説明

電子部品の製造方法

【課題】 生産性に優れた電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 パッケージ14の三側面をフレーム11に固定する第1の工程と、次にフレーム11を接合ステージ18上に搬送し、この接合ステージ18に設けた吸引口19でパッケージ14の底面を吸引し、接合ステージ18上に固定する第2の工程と、次いでパッケージ14の内部にSAW素子16を実装する第3の工程と、次にパッケージ14の開口部をリッド21で半田封止する第4の工程とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は例えばSAWデバイスなどパッケージ内に素子を実装した電子部品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のSAWデバイスの製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0003】まず図10に示すようにパレット1に設けた複数の凹部1aのそれぞれに内部底面に電極2aを有するパッケージ2を挿入する。また凹部1aの底面には貫通孔1bを設けている。
【0004】次に図11に示すようにこのパレット1を接合ステージ3上に搬送し、接合ステージ3に設けた吸引孔3aより貫通孔1bを介してパッケージ2の底面を吸引し固定する。次いで表面にバンプ4を有するSAW素子5をバンプ4とパッケージ2の電極2aとが接触するようにパッケージ2に挿入する。次いでSAW素子5の裏面から超音波ツール6を用いて超音波振動を加えることにより、電極2aとバンプ4とを接合する。
【0005】その後パレット1からパッケージ2を取出して、図12に示すようにリフロー搬送具7の凹部に挿入し、リッド8で開口部を覆い、重り9で上から押さえながらリフロー炉内を搬送し、半田封止を行い、SAWデバイスを得る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この方法によると、パレット1の凹部1aにパッケージ2を確実に挿入するため、凹部1aをパッケージ2の大きさよりも余裕を持たせて大きくしなければならない。一方凹部1aを大きくすると搬送時にパレット1からパッケージ2が飛び出してしまうことがあった。その結果、飛び出たパッケージ2にはSAW素子が実装できず生産性が悪くなるという問題点を有していた。
【0007】そこで本発明は、パッケージを安定して搬送し、電子部品の生産性を向上させることのできる電子部品の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために以下の構成を有するものである。
【0009】本発明の請求項1に記載の発明は、パッケージの三側面を固定して搬送を行うものであり、搬送途中でのフレームからのパッケージの飛び出しを防止することができる。
【0010】本発明の請求項2に記載の発明は、フレームはバネ性を有するものであり、パッケージを確実に固定することができる。
【0011】本発明の請求項3に記載の発明は、フレームを金属で構成するものであり、金属のバネ性を利用することによりパッケージをフレームに確実に固定することができる。
【0012】本発明の請求項4に記載の発明は、パッケージの底面には電極を有すると共に、素子の前記パッケージの底面に固定する面にはバンプを有し、前記電極と前記バンプとを超音波接合により素子を実装するものであり、超音波接合時にバンプと電極間に発生するせん断応力を緩和することができる。
【0013】本発明の請求項5に記載の発明は、超音波接合時にパッケージの少なくとも二側面をフレームと非接触の状態とするものであり、バンプと電極間に発生するせん断応力をさらに緩和することができる。
【0014】本発明の請求項6に記載の発明は、ステージの表面を平滑面とするものであり、ステージとパッケージとの摩擦係数を小さくすることができるので、超音波接合時にバンプと電極間に発生するせん断応力をさらに緩和することができる。
【0015】本発明の請求項7に記載の発明は、フレームに位置決め用の穴を設けたものであり、パッケージに確実に素子を実装することができる。
【0016】本発明の請求項8に記載の発明は、パッケージの三側面を固定して開口部の封止を行うものであり、リッドの位置決めを容易に行うことができる。
【0017】本発明の請求項9に記載の発明は、フレームの厚みを(パッケージの厚み+リッドの厚み)より厚くしたものであり、リッドの位置決めをさらに精度良く行うことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)以下実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1〜4、6〜9に記載の発明について説明する。
【0019】図1は本発明の実施の形態1におけるフレームの要部の斜視図、図2は同要部の断面図、図3は同超音波接合工程を説明するための要部の断面図、図4は同パッケージ封止工程を説明するための要部の断面図であり、11はフレーム、12a,12bは支持部、13は位置決め穴、14はパッケージ、15は電極、16はSAW素子、17はバンプ、18は接合ステージ、19は吸引口、20は超音波ツール、21はリッド、22は重り、23はステージ、24はリフロー炉である。
【0020】また、図5は一般的なSAWデバイスの断面図であり、31は圧電基板、32は圧電基板31上に形成した櫛形電極、33は櫛形電極32に接続した接続電極であり、図1〜図4に示す構成要素と同じものには同番号を付して説明を省略する。
【0021】まず、図1、図2に示すように金属製のフレーム11の支持部12aにパッケージ14の隣り合う二側面を、支持部12bで他の一側面を挟んで固定する。支持部12aは略L字状であり、パッケージ14のコーナーをL字のコーナーに対応させて支持部12aに接触させる。また一方支持部12bは曲面状の凸部12cを有し、この凸部12cはパッケージ14の他の一側面に接触している。パッケージ14を挟む前の支持部12a,12b間の幅をパッケージ14の幅よりも狭くすることにより、互いの弾性を活かしてパッケージ14を確実に固定することができるのである。またフレーム11は一端が独立した支持部12a,12bの対を多数有し、支持部12a,12bの対に対応して他端部に位置決め穴13をそれぞれ設けてある。
【0022】また、図5に示すように圧電基板31の一面に櫛形電極32及びこの櫛形電極32に接続した接続電極33とを有するSAW素子16の接続電極33上にバンプ17を作製しておく。
【0023】次に図3に示すようにパッケージ14を設置したフレーム11を接合ステージ18の上に移動させて位置決め穴13を用いてパッケージ14の位置決めを行う。次いで吸引口19よりパッケージ14の底部を吸引することによりパッケージ14を接合ステージ18上に固定し、パッケージ14の電極15とSAW素子16の表面に設けたバンプ17とが接触するようにSAW素子16をパッケージ14内に挿入する。その後図1に示したようにフレーム11でパッケージ14の三側面を固定したまま、150℃程度に加熱しながらSAW素子16の裏面から超音波ツール20により超音波振動を加え、電極15とバンプ17との接合を行う。
【0024】接合完了時にSAW素子16の接続電極33とバンプ17間及びバンプ17と電極15間にはせん断応力が発生する。しかしながらフレーム11はバネ性を有するため発生するせん断応力を緩和することができる。このせん断応力を緩和することによりSAW素子16にクラックが発生するのを防止できる。
【0025】超音波接合終了後、支持部12a,12bで再びパッケージ14の三側面を固定し、吸引口19からの吸引を止める。
【0026】次に図4に示すようにフレーム11をステージ23に移動させた後、位置決め穴13を用いてパッケージ14の位置決めを行った後、パッケージ14の開口部にリッド21を重ね合わせて上から重り22で押さえながらリフロー炉24内を通過させることにより半田封止し、図5に示すSAWデバイスを得る。
【0027】なお、図2に示すようにフレーム11の厚みをパッケージ14の高さよりも大きくすることにより、リッド21の位置ずれを防止でき、リッド21の位置決め精度をさらに向上させることができる。
【0028】以上のように本実施の形態1においてはフレーム11にパッケージ14の三側面を固定することにより搬送中のパッケージ14の飛び出しを防止することができる。
【0029】また、フレーム11を金属で構成することにより、バネ性を有するものとなり、確実にパッケージ14をフレーム11に固定することができる。
【0030】さらに、パッケージ14の電極15とSAW素子16のバンプ17とを超音波接合する際、フレーム11のバネ性により、超音波接合完了時に電極15とバンプ17間及びバンプ17とSAW素子16の接続電極33間に発生するせん断応力を緩和することができる。
【0031】また、接合ステージ18の表面を平滑面とすることにより、超音波接合時にパッケージ14と接合ステージ18との摩擦係数を小さくすることにより、発生するせん断応力をより小さくすることができる。
【0032】さらに、フレーム11に位置決め用の穴を設けることにより、パッケージ14の位置決め精度を更に向上させることができる。
【0033】また、パッケージ14をフレーム11で固定したまま、リッド21の半田付けを行うことにより、パッケージ14の開口部とリッド21との位置合わせを容易に行うことができる。
【0034】さらにまた、フレーム11の厚みをパッケージ14の厚みよりも大きくすることにより、フレーム11がリッド21の位置決めの際のガイドの役割も果たすこととなり、確実にリッド21の位置決めを行うことができる。
【0035】なお、上記実施の形態1で示したようにフレーム11を金属を用いて作製することにより、バネ性を有すると共に超音波接合時、リッド21の半田付け時等加熱を必要とする工程においてもパッケージ14をフレーム11で固定したまま行うことができるので、一度フレーム11に固定すれば完成までパッケージ14を移し替える必要がないので生産性を向上させることができる。
【0036】(実施の形態2)以下実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項5に記載の発明について説明する。
【0037】図6は本発明の実施の形態2における超音波接合工程を説明するための要部の上面図、図7は同要部の断面図である。図において実施の形態1の図1で説明したものと同一のものは同一番号を付し、詳細な説明は省略する。本実施の形態2の図6、図7と実施の形態1の図1と相違する点は、超音波接合時の支持部12a,12bとパッケージ14との位置関係である。
【0038】すなわち実施の形態1においては、支持部12a,12bでパッケージ14の三側面を固定したまま超音波接合を行ったが、本実施の形態2においては図6R>6に示すように支持部12bをパッケージ14の外方へ引張ることによりパッケージ14の二側面がフレーム11と非接触の状態となるようにしたものである。もちろん実施の形態1と同様に接合ステージ18の吸引口19よりパッケージ14の底面を吸引して接合ステージ18に固定しているので、例えパッケージ14の二側面をフレーム11と非接触の状態としても、パッケージ14の位置決めは確実に行うことができる。
【0039】この超音波接合工程におけるフレーム11へのパッケージ14の固定状態を変えた以外は実施の形態1と同様にしてSAWデバイスを作製する。
【0040】以上本実施の形態2においてはパッケージ14の二側面がフレーム11と非接触の状態でSAW素子16とパッケージ14との超音波接合を行うことにより、超音波接合完了時に発生するパッケージ14の電極15とバンプ17間及びバンプ17とSAW素子16の接続電極33間に発生するせん断応力を実施の形態1と比較するとさらに緩和することができる。
【0041】(実施の形態3)以下実施の形態3を用いて、本発明の特に請求項5に記載の発明について説明する。
【0042】図8は本発明の実施の形態3における超音波接合工程を説明するための要部の上面図、図9は同要部の断面図である。図において実施の形態1の図1及び実施の形態2の図6で説明したものと同一のものは同一番号を付し、詳細な説明は省略する。本実施の形態3と実施の形態1、実施の形態2と相違する点は、超音波接合時の支持部12a,12bとパッケージ14との位置関係である。
【0043】すなわち実施の形態1においては、支持部12a,12bでパッケージ14の三側面を固定した状態で、また実施の形態2においては二側面を支持部12aと接触させた状態で超音波接合を行った。本実施の形態3においては図8、図9に示すように支持部12a,12bをパッケージ14の外方へ引張ることによりパッケージ14の全側面がフレーム11と非接触となるようにしたものである。もちろん実施の形態1と同様に接合ステージ18の吸引口19よりパッケージ14の底面を吸引して接合ステージ18に固定しているので、例えパッケージ14の全側面をフレーム11と非接触の状態としても、パッケージ14の位置決めは確実に行うことができる。
【0044】この超音波接合工程におけるフレーム11へのパッケージ14の固定状態を変えた以外は実施の形態1と同様にしてSAWデバイスを作製する。
【0045】以上本実施の形態3においてはパッケージ14の全側面がフレーム11と非接触の状態でSAW素子16とパッケージ14との超音波接合を行うことにより、超音波接合完了時の反力が摩擦力と真空力のみとなり、発生するパッケージ14の電極15とバンプ17間及びバンプ17とSAW素子16の接続電極33間に発生するせん断応力を実施の形態2と比較するとさらに緩和することができる。
【0046】
【発明の効果】以上本発明によると、パッケージの三側面をフレームに固定して搬送することにより、搬送途中でパッケージがフレーム外に飛び出したりするのを防止でき、確実に素子をパッケージ内に実装することができる。その結果電子部品の生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の電子部品の製造方法におけるフレームの要部の斜視図
【図2】同要部の断面図
【図3】同超音波接合工程を説明するための要部の断面図
【図4】同パッケージ封止工程を説明するための要部の断面図
【図5】一般的なSAWデバイスの断面図
【図6】本発明の実施の形態2における超音波接合工程を説明するための要部の上面図
【図7】同実施の形態2における超音波接合工程を説明するための要部の断面図
【図8】本発明の実施の形態3における超音波接合工程を説明するための要部の上面図
【図9】本発明の実施の形態3における超音波接合工程を説明するための要部の断面図
【図10】従来のパレットの要部の斜視図
【図11】従来の超音波接合を説明するための要部の断面図
【図12】従来のパッケージ封止工程を説明するための要部の断面図
【符号の説明】
11 フレーム
12a 支持部
12b 支持部
12c 凹部
13 位置決め穴
14 パッケージ
15 電極
16 SAW素子
17 バンプ
18 接合ステージ
19 吸引口
20 超音波ツール
21 リッド
22 重り
23 ステージ
24 リフロー炉

【特許請求の範囲】
【請求項1】 パッケージの三側面をフレームに固定する第1の工程と、次に前記フレームをステージ上に搬送し、このステージに設けた吸引部で前記パッケージの底面を吸引して前記ステージ上に固定する第2の工程と、次いで前記パッケージの内部に素子を実装する第3の工程と、次に前記パッケージの開口部をリッドで封止する第4の工程とを備えた電子部品の製造方法。
【請求項2】 フレームはバネ性を有する請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項3】 フレームは金属で構成されている請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項4】 パッケージの底面には電極を有すると共に、素子の前記パッケージの底面に固定する面にはバンプを有し、第3の工程において前記電極とバンプとを超音波接合により素子を実装する請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項5】 第3の工程において少なくともパッケージの二側面をフレームと非接触の状態とする請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項6】 ステージの表面は平滑面とする請求項5に記載の電子部品の製造方法。
【請求項7】 フレームに位置決め用の穴を設けた請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項8】 パッケージの内部に素子を実装する第1の工程と、次に前記パッケージの開口部をリッドで封止する第2の工程とを備え、この第2の工程においては、パッケージの三側面を固定して行う電子部品の製造方法。
【請求項9】 フレームの厚みをパッケージの厚みとリッドの厚みを足したものよりも厚くした請求項8に記載の電子部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2002−124535(P2002−124535A)
【公開日】平成14年4月26日(2002.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−316167(P2000−316167)
【出願日】平成12年10月17日(2000.10.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】