電子部品の温度制御装置
電子部品に熱的に接触するヒートシンクを介して流体循環により電子部品の温度を制御するための装置が提供される。装置は、第1の温度の第1の流体を含む第1の流体源(505)と、第2の温度の第2の流体を含む第2の流体源(510)と、第1の流体源及び第2の流体源に操作可能に接続されたサーマルチャック(500)とを備えており、サーマルチャックは、ヒートシンク(555)を通って循環されるべき第1の流体及び第2の流体を受けるように構成される。ヒートシンクに接触する電子デバイスの温度を制御する方法も提供される。方法は、目標温度を決定すること(S602)と、流体源からの流体流を開始すること(S604、S702)と、電子部品及びヒートシンクの温度データを決定すること(S606、S704)と、主として電子部品を目標温度に維持するために流体の流量を調節すること(S710、S712)とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は温度制御の分野に関し、特に、主として試験中の電子部品又は電子的構成要素の加熱及び/又は冷却を通じて設定温度を維持することに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体のような固体状態の(ソリッドステート)電子部品又は電子的構成要素は、温度によって変化する性能特性を有する。典型的には、例えば、操作中にそのような電子部品が熱を発生(すなわち自己発熱)して内部温度が上昇するのに従って、性能特性は変化する。また、ソリッドステート電子部品は種々の環境で使用され、場合によっては広い温度範囲で耐えるように使用されることもある。
【0003】
一定の性能特性を保証するためには、電子部品の温度を相対的に一定に維持することが望ましい。設計仕様を満たし正常な作動を保証するために電子部品の機能試験をするときが、まさに妥当する。例えば、テスト中デバイス(DUT)と称される電子部品は、いろいろなデバイス特性を観察するために、短絡試験や過熱試験のような耐久性処置を受けることがある。そのような試験の間には、結果を有意義なものとするために、DUTの温度は所定の試験温度又は設定温度で相対的に一定に保持されなければならない。言い換えれば、試験者は、ある観察される電気的特性が温度変化よりも他の要因に起因していることを確認できなければならない。
【0004】
一定の温度を維持するために、公知の温度制御装置は、例えば電気ヒータを通じて熱を加えるとともに、例えばヒートシンクを通じて熱を除くことができるようになっている。ヒートシンクはDUTの試験温度よりもずっと低い温度の流体を備えている。ヒータはDUTとヒートシンクの間に配置され、例えばDUTの試験に求められる温度までヒータ表面の温度を上げるように、電力がヒータに供給される。ヒートシンクは、自己発熱によって電子部品の温度が試験温度を超えて上昇した範囲において、過剰熱を相殺するとともに試験工程の間にDUTで発生した熱を除去する。電力の変動により重大かつ比較的瞬間的な自己発熱が生じるため、好ましくない温度上昇の補正に対し素早くかつ正確に反応する温度制御器が求められている。
【0005】
しかしながら、除去できる電力の総量はヒータ自体の最大電力密度(またはワット密度)によって制限される。例えば、ヒータが500ワットで動作可能であるとすると、その電力の約半分が単に試験温度を維持するためだけにヒートシンクを通して冷媒流体へと失われてしまう。従って、例えば、250ワットの電力が試験温度を維持するために必要とされる。そして、DUTに加えられた電力に応じてヒータの電力がゼロに減少したとすると、DUTから除去できる最大電力は250ワットとなる。一方、ヒータは、ヒートシンクを通して除去された熱を相殺することはできない。特にこのことは、DUT試験での現在の要求は500ワットにまで至っており、将来的にはそれを超える要求が予測されている点で問題である。加えて、ヒータはまた無用な熱抵抗や熱容量を付加したり、勾配(非熱的均一面)を誘発したり、不適切な応答時間を与えたりする。
【0006】
この種の温度制御器の改良を遂行することは難しい。例えば、ヒートシンクは、ヒートシンク能率を向上させることの阻害要因となり得るヒータと適切に平衡を保たなければならない。すなわち、例えばヒートシンクを通る流体流量を増加させたり、流体温度を下げたり、フィン効率を高めたり、及び/又はさらに効果的な流体を内蔵させたりすることで、ヒートシンクの熱除去能力が改善されると、ヒータ能力もこれに応じて、冷却能力の増加分を相殺するとともに試験温度を維持するために増加させる必要がある。
【0007】
他の温度制御器は、ヒートシンクとヒータとの組み合わせを必須とはしていないが、いまだ機能的な点で非能率である。例えば、ペルチェ素子は電圧から温度差を生じさせ、ヒートシンクとしても熱源としても効果的に作用する。しかし、ペルチェ素子の欠点は、大きな電力を除去したり高電力密度を取り扱ったりすることができないところにある。なぜなら、動的に反応するとともに電子部品から電力を除去するために必要な応答時間が不適切だからである。
【0008】
また、DUTの試験中DUTの設定温度あるいは目標温度を維持するために種々の温度の流体を混ぜて使う温度制御器は、同様の欠点を有している。異なる温度の2種類の流体が併用される場合、例えば冷却器及び/又はヒータを含む温度制御器システムは、2つの異なる温度の流体を混合することによるエネルギー損失を回復させなければならないし、また、DUTの試験中に温度制御器システムを通して流体が再循環させられるより前に、流体を再冷却/再加熱することにより失われたエネルギーを補償しなければならない。そのような装置の一つは、本明細書においてその全部の開示内容が明示的に組み入れられる国際出願番号PCT/US07/74727に開示されている。エネルギー損失を回復させるためには、温度制御器システムは、2つの流体が混合される前のそれぞれの最初の温度を得るために、前もって混合された流体を分離し、再冷却し、そして再加熱することに忙しく機能しなければならない。
【0009】
従って、試験下にある電子部品の目標温度を維持する要求を満たし、エネルギー損失を最小限に抑え、そして循環効率を最大にする(すなわち失われたエネルギーを回復させるためにシステムを忙しく機能させない)簡易化された温度制御器システムの必要性が存在する。また、価格を低減し必要な機材を最小限に抑える温度制御器システムの必要性が存在する。
【発明の開示】
【0010】
よって、本発明は、従来の温度制御器システムの欠点を克服するためになされたものである。一つの限定されない例において、本発明は、電子部品と熱的に接触するヒートシンクを介して流体循環により電子部品の温度を制御する装置を提供する。当該装置は、第1の温度の第1の流体を含む第1の流体源と、第1の温度とは異なる第2の温度の第2の流体を含む第2の流体源と、第1の供給配管を介して第1の流体源に操作可能に接続されたサーマルチャックとを含む。サーマルチャックはさらに第2の供給配管を介して第2の流体源に操作可能に接続される。サーマルチャックは、ヒートシンクを介して循環する第1の流体の流量がほぼ一定になるように構成された少なくとも一つのバルブを含む。その少なくとも一つのバルブは、さらに、ヒートシンクを介して循環する第2の流体の流量が可変となるように構成されている。サーマルチャックは、当該装置を介して再循環すべき第1の流体及び第2の流体を排出するように構成することができる。
【0011】
本発明の第2の特徴によると、当該装置は複数の帰還配管を含んでいてもよく、それら複数の帰還配管はサーマルチャックを第1の流体源及び第2の流体源に接続する。第1の流体源が操作可能な場合、第2の流体源は遮断され、電子部品の試験に先立ち第1の流体が少なくとも一つのバルブを介する第1の供給配管を通ってヒートシンクへ流れる。第2の流体源が操作可能な場合、第1の流体源は遮断され、電子部品の試験の間は第2の流体が少なくとも一つのバルブを介する第2の供給配管を通ってヒートシンクへ流れる。
【0012】
本発明の他の特徴によると、電子部品の温度は概して第1の温度に維持され、第1の流体は、通常は電子部品の目標温度を達成するために、電子部品の試験に先立ち当該装置内を循環する。あるいは、電子部品の試験の間、第2の流体が当該装置内を循環して通常は電子部品の目標温度を維持する。
【0013】
本発明の他の特徴によると、サーマルチャックは、第1の流体が第2の流体より前にヒートシンクを介して循環するように構成される。
【0014】
限定されない実施形態のさらに他の特徴においては、第2の流体の流量はヒートシンクの温度に直接的に作用する。第2の流体の流量はまた電子部品の温度変化及び/又はヒートシンクの温度変化に応じて変化する。すなわち、第2の流体の流量は、電子部品の温度変化に基づくヒートシンクの温度変化を調節可能に補償する。第2の流体の流量は電子部品の温度が上がると増加し、第2の流体の流量は電子部品の温度が下がると減少する。第2の流体の流量はヒートシンクの温度が上がると増加し、第2の流体の流量はヒートシンクの温度が下がると減少する。
【0015】
本発明の他の特徴によると、電子部品の目標温度は第1の温度とすることができ、第2の温度は第1の温度より低い温度とすることができる。
【0016】
第2の限定されない実施形態では、当該装置は、第1及び第2の温度とは異なる第3の温度の第3の流体を含む第3の流体源をさらに含み、サーマルチャックは第3の供給配管を介して第3の流体源に操作可能に接続され、少なくとも一つのバルブは、さらに、ヒートシンクを介して循環する第3の流体の流量が可変となるように構成される。
【0017】
第2の実施形態の特徴によると、第1の供給配管は、第3の流体源を第1の流体源に接続するバイパス配管を含む。この際、第1の流体源からの第1の流体は、第1の供給配管及びバイパス配管を介して第3の流体源に導かれる。第1の流体がバイパス配管を介して第3の流体源に流れる場合は、第3の流体源が操作可能とされる。第3の流体源が操作可能である場合は、第1の流体源及び第2の流体源は遮断され、電子部品の試験に先立ち、第3の流体は、最大温度に加熱されて、第3の供給配管及び少なくとも一つのバルブを介してヒートシンクへ流れる。一つの選択肢においては、第3の温度の第3の流体が最大温度に到達した場合は、第3の流体源は遮断され、電子部品の試験に先立ち通常は電子部品の目標温度を維持するために、第1の流体源が操作可能とされ、そして第1の流体が第1の供給配管及び少なくとも一つのバルブを介してヒートシンクへ流れる。第2の選択肢においては、第3の温度の第3の流体が最大温度に到達した場合は、電子部品の試験に先立ち通常は電子部品の目標温度を維持するために、少なくとも一つのバルブが第3の流体の流量を調節する。第3の選択肢もまた提供され、ここでは試験前の電子部品の目標温度を通常は維持するために第2の流体源が用いられる。
【0018】
第2の限定されない実施形態の他の特徴によると、第1の温度は電子部品の目標温度であり、第2の温度は第1の温度より低い。
【0019】
第2の限定されない実施形態の更なる特徴によると、第2の流体源が操作可能な場合は、第1の流体源及び第3の流体源は遮断され、電子部品の試験の間 、第2の流体は少なくとも一つのバルブを介する第2の供給配管を通ってヒートシンクへ流れる。
【0020】
更なる特徴によると、第3の流体は電子部品の試験に先立ち当該装置内を循環し、電子部品温度は概して目標温度に維持される。
【0021】
さらに他の特徴によると、サーマルチャックは、第3の流体が第2の流体より前にヒートシンクを介して循環するように構成される。第3の流体の流量はヒートシンクの温度に直接的に作用する。
【0022】
第2の限定されない実施形態の特徴によると、第3の温度が最大温度より低い場合は、第3の流体の流量は通常は一定であり、第3の温度が最大温度より高い場合は、第3の流体の流量は減少する。
【0023】
第2の限定されない実施形態の他の特徴によると、電子部品の目標温度は第1の温度であり、第3の温度は第1の温度及び第2の温度より高い。
【0024】
付加的な限定されない実施形態においては、本発明は、ヒートシンクに熱的に接触する電子部品の温度を制御する方法を提供する。当該方法は、第1の流体の第1の温度及び第2の流体の第2の温度を少なくとも決定することと、主として一定の割合で第1の流体を有する第1の流体源の流出を開始することと、電子部品又はヒートシンクの少なくとも一方の温度データを決定することと、第2の流体を有する第2の流体源の流出を開始することと、電子部品を主として目標温度に維持するために第2の流体の流量を調節することとを含む。当該方法は、第2の流体源からの第2の流体の流出を遮断することと、第1の流体源からの第1の流体の流出を開始することと、温度データと目標温度とを比較することと、第1の流体を主として一定流量でヒートシンクへ供給することとをさらに含むことができる。
【0025】
本発明の第2の特徴によると、当該方法は、目標温度になった電子部品を検出することと、第1の流体源からの第1の流体の流出を遮断することと、第2の流体源からの第2の流体の流出を開始することと、電子部品及びヒートシンクの温度データを決定することと、温度データと目標温度とを比較することと、温度データと目標温度との差に応じた流量で第2の流体を供給することと、主として電子部品の目標温度を維持するために流量を調節することとを含むことができる。
【0026】
本発明の他の特徴によると、当該方法は、ヒートシンクを介して第1の流体を循環することと、電子部品の温度を主として第1の温度に維持することとを含むことができる。あるいは、当該方法は、ヒートシンクを介して第2の流体を循環することと、電子部品の温度を主として目標温度に維持することとを含むことができる。
【0027】
さらに他の特徴によると、電子部品の目標温度は第1の温度である。
【0028】
さらに他の特徴によると、当該方法は、温度データが目標温度より大きい場合に第2の流体の流量を増加させることと、温度データが目標温度より小さい場合に第2の流体の流量を減少させることとを含むことができる。
【0029】
さらなる特徴によると、当該方法は、電子部品の温度、ヒートシンクの温度、電子部品の電力密度、及びヒートシンクの抵抗率を決定することを含むことができる。
【0030】
他の特徴によると、当該方法は、第2の流体の流量が調節される場合において、電子部品の温度が上がると第2の流体の流量が増加し、電子部品の温度が下がると第2の流体の流量が減少するように調節が行われることを含むことができる。より具体的には、流量の調節は、電子部品の電力密度が増加すると第2の流体の流量が増加し、電子部品の電力密度が減少すると第2の流体の流量が減少するように行われる。流量は、ヒートシンクの温度が上がると第2の流体の流量が増加し、ヒートシンクの温度が下がると第2の流体の流量が減少するように調節してもよい。その際、第2の流体の流量が増加するに従ってヒートシンクの抵抗率は減少し、第2の流体の流量が減少するに従ってヒートシンクの抵抗率は増加する。
【0031】
さらに他の特徴によると、第2の温度は第1の温度より低く、そして第1の流体と第2の流体とは混合しない。
【0032】
本発明の他の限定されない実施形態によると、当該方法は、第2の流体源からの第2の流体の流出を遮断することと、第1の流体源からの第1の流体の流出を開始することと、第1の流体を第3の流体源へ導くことと、第1の流体を加熱して第3の流体とすることと、第3の流体の第3の温度を決定することと、温度データと目標温度とを比較することと、第3の流体を所定流量でヒートシンクへ循環させることとを含むことができる。当該方法は、第1の流体源からの第1の流体を遮断することをさらに含んでいてもよい。
【0033】
この実施形態の特徴によると、当該方法は、第3の流体の第3の温度と最大温度とを比較することと、最大温度になった第3の流体を検出することと、第3の流体源からの第3の流体の流出を遮断することと、電子部品の温度を主として目標温度に維持するために第1の流体源からの第1の温度の第1の流体の流出を開始することとを含むことができる。
【0034】
この実施形態の他の特徴によると、当該方法は、第3の流体の第3の温度と最大温度とを比較することと、最大温度になった第3の流体を検出することと、電子部品の温度を主として目標温度に維持するために第3の流体の流量を調節することとを含むことができる。
【0035】
この実施形態のさらに他の特徴によると、当該方法は、第1の流体源からの第1の流体の流出を遮断することと、目標温度になった電子部品を検出することと、第2の流体源からの第2の流体の流出を開始することと、電子部品及びヒートシンクの温度データを決定することと、温度データと電子部品の目標温度とを比較することと、温度データと目標温度との差に応じた流量で第2の流体を供給することと、主として電子部品の目標温度を維持するために第2の流体の流量を調節することとを含むことができる。
【0036】
この実施形態のさらに他の特徴によると、当該方法は、第3の流体源からの第3の流体の流出を遮断することと、目標温度になった電子部品を検出することと、第2の流体源からの第2の流体の流出を開始することと、電子部品及びヒートシンクの温度データを決定することと、温度データと電子部品の目標温度とを比較することと、温度データと目標温度との差に応じた流量で第2の流体を供給することと、主として電子部品の目標温度を維持するために第2の流体の流量を調節することとを含むことができる。温度データを決定することは、電子部品の温度、ヒートシンクの温度、電子部品の電力密度、及びヒートシンクの抵抗率を決定することをさらに含む。
【0037】
この実施形態の特徴によると、電子部品の目標温度は第1の温度である。
【0038】
この実施形態の他の特徴によると、当該方法は、温度データが目標温度より大きい場合に第3の流体の流量を減少させることと、温度データが目標温度より小さい場合に第3の流体の流量を増加させることとを含むことができる。
【0039】
この実施形態のさらなる特徴によると、第3の流体の流量が増加するに従ってヒートシンクの抵抗率が増加し、第3の流体の流量が減少するに従ってヒートシンクの抵抗率が減少する。
【0040】
この実施形態のさらに他の特徴によると、第3の温度を有する第3の流体は、第1の流体の第1の温度及び第2の流体の第2の温度より高い温度を有する温媒である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
この開示は、限定されない例のための添付図面を参照した詳細な説明を提供し、同一の符号は幾つかの図面を通して同様の部材を表わす。
【図1】熱伝導要素を流れる流体流量と熱伝導要素の抵抗率との関係を表すグラフを示す。
【図2】温度制御器システムからの熱を消散させるために流体を併用した場合と低温流体のみを用いた場合とでシステムの電力要求を比較するグラフを示す。
【図3】熱伝導要素を流れる流体流量と熱伝導要素の抵抗率との関係を典型的な電力密度(熱消散)曲線とともに表すグラフを示す。
【図4】本発明の実施形態に従う温度制御器のサーマルチャックを側面から見た典型的な概略図を示す。
【図5】本発明の実施形態に従う温度制御器のバルブの典型的な概略底面図を示す。
【図6】本発明の態様に従って電子部品の温度を制御するための典型的な方法のフローチャートを示す。
【図7】本発明の他の態様に従って電子部品の温度を制御するための典型的な方法のフローチャートを示す。
【図8】本発明の第2の実施形態に従う温度制御器のサーマルチャックを側面から見た典型的な概略図を示す。
【図9】本発明の限定されない特徴であるところの電子部品試験前のソーキング処置の二つのグラフであって、電子部品の試験のための目標温度を得るのに要する時間と目標温度に到達させるのに用いられる流体の制御温度との関係を表すグラフを示す。
【図10】本発明のさらに他の態様に従って電子部品の温度を制御するための典型的な方法のフローチャートを示す。
【図10A】本発明のさらに他の態様に従って電子部品の温度を制御するための典型的な方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下の開示は、電子部品、例えば制御された環境下において試験され試験中デバイス(DUT)と称されるソリッドステート電子部品の温度を調節する装置及び方法に関する。一つの実施形態においては、それぞれ同一の温度を有する流体(限定はされないが液体、気体、粒子、顆粒又はこれらの組み合わせを含むあらゆる非固体でよい)の部分部分はヒートシンクに送られ、流体の流量はDUTの目標温度を維持し制御すべく調節される。ここで、「ヒートシンク」は、熱的に接触する目的物に対して熱を伝達し及び/又は熱的に接触する目的物からの熱を伝達するように構成され配置されたあらゆる伝熱要素又は装置(例えば、抵抗加熱器、放熱器、ヒートパイプ、クロスフロー熱交換器、等)を意味するものとして定義される。
【0043】
図1に示されるように、ヒートシンクを通過する流体の流量とヒートシンクの抵抗率(すなわちヒートシンクの熱伝導に対する抵抗、熱抵抗)との間には明確な関係がある。ヒートシンクを通る流体の流量が増加するに従ってヒートシンクの抵抗率は減少する。つまり、温度制御器システムにおいては、ヒートシンクが減少させられた抵抗率を有しているときに、ヒートシンクは、試験中のDUTの目標温度を維持し制御するために、DUTから発生した付加的な電力を消散させることができる。このように、DUT電力は、ヒートシンクを通過する流体の流量を調節することにより、ある目標温度の下で消散され制御され得る。
【0044】
図2は、温度制御器システムの電力要求を、単一温度の流体を用いた場合と異なる温度の流体をシステム内で混合して用いた場合とで比較して説明している。特に、図2は、DUTの電力密度対システム内の流体流量を示す低温流のみ曲線(Cold Flow Only Curve)を表している(曲線Aを参照)。図示されるように、電子部品の電力密度(すなわち単位面積あたりの熱)が試験中に増加するに従って、電子部品の熱増加を相殺し/消散させるために流量が増加する。図2はまた合計電力曲線(Total Power Curve)、すなわちDUTの所定の電力密度に対して2つの異なる温度で少なくとも2つの異なる流体を用いるシステムの電力要求を示す曲線を表している(曲線Bを参照)。合計電力曲線は流体流量が2L/minで一定であると仮定している。このように、DUTの周知のどんな電力密度値に対しても、異なる温度で混合され/併用された流体を用いるシステムにおいて要求される電力が決定され得る。図2はさらにDUT電力曲線(DUT Power Curve)(曲線Cを参照)、すなわち単一温度の流体を用いるシステムの電力要求を示す曲線を表している。換言すれば、試験中に用いられるその流体は、システムを循環させられるのに先立ち所定の温度に維持される。DUT電力曲線(C)は低温流のみ曲線(A)を反映する。このように、電子部品の電力が増加し電力密度が増加すると、DUTの電力密度を消散させるための流体流量も増加する。従って、電子部品の試験中に単一温度の流体を導入することは、温度制御器システムの消費電力を低減し、結局のところ可変温度の混合流体を用いる温度制御器システムと比較して温度制御器の装置の能率を増加させる。
【0045】
図1と同様に、図3は流体流量とヒートシンクの抵抗率との関係を説明するとともに、典型的な電力密度曲線を例示している。図示されるように、流量が増加するのに従ってヒートシンクの抵抗率は減少する(曲線Aを参照)。DUTの電力密度は温度差に比例しヒートシンクの抵抗率に逆比例することが知られている。電力密度を決定するための式は次のとおりである。
PD=ΔT/R
ここで、PDは電力密度、ΔTは流体温度のDUTの設定温度からの温度差、Rはヒートシンクの抵抗率である。
【0046】
すなわち、電力密度は、流体温度のDUTの設定温度からの温度差をヒートシンクの抵抗率で除して得た値により決定することができる。この点において、電力密度曲線は、ヒートシンクの抵抗率が増加するのに従って、試験中のDUTにより発生する熱を消散させるために必要な温度(温度差)もまた増加させなければならないことを説明している。従って、DUTからの熱を消散してDUTを目標温度に維持するのにシステムに要求される温度差を決定するために、DUTの電力密度の値に所定流量でのヒートシンクの抵抗率の値が乗ぜられる。このように、流体の流量が増加するのに従ってDUT(ヒートシンク)の抵抗率は減少し、その結果、試験前の設定温度とシステム内を循環している流体温度との間に要求される温度差はより小さくなる。
【0047】
従って、システムは、流量を増加させあるいは試験前のDUTの設定温度と試験中の流体温度との温度差を増加させることによって、より大きな電力をDUTから消散させることができる。つまり、流量が増加すれば温度差はそれほど大きくなくてよい。
【0048】
上述した説明に基づき、例えば、0.6L/minの流量に対しては、DUT(ヒートシンク)の抵抗率は概ね0.15℃/W/cm2であり、200W/cm2の電力密度曲線(曲線I)を用いると、計算される温度差は概ね摂氏30度(30℃又は30C)となる。従って、200W/cm2のDUTからの電力を消散させるために必要な温度差は流量0.6L/minにおいて30℃となる。もし同じ電力密度曲線において流量が概ね1.0L/minまで増加したとすれば、温度差は概ね20℃まで減少する。流量がさらに概ね2.0L/minまで増加すると(電力密度200W/cm2のDUTに対して)、温度差はさらに概ね12℃まで減少する。このように、流量が増加すると、DUTで発生する所要の熱量を消散させるために必要な温度差は小さくなる。
【0049】
上述のように得られた試験データから導き出される結果を考慮して、本発明は、試験中にDUTを一定温度に維持するために単一温度の流体を用い、エネルギー損失を最小限に抑え(流体混合と関連して)、循環効率を最大にする簡易な温度制御器システムを対象としている。
【0050】
図4は本発明の限定されない実施形態によるサーマルチャック500を概略的に表している。この実施形態では、二つの流体源(容器とも称される)、すなわち設定流体源505及び低温流体源510が用いられている。設定流体源505の流体は、低温流体源510の流体と同温度に設定することができる。あるいは、低温流体源の流体は設定流体源の流体の温度よりも低い温度であってもよい。より具体的には、設定流体源505の流体は、通常、試験前のDUTの設定(又は目標)温度と同温度に設定される(サーマルチャック500で生じ得る熱損失を考慮して)。例えばDUTの設定値が80℃である場合、設定流体源505の流体の温度は例えば85℃に設定することができる。少なくとも二つの流体源505,510は同温度であってよいものの、二つの温度は異なっていてもよく、代替可能な他の実施形態において一つ又は3以上の流体源が用いられてもよいことは、当業者に十分理解される。
【0051】
図4に示されるように、供給配管515及び520がそれぞれ設定流体源505及び低温流体源510を操作可能にサーマルチャック500に接続している。また、帰還配管515R及び520Rがサーマルチャック500を二つの流体源505及び510にそれぞれ操作可能に接続している。ここで、設定流体源505からの設定流体は供給配管515を介してサーマルチャック500へ向けられる。同様に低温流体源510からの低温流体は供給配管520を介してサーマルチャック500に向けられる。
【0052】
サーマルチャック500はマニホールド550及びヒートシンク555を含む。マニホールドは、サーマルチャック500へ流入しサーマルチャック500から流出する設定流体及び低温流体の流量を制御するための複数の調節可能なバルブ530、530R、535、535R、540を含む。バルブ530は、供給配管515からの設定流体を受け、設定流体がヒートシンク555に作用するように設定流体をバルブ540に向かわせる。同様にバルブ535は、供給配管520からの低温流体を受け、低温流体がヒートシンク555に作用するように低温流体をバルブ540に向かわせる。流体(すなわち設定流体又は低温流体)がヒートシンク555に作用した後、流体はヒートシンク555から再循環されてそれぞれ設定流体源505又は低温流体源510に戻ることができる。より具体的には、設定流体が再循環されるときには、バルブ530Rは、ヒートシンク555からの設定流体を受け、設定流体が設定流体源505に蓄えられるように帰還配管515Rを介して設定流体を設定流体源505に向かわせる。再循環された設定流体は、次いで設定流体源505において再冷却/再加熱されて、DUTの試験開始前この温度制御器システム内で再循環させることができる。低温流体が再循環されるときには、バルブ535Rは、ヒートシンク555からの低温流体を受け、低温流体が低温流体源510に蓄えられるように帰還配管520Rを介して低温流体を低温流体源510に向かわせる。再循環された低温流体は、次いで低温流体源510において再冷却/再加熱されて、DUTの試験の間この温度制御システム内で再循環させることができる。
【0053】
DUTの試験に先立ち、この温度制御システムは設定源動作(すなわちソーキング(soaking)、適切な時間一定温度に保持すること)を実行する。設定流体源505が設定流体の流出を開始すると、設定流体源505から供給配管515を介して流出された設定流体は、バルブ530及び540にまで達するようにサーマルチャック500内のマニホールド550を経由させられる。次いで設定流体は試験前のDUTをソーキングするためにヒートシンク555に作用する。ヒートシンク555を通っての設定流体の循環は、DUTが試験に好ましい設定(目標)温度に達するまで継続する。すなわち、設定流体はシステム内を再循環させられるであろう。つまり、設定流体がヒートシンク555を通過してしまった後、その通過した設定流体は、設定流体源505で再加熱/再冷却されて再びシステム内に送られるように、帰還バルブ530R及び帰還配管515Rを介して設定流体源505に帰還される。一旦目標温度に達しシステムがDUTの試験のための準備を整えたら、設定源動作は遮断され、設定流体はもはやサーマルチャック500を介してヒートシンク555には循環しない。循環の遮断は、DUTの試験が始まったときに設定流体流がシステムに入ることを中止するように、設定流体源505、供給配管515、バルブ530、帰還バルブ530R、帰還配管515Rにおいて、あるいは上述した特徴の任意の組み合わせにおいて行うことができ、また、当業者に知られている他の遮断技術において行うことができる。尚、この限定されない実施形態では、設定流体のみがDUTのソーキングのために用いられているので、DUT電力が相対的に小さい(例えば40W/cm2)場合には、電子部品の試験中にDUTパワーを消散させるために設定流体のみが必要とされる。これは受動制御と称される。例えば、電力密度(PD)が40W/cm2、熱抵抗率(R)が0.01℃/(W/cm2)の場合、温度差(ΔT)は4℃となる。つまり、試験中に発生する電子部品電力が比較的小さいとき、電子部品の温度は+/−2℃の範囲を超えては変動せず、従ってDUTの温度は設定流体を用いることのみによって容易に制御され得る。
【0054】
DUTの試験が始まるとDUTは熱を発生する。試験中、温度制御器システムは低温源動作を実行し、低温流体源510のみが用いられる。この動作においては、設定流体源505と低温流体源510の間での混合は起こらない。低温流体源510が低温流体の流出を開始すると、低温流体源510から供給配管520を介して流出された低温流体は、バルブ535及び540にまで達するようにサーマルチャック500内のマニホールド550を経由させられる。次いで低温流体がヒートシンク555に作用して、DUTからの熱が消散され試験中におけるDUTの目標温度が維持される。ヒートシンク555を通っての低温流体の循環が監視され、ある観察されたDUTの電気的特性が温度変化以外の要因に起因していることを確認するために、DUTが試験中に設定(又は目標)温度を維持するように低温流体の循環が調節される(それが適切である場合には)。
【0055】
上述したように、低温流体は試験中にシステム内を再循環させることができる。すなわち、低温流体がヒートシンク555を通過してしまった後、その通過した低温流体は、低温流体源510で再加熱/再冷却されて再びシステム内に送られるように、帰還バルブ535R及び帰還配管520Rを介して低温流体源510に帰還される。ひとたび試験が終了したら、低温流体源動作は遮断され、低温流体はもはやサーマルチャック500を介してヒートシンク555には循環しない。循環の遮断は、DUTの試験が終了したときに低温流体流がシステムに入ることを中止するように、低温流体源510、供給配管520、バルブ535、帰還バルブ535R、帰還配管520Rにおいて、あるいは上述した特徴の任意の組み合わせにおいて行うことができ、また、当業者に知られている他の遮断技術において行うことができる。
【0056】
単一温度の流体を循環させる温度制御器システムを用いることの利点(異なる温度の流体を混合させることとは対照的)は、流体が流体源において再加熱/再冷却されるようにシステム内で再循環するときのエネルギーの損失がより小さいことである。電子部品の試験中に低温流体のみを利用することは、DUTの試験中の使用のために混合されるべき流体を冷却/再冷却し加熱/再加熱するシステム内の複数の加熱器及び複数の冷却器の必要性を排除する。低温流体及び高温流体の直接の混合は、大きなエネルギー消費をもたらすだけでなく、ヒートシンク555を横断する熱勾配の変化を増大させる。さらに、システムが異なる温度の流体を混合する必要がなければ、流体の併用を通してのエネルギーの損失がなくなる。温度制御器システム内でのエネルギー損失が小さくなると、同等の所望の結果(すなわち試験中にDUTを目標温度に維持すること)を達成するためのシステムの働きを少なくすることができる。特記すべきことは、混合を通して浪費されるエネルギーが少なくなれば、目標温度又は低い温度に戻すために流体を再冷却/再加熱する冷却器/加熱器の効率が高くなる(すなわち働きが少なくなる)ことである。このように、DUTの試験中における単一流体のみの利用(すなわち低温流体のみを利用し低温流体及び高温流体の直接の混合を排除すること)は、エネルギー効率を増加させ、システムの電力消費を減少させ、且つ不要な装備を排除する。
【0057】
図5は、供給配管515及び520と連通する可調節バルブ540の底面図を概略的に示している。可調節バルブ540は、望ましくはヒートシンクの真上に搭載され、流体がヒートシンク555(図4に図示)に作用し得るように流体の所望の流量を送り出すために作動させられる。具体的には、限定されない実施形態においては、可調節バルブ540は、設定流体かそれとも低温流体を二者択一的に送り出すように制御することができ、また既にヒートシンク555に作用した流体の再循環を補助するように制御することができ、そして可調節バルブ540は帰還配管515、520R(図5に図示)を介してそれぞれ流体源505及び510に向けて流体を帰還させる。流体の流量を変化させる機能(必要に応じて圧力を下げ、維持しあるいは増加させることによる)を達成するのに適切などのような流入の形態をも可調節バルブ530、530R、535、535R及び540がとり得ることは、当業者であれば容易によく理解するであろう。そのような形態は、限定はされないが、ディスクバルブ、ゲートバルブ、プラグバルブ、グローブバルブ、チェックバルブ、バタフライバルブ、ダイアフラム&ボールバルブ、ニードルバルブ、ピンチバルブ及び同等のものを含む。また、流体流量を変化させるために、一つ又はそれ以上の適切な数のバルブを用いることもできる。
【0058】
図4は、帰還配管515R及び520Rからの作用した流体がそれぞれ設定流体源505及び低温流体源510に帰還することを示している。しかしながら、当業者であれば、代替の実施形態において、単一の流体帰還配管のみがあるいは複数の流体帰還配管がサーマルチャックから一つ又はそれ以上の流体源に向けて設けられていてもよいことはよく理解するであろう。加えて、サーマルチャック500の内部かそれとも外部で前述した併用流体の帰還が行われてもよい。
【0059】
設定流体源505及び低温流体源510は望ましくは調節可能な可変流量で流体を循環させることができるが、他の適切な異なる流体循環流量をも採用することができ、また循環流量は可変であることに代えて一定であってもよいことは当業者に理解される。可変流量は、限定はされないが、検出されたDUTの温度、検出されたヒートシンクの温度、検出されたDUTの電力密度、及び検出されたヒートシンクの抵抗率によって決定することができる。また、例えば、供給配管515及び520に流入する流体の一部分が帰還配管515R及び520Rにて流出する流体の一部分に相当するように、配管515、515R、520及び520Rは順応可能である。
【0060】
図6及び7は、本発明の種々の態様に従う電子部品の温度制御のための典型的な方法のフローチャートを示している。ステップS602では、試験中にDUTを維持するために、DUTの所望のあるいは目標の温度が温度制御器システムのために設定される。目標温度はDUTが試験されるべき設定温度(例えば90℃)とすることができる。あるいは、目標温度は電子部品が動作環境において機能すべき所望の温度(又は温度範囲)とすることができる。
【0061】
試験の開始に先立ち、設定流体源のために設定温度が決定され、低温流体源のためにある低い温度が決定され得る(S602、602a)。望ましくは設定流体のみを用いて電子部品が設定温度になるようにソーキングされるが、当業者であればソーキングの過程において低温源を用いてもよいことは十分理解するであろう。ステップS604では、設定流体の流入(設定流体源からの)が開始され、設定流体はサーマルチャック500に向けて放出される。ステップS606では、電子部品(例えばDUT)及び/又は電子部品に接触しているヒートシンクの実際の温度が測定される(すなわち温度データ)。測定された温度は次いでステップS608において所望の温度(すなわち目標/設定温度)と比較される。二つの温度が同じである場合には、ヒートシンクを通る流体流量に対してはなんら調節が行われず、ステップS614において動作が遮断される。一旦設定流量源動作が遮断されると、ステップS616において低温流体源動作を開始することができる。
【0062】
電子部品及び/又はヒートシンクの温度が変化した場合、所望の温度に到達するまでバルブ530及び540は設定流体の流量を一定流量に維持する。温度データが目標温度より小さいかあるいは大きいかにかかわらず、DUT温度が設定温度に等しくなるまで、ヒートシンクを通過する設定流体は一定流量に維持され(S610、S612)、ステップS616において試験動作の準備が整う。実際に測定された温度が目標温度に等しくない場合にはステップS606に戻り、更新された温度データが入手され、それに続くステップが必要に応じて繰り返される。しかしながら、電子部品及び/ヒートシンクの温度が変化したときにそれに従ってバルブ530及び540が流量を調節し得ることは、当業者が十分理解するであろう。すなわち、温度データが目標温度よりも小さい場合には、ステップS612でヒートシンクを流れる流体の量がバルブ530及び540により増加させられ、これによりヒートシンク温度が増加する。温度データが目標温度よりも大きい場合には、ステップS610でヒートシンクを流れる流体の量がバルブ530及び540により減少させられ、これによりヒートシンク温度及びDUT温度が減少する。いずれの場合においても、流量調節がなされた後に、更新された温度データを入手するために工程はステップS606に戻り、DUTが目標温度に対してソーキングされてステップS616で試験動作のための準備が整うまで、ステップS606に続くステップが必要に応じて繰り返される。
【0063】
実際の温度データが目標温度と等しくなった時点で、設定流体源は動作を中止し遮断され、ステップS616において低温流体流(低温流体源からの)が開始されて、そして実際の温度データ及び目標温度の監視が試験の期間のために再開される。ステップS702では、低温流体の流入が開始され、低温流体はサーマルチャック500に向けて放出される。ステップS704では、電子部品(例えばDUT)及び/又は電子部品に接触しているヒートシンクの実際の温度が測定される(すなわち温度データ)。測定された温度は次いでステップS706において所望の温度(すなわち目標温度)と比較される。二つの温度が同じである場合には、ヒートシンクを通る流体流量に対してはなんら調節が行われず、ステップS704に戻って更新された温度データが入手される。
【0064】
電子部品及び/又はヒートシンクの温度が変化した場合、これに従ってバルブ535及び540が流量を調節する。但し、設定流体(低温流体)の流量を調節するのに一方のバルブあるいは両方のバルブを用いることができることを指摘しておく。温度データが目標温度よりも小さい場合には、ステップS712でヒートシンクを流れる流体の量がバルブ535及び540により減少させられ、これによりヒートシンク温度が増加する。温度データが目標温度よりも大きい場合には、ステップS710でヒートシンクを流れる流体の量がバルブ535及び540により増加させられ、これによりヒートシンク温度が減少する。いずれの場合においても、流量調節がなされた後に、更新された温度データを入手するために低温源動作はステップS704に戻り、試験動作の終了までステップS704に続くステップが必要に応じて繰り返される。
【0065】
他の限定されない実施形態では、より素早く試験目標温度(すなわち設定温度)を得るために、温度制御器システムは試験前の急速ソーキング動作を実行することができる。この実施形態では、温度制御器システムは、図4に示される上述した特徴を含むことができ、加えてDUTの急速ソーキング動作を容易にする付加的な特徴を含む。さらに詳しくは、図8の温度制御器システムは、ヒートシンク555に放出されるべき流体を加熱するための外部加熱器を有する温媒源805を含む。この関連で、温媒源805は供給配管515から延びているバイパス配管810を介して設定流体源505からの設定流体を受ける。温媒源805はまた第3の供給配管815を介してサーマルチャック500に接続されている。
【0066】
温媒源805は、設定流体が設定流体及び低温流体よりも高い温度を有する温媒となるように設定流体を加熱する。第3の供給配管815は、ヒートシンク555を介して循環されるべき(例えば(すなわち)ヒートシンク555に作用すべき)温媒の流量を制御する高温可調節バルブ830に向けて温媒を導く。温媒がヒートシンク555に作用した後、温媒をヒートシンク555から設定流体源505に戻して再循環させることができる。より具体的には、温媒が再循環されるとき、バルブ530Rは、ヒートシンク555からの温媒を受け、温媒が設定流体源505に蓄えられるように帰還配管515Rを介して温媒を導く。再循環された温媒は、次いで設定流体源505で再冷却/再加熱され、DUTの試験の開始前に温度制御器システム内で循環させることができる。ひとたびDUTの目標温度になりDUTの試験の準備がシステムで整うと、温媒がもはやサーマルチャック500を介してヒートシンク555に循環されないように急速ソーキング動作は遮断される。循環の遮断は、DUTの試験が開始したときに温媒流がシステムに入ることを中止するように、設定流体源505、配管515、バイパス配管810、第3の供給配管815、帰還バルブ530R、帰還配管515Rにおいて、あるいは上述した特徴の任意の組み合わせにおいて行うことができ、また、当業者に知られている他の遮断技術において行うことができる。
【0067】
図9に示されるように、二つのグラフが提示されている。一つ目は第1の限定されない実施形態で説明したDUTの試験前の標準ソーキング処置を表している。二つ目はDUTの試験前の急速ソーキング処置を表している。両グラフにおいて、y軸は温度を表し、x軸は時間を表す。両処置において電子部品は時間ゼロで室温(例えば23℃)にて始まる。標準ソーキング処置が始まると、制御温度を有する流体は、設定温度(例えば90℃)まで加熱されて、電子部品温度がDUTの試験に好ましい目標温(すなわち設定温度)に到達するまで一定流量でヒートシンク555を流れる。これに対して、急速ソーキング処置の間は、制御温度を有する流体は短時間で最大温度(例えば120℃)まで熱くなる(急勾配曲線Aで表される)。次いで、電子部品温度がDUTの試験のための目標温度(すなわち設定温度)に到達しそれが維持されるように、流体はその流量を調節されあるいは遮断される。流体を最大温度にまで加熱することは、標準ソーキング処置の場合よりも素早く電子部品を試験に好ましい温度に到達させることを可能にする。
【0068】
急速ソーキング処置はまたシステム過熱としても理解される。システム過熱においては、制御温度流体は、電子部品を好ましい温度に加熱するために、好ましい温度を超えて加熱される。しかしながら、もし電子部品温度が試験に好ましい温度を超えると、システムのオーバーシュートが起こり得るし、また電子部品及び/又は装置が損傷したり試験完了時に改変された結果がもたらされるかもしれないので、システム過熱を実行する場合には注意が必要である。
【0069】
これに関連して、図10及び図10Aは、急速ソーキング処置を用いた場合における試験前の電子部品の温度制御のための方法のフローチャートを示している。ステップS1002では、DUTを維持するための所望のあるいは目標の温度が設定される。目標温度はDUTが試験されるべき設定温度(例えば90℃)とすることができる。あるいは、目標温度は電子部品が動作環境において機能すべき所望の温度(又は温度範囲)とすることができる。
【0070】
試験の開始に先立ち、設定流体源のために設定温度が決定され、温媒源のために最大温度が決定される(S1002a)。この方法は、設定流体源からの設定流体流を開始することと、バイパス配管810を介して設定流体を温媒源805に導くこととを含む。設定流体は次いで加熱されて高い温度の温媒(すなわち第3の流体)となる。
【0071】
ステップS1004では、温媒が一定の流量でヒートシンクを介して循環される。ステップS1006では、電子部品(例えばDUT)及び/又は電子部品に接触しているヒートシンクの実際の温度が測定される(すなわち温度データ)。測定された温度は次いでステップS1008において所望の温度(すなわち目標/設定温度)と比較される。二つの温度が同じである場合には、ヒートシンクを通る流体流量に対してはなんら調節が行われず、ステップS1024において温媒源及び急速ソーキング処置が遮断される。一旦急速ソーキング処置が遮断されると、ステップS1026において低温流体源動作(既述)を開始することができる。
【0072】
その一方で、実際の/測定された温度データが目標/設定温度よりも小さい場合には、その高い温度(温媒の温度)がステップS1002aで設定された最大温度と比較される。その高い温度が最大温度に等しい場合には、システム構成に応じて三つの選択肢が利用可能である。尚、これらの選択肢は互いに独立して機能し、併用されることはない。第1の例では、ステップS1012において、温媒が最大温度に到達したときに温媒を有する温媒源805が遮断される。一旦温媒源805が遮断されると、設定流体源505が操作可能となり一定流量での設定流体流を開始し(ステップS1014にて)、設定流体は供給配管515を通ってヒートシンク555に流れ、試験の開始まで電子部品を目標温度に維持する(ステップS1016にて)。代替案として、第2の例では、ステップS1018において、温媒源805が継続して温媒をヒートシンク555に向かわせる。より詳細には、少なくともバルブ830が、試験の開始まで電子部品が目標温度で維持されるように、温媒の流量を調節する。第2の例においては、温媒の流量調節は前述した低温源動作におけるのと同様であり、温媒の流量が減少するとヒートシンクの抵抗率は増加する。しかしながら、温媒の流量が増加した場合は、電子部品の温度及びヒートシンクの温度も増加する。
【0073】
第3の例では、ステップS1011において、最大温度(例えば120℃)に到達したとき、温媒を有する温媒源805が遮断される。一旦温媒源805が遮断されると、低温流体源510が操作可能となり一定流量での低温流体流を開始し、低温流体は供給配管520を通ってヒートシンク555に向けて流れる(ステップS1013にて)。しばらくすると設定温度(例えば90℃)に達し、次いで低温流体を有する低温流体源510が遮断される(ステップS1015)。一旦低温流体源510が遮断されると、設定流体源505が操作可能となり一定流量での設定流体流を開始し(ステップS1017にて)、設定流体は供給配管515を通ってヒートシンク555に流れ、試験の開始まで電子部品を目標温度に維持する(ステップS1026にて)。第3の例での代替案においては、ステップS1015において、最大温度よりも低く且つ設定温度よりも高いある温度(例えば100℃)に達したときに、低温流体を有する低温流体源510を遮断することができ、設定流体源505が操作可能となって一定流量での設定流体流を開始し(ステップS1017にて)、設定流体は供給配管515を通ってヒートシンク555に流れ、試験の開始まで電子部品を目標温度に維持する(ステップS1026にて)。
【0074】
その高い温度(温媒の温度)が最大温度よりも小さい場合には、バルブ830は、温媒の温度が最大温度に到達するまでヒートシンク555を通る温媒の一定流量を維持する(ステップS1010、S1012、S1018参照(ステップS1020参照))。温媒の温度が最大温度よりも大きい(且つ電子部品の目標温度は超えられていない)場合、温媒の流量は、試験の開始まで電子部品が目標温度に維持されるようにステップS1022(ステップS1018で列挙したステップと同様)において調節することができる。
【0075】
上述したように、開示された実施形態によると、DUTからより多くのエネルギーを消散させることができ、システムからのエネルギー損失を小さくすることができ、DUTの目標温度を制御し維持するための応答時間をより迅速にすることができるようになる。このように、結果として、開示された実施形態は、より厳密な試験を可能にし、従来の電子部品での実効的な限界であった500ワットを超えて例えば1500ワットに至る試験に対処することを可能にする。また、あらゆる環境下(試験及び/又は動作)での電子部品の温度制御がおおいに機能強化される。
【0076】
本発明はいくつかの典型的な実施形態を参照して説明され、これらは適切な方法により組み合わせることができるが、使用された用語は、限定のための用語というよりむしろ記述及び説明に用いられる用語であると理解される。本発明の範囲及び精神を逸脱しない限り、現在又は補正された添付の請求項の範囲内において変更することができる。本発明は、個々の手段、材質や実施形態を参照して説明されているが、本発明は開示された詳細に限定されることを意図しているものではない。むしろ、本発明は、添付の請求項の範囲内において、機能的に均等な構造、方法及び用途にまで及ぶ。
【技術分野】
【0001】
この開示は温度制御の分野に関し、特に、主として試験中の電子部品又は電子的構成要素の加熱及び/又は冷却を通じて設定温度を維持することに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体のような固体状態の(ソリッドステート)電子部品又は電子的構成要素は、温度によって変化する性能特性を有する。典型的には、例えば、操作中にそのような電子部品が熱を発生(すなわち自己発熱)して内部温度が上昇するのに従って、性能特性は変化する。また、ソリッドステート電子部品は種々の環境で使用され、場合によっては広い温度範囲で耐えるように使用されることもある。
【0003】
一定の性能特性を保証するためには、電子部品の温度を相対的に一定に維持することが望ましい。設計仕様を満たし正常な作動を保証するために電子部品の機能試験をするときが、まさに妥当する。例えば、テスト中デバイス(DUT)と称される電子部品は、いろいろなデバイス特性を観察するために、短絡試験や過熱試験のような耐久性処置を受けることがある。そのような試験の間には、結果を有意義なものとするために、DUTの温度は所定の試験温度又は設定温度で相対的に一定に保持されなければならない。言い換えれば、試験者は、ある観察される電気的特性が温度変化よりも他の要因に起因していることを確認できなければならない。
【0004】
一定の温度を維持するために、公知の温度制御装置は、例えば電気ヒータを通じて熱を加えるとともに、例えばヒートシンクを通じて熱を除くことができるようになっている。ヒートシンクはDUTの試験温度よりもずっと低い温度の流体を備えている。ヒータはDUTとヒートシンクの間に配置され、例えばDUTの試験に求められる温度までヒータ表面の温度を上げるように、電力がヒータに供給される。ヒートシンクは、自己発熱によって電子部品の温度が試験温度を超えて上昇した範囲において、過剰熱を相殺するとともに試験工程の間にDUTで発生した熱を除去する。電力の変動により重大かつ比較的瞬間的な自己発熱が生じるため、好ましくない温度上昇の補正に対し素早くかつ正確に反応する温度制御器が求められている。
【0005】
しかしながら、除去できる電力の総量はヒータ自体の最大電力密度(またはワット密度)によって制限される。例えば、ヒータが500ワットで動作可能であるとすると、その電力の約半分が単に試験温度を維持するためだけにヒートシンクを通して冷媒流体へと失われてしまう。従って、例えば、250ワットの電力が試験温度を維持するために必要とされる。そして、DUTに加えられた電力に応じてヒータの電力がゼロに減少したとすると、DUTから除去できる最大電力は250ワットとなる。一方、ヒータは、ヒートシンクを通して除去された熱を相殺することはできない。特にこのことは、DUT試験での現在の要求は500ワットにまで至っており、将来的にはそれを超える要求が予測されている点で問題である。加えて、ヒータはまた無用な熱抵抗や熱容量を付加したり、勾配(非熱的均一面)を誘発したり、不適切な応答時間を与えたりする。
【0006】
この種の温度制御器の改良を遂行することは難しい。例えば、ヒートシンクは、ヒートシンク能率を向上させることの阻害要因となり得るヒータと適切に平衡を保たなければならない。すなわち、例えばヒートシンクを通る流体流量を増加させたり、流体温度を下げたり、フィン効率を高めたり、及び/又はさらに効果的な流体を内蔵させたりすることで、ヒートシンクの熱除去能力が改善されると、ヒータ能力もこれに応じて、冷却能力の増加分を相殺するとともに試験温度を維持するために増加させる必要がある。
【0007】
他の温度制御器は、ヒートシンクとヒータとの組み合わせを必須とはしていないが、いまだ機能的な点で非能率である。例えば、ペルチェ素子は電圧から温度差を生じさせ、ヒートシンクとしても熱源としても効果的に作用する。しかし、ペルチェ素子の欠点は、大きな電力を除去したり高電力密度を取り扱ったりすることができないところにある。なぜなら、動的に反応するとともに電子部品から電力を除去するために必要な応答時間が不適切だからである。
【0008】
また、DUTの試験中DUTの設定温度あるいは目標温度を維持するために種々の温度の流体を混ぜて使う温度制御器は、同様の欠点を有している。異なる温度の2種類の流体が併用される場合、例えば冷却器及び/又はヒータを含む温度制御器システムは、2つの異なる温度の流体を混合することによるエネルギー損失を回復させなければならないし、また、DUTの試験中に温度制御器システムを通して流体が再循環させられるより前に、流体を再冷却/再加熱することにより失われたエネルギーを補償しなければならない。そのような装置の一つは、本明細書においてその全部の開示内容が明示的に組み入れられる国際出願番号PCT/US07/74727に開示されている。エネルギー損失を回復させるためには、温度制御器システムは、2つの流体が混合される前のそれぞれの最初の温度を得るために、前もって混合された流体を分離し、再冷却し、そして再加熱することに忙しく機能しなければならない。
【0009】
従って、試験下にある電子部品の目標温度を維持する要求を満たし、エネルギー損失を最小限に抑え、そして循環効率を最大にする(すなわち失われたエネルギーを回復させるためにシステムを忙しく機能させない)簡易化された温度制御器システムの必要性が存在する。また、価格を低減し必要な機材を最小限に抑える温度制御器システムの必要性が存在する。
【発明の開示】
【0010】
よって、本発明は、従来の温度制御器システムの欠点を克服するためになされたものである。一つの限定されない例において、本発明は、電子部品と熱的に接触するヒートシンクを介して流体循環により電子部品の温度を制御する装置を提供する。当該装置は、第1の温度の第1の流体を含む第1の流体源と、第1の温度とは異なる第2の温度の第2の流体を含む第2の流体源と、第1の供給配管を介して第1の流体源に操作可能に接続されたサーマルチャックとを含む。サーマルチャックはさらに第2の供給配管を介して第2の流体源に操作可能に接続される。サーマルチャックは、ヒートシンクを介して循環する第1の流体の流量がほぼ一定になるように構成された少なくとも一つのバルブを含む。その少なくとも一つのバルブは、さらに、ヒートシンクを介して循環する第2の流体の流量が可変となるように構成されている。サーマルチャックは、当該装置を介して再循環すべき第1の流体及び第2の流体を排出するように構成することができる。
【0011】
本発明の第2の特徴によると、当該装置は複数の帰還配管を含んでいてもよく、それら複数の帰還配管はサーマルチャックを第1の流体源及び第2の流体源に接続する。第1の流体源が操作可能な場合、第2の流体源は遮断され、電子部品の試験に先立ち第1の流体が少なくとも一つのバルブを介する第1の供給配管を通ってヒートシンクへ流れる。第2の流体源が操作可能な場合、第1の流体源は遮断され、電子部品の試験の間は第2の流体が少なくとも一つのバルブを介する第2の供給配管を通ってヒートシンクへ流れる。
【0012】
本発明の他の特徴によると、電子部品の温度は概して第1の温度に維持され、第1の流体は、通常は電子部品の目標温度を達成するために、電子部品の試験に先立ち当該装置内を循環する。あるいは、電子部品の試験の間、第2の流体が当該装置内を循環して通常は電子部品の目標温度を維持する。
【0013】
本発明の他の特徴によると、サーマルチャックは、第1の流体が第2の流体より前にヒートシンクを介して循環するように構成される。
【0014】
限定されない実施形態のさらに他の特徴においては、第2の流体の流量はヒートシンクの温度に直接的に作用する。第2の流体の流量はまた電子部品の温度変化及び/又はヒートシンクの温度変化に応じて変化する。すなわち、第2の流体の流量は、電子部品の温度変化に基づくヒートシンクの温度変化を調節可能に補償する。第2の流体の流量は電子部品の温度が上がると増加し、第2の流体の流量は電子部品の温度が下がると減少する。第2の流体の流量はヒートシンクの温度が上がると増加し、第2の流体の流量はヒートシンクの温度が下がると減少する。
【0015】
本発明の他の特徴によると、電子部品の目標温度は第1の温度とすることができ、第2の温度は第1の温度より低い温度とすることができる。
【0016】
第2の限定されない実施形態では、当該装置は、第1及び第2の温度とは異なる第3の温度の第3の流体を含む第3の流体源をさらに含み、サーマルチャックは第3の供給配管を介して第3の流体源に操作可能に接続され、少なくとも一つのバルブは、さらに、ヒートシンクを介して循環する第3の流体の流量が可変となるように構成される。
【0017】
第2の実施形態の特徴によると、第1の供給配管は、第3の流体源を第1の流体源に接続するバイパス配管を含む。この際、第1の流体源からの第1の流体は、第1の供給配管及びバイパス配管を介して第3の流体源に導かれる。第1の流体がバイパス配管を介して第3の流体源に流れる場合は、第3の流体源が操作可能とされる。第3の流体源が操作可能である場合は、第1の流体源及び第2の流体源は遮断され、電子部品の試験に先立ち、第3の流体は、最大温度に加熱されて、第3の供給配管及び少なくとも一つのバルブを介してヒートシンクへ流れる。一つの選択肢においては、第3の温度の第3の流体が最大温度に到達した場合は、第3の流体源は遮断され、電子部品の試験に先立ち通常は電子部品の目標温度を維持するために、第1の流体源が操作可能とされ、そして第1の流体が第1の供給配管及び少なくとも一つのバルブを介してヒートシンクへ流れる。第2の選択肢においては、第3の温度の第3の流体が最大温度に到達した場合は、電子部品の試験に先立ち通常は電子部品の目標温度を維持するために、少なくとも一つのバルブが第3の流体の流量を調節する。第3の選択肢もまた提供され、ここでは試験前の電子部品の目標温度を通常は維持するために第2の流体源が用いられる。
【0018】
第2の限定されない実施形態の他の特徴によると、第1の温度は電子部品の目標温度であり、第2の温度は第1の温度より低い。
【0019】
第2の限定されない実施形態の更なる特徴によると、第2の流体源が操作可能な場合は、第1の流体源及び第3の流体源は遮断され、電子部品の試験の間 、第2の流体は少なくとも一つのバルブを介する第2の供給配管を通ってヒートシンクへ流れる。
【0020】
更なる特徴によると、第3の流体は電子部品の試験に先立ち当該装置内を循環し、電子部品温度は概して目標温度に維持される。
【0021】
さらに他の特徴によると、サーマルチャックは、第3の流体が第2の流体より前にヒートシンクを介して循環するように構成される。第3の流体の流量はヒートシンクの温度に直接的に作用する。
【0022】
第2の限定されない実施形態の特徴によると、第3の温度が最大温度より低い場合は、第3の流体の流量は通常は一定であり、第3の温度が最大温度より高い場合は、第3の流体の流量は減少する。
【0023】
第2の限定されない実施形態の他の特徴によると、電子部品の目標温度は第1の温度であり、第3の温度は第1の温度及び第2の温度より高い。
【0024】
付加的な限定されない実施形態においては、本発明は、ヒートシンクに熱的に接触する電子部品の温度を制御する方法を提供する。当該方法は、第1の流体の第1の温度及び第2の流体の第2の温度を少なくとも決定することと、主として一定の割合で第1の流体を有する第1の流体源の流出を開始することと、電子部品又はヒートシンクの少なくとも一方の温度データを決定することと、第2の流体を有する第2の流体源の流出を開始することと、電子部品を主として目標温度に維持するために第2の流体の流量を調節することとを含む。当該方法は、第2の流体源からの第2の流体の流出を遮断することと、第1の流体源からの第1の流体の流出を開始することと、温度データと目標温度とを比較することと、第1の流体を主として一定流量でヒートシンクへ供給することとをさらに含むことができる。
【0025】
本発明の第2の特徴によると、当該方法は、目標温度になった電子部品を検出することと、第1の流体源からの第1の流体の流出を遮断することと、第2の流体源からの第2の流体の流出を開始することと、電子部品及びヒートシンクの温度データを決定することと、温度データと目標温度とを比較することと、温度データと目標温度との差に応じた流量で第2の流体を供給することと、主として電子部品の目標温度を維持するために流量を調節することとを含むことができる。
【0026】
本発明の他の特徴によると、当該方法は、ヒートシンクを介して第1の流体を循環することと、電子部品の温度を主として第1の温度に維持することとを含むことができる。あるいは、当該方法は、ヒートシンクを介して第2の流体を循環することと、電子部品の温度を主として目標温度に維持することとを含むことができる。
【0027】
さらに他の特徴によると、電子部品の目標温度は第1の温度である。
【0028】
さらに他の特徴によると、当該方法は、温度データが目標温度より大きい場合に第2の流体の流量を増加させることと、温度データが目標温度より小さい場合に第2の流体の流量を減少させることとを含むことができる。
【0029】
さらなる特徴によると、当該方法は、電子部品の温度、ヒートシンクの温度、電子部品の電力密度、及びヒートシンクの抵抗率を決定することを含むことができる。
【0030】
他の特徴によると、当該方法は、第2の流体の流量が調節される場合において、電子部品の温度が上がると第2の流体の流量が増加し、電子部品の温度が下がると第2の流体の流量が減少するように調節が行われることを含むことができる。より具体的には、流量の調節は、電子部品の電力密度が増加すると第2の流体の流量が増加し、電子部品の電力密度が減少すると第2の流体の流量が減少するように行われる。流量は、ヒートシンクの温度が上がると第2の流体の流量が増加し、ヒートシンクの温度が下がると第2の流体の流量が減少するように調節してもよい。その際、第2の流体の流量が増加するに従ってヒートシンクの抵抗率は減少し、第2の流体の流量が減少するに従ってヒートシンクの抵抗率は増加する。
【0031】
さらに他の特徴によると、第2の温度は第1の温度より低く、そして第1の流体と第2の流体とは混合しない。
【0032】
本発明の他の限定されない実施形態によると、当該方法は、第2の流体源からの第2の流体の流出を遮断することと、第1の流体源からの第1の流体の流出を開始することと、第1の流体を第3の流体源へ導くことと、第1の流体を加熱して第3の流体とすることと、第3の流体の第3の温度を決定することと、温度データと目標温度とを比較することと、第3の流体を所定流量でヒートシンクへ循環させることとを含むことができる。当該方法は、第1の流体源からの第1の流体を遮断することをさらに含んでいてもよい。
【0033】
この実施形態の特徴によると、当該方法は、第3の流体の第3の温度と最大温度とを比較することと、最大温度になった第3の流体を検出することと、第3の流体源からの第3の流体の流出を遮断することと、電子部品の温度を主として目標温度に維持するために第1の流体源からの第1の温度の第1の流体の流出を開始することとを含むことができる。
【0034】
この実施形態の他の特徴によると、当該方法は、第3の流体の第3の温度と最大温度とを比較することと、最大温度になった第3の流体を検出することと、電子部品の温度を主として目標温度に維持するために第3の流体の流量を調節することとを含むことができる。
【0035】
この実施形態のさらに他の特徴によると、当該方法は、第1の流体源からの第1の流体の流出を遮断することと、目標温度になった電子部品を検出することと、第2の流体源からの第2の流体の流出を開始することと、電子部品及びヒートシンクの温度データを決定することと、温度データと電子部品の目標温度とを比較することと、温度データと目標温度との差に応じた流量で第2の流体を供給することと、主として電子部品の目標温度を維持するために第2の流体の流量を調節することとを含むことができる。
【0036】
この実施形態のさらに他の特徴によると、当該方法は、第3の流体源からの第3の流体の流出を遮断することと、目標温度になった電子部品を検出することと、第2の流体源からの第2の流体の流出を開始することと、電子部品及びヒートシンクの温度データを決定することと、温度データと電子部品の目標温度とを比較することと、温度データと目標温度との差に応じた流量で第2の流体を供給することと、主として電子部品の目標温度を維持するために第2の流体の流量を調節することとを含むことができる。温度データを決定することは、電子部品の温度、ヒートシンクの温度、電子部品の電力密度、及びヒートシンクの抵抗率を決定することをさらに含む。
【0037】
この実施形態の特徴によると、電子部品の目標温度は第1の温度である。
【0038】
この実施形態の他の特徴によると、当該方法は、温度データが目標温度より大きい場合に第3の流体の流量を減少させることと、温度データが目標温度より小さい場合に第3の流体の流量を増加させることとを含むことができる。
【0039】
この実施形態のさらなる特徴によると、第3の流体の流量が増加するに従ってヒートシンクの抵抗率が増加し、第3の流体の流量が減少するに従ってヒートシンクの抵抗率が減少する。
【0040】
この実施形態のさらに他の特徴によると、第3の温度を有する第3の流体は、第1の流体の第1の温度及び第2の流体の第2の温度より高い温度を有する温媒である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
この開示は、限定されない例のための添付図面を参照した詳細な説明を提供し、同一の符号は幾つかの図面を通して同様の部材を表わす。
【図1】熱伝導要素を流れる流体流量と熱伝導要素の抵抗率との関係を表すグラフを示す。
【図2】温度制御器システムからの熱を消散させるために流体を併用した場合と低温流体のみを用いた場合とでシステムの電力要求を比較するグラフを示す。
【図3】熱伝導要素を流れる流体流量と熱伝導要素の抵抗率との関係を典型的な電力密度(熱消散)曲線とともに表すグラフを示す。
【図4】本発明の実施形態に従う温度制御器のサーマルチャックを側面から見た典型的な概略図を示す。
【図5】本発明の実施形態に従う温度制御器のバルブの典型的な概略底面図を示す。
【図6】本発明の態様に従って電子部品の温度を制御するための典型的な方法のフローチャートを示す。
【図7】本発明の他の態様に従って電子部品の温度を制御するための典型的な方法のフローチャートを示す。
【図8】本発明の第2の実施形態に従う温度制御器のサーマルチャックを側面から見た典型的な概略図を示す。
【図9】本発明の限定されない特徴であるところの電子部品試験前のソーキング処置の二つのグラフであって、電子部品の試験のための目標温度を得るのに要する時間と目標温度に到達させるのに用いられる流体の制御温度との関係を表すグラフを示す。
【図10】本発明のさらに他の態様に従って電子部品の温度を制御するための典型的な方法のフローチャートを示す。
【図10A】本発明のさらに他の態様に従って電子部品の温度を制御するための典型的な方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下の開示は、電子部品、例えば制御された環境下において試験され試験中デバイス(DUT)と称されるソリッドステート電子部品の温度を調節する装置及び方法に関する。一つの実施形態においては、それぞれ同一の温度を有する流体(限定はされないが液体、気体、粒子、顆粒又はこれらの組み合わせを含むあらゆる非固体でよい)の部分部分はヒートシンクに送られ、流体の流量はDUTの目標温度を維持し制御すべく調節される。ここで、「ヒートシンク」は、熱的に接触する目的物に対して熱を伝達し及び/又は熱的に接触する目的物からの熱を伝達するように構成され配置されたあらゆる伝熱要素又は装置(例えば、抵抗加熱器、放熱器、ヒートパイプ、クロスフロー熱交換器、等)を意味するものとして定義される。
【0043】
図1に示されるように、ヒートシンクを通過する流体の流量とヒートシンクの抵抗率(すなわちヒートシンクの熱伝導に対する抵抗、熱抵抗)との間には明確な関係がある。ヒートシンクを通る流体の流量が増加するに従ってヒートシンクの抵抗率は減少する。つまり、温度制御器システムにおいては、ヒートシンクが減少させられた抵抗率を有しているときに、ヒートシンクは、試験中のDUTの目標温度を維持し制御するために、DUTから発生した付加的な電力を消散させることができる。このように、DUT電力は、ヒートシンクを通過する流体の流量を調節することにより、ある目標温度の下で消散され制御され得る。
【0044】
図2は、温度制御器システムの電力要求を、単一温度の流体を用いた場合と異なる温度の流体をシステム内で混合して用いた場合とで比較して説明している。特に、図2は、DUTの電力密度対システム内の流体流量を示す低温流のみ曲線(Cold Flow Only Curve)を表している(曲線Aを参照)。図示されるように、電子部品の電力密度(すなわち単位面積あたりの熱)が試験中に増加するに従って、電子部品の熱増加を相殺し/消散させるために流量が増加する。図2はまた合計電力曲線(Total Power Curve)、すなわちDUTの所定の電力密度に対して2つの異なる温度で少なくとも2つの異なる流体を用いるシステムの電力要求を示す曲線を表している(曲線Bを参照)。合計電力曲線は流体流量が2L/minで一定であると仮定している。このように、DUTの周知のどんな電力密度値に対しても、異なる温度で混合され/併用された流体を用いるシステムにおいて要求される電力が決定され得る。図2はさらにDUT電力曲線(DUT Power Curve)(曲線Cを参照)、すなわち単一温度の流体を用いるシステムの電力要求を示す曲線を表している。換言すれば、試験中に用いられるその流体は、システムを循環させられるのに先立ち所定の温度に維持される。DUT電力曲線(C)は低温流のみ曲線(A)を反映する。このように、電子部品の電力が増加し電力密度が増加すると、DUTの電力密度を消散させるための流体流量も増加する。従って、電子部品の試験中に単一温度の流体を導入することは、温度制御器システムの消費電力を低減し、結局のところ可変温度の混合流体を用いる温度制御器システムと比較して温度制御器の装置の能率を増加させる。
【0045】
図1と同様に、図3は流体流量とヒートシンクの抵抗率との関係を説明するとともに、典型的な電力密度曲線を例示している。図示されるように、流量が増加するのに従ってヒートシンクの抵抗率は減少する(曲線Aを参照)。DUTの電力密度は温度差に比例しヒートシンクの抵抗率に逆比例することが知られている。電力密度を決定するための式は次のとおりである。
PD=ΔT/R
ここで、PDは電力密度、ΔTは流体温度のDUTの設定温度からの温度差、Rはヒートシンクの抵抗率である。
【0046】
すなわち、電力密度は、流体温度のDUTの設定温度からの温度差をヒートシンクの抵抗率で除して得た値により決定することができる。この点において、電力密度曲線は、ヒートシンクの抵抗率が増加するのに従って、試験中のDUTにより発生する熱を消散させるために必要な温度(温度差)もまた増加させなければならないことを説明している。従って、DUTからの熱を消散してDUTを目標温度に維持するのにシステムに要求される温度差を決定するために、DUTの電力密度の値に所定流量でのヒートシンクの抵抗率の値が乗ぜられる。このように、流体の流量が増加するのに従ってDUT(ヒートシンク)の抵抗率は減少し、その結果、試験前の設定温度とシステム内を循環している流体温度との間に要求される温度差はより小さくなる。
【0047】
従って、システムは、流量を増加させあるいは試験前のDUTの設定温度と試験中の流体温度との温度差を増加させることによって、より大きな電力をDUTから消散させることができる。つまり、流量が増加すれば温度差はそれほど大きくなくてよい。
【0048】
上述した説明に基づき、例えば、0.6L/minの流量に対しては、DUT(ヒートシンク)の抵抗率は概ね0.15℃/W/cm2であり、200W/cm2の電力密度曲線(曲線I)を用いると、計算される温度差は概ね摂氏30度(30℃又は30C)となる。従って、200W/cm2のDUTからの電力を消散させるために必要な温度差は流量0.6L/minにおいて30℃となる。もし同じ電力密度曲線において流量が概ね1.0L/minまで増加したとすれば、温度差は概ね20℃まで減少する。流量がさらに概ね2.0L/minまで増加すると(電力密度200W/cm2のDUTに対して)、温度差はさらに概ね12℃まで減少する。このように、流量が増加すると、DUTで発生する所要の熱量を消散させるために必要な温度差は小さくなる。
【0049】
上述のように得られた試験データから導き出される結果を考慮して、本発明は、試験中にDUTを一定温度に維持するために単一温度の流体を用い、エネルギー損失を最小限に抑え(流体混合と関連して)、循環効率を最大にする簡易な温度制御器システムを対象としている。
【0050】
図4は本発明の限定されない実施形態によるサーマルチャック500を概略的に表している。この実施形態では、二つの流体源(容器とも称される)、すなわち設定流体源505及び低温流体源510が用いられている。設定流体源505の流体は、低温流体源510の流体と同温度に設定することができる。あるいは、低温流体源の流体は設定流体源の流体の温度よりも低い温度であってもよい。より具体的には、設定流体源505の流体は、通常、試験前のDUTの設定(又は目標)温度と同温度に設定される(サーマルチャック500で生じ得る熱損失を考慮して)。例えばDUTの設定値が80℃である場合、設定流体源505の流体の温度は例えば85℃に設定することができる。少なくとも二つの流体源505,510は同温度であってよいものの、二つの温度は異なっていてもよく、代替可能な他の実施形態において一つ又は3以上の流体源が用いられてもよいことは、当業者に十分理解される。
【0051】
図4に示されるように、供給配管515及び520がそれぞれ設定流体源505及び低温流体源510を操作可能にサーマルチャック500に接続している。また、帰還配管515R及び520Rがサーマルチャック500を二つの流体源505及び510にそれぞれ操作可能に接続している。ここで、設定流体源505からの設定流体は供給配管515を介してサーマルチャック500へ向けられる。同様に低温流体源510からの低温流体は供給配管520を介してサーマルチャック500に向けられる。
【0052】
サーマルチャック500はマニホールド550及びヒートシンク555を含む。マニホールドは、サーマルチャック500へ流入しサーマルチャック500から流出する設定流体及び低温流体の流量を制御するための複数の調節可能なバルブ530、530R、535、535R、540を含む。バルブ530は、供給配管515からの設定流体を受け、設定流体がヒートシンク555に作用するように設定流体をバルブ540に向かわせる。同様にバルブ535は、供給配管520からの低温流体を受け、低温流体がヒートシンク555に作用するように低温流体をバルブ540に向かわせる。流体(すなわち設定流体又は低温流体)がヒートシンク555に作用した後、流体はヒートシンク555から再循環されてそれぞれ設定流体源505又は低温流体源510に戻ることができる。より具体的には、設定流体が再循環されるときには、バルブ530Rは、ヒートシンク555からの設定流体を受け、設定流体が設定流体源505に蓄えられるように帰還配管515Rを介して設定流体を設定流体源505に向かわせる。再循環された設定流体は、次いで設定流体源505において再冷却/再加熱されて、DUTの試験開始前この温度制御器システム内で再循環させることができる。低温流体が再循環されるときには、バルブ535Rは、ヒートシンク555からの低温流体を受け、低温流体が低温流体源510に蓄えられるように帰還配管520Rを介して低温流体を低温流体源510に向かわせる。再循環された低温流体は、次いで低温流体源510において再冷却/再加熱されて、DUTの試験の間この温度制御システム内で再循環させることができる。
【0053】
DUTの試験に先立ち、この温度制御システムは設定源動作(すなわちソーキング(soaking)、適切な時間一定温度に保持すること)を実行する。設定流体源505が設定流体の流出を開始すると、設定流体源505から供給配管515を介して流出された設定流体は、バルブ530及び540にまで達するようにサーマルチャック500内のマニホールド550を経由させられる。次いで設定流体は試験前のDUTをソーキングするためにヒートシンク555に作用する。ヒートシンク555を通っての設定流体の循環は、DUTが試験に好ましい設定(目標)温度に達するまで継続する。すなわち、設定流体はシステム内を再循環させられるであろう。つまり、設定流体がヒートシンク555を通過してしまった後、その通過した設定流体は、設定流体源505で再加熱/再冷却されて再びシステム内に送られるように、帰還バルブ530R及び帰還配管515Rを介して設定流体源505に帰還される。一旦目標温度に達しシステムがDUTの試験のための準備を整えたら、設定源動作は遮断され、設定流体はもはやサーマルチャック500を介してヒートシンク555には循環しない。循環の遮断は、DUTの試験が始まったときに設定流体流がシステムに入ることを中止するように、設定流体源505、供給配管515、バルブ530、帰還バルブ530R、帰還配管515Rにおいて、あるいは上述した特徴の任意の組み合わせにおいて行うことができ、また、当業者に知られている他の遮断技術において行うことができる。尚、この限定されない実施形態では、設定流体のみがDUTのソーキングのために用いられているので、DUT電力が相対的に小さい(例えば40W/cm2)場合には、電子部品の試験中にDUTパワーを消散させるために設定流体のみが必要とされる。これは受動制御と称される。例えば、電力密度(PD)が40W/cm2、熱抵抗率(R)が0.01℃/(W/cm2)の場合、温度差(ΔT)は4℃となる。つまり、試験中に発生する電子部品電力が比較的小さいとき、電子部品の温度は+/−2℃の範囲を超えては変動せず、従ってDUTの温度は設定流体を用いることのみによって容易に制御され得る。
【0054】
DUTの試験が始まるとDUTは熱を発生する。試験中、温度制御器システムは低温源動作を実行し、低温流体源510のみが用いられる。この動作においては、設定流体源505と低温流体源510の間での混合は起こらない。低温流体源510が低温流体の流出を開始すると、低温流体源510から供給配管520を介して流出された低温流体は、バルブ535及び540にまで達するようにサーマルチャック500内のマニホールド550を経由させられる。次いで低温流体がヒートシンク555に作用して、DUTからの熱が消散され試験中におけるDUTの目標温度が維持される。ヒートシンク555を通っての低温流体の循環が監視され、ある観察されたDUTの電気的特性が温度変化以外の要因に起因していることを確認するために、DUTが試験中に設定(又は目標)温度を維持するように低温流体の循環が調節される(それが適切である場合には)。
【0055】
上述したように、低温流体は試験中にシステム内を再循環させることができる。すなわち、低温流体がヒートシンク555を通過してしまった後、その通過した低温流体は、低温流体源510で再加熱/再冷却されて再びシステム内に送られるように、帰還バルブ535R及び帰還配管520Rを介して低温流体源510に帰還される。ひとたび試験が終了したら、低温流体源動作は遮断され、低温流体はもはやサーマルチャック500を介してヒートシンク555には循環しない。循環の遮断は、DUTの試験が終了したときに低温流体流がシステムに入ることを中止するように、低温流体源510、供給配管520、バルブ535、帰還バルブ535R、帰還配管520Rにおいて、あるいは上述した特徴の任意の組み合わせにおいて行うことができ、また、当業者に知られている他の遮断技術において行うことができる。
【0056】
単一温度の流体を循環させる温度制御器システムを用いることの利点(異なる温度の流体を混合させることとは対照的)は、流体が流体源において再加熱/再冷却されるようにシステム内で再循環するときのエネルギーの損失がより小さいことである。電子部品の試験中に低温流体のみを利用することは、DUTの試験中の使用のために混合されるべき流体を冷却/再冷却し加熱/再加熱するシステム内の複数の加熱器及び複数の冷却器の必要性を排除する。低温流体及び高温流体の直接の混合は、大きなエネルギー消費をもたらすだけでなく、ヒートシンク555を横断する熱勾配の変化を増大させる。さらに、システムが異なる温度の流体を混合する必要がなければ、流体の併用を通してのエネルギーの損失がなくなる。温度制御器システム内でのエネルギー損失が小さくなると、同等の所望の結果(すなわち試験中にDUTを目標温度に維持すること)を達成するためのシステムの働きを少なくすることができる。特記すべきことは、混合を通して浪費されるエネルギーが少なくなれば、目標温度又は低い温度に戻すために流体を再冷却/再加熱する冷却器/加熱器の効率が高くなる(すなわち働きが少なくなる)ことである。このように、DUTの試験中における単一流体のみの利用(すなわち低温流体のみを利用し低温流体及び高温流体の直接の混合を排除すること)は、エネルギー効率を増加させ、システムの電力消費を減少させ、且つ不要な装備を排除する。
【0057】
図5は、供給配管515及び520と連通する可調節バルブ540の底面図を概略的に示している。可調節バルブ540は、望ましくはヒートシンクの真上に搭載され、流体がヒートシンク555(図4に図示)に作用し得るように流体の所望の流量を送り出すために作動させられる。具体的には、限定されない実施形態においては、可調節バルブ540は、設定流体かそれとも低温流体を二者択一的に送り出すように制御することができ、また既にヒートシンク555に作用した流体の再循環を補助するように制御することができ、そして可調節バルブ540は帰還配管515、520R(図5に図示)を介してそれぞれ流体源505及び510に向けて流体を帰還させる。流体の流量を変化させる機能(必要に応じて圧力を下げ、維持しあるいは増加させることによる)を達成するのに適切などのような流入の形態をも可調節バルブ530、530R、535、535R及び540がとり得ることは、当業者であれば容易によく理解するであろう。そのような形態は、限定はされないが、ディスクバルブ、ゲートバルブ、プラグバルブ、グローブバルブ、チェックバルブ、バタフライバルブ、ダイアフラム&ボールバルブ、ニードルバルブ、ピンチバルブ及び同等のものを含む。また、流体流量を変化させるために、一つ又はそれ以上の適切な数のバルブを用いることもできる。
【0058】
図4は、帰還配管515R及び520Rからの作用した流体がそれぞれ設定流体源505及び低温流体源510に帰還することを示している。しかしながら、当業者であれば、代替の実施形態において、単一の流体帰還配管のみがあるいは複数の流体帰還配管がサーマルチャックから一つ又はそれ以上の流体源に向けて設けられていてもよいことはよく理解するであろう。加えて、サーマルチャック500の内部かそれとも外部で前述した併用流体の帰還が行われてもよい。
【0059】
設定流体源505及び低温流体源510は望ましくは調節可能な可変流量で流体を循環させることができるが、他の適切な異なる流体循環流量をも採用することができ、また循環流量は可変であることに代えて一定であってもよいことは当業者に理解される。可変流量は、限定はされないが、検出されたDUTの温度、検出されたヒートシンクの温度、検出されたDUTの電力密度、及び検出されたヒートシンクの抵抗率によって決定することができる。また、例えば、供給配管515及び520に流入する流体の一部分が帰還配管515R及び520Rにて流出する流体の一部分に相当するように、配管515、515R、520及び520Rは順応可能である。
【0060】
図6及び7は、本発明の種々の態様に従う電子部品の温度制御のための典型的な方法のフローチャートを示している。ステップS602では、試験中にDUTを維持するために、DUTの所望のあるいは目標の温度が温度制御器システムのために設定される。目標温度はDUTが試験されるべき設定温度(例えば90℃)とすることができる。あるいは、目標温度は電子部品が動作環境において機能すべき所望の温度(又は温度範囲)とすることができる。
【0061】
試験の開始に先立ち、設定流体源のために設定温度が決定され、低温流体源のためにある低い温度が決定され得る(S602、602a)。望ましくは設定流体のみを用いて電子部品が設定温度になるようにソーキングされるが、当業者であればソーキングの過程において低温源を用いてもよいことは十分理解するであろう。ステップS604では、設定流体の流入(設定流体源からの)が開始され、設定流体はサーマルチャック500に向けて放出される。ステップS606では、電子部品(例えばDUT)及び/又は電子部品に接触しているヒートシンクの実際の温度が測定される(すなわち温度データ)。測定された温度は次いでステップS608において所望の温度(すなわち目標/設定温度)と比較される。二つの温度が同じである場合には、ヒートシンクを通る流体流量に対してはなんら調節が行われず、ステップS614において動作が遮断される。一旦設定流量源動作が遮断されると、ステップS616において低温流体源動作を開始することができる。
【0062】
電子部品及び/又はヒートシンクの温度が変化した場合、所望の温度に到達するまでバルブ530及び540は設定流体の流量を一定流量に維持する。温度データが目標温度より小さいかあるいは大きいかにかかわらず、DUT温度が設定温度に等しくなるまで、ヒートシンクを通過する設定流体は一定流量に維持され(S610、S612)、ステップS616において試験動作の準備が整う。実際に測定された温度が目標温度に等しくない場合にはステップS606に戻り、更新された温度データが入手され、それに続くステップが必要に応じて繰り返される。しかしながら、電子部品及び/ヒートシンクの温度が変化したときにそれに従ってバルブ530及び540が流量を調節し得ることは、当業者が十分理解するであろう。すなわち、温度データが目標温度よりも小さい場合には、ステップS612でヒートシンクを流れる流体の量がバルブ530及び540により増加させられ、これによりヒートシンク温度が増加する。温度データが目標温度よりも大きい場合には、ステップS610でヒートシンクを流れる流体の量がバルブ530及び540により減少させられ、これによりヒートシンク温度及びDUT温度が減少する。いずれの場合においても、流量調節がなされた後に、更新された温度データを入手するために工程はステップS606に戻り、DUTが目標温度に対してソーキングされてステップS616で試験動作のための準備が整うまで、ステップS606に続くステップが必要に応じて繰り返される。
【0063】
実際の温度データが目標温度と等しくなった時点で、設定流体源は動作を中止し遮断され、ステップS616において低温流体流(低温流体源からの)が開始されて、そして実際の温度データ及び目標温度の監視が試験の期間のために再開される。ステップS702では、低温流体の流入が開始され、低温流体はサーマルチャック500に向けて放出される。ステップS704では、電子部品(例えばDUT)及び/又は電子部品に接触しているヒートシンクの実際の温度が測定される(すなわち温度データ)。測定された温度は次いでステップS706において所望の温度(すなわち目標温度)と比較される。二つの温度が同じである場合には、ヒートシンクを通る流体流量に対してはなんら調節が行われず、ステップS704に戻って更新された温度データが入手される。
【0064】
電子部品及び/又はヒートシンクの温度が変化した場合、これに従ってバルブ535及び540が流量を調節する。但し、設定流体(低温流体)の流量を調節するのに一方のバルブあるいは両方のバルブを用いることができることを指摘しておく。温度データが目標温度よりも小さい場合には、ステップS712でヒートシンクを流れる流体の量がバルブ535及び540により減少させられ、これによりヒートシンク温度が増加する。温度データが目標温度よりも大きい場合には、ステップS710でヒートシンクを流れる流体の量がバルブ535及び540により増加させられ、これによりヒートシンク温度が減少する。いずれの場合においても、流量調節がなされた後に、更新された温度データを入手するために低温源動作はステップS704に戻り、試験動作の終了までステップS704に続くステップが必要に応じて繰り返される。
【0065】
他の限定されない実施形態では、より素早く試験目標温度(すなわち設定温度)を得るために、温度制御器システムは試験前の急速ソーキング動作を実行することができる。この実施形態では、温度制御器システムは、図4に示される上述した特徴を含むことができ、加えてDUTの急速ソーキング動作を容易にする付加的な特徴を含む。さらに詳しくは、図8の温度制御器システムは、ヒートシンク555に放出されるべき流体を加熱するための外部加熱器を有する温媒源805を含む。この関連で、温媒源805は供給配管515から延びているバイパス配管810を介して設定流体源505からの設定流体を受ける。温媒源805はまた第3の供給配管815を介してサーマルチャック500に接続されている。
【0066】
温媒源805は、設定流体が設定流体及び低温流体よりも高い温度を有する温媒となるように設定流体を加熱する。第3の供給配管815は、ヒートシンク555を介して循環されるべき(例えば(すなわち)ヒートシンク555に作用すべき)温媒の流量を制御する高温可調節バルブ830に向けて温媒を導く。温媒がヒートシンク555に作用した後、温媒をヒートシンク555から設定流体源505に戻して再循環させることができる。より具体的には、温媒が再循環されるとき、バルブ530Rは、ヒートシンク555からの温媒を受け、温媒が設定流体源505に蓄えられるように帰還配管515Rを介して温媒を導く。再循環された温媒は、次いで設定流体源505で再冷却/再加熱され、DUTの試験の開始前に温度制御器システム内で循環させることができる。ひとたびDUTの目標温度になりDUTの試験の準備がシステムで整うと、温媒がもはやサーマルチャック500を介してヒートシンク555に循環されないように急速ソーキング動作は遮断される。循環の遮断は、DUTの試験が開始したときに温媒流がシステムに入ることを中止するように、設定流体源505、配管515、バイパス配管810、第3の供給配管815、帰還バルブ530R、帰還配管515Rにおいて、あるいは上述した特徴の任意の組み合わせにおいて行うことができ、また、当業者に知られている他の遮断技術において行うことができる。
【0067】
図9に示されるように、二つのグラフが提示されている。一つ目は第1の限定されない実施形態で説明したDUTの試験前の標準ソーキング処置を表している。二つ目はDUTの試験前の急速ソーキング処置を表している。両グラフにおいて、y軸は温度を表し、x軸は時間を表す。両処置において電子部品は時間ゼロで室温(例えば23℃)にて始まる。標準ソーキング処置が始まると、制御温度を有する流体は、設定温度(例えば90℃)まで加熱されて、電子部品温度がDUTの試験に好ましい目標温(すなわち設定温度)に到達するまで一定流量でヒートシンク555を流れる。これに対して、急速ソーキング処置の間は、制御温度を有する流体は短時間で最大温度(例えば120℃)まで熱くなる(急勾配曲線Aで表される)。次いで、電子部品温度がDUTの試験のための目標温度(すなわち設定温度)に到達しそれが維持されるように、流体はその流量を調節されあるいは遮断される。流体を最大温度にまで加熱することは、標準ソーキング処置の場合よりも素早く電子部品を試験に好ましい温度に到達させることを可能にする。
【0068】
急速ソーキング処置はまたシステム過熱としても理解される。システム過熱においては、制御温度流体は、電子部品を好ましい温度に加熱するために、好ましい温度を超えて加熱される。しかしながら、もし電子部品温度が試験に好ましい温度を超えると、システムのオーバーシュートが起こり得るし、また電子部品及び/又は装置が損傷したり試験完了時に改変された結果がもたらされるかもしれないので、システム過熱を実行する場合には注意が必要である。
【0069】
これに関連して、図10及び図10Aは、急速ソーキング処置を用いた場合における試験前の電子部品の温度制御のための方法のフローチャートを示している。ステップS1002では、DUTを維持するための所望のあるいは目標の温度が設定される。目標温度はDUTが試験されるべき設定温度(例えば90℃)とすることができる。あるいは、目標温度は電子部品が動作環境において機能すべき所望の温度(又は温度範囲)とすることができる。
【0070】
試験の開始に先立ち、設定流体源のために設定温度が決定され、温媒源のために最大温度が決定される(S1002a)。この方法は、設定流体源からの設定流体流を開始することと、バイパス配管810を介して設定流体を温媒源805に導くこととを含む。設定流体は次いで加熱されて高い温度の温媒(すなわち第3の流体)となる。
【0071】
ステップS1004では、温媒が一定の流量でヒートシンクを介して循環される。ステップS1006では、電子部品(例えばDUT)及び/又は電子部品に接触しているヒートシンクの実際の温度が測定される(すなわち温度データ)。測定された温度は次いでステップS1008において所望の温度(すなわち目標/設定温度)と比較される。二つの温度が同じである場合には、ヒートシンクを通る流体流量に対してはなんら調節が行われず、ステップS1024において温媒源及び急速ソーキング処置が遮断される。一旦急速ソーキング処置が遮断されると、ステップS1026において低温流体源動作(既述)を開始することができる。
【0072】
その一方で、実際の/測定された温度データが目標/設定温度よりも小さい場合には、その高い温度(温媒の温度)がステップS1002aで設定された最大温度と比較される。その高い温度が最大温度に等しい場合には、システム構成に応じて三つの選択肢が利用可能である。尚、これらの選択肢は互いに独立して機能し、併用されることはない。第1の例では、ステップS1012において、温媒が最大温度に到達したときに温媒を有する温媒源805が遮断される。一旦温媒源805が遮断されると、設定流体源505が操作可能となり一定流量での設定流体流を開始し(ステップS1014にて)、設定流体は供給配管515を通ってヒートシンク555に流れ、試験の開始まで電子部品を目標温度に維持する(ステップS1016にて)。代替案として、第2の例では、ステップS1018において、温媒源805が継続して温媒をヒートシンク555に向かわせる。より詳細には、少なくともバルブ830が、試験の開始まで電子部品が目標温度で維持されるように、温媒の流量を調節する。第2の例においては、温媒の流量調節は前述した低温源動作におけるのと同様であり、温媒の流量が減少するとヒートシンクの抵抗率は増加する。しかしながら、温媒の流量が増加した場合は、電子部品の温度及びヒートシンクの温度も増加する。
【0073】
第3の例では、ステップS1011において、最大温度(例えば120℃)に到達したとき、温媒を有する温媒源805が遮断される。一旦温媒源805が遮断されると、低温流体源510が操作可能となり一定流量での低温流体流を開始し、低温流体は供給配管520を通ってヒートシンク555に向けて流れる(ステップS1013にて)。しばらくすると設定温度(例えば90℃)に達し、次いで低温流体を有する低温流体源510が遮断される(ステップS1015)。一旦低温流体源510が遮断されると、設定流体源505が操作可能となり一定流量での設定流体流を開始し(ステップS1017にて)、設定流体は供給配管515を通ってヒートシンク555に流れ、試験の開始まで電子部品を目標温度に維持する(ステップS1026にて)。第3の例での代替案においては、ステップS1015において、最大温度よりも低く且つ設定温度よりも高いある温度(例えば100℃)に達したときに、低温流体を有する低温流体源510を遮断することができ、設定流体源505が操作可能となって一定流量での設定流体流を開始し(ステップS1017にて)、設定流体は供給配管515を通ってヒートシンク555に流れ、試験の開始まで電子部品を目標温度に維持する(ステップS1026にて)。
【0074】
その高い温度(温媒の温度)が最大温度よりも小さい場合には、バルブ830は、温媒の温度が最大温度に到達するまでヒートシンク555を通る温媒の一定流量を維持する(ステップS1010、S1012、S1018参照(ステップS1020参照))。温媒の温度が最大温度よりも大きい(且つ電子部品の目標温度は超えられていない)場合、温媒の流量は、試験の開始まで電子部品が目標温度に維持されるようにステップS1022(ステップS1018で列挙したステップと同様)において調節することができる。
【0075】
上述したように、開示された実施形態によると、DUTからより多くのエネルギーを消散させることができ、システムからのエネルギー損失を小さくすることができ、DUTの目標温度を制御し維持するための応答時間をより迅速にすることができるようになる。このように、結果として、開示された実施形態は、より厳密な試験を可能にし、従来の電子部品での実効的な限界であった500ワットを超えて例えば1500ワットに至る試験に対処することを可能にする。また、あらゆる環境下(試験及び/又は動作)での電子部品の温度制御がおおいに機能強化される。
【0076】
本発明はいくつかの典型的な実施形態を参照して説明され、これらは適切な方法により組み合わせることができるが、使用された用語は、限定のための用語というよりむしろ記述及び説明に用いられる用語であると理解される。本発明の範囲及び精神を逸脱しない限り、現在又は補正された添付の請求項の範囲内において変更することができる。本発明は、個々の手段、材質や実施形態を参照して説明されているが、本発明は開示された詳細に限定されることを意図しているものではない。むしろ、本発明は、添付の請求項の範囲内において、機能的に均等な構造、方法及び用途にまで及ぶ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品と熱的に接触するヒートシンクを介して流体循環により前記電子部品の温度を制御する装置において、
第1の温度の第1の流体を含む第1の流体源と、
前記第1の温度とは異なる第2の温度の第2の流体を含む第2の流体源と、
第1の供給配管を介して前記第1の流体源に操作可能に接続されるとともに、第2の供給配管を介して前記第2の流体源に操作可能に接続されたサーマルチャックと、を備え、
前記サーマルチャックは、前記ヒートシンクを介して循環する前記第1の流体の流量がほぼ一定になるように構成された少なくとも一つのバルブを含み、前記少なくとも一つのバルブは、前記ヒートシンクを介して循環する前記第2の流体の流量が可変となるように構成されている電子部品の温度制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記サーマルチャックは、当該温度制御装置を介して再循環すべき第1の流体及び第2の流体を排出するように構成されている電子部品の温度制御装置。
【請求項3】
請求項1において、
複数の帰還配管をさらに備え、
前記複数の帰還配管は、前記サーマルチャックと前記第1の流体源及び前記第2の流体源との間に接続されている電子部品の温度制御装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記第1の流体源が操作可能な場合は前記第2の流体源が遮断され、
前記電子部品の試験前において、前記第1の流体は、前記少なくとも一つのバルブを介する前記第1の供給配管により前記ヒートシンクへ流れる電子部品の温度制御装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記第2の流体源が操作可能な場合は前記第1の流体源が遮断され、
前記電子部品の試験中において、前記第2の流体は、前記少なくとも一つのバルブを介する前記第2の供給配管により前記ヒートシンクへ流れる電子部品の温度制御装置。
【請求項6】
請求項4において、
前記電子部品の温度は、主として前記第1の温度に維持され、
前記第1の流体は、主として前記電子部品の目標温度を達成するために、前記電子部品の試験前において当該温度制御装置内を循環する電子部品の温度制御装置。
【請求項7】
請求項5において、
前記電子部品の温度は、主として前記第1の温度に維持され、
前記第2の流体は、主として前記電子部品の目標温度を維持するために、前記電子部品の試験中において当該温度制御装置内を循環する電子部品の温度制御装置。
【請求項8】
請求項6において、
前記サーマルチャックは、前記第1の流体が前記第2の流体より前に前記ヒートシンクを介して循環するように構成されている電子部品の温度制御装置。
【請求項9】
請求項7において、
前記第2の流体の流量は、前記ヒートシンクの温度に直接作用する電子部品の温度制御装置。
【請求項10】
請求項7において、
前記第2の流体の流量は、前記電子部品の温度変化に応じて変化する電子部品の温度制御装置。
【請求項11】
請求項9において、
前記第2の流体の流量は、前記ヒートシンクの温度変化に応じて変化する電子部品の温度制御装置。
【請求項12】
請求項9において、
前記第2の流体の流量は、前記電子部品の温度変化に基づく前記ヒートシンクの温度変化を調節可能に相殺する電子部品の温度制御装置。
【請求項13】
請求項7において、
前記第2の流体の流量は、前記電子部品の温度が上がると増加し、前記電子部品の温度が下がると減少する電子部品の温度制御装置。
【請求項14】
請求項9において、
前記第2の流体の流量は、前記ヒートシンクの温度が上がると増加し、前記ヒートシンクの温度が下がると減少する電子部品の温度制御装置。
【請求項15】
請求項6において、
前記電子部品の目標温度は、前記第1の温度である電子部品の温度制御装置。
【請求項16】
請求項7において、
前記電子部品の目標温度は、前記第1の温度である電子部品の温度制御装置。
【請求項17】
請求項7において、
前記第2の温度は、前記第1の温度より低い電子部品の温度制御装置。
【請求項18】
請求項4において、
前記第1の温度が前記電子部品の目標温度であり、前記第2の温度は前記第1の温度より低い電子部品の温度制御装置。
【請求項19】
請求項5において、
前記第1の温度が前記電子部品の目標温度であり、前記第2の温度は前記第1の温度より低い電子部品の温度制御装置。
【請求項20】
請求項1において、
前記第1の温度及び前記第2の温度とは異なる第3の温度の第3の流体を含む第3の流体源をさらに備え、
前記サーマルチャックは、第3の供給配管を介して前記第3の流体源に操作可能に接続され、
少なくとも一つのバルブが、前記ヒートシンクを介して循環する前記第3の流体の流量が可変となるように構成されている電子部品の温度制御装置。
【請求項21】
請求項20において、
前記第1の供給配管は、前記第3の流体源と前記第1の流体源とを接続するバイパス配管を含む電子部品の温度制御装置。
【請求項22】
請求項21において、
前記第1の流体源からの前記第1の流体は、前記第1の供給配管及び前記バイパス配管を介して前記第3の流体源に導かれる電子部品の温度制御装置。
【請求項23】
請求項22において、
前記第1の流体が前記バイパス配管を介して前記第3の流体源に流れる場合は、前記第3の流体源が操作可能とされる電子部品の温度制御装置。
【請求項24】
請求項23において、
前記第3の流体源が操作可能である場合は、前記第1の流体源及び前記第2の流体源が遮断され、
前記電子部品の試験前において、前記第3の流体は、最大温度に加熱され、前記第3の供給配管及び前記少なくとも一つのバルブを介して前記ヒートシンクに流れる電子部品の温度制御装置。
【請求項25】
請求項24において、
前記第3の温度の前記第3の流体が前記最大温度に到達した場合は、前記第3の流体源が遮断され、
前記電子部品の試験前において、主として前記電子部品の目標温度を維持するために、前記第1の流体源が操作可能とされ、前記第1の流体が前記第1の供給配管及び前記少なくとも一つのバルブを介して前記ヒートシンクへ流れる電子部品の温度制御装置。
【請求項26】
請求項24において、
前記第3の温度の前記第3の流体が前記最大温度に到達した場合は、前記電子部品の試験前において、主として前記電子部品の目標温度を維持するために、前記少なくとも一つのバルブにより前記第3の流体の流量を調節する電子部品の温度制御装置。
【請求項27】
請求項23において、
前記第1の温度が前記電子部品の目標温度であり、前記第2の温度は前記第1の温度より低い電子部品の温度制御装置。
【請求項28】
請求項24において、
前記第1の温度が前記電子部品の目標温度であり、前記第2の温度は前記第1の温度より低い電子部品の温度制御装置。
【請求項29】
請求項22において、
前記第2の流体源が操作可能な場合は、前記第1の流体源及び前記第3の流体源が遮断され、
前記電子部品の試験中において、前記第2の流体は、前記少なくとも一つのバルブを介する前記第2の供給配管により前記ヒートシンクへ流れる電子部品の温度制御装置。
【請求項30】
請求項24において、
前記第3の流体は、前記電子部品の試験前において当該温度制御装置内を循環し、前記電子部品の温度は主として前記目標温度に維持される電子部品の温度制御装置。
【請求項31】
請求項24において、
前記サーマルチャックは、前記第3の流体が前記第2の流体より前に前記ヒートシンクを介して循環するように構成されている電子部品の温度制御装置。
【請求項32】
請求項26において、
前記第3の流体の流量は、前記ヒートシンクの温度に直接作用する電子部品の温度制御装置。
【請求項33】
請求項24において、
前記第3の温度が前記最大温度より低い場合は、前記第3の流体の流量が主として一定に維持され、前記第3の温度が前記最大温度より高い場合は、前記第3の流体の流量が減少する電子部品の温度制御装置。
【請求項34】
請求項30において、
前記電子部品の目標温度は、前記第1の温度である電子部品の温度制御装置。
【請求項35】
請求項34において、
前記第3の温度は、前記第1の温度及び前記第2の温度より高い電子部品の温度制御装置。
【請求項36】
ヒートシンクに熱的に接触する電子部品の温度を制御する方法であって、
第1の流体の第1の温度及び第2の流体の第2の温度を少なくとも決定するステップと、
主として一定の割合で前記第1の流体を有する第1の流体源の流出を開始するステップと、
前記電子部品又は前記ヒートシンクの少なくとも一方の温度データを決定するステップと、
前記第2の流体を有する第2の流体源の流出を開始するステップと、
前記電子部品を主として目標温度に維持するために前記第2の流体の流量を調節するステップと、を含む電子部品の温度制御方法。
【請求項37】
請求項36において、
前記第2の流体源からの前記第2の流体の流出を遮断するステップと、
前記第1の流体源からの前記第1の流体の流出を開始するステップと、
前記温度データと前記目標温度とを比較するステップと、
前記第1の流体を主として一定流量で前記ヒートシンクへ供給するステップと、をさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項38】
請求項37において、
前記目標温度になった前記電子部品を検出するステップと、
前記第1の流体源からの前記第1の流体の流出を遮断するステップと、
前記第2の流体源からの前記第2の流体の流出を開始するステップと、
前記電子部品および前記ヒートシンクの温度データを決定するステップと、
前記温度データと前記目標温度とを比較するステップと、
前記温度データと前記目標温度との差に応じた流量で前記第2の流体を供給するステップと、
主として前記電子部品の目標温度を維持するために前記流量を調節するステップと、をさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項39】
請求項37において、
前記ヒートシンクを介して前記第1の流体を循環するステップと、
前記電子部品の温度を主として前記第1の温度に維持するステップと、をさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項40】
請求項38において、
前記ヒートシンクを介して前記第2の流体を循環するステップと、
前記電子部品の温度を主として前記目標温度に維持するステップと、をさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項41】
請求項40において、
前記電子部品の目標温度は、前記第1の温度である電子部品の温度制御方法。
【請求項42】
請求項40において、
前記温度データが前記目標温度より大きい場合に前記第2の流体の流量を増加させるステップと、
前記温度データが前記目標温度より小さい場合に前記第2の流体の流量を減少させるステップと、をさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項43】
請求項40において、
前記温度データを決定するステップは、前記電子部品の温度、前記ヒートシンクの温度、前記電子部品の電力密度および前記ヒートシンクの抵抗率を決定するステップをさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項44】
請求項40において、
前記第2の流体の流量の調節は、前記電子部品の温度が上がると流量を増加させ、前記電子部品の温度が下がると流量を減少させるように実行される電子部品の温度制御方法。
【請求項45】
請求項40において、
前記第2の流体の流量の調節は、前記電子部品の電力密度が増加すると流量を増加させ、前記電子部品の電力密度が減少すると流量を減少させるように実行される電子部品の温度制御方法。
【請求項46】
請求項40において、
前記第2の流体の流量の調節は、前記ヒートシンクの温度が上がると流量を増加させ、前記ヒートシンクの温度が下がると流量を減少させるように実行される電子部品の温度制御方法。
【請求項47】
請求項40において、
前記第2の流体の流量が増加すると前記ヒートシンクの抵抗率が減少し、前記第2の流体の流量が減少すると前記ヒートシンクの抵抗率が増加する電子部品の温度制御方法。
【請求項48】
請求項40において、
前記第2の温度は、前記第1の温度より低い電子部品の温度制御方法。
【請求項49】
請求項36において、
前記第1の流体と前記第2の流体とは混合しない電子部品の温度制御方法。
【請求項50】
請求項36において、
前記第2の流体源からの前記第2の流体の流出を遮断するステップと、
前記第1の流体源からの前記第1の流体の流出を開始するステップと、
前記第1の流体を第3の流体源へ導くステップと、
前記第1の流体を加熱して第3の流体とするステップと、
前記第3の流体の第3の温度を決定するステップと、
前記温度データと前記目標温度とを比較するステップと、
前記第3の流体を所定流量で前記ヒートシンクへ循環させるステップと、をさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項51】
請求項50において、
前記第1の流体源からの前記第1の流体を遮断するステップをさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項52】
請求項51において、
前記第3の流体の第3の温度と最大温度とを比較するステップと、
前記最大温度になった前記第3の流体を検出するステップと、
前記第3の流体源からの前記第3の流体の流出を遮断するステップと、
前記電子部品の温度を主として前記目標温度に維持するために、前記第1の流体源からの前記第1の温度の前記第1の流体の流出を開始するステップと、をさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項53】
請求項51において、
前記第3の流体の前記第3の温度と最大温度とを比較するステップと、
前記最大温度になった前記第3の流体を検出するステップと、
前記電子部品の温度を主として前記目標温度に維持するために、前記第3の流体の流量を調節するステップと、をさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項54】
請求項52において、
前記第1の流体源からの前記第1の流体の流出を遮断するステップと、
前記目標温度になった前記電子部品を検出するステップと、
前記第2の流体源からの前記第2の流体の流出を開始するステップと、
前記電子部品及び前記ヒートシンクの温度データを決定するステップと、
前記温度データと前記電子部品の前記目標温度とを比較するステップと、
前記温度データと前記目標温度との差に応じた流量で前記第2の流体を供給するステップと、
主として前記電子部品の目標温度を維持するために前記第2の流体の流量を調節するステップと、をさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項55】
請求項53において、
前記第3の流体源からの前記第3の流体の流出を遮断するステップと、
前記目標温度になった前記電子部品を検出するステップと、
前記第2の流体源からの前記第2の流体の流出を開始するステップと、
前記電子部品及び前記ヒートシンクの温度データを決定するステップと、
前記温度データと前記電子部品の前記目標温度とを比較するステップと、
前記温度データと前記目標温度との差に応じた流量で前記第2の流体を供給するステップと、
主として前記電子部品の目標温度を維持するために前記第2の流体の流量を調節するステップと、をさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項56】
請求項53において、
前記電子部品の目標温度は、前記第1の温度である電子部品の温度制御方法。
【請求項57】
請求項53において、
前記温度データが前記目標温度より大きい場合は、前記第3の流体の流量を減少させるステップと、
前記温度データが前記目標温度より小さい場合は、前記第3の流体の流量を増加させるステップと、をさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項58】
請求項53において、
前記温度データを決定するステップは、前記電子部品の温度、前記ヒートシンクの温度、前記電子部品の電力密度および前記ヒートシンクの抵抗率を決定するステップをさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項59】
請求項58において、
前記第3の流体の流量が増加すると前記ヒートシンクの抵抗率が増加し、前記第3の流体の流量が減少すると前記ヒートシンクの抵抗率が減少する電子部品の温度制御方法。
【請求項60】
請求項50において、
前記第3の温度を有する前記第3の流体は、前記第1の流体の前記第1の温度及び前記第2の流体の前記第2の温度より高い温度を有する温媒である電子部品の温度制御方法。
【請求項1】
電子部品と熱的に接触するヒートシンクを介して流体循環により前記電子部品の温度を制御する装置において、
第1の温度の第1の流体を含む第1の流体源と、
前記第1の温度とは異なる第2の温度の第2の流体を含む第2の流体源と、
第1の供給配管を介して前記第1の流体源に操作可能に接続されるとともに、第2の供給配管を介して前記第2の流体源に操作可能に接続されたサーマルチャックと、を備え、
前記サーマルチャックは、前記ヒートシンクを介して循環する前記第1の流体の流量がほぼ一定になるように構成された少なくとも一つのバルブを含み、前記少なくとも一つのバルブは、前記ヒートシンクを介して循環する前記第2の流体の流量が可変となるように構成されている電子部品の温度制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記サーマルチャックは、当該温度制御装置を介して再循環すべき第1の流体及び第2の流体を排出するように構成されている電子部品の温度制御装置。
【請求項3】
請求項1において、
複数の帰還配管をさらに備え、
前記複数の帰還配管は、前記サーマルチャックと前記第1の流体源及び前記第2の流体源との間に接続されている電子部品の温度制御装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記第1の流体源が操作可能な場合は前記第2の流体源が遮断され、
前記電子部品の試験前において、前記第1の流体は、前記少なくとも一つのバルブを介する前記第1の供給配管により前記ヒートシンクへ流れる電子部品の温度制御装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記第2の流体源が操作可能な場合は前記第1の流体源が遮断され、
前記電子部品の試験中において、前記第2の流体は、前記少なくとも一つのバルブを介する前記第2の供給配管により前記ヒートシンクへ流れる電子部品の温度制御装置。
【請求項6】
請求項4において、
前記電子部品の温度は、主として前記第1の温度に維持され、
前記第1の流体は、主として前記電子部品の目標温度を達成するために、前記電子部品の試験前において当該温度制御装置内を循環する電子部品の温度制御装置。
【請求項7】
請求項5において、
前記電子部品の温度は、主として前記第1の温度に維持され、
前記第2の流体は、主として前記電子部品の目標温度を維持するために、前記電子部品の試験中において当該温度制御装置内を循環する電子部品の温度制御装置。
【請求項8】
請求項6において、
前記サーマルチャックは、前記第1の流体が前記第2の流体より前に前記ヒートシンクを介して循環するように構成されている電子部品の温度制御装置。
【請求項9】
請求項7において、
前記第2の流体の流量は、前記ヒートシンクの温度に直接作用する電子部品の温度制御装置。
【請求項10】
請求項7において、
前記第2の流体の流量は、前記電子部品の温度変化に応じて変化する電子部品の温度制御装置。
【請求項11】
請求項9において、
前記第2の流体の流量は、前記ヒートシンクの温度変化に応じて変化する電子部品の温度制御装置。
【請求項12】
請求項9において、
前記第2の流体の流量は、前記電子部品の温度変化に基づく前記ヒートシンクの温度変化を調節可能に相殺する電子部品の温度制御装置。
【請求項13】
請求項7において、
前記第2の流体の流量は、前記電子部品の温度が上がると増加し、前記電子部品の温度が下がると減少する電子部品の温度制御装置。
【請求項14】
請求項9において、
前記第2の流体の流量は、前記ヒートシンクの温度が上がると増加し、前記ヒートシンクの温度が下がると減少する電子部品の温度制御装置。
【請求項15】
請求項6において、
前記電子部品の目標温度は、前記第1の温度である電子部品の温度制御装置。
【請求項16】
請求項7において、
前記電子部品の目標温度は、前記第1の温度である電子部品の温度制御装置。
【請求項17】
請求項7において、
前記第2の温度は、前記第1の温度より低い電子部品の温度制御装置。
【請求項18】
請求項4において、
前記第1の温度が前記電子部品の目標温度であり、前記第2の温度は前記第1の温度より低い電子部品の温度制御装置。
【請求項19】
請求項5において、
前記第1の温度が前記電子部品の目標温度であり、前記第2の温度は前記第1の温度より低い電子部品の温度制御装置。
【請求項20】
請求項1において、
前記第1の温度及び前記第2の温度とは異なる第3の温度の第3の流体を含む第3の流体源をさらに備え、
前記サーマルチャックは、第3の供給配管を介して前記第3の流体源に操作可能に接続され、
少なくとも一つのバルブが、前記ヒートシンクを介して循環する前記第3の流体の流量が可変となるように構成されている電子部品の温度制御装置。
【請求項21】
請求項20において、
前記第1の供給配管は、前記第3の流体源と前記第1の流体源とを接続するバイパス配管を含む電子部品の温度制御装置。
【請求項22】
請求項21において、
前記第1の流体源からの前記第1の流体は、前記第1の供給配管及び前記バイパス配管を介して前記第3の流体源に導かれる電子部品の温度制御装置。
【請求項23】
請求項22において、
前記第1の流体が前記バイパス配管を介して前記第3の流体源に流れる場合は、前記第3の流体源が操作可能とされる電子部品の温度制御装置。
【請求項24】
請求項23において、
前記第3の流体源が操作可能である場合は、前記第1の流体源及び前記第2の流体源が遮断され、
前記電子部品の試験前において、前記第3の流体は、最大温度に加熱され、前記第3の供給配管及び前記少なくとも一つのバルブを介して前記ヒートシンクに流れる電子部品の温度制御装置。
【請求項25】
請求項24において、
前記第3の温度の前記第3の流体が前記最大温度に到達した場合は、前記第3の流体源が遮断され、
前記電子部品の試験前において、主として前記電子部品の目標温度を維持するために、前記第1の流体源が操作可能とされ、前記第1の流体が前記第1の供給配管及び前記少なくとも一つのバルブを介して前記ヒートシンクへ流れる電子部品の温度制御装置。
【請求項26】
請求項24において、
前記第3の温度の前記第3の流体が前記最大温度に到達した場合は、前記電子部品の試験前において、主として前記電子部品の目標温度を維持するために、前記少なくとも一つのバルブにより前記第3の流体の流量を調節する電子部品の温度制御装置。
【請求項27】
請求項23において、
前記第1の温度が前記電子部品の目標温度であり、前記第2の温度は前記第1の温度より低い電子部品の温度制御装置。
【請求項28】
請求項24において、
前記第1の温度が前記電子部品の目標温度であり、前記第2の温度は前記第1の温度より低い電子部品の温度制御装置。
【請求項29】
請求項22において、
前記第2の流体源が操作可能な場合は、前記第1の流体源及び前記第3の流体源が遮断され、
前記電子部品の試験中において、前記第2の流体は、前記少なくとも一つのバルブを介する前記第2の供給配管により前記ヒートシンクへ流れる電子部品の温度制御装置。
【請求項30】
請求項24において、
前記第3の流体は、前記電子部品の試験前において当該温度制御装置内を循環し、前記電子部品の温度は主として前記目標温度に維持される電子部品の温度制御装置。
【請求項31】
請求項24において、
前記サーマルチャックは、前記第3の流体が前記第2の流体より前に前記ヒートシンクを介して循環するように構成されている電子部品の温度制御装置。
【請求項32】
請求項26において、
前記第3の流体の流量は、前記ヒートシンクの温度に直接作用する電子部品の温度制御装置。
【請求項33】
請求項24において、
前記第3の温度が前記最大温度より低い場合は、前記第3の流体の流量が主として一定に維持され、前記第3の温度が前記最大温度より高い場合は、前記第3の流体の流量が減少する電子部品の温度制御装置。
【請求項34】
請求項30において、
前記電子部品の目標温度は、前記第1の温度である電子部品の温度制御装置。
【請求項35】
請求項34において、
前記第3の温度は、前記第1の温度及び前記第2の温度より高い電子部品の温度制御装置。
【請求項36】
ヒートシンクに熱的に接触する電子部品の温度を制御する方法であって、
第1の流体の第1の温度及び第2の流体の第2の温度を少なくとも決定するステップと、
主として一定の割合で前記第1の流体を有する第1の流体源の流出を開始するステップと、
前記電子部品又は前記ヒートシンクの少なくとも一方の温度データを決定するステップと、
前記第2の流体を有する第2の流体源の流出を開始するステップと、
前記電子部品を主として目標温度に維持するために前記第2の流体の流量を調節するステップと、を含む電子部品の温度制御方法。
【請求項37】
請求項36において、
前記第2の流体源からの前記第2の流体の流出を遮断するステップと、
前記第1の流体源からの前記第1の流体の流出を開始するステップと、
前記温度データと前記目標温度とを比較するステップと、
前記第1の流体を主として一定流量で前記ヒートシンクへ供給するステップと、をさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項38】
請求項37において、
前記目標温度になった前記電子部品を検出するステップと、
前記第1の流体源からの前記第1の流体の流出を遮断するステップと、
前記第2の流体源からの前記第2の流体の流出を開始するステップと、
前記電子部品および前記ヒートシンクの温度データを決定するステップと、
前記温度データと前記目標温度とを比較するステップと、
前記温度データと前記目標温度との差に応じた流量で前記第2の流体を供給するステップと、
主として前記電子部品の目標温度を維持するために前記流量を調節するステップと、をさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項39】
請求項37において、
前記ヒートシンクを介して前記第1の流体を循環するステップと、
前記電子部品の温度を主として前記第1の温度に維持するステップと、をさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項40】
請求項38において、
前記ヒートシンクを介して前記第2の流体を循環するステップと、
前記電子部品の温度を主として前記目標温度に維持するステップと、をさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項41】
請求項40において、
前記電子部品の目標温度は、前記第1の温度である電子部品の温度制御方法。
【請求項42】
請求項40において、
前記温度データが前記目標温度より大きい場合に前記第2の流体の流量を増加させるステップと、
前記温度データが前記目標温度より小さい場合に前記第2の流体の流量を減少させるステップと、をさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項43】
請求項40において、
前記温度データを決定するステップは、前記電子部品の温度、前記ヒートシンクの温度、前記電子部品の電力密度および前記ヒートシンクの抵抗率を決定するステップをさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項44】
請求項40において、
前記第2の流体の流量の調節は、前記電子部品の温度が上がると流量を増加させ、前記電子部品の温度が下がると流量を減少させるように実行される電子部品の温度制御方法。
【請求項45】
請求項40において、
前記第2の流体の流量の調節は、前記電子部品の電力密度が増加すると流量を増加させ、前記電子部品の電力密度が減少すると流量を減少させるように実行される電子部品の温度制御方法。
【請求項46】
請求項40において、
前記第2の流体の流量の調節は、前記ヒートシンクの温度が上がると流量を増加させ、前記ヒートシンクの温度が下がると流量を減少させるように実行される電子部品の温度制御方法。
【請求項47】
請求項40において、
前記第2の流体の流量が増加すると前記ヒートシンクの抵抗率が減少し、前記第2の流体の流量が減少すると前記ヒートシンクの抵抗率が増加する電子部品の温度制御方法。
【請求項48】
請求項40において、
前記第2の温度は、前記第1の温度より低い電子部品の温度制御方法。
【請求項49】
請求項36において、
前記第1の流体と前記第2の流体とは混合しない電子部品の温度制御方法。
【請求項50】
請求項36において、
前記第2の流体源からの前記第2の流体の流出を遮断するステップと、
前記第1の流体源からの前記第1の流体の流出を開始するステップと、
前記第1の流体を第3の流体源へ導くステップと、
前記第1の流体を加熱して第3の流体とするステップと、
前記第3の流体の第3の温度を決定するステップと、
前記温度データと前記目標温度とを比較するステップと、
前記第3の流体を所定流量で前記ヒートシンクへ循環させるステップと、をさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項51】
請求項50において、
前記第1の流体源からの前記第1の流体を遮断するステップをさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項52】
請求項51において、
前記第3の流体の第3の温度と最大温度とを比較するステップと、
前記最大温度になった前記第3の流体を検出するステップと、
前記第3の流体源からの前記第3の流体の流出を遮断するステップと、
前記電子部品の温度を主として前記目標温度に維持するために、前記第1の流体源からの前記第1の温度の前記第1の流体の流出を開始するステップと、をさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項53】
請求項51において、
前記第3の流体の前記第3の温度と最大温度とを比較するステップと、
前記最大温度になった前記第3の流体を検出するステップと、
前記電子部品の温度を主として前記目標温度に維持するために、前記第3の流体の流量を調節するステップと、をさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項54】
請求項52において、
前記第1の流体源からの前記第1の流体の流出を遮断するステップと、
前記目標温度になった前記電子部品を検出するステップと、
前記第2の流体源からの前記第2の流体の流出を開始するステップと、
前記電子部品及び前記ヒートシンクの温度データを決定するステップと、
前記温度データと前記電子部品の前記目標温度とを比較するステップと、
前記温度データと前記目標温度との差に応じた流量で前記第2の流体を供給するステップと、
主として前記電子部品の目標温度を維持するために前記第2の流体の流量を調節するステップと、をさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項55】
請求項53において、
前記第3の流体源からの前記第3の流体の流出を遮断するステップと、
前記目標温度になった前記電子部品を検出するステップと、
前記第2の流体源からの前記第2の流体の流出を開始するステップと、
前記電子部品及び前記ヒートシンクの温度データを決定するステップと、
前記温度データと前記電子部品の前記目標温度とを比較するステップと、
前記温度データと前記目標温度との差に応じた流量で前記第2の流体を供給するステップと、
主として前記電子部品の目標温度を維持するために前記第2の流体の流量を調節するステップと、をさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項56】
請求項53において、
前記電子部品の目標温度は、前記第1の温度である電子部品の温度制御方法。
【請求項57】
請求項53において、
前記温度データが前記目標温度より大きい場合は、前記第3の流体の流量を減少させるステップと、
前記温度データが前記目標温度より小さい場合は、前記第3の流体の流量を増加させるステップと、をさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項58】
請求項53において、
前記温度データを決定するステップは、前記電子部品の温度、前記ヒートシンクの温度、前記電子部品の電力密度および前記ヒートシンクの抵抗率を決定するステップをさらに含む電子部品の温度制御方法。
【請求項59】
請求項58において、
前記第3の流体の流量が増加すると前記ヒートシンクの抵抗率が増加し、前記第3の流体の流量が減少すると前記ヒートシンクの抵抗率が減少する電子部品の温度制御方法。
【請求項60】
請求項50において、
前記第3の温度を有する前記第3の流体は、前記第1の流体の前記第1の温度及び前記第2の流体の前記第2の温度より高い温度を有する温媒である電子部品の温度制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図10A】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図10A】
【公表番号】特表2011−526357(P2011−526357A)
【公表日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512440(P2011−512440)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/081515
【国際公開番号】WO2010/050933
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/081515
【国際公開番号】WO2010/050933
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【Fターム(参考)】
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