバイス1との間に介在した状態において、対向部材2と電子デバイス1の間隔を規定するスペーサとして機能することにより、硬化後の接着部材4の厚みTを規定する。そのため、厚み規定部材46は対向部材2の接着部材4との接着面と、電子デバイス1の接着部材4との接着面の双方に当接する。他の点は、第1例と同様であるから、説明を省略する。
【0058】
次に、第7実施形態として、電子機器1000の一例を図6を用いて説明する。電子機器1000は電子部品100と、回路部材8とを少なくとも備えている。本例では、第1実施形態で説明した電子部品100を例に挙げて説明する。
【0059】
回路部材8は回路基板80と、回路基板80上に設けられた複数の接続端子83とを有している。回路基板80はガラスエポキシなどからなるリジッド基板や、ポリイミドなどからなるフレキシブル基板、或いは、リジッドフレキシブル基板を用いることができる。本例では、回路基板80は、第1リジッド基板80Aと、第2リジッド基板80Bと、第1リジッド基板80Aと第2リジッド基板80Bに挟まれたフレキシブル基板81を有するリジッドフレキシブル基板である。回路基板80には印刷法などで形成された配線82が設けられており、配線82の一部分を接続端子83として用いることができる。回路部材8の或る接続端子83と、電子部品100の外部端子33とが、導電部材7で電気的かつ機械的に接続されている。この導電部材7は典型的には、外部端子33を接続端子83に固着するハンダであるが、異方性導電性材料(ACM:Anisotropic Conductive Material)でもよい。
【0060】
本例の回路部材8は、回路基板80上に、配線82と接続して取り付けられた抵抗やコンデンサの受動部品84を有している。回路部材8の別の接続端子83と、受動部品84とが、導電部材7’で電気的かつ機械的に接続されている。導電部材7’には導電部材7と同じ材料を用いてもよいが、異なる材料を用いることもできる。例えば、導電部材7として用いるハンダの融点を、導電部材7’として用いるハンダの融点よりも低くしてもよい。
【0061】
回路部材8には、回路部材8を電子機器1000のフレームに装着するための金属や樹脂等からなる装着部材85が、紫外線硬化樹脂あいは熱硬化樹脂等からなる固着部材86で固着されている。本例の装着部材85には貫通孔85’が設けられており、貫通孔85’は、ねじ止め穴や嵌合穴として用いられてフレームに装着される。固着部材86は、電子部品100の固定部材3に接して、電子部品100の回路部材8への機械的接続を補強している。また、固着部材86は、回路部材8の受動部品84を覆って封止している。なお、第2実施形態の電子部品100は、固定部材3の第1固定部材3Aが、本例の装着部材85の機能を兼ねることができる。同様に、第1実施形態において、固定部材3を本例の装着部材85の機能を兼ねるように構成することもできる。例えば、第1実施形態における固定部材3を、装着部材85のような貫通穴を備える金属板をプラスチックやセラミックからなる基体30に埋設するように成形することもできる。また、第4実施形態の電子部品100においては、固定部材3が、本実施形態の回路部材8を兼ねることもできる。
【0062】
電子機器1000は、回路部材8に接続された周辺装置9を備えることができる。周辺装置9は、例えば、電子デバイス1へ入力される電子デバイス1を制御するための制御信号を生成する制御回路93や、電子デバイス1から出力された信号を元に情報信号を生成する情報処理回路94等を含む周辺回路90を有する。コネクタ92と制御回路93と情報処理回路94は、プリント配線板91上に配置されている。本例では、回路部材8のフレキシブル基板81が、周辺回路90のコネクタ92に接続されていることにより、回路部材8が周辺回路90に接続されている。なお、制御回路93と情報処理回路94を単一の半導体チップに集積化してもよい。また、制御回路93や情報処理回路94を回路部材8の回路基板80上に配置してもよい。
【0063】
電子デバイス1が撮像素子である場合には、情報信号は画像信号である。制御回路93と情報処理回路94を1つもしくは複数のICチップとして電子部品100と同様にして回路部材8上に搭載することもできるし、回路部材8に接続された別の回路部材上に搭載することもできる。また、周辺装置9は、情報処理回路94で生成された情報信号を記録する半導体メモリ等の記録手段95や、画像処理回路94で生成された情報信号に基づく情報を表示する液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示手段96を有することもできる。
【0064】
続いて、電子機器1000の製造方法を工程順(工程g〜h)に説明する。
【0065】
(工程g) 固定部材3に電子デバイス1および対向部材2が固定された電子部品100と、回路部材8を用意する。電子部品100は上記した工程a〜工程fによって製造されているものを用いることができる。回路部材8の受動部品84は、回路基板80に、リフローハンダ付け等を用いて、導電部材7’により固着されている。
【0066】
(工程h) ハンダペーストを、回路部材8の接続端子83および電子部品100の外部端子33の少なくとも一方に塗布する。そして、接続端子83と外部端子33との間にハンダペーストが位置するように、電子部品100を回路部材8とを、ハンダペーストを介して貼り合せる。そして貼り合せられた固定部材3と回路部材8とを加熱炉の中に入れて、ハンダペーストを加熱する。すなわち、リフローハンダ付けによって外部端子33と接続端子83とを接続する。リフロー時の加熱炉の温度は典型的には100℃以上であり、対向部材2や空間21、固定部材3は100℃以上となる。これにより、導電部材7(ハンダ)によって、外部端子33と接続端子83とが電気的かつ機械的に接続し、電子部品100を回路部材8に固着して表面実装することができる。なお、この時の加熱温度は、予め回路基板80に固着された受動素子84が脱落しないように、導電部材7’の融点よりも低くなるようにする。本例では、電子部品100はLGA構造を有するが、BGA構造を有する場合には、ハンダボールを導電部材7として用いることができ、同様にリフローハンダ付けによって電子部品100を回路部材8に固着することができる。
【0067】
(工程i) 装着部材85を回路部材8に乗せ、熱硬化性あるいは光硬化性の接着剤を塗布し、硬化処理を行って固着部材86を形成する。
【0068】
(工程j) 装着部材85をフレームに装着して、さらに、回路部材8を周辺装置9と接続する。
【0069】
以上のようにして、図6で説明した電子機器1000を製造することができる。
【0070】
第4実施形態で説明した電子部品100を電子機器1000に搭載する場合、外部端子33を、回路部材8の接続端子83へ外部端子33ごとに手作業等でハンダ付けすることで接続することができる。これにより、表面実装型の実装構造をなすことができる。他の例として外部端子33をガルウィング状ではなく、L字状にした場合、外部端子33を、回路部材8のスルーホールに挿入して、接続端子83へフローハンダ付けやリフローハンダ付けにより一括してハンダ付けすることで、接続することができる。これにより、挿入型の実装構造をなすことができる。
【実施例】
【0071】
接着剤40の無機粒子42および接着部材4の無機粒子44に関して、図7に示すSS,S,M,L,LLの5つのパターンの粒子径分布を検討する。図7には、分布SS,S,M,L,LLの5つのパターンの粒子径分布の粒子径毎の分布累積値を示し、表1に分布SS,S,M,L,LLに関する分布累積値毎の粒子径の代表的な値の一例を示す。なお、分布SS,S,Mについては、最大粒子径DMAXが15μmを超えないように設定してあり、どの評価領域でも粒子径が15μmを超える無機粒子は存在していない。また、この検討には、接着剤40として、粒子径分布に加えて、無機粒子44の含有量を5〜25%の範囲で異ならせた試料1〜25を用いている。接着剤40の液体組成物41には、エポキシ系のプレポリマーを用いており、接着剤40の無機粒子42には、薄片状のタルクを用いている。なお、接着剤40の硬化処理は、紫外線による光硬化処理のあとに、ピーク温度を160℃として、120℃以上となる状態を2時間以上保持する熱硬化処理を含んでいる。そして、接着剤40を用いて対向部材2を固定部材3に接着した、第1実施形態の電子部品100について、工程hと同様の加熱工程を経た後の接着部材4を点剥がれの多寡の観点で評価を行った。本実施例では、接着部材4の形成後に、電子部品100を加熱炉に入れて、対向部材2がピーク温度を190℃として、150℃以上となる状態を20秒以上保持する加熱条件を採用している。本実施例の対向部材2はホウケイ酸ガラス製であり、下面220の外周が、一辺の長さが14.5mmである正方形、厚みが0.5mmである平板である。本実施例の固定部材3は、基体30がセラミック製であり、LGA構造の外部端子33を有している。固定部材3の上面330の外周は一辺が15.0mmの正方形である。接着部材4の幅Wをおおむね500μmとなるように設定しており、P=P=13.0mm、距離Gは500μmとしている。対向部材2の下面220における空間21との接触面の面積S1はおよそ169mmであり、対向部材2の下面220における接着部材4との接着面の面積S4はおよそ27mmである。その結果、S1はS4の5倍以上となっている。
【0072】
表2に、試料1〜25を用いた際の点剥がれの評価結果を示す。表2における接着部材4の厚みTは、接着剤40の塗布量を変化させたいくつかの電子部品100における、評価領域となるW×Wの正方形領域での接着部材4の厚みである。なお、接着部材4の全周において接着部材4には厚みムラが生じており、接着部材4の厚みTには、評価対象となる複数の領域別の値も含まれている。なお、第6実施形態のようにスペーサを用いることで、接着部材4の厚みムラを抑制することができる。表2における評価◎は、点剥がれが評価対象内に観察されない場合であり、評価○は点剥がれが評価領域内に観察されるものの、遍在はしていない場合である。評価△は点剥がれが評価領域内に遍在している部分があり、その程度がやや緩い場合であり、評価×は点剥がれが評価領域内に遍在している部分があり、その程度が甚だしい場合である。評価◎と評価○を点剥がれが抑制されている状態である。評価□は面剥がれが生じているものであり、評価−は評価結果がない場合であり、接着剤40の塗布ができなかった等により接着部材4の形成が困難な場合や、検討を行っていないものを含む。
【0073】
「点剥がれ」について詳細に説明する。
【0074】
図8(a)は、分布Lや分布LLのパターンの無機粒子44を有する接着部材4を、対向部材2を介して、図1(a)、(b)の矢印Fの方向から光学顕微鏡で観察した際の様子を示す模式図である。図8(b)は、接着部材4の断面を電子顕微鏡で観察した際の様子を示す模式図である。図8(a)及び(b)において、図1、図2と同一もしくは類似の部材には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0075】
図8(a)に示す様に、透明な接着部材4に、白点45’(図8(a)では便宜上、白点45’を黒点で示している)が多数観察される。図8(a)に関して、評価領域ERを接着部材4の幅方向において、内周側(図面上では上から順に)から第1部分、第2部分、第3部分に略3等分して説明する。第1部分では、白点45’が密集して遍在している。評価領域にこのような部分があるため、図8(a)で示した評価領域ERの評価は「×」である。第2部分では、白点45’が密集はしていないが遍在している。評価領域に第1部分のような程度では白点45’が生じておらず、この第2部分のような程度で白点45’が生じている場合には、評価領域の評価は「△」となる。第3部分では、白点45’が遍在しておらず、点在している。評価領域に第1部分および第2部分のような程度では白点45’が生じておらず、この第3部分のような程度で白点45’が生じている場合には、評価領域の評価は「○」となる。なお、図8(a)の例では、第1部分のような程度の白点45’が、接着部材4の幅方向における中間位置よりも内面310側(空間21側)に偏在しているが、評価領域の全体に渡って白点45’が密集して遍在している場合もある。
【0076】
図8(b)に示す様に、白点45’に対応する箇所では、光硬化樹脂43と無機粒子44との間に隙間45が存在している。白点45’はこの隙間45の光硬化樹脂43及び/又は無機粒子44との界面で可視光が反射することにより可視化されているものと理解される。隙間45が、接着部材4の形成前、すなわち、接着剤40中の無機粒子42の周りに液体組成物41が存在している時点から存在しているとは考えにくい。してみれば、隙間45は、液体組成物41がゲル化もしく固体化した時点以降に生じると考えるべきであり、少なくとも、接着剤40の光硬化処理以降に、光硬化樹脂43が無機粒子44から剥離することにより生じると考えるのが妥当であろう。そして、図8(b)から、隙間45のほとんどが、無機粒子44の上面側(対向部材2側)ではなく無機粒子44の下面側(固定部材3側)に生じていることが分かる。これは、工程eで説明したように、接着剤40を対向部材2を介して露光することに起因すると考えられる。対向部材2および液体組成物41を通過した露光光は、無機粒子44の上面に入射する。典型的な無機粒子44は、液体組成物41よりも露光光の透過率が低い材料からなるため、露光光が無機粒子44の下面付近に存在する液体組成物41に達しにくくなる。仮に無機粒子44が液体組成物41よりも露光光の透過率が低い材料でなくても、無機粒子44の上面での露光光の反射(散乱を含む)や無機粒子44内での露光光の屈折等によって、露光光が無機粒子44の下面付近に存在する液体組成物41に達しにくくなる。そのため、無機粒子44の下面付近に存在する液体組成物41は、他の部分に位置する液体組成物41に比べて露光量が少ないと考えられる。そして、露光後には、無機粒子44の下面と光硬化樹脂43との接着力が、無機粒子44の上面と光硬化樹脂43との接着力に比べて弱くなっている。このことが、点剥がれが生じる潜在的な要因であると推測され、このような接着力の弱い部分を、「潜在点剥がれ」と呼ぶことにする。
【0077】
光硬化処理の直後では、点剥がれを観察することは困難であっても、後の工程を経ると、図3(a)を用いて説明したように、点剥がれが顕在化する場合がある。図3(b)を用いて説明したような、光硬化樹脂43と無機粒子44との間に隙間45が生じた状態を「顕在点剥がれ」とよぶことにする。
【0078】
顕在点剥がれは、上下逆方向の力が潜在点剥がれに加わることによって生じると考えることができる。すなわち、無機粒子44の下面から上向き(対向部材2側)に働く力と、無機粒子44の下面から下向き(固定部材3側あるいは電子デバイス1側)に働く力が接着部材4に加わる。この力が接着力の弱い部分を引き剥がし、潜在点剥がれが顕在点剥がれを生じる。
【0079】
対向部材2の下面220における接着部材4との接着面の面積S4が、対向部材2の下面220における空間21との接触面(接着面よりも内側の部分)の面積S1よりも小さいと、対向部材2に加わる上向きの力が接着部材4へ集中しやすい。そのため、点剥がれが顕在化しやすいと考えられる。
【0080】
この力が生じる要因はいくつか考えられる。本発明者らの検討の結果、特に顕在点剥がれが生じやすいのは、接着部材4が枠形状であって、対向部材2と固定部材3と接着部材4とが気密容器を成している場合に、空間21(気密空間)の気体が熱膨張する場合である。このことは、図8(a)に示す様に、接着部材4の幅方向において、より空間21に近い方の部分で点剥がれが顕著であることからも理解できる。ボイル=シャルルの法則に基づけば、体積が一定である空間21の圧力は、空間21の絶対温度に比例する。この熱膨張は、光硬化処理後に電子部品100を加熱した場合に生じるが、空間21に接する対向部材2の加熱(昇温)を伴うような熱処理を行う場合に特に顕著である。例えば、第3実施形態の電子部品100を回路部材8に接続する際の手作業によるハンダ付けでは、外部端子33が局所的に加熱され、対向部材2は殆ど加熱されない。これに対し、第1実施形態の電子部品100を回路部材8に接続する際のリフローハンダ付けでは、リフロー炉に電子部品100を入れることにより、外部端子33だけでなく、対向部材2までもが加熱され、空間21も対向部材2と同程度の温度になる。そのため、空間21の熱膨張が、点剥がれを顕在化させるのである。空間21が、対向部材2を固定部材3に貼り合せた時点の空間21の温度よりも高い温度となれば、空間21に熱膨張が生じて、点剥がれが顕在化する可能性がある。しかし、潜在点剥がれから顕在点剥がれへ移行する上では、潜在点剥がれが有する弱い接着力を上回る力が加わる必要があるため、液体組成物41の種類に応じてある程度の臨界性があると考えられる。現実的には、対向部材2が100℃以上となるような加熱を行った場合に、空間21の圧力上昇に伴って点剥がれが顕在化しやすいと云える。
【0081】
光硬化処理後に行う加熱としては、これまで述べてきた中では、接着部材4の熱硬化処理時、電子部品100をリフローハンダ付けによって回路部材8に固着させる時を挙げることができる。また、装着部材85を熱硬化性接着剤に熱硬化処理を行って、固着部材86を形成する時などを挙げることができる。光硬化処理後に行う加熱のうち、空間21の温度が最も高くなる熱処理工程で、特に点剥がれが顕在化しやすく、典型的にはリフローハンダ付け時に、温度が最も高くなる。空間21が体積変化のない完全な気密空間と仮定すれば、20℃から100℃への温度上昇により、空間21の内圧は20℃時に対して127%となる。そして、ハンダリフロー時には、20℃から190℃への温度上昇により、空間21の内圧は20℃時に対して158%となる。
【0082】
なお、光硬化処理後に熱硬化処理を行うと、光硬化処理で露光不足であった部分を硬化させることができるため、点剥がれを抑制することができると考えられる。しかしながら、熱硬化処理で、光硬化処理よりも十分に長い時間をかけたにもかかわらず、点剥がれが生じていることが理解される。これは光硬化と熱硬化では重合のメカニズムが異なるため、光硬化しなかった部分は、熱硬化処理でも十分に硬化しないという可能性が考えられる。仮に、熱硬化処理によって光硬化不足を完全に補えるとしても、そのためには、通常の数時間の熱硬化処理よりもかなり長い時間が必要であり、生産性が低下することは明らかである。
【0083】
潜在点剥がれに加わるような上下逆方向の力は、空間21の熱膨張に限ったものではない。例えば、製造工程における電子部品100の加熱、冷却時の対向部材2と固定部材3の熱膨張差に起因して接着部材4に生じる応力が挙げられる。また、電子機器1000の使用時における電子デバイス1の発熱や環境温度の変化による対向部材2と固定部材3の熱膨張に起因して接着部材4に生じる応力が挙げられる。また、電子部品100への外力も、点剥がれの顕在化の一因になると考えられる。
【0084】
以上の観点から本発明者らが鋭意検討を進めたところ、無機粒子44の粒子径および接着部材4の厚みTと、潜在点剥がれの発生とに、相関関係があることが分かった。
【0085】
【表1】

【0086】
【表2】

【0087】
表2の検討結果に基づいて考察する。一般論として、粒子に光が照射された際の、光の挙動は、光の波長と粒子径によって異なる。粒子径が光の波長よりも十分に小さい場合にはレイリー散乱が成立し、粒子径が光の波長と同程度の場合にはミー散乱が成立し、粒子径が光の波長よりも十分に大きい場合には幾何光学近似が成立する。液体組成物41の光硬化処理に用いる露光光は0.5μm以下であるため、接着剤40において、粒子径が0.5μm以上である無機粒子42に対しては、ミー散乱あるいは幾何光学近似が成立するであろう。このように露光光の波長よりも粒子径が大きい無機粒子42が無機粒子42の全体の50%以上を占めること、すなわち、条件(a)を満たすことで、潜在点剥がれを抑制できると考えられる。特に、分布SS,S,Mのように、露光光の波長よりも粒子径が大きい無機粒子42が無機粒子42の全体の90%以上を占めること、すなわち、条件(e)満たすことが好ましいといえる。
【0088】
表2の結果より、5.0μm以下の粒子径の無機粒子42が90%以上を占める分布SS,S,Mについては、点剥がれが顕著に抑制されていることが分かる。これに対して、5.0μm以上の粒子径の無機粒子4が、分布Mよりも多い分布L,LLにおいて、点剥がれが顕著に生じている。このことから、粒子径が5.0μm以下である無機粒子42については、当該無機粒子42による露光光の幾何光学的な遮蔽の影響が小さいミー散乱が、支配的に生じていると考えられる。このように、このように粒子径が5.0μm以下の無機粒子42がの全体の90%以上を占めること、すなわち、条件(b)を満たすことで、潜在点剥がれを抑制できると考えられる。
【0089】
典型的な接着部材4において、光硬化樹脂43の弾性率は、無機粒子44の弾性率よりも小さいため、光硬化樹脂43が変形することにより、無機粒子44の下面に加わる力を吸収することができる。フックの法則により、無機粒子44の下面に加わる力の吸収は光硬化樹脂43の厚み(接着部材4の厚みT)に比例すると考えられるから、接着部材4の厚みを大きくすることで、潜在点剥がれの発生を抑制することができる。表2に示した太線の右側は、条件(c)であるD90/T≧0.4となる範囲であり、この範囲では、光硬化樹脂43に適当な弾性を付与することができるため、顕在点剥がれの発生を抑制できると考えられる。
【0090】
無機粒子44を含む接着剤40のような分散系では、無機粒子44は概ね均一に液体組成物41中に分散するため、対向部材2の下面220の法線上に複数の無機粒子44が存在することになる。露光光の典型的な進行方向は対向部材2の下面220に対する法線に平行な方向である。そのため、露光光の進行方向に複数の無機粒子44が存在すると、無機粒子44の内の、より固定部材3に近い側の無機粒子44には潜在点剥がれが生じやすくなる。無機粒子44の粒子径は、その下面の面積を規定する要因である。そのため、粒子径の大きい無機粒子44の下面では潜在点剥がれが生じやすくなる。さらに、対向部材2の近くに位置する無機粒子44に比べて、固定部材4の近くに位置する無機粒子44の近傍で潜在点剥がれが生じやすくなる。
【0091】
対向部材2の下面220の法線上に存在する無機粒子44の数を極力減らすことで、潜在点剥がれの発生を抑制することができる。接着剤40は対向部材2を介して露光されるため、露光光の進行方向は接着部材4の厚み方向となる。つまり、接着部材4の厚みTを小さくすることで、潜在点剥がれの発生を抑制することができると考えられる。表2より、条件(a)、(b)および(c)を満たす評価領域の内、接着部材4の厚みTが5μm以上40μm以下である評価領域において顕在点剥がれが好適に抑制されていることから、条件(e)を満たすことで、点剥がれを抑制することができる。
【0092】
無機粒子42の含有率を少なくすることでも、対向部材2の下面220の法線上に存在する無機粒子44の数を極力減らすことができる。無機粒子42の含有率が5〜25%の範囲で、上記条件(a)〜(d)を満たすことで、点剥がれの発生を抑制することができる。試料10や試料15では、接着剤40の粘度が試料9や試料14に比べて粘度が著しく上昇し、接着剤40を薄い厚みT’で塗布できない場合があった。このことから、接着剤40における無機粒子42の含有率は5%以上20%以下であることが好ましいと云える。
【0093】
分布SS,Sでは、条件(a)〜(d)を満たす範囲で評価○がないが、分布Mでは、無機粒子44の含有率が比較的高いものや厚みTが比較的大きいもので、評価○があった。これは、分布Mが、5.0μmを超える粒子径の無機粒子44を、分布SS,Sよりも多く含んでいることに起因すると考えられる。5.0μmを超える粒子径の無機粒子44は極力少なくすることが望ましいと云える。そして、分布Lでは、含有率が5%程度であっても、評価○がある。分布Lでは、粒子径分布の標準偏差の2倍に相当する、分布累積値が95%となる粒子径D2δが10μmであるのに対し、分布Mでは、粒子径分布の標準偏差の3倍に相当する、分布累積値が99.7%となる粒子径D2δが10μmである。このことから、分布累積値が99.7%となる粒子径D2δを10μm以下とすること、すなわち条件(h)を満たすことで、5.0μmを超える大きい無機粒子が存在しても、その影響は小さくなる。
【0094】
分布SS,Sでは、分布Mに比べて、接着部材4の厚みTが5μm以上40μm以下の範囲において、点剥がれが好適に抑制されている。図7においては、分布SSと分布Sをそれぞれ示す線の間に位置するような分布を持つ場合にも、点剥がれを好適に抑制できる。そのため、条件(f)や条件(g)を満たすことが好ましいことが分かる。
【0095】
また、光硬化樹脂43の内、対向部材2の近くに位置する部分に比べて、固定部材4の近くに位置する部分では硬化が弱いと考えられる。そのため、面剥がれは、対向部材2の接着部材4との接着面よりも、固定部材3の接着部材4とのの接着面で生じやすくなると考えられる。しかし、固定部材3の接着部材4との接着面である上面330を、対向部材2の接着部材4との接着面である下面220よりも粗くしておくことで、対向部材2の接着部材4との接着面の表面積を大きくし、対向部材2と接着部材4の接着力を向上することができる。
【0096】
以上述べてきたように、本発明は、対向部材と固定部材、あるいは、対向部材と電子デバイスを接着する接着部材を、光硬性樹脂と無機粒子で構成した電子部品に関するものである。そして、接着部材の厚みと無機粒子の粒子径を適切に設定することにより、接着部材内で生じる可能性がある点剥がれを抑制することができる。
【0097】
以上の説明は一例であって、本発明は、特許請求の範囲および明細書に記載された技術的思想を逸脱しない範囲で、様々な改良を行うことができる。
【符号の説明】
【0098】
1 電子デバイス
2 対向部材
21 空間
3 固定部材
33 外部端子
4 接着部材
40 接着剤
41 液体組成物
42 無機粒子
43 光硬化樹脂
44 無機粒子
8 回路部材
83 接続端子
100 電子部品
1000 電子機器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスと、前記電子デバイスに対向する対向部材と、前記電子デバイスと前記対向部材を相互に固定する固定部材と、を備える電子部品であって、
前記対向部材は、前記対向部材と前記固定部材との間に配置された、光硬化樹脂および前記光硬化樹脂に分散した無機粒子を有する接着部材によって、前記固定部材に接着されており、
前記無機粒子の体積基準の粒子径分布において、分布累積値が50%となる粒子径をD50、分布累積値が90%となる粒子径をD90、前記接着部材の厚みをTとして、下記の条件(a),(b),(c)および(d)
(a) D50≧0.5μm
(b) D90≦5.0μm
(c) D90/T≦0.4
(d) 5μm≦T≦40μm
を満たすことを特徴とする電子部品。
【請求項2】
電子デバイスと、前記電子デバイスに対向する対向部材と、を備える電子部品であって、
前記対向部材は、前記電子デバイスと前記対向部材との間に配置された、光硬化樹脂および前記光硬化樹脂に分散した無機粒子を有する接着部材によって、前記電子デバイスに接着されており、
前記無機粒子の体積基準の粒子径分布において、分布累積値が50%となる粒子径をD50、分布累積値が90%となる粒子径をD90、前記接着部材の厚みをTとして、下記の条件(a),(b),(c)および(d)
(a) D50≧0.5μm
(b) D90≦5.0μm
(c) D90/T≦0.4
(d) 5μm≦T≦40μm
を満たすことを特徴とする電子部品。
【請求項3】
前記粒子径分布において、分布累積値が10%となる粒子径をD10、分布累積値が99.7%となる粒子径をD3δ、分布累積値が100%となる粒子径をDMAXとして、下記の条件(e),(f),(g),(h)および(i)
(e) D10≧0.5μm
(f) 0.9μm≦D50≦1.8μm
(g) 1.8μm≦D90≦3.5μm
(h) D3δ≦10μm
(i) DMAX≦15μm
の少なくともいずれかを満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記無機粒子の形状は薄片状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項5】
前記接着部材における前記無機粒子の含有率が5重量%以上20重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項6】
前記固定部材の前記接着部材との接着面が、前記対向部材の前記接着部材との接着面よりも粗いことを特徴とする請求項1に記載の電子部品、または、
前記電子デバイスの前記接着部材との接着面が、前記対向部材の前記接着部材との接着面よりも粗いことを特徴とする請求項2に記載の電子部品。
【請求項7】
前記対向部材と前記固定部材との間に、前記接着部材の厚みを規定する規定部材が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品、または、
前記電子デバイスと前記対向部材との間に、前記接着部材の厚みを規定する規定部材が配置されていることを特徴とする請求項2に記載の電子部品。
【請求項8】
前記接着部材は、前記電子デバイスと前記対向部材との間の空間を囲んでおり、前記接着部材の幅が、前記接着部材の前記厚みよりも大きく、前記対向部材の前記空間との接触面の面積が、前記対向部材の前記接着部材との接着面の面積よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項9】
前記電子デバイスは光電変換素子であって、前記電子デバイスの受光領域と前記対向部材との距離が200μm以上であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項10】
各々が前記電子デバイスと電気的に接続された複数の外部端子を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項11】
前記複数の外部端子は、前記電子デバイスと前記対向部材の少なくとも一方からの正射影の領域内に少なくとも設けられていることを特徴とする請求項10に記載の電子部品。
【請求項12】
請求項10または11に記載の電子部品と、接続端子を有する回路部材と、前記回路部材に接続された周辺装置と、を備える電子機器であって、前記外部端子と前記接続端子とが電気的かつ機械的に接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項13】
請求項10または11に記載の電子部品の前記外部端子を、接続端子を有する回路部材の前記接続端子に、リフローハンダ付けによって電気的かつ機械的に接続することを特徴とする電子機器の製造方法。
【請求項14】
電子デバイスと、前記電子デバイスに対向する対向部材とを備える電子部品の製造方法であって、
電子デバイスと対向部材とを相互に固定するための固定部材と前記対向部材との間に、光硬化性の液体組成物および前記液体組成物に分散した無機粒子を含有する接着剤が介在した状態で、前記対向部材を介して前記接着剤を露光して前記液体組成物を光硬化させて、前記対向部材を前記固定部材に接着する接着部材を形成する第1の工程、または、
電子デバイスと前記電子デバイスに対向した対向部材との間に、光硬化性の液体組成物および前記液体組成物に分散した多数の無機粒子を含有する接着剤が介在した状態で、前記対向部材を介して前記接着剤を露光して前記液体組成物を光硬化させて、前記対向部材を前記電子デバイスに接着する第2の工程を有し、
前記無機粒子の体積基準の粒子径分布において、分布累積値が50%となる粒子径をD50、分布累積値が90%となる粒子径をD90、前記接着部材の厚みをTとして、下記の条件(a),(b),(c)および(d)
(a) D50≧0.5μm
(b) D90≦5.0μm
(c) D90/T≦0.4
(d) 5μm≦T≦40μm
を満たすことを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項15】
前記粒子径分布において、分布累積値が10%となる粒子径をD10、分布累積値が99.7%となる粒子径をD3δ、分布累積値が100%となる粒子径をDMAXとして、下記の条件(e),(f),(g),(h)および(i)
(e) D10≧0.5μm
(f) 0.9μm≦D50≦1.8μm
(g) 1.8μm≦D90≦3.5μm
(h) D3δ≦10μm
(i) DMAX≦15μm
の少なくともいずれかを満たすことを特徴とする請求項14に記載の電子部品の製造方法。
【請求項16】
前記接着剤における前記無機粒子の含有率が5重量%以上20重量%以下であることを特徴とする請求項14または15に記載の電子部品の製造方法。
【請求項17】
前記無機粒子の形状が薄片状であって、前記接着剤の粘度が5Pa・s以上50Pa・s以下であることを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項18】
前記露光の露光波長が0.5μm以下であり、露光量が4000mJ/cm以上であり、露光時間が10分未満であることを特徴とすることを特徴とする請求項14乃至17のいずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項19】
前記接着剤は枠形状を成しており、前記接着剤を露光した後に、前記電子デバイスと前記対向部材とが対向した状態で、前記対向部材を100℃以上に加熱することを特徴とする請求項14乃至18のいずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項20】
前記第1の工程を有する電子部品の製造方法であって、前記固定部材が、第1固定部材と前記電子デバイスが接合された第2固定部材とから成り、前記第1の工程が、前記対向部材を前記第1固定部材に接着する段階と、前記対向部材が接着された前記第1固定部材と第2固定部材とを、前記対向部材が前記電子デバイスに対向するように結合する段階と、を含むことを特徴とする請求項14乃至19のいずれか1項に記載の電子部品の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−77701(P2013−77701A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216774(P2011−216774)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】